JP6070736B2 - 半導体基板 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体基板及び半導体基板の製造方法に関するものである。
ワイドバンドギャップ半導体である炭化珪素(SiC)は、従来のシリコン(Si)と比べて2倍以上のバンドギャップを有しており、高耐圧デバイス用の材料として注目されている。このSiCは結晶形成温度がSiと比べて高温であるため液相からの引上げ法による単結晶インゴットの形成が困難であり、昇華法による単結晶インゴットの形成がなされている。しかしながら、昇華法においては大口径で結晶欠陥の少ないSiC基板を形成することが非常に難しい。このため、現在市販化されているSiC基板の口径は3〜4インチであり、その価格も非常に高価になっている。
SiCの種類には、その結晶構造によって、立方晶(3C‐SiC)や六方晶(4H‐SiC、6H‐SiC)などのSiCがある。この中でも立方晶の結晶構造を有するSiC(3C‐SiC)は比較的に低温で形成可能であり、Si基板上に直接エピタキシャル成長を行うことができる。そこで、SiC基板の大口径化の手段としてSi基板の表面に3C‐SiCを結晶成長させるヘテロエピタキシャル技術が検討されている。ところが、Si、3C‐SiCの格子定数はそれぞれ0.543nm、0.436nmと約20%の差があり、また、Siと3C−SiCとでは熱膨張係数も異なることから、結晶欠陥の少ない高品質なエピタキシャル膜を得ることが難しい。
このような問題を解決するための技術が検討されており、例えば、特許文献1では、炭化シリコンの成長用基板の表面にマスク層を形成した後、マスク層に開口部を形成して基板表面を露出させて単結晶炭化シリコンのエピタキシャル成長を行い、開口部の高さを開口部の幅の21/2以上とし且つ形成する単結晶炭化シリコンの厚さを超える高さとしている。
特開平11−181567号公報
しかしながら、単結晶炭化シリコンをエピタキシャル成長させて室温に戻す過程において、基板と単結晶炭化シリコンとの熱膨張係数差に起因する応力を抑制することは困難である。熱膨張係数差に起因する応力が生じると、単結晶炭化シリコン膜に結晶欠陥が生じるおそれがある。
本発明の一態様は、結晶欠陥の少ない高品質な単結晶炭化シリコン膜を形成することが可能な半導体基板及び半導体基板の製造方法を提供するものである。
上記の課題を解決するため、本発明に係るひとつの半導体基板は、単結晶シリコンと、 前記単結晶シリコンの表面に形成された、開口部を有するマスク材と、前記単結晶シリコンの前記開口部から露出した部分に形成された炭化シリコン膜と、前記炭化シリコン膜及び前記マスク材を覆って形成された単結晶炭化シリコン膜と、を含み、前記炭化シリコン膜は、前記開口部から露出した前記単結晶シリコンの一部を炭化したものであり、前記マスク材はボロンが1〜4wt%の範囲で含まれ、前記マスク材の粘度が950℃以上1400℃以下の温度範囲において105Pa・s以上1014.5Pa・s以下であることを特徴とする。
また、単結晶シリコンと、前記単結晶シリコンの表面に形成された炭化シリコン膜と、前記炭化シリコン膜の表面に形成された、開口部を有するマスク材と、前記炭化シリコン膜及び前記マスク材を覆って形成された単結晶炭化シリコン膜と、を含み、前記炭化シリコン膜は、前記単結晶シリコンの表面を炭化したものであり、前記マスク材はボロンが1〜4wt%の範囲で含まれ、前記マスク材の粘度が950℃以上1400℃以下の温度範囲において105Pa・s以上1014.5Pa・s以下であることを特徴とする。
また、前記マスク材は、酸化シリコン膜にリンが1wt%以上8wt%以下の範囲で含まれていることが好ましい。

また、本発明の半導体基板は、単結晶シリコンと、前記単結晶シリコンの表面に形成された炭化シリコン膜と、前記炭化シリコン膜の表面に形成された、開口部を有するマスク材と、前記炭化シリコン膜及び前記マスク材を覆って形成された単結晶炭化シリコン膜と、を含み、前記マスク材の粘度が950℃以上1400℃以下の温度範囲において105Pa・s以上1014.5Pa・s以下であることを特徴とする。
本発明の半導体基板によれば、単結晶シリコンと単結晶炭化シリコン膜との界面で発生した面欠陥が、単結晶炭化シリコンの成長に伴って上層に伝播し、マスク材の開口部の側壁に到達して消滅する。また、950℃以上1400℃以下の温度範囲(例えば単結晶炭化シリコン膜を形成する温度範囲)においてマスク材の粘度が小さくなるので、単結晶炭化シリコン膜の熱膨張係数差に起因する応力をマスク材で吸収することができる。また、マスク材の粘度が小さいので、プロセス終了時、基板温度を下げる際に発生する単結晶炭化シリコン膜の熱膨張係数差に起因する応力もマスク材で吸収することができる。よって、結晶欠陥の少ない高品質な単結晶炭化シリコン膜を形成することができる。
また、本発明の半導体基板において、前記マスク材は、酸化シリコン膜にリンが1wt%以上8wt%以下の範囲で含まれてなっていてもよい。
この構成によれば、950℃以上1400℃以下の温度範囲においてマスク材の粘度が確実に小さくなる。よって、このような含有量であれば確実に結晶欠陥の少ない高品質な単結晶炭化シリコン膜を形成することができる。
本発明の半導体基板の製造方法は、単結晶シリコンの表面にマスク材を形成する第1の工程と、前記マスク材に開口部を形成し、前記単結晶シリコンの一部を露出させる第2の工程と、前記単結晶シリコンの一部に炭化シリコン膜を形成する第3の工程と、前記炭化シリコン膜を基点として950℃以上1400℃以下の温度範囲で単結晶炭化シリコンをエピタキシャル成長させ、前記炭化シリコン膜及び前記マスク材を覆う単結晶炭化シリコン膜を形成する第4の工程と、を含み、前記マスク材の粘度が950℃以上1400℃以下の温度範囲において105Pa・s以上1014.5Pa・s以下であることを特徴とする。
