JP2019014628A - 炭化ケイ素膜付き基板の製造方法、炭化ケイ素膜付き基板および炭化ケイ素単結晶基板 - Google Patents

炭化ケイ素膜付き基板の製造方法、炭化ケイ素膜付き基板および炭化ケイ素単結晶基板 Download PDF

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Abstract

【課題】結晶欠陥の少ない炭化ケイ素成長層を形成可能な炭化ケイ素膜付き基板、かかる炭化ケイ素膜付き基板を製造可能な炭化ケイ素膜付き基板の製造方法、および、高品質な炭化ケイ素成長層を備える炭化ケイ素単結晶基板を提供すること。
【解決手段】炭化ケイ素の単結晶成長に用いられる炭化ケイ素膜付き基板を製造する方法であって、シリコン基板と、前記シリコン基板の一方の面側に設けられている炭化ケイ素下地膜と、を有する下地膜付きシリコン基板を用意する第1の工程と、前記下地膜付きシリコン基板に対し、等方性エッチング可能なガス雰囲気中でエッチング処理し、炭化ケイ素膜付き基板を得る第2の工程と、を有することを特徴とする炭化ケイ素膜付き基板の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、炭化ケイ素膜付き基板の製造方法、炭化ケイ素膜付き基板および炭化ケイ素単結晶基板に関するものである。
炭化ケイ素(SiC)は、Siに比べ2倍以上のバンドギャップ(2.36〜3.23eV)を有するワイドバンドギャップ半導体であり、高耐圧デバイス用材料として注目されている。
ところが、SiCは、Siとは異なり、結晶化温度が高温であるため、Si基板と同様の液相からの引上げ法による単結晶インゴット作成が困難である。そのため、昇華法によりSiCの単結晶インゴットを形成する方法が提案されているが、かかる昇華法においては、大口径で結晶欠陥の少ない基板を形成することが非常に難しい。一方、SiC結晶の中でも立方晶SiC(3C−SiC)は、比較的低温で形成可能であるため、基板上にエピタキシャル成長を行う方法が提案されている。
このエピタキシャル成長を用いたSiC基板の製造方法の1つとして、気相中において、Si基板上に3C−SiCを成長させるヘテロエピタキシャル技術が検討されている。
しかしながら、このようなヘテロエピタキシャル技術では、単結晶シリコンと3C−SiCとの間で格子定数に差があるため、成長させた3C−SiC成長層には内部応力が発生する。このような内部応力は、結晶欠陥の原因となり、3C−SiC成長層の品質低下を招く。
そこで、特許文献1には、シリコン基板とエピタキシャル膜(3C−SiC成長層)との間に炭化層を設けた炭化ケイ素半導体基板が開示されている。このような炭化ケイ素半導体基板では、炭化層によって格子定数の不整合を緩和することができるため、エピタキシャル膜における転移欠陥の発生が抑制される。
特開2014−237581号公報
しかしながら、炭化層を設けた場合でも、前述した格子定数の差やシリコン基板と3C−SiC成長層との熱膨張率の差を十分に緩和できない場合があり、この場合、3C−SiC成長層に含まれる結晶欠陥を十分に抑制することは難しい。
本発明の目的は、結晶欠陥の少ない炭化ケイ素成長層を形成可能な炭化ケイ素膜付き基板、かかる炭化ケイ素膜付き基板を製造可能な炭化ケイ素膜付き基板の製造方法、および、高品質な炭化ケイ素成長層を備える炭化ケイ素単結晶基板を提供することにある。
上記目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の炭化ケイ素膜付き基板の製造方法は、炭化ケイ素の単結晶成長に用いられる炭化ケイ素膜付き基板を製造する方法であって、
シリコン基板と、前記シリコン基板の一方の面側に設けられている炭化ケイ素下地膜と、を有する下地膜付きシリコン基板を用意する第1の工程と、
前記下地膜付きシリコン基板に対し、等方性エッチング可能なガス雰囲気中でエッチング処理し、炭化ケイ素膜付き基板を得る第2の工程と、
を有することを特徴とする。
これにより、シリコン基板と炭化ケイ素下地膜との間に空孔が形成され、炭化ケイ素下地膜上に成長させる炭化ケイ素成長層における内部応力を抑制することができるので、結晶欠陥の少ない炭化ケイ素成長層を形成可能な炭化ケイ素膜付き基板が得られる。
本発明の炭化ケイ素膜付き基板の製造方法では、前記第1の工程は、構成原子として炭素原子を含むガス雰囲気中で前記シリコン基板を加熱する工程を含むことが好ましい。
これにより、シリコン基板の一部が炭化ケイ素に転化することで炭化ケイ素下地膜が形成されるため、シリコン基板と炭化ケイ素下地膜の格子不整合を緩和することができ、炭化ケイ素膜付き基板上に成長させる単結晶に格子定数差を影響させ難い炭化ケイ素下地膜を形成することができる。
本発明の炭化ケイ素膜付き基板の製造方法では、前記シリコン基板を加熱する温度は、800℃以上1400℃以下であることが好ましい。
