JP6789462B2 - 触媒反応装置及び触媒反応方法 - Google Patents

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本発明は、触媒反応装置及び触媒反応方法に関する。
触媒を充填した固定床触媒反応器を用いた流体の化学反応においては、触媒層内に夾雑物(副生物+粉塵)が多量に堆積して原料ガスの通気を妨げる問題がしばしば発生する。ここで、触媒反応器は、少なくとも触媒層と、触媒層を収容する反応容器とを含む。夾雑物は、上流から飛来する煤塵(すなわち、原料ガスに含まれる煤塵)に由来する場合もあるが、触媒反応によって固体等の生成物を生じる場合には、この固体生成物が夾雑物となりうる。特に、例えばタール含有ガスを原料ガスとして触媒改質を行う際には、原料ガス中の炭化水素が分解して生成する固体炭化水素(コーク)が触媒粒子間の空間で成長して触媒層を閉塞させる場合がある。このように触媒層内で生成したコーク粒子は、触媒粒子間の空間のネック部(触媒粒子間の隙間断面積が最小となる部位)を通過できない大きさである場合が多いので、フィルタ閉塞時に一般的に用いられる逆洗等の方法でコークを触媒層から除去することができない。このため、触媒層中のコーク除去のために様々な技術が試みられてきた。
例えば、特許文献1(特開2010−77219号公報)においては、水素・二酸化炭素・水蒸気・タール含有ガスを、固定床触媒反応装置内で、ニッケル・セリウム・アルミニウムを含む触媒に接触させてタール含有ガスの改質を行う技術が開示されている。この技術においては、コークを除去するために水蒸気または空気を触媒に接触させる再生処理が必要なことが記載されている。
また、特許文献1には、移動床形式および流動床形式の触媒反応器の使用も例示されている。これらの方式では触媒表面に析出した炭素を反応作業中に除去しうる。しかし、このような反応器は、固定床触媒反応器に比べて装置が複雑化すること、触媒の破損や摩耗の激しいこと等の理由から、特に、高温・高圧・高腐食性流体を処理するための反応器としては一般的ではない。
一方、移動床形式および流動床形式の触媒反応器における上記のような問題がない固定床触媒反応器では、反応中に触媒層内に副生物である固体析出物が夾雑物として堆積し、触媒の反応性を低下させるとともに触媒層の通気抵抗を著しく上昇させて触媒層を閉塞させる問題がしばしば発生する。
上記の再生処理を行うことなく、反応中の固体析出物の堆積による触媒層の閉塞を防止する手段として、例えば特許文献2には、触媒反応用の原料ガスの流入路及び改質ガスの流出路と、流入路及び流出路に接続され、触媒粒子の触媒層を収容する反応容器と、流体の通過を可能にする通気性を有するとともに触媒層を保持する触媒保持器と、触媒保持器を昇降させることにより触媒層を昇降させる駆動装置(昇降装置)と、を有する連続式固定床触媒反応装置が開示されている。触媒層は、反応容器内壁に接している。
ところで、特許文献3には、上記のようなタール含有ガスを触媒反応器で改質する技術が開示されている。具体的には、特許文献3には、コークス炉等から発生した高温のタール含有ガス(ここではコークス炉ガス)を700〜1200℃で改質する技術が開示されている。また、特許文献3では、触媒反応器と原料ガス発生装置(ここではコークス炉)とを連結する原料ガス供給管毎に(例えば、コークス炉の窯毎に)遮断弁が設けられている。このように、タール含有ガスを改質するためには、原料ガス供給管毎に(例えば、コークス炉の窯毎に)遮断弁を設ける必要がある。その理由は以下のとおりである。
すなわち、コークス炉におけるコークス窯では通常、バッチ式生産を行っており、石炭装入、石炭乾留、コークス排出の順で繰り返し作業が行われる。多数のコークス窯が隣り合って配置されるコークス炉では、石炭装入作業およびコークス排出作業は、各コークス窯間でタイミングを意図的にずらして行われる。これにより、常に一定数以上のコークス窯で継続的に乾留作業が行われる。すなわち、石炭乾留時の操業安定化が図られる。
ここで、石炭装入作業時およびコークス排出作業時には、コークス窯を大気に対して開放する必要がある。このとき、コークス窯から触媒反応器にコークス炉ガスを供給する供給管の入口は、コークス窯経由で大気に開放される。触媒反応器に大気が流入すると、触媒が酸化により失活する問題を生じる。
したがって、コークス窯の大気開放時には、原料ガス供給管を閉鎖し、触媒反応器への大気流入を防止する必要がある。このため、原料ガス供給管に遮断弁を設ける必要がある。なお、複数のコークス窯から伸びる原料ガス供給管を集合管に統合して触媒反応器に接続する設備形態では、集合管のみに遮断弁を設けることも想定される。しかし、集合管のみに遮断弁を設けるだけでは、生産性を著しく低下させる。なぜならば、前述のように、各コークス窯の大気開放タイミングは、コークス窯毎に意図的にずらされる。このため、コークス炉の操業中には、いずれかのコークス窯が大気に開放されている時間割合が大きい。このため、集合管のみに遮断弁を設けた場合、いずれかのコークス窯が大気に開放されているだけで全てのコークス炉からの原料ガス供給を遮断せざるを得ない。一方、原料ガス供給管毎に遮断弁を設けた場合、大気に開放中のコークス窯に連結されている原料ガス供給管の遮断弁のみを閉止すればよい。したがって、これ以外のコークス窯から触媒反応器に原料ガスを供給することができる。したがって、原料ガスの供給管毎に遮断弁を設ける必要がある。
特開2010−77219号公報 特開2013−146703号公報 国際公開第2011/125696号公報
上記特許文献2の装置では、夾雑物の生成速度が比較的小さい場合には、触媒層中に生成した夾雑物の過半を重力で落下させて触媒層から除去することができる。しかし、触媒層中での夾雑物の生成速度が特に大きくなる場合、夾雑物の生成速度が夾雑物の除去速度を上回り、触媒層中に残留した夾雑物が徐々に触媒層中に蓄積する場合がある。
また、特許文献3の装置では、遮断弁でタールが凝縮しないように、遮断弁を高温(例えば800℃)に維持する必要があった。このため、遮断弁として高温に耐えられる高温弁を使用する必要があり、かつ、遮断弁を高温に維持するための加熱・保温装置を用意する必要もあった。
ところで、タール等の炭化水素を含有するガスを触媒反応器で改質する技術においては、反応温度を維持するために反応容器の内部も高温に維持する必要があり、反応熱を、反応容器外壁を通じて供給する。このための技術として、反応容器を細長い円筒形状にする技術が提案されている。この技術によれば、反応容器内部を少ない熱量で高温に維持することができるため、触媒反応器を高温に維持するための加熱装置として安価な装置(すなわち、発生熱量の小さい装置)を使用することができる。
ただし、円筒形状に限らず、細長い反応容器を用いる場合には、原料ガスの空間速度(SV)を同一とした条件下で触媒反応器内の原料ガスの線速度(LV)を比較した場合、反応器容器形状を細長くするほど、本技術の原料ガスの線速度が大きくなる。したがって、触媒層内で夾雑物がわずかでも堆積した場合、原料ガスが触媒層を通過した際の圧力損失がより大きくなり、触媒層が閉塞し易くなってしまう。
このため、本技術(即ち、細長い反応容器)を用いてタール含有ガスを改質する場合、夾雑物として触媒層内に堆積する副生コークを効率よく除去する必要がある。例えば、特許文献2に開示された技術は、このような問題に対処するためのものである。しかし、上述したように、夾雑物を効率よく除去できるとは言えなかった。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、夾雑物を効率よく除去することができ、安価かつ簡易に実現可能な、新規かつ改良された触媒反応装置及びこれを用いた触媒反応方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、反応容器と、反応容器内に収容され、反応容器の内壁面に接触する触媒層と、反応容器内で触媒層を保持するとともに、通気性を有する触媒保持器と、触媒層の上側及び下側のいずれかに設けられ、反応容器内に原料ガスを流入させる流入路と、触媒層の上側及び下側のうち、流入路が設けられる側の反対側に設けられ、原料ガスと触媒層との反応によって生成した改質ガスを反応容器から流出させる流出路と、反応容器の内壁面に設けられ、反応容器内の空間を仕切る弁座と、弁座を上下に貫通する通気孔と、通気孔を閉塞可能な弁体と、反応容器内に設けられ、弁体と、触媒保持器とを連結する心棒と、心棒を、弁体が通気孔を閉塞する閉塞位置と、弁体が通気孔を開放する開放位置との間で昇降させることが可能な駆動装置と、を備えることを特徴とする、触媒反応装置が提供される。
ここで、心棒が、昇降中かつ閉塞位置以外の位置にあるときに、所定の流量で原料ガスを反応容器に供給するための、流量調整部を備えていてもよい。
また、駆動装置は、心棒を閉塞位置と開放位置との中間位置に停止可能であってもよい。中間位置とは、閉塞位置と開放位置との真中に限定されず、両者間の途中の位置であればよい。
また、駆動装置は、心棒を中間位置と開放位置との間を昇降させることが可能であってもよい。
また、流入路に流入する原料ガスは、一定流量のガスを連続して生成する原料ガス発生装置で生成され、駆動装置は、心棒を昇降させる前に、心棒を閉塞位置に移動させ、流入路内のガス圧が所定値以上となった際に、心棒を閉塞位置から移動させて、原料ガスを流入させることができるものであってもよい。
また、心棒の昇降中に、原料ガスの触媒層内での線速度を、鉛直上向きに0.4m/s以上、または、鉛直下向きに0.2m/s以上とすることができるものであってもよい。
また、弁座と触媒層との間から、触媒層と反応しない、非反応性ガスを反応容器内に供給する非反応性ガス供給路を備えてもよい。
また、心棒の昇降中に、非反応性ガスの触媒層内での線速度を、鉛直上向きに0.4m/s以上、または、鉛直下向きに0.2m/s以上とすることができるものであってもよい。
また、心棒は、触媒層を貫通してもよい。
また、反応容器は円筒形状であり、心棒は反応容器の軸心に配置される丸棒であってもよい。
また、(触媒層の高さ/(反応容器の半径−心棒の半径))で表される触媒層のアスペクト比が、0.4〜2.5であってもよい。
本発明の他の観点によれば、上記の触媒反応装置を用いた触媒反応方法であって、心棒を開放位置で保持するとともに、流入路から原料ガスを反応容器内に流入させて触媒反応させる触媒反応工程と、心棒を昇降させるとともに、原料ガスを反応容器内に供給して触媒層中の夾雑物を除去する夾雑物除去工程と、を含むことを特徴とする、触媒反応方法が提供される。
本発明の他の観点によれば、上記の触媒反応装置を用いた触媒反応方法であって、心棒を開放位置で保持するとともに、流入路から原料ガスを反応容器内に流入させて触媒反応させる触媒反応工程と、心棒を昇降させるとともに、非反応性ガスを反応容器内に供給して触媒層中の夾雑物を除去する夾雑物除去工程と、を含むことを特徴とする、触媒反応方法が提供される。
ここで、原料ガスが、タールを含有するとともに、触媒層中の夾雑物がコークであってもよい。
本発明の他の観点によれば、上記の触媒反応装置であって、弁座と弁体の間の接触を検出し、検出した接触信号を外部へ送信する接触検出装置と、反応容器の表面温度および心棒の表面温度をそれぞれ経時的に計測し、各計測時点における心棒の表面温度と反応容器の表面温度との温度差を算出し、且つ、第1の計測時点での温度差と第2の計測時点での温度差との差である乖離温度差を算出できると共に、当該算出した乖離温度差のデータを外部へ送信する温度測定装置と、を更に有し、駆動装置は、弁体が弁座に接近する方向に心棒を移動させるための閉止用エア弁と、弁体が弁座から離脱する方向に心棒を移動させるための開通用エア弁とを備え、且つ、それぞれのエア弁が高圧エア源と高圧エア源よりも圧力が低い低圧エア源とに切り替えることができ、且つ、閉止用エア弁と開通用エア弁とを共に閉じて封止状態として心棒の位置を固定できるエアシリンダと、接触検出装置から送信される接触信号を受信して、閉止用エア弁と開通用エア弁の操作を制御できる制御装置とを有し、制御装置は、心棒を、弁体が弁座に接近する方向に移動させて、弁体が弁座に接触した際に接触検出装置から送信される接触信号を受信し、当該接触信号をトリガーとして、閉止用エア弁と開通用エア弁とを共に閉じて封止状態として心棒の位置を固定して、弁体の移動を停止する制御を行うことができ、且つ、エアシリンダを封止状態とした後、
(i)接触検出装置から送信されていた接触信号が受信されなくなって、弁体が弁座から離れようとする時に、封止状態を解除して、閉止用エア弁を高圧エア側に開放するとともに開通用エア弁を低圧エア源に開放して、弁体を弁座により接近する側に移動し、接触検出装置からの接触信号を再度受信した際に、当該接触信号をトリガーとして、閉止用エア弁と開通用エア弁とを共に閉じて封止状態として心棒の位置を固定して、弁体の移動を停止する制御を行うことができ、
(ii)接触検出装置が弁座と弁体の間の接触を検出した時点を、温度測定装置における第1の計測時点とし、第1の計測時点以降の各計測時刻を第2の計測時点として算出した乖離温度差が、所定の上限値以上または所定の下限値以下となって、弁体と弁座との間の圧縮応力が増加した時に、封止状態を解除して、閉止用エア弁を低圧エア源に開放するとともに開通用エア弁を高圧エア源に開放し、弁体を弁座から離れる側に移動し、接触検出装置から送信されていた接触信号が受信されなくなった時に、閉止用エア弁を高圧エア源に開放するとともに開通用エア弁を低圧エア源に開放して、弁体を弁座により接近する側に移動し、接触検出装置からの接触信号を再度受信した際に、当該接触信号をトリガーとして、閉止用エア弁と開通用エア弁とを共に閉じて封止状態として心棒の位置を固定して、弁体の移動を停止する制御を行うことができる、ことを特徴とする触媒反応装置が提供される。
以下、本発明の代表的な特徴を説明する。
(本発明の特徴1)
(従来技術1)特許文献2の技術について
単に触媒層を昇降させただけでは触媒層中の夾雑物を充分には除去できないことがある。
その理由は、発明者の調査の結果から、触媒保持器の直上は、昇降操作後に夾雑物が残留し易いことがわかったためである。この部位は触媒保持器とほぼ同一の運動を行うため、夾雑物の落下や飛散を促す、触媒粒子間の相対運動が小さいこと、並びに、触媒保持器が夾雑物の落下や飛散を妨げるため触媒保持器上に夾雑物が堆積する。これらの原因により、特許文献2に記載された技術では、夾雑物を充分に除去できないことがある。
(従来技術2)静止した触媒層に高速気流を通気させる技術について
触媒層から夾雑物を除去する技術として、触媒層に高速気流を供給する技術も想定できる。しかし、この技術では、触媒層中の夾雑物は、ほとんど除去されない。その第1の理由は、触媒粒子間で生成し、触媒粒子間の空間ネック部寸法よりも大きく成長した夾雑物は、気流によってこのネック部を通過させることできないからである。第2の理由は、触媒層内の一部に比較的、通気し易い流路が形成されて、この流路沿いの夾雑物しか除去できないためである。しかも、こうして形成された流路は改質時に原料ガスの流路にもなるため、この流路において夾雑物生成速度に夾雑物の排出速度が追いつかず、やがてこの流路は閉塞する。この流路が閉塞した後には次に通気し易い部位に流路が形成されるが、新たな流路での通気抵抗は初期の流路での通気抵抗よりもはるかに大きなものなので、このような流路形成の繰り返しの結果、やがて触媒層全体が閉塞に至る。
あるいは、非反応性ガスを極めて高速(例えば数十m/s以上)で触媒層を通気させれば、一定量の夾雑物を吹き飛ばして除去可能とも考えられる。しかし、このような高速気流の通気時には触媒層内での圧力損失が過大となってしまう。したがって、このような技術は、高温の反応装置である本発明の装置には、設備的に適用することができない。また、後述するように、夾雑物のみならず、触媒の一部も飛散させてしまう虞が生じる。
(本発明の技術)
触媒層の昇降中に原料ガスまたは非反応性ガスを高速気流として触媒層に通気できる。ここで、高速気流とは、後述するコーク除去性能に関する臨界的な線速度(LV)である0.2〜0.4m/s以上の気流を意味する。より詳細には、高速気流とは、下向きに0.2m/s以上、または上向きに0.4m/s以上の線速度の気流を意味する。なお、タールを含有する原料ガスを改質する際の原料ガスは、通常、LVが0.1m/s未満であって高速気流ではない。これによって、移動床や流動床に比べて触媒の破損や摩耗を抑えながら、触媒層中の夾雑物の大半を除去できる顕著な効果を発揮する。以下、その原理について説明する。
従来技術2ではガス流路が固定されていたが、本発明では、触媒層昇降による触媒粒子間の相対位置変化によってガス流路が変化する。このため、本発明では、新たな流路沿いの夾雑物を除去できる。
特に、触媒層下降時には、触媒層が内壁面に接触していることによる壁面摩擦の効果によって、触媒層の上部は下部に遅れて下降する傾向になるので、触媒層の充填率が一時的に低下する。この際、触媒粒子間の平均的な間隙が拡大するため、気流の通過しにくい部位(例:触媒保持器直上の触媒等)にも気流が到達し、そこでの夾雑物を除去できる。尚、気流(原料ガス)の到達しにくい部位ではそもそも夾雑物の発生速度が小さいので、この部位で夾雑物除去を図る必要はないとの考えもありうる。しかし、実際には、気流の到達しにくい部位でも原料ガスの拡散等を通じて夾雑物は徐々に発生し、ここで発生した夾雑物は、この部位からあふれて隣接する気流の通気し易い部位に及んで、気流の通気し易い部位での通気抵抗を上昇させるので、気流の到達しにくい部位でも夾雑物を除去する必要性が存在する。
触媒保持器の直上部分は、本来(静止時には)、通気のしにくい領域でもある。触媒層の昇降中であれば、ここへの原料ガスまたは非反応性ガスの通気も容易なため、触媒保持器直上の触媒粒子間に堆積した夾雑物も通気によって除去できる。
(従来技術1+2の組み合わせの困難さについて)
触媒昇降時には触媒に比較的大きな荷重が加わり、触媒強度上、悪影響を与える可能性があるので、触媒昇降は、間欠的に短時間、実施すべきである。このため、操業の大部分の時間では、触媒層は昇降せずに静止している。そして、触媒層を昇降させずに高速気流を生じさせた場合には、様々な問題が生じる。以下、高速気流を生じさせる方法ごとに問題点を説明する。
(1)原料ガスの流量を増大して高速気流を得る方法について
触媒量が同じであっても、原料ガスの流量を増大させることで原料ガスの空間速度(SV)が増大する。なお、本発明における流量は、体積流量を意味するものとする。このため、原料ガスの消費率(選択率)が低下する。したがって、反応特性上、問題がある。また、原料ガスの流量を増大させると、原料ガスの流速が大きくなる。したがって、触媒層中の夾雑物量が同じであっても通気抵抗が増大し、操業中により早く通気抵抗の許容上限に到達してしまう。
