JP6045404B2 - 連続式固定床触媒反応装置及びこれを用いた触媒反応方法 - Google Patents

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Description

本発明は、触媒を用いた流体の化学反応を行うための反応容器及びこれを用いた触媒反応方法の技術に関する。
触媒を充填した固定床触媒反応容器を用いた流体の化学反応において、触媒反応によって固体等の析出物を生成する場合には、しばしば、触媒層中の触媒間の空間にこの固体析出物が堆積して触媒層を閉塞させ、通気できなくなる問題が発生する。
例えば、特許文献1(特開2010−77219号公報)においては、水素・二酸化炭素・水蒸気・タール含有ガスを、固定床触媒反応装置において、ニッケル・セリウム・アルミニウムを含む触媒に接触させてタールガスの改質を行う技術が開示されており、この技術においては、改質中に触媒表面に固体炭素が析出し、これを除去するために水蒸気または空気を前記炭素に接触させる再生処理の必要なことが記載されている。
また、特許文献1には、移動床形式および流動床形式の触媒反応容器の使用も例示されている。これらの方式では触媒表面に析出した炭素を反応作業中に除去しうる。しかし、このような反応容器は、固定床触媒反応容器に比べて装置が複雑化することや、流動床形式の場合には操業も不安定になりやすいので、特に、高温・高圧・高腐食性流体を処理するための反応容器としては一般的ではない。
一方、移動床形式および流動床形式の触媒反応容器における上記のような問題がない固定床反応容器では、通常、触媒層を挟んだ両側に空間を設け、一方の空間から他方に流体を流通させて反応させる。触媒層の両側に空間を形成するためには、触媒の保持機構が必要であり、触媒保持機構の代表例は特許文献2(特開2011−6289号公報)に記載されているが、触媒径よりも小さな孔径を有するパンチングメタル板や網を用いて触媒の保持と通気を確保している。図8にその例を示すが、触媒反応容器1の内部に触媒2が収容されており、触媒の保持はパンチングメタル板や網3によって行われている。図1において、原料ガス4は流入口5から流入し、流出口6から改質ガス7として流出する。
反応中の固体析出物の堆積による触媒層の閉塞を防止する手段として、例えば特許文献2には、2つの触媒層の間をガスが通気する自由空間において、第1の触媒層から流出したガス中の粉塵を補足することによって第2の触媒層での閉塞を防ぐ技術が記載されている。しかしこの場合には、触媒層内部で生成し、触媒間の空間で触媒に付着・堆積する粉塵による触媒層の閉塞を防止することはできない。
特許文献3(特開2009−48797号公報)には、燃料電池用のセル内の触媒層に超音波を照射することによって、触媒上で発生した水を流出・除去する技術が記載されている。超音波は、自由空間中や粒体層・粉体層中での減衰が大きいので、照射源近傍にしか作用できない。このため、燃料電池用セル内の触媒層のように比較的小型のものには有効であるが、大量の流体を処理する大型の触媒層では、超音波によって触媒層全体を振動させることは困難である。
特許文献4(特開2008−120604号公報)には、炭化水素の水蒸気改質を低温で実施することによりコーキングを抑制する技術が記載されている。しかし、触媒反応には触媒耐久性および反応速度上の観点から最適な反応温度条件が存在し、コーキングによる触媒層の閉塞は、この最適条件において発生している。そのため、触媒反応温度を低下させてしまうと、反応の最適条件ではなくなるので、触媒性能が低下する問題がある。
特許文献5(特開平8−24622号公報)には、従来技術として、移動床触媒反応容器における堆積ダストによる触媒層の部分閉塞を槌打装置やバイブレータによって除去することが記載されている。この場合には、槌打やバイブレーションによって、触媒の充填率が上昇して触媒間の空間が狭まり、触媒の流動性がかえって悪化する問題がある。
非特許文献1には、特殊な固定床触媒反応容器として、平行流式、モノリス式、管壁式等が記載されている。これらはいずれも、触媒反応容器内に触媒層と、触媒層に囲まれた専用の気流路を設けることによって、触媒反応容器内の通気抵抗の低減を図っている。簡単に言うと、平行流式では、網などで両端を保持した通常の触媒層を平行に複数並べ、触媒層間の空間を専用気流路とする。モノリス式では、ハニカム構造等の構造物の表面に触媒を担持し、ハニカム構造の孔を専用気流路とする。管壁式では、管路内を専用気流路とし、管内面に触媒を担持する。
専用の気流路を設けた場合、触媒反応によって固体生成物が生じると、専用気流路を構成する触媒表面に固体生成物が堆積して専用気流路の流路幅が狭まり、閉塞を生じることがある。あるいは、気流路の閉塞を生じない場合でも、専用気流路を構成する触媒表面に堆積した固体生成物によって専用気流路と触媒層間の流体の交換が阻まれるので、原料ガスが活性を保持した触媒と接触することなく流出して触媒反応効率が著しく減少してしまうという「吹き抜け」現象を生じる。あるいは、モノリス式のように反応容器内に専用気流路が複数存在し、各専用気流路が互いに孤立(即ち、隣接する気流路間での物質交換およびこれに伴う熱交換の抑制された状態)しており、反応容器の奥深い部位での専用気流路内では外部から熱供給を行えない気流路を設けた反応容器において、触媒反応が強い吸熱反応の場合には、上流側の反応によって下流では流体温度が大きく低下して反応可能温度以下となり、反応効率が極端に低下してしまう。逆に触媒反応が強い発熱反応の場合には、反応容器の奥深い部位では発生した熱量を反応容器を通じて外部に放出できないので、下流では流体温度が過度に上昇して触媒を失活させたり、触媒反応容器を焼損することがある。
さらに、モノリス式の場合、一般に複雑な形状で大型となるモノリス全体を、触媒を担持するための担体、または、触媒自身の単一構造物として成形する必要があるため、触媒製造技術上、適用できる触媒設計(構造)が比較的単純なもの(例えば、単一化学成分種の触媒を担体表面に均一塗布する等)に限られるという問題がある。このため、例えば、タール改質触媒のように、表面が複数の異なる化学種成分の区画に微細に分割されて各化学種成分が互いに協調して触媒効果を発揮するような複雑な設計(構造)の触媒にモノリス式を適用することは、著しく困難であり、可能だとしても極めて高価なものになる。
特開2010−77219号公報 特開2011−6289号公報 特開2009−48797号公報 特開2008−120604号公報 特開平8−24622号公報
触媒学会編:触媒講座第6巻(工学編2)触媒反応装置とその設計,講談社(東京),1985,pp.100−169
このように、従来技術では大型の固定床触媒層内で生成・堆積する固体生成物を有効に除去する手段がなかった。本発明の目的は、大型の固定床触媒層内で生成・堆積する固体生成物の除去に有効な手段を備えた連続式固定床触媒反応装置と、これを用いて原料ガス、特にタール含有原料ガスを、高効率に改質する触媒反応方法を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明者の研究の結果、以下の解決方法を発明するに至った。
[1] 触媒反応用の原料ガスの流入路及び改質ガスの流出路と、流入路及び流出路に接続され、かつ触媒を収容する触媒反応容器とを有する連続式固定床触媒反応装置であって、
円柱状の触媒と、
複数の円柱状の触媒を立設する保持板と、
隣り合う円柱状の触媒間の空間内に配置される清掃体17と、
触媒反応容器内において前記円柱状の触媒と前記清掃体17との間で相対運動を生じるように、前記円柱状の触媒と前記清掃体17のいずれかまたは両方を、往復運動させるための駆動機構と、
