JP6066781B2 - 連続式固定床触媒反応装置、および連続式固定床触媒反応方法 - Google Patents

連続式固定床触媒反応装置、および連続式固定床触媒反応方法 Download PDF

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Description

本発明は、塊状触媒を用いた流体の化学反応を行うための反応装置及びこれを用いた触媒反応方法の技術に関する。
触媒を充填した固定床触媒反応容器を用いた流体の化学反応において、触媒反応によって固体等の析出物を生成する場合には、しばしば、触媒層中の触媒間の空間にこの固体析出物が堆積して触媒層を閉塞させ、通気できなくなる問題が発生する。
例えば、特許文献1(特開2010−77219号公報)においては、水素・二酸化炭素・水蒸気・タール含有ガスを、固定床触媒反応装置において、ニッケル・セリウム・アルミニウムを含む触媒に接触させてタールガスの改質を行う技術が開示されており、この技術においては、改質中に触媒表面に固体炭素が析出し、これを除去するために水蒸気または空気を前記炭素に接触させる再生処理の必要なことが記載されている。
また、特許文献1には、移動床形式および流動床形式の触媒反応容器の使用も例示されている。これらの方式では触媒表面に析出した炭素を反応作業中に除去しうる。しかし、このような反応容器は、固定床触媒反応容器に比べて装置が複雑化することや、流動床形式の場合には操業も不安定になりやすいので、特に、高温・高圧・高腐食性流体を処理するための反応容器としては一般的ではない。
一方、移動床形式および流動床形式の触媒反応容器における上記のような問題がない固定床反応容器では、通常、触媒層を挟んだ両側に空間を設け、一方の空間から他方に流体を流通させて反応させる。触媒層の両側に空間を形成するためには、触媒の保持機構が必要であり、触媒保持機構の代表例は特許文献2(特開2011−6289号公報)に記載されているが、触媒径よりも小さな孔径を有するパンチングメタル板や網を用いて触媒の保持と通気を確保している。図1にその例を示すが、触媒反応容器11の内部に触媒13が収容されており、触媒13の保持はパンチングメタル板や網等の通気性を有する保持器12よって行われている。図1において、原料ガス17は流入口から流入し、流出口から改質ガス18として流出する。
反応中の固体析出物の堆積による触媒層の閉塞を防止する手段として、例えば特許文献2には、2つの触媒層の間をガスが通気する自由空間において、第1の触媒層から流出したガス中の粉塵を補足することによって第2の触媒層での閉塞を防ぐ技術が記載されている。しかしこの場合には、触媒層内部で生成し、触媒間の空間で触媒に付着・堆積する粉塵による触媒層の閉塞を防止することはできない。
特許文献3(特開2009−48797号公報)には、燃料電池用のセル内の触媒層に超音波を照射することによって、触媒上で発生した水を流出・除去する技術が記載されている。超音波は、自由空間中や粒体層・粉体層中での減衰が大きいので、照射源近傍にしか作用できない。このため、燃料電池用セル内の触媒層のように比較的小型のものには有効であるが、大量の流体を処理する大型の触媒層では、超音波によって触媒層全体を振動させることは困難である。
特許文献4(特開2008−120604号公報)には、炭化水素の水蒸気改質を低温で実施することによりコーキングを抑制する技術が記載されている。しかし、触媒反応には触媒耐久性および反応速度上の観点から最適な反応温度条件が存在し、コーキングによる触媒層の閉塞は、この最適条件において発生している。そのため、触媒反応温度を低下させてしまうと、反応の最適条件ではなくなるので、触媒性能が低下する問題がある。
特許文献5(特開平8−24622号公報)には、従来技術として、移動床触媒反応容器における堆積ダストによる触媒層の部分閉塞を槌打装置やバイブレータによって除去することが記載されている。この場合には、槌打やバイブレーションによって、触媒の充填率が上昇して触媒間の空間が狭まり、触媒の流動性がかえって悪化する問題がある。
特開2010−77219号公報 特開2011−6289号公報 特開2009−48797号公報 特開2008−120604号公報 特開平8−24622号公報
このように、従来技術では大型の固定床触媒層内で生成・堆積する固体生成物を有効に除去する手段がなかった。本発明の目的は、大型の固定床触媒層内で生成・堆積する固体生成物の除去に有効な手段を備えた連続式固定床触媒反応装置と、これを用いて原料ガス、特にタール含有原料ガスを、高効率に改質する触媒反応方法を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明者の研究の結果、以下の解決方法を発明するに至った。
[1] 触媒反応用の原料ガスの流入路及び改質ガスの流出路と、
流入路及び流出路に接続された触媒反応容器であり、反応容器内壁に接して塊状触媒の触媒層を収容する触媒反応容器と、
触媒反応容器に流体の通過を可能にする通気性を有するとともに塊状触媒に接触して触媒層を保持する触媒保持器と、
触媒反応容器内の触媒保持器の外周部での触媒の落下を防止する落下防止板と、
触媒保持器を昇降させることにより触媒層を昇降させるための駆動機構と
を具備し、
前記落下防止板は、中央部に開口を有し、外周部にエッジ部および逃げ角を有し、
前記落下防止板の外周部は、前記触媒保持器の外周部上端に設けられていることを特徴とする、連続式固定床触媒反応装置。
[2] 触媒反応用の原料ガスの流入路及び改質ガスの流出路と、
流入路及び流出路に接続された触媒反応容器であり、反応容器内壁に接して塊状触媒の触媒層を収容する触媒反応容器と、
触媒反応容器に流体の通過を可能にする通気性を有するとともに塊状触媒に接触して触媒層を保持する触媒保持器と、
触媒保持器を昇降させることにより触媒層を昇降させるための駆動機構と
を具備し、
前記触媒保持器が、外周側面に、触媒保持器の外周部での触媒の落下を防止するエッジ部および逃げ角を有する形状であることを特徴とする、連続式固定床触媒反応装置。
[3] 前記触媒反応容器の中心軸および駆動機構の動作方向が略鉛直方向であることを特徴とする、[1]又は[2]に記載の連続式固定床触媒反応装置。
[4] 前記触媒保持器として、前記塊状触媒を略平行に配置されたピンの先端部で保持し、前記触媒反応用の原料ガスが当該ピンの間の空間を流通できる構造を有する触媒保持器を用いることを特徴とする、[1]から[3]のいずれか1項に記載の連続式固定床触媒反応装置。
[5] 前記触媒反応用の原料ガスが炭化水素を含有するガスであり、触媒反応による生成物がガスと固体の炭化水素または固体のカーボンとであることを特徴とする、[1]から[4]のいずれか1項に記載の連続式固定床触媒反応装置。
[6] 前記触媒反応用の原料ガスがタールを含有するガスであることを特徴とする、[5]に記載の連続式固定床触媒反応装置。
[7] 前記触媒が、ニッケル、マグネシウム、セリウム、アルミニウムを含む複合酸化物であって、アルミナを含まない複合酸化物からなる触媒であり、前記複合酸化物が、NiMgO、MgAl24、CeO2の結晶相からなることを特徴とする、[6]に記載の連続式固定床触媒反応装置。
[8] [1]から[7]のいずれか1項に記載の連続式固定床触媒反応装置を用いて、触媒反応を行うことを特徴とする、連続式固定床触媒反応方法。
以下、簡単のために、固体炭化水素(コークともよぶ)及び固体のカ-ボンを単に「カーボン」または「固体カーボン」とよぶことにする。
ここで、本発明者が本発明に到達した経緯を説明すると、次のとおりである。