また、夾雑物の堆積によって既に通気抵抗の大きくなった触媒層に無理に高速気流を供給すると、触媒層の上流−下流間で高い圧力差を生じる。そして、一部の夾雑物の飛散によって通気抵抗が急減すると、この高い圧力差によって気流速が爆発的に増大し、触媒を飛散させる(上昇流の場合)惧れがある。
(2)反応容器の断面を小さくして高速気流を得る方法について
反応容器の断面を小さくすると、原料ガスの流速が大きくなる。したがって、触媒層中の夾雑物量が同じであっても、通気抵抗が増大し、操業中により早く通気抵抗の許容上限に到達してしまう。
(3)原料ガスに非反応性のガス等を混入して、高速気流を得る方法について
(1)と同様の問題がある。
(4)そもそも、触媒層の昇降中に触媒層に原料ガスまたは非反応性ガスを供給すれば夾雑物の除去に劇的な効果が得られることは当業者に知られていなかった。気流搬送技術のように粒子間の間隙が極端に大きいケース(粒子が互いにほとんど接触しないケース)では気流がすべての粒子の周辺に流れることは公知であった。しかし、触媒粒子間の相対位置がわずかにしか変化しない触媒層昇降技術において、このわずかな相対位置変化が夾雑物周辺の気流に大きく影響して夾雑物を除去できることは、全く知られていなかった。
実際、改質時に好適なSVに対応する低い線速度(LV)の原料ガスまたは非反応性ガスを触媒保持器昇降中に与えても、夾雑物除去性能にはほとんど影響しない。本発明では、触媒保持器昇降中に与える原料ガスまたは非反応性ガスのLVが臨界値以上になれば、夾雑物除去性能を著しく向上できる。尚、本発明における各種ガスの線速度(LV[m/s])は、触媒層に投入されるガスの触媒層単位断面積当りの流量と定義される。触媒層の断面積がガスの進行方向で変化する場合、各種ガスの線速度は、触媒層入口における断面積を用いて算出される。また、各種ガスの空間速度(SV[1/h])は、触媒層体積当たりの原料ガス流量(原料ガスの改質によって生じた改質ガスの流量は含まれない)と定義するものとする。更にまた、LV、SV共に、ガスの標準状態に換算した値で定義するものとする。
一方、前述のように、既に閉塞した充填層(本発明では触媒層)を昇降させずに高速気流を供給しようとすると、気流供給の初期には夾雑物がほとんど除去されていないために充填層の上流―下流間で極端に大きな圧力差を与える必要があった。このため、高温の装置では強度上の問題を生じるとともに、一旦、一定量の夾雑物が除去されると通気抵抗が急減し、この大きな圧力差によって気流速が爆発的に上昇して触媒まで飛散させる問題を生じていた。このため、充填層に高速気流を供給することで夾雑物を除去する方法は好ましくないと考えられてきた。以上の理由により、昇降中の触媒層に高速気流を供給することは、何ら想定されるものではなかった。
しかし、本発明では、閉塞した触媒層を昇降させることで触媒層昇降中に通気抵抗の小さい状態を作り出し、ここに原料ガスまたは非反応性ガスを供給する。これにより、夾雑物を除去するために高速気流を触媒層に通過させる際に高い圧力差を必要としない。したがって、上記のような問題を生じることがない。
(昇降中の気流の影響に関する今回知見について)
触媒層の昇降中に臨界値(下向き(負方向)に0.2m/s、または上向きに0.4m/s)以上の線速度(即ち、高速気流)の原料ガスまたは非反応性ガスを触媒層に供給すると触媒層中の夾雑物の大半を除去できることがわかった(図10)。さらに、原料ガスまたは非反応性ガスの線速度は従来技術2で述べた極めて高速な気流ほど高くなくてもよいこともわかった。また、触媒層の昇降によって昇降中の通気抵抗係数を充分に低減できるので、従来技術2で述べた極めて高速な気流を本発明に適用しても従来技術2のように触媒層での圧力損失が過大になることもない。
これに対し、静止した触媒層に図10の臨界値程度の流速で気流を与えても、触媒層中の夾雑物除去について本発明ほどの効果は得られない。また、数十m/s以上といった極めて高速な気流を閉塞した静止触媒層に通気すると圧力損失が過大となって設備的に実現困難である。
(本発明での工夫について)
触媒層の昇降に連動して昇降中に高速気流を供給するように気流を制御することで、夾雑物の除去性を向上させるとともに、非昇降時には好適なSV条件で原料ガスを処理することができる。
(本発明の特徴2)
本発明では、元々、加熱されている触媒反応器内に弁体・弁座を設けるとともに、触媒層中の夾雑物を除去するための触媒保持器昇降装置(駆動装置)を弁体の昇降装置と兼用する。これにより、例えば、コークス窯ごとに本発明の触媒反応装置を接続すれば、触媒反応装置によってガスの遮断が可能となり、原料ガス供給管に高価な高温弁を設置する必要がなくなるので、触媒反応装置を安価・簡易な装置にすることができる。特に、コークス炉に触媒反応器を接続する際には、前述のように、従来技術ではコークス窯ごとに独立した高温弁を設ける必要があるので、高温弁の必要数が多くなりがちである。このため、これらの高温弁の省略は、設備費的に大きなメリットになる。さらに、本発明では、気流の遮断機能(弁機能)として、触媒反応容器が弁箱を、触媒昇降用の心棒およびその駆動装置が弁体の駆動機構を兼ねているため、部品点数を削減できるので、この点でも触媒反応装置の製造コストが小さくなる。さらに、弁座、弁体は高温弁に比べて単純な構造となっているので、より高温に耐えることができる。例えば、市販の高温弁の耐熱温度は高々、800℃程度であるが、弁座、弁体の耐熱温度は900℃程度となりうる。
(弁と触媒反応器を一体化することの困難さ)
前述のように、従来のコーク含有ガス改質用の触媒反応装置で処理ガス流量を確保するためには、触媒層内でのコーク堆積の観点から反応器単体の断面積を増大させる必要があり、かつ、触媒層中心部の反応容器側面からの距離は、熱供給性の観点から大きさが制約されていた。このため、従来の触媒反応容器では特許文献2にみられるような長辺の長い矩形断面が採用されてきた。矩形断面の反応容器の上端に遮断弁用の弁体・弁座を設ける場合には、シール性に問題を生じやすい、矩形断面の弁体・弁座とするか、あるいは、円形断面の弁体・弁座の採用を前提に、反応器の断面が細長い矩形断面から途中で大きな円形断面に変化するような複雑な構造の反応容器を製作する必要があり、また、昇降中の弁体の中心軸が常に鉛直となるように特別な設計上の配慮が必要となる。このため、設備費が高価となる問題があった。一方、本発明では小さな断面の反応容器であっても効果的にコークの除去が可能なので、比較的小さな断面の反応容器を複数、並列に用いて処理ガス流量を確保することができる。このため、個々の反応容器に円形断面を採用することができ、円形断面の弁体・弁座を簡易に取り付けることができる。
(本発明の特徴3)
原料ガスを触媒反応器から遮断する操作と、触媒層から夾雑物を除去する操作とは必ずしも連動される必要はない。そこで、本発明では、心棒の停止位置として、開放位置、閉塞位置の他に両者の中間位置を設定する。中間位置とは、閉塞位置と開放位置との真中に限定されず、両者間の途中の位置であればよい。これにより、触媒層中の夾雑物を除去するための昇降操作と、原料ガスを遮断するための昇降操作とを切り分けて実施できる。例えば、心棒を閉塞位置に移動させることで、原料ガスを遮断でき、また、心棒を中間位置と開放位置との間で昇降させることで、触媒層から夾雑物を除去することができる。この結果、触媒層から夾雑物を除去する際にも原料ガスを継続して触媒反応器内を流通させることができる。これにより、触媒層から夾雑物を除去する際に流入路内圧と反応容器内圧とを均一にすることができる。なお、流入路内圧が反応容器内圧と異なる場合、原料ガス供給配管系統が不安定になる可能性がある。したがって、触媒層から夾雑物を除去する際に、原料ガス供給配管系統をより安定させることができる。
(本発明の特徴4)
夾雑物の除去に原料ガスを用いる場合には、原料ガスの流量を触媒層昇降中にいかに高速気流の域まで上昇させるかが問題となる。原料ガス発生装置からの原料ガス発生量を急上昇させることは一般に困難なためである。そこで、本発明では、ガス発生炉のように常に一定質量のガスを生成し続ける(一定流量のガスを連続して生成する)原料ガス発生装置を前提として、心棒を昇降させる前に、心棒を一旦閉塞位置に移動させる。すなわち、一旦原料ガスを触媒反応器から遮断する。これにより、流入路内圧を高める。その後、心棒を開放位置に移動させる(好ましくは急速に移動させる)ことで、弁座の通気孔を急速に開放させる。これにより、流入路と反応容器及び流出路との間で高められた内圧差に起因する大きな原料ガス流量を一定時間発生させることができ、この時間内に心棒(触媒層)を昇降させることができる。本発明では、複雑な制御装置を用いることなく、心棒の位置の変更のみで上記の操作を実現できる。
(本発明の特徴5)
夾雑物の除去に非反応性ガスを用いることによって、原料ガスの発生速度によらずに自由に夾雑物除去用のガス流量を設定することができる。例えば、原料ガスがコークス炉ガスの場合、原料ガス発生速度は、石炭の分解速度に依存するので発生速度を急変させることは容易ではない。
以上説明したように本発明によれば、夾雑物を効率よく除去することができ、安価かつ簡易に実現可能な、新規かつ改良された触媒反応装置及びこれを用いた触媒反応方法を提供することができる。また、反応容器内部を少ない熱量で高温に維持し易い、比較的細長い形状の反応容器を用いた場合であっても、夾雑物を効率よく除去することができ、安価かつ簡易に実現可能な、新規かつ改良された触媒反応装置及びこれを用いた触媒反応方法を提供することができる。
本発明の第1の実施形態に係る触媒反応装置の全体構成を示すブロック図である。 (a)は触媒反応器の外観を示す側面図である。(b)〜(c)は(a)のAA側断面図である。 (a)は触媒保持器を下方から見たときの形状を示す平面図である。(b)は触媒保持器及びその周辺構造を示す側断面図である。 (a)は弁体、弁座およびその周辺構造を下方から見たときの形状を示す平面図である。(b)は弁体、弁座およびその周辺構造を示す側断面図である。 (a)は本発明の第2の実施形態に係る触媒反応器の外観を示す側面図である。(b)〜(d)は(a)のAA側断面図である。 (a)は本発明の第3の実施形態に係る触媒反応器の外観を示す側面図である。(b)〜(d)は(a)のAA側断面図である。 本発明の第4の実施形態に係る触媒反応装置の全体構成を示すブロック図である。 (a)は触媒反応器の外観を示す側面図である。(b)〜(c)は(a)のAA側断面図である。 (a)は本発明の第5の実施形態に係る触媒反応器の内部構成を示す側断面図である。(b)は触媒反応器の構成を示す平面図である。(c)は(a)のAA側断面図である。 原料ガスの線速度と夾雑物(コーク)除去率との対応関係を示すグラフである。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.第1の実施形態>
(1.全体構成)
まず、図1に基づいて、第1の実施形態に係る触媒反応装置1の全体構成について説明する。触媒反応装置1は、触媒反応器2と、粉塵回収器3と、冷却装置4と、ブロワ5と、バイパス弁6と、バイパス管7とを備える。触媒反応器2は原料ガス発生装置100に連結されており、ブロワ5はガスホルダ200に連結されている。
(原料ガス供給部)
原料ガス供給部は、原料ガスを触媒反応器に供給するための装置である。原料ガス供給部は、原料ガス発生装置100であってもよい。原料ガス発生装置100は、原料ガスを所定の速度で発生させ、発生した原料ガスを触媒反応器2(具体的には触媒反応器2が備える反応容器10)に供給するものである。原料ガス発生装置100は、例えば、ガス発生炉(コークス炉等)である。あるいは、原料ガス供給部は、原料ガスを貯留するガスホルダであってもよい。このとき、ガスホルダから供給される原料ガスは、加熱装置によって昇温した後に触媒反応器に供給される。
(原料ガス)
原料ガスは、後述する触媒層13を通過する際に触媒層13によって改質されるものであれば特に制限されない。例えば、原料ガスは、炭化水素を含有するガス、タール含有ガスなどであってもよい。タール含有ガスは、少なくともタールを含有するガスであり、さらに炭化水素を含有していてもよい。原料ガスがタール含有ガスとなる場合、原料ガスの改質の際に副生するコークが夾雑物として触媒層13中に堆積し易い。したがって、原料ガスがタール含有ガスとなる場合、第1の実施形態の効果が顕著に現れやすい。炭化水素を含有するガスの例としては、天然ガス、LPG、ナフサ等が挙げられる。また、タール含有ガスの例としては、コークス炉ガス(石炭乾留ガス)、バイオマス乾留ガス等が挙げられる。また、原料ガスは、加熱装置(図示せず)等によって反応温度(改質温度)近傍(例800℃)まで加熱された後、触媒反応器2に供給される。
(触媒反応器)
触媒反応器2は、原料ガス発生装置100から発生した原料ガスを改質する。改質後の原料ガスは、改質ガスとして粉塵回収器3に導入される。触媒反応器2の詳細構成及び動作については後述する。
(粉塵回収器)
粉塵回収器3は、改質ガス中の粉塵を除去・回収する装置である。粉塵が除去された改質ガスは冷却装置4に導入される。回収された粉塵(例えばコーク)は、化学原料等に再使用されうる。冷却装置4としてスクラバを用いる際には、スクラバを粉塵回収に兼用することができる。したがって、この場合、独立した粉塵回収器3を省略してもよい。粉塵回収器3の具体例としては、サイクロン、インパクタ、バグフィルタ等が挙げられる。
(加熱装置)
なお、上述した加熱装置は、加熱区間A内の触媒反応器2及び粉塵回収器3を加熱する。例えば、原料ガスがタール含有ガスとなる場合、加熱装置は、加熱区間A内の触媒反応器2及び粉塵回収器3を、タール含有ガスのタール分が凝縮しない程度の温度(例えば700℃)まで加熱する。また、触媒反応が吸熱反応の場合、加熱装置によって触媒反応器に熱供給を行うことによって反応温度(例えば800℃)を維持する。加熱装置には、電気加熱炉、熱風炉等を用いることができる。
(冷却装置)
冷却装置4は、改質ガス中の凝縮成分(例えばタール等)を除去するとともに、改質ガスを後段のブロワ5、バイパス弁6、バイパス管7、及びガスホルダ200に供給可能な温度(例:80℃未満)まで冷却する。冷却装置4の具体例としては、熱交換器やスクラバが挙げられる。
(ブロワ)
ブロワ5は、冷却装置4によって冷却された改質ガスをガスホルダ200に供給する(送風する)。ブロワ5も特に制限されず、市販のターボ式・容積式のブロワであってもよい。
(バイパス弁、バイパス管)
バイパス弁6及びバイパス管7は、ブロワ5に併設される。バイパス弁6及びバイパス管7は、触媒反応器2を通過する原料ガスの流量を調整するための装置である。バイパス弁には市販の流量調整弁を用いることができる。
(流量調整部)
原料ガスの流量は、流量計(図示せず)による原料ガス流量の計測値に基づいて、ブロワ回転数、バイパス弁開度、及び後述する心棒18の位置等を操作することによって所定の目標値に制御される。この操作は、PLC等の制御装置(図示せず)によって自動的に行われてもよい。これら一連のハードおよびソフトの集合体が流量調整部(流量調整装置)150である。流量計には、市販のオリフィス型流量計等を用いることができる。あるいは、改質ガスの流量を計測し、ガス成分差を補正して原料ガス流量に換算してもよい。ガス成分は、ガス配管から抽気したサンプルガスをガスクロマトグラフィ等を用いて計測すればよい。なお、流量調整部が行う処理は手動で行われてもよい。
(ガスホルダ)
ガスホルダ200は、ブロワ5から供給された改質ガスを貯留する。
(2.触媒反応器の詳細構成)
次に、触媒反応器2の詳細構成を図2〜図4に基づいて説明する。図2に示すように、触媒反応器2は、反応容器10と、流入路11と、流出路12と、触媒層13と、触媒保持器14と、弁座15と、通気孔16と、弁体17と、心棒18と、断熱材19と、連結管20と、駆動装置21とを備える。
(反応容器)
反応容器10は、触媒層13と、触媒保持器14と、弁座15と、通気孔16と、弁体17と、心棒18とを収容する円筒形状の部材である。反応容器10の形状を円筒形状とすることで、高温下でも半径方向(軸方向に垂直な方向)の歪みが生じにくい。もちろん、設計上の便宜等の理由により、反応容器10の形状を他の形状としてもよい。例えば、反応容器10は、水平断面が正多角形となる角筒形状、水平断面が楕円となる楕円筒形状であってもよい。
反応容器10の半径(内壁)の下限値は、例えば、触媒層13を構成する触媒粒子の代表寸法(例:触媒直径)である(例えば、10mm)。一方、反応容器10の半径(内壁)の上限値は、以下の観点で設定される。即ち、原料ガスは、触媒層13を通過することで改質される。そして、原料ガスを改質するためには、反応容器10内の温度を上述した改質温度以上に維持する必要がある。その一方、原料ガスの改質の際に起こる化学反応、すなわち触媒反応は、発熱または吸熱を伴うことが多い。したがって、反応容器10内の温度を改質温度以上に維持するためには、原料ガスの改質によって生じた熱を反応容器10外に放出し、あるいは原料ガスの改質に必要な熱を反応容器10内に供給する必要がある。そして、反応容器10の半径が大きすぎると、このような熱の授受が十分に行われない可能性がある。したがって、反応容器10の半径には、触媒反応に伴う熱の授受を十分に(すなわち、反応容器10内の温度を改質温度以上に維持することができる程度に)行うという観点から、上限値が存在する。具体的な上限値は、化学反応の反応熱・原料ガスの流量・反応容器10の伝熱特性等によってエンジニアリング的に設定されれば良い。上限値は、例えば200mm程度であってもよい。
なお、触媒反応が吸熱反応となる場合、反応に必要な温度と熱は、上述した加熱装置から反応容器10に与えられてもよい。また、触媒反応が発熱反応となる場合、反応熱は、反応容器10の外部に設けられた冷媒流路(図示せず)に冷媒を流すことによって除去されてもよい。
なお、反応容器10の半径が小さいほど、反応容器10の中心部への伝熱性が向上し、より低い反応容器外壁温度で反応容器10中心部を改質温度以上に維持することができる(触媒反応が吸熱の場合)。この観点からは、反応容器10の半径は小さい方が好ましい。ただし、反応容器10の半径が小さいほど、同一の原料ガス流量に対する反応容器10内の原料ガスの線速度が上昇する。したがって、原料ガスが触媒層10を通過する際の圧力損失が非常に大きくなってしまう。このため、夾雑物を効率よく除去する必要があるが、第1の実施形態では、夾雑物を効率よく除去することができる。したがって、第1の実施形態では、反応容器10の半径を小さく(例えば、上述した下限値またはそれに近い値)とすることができる。この結果、例えば反応容器10の材料として、より耐熱性の低い安価なものを使用することができる。