これにより、適度な厚さで高品質な炭化ケイ素下地膜を形成することができる。
本発明の炭化ケイ素膜付き基板の製造方法では、前記第1の工程は、前記シリコン基板と前記炭化ケイ素下地膜との界面において、前記シリコン基板に空孔が形成されるまで前記加熱を継続することが好ましい。
これにより、空孔を効率よく形成することができる。
本発明の炭化ケイ素膜付き基板の製造方法では、前記炭素原子を含むガスは、炭化水素ガスを含むことが好ましい。
これにより、空孔をより適正かつ効率よく形成することができる。
本発明の炭化ケイ素膜付き基板の製造方法では、前記等方性エッチング可能なガスは、水素または塩素を含むことが好ましい。
これにより、より等方的にエッチングが進行するため、結晶面によらず等方的に拡大した空孔が得られる。
本発明の炭化ケイ素膜付き基板は、シリコン基板と、
前記シリコン基板上に積層され、炭化ケイ素を含む炭化ケイ素下地膜と、
を有し、
前記シリコン基板と前記炭化ケイ素下地膜との接触面積が、前記炭化ケイ素下地膜の面積の10%以上90%以下であることを特徴とする。
これにより、シリコン基板と炭化ケイ素下地膜との密着力を確保しつつ、成長させる炭化ケイ素成長層における内部応力の緩和を図ることができる。したがって、結晶欠陥の少ない炭化ケイ素成長層を形成可能な炭化ケイ素膜付き基板が得られる。
本発明の炭化ケイ素膜付き基板は、前記シリコン基板側に形成され、前記シリコン基板と前記炭化ケイ素下地膜との界面に開口する空孔を有し、
前記シリコン基板の厚さ方向に沿って前記空孔が切断されたときの断面形状は、曲線を含んでいることが好ましい。
これにより、空孔を起点にクラック等が入り難くなるため、シリコン基板の品質低下を抑制することができる。
本発明の炭化ケイ素単結晶基板は、本発明の炭化ケイ素膜付き基板と、
前記炭化ケイ素下地膜上に成膜されている炭化ケイ素成長層と、
を有することを特徴とする。
これにより、炭化ケイ素単結晶基板は、結晶欠陥が少なく高品質な炭化ケイ素成長層を有しているため、特性が良好なパワーデバイスを製造可能な半導体基板となり得る。
本発明の炭化ケイ素膜付き基板の実施形態を示す縦断面図である。 本発明の炭化ケイ素単結晶基板の実施形態を示す縦断面図である。 図1に示す炭化ケイ素膜付き基板を炭化ケイ素下地膜側から見た様子を模式的に示す平面図の一例である。 本発明の炭化ケイ素膜付き基板の製造方法の実施形態、および、炭化ケイ素単結晶基板を製造する方法を説明するための図である。 本発明の炭化ケイ素膜付き基板の製造方法の実施形態、および、炭化ケイ素単結晶基板を製造する方法を説明するための図である。 本発明の炭化ケイ素膜付き基板の製造方法の実施形態、および、炭化ケイ素単結晶基板を製造する方法を説明するための図である。 本発明の炭化ケイ素膜付き基板の製造方法の実施形態、および、炭化ケイ素単結晶基板を製造する方法を説明するための図である。 本発明の炭化ケイ素膜付き基板の製造方法の実施形態、および、炭化ケイ素単結晶基板を製造する方法を説明するための図である。 実施例1で得られた炭化ケイ素膜付き基板の炭化ケイ素下地膜の表面についての光学顕微鏡による観察像である。 実施例1で得られた炭化ケイ素膜付き基板の断面についての電子顕微鏡による観察像である。
以下、本発明の炭化ケイ素膜付き基板の製造方法、炭化ケイ素膜付き基板および炭化ケイ素単結晶基板を添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。なお、以下の説明では、説明の便宜上、図1および図2中の上方を「上」、下方を「下」という。
(炭化ケイ素膜付き基板)
まず、本実施形態に係る炭化ケイ素膜付き基板について説明する。
図1は、本発明の炭化ケイ素膜付き基板の実施形態を示す縦断面図である。
図1に示す炭化ケイ素膜付き基板1は、Si基板2(シリコン基板)と、Si基板2上に積層されたSiC下地膜3(炭化ケイ素下地膜)と、を有している。このような炭化ケイ素膜付き基板1では、SiC下地膜3を下地として立方晶炭化ケイ素をエピタキシャル成長(単結晶成長)させることができる。
Si基板2は、例えば、CZ法(チョコラルスキー法)により引き上げられたシリコン単結晶インゴットをスライスし、研磨することによって得られる。このSi基板2は、いかなる面方位を有する基板であってもよいが、例えば、その主面がSi(100)面、または、Si(100)面の結晶軸が数度傾くようにオフセットされた面になっている基板を用いてもよい。
なお、本実施形態では、Si基板2がシリコン結晶基板である場合について説明しているが、Si基板2はこれに限定されず、例えば、石英、サファイア、多結晶SiC等の基板上に結晶シリコン膜を成膜した複合基板であってもよい。
また、シリコン結晶基板や結晶シリコン膜は、その全体が単結晶であることが好ましいが、多結晶であってもよい。
Si基板2の厚さは、Si基板2がSiC下地膜3を支持し得る程度の機械的強度を有するように適宜設定されるが、一例として、100μm以上2mm以下程度が好ましい。
