JP2013166106A - 連続式固定床触媒反応器 - Google Patents

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Abstract

【課題】連続固定床触媒反応装置において、触媒層における固体副生成物の堆積による通気抵抗の上昇を抑制すること。
【解決手段】加熱炉内に設置された筒状の触媒反応容器の内壁に触媒が接するように触媒を収納し、前記処理装置容器の一端近傍を原料ガスの流入口とし、他端近傍を生成ガスの流出口とし、触媒反応は吸熱反応であり、所定温度以下では反応を生じず、前記所定温度以上では温度の高いほど反応速度が上昇する触媒を用い、反応熱は主として反応容器表面の加熱によって与えられ、原料ガスの触媒反応によって生成ガスを生成するとともに触媒表面に生成固体を生じる連続式固定床触媒反応器であって、前記反応容器内壁近傍領域を前記触媒反応を行う触媒層とするとともに、前記反応容器の厚方向中心領域を前記原料ガスに対して触媒反応を生じない固体で構成された多孔質体とし、かつ前記触媒層と前記多孔質体の間に連続した空隙を生じないように配置したことを特徴とする連続式固定床触媒反応器。
【選択図】図7

Description

本発明は、触媒等の粒状体を加熱炉内の高温化で処理する反応器等の処理装置の技術に関する。
触媒を充填した固定床触媒反応容器を用いた流体の化学反応において、触媒反応によって固体等の析出物を生成する場合には、しばしば、触媒層中の触媒間の空間にこの固体析出物が堆積して触媒層を閉塞させ、通気できなくなる問題が発生する。
例えば、特許文献1においては、水素・二酸化炭素・水蒸気・タール含有ガスを、固定床触媒反応装置において、ニッケル・セリウム・アルミニウムを含む触媒に接触させてタールガスの改質を行う技術が開示されており、この技術においては、改質中に触媒表面に固体炭素が析出し、これを除去するために水蒸気または空気を前記炭素に接触させる再生処理の必要なことが記載されている。
一般に、この改質反応は強い吸熱反応であり、触媒の失活を生じる限界温度までは、温度の高いほど反応速度の上昇する性質をもつ。また、触媒反応容器の周囲に加熱炉等に設けて触媒反応容器外壁を加熱し、内部のガスおよび触媒に熱を伝熱して供給する。
特許文献1(特開2010−77219号公報)には、移動床形式および流動床形式の触媒反応装置の使用も例示されており、これらの方式では触媒表面に析出した炭素を反応作業中に除去しうる。しかし、このような反応装置は、固定床触媒反応装置に比べて装置が複雑化することや、流動床形式の場合には操業も不安定になりやすいので、特に、高温・高圧・高腐食性流体を処理するための反応器としては一般的ではない。
一方、移動床形式および流動床形式の触媒反応装置における上記のような問題がない粒状(塊状)触媒を用いた固定床反応装置では、通常、粒状触媒をランダムに積層したものである触媒層を挟んだ両側に空間を設け、一方の空間から他方に流体を流通させて反応させる。触媒層の両側に空間を形成するためには、触媒の落下を防止するための保持機構が必要であり、触媒保持機構の代表例は特許文献2(特開2011−6289号公報)に記載されている。ここでは、触媒径よりも十分に小さな孔径を有するパンチングメタル板や網を用いて触媒の保持と原料ガスや改質ガスの通気を確保している。図1にその主要部の構造を簡略化した模式図の例を示すが、触媒反応容器1の内部に触媒をランダムに積層した触媒層2が収容されており、触媒の保持は触媒層の下方に設けられたパンチングメタル板や網3によって行われている。図1において、原料ガス4は流入口5から流入し、流出口6から改質ガス7として流出する。
反応中の固体析出物の堆積による触媒層の閉塞を防止する手段として、例えば特許文献2には、2つの触媒層の間をガスが通気する自由空間において、第1の触媒層から流出したガス中の粉塵を補足することによって第2の触媒層での閉塞を防ぐ技術が記載されている。しかしこの場合には、触媒層内部で生成し、触媒間の空間で触媒に付着・堆積する粉塵による触媒層の閉塞を防止することはできない。
特許文献3(特開2009−48797号公報)には、燃料電池用のセル内の触媒層に超音波を照射することによって、触媒上で発生した水を流出・除去する技術が記載されている。超音波は、自由空間中や粒体層・粉体層中での減衰が大きいので、照射源近傍にしか作用できない。このため、燃料電池用セル内の触媒層のように比較的小型のものには有効であるが、大量の流体を処理する大型の触媒層では、超音波によって触媒層全体を振動させることは困難である。
特許文献4(特開2008−120604号公報)には、炭化水素の水蒸気改質を低温で実施することによりコーキングを抑制する技術が記載されている。しかし、触媒反応には触媒耐久性および反応速度上の観点から最適な反応温度条件が存在し、コーキングによる触媒層の閉塞は、この最適条件において発生している。そのため、触媒反応温度を低下させてしまうと、反応の最適条件ではなくなるので、触媒性能が低下する問題がある。
特許文献5(特開平8−24622号公報)には、従来技術として、移動床触媒反応容器における堆積ダストによる触媒層の部分閉塞を槌打装置やバイブレータによって除去することが記載されている。この場合には、槌打やバイブレーションによって、触媒の充填率が上昇して触媒間の空間が狭まり、触媒の流動性がかえって悪化する問題がある。
非特許文献1には、特殊な固定床触媒反応容器として、平行流式、モノリス式、管壁式等が記載されている。これらはいずれも、触媒反応容器内に触媒層と、触媒層に囲まれた専用の気流路を設けることによって、触媒反応容器内の通気抵抗の低減を図っている。簡単に言うと、平行流式では、網などで両端を保持した通常の触媒層を平行に複数並べ、触媒層間の空間を専用気流路とする。モノリス式では、ハニカム構造等の構造物の表面に触媒を担持し、ハニカム構造の孔を専用気流路とする。管壁式では、管路内を専用気流路とし、管内面に触媒を担持する。
専用の気流路を設けた場合、触媒反応によって固体生成物が生じると、専用気流路を構成する触媒表面に固体生成物が堆積して専用気流路の流路幅が狭まり、閉塞を生じることがある。あるいは、気流路の閉塞を生じない場合でも、専用気流路を構成する触媒表面に堆積した固体生成物によって専用気流路と触媒層間の流体の交換が阻まれるので、原料ガスが活性を保持した触媒と接触することなく流出して触媒反応効率が著しく減少してしまうという「吹き抜け」現象を生じる。あるいは、モノリス式のように反応容器内に専用気流路が複数存在し、各専用気流路が互いに孤立(即ち、隣接する気流路間での物質交換およびこれに伴う熱交換の抑制された状態)しており、反応容器の奥深い部位での専用気流路内では外部から熱供給を行えない気流路を設けた反応容器において、触媒反応が強い吸熱反応の場合には、上流側の反応によって下流では流体温度が大きく低下して反応可能温度以下となり、反応効率が極端に低下してしまう。逆に触媒反応が強い発熱反応の場合には、反応容器の奥深い部位では発生した熱量を反応容器を通じて外部に放出できないので、下流では流体温度が過度に上昇して触媒を失活させたり、触媒反応容器を焼損することがある。
さらに、モノリス式の場合、一般に複雑な形状で大型となるモノリス全体を、触媒を担持するための担体、または、触媒自身の単一構造物として成形する必要があるため、触媒製造技術上、適用できる触媒設計(構造)が比較的単純なもの(例えば、単一化学成分種の触媒を担体表面に均一塗布する等)に限られるという問題がある。このため、例えば、タール改質触媒のように、表面が複数の異なる化学種成分の区画に微細に分割されて各化学種成分が互いに協調して触媒効果を発揮するような複雑な設計(構造)の触媒にモノリス式を適用することは、著しく困難であり、可能だとしても極めて高価なものになる。
特開2010−77219号公報 特開2011−6289号公報 特開2009−48797号公報 特開2008−120604号公報 特開平8−24622号公報
触媒学会編:触媒講座第6巻(工学編2)触媒反応装置とその設計, 講談社(東京), 1985, pp.100-169.