反応容器10の高さは、触媒層13の高さ(触媒層13が複数層からなる場合、各触媒層13の高さの合計値)よりも大きければよい。一方、反応容器10の高さの上限値に関して、少なくとも機能上の制約はない。したがって、反応容器10の上限値は、構造上・強度上の制約を考慮してエンジニアリング的に設定されれば良い。上限値は、例えば、5000mmとなる。
反応容器10の材質は、常温及び触媒反応の温度まで加熱された時のいずれにおいても、触媒層13を保持する強度、触媒反応に関与する流体(例えば原料ガス等)に対する耐熱・耐食性、反応生成物(例えば改質ガス、夾雑物)に対する耐汚染性を有するものであればどのような材質であってもよい。反応容器10の材質としては、例えば、炭素鋼、ステンレス鋼、ハステロイ(登録商標)やインコネル(登録商標)等のニッケル合金、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金等の金属材料、シリカ、アルミナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素等のセラミックス材料(煉瓦に加工されたものを含む)、ソーダガラス、溶融石英等のガラス材料等が挙げられる。
また、後述するように、触媒層13は、反応容器10の内壁面に接触した状態で昇降(上下動)される。したがって、反応容器10の内壁面は、触媒層13の昇降時に触媒層13の移動の妨げにならないよう、なるべく平滑であることが好ましい。
(流入路)
流入路11は、反応容器10の上端で反応容器10に連結されている。すなわち、反応容器10の上端には通気孔11aが形成されており、この通気孔11aを介して流入路11と反応容器10とが連結されている。流入路11は、原料ガス発生装置100に連結されており、原料ガス発生装置100から発生した原料ガスを反応容器10内に導入する。矢印P1は、原料ガスの流動方向を示す。
(流出路)
流出路12は、反応容器10の下端で反応容器10に連結されている。すなわち、反応容器10の下端には通気孔12aが形成されており、この通気孔12aを介して流出路12と反応容器10とが連結されている。流出路12は、粉塵回収器3に連結されており、反応容器2内で生成した改質ガスを粉塵回収器3に導入する。矢印P2は、改質ガスの流動方向を示す。
(触媒層)
触媒層13は、反応容器10内に設けられる。触媒層13は、触媒粒子が触媒保持器14上に積層されることで形成される。触媒粒子は、原料ガスの改質の触媒となるものであり、原料ガスは、触媒粒子に接触した際に改質される。例えば、水蒸気とタールを含む原料ガスは、触媒粒子上で触媒反応が起こることで、水素と一酸化炭素ガスの増大した改質ガスに改質される。
また、触媒層13は、反応容器10の内壁面に接触している。このため、触媒層13の昇降時には、壁面摩擦の効果によって触媒層13の上部は下部に遅れて下降する。したがって、触媒層13の充填率が一時的に低下する。この際、触媒粒子間の平均的な間隙が拡大するため、原料ガスが通過しにくい部位(例:触媒保持器直上の触媒粒子等)にも原料ガスが到達し、そこでの夾雑物を除去できる。本発明では、触媒層13を昇降させる際に原料ガスを反応容器10内に導入するので、触媒層13内の夾雑物をより効率よく除去することができる。
また、触媒層13は、反応容器10内で3層形成されている。そして、各層の触媒層13が触媒保持器14によって保持される。このように触媒層13を多層構造とすることで、各触媒保持器14に掛かる荷重を低減することができる。もちろん、触媒層13の層数は3層に限られず、2層であっても、4層以上であってもよい。また、触媒層13は単層であってもよい。ただし、この場合、触媒層13の荷重に耐えられる触媒保持器14を用意する必要がある。
触媒層13を構成する触媒粒子は、原料ガスを改質(例えば、水蒸気改質やクラッキング)できる触媒であれば、どのようなものであってもよい。例えば、原料ガスがタール含有ガスとなる場合、触媒粒子としては、Ni−アルミナ系触媒、Ni−マグネシア−アルミナ系触媒等を用いることができる。また、触媒粒子の大きさは、後述する触媒保持器14の通気孔14cを通過しない程度の大きさであればよい。
ここで、夾雑物がコークとなる場合、コークの直径は通常数十〜数百μm程度となる。したがって、触媒粒子を触媒保持器14上に残し、コークだけを触媒保持器14の通気孔14cから落下させるためには、触媒粒子は、例えば代表寸法(例えば直径、より詳細には球相当直径)が1〜100mm程度となる塊状触媒であることが好ましい。この場合、触媒層13を昇降させた際に、触媒粒子を触媒保持器14上により確実に残しつつ、夾雑物であるコークを触媒保持器14の隙間から落下させることができる。
また、触媒層13の容積が一定となる条件の下では、触媒粒子の数が多いほど、触媒層13の総表面積は増大する。したがって、触媒反応の反応速度が増大する。そして、触媒粒子の形状が球または球に近い形状となる場合、一定の容積内に占める触媒粒子の数が増大しやすい。したがって、触媒粒子の形状はなるべく球に近いことが好ましい。また、触媒粒子の形状は、触媒粒子の占有体積(触媒粒子の材料が占める体積と触媒粒子内の中空部分が占める体積都の総和)に対する触媒粒子の表面積が大きくなる形状、例えば円筒形状、リング形状であってもよい。
ここで、第1の実施形態では、円筒形状の反応容器10の中心に心棒18が存在し、触媒層13の拘束(触媒層13との摩擦による拘束)は、反応容器10の内壁面および心棒18の側面の両方で発生する。このため、第1の実施形態におけるアスペクト比は、以下の数式(1)で定義される。
アスペクト比=触媒層13の高さ/(反応容器半径(内壁)−心棒半径) (1)
ここで、触媒層13が複数層で形成される場合、数式(1)中の「触媒層13の高さ」は、各触媒層13の高さを意味する。したがって、触媒層13が複数層で形成される場合、触媒層13毎にアスペクト比が定義される。
なお、後述するように、心棒18は反応容器10内に複数本設けられていてもよい。この場合、これらの心棒18の水平断面積を合計した面積に相当する等価円の半径を上式での心棒半径として用いればよい。
触媒層13のアスペクト比は、0.4〜2.5であることが好ましい。後述する実施例に示されるように、アスペクト比がこの範囲内の値となる場合に、コークをより効率よく除去することができるからである。なお、アスペクト比が0.4未満であり、かつ、触媒層13の昇降速度が本発明で想定されるレベルの比較的小さい値である場合には、反応容器10の内壁面と触媒層13との摩擦による粒子撹拌効果(粒子間の相対運動)は壁近傍に限定される(中心部では保持器とともに粒子間の位置関係を保ったまま昇降する)。このため、本発明の原理によるコーク除去が困難になる(特に、粗大コーク粒子の破壊が困難になる)ことがわかった。また、各触媒層13の高さは、触媒粒子の代表寸法(直径等)の3倍以上であることが好ましい。
(触媒保持器)
触媒保持器14は、触媒粒が落下しないように触媒層下面全体で触媒層13を保持する通気性のある部材であり、触媒層13毎に設けられる。触媒保持器14は、後述する心棒18に固定され、心棒18と一体となって昇降する。
触媒保持器14は、触媒層の下端全面において触媒粒子の落下を防ぎつつ、各種ガス(原料ガス及び改質ガス)を流通させる構造を有する必要がある。具体的には、触媒保持器14は、図3に示すように、複数のリング状部材14aと、リング状部材14a同士を連結する連結部材14bとを備える。各リング状部材14aは、互いに直径が異なっており、連結部材14b上に同心円状に配置される。ここで、各リング状部材14aの中心点は、心棒18の中心軸状に配置される。また、リング状部材14aの断面(周方向に垂直な断面)形状は特に制限されないが、強度の観点から矩形であることが好ましい。また、リング状部材14a間には、通気孔14cが形成される。各種ガス及び夾雑物は、この通気孔14cを通過する。
連結部材14bは、リング状部材14a同士を連結するとともに、これらを心棒18に固定させる。すなわち、連結部材14bは、心棒18から放射状に伸びる部材となっている。連結部材14bの断面(長さ方向に垂直な断面)形状も矩形であることが好ましい。リング状部材14a及び連結部材14bの断面積を大きくすることで、触媒保持器14の強度を大きくすることができる。
触媒保持器14をこのような構成とすることで、触媒保持器14の強度を大幅に向上させることができる。すなわち、触媒層13の昇降時には、触媒保持器14に触媒層13から大きな反力を受けることがある。したがって、触媒保持器14は、強度の高い構造であることが好ましい。触媒保持器14は、例えば、反応容器10の水平断面形状と同じ形状に加工された網、パンチングメタル等であってもよい。
なお、触媒保持器14の開口率が小さすぎると、通気性や夾雑物の通過性が悪化する。触媒保持器14の開口率が大きすぎると、触媒保持器14の強度が不足する。したがって、触媒保持器14の開口率には適切な範囲が存在する。上記の各構造例の場合、触媒保持器14の開口率は30〜70%程度であることが好ましい。ここで、触媒保持器14の開口率は、以下の数式(2)で求められる。
c=a/(a+b) (2)
ここで、aは通気孔14cの水平断面積の総和であり、bはリング状部材14aの水平断面積の総和であり、cは開口率である。
触媒保持器14は、常温及び触媒反応の温度まで加熱された時のいずれにおいても、耐熱・耐腐食性・曲げやせん断に対する強度および靭性を備えた金属材料で構成されることが好ましい。このような金属材料の例として、ステンレス鋼、ハステロイ(登録商標)やインコネル(登録商標)等のニッケル合金、チタン、チタン合金等を挙げることができる。
(弁座、通気孔)
次に、弁座15は、図4に示すように、反応容器10の内壁面に設けられている。弁座15は、反応容器10内の空間を水平方向に仕切る部材である。また、弁座15の中心部分には、弁座15を上下に貫通する通気孔16が形成されている。心棒18は通気孔16を貫通しており、原料ガスは、この通気孔16を通過することができる。すなわち、通気孔16の直径は、心棒18の直径よりも大きい。また、弁座15の下端面には、略円錐形状の切り欠きが形成されている。したがって、弁座15の下端面には凹形状が形成されている。弁座15の材質は触媒保持器14の材質と同様であればよい。
(弁体)
弁体17は、心棒18と一体となって昇降する部材であり、円錐台形形状となっている。弁体17は、心棒18と一体となって昇降することで、通気孔16を開放、または閉塞することができる。例えば、弁体17は、図4(b)の実線で示される位置(この位置は後述する開放位置18aに相当する)に存在する場合に、通気孔16を開放する。この場合、原料ガスは、通気孔16を通って触媒層13に到達することができる。一方、弁体17は、図4(b)の二点鎖線で示される位置(この位置は後述する閉塞位置18bに相当する)に存在する場合に、通気孔16を閉塞する。この場合、弁座15及び弁体17によって流入路11と反応容器10内の触媒層13とが遮断されるので、原料ガスは触媒層13に到達することができない。すなわち、原料ガスの反応容器10への流通が遮断される。弁体17の材質は触媒保持器14の材質と同様であればよい。
なお、図4(a)の破線17dは、通気孔16を閉塞した弁体17の上端部を示し、破線17e及び図4(b)中の直線17bは、通気孔16を閉塞した弁体17と弁座15との接触線を示す。この接触線は円形となる。
このように、弁座15及び弁体17のいずれも軸対称形状(接触線17bが円形)となっている。このため、原料ガスの遮断性をより高めることができる。尚、設計上の便宜の理由等から、接触線17bが楕円形等のなめらかで角を持たない形状であってもよい。この場合、弁座15の水平断面形状及び弁体17の切り欠きの水平断面形状を楕円形等にすればよい。
なお、図4(b)から明らかな通り、弁体17が弁座15に接近するにつれて原料ガスの通気断面積が減少して通気抵抗が上昇する。このため、弁体17の上昇中であっても、原料ガス流量を徐々に減少させることができる。弁体17の側面傾斜を大きくすれば、原料ガスの流量の減少は弁体17の上昇が開始された後、早いタイミングで始まる。その後、原料ガスの流量は、弁体17が弁座15に接触する(すなわち通気孔16を閉塞する)まで続く。したがって、原料ガスの流量減少は、比較的長時間に渡って続く。一方、弁体17が弁座15に接触する直前まで原料ガスの流量を減少させたくない場合、弁体17の側面傾斜を小さく(すなわち水平面に近いように)設定すればよい。
また、弁体17及び弁座15は、必ずしも原料ガスを完全に遮断しなくても良い場合がある。例えば、弁体17及び弁座15の接触時に、原料ガス流量が非接触時よりも単に十分小さくなればよい場合がある。この場合、弁体17及び弁座15の接触時に弁体17及び弁座15の間に隙間が生じてもよい。
(心棒)
心棒18は、反応容器10内を上下に伸びる円柱または円筒形状の部材(すなわち、丸棒または円管)である。心棒18には、触媒保持器14及び弁体17が固定されており、触媒保持器14及び弁体17とともに昇降する。また、心棒18の上端部は、断熱材19を介して駆動装置21に連結されている。心棒18は、駆動装置21によって昇降する。具体的には、心棒18は、図2(b)に示すように、弁体17が通気孔16を開放する開放位置18aと、図2(c)に示すように、弁体17が通気孔16を閉塞する閉塞位置18bとの間を昇降する。
心棒18の直径は、反応容器10の直径よりも十分小さいことが好ましい。例えば、心棒18の直径は、反応容器10の直径(内径)の0.7倍以下であることが好ましい。心棒18の直径の下限値は、例えば心棒18に要求される強度・剛性等によって設計的に設定されればよい。例えば、心棒18の直径の下限値は、10mm以上であってもよい。また、心棒18の水平断面は円形となるが、設計上の便宜等の理由から、心棒18の水平断面は、正多角形断面または楕円形断面等であってもよい。
心棒18は、反応容器10の中心軸に設置されるか、なるべく反応容器10の中心軸に近い位置に設置されることが好ましい。この場合、触媒粒子の撹拌効果(粒子間の相対運動)が促進される。この理由は以下の通りである。すなわち、第1の実施形態では、心棒18が触媒層13を貫通するので、触媒層13と反応容器10の内壁面との摩擦による触媒粒子の拘束効果に加えて、触媒層13と心棒18の表面との摩擦による触媒粒子の拘束効果も期待できる。そして、心棒18の昇降時には、反応容器10の内壁面と心棒18の表面とが相対運動を行うため、反応容器10の内壁面と心棒18との間に挟まれた触媒層13全体により強いせん断力が与えられる。このため、触媒層13内での粒子間相対変位が増大する。
ここで、第1の実施形態では、反応容器10と心棒18の水平断面はがともに円形であり、かつ、両者が同軸に配置される。このため、この粒子相対変位の促進効果は、触媒層13内の周方向に均一に与えられ、触媒層13全域でコーク除去効果を大きく増進することができる。
一方、心棒18が触媒層13を貫通していても、心棒18の位置が反応容器10の中心軸から大きく離れている場合には、心棒18と反応容器10の内壁面との距離にバラ付きが生じる。すなわち、当該距離が過小となる部分が生じる。そして、この部分では、心棒18と反応容器10の内壁面都の間の相対運動によって生じるせん断力が過大となる。したがって、この部分の触媒粒子が破損する可能性がある。従って、心棒18は、反応容器10の中心軸か、なるべくその近傍に配置されることが好ましい。なお、心棒18を反応容器10の内壁面近傍に配置する場合には、心棒18と内壁面との隙間が過小となる部分に触媒粒子を充填しないようにすることが好ましい。
なお、心棒18は複数本存在してもよい。この場合、複数の心棒18は、反応容器10の中心軸から同一距離(半径)だけ離れた位置に配置されてもよい。また、心棒18の材質は、触媒保持器14と同様の材質であればよい。
ここで、触媒粒子同士が十分に相対運動を行うためには、心棒18の昇降ストロークは大きいことが好ましい。もちろん、心棒18の昇降ストロークが触媒粒子の代表寸法の0.1倍程度であっても加振の効果は存在するので、夾雑物の除去効果はある程度得られる。しかし、夾雑物をより効率よく除去するためには、心棒18の昇降ストロークは、触媒粒子の代表寸法の0.5倍以上であることが好ましく、1倍以上であることがより好ましい。
一方、心棒18の昇降ストロークが極端に大きい場合には、反応容器10および駆動装置21が大型化するので効率的ではない。また、小さいストローク(但し、1倍以上)の昇降を繰り返し行うことで、より大きな昇降ストロークと同様の効果が得られる。よって、昇降ストロークは、触媒粒子の代表寸法の10倍以下であることが好ましい。
心棒18の上昇速度は、なるべく小さいことが好ましい。その理由は以下の通りである。すなわち、触媒保持器14とともに触媒層13を上昇させるのに要する上昇力は、心棒18の上昇速度が小さいほど小さい。本発明者らの調査の結果、心棒18の上昇速度が10mm/sとなる時の所要上昇力は、心棒18を1mm/sで上昇させる場合の所要上昇力の2倍程度となることがわかった。また、心棒18の上昇速度が大きくなるほど、触媒粒子が破壊されやすくなる。
したがって、心棒18の上昇速度は小さいことが好ましい。但し、心棒18を1mm/sで上昇させるのに要する所要上昇力と、心棒18を0.5mm/sで上昇させるのに要する所要上昇力との差は小さいので、心棒18の上昇速度を1mm/sよりも遅くする必要は必ずしもない。また、心棒18の上昇速度が10mm/sとなる場合であっても、触媒粒子が破壊されないのであれば、心棒18を10mm/s程度の上昇速度で上昇させてもよい。
その一方で、心棒18の下降速度は大きいことが好ましい。特に、触媒層13の最下端での触媒粒子の自由落下速度よりも大きい速度(例:100mm/s)で心棒18を下降させた場合、触媒粒子は触媒保持器14から離脱する。この場合、触媒粒子間の拘束が小さくなり、触媒粒子間の相対運動を大きくとれる。したがって、触媒層13の最下端での触媒粒子の自由落下速度よりも大きい速度(例:100mm/s)で心棒18を下降させることが好ましい。但し、心棒18の下降速度を触媒粒子の自由落下速度よりも極端に大きくしても、得られる効果に差はない。また、心棒の下降速度が自由落下速度よりもかなり小さな値(例えば、10mm/s)であっても、触媒粒子間の相対運動の効果は一定程度得られる。これは、壁の拘束によって触媒層中の粒子落下は下方の触媒から順に徐々に生じ、触媒の平均落下速度は自由落下速度よりも遥かに小さいものになるからである。