SiC下地膜3は、Si基板2の上面に積層されている。このSiC下地膜3は、シリコン結晶基板の表面に炭化処理を施して形成された炭化膜であってもよく、シリコン結晶基板の表面にSiCを成膜して得られたものであってもよい。
このようなSiC下地膜3を成膜することにより、シリコンの格子定数と炭化ケイ素の格子定数との違いから生じる結晶欠損を緩和することができる。すなわち、シリコン基板と、エピタキシャル成長させるSiC成長層との間にSiC下地膜3のような緩衝層を設けることにより、SiC下地膜3を設けない場合に比べてエピタキシャル成長させるSiC成長層の結晶欠陥を抑制することができる。その結果、炭化ケイ素膜付き基板1にエピタキシャル成長させたSiC成長層は、品質の高いものとなる。
SiC下地膜3の結晶構造は、特に限定されないが、例えば、立方晶SiC(3C−SiC)とされる。なお、3C−SiC以外の結晶、例えば、4H−SiC、6H−SiCであってもよい。
また、Si基板2とSiC下地膜3との界面は、視覚上あるいは成分の濃度上、明確であっても不明確であってもよい。
また、SiC下地膜3の厚さは、特に限定されないが、2nm以上100nm以下であるのが好ましく、3nm以上50nm以下であるのがより好ましく、4nm以上40nm以下であるのがさらに好ましい。SiC下地膜3の厚さを前記範囲内に設定することにより、その後の製造工程において、内部応力を緩和するために形成する空孔の密度を適切に制御することが可能となり、また、上面の平坦性が低下し難いSiC下地膜3を得ることができる。
すなわち、SiC下地膜3の厚さが前記下限値を下回ると、SiC下地膜3によるSi基板2の被覆が不十分となり、その後の製造工程において空孔の発生量を制御できなくなるおそれがある。一方、SiC下地膜3の厚さが前記上限値を上回ると、SiC下地膜3の成膜条件によっては、SiC下地膜3の上面の平坦性が低下し、その上に成長させるSiC成長層の品質を低下させるおそれがある。
なお、SiC下地膜3の厚さは、例えば、エリプソメトリ法等の光学的手法を用いた測定法により計測する方法、あるいは、炭化ケイ素膜付き基板1の断面を電子顕微鏡や光学顕微鏡等で観察し、観察像上においてSiC下地膜3の厚さを計測する方法等によって求められる。
また、SiC下地膜3は、その全体が単結晶であることが好ましいが、必ずしもそれに限定されず、多結晶であってもよい。
(炭化ケイ素単結晶基板)
次に、本実施形態に係る炭化ケイ素単結晶基板について説明する。
図2は、本発明の炭化ケイ素単結晶基板の実施形態を示す縦断面図である。
図2に示す炭化ケイ素単結晶基板10は、前述した炭化ケイ素膜付き基板1の上に、SiC下地膜3を下地層として立方晶炭化ケイ素層をエピタキシャル成長させてなるものである。すなわち、図2に示す炭化ケイ素単結晶基板10は、炭化ケイ素膜付き基板1と、炭化ケイ素膜付き基板1のSiC下地膜3上に積層されたSiC成長層4(炭化ケイ素成長層)と、を有している。このような炭化ケイ素単結晶基板10は、結晶欠陥が少なく高品質なSiC成長層4を有するため、半導体デバイスを形成する単結晶基板として好適である。
本実施形態に係るSiC成長層4は、立方晶炭化ケイ素(3C−SiC)で構成された半導体層である。立方晶炭化ケイ素は、バンドギャップ値が2.36eV以上と広く、熱伝導率や絶縁破壊電界が高いため、例えばパワーデバイス用のワイドバンドギャップ半導体として好適に用いられる。
具体的には、昇圧コンバーター用のトランジスターやダイオード等が挙げられる。より具体的には、MOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)、絶縁ゲート型バイポーラー・トランジスター(IGBT)、ショットキーバリアーダイオード(SBD)等が挙げられる。
なお、SiC成長層4は、3C−SiCで構成された半導体層に限定されず、例えば、4H−SiCや6H−SiCで構成された半導体層であってもよい。
ここで、図1に示す炭化ケイ素膜付き基板1は、Si基板2とSiC下地膜3との界面に開口し、Si基板2側に形成された空孔5を含んでいる。この空孔5は、Si基板2とSiC下地膜3との接触面積を減少させる。これにより、Si基板2とSiC下地膜3との界面付近の剛直性が低下(緩和)する。一方、剛直性が高すぎると、格子定数の差や熱膨張率の差に起因した内部応力が緩和されず、SiC成長層4における結晶欠陥の発生に結び付きやすい。したがって、このようにして剛直性を低下させることにより、内部応力が緩和されやすくなり、SiC成長層4に発生する結晶欠陥を抑制することができる。その結果、SiC成長層4を結晶欠陥の少ない高品質な単結晶層にすることができる。
