JP2016023117A - 立方晶炭化珪素半導体基板、および立方晶炭化珪素半導体基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】結晶欠陥を効率的に低減して、結晶欠陥の少ない高品質なエピタキシャル膜を得ることが可能な立方晶炭化珪素半導体基板及び立方晶炭化珪素半導体基板の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の立方晶炭化珪素半導体基板は、シリコン基板と、シリコン基板の表面に形成された第1炭化珪素膜と、第1炭化珪素膜の表面に形成された開口部を有するマスク材と、マスク材及び炭化珪素膜を覆う第2炭化珪素膜と、を有し、マスク材は、第1炭化珪素膜の平面視における一方向に対して所定の傾斜角度θで傾いていることを特徴とする。
【選択図】図3
【解決手段】本発明の立方晶炭化珪素半導体基板は、シリコン基板と、シリコン基板の表面に形成された第1炭化珪素膜と、第1炭化珪素膜の表面に形成された開口部を有するマスク材と、マスク材及び炭化珪素膜を覆う第2炭化珪素膜と、を有し、マスク材は、第1炭化珪素膜の平面視における一方向に対して所定の傾斜角度θで傾いていることを特徴とする。
【選択図】図3
Description
本発明は、立方晶炭化珪素半導体基板、および立方晶炭化珪素半導体基板の製造方法に関するものである。
ワイドバンドギャップ半導体である炭化珪素(SiC)は、従来のシリコン(Si)と比べて2倍以上のバンドギャップを有しており、高耐圧デバイス用の材料として注目されている。このSiCは結晶形成温度がSiと比べて高温であるため液相からの引上げ法による単結晶インゴットの形成が困難であり、昇華法による単結晶インゴットの形成がなされている。しかしながら、昇華法においては大口径で結晶欠陥の少ないSiC基板を形成することが非常に難しい。このため、現在市販化されているSiC基板の口径は3〜4インチであり、その価格も非常に高価になっている。
SiCの種類には、その結晶構造によって、立方晶(3C‐SiC)や六方晶(4H‐SiC、6H‐SiC)などのSiCがある。この中でも立方晶の結晶構造を有するSiC(3C‐SiC)は比較的に低温で形成可能であり、Si基板上に直接エピタキシャル成長を行うことができる。そこで、SiC基板の大口径化の手段としてSi基板の表面に3C‐SiCを結晶成長させるヘテロエピタキシャル技術が検討されている。
ところが、Si、3C‐SiCの格子定数はそれぞれ0.543nm、0.436nmと約20%の差がある。また、Siと3C‐SiCの熱膨張係数もそれぞれ2.55×10−6K−1、2.77×10−6K−1と約8%の差がある。このようにSiと3C‐SiCとでは格子定数及び熱膨張係数が異なることから、結晶欠陥の少ない高品質なエピタキシャル膜を得ることが難しい。また、結晶欠陥の発生や格子定数差、熱膨張率差の影響によって、エピタキシャル膜に反りやクラックが発生するといった課題がある。
このような問題を解決するための技術が検討されており、例えば、特許文献1では、基板上あるいは積層された層の上に、点状、ストライプ状、格子状などの縞状を呈する非成長領域パターンを形成し、エピタキシャル膜を分割して成長させることで、反りやクラックが生じるのを防止する方法が記載されている。
上記した特許文献1の方法では、非成長領域パターンの壁面で結晶欠陥を終端させることはできるが、結晶欠陥の伝搬方向を考慮して、パターン形状や寸法を設計しなければ、結晶欠陥を効率的に低減していくことは難しいという問題がある。
本発明の一態様は、結晶欠陥を効率的に低減して、結晶欠陥の少ない高品質なエピタキシャル膜を得ることが可能な立方晶炭化珪素半導体基板及び立方晶炭化珪素半導体基板の製造方法を提供するものである。
本発明の立方晶炭化珪素半導体基板は、シリコン基板と、前記シリコン基板の表面に形成された第1炭化珪素膜と、開口部を有し、前記第1炭化珪素膜の表面に形成されたマスク材と、前記マスク材及び前記第1炭化珪素膜を覆う第2炭化珪素膜と、を有し、記シリコン基板の前記表面がミラー指数(100)で表される結晶面をなしており、前記マスク材は、(100)面上の[110]方向に対して傾いていることを特徴とする。