本発明者らの調査の結果、固定床触媒層中の触媒間に生成固体カーボンの堆積する機構は次のとおりであることがわかった。
(1)固定床触媒層中の隣り合う複数の触媒で形成される触媒間空間において、主流の上流側の隙間から原料ガス(一部改質済み)が流入し、主流の下流側の隙間から改質されたガス(一部は残留した原料ガス)が改質ガスとして流出する。
(2)触媒間空間に供給された原料ガスが触媒反応によって改質される際、触媒表面で生成した固体カーボンの一部が触媒表面に付着する。
(3)触媒間空間に供給された原料ガスが触媒反応によって改質される際、触媒表面で生成し、気流によって触媒表面から離脱した固体カーボン微粒子は、上記の既に触媒表面に付着した固体カーボン上に付着して、触媒表面で直径数十μmから約1mmのカーボン球が成長する。
(4)上記のカーボン球は、時に触媒表面から離脱し、既に存在する他のカーボン球の上に再付着するなどして、触媒表面に多層のカーボン球から構成される厚みが数mmにもおよぶ固体カーボンの堆積層が形成される。
(5)この固体カーボン堆積層は実質的に多孔質であるので、高速のガスが通気する際には大きな圧力損失を生じる。
(6)特定の触媒間空間での通気抵抗が過大となれば、主流は、他のより通気抵抗の低い触媒間空間を優先的に通気するようになる。但し、固体カーボン堆積層が多孔質であるため、固体カーボンの堆積によって通気抵抗が過大になった空間においても、触媒間空間へのガスの流れが完全に遮断されるわけではなく、触媒表面には低流量で原料ガスが供給され続ける。この結果、触媒表面でのガス改質による固体カーボンの成長は常に進行し続ける(但し、触媒表面での露出面積は減少するので、改質速度は初期に比べて大幅に低下する)。
(7)触媒層中の大半の触媒間空間において固体カーボンの堆積が進むと触媒層全体としての圧力損失が過大となり、「閉塞状態」が生じる(触媒反応容器では所与の流量で原料ガスを処理しなければならず、この所与のガス流量時にいずれの触媒間空間を通気しても圧力損失が反応装置の許容値(ガス搬送能力や容器の強度等によって定まる)を超えることが避けられない状態で触媒層は実質的な「閉塞」となる)。
水素・二酸化炭素・水蒸気・タール含有ガスの改質反応を行い、閉塞を生じた固定床触媒反応容器の触媒表面から固体カーボン堆積層を単独で取り出し、容器の中に入れて軽くシェイクする様な機械的外力を加えると、構成単位であるカーボン球の境界で容易に分離し、粉化した。このような固体カーボンの堆積により閉塞を生じた触媒層から固体カーボンを除去するために、本発明者らは、種々の対策を試みた。
第1の対策として、触媒層外部からのブローによる触媒層の逆洗を試みた。詳しく言えば、反応容器内に触媒層の下流側に窒素ガス供給配管を設け、触媒層に対して高速窒素流を噴射して、触媒層の逆洗を試みた。逆洗は、粉塵除去用のフィルタの閉塞時の対策として一般に用いられる手法である。
結果として、一部の固体カーボンは除去されたが、触媒層の圧力損失の変化は軽微であり、閉塞を解消する効果はなかった。その理由としては、次のことが考えられる。
1)フィルタの場合、上流からフィルタ内に流入した粉塵粒のうち、フィルタの目開きよりも大きいものをその場で捕集する。フィルタは、通常、上流ほど目開きが大きい。従って、フィルタの閉塞部に対して主流の下流側から高速流を供給して逆洗を行う場合、捕集された粉塵粒のうちフィルタの目から離脱したものは、高速気流に搬送されて主流の上流側に進行する際、より大きな目開きを通過するので、メッシュに再捕集されることは少なく、フィルタ外に排出できる。
一方、本発明が対象とする触媒反応副生物である固体カーボンなどの堆積層は、主流の上流から流入するのではなく、触媒間空間中で、ガスを原料として生成する。このため、堆積カーボンの大きさが触媒間空間の流出入の隙間よりも小さいとは限らないので、そのままでは触媒間空間から流出できない堆積カーボンが多量に存在する。
カーボン堆積層を破壊して微粉化すれば触媒間空間から流出できる可能性がある。しかし、気流が堆積カーボンに与える応力は一般に小さいので(触媒層全体に大きい気圧差を与えても、触媒層中で触媒は、通常多数の層で積載されているいので、個々の触媒間空間の入側−出側気圧差は微小となり、大きな応力を堆積カーボンに与えることはできない)、堆積カーボン層を破壊することはできない。
2)一部のカーボンを除去した時点で、カーボン除去の結果として通気抵抗の小さくなった少数の触媒間空間を連ねた狭い流路が触媒層の中に新たに形成され、主流の大半はこの流路に集中して流れる。この際、新たに形成された流路以外の触媒間空間には気流はほとんど通過しないので、これ以上カーボンが除去されることはない。このため、主流が通過する狭い流路で流速が上昇して大きな圧力損失が生じるので、閉塞状態はあまり改善されない。このように形成された新たな流路も、流路内で新たなカーボンが生成・堆積することよって急速に再閉塞していくので、逆洗の効果は短時間とならざるをえない。その一方、早期に失活を生じた触媒によって構成される(囲まれる)触媒間空間ではこのような触媒間空間の再閉塞を生じない。しかし、そもそも、主流が失活した触媒のみと接触して触媒層を通過するのであれば、ガスの改質を行えないので、触媒反応容器としての性能を発揮できない。
これらから、次のように結論することができる。
すなわち、一般に、閉塞を生じた触媒層においては、
[個々の堆積カーボンの大きさ]>[当該触媒間空間の隙間]
の状態となっており、
[個々の堆積カーボンの大きさ]<[当該触媒間空間の隙間]
としない限り、触媒層からカーボンを大量に除去することはできず、触媒層外部からのブローによる触媒層の逆洗はこれに有効ではない。
そこで次に、第2の対策として、反応容器外面を槌打して、堆積カーボン層の破壊、または触媒間空間の拡大を試みた。
結果として、最初の閉塞発生後に槌打(第1回目の槌打)すると、一部の堆積カーボンを除去でき、圧力損失も半分程度に減少し、一定の効果が見られた。この後、再閉塞発生後に再び槌打(第2回目の槌打)すると、堆積カーボンの除去は微小であり、圧力損失の変化はなく、閉塞を回避することはできなかった。すなわち、反応容器外面の槌打は、2回目以降は堆積カーボンの除去に有効でないことがわかった。その理由としては、次のことが考えられる。
1)通常、触媒を反応容器内に積層する際には上部から単純に落下させるので、触媒層における触媒は最密充填状態にはない。ここに、第1回目の槌打を加えると、振動によって触媒が最密充填あるいはそれに近い状態になる(簡単にするために、以下ではこれを「最密重点化」と称することにする)。最密充填化の過程で触媒間の相対位置は、合計で触媒代表長さの30%程度の大きさで移動する。この相対位置の移動(即ち、触媒間相対運動)時に、一部の堆積カーボンが触媒との接触応力によって破壊されて小型化するとともに、触媒間の間隔が一時的に広がる瞬間を生じるので、
[個々の堆積カーボンの大きさ]<[当該触媒間空間の隙間]
の関係が実現されて触媒層中を落下し、遂には触媒層から除去された。
2)一方、第1回の槌打終了後に触媒層は最密充填化されているので、第2回目以降の槌打を行っても触媒間の相対位置はほとんど変化せず、堆積カーボンの破壊や触媒間の間隔の広がりは生じない。このため、第2回目以降の槌打では堆積カーボンの除去の効果が認められなかった。
これらから、次のように結論することができる。
すなわち、1回限りの閉塞解消効果では、多くの場合、触媒反応容器における所要処理継続時間を満足できないので、反応容器外面の槌打は堆積カーボンの継続的な除去のためには不十分である。触媒層から堆積カーボンを継続的に除去するためには、