また、図1に示す炭化ケイ素膜付き基板1は、Si基板2とSiC下地膜3とを有しているが、それらの接触面積は、空孔5が存在することによってSiC下地膜3の面積よりも必然的に小さくなる。具体的には、Si基板2とSiC下地膜3との接触面積は、SiC下地膜3の面積の10%以上90%以下であるのが好ましく、20%以上80%以下であるのがより好ましく、30%以上70%以下であるのがさらに好ましい。接触面積の割合を前記範囲内に設定することにより、Si基板2とSiC下地膜3との密着力を確保しつつ、SiC成長層4における内部応力の抑制を図ることができる。
なお、接触面積の割合が前記下限値を下回ると、接触面積の割合が小さくなりすぎるため、SiC下地膜3やSiC成長層4の膜厚等によっては、SiC下地膜3が剥離しやすくなるおそれがある。一方、接触面積の割合が前記上限値を上回ると、接触面積の割合が大きくなりすぎるため、SiC下地膜3やSiC成長層4の膜厚等によっては、SiC成長層4に発生する内部応力を十分に抑制することができないおそれがある。
なお、この接触面積は、SiC下地膜3が可視光に対して無色透明なため、炭化ケイ素膜付き基板1をSiC下地膜3側から観察することで確認可能である。
図3は、図1に示す炭化ケイ素膜付き基板1をSiC下地膜3側から見た様子を模式的に示す平面図の一例である。なお、SiC下地膜3は、一般的に可視光に対して透明であるため、図3では、SiC下地膜3越しにSi基板2が見えている様子を図示している。
図3に示す例では、平面視形状が円形をなす空孔5が分布している。そして、隣り合う空孔5のうちの一部は、互いに結合しているものもある。このように空孔5が位置している領域は、Si基板2とSiC下地膜3とが離間している領域である。なお、空孔5の形状は、図示のものに限定されず、例えば全ての空孔5が独立していてもよい。
一方、空孔5以外の領域は、Si基板2とSiC下地膜3とが接触している領域(以下、「接触領域6」という。)である。したがって、前述した接触面積の割合を算出するにあたっては、下記式に基づいて算出される。
(接触面積の割合)=(接触領域6の全面積)/{(接触領域6の全面積)+(空孔5の全面積)}×100
また、空孔5の面積や接触領域6の面積を算出するにあたっては、炭化ケイ素膜付き基板1を光学顕微鏡等で拡大観察し、観察像上において面積を求めるようにすればよい。なお、その場合、観察像の一辺の長さは30μm以上であるのが好ましい。
また、図2には、空孔5の縦断面形状が図示されている。図2に示すように、空孔5は、Si基板2の厚さ方向に沿って切断されたときの断面形状が曲線を含んでいることが好ましい。すなわち、空孔5の底面や側面は丸みを帯びた曲面になっている。このような形状であれば、SiC成長層4の製造過程等において、Si基板2とSiC下地膜3との界面に応力が集中しても、その応力が緩和され、空孔5を起点にクラック等が発生することを抑制することができる。
このとき、空孔5の断面形状に含まれる曲線の最小半径は、特に限定されないものの、一例として0.1μm以上10μm以下であるのが好ましく、0.5μm以上5μm以下であるのがより好ましい。曲線の最小半径を前記範囲内に設定することにより、前述したクラック等の抑制を図りつつ、空孔5が必要以上に大きくなってしまい、空孔5と接触領域6との分散が不均等になることを避けることができる。
なお、このような曲線の最小半径は、空孔5の断面を電子顕微鏡で観察し、その観察像上において10個以上の空孔5を無作為に選択するとともに、その空孔5に含まれる曲線の最小半径の平均値として求められる。
また、空孔5の断面形状は、図示された曲線を含む形状に限定されず、例えば直線のみで構成された形状であってもよい。
また、空孔5の深さは、特に限定されないが、0.1μm以上10μm以下であるのが好ましく、0.3μm以上5μm以下であるのがより好ましい。空孔5の深さを前記範囲内に設定することにより、空孔5がクラック等の起点になり難くなる。このため、Si基板2とSiC下地膜3との界面に応力が集中しても、その応力がSi基板2のクラック等を招く確率を低下させることができる。
なお、空孔5の深さが前記下限値を下回ってもよいが、空孔5の形成が難しくなるおそれがある。一方、空孔5の深さが前記上限値を上回ると、空孔5がクラック等の起点になりやすくなるおそれがある。
このような空孔5の深さは、空孔5の断面を電子顕微鏡で観察し、その観察像上において10個以上の空孔5を無作為に選択するとともに、その空孔5の深さの平均値として求められる。
また、空孔5の密度は、特に限定されないが、1.0×10個/cm以上1.0×1010個/cm以下であるのが好ましい。空孔5の密度を前記範囲内に設定することにより、SiC成長層4における結晶欠陥の発生を抑えつつ、SiC下地膜3の欠損を抑制することができる。
すなわち、空孔5の密度が前記下限値を下回ると、Si基板2とSiC下地膜3との界面における応力の緩和が不十分になるため、SiC成長層4において結晶欠陥を十分抑制できないおそれがある。一方、空孔5の密度が前記上限値を上回ると、空孔5同士が連結する確率が特に高くなるため、SiC下地膜3が欠損し、SiC下地膜3の機能が損なわれるおそれがある。