本発明の半導体基板の製造方法によれば、単結晶シリコンと単結晶炭化シリコン膜との界面で発生した面欠陥が、単結晶炭化シリコンの成長に伴って上層に伝播し、マスク材の開口部の側壁に到達して消滅する。また、950℃以上1400℃以下の温度範囲(例えば単結晶炭化シリコン膜を形成する温度範囲)においてマスク材の粘度が小さくなるので、単結晶炭化シリコン膜の熱膨張係数差に起因する応力をマスク材で吸収することができる。また、マスク材の粘度が小さいので、プロセス終了時、基板温度を下げる際に発生する単結晶炭化シリコン膜の熱膨張係数差に起因する応力もマスク材で吸収することができる。よって、結晶欠陥の少ない高品質な単結晶炭化シリコン膜を形成することができる。また、単結晶炭化シリコン膜をエピタキシャル成長させる温度範囲がこのような温度範囲であれば確実に結晶欠陥の少ない高品質な単結晶炭化シリコン膜を形成することができる。
本発明の半導体基板の製造方法は、単結晶シリコンの表面に酸化シリコン膜を形成する第1の工程と、前記酸化シリコン膜に開口部を形成し、前記単結晶シリコンの一部を露出させる第2の工程と、前記単結晶シリコンの一部に炭化シリコン膜を形成する第3の工程と、前記炭化シリコン膜を基点として単結晶炭化シリコンをエピタキシャル成長させ、前記単結晶炭化シリコンのエピタキシャル成長を前記酸化シリコン膜の表面が一部露出した状態で止める第4の工程と、前記酸化シリコン膜に不純物をドープさせてマスク材を形成する第5の工程と、前記第5の工程の後に前記単結晶炭化シリコンの前記エピタキシャル成長を再開させ、950℃以上1400℃以下の温度範囲で前記マスク材を覆う単結晶炭化シリコン膜を形成する第6の工程と、を含み、前記マスク材の粘度が950℃以上1400℃以下の温度範囲において105Pa・s以上1014.5Pa・s以下であることを特徴とする。
本発明の半導体基板の製造方法によれば、酸化シリコン膜を単結晶炭化シリコン膜の形成途中でマスク材にする(粘度を小さくする)過程において、単結晶炭化シリコン膜をエピタキシャル成長させる初期段階で、単結晶炭化シリコン膜の熱膨張係数差に起因する応力をマスク材で吸収することができる。また、マスク材の粘度が小さいので、プロセス終了時、基板温度を下げる際に発生する単結晶炭化シリコン膜の熱膨張係数差に起因する応力もマスク材で吸収することができる。よって、結晶欠陥の少ない高品質な単結晶炭化シリコン膜を形成することができる。
本発明の半導体基板の製造方法は、単結晶シリコンの表面に炭化シリコン膜を形成する第1の工程と、前記炭化シリコン膜の表面にマスク材を形成する第2の工程と、前記マスク材に開口部を形成し、前記炭化シリコン膜の一部を露出させる第3の工程と、前記炭化シリコン膜の一部を基点として950℃以上1400℃以下の温度範囲で単結晶炭化シリコンをエピタキシャル成長させ、前記炭化シリコン膜及び前記マスク材を覆う単結晶炭化シリコン膜を形成する第4の工程と、を含み、前記マスク材の粘度が950℃以上1400℃以下の温度範囲において105Pa・s以上1014.5Pa・s以下であることを特徴とする。
本発明の半導体基板の製造方法によれば、単結晶シリコンと単結晶炭化シリコン膜との界面で発生した面欠陥が、単結晶炭化シリコンの成長に伴って上層に伝播し、マスク材の開口部の側壁に到達して消滅する。また、950℃以上1400℃以下の温度範囲(例えば単結晶炭化シリコン膜を形成する温度範囲)においてマスク材の粘度が小さくなるので、単結晶炭化シリコン膜の熱膨張係数差に起因する応力をマスク材で吸収することができる。また、マスク材の粘度が小さいので、プロセス終了時、基板温度を下げる際に発生する単結晶炭化シリコン膜の熱膨張係数差に起因する応力もマスク材で吸収することができる。よって、結晶欠陥の少ない高品質な単結晶炭化シリコン膜を形成することができる。また、単結晶炭化シリコン膜をエピタキシャル成長させる温度範囲がこのような温度範囲であれば確実に結晶欠陥の少ない高品質な単結晶炭化シリコン膜を形成することができる。
本発明の半導体基板の製造方法は、単結晶シリコンの表面に炭化シリコン膜を形成する第1の工程と、前記炭化シリコン膜の表面に酸化シリコン膜を形成する第2の工程と、前記酸化シリコン膜に開口部を形成し、前記炭化シリコン膜の一部を露出させる第3の工程と、前記炭化シリコン膜の一部を基点として単結晶炭化シリコンをエピタキシャル成長させ、前記単結晶炭化シリコンのエピタキシャル成長を前記酸化シリコン膜の表面が一部露出した状態で止める第4の工程と、前記酸化シリコン膜に不純物をドープさせてマスク材を形成する第5の工程と、前記第5の工程の後に前記単結晶炭化シリコンの前記エピタキシャル成長を再開させ、950℃以上1400℃以下の温度範囲で前記マスク材を覆う単結晶炭化シリコン膜を形成する第6の工程と、を含み、前記マスク材の粘度が950℃以上1400℃以下の温度範囲において105Pa・s以上1014.5Pa・s以下であることを特徴とする。
本発明の半導体基板の製造方法によれば、酸化シリコン膜を単結晶炭化シリコン膜の形成途中でマスク材にする(粘度を小さくする)過程において、単結晶炭化シリコン膜をエピタキシャル成長させる初期段階で、単結晶炭化シリコン膜の熱膨張係数差に起因する応力をマスク材で吸収することができる。また、マスク材の粘度が小さいので、プロセス終了時、基板温度を下げる際に発生する単結晶炭化シリコン膜の熱膨張係数差に起因する応力もマスク材で吸収することができる。よって、結晶欠陥の少ない高品質な単結晶炭化シリコン膜を形成することができる。