[個々の堆積カーボンの大きさ]<[当該触媒間空間の隙間]
とした後に、触媒層の最密充填状態を解消する手段が必要である。
前述の結論を踏まえ、第3の対策として、反応容器内での触媒層自体の移動を試みた。より詳しく言えば、静止反応容器の中で触媒が反応容器内壁に接した状態で、触媒層の底に設けた保持器を昇降することによって触媒層全体を昇降させることを試みた。その結果、数回の昇降操作の後、触媒層の昇降運動は安定状態(昇降操作の1サイクルの後、触媒層が当該サイクルの始点の状態に平均的に戻る)に到達する。この安定状態において、保持器の上昇時には触媒層下端の上昇量に対して触媒層上端での上昇量の方が一般に小さく、保持器の下降後には触媒層上下端とも始点の位置に戻る。従って、保持器昇降のサイクル内では、触媒層の平均充填率の変動を生じており(触媒層平均充填率は、保持器上昇時に増大し、保持器下降時には減少する)、触媒層内において少なくとも上下方向での触媒間相対運動が発生する。
また、このような上下方向の触媒間相対運動の効果に加えて、本発明では、触媒が反応容器内壁に接触した状態で触媒層が昇降することによって、触媒層の厚方向および幅方向にも触媒間相対運動を発生させる効果を発揮できる。即ち、触媒層の昇降に伴う充填率変化の際の触媒間相対位置の変化を考察すると、触媒層厚み方向(反応容器厚み方向に同じ)の各触媒の移動に対する拘束状態が異なる。これは、壁面との摩擦によって、壁面に近い触媒ほど、拘束が大きく、初期の上昇・下降速度が小さいことに起因している。その結果、触媒層厚み方向の各触媒の移動速度が異なるので、触媒間の相対運動を生じる。
前述のように反応容器内で触媒を容器内壁に接触させて触媒層自体を昇降させることにより個々の触媒間の相対位置を移動させ、触媒層全体を撹拌すると、触媒層全域において触媒間に堆積した固体、例えばタール分を含むガスの改質反応の際に堆積するカーボンなどを、効率的に触媒間から落下させて触媒層から除去できることがわかった。
それに対して、保持器と反応容器を同一速度で昇降した場合、触媒層全体は保持器・反応容器と同一速度で昇降するので、触媒間の相対移動は生じない。そのため、触媒表面の固体カーボンなどの除去効果は低い(反応容器外部からの槌打なみ)。また、触媒全体をかご等に入れてかごと触媒層を同時に昇降する場合も同様である。
以上から、固定床触媒層内で触媒上に生成・堆積する固体堆積物を除去するためには、触媒層をその保持器とともに、反応容器に対して相対移動させることが必要であることがわかった。これが、本発明の根本原理である。そして本発明によれば、触媒層全体の撹拌(個々の触媒間の相対位置を移動させること)を、固体カーボン等の固体生成物が発生する触媒反応に短時間適用することによって、触媒層全域において触媒間に堆積した固体生成物を効率的に触媒間から落下させて触媒層から除去できるという顕著な効果がある。触媒層から除去された固体生成物は、保持器の開口部を通して落下させることができ、落下して下方に溜まった固体生成物は、例えば触媒の交換時などに系外へ排出することができる。
(落下防止板の必要性)
触媒層13をその保持器12とともに、反応容器11に対して相対移動させる具体的な方式には、例えば、図2に示すように、触媒反応器11内下部に昇降装置20を設けてこれを保持器12に連結して、保持器12ごと触媒層13を昇降することができる。しかし、図2のように単純に触媒層13を昇降させただけでは、以下の様な作業上の不具合の生じることを本発明者らは見出した。この不具合を、図2の保持器周辺部の拡大図である図3を用いて説明する。保持器12と汎用容器内壁間で円滑に相対運動させるためには、保持器12の外周と反応容器11の内壁間に保持器-容器間隙間を設ける必要がある。この保持器-容器間隙間は、一般に塊状触媒13aの外径よりは小さく設定されるので、塊状触媒全体がこの隙間を通過して下方へ落下することはない。しかし、塊状触媒13aの形状によっては、例えば、図3に示す様に円柱状の触媒13aを用いた場合には、塊状触媒13aの一部がこの隙間内に侵入することがある。触媒層13の中で、図3の状態の塊状触媒13aは、周囲を図示しない他の触媒との接触によって拘束されているので、簡単には移動することができない。この状態で、保持器を上昇させると、当該塊状触媒13aには保持器-内壁間(または、保持器-他の塊状触媒間)での強い圧縮力が生じて、当該塊状触媒13aは、破損し、塊状触媒破片13bを生じる。この塊状触媒破片13bは当然のことながら元の塊状触媒13aよりは小さいので、保持器-反応器間隙間により深く侵入しうる。特に、この隙間を完全には通過できない程度に大きな破片13bがこの隙間に侵入した場合、この破片13bが保持器-反応器内壁間に挟まって破片13bが抜けなくなることがある。このように保持器-反応器内壁間に挟まった破片13bが多数発生すると、保持器昇降時に大きな摩擦力を生じ、やがて保持器の駆動力が不足して保持器を昇降できなく問題が発生する。
そこで、本発明者らは、図4に示す落下防止板14を用いることによって、この問題を解決した。図4において、落下防止板14は、保持器12の外周部上端に設けられ、保持器外周部における塊状触媒13aは、落下防止板14に接触して保持される。落下防止板4も保持器昇降時には保持器12とともに反応器内を昇降するので、落下防止板14の円滑な昇降のためには、落下防止板外周-反応器内壁間の隙間は、保持器-反応器間隙間と同程度の大きさとする必要があり、落下防止板外周-反応器内壁間の隙間に塊状触媒13aの一部が侵入すること自身は、図2と同様である。ここで、落下防止板14の外周部上端には鋭角のエッジ部14Eが設けられており、かつ、この隙間が下方ほど広がるように、落下防止板外周面には、逃げ角θが設けられている。その結果、塊状触媒破損によって生じた破片は、保持器12とともにこのエッジ部14Eが昇降する際にさらに破砕されてより小さな、さらに破砕された塊状触媒破片13cとなる。前述のように、落下防止板外周-反応器内壁間の隙間は下方ほど広がっているので、エッジ部14Eを通過したこのさらに破砕された塊状触媒破片13cは、落下防止板外周-反応器内壁間の隙間および保持器-反応器間隙間を通過して落下し、系外に排出される。このため、本発明においては、触媒破片13bが落下防止板外周-反応器内壁間の隙間や保持器-反応器間隙間に挟まって昇降動作を妨げる現象の発生を回避することができる。尚、例えば、金属担体等を用いた強靭な触媒を用いる場合には落下防止板のエッジ部で触媒を破砕することはできないが、このような強靭な触媒は破損することがまれであり、保持器-反応器間隙間に挟まる触媒破片をそもそも生じないので、触媒破片をさらに破砕する必要はない。
(触媒種をタール改質触媒に限定することの効果)
本発明者が触媒間に堆積した固体カーボンを触媒ごと回収して物理的性状を調査した結果、本発明での触媒材質の場合、触媒表面への付着性が比較的低いことがわかった。また、これらの触媒を用いたタール改質反応においては本来、コーキング発生量が他の反応に比べて多いので、触媒間に堆積する固体カーボンを除去するニーズがより高い。
そこで、本発明は、触媒層全体を撹拌する(個々の触媒間の相対位置を移動させる)する技術を発明し、この種の触媒反応に短時間適用することによって、触媒層全域において触媒間に堆積した固体カーボンを効率的に触媒間から落下させて触媒層から除去できるという顕著な効果がある。
本発明は、固定床触媒層内で触媒上に生成・堆積する固体生成物の除去に好適に適用することができる。例えば、ニッケル、マグネシウム、セリウム、ジルコニウム、アルミニウムを含む複合金属酸化物触媒によるタール含有ガスの改質反応では、他の反応に比べて触媒表面への固体カーボンの堆積量が多く、それを除去するニーズがより高い。本発明は、このように他の反応に比べ触媒表面への固体カーボンの堆積量が多いタール含有ガス改質反応用の触媒を用いる場合においても、触媒上に生成・堆積する固体生成物の効率的な除去を可能にする。