を具備することを特徴とする、連続式固定床触媒反応装置。
[2] 前記円柱状の触媒と前記清掃体17との間で相対運動の方向が、ガス主流方向であることを特徴とする、[1]に記載の連続式固定床触媒反応装置。
[3] 前記触媒反応容器内において前記円柱状の触媒間に溜まった滞留物が落下除去されるための通路の方向がガス主流方向であることを特徴とする、[2]に記載の連続式固定床触媒反応装置。
[4] 前記ガス主流方向が略鉛直方向であり、
前記清掃体17が反応容器によって鉛直方向の可動性を拘束される清掃体17であり、
前記保持板が前記円柱状の触媒を略水平方向に保持する保持板であり、
前記駆動機構が前記保持板に接続して前記保持板を略鉛直方向に昇降させる駆動装置であることを特徴とする[3]に記載の連続式固定床触媒反応装置。
[5] 前記円柱状の触媒が複数の触媒をそれらの可動性を損なわずに貫通する中心棒から構成される触媒連であることを特徴とする、[1]から[4]のいずれか1項に記載の連続式固定床触媒反応装置。
[6] 前記触媒反応用の原料ガスが炭化水素を含有するガスであり、触媒反応による生成物がガスと固体の炭化水素または固体のカーボンとであることを特徴とする、[1]から[5]のいずれか1項に記載の連続式固定床触媒反応装置。
[7] 前記触媒反応用の原料ガスがタールを含有するガスであることを特徴とする、[6]に記載の連続式固定床触媒反応装置。
[8] 前記触媒が、ニッケル、マグネシウム、セリウム、アルミニウムを含む複合酸化物であって、アルミナを含まない複合酸化物からなる触媒であり、前記複合酸化物が、NiMgO、MgAl24、CeO2の結晶相からなることを特徴とする、[1]から[7]のいずれか1項に記載の連続式固定床触媒反応装置。
[9] [1]から[8]のいずれか1項に記載の連続式固定床触媒反応装置を用いて、触媒反応を行うことを特徴とする、連続式固定床触媒反応方法。
以下、簡単のために、固体炭化水素(コークともよぶ)及び固体のカ-ボンを単に「カーボン」または「固体カーボン」とよぶことにする。
ここで、本発明者が本発明に到達した経緯を説明すると、次のとおりである。
本発明者らの調査の結果、固定床触媒層中の触媒間に生成固体カーボンの堆積する機構は次のとおりであることがわかった。
(1)固定床触媒層中の隣り合う複数の触媒で形成される触媒間空間において、主流の上流側の隙間から原料ガス(一部改質済み)が流入し、主流の下流側の隙間から改質されたガス(一部は残留した原料ガス)が改質ガスとして流出する。
(2)触媒間空間に供給された原料ガスが触媒反応によって改質される際、触媒表面で生成した固体カーボンの一部が触媒表面に付着する。
(3)触媒間空間に供給された原料ガスが触媒反応によって改質される際、触媒表面で生成し、気流によって触媒表面から離脱した固体カーボン微粒子は、上記の既に触媒表面に付着した固体カーボン上に付着して、触媒表面で直径数十μmから約1mmのカーボン球が成長する。
(4)上記のカーボン球は、時に触媒表面から離脱し、既に存在する他のカーボン球の上に再付着するなどして、触媒表面に多層のカーボン球から構成される厚みが数mmにもおよぶ固体カーボンの堆積層が形成される。
(5)この固体カーボン堆積層は実質的に多孔質であるので、高速のガスが通気する際には大きな圧力損失を生じる。
(6)特定の触媒間空間での通気抵抗が過大となれば、主流は、他のより通気抵抗の低い触媒間空間を優先的に通気するようになる。但し、固体カーボン堆積層が多孔質であるため、固体カーボンの堆積によって通気抵抗が過大になった空間においても、触媒間空間へのガスの流れが完全に遮断されるわけではなく、触媒表面には低流量で原料ガスが供給され続ける。この結果、触媒表面でのガス改質による固体カーボンの成長は常に進行し続ける(但し、触媒表面での露出面積は減少するので、改質速度は初期に比べて大幅に低下する)。
(7)触媒層中の大半の触媒間空間において固体カーボンの堆積が進むと触媒層全体としての圧力損失が過大となり、「閉塞状態」が生じる(触媒反応容器では所与の流量で原料ガスを処理しなければならず、この所与のガス流量時にいずれの触媒間空間を通気しても圧力損失が反応装置の許容値(ガス搬送能力や容器の強度等によって定まる)を超えることが避けられない状態で触媒層は実質的な「閉塞」となる)。
水素・二酸化炭素・水蒸気・タール含有ガスの改質反応を行い、閉塞を生じた固定床触媒反応容器の触媒表面から固体カーボン堆積層を単独で取り出し、容器の中に入れて軽くシェイクする様な機械的外力を加えると、構成単位であるカーボン球の境界で容易に分離し、粉化した。このような固体カーボンの堆積により閉塞を生じた触媒層から固体カーボンを除去するために、本発明者らは、種々の対策を試みた。
第1の対策として、触媒層外部からのブローによる触媒層の逆洗を試みた。詳しく言えば、反応容器内に触媒層の下流側に窒素ガス供給配管を設け、触媒層に対して高速窒素流を噴射して、触媒層の逆洗を試みた。逆洗は、粉塵除去用のフィルタの閉塞時の対策として一般に用いられる手法である。
結果として、一部の固体カーボンは除去されたが、触媒層の圧力損失の変化は軽微であり、閉塞を解消する効果はなかった。その理由としては、次のことが考えられる。
1)フィルタの場合、上流からフィルタ内に流入した粉塵粒のうち、フィルタの目開きよりも大きいものをその場で捕集する。フィルタは、通常、上流ほど目開きが大きい。従って、フィルタの閉塞部に対して主流の下流側から高速流を供給して逆洗を行う場合、捕集された粉塵粒のうちフィルタの目から離脱したものは、高速気流に搬送されて主流の上流側に進行する際、より大きな目開きを通過するので、メッシュに再捕集されることは少なく、フィルタ外に排出できる。
一方、本発明が対象とする触媒反応副生物である固体カーボンなどの堆積層は、主流の上流から流入するのではなく、触媒間空間中で、ガスを原料として生成する。このため、堆積カーボンの大きさが触媒間空間の流出入の隙間よりも小さいとは限らないので、そのままでは触媒間空間から流出できない堆積カーボンが多量に存在する。
カーボン堆積層を破壊して微粉化すれば触媒間空間から流出できる可能性がある。しかし、気流が堆積カーボンに与える応力は一般に小さいので(触媒層全体に大きい気圧差を与えても、触媒層中で触媒は、通常多数の層で積載されているいので、個々の触媒間空間の入側−出側気圧差は微小となり、大きな応力を堆積カーボンに与えることはできない)、堆積カーボン層を破壊することはできない。
2)一部のカーボンを除去した時点で、カーボン除去の結果として通気抵抗の小さくなった少数の触媒間空間を連ねた狭い流路が触媒層の中に新たに形成され、主流の大半はこの流路に集中して流れる。この際、新たに形成された流路以外の触媒間空間には気流はほとんど通過しないので、これ以上カーボンが除去されることはない。このため、主流が通過する狭い流路で流速が上昇して大きな圧力損失が生じるので、閉塞状態はあまり改善されない。このように形成された新たな流路も、流路内で新たなカーボンが生成・堆積することよって急速に再閉塞していくので、逆洗の効果は短時間とならざるをえない。その一方、早期に失活を生じた触媒によって構成される(囲まれる)触媒間空間ではこのような触媒間空間の再閉塞を生じない。しかし、そもそも、主流が失活した触媒のみと接触して触媒層を通過するのであれば、ガスの改質を行えないので、触媒反応容器としての性能を発揮できない。
これらから、次のように結論することができる。
すなわち、一般に、閉塞を生じた触媒層においては、
[個々の堆積カーボンの大きさ]>[当該触媒間空間の隙間]
の状態となっており、
[個々の堆積カーボンの大きさ]<[当該触媒間空間の隙間]
としない限り、触媒層からカーボンを大量に除去することはできず、触媒層外部からのブローによる触媒層の逆洗はこれに有効ではない。