この立方晶炭化珪素半導体基板によれば、マスク材が(100)面上の[110]方向に対して傾いていることから、(100)面上の[110]方向に沿って伸展した面欠陥がマスク材によって終端した状態となっている。つまり、第1炭化珪素膜から第2炭化珪素膜内に伝搬した結晶欠陥の殆どがマスク材によって終端しており、表面近傍において極めて欠陥密度の小さい領域を有する第2炭化珪素膜となっている。
よって、第1炭化珪素膜に由来する結晶欠陥の少ない高品質なエピタキシャル膜からなる第2炭化珪素膜を有する立法結晶炭化珪素半導体基板を提供できる。
よって、第1炭化珪素膜に由来する結晶欠陥の少ない高品質なエピタキシャル膜からなる第2炭化珪素膜を有する立法結晶炭化珪素半導体基板を提供できる。
また、立方晶炭化珪素半導体基板においては、前記マスク材の傾斜角度θが30°≦θ≦60°の範囲内であるとき、前記マスク材の膜厚Lを前記開口部の幅Wの3倍とする構成としてもよい。
この立方晶炭化珪素半導体基板によれば、第2炭化珪素膜内の結晶欠陥がマスク材によって終端している。そのため第2炭化珪素膜は、その表面近傍において第1炭化珪素膜に由来する結晶欠陥がほとんどない領域を有している。
また、立方晶炭化珪素半導体基板においては、前記マスク材は、複数の前記開口部を有するストライプ状に形成されている構成としてもよい。
この立方晶炭化珪素半導体基板によれば、一方向(基材の[110]方向)に伸展した面欠陥がマスク材において終端している。
本発明の立方晶炭化珪素半導体基板の製造方法は、シリコン基板の表面に第1炭化珪素膜を形成する第1の工程と、前記第1炭化珪素膜上に開口部を有するマスク材を形成する第2の工程と、前記開口部から露出した前記第1炭化珪素膜の表面から第2炭化珪素膜をエピタキシャル成長させる第3の工程と、を有し、前記第2の工程において、ミラー指数(100)で表される結晶面をなす前記シリコン基板の前記表面上の[110]方向に対して傾くように前記マスク材をパターン形成することを特徴とする。
この立方晶炭化珪素半導体基板の製造方法によれば、(100)面上の[110]方向に沿って伸展する結晶欠陥をマスク材において終端させることができる。つまり、第1炭化珪素膜から第2炭化珪素膜内に伝搬した結晶欠陥の殆どをマスク材によって終端させることができ、第2炭化珪素膜の表面近傍において極めて欠陥密度の小さい領域を実現することが可能である。よって、第1炭化珪素膜に由来する結晶欠陥の少ない高品質なエピタキシャル膜からなる第2炭化珪素膜を有する立法結晶炭化珪素半導体基板を提供できる。
本発明の立方晶炭化珪素半導体基板の製造方法においては、前記第2の工程において、前記マスク材の傾斜角度θが30°≦θ≦60°の範囲内としたとき、前記マスク材の膜厚Lを前記開口部の幅Wの3倍としてもよい。
この立方晶炭化珪素半導体基板の製造方法によれば、第1炭化珪素膜から第2炭化珪素膜内に伝搬した結晶欠陥の殆どをマスク材によって効果的に終端させることが可能である。よって、第2炭化珪素膜は、その表面近傍において第1炭化珪素膜に由来する結晶欠陥がほとんどない領域を有している。
本発明の立方晶炭化珪素半導体基板の製造方法においては、前記第1の工程において前記第1炭化珪素膜を形成する前に、前記シリコン基板の前記表面を洗浄して清浄面としておいてもよい。
この立方晶炭化珪素半導体基板の製造方法によれば、シリコン基板の表面に付着している酸化膜などを除去する洗浄を行うことにより、シリコン基板の表面を清浄面とすることができる。これにより、シリコン基板の表面に第1炭化珪素膜を良好に形成することができる。
本発明の立方晶炭化珪素半導体基板の製造方法においては、前記表面の洗浄に、希フッ酸水溶液を用いてもよい。