本発明の対象である触媒固定床と異なり、移動床は、原則として反応中に絶えず触媒を移動(および撹拌)させる。それに対し、本発明では、反応容器内での触媒層の移動を間欠的に、短時間実施すればよいので、反応中に触媒撹拌を行う必要はない。さらに、移動床では、反応中に一定量の触媒を系外に排出するとともに同量の触媒を系外から供給する。それに対し、本発明では、反応中に触媒の入れ替えは行わない(触媒層が固定床であるから)。
本発明の触媒反応装置によれば、固定床触媒層内で触媒上に生成・堆積して触媒性能を低下させ、かつ触媒層の閉塞の原因となる固体堆積物を、触媒層全体を昇降運動させることにより、効率よく除去することができる。そのため、従来のように閉塞した触媒保持器を洗浄するために運転を停止する必要なしに、反応装置を連続運転することが可能となる。また、その触媒反応装置を用いて、固体カーボンなどの固体生成物を発生する触媒反応を高い効率で行うことができる。
従来技術の模式図である。 本発明の考え方を示す模式図である。 図2の拡大図である。 本発明の考え方を示す他の模式図である。 本発明の第1の実施形態の模式図である。 本発明の第2の実施形態の模式図である。 本発明の第3の実施形態の模式図である。 落下防止板の実施形態の模式図である。 落下防止板の他の実施形態の模式図である。 昇降回数−触媒破壊率のグラフである。 本発明の保持器の模式図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
[第1の実施形態]
(全体構造)
図5に、本発明の第1の実施形態の連続式固定床触媒反応装置10を示す。この図の(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。本発明の触媒反応装置10は、反応容器11を含み、その内部には、下部を保持器12によって支持された触媒層13が収容され、触媒層13中の触媒のうち反応容器内壁に隣接する触媒(図示せず)は反応容器内壁に接触している。本発明では、触媒を反応容器内壁に接触させて触媒層13を昇降させるので、昇降作業時の触媒の移動の妨げとならないように、反応容器11の内面は平滑であることが好ましい。保持器12の下には、保持器を昇降させることにより触媒層13を上下に移動させるための駆動機構20が位置し、この駆動機構20は昇降装置21と、昇降装置21を保持器12につなぐ伝導軸22で構成されている。
反応容器11には、下方から原料ガス17が供給されて触媒層13で反応し、触媒層13からの改質ガス18は反応容器11の上方から排出される。原料ガス17の例は、炭化水素を含有するガス、炭化水素とともにタールを含有するガスなどでよい。改質ガス18の例は、炭化水素を含有するガスを改質して得られる改質ガスなどでよい。触媒の例を挙げると、炭化水素改質用の塊状触媒などでよく、その表面には触媒反応の副生物として固形物、例えば固体カーボンなどが堆積する。触媒反応が吸熱反応の場合、反応に必要な温度と熱を、触媒反応容器11を例えば加熱炉(図示せず)中に配置することにより、与えてもよい。触媒反応が発熱反応の場合は、反応熱を、触媒反応容器の外部に設けた冷媒流路(図示せず)に冷媒を流すなどにより除去してもよい。場合により、反応容器11への原料ガスは、図1とは逆に、触媒層13の上方から下方へ流れるように供給することも可能である。
(反応容器の形状)
反応容器11は、両端に開口を有し、これらの開口間に触媒を収納できるものであればどのような形状でもよい。図5では反応容器11の下方開口は、触媒反応用流体(原料ガス)17の流入路を構成する供給管15に通じており、触媒反応用の原料ガス15の反応容器11への流入口に当たるものである。反応容器11のもう1つの上方開口は、反応容器11の改質ガス18の流出路を構成する排出管18に通じており、改質ガスの反応容器11からの流出口に当たるものである。反応容器11は、例えば、円筒状、角型ダクト状などの形状であることができる。以下では、角型ダクト状の反応容器を例に説明する。
以下の説明において、「容器の中心軸」とは、容器の水平断面の図心を鉛直方向に連ねたものと定義する。「反応容器厚」は、水平断面における反応容器の代表長さのうちの最小の長さに相当し、「反応容器幅」は、水平平面における反応容器の代表長さのうちの最大の長さに相当する。容器が円筒の場合には、容器の「幅」および「厚」を「直径」と置き換えればよい。
(反応容器の材質)
反応容器11の材質は、触媒を保持する強度、触媒反応に関与する流体への耐熱・耐食性、反応生成物への耐汚染性を有する材料であれば、どのようなものでも使用できる。例えば、炭素鋼、ステンレス鋼、ニッケル合金、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金等の金属材料、シリカ、アルミナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素等のセラミックス材料(煉瓦に加工されたものを含む)、ソーダガラス、溶融石英等のガラス材料を使用することができる。
(反応容器の寸法)
反応容器11の厚みは、下限が塊状触媒の代表寸法(例:直径)以上でなければならない(例えば、10mm)。一般に触媒反応では発熱または吸熱があり、かつ、反応容器の表面を通じてこれらの熱を外部と授受するため、触媒反応容器内部まで伝熱を確保するために、厚みには上限が存在する。上限の値は、反応熱・流量・伝熱特性等によってエンジニアリング的に定めればよい(例えば、200mm)。
反応容器11の幅には、機能上、特段の制約はない。保持すべき触媒層体積、反応容器厚を基に、構造上・強度上の制約を考慮してエンジニアリング的に定めればよい(例えば、5000mm)。
反応容器11の高さは、触媒層の高さよりも大きくなければならない。一方、反応容器高さの上限については、機能上の制約はなく、構造上・強度上の制約を考慮してエンジニアリング的に定めればよい(例えば、5000mm)。
(触媒層の保持器)
触媒層13を支持する保持器12には、網、パンチングメタル、複数の棒を用いて棒の間に空間を生じるように水平方向に各棒を互いに平行に並べて棒の両端を固定したもの等を用いることができる。図1に示した保持器12は、複数の棒12aの両端を固定具12bで固定して作製したものの例である。
保持器12の開口率が小さくなると、通気性や固体カーボンなどの通過性が悪化する。高開口率では、保持器で触媒を保持する部位が少なくなるで、保持器の強度が不足する。上記いずれかの形式の保持器の場合、保持器12の開口率は30〜70%程度が好ましい。
保持器12の材質は、耐熱・耐腐食性・強度を備えた金属材料が好ましい。そのような金属材料の例として、ステンレス鋼、ハステロイ(登録商標)やインコネル(登録商標)等のNi合金、チタン、チタン合金等を挙げることができる。
(落下防止板)
落下防止板14は、保持器外周部での触媒破片の挟まりを防止できればよいので、保持器外周部のみに設ければよい。図8は、落下防止板14の実施形態の一例である。この例では、落下防止板14は、中央に開口を有する額縁状の形状であり、外周部14bにはエッジ部14Eと逃げ角θが設けられており、エッジ部14Eによる触媒破片は破砕性向上と、逃げ角θによるさらに破砕された触媒破片の落下性向上を図っている。エッジ部14Eは、保持器12の上端に設けることが好ましい。例えば、エッジ部14Eを下端に設けた場合には、落下防止板-反応器内壁間の隙間は下方ほど狭くなる構造となるので、触媒破片がエッジに到る前に、より上方で落下防止板-反応器内壁間に挟まる可能性があるからである。