(炭化ケイ素単結晶基板の製造方法)
次に、図2に示す炭化ケイ素単結晶基板10を製造する方法について説明する。なお、この方法では、本発明の炭化ケイ素膜付き基板の製造方法の実施形態を併せて説明する。
図4〜8は、それぞれ、本発明の炭化ケイ素膜付き基板の製造方法の実施形態、および、炭化ケイ素単結晶基板10を製造する方法を説明するための図である。
本実施形態に係る炭化ケイ素膜付き基板1の製造方法は、Si基板2(シリコン基板)と、Si基板2の上面側(一方の面側)に設けられているSiC下地膜3(炭化ケイ素下地膜)と、を有する下地膜付きシリコン基板11を用意する工程(第1の工程)と、下地膜付きシリコン基板11に対し、等方性エッチング可能なガス雰囲気中でエッチング処理し、炭化ケイ素膜付き基板1を得る工程(第2の工程)と、を有する。
また、炭化ケイ素単結晶基板10の製造方法は、炭化ケイ素膜付き基板1上にSiC成長層4(炭化ケイ素成長層)を形成し、炭化ケイ素単結晶基板10を得る工程をさらに有する。
以下、各工程について順次説明する。
[1]まず、図4に示すSi基板2を用意する。なお、Si基板2には、必要に応じて、エッチング等を利用した清浄化処理が施されていてもよい。この清浄化処理では、まず、Si基板2を熱処理炉のチャンバー内に収納し、チャンバー内を減圧する。次に、Si基板2を例えば750℃程度に加熱することで、Si基板2表面の自然酸化膜等を除去する。
次いで、図5に示すように、Si基板2の上面にSiC下地膜3を形成する。これにより、下地膜付きシリコン基板11が得られる。
SiC下地膜3の形成方法は、特に限定されず、例えばCVD法、蒸着法、スパッタリング法のような気相成膜法等によってSi基板2上に成膜する方法であってもよいが、好ましくはSi基板2の上面を炭化させる炭化処理が用いられる。炭化処理は、構成原子として炭素原子を含むガス雰囲気中でSi基板2を加熱することにより行われる。このような炭化処理によれば、Si基板2の一部を炭化ケイ素に転化させるため、他の方法と比較して結晶性や表面の平坦性が高く、また、Si基板2とSiC下地膜3の格子不整合を緩和することができ、格子定数の差をSiC成長層4側に影響させ難いSiC下地膜3を形成することができる。
構成原子として炭素原子を含むガス(以下、「炭素系ガス」ともいう。)としては、例えば、エチレン(C)の他、アセチレン(C)、プロパン(C)、メタン(CH)、エタン(C)、ノルマルブタン(n−C10)、イソブタン(i−C10)、ネオペンタン(neo−C12)のような炭化水素ガス、炭化フッ素ガス等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、処理ガスには、必要に応じて、キャリアガス等の任意のガスが混合されていてもよい。
キャリアガスとしては、例えば、水素、窒素、ヘリウム、アルゴン等が挙げられる。キャリアガスが用いられる場合、処理ガス中の炭素系ガスの濃度は、炭化処理の速度等に応じて適宜設定されるものの、一例として0.1体積%以上30体積%以下であるのが好ましく、0.3体積%以上5体積%以下であるのがより好ましい。
炭化処理におけるSi基板2の加熱温度は、800℃以上1400℃以下であるのが好ましく、900℃以上1100℃以下であるのがより好ましい。また、炭化処理におけるSi基板2の加熱時間は、前記加熱温度に曝される時間が0.5分以上であるのが好ましく、1分以上120分以下であるのがより好ましく、3分以上90分以下であるのがさらに好ましい。
加熱条件を前記範囲内に設定することにより、炭化ケイ素への転化速度が最適化されるため、高品質なSiC下地膜3を形成することができる。また、前述したような適度な厚さのSiC下地膜3を形成することができる。
なお、加熱温度が前記下限値を下回ると、炭化が不十分になり、SiC下地膜3の結晶品質が低下するおそれがある。一方、加熱温度が前記上限値を上回ると、Si基板2からSiが昇華し、SiC下地膜3の結晶品質を低下させるおそれがある。
また、炭化処理は、常圧雰囲気、加圧雰囲気および減圧雰囲気のいずれで行われてもよいが、好ましくはSi基板2を納めた処理室内を排気しつつ、処理ガスを導入した状態で行うようにすればよい。一例として、処理ガス中の炭素系ガスの導入量は、10sccm
以上100sccm以下とされる。
なお、炭化処理を行う雰囲気の圧力は、大気圧未満であるのが好ましく、1.0×10−3Pa以上1.0×10−1Pa以下であるのがより好ましい。これにより、処理雰囲気を適度な減圧状態にすることができるので、後述する工程において、空孔を効率よく形成することができる。
ここで、SiC下地膜3の形成に用いられた処理ガスは熱分解により水素原子を発生させる。この水素原子はSiC下地膜3を透過してSi基板2の表面をエッチングする。