断熱材19は、心棒18の熱が駆動装置21に伝わりにくくするために設けられる部材である。断熱材19は、反応容器10の上端面10aを貫通し、連結管20内に伸びている。そして、断熱材19は、連結管20内で駆動装置21の駆動棒21aと連結されている。なお、断熱材19の下端部は、心棒18の昇降時に反応容器10内に配置される。これにより、心棒18の昇降中であっても、心棒18の熱が駆動装置21に伝わりにくくなる。断熱材19は、例えばセラミックス等で構成される。なお、断熱材19の構造としては、フランジ間に断熱材を挟む構造や、単に複数の金属板を軸方向に多数重ねる構造としてもよい。後者の場合、金属板間の接触熱抵抗を利用して軸方向の熱流束を抑制することができる。断熱材19は、高温用パッキンであってもよい。
(連結管及び駆動装置)
連結管20は、反応容器10と駆動装置21とを連結する管状部材である。駆動装置21は、心棒18を開放位置18aと閉塞位置18bとの間で昇降させる部材であり、駆動棒21aと、シリンダ22と、ピストン23とを備える。したがって、駆動装置21はいわゆるエアシリンダを利用した昇降装置となっている。駆動棒21aは、断熱材19を介して心棒18に連結されている。シリンダ22は、ピストン23が収納される部材であり、ピストン23は、シリンダ22内に供給されるガスによってシリンダ22内を昇降する。ピストン23には、駆動棒21aが連結される。駆動棒21aは、ピストン23と連動して昇降する。これにより、駆動装置21は、心棒18を昇降させる。なお、ピストン23がシリンダ22の下端に到達した際に、心棒18は開放位置18aに到達し、ピストン23がシリンダ22の上端に達した際に、心棒18は閉塞位置18bに到達する。もちろん、駆動装置21は心棒18を上述した態様で昇降させることができればよいので、駆動機構はエアシリンダに限定されない。例えば、駆動装置21の駆動機構は、ラックピニオン等であってもよい。
駆動装置21は、図2に示されるように、反応容器10の外部に設けられる。さらに、駆動装置21は、加熱装置(反応容器10等を加熱する装置)内に配置されてもよい。この場合、駆動装置21を高温や腐食性物質から保護するために、駆動装置21を耐熱・耐食性が高い材質で構成することが好ましい。例えば、駆動装置21のエアシリンダ全体をハステロイ(登録商標)等の耐熱合金で構成してもよい。この場合、エアシリンダにガスを供給する配管(図示せず)は反応容器10を貫通するが、この部分は非可動部なので、配管を全周溶接するなどして封止を図ればよい。なお、心棒18の上昇時に、触媒保持器14の一部が触媒層13に食い込んで自由落下しえなくなる場合があるので、駆動装置21は心棒18の上昇時だけでなく下降時も駆動されることが好ましい。
(駆動機構の停止位置と停止手段)
以下、図2を用い、駆動機構として、最も簡易な手法である複動式エアシリンダとした場合を例として駆動装置21(心棒18)の停止位置と停止手段について述べる。垂直に配置された複動式エアシリンダでは一般的な構造では、シリンダ22内のピストン23を押し下げる方向に荷重を与えるためにシリンダ22内のピストン23の上方に高圧エアを導入するためのエア弁(図示せず)と、ピストン23を押し上げる方向に荷重を与えるためにシリンダ22内のピストン23の下方に高圧エアを導入するためのエア弁(図示せず)が設けられる。これらのエア弁をそれぞれ開通用エア弁および閉止用エア弁とよぶことにする。これらのエア弁は、高圧エア源(例えば、コンプレサ等、図示せず)と、それよりも圧力が低い低圧エア源(例えば、大気開放等、図示せず)との間で接続先を切り替えることができる。また、開通用エア弁および閉止用エア弁における高圧エア源と低圧エア源の圧力は、エア源を共有する等して、両者それぞれ同レベルに揃えておく方が使い易く好ましい。
エアシリンダのシリンダ昇降軸に沿った方向上の各位置のうち、駆動装置21を停止させたい位置にリミットスイッチ(図示せず)を配置する。そして、このリミットスイッチの検出および不検出を用いてシリンダの現状位置を検出し、その現状位置情報をもとにエアシリンダへの各エア弁の開閉を行うことによって駆動装置21を所望の停止位置に停止させることができる。例えば、心棒18を移動させる際、所望の停止位置に対応するリミットスイッチを検出するまで心棒18の移動を継続し、当該リミットスイッチを検出した際、心棒18の移動を停止すればよい。心棒18の移動手段としては、例えば、心棒18を上昇させる場合には、閉止用のエア弁を高圧エア源に開放するとともに開通用のエア弁を低圧エア源(例えば大気)に開放する。心棒18を下降させる場合には、前記各エア弁の接続先を逆にすればよい。心棒18の停止手段としては、例えば、閉止用のエア弁および開通用のエア弁をともに閉止してエアシリンダを封止状態にすればよい。あるいは、エアシリンダまたは心棒18に摩擦式のブレーキ(図示せず)を設け、このブレーキを心棒等に接触させることによって心棒18およびエアシリンダの移動を外部から強制的に阻害してもよい。これら一連の動作は、例えば、市販のシーケンサを用いて設定および制御することができる。
心棒18の停止する位置が絶対座標上で常に固定される場合には上記の方法のみでよい。例えば、心棒18および反応容器10が常に一定温度である場合には、上記の方法で問題ない。しかし、本発明が対象とする高温での改質反応容器では心棒18と反応容器10の間の温度差が変動するので上記の方法では正確に心棒の停止を設定できない場合や停止状態を継続できない場合がある。例えば、最初に心棒18を反応容器10の閉塞状態(例えば、図2における心棒18の上端位置)に設定し、この状態で心棒18の停止手段を作動させ続けた場合、その後の温度変化によって心棒18と反応容器10の間の温度差が変動して、両者に熱膨張差が生じ、心棒18に接続する弁体17と反応容器10に接続する弁座16間に隙間を生じるか、あるいは、この両者の間に過大な荷重が生じうるので問題である。
本発明で心棒18と反応容器10の間で、温度差の時系列的変化の生じる理由は次の通りである。反応容器10の温度は、外部加熱によって通常、一定に保たれる様に制御することができる。一方、心棒18の温度は、心棒18に接触する触媒層13の温度によってその温度が大きく影響を受ける。触媒層13の温度は、触媒層13内で化学反応のない場合には触媒層13内を通気するガスおよび隣接する反応容器10の温度によって規定される。しかし、一旦、触媒上で化学反応(本発明では原料ガス中の炭化水素の改質反応または接触分解反応)が生じると、当該化学反応での反応熱によって化学反応のない状態の触媒温度から大きく温度が変化する。本発明では、触媒上での改質による吸熱反応によって触媒温度は低下する。しかもこの反応熱は触媒上での反応速度によって大きく変化し、本発明が対象とする反応では触媒の活性が刻々と変化するため触媒温度の時間変動は大きい(例えば100℃レベル)。このため、触媒に接する心棒18の温度も数十℃の単位で時間変化するので、反応容器10と心棒18の間の温度も数十℃の単位で変動する。例えば、鉄鋼材料で製造された心棒18および反応容器10の場合、数十℃の温度変化による熱膨張差は数mm程度に達するため、最初の上記心棒18の停位置のまま心棒の停止位置を保持した場合には心棒の停止位置が数mmの単位で変化しうる。
その結果、心棒18がより高温に経時変化した場合には、心棒18が膨張(具体的には、長さ方向に延伸)する。そして、心棒18のピストン23側が拘束されているため、心棒に固定されている弁体17は弁座15から離れる方向に移動して、弁体17と弁座15の間で隙間を生じる。逆に心棒18がより低温側に経時変化した場合には、心棒18が長さ方向に収縮し、弁体17は弁座15を押しつける方向に移動しようとするため、弁体17と弁座15の間に初期時点よりも大きな荷重(応力)を生じる問題がある。
このような熱膨張差による応力が生じる場所で使用する弁体17と弁座15を取り扱う場合には、常温域または低温域であれば、弁体17(心棒18に相当する)を固定せず、弁座15に常に一定の荷重で押し付けるように制御(設定)する。このためには、エアシリンダにおける弁体17の閉止用のエア弁(エアシリンダの下降端で弁が閉止する場合には開通用のエア弁)を高圧エア源に開放するとともに、開通用のエア弁(エアシリンダの下降端で弁が閉止する場合には閉止用のエア弁)を低圧エア源に開放するように制御すればよい。
しかし、本発明が想定する高温での反応容器10にこのような手法を適用した場合には、熱膨張差が大きく生じることに加えて、弁体17と弁座10の機械強度も低下する。このため、各エア弁の閉止中に常にエアシリンダの圧力に相当する荷重が弁体17と弁座15の間に付与されることになり、反応容器10周辺または心棒18周辺の部材にクリープ変形を生じうるので問題である。この対策として心棒18に付与される荷重を検出して、荷重がクリープ限界内になるようにエア圧力を連続的に可変させてフィードバック制御する方法もありうるものの、エアシリンダといった単純な構造の駆動機構においてこのような荷重制御を実現することは極めて高価な装置になるので現実的でない。
そこで、以下に本発明の一実施形態として、上記のような心棒18の荷重の直接測定と、エア圧力のフィードバック制御により心棒18の停止位置を調整するのではなく、より容易に、心棒18の停止位置を調整する手段を説明する。すなわち、本実施形態では、反応容器10と心棒18の間の温度差の変化を計測して、心棒18の位置の設定および制御を行う。
具体的には、まず、心棒を固定した時点(初期とよぶことにする)での心棒18と反応容器10との間の温度差(=心棒温度−反応容器温度)を原点の心棒−容器温度差として記録装置に記録する。温度の測定は、後述する温度測定装置により行われれば良い。また、記録装置は、後述する制御装置に内蔵されたものであればよい。これ以降も心棒−容器温度差を測定する。ここで、ある時刻の心棒−容器温度差と原点の心棒−容器温度差との差を、原点との乖離温度差と定義する(原点との乖離温度差=「ある時刻の心棒−容器温度差」−「原点の心棒−容器温度差」)。図2の装置において、初期から時間が経過していく中で、あるタイミングで原点との乖離温度差が、正となり(例えば、心棒表面温度のみが初期よりも上昇した場合)、且つ所定の上限値以上となった場合には、心棒18と反応容器10との熱膨張差(心棒の熱膨張量−反応容器の熱膨張量)の初期からの変化量の絶対値が弁体17と弁座18が離れる方向に許容値以上に増大したと判断できる。この場合、弁体17と弁座15の間に隙間が生じうるので、一旦、心棒18の停止を解除した後、弁体17を閉止側の設定として(例えば、図2の装置の場合、上昇側のエア弁、すなわち閉止用のエア弁を高圧エア源に開放し、かつ、下降側のエア弁、すなわち開通用のエア弁を低圧エア源に開放して)、再度、弁体17が弁座15に接触するようにする。上記所定の上限値は、事前に実験または計算により、隙間を生じうる時の値を求め、その値を基準に、適宜安全係数を乗じる等して設定すればよい。
この際、接触スイッチ(例えば、上述したリミットスイッチ)等の接触検出装置(図示せず)を駆動装置21下端と断熱材19の上端間に設けるなど簡易的な手段で、弁体17と弁座16との接触を検出できる。具体的には、この接触スイッチが通電した時点で、弁体17が弁座16に接触したものと判定して、心棒18の停止手段を作動させて(例えば、閉止用のエア弁および開通用のエア弁をともに閉止してエアシリンダを封止状態にして)、心棒18を停止させる。これにより、クリープ変形するような過度な過重が、反応容器10周辺または心棒18周辺の部材にかかることを、簡単な機構で防止することができる(対応A)。
このときの心棒18に加わる荷重は、一般に、エアシリンダの閉止用のエア弁が高圧エア源に開放される場合の最大荷重よりも小さい。
また、初期から時間が経過していく中で、あるタイミングで原点との乖離温度差が、負正となり(例えば、心棒表面温度のみが初期よりも下降した場合)、且つ所定の下限値以下となった場合には、反応容器10と心棒18との熱膨張差の初期からの変化量の絶対値が弁体17と弁座18が近付く方向に許容値以上に増大したと判断できる。この場合、弁体17と弁座15の間の圧縮応力が増大してクリープ変形を生じる危険性が高まるので、一旦、心棒18の停止を解除して、弁体17を弁座15から一度開放した後、弁体17を閉止側の設定として、再度、弁体17が弁座15に接触するようにする。上記所定の下限値は、事前に実験または計算により、クリープ変形が生じうる時の値を求め、その値を基準に、適宜安全係数を乗じる等して設定すればよい。
この際、上のケースと同様に、接触スイッチ等の接触検出装置(図示せず)を駆動装置21下端と断熱材19の上端間に設けるなど簡易的な装置で、弁体17と弁座16との接触を検出できる。具体的には、この接触スイッチが通電した時点で、弁体17が弁座15に接触したものと判定して、心棒18の停止手段を作動させて、心棒18を停止させる。これにより、クリープ変形するような過度な過重が、反応容器10周辺または心棒18周辺の部材にかかることを、簡単な機構で防止することができる(対応B)。
このように、原点との乖離温度差を管理し、原点との乖離温度差の上限と下限を設定し、原点との乖離温度差が上限値以上となった際には対応Aを行い、下限値以下となった際には対応Bを行うことで、弁体17と弁座15の間に隙間を生じることを防止でき、且つ、心棒18や弁体17や弁座15のクリープ変形も防止することができる。
なお、接触スイッチは一般的な市販品を使用することができる。また、反応容器10と心棒18の間の温度差の上限値および下限値は、予め、試験や計算で求めておくことができ、適宜安全係数を乗じて設定することができる。また、対応Aにおける弁体17と弁座15の間に隙間が生じたかどうかの判定は、上記温度差に替えて、接触スイッチ等の接触判定手段で代替することもできる。
また、本実施形態では、上記対応Aや対応Bを行って、心棒18が停止した後も、心棒18および反応容器10の温度は、それぞれ上記の反応容器および心棒の温度測定装置によって常に計測される。
また、対応Aまたは対応Bの実施後には、弁体17が弁座15に接触して、心棒18を固定した時点の反応容器10と心棒18の間の温度差を新たな原点の温度差として記録しておき、これ以降の原点との乖離温度差は、この新たな原点の温度差に基づいて算出することができる。
また、図6のように、弁座15が下方に設置されている場合、弁閉止状態で、心棒18が温度上昇により熱膨張すると、弁体17が弁座15に押しつけられて圧縮応力が増大し、逆に心棒18が温度低下により熱収縮すると、弁体17が弁座15から離れようとすることなり、図2とは逆の状況となるため、原点との乖離温度差が正となった場合には対応Bを行い、原点との乖離温度差が負となった場合には対応Aを行うようにすればよい。
(温度測定装置)
上記の反応容器10と心棒18の間の温度差を把握する温度測定装置は、例えば、反応容器10の表面および心棒18の表面にシース熱電対(図示せず)を設けることで実現できる。すなわち、シース熱電対の表面を反応容器10の外表面および心棒18の表面に接触させた状態で固定すればよい。反応容器10内に設けられる心棒18表面の熱電対の導線を反応容器外(反応炉外)まで引き出す方法として、例えば、心棒18として管を用いて、この管内に上記導線を通すことが挙げられる。熱電対は、この心棒18を構成する管の内面の所定位置(好ましくは、触媒層の近傍)に接触させればよい。あるいは、上記心棒18を構成する管に貫通孔を設け、管の内側からこの貫通孔を通して熱電対を心棒外表面に露出させてもよい。心棒18の少なくとも片側端は、駆動装置21に接続させるように炉外に接続しているので、この心棒18の端部を通して上記熱電対の導線を炉外に取り出して熱電対による温度計測値を測定すればよい。
また、温度測定装置は、心棒18の表面温度と、反応容器10の表面温度とを、それぞれ経時的(連続的または断続的)に計測することができる。また、上述の対応A、対応Bを行えるようにするため、各計測時点における心棒18の表面温度と反応容器10の表面温度との温度差を算出し、第1の計測時点での前記温度差(心棒−容器温度差)と第2の計測時点での前記温度差(心棒−容器温度差)との差である乖離温度差(=「第2の計測時点での心棒−容器温度差」−「第1の計測時点での心棒−容器温度差」)も算出できることが好ましく、更に、算出した乖離温度差データを外部へ送信できることがより好ましい。この際、第1の計測時点での心棒−容器温度差が、原点での心棒−容器温度差の場合には、乖離温度差は、原点での乖離温度差となる。
更にまた、温度測定装置は、触媒の温度を適切な範囲に維持するための操業上の管理計器として活用することもできる。もし、心棒18の表面温度測定値が低下して、乖離温度差が所定の下限値よりも低くなった場合には、炉温設定をより高めることによって、触媒および心棒表面温度を上昇させることができる。
(接触検出装置)
接触検出装置には、例えば、市販の接触スイッチを用いることができる。接触スイッチは、無負荷状態ではバネ等によって離れた位置に保持される2つの端子に対して、端子が接近する方向に所定量以上の荷重が与えられたとき、前記2つの端子が互いに接触して通電状態となることによって、接触(所定値以上の接触荷重の発生)の判定を行う検出器である。また、各種制御を行うため、検出された接触信号を、外部へ送信できるようにすることが好ましい。
(心棒の軸方向の位置調整手段)
上記の心棒18の軸方向の位置調整手段として、例えば、心棒18とエアシリンダ間(より具体的には、例えば、駆動装置21下端と断熱材19の上端間)に市販の接触検出装置(図示せず)を設け、この検出値(心棒の軸方向の所定値以上の荷重の発生)を監視しながら、エアシリンダの各エア弁の開閉等を操作する装置を用いることができる。
<弁体17と弁座15の間に隙間が生じるのを防止する場合>
具体的には、エアシリンダを封止状態とした後、心棒18の前記接触検出装置が接触を不検出となった場合(接触信号が外部へ送信されなくなった場合)には、弁体17が弁座15から離れつつあるので、心棒18の停止手段を解除した後、エアシリンダの閉止側のエア弁を高圧エア源に開放するとともにエアシリンダの開通用のエア弁を低圧エア源(例えば大気)に開放する。その結果、弁体17(心棒18)は、弁座15により接近する側に移動して互いの接触力が上昇してやがて前記接触検出装置が接触を検出する。この時点で心棒18の停止手段を作動させて心棒の位置を固定する(エアシリンダの封止状態)。このようにして弁体17(心棒18)と弁座15間の非接触状態を回避できる。
<弁体17と弁座17の間に過度な圧縮応力が生じて心棒18等がクリープ変形することを防止する場合>