従来技術においては、改質反応における強い吸熱に対して外部から十分に熱供給することによって反応容器で平均的に高い温度に維持することによって高い改質反応速度を得ることが指向されてきた。
また、触媒層の中心部で十分高い温度が得られないと、触媒層の中心部に流入した原料ガスは、触媒反応を生じないでそのまま触媒層から流出する、いわする吹き抜け現象を生じると漠然と考えられてきた。
吹き抜け現象を説明する図2を参照すると、触媒層の厚さが大きくて外部加熱による熱供給が触媒層厚方向中心部において十分でない場合、触媒層に供給される原料ガスの流速は壁面近傍でも中心領域でも一定としうるが、吸熱反応であるから触媒層の温度は壁面近傍で高く中心に向かって低くなり、外部加熱が十分でないために反応下限温度以下の温度になる中心領域では触媒反応が進行しなくなり、触媒層の出口近傍での原料ガス濃度は、壁面近傍では反応が進行した分低くなるが、中心領域では触媒反応しないので100%のままで通過する、すなわち、吹き抜け現象を生じると考えられていた。このとき、図2の下図に見られるように、壁面近傍に流入した原料ガスと中心領域に流入した原料ガスは、互いにほとんど混合することなく、並行流として維持されてそれぞれ触媒層から流出するものと考えられている。ここで、図2中の原料ガス濃度とは、触媒反応容器を流出するガス(即ち、触媒反応によって生じた改質ガスと残留原料ガス)中の残留原料ガスの比率を示しており、原料ガス濃度100%とは触媒反応を全く生じていないことを表す。また、図2上部の流速分布および温度分布は、触媒層高さ方向中心部における反応容器厚方向の分布である。
これらの観点から、触媒層中心部においても、十分に伝熱によって反応可能な高い温度を維持できるよう、従来の触媒層ではたとえば直径100mm未満の小径の形状が選択されてきた。
この結果、触媒層全体で改質反応を生じ、これにともなって、触媒層全体でコーキングによる触媒層内へのカーボン堆積が生じる問題があった。
触媒層内に堆積したバルク状のカーボンは、従来、容易に除去することができず、一旦、このカーボンの堆積によって触媒層の圧力損失が上昇すると、これを低減することは極めて困難であった。しかし、従来技術では大型の固定床触媒層内で生成・堆積する固体生成物を有効に除去する手段がなかった。
上記課題を解決するために、本発明者の研究の結果、以下の解決方法を発明するに至った。
(1) 加熱炉内に設置された筒状の触媒反応容器の内壁に触媒が接するように触媒を収納し、前記処理装置容器の一端近傍を原料ガスの流入口とし、他端近傍を生成ガスの流出口とし、触媒反応は吸熱反応であり、所定温度以下では反応を生じず、前記所定温度以上では温度の高いほど反応速度が上昇する触媒を用い、反応熱は主として反応容器表面の加熱によって与えられ、原料ガスの触媒反応によって生成ガスを生成するとともに触媒表面に生成固体を生じる連続式固定床触媒反応器であって、
前記反応容器内壁近傍領域を前記触媒反応を行う触媒層とするとともに、前記反応容器の厚方向中心領域を前記原料ガスに対して触媒反応を生じない固体で構成された多孔質体とし、かつ前記触媒層と前記多孔質体の間に連続した空隙を生じないように配置したことを特徴とする連続式固定床触媒反応器。
(2) 前記多孔質体が粒状体を積層して構成されていることを特徴とする、上記(1)に記載の連続式固定床触媒反応器。
(3) 触媒反応容器は略重力方向に中心軸を持ち、前記触媒層および前記多孔質体は触媒層及び多孔質体下端に設けられた通気性を有する触媒層及び多孔質体保持器によって保持され、前記触媒層及び多孔質体保持器を昇降させる駆動装置を設け、前記触媒層及び多孔質体は前記触媒層及び多孔質体保持器の昇降にともなって昇降することを特徴とする、上記(1)または(2)に記載の連続式固定床触媒反応器。
(4) 前記触媒層及び多孔質体保持器が、触媒反応容器の流入路及び流出路との接続部の少なくとも1方に、少なくとも粒状触媒を多数のピンの先端部で保持し、触媒反応用流体が当該ピンの間の空間を流通できる構造を有する保持器であることを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の連続式固定床触媒反応器。
(5) 前記触媒層の高さが、前記触媒反応容器の厚みの2倍以下であり、かつ、触媒外面の代表長さの最大値の3倍以上であることを特徴とする、上記(3)または(4)に記載の連続式固定床触媒反応器。
(6) 前記駆動装置の下降時の速度が上昇時の速度よりも速いことを特徴とする上記(3)〜(5)のいずれか1項に記載の連続式固定床触媒反応器。
(7) 前記原料ガスが炭化水素を含有するガスであり、前記触媒反応による生成物が固体の炭化水素または固体のカーボンを含むことを特徴とする、上記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の連続式固定床触媒反応器。
(8) 前記炭化水素を含有するガスがタールを含有するガスであることを特徴とする、上記(7)に記載の連続式固定床触媒反応器。
(9) 前記触媒がニッケル、マグネシウム、セリウム、アルミニウムを含む複合酸化物であって、アルミナを含まない複合酸化物からなる触媒であり、前記複合酸化物が、NiMgO、MgAl2O4、CeO2の結晶相からなることを特徴とする、上記(8)に記載の続式固定床触媒反応器。
(10) 前記触媒が、ニッケル、マグネシウム、セリウム、ジルコニウム、アルミニウムを含む複合酸化物からなる触媒であり、前記複合酸化物が、NiMgO、MgAl2O4、CexZr1-xO2(0<x<1)の結晶相を含むことを特徴とする、上記(8)に記載の連続式固定床触媒反応装置。
(11) 前記触媒が、
aM・bNi・cMg・dOで表わされる複合酸化物であるタール含有ガスの改質用触媒であって、
a、b、及び、cは、a+b+c=1、0.02≦a≦0.98、0.01≦b≦0.97、かつ、0.01≦c≦0.97を満たし、
dは、酸素と陽性元素が電気的に中立となる値であり、
Mは、Ti,Zr,Ca,W,Mn,Zn,Sr,Ba,Ta,Co,Mo,Re,白金、ルニウム、パラジウム、ロジウム、Li,Na,K,Fe,Cu,Cr,La,Pr,Ndから選ばれる少なくとも1種類の元素であり、
前記複合酸化物に、シリカ、アルミナ、ゼオライトから選ばれる少なくとも1種類の酸化物を加え、シリカ、アルミナ、ゼオライトから選ばれる前記酸化物の含有量が、前記複合酸化物に対し1〜90%質量%である、ことを特徴とする、上記(8)に記載の連続式固定床触媒反応装置。
(12) 上記(1)〜(11)のいずれか1項に記載の連続式固定床触媒反応装置を用いて、触媒反応を行うことを特徴とする連続式固定床触媒反応方法。
(本発明の特徴1)
本発明では、あえて触媒反応の生じない通気抵抗領域(多孔質領域)を触媒反応容器の中心領域に設けるものである。従来技術における予想とは異なり、その結果、反応初期には、触媒反応容器に流入した原料ガスは、中心部の通気抵抗領域とともに容器壁近傍の触媒層を通気し(限定しないが、中心部の通気抵抗を容器壁近傍の触媒層の通気抵抗より高くすると、原料ガスが中心部の高い通気抵抗領域を避けて容器壁近傍の触媒層をより多く流れる)、ここで、高い速度で改質反応が生じる。反応後期には、容器近傍の触媒層では反応の結果生じたコーキングによって、触媒層の通気抵抗は上昇する。一方、中心部ではコーキングを生じないので当初と同じ通気抵抗であるが、その結果、多少の圧力上昇は生じても、中心部では閉塞を生じることなく、ガスを通気させ続けることができた。壁面近傍の触媒層でも、流量は減少するものの、通気は生じるので、触媒反応は継続した。
一般に、触媒層の圧力抵抗は、通気速度の2乗に比例するので、触媒層を通気すべき流量が大幅に減少すれば、従来技術でよりもはるかに高いレベルのコーキング量に到達するまで、触媒層の通気(≒触媒反応)を継続することができる。この際、通気抵抗領域で吹き抜けは生じなかった。その理由は、中心の通気抵抗領域は、厚方向に通気性を有するので、通気ガスは平均的に主流方向に進行しながら、非定常には激しく厚方向の流れ成分を生じて、壁面近傍の触媒領域と中心領域との間で物質交換および熱交換を行う(即ち、厚み方向のガス拡散係数が大きい)ので、中心の通気抵抗領域で反応は生じなくても、壁面近傍で反応したガスが通気抵抗領域に容易に流入するので、ガス濃度は、厚方向で比較的、一定を保つことができたからであった。
この様子を、図2との対比で、図3に示す。図3は、触媒層厚方向に十分に厚い触媒層によって壁面近傍領域を構成し、中心領域には触媒反応を生じない粒状体を配置した場合の、反応容器内での反応のイメージ図である。本発明では、中心領域に配置する粒状体として、触媒反応を生じない非反応性の多孔質体を用いる。このとき、図3に見られるように、触媒層では厚方向中心側ほど温度が低く、遂には反応下限温度に到達している。このため、低温の触媒層に接する多孔質体においても反応下限温度が維持されている。反応容器中心領域の多孔質体は非反応性材料を用いているので、ここでは温度のいかんによらず、改質反応を生じず、コーキングも発生しない。本発明によれば、あえてこの多孔質体の通気抵抗を、少なくとも触媒層と同程度以上に設定することによって、壁面近傍と中心領域の間でガス拡散を促進することができる(即ち、物質(等価)ガス拡散係数を大きくできる)。この結果、多孔質体から流出するガスにおいても原料ガス濃度が十分に低下して原料ガス濃度は厚方向で比較的に一定に保たれ、吹き抜け現象を抑制できることが見出された。