そこで次に、第2の対策として、反応容器外面を槌打して、堆積カーボン層の破壊、または触媒間空間の拡大を試みた。
結果として、最初の閉塞発生後に槌打(第1回目の槌打)すると、一部の堆積カーボンを除去でき、圧力損失も半分程度に減少し、一定の効果が見られた。この後、再閉塞発生後に再び槌打(第2回目の槌打)すると、堆積カーボンの除去は微小であり、圧力損失の変化はなく、閉塞を回避することはできなかった。すなわち、反応容器外面の槌打は、2回目以降は堆積カーボンの除去に有効でないことがわかった。その理由としては、次のことが考えられる。
1)通常、触媒を反応容器内に積層する際には上部から単純に落下させるので、触媒層における触媒は最密充填状態にはない。ここに、第1回目の槌打を加えると、振動によって触媒が最密充填あるいはそれに近い状態になる(簡単にするために、以下ではこれを「最密重点化」と称することにする)。最密充填化の過程で触媒間の相対位置は、合計で触媒代表長さの30%程度の大きさで移動する。この相対位置の移動時(即ち、触媒間相対運動)に、一部の堆積カーボンが触媒との接触応力によって破壊されて小型化するとともに、触媒間の間隔が一時的に広がる瞬間を生じるので、
[個々の堆積カーボンの大きさ]<[当該触媒間空間の隙間]
の関係が実現されて触媒層中を落下し、遂には触媒層から除去された。
2)一方、第1回の槌打終了後に触媒層は最密充填化されているので、第2回目以降の槌打を行っても触媒間の相対位置はほとんど変化せず、堆積カーボンの破壊や触媒間の間隔の広がりは生じない。このため、第2回目以降の槌打では堆積カーボンの除去の効果が認められなかった。
これらから、次のように結論することができる。
すなわち、1回限りの閉塞解消効果では、多くの場合、触媒反応容器における所要処理継続時間を満足できないので、反応容器外面の槌打は堆積カーボンの継続的な除去のためには不十分である。触媒層から堆積カーボンを継続的に除去するためには、
[個々の堆積カーボンの大きさ]<[当該触媒間空間の隙間]
とした後に、触媒層の最密充填状態を解消する手段が必要である。
前述の結論を踏まえ、第3の対策として、内部に貫通孔を有する複数の触媒を用いて個々の触媒を中心棒で貫いて一列に整列させたものとして定義する「触媒連」を用い、複数の触媒連を、間隔をあけて配列して形成したものとして定義する「触媒柵」を触媒反応容器内に配置して、各触媒連間の空間を専用気流路とし、触媒反応容装置の運転を開始してから一定時間経過後に短時間往復運動させることを試みた。その結果、次のことがわかった。
(a)反応の初期状態から反応固体生成物の触媒表面への堆積が所定量進むまでの期間では、
[個々の堆積カーボンの大きさ]<[当該触媒間空間の隙間(専用気流路の幅)]
を実現できている。従って、固体生成物が触媒上に所定量堆積するまでの間に触媒柵を往復運動させることによって堆積物を触媒表面から離脱させることができる。さらに、離脱させた固体生成物を、専用気流路を通じて落下または気流搬送することによって、触媒反応容器外に排出することができる。このようにして、触媒表面の生成物を除去することによって、触媒表面での生成物堆積状態を反応の初期状態と同様の状態に戻すことができるので、この往復運動操作を生成物の堆積が進行するたびに繰り返すことによって、反応容器の通気性を常に良好に保つことができる。
ここで、本発明では、従来の単純な積層構造の触媒層と同一レベルの触媒充填率を維持しつつ、気流路を集約して各気流路の空間を広大なもの(例えば、主流方向に触媒容器高さのレベル、かつ、主流垂直方向に触媒断面積と同等レベル)とした集約気流路にすることができる。このため、集約気流路内での少々の生成物堆積量では反応容器の通気性が阻害されることはないので、上記の往復動作の所要頻度を、少なくすることができきる(例えば、1回/時間)。これは、従来の単純な積層構造の触媒層では触媒ごとに分散した多数の小空間であった触媒間の隙間を、本発明では少数の太い集約気流路に集約することによって、高い通気性と高い触媒充填率を両立できるからである。一方、従来の単純な積層構造の触媒層では、個々の触媒が互いに支え合って触媒層を形成・保持するという構造であるため、隣接する触媒間で構成される気流路は、触媒ごとに細分化されるとともに狭窄部を生じ易い。このような触媒層では気流路の狭窄部において高々、触媒断面積の1/10程度の流路断面積しか確保できないため、気流路内での少量の生成物の堆積があっても、反応容器の通気抵抗が急上昇してしまう(気流路の通気抵抗は、一般に狭窄部での流路断面積に依存する)。しかも、この方式に限らず、従来の触媒層では気流路に一旦、生成物が堆積すると、これを取り除く手段が存在しなかったので、反応によって固体生成物を生じ易い反応容器では、通気抵抗の上昇による制約によって、連続運転可能な時間は極めて短いものであった。
(粒子落下路)
清掃体17によって触媒間の固着固体カーボンを破砕したとしても、破砕された触媒間の固体カーボン粒子が触媒間空間から効率的に除去されなければ、集約気流路の通気性を改善することはできない。この観点から、粒子を触媒間から落下除去させるための通路である粒子落下路の確保も通気性改善のためには必要な機能である。本発明では、触媒間の空間を集約し、かつ、互いに触媒間空間が連結しているので、この空間を粒子落下路とすることによってより大きな粒子を速やかに落下させることができ、粒子の落下性に関して好適である。
粒子落下路は、集約気流路と一致してもよいし、集約気流路とは別に設けてもよい。図1の例では、集約気流路と直交して鉛直方向に一直線の粒子落下路が設定されている。
(b)特に、円柱状触媒として複数のリング状の触媒の中心孔を中心棒で貫いて円柱状に一体化した触媒連を用いた場合、円柱状触媒(触媒連)と清掃体17間の相対運動時には、各触媒連において、隣あう触媒は互いに結合されていないので、触媒間での相対運動を容易に生じる(例えば、触媒内孔壁と、これに接する中心棒表面間の摩擦力は触媒によって異なるので、上記相対運動が一定の速度で生じたとしても、清掃体17-触媒間の作用力と中心棒-触媒間の作用力のばらつきによって、個々の触媒の運動も触媒ごとに異なったものになる)。そのため、触媒間での衝突が容易に生じるので衝突時に各触媒で強い表面振動を生じて生成物を触媒表面から離脱させることができる。
(c)円柱状触媒と清掃体17間を定期的に相対運動させることによって触媒表面のバルク状の生成物の堆積が少なくなるので、触媒反応容器内で原料ガスが常に触媒表面に到達できる。このため、触媒反応効率の低下が少ない。
(d)円柱状触媒間の専用気流路が互いに連結しているので流体の主流垂直方向にガスが拡散(物質交換およびこれに伴う熱交換)しやすい。このため、加熱面(触媒反応が吸熱反応の場合)である触媒反応容器の外壁面から遠く離れた触媒に対しても、ガス拡散によって加熱面から十分に熱を供給することがきでき、吹き抜けを生じにくい。
(e)清掃体17がなく、単に円柱状触媒のみに槌打や往復運動を与える場合に比べて、円柱状触媒と清掃体17間を定期的に相対運動させることによって、円柱状触媒間を架橋するような大規模なコーキングに対して生成した固体カーボン塊を有効に破壊して粒子化でき、さらに、粒子落下路を通じて、この破壊された固体カーボン粒子を下方へ落下させて反応器の流路から効率的に除去することができる。
こうして、本発明は、円柱状の触媒を複数用い、各触媒連間の空間を専用気流路及び粒子落下路とするとともに、円柱状の触媒の集合体である触媒柵を触媒反応容器内で往復運動させることによって、触媒層全域(触媒柵全体)において触媒表面に堆積した固体生成物を効率的に落下させて触媒層(触媒柵)から除去できるという顕著な効果を奏するものである。