この立方晶炭化珪素半導体基板の製造方法によれば、シリコン基板の表面の洗浄に希フッ酸水溶液を用いることにより、シリコン基板の表面を効率よく清浄面とすることができる。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。かかる実施の形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造における縮尺や数等が異なっている。
図1は、本発明の一実施形態である立方晶炭化珪素半導体基板を示す断面図である。図2は、本発明の一実施形態である半導体基板を示す平面図である。なお、図2においては、単結晶炭化珪素膜の図示を省略している。
図1及び図2に示すように、立方晶炭化珪素半導体基板1は、シリコン基板11と、第1炭化珪素膜12と、マスク材13と、第2炭化珪素膜14と、を備えている。
シリコン基板11は、例えば、CZ法(チョクラルスキー法)により引き上げられたシリコン単結晶インゴットをスライス、研磨して形成された基板である。このシリコン基板11の表面はミラー指数(100)で表される結晶面をなしている。なお、結晶面の結晶軸が数度傾いたオフセット基板を用いてもよい。
なお、本実施形態では、シリコン基板11としてシリコン単結晶基板を用いるがこれに限らない。例えば、石英、サファイア、ステンレスからなる基板上に単結晶シリコン膜を形成したものでもよい。
本願明細書において、表面が単結晶シリコンで形成されている基板、また例えば、石英、サファイア、ステンレスからなる基板上に単結晶シリコン膜を形成したものをシリコン基板という。このような単結晶シリコンの格子定数は0.543nmである。
第1炭化珪素膜12は、シリコン基板11の表面に形成されている。第1炭化珪素膜12は、立方晶炭化珪素(3C‐SiC)の単結晶層または多結晶層である。第1炭化珪素膜12は、シリコン基板11の表面を炭化処理することにより形成される膜であり、第2炭化珪素膜14を形成する際のシリコン基板11の表面からのシリコンの昇華を抑制する。
さらに第1炭化珪素膜12は、シリコン基板11と第2炭化珪素膜14との格子不整合を緩和し、第2炭化珪素膜14に転移欠陥が生じるのを抑制する機能を有するものである。
さらに第1炭化珪素膜12は、シリコン基板11と第2炭化珪素膜14との格子不整合を緩和し、第2炭化珪素膜14に転移欠陥が生じるのを抑制する機能を有するものである。
第1炭化珪素膜12の膜厚は、少なくとも1原子層分の膜厚で形成されていればよく、例えば2nm以上30nm以下の膜厚とされている。
図2に示すように、第1炭化珪素膜12は多くの結晶欠陥(以下、面欠陥12Saと称する)を含んでいる。
多数の面欠陥12Saには、(100)面における[110]方向に対して平行する面欠陥C1(面欠陥12Sa)と、[110]方向に対して垂直な面欠陥C2(面欠陥12Sa)と、がある。マスク材23は、面欠陥C1,C2の各延在方向に対して傾いて延在している。そのため、いずれの面欠陥C1,C2もマスク材23の側面13bに当接して終端している。
マスク材13は、図2に示すように、第1炭化珪素膜12の表面(100)面にストライプ状にパターン形成されている。マスク材13には、第1炭化珪素膜12の表面を露出する複数の開口部13hが形成されている(図1)。マスク材13は、(100)面の[110]方向に対して所定の角度θで傾く方向へ延在している(図2)。
マスク材13は、例えば酸化シリコン(SiO2)を含んで構成されている。なお、マスク材13は、窒化シリコンや酸化アルミニウムを含んで構成されていてもよい。
なお、マスク材13の材料としては、酸化シリコン(SiO2)に限られるものではなく、例えば、窒化シリコン(Si3N4)を用いてもよい。マスク材13の表面から立方晶炭化珪素(3C‐SiC)がエピタキシャル成長することのない材料であれば用いることができる。
マスク材13の膜厚は、500nm以上1000nm以下の膜厚とされている。本実施形態では、マスク材13の膜厚を800nmとしている。