また、本発明の半導体基板の製造方法において、前記マスク材は、酸化シリコン膜にリンが1wt%以上8wt%以下の範囲で含まれていてもよい。
この方法によれば、950℃以上1400℃以下の温度範囲においてマスク材の粘度が確実に小さくなる。よって、このような含有量であれば確実に結晶欠陥の少ない高品質な単結晶炭化シリコン膜を形成することができる。
また、本発明の半導体基板の製造方法において、前記第5の工程は、前記酸化シリコン膜を覆って不純物がドープされた不純物含有層を形成する第7の工程と、前記不純物含有層を加熱して前記不純物含有層にドープされた前記不純物を前記酸化シリコン膜に拡散させて前記マスク材を形成する第8の工程と、前記不純物含有層を除去し、前記マスク材を露出させる第9の工程と、を含んでいてもよい。
この方法によれば、不純物が酸化シリコン膜に選択的に拡散されるので、エピタキシャル成長途中の単結晶炭化シリコンに不純物がドープされることを抑制することができる。よって、不純物を含まない高純度の単結晶炭化シリコン膜を形成することができる。
本発明の第1実施形態に係る半導体基板の概略構成を示す模式図である。 本発明の第1実施形態に係る半導体基板の製造方法を示す過程図である。 同、半導体基板の製造方法の第1変形例を示す過程図である。 図3に続く、半導体基板の製造方法の第1変形例を示す過程図である。 同、半導体基板の製造方法の第2変形例を示す過程図である。 本発明の第2実施形態に係る半導体基板の概略構成を示す模式図である。 本発明の第2実施形態に係る半導体基板の製造方法を示す過程図である。 同、半導体基板の製造方法の第1変形例を示す過程図である。 図8に続く、半導体基板の製造方法の第1変形例を示す過程図である。 同、半導体基板の製造方法の第2変形例を示す過程図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。かかる実施の形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等が異なっている。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る半導体基板1の概略構成を示す模式図である。
図1に示すように、半導体基板1は、単結晶シリコン11と、単結晶シリコン11の表面に形成された、開口部12hを有するマスク材12と、単結晶シリコン11の開口部12hから露出した部分に形成された炭化シリコン膜13と、開口部12hから露出した炭化シリコン膜13及びマスク材12を覆って形成された単結晶炭化シリコン膜14と、を備えている。
単結晶シリコン11は、例えば、CZ法(チョクラルスキー法)により引上げられたシリコン単結晶インゴットをスライス、研磨して形成されている。この単結晶シリコン11の表面はミラー指数(100)で表される結晶面を成している。また、結晶面の結晶軸が数度傾いたオフセット基板を用いてもよい。
なお、本実施形態では、単結晶シリコン11としてシリコン単結晶基板を用いるがこれに限らない。例えば、石英、サファイア、ステンレスからなる基板上に単結晶シリコン膜を形成したものでもよい。本願明細書において、シリコン単結晶基板、また例えば、石英、サファイア、ステンレスからなる基板上に単結晶シリコン膜を形成したものを単結晶シリコンという。
また、単結晶シリコン11の表面はミラー指数(100)で表される結晶面をなすものとされるが、(100)面以外にも、(100)面に対して54.73度傾斜した(111)面であってもよい。このような単結晶シリコンの格子定数は0.543nmである。
マスク材12は、単結晶シリコン11の表面に形成されている。マスク材12には、単結晶シリコン11の表面を露出する複数の開口部12hが形成されている。マスク材12は、酸化シリコン膜に不純物が所定の範囲で含まれてなる。本実施形態においては、マスク材12は、酸化シリコン膜にリンが1wt%以上8wt%以下の範囲で含まれてなる。
なお、不純物はリンに限らず、例えばボロンを用いることができる。例えば、マスク材は、酸化シリコン膜にボロンが1wt%以上4wt%以下の範囲で含まれてなっていてもよい。また、マスク材は、酸化シリコン膜にボロン及びリンの双方が含まれてなっていてもよい(BPSG(Boron Phosphorus Silicon Glass))。BPSGに含まれるボロン及びリンの濃度は、例えば、ボロンが1wt%以上4wt%以下の範囲、リンが4wt%以上6wt%以下の範囲である。
炭化シリコン膜13は、単結晶シリコン11の開口部12hから露出した部分に形成されている。炭化シリコン膜13は、炭化珪素(3C−SiC)の単結晶層または多結晶層である。炭化シリコン膜13は、単結晶シリコン11の表面を炭化処理することにより、単結晶炭化シリコン膜14を形成する際の単結晶シリコン11表面からのシリコンの昇華を抑制するとともに、単結晶シリコン11と単結晶炭化シリコン膜14との格子不整合を緩和し、単結晶炭化シリコン膜14に転移欠陥が生じるのを抑制する機能を有するものである。炭化シリコン膜13の厚みは、少なくとも1原子層分の厚みで形成されていればよく、例えば2nm以上30nm以下の厚みとされている。