この際、水素原子はSiC下地膜3に不可避的に含まれる欠損部位(ピンホール)を介して透過するため、Si基板2に形成されるエッチング痕は、図6に示すように、SiC下地膜3に不可避的に含まれる欠損部位(ピンホール)に対応して分散された位置に形成される。なお、Si基板2の種類にもよるが、このようなエッチングでは、形成されるエッチング痕の内面がSi{111}面になるようにエッチングが進みやすい。これは、Si{111}面のエッチングレートが相対的に低いことに起因する。その結果、エッチング痕で構成される空孔51の断面形状は、図6に示すように、略三角形となることが多い。
なお、空孔51の平面視形状は、略四角形になることが多い。したがって、空孔51は略四角錐状をなす。すなわち、図6に示す下地膜付きシリコン基板11は、Si基板2とSiC下地膜3との界面に開口した、いわゆる逆ピラミッド状の空孔51を含む。
したがって、本工程では、Si基板2とSiC下地膜3との界面において、Si基板2に空孔51が形成されるまで、前述した炭化ケイ素ガス雰囲気中でのSi基板2の加熱を継続することが好ましい。これにより、後述する空孔5のエッチング処理において形成される空孔5の起点となる空孔51を適正かつ効率よく形成することができる。そして、後述するエッチング処理では、効率よく空孔5を形成することができる。
なお、この観点からすれば、炭化処理において用いられる炭素系ガスは、特に炭化水素ガスを含むことが好ましい。このような炭化水素ガスは、熱分解によって多くの水素原子を発生させるため、上述したような原理でSi基板2の表面をより適正かつ効率よくエッチングし、空孔5を形成することができる。
また、上述したような空孔51の大きさや深さ、密度は、SiC下地膜3を形成するときの条件によって調整可能である。例えば、前述したSi基板2の加熱温度で維持する時間を延ばすことにより、空孔51の大きさや深さを拡大したり、密度を増加させたりすることができる。また、空孔51の大きさや深さ、密度は、後述する空孔5の大きさや深さ、密度にも影響を及ぼす。そして、さらには、空孔5の面積や接触領域6の面積にも影響を及ぼす。したがって、形成しようとする空孔5の条件に応じて、適宜空孔51の形成条件を設定するようにすればよい。
[2]次に、下地膜付きシリコン基板11に対し、エッチングガス雰囲気中で等方性エッチング処理を行い、炭化ケイ素膜付き基板1(図7参照)を得る。
エッチング処理は、例えば、下地膜付きシリコン基板11を熱処理炉のチャンバー内に収納し、エッチングガス雰囲気下で加熱することによって行われる。
エッチングガスとしては、例えば、水素または塩素を含むガスが挙げられる。このようなエッチングガス雰囲気下でエッチング処理を施すことにより、前述した工程で形成した空孔51がさらに拡大するようにエッチングが進行する。
この際、前述したSiC下地膜3を形成する際に副次的に進行する異方性エッチングとは異なり、等方的なエッチングがなされることで、空孔51は等方的に拡大し、加工面は曲面を含む面になる傾向が強くなる。
以上のようにして、前述した空孔5が形成される。このような空孔5は、その曲面を含む形状からクラック等の起点になり難いため、比較的多数設けることが可能になる。このため、Si基板2とSiC下地膜3との界面の剛直性を低下させやすく、SiC下地膜3における内部応力(残留応力)を緩和することができる。その結果、炭化ケイ素膜付き基板1に成長させるSiC成長層4を、結晶欠陥の少ない、高品質な単結晶層とすることができる。
等方性エッチングガスとしては、例えば、水素(H)、エチレン(C)のような水素原子を含むが塩素原子を含まないもの、塩素(Cl)、テトラクロロシラン(SiCl)のような塩素原子を含むが水素原子を含まないもの、ジクロロシラン(SiHCl)、トリクロロシラン(SiHCl)のような水素原子と塩素原子の双方を含むもの等が挙げられる。なお、等方性エッチングガスは、これらのガスのうち2種以上を含むガスであってもよく、これらのガスと他のガスとの混合ガスであってもよい。
エッチング処理における下地膜付きシリコン基板11の加熱温度は、800℃以上1400℃以下であるのが好ましく、900℃以上1100℃以下であるのがより好ましい。また、エッチング処理における下地膜付きシリコン基板11の加熱時間は、前記加熱温度に曝される時間が0.5分以上であるのが好ましく、1分以上60分以下であるのがより好ましく、3分以上30分以下であるのがさらに好ましい。
加熱条件を前記範囲内に設定することにより、前述したような大きさや深さ、密度の空孔5を形成することができる。また、下地膜付きシリコン基板11の変質、劣化等を抑制することができる。
また、エッチング処理は、常圧雰囲気、加圧雰囲気および減圧雰囲気のいずれで行われてもよいが、減圧雰囲気で行われるのが好ましい。このときの雰囲気の圧力は、大気圧未満とされ、1.0×10−3Pa以上1.0×10−1Pa以下とされる。これにより、空孔5の大きさや深さ、密度等を前述したような範囲に調整することができる。
[3]次に、炭化ケイ素膜付き基板1上にSiC成長層4を形成し、炭化ケイ素単結晶基板10を得る。