第2炭化珪素膜14は、開口部13hから露出した第1炭化珪素膜12及びマスク材13を覆って形成されている。第2炭化珪素膜14は、マスク材13の開口部13hから露出した第1炭化珪素膜12から立方晶炭化珪素(3C‐SiC)がエピタキシャル成長して形成された半導体膜である。3C‐SiCは、バンドギャップ値が2.2eV以上と広く、熱伝導率や絶縁破壊電界が高いため、パワーデバイス用のワイドバンドギャップ半導体として好適である。このような3C‐SiCからなる第2炭化珪素膜14の格子定数は0.436nmである。
図3(A),(B)は、立方晶炭化珪素半導体基板を示す要部断面図である。
図3(A)において、符号Lはマスク材13の膜厚であり、符号Wはマスク材13の開口部13hの幅であり、符号αはシリコン基板11の表面と面欠陥12Saとのなす角度である。
図3(A)において、符号Lはマスク材13の膜厚であり、符号Wはマスク材13の開口部13hの幅であり、符号αはシリコン基板11の表面と面欠陥12Saとのなす角度である。
ここで、マスク材13の膜厚Lとは、シリコン基板11の表面に直交する方向におけるマスク材13の長さ(マスク材13の上面と下面との間の距離)である。開口部13hの幅Wとは、シリコン基板11の表面に平行な方向における開口部13hの長さ(開口部13hを挟んで互いに対向するマスク材13の側面13bの間の距離)である。
本実施形態において、マスク材13の膜厚Lは800nmであり、開口部13hの幅Wは500nmである。
なお、シリコン基板11の表面と面欠陥12Saとのなす角度αは54.7°である。
なお、シリコン基板11の表面と面欠陥12Saとのなす角度αは54.7°である。
図3(B)に示すように、第1炭化珪素膜12を有する領域AR1は、シリコン基板11上で面欠陥12Saを最も多く含んでいる。マスク材13と第2炭化珪素膜14の下部を有する領域AR2は、第1炭化珪素膜12からマスク材13の開口部13hを通じて第2炭化珪素膜14内へ伝搬した面欠陥12Saを含む。第2炭化珪素膜14の上部を有する領域AR3は、第1炭化珪素膜12に由来する面欠陥12Saを殆ど含んでいない。
つまり、シリコン基板11上の各領域AR1,AR2,AR3に含まれる面欠陥12Saの量としては、AR1>AR2>AR3の順で少なくなっている。第2炭化珪素膜14の表面に向かうに従って面欠陥12Saが減少した構造をなす。
上述したように、本実施形態の立方晶炭化珪素半導体基板1は、マスク材13がシリコン基板11の(100)面上の[110]方向に対して傾いて形成されている。そのため、マスク材13の開口部13hを通じて第1炭化珪素膜12から伝搬し、(100)面上の[110]方向に沿って伸展した面欠陥12Saは、マスク材13の側面13bにおいて終端している。このため、第2炭化珪素膜14の表面近傍では、極めて欠陥密度の小さい領域となっている。
よって、第1炭化珪素膜12に由来する面欠陥12Saの少ない高品質なエピタキシャル膜からなる第2炭化珪素膜14を有する立方晶炭化珪素半導体基板1を提供できる。
[立方晶炭化珪素半導体基板の製造方法]
図4(A)〜(D)は、本実施形態の立方晶炭化珪素半導体基板1の製造方法を示す過程図である。
図4(A)〜(D)は、本実施形態の立方晶炭化珪素半導体基板1の製造方法を示す過程図である。
(シリコン基板11の表面洗浄)
先ず、Si(100)基板であるシリコン基板11を用意する。シリコン基板11の表面は、自然酸化膜などが通常形成されているためそれを除去する洗浄を行う。洗浄には、例えば1%フッ酸水溶液を用いる。洗浄後は、純水にてさらに洗浄を行い、シリコン基板11の表面を清浄面とする。
先ず、Si(100)基板であるシリコン基板11を用意する。シリコン基板11の表面は、自然酸化膜などが通常形成されているためそれを除去する洗浄を行う。洗浄には、例えば1%フッ酸水溶液を用いる。洗浄後は、純水にてさらに洗浄を行い、シリコン基板11の表面を清浄面とする。
(第1炭化珪素膜12の形成)
次に、洗浄したシリコン基板11をエピタキシャル成長用のCVD(Chemical Vapor Deposition)装置のチャンバー(図示略)内に収容する(図4(A)参照)。