従って、本発明は、固定床触媒層内で触媒上に生成・堆積する固体生成物の除去に好適に適用することができる。例えば、ニッケル、マグネシウム、セリウム、ジルコニウム、アルミニウムを含む複合金属酸化物触媒によるタール含有ガスの改質反応では、他の反応に比べて触媒表面への固体カーボンの堆積量が多く、それを除去するニーズがより高い。本発明は、このように他の反応に比べ触媒表面への固体カーボンの堆積量が多いタール含有ガス改質反応用の触媒を用いる場合においても、触媒上に生成・堆積する固体生成物の効率的な除去を可能にする。
本発明の対象である触媒固定床と異なり、移動床は、原則として反応中に絶えず触媒を移動(および撹拌)させる。それに対し、本発明では、反応容器内での触媒層の移動を間欠的に、短時間実施すればよいので、反応中に触媒撹拌を行う必要はない。さらに、移動床では、反応中に一定量の触媒を系外に排出するとともに同量の触媒を系外から供給する。それに対し、本発明では、反応中に触媒の入れ替えは行わない(触媒層が固定床であるから)。
本発明の触媒反応装置によれば、固定床触媒層内で触媒上に生成・堆積して触媒性能を低下させる原因となる固体堆積物を、清掃体と触媒間で相対運動させることにより、効率よく除去することができる。さらに、本発明の触媒反応装置では、触媒反応容器内において隣り合う円柱状の触媒どうしは一定の間隔をあけて配置されるため、触媒をランダムに充填して構成される触媒層などにおいて生じる触媒間の空間での固体生成物の堆積による閉塞の問題は、本質的に回避される。そのため、従来のように触媒や触媒保持器を洗浄するために運転を停止する必要なしに、反応装置を連続運転することが可能となる。また、その触媒反応装置を用いて、固体カーボンなどの固体生成物を発生する触媒反応を高い効率で行うことができる。
本発明の第1の実施形態の触媒反応器(水平通気型)の模式図である。 本発明の第2の実施形態の触媒反応器(垂直通気型)の模式図である。 第2の実施形態の触媒反応器に用いる清掃体の模式図である。 触媒連の模式図である。 触媒柵の模式図である。 その他の実施形態の触媒反応器の模式図である。 実施例1の試験結果である反応時間と圧力損失及び水素増幅率との関係を表わすグラフである。 従来技術の触媒反応器の模式図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
[第1の実施形態]
(全体構造)
図1に、本発明の第1の実施形態の連続式固定床触媒反応装置10を示す。この図の(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。本発明の触媒反応装置10は、反応容器11を含み、その内部に、保持板12によって保持された円柱状の触媒13の集合体である触媒柵16が収容されている。
このように、円柱状の触媒13とその集合体である触媒柵16を用いることが本発明の一つの特徴である。触媒柵16は、図5に示したように、複数の円柱状の触媒13を略水平に固定する、保持板12により形成される。
本発明のもう一つの特徴は、上記の円柱状の触媒13の間の空間に棒状、管状または板状の清掃体17を設けるとともに、清掃体17と円柱状の触媒13を相対運動させるための機構を備えることである。清掃体17と円柱状の触媒3のいずれか、または両方に駆動装置20を設けることによって、清掃体17と円柱状の触媒3間を相対運動させることができる。この相対運動をより効率的に実現するために、複数の清掃体17を拘束した清掃体保持器18を設けて、この清掃体保持器18と触媒柵16の支持板12のいずれか、または両方に駆動装置20を連結して、清掃体17および/または円柱状の触媒3をまとめて一斉に移動させることができる。
反応容器11には、流入口から原料ガス25が供給されて、触媒柵16を通過する際に反応し、触媒層からの改質ガス26は反応容器11の流出口から改質ガス流出路31へ排出される。原料ガス25の例は、炭化水素を含有するガス、炭化水素とともにタールを含有するガスなどでよい。改質ガス26の例は、炭化水素を含有するガスを改質して得られる改質ガスなどでよい。触媒の例を挙げると、炭化水素改質用の触媒などでよく、その表面には触媒反応の副生物として固形物、例えば固体カーボンなどが堆積する。触媒反応が吸熱反応の場合、反応に必要な温度と熱を、触媒反応容器11を例えば加熱炉(図示せず)中に配置することにより、与えてもよい。触媒反応が発熱反応の場合は、反応熱を、触媒反応容器の外部に設けた冷媒流路(図示せず)に冷媒を流すなどにより除去してもよい。
触媒柵の構造、ガス主流方向、清掃器保持器-触媒柵間相対運動方向、並びに、除去した固体カーボンの排出方向の関係について、図1の実施態様を参照して説明する。なお、ガス主流方向を、反応容器内を通過するガス全体の平均速度方向と定義する。原則として、反応容器軸方向と一致する。
触媒13を立設して複数の触媒柵16を保持する保持板12は、鉛直、かつガス主流に平行方向に設けられ、反応容器11に固定する。各円柱状の触媒13及び円柱状の触媒13を連ねた触媒連15は、互いに等間隔、かつ、水平に保持板12上に固定され(立設され)、保持板12と平行な断面において、各触媒断面は、正方格子を形成する(図1(b)参照)。
図1中の矢印で示されているガス主流26方向は、触媒層・触媒柵16内で水平方向である。触媒層内の触媒間を流れる原料ガス/改質ガスの集約気流路28も、水平方向である。
触媒の間に挿入される長尺板状の清掃体17は、水平方向、すなわち、集約気流路16方向に配置され、清掃器保持器-触媒柵間相対運動方向も集約気流路28の方向、すなわち、水平方向である。各清掃体17の基部は垂直配置された清掃器保持器18に接続し、各清掃体17の可動性は、少なくとも、清掃器保持器-触媒柵間相対運動方向で清掃器保持器18の位置に拘束されている。清掃体17の拘束方法は、たとえば、清掃体17を清掃体保持器18に溶接したり、清掃体17をピンで清掃体保持器18に留める等であることができる。
清掃器保持器-触媒柵間相対運動の駆動方法としては、たとえば、清掃体保持器18に水平方向に往復動可能な駆動装置(往復動装置)20を接続する。
このように構成すると、清掃器保持器-触媒柵間相対運動方向である清掃方向は、集約気流路28と一致するので、集約気流路28に固着・堆積した固体カーボンをより効率的に(集約気流路の全長を一度に)、破砕、除去できる効果ある。また、清掃体17とガス主流方向26が平行なので、清掃体17が通気抵抗を生じにくい利点がある。
集約気流路28から破砕・除去された固体カーボンは、鉛直方向に形成された排出路(粒子落下路)29を通って落下し、排出される。円柱状の触媒13が鉛直断面内で正方格子配置であるので、粒子落下路28を鉛直方向に一直線に設けることができ、破砕・除去された固体カーボンを円滑に落下させて、反応器内の主要部から排除できる。
清掃体17は、全ての集約流路28内に配置してよいし、通気性確保のために最低限必要な割合で選定された一部の集約通路内のみに設置してもよい。
(反応容器の形状)
反応容器11は、両端近傍に原料ガス流入路31、改質ガス流出路32の開口を有し、これらの開口間に触媒柵16を収納できるものであればどのような形状でもよい。反応容器11は、例えば、円筒状、角型ダクト状などの形状であることができる。以下では、角型ダクト状の反応容器を例に説明する。
以下の説明において、「容器の中心軸」とは、容器のガス主流方向の垂直断面(図1では鉛直断面)の図心をガス主流方向に連ねたものと定義する。「反応容器厚」は、ガス主流方向の垂直断面における反応容器の代表長さのうちの最小の長さに相当し、「反応容器幅」は、ガス主流方向の垂直断面における反応容器の代表長さのうちの最大の長さに相当する。「反応容器高さ」は、ガス主流方向の反応容器の長さに相当する(「反応容器高さ」は、高さと表現されるが、図1では水平方向である)。容器が円筒の場合には、容器の「幅」および「厚」を「直径」と置き換えればよい。