単結晶炭化シリコン膜14は、開口部12hから露出した炭化シリコン膜13及びマスク材12を覆って形成されている。単結晶炭化シリコン膜14は、立方晶炭化珪素(3C‐SiC)がエピタキシャル成長して形成された半導体膜である。3C‐SiCは、バンドギャップ値が2.2eV以上と広く、熱伝導率や絶縁破壊電界が高いため、パワーデバイス用のワイドバンドギャップ半導体として好適である。このような3C−SiCからなる単結晶炭化シリコン膜14の格子定数は0.436nmである。
(半導体基板の製造方法)
図2は、本実施形態に係る半導体基板の製造方法を示す過程図である。
先ず、単結晶シリコン11を用意し、単結晶シリコンを真空チャンバーに収容し、真空雰囲気下、処理温度750℃、処理時間5minの条件で熱処理する(図2(a)参照)。この熱処理により、単結晶シリコン表面は清浄化され、単結晶シリコン表面に付着した不純物は除去される。次に、処理温度を600℃まで降温する。なお、以下の説明においては、単結晶シリコンの温度を単に「基板温度」いう場合がある。
次に、単結晶シリコン11の表面にマスク材12を形成する(図2(b)参照、第1の工程)。ここでは、熱酸化法を用いて単結晶シリコン11の表面を熱酸化処理することにより、単結晶シリコン11の表面にマスク材12を形成する。また、マスク材12の膜厚は、例えば5〜200nmの範囲に設定する。例えば、マスク材12は、酸化シリコン膜にリンをイオン注入などによりドープして形成することができる。マスク材12のリンの含有量は、1wt%以上8wt%以下の範囲である。ここで、リンの含有量が8wt%を超えると酸が形成されるため好ましくない。なお、酸化シリコン膜にボロンをドープしてもよい。
次に、マスク材12をパターニングして開口部12hを形成し、単結晶シリコン11の表面の一部を露出させる(図2(c)参照、第2の工程)。例えば、マスク材12の上にレジストを塗布し。フォトリソグラフィ法によりレジストを所望のパターン、例えばラインアンドスペースにパターニングする。このようにパターニングされたレジストをマスクとして、マスク材12にエッチングを施す。これにより、マスク材12は所望のパターン形状にパターンニングされることとなり、このマスク材12の開口部12hでは単結晶シリコン11の表面の一部が露出することとなる。
次に、基板温度を600℃以上800℃以下の範囲の温度に調整し、この基板温度を保持した状態で、炭化シリコン膜13の原料ガス(炭素原料ガス)をチャンバー内に導入する。ここで、基板温度が800℃を超えると、単結晶シリコン11の表面近傍に導入された炭素原料ガスが熱分解等し易くなり、安定した炭素原料ガスの雰囲気を形成することが困難となるため好ましくない。
炭素原料ガスとしては、炭化水素系ガスが好ましく、例えば、メタン(CH4)、エタン(C26)、アセチレン(C22)、エチレン(C24)、プロパン(C38)、ノルマルブタン(n−C410)、イソブタン(i−C410)、ネオペンタン(neo−C512)等が好適に用いられる。これらは、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
これにより、単結晶シリコン11の開口部12hから露出した部分に炭化シリコン膜13を形成する(図2(d)参照、第3の工程)。
次いで、単結晶シリコン11を、炭素原料ガスの雰囲気下で加熱し、基板温度を単結晶炭化シリコン膜を形成する温度(以下、単に「炭化処理温度」という場合がある)まで上昇させる。炭化処理温度は、950℃以上1400℃以下の範囲の温度に調整し、この炭化処理温度を保持する。
マスク材12の粘度は、炭化処理温度が950℃以上1400℃以下の範囲において105Pa・s以上1014.5Pa・s以下となる。
ここで、炭化処理温度が950℃未満であると、炭素原料ガスによる単結晶シリコン11の表面の炭化が不十分なものとなり、その結果、単結晶シリコン11の表面に結晶性のよい単結晶炭化シリコン膜14を形成することができず、一方、炭化処理温度が1400℃を超えると、シリコンの融点(1410℃)を超えるため、単結晶シリコンが溶けてしまうという問題を生じる。また、粘度の下限値105Pa・sはマスク材12が流動する状態の粘度であり、粘度の上限値1014.5Pa・sは粘性流動が生じなくなる粘度(マスク材12の歪が除去できない粘度)である。
また、本実施形態では、マスク材12にリンが1wt%以上8wt%以下の範囲でドープされており、マスク材12の粘度が炭化処理温度が950℃以上1400℃以下の範囲において107.6Pa・s以上1013Pa・s以下を満たすようになっている。ここで、粘度の下限値107.6Pa・sはマスク材12が軟化する状態の粘度であり、粘度の上限値1013Pa・sはマスク材12の歪みを除去する際の上限粘度である。
これにより、開口部12hから露出した炭化シリコン膜13を基点として単結晶炭化シリコンをエピタキシャル成長させ、開口部12hから露出した炭化シリコン膜13及びマスク材12を覆う単結晶炭化シリコン膜14を形成する(図2(e)参照、第4の工程)。
以上の工程により、本実施形態の半導体基板1を製造することができる。
本実施形態の半導体基板1、半導体基板の製造方法によれば、単結晶シリコン11と単結晶炭化シリコン膜14との界面で発生した面欠陥が、単結晶炭化シリコンの成長に伴って上層に伝播し、マスク材12の開口部12hの側壁に到達して消滅する。また、950℃以上1400℃以下の温度範囲(例えば単結晶炭化シリコン膜14を形成する温度範囲)においてマスク材12の粘度が小さくなるので、単結晶炭化シリコン膜14の熱膨張係数差に起因する応力をマスク材12で吸収することができる。また、マスク材12の粘度が小さいので、プロセス終了時、基板温度を下げる際に発生する単結晶炭化シリコン膜14の熱膨張係数差に起因する応力もマスク材12で吸収することができる。よって、結晶欠陥の少ない高品質な単結晶炭化シリコン膜14を形成することができる。また、半導体基板の製造方法において、単結晶炭化シリコン膜14をエピタキシャル成長させる温度範囲がこのような温度範囲であれば確実に結晶欠陥の少ない高品質な単結晶炭化シリコン膜14を形成することができる。