図2の装置の場合、このように接触検出装置が接触を検知した瞬間の心棒18と反応容器10との間の心棒−容器温度差(温度測定値差)を原点の温度差として算出して記録しておく。そして、その後の心棒−容器温度差と前記原点の心棒−容器温度差(乖離温度差)が、所定の下限値以下の負値になった場合(例えば、接触検知時の心棒−容器温度差:−20℃を原点の心棒−容器温度差とし、心棒−容器温度の下限値の設定を−21℃として(乖離温度差の下限値を−1℃と設定)、その後の温度測定において、心棒−容器温度差が−21℃に達した場合、即ち、心棒18の温度が反応容器10の温度よりも21℃低くなった場合)弁体17と弁座15間の接触荷重が過大と判定して、心棒18の停止手段を解除する。その後、エアシリンダの閉止側のエア弁を低圧エア源に開放するとともにエアシリンダの開通用のエア弁を高圧エア源に開放する。その結果、弁体17は、弁座15から離れてやがて前記接触検出装置では接触を不検出となる。この時点で、心棒18の移動方向を反転させて再度、前記接触検出装置が接触を検出した時点(検出した接触信号を外部へ送信した時点)で心棒18の動きを停止して心棒18の停止手段を作動させて心棒の位置を固定する(エアシリンダの封止状態)。このようにすることで、弁体17と弁座15間での過度な荷重の発生を回避することができる。なお、図6の装置の場合は、乖離温度差の下限値ではなく、乖離温度差の上限値で制御すればよい。
このように、心棒18の位置調整手段は、(i)エアシリンダを封止状態とするために、弁体17を移動して弁座15に接触させる際は、接触検出装置から送信される検出信号を利用し、接触後に心棒18を固定することで、位置制御できる。
また、心棒18の位置調整手段は、(ii)エアシリンダが封止状態となるように心棒18を固定した後は、(ii−A)接触検出装置により、接触不検出(接触信号を受信しなくなる)を判定して、弁体17と弁座15の間に隙間を生じるのを防止し、(ii−B)且つ、乖離温度差データの受信により、弁体17と弁座17の間に過度な圧縮応力が生じて心棒18等がクリープ変形することを防止するという、位置制御を行うことができる。
具体的な制御の方法としては、例えば、駆動装置21に制御装置(図示せず)を組み込むことで行うことができる。この制御装置は、接触検出装置から送信される接触信号を受信して、閉止用エア弁と開通用エア弁とを操作できる。
制御装置が組み込まれた駆動装置21は、上記(i)を行う際には、心棒18を、弁体17が弁座15に接近する方向に移動させて、弁体17が弁座15に接触した際に接触検出装置から送信される接触信号を受信し、当該信号をトリガーとして、閉止用エア弁と開通用エア弁とを共に閉じてエアシリンダを封止状態として前記心棒の位置を固定して、弁体17の移動を停止することができる。
また、制御装置が組み込まれた駆動装置21が上記(ii−A)を行う際には、エアシリンダを封止状態とした後、前記接触検出装置から送信されていた接触信号が受信されなくなった時(弁体17が弁座15から離れつつある時)、心棒18の停止手段を解除した後、エアシリンダの閉止側のエア弁を高圧エア源に開放するとともにエアシリンダの開通用のエア弁を低圧エア源に開放する。弁体17は、弁座15により接近する側に移動して互いの接触力が上昇し、やがて接触検出装置からの接触信号を受信する。この時点で心棒18の停止手段を作動させて心棒の位置を固定する(エアシリンダの封止状態)。
また、制御装置が組み込まれた駆動装置21が上記(ii−B)を行う際には、エアシリンダを封止状態とした後、温度測定装置からの乖離温度差データを受信し、乖離温度差が所定の上限値以上となった際(図2のように心棒18が収縮した際に弁閉塞方向となる場合)または所定の下限値以下となった際(図6のように心棒18が膨張した際に弁閉塞方向となる場合)に、弁体17と弁座15の間に過度な圧縮応力が生じないように、心棒の停止状態を解除(エアシリンダの封止状態を解除)する。その後、エアシリンダの閉止側のエア弁を低圧エア源に開放するとともにエアシリンダの開通用のエア弁を高圧エア源に開放する。その結果、弁体17は、弁座15から離れてやがて前記接触検出装置では接触を不検出(駆動装置21が接触信号を受信しなくなる)となる。この時点で、心棒18の移動方向を反転させて再度、前記接触検出装置が接触を検出した時点(駆動装置21が接触信号を受信した時点)で心棒18の動きを停止して心棒18の停止手段を作動させて心棒の位置を固定する(エアシリンダの封止状態)。
また、上記の方法による心棒18の軸方向の位置調整手段の場合、反応容器表面および心棒表面の温度測定装置だけでなく、接触スイッチ等の接触検出装置を追加する必要があるが、この温度測定装置での計測値を用いるだけで、上記の接触検出装置を省略することもできる。以下にその実施形態を説明する。
まず、反応容器10の表面と心棒18の表面との間に温度差のない状態、例えば、常温において、弁体17が弁座15に好適な荷重で接触する位置で停止するように、エアシリンダの接触スイッチの設置位置等を調整する。次に、操業中の心棒18と反応容器10との温度差を計測し、弁体17を弁座15に接触させて保持する(閉止用の弁および開通用の弁をともに閉止した封止状態にする)。その後、この温度差が所定範囲を超える場合には、封止状態を一旦解除して心棒18を弁体17が弁座15から離れる方向に移動させた後に再び封止状態とする(具体的形態は下述)。こうすることによって、弁体17と弁座15間の接触荷重を好適な範囲に維持することができる。本発明が前提とする反応器における心棒18の軸方向の荷重の変動原因は、主として反応速度の変動による反応容器10と心棒18の間の温度差の変化によるものである。従って、この反応容器10と心棒18の間の温度差が所定範囲内であるかを観測すれば弁体17と弁座15の間の荷重(心棒の軸方向の荷重)変化を予測することができる。
即ち、心棒18を含む弁体17の熱膨張量と反応容器10を含む弁座15の熱膨張量の差が弁体17を弁座15に接近する方向に変動した場合、熱膨張差に基づく弁体17と弁座15間の接触荷重は増加する。逆に、心棒18を含む弁体17の熱膨張量と反応容器10を含む弁座15の熱膨張量の差が弁体17を弁座15から離脱する方向に変動した場合、熱膨張差に基づく弁体17と弁座15間の接触荷重は低下する。このような荷重変化量は、心棒18の温度と反応容器10との温度差にほぼ比例することがわかった。この温度差と荷重の対応関係を用いて、許容される弁体17と弁座15間の荷重範囲を、許容される心棒18と反応容器10間の温度差の範囲に換算することができる。
また、温度差が許容範囲外となった場合に心棒18を移動させる量および方向は、上記の熱膨張量差による荷重変化を緩和するように設定する。即ち、弁体17が弁座15に接近する方向に熱膨張量差が変動した場合には、弁体17が弁座15から離脱する方向に心棒18を移動させる。その移動量は、軸方向の熱膨張量差を目標にすることが好ましい。
この心棒の移動量を調整する方法として、シリンダの停止位置を無段階に設定可能なシリンダである場合には上記熱膨張量差の長さ分の移動を直接、シリンダに指令すればよい。あるいは、心棒18の移動開始後の所定時間後に移動を停止させてもよい。これは、心棒18を移動させるときの熱膨張量差が一定ならば、好適な駆動装置21の操作時間も一定値が見込まれるからである。
当該実施形態の場合には、軸方向の位置調整手段は、上記の温度測定装置に、エアシリンダのエア弁開閉手段と、エアシリンダのエア弁の開閉タイミングを指示する制御装置とを組み合わせて構成することができる。上記制御装置には、例えば、センサやアクチュエータとの通信機能を備えた市販のハーソナルコンピュータ等を用いることができる。また、許容される弁体17と弁座15間の荷重範囲から、許容される心棒18と反応容器10間の温度差の範囲への換算は、予め、試験や計算で求めておくことができ、適宜安全係数を乗じて設定することができる。
以上により、第1の実施形態に係る触媒反応装置1では、心棒18に触媒保持器14及び弁体17が固定されているので、これらは心棒18と一体となって昇降する。したがって、心棒18を昇降させることで、触媒層13全体を昇降させることができる。触媒層13は、反応容器10の内壁面及び心棒18の外周面との摩擦によって拘束されながら昇降するので、触媒粒子が撹拌される。すなわち、触媒粒子同士の相対位置が変動する。この結果、触媒粒子間に存在する夾雑物が除去される。
さらに、心棒18は、弁体17が弁座15の通気孔16を閉塞する閉塞位置と、弁体17が通気孔16を開放する開放位置との間を昇降する。したがって、触媒層13の昇降中の多くの時間帯で(すなわち、心棒18が閉塞位置に存在する時点を除き)、通気孔16が開放される。このため、触媒層13の昇降中には原料ガスが反応容器10内に導入される。すなわち、原料ガスは、昇降中の触媒層13に導入される。この場合、原料ガスは、触媒層13内の夾雑物を除去することができる。特に、第1の実施形態では、触媒粒子間の相対位置の変動によってガス流路が変動するので、原料ガスは、新たなガス流路沿いに存在する夾雑物を除去することができる。
特に、触媒層13の下降時には、上記摩擦の効果によって触媒層13の上部は下部に遅れて下降する。したがって、触媒層13の充填率が一時的に低下する。この際、触媒粒子間の平均的な間隙が拡大するため、原料ガスの通過しにくい部位(例:触媒保持器14直上の触媒粒子等)にも原料ガスが到達し、そこでの夾雑物を除去できる。尚、原料ガスの到達しにくい部位ではそもそも夾雑物の発生速度が小さいので、この部位で夾雑物除去を図る必要はないとの考えもありうる。しかし、実際には、原料ガスの到達しにくい部位でも原料ガスの拡散等を通じて夾雑物は徐々に発生する。そして、ここで発生した夾雑物は、この部位からあふれて隣接する部位、すなわち原料ガスの通気し易い部位に及び、この部位での通気抵抗を上昇させる。したがって、原料ガスの到達しにくい部位でも夾雑物を除去する必要性が存在する。
触媒保持器14の直上部分は本来(静止時には)、通気のしにくい領域でもある。触媒層13の昇降中であれば、ここへの原料ガスの通気も容易なため、触媒保持器14の直上の触媒粒子間に堆積した夾雑物も原料ガスの通気によって除去できる。
さらに、第1の実施形態では、原料ガスを触媒層13の上方から触媒層13に導入する。すなわち、原料ガスを鉛直下向きに触媒層13に導入する。このため、触媒粒子に働く力は全て下方向の力となる。したがって、夾雑物をより効率よくかつ確実に除去することができる。
さらに、第1の実施形態では、弁座15及び弁体17によって原料ガスの反応容器10への導入及び遮断を切り替えることができる。したがって、原料ガスの反応容器10への導入及び遮断を切り替えるために別途の高温弁を必要としない。さらに、弁座15及び弁体17は単純な構造となっているので、より高温に耐えることができる。例えば、高温弁の耐熱温度は800℃程度であるが、弁座、弁体の耐熱温度は900℃程度となりうる。
また、第1の実施形態では、弁座15及び弁体17が触媒層13よりも原料ガス流通方向の上流側に存在するので、触媒層13から除去されて下流に流出する夾雑物が弁座15及び弁体17に堆積することがない。したがって、夾雑物によって弁座15及び弁体17の機能が阻害される(例えば通気孔16が夾雑物によって閉塞される等)ことがない。
(3.触媒反応方法)
次に、上記触媒反応装置1を用いた触媒反応方法、すなわち触媒反応装置1の運転方法を説明する。
(原料ガス改質時)
原料ガスを改質する際には、触媒反応装置1を以下の内容で運転する。
心棒18の運動状態:開放位置で停止
原料ガス流れ:原料ガスは、原料ガスの改質に適した空間速度(SV)で流れることが好ましい。
ここで、原料ガスの流速はブロワ5によって調整することが可能である。また、原料ガスの空間速度は、以下の数式(3)で示される。
SV=[原料ガス流量]/[触媒総体積] (3)
数式(3)において、原料ガス流量は体積流量(m/s)であり、触媒総体積は、各触媒層13の体積の総和(m)を意味する。分母の原料ガス流量には、原料ガスの改質によって生じた改質ガスの流量は含まれない。空間速度の具体的な数値は、ガスの標準状態に換算した値となっている。原料ガスの改質に適した空間速度は、原料ガスの種類によって異なるので、原料ガスの種類によって適宜設定すればよい。例えば原料ガス改質中の空間速度は、100(1/h)以上10000(1/h)以下程度が好ましい。
(夾雑物除去時)
夾雑物を除去する際には、触媒反応装置1を以下の内容で駆動する。
心棒18の運動状態:開放位置18a及び閉塞位置18bの間を昇降(往復)する。
原料ガス流れ:原料ガスの流量は特に制限されない。例えば、原料ガスの流量は、原料ガス改質時の流速よりも大きくても小さくても良い。原料ガスの線速度LVは、以下の数式(4)で示される。分母の原料ガス流量には、原料ガスの改質によって生じた改質ガスの流量は含まれない。線速度の具体的な数値は、ガスの標準状態に換算した値となっている。
LV=[原料ガス流量]/[反応容器の水平断面積] (4)
(原料ガスの流量を大きくする場合)
触媒層の昇降中のLVを大きく設定するほど、夾雑物の除去が促進される。特に、原料ガスの線速度(LV)は、下降流なので、0.2m/s以上であることが好ましく、0.4m/s以上であることがより好ましい。これらの臨界値以上のLVにおいて、夾雑物の除去は、特に効果的に行われる。また、前記の臨界的なLV値0.2m/s未満の値であっても、改質時よりもLVを増大させることによって、特に細かいコーク(例えば、直径50μm未満)を飛散させる効果がある。特に細かいコークは、触媒層中に堆積するコーク全体に占める質量割合は数%程度以下と小さく、これを除去してもコーク除去の質量的な効果としてはさほど大きくない。しかし、触媒層中に特に小さいコークが一定量以上堆積すると、触媒保持器と反応容器の間の隙間に特に小さいコークが多量に挟まって触媒保持器の昇降操作の妨げになることがある。従って、前記臨界値未満のLV条件であっても、改質時よりも増速させることによって特に細かいコークの堆積量を減らすことによって作業性上のメリットが生じる。
原料ガスの流量を大きくする第1の方法は、ブロワ5の回転数及びバイパス弁6の開度を調整することである。たとえば、ブロワ5の回転数を大きくすることで、原料ガスの流量を増大させる。また、ブロワ5の回転数を一定としたままでバイパス弁6の開度を原料ガス改質時の開度よりも小さくすることで、原料ガスの流量を増大させる。後者の場合、原料ガス改質時にもバイパス弁6の開度を0より大きくしておく必要がある。なお、触媒層13の昇降操作によって、反応容器10内の通気抵抗が低下するので、ブロワ5の回転数及びバイパス弁6の開度を特に変更しなくても、触媒層13の昇降中に通気を続ければ、次第に原料ガス流量が増大する。
第2の方法は、原料ガス供給部がガス発生炉のように常に一定質量の原料ガスを発生させるものであることを前提として、弁体17が通気孔16を閉塞する時間(心棒18が閉塞位置にとどまる時間)を十分に長くすることである。第1の方法と第2の方法とを組み合わせてもよい。第2の方法によって原料ガスの流量が増大する理由は上述したとおりである。より詳細には、弁体17が通気孔16を閉塞している場合、反応容器10内の原料ガス流量は0になる。ただし、原料ガス発生装置100からの原料ガス供給は継続されるので、流入路11の内圧は上昇する。一方、流出路12の内圧は、ブロワ5の運転を続ければ徐々に低下し、ブロワ5の運転を止めた場合、その時点での内圧が維持される。いずれにしても、流出路12の内圧(すなわち反応容器10の内圧)が上昇することはない。
したがって、弁体17が通気孔16を開放した際に、流入路11と流出路12との間の大きな内圧差によって大量の原料ガスが反応容器10内に流入する。すなわち、反応容器10内の原料ガス流量が増大する。ここで、流入路11内に圧力計を設けておき、圧力計の値が所望の値になった際に心棒18を速やかに開放位置まで移動させてもよい。このとき、流量調整部での流量目標値を、実際に見込まれる流量よりも充分に大きな値に設定しておけば、ブロワや流量調整弁が大きな流量用の設定になるのでよい。これによって、定常運転では得ることのできない大きさの所望の原料ガス流量を容易に実現することができる。
ここで、上述したように、触媒層13の下降中に触媒粒子間の間隙が大きくなり、触媒層13内のガス流路が変動するので、夾雑物は触媒層13から除去されやすい状態となっている。第2の方法では、夾雑物が触媒層13から除去されやすい状態となっている際に大きな流量の原料ガスを触媒層13に供給するので、触媒層13からより効率よく夾雑物を除去することができる。
尚、大きな原料ガス流量を触媒層に通気する場合、上述のように触媒層を昇降(往復)すると効果的ではあるものの、触媒の破損を最小化したい等の理由があれば、触媒層昇降(往復)を必ずしも行う必要はない。閉塞状態から弁を開放する際の心棒移動に伴う一方向のみの触媒層の移動であっても、例えば、約30%の触媒層中堆積コークを除去することができ、圧力損失の低減を一定程度、期待できる。
(原料ガスの流量を小さくする場合)
原料ガスの供給を完全に停止した後に供給を再開する際にはしばしば操業が不安定化することがある。この問題を回避するために、触媒層の昇降中にも原料ガスを供給し続けることがある。しかし、触媒層の昇降中に触媒層を通過した原料ガスの改質は、品質がばらつきがちなので、改質ガスの品質安定化の観点からは、操業を不安定化させない範囲で昇降中の原料ガスの流量をできるだける低減したい場合があり(改質中の改質ガスと昇降中の改質ガスは混合されて成品になるので、昇降中の改質ガスの割合を低下させる)、このためには、昇降時の原料ガスの流量を改質時よりも小さくすることが有効であり、このように操業してもよい。改質時の原料ガス流量では上記の夾雑物除去に好適なLVを満足することはできないので、より流量の小さい本操業条件の場合、夾雑物の除去能力は、原料ガス流量を大きくした場合に比べて劣る。但し、特許文献2と同程度の夾雑物除去効果を発揮することはできる。さらに、特許文献2の技術では必ずしも容易ではない、原料ガス流量の低減を、特に、下記の第2の方法では、心棒の昇降のみを用いた簡単な操作で実現することができる。
原料ガスの流量を小さくする第1の方法は、ブロワ5の回転数及びバイパス弁6の開度を調整することである。たとえば、ブロワ5の回転数を小さくすることで、原料ガスの流量を減少させる。また、ブロワ5の回転数を一定としたままでバイパス弁6の開度を上げることで、原料ガスの流量を減少させる。第2の方法は、原料ガス供給部がガス発生炉等のガス発生装置のように常に一定質量の原料ガスを発生させるものであることを前提として、弁体17が通気孔16を閉塞する時間(心棒18が閉塞位置にとどまる時間)を十分に短くすることである。第1の方法と第2の方法とを組み合わせてもよい。