これに対して、非特許文献1に記載されているような並行流型触媒反応器では、壁面近傍に触媒層を配置するともに、中心部はほとんど通気抵抗の存在しない単なる空間とされているので、触媒層の通気抵抗のいかんにかかわらず、中心部の空間を原料ガスが流れうるので、触媒反応器の閉塞はそもそも生じない。しかし、この中心部の空間を流れる大半の原料ガスは、ここでよりも通気抵抗のはるかに高い触媒層内までガスを流入させるに足る大きな物質拡散係数を保持していないので、ここを流れる原料ガスは、触媒層内のガスとはほとんど物質交換を行わず、改質ガスと混合することなく流出する。その結果、容易に吹き抜け現象を生じてしまう問題がある。
(本発明の特徴2)
本発明では、さらに、前記の触媒反応容器中心部の通気抵抗領域(多孔質領域)での反応を防止するために、反応容器中心部の通気抵抗領域(多孔質領域)の多孔質材を非反応性の固体(触媒反応をしない固体)で作成する。この結果、他の方法によって反応容器中心部での反応を防止する場合よりも、安価かつ、反応効率をより高めることができる。以下にその理由を説明する。
他の方法によって反応容器中心部での反応を防止する方法として、例えば、単に、触媒層厚を十分に大きく設定することが考えられる。触媒層厚を増大していくと、触媒反応容器から伝熱される熱量が次第に減少して流通ガスが低温化し、ついには触媒反応可能な下限温度に達する(ガス拡散によって熱も厚方向に輸送されるが、触媒反応熱が比較的大きいときには、厚方向に物質拡散が十分に行われていても、厚方向に温度勾配を生じる場合がある)。この下限温度に達した位置より中心側では触媒反応は生じないので反応による吸熱が生じず、温度は均温化する(図3において、中心部の反応しない粒状体を、反応下限温度以下に維持されているために反応できない触媒とした場合に相当する。)。このように、中心部に触媒反応を生じない触媒層領域を設けると、ここでは、触媒反応にともなうコーキングも生じないので、触媒間のカーボン堆積による通気抵抗の上昇を生じない。また、中心部は触媒層であるので、一定の通気抵抗を生じるとともに、通気ガスの流れは、個々の触媒に妨げられて、常時、主流速並みの厚方向速度成分を生じるので、厚方向のガス拡散も大きい(少なくとも、壁面近傍触媒でのコーキングによる通気抵抗上昇が顕著ではない、反応初期の段階においては)。従って、この方法は、吹き抜け防止の点では本発明と同様の効果を発揮しうる。
しかしながら、この方法の場合、触媒反応容器の中心部では、触媒反応を生じないにもかかわらず、一般に高価である触媒粒子を配置する必要があり、操業費が高価なものとなってしまう。
また、この方法の場合、中心部で反応下限温度以下にする必要があるので、触媒反応容器を十分に厚く設計する必要がある。
また、触媒反応容器が厚いので、触媒層での平均温度が低下するので体積当たりの触媒反応速度は低いものとならざるをえず、触媒反応器としての効率が低い。
さらに、触媒反応容器に流入する原料ガスが触媒の反応下限温度以上の場合、反応容器外壁からの熱供給がなくてもガスの顕熱(原料ガス温度と触媒反応下限温度との差によるもの)によって、反応容器厚方向中心近傍でも触媒反応を生じてコーキングが発生しうる。
これに対して、本発明では、反応容器中心部に非反応性の材料を用いるので、中心部に高価な触媒を用いる必要がない。また本発明では反応容器中心部でのコーキング発生を防止するためにここを触媒反応下限温度以下に保持する必要はなく、原料ガスが高温な場合であっても反応容器厚方向中心部でコーキングを生じることがない。このため、粒状体層(触媒層及び多孔質体)の閉塞を生じさせることなく触媒層厚を薄く設定できるので触媒の平均温度を比較的高温に維持できる。その結果、体積当たりの触媒反応速度を高めることができ、触媒反応器としての効率を高めることができる。
本発明のこの様子を図4に示す。図4は、本発明による、反応容器厚方向中心部を非反応性の多孔質体とした場合の図3と基本的に同様であるが、反応容器内の温度が中心領域でも反応下限温度より高くなっている点で、図3と異なる。図4では、壁面近傍領域の触媒層での平均温度が図3でのものよりも高い。この触媒反応においては、触媒温度の高いほど反応速度も大きいので、図3での反応容器よりも図4での反応容器の方が反応効率(例えば、触媒体積当たりの改質ガス発生流量)が高い。この結果、図4においては反応容器中心領域においても反応下限温度を超える高温に維持されている。本発明では反応下限温度を超える温度に維持される中心領域を非反応性の多孔質体としているため、高温に維持される中心領域で反応に伴うコーキングの生じることはなく、通気性の低下を抑制できる。このように、本発明では高い反応性と通気性を両立することができる。このように、反応容器中心部を高温化するための操作は、反応容器外壁への熱供給を増加するか、あるいは、触媒反応容器をより薄く設定すればよい。尚、図3を用いて説明したように、本発明では反応容器内の中心領域の温度が反応下限温度より高いことは必須ではない。
(本発明の好適な態様:触媒反応器の閉塞除去)
図3や図4で説明した本発明の第1発明や第2発明を適用した触媒反応容器であっても、反応後期がさらに進行すれば、触媒層の通気抵抗が上昇を続けて、ついには触媒層を原料ガスが通気できなくなり、並行流型触媒反応器等に比べれば本発明では吹き抜けの生じるタイミングははるかに遅れる効果はあるものの、最終的には吹き抜け現象が発生する。
この触媒層の通気抵抗が上昇を続けて吹き抜け現象が発生するに至るときの様子を、図5に示す。図5では、過度のコーキングによって壁面近傍領域の触媒層での通気抵抗が中心領域での多孔質体でのものよりもはるかに大きくなった状態での反応容器内での反応のイメージ図である。ここでは、コーキングを生じないために通気抵抗が反応初期なみに低く維持される中心領域を大半の原料ガスが通気する。この中心領域を通気する原料ガスの物質拡散係数は反応初期よりも低下するので(触媒層内の厚方向への通気抵抗が上昇することによって拡散係数は低下する)、中心領域を通過する原料ガスは、触媒層内ガスとの物質交換量が当初よりも減少し、原料ガス濃度があまり減少しないまま流出してしまう。
そこで、本発明の好適な態様では、触媒層の通気抵抗が一定値に達するごとに、触媒層中のカーボンを効率的に除去することによって、触媒層の通気抵抗を中心部の通気抵抗並みに低減して厚方向の通気流量の均一化を図り、吹き抜けを回避することができる。
以下に、従来技術では困難であった、触媒層中の効率的なカーボン除去方法を説明する。
ここで、本発明者が本発明の好適なカーボン除去方法に到達した経緯を説明すると、次のとおりである。
(固定床触媒層中の触媒間に生成固体カーボンの堆積する機構)
本発明者らの調査の結果、固定床触媒層中の触媒間に生成固体カーボンの堆積する機構は次のとおりであることがわかった。
1)固定床触媒層中の隣り合う複数の触媒で形成される触媒間空間において、主流の上流側の隙間から原料ガス(一部改質済み)が流入し、主流の下流側の隙間から改質されたガス(一部は残留した原料ガス)が改質ガスとして流出する。
2)触媒間空間に供給された原料ガスが触媒反応によって改質される際、触媒表面で生成した固体カーボンの一部が触媒表面に付着する。
3)触媒間空間に供給された原料ガスが触媒反応によって改質される際、触媒表面で生成し、気流によって触媒表面から離脱した固体カーボン微粒子は、上記の既に触媒表面に付着した固体カーボン上に付着して、触媒表面で直径数十μmから約1mmのカーボン球が成長する。
4)上記のカーボン球は、時に触媒表面から離脱し、既に存在する他のカーボン球の上に再付着するなどして、触媒表面に多層のカーボン球から構成される厚みが数mmにもおよぶ固体カーボンの堆積層が形成される。
5)この固体カーボン堆積層は実質的に多孔質であるので、高速のガスが通気する際には大きな圧力損失を生じる。
6)特定の触媒間空間での通気抵抗が過大となれば、主流は、他のより通気抵抗の低い触媒間空間を優先的に通気するようになる。但し、固体カーボン堆積層が多孔質であるため、固体カーボンの堆積によって通気抵抗が過大になった空間においても、触媒間空間へのガスの流れが完全に遮断されるわけではなく、触媒表面には低流量で原料ガスが供給され続ける。この結果、触媒表面でのガス改質による固体カーボンの成長は常に進行し続ける(但し、触媒表面での露出面積は減少するので、改質速度は初期に比べて大幅に低下する)。
7)触媒層中の大半の触媒間空間において固体カーボンの堆積が進むと触媒層全体としての圧力損失が過大となり、「閉塞状態」が生じる(触媒反応容器では所与の流量で原料ガスを処理しなければならず、この所与のガス流量時にいずれの触媒間空間を通気しても圧力損失が反応装置の許容値(ガス搬送能力や容器の強度等によって定まる)を超えることが避けられない状態で触媒層は実質的な「閉塞」となる)。
水素・二酸化炭素・水蒸気・タール含有ガスの改質反応を行い、閉塞を生じた固定床触媒反応容器の触媒表面から固体カーボン堆積層を単独で取り出し、容器の中に入れて軽くシェイクする様な機械的外力を加えると、構成単位であるカーボン球の境界で容易に分離し、粉化した。このような固体カーボンの堆積により閉塞を生じた触媒層から固体カーボンを除去するために、本発明者らは、種々の対策を試みた。
(第1の対策:触媒層の逆洗)
第1の対策として、触媒層外部からのブローによる触媒層の逆洗を試みた。詳しく言えば、反応容器内に触媒層の下流側に窒素ガス供給配管を設け、触媒層に対して高速窒素流を噴射して、触媒層の逆洗を試みた。逆洗は、粉塵除去用のフィルタの閉塞時の対策として一般に用いられる手法である。
結果として、一部の固体カーボンは除去されたが、触媒層の圧力損失の変化は軽微であり、閉塞を解消する効果はなかった。その理由としては、次のことが考えられる。