次に、洗浄したシリコン基板11をエピタキシャル成長用のCVD(Chemical Vapor Deposition)装置のチャンバー(図示略)内に収容する(図4(A)参照)。
そして、シリコン基板11の表面に炭素原料ガスg1を所定の流速にて供給しつつ、シリコン基板11の温度を900℃〜1350℃の範囲内の任意の温度まで昇温させ、この温度を所定時間保持してシリコン基板11の表面を炭化させる。このようにして、シリコン基板11の表面に炭化珪素(SiC)膜からなる第1炭化珪素膜12を形成する(図4(B)参照)。
この炭素原料ガスとしては、エチレン(C2H4)の他、アセチレン(C2H2)、プロパン(C3H8)、メタン(CH4)、ノルマルブタン(n−C4H10)、イソブタン(i−C4H10)、ネオペンタン(neo−C5H12)等の炭化水素が好適に用いられる。
また、メチルシラン(SiH3CH3)、ジメチルシラン(SiH2(CH3)2)、トリメチルシラン(SiH(CH3)3)等の有機珪素化合物のガスを用いると、炭化珪素(SiC)膜をエピタキシャル成長させることができる。
エピタキシャル成長の過程では、図4(B)に示したシリコン基板11と第1炭化珪素膜12との界面付近において、格子定数差およびプロセス温度における熱膨張差などによる応力の影響で多数の面状の面欠陥12Saが発生する。
これら面欠陥12Saは、図4(B)に示すように、シリコン基板11と第1炭化珪素膜12との界面付近から(100)面に対して54.7°の傾斜角度αで伝搬するとともに、図2に示したように(100)面の[110]方向に沿って形成される。
これら面欠陥12Saは、エピタキシャル成長が進行して膜厚が厚くなるのに伴い、異なる方向に成長した面欠陥12Sa同士で互いに打ち消し合うことにより終端して消滅する。そのため、第1炭化珪素膜12は、膜厚が厚くなるにしたがって面欠陥12Saの密度も減少する傾向がある。しかしながら、終端していない面欠陥12Saも第1炭化珪素膜12中に多数存在する。
(マスク材13の形成)
次に、第1炭化珪素膜12の表面にマスク材13を形成する。ここでは、高密度プラズマCVD装置を用いて第1炭化珪素膜12の表面にシリコン酸化膜を800nm程度まで堆積させることにより、第1炭化珪素膜12の表面にマスク材13を形成する。
次に、第1炭化珪素膜12の表面にマスク材13を形成する。ここでは、高密度プラズマCVD装置を用いて第1炭化珪素膜12の表面にシリコン酸化膜を800nm程度まで堆積させることにより、第1炭化珪素膜12の表面にマスク材13を形成する。
次に、マスク材13をパターニングして開口部13hを形成し、第1炭化珪素膜12の表面の一部を露出させる(図4(C)参照)。例えば、マスク材13の上にレジストを塗布し、フォトリソグラフィ法によりレジストをストライプ状のパターンにパターニングする。このようにパターニングされたレジストをフォトマスクとして、マスク材13にエッチングを施す。
これにより、図2で示したような[110]方向に対して所定の傾斜角度θで延在するストライプ状のマスク材13を得る。
マスク材13が所望の形状にパターニングされることにより、このマスク材13の開口部13hでは第1炭化珪素膜12の表面の一部が露出することとなる。なお、開口部13hの幅Wは500nm程度とし、マスク材13の膜厚Lは800nm程度としている。
ここで、例えばシリコン基板11上に、(100)面の[110]方向を示すマーク等を付しておくことが望ましい。シリコン基板11の結晶方位は例えばX線回折によって調べることができる。また、結晶方位に合わせて付してあるオリフラやノッチなどの基板形状を基準にしてもよい。このマーク等を基準にしてマスク材13をパターニングすることにより、[110]方向に対して所定の傾斜角度θで傾斜するマスク材13を効率よく形成することができる。
(第2炭化珪素膜14の形成)