SiC成長層4は、例えば、炭化ケイ素膜付き基板1を熱処理炉のチャンバー内に収納し、原料ガス雰囲気下で加熱されることによって炭化ケイ素膜付き基板1上にエピタキシャル成長する。
原料ガスとしては、炭素を含むガスとケイ素を含むガスとを所定の割合にて混合してなる混合ガス、炭素とケイ素とを所定の割合で含む炭素およびケイ素を含むガス、炭素を含むガスとケイ素を含むガスと炭素およびケイ素を含むガスとを所定の割合にて混合してなる複数種混合ガスが挙げられる。
このうち、炭素を含むガスとしては、例えば、エチレン(C)の他、アセチレン(C)、プロパン(C)、メタン(CH)、エタン(C)、ノルマルブタン(n−C10)、イソブタン(i−C10)、ネオペンタン(neo−C12)等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、ケイ素を含むガスとしては、例えば、モノシラン(SiH)、ジシラン(Si)、トリシラン(Si)、テトラシラン(Si10)、ジクロロシラン(SiHCl)、テトラクロロシラン(SiCl)、トリクロロシラン(SiHCl)、ヘキサクロロジシラン(SiCl)等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
さらに、炭素およびケイ素を含むガスとしては、メチルシラン(SiHCH)、ジメチルシラン(SiH(CH)、トリメチルシラン(SiH(CH)等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、エピタキシャル成長における加熱温度、すなわち、エピタキシャル成長時の炭化ケイ素膜付き基板1の温度は、600℃以上1400℃以下であるのが好ましく、800℃以上1350℃以下であるのがより好ましく、950℃以上1100℃以下であるのがさらに好ましい。なお、エピタキシャル成長における加熱時間は、SiC成長層4の目的とする厚さに応じて適宜設定される。
また、エピタキシャル成長におけるチャンバー内の圧力は、特に限定されないが、1×10−4Pa以上大気圧(100kPa)未満であるのが好ましく、1×10−3Pa以上10kPa以下であるのがより好ましい。
以上のようにして炭化ケイ素膜付き基板1上にSiC成長層4をエピタキシャル成長させることにより、高品質なSiC成長層4を有する炭化ケイ素単結晶基板10(図8参照)を効率よく得ることができる。
以上、本発明に係る炭化ケイ素膜付き基板の製造方法、炭化ケイ素膜付き基板および炭化ケイ素単結晶基板を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、本発明に係る炭化ケイ素膜付き基板の製造方法は、上述した実施形態に任意の工程が追加されたものであってもよい。
また、本発明に係る炭化ケイ素膜付き基板および炭化ケイ素単結晶基板は、上述した実施形態に任意の要素が追加されたものであってもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.炭化ケイ素単結晶基板の製造
(実施例1)
<1>まず、Si基板としてシリコンウエハーを用意した。そして、表面をフッ酸等で洗浄した。
次に、シリコンウエハーの表面に炭化処理を施した。これにより、シリコンウエハーの表面にSiC下地膜を形成し、下地膜付きシリコン基板を得た。なお、炭化処理の処理条件は以下の通りである。
(炭化処理の処理条件)
・加熱温度 :1000℃
・加熱時間 :60分
・処理圧力 :5×10−2Pa
・加熱雰囲気:炭素系ガス雰囲気
<2>次に、下地膜付きシリコン基板に対し、等方性エッチングガス雰囲気下でエッチング処理を施した。このエッチング処理により、シリコンウエハーとSiC下地膜との界面に空孔を形成し、炭化ケイ素膜付き基板を得た。なお、エッチング処理の処理条件は、以下の通りである。
(エッチング処理の処理条件)
・加熱温度 :1000℃
・加熱時間 :20分
・処理圧力 :1×10−2Pa
・加熱雰囲気:水素・塩素混合ガス
<3>次に、炭化ケイ素膜付き基板に対し、原料ガス雰囲気下で加熱するエピタキシャル成長処理を施した。このエピタキシャル成長処理により、炭化ケイ素膜付き基板上に炭化ケイ素成長層を形成し、炭化ケイ素単結晶基板を得た。なお、エピタキシャル成長処理の処理条件は、以下の通りである。
(エピタキシャル成長処理の処理条件)
・加熱温度 :950℃
・加熱時間 :60分
・処理圧力 :1×10−3Pa
・加熱雰囲気:炭素・ケイ素混合ガス
(実施例2〜6)
エッチング処理における処理条件を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして炭化ケイ素単結晶基板を得た。
(実施例7)
エッチング処理を省略する一方、炭化処理の処理時間を240分に延長した以外は、実施例1と同様にして炭化ケイ素単結晶基板を得た。
(比較例1、2)