1)フィルタの場合、上流からフィルタ内に流入した粉塵粒のうち、フィルタの目開きよりも大きいものをその場で捕集する。フィルタは、通常、上流ほど目開きが大きい。従って、フィルタの閉塞部に対して主流の下流側から高速流を供給して逆洗を行う場合、捕集された粉塵粒のうちフィルタの目から離脱したものは、高速気流に搬送されて主流の上流側に進行する際、より大きな目開きを通過するので、メッシュに再捕集されることは少なく、フィルタ外に排出できる。
一方、本発明が対象とする触媒反応副生物である固体カーボンなどの堆積層は、主流の上流から流入するのではなく、触媒間空間中で、ガスを原料として生成する。このため、堆積カーボンの大きさが触媒間空間の流出入の隙間よりも小さいとは限らないので、そのままでは触媒間空間から流出できない堆積カーボンが多量に存在する。
カーボン堆積層を破壊して微粉化すれば触媒間空間から流出できる可能性がある。しかし、気流が堆積カーボンに与える応力は一般に小さいので(触媒層全体に大きい気圧差を与えても、触媒層中で触媒は、通常多数の層で積載されているので、個々の触媒間空間の入側−出側気圧差は微小となり、大きな応力を堆積カーボンに与えることはできない)、堆積カーボン層を破壊することはできない。
2)一部のカーボンを除去した時点で、カーボン除去の結果として通気抵抗の小さくなった少数の触媒間空間を連ねた狭い流路が触媒層の中に新たに形成され、主流の大半はこの流路に集中して流れる。この際、新たに形成された流路以外の触媒間空間には気流はほとんど通過しないので、これ以上カーボンが除去されることはない。このため、主流が通過する狭い流路で流速が上昇して大きな圧力損失が生じるので、閉塞状態はあまり改善されない。このように形成された新たな流路も、流路内で新たなカーボンが生成・堆積することよって急速に再閉塞していくので、逆洗の効果は短時間とならざるをえない。その一方、早期に失活を生じた触媒によって構成される(囲まれる)触媒間空間ではこのような触媒間空間の再閉塞を生じない。しかし、そもそも、主流が失活した触媒のみと接触して触媒層を通過するのであれば、ガスの改質を行えないので、触媒反応容器としての性能を発揮できない。
これらから、次のように結論することができる。
すなわち、一般に、閉塞を生じた触媒層においては、
[個々の堆積カーボンの大きさ]>[当該触媒間空間の隙間]
の状態となっており、
[個々の堆積カーボンの大きさ]<[当該触媒間空間の隙間]
としない限り、触媒層からカーボンを大量に除去することはできず、触媒層外部からのブローによる触媒層の逆洗はこれに有効ではない。
(第2の対策:反応容器外面を槌打)
そこで次に、第2の対策として、反応容器外面を槌打して、堆積カーボン層の破壊、または触媒間空間の拡大を試みた。
結果として、最初の閉塞発生後に槌打(第1回目の槌打)すると、一部の堆積カーボンを除去でき、圧力損失も半分程度に減少し、一定の効果が見られた。この後、再閉塞発生後に再び槌打(第2回目の槌打)すると、堆積カーボンの除去は微小であり、圧力損失の変化はなく、閉塞を回避することはできなかった。すなわち、反応容器外面の槌打は、2回目以降は堆積カーボンの除去に有効でないことがわかった。その理由としては、次のことが考えられる。
1)通常、触媒を反応容器内に積層する際には上部から単純に落下させるので、触媒層における触媒は最密充填状態にはない。ここに、第1回目の槌打を加えると、振動によって触媒が最密充填あるいはそれに近い状態になる(簡単にするために、以下ではこれを「最密充填化」と称することにする)。最密充填化の過程で触媒間の相対位置は、合計で触媒代表長さの30%程度の大きさで移動する。この相対位置の移動(即ち、触媒間相対運動)時に、一部の堆積カーボンが触媒との接触応力によって破壊されて小型化するとともに、触媒間の間隔が一時的に広がる瞬間を生じるので、
[個々の堆積カーボンの大きさ]<[当該触媒間空間の隙間]
の関係が実現されて触媒層中を落下し、堆積していたカーボンは、遂には触媒層から除去された。
2)一方、第1回の槌打終了後に触媒層は最密充填化されているので、第2回目以降の槌打を行っても触媒間の相対位置はほとんど変化せず、堆積カーボンの破壊や触媒間の間隔の広がりは生じない。このため、第2回目以降の槌打では堆積カーボンの除去の効果が認められなかった。
これらから、次のように結論することができる。
すなわち、1回限りの閉塞解消効果では、多くの場合、触媒反応容器における所要処理継続時間を満足できないので、反応容器外面の槌打は堆積カーボンの継続的な除去のためには不十分である。触媒層から堆積カーボンを継続的に除去するためには、
[個々の堆積カーボンの大きさ]<[当該触媒間空間の隙間]
とした後に、触媒層の最密充填状態を解消する手段が必要である。
(第3の対策:反応容器内での触媒層自体の移動)
前述の結論を踏まえ、第3の対策として、反応容器内での触媒層自体の移動を試みた。より詳しく言えば、静止反応容器の中で触媒が反応容器内壁に接した状態で、触媒層の底に設けた保持器を昇降することによって触媒層全体を昇降させることを試みた。その結果、数回の昇降操作の後、触媒層の昇降運動は安定状態(昇降操作の1サイクルの後、触媒層が当該サイクルの始点の状態に平均的に戻る)に到達する。この安定状態において、保持器の上昇時には触媒層下端の上昇量に対して触媒層上端での上昇量の方が一般に小さく、保持器の下降後には触媒層上下端とも始点の位置に戻る。従って、保持器昇降のサイクル内では、触媒層の平均充填率の変動を生じており(触媒層平均充填率は、保持器上昇時に増大し、保持器下降時には減少する)、触媒層内において少なくとも上下方向での触媒間相対運動が発生する。この保持器昇降時の触媒層の上端と下端の上昇量の差は、触媒層高さ(触媒層上端と下端間の距離)が大きいほど増大し、遂には触媒層上端がほとんど上昇しない状態に至る。この触媒層上端の移動しない状態では、触媒層上端近傍の触媒はそもそも保持器昇降によって移動しないので、触媒間相対運動が生じない。この結果、この領域では触媒間の堆積カーボンを保持器昇降によって除去することはできない。従って、触媒層全体で保持器昇降によって触媒間の堆積カーボンを除去するためには、保持器昇降によって、単に触媒層の平均充填率を変動させるだけでなく、触媒層上端でも十分な昇降ストロークを確保することが必要であることがわかった。
図6に、断面積の一定な矩形断面のダクト状反応容器内に触媒(および粒状の多孔質体)を模擬した直径15mm長さ15mmの円筒形粒状体を充填して粒状体層を形成し、粒状体層の下方に保持器を設けて粒状体層を保持する機構の装置において、静止反応容器内の粒状体層を粒状体が反応容器内壁に接した状態で、保持器を27mmストロークで5回昇降させて安定化した後の6回目の昇降における粒状体層上端高さを示す。縦軸が粒状体層上端高さの変位として表し粒状体層上端高さであり、変位の基準となる0mmは、6回目の保持器上昇前の粒状体層上端の垂直方向の位置に対応している。尚、昇降における1回とは、下端を始点として上昇した後に下降して下端を終点とするものと定義する。横軸の粒状体層高さ/反応容器厚は、以下において粒状体層の「アスペクト比」とも呼ぶ指標であり、反応容器厚は、水平平面における反応容器の代表長さのうちの最短の長さに相当し、例えば、反応容器の水平断面が長方形の場合はその短辺の長さ、円形の場合はその直径に相当する。
図6から、粒状体層のアスペクト比(粒状体層高さ/反応容器厚)>2のとき、粒状体層の上昇量(5回の昇降動作後に最終的に認められた昇降開始前の高さからの上昇量)は保持器上昇量(27mm)や粒状体外寸(直径)15mmに比べてはるかに小さいことがわかる。これは、保持器上昇時(粒状体層上昇時)には粒状体充填率が大きくなり、保持器下降時(粒状体層下降時)には充填率が小さくなることを意味している。ここで、保持器上昇・下降時とも、下方の粒状体ほど移動速度が大きいので、粒状体層高さ方向の各粒状体の移動速度が異なることから、少なくとも上下方向の粒状体間相対運動を生じる。この条件(アスペクト比>2)では、粒状体層上端部の上昇の振幅が小さいので、この部分での粒状体間の相対運動は比較的小さく、触媒間の堆積カーボンの排出能力は低い。
それに対し、粒状体層のアスペクト比≦2(アスペクト比=1.8)のときは、粒状体層上端の上昇量は保持器上昇量に比べてやや小さい(保持器上昇量27mmに対し、20mmの上昇)ことがわかる。即ち、この条件では、粒状体層上端でも保持器と同レベルの昇降ストロークを満足し、かつ、保持器昇降による粒状体層充填率の変動も確保するという、前記の粒状体層全域での粒状体間相対運動を実現でき、粒状体間の堆積カーボンの排出能力が高い。
また、このような上下方向の粒状体間相対運動の効果に加えて、本発明では、粒状体が反応容器内壁に接触した状態で粒状体層が昇降することによって、粒状体層の厚方向および幅方向にも粒状体間相対運動を発生させる効果を発揮できる。即ち、粒状体層の昇降に伴う充填率変化の際の粒状体間相対位置の変化を考察すると、粒状体層厚み方向(反応容器厚み方向に同じ)の各粒状体の移動に対する拘束状態が異なる。これは、壁面との摩擦によって、壁面に近い粒状体ほど、拘束が大きく、初期の上昇・下降速度が小さいことに起因している。その結果、粒状体層厚み方向の各粒状体の移動速度が異なるので、粒状体間の相対運動を生じる。
こうして、反応容器内で粒状体を容器内壁に接触させて粒状体層自体を昇降させた場合、粒状体層の昇降に伴う充填率変化の際の粒状体間相対位置の変化は大きくなり、例えば、保持器の昇降ストロークが30mmの場合、昇降の度に粒状体代表長さ(例えば15mm)の30%程度になる。
前述のように反応容器内で粒状体を容器内壁に接触させて粒状体層自体を昇降させることにより個々の粒状体間の相対位置を移動させ、粒状体層全体を撹拌すると、粒状体層全域において粒状体間に堆積した固体、例えばタール分を含むガスの改質反応の際に堆積するカーボンなどを、効率的に粒状体間から落下させて粒状体層から除去できることがわかった。