また、950℃以上1400℃以下の温度範囲においてマスク材12の粘度が確実に小さくなる。よって、このような含有量であれば確実に結晶欠陥の少ない高品質な単結晶炭化シリコン膜14を形成することができる。
(第1変形例)
図3及び図4は、第1実施形態に係る半導体基板の製造方法の第1変形例を示す過程図である。
先ず、単結晶シリコン11を用意し、単結晶シリコンを真空チャンバーに収容し、真空雰囲気下、処理温度750℃、処理時間5minの条件で熱処理する(図3(a)参照)。次に、処理温度を600℃まで降温する。
次に、単結晶シリコン11の表面に酸化シリコン膜12Axを形成する(図3(b)参照、第1の工程)。例えば、熱酸化法を用いて単結晶シリコン11の表面を熱酸化処理することにより、単結晶シリコン11の表面に酸化シリコン膜12Axを形成する。
次に、酸化シリコン膜12Axをパターニングして開口部12Ahを形成し、単結晶シリコン11の表面の一部を露出させる(図3(c)参照、第2の工程)。
次に、基板温度を600℃以上800℃以下の範囲の温度に調整し、この基板温度を保持した状態で、炭化シリコン膜13の原料ガス(炭素原料ガス)をチャンバー内に導入する。これにより、単結晶シリコン11の開口部12Ahから露出した部分に炭化シリコン膜13を形成する(図3(d)参照、第3の工程)。
次に、単結晶シリコン11を、炭素原料ガスの雰囲気下で加熱し、基板温度を炭化処理温度まで上昇させる。炭化処理温度は、950℃以上1400℃以下の範囲の温度に調整し、この炭化処理温度を所定の時間だけ保持する。
これにより、開口部12Ahから露出した炭化シリコン膜13を基点として単結晶炭化シリコンをエピタキシャル成長させ、単結晶炭化シリコンのエピタキシャル成長を酸化シリコン膜12Axの表面が一部露出した状態で止める(図4(a)参照、第4の工程)。
次に、酸化シリコン膜12Axに不純物をドープさせる(第5の工程)。例えば、第5の工程は、基板温度を所定の温度まで下げ、酸化シリコン膜12Axを覆って不純物がドープされた不純物含有層15を形成する工程と(図4(b)参照、第7の工程)、単結晶シリコン11を加熱して不純物含有層15にドープされた不純物を酸化シリコン膜12Axに拡散させてマスク材12Aを形成する工程と(図4(c)参照、第8の工程)、不純物含有層15を除去し、マスク材12Aを露出させる工程と(図4(d)参照、第9の工程)を含む。
なお、不純物はリンであり、不純物含有層15は、酸化シリコン膜にリンが1wt%以上8wt%以下の範囲で含まれてなる。なお、不純物としてボロンを用いてもよい。
そして、単結晶シリコン11を、炭素原料ガスの雰囲気下で加熱し、基板温度を炭化処理温度まで上昇させる。炭化処理温度は、950℃以上1400℃以下の範囲の温度に調整し、この炭化処理温度を保持する。
マスク材12Aの粘度は、炭化処理温度が950℃以上1400℃以下の範囲において105Pa・s以上1014.5Pa・s以下となる。本変形例では、酸化シリコン膜12Axにリンが1wt%以上8wt%以下の範囲で拡散されるため、マスク材12Aの粘度が950℃以上1400℃以下の温度範囲において107.6Pa・s以上1013Pa・s以下を満たすようになっている。
これにより、エピタキシャル成長が止められた単結晶炭化シリコン14Aのエピタキシャル成長を再開させ、マスク材12Aを覆う単結晶炭化シリコン膜14を形成する(図4(e)参照、第6の工程)。
以上の工程により、本変形例の半導体基板1Aを製造することができる。
本変形例の半導体基板の製造方法によれば、酸化シリコン膜12Axを単結晶炭化シリコン膜14の形成途中でマスク材12Aにする(粘度を小さくする)過程において、単結晶炭化シリコン膜14をエピタキシャル成長させる初期段階で、単結晶炭化シリコン膜14の熱膨張係数差に起因する応力をマスク材12Aで吸収することができる。また、マスク材12Aの粘度が小さいので、プロセス終了時、基板温度を下げる際に発生する単結晶炭化シリコン膜14の熱膨張係数差に起因する応力もマスク材12Aで吸収することができる。よって、結晶欠陥の少ない高品質な単結晶炭化シリコン膜14を形成することができる。
また、この方法によれば、不純物が酸化シリコン膜12Axに選択的にドープされるので、エピタキシャル成長途中の単結晶炭化シリコン14Aに不純物がドープされることを抑制することができる。よって、不純物を含まない高純度の単結晶炭化シリコン膜14を形成することができる。
また、この方法によれば、第8の工程において不純物含有層15にドープされたリンを酸化シリコン膜12Axに十分に拡散させることができる。このため、950℃以上1400℃以下の温度範囲においてマスク材12Aの粘度が確実に小さくなる。よって、このような含有量であれば確実に結晶欠陥の少ない高品質な単結晶炭化シリコン膜14を形成することができる。
(第2変形例)
図5は、第1実施形態に係る半導体基板の製造方法の第2変形例を示す過程図である。
なお、本変形例に係る半導体基板の製造方法の第1の工程から第3の工程までは、上述した第1変形例に係る半導体基板の製造方法の第1の工程から第4の工程まで(図3(a)〜図4(a))と同一であるため、その詳細な説明は省略する。