落下防止板14の材質は、耐熱・耐腐食性・強靭性・硬度を備えた金属材料が好ましい。そのような金属材料の例として、耐熱ステンレス鋼、ハステロイ(登録商標)やインコネル(登録商標)等のNi合金を挙げることができる。
落下防止板14の反応器軸鉛直方向の外形寸法は、前述の保持器の外形寸法と同程度であることが好ましい。特に、落下防止板14の外形寸法が保持器14の外形寸法よりも極端に小さい場合には、落下防止板14で破砕したさらに破砕された触媒破片13bが保持器-反応器間隙間に挟まりうるので、このような寸法関係は、避けられるべきである。落下防止板14の厚みは、落下防止板-反応器間の隙間の反応器中心軸方向長さをなるべく小さく設定して破片の破砕性・落下性を確保する観点から、強度を保てる範囲でできる限り薄いことが好ましい。例えば、落下防止板厚みを2〜50mmとすることができる。
落下防止板14のエッジ部14Eは、触媒の破砕性を向上させるために、鋭利であることが好ましい。但し、エッジ部14Eの欠損による破砕性・落下性悪化を回避するために、例えば、0.3mm以下といった微小な面取り加工をエッジ部に施してもよい。
落下防止板の逃げ角が過小な場合、触媒破片の落下性が悪化するので好ましくない。一方、逃げ角が過大な場合には、落下防止板中央部開口を小さく設定しなければならならず、通気性を悪化させるので好ましくない。10°以上、かつ、45°以下の範囲の逃げ角が好適である。15°以上30°以下の範囲の逃げ角がより好適である。
部品点数削減の観点から、図9に示すように、落下防止板14と保持器12を兼用して単一の部品としてもよい。この例では、図8の落下防止板14の中央開口内に触媒外径よりも小さい間隔でロッド12aを複数設けて保持器としての機能も持たせている。
落下防止板14は保持器12に対して固定されていることが好ましい。固定されていないと、セルフロック現象によって、保持器下降時に落下防止板のみ上方に残留して保持器-落下防止板間に隙間を生じ、この隙間に触媒が挟まる可能性があるからである。固定方法には、ネジ留めや溶接を用いることができる。
(保持器-容器間隙間)
本発明では保持器-反応容器内壁間を相対運動させるので、円滑な相対運動のために、保持器-反応容器内壁間には隙間を設ける必要がある。触媒の落下防止のために、この隙間は、少なくとも塊状触媒外径より小さい必要がある。一方、この隙間が過小な場合には、装置の加工誤差や保持器昇降時の保持器傾斜の発生等の影響によって昇降中に保持器と反応器内壁が互いに接触してせりあう状態を生じるとともに、触媒昇降中に不可避的に生じる触媒破片がごく小さいものであっても、この隙間に容易に挟まりうる。このように過小な隙間では昇降動作が著しく阻害されるので好ましくない。この隙間は、少なくとも1mm以上、より好ましくは、装置加工上の寸法精度の値以上の大きさで、設けることが好ましい。上限は塊状触媒の寸法、例えば10mmである。
落下防止板-反応容器内壁間の隙間(エッジ部で定義)も、保持器-容器間隙間と同程度に設定されることが好ましい。
(触媒層の駆動機構)
本発明では、保持器12を昇降させることによってその上の触媒層13を反応容器11内で昇降させる。そのために、本発明の反応容器11には触媒保持器12を昇降させる駆動機構20が装備される。駆動機構20には、エアシリンダ、ラックピニオン等の歯車を利用した昇降装置21などの、一般的な駆動機構を用いることができる。保持器12は、伝導軸22を用いて昇降装置21に結合される。昇降装置21を作動させると、保持器12の全体が反応容器11の軸線に沿って移動して、触媒層13の全体をやはり反応容器11の軸線に沿って上下に移動させる。
少なくとも伝導軸22の保持器12側の一部は反応容器11、または、反応容器11の下方に存在しうる原料ガス流入路15や改質ガス流出路16の内側に存在する必要がある。昇降装置21は、反応容器11の外部に設けることができる。反応容器11を例えば加熱炉などの加熱装置(図示せず)内に配置する場合には、昇降装置21を加熱装置外に設けることもできる。この場合、市販の昇降装置を使える一方で、伝導軸22が反応容器11を貫通する部分を高温用パッキン等で封止する必要がある。
駆動機構20全体を、図5に示したように反応容器11内に設ける場合には、昇降装置21を、例えば反応容器11内の高温や腐食性物質から保護するために、耐熱・耐食性のものとする必要がある。これは、一例として、駆動機構20のエアシリンダ全体をハステロイ(登録商標)等の耐熱合金製とすることによって実現できる。この場合、エアシリンダへの供給エア配管(図示せず)は反応容器11を貫通するが、この部分は非可動部なので、配管を全周溶接するなどして封止を図ればよい。
保持器昇降時に、触媒破片が落下防止板内に挟まる場合があるので、保持器12は上昇時だけでなく下降時も駆動して、挟まった触媒破片を落下防止板エッジ部で破砕・除去することが好ましい。
(保持器の昇降ストローク)
触媒間の相対運動を十分行うためには、保持器12の昇降ストロークは大きいことが好ましい。例えば、触媒外面の代表寸法(例:直径)の0.1倍程度の昇降ストロークであっても加振の効果は存在するので、触媒表面の固体カーボンなどの堆積物の除去効果は一定程度は得られる。とは言え、十分な堆積物除去効果を挙げるためには、保持器12の昇降ストロークは触媒外面代表寸法の0.5倍以上であることが好ましく、1倍以上であることがより好ましい。
一方、昇降ストロークが極端に大きい場合には、反応容器11および駆動機構20が大型化するので効率的ではない。また、小さいストローク(但し、1倍以上)の昇降を繰り返し行うことで、より大きな昇降ストロークと同様の効果が得られる。よって、昇降ストロークは、触媒外面の代表寸法の10倍以下であることが好ましい。
(昇降速度)
保持器12とともに触媒層13を上昇させるのに要する所要上昇力は、上昇速度が小さいほど小さい。本発明者らの調査の結果、10mm/sで保持器とともに触媒層13を上昇させるときの所要上昇力は、1mm/sで上昇させる場合の2倍が必要であることがわかった。また、大きな上昇速度では、触媒が破壊しやすくなる。従って、上昇速度は小さいことが好ましい。但し、1mm/sで上昇させる場合と0.5mm/sで上昇させる場合の所要上昇力の差は小さいので、1mm/sよりも遅くする必要は必ずしもない。また、10mm/sの上昇速度であっても、触媒が破壊しないのであれば、適用してよい。
前述のように、保持器の下降速度は大きいことが好ましい。特に、最下端での触媒の自由落下速度よりも大きい速度(例:100mm/s)で保持器を下降すれば、触媒は保持器から離脱して触媒間の拘束が小さくなり、触媒間の相対運動を大きくとれるので好ましい。但し、触媒の自由落下速度よりも極端に大きな速度で保持器を下降させても得られる効果に差はない。
(触媒の大きさ)
一般に触媒作用を有する物質を多孔質の単体に担持して構成される触媒は、保持器12の上に位置する触媒層13にとどまる必要がある。そのため、触媒は、保持器12の開口を通過しない大きさである必要がある。
(触媒の形状)
前述のように、特定の保持器で触媒を保持する際、同一触媒外面の代表寸法のうち最小のものに下限値が存在する。触媒層13の容積が一定の場合、一般に触媒の数が多いほど、触媒の総表面積は増大し、反応容器11の反応速度を向上できる。従って、球や球に近い形状の触媒は、一定の体積の中で触媒の数を増やしやすいので好ましい。触媒の外周で囲まれる体積が同一でも、表面積のより大きい形状、例えば、円筒やリング状の形状も好ましい。一方、棒状あるいは円盤状の形状は、保持しにくいので、好ましくない。