特に、下降時に保持器を粒状体層下部の自由落下速度よりも速く、より好ましくは粒状体層下端の粒状体の自由落下速度よりも速く、下降させると、粒状体層下端は保持器から離脱し、保持器下端位置で先に停止した保持器上に粒状体が次々と振り積もるので、最密化されていた粒状体層であっても、粒状体の再配列によって、低充填化することができる。それと同時に、粒状体の落下中に粒状体間の隙間が極端に大きくなる瞬間を生じ得るので、触媒間に堆積した固体を効率的に除去できる。
それに対して、保持器と反応容器を同一速度で昇降した場合、粒状体層全体は保持器・反応容器と同一速度で昇降するので、粒状体間の相対移動は生じない。そのため、触媒表面の固体カーボンなどの除去効果は低い(反応容器外部からの槌打なみ)。また、粒状体全体をかご等に入れてかごと粒状体層を同時に昇降する場合も同様である。
以上から、固定床触媒層内で触媒上に生成・堆積する固体堆積物を除去するためには、触媒層を含む粒状体層(又は触媒層と多孔質体)をその保持器とともに、反応容器に対して相対移動させることが必要であることがわかった。そこで、本発明は、粒状体(又は触媒層及び多孔質体)を収容した反応容器内で粒状体を反応容器に対して相対移動させること、すなわち、攪拌する装置を提供するものであり、本発明の処理装置は、その適用範囲は触媒反応装置に限定されないが、触媒層全体の撹拌(個々の触媒間の相対位置を移動させること)を、固体カーボン等の固体生成物が発生する触媒反応に短時間適用することによって、触媒層全域において触媒間に堆積した固体生成物を効率的に触媒間から落下させて触媒層から除去できるという顕著な効果を得ることができるものである。触媒層から除去された固体生成物は、保持器の開口部を通して落下させることができ、落下して下方に溜まった固体生成物は、例えば触媒の交換時などに系外へ排出することができる。
(タール改質触媒における効果)
本発明は、固定床触媒層内で触媒上に生成・堆積する固体生成物の除去に好適に適用することができる。例えば、ニッケル、マグネシウム、セリウム、ジルコニウム、アルミニウムを含む複合金属酸化物触媒によるタール含有ガスの改質反応では、他の反応に比べて触媒表面への固体カーボンの堆積量が多く、それを除去するニーズがより高い。本発明は、このように他の反応に比べ触媒表面への固体カーボンの堆積量が多いタール含有ガス改質反応用の触媒を用いる場合においても、触媒上に生成・堆積する固体生成物の効率的な除去を可能にする。
(移動床との違い)
本発明の対象である触媒固定床と異なり、移動床は、原則として反応中に絶えず触媒を移動(および撹拌)させる。それに対し、本発明の好適な態様で攪拌する場合には、反応容器内での触媒層の移動を間欠的に、短時間実施すればよいので、反応中に触媒撹拌を行う必要はない。さらに、移動床では、反応中に一定量の触媒を系外に排出するとともに同量の触媒を系外から供給する。それに対し、本発明では、反応中に触媒の入れ替えは行わない(触媒層が固定床であるから)。
本発明によれば、連続固定床触媒反応装置において、原料ガスの触媒層の厚さ方向(主流方向に垂直な方向)の拡散を促進して、触媒層における固体副生成物の堆積による通気抵抗の上昇を抑制することができる。また、高い開口率と閉塞の防止の両方が実現される触媒保持器を提供し、触媒保持器の通気抵抗を低減できるので、より少ないブロワ動力で触媒層への通気が可能であり、タール含有ガスを高効率に改質することができる。さらに、本発明の連続固定床触媒反応装置では、通気抵抗が上昇した時点で触媒層を昇降することによって圧力損失を低下させ、良好な通気状態を回復することができる。
従来技術の連続固定床触媒反応装置の模式図である。 連続固定床触媒反応装置における触媒層内吹き抜けの様子を示す図である。 連続固定床触媒反応装置における実際の触媒層内流れを示す図である。 本発明の連続固定床触媒反応装置における触媒層内流れを示す図である。 本発明の連続固定床触媒反応装置において生じ得る吹き抜け直前の様子を示す図である。 粒状体層高さ/反応容器厚−触媒上面高さの関係を示すグラフである。 本発明の触媒反応装置の模式図である。 本発明の触媒反応装置の粒状体保持器の実施例を示す写真である。 粒状体層高さ−保持器最大荷重の関係を示すグラフである。 実施例における通気時間と圧力損失の関係を示すグラフである。 参考例の触媒反応装置の模式図である。 比較例における通気時間と圧力損失の関係を示すグラフである。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
[第1の実施形態]
(全体構成)
図7に、本発明の第1の実施形態の連続式固定床触媒反応装置10を示す。この図の(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。本発明の触媒反応装置10は、反応容器11を含み、その内部には、下部を保持器12によって支持された触媒層13及び多孔質体14が収容され、触媒層13中の触媒のうち反応容器内壁に隣接する触媒(図示せず)は反応容器内壁に接触している。反応容器の壁面隣接領域に触媒層13があり、触媒層13の間の中心領域に触媒反応しない固体からなる多孔質体14がある。本発明では、触媒を反応容器内壁に接触させて触媒層を昇降させるので、昇降作業時の触媒の移動の妨げとならないように、反応容器11の内面は平滑であることが好ましい。保持器12の下には、保持器を昇降させることにより触媒層13を上下に移動させるための駆動機構が位置している。本発明において駆動装置の構成は限定されないが、この例では、駆動機構は昇降装置16と、昇降装置16を保持器12につなぐ伝導軸17で構成されている。
反応容器11には、下方から原料ガス14が触媒層13及び多孔質体14に供給されて触媒層13で反応し、触媒層13からの改質ガス15は反応容器11の上方から排出される。原料ガス14の例は、炭化水素を含有するガス、炭化水素とともにタールを含有するガスなどでよい。改質ガス15の例は、炭化水素を含有するガスを改質して得られる改質ガスなどでよい。触媒の例を挙げると、炭化水素改質用の塊状触媒(粒状触媒)などでよく、その表面には触媒反応の副生物として固形物、例えば固体カーボンなどが堆積する。触媒反応しない固体は、特に限定されず、アルミナなどのいずれでもよく、モノリスな多孔質体でも粒状体の堆積物でもよい。本発明では触媒反応が吸熱反応であるので、反応に必要な温度と熱を、触媒反応容器11を例えば加熱炉(図示せず)中に配置することにより、与える。場合により、反応容器11への原料ガスは、図7とは逆に、触媒層13の上方から下方へ流れるように供給することも可能である。
(反応容器の形状)
反応容器11は、両端に開口を有し、これらの開口間に触媒を収納できるものであればどのような形状でもよい。一方の開口は、触媒反応用流体(原料ガス)の流入路を構成する供給管21に通じており、触媒反応用の原料ガスの反応容器11への流入口に当たるものである。他方の開口は、反応容器11の改質ガスの流出路を構成する排出管22に通じており、改質ガスの反応容器11からの流出口に当たるものである。反応容器11は、例えば、円筒状、角型ダクト状などの形状であることができる。以下では、角型ダクト状の反応容器を例に説明する。
(作用の発生機構)
この実施形態において、反応容器11中の中心領域は、少なくとも作業温度領域において、触媒反応を生じない(即ち、非反応性の)固体の多孔質体とすることによって、より自由度の高い通気抵抗特性を確保するとともに、一般に高価である、触媒の使用量を中心部の分、削減することによって、操業費を低減することができる。
(多孔質体)
「非反応性」とは、少なくとも作業温度領域における当該原料ガスおよび当該触媒の組み合わせによって化学反応を生じないものをいい、多孔質体又は積層して層をなすような粒状体を用いることができる。この粒状体は、自身が多孔質構造である必要はなく、粒状体を積層する際に粒状体間に生じる隙間が孔の効果を示して積層された層全体が実質的に多孔質体として機能すればよい。この意味で積層化することによって多孔質体を形成する個々の粒状体を「多孔質体用粒状体」とよぶことにする。尚、多孔質体用粒状体として、自身が多孔質構造である粒状体を用いることもできる。多孔質体用粒状体としては、保持器によって下方から多孔質体を保持する便宜上、極端に小さいものは好ましくなく、また、極端に大きなものには多孔質体の通気抵抗が不安定になり易い問題があるので、後に説明する触媒粒子の好ましい大きさ範囲・形状と同様であることが好ましい。具体的には、例えば、失活した触媒粒子、砕石、砕石レンガ、耐熱コンクリート粒、または、アルミナ粒子等の焼結体を用いることができる。多孔質体用粒状体によって形成される多孔質体を触媒とともに保持器によって支えれば、触媒粒子は重力によって自然に多孔質体に密着して、連続した隙間を生じることはない。尚、「連続した隙間」とは、触媒層と多孔質体の境界の粒状体間において、多孔質体用粒状体外面代表寸法の数倍以上の長さにおいて狭隘部の全く若しくはほとんど存在しない連続した気流路のことを意味する。具体的には、例えば、触媒層と多孔質体の境界に、機械加工用の汎用測定器具である隙間ゲージを多孔質体用粒状体外面代表寸法の数倍以上の深さまで抵抗なく挿入できる状態であれば、「連続した隙間」が存在するといえる。一方、触媒層と多孔質体の境界の粒状体が互いにランダムにかみ合って積層した状態は、「連続した隙間」ではない。なぜならば、この状態において粒状体に囲まれて形成された個々の粒状体間空間が仮に互いに気流路として連続していたとしても、高々、粒状体外面代表寸法と同程度の長さごとに、必ず狭隘(平均流路断面積に対して)なために通気抵抗の大きい場所を生じ、隣り合う狭隘部に挟まれた小空間が半独立した隙間として機能するからである。