エッチング処理における処理条件を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして炭化ケイ素単結晶基板を得た。
2.炭化ケイ素膜付き基板の評価
各実施例および各比較例における炭化ケイ素単結晶基板の製造過程において、エピタキシャル成長処理の前の炭化ケイ素膜付き基板について、SiC下地膜の表面を光学顕微鏡で観察した。
一例として実施例1で得られた炭化ケイ素膜付き基板のSiC下地膜の表面についての光学顕微鏡による観察像を図9に示す。
図9では、シリコンウエハーとSiC下地膜との界面に開口している空孔が淡色を呈しており、シリコンウエハーとSiC下地膜とが密着している領域が濃色を呈している。
そこで、図9に示すような観察像から、接触面積の割合を算出した。
次に、炭化ケイ素膜付き基板を厚さ方向に切断し、走査型電子顕微鏡で観察した。
一例として実施例1で得られた炭化ケイ素膜付き基板の断面についての電子顕微鏡による観察像を図10に示す。
図10では、左右に伸びる帯状の淡色領域がSiC下地膜に相当する。
そして、図10では、シリコンウエハーとSiC下地膜との界面に開口する空孔が認められる。また、空孔の断面形状は、曲線を含んでいることが確認された。
以上、光学顕微鏡および電子顕微鏡による観察結果を表1に示す。
3.炭化ケイ素単結晶基板の評価
各実施例および各比較例で得られた炭化ケイ素単結晶基板について、結晶欠陥の密度を測定した。なお、結晶欠陥の密度は、炭化ケイ素基板の中心部の表面を透過型電子顕微鏡(TEM : Transmission Electron Microscope)で観察することにより測定した。
次いで、比較例1で得られた炭化ケイ素単結晶基板の結晶欠陥の密度を1としたとき、各実施例および各比較例で得られた炭化ケイ素単結晶基板の結晶欠陥の密度の相対値を算出した。そして、算出結果を以下の評価基準に照らして評価した。
<結晶欠陥の密度の評価基準>
◎:結晶欠陥の密度の相対値が0.5未満である
○:結晶欠陥の密度の相対値が0.5以上0.75未満である
△:結晶欠陥の密度の相対値が0.75以上1未満である
×:結晶欠陥の密度の相対値が1以上である
評価結果を表1に示す。
Figure 2019014628
表1から明らかなように、各実施例で得られた炭化ケイ素単結晶基板は、結晶欠陥の少ない炭化ケイ素成長層を有していることが認められた。また、このような評価結果は、シリコンウエハーとSiC下地膜との界面に開口している空孔の面積等が影響していることが認められた。
1…炭化ケイ素膜付き基板、2…Si基板、3…SiC下地膜、4…SiC成長層、5…空孔、6…接触領域、10…炭化ケイ素単結晶基板、11…下地膜付きシリコン基板、51…空孔

Claims (9)

  1. 炭化ケイ素の単結晶成長に用いられる炭化ケイ素膜付き基板を製造する方法であって、
    シリコン基板と、前記シリコン基板の一方の面側に設けられている炭化ケイ素下地膜と、を有する下地膜付きシリコン基板を用意する第1の工程と、
    前記下地膜付きシリコン基板に対し、等方性エッチング可能なガス雰囲気中でエッチング処理し、炭化ケイ素膜付き基板を得る第2の工程と、
    を有することを特徴とする炭化ケイ素膜付き基板の製造方法。
  2. 前記第1の工程は、構成原子として炭素原子を含むガス雰囲気中で前記シリコン基板を加熱する工程を含む請求項1に記載の炭化ケイ素膜付き基板の製造方法。
  3. 前記シリコン基板を加熱する温度は、800℃以上1400℃以下である請求項2に記載の炭化ケイ素膜付き基板の製造方法。
  4. 前記第1の工程は、前記シリコン基板と前記炭化ケイ素下地膜との界面において、前記シリコン基板に空孔が形成されるまで前記加熱を継続する請求項2または3に記載の炭化ケイ素膜付き基板の製造方法。
  5. 前記炭素原子を含むガスは、炭化水素ガスを含む請求項2ないし4のいずれか1項に記載の炭化ケイ素膜付き基板の製造方法。
  6. 前記等方性エッチング可能なガスは、水素または塩素を含む請求項1ないし5のいずれか1項に記載の炭化ケイ素膜付き基板の製造方法。
  7. シリコン基板と、
    前記シリコン基板上に積層され、炭化ケイ素を含む炭化ケイ素下地膜と、
    を有し、
    前記シリコン基板と前記炭化ケイ素下地膜との接触面積が、前記炭化ケイ素下地膜の面積の10%以上90%以下であることを特徴とする炭化ケイ素膜付き基板。
  8. 前記シリコン基板側に形成され、前記シリコン基板と前記炭化ケイ素下地膜との界面に開口する空孔を有し、
    前記シリコン基板の厚さ方向に沿って前記空孔が切断されたときの断面形状は、曲線を含んでいる請求項7に記載の炭化ケイ素膜付き基板。
  9. 請求項7または8に記載の炭化ケイ素膜付き基板と、
    前記炭化ケイ素下地膜上に成膜されている炭化ケイ素成長層と、
    を有することを特徴とする炭化ケイ素単結晶基板。
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