次に、マスク材13の開口部13hから露出する第1炭化珪素膜12の表面に単結晶炭化シリコンをエピタキシャル成長させる。ここでは、マスク材13の開口部13hからのみ選択的に単結晶炭化シリコンをエピタキシャル成長させる。
次に、マスク材13の開口部13hから露出する第1炭化珪素膜12の表面に単結晶炭化シリコンをエピタキシャル成長させる。ここでは、マスク材13の開口部13hからのみ選択的に単結晶炭化シリコンをエピタキシャル成長させる。
図4(C)に示すように、チャンバー内に原料ガスg2を供給しつつ、この原料ガス雰囲気にて、開口部13hから露出する第1炭化珪素膜12の表面に立方晶炭化珪素(3C−SiC)層をエピタキシャル成長させる。
原料ガスg2としては、炭素を含むガス、珪素を含むガス、炭素及び珪素を含むガスのうちから適宜組み合わせを選択し、それぞれ所定の割合で混合させたものが好ましい。
ここで、炭素を含むガスとしては、上記の炭素原料ガスと同様、エチレン(C2H4)の他、アセチレン(C2H2)、プロパン(C3H8)、メタン(CH4)、ノルマルブタン(n−C4H10)、イソブタン(i−C4H10)、ネオペンタン(neo−C5H12)等の炭化水素が好適に用いられる。
また、珪素を含むガスとしては、モノシラン(SiH4)、ジシラン(Si2H6)、トリシラン(Si3H8)、テトラシラン(Si4H10)、ジクロロシラン(SiH2Cl2)、テトラクロロシラン(SiCl4)、トリクロロシラン(SiHCl3)、ヘキサクロロジシラン(Si2Cl6)等の珪素化合物が好適に用いられる。
また、炭素及び珪素を含むガスとしては、メチルシラン(SiH3CH3)、ジメチルシラン(SiH2(CH3)2)、トリメチルシラン(SiH(CH3)3)等の有機珪素化合物が好適に用いられる。
また、このときの基板温度は、900℃以上かつ1100℃以下の範囲内の温度とし、この基板温度を保持する。
ここで、基板温度が900℃未満であると、原料ガスg2によるシリコン基板11の表面の炭化が不十分なものとなり、その結果、第1炭化珪素膜12の表面に結晶性のよい第1炭化珪素膜12を形成することができないという問題を生じるため好ましくない。一方、基板温度が1100℃を超えると、ガス雰囲気の圧力が極めて低いこととの関係上、単結晶炭化シリコンが蒸発してしまうという問題を生じるため好ましくない。
また、このときのガス雰囲気の圧力は、5.0×10−4Pa以上かつ0.5Pa以下の範囲内の圧力とし、この圧力を保持する。
ここで、ガス雰囲気の圧力が、5.0×10−4Pa未満であると、シリコン基板11の形成材料が蒸発してしまうという問題を生じるため好ましくない。一方、ガス雰囲気の圧力が0.5Paを超えると、マスク材13の表面13aに炭化珪素膜が形成されてしまい、マスク材13の表面13aに残存した炭化珪素膜を基点として結晶欠陥を含む膜が成長してしまうという問題があり、好ましくない。
上記条件を満たすことにより、単結晶炭化シリコンは、第1炭化珪素膜12の開口部13hから露出した部分を基点としてエピタキシャル成長するとともに、開口部13hからマスク材13の上方に向かう方向に成長して、マスク材13の表面13aを覆う。すなわち、マスク材13の上方においては横方向結晶成長(ELO:Epitaxial Lateral Overgrowth)状態となる。
第1炭化珪素膜12中に残存する終端していない面欠陥12Saの一部は、第2炭化珪素膜14を形成する過程においてマスク材13の底面13c及び側面13bに到達して消滅する。これにより、マスク材13の表面13a上には、第1炭化珪素膜12に由来する面欠陥12Saがほぼ消滅した第2炭化珪素膜14が形成される(図4(D)参照)。
例えば、最終的に形成される第2炭化珪素膜14の膜厚は2μm程度である。
このようにして、第1炭化珪素膜12の開口部13hから露出した部分を基点として単結晶炭化シリコンをエピタキシャル成長させ、開口部13hから露出した第1炭化珪素膜12及びマスク材13を覆う第2炭化珪素膜14を形成する。
以上の工程により、本実施形態の立方晶炭化珪素半導体基板1を製造することができる。