適切な多孔質体用粒状体を選定することによって、多孔質体用粒状体間の空隙率や空隙寸法を低減することによって多孔質体の通気抵抗を高めることができる。このように、本発明では、触媒層とは異なる通気抵抗を多孔質体の設計に採用できる自由度が存在するので、最適な通気抵抗を選択することができる。また、改質性能上の理由から焼成上限温度制約が厳しいために一般に高い強度を得にくい触媒粒子に対して、本発明では、多孔質体用粒状体には高強度の材料、例えば、アルミナの高温焼結体や自然石の砕石等を用いることができるので、粒状体層昇降時等に必要な粒状体層強度を、より容易に確保できる利点も存在する。
多孔質体の通気抵抗係数は、反応開始時の触媒層の通気抵抗係数と同程度以上であることが好ましい。これより低い通気抵抗を多孔質体に採用した場合、反応初期から原料ガスは、多孔質体により多く流れて触媒反応装置全体の反応効率が低くなる問題を生じる。より好ましくは、多孔質体の通気抵抗係数は、反応開始時の触媒層の通気抵抗係数の10倍以上とすることができる。このような場合、反応初期には、主に触媒層内を原料ガスが通気するために反応効率が高く、併せて、反応が進行して触媒層の通気抵抗が多孔質体並みに上昇した後でも十分な量のガスが多孔質体を通気するために容易には閉塞しないとともに、吹き抜けの発生を、通気抵抗のより低い物質を中心領域に用いた場合よりも遅延させることができるからである。一方、当然のことながら、多孔質体の通気抵抗係数は、反応容器が閉塞条件となる場合の粒状体層の平均通気抵抗係数(所要ガス流量と許容圧損を用いて算出できる)よりも十分に低い必要があり、好ましくは、反応容器が閉塞条件となる場合の粒状体層の平均通気抵抗係数の10%以下とすることができる。
多孔質体の触媒層厚(合計)に対する比率は、20%から50%程度が好ましい。20%未満では、壁面近傍で閉塞を生じた場合、中心部に流れが集中して中心部での流速が増大し、触媒反応器での圧力損失が過大になりうるから好ましくない。仮に、壁面近傍で閉塞を生じた場合でも50%以下で十分に過大な圧力上昇を回避できる一方、50%超では触媒反応を生じない厚みの比率が過大であり、触媒反応器の平均温度が低下して改質効率が極端に低くなるので、好ましくない。
厚方向中心部のみに多孔質体用粒状体を配置する方法としては、外壁と並行に2枚の薄板を仕切板として反応容器内に挿入して触媒反応容器内を予め厚方向に3分割し、中心部の区画に多孔質体用粒状体、その両側2つの区画に触媒を投入した後、仕切板を上昇させて取り外せばよい。特に、多孔質体用粒状体および触媒を少量投入するごとに少しずつ仕切りを上昇させれば、多孔質体用粒状体と触媒を明確に分離することができる。
(触媒反応容器の形状)
両端に開口を有し、開口間に触媒を収納できるもの(即ち、筒状)であればどのような形状でも適用できる。たとえば、円筒状、角型ダクト状を挙げることができる。以下、角型ダクト状の容器形状を前提として説明する。容器の中心軸とは、容器の水平断面の図心を鉛直方向に連ねたものと定義する。容器が円筒の場合には、以下の記載において、容器の「幅」および「厚」を「直径」と置き換えればよい。
触媒反応容器の壁面近傍に触媒を配置し、中心領域に触媒反応しない多孔質を配置する。
(触媒反応容器の材質)
触媒を保持する強度、接触する流体への耐熱・耐食性、反応生成物への耐汚染性を有する材料であれば、どのようなものでも使用できる。たとえば、炭素鋼、ステンレス鋼、Ni合金、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金等の金属材料、シリカ、アルミナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素等のセラミックス(煉瓦に加工されたものを含む)、ソーダガラス、溶融石英等のガラスを挙げることができる。
(反応容器の寸法)
反応容器の厚みは、下限が塊状触媒の代表寸法(例:直径)の2倍と多孔質材料の代表寸法の合計以上でなければならない(例えば、30mm)。本発明の触媒反応は吸熱反応であり、かつ、反応容器の表面を通じてこれらの熱を外部と授受するため、触媒層内部まで伝熱を確保するために、経済的な触媒層の厚みには上限が存在する。上限の値は、反応熱・流量・伝熱特性等によってエンジニアリング的に定めればよい(例えば、200mm)。ただし触媒層の厚みがこの上限より厚くても経済性が落ちるだけであり、非反応性の領域を形成するので作用において問題はない。
また、触媒反応をしない多孔質領域の厚みは、先に述べたように、それと触媒層との合計厚みに対する割合が20%〜50%が好適である。
したがって、たとえば、触媒層の厚みの上限が200mmであるとき、触媒層が両側にあると合計400mmとなるので、反応容器の厚み(内側)の上限は800mmである。
反応容器の幅には、機能上、特段の制約はない。保持すべき触媒層体積、反応容器厚を基に、構造上・強度上の制約を考慮してエンジニアリング的に定めればよい(例えば、5000mm)。
反応容器の高さは、触媒層の高さよりも大きくなければならない。一方、反応容器高さの上限については、機能上の制約はなく、構造上・強度上の制約を考慮してエンジニアリング的に定めればよい(例えば、5000mm)。
(触媒保持器)
本発明において触媒保持器15は、限定するものではないが、好適には、図8に示されるように多数のピン19をピンの底部において底板20で保持した構造物であり、そのピン19の先端部で粒状(塊状)の触媒(又は粒状触媒及び多孔質体)12を保持する触媒保持手段である。この保持器では、ピン19の間の隙間間隔を粒状触媒(及び多孔質体)12の大きさより小さく設定することで、これらのピン19の先端部で粒状の触媒12を保持することが可能であり、ピン間の隙間が原料流体の流入口または改質流体の流出口として機能する。以下、この好適な触媒保持器についてより詳細に説明する。尚、触媒粒子よりも小さい多孔質体用粒状体を用いる場合には、以下の触媒粒子の寸法に関する記載を多孔質体用粒状体の寸法に関するものとして置き換えればよい。
図8の触媒保持器では、ピン19は同じ形状であるが、必ずしも同じ形状である必要はない。塊状触媒をピンの先端部で保持し、ピンの間の間隙を流体が流通できればよく、ピンの大きさも長さも角度も同じでなくてよいし、ピンは直線状に限定されるものでもない。
図8の触媒保持器では、ピン19の先端は同一平面を形成しているが、ピン19の先端が形成する面が曲面であったり、例外的に一部のピンが先端を形成する面から突き出ていてもよい。
このような触媒保持器15によれば、高い開口率と閉塞の防止が実現される。
(触媒保持器ピン配置)
図8示した触媒保持器のピン19の配置をピンの先端側から見た図(ピンの軸に垂直な平面、図示せず)において、ピンの軸に垂直な平面上でのピンの中心を頂点とし、隣り合う3本のピンの中心で構成される三角形が、全て合同な二等辺三角形、特に正三角形であることが好ましい。それによって保持すべき触媒の所要断面積に対して最小のピン数で触媒保持構造を実現できる。
全てのピンは、ピンの中心軸が互いに平行に配置されることが好ましい。ピン側面での開口が均一になり、より、閉塞しにくくなるからである。ピン軸間が極端に近接する部位ではピン側面間で閉塞を生じやすい。ピンが平行な部分の長さはピン間の間隙が閉塞しないで原料流体や改質流体が自由に流通できる空間を形成するように決められる。
設計上の便宜等がある場合には、触媒方向に向けて中心軸間の距離が徐々に広がる、または、狭まる等のように設定して、必ずしも平行でなくてもよい。同様に、ピンの中心軸は平行であるが、ピン間の間隔は徐々に広がる、または、狭まる等のように設定してもよい。
ピンが略平行な部分の長さはピン間の間隙が閉塞しないで反応流体が自由に流通できる空間を形成するように決められる。
(ピン間の間隔)
ピンを略平行に配置する場合、ピン間の間隔は下記不等式を満たすことが望ましい。
[ピンの軸間距離]−[ピンの外径寸法]<[触媒の通過しうる最小のメッシュ目開き寸法]
[ピンの外径寸法]: ピンの外径寸法は、2つのピンの軸間における半径(ピンの軸から外径までの距離)の合計、好ましい円筒ピンの配列ではピンの直径になる。
「メッシュ」: 篩の目のこと。
「目開き寸法」: 正方形の開口を前提とした、JIS等の一般的な定義に基づくが、本発明においては、単一の触媒塊外形の代表寸法(直径、高さ等)のうち、最小のものに相当する。
すなわち、全てのピンの直径(外径寸法)を除いた軸間距離が、特に触媒保持器の頂部(ピン先端部)において、触媒の通過しうる最小のメッシュ目開き寸法より小さければ、触媒塊子はピンの間を落下することはなく、これらのピンで支持されることができる。触媒の破損により生じた触媒の小片のように、例外的に一部の触媒寸法がピンの直径を除いた軸間距離より小さくて、ピンの間を落下することがありうるが、触媒保持器18の下部および下方に十分な落下物の貯留空間を設けることによって、少なくとも触媒反応容器閉塞の観点からは特に問題ではない。
通気性および保持器の耐閉塞性の観点から、通気の主流方向垂直断面での開口率(1−[ピン断面積の合計]/[流路の見かけ断面積])は、90%以上であることが好ましい。開口率の上限は、ピンの耐座屈性等から定まる個々のピンの断面積から制約される。
(触媒保持器の特徴)
図8に例示し上記したような構成の触媒保持器を用いることにより、パンチングメタルや網の場合と違い開口率を大きくしても強度を維持することができるので、実質的な開口率(ピン列の触媒への接触部においてピン軸に垂直な面内での空間の比率)を90%以上という、従来技術では実現できなかった高い値とすることができる。95%以上も可能である。