第4の工程の次に、酸化シリコン膜に不純物をドープさせる(図5(a)参照、第5の工程)。例えば、第5の工程において酸化シリコン膜にリンをイオン注入などにより1wt%以上8wt%以下の範囲でドープさせてマスク材12Bを形成することができる。なお、不純物としてボロンを用いてもよい。
そして、単結晶シリコン11を、炭素原料ガスの雰囲気下で加熱し、基板温度を炭化処理温度まで上昇させる。炭化処理温度は、950℃以上1400℃以下の範囲の温度に調整し、この炭化処理温度を保持する。
マスク材12Bの粘度は、炭化処理温度が950℃以上1400℃以下の範囲において105Pa・s以上1014.5Pa・s以下となる。本変形例では、マスク材12Bにリンが1wt%以上8wt%以下の範囲で含まれており、マスク材12Bの粘度が950℃以上1400℃以下の温度範囲において107.6Pa・s以上1013Pa・s以下を満たすようになっている。
これにより、エピタキシャル成長が止められた単結晶炭化シリコン14Aのエピタキシャル成長を再開させ、マスク材12Bを覆う単結晶炭化シリコン膜14を形成する(図5(b)参照、第6の工程)。
以上の工程により、本変形例の半導体基板1Bを製造することができる。
本変形例の半導体基板の製造方法によれば、950℃以上1400℃以下の温度範囲においてマスク材12Bの粘度が確実に小さくなる。よって、このような含有量であれば確実に結晶欠陥の少ない高品質な単結晶炭化シリコン膜14を形成することができる。また、エピタキシャル成長途中の単結晶炭化シリコン14Aにも不純物がドープされる場合があるが、この場合、単結晶炭化シリコン膜14の上に不純物を含む層を利用する層を形成したり同種の層を積層したりする場合に有効である。
(第2実施形態)
図6は、本発明の第2実施形態に係る半導体基板2の概略構成を示す模式図である。
図6に示すように、半導体基板2は、単結晶シリコン21と、単結晶シリコン21の表面に形成された炭化シリコン膜22と、炭化シリコン膜22の表面に形成された、開口部23hを有するマスク材23と、開口部23hから露出した炭化シリコン膜22及びマスク材23を覆って形成された単結晶炭化シリコン膜24と、を備えている。
単結晶シリコン21は、例えば、CZ法(チョクラルスキー法)により引上げられたシリコン単結晶インゴットをスライス、研磨して形成されている。この単結晶シリコン21の表面はミラー指数(100)で表される結晶面を成している。
炭化シリコン膜22は、単結晶シリコン21の表面に形成されている。炭化シリコン膜22は、炭化珪素(3C−SiC)の単結晶層または多結晶層である。炭化シリコン膜22は、単結晶シリコン21の表面を炭化処理することにより、単結晶炭化シリコン膜24を形成する際の単結晶シリコン21表面からのシリコンの昇華を抑制するとともに、単結晶シリコン21と単結晶炭化シリコン膜24との格子不整合を緩和し、単結晶炭化シリコン膜24に転移欠陥が生じるのを抑制する機能を有するものである。炭化シリコン膜22の厚みは、少なくとも1原子層分の厚みで形成されていればよく、例えば2nm以上30nm以下の厚みとされている。
マスク材23は、炭化シリコン膜22の表面に形成されている。マスク材23には、単結晶シリコン21の表面を露出する複数の開口部23hが形成されている。マスク材23は、酸化シリコン膜に不純物が所定の範囲で含まれてなる。本実施形態においては、マスク材23は、酸化シリコン膜にリンが1wt%以上8wt%以下の範囲で含まれてなる。なお、不純物はリンに限らず、例えばボロンを用いることができる。
単結晶炭化シリコン膜24は、開口部23hから露出した炭化シリコン膜22及びマスク材23を覆って形成されている。単結晶炭化シリコン膜24は、立方晶炭化珪素(3C‐SiC)がエピタキシャル成長して形成された半導体膜である。
(半導体基板の製造方法)
図7は、本実施形態に係る半導体基板の製造方法を示す過程図である。
先ず、単結晶シリコン21を用意し、単結晶シリコンを真空チャンバーに収容し、真空雰囲気下、処理温度750℃、処理時間5minの条件で熱処理する。この熱処理により、単結晶シリコン表面は清浄化され、単結晶シリコン表面に付着した不純物は除去される。次に、処理温度を600℃まで降温する。なお、以下の説明においては、単結晶シリコンの温度を単に「基板温度」いう場合がある。
次に、基板温度を600℃以上800℃以下の範囲の温度に調整し、この基板温度を保持した状態で、炭化シリコン膜22の原料ガス(炭素原料ガス)をチャンバー内に導入する。
炭素原料ガスとしては、炭化水素系ガスが好ましく、例えば、メタン(CH4)、エタン(C26)、アセチレン(C22)、エチレン(C24)、プロパン(C38)、ノルマルブタン(n−C410)、イソブタン(i−C410)、ネオペンタン(neo−C512)等が好適に用いられる。これらは、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
これにより、単結晶シリコン21の表面に炭化シリコン膜22を形成する(図7(a)参照、第1の工程)。
次に、炭化シリコン膜22の表面にマスク材23を形成する(図7(b)参照、第2の工程)。例えば、マスク材23は、酸化シリコン膜にリンをイオン注入などによりドープして形成することができる。マスク材23のリンの含有量は、1wt%以上8wt%以下の範囲である。なお、酸化シリコン膜にボロンをドープしてもよい。