第2の方法によって原料ガスの流量が小さくなる理由は以下の通りである。すなわち、上述したように、弁体17が弁座15に近い位置に存在する場合、原料ガスの通気断面積が減少して通気抵抗が上昇する。このため、原料ガスの流量が小さくなる。ただし、弁体17が通気孔16を閉塞すると、流入路11の内圧が上昇する。そして、弁体17が通気孔16を閉塞する時間が長くなるほど、流入路11の内圧が上昇する。この場合、弁体17が通気孔16を開放すると、大量の原料ガスが反応容器10内に流れこむ。すなわち、原料ガスの流量が増大する。一方、弁体17が通気孔16を閉塞する時間を短くすれば、流入路11の内圧の上昇を抑えることができる。すなわち、弁体17が通気孔16を開放した際の原料ガスの流量増大を抑えることができる。このように、第2の方法では、弁体17が通気孔16を閉塞する時間を十分に短くすることで、弁体17が通気孔16を開放した際の原料ガスの流量増大を抑える。そして、弁体17が弁座15の近傍に存在する際には、原料ガスの流量が減少する。したがって、第2の方法では、弁体17が弁座15の近傍に存在する際に、原料ガスの流量を小さくすることができる。もちろん、この方法だけでは原料ガスの流量が十分に小さくならない場合がある。この場合には、第1の方法を併用してもよい。
(大気流入の遮断時)
何らかの原因で流入路11に大気が流入した場合、大気を反応容器10から遮断する必要がある。ここで、例えば原料ガス発生装置100がコークス炉となる場合、石炭装入作業時およびコークス排出作業時には、コークス窯を大気に対して開放する必要がある。したがって、コークス窯が大気に開放された際に、流入路11に大気が流入する。そこで、流入路11に大気が流入した際には、心棒18を閉塞位置18bで停止させることで、大気を反応容器10から遮断する。
なお、弁体17が通気孔16を閉塞している間、ブロワ5を停止してもよく、継続して駆動させてもよい。ただし、ブロワ5を停止すると操業が不安定化する可能性があるので、ブロワ5は継続して駆動されることが好ましい。ブロワ5を継続して駆動する場合、バイパス弁6を開放すればよい。この場合、バイパス弁6、バイパス管7、及びブロワ5からなる循環系をガスが循環するようになるので、ブロワ5を継続して駆動させることができる。
また、本発明の反応器は、触媒活性を低下させる成分(例えば硫黄化合物)を含有するが夾雑物を副生しない炭化水素(例えば、天然ガス)の改質プロセスを対しても効果がある。触媒層内では触媒間の空間を均一に原料ガスが流れるわけではなく、原料ガスの通気しやすい流路とそれ以外の空間の差が生じる。この通気し易い流路に面した触媒表面では常に新鮮な原料ガスと接触するために触媒被毒が進行しやすい。コーキングを生じる反応の場合には、前述のように通気しやすい流路では次第にコーキングによって通気抵抗が増大して他の空間に流路が移動する効果が存在する。しかし、コークを副生しない反応では、いかに触媒被毒が進行しようともそこでの通気抵抗が上昇することはなく、失活した触媒表面を大半の原料ガスが通過する。このため、触媒層内で、通気の少ない触媒表面での活性は未だ十分残っていたとしても触媒層全体としての活性は大きく低下してしまう。ここで、触媒層の昇降を行うと、触媒層内の流路分布が変更されて、それまで通気の少なかった触媒表面(活性のより残っている表面)が通気しやすい流路に露出する確率が高まり、触媒層全体の活性を部分的に回復させることができる。この効果を狙って、触媒層を昇降させるためには、特許文献2でのような触媒層昇降機構を設ける必要があり、単純な固定床反応器に対して設備費が増大する問題がある。一方、本発明では、固定床反応器であっても求められる遮断弁の開閉機構を、触媒昇降を行うことに併用できるので、比較的簡易な設備で触媒層内の流路を変更することができる。尚、このように触媒層を撹拌する目的で触媒昇降を行う際には、触媒層への通気は、必ずしも必要ない。
<2.第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について説明する。
(1.全体構成)
全体構成は第1の実施形態と同様である。
(2.触媒反応器の詳細構成)
次に、図5に基づいて、第2の実施形態に係る触媒反応器2の詳細構成について説明する。第2の実施形態に係る触媒反応器2は、心棒18の停止位置に中間位置が加わった他は、第1の実施形態と同様の構成を有する。図5(b)は心棒18の開放位置18aを示し、図5(c)は心棒18の閉塞位置18bを示し、図5(d)は心棒18の中間位置18cを示す。中間位置18cは、開放位置18aと閉塞位置18bとの間に設定される。図5に示す例では、中間位置18cは、開放位置18aと閉塞位置18bとの中点に中間位置18cが設定されるが、他の位置に中間位置18cが設定されても良いことはもちろんである。
中間位置の設定方法は特に制限されないが、例えば上述したエアシリンダ中の中間位置に相当する位置にリミットスイッチを設ける方法等が挙げられる。より具体的には、このようなリミットスイッチを有する3ポジション式のエアシリンダを駆動装置21として用いれば良い。また、複数の2ポジション型エアシリンダを直列に結合することで、3ポジション式のエアシリンダを実現してもよい。なお、中間位置の数は複数であってもよい。この場合、駆動装置21のポジション数は中間位置の数に応じて増大する。
駆動装置21は、原料ガスの遮断時には心棒18を閉塞位置18bで停止させ、原料ガスの改質時には、心棒18を開放位置18aで停止させる。さらに、駆動装置21は、夾雑物の除去時には、心棒18を中間位置18cと開放位置18aとの間を昇降させる。これにより、第2の実施形態では、原料ガスの流通を遮断させることなく触媒層13を昇降させることができる。すなわち、第1の実施形態では、心棒18を閉塞位置18bと開放位置18aとの間で昇降させる。したがって、触媒層13を昇降させている間のいずれかの時点で、原料ガスの流通が遮断される。したがって、原料ガスの流通が不安定になる場合がある。第2の実施形態では、原料ガスの流通を遮断させることなく触媒層13を昇降させることができる。これにより、夾雑物の除去中も触媒反応を安定して行うことができ、夾雑物をより効率よく除去することができる。
(3.触媒反応方法)
次に、上記触媒反応装置1を用いた触媒反応方法、すなわち触媒反応装置1の運転方法を説明する。
(原料ガス改質時)
原料ガスを改質する際には、触媒反応装置1を以下の内容で運転する。
心棒18の運動状態:開放位置18a(又は、中間位置18c)で停止
原料ガス流れ:原料ガスは、原料ガスの改質に適した空間速度(SV)で流れることが好ましい。
具体的な処理内容は第1の実施形態と同様である。
(夾雑物除去時)
夾雑物を除去する際には、触媒反応装置1を以下の内容で駆動する。
心棒18の運動状態:中間位置18c及び開放位置18bの間を昇降(往復)する。
原料ガス流れ:原料ガスの流量は、特に制限されないが、原料ガス改質時の流量よりも大きくてもよい。ただし、原料ガスの線速度(LV)は0.2m/s以上であることが好ましく、0.4m/s以上であることがより好ましい。原料ガスの流量を大きくする方法としては、例えば、上述した第1の実施形態で述べた方法が挙げられる。すなわち、第2の実施形態においても、例えば原料ガスの流量を増大させるために、心棒18を一時的に閉塞位置18bまで移動させても良い。
(大気流入の遮断時)
第1の実施形態と同様に、心棒18を閉塞位置18bで停止すればよい。
第2の実施形態では、第1の実施形態と同様の効果が得られる他、夾雑物除去時の原料ガス流れをより安定化させることができる。
<3.第3の実施形態>
次に、第3の実施形態について説明する。
(1.全体構成)
全体構成は第2の実施形態と同様である。
(2.触媒反応器の詳細構成)
次に、図6に基づいて、第3の実施形態に係る触媒反応器2の詳細構成について説明する。第3の実施形態に係る触媒反応器2は、弁座15及び弁体17の設置位置が異なる他は、第2の実施形態と同様の構成を有する。図6(b)は心棒18の開放位置18aを示し、図6(c)は心棒18の閉塞位置18bを示し、図6(d)は心棒18の中間位置18cを示す。
第3の実施形態の弁体17は、心棒18の下端に設けられる。弁体17の形状は円錐形状となっている。一方、弁座15は、弁体17の下方に配置される。第3の実施形態では、ピストン23がシリンダ22の上端に到達した際に心棒18が開放位置18aに到達し、ピストン23がシリンダ22の下端に到達した際に、心棒18は閉塞位置18bに到達する。なお、図6に示す駆動装置21は3ポジション型のエアシリンダであるが、第1の実施形態に示されるような2ポジション型のエアシリンダであってもよいことはもちろんである。
第3の実施形態によれば、第1及び第2の実施形態と同様の効果が得られる他、以下の効果が得られる。駆動装置21が反応容器10の上方に設置される場合、全ての可動部(駆動装置21、触媒層13、触媒保持器14、弁体17、および心棒18等)を加熱装置の上方(すなわち反応容器10の上方)から抜き出せることが好ましい。この場合、触媒反応器2の構造を単純化でき、かつ、メンテナンスが容易となるからである。
すなわち、第1及び第2の実施形態では、弁座15が弁体17の上方で反応容器10に固定されているので、弁座15を反応容器10から取り外さないと、触媒層13、触媒保持器14、弁体17、及び心棒18を反応容器10から抜き出せない。このため、弁座15を反応容器10に着脱可能な構造とする必要がある。したがって、触媒反応器2の構成が複雑化する。さらに、メンテナンスのたびに弁座15の取り外し及び組付けを行う必要があるので、メンテナンスの手間が増大する。
これに対し、第3の実施形態では、弁座15が弁体17の下方に存在するので、弁座15を反応容器10内に固定したままで全ての可動部を反応容器10の上方から抜き出すことができる。したがって、弁座15を反応容器10に着脱可能な構造とする必要がない。このため、触媒反応器2の構造が単純化される。さらに、メンテナンス時には弁座15を反応容器10から抜き出すことなく全ての可動部を反応容器10の上方から抜き出すことができる。したがって、メンテナンスの手間が低減される。
なお、図6に示される例では、弁体17及び弁座15が触媒層13の下方に配置され、流入路11が触媒層13の上方に配置される。したがって、仮に弁体17が通気孔16を閉塞したとしても、流入路11は反応容器10と連通している。したがって、流入路11に大気が流入した場合、仮に弁体17が通気孔16を閉塞したとしても、大気が拡散等を通じて流入路11から反応容器10内に流入する可能性がある。もちろん、原料ガス発生装置100が大気に開放された後すぐに(すなわち、流入路11に原料ガスが残っている間に)、通気孔16を弁体17で閉塞することで、大気の反応容器10内への侵入はかなり高い確率で抑制できる。ただし、大気が反応容器10内に流入する可能性を完全には排除できない。
そこで、流入路11を反応容器10の下方に設置し、流出路12を反応容器10の上方に設置してもよい。この場合、流入路11と触媒層13との間に弁体17及び弁座15が配置される。したがって、弁体17で通気孔16を閉塞することで、第1及び第2の実施形態と同様に、大気と触媒層13との接触をより確実に抑制することができる。
なお、この場合、原料ガス改質時及び夾雑物除去時には、原料ガスは反応容器10内を鉛直上向きに向かって移動する。原料ガス改質時の原料ガスの好ましい空間速度は図6の例と同様である。一方、夾雑物除去時の原料ガスの好ましい線速度は、0.4m/s以上となる。
ここで、本発明者らの調査の結果、鉛直上向きに原料ガスを供給すると、原料ガスによる上昇力と夾雑物自身の重力の釣り合う特定の寸法の夾雑物は、触媒層13中に残留することが判明した。
これを避けるために、触媒層13昇降中に2種類以上の流量条件(例えば線速度)で原料ガスを供給することによって、この特定の寸法を変化させる。つまり、ある流量条件で上昇力と重力の釣り合う夾雑物が触媒層13中に残留したとしても、その夾雑物には、触媒層13の昇降中に変更された他の流量条件では、上昇力か重力のいずれかが優越して働く。この結果、夾雑物は、触媒層13中を移動し、触媒層13から排出される。
すなわち、上昇力が重力より優越となる場合(例えば、より小さな粒子であるか、または、上昇風速のより大きい場合)、夾雑物は触媒層13の上方へ飛散するが、重力が上昇力より優越となる場合(例えば、より大きな粒子、または、上昇風速のより小さい場合)、夾雑物は触媒層13の下方へ落下する。したがって、夾雑物の除去中には、ブロワ5の回転数を調整すること等により、2種以上の流量条件の原料ガスを反応容器10内に導入することが好ましい。
なお、他の実施形態(第1、第2、第4、第5)の実施形態においても、流入路11を反応容器10の下方に設置し、流出路12を反応容器10の上方に設置した上で、上記の処理を行ってもよい。この場合、原料ガスの線速度は0.4m/s以上であることが好ましい。
(3.触媒反応方法)
上記触媒反応装置1を用いた触媒反応方法は、第2の実施形態と同様である。
<4.第4の実施形態>
次に、第4の実施形態について説明する。
(1.全体構成)
図7に基づいて、第4の実施形態に係る触媒反応装置1aの全体構成を説明する。触媒反応装置1aは、第1の実施形態に係る触媒反応装置1に非反応性ガス供給装置30、非反応性ガス遮断弁31、及び非反応性ガス供給路32を追加したものである。
(非反応性ガス供給装置)
非反応性ガス供給装置30は、非反応性ガスを触媒反応器2に供給する装置である。非反応性ガス供給装置30は、例えばガスホルダやガスボンベ等で構成される。ここで、非反応性ガスは、触媒層13と反応せず、触媒反応の反応温度・圧力条件において相変化を生じないガスであることが好ましい。このようなガスとしては、例えば、窒素ガス、アルゴンガス、精製コークス炉ガス(タールや水分を除去したコークス炉ガス)等が挙げられる。非反応性ガスは常温で触媒反応器2に供給されてもよい。非反応性ガスの供給は短時間で行われるので、常温の非反応性ガスによる触媒反応器2の温度低下は限定的となるからである。
(非反応性ガス遮断弁)
非反応性ガス遮断弁は、非反応性ガスの供給、遮断を切り替えるための弁である。非反応性ガス遮断弁は、市販の電動弁・エアシリンダ弁等であればよい。また、非反応性ガス遮断弁は必ずしも高温に耐えられるものでなくてもよい。非反応性ガスは常温で供給されうるからである。
(非反応性ガス供給路)
非反応性ガス供給路32は、触媒反応器2内に非反応性ガスを供給する。詳細は後述する。
(2.触媒反応器の詳細構成)
次に、図8に基づいて、第4の実施形態に係る触媒反応器2の詳細構成について説明する。第4の実施形態に係る触媒反応器2は、非反応性ガス供給路32が反応容器10に連結されている他は、第1の実施形態と同様の構成を有する。図8(b)は心棒18の開放位置18aを示し、図8(c)は心棒18の閉塞位置18bを示す。
図8(b)、(c)に示すように、弁座15と触媒層13との間から供給ガスを反応容器10内に供給する。触媒層13が複数層で構成される場合、非反応性ガス供給路32は、流出路12から最も離れた触媒層13と弁座15との間から非反応性ガスを反応容器10内に供給する。
第4の実施形態によれば、夾雑物除去に特化した非反応性ガスを夾雑物除去時(すなわち、触媒層13の昇降中、又は、心棒18の閉塞位置18b)に反応容器10内に供給することができるので、より確実かつ効率的に夾雑物を除去することができる。
(3.触媒反応方法)
次に、上記触媒反応装置1aを用いた触媒反応方法、すなわち触媒反応装置1aの運転方法を説明する。
(原料ガス改質時)
原料ガスを改質する際には、触媒反応装置1を以下の内容で運転する。
心棒18の運動状態:開放位置18bで停止
原料ガス流れ:原料ガスは、原料ガスの改質に適した空間速度(SV)で流れることが好ましい。原料ガスに関する具体的な処理内容は第1の実施形態と同様である。
非反応性ガス流れ:0(非反応性ガス遮断弁31は完全閉止状態となっている。)
(夾雑物除去時)
夾雑物を除去する際には、触媒反応装置1を以下の内容で駆動する。
心棒18の運動状態:閉塞位置18b及び開放位置18aの間を昇降(往復)する。
原料ガス流れ:非反応性ガスが反応容器10内に供給されるので、原料ガスの流量は、原料ガス改質時の流量よりも大きく減少する。反応容器10内の非反応性ガスの流量を大きくすることで、反応容器10内への原料ガスの流入を完全に防ぐこともできる。この場合、非反応性ガスが通気孔16を通って流入路11側に逆流する可能性があるが、非反応性ガスの逆流量は流出路12に流れる非反応性ガスの流量よりも十分小さい。したがって、逆流量は問題とならない。また、流入路11近傍では、原料ガスの圧力と非反応性ガスの圧力とをほぼ一致させることができるので、非反応性ガスの流入路11からの逆流を抑制することができる。特に、弁体17が非反応性ガス供給路32の触媒反応容器への非反応性ガス供給口よりも上に位置するときには弁体17が非反応性ガスの通気抵抗として働くため、逆流はより強く抑制される。
非反応性ガス流れ:逆流抑制の観点から、非反応性ガスの供給は、弁体17が上記非反応性ガス供給口よりも上に位置する間に供給することが好ましい。このような非反応性ガス供給流量制御は、駆動装置(心棒)の位置測定と非反応性ガス供給弁操作を組み合わせることで実現可能である。しかし、このような制御を省略したい場合には、非反応性ガスを駆動装置(心棒)の昇降中に常時供給してもよい。非反応性ガスの線速度(LV)は、0.2m/s以上であることが好ましく、0.4m/s以上であることがより好ましい。ここで、非反応性ガスの線速度は、以下の数式(5)で示される。分母の非反応性ガス流量には、原料ガスの流量は含まれない。線速度の具体的な数値は、ガスの標準状態に換算した値となっている。
LV=[非反応性ガス流量]/[反応容器の水平断面積] (5)
ここで、非反応性ガス流量を大きくする方法としては、非反応性ガス遮断弁31の開度を上げる、非反応性ガス供給装置30の内圧を上げる等の方法が挙げられる。図8(c)中の矢印P3は、非反応性ガスの非反応性ガス供給路32内の流動方向を示し、矢印P4は、非反応性ガスの流出路12内の流動方向を示す。
また、本実施形態の夾雑物除去時のガスの線速度(LV)は、上述のように、非反応性ガスのみで0.2m/s以上であることが好ましく、0.4m/s以上であることがより好ましいが、原料ガスと非反応性ガスのトータルとして、0.2m/s以上であっても構わない。
(大気流入の遮断時)
第1の実施形態と同様に、心棒18を閉塞位置18bで停止すればよい。
なお、上述したように、第4の実施形態においても、流入路11及び流出路12の配置を逆転させてもよい。この場合、非反応性ガスの線速度は0.4m/s以上であることが好ましい。
<5.第5の実施形態>
(1.全体構成)
全体構成は第1の実施形態と同様である。
(2.触媒反応器の詳細構成)
つぎに、図9に基づいて、第5の実施形態に係る触媒反応器2aの詳細構成を説明する。図9に示すように、触媒反応器2aは、反応容器40と、流入路41と、流出路42と、触媒層43と、触媒保持器44と、弁座45と、通気孔46と、弁体47と、心棒48と、駆動装置49とを備える。