また、触媒保持器15の各ピン19は、ピン中心軸垂直断面内で全て孤立し、ピン列の間に広がる空間が互いに連結しているので、仮にピン表面にカーボン等の固体が析出したとしても、隣り合うピン間でこの固体が架橋して開口を閉塞させることは容易には生じない。
(触媒保持器のピンの形状)
表面が滑らかで触媒を傷めにくいので、丸棒(円柱状)が好ましい。製作上の便宜等の理由で角柱状やその他の形状であってもよい。座屈防止の観点から、中心軸が直線であることが好ましい。製作上、または、設計上の便宜等の理由で曲がり棒であってもよい。
(触媒保持器のピンの触媒との接触部におけるピン形状)
上記の保持器におけるピンの触媒との接触部におけるピン形状、すなわち、実質的にはピン先端の形状は、触媒との接触時に触媒破損を抑制する形状とすることが望ましい。
ピン先端は平面でもよい。球状の触媒塊の場合、触媒保持機構における保持面が平板であるときに、接触面積が最大(即ち、面圧が最小)となるので、触媒が最も破損しにくい(実際には凹面に接触するときの方が接触面積が大きくなるが、多数の触媒塊が同時に保持面と接触する際に、いたるところで凹面を設ける形状は実現できない)。保持面であるピン先端の平面部と触媒塊が接触する場合、平面部の広さが十分広ければ(例えば0.1mm以上)、そのときの接触面圧は、触媒が平板と接触した場合に等しいので、触媒を最も破損しにくくできる。ピン先端を平面とする場合、ピンの平面部とピン側面の接続部を面取りして触媒がこの部位に接触した場合の面圧を低減することができる。
また、ピン先端をピンと同一の直径を有する半球状とすることができる。円柱型の触媒塊の場合、円柱の底面と側面の接続部で極めて大きな曲率(角(かど))を有するので、この形状の触媒では、角部の欠けが触媒損傷の最大の原因となるおそれがあるから、半球状とすることで触媒損傷を防止することができる。さらに、
[触媒塊の最大曲率] >> [ピン先端の曲率]
であれば、触媒の接触面圧は、触媒が平面に接触した場合と大差なく、触媒を最も破損しにくくできる。
(触媒保持器のピンの寸法)
触媒保持器のピンの太さは、開口率確保の観点から[触媒の通過しうる最小のメッシュ目開き寸法]未満であることが好ましい。[触媒の通過しうる最小のメッシュ目開き寸法]の1/3以下がより好ましい。触媒がリング状、円筒状等の孔を有する形状の場合は、触媒孔径よりも大きくする。
ピンの長さは、[流入口(流出口)での流体の流通見かけ断面積] ≧ [触媒層における流体の流通見かけ断面積」とするのが好ましい。触媒反応容器の厚・幅(直径)が所与のとき、ピンの高さを変更して、流入口(流出口)での流体の流通見かけ断面積を調整できる。但し、触媒層における流体の流通見かけ断面積が極端に大きい場合(反応容器が主流方向に扁平等)には、この限りではない。ここで、「流体の流通見かけ断面積」とは、原料流体や改質流体の主流に垂直な平面上で触媒反応容器側壁で囲まれた領域の面積である。
ピンのアスペクト比(長さ/太さ)は、座屈防止の観点から100以下が値が好ましく、20以下がより好ましい。但し、ピンに加わる最大荷重が十分に小さい場合には、これ以上の値であってもよい。また、流入口(流出口)での流体の流通見かけ断面積を十分大きく設定するために、ピンのアスペクト比は、1以上が好ましく、5以上がより好ましい。
(触媒保持器のピンの材質)
触媒を保持する強度、接触する流体への耐熱・耐食性、反応生成物への耐汚染性を有する材料であれば、どのようなものでも使用できる。たとえば、炭素鋼、ステンレス鋼、Ni合金、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金等の金属材料、シリカ、アルミナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素等のセラミックス、ソーダガラス、溶融石英等のガラスである。タール改質用の触媒反応容器では、通常、800℃以上の高温で操作されるので、ステンレス鋼やハステロイ・インコネル等のNi合金が特に好ましい。
(触媒層の駆動機構)
本発明の好適な態様では、保持器12を昇降させることによってその上の触媒層13及び多孔質体14を反応容器11内で昇降させる。そのために、本発明の反応容器11には触媒保持器12を昇降させる駆動機構が装備される。駆動機構には、エアシリンダ、ラックピニオン等の歯車を利用した昇降装置などの、一般的な駆動機構を用いることができる。保持器12は、伝導軸17を用いて昇降装置16に結合される。昇降装置16を作動させると、保持器12の全体が反応容器11の軸線に沿って移動して、触媒層13及びの全体をやはり反応容器11の軸線に沿って上下に移動させる。
少なくとも伝導軸17の保持器12側の一部は反応容器11、または、反応容器11の下方に存在しうる原料ガス流入路21や改質ガス流出路22の内側に存在する必要がある。昇降装置16は、反応容器11の外部に設けることができる。反応容器11を例えば加熱炉などの加熱装置(図示せず)内に配置する場合には、昇降装置16を加熱装置外に設けることもできる。この場合、市販の昇降装置を使える一方で、伝導軸17が反応容器11を貫通する部分を高温用パッキン等で封止する必要がある。
駆動機構全体を、図7に示したように反応容器11内に設ける場合には、昇降装置16を、例えば反応容器11内の高温や腐食性物質から保護するために、耐熱・耐食性のものとする必要がある。これは、一例として、駆動機構のエアシリンダ全体をハステロイ(登録商標)等の耐熱合金製とすることによって実現できる。この場合、エアシリンダへの供給エア配管(図示せず)は反応容器11を貫通するが、この部分は非可動部なので、配管を全周溶接するなどして封止を図ればよい。
保持器上昇時に、保持器12の一部が触媒層13及び多孔質体14に食い込む場合があるので、保持器12は上昇時だけでなく下降時も駆動することが好ましい。
(保持器の昇降ストローク)
触媒間の相対運動を十分行うためには、保持器12の昇降ストロークは大きいことが好ましい。例えば、触媒外面の代表寸法(例:直径)の0.1倍程度の昇降ストロークであっても加振の効果は存在するので、触媒表面の固体カーボンなどの堆積物の除去効果は一定程度は得られる。とは言え、十分な堆積物除去効果を挙げるためには、保持器12の昇降ストロークは触媒外面代表寸法の0.5倍以上であることが好ましく、1倍以上であることがより好ましい。
一方、昇降ストロークが極端に大きい場合には、反応容器11および駆動機構が大型化するので効率的ではない。また、小さいストローク(但し、1倍以上)の昇降を繰り返し行うことで、より大きな昇降ストロークと同様の効果が得られる。よって、昇降ストロークは、触媒外面の代表寸法の10倍以下であることが好ましい。
(昇降速度)
保持器12とともに触媒層13及び多孔質体14を上昇させるのに要する所要上昇力は、上昇速度が小さいほど小さい。本発明者らの調査の結果、10mm/sで保持器とともに触媒層13及び多孔質体14を上昇させるときの所要上昇力は、1mm/sで上昇させる場合の2倍が必要であることがわかった。また、大きな上昇速度では、触媒が破壊しやすくなる。従って、上昇速度は小さいことが好ましい。但し、1mm/sで上昇させる場合と0.5mm/sで上昇させる場合の所要上昇力の差は小さいので、1mm/sよりも遅くする必要は必ずしもない。また、10mm/sの上昇速度であっても、触媒が破壊しないのであれば、適用してよい。
前述のように、保持器の下降速度は大きいことが好ましい。特に、最下端での触媒の自由落下速度よりも大きい速度(例:100mm/s)で保持器を下降すれば、触媒は保持器から離脱して触媒間の拘束が小さくなり、触媒間の相対運動を大きくとれるので好ましい。但し、触媒の自由落下速度よりも極端に大きな速度で保持器を下降させても得られる効果に差はない。
反応の進行とともに触媒層内に堆積したカーボンによって触媒層の通気抵抗が上昇した場合には、保持器を昇降させて触媒層中に堆積したカーボンを除去することによって触媒層の通気抵抗を低下させることができるので、多孔質体において吹き抜けを生じることはない。
(触媒の寸法)
本発明に用いる触媒は、前記ピンにおける寸法制約を満足可能な条件でなければならない。例えば、次の例1の触媒を用いることができる。
(例1)φ10mmの球形触媒を見かけ断面が直径100mmの円筒触媒反応容器に納めた場合、ピン高さは、100mmあれば十分である。一方、ピン直径をφ5mmにできるので、このときのピンのアスペクト比は、20程度であるので、実現可能である。
一方、前記ピンにおける寸法制約を満足できないので、次の例2の触媒は、採用できない。
(例2)φ0.1mmの球形触媒を見かけ断面が直径100mmの円筒触媒反応容器に納めた場合、ピン高さは、少なくとも数十mm必要である。一方、ピン直径は触媒直径よりも小さくなければならない。従って、ピンのアスペクト比は、100を超えるので、実現不可能である。
触媒の寸法は、触媒反応の効率から決定され、一概ではない。触媒の寸法を考慮して触媒保持器のピン間の間隔をきめればよいが、必要に応じて、触媒の寸法を本発明の触媒保持器のピン間の間隔を考慮して決めることができる。
(触媒の形状)
前述のように、特定の触媒保持器で触媒を保持する際、同一触媒外面の代表寸法のうち最小のものに下限値が存在する。触媒反応容器の容積が一定の場合、一般に触媒の数が多いほど、触媒の総表面積は増大し、反応器の反応速度を向上できる。従って、球や球に近い形状のものは、一定の体積の中で触媒の数を増やしやすいので好ましい。また、触媒の外周で囲まれる体積が同一でも、触媒塊の表面積の大きい形状、例えば、円筒やリング状の形状も好ましい。
一方、円盤のように、一方向の代表長さのみが極端に小さい形状のものは、本発明では保持しにくいので、概して好ましくない(比較:従来技術の網やパンチングメタルでは、メッシュ寸法よりも若干大きな円盤は、触媒の数を最も増やしうる形状であった)。また、棒状の形状は、従来技術と同様に保持しにくいので、好ましくない。