次に、マスク材23をパターニングして開口部23hを形成し、炭化シリコン膜22の表面の一部を露出させる(図7(c)参照、第3の工程)。例えば、マスク材23の上にレジストを塗布し。フォトリソグラフィ法によりレジストを所望のパターン、例えばラインアンドスペースにパターニングする。このようにパターニングされたレジストをマスクとして、マスク材23にエッチングを施す。これにより、マスク材23は所望のパターン形状にパターンニングされることとなり、このマスク材23の開口部23hでは炭化シリコン膜22の表面の一部が露出することとなる。
次いで、単結晶シリコン21を、炭素原料ガスの雰囲気下で加熱し、基板温度を炭化処理温度まで上昇させる。炭化処理温度は、950℃以上1400℃以下の範囲の温度に調整し、この炭化処理温度を保持する。
マスク材23の粘度は、炭化処理温度が950℃以上1400℃以下の範囲において105Pa・s以上1014.5Pa・s以下となる。本実施形態では、マスク材23にリンが1wt%以上8wt%以下の範囲でドープされており、マスク材23の粘度が950℃以上1400℃以下の温度範囲において107.6Pa・s以上1013Pa・s以下を満たすようになっている。
これにより、開口部23hから露出した炭化シリコン膜22の一部を基点として単結晶炭化シリコンをエピタキシャル成長させ、開口部23hから露出した炭化シリコン膜22及びマスク材23を覆う単結晶炭化シリコン膜24を形成する(図7(d)参照、第4の工程)。
以上の工程により、本実施形態の半導体基板2を製造することができる。
本実施形態の半導体基板2、半導体基板の製造方法によれば、単結晶シリコン21と単結晶炭化シリコン膜24との界面で発生した面欠陥が、単結晶炭化シリコンの成長に伴って上層に伝播し、マスク材23の開口部23hの側壁に到達して消滅する。また、950℃以上1400℃以下の温度範囲(例えば単結晶炭化シリコン膜24を形成する温度範囲)においてマスク材23の粘度が小さくなるので、単結晶炭化シリコン膜24の熱膨張係数差に起因する応力をマスク材23で吸収することができる。また、マスク材23の粘度が小さいので、プロセス終了時、基板温度を下げる際に発生する単結晶炭化シリコン膜24の熱膨張係数差に起因する応力もマスク材23で吸収することができる。よって、結晶欠陥の少ない高品質な単結晶炭化シリコン膜24を形成することができる。また、半導体基板の製造方法において、単結晶炭化シリコン膜24をエピタキシャル成長させる温度範囲がこのような温度範囲であれば確実に結晶欠陥の少ない高品質な単結晶炭化シリコン膜を形成することができる。
また、950℃以上1400℃以下の温度範囲においてマスク材23の粘度が確実に小さくなる。よって、このような含有量であれば確実に結晶欠陥の少ない高品質な単結晶炭化シリコン膜24を形成することができる。
(第1変形例)
図8及び図9は、第2実施形態に係る半導体基板の製造方法の第1変形例を示す過程図である。
先ず、単結晶シリコン21を用意し、単結晶シリコンを真空チャンバーに収容し、真空雰囲気下、処理温度750℃、処理時間5minの条件で熱処理する。次に、処理温度を600℃まで降温する。
次に、基板温度を600℃以上800℃以下の範囲の温度に調整し、この基板温度を保持した状態で、炭化シリコン膜22の原料ガス(炭素原料ガス)をチャンバー内に導入する。これにより、単結晶シリコン21の表面に炭化シリコン膜22を形成する(図8(a)参照、第1の工程)。
次に、炭化シリコン膜22の表面に酸化シリコン膜23Axを形成する(図8(b)参照、第2の工程)。
次に、酸化シリコン膜23Axをパターニングして開口部23Ahを形成し、炭化シリコン膜22の表面の一部を露出させる(図8(c)参照、第3の工程)。
次に、単結晶シリコン21を、炭素原料ガスの雰囲気下で加熱し、基板温度を炭化処理温度まで上昇させる。炭化処理温度は、950℃以上1400℃以下の範囲の温度に調整し、この炭化処理温度を所定の時間だけ保持する。
これにより、開口部23Ahから露出した炭化シリコン膜22を基点として単結晶炭化シリコンをエピタキシャル成長させ、単結晶炭化シリコンのエピタキシャル成長を酸化シリコン膜23Axの表面が一部露出した状態で止める(図9(a)参照、第4の工程)。
次に、酸化シリコン膜23Axに不純物をドープさせる(第5の工程)。例えば、第5の工程は、基板温度を所定の温度まで下げ、酸化シリコン膜23Axを覆って不純物がドープされた不純物含有層25を形成する工程と(図9(b)参照、第7の工程)、単結晶シリコン21を加熱して不純物含有層25にドープされた不純物を酸化シリコン膜23Axに拡散させてマスク材23Aを形成する工程と(図9(c)参照、第8の工程)、不純物含有層25を除去し、マスク材23Aを露出させる工程と(図9(d)参照、第9の工程)を含む。
なお、不純物はリンであり、不純物含有層25は、酸化シリコン膜にリンが1wt%以上8wt%以下の範囲で含まれてなる。なお、不純物としてボロンを用いてもよい。
そして、単結晶シリコン21を、炭素原料ガスの雰囲気下で加熱し、基板温度を炭化処理温度まで上昇させる。炭化処理温度は、950℃以上1400℃以下の範囲の温度に調整し、この炭化処理温度を保持する。
マスク材23Aの粘度は、炭化処理温度が950℃以上1400℃以下の範囲において105Pa・s以上1014.5Pa・s以下となる。本変形例では、酸化シリコン膜23Axにリンが1wt%以上8wt%以下の範囲で拡散されるため、マスク材23Aの粘度が950℃以上1400℃以下の温度範囲において107.6Pa・s以上1013Pa・s以下を満たすようになっている。
これにより、エピタキシャル成長が止められた単結晶炭化シリコン24Aのエピタキシャル成長を再開させ、マスク材23Aを覆う単結晶炭化シリコン膜24を形成する(図9(e)参照、第6の工程)。
以上の工程により、本変形例の半導体基板2Aを製造することができる。