触媒層13の上昇時に、触媒層中では上にいくほど触媒間に働く力が等方化し、触媒層13を押し上げるための上下方向の力と同程度の力がこれ以外の方向にも生じ、この力に比例した摩擦力が触媒間で生じる。この摩擦力の下向き成分が触媒層押し上げの抵抗力として働く。触媒層13を下端から押し上げる際には触媒層の下側ほど触媒間の反力および触媒−反応容器内壁間で働く力が大きい。上昇中の触媒層内での上下方向の力は、その位置より上方の抵抗力の上下方向成分の合計以上でなければならないので、触媒層の下側ほど、押し上げに必要な力は急速に上昇する。触媒層の下端では最大の押し力となり、この力が過大であれば、触媒や反応容器の破壊を招き得る。
この観点から、触媒層13の高さは低いほどよい。圧壊強度100N、安息角35°の一般的な触媒(円筒状)を保持器で保持して昇降する試験を行った。その結果、触媒層のアスペクト比(触媒層高さ/反応容器厚比)が2を超えると押し上げ荷重が急激に上昇すること、並びに、触媒層のアスペクト比(触媒層高さ/反応容器厚比)が2以下であれば、触媒はほとんど破壊しないことを見出した。また、触媒層全体で触媒を相対運動させるためにもアスペクト比が2以下であることが好ましい。
一方、触媒層13の高さが極端に低い場合には、反応容器内壁と触媒の相対運動による触媒間の相対運動は、反応容器厚方向の反応容器内壁面近傍に限定され、反応容器厚方向の中央部では触媒間の相対運動が生じなくなるので好ましくない。特に、触媒高さが平均的に触媒の2層分の高さ(触媒を垂直方向に2つ積み重ねた最大高さ)以下である場合、上層の触媒の拘束が小さいので、触媒は容易に最密充填化し、低充填化できなくなるので相対運動をいっそう阻む効果を生じる。従って、触媒層13の高さは触媒の3層分以上の高さ(触媒を垂直方向に3つ積み重ねた最大高さ)、すなわち、触媒外面代表長さの最大値の3倍以上であることが好ましい。
(触媒の流動性)
反応容器11内において保持器12とともに上昇させた触媒は、反応容器内で棚吊り(触媒層13を保持器12で上昇させた後、保持器12を下降させても触媒同士のセルフロックを生じて触媒が下降しない現象)を起こすことがある。反応容器11内での触媒の棚吊り防止の観点から、触媒層13における粒体群としての触媒の流動性は、低いことが好ましく、安息角が50°未満であることが好ましい。
一方、保持器12の上昇時に保持器12から触媒層13に与える力の触媒層13内での非等方性(上向きの力が卓越)を触媒層13のより高い位置まで保持するためには、触媒の流動性が極端に低くないことが好ましく、安息角は10°以上が好ましい。触媒層13内での力の非等方性の高い領域が広いほど、より小さい推力で保持器12を上昇させることができ、触媒が破壊しにくくなるからである。
(触媒の材質・作用)
本発明の触媒反応装置を適用できる触媒の材質や触媒作用は、流体、特にガスを原料とする触媒反応に用いられる触媒であれば、特に制限はない。流体がガスであり、触媒反応による生成物がガスと固体または液体とである触媒反応、中でも、触媒反応用流体が炭化水素を含有するガスであり、触媒反応による生成物がガスおよび固体または液体である触媒反応、特に、触媒反応用流体がタールを含有するガスであり、触媒反応による生成物が固体の炭化水素または固体のカーボンを含む触媒反応に用いられる触媒に好適に使用できる。
一般的には、上記のような触媒反応に用いられる酸化物触媒に広く使用でき、特に触媒反応用流体がタールを含有するガスであり、触媒反応による生成物が固体の炭化水素または固体のカーボンを含む触媒反応に用いられる酸化物触媒に好適に適用できる。
本発明の触媒反応装置に好適に使用できる触媒の具体的な例としては、たとえば、ニッケル、マグネシウム、セリウム、アルミニウムを含む酸化物であって、少なくとも1種の複合酸化物を含み、単独化合物としてアルミナを含まないタール含有ガスの改質用触媒を挙げることができる(WO2010/134326)。この複合酸化物の好適な例は、NiMgO、MgAl24、CeO2の結晶相からなり、さらには、各結晶相の内、X線回折測定により求めたNiMgO結晶相の(200)面の結晶子の大きさが1nm〜50nm、MgAl24結晶相の(311)面の結晶子の大きさが1nm〜50nm、CeO2結晶相の(111)面の結晶子の大きさが1nm〜50nmである。この触媒は、炭素質原料を熱分解した際に発生する多量の硫化水素を含み、炭素析出を起こし易い縮合多環芳香族主体のタール含有ガスであっても、随伴するタール等重質炭化水素を高効率に改質して、水素、一酸化炭素、メタンを主体とする軽質炭化水素に変換すること、また、触媒性能が劣化した際、水蒸気又は空気の少なくともいずれかを高温下で触媒に接触させることにより、触媒上の析出炭素や吸着硫黄を除去して触媒性能を回復させ長期間安定した運転が可能になるという特徴を有する。
(その他の適用可能な例)
本発明は、上記に例示した触媒反応装置及び触媒のほか、コーキング等を生じる、下記の触媒反応装置にも好適に使用できる。
1)メタン改質触媒反応装置: 特開2006−35172号公報の「比較例」には、炭化水素であるメタンガスを原料ガスとして大量のコーキング(炭素析出)が発生することが記載されている。
2)都市ガス改質触媒反応装置: 特許文献2にコーキングの事例が記載されている。
3)その他、LPG等の各種石油精製ガスや天然ガスの改質のための触媒反応装置、水素を含有するガスと酸化剤ガスを作用させて発電し、水を副生する、燃料電池用の触媒反応装置(例:特開2009−48797号公報)等に適用できる。
[第2の実施形態]
次に、図6を参照して第2の実施形態の連続式固定床触媒反応装置を説明する。この図の(a)は平面図であり、(b)は正面図、(c)は側面図である。図2の触媒反応装置10は、触媒保持器が図11に示したように多数のピンを利用したものであることを除いて、図5を参照して説明した第1の実施形態のものと同様である。
この実施形態における触媒反応容器11は、反応容器11への流入口である下部に触媒保持器12’を有する。この触媒保持器12’は、多数のピン12cを底板12dで保持した構造物であり、そのピン12cの先端部で触媒層13の塊状の触媒13aを保持する触媒保持手段である。ピン12cの間の間隔を塊状触媒の大きさより小さく設定することで、これらのピン12cの先端部で塊状触媒13aを保持することが可能であり、ピン間12cの隙間が触媒反応用流体の流入口または生成流体の流出口として機能する。
図示した触媒保持器12’では、ピン12cは、例えば丸棒などで製作することができる。このような触媒保持器12’によれば、高い開口率と閉塞の防止が実現される。
触媒保持器12’におけるピン12cの配置は、ピンの軸に垂直な平面上でのピンの中心を頂点とし、隣り合う3本のピンの中心で構成される三角形が、全て合同な二等辺三角形、特に正三角形であることが好ましい。それによって保持すべき触媒の所要断面積に対して最小のピン数で触媒保持構造を実現できる。
全てのピン12cは、ピンの中心軸が互いに平行に配置されることが好ましい。ピン側面での開口が均一になり、より、閉塞しにくくなるからである。ピン軸間が極端に近接する部位ではピン側面間で閉塞を生じやすい。ピンが平行な部分の長さはピン間の間隙が閉塞しないで原料流体や改質流体が自由に流通できる空間を形成するように決められる。