上述したように、第1炭化珪素膜12の膜中に存在していた面欠陥12Saの殆どは、異なる方向に成長した面欠陥12Saどうしで互いに打ち消し合うか、マスク材13の底部で終端される。しかしながら、マスク材13の開口部分に存在する面欠陥12Saは、第2炭化珪素膜14を形成する過程において、開口部13hからエピタキシャル成長させた立方晶炭化珪素膜内へと伝搬される。このとき、第2炭化珪素膜14内に伝播した面欠陥12Saに関しても、(100)面に対して54.7°の傾斜角度αで伝搬する。
第2炭化珪素膜14内に存在する面欠陥12Saは、(100)面の[111]方向に対して平行及び垂直方向に伸展する。そのため、全ての面欠陥12Saを終端させるために、面欠陥12Saの伸展を遮るようにマスク材13を形成する必要がある。
そこで、マスク材13のパターン形状を、(100)面の[110]方向に対して所定の傾斜角度θで傾斜させ、面欠陥12Saの伸展方向に対して斜め方向に延在するマスク材13を形成する。
これにより、シリコン基板11と第1炭化珪素膜12との界面で発生し、第2炭化珪素膜14の上層に伝播する面欠陥12Saは、マスク材13の側面13bに到達して消滅する。
図5は、比較例として、(100)面の[110]方向に平行するパターンで形成したマスク材23を示す平面図である。
図5に示すように、マスク材23のパターンを(100)面の[110]方向に平行なパターンで形成した場合、[110]方向に垂直な方向に延在する面欠陥C2は、マスク材23のパターンに対しても垂直となり、マスク材23の側面23bにおいて終端する。
一方、[110]方向に平行な面欠陥C1は、その伸展方向がマスク材23のパターンに平行するため、マスク材23において終端されない。このため、第2炭化珪素膜14内に面欠陥C1が残存してしまうことになる。
また、図示はしないが、(100)面の[110]方向に垂直なパターンでマスクを形成した場合には、マスク材に平行する面欠陥C2が残存する。
そこで本実施形態では、図2及び図6に示したように、面欠陥C1,C2の伸展をそれぞれ遮るように、(100)面の[110]方向に対してマスク材13のパターンを斜めに形成し、面欠陥C1,C2をマスク材13の側面13bにおいて終端させることとした。
本実施形態ではマスク材13の膜厚を十分に厚く形成し、第2炭化珪素膜14内に伝搬した第1炭化珪素膜12に由来する面欠陥12Saの全てを、マスク材13において終端させることで、面欠陥12Saを効果的に減少させることが可能である。
これにより、第2炭化珪素膜14の表面近傍において極めて欠陥密度の小さいSiC領域(無欠陥領域)を実現することができる。
よって、面欠陥12Saの少ない高品質なエピタキシャル膜からなる第2炭化珪素膜14を有した立方晶炭化珪素半導体基板1を得ることができる。
よって、面欠陥12Saの少ない高品質なエピタキシャル膜からなる第2炭化珪素膜14を有した立方晶炭化珪素半導体基板1を得ることができる。
次に、マスク材13の寸法構成について詳述する。
図6は、所定の傾斜角度θで傾いたマスク材13のストライプ形状を示す平面図である。図7は、立方晶炭化珪素半導体基板1の部分断面図である。
図6は、所定の傾斜角度θで傾いたマスク材13のストライプ形状を示す平面図である。図7は、立方晶炭化珪素半導体基板1の部分断面図である。
図6に、マスク材13の開口部13hの幅Wと、[110]方向に対するマスク材13の傾きと、[110]方向に対してのマスク材13の開口部13hの幅W[110] と、[110]方向に対してのマスク材13の開口部13hの幅W[110]と、の関係を示す。
なお、図中において、幅W[110]は、W/sinθに相当し、幅W[110]は、W/cosθに相当する。
図7は、マスク材13の開口部13hの幅Wと面欠陥12Saを終端させるために必要なマスク材13の膜厚Lの関係を示した図である。面欠陥は[110]方向及び[111]方向に沿って伝搬するため、マスク材13の膜厚Lが関係式(1)を満たすことで、マスク材13の開口部13hから伝搬する面欠陥12Saを全て終端させることが可能となる。