本変形例の半導体基板の製造方法によれば、酸化シリコン膜23Axを単結晶炭化シリコン膜24の形成途中でマスク材23Aにする(粘度を小さくする)過程において、単結晶炭化シリコン膜24をエピタキシャル成長させる初期段階で、単結晶炭化シリコン膜24の熱膨張係数差に起因する応力をマスク材23Aで吸収することができる。また、マスク材23Aの粘度が小さいので、プロセス終了時、基板温度を下げる際に発生する単結晶炭化シリコン膜24の熱膨張係数差に起因する応力もマスク材23Aで吸収することができる。よって、結晶欠陥の少ない高品質な単結晶炭化シリコン膜24を形成することができる。
また、この方法によれば、不純物が酸化シリコン膜23Axに選択的に拡散されるので、エピタキシャル成長途中の単結晶炭化シリコン24Aに不純物がドープされることを抑制することができる。よって、不純物を含まない高純度の単結晶炭化シリコン膜24を形成することができる。
また、この方法によれば、第8の工程において不純物含有層25にドープされたリンを酸化シリコン膜23Axに十分に拡散させることができる。このため、950℃以上1400℃以下の温度範囲においてマスク材23Aの粘度が確実に小さくなる。よって、このような含有量であれば確実に結晶欠陥の少ない高品質な単結晶炭化シリコン膜24を形成することができる。
(第2変形例)
図10は、第2実施形態に係る半導体基板の製造方法の第2変形例を示す過程図である。
なお、本変形例に係る半導体基板の製造方法の第1の工程から第4の工程までは、上述した第1変形例に係る半導体基板の製造方法の第1の工程から第4の工程まで(図8(a)〜図9(a))と同一であるため、その詳細な説明は省略する。
第4の工程の次に、酸化シリコン膜に不純物をドープさせる(図10(a)参照、第5の工程)。例えば、第5の工程において酸化シリコン膜にリンをイオン注入などにより1wt%以上8wt%以下の範囲でドープさせてマスク材23Bを形成することができる。なお、不純物としてボロンを用いてもよい。
そして、単結晶シリコン21を、炭素原料ガスの雰囲気下で加熱し、基板温度を炭化処理温度まで上昇させる。炭化処理温度は、950℃以上1400℃以下の範囲の温度に調整し、この炭化処理温度を保持する。
マスク材23Bの粘度は、炭化処理温度が950℃以上1400℃以下の範囲において105Pa・s以上1014.5Pa・s以下となる。本変形例では、マスク材23Bにリンが1wt%以上8wt%以下の範囲で含まれており、マスク材23Bの粘度が950℃以上1400℃以下の温度範囲において107.6Pa・s以上1013Pa・s以下を満たすようになっている。
これにより、エピタキシャル成長が止められた単結晶炭化シリコン24Aのエピタキシャル成長を再開させ、マスク材23Bを覆う単結晶炭化シリコン膜24を形成する(図10(b)参照、第6の工程)。
以上の工程により、本変形例の半導体基板2Bを製造することができる。
本変形例の半導体基板の製造方法によれば、950℃以上1400℃以下の温度範囲においてマスク材23Bの粘度が確実に小さくなる。よって、このような含有量であれば確実に結晶欠陥の少ない高品質な単結晶炭化シリコン膜24を形成することができる。また、エピタキシャル成長途中の単結晶炭化シリコン24Aにも不純物がドープされる場合があるが、この場合、単結晶炭化シリコン膜24の上に不純物を含む層を利用する層を形成したり同種の層を積層したりする場合に有効である。
1,1A,1B,2,2A,2B…半導体基板、11,21…単結晶シリコン、12,12A,12B,23,23A,23B…マスク材、12Ax,23Ax…酸化シリコン膜、12h,12Ah,12Bh,23h,23Ah,23Bh…開口部、13,22…炭化シリコン膜、14,24…単結晶炭化シリコン膜、14A,24A…エピタキシャル成長が止められた単結晶炭化シリコン、15,25…不純物含有層。

Claims (3)

  1. 単結晶シリコンと、
    前記単結晶シリコンの表面に形成された、開口部を有するマスク材と、
    前記単結晶シリコンの前記開口部から露出した部分に形成された炭化シリコン膜と、
    前記炭化シリコン膜及び前記マスク材を覆って形成された単結晶炭化シリコン膜と、
    を含み、
    前記炭化シリコン膜は、前記開口部から露出した前記単結晶シリコンの一部を炭化したものであり、
    前記マスク材はボロンが1〜4wt%の範囲で含まれ、
    前記マスク材の粘度が950℃以上1400℃以下の温度範囲において105Pa・s以上1014.5Pa・s以下であることを特徴とする半導体基板。
  2. 単結晶シリコンと、
    前記単結晶シリコンの表面に形成された炭化シリコン膜と、
    前記炭化シリコン膜の表面に形成された、開口部を有するマスク材と、
    前記炭化シリコン膜及び前記マスク材を覆って形成された単結晶炭化シリコン膜と、
    を含み、
    前記炭化シリコン膜は、前記単結晶シリコンの表面を炭化したものであり、
    前記マスク材はボロンが1〜4wt%の範囲で含まれ、
    前記マスク材の粘度が950℃以上1400℃以下の温度範囲において105Pa・s以上1014.5Pa・s以下であることを特徴とする半導体基板。
  3. 前記マスク材は、酸化シリコン膜にリンが1wt%以上8wt%以下の範囲で含まれていることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体基板。
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