ピン間の間隔は、全てのピンの直径(外径寸法)を除いた軸間距離が、特に触媒保持器の頂部(ピン先端部)において、触媒の通過しうる最小のメッシュ目開き寸法(篩の目明き寸法)より小さければよい。こうすれば、触媒塊はピンの間を落下することはなく、これらのピンで支持することができる。触媒の破損により生じた触媒の小片のように、例外的に一部の触媒寸法がピンの直径を除いた軸間距離より小さくて、ピンの間を落下することがありうるが、触媒保持器12’の下部および下方に十分な落下物の貯留空間19を設けることによって、少なくとも触媒反応容器閉塞の観点からは特に問題ではない。通気性および保持器の耐閉塞性の観点から、通気の主流方向垂直断面での開口率(1−[ピン断面積の合計]/[流路の見かけ断面積])は、90%以上であることが好ましい。開口率の上限は、ピンの耐座屈性等から定まる個々のピンの断面積から制約される。
ピン12cの長さは、[ガス流入口(流出口)での流体の流通見かけ断面積] ≧ [触媒層における流体の流通見かけ断面積」とするのが好ましい。触媒反応容器11の厚さと幅(直径)が所与のとき、ピンの高さを変更して、流入口(流出口)での流体の流通見かけ断面積を調整できる。但し、触媒層13における流体の流通見かけ断面積が極端に大きい場合(反応容器が主流方向に扁平等)には、この限りではない。ここで、「流体の流通見かけ断面積」とは、原料流体や改質流体の主流に垂直な平面上で触媒反応容器側壁で囲また領域の面積である。
ピン12cのアスペクト比(長さ/直径比)は、座屈防止の観点から100以下の値が好ましく、20以下がより好ましい。但し、ピンに加わる最大荷重が十分に小さい場合には、これ以上の値であってもよい。また、流入口(流出口)での流体の流通見かけ断面積を十分大きく設定するために、ピンのアスペクト比は、1以上が好ましく、5以上がより好ましい。
ピンの材質は、触媒を保持する強度、接触する流体への耐熱・耐食性、反応生成物への耐汚染性を有する材料であれば、どのようなものでも使用できる。たとえば、炭素鋼、ステンレス鋼、ニッケル合金、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金等の金属材料、シリカ、アルミナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素等のセラミックス材料、ソーダガラス、溶融石英等のガラス材料、を使用できる。タール改質用の触媒反応容器では、通常、800℃以上の高温で操作されるので、ステンレス鋼やハステロイ(登録商標)、インコネル(登録商標)等のニッケル合金が特に好ましい。
ピンの底板への固定方法は、特に限定されず、例えば、全てのピンを溶接で底板へ固定することができる。
このような触媒保持器を用いることにより、パンチングメタルや網の場合と違い開口率を大きくしても強度を維持することができるので、実質的な開口率(ピン列の触媒への接触部においてピン軸に垂直な面内での空間の比率)を90%以上という、従来技術では実現できなかった高い値とすることができる。95%以上も可能である。
また、触媒保持器12’の各ピン12cは、ピン中心軸垂直断面内で全て孤立し、ピン列の間に広がる空間が互いに連結しているので、仮にピン表面にカーボン等の固体が析出したとしても、隣り合うピン間でこの固体が架橋して開口を閉塞させることは容易には生じない。
触媒13aの寸法は、触媒反応の効率から決定され、一概ではない。触媒の寸法を考慮して触媒保持器のピン間の間隔を決めればよいが、必要に応じて、触媒の寸法を本発明の触媒保持器のピン間の間隔を考慮して決めることができる。
塊状触媒の形状は、球や球に近い形状のものは、一定の体積の中で触媒の数を増やしやすいので好ましい。また、触媒の外周で囲まれる体積が同一でも、触媒塊の表面積の大きい形状、例えば、円筒やリング状の形状も好ましい。
触媒塊の外寸は、触媒保持器での保持のしやすさと、反応性のための高い比表面積確保の観点から、5〜50mm程度であることが好ましい。
この実施形態においても、触媒の材質や作用は先に説明した第1の実施形態のものと同様である。
この実施形態における触媒保持器12’は、図1を参照して先に説明した第1の実施形態の保持器12と同様に、駆動機構20により昇降させることができ、それにより反応容器11内の触媒層13を上下に移動させることができる。駆動機構20は、第1の実施形態についてやはり先に説明したように、エアシリンダ、ラックピニオン等の歯車を利用した昇降装置21などの、一般的な駆動機構を用いることができ、そして保持器12’は伝導軸22を用いて昇降装置21に結合される。
落下防止板14は、保持器12’上の外周部のピン12cに積載されて固定される。このような形状の保持器12’の場合、保持器12’の外周部は離散的に配置されるピン12cのみで構成され、外周部での空間の総体積が第1の実施形態等の場合に比べて大きいため、塊状触媒13aの破損と触媒破片13bの保持器-反応器間隙間での挟まりは一層深刻な問題となりうる。このため、外周部ピン13cの上方を覆う構造の落下防止板14を設けることで、保持器昇降動作の安定性を格段に向上することができる。
[第3の実施形態]
本発明の適用は、触媒昇降に留まるものではない。図7のような触媒の押出構造を有する触媒反応器にも本発明を適用することができる。
(全体構造)
図7において、本発明の触媒反応装置10は、反応容器11を含み、その内部には、下端を反応容器壁で、流入側側面を保持器12で、流出側側面を反応容器蓋23で支持された触媒層13が収容され、触媒層13中の触媒のうち反応容器内壁に隣接する触媒(図示せず)は反応容器内壁に接触している。保持器12の側方には、保持器12を水平に往復運動させることにより触媒層13を水平方向に移動させるための駆動機構20が位置し、この駆動機構20は往復動装置21と、往復動装置21を保持器12につなぐ伝導軸22で構成されている。
反応容器11には、触媒層に対して側面方向の一端から原料ガス17が供給されて触媒層13で反応し、触媒層13からの改質ガス18は触媒層に対して側面方向の他の一端からから排出される。
(反応容器の形状)
反応容器11は、例えば、円筒状、角型ダクト状などの形状であることができ、図7では角型ダクト状形状である。反応容器の側壁の1面は、開閉可能な反応容器蓋である。
原料ガス、触媒反応器への熱の授受、反応容器の材質、反応容器の寸法、保持器、触媒層の駆動機構、並びに、触媒等に関しては、第1の実施形態で説明した技術と同様のものを適用できる。
(落下防止板)
落下防止板14は、保持器への接続が鉛直面でなされることを除いて、第1の実施形態で述べたものと同じ技術を用いることができる。
(触媒排出の動作)
触媒13aを交換するために反応器11内の触媒13aを反応器外へ排出する際には、まず、反応器蓋を開放して触媒排出口を出現させ、次に、駆動装置20を駆動して保持器12を触媒排出口方向に水平移動させて触媒層13を押しながら水平移動させることによって、触媒13aを反応器外に排出する。このような触媒を押し出す動作の際にも、保持器-反応容器間隙間に触媒破片13bが挟まっていわゆる押し詰まり状態の発生を回避するために、落下防止板14が有効に機能する。
[実施例1]
製鐵用のコークス炉から石炭乾留ガスを抽気して本発明の連続式固定床触媒反応装置を通気して改質ガスを製造する試験を行った。
(装置構成)
触媒反応装置、スクラバ、吸引用のブロワが上流化からこの順に並び、互いに通気管によって接続される。ここを石炭乾留ガス及び改質ガスが通気する。ブロワの排気は、コークス炉に付帯するドライメーンに放出される。コークス炉〜触媒反応装置間の通気管は、電気ヒータによって加熱されて内部の石炭乾留ガス温度を維持する。
(触媒反応装置)