(反応容器の材質)
反応容器11の材質は、触媒を保持する強度、触媒反応に関与する流体への耐熱・耐食性、反応生成物への耐汚染性を有する材料であれば、どのようなものでも使用できる。例えば、炭素鋼、ステンレス鋼、ニッケル合金、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金等の金属材料、シリカ、アルミナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素等のセラミックス材料(煉瓦に加工されたものを含む)、ソーダガラス、溶融石英等のガラス材料を使用することができる。
(反応容器の寸法)
反応容器厚及び反応容器幅ともに、触媒直径よりも大きい必要がある。反応容器の厚みが大きいほど、空間を効率的に使用して多量の触媒を触媒反応容器に収納することができる。一般に触媒反応では発熱または吸熱があり、かつ、反応容器の表面を通じてこれらの熱を外部と授受するため、反応容器の厚みが大きいほど、厚み方向に熱が伝わりにくくなる。このため、反応容器の厚み(反応容器断面が円形の場合には直径)は、500mm以下であることが好ましい。また、当然のことながら、反応容器の厚みは、収納する触媒の代表寸法(例えば、触媒直径)よりも大きくなければならない。
反応容器の幅には、機能上、特段の制約はない。保持すべき触媒層体積、反応容器厚を基に、構造上・強度上の制約を考慮してエンジニアリング的に定めればよい(例えば、5000mm)。
反応容器の高さは、触媒柵の高さよりも大きくなければならない。一方、反応容器高さの上限については、機能上の制約はなく、構造上・強度上の制約を考慮してエンジニアリング的に定めればよい(例えば、5000mm)。
(触媒の材質・作用)
本発明の触媒反応装置を適用できる触媒の材質や触媒作用は、流体、特にガスを原料とする触媒反応に用いられる触媒であれば、特に制限はない。流体がガスであり、触媒反応による生成物がガスと固体または液体とである触媒反応、中でも、触媒反応用流体が炭化水素を含有するガスであり、触媒反応による生成物がガスおよび固体または液体である触媒反応、特に、触媒反応用流体がタールを含有するガスであり、触媒反応による生成物が固体の炭化水素または固体のカーボンを含む触媒反応に用いられる触媒に好適に使用できる。
一般的には、上記のような触媒反応に用いられる酸化物触媒に広く使用でき、特に触媒反応用流体がタールを含有するガスであり、触媒反応による生成物が固体の炭化水素または固体のカーボンを含む触媒反応に用いられる酸化物触媒に好適に適用できる。
本発明の触媒反応装置に好適に使用できる触媒の具体的な例としては、たとえば、ニッケル、マグネシウム、セリウム、アルミニウムを含む酸化物であって、少なくとも1種の複合酸化物を含み、単独化合物としてアルミナを含まないタール含有ガスの改質用触媒を挙げることができる(WO2010/134326)。この複合酸化物の好適な例は、NiMgO、MgAl24、CeO2の結晶相からなり、さらには、各結晶相の内、X線回折測定により求めたNiMgO結晶相の(200)面の結晶子の大きさが1nm〜50nm、MgAl24結晶相の(311)面の結晶子の大きさが1nm〜50nm、CeO2結晶相の(111)面の結晶子の大きさが1nm〜50nmである。この触媒は、炭素質原料を熱分解した際に発生する多量の硫化水素を含み、炭素析出を起こし易い縮合多環芳香族主体のタール含有ガスであっても、随伴するタール等重質炭化水素を高効率に改質して、水素、一酸化炭素、メタンを主体とする軽質炭化水素に変換すること、また、触媒性能が劣化した際、水蒸気又は空気の少なくともいずれかを高温下で触媒に接触させることにより、触媒上の析出炭素や吸着硫黄を除去して触媒性能を回復させ長期間安定した運転が可能になるという特徴を有する。
(円柱状の触媒)
円柱状の触媒は、中心となる円柱状の担体を形成し、この担体表面に上記の触媒、または、触媒原料を塗布して焼成すること等によって、形成することができる。
担体の材質は、反応温度における耐熱性、腐食性、並びに、ガス汚染性を有するものであれば、使用可能。多孔質体が好ましく、シリカ、アルミナ等の多孔質セラミックスや、表面を粗く研磨した金属棒(ステンレス鋼等)等を用いることができる。
担体の形状としては、円柱が好ましい。製造上の便宜等によっては、角柱等の異形断面であってもよい。円筒形状であっても機能上、問題ない。触媒基部(保持板固定部)への荷重を軽減するために、触媒の先端側に向けて直径を小さく設定する、円柱台状の形状であってもよい。
円柱状触媒の保持板への固定方法は、担体の強度が許すのであれば、担体基部をネジ加工して、保持板にネジ留めしてよい。図1に示す様に、保持板12に丸孔を空けて、ここに円柱状触媒13を貫通させて保持してもよい。円筒形状の場合には、保持板12上に垂直に直棒を固定して、この直棒に触媒の中心孔をはめて、固定してもよい(図5,6)。
(清掃体)
清掃体の材質は、強度、触媒反応に関与する流体への耐熱・耐食性、反応生成物への耐汚染性を有する材料であれば、どのようなものでも使用できる。例えば、炭素鋼、ステンレス鋼、ニッケル合金、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金等の金属材料、シリカ、アルミナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素等のセラミックス材料(煉瓦に加工されたものを含む)、ソーダガラス、溶融石英等のガラス材料を使用することができる。
清掃体の形状は、直棒、短冊状の平板を用いることができる。先端を面取り、または、鋭利にしてもよい。
清掃体の反応容器高さ方向の長さは、集約気流路の清掃効果を高めるために、往復動の端部で触媒柵を完全に貫通できる長さが好ましい。清掃体の反応容器厚方向の長さは、通気性および粒子落下性を良好にするために、円柱状の触媒の軸方向長さ以下が好ましい。清掃体は、往復動時に変形(特に座屈変形)・破壊しない程度の厚み(断面積)が必要である。材料強度に基づいて、適宜設計して決めることができる。
触媒間に挿入する清掃体の厚みは触媒間の間隔より薄いことが必要であるが、触媒間の間隔と清掃体の厚みの差は、集約気流路の流れを規制するので、一般的には約0.5mm以上あること、さらには1mm以上が望ましい。一方、この差が大きすぎると、触媒層内の触媒の密度が低下して反応効率が低下するので、10mmを越えないこと、さらには3mm以下であることが好ましい。
また、清掃体の幅は、触媒連の長さに対して10%以上の比率であること、さらには20%以上の比率であることが好ましい。また、この比率は、90%以下であること、さらには70%以下であることが好ましい。この比率が過小な場合、触媒間での清掃効果が十分には得られず、かつ、清掃体が細長い形状であるために破損し易いという問題がある。また、この比率が過大な場合、清掃体と触媒間での相対運動時に、清掃体の幅方向に除去されたカーボンが反応容器内壁と清掃体端部との間に挟まって相対運動を妨げる問題を生じ得る。
清掃体は、全ての気流路内に配置されることが好ましいが、必要に応じて一部の気流路内のみに配置してもよい。例えば、コーキングによるカーボン生成が触媒層中で偏在する場合には、コーキングを生じる領域の一部を清掃して通気性を確保すれば、コーキングを生じていない領域にガス供給を行うことができるので、一部の集約気流路、例えば、全気流路数の1/10の気流路内に清掃体を配置すればよい。
清掃体は、反応容器厚方向に複数の清掃体を配置してよい(図1(c))。