(反応容器等)
反応容器40、流入路41、流出路42、触媒層43、及び触媒保持器44は特許文献2と同様の構成である。なお、触媒保持器44は、互いに平行に配置された複数のロッド44aと、ロッド44aの端部間を連結するロッド固定具44bとを備える。
(反応容器の形状)
反応容器40は、上下両端に開口を有し、これらの開口間に触媒を収納できるものであればどのような形状でもよい。下方の開口は、流入路41に通じており、触媒反応用の原料ガスの反応容器40への流入口に当たるものである。上方の開口は、流出路42に通じており、改質ガスの反応容器40からの流出口に当たるものである。反応容器40は、例えば、円筒状、角型ダクト状などの形状であることができる。以下では、角型ダクト状の反応容器を例に説明する。
触媒反応器2aの説明において、「容器の中心軸」とは、容器の水平断面の図心を鉛直方向に連ねたものと定義する。「反応容器の厚み」は、水平断面における反応容器の長さのうちの最小の長さに相当し、「反応容器の幅」は、水平平面における反応容器の長さのうちの最大の長さに相当する。容器が円筒の場合には、容器の「幅」および「厚」を「直径」と置き換えればよい。
(反応容器の材質)
反応容器40の材質は、触媒を保持する強度、触媒反応に関与する流体への耐熱・耐食性、反応生成物への耐汚染性を有する材料であれば、どのようなものでも使用できる。例えば、炭素鋼、ステンレス鋼、ニッケル合金、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金等の金属材料、シリカ、アルミナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素等のセラミックス材料(煉瓦に加工されたものを含む)、ソーダガラス、溶融石英等のガラス材料を使用することができる。
(反応容器の寸法)
反応容器40の厚みは、下限が塊状触媒の代表寸法(例:直径)以上でなければならない(例えば、10mm)。一般に触媒反応では発熱または吸熱があり、かつ、反応容器40の表面を通じてこれらの熱を外部と授受するため、反応容器40内部まで伝熱を確保するために、厚みには上限が存在する。上限の値は、反応熱・流量・伝熱特性等によってエンジニアリング的に定めればよい(例えば、200mm)。
反応容器40の幅には、機能上、特段の制約はない。保持すべき触媒層体積、反応容器厚を基に、構造上・強度上の制約を考慮してエンジニアリング的に定めればよい(例えば、5000mm)。
反応容器40の高さは、触媒層43の高さよりも大きくなければならない。一方、反応容器40高さの上限については、機能上の制約はなく、構造上・強度上の制約を考慮してエンジニアリング的に定めればよい(例えば、5000mm)。
(触媒保持器)
触媒穂軸44は、反応容器40内で触媒層43を触媒層43の下面全体で保持するとともに、通気性を有する。触媒保持器44には、網、パンチングメタル、複数の棒を用いて棒の間に空間を生じるように水平方向に各棒を互いに平行に並べて棒の両端を固定したもの等を用いることができる。図4に示した触媒保持器44は、複数のロッド44aの両端をロッド固定具44bで固定して作製したものの例である。
触媒保持器44の開口率が小さくなると、通気性や固体カーボンなどの通過性が悪化する。高開口率では、保持器で触媒を保持する部位が少なくなるで、保持器の強度が不足する。上記いずれかの形式の保持器の場合、触媒保持器44の開口率は30〜70%程度が好ましい。
触媒保持器44の材質は、耐熱・耐腐食性・強度を備えた金属材料が好ましい。そのような金属材料の例として、ステンレス鋼、ハステロイ(登録商標)やインコネル(登録商標)等のNi合金、チタン、チタン合金等を挙げることができる。
(弁座、通気孔)
弁座45は、触媒保持器44と弁体47との間に設けられる。弁座45は、第1の実施形態の弁座15と同様の機能を有する。すなわち、弁座45は、反応容器40の内壁面に設けられている。弁座45は、反応容器40内の空間を水平方向に仕切る部材である。また、弁座45の中心部分には、弁座45を上下に貫通する通気孔46が形成されている。心棒48は通気孔46を貫通しており、原料ガスは、この通気孔46を通過することができる。すなわち、通気孔46の直径は、心棒48の直径よりも大きい。なお、弁座45の下端面には、弁座15と同様の略円錐形状の切り欠きが形成されていてもよい。上記以外の構成要件は弁座15と同様であればよい。
(弁体)
弁体47は、第1の実施形態の弁体17と同様の部材である。すなわち、弁体47は、心棒48と一体となって昇降する部材であり、円錐台形形状となっている。弁体47は、心棒48と一体となって昇降することで、通気孔46を開放、または閉塞することができる。他の構成要件は弁体17と同様であればよい。
(心棒)
心棒48は、反応容器40内を上下に伸びる円柱または円筒形状の部材(すなわち、丸棒または円管)である。心棒48には、触媒保持器44及び弁体47が固定されており、触媒保持器44及び弁体47とともに昇降する。具体的に、触媒保持器44は心棒48の上端に固定されており、弁体47は心棒48の側面に固定されている。心棒48は、駆動装置49によって昇降する。これにより、心棒18は、弁体47が通気孔46を開放する開放位置(図9は開放位置を示す)と、弁体47が通気孔46を閉塞する閉塞位置との間を昇降する。他の構成要件は心棒18と同様であればよい。
(触媒層のアスペクト比)
上述した第1〜第4の実施形態と異なり、第5の実施形態では、心棒48は触媒層43を貫通しない。このため、触媒層43のアスペクト比の定義及び好ましい範囲は上述した第1〜第4の実施形態と異なる。具体的には、触媒層43のアスペクト比は、以下の数式(6)で定義される。
アスペクト比=触媒層43の高さ/触媒層43の厚さ(または、直径) (6)
ここで、数式(6)における触媒層43の厚さは、図2における水平方向の代表長さ(例えば、矩形断面の場合、長辺の長さと短辺の長さ)のうち最小のものを意味し、矩形断面の場合、例えば、触媒層43の厚みは図9(c)に記載のとおりである。また、反応容器10の水平方向断面形状が円形の場合には、触媒層の直径を用いてアスペクト比を算出すればよい。
また、アスペクト比は、3.0以下であることが好ましい。アスペクト比の下限値は特に制限は無いが、触媒層43の高さは、触媒粒子の3層分以上であることが好ましい。触媒層43は、上述した各実施形態と同様の触媒粒子で構成されればよい。
(駆動装置)
駆動装置49は第1〜第4の実施形態と同様の構成を有していればよい。すなわち、駆動装置49は、2ポジション型であっても、3ポジション型であってもよい。すなわち、本発明では、触媒保持器44を昇降させることによってその上の触媒層43を反応容器40内で昇降させる。そのために、反応容器40には触媒保持器44を昇降させる駆動装置49が装備される。駆動装置49には、エアシリンダ、ラックピニオン等の歯車を利用した昇降装置などの、一般的な駆動機構を用いることができる。触媒保持器44は、心棒48を用いて駆動装置49に結合される。駆動装置49を作動させると、保持器44の全体が反応容器40の軸線(反応容器40の中心軸)に沿って移動して、触媒層43の全体をやはり反応容器40の軸線に沿って上下に移動させる。
少なくとも心棒48の触媒保持器44側の一部は反応容器40、または、流入路41、流出路42の内側に存在する必要がある。駆動装置49は、反応容器40の外部に設けることができる。反応容器40を例えば加熱炉などの加熱装置(図示せず)内に配置する場合には、駆動装置49を加熱装置外に設けることもできる。この場合、市販の昇降装置を使える一方で、心棒48が反応容器40を貫通する部分を高温用パッキン等で封止する必要がある。
駆動装置49全体を、図9に示したように反応容器40内に設ける場合には、駆動装置49を、例えば反応容器40内の高温や腐食性物質から保護するために、耐熱・耐食性のものとする必要がある。これは、一例として、駆動装置49のエアシリンダ全体をハステロイ(登録商標)等の耐熱合金製とすることによって実現できる。この場合、エアシリンダへの供給エア配管(図示せず)は反応容器40を貫通するが、この部分は非可動部なので、配管を全周溶接するなどして封止を図ればよい。
保持器上昇時に、触媒保持器44の一部が触媒層43に食い込む場合があるので(特に、次に説明する第2の実施形態のピン式保持器を用いる場合)、触媒保持器44は上昇時だけでなく下降時も駆動することが好ましい。なお、昇降ストローク、昇降速度は第1〜第4の実施形態と同様であればよい。
(3.触媒層の昇降)
触媒保持器44の上面全体に触媒を充填して触媒層を形成する。このように形成された触媒層の側面は、反応容器40の内壁面に常に接触し続ける。触媒保持器を上昇させると触媒層には上向きに力が与えられ、触媒層側面では反応容器内壁面からの下向きの摩擦力を生じる。この結果、触媒層内では、壁面近傍の触媒では壁面の拘束が大きいために上方への移動量が触媒保持器の上昇量よりも平均的に小さくなるとともに、この部分での触媒粒子の充填率は上昇する。一方、壁面から遠い、触媒層の中心部では壁面の拘束がより弱いので、触媒層の上方への移動量は比較的大きく、この部分での触媒粒子の充填率の上昇はより小さい。この結果、触媒保持器の上昇中には、壁面近傍から中心にかけて触媒層のせん断変形を生じ、触媒層のいたるところで触媒粒子間の相対変位が発生する。この相対変位によって触媒粒子間の空間が変形するので、この空間に堆積していた副生コークは、破砕され、押し出されて触媒層外に排出されうる。このように、触媒保持器の上昇によって触媒層の平均充填率は上昇する。
これに対して、触媒保持器の下降時には、触媒層の平均充填率は昇降開始前のレベルまで低下する。これは、触媒保持器の下降時には、壁面の拘束によって、下方の触媒層から順に徐々に落下するため触媒層の下降中には触媒粒子間の平均距離が増大し、この触媒間の位置関係の一部が触媒層の下降完了後まで維持されるため、触媒層の充填率が低下する。また、触媒層下降時の充填率の低下にともなう触媒粒子間隔の増大に伴って、粒子間に堆積した副生コークが移動して触媒外に排出されうる。この結果、触媒層の昇降を繰り返しても充填率が上昇し続けて最密充填に至ることはなく、長期間に渡ってコーク除去を継続できる。このように、触媒層の昇降操作によって、触媒層内に堆積したコークを除去することができる。即ち、この方法は、壁面摩擦を利用して触媒層の移動中に触媒層内に充填率分布を惹起することを利用したコーク除去方法である。また、この手法において触媒層からコークを除去するための原理は、触媒粒子間の空間を変形させることであるので、触媒層の昇降速度は必ずしも大きい必要はない。10mm/s程度の昇降速度で充分な効果が得られる。また、粒子間の相対変位量も粒子の寸法程度(例えば、10mm)でよい。この点で、粒子層から夾雑物を除去する他の方法、例えば、篩分けとは大きく異なる。篩分けにおいては、篩寸法に相当する大きな相対変位と、重力加速度の数倍程度の大きな加速度および数m/s程度の大速度が必須である。また、本発明が対象とするような高いアスペクト比の触媒層に単に大きな振動を与えても、粒子全体が同じ動きをするために粒子間の相対変位を生じず、篩分けの効果(コークの除去)は得られない。
本発明では、触媒層昇降中の非定常で不安定な触媒粒子間の空間に高速気流を供給することによって、本来、通気できない空間に高速気流が到り、そこに堆積するコークの触媒表面からの離脱、触媒間空間からの気流搬送等の作用によって、上記の触媒層昇降単独でのコーク除去効果をさらに促進させることができる。
(4.触媒反応方法)
上記触媒反応装置1を用いた触媒反応方法は、第1の実施形態と同様である。
(実施例1)
つぎに、本発明の実施例1を説明する。実施例1では、触媒反応器2による効果を検証するため、夾雑物を含有した触媒層13中に原料ガスを模擬した模擬ガスを冷間で供給する冷間試験を実施した。
(模擬ガス)
常温常圧の空気を用いた。また、流量(流速)計の指示値を用いたVVVFブロワ回転数制御により模擬ガスの流量を調製した。これにより、触媒層13の昇降中の模擬ガス線速度を所定値に維持した。
(触媒反応器)
第3の実施形態に係る触媒反応器2(図6)を用いた。反応容器10の内径を200mmとした。また、触媒層13を5層(5段)構造とした。触媒粒子として、直径15mmのNi−アルミナ系触媒粒子を使用し、各層の触媒層13の質量を3kgとした。このとき、各触媒層13のアスペクト比は1.2であった。
(夾雑物)
コークス炉ガスの改質試験において発生したコーク(固体炭化水素)粉を回収し、夾雑物として使用した。この夾雑物を、各触媒層13に150g/層(触媒層13の1層当りの質量)の割合で添加した。具体的には、この質量の夾雑物を触媒粒子と均一に混合し、混合物を用いて上述した触媒層13を形成した。
(駆動装置)
駆動装置21として、3ポジション型エアシリンダを使用した。また駆動装置21を用いて、心棒18を中間位置18cと開放位置18aとの間で昇降させた。昇降ストローク(中間位置18cと開放位置18aとの間隔)を30mmとし、心棒18を100往復させた。心棒18の上昇時の速度は5mm/s、下降時の速度は15mm/sとした。
(夾雑物飛散量測定方法)
流出路出側にサイクロンを設けた。そして、冷間試験中に定期的にサイクロンを分解し、サイクロン内に貯留された夾雑物を回収した。そして、夾雑物質量を秤量して時系列的な夾雑物飛散量を算出した。さらに、冷間試験終了後に触媒反応器2を分解し、触媒層13を触媒層13内に残留した夾雑物とともに回収した。そして、触媒層13を篩分けして夾雑物を分離、回収した。そして、回収した夾雑物を秤量して残留夾雑物質量を測定した。そして、以下の数式(7)に基づいて、夾雑物除去率(コーク除去率)を算出した。
夾雑物除去率=1−(残留夾雑物質量/充填夾雑物質量) (7)
(圧損測定方法)
触媒反応器2の流入路11と流出路12にそれぞれ圧力計を設け、差圧を測定した。また、ブロワ出口に設けた流量計の計測値を調整して、反応容器10内の模擬ガスの線速度が所定値となるように設定した。具体的には、模擬ガスの線速度を下向きに0.2m/sとした。上記の夾雑物飛散量の試験を通じての積算値は、[充填夾雑物質量]−[残留夾雑物質量]の値とほぼ一致した。従って、特定の往復期間内に触媒層から飛散した夾雑物の大半を、当該往復期間に対応する上記の夾雑物飛散量として測定できた。特定往復期間における夾雑物飛散量を当該往復数(昇降サイクル数)で除したものを、夾雑物飛散速度と定義する。
(試験結果)
上記冷間試験の結果、100往復後の夾雑物除去率は、約95%以上であり、高い除去性能が得られた。また、夾雑物飛散量の時系列的な推移を見ると、試験末期(100往復直前)における夾雑物飛散速度は、残留夾雑物質量の2質量%/昇降サイクル程度であった。これに対して、試験初期(6から10往復目)での夾雑物飛散量は、残留夾雑物質量の約3質量%/昇降サイクルであった。したがって、夾雑物除去効率(=夾雑物飛散速度/夾雑物除去質量)は、試験末期であっても高い値に維持されることがわかった。すなわち、除去効果が長期に持続することがわかった。
さらに、触媒層13の通気抵抗は、試験開始時に800Pa、試験終了時に10Pa未満となった。したがって、夾雑物が除去されたことによって通気抵抗(圧力損失)も大きく低下したこともわかった。
さらに、冷間試験中に心棒18を閉塞位置18bで停止させる試験も行った。これにより、流入路11及び流出路12間で2000Paの圧力差が計測された。この結果、触媒反応器2の閉止性を充分確保できることがわかった。また、この状態で心棒18を開放位置18aに移動させることで、大きな流量の原料ガスを反応容器10内に導入できることもわかった。
(実施例2)
(模擬ガス)
常温常圧の空気を用いた。また、流量(流速)計の指示値を用いたVVVFブロワ回転数制御により模擬ガスの流量を調製した。これにより、触媒層13の昇降中の模擬ガス線速度を所定値(−0.4,−0.2,−0.1,0.1,0.2,0.4m/sのいずれか)に維持した。なお、線速度の負符号は下向き流れ、正符号は上向き流れを示す。比較のため、流速0(特許文献2相当)の条件でも冷間試験を実施した。尚、石炭乾留ガス改質時の原料ガスのLVの絶対値は、通常、触媒層13中で約0.1m/s以下である。
(触媒反応器)
第5の実施形態に係る触媒反応器2(図9)を用いた。反応容器40の断面形状は、120mm厚×300mm幅の矩形断断面とした。また、触媒層43を1層(1段)構造とした。触媒粒子として、直径15mmのNi−アルミナ系触媒粒子を使用し、各層の触媒層13の質量を3kgとした。このとき、各触媒層13の高さは、140mmであった。
(夾雑物)
実施例1と同様の夾雑物を使用した。この夾雑物を、各触媒層13に150g/層(触媒層13の1層当りの質量)の割合で添加した。具体的には、この質量の夾雑物を触媒粒子と均一に混合し、混合物を用いて上述した触媒層13を形成した。
(駆動装置)
駆動装置49として、3ポジション型エアシリンダを使用した。また駆動装置49を用いて、心棒48を中間位置と開放位置との間で昇降させた。昇降ストローク(中間位置と開放位置との間隔)を15mmとし、心棒48を100往復させた。心棒48の上昇時の速度は5mm/s、加工時の速度は15mm/sとした。
(夾雑物飛散量測定方法)
触媒層13の下方に電子天秤を配置し、落下する夾雑物質量をリアルタイムで計測した。更に、流出路12の出側にサイクロンを設けた。そして、冷間試験中に定期的にサイクロンを分解し、サイクロンに貯留された夾雑物を回収した。そして、回収した夾雑物の質量を秤量し、時系列的な夾雑物飛散量および夾雑物飛散速度を算出した。さらに、冷間試験終了後に反応容器10を分解し、触媒層13を触媒層13中に残留した夾雑物とともに回収した。そして、触媒層13を篩分けして夾雑物を分離、回収した。その後、回収した夾雑物を秤量して残留夾雑物質量を測定した。そして、上述した数式(7)に基づいて、夾雑物除去率(コーク除去率)を算出した。
(試験結果)
試験結果を図10に示す。上向き流れではLVの絶対値が0.4m/s以上の条件で、下向き流れではLVの絶対値が0.2m/s以上の条件で、従来技術(LV=0)よりも夾雑物の除去率が向上した。特に、下向き0.4m/sの条件で最大の除去率が得られた。
LV=0の条件が従来技術(比較例)に、また、LVが0.4m/s以上または−0.2m/s以下が、本発明における好ましいLV条件(実施例)に該当する。石炭乾留ガス改質時等の好ましいSV条件から定まるLVは、一般に−0.1m/s以上0.1m/s以下の範囲に存在する。したがって、原料ガスを特に増速せずに触媒保持器14の昇降を行っても、LV=0条件に比べて夾雑物除去性能が特に向上するわけではない。一方、改質時にはなしえない、LVが0.4m/s以上または−0.2m/s以下となる模擬ガス(原料ガス)を触媒保持器14の昇降時に触媒層13に供給させれば、夾雑物除去性能が大幅に向上することがわかった。