図6の触媒反応装置で試験した。反応容器11は、ステンレス鋼製であり、寸法が150mm厚×1200mm幅×2100mm高さで、上下に開口を持つダクト形状であった。反応容器11のダクトの上端と下端にそれぞれ流入管15と流出管16を接続して通気するようにした。触媒反応装置の外面を電気ヒータによって加熱して所要の反応温度を維持した。
(落下防止板)
図8の形状の耐熱ステンレス鋼製の落下防止板14を用いた。厚みを10mm、逃げ角を15°とした。
(触媒保持器)
・触媒保持器: スレンレス丸棒製のピン式
・ピン: 直径5.1mm、長さ90mm
・ピンの配置: 底辺16mm(反応容器幅方向)、高さ13.5mm(反応容器厚方向)の二等辺三角形、全て触媒保持器底板に溶接
・ピン開口率: 92%(触媒)
(駆動装置)
・駆動装置昇降ストローク: 20mm
・昇降速度: 5mm/s
(作業条件)
作業条件は、次のとおりであった。
・石炭乾留ガス流入温度: 800℃
・電気加熱炉温度: 800℃
・石炭乾留ガス流量: 平均30Nm3/h
・石炭乾留ガス通気時間: 16時間
・触媒層高さ: 計500mm
(触媒)
触媒としては、Ni0.1Ce0.1Mg0.8Oなる成分系のものを使用した。
硝酸ニッケル、硝酸セリウム、硝酸マグネシウムを各金属元素のモル比が1:1:8になるように精秤して、60℃の加温で混合水溶液を調製したものに、60℃に加温した炭酸カリウム水溶液を加えて、ニッケル、マグネシウム、及びセリウムを水酸化物として共沈させ、スターラーで十分に攪拌した。その後、60℃に保持したまま一定時間攪拌を続けて熟成を行った後、吸引ろ過を行い、80℃の純水で十分に洗浄を行った。洗浄後に得られた沈殿物を120℃で乾燥し粗粉砕した後、空気中600℃で焼成(か焼)したものを解砕した後にビーカーに入れ、アルミナゾルを加えて攪拌羽根を取り付けた混合器で十分混合したものをなすフラスコに移してロータリーエバポレーターに取り付け、攪拌しながら吸引することで、水分を蒸発させた。なすフラスコ壁面に付着したニッケルとマグネシウムとセリウムとアルミナの化合物を蒸発皿に移して120℃で乾燥、600℃でか焼後、粉末を圧縮成形器を用いてプレス成型し、外径15mm、内径5mm、高さ15mmの円筒状成型体を得た。
その成型体を空気中950℃で焼成を行い、Ni0.1Ce0.1Mg0.8Oにアルミナが50質量%混合した触媒成型体を調製した。その成型体の成分をICP分析で確認した結果、所望の成分であることを確認した。また、その成型体を木屋式硬度計で計測したところ、約100Nの強度を保持することがわかった。強度試験で塊状触媒に荷重を加えると、許容応力を超える条件で脆性破壊して様々な大きさ・形状の触媒破片を生じた。
(結果)
石炭乾留ガスの通気中には副生固体カーボンが触媒層中に堆積し続け、その結果、触媒反応器での通気圧力誌損失は、徐々に増大した。しかし、定期的に駆動装置を動作させて触媒層を昇降して固体カーボンの落下除去処置を行い、この処置の都度、圧力損失を低下でき、全通気時間を通じて圧力損失を操業許容値以内に維持することができた。触媒層の昇降回数は、計80往復であった。これらの昇降動作では動作不良は一切、発生しなかった。
試験終了後に、反応容器を解体して全ての触媒を回収して分析した結果、破損した塊状触媒の全回収触媒に対する質量構成率(塊状触媒の割れ率)は、0.8%であった。
[比較例1]
落下防止板を用いないことを除き、これ以外を実施例1と同様にして通気試験を行った。
(結果)
通気中に触媒層の昇降動作を連続して実施したところ、昇降に要する駆動力が徐々に上昇し、約100回目の動作で装置が動作しなくなったので試験を中止した。試験終了後に反応容器を解体して調査した結果、保持器-反応器間隙間に多数の触媒破片が挟まっており、このために保持器が不動化していることがわかった。また、触媒を回収して分析した結果、塊状触媒の割れ率は、20%であった。
塊状触媒の割れ率に関する、実施例1、比較例1、並びに、より少ない昇降回数での試験結果を、昇降回数に対してプロットしたものを図10に示す。この図から、落下防止板を適用することによって、触媒層昇降の安定性、例えば、塊状触媒の割れ率を格段に向上できることがわかった。
10 反応装置
11 反応容器
12 触媒保持器
12a ロッド
12c ピン
12d 底板
13 触媒層
13a 塊状触媒
13b 触媒粒子破片
13c さらに破砕された触媒粒子破片
14 落下防止板
14E エッジ
θ 逃げ角
15 流入管
16 流出管
17 原料ガス
18 改質ガス
19 貯留空間
20 駆動装置
21 昇降装置(往復動装置)
22 伝道軸
23 反応容器蓋

Claims (8)

  1. 触媒反応用の原料ガスの流入路及び改質ガスの流出路と、
    流入路及び流出路に接続された触媒反応容器であり、反応容器内壁に接して塊状触媒の触媒層を収容する触媒反応容器と、
    触媒反応容器に流体の通過を可能にする通気性を有するとともに塊状触媒に接触して触媒層を保持する触媒保持器と、
    触媒反応容器内の触媒保持器の外周部での触媒の落下を防止する落下防止板と、
    触媒保持器を昇降させることにより触媒層を昇降させるための駆動機構と
    を具備し、
    前記落下防止板は、中央部に開口を有し、外周部にエッジ部および逃げ角を有し、
    前記落下防止板の外周部は、前記触媒保持器の外周部上端に設けられていることを特徴とする、連続式固定床触媒反応装置。
  2. 触媒反応用の原料ガスの流入路及び改質ガスの流出路と、
    流入路及び流出路に接続された触媒反応容器であり、反応容器内壁に接して塊状触媒の触媒層を収容する触媒反応容器と、
    触媒反応容器に流体の通過を可能にする通気性を有するとともに塊状触媒に接触して触媒層を保持する触媒保持器と、
    触媒保持器を昇降させることにより触媒層を昇降させるための駆動機構と
    を具備し、
    前記触媒保持器が、外周側面に、触媒保持器の外周部での触媒の落下を防止するエッジ部および逃げ角を有する形状であることを特徴とする、連続式固定床触媒反応装置。
  3. 前記触媒反応容器の中心軸および駆動機構の動作方向が略鉛直方向であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の連続式固定床触媒反応装置。
  4. 前記触媒保持器として、前記塊状触媒を略平行に配置されたピンの先端部で保持し、前記触媒反応用の原料ガスが当該ピンの間の空間を流通できる構造を有する触媒保持器を用いることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の連続式固定床触媒反応装置。
  5. 前記触媒反応用の原料ガスが炭化水素を含有するガスであり、触媒反応による生成物がガスと固体の炭化水素または固体のカーボンとであることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の連続式固定床触媒反応装置。
  6. 前記触媒反応用の原料ガスがタールを含有するガスであることを特徴とする、請求項5に記載の連続式固定床触媒反応装置。
  7. 前記触媒が、ニッケル、マグネシウム、セリウム、アルミニウムを含む複合酸化物であって、アルミナを含まない複合酸化物からなる触媒であり、前記複合酸化物が、NiMgO、MgAl24、CeO2の結晶相からなることを特徴とする、請求項6に記載の連続式固定床触媒反応装置。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載の連続式固定床触媒反応装置を用いて、触媒反応を行うことを特徴とする、連続式固定床触媒反応方法。
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