(清掃体保持器)
複数の清掃体17を安定に保持できればどのような形状でもよい。図1では平板である。清掃体保持器18の材質としては、清掃体17と同様の材質を適用できる。
(清掃体保持器18の駆動機構)
本実施形態では、清掃体保持器18を往復運動させることによって清掃体17を触媒柵16内で相対運動させる。そのために、本実施形態の反応容器11には清掃体保持器18を往復動させる駆動機構20が装備される。駆動機構20には、エアシリンダ、ラックピニオン等の歯車を利用した往復動装置などの、一般的な駆動機構を用いることができる。清掃体保持器18は、伝導軸22を用いて往復動装置に結合される。往復動装置21を作動させると、清掃体保持器18の全体が反応容器11の軸線に沿って移動して、触媒柵16の中を反応容器11の軸線に沿って前後に移動させる。
少なくとも伝導軸22の清掃体保持器18側の一部は反応容器11、または、原料ガス流入路20や改質ガス流出路21の内側に存在する必要がある。往復動装置21は、反応容器11の外部に設けることができる。反応容器11を例えば加熱炉などの加熱装置(図示せず)内に配置する場合には、往復動装置21を加熱装置外に設けることもできる。この場合、市販の昇降装置を使える一方で、伝導軸22が反応容器11を貫通する部分を高温用パッキン等で封止する必要がある。
駆動機構20全体を、図1に示したように反応容器11内に設ける場合には、往復動装置21を、例えば反応容器11内の高温や腐食性物質から保護するために、耐熱・耐食性のものとする必要がある。これは、一例として、駆動機構20のエアシリンダ全体をハステロイ(登録商標)等の耐熱合金製とすることによって実現できる。この場合、エアシリンダへの供給エア配管(図示せず)は反応容器11を貫通するが、この部分は非可動部なので、配管を全周溶接するなどして封止を図ればよい。
(その他の適用可能な例)
本発明は、上記に例示した触媒反応装置及び触媒のほか、コーキング等を生じる、下記の触媒反応装置にも好適に使用できる。
1)メタン改質触媒反応装置:特開2006−35172号公報の「比較例」には、炭化水素であるメタンガスを原料ガスとして大量のコーキング(炭素析出)が発生することが記載されている。
2)都市ガス改質触媒反応装置:特許文献2にコーキングの事例が記載されている。
3)その他、LPG等の各種石油精製ガスや天然ガスの改質のための触媒反応装置、水素を含有するガスと酸化剤ガスを作用させて発電し、水を副生する、燃料電池用の触媒反応装置(例:特開2009−48797号公報)等に適用できる。
[第2の実施形態]
(全体構造)
次に、図2を参照して第2の実施形態の連続式固定床触媒反応装置を説明する。この図の(a)は平面図、(b)正面図、(c)は側面図である。本発明の触媒反応装置10は、反応容器11を含み、その内部に、保持板12によって保持された触媒連15の集合体である触媒柵16が収容されている。
反応容器11には、下方から原料ガス25が供給されて、その主流が触媒柵16を通過する際に反応し、触媒層からの改質ガス26は反応容器11の上方から排出される。場合により、反応容器11への原料ガスは、図1とは逆に、触媒柵16の上方から下方へ流れるように供給することも可能である。
反応容器11は、両端に開口を有する。その開口の1つは、触媒反応用流体(原料ガス)の流入路を構成する供給管(原料ガス流入路)31に通じており、触媒反応用流体の反応容器11へ流入口に当たるものである。もう1つの開口は、反応容器11の改質ガスの流出路を構成する排出管(改質ガス流出路)32に通じており、改質ガスの反応容器11からの流出口に当たるものである。
この実施形態では、触媒連15の両端を保持板12に固定して、触媒柵16が形成されている。保持板12は触媒柵16の下方へ延長して、昇降機構20の伝導軸22と連結している。駆動機構20は昇降装置21と、昇降装置21を保持板12につなぐ伝導軸22で構成されており、昇降装置21を昇降させることにより触媒柵16を一斉に上下方向に往復運動させる。
清掃体17は、触媒柵16内に挿入されて配置されるとともに、清掃体保持器18に接続して少なくとも上下方向の位置を清掃器保持体位置に拘束されている。清掃体保持器18は、反応容器に固定されている。その結果、触媒柵16を昇降する際には、反応容器に固定された清掃体17と触媒柵16の間で相対運動を生じて気流路27の清掃がなされる(図3も参照される)。
触媒柵の構造、ガス主流方向、清掃器保持器-触媒柵間相対運動方向、並びに、除去した固体カーボンの排出方向の関係について図2の例で説明する。
触媒柵16において、保持板12は、鉛直、かつガス主流26に平行方向に設けられ、上下方向に可動である。各円柱状の触媒13は、互いに等間隔、かつ、水平に保持板12上に固定され、保持板12との平行断面において、各触媒断面は、鉛直方向に整列している。
ガス主流方向16は、触媒柵16内で鉛直方向である。触媒柵16内で触媒13の間に形成される集約気流路27は、鉛直方向、かつ、一直線である。
各清掃体17は、集約気流路27の方向に配置され、清掃器保持器-触媒柵間相対運動方向も集約気流路方向である。集約気流路27から破砕・除去された固体カーボンの排出路(粒子落下路)28も、鉛直方向である。
図2に示す第2の実施形態の特徴は、集約気流路方向27、清掃方向、粒子落下方向28が全て一致し、かつ、一直線であること、鉛直方向であることである。その結果、破砕・除去された固体カーボンをより効率的に落下させて、反応器内の主要部から排除することが可能であるので、好ましい。
第1の実施形態では、水平方向に隣り合う円柱状触媒13間で固体カーボンが架橋を生じると、除去手段がなく、かつ、粒子落下方向29とは交錯するので、より上方から落下してきた固体カーボン粉の落下の妨げになりうる。一方、第2の実施形態では、鉛直方向で隣り合う円柱状触媒13間で固体カーボンが架橋を生じても、粒子落下方向28とは交錯しないので、固体カーボン粉落下の妨げにはならない。
「容器の中心軸」、「反応容器厚」、「反応容器幅」、「反応容器高さ」等の用語の定義、並びに、反応容器の材質、反応容器の寸法、反応器への熱供給、原料ガス、触媒種等に関する考え方は、第1の実施形態でのものと同様である。
この実施形態における特徴は、次のとおりである。
(1)触媒柵16を上下に往復運動させることができる。これにより、個々の触媒13の内孔と中心棒14間で相対運動を生じて、それらの衝突が起きる。この衝突の際の振動を用いて、個々の触媒表面に生成したバルク状の固体生成物を脱落、除去する清掃効果が、第1の実施形態で述べた清掃体-円柱状触媒間の相対運動による清掃効果に加えて発現する。
(2)触媒連15を鉛直に揃えるような触媒柵16に対して、本実施形態では、触媒柵16の下方に必要な構造物を最小化できるので、触媒反応器内において、触媒柵16下方に向けて空間上の妨げが少ない。このため、本実施形態では、触媒13間で生成した固体カーボンを落下除去する際に、触媒反応器下部まで容易に落下させることができ、通気性、清掃性の点で有利である。
(3)清掃体17の長手方向が重力方向と一致するので、自重によるクリープ変形(座屈変形)を生じにくい。このため、より薄い清掃体17を適用できるので、触媒充填率、通気性、清掃性等の点で有利である。
(触媒連と触媒柵)
円柱状の触媒には、以下に説明する触媒連を用いることができる。
図5に示したように、触媒連15は、円筒状などの内部に貫通孔を有する触媒13と、一群の触媒13を貫く中心棒14により構成される。図6に示したように、触媒柵16は、一群の触媒連15を保持板12に固定して製作される。
触媒柵16が、後に説明する第3の実施形態におけるように触媒連15を水平方向に向けて反応容器11内に配置される場合には、中心棒14の両端を保持板12に接合することができる。