面欠陥12Saは、[110]方向に対して平行及び垂直方向に伸展する。そのため、実際のマスク材13の膜厚Lは、関係式(2)及び関係式(3)を満たすことが要求される。
したがって、関係式(2)、関係式(3)をまとめた関係式(4)を満たすことが、マスク材13の膜厚Lを形成する際の条件となる。
なお、関係式(4)において[111]方向に対するマスク材13の傾き角度θ(図6)が極端に大きくなる、もしくは小さくなる場合、マスク材13の膜厚Lは、開口部13hの幅Wに対してかなりの大きさを要することになり現実的でない。
図6に示すようなマスク材13の傾斜角度θが、30°≦θ≦60°を満たすならば、図7に示すように、マスク材13の膜厚Lを開口部13hの幅Wの3倍(膜厚L=3W)とすることにより、マスク材13において面欠陥12Saを確実に終端させることが可能となる。これにより、第1炭化珪素膜12に由来する面欠陥12Saをマスク材13の側面13bによって効率的に終端させることができ、第2炭化珪素膜14内の面欠陥12Saを低減できる。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、第2炭化珪素膜14内に設けるデバイスの寸法に合わせてマスク材13の開口部13hの幅Wを設定してもよい。
本発明の立方晶炭化珪素半導体基板は、次世代における低損失のパワーデバイス用半導体材料としても利用可能である。
1…立方晶炭化珪素半導体基板、L…膜厚、W…幅、11…シリコン基板、12…第1炭化珪素膜、12Sa…面欠陥(結晶欠陥)、13,23…マスク材、13a…表面、13h…開口部、14…第2炭化珪素膜
Claims (7)
- シリコン基板と、
前記シリコン基板の表面に形成された第1炭化珪素膜と、
開口部を有し、前記第1炭化珪素膜の表面に形成されたマスク材と、
前記マスク材及び前記第1炭化珪素膜を覆う第2炭化珪素膜と、を有し、
前記シリコン基板の前記表面がミラー指数(100)で表される結晶面をなしており、
前記マスク材は、(100)面上の[110]方向に対して傾いていることを特徴とする立方晶炭化珪素半導体基板。 - 前記マスク材の傾斜角度θが30°≦θ≦60°の範囲内であるとき、
前記マスク材の膜厚Lを前記開口部の幅Wの3倍とする請求項1に記載の立方晶炭化珪素半導体基板。 - 前記マスク材は、複数の前記開口部を有するストライプ状に形成されている請求項1または2に記載の立方晶炭化珪素半導体基板。
- シリコン基板の表面に第1炭化珪素膜を形成する第1の工程と、
前記第1炭化珪素膜上に開口部を有するマスク材を形成する第2の工程と、
前記開口部から露出した前記第1炭化珪素膜の表面から第2炭化珪素膜をエピタキシャル成長させる第3の工程と、を有し、
前記第2の工程において、ミラー指数(100)で表される結晶面をなす前記シリコン基板の前記表面上の[110]方向に対して傾くように前記マスク材をパターン形成することを特徴とする立方晶炭化珪素半導体基板の製造方法。 - 前記第2の工程において、前記マスク材の傾斜角度θが30°≦θ≦60°の範囲内としたとき、前記マスク材の膜厚Lを前記開口部の幅Wの3倍とする請求項4に記載の立方晶炭化珪素半導体基板の製造方法。
- 前記第1の工程において前記第1炭化珪素膜を形成する前に、前記シリコン基板の前記表面を洗浄して清浄面としておく請求項4または5に記載の立方晶炭化珪素半導体基板の製造方法。
- 前記表面の洗浄に、希フッ酸水溶液を用いる請求項6に記載の立方晶炭化珪素半導体基板の製造方法。
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JP2012031012A (ja) * | 2010-07-30 | 2012-02-16 | Seiko Epson Corp | 立方晶炭化珪素膜の製造方法 |
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