模擬ガスの線速度が0m/sとなる場合、夾雑物除去率は65%であった。したがって、一定の夾雑物除去性能を発揮したものの、実施例1には劣る結果であった。一方、模擬ガスの線速度が下向きで臨界速度(0.2m/s)以上となる場合、実施例1に近い夾雑物除去率が得られた。従って、実施例1において高い夾雑物除去性能が得られた主な理由は、臨界速度以上の模擬ガスを触媒層13に供給したことであることがわかった。また、本発明において、臨界速度未満の気流を付与して触媒層昇降を行っても、本比較例でのLV=0m/s条件と同程度の、一定の夾雑物除去性能の得られることがわかった。また、試験末期(100回目の昇降サイクル直前)での夾雑物飛散速度はいずれの試験においても残留夾雑物質量の約1%/昇降サイクル以上の高い値を示し、本発明では長期間の昇降サイクル後においても効率的に夾雑物を除去可能なことがわかった。
なお、図10において、模擬ガスの線速度が上向き0.2m/sとなる場合、夾雑物除去率は、線速度が上向きで0.1m/sとなる場合(石炭乾留ガス改質時の線速度)よりも劣る。しかし、この場合、直径数十μm程度の夾雑物を主体に約2質量%を上方に飛散させて触媒層13から除去することができた。なお、夾雑物の直径は、例えば回収した夾雑物を顕微鏡観察することで測定可能である。このような夾雑物は、触媒保持器14と反応容器10の内壁面との間の狭い隙間に侵入しやすく、触媒層13の昇降の妨げになる場合がある。したがって、これらの夾雑物は、特に触媒層13から除去することが好ましい。すなわち、模擬ガス(原料ガス)の線速度が上向き0.2m/sとなる場合、触媒層13の昇降の妨げになる場合がある夾雑物を効率的に除去することができるといえる。したがって、そして、従来の石炭乾留ガス改質時には、原料ガスの線速度が上向き0.2m/sとなることはないから、本発明を用いる必要がある。
(実施例3)
第5の実施形態に係る触媒反応器2aを用い、触媒層13のアスペクト比を実施例1の1/2に設定し、これ以外を実施例1と同様の条件で試験を行った。ここで、実施例3では、触媒層43の高さを反応容器40の内壁面間の距離(厚さ)で除算することでアスペクト比を算出する。一方、実施例1では、触媒層13の高さを反応容器半径(内壁)−心棒半径で除算することでアスペクト比を算出する。したがって、心棒直径が反応容器10の内径に比べて十分に小さいと仮定すると、実施例1でのアスペクト比の1/2倍のアスペクト比を実施例3で用いたときに、触媒層の寸法比(反応器内壁面間距離と触媒層高さの比)が概略一致することになる。
その結果、本実施例3での夾雑物除去率は、約90%であった。実施例1での夾雑物除去率は、95%以上であり、本実施例3よりも高い夾雑物除去能力であった。このように、触媒層の寸法比が概略同じ場合であっても、筒状の触媒反応器2の中心に心棒18を設け、この心棒18が触媒層13を貫通するように配置することによって、触媒昇降時の夾雑物除去性能を向上できることがわかった。
(実施例4)
実施例4では、実施例1と同様の触媒反応器2を用いて、以下の手順で冷間試験を行った。
(1)心棒18を開放位置18aで停止し、この状態で線速度が下向きに0.1m/sとなる模擬ガスを触媒層13に供給した。模擬ガスの線速度は、ブロワ5によって調整し、上記の線速度を維持した。
(2)次に、心棒18を閉塞位置18bに移動させた。
(3)心棒18を閉塞位置18bで30s保持した。
(4)心棒18を開放位置18aに戻した。
(試験結果)
(2)の実施後、反応容器10内の模擬ガスの線速度はほぼ0となった。(3)の間、触媒反応器10内の圧力が10000Paまで上昇した。ブロワの能力限界のため、この値に保持された。(4)の後、反応容器10内の模擬ガスの線速度が急増して臨界値以上の値であるLV=0.5m/s(下向き)以上の流量を記録した後、当初のLV=0.1m/s(下向き)に復帰して流量は安定した。
(比較例1)
比較例1では、実施例1と同様の触媒反応器2を用いて冷間試験を行った。ただし、触媒層13の昇降は行わなかった。また、常時、模擬ガスが触媒層13を通過するように心棒18の位置を調整した。また、触媒層13の下に電子天秤を配置して夾雑物落下量の時間推移を測定した。併せて、流出路にサイクロンを設け、飛散した夾雑物を回収・秤量した。
(模擬ガス流速)
下向きに0.2m/sとした。
(試験手順)
(1)反応容器10内を10分間通気し、通気完了後にサイクロンを分解して下流に流出した夾雑物を回収・秤量して夾雑物飛散量および夾雑物飛散速度(=飛散夾雑物質量/処理(通気)時間)を算出した。
(2)実施例1と同様の触媒層昇降を伴う冷間試験を実施(LV=0条件、100往復)し、サイクロンを用いた飛散夾雑物の回収、秤量を行い、合わせて電子天秤を用いた秤量を行った。
(3)冷間試験完了後に再び(1)と同様の試験を実施し、飛散夾雑物質量(サイクロンからの回収量+(2)の試験後からの電子天秤計測値の増分)を算出した。
(1)(=「初期」)、(3)(=「初期後」)の操作が本比較例の主要部である。
(試験結果)
試験初期での夾雑物除去率(上記(1)での累積夾雑物飛散量を上記の充填夾雑物質量除算した値)は、15%であり、実施例1に劣る。また、初期後(上記(3))には夾雑物飛散量は検出下限以下であって夾雑物の除去はほとんど認められず(夾雑物除去効率=0相当)、夾雑物除去効果は持続しない。従って、高速気流を単独で触媒層13に供給しても、高い夾雑物除去性能の得られないことがわかった。また、上記試験手順(1)での通気を前半5分と後半5分とに分けて前半終了後および後半終了後に夾雑物飛散量と夾雑物飛散速度の測定をそれぞれ実施する試験を別途、行った。このとき、後半での夾雑物飛散速度は前半でのものの10%未満の値であった。従って、本比較例における初期での夾雑物飛散は、通気の最初期に集中しているので、通気時間をこれ以上増大しても夾雑物飛散量を大きく上昇させることは困難であることがわかった。
(比較例2)
実施例3と同様の触媒反応器2を使用した。但し、触媒層43の昇降は、行わない。通気も行わない。触媒層43の下に電子天秤を配置して夾雑物落下量(即ち夾雑物飛散量)の時間推移を測定した。反応器外部をハンマによって打撃した(計300打撃)。
(試験手順)
打撃中の夾雑物落下量を実施例1でと同様に測定した。触媒層の下に電子天秤を配置して夾雑物落下量の時間推移を測定した。
(試験結果)
夾雑物除去率(上記で回収された夾雑物の総質量を上記の充填夾雑物質量除算した値)は、30%であり、実施例3には劣る。末期(271回目から300回目までの打撃の期間)には、夾雑物飛散量は検出下限以下であって夾雑物の除去はほとんど認められず(夾雑物除去効率=0相当)、夾雑物除去効果は持続しない。従って、触媒層13に単に振動を与えただけでは高い夾雑物除去性能はえられず、少なくとも触媒層を昇降させることが夾雑物除去性能確保のためには必要であることがわかった。以上の結果から、本発明による触媒層からの夾雑物除去能力の高いことがわかった。
(実施例5)
実施例1と基本的に同じ構造の反応器を用い、粗COGを原料ガスとして改質試験を行った。粗COGには、コークス炉から発生したタールを含有するコークス炉ガスを用い、改質ガスの処理にはスクラバを用いてタールおよび水蒸気の大半を除去した後、改質ガスをガスホルダに回収した。反応器は、ガス加熱炉内に設置し、反応容器外面の温度が800℃となるようにガス加熱炉内温度を制御した。反応器構造に関する実施例1との違いは次の通りである。
反応器は、直径200mmの反応筒を7本並列に配置した。改質反応の初期に、前記反応器のうち1本の反応器を閉止するために、当該反応器の心棒18を下端まで下降した。この際、心棒18の下端位置において心棒18に接続する弁体17が反応容器10に接続する弁座15に接触する位置で心棒18を停止した。心棒18の停止手段では、まず、エアシリンダのエア弁を全て封止状態にした後、エア弁のブレーキを作動させて心棒18の位置を固定した。また、心棒18の下端での停止には、下端相当の接触スイッチとは無関係に、エアシリンダの下降側エア弁、すなわち閉止用のエア弁を高エア源に開放し、かつ、上昇側エア弁、すなわち開通用のエア弁を低圧エア源(ここでは大気)に開放し、エアシリンダ内の圧力が所定値以上になった時点で心棒18の停止手段を作動させた。この際の所定値は、心棒18の自重(心棒本体の重量および心棒に接続する触媒保持器の保持する触媒重量)よりも大きく、かつ、エアシリンダの閉止用のエア弁を高圧エア源に開放するとともに開通用のエア弁を低圧エア源に開放した状態で長時間保持した場合に到達最終的にする心棒18の軸方向荷重(エアシリンダの有効断面積×高圧エアの圧力)よりも小さい荷重に設定した。
この状態で心棒18をエアシリンダのブレーキを用いて停止したことにより、弁体17は弁座15に十分接触して当該反応容器10におけるガスの通気を妨げる(即ち、当該反応容器10を閉止する)とともに、心棒18の軸方向の荷重をクリ−プを生じない程度に設定できた。また、改質反応中に心棒18と反応容器10間の温度差が所定値である30℃以上拡大(心棒温度が30℃低下した)したので、エアシリンダのブレーキを解除して弁体17が再び弁体15に十分接触するように心棒18を下降させた後、再びエアシリンダのブレーキを作動させて心棒18を停止した。この際、心棒18の移動には、エアシリンダの開通用のエア弁を高圧エア源に開放するとともに閉止用のエア弁を低圧エア源に開放することによって行った。こうしたことで、当該反応容器10は、試験中に閉止状態を維持できた。たま、試験終了後の解体調査の結果、当該反応容器10のクリープ変形は認められず、反応容器10の熱変形をも防止することができた。
閉止した以外の上記の反応器を用いて改質試験を行った結果、反応器の流入管11と流出管12の間の差圧が1kPaになる圧力損失を生じたが、当該差圧を検知した後、上記の閉止した反応器以外のすべての反応器での心棒18の位置を上端位置と中間停止位置の間で3往復の昇降を実施した。その結果、この差圧をほぼ0Paまで削減することができ、夾雑物除去との両立も図ることができた。
このように本発明では、原料ガスの流量を大きく調整できた。本実施例における初期の駆動機構上端位置は改質操業に相当し、その期間の流速は、臨界値未満であった。その後の昇降操作(夾雑物除去操業に相当)によって、高い夾雑物除去性能の得られる、臨界値以上の流速での触媒層昇降を一時的に得ることができた。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1 触媒反応装置
2 触媒反応器
3 粉塵回収器
4 冷却装置
5 ブロワ
6 バイパス弁
7 バイパス管
10 反応容器
11 流入路
12 流出路
13 触媒層
14 触媒保持器
15 弁座
16 通気孔
17 弁体
18 心棒
21 駆動装置

Claims (15)

  1. 反応容器と、
    前記反応容器内に収容され、前記反応容器の内壁面に接触する触媒層と、
    前記反応容器内で前記触媒層を保持するとともに、通気性を有する触媒保持器と、
    前記触媒層の上側及び下側のいずれかに設けられ、前記反応容器内に原料ガスを流入させる流入路と、
    前記触媒層の上側及び下側のうち、前記流入路が設けられる側の反対側に設けられ、前記原料ガスと前記触媒層との反応によって生成した改質ガスを前記反応容器から流出させる流出路と、
    前記反応容器の内壁面に設けられ、前記反応容器内の空間を仕切る弁座と、
    前記弁座を上下に貫通する通気孔と、
    前記通気孔を閉塞可能な弁体と、
    前記反応容器内に設けられ、前記弁体と、前記触媒保持器とを連結する心棒と、
    前記心棒を、前記弁体が前記通気孔を閉塞する閉塞位置と、前記弁体が前記通気孔を開放する開放位置との間で昇降させることが可能な駆動装置と、を備えることを特徴とする、触媒反応装置。
  2. 前記心棒が、昇降中かつ前記閉塞位置以外の位置にあるときに、所定の流量で原料ガスを前記反応容器に供給するための、流量調整部を備えることを特徴とする、請求項1に記載の触媒反応装置。
  3. 前記駆動装置は、前記心棒を前記閉塞位置と前記開放位置との中間位置に停止可能であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の触媒反応装置。
  4. 前記駆動装置は、前記心棒を前記中間位置と前記開放位置との間を昇降させることが可能であることを特徴とする、請求項3記載の触媒反応装置。
  5. 前記流入路に流入する原料ガスは、一定流量のガスを連続して生成する原料ガス発生装置で生成され、前記駆動装置は、前記心棒を昇降させる前に、前記心棒を前記閉塞位置に移動させ、前記流入路内のガス圧が所定値以上となった際に、前記心棒を前記閉塞位置から移動させて、前記原料ガスを流入させることができることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の触媒反応装置。
  6. 前記心棒の昇降中に、前記原料ガスの前記触媒層内での線速度を、鉛直上向きに0.4m/s以上、または、鉛直下向きに0.2m/s以上とすることができることを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載の触媒反応装置。
  7. 前記弁座と前記触媒層との間から、前記触媒層と反応しない、非反応性ガスを前記反応容器内に供給する非反応性ガス供給路を備えることを特徴とする、請求項1に記載の触媒反応装置。
  8. 前記心棒の昇降中に、前記非反応性ガスの前記触媒層内での線速度を、鉛直上向きに0.4m/s以上、または、鉛直下向きに0.2m/s以上とすることができることを特徴とする、請求項7記載の触媒反応装置。
  9. 前記心棒は、前記触媒層を貫通することを特徴とする、請求項1〜8の何れか1項に記載の触媒反応装置。
  10. 前記反応容器は円筒形状であり、前記心棒は前記反応容器の軸心に配置される丸棒であることを特徴とする、請求項9記載の触媒反応装置。
  11. (前記触媒層の高さ/(前記反応容器の半径−前記心棒の半径))で表される前記触媒層のアスペクト比が、0.4〜2.5であることを特徴とする、請求項10記載の触媒反応装置。
  12. 請求項1〜6、9〜11のいずれか1項に記載の触媒反応装置を用いた触媒反応方法であって、
    前記心棒を前記開放位置で保持するとともに、前記流入路から前記原料ガスを前記反応容器内に流入させて触媒反応させる触媒反応工程と、
    前記心棒を昇降させるとともに、前記原料ガスを前記反応容器内に供給して前記触媒層中の夾雑物を除去する夾雑物除去工程と、を含むことを特徴とする、触媒反応方法。
  13. 請求項7または8のいずれか1項に記載の触媒反応装置を用いた触媒反応方法であって、
    前記心棒を前記開放位置で保持するとともに、前記流入路から前記原料ガスを前記反応容器内に流入させて触媒反応させる触媒反応工程と、
    前記心棒を昇降させるとともに、前記非反応性ガスを前記反応容器内に供給して前記触媒層中の夾雑物を除去する夾雑物除去工程と、を含むことを特徴とする、触媒反応方法。
  14. 前記原料ガスが、タールを含有するとともに、前記触媒層中の夾雑物がコークであることを特徴とする、請求項12又は13に記載の触媒反応方法。
  15. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の触媒反応装置であって、
    前記弁座と前記弁体の間の接触を検出し、検出した接触信号を外部へ送信する接触検出装置と、
    前記反応容器の表面温度および前記心棒の表面温度をそれぞれ経時的に計測し、各計測時点における前記心棒の表面温度と前記反応容器の表面温度との温度差を算出し、且つ、第1の計測時点での前記温度差と第2の計測時点での前記温度差との差である乖離温度差を算出できると共に、当該算出した乖離温度差のデータを外部へ送信する温度測定装置と、
    を更に有し、
    前記駆動装置は、
    前記弁体が前記弁座に接近する方向に心棒を移動させるための閉止用エア弁と、前記弁体が前記弁座から離脱する方向に心棒を移動させるための開通用エア弁とを備え、且つ、それぞれのエア弁が高圧エア源と前記高圧エア源よりも圧力が低い低圧エア源とに切り替えることができ、且つ、前記閉止用エア弁と前記開通用エア弁とを共に閉じて封止状態として前記心棒の位置を固定できるエアシリンダと、
    前記接触検出装置から送信される接触信号を受信して、前記閉止用エア弁と前記開通用エア弁の操作を制御できる制御装置とを有し、
    前記制御装置は、前記心棒を、前記弁体が前記弁座に接近する方向に移動させて、前記弁体が前記弁座に接触した際に前記接触検出装置から送信される接触信号を受信し、当該接触信号をトリガーとして、前記閉止用エア弁と前記開通用エア弁とを共に閉じて封止状態として前記心棒の位置を固定して、前記弁体の移動を停止する制御を行うことができ、
    且つ、前記エアシリンダを封止状態とした後、
    (i)前記接触検出装置から送信されていた接触信号が受信されなくなって、前記弁体が前記弁座から離れようとする時に、前記封止状態を解除して、前記閉止用エア弁を高圧エア側に開放するとともに開通用エア弁を前記低圧エア源に開放して、前記弁体を前記弁座により接近する側に移動し、前記接触検出装置からの接触信号を再度受信した際に、当該接触信号をトリガーとして、前記閉止用エア弁と前記開通用エア弁とを共に閉じて封止状態として前記心棒の位置を固定して、前記弁体の移動を停止する制御を行うことができ、
    (ii)前記接触検出装置が前記弁座と前記弁体の間の接触を検出した時点を、前記温度測定装置における前記第1の計測時点とし、前記第1の計測時点以降の各計測時刻を前記第2の計測時点として算出した前記乖離温度差が、所定の上限値以上または所定の下限値以下となって、前記弁体と前記弁座との間の圧縮応力が増加した時に、前記封止状態を解除して、前記閉止用エア弁を前記低圧エア源に開放するとともに前記開通用エア弁を前記高圧エア源に開放し、前記弁体を前記弁座から離れる側に移動し、前記接触検出装置から送信されていた接触信号が受信されなくなった時に、前記閉止用エア弁を前記高圧エア源に開放するとともに前記開通用エア弁を前記低圧エア源に開放して、前記弁体を前記弁座により接近する側に移動し、前記接触検出装置からの接触信号を再度受信した際に、当該接触信号をトリガーとして、前記閉止用エア弁と前記開通用エア弁とを共に閉じて封止状態として前記心棒の位置を固定して、前記弁体の移動を停止する制御を行うことができる、
    ことを特徴とする触媒反応装置。
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