(触媒柵の開口率)
触媒柵の開口率は、開口率=(1−[触媒柵の主流に垂直な断面の断面積]/[触媒反応容器の主流に垂直方向の見かけ断面積])×100(%)として定義することができる。「主流」とは、反応容器11へ供給された流体が、反応容器11内でその流入口から流出口へと向かう流れ、として定義され、図2の場合には、主流は触媒連15に平行な方向の流体の流れとなる。触媒柵の開口率が大きいほど、通気抵抗が小さい。一方、開口率が過大だと必要な触媒反応容器体積が増大し、また、通気抵抗が小さいので吹き抜けも生じやすい。従って、開口率は、30%以上60%以下の範囲が好ましい。
(触媒連の中心棒)
触媒連15の中心棒14は、触媒13を貫くことでそれを損傷させないように、丸棒が好ましい。但し、加工の便宜等の理由によって、多角形断面の棒であってもよい。また、触媒13が中心棒14の周囲で移動しやすいように、中心棒は直線状であることが好ましい。但し、加工の便宜等の理由によって、曲がり棒であってもよい。
中心棒14の直径は、触媒13の孔径よりも小さくなければならない。また、触媒13の保持や昇降運動に耐えうる強度を保ち、高温時のクリープ等による座屈を避けるために、適度の直径であることが好ましい。例えば、直径1mm以上、30mm以下を適用することができる。
中心棒の材質は、強度・剛性・耐熱性等の観点から、また、高熱伝導性材料であるのが好ましいことから、金属、特に、ステンレス鋼、インコネル(登録商標)等のニッケル合金、チタン、チタン合金を用いることができる。また、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等は、高熱伝導性材料として特に好ましい。
(触媒連の長さ)
上下方向に往復運動させる触媒柵が反応容器内に収納可能である限り、触媒連の長さは触媒反応容器高さの範囲内あれば特に制約はない。中心棒で貫く触媒の数を増やすことで、触媒連長さを自由に定めることができる。但し、長い触媒連の場合、下流側では原料流体濃度が減少するので、触媒反応の反応速度は低下する。従って、処理する原料流体流量と触媒総量の比を勘案して適宜最適な長さを決めればよい。
(触媒連の作製方法)
触媒連15は、例えば、手作業で触媒を中心棒14に貫通させて作製することができる。
(触媒連の保持板)
触媒連15を支持する保持板12は、中心棒14を、溶接やねじ込みなどの方法で取り付けることができる材料で製作される。その材質は、強度・剛性・耐熱性等の観点から、中心棒と同様に、ステンレス鋼、インコネル(登録商標)等のニッケル合金、チタン、チタン合金などでよい。カラーを用いる場合、それも保持板の材料と同様の材料で製作することができる。
(清掃体)
第1の実施形態と同様のものを用いることができる。
(清掃体保持器)
図3を例として説明する。この清掃体保持器は、保持板18、清掃体17、連結手段19から構成される。本実施形態では、清掃体保持器は反応容器内の上部流路内に設置されるので、清掃体保持板18は、ガスを通気させるために、内部に開口を設ける。
清掃体17は、第1の実施形態と同様のものを用いることができる。
清掃体17の連結手段は、図3を参照すると、清掃体17の頂部近傍に丸孔を設け、ここに連結手段として連結棒19を貫通したうえで、連結棒19の両端を清掃体17保持板18に固定している。隣り合う清掃体17間に、連結棒軸方向に適宜、スペーサを設けて、清掃体17の運動をさらに拘束してもよい。
清掃体保持器18の反応容器への固定方法は、例えば、図2に示す様に、フランジ部で上下に分割可能な反応容器を用いて、清掃体保持板18の周縁部を上下から反応容器のフランジで挟んだ上でフランジ間をボルトで締結することによって、清掃体保持板を固定することができる。この際、清掃体保持板18の周縁部に、締結用のボルトが貫通できるように孔加工して用いればよい。
(触媒柵の駆動機構)
本実施形態では、第1の実施形態における往復動装置を、運動の向きを変更して上下方向に運動する昇降装置21として用いることができる。昇降装置21は、保持板12を昇降させることによってその上の触媒柵16を反応容器11内で昇降させる。保持板12は、伝導軸22を用いて昇降装置21に結合される。昇降装置21を作動させると、保持板12の全体が反応容器11の軸線に沿って移動して、触媒柵16の全体をやはり反応容器11の軸線に沿って上下に移動させる。
(保持板の昇降ストローク)
触媒間の相対運動を十分行うためには、保持板12の昇降ストロークは大きいことが好ましい。例えば、触媒外面の代表寸法(例:直径)の0.1倍程度の昇降ストロークであっても加振の効果は存在するので、触媒表面の固体カーボンなどの堆積物の除去効果は一定程度は得られる。しかし、十分な堆積物除去効果を挙げるためには、保持板12の昇降ストロークは触媒外面代表寸法の0.5倍以上であることが好ましく、1倍以上であることがより好ましい。
一方、昇降ストロークが極端に大きい場合には、反応容器11および駆動機構20が大型化するので効率的ではない。また、小さいストローク(但し、1倍以上)の昇降を繰り返し行うことで、より大きな昇降ストロークと同様の効果が得られる。よって、昇降ストロークは、触媒外面の代表寸法の10倍以下であることが好ましい。
(保持板の昇降速度)
上昇速度には特段の制約はない。下降速度は、固体堆積物を触媒表面から離脱させるのに十分な触媒間の相対運動を可能にするように設定する必要がある。極端に遅い下降速度では、触媒間で相対運動を生じないので好ましくない。下降速度は、触媒の自由落下速度(例:100mm/s)よりも速くすることができる。このようにすることによって、個々の触媒が下降する際に触媒と中心棒との接触状態に応じて下降速度のバラツキを生じ、触媒間で相対運動と衝突を生じさせることができる。
(触媒の形状)
触媒13は、触媒連15から脱落しないことが必要である。従って、中心棒14が貫通することができる孔を有する形状であることが有利である。例えば、リング状、円筒状、ダクト状等の触媒を用いることができる。また、触媒の脱落防止の要件を満たす形状として、中心棒の直径よりも開口幅の小さい馬蹄形としてもよい。
触媒13の孔寸法は、触媒連15の中心棒に対して自由に移動できるように、中心棒14の直径よりも十分に大きくなければならない。例えば、[中心孔径]を[中心棒直径]+1mmとすることができる。このようにすることで、触媒と清掃体が相対運動する際に、この相対運動による震動効果等によって触媒同士でも相対運動を生じさせることができ、触媒に付着したカーボンをより効率的に剥離、除去することができる。
[その他の実施形態]
図6(a)(b)(c)は、第3の実施形態の触媒反応装置のそれぞれ平面図、正面図、側面図である。図6に示すように、円筒状触媒13を中心棒14に挿通して形成した触媒連15を水平方向に並べ(図6(b))、両側で保持板12に格子状に接続する(図6(c))。この触媒連15が格子状に並べられて触媒柵16(触媒層)が形成される。この触媒柵に鉛直方向に清掃体17が挿入される。
清掃体17は清掃体保持器18に固定される一方、触媒保持板12に保持された触媒柵16は図2と同様の昇降装置21に伝道軸22で結合されて上下方向に往復運動することができる。
また、以上の実施形態はいずれも触媒連を直線状に形成し、平面状の触媒柵を形成したが、円筒状の触媒又は円周状に曲がった円筒状の触媒を円環状に配置して円形の触媒連を形成し、複数の円形の触媒連を同心円状に配置して同心円状に触媒を配置した触媒柵を形成し、その触媒柵の同心円状に配置されている触媒の間に清掃体を配置しても、本発明の触媒反応装置を構成することでき、本発明の効果を得ることができる。
[実施例1]
製鐵用のコークス炉から石炭乾留ガスを抽気して本発明の連続式固定床触媒反応装置を通気して改質ガスを製造する試験を行った。
(装置構成)
触媒反応装置、スクラバ、吸引用のブロワが上流化からこの順に並び、互いに通気管によって接続されており、ここを石炭乾留ガス及び改質ガスが通気する。ブロワの排気は、コークス炉に付帯するドライメーンに放出される。コークス炉と触媒反応装置の間の通気管は、電気ヒータによって加熱されて内部の石炭乾留ガス温度を維持される。
(触媒反応装置)
図2の触媒反応装置で試験した。反応容器は、ステンレス鋼製であり、寸法が150mm厚×1200mm幅×2100mm高さで、上下に開口を持つダクト形状であった。反応容器のダクトの上端と下端にそれぞれ流入管と流出管を接続して通気するようにした。触媒反応装置の外面を電気ヒータによって加熱して所要の反応温度を維持した。
(作業条件)
作業条件は、次のとおりであった。
・石炭乾留ガス流入温度: 800℃
・電気加熱炉温度: 800℃
・石炭乾留ガス流量: 平均30Nm3/h
・石炭乾留ガス通気時間: 24時間
(触媒)
触媒としては、Ni0.1Ce0.1Mg0.8Oなる成分系のものを使用した。
硝酸ニッケル、硝酸セリウム、硝酸マグネシウムを各金属元素のモル比が1:1:8になるように精秤して、60℃の加温で混合水溶液を調製したものに、60℃に加温した炭酸カリウム水溶液を加えて、ニッケル、マグネシウム、及びセリウムを水酸化物として共沈させ、スターラーで十分に攪拌した。その後、60℃に保持したまま一定時間攪拌を続けて熟成を行った後、吸引ろ過を行い、80℃の純水で十分に洗浄を行った。洗浄後に得られた沈殿物を120℃で乾燥し粗粉砕した後、空気中600℃で焼成(か焼)したものを解砕した後にビーカーに入れ、アルミナゾルを加えて攪拌羽根を取り付けた混合器で十分混合したものをなすフラスコに移してロータリーエバポレーターに取り付け、攪拌しながら吸引することで、水分を蒸発させた。なすフラスコ壁面に付着したニッケルとマグネシウムとセリウムとアルミナの化合物を蒸発皿に移して120℃で乾燥、600℃でか焼後、粉末を圧縮成形器を用いてプレス成型し、外径15mm、内径5mm、高さ15mmの円筒状成型体を得た。
その成型体を空気中950℃で焼成を行い、Ni0.1Ce0.1Mg0.8Oにアルミナが50質量%混合した触媒成型体を調製した。その成型体の成分をICP分析で確認した結果、所望の成分であることを確認した。また、その成型体を木屋式硬度計で計測したところ、約100Nの高い強度を保持することがわかった。
(触媒柵)
直径4mm、長さ50mmのステンレス製丸棒を中心棒として使用し、各中心棒に3個ずつの外径15mm長さ15mmのリング状触媒を貫通して触媒連を構成した(図2は模式的であり、触媒連の触媒の数は正確ではない)。2000本の触媒連の中心棒を互いに平行に等間隔で保持板の両面に溶接して触媒柵を形成した。保持板の底を水平な保持板に溶接し、この保持板が昇降装置に接続する配置とした。
(昇降装置の駆動機構)
・駆動装置昇降ストローク: 20mm
・駆動装置上昇速度: 10mm/秒
・駆動装置下降速度: 80mm/秒
(結果)
図7を使って試験結果を説明する。図7の横軸は通気時間(反応時間)、右側の縦軸は反応容器での圧力損失、左側の縦軸はH2増幅率(改質ガス中の水素流量/石炭乾留ガス中の水素流量)を表している。図中下向きの矢印は、昇降装置の動作タイミングである。試験中に通気抵抗の上昇が認めらたが、都度、昇降装置を動作させることによって、許容限度範囲の圧力損失に維持することができた。石炭乾留ガス通気開始後に改質性能(H2増幅率)は徐々に低下したものの、良好なレベルを維持できた。
試験終了後に、反応容器を冷却し、解体して内部を調査した結果、固体カーボンの大半は、流入管内に堆積し、触媒上には顕著なバルク状の生成物は付着していなかった。触媒の損傷は特に認められなかった。
[比較例1]
清掃体17(清掃体保持器18)がない構造とした以外の条件は、実施例1と同様にして15時間の石炭乾留ガス通気試験を行った。
(結果)
試験中の圧損失上昇は、特に顕著ではなかった。
しかし、試験後の触媒反応器の解体調査では、触媒柵内に、鉛直方向に一直線の粒子落下流路を設けたにもかかわらず、一部の粒子落下路(集約気流路)では、触媒柵の下端近傍で触媒連間に固体カーボンの水平方向の架橋が確認され、この架橋部上に固体カーボンが堆積して粒子落下路(集約気流路)を閉塞させていることがわかった。このことは、改質性能には悪影響を与えたものと考えられる。
10 連続式固定床反応装置
11 反応容器
12 保持板
13 触媒
14 中心棒
15 触媒連
16 触媒柵
17 清掃体
18 清掃体保持板
19 連結棒
20 駆動機構
21 昇降装置
22 伝導軸
25 原料ガス
26 ガス主流方向
27 改質ガス
28 集約気流路
29 粒子落下路
31 原料ガス流入路
32 改質ガス流出路

Claims (9)

  1. 触媒反応用の原料ガスの流入路及び改質ガスの流出路と、流入路及び流出路に接続され、かつ触媒を収容する触媒反応容器とを有する連続式固定床触媒反応装置であって、
    円柱状の触媒と、
    複数の円柱状の触媒を立設する保持板と、
    隣り合う円柱状の触媒間の空間内に配置される清掃体17と、
    触媒反応容器内において前記円柱状の触媒と前記清掃体17との間で相対運動を生じるように、前記円柱状の触媒と前記清掃体17のいずれかまたは両方を、往復運動させるための駆動機構と、
    を具備することを特徴とする、連続式固定床触媒反応装置。
  2. 前記円柱状の触媒と前記清掃体17との間で相対運動の方向が、ガス主流方向であることを特徴とする、請求項1に記載の連続式固定床触媒反応装置。
  3. 前記触媒反応容器内において前記円柱状の触媒間に溜まった滞留物が落下除去されるための通路の方向がガス主流方向であることを特徴とする、請求項2に記載の連続式固定床触媒反応装置。
  4. 前記ガス主流方向が略鉛直方向であり、
    前記清掃体17が反応容器によって鉛直方向の可動性を拘束される清掃体17であり、
    前記保持板が前記円柱状の触媒を略水平方向に保持する保持板であり、
    前記駆動機構が前記保持板に接続して前記保持板を略鉛直方向に昇降させる駆動装置であることを特徴とする請求項3に記載の連続式固定床触媒反応装置。
  5. 前記円柱状の触媒が複数の触媒をそれらの可動性を損なわずに貫通する中心棒から構成される触媒連であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の連続式固定床触媒反応装置。
  6. 前記触媒反応用の原料ガスが炭化水素を含有するガスであり、触媒反応による生成物がガスと固体の炭化水素または固体のカーボンとであることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の連続式固定床触媒反応装置。
  7. 前記触媒反応用の原料ガスがタールを含有するガスであることを特徴とする、請求項6に記載の連続式固定床触媒反応装置。
  8. 前記触媒が、ニッケル、マグネシウム、セリウム、アルミニウムを含む複合酸化物であって、アルミナを含まない複合酸化物からなる触媒であり、前記複合酸化物が、NiMgO、MgAl24、CeO2の結晶相からなることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の連続式固定床触媒反応装置。
  9. 請求項1から8のいずれか1項に記載の連続式固定床触媒反応装置を用いて、触媒反応を行うことを特徴とする、連続式固定床触媒反応方法。
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