触媒の外寸は、触媒保持器での保持のしやすさと、反応性のための高い比表面積確保の観点から、5〜50mm程度であることが好ましい。
(粒状体層−触媒層及び多孔質体−の高さ)
触媒層13を含む粒状体層(触媒層及び多孔質体)の上昇時に、粒状体層中では上にいくほど粒状体間に働く力が等方化し、粒状体層を押し上げるための上下方向の力と同程度の力がこれ以外の方向にも生じ、この力に比例した摩擦力が粒状体間で生じる。この摩擦力の下向き成分が粒状体層押し上げの抵抗力として働く。粒状体層を下端から押し上げる際には粒状体層の下側ほど粒状体間の反力および触媒−反応容器内壁間で働く力が大きい。上昇中の粒状体層内での上下方向の力は、その位置より上方の抵抗力の上下方向成分の合計以上でなければならないので、粒状体層の下側ほど、押し上げに必要な力は急速に上昇する。触媒層の下端では最大の押し力となり、この力が過大であれば、触媒や反応容器の破壊を招き得る。
この観点から、粒状体層−触媒層及び多孔質体−の高さは低いほどよい。本発明での粒状体層を模擬するために、圧壊強度100N、安息角35°の一般的な触媒(円筒状)を、次に説明する第2の実施形態のピン式保持器で保持して昇降する試験を行った。その結果を図9に示す。この図の横軸は粒状体層高さ/反応容器厚比(粒状体層のアスペクト比)であり、縦軸は特定の条件において粒状体層を押し上げる際の押し上げピーク荷重を基準として規格化した粒状体層押し上げのピーク荷重である。この図から、粒状体層のアスペクト比(両状態層高さ/反応容器厚比)が2を超えると押し上げ荷重が急激に上昇することがわかる。そして、粒状体層のアスペクト比(粒状体層高さ/反応容器厚比)が2以下であれば、粒状体層中の触媒はほとんど破壊しないことを見出した。また、前述のように、粒状体層全体で触媒を相対運動させるためにもアスペクト比が2以下であることが好ましい。
一方、粒状体層高さが極端に低い場合には、反応容器内壁と触媒の相対運動による触媒間の相対運動は、反応容器厚方向の反応容器内壁面近傍に限定され、反応容器厚方向の中央部では粒状体間の相対運動が生じなくなるので好ましくない。特に、粒状体高さが平均的に触媒(粒状体)の2層分の高さ(触媒を垂直方向に2つ積み重ねた最大高さ)以下である場合、上層の触媒の拘束が小さいので、触媒は容易に最密充填化し、低充填化できなくなるので相対運動をいっそう阻む効果を生じる。従って、粒状体高さは触媒(粒状体)の3層分以上の高さ(触媒を垂直方向に3つ積み重ねた最大高さ)、すなわち、触媒(粒状体)外面代表長さの最大値の3倍以上であることが好ましい。尚、ここでの粒状体外面代表長さとは、触媒と多孔質体用粒状体のうちより大きな方の粒子の外面代表長さを意味する。
(触媒の流動性)
反応容器11内において保持器12とともに上昇させた触媒は、反応容器内で棚吊り(触媒層13を保持器12で上昇させた後、保持器12を下降させても触媒同士のセルフロックを生じて触媒が下降しない現象)を起こすことがある。反応容器11内での触媒の棚吊り防止の観点から、触媒層13における粒体群としての触媒の流動性は、低いことが好ましく、安息角が50°未満であることが好ましい。
一方、保持器12の上昇時に保持器から触媒層13に与える力の触媒層内での非等方性(上向きの力が卓越)を触媒層13のより高い位置まで保持するためには、触媒の流動性が極端に低くないことが好ましく、安息角は10°以上が好ましい。触媒層内での力の非等方性の高い領域が広いほど、より小さい推力で保持器12を上昇させることができ、触媒が破壊しにくくなるからである。
(触媒の材質・作用)
本発明の触媒反応装置を適用できる触媒の材質や触媒作用は、流体、特にガスを原料とする触媒反応に用いられる触媒であれば、特に制限はない。流体がガスであり、触媒反応による生成物が固体または液体である触媒反応、中でも、触媒反応用流体が炭化水素を含有するガスであり、触媒反応による生成物がガス(および固体または液体)である触媒反応、特に、触媒反応用流体がタールを含有するガスであり、触媒反応による生成物が固体の炭化水素または固体のカーボンを含む触媒反応に用いられる触媒に好適に使用できる。
一般的には、上記のような触媒反応に用いられる酸化物触媒に広く使用でき、特に触媒反応用流体がタールを含有するガスであり、触媒反応による生成物が固体の炭化水素または固体のカーボンを含む触媒反応に用いられる酸化物触媒に好適に適用できる。
本発明の触媒反応装置に好適に使用できる触媒の具体的な例としては、たとえば、ニッケル、マグネシウム、セリウム、アルミニウムを含む酸化物であって、少なくとも1種の複合酸化物を含み、単独化合物としてアルミナを含まないタール含有ガスの改質用触媒を挙げることができる(WO2010/134326)。この複合酸化物の好適な例は、NiMgO、MgAl24、CeO2の結晶相からなり、さらには、各結晶相の内、X線回折測定により求めたNiMgO結晶相の(200)面の結晶子の大きさが1nm〜50nm、MgAl24結晶相の(311)面の結晶子の大きさが1nm〜50nm、CeO2結晶相の(111)面の結晶子の大きさが1nm〜50nmである。この触媒は、炭素質原料を熱分解した際に発生する多量の硫化水素を含み、炭素析出を起こし易い縮合多環芳香族主体のタール含有ガスであっても、随伴するタール等重質炭化水素を高効率に改質して、水素、一酸化炭素、メタンを主体とする軽質炭化水素に変換すること、また、触媒性能が劣化した際、水蒸気又は空気の少なくともいずれかを高温下で触媒に接触させることにより、触媒上の析出炭素や吸着硫黄を除去して触媒性能を回復させ長期間安定した運転が可能になるという特徴を有する。
また、ニッケル、マグネシウム、セリウム、ジルコニウム、アルミニウムを含む複合酸化物からなることを特徴とするタール含有ガスの改質用触媒を挙げることができる(特願2010−082576号)。この複合酸化物の好適な例は、NiMgO、MgAl24、CexZr1-x2(0<X<1)の結晶相を含み、さらには、各結晶相の内、X線回折測定により求めたNiMgO結晶相の(220)面の結晶子サイズが1nm〜50nm、MgAl24結晶相の(311)面の結晶子サイズが1nm〜50nm、CexZr1-x2結晶相の(111)面の結晶子サイズが1nm〜50nmであることが好ましい。この触媒によれば、石炭やバイオマスを熱分解した際に発生するタール含有ガスを、安定的に一酸化炭素、水素等の軽質化学物質へ転換することができる。特に、タール含有ガス中に、硫化水素を高濃度で含むタール含有ガスであっても、脱硫処理せずにそのまま触媒と接触させて、粗ガス中のタールを改質して、又は、精製ガス中の炭化水素成分を改質して、タール含有ガスを一酸化炭素、水素等の軽質化学物質へ安定的に転換することができる。
さらに、aM・bNi・cMg・dOで表される複合酸化物であるタール含有ガスの改質用触媒であって、a、b、及び、cは、a+b+c=1、0.02≦a≦0.98、0.01≦b≦0.97、かつ、0.01≦c≦0.97を満たし、dは、酸素と陽性元素が電気的に中性となる値であり、Mは、Li、Na、Kから選ばれる少なくとも1種類の元素であるタール含有ガスの改質用触媒を挙げることができる(特願2010−081867号、特願2010−08197号、特願2010−083527号)。この複合酸化物の好適な例は、シリカ、アルミナ、ゼオライトから選ばれる少なくとも1種類の酸化物を加えてなり、さらには、シリカ、アルミナ、ゼオライトから選ばれる少なくとも1種類の酸化物の含有量が、複合酸化物全体に対し1〜90質量%であることが好ましい。この触媒によれば、石炭やバイオマスを熱分解した際に発生するタール含有ガスを、安定的に一酸化炭素、水素等の軽質化学物質へ転換することができる。特に、タール含有ガス中に、硫化水素を高濃度で含むタール含有ガスであっても、脱硫処理せずにそのまま触媒と接触させて、粗ガス中のタールを改質して、又は精製ガス中の炭化水素成分を改質して、タール含有ガスを一酸化炭素、水素等の軽質化学物質へ安定的に転換することができる。
(触媒種をタール改質触媒に限定することの効果)
従来、触媒保持器が閉塞する原因は、明らかではなかった。一般に、触媒保持器は、触媒層の最上流部に設けられる場合が多く(触媒層の下部を触媒保持器で保持して、原料ガスは、下方から供給する。こうすると、原料ガス中の粗大な粉塵が触媒層に流入することを回避できるので、このレイアウトが好まれる)、この触媒保持器が閉塞したとしても、その原因は、上流から飛来してきた石炭粉等の粉塵によるものか、あるいは、上流で発生したミスト状のタールが触媒保持器に付着し、そこで、高融点炭化水素に変性して閉塞が起きるものと漠然と考えられてきた。即ち、触媒保持器閉塞の原因は、触媒に存在するのではなく、原料ガス自身に存在すると考えられてきた。
ところが、前記の一連の触媒種である触媒層を用いたタール改質反応における生成物を本発明者らが詳細に調査した結果、約70%以上の非晶質カーボン(固体カーボン)と、コークス等の固体炭化水素の混合物であることが判明した。一般に原料ガス中の粉塵にアモルファス状カーボンはほとんど含有されていない。また、上記の改質反応の試験でのような900℃未満の温度条件では、触媒に接触することなくミスト状のタールがアモルファス状のカーボンに変性することもほとんどない。従って、従来の説は誤りであり、触媒保持器閉塞の原因は、触媒反応によるものであることが判明した。この固体混合物の物理的性状をさらに調査した結果、これらの材質の触媒の場合、触媒表面への付着性が比較的低いことがわかった。また、これらの触媒を用いたタール改質反応においてはタール改質性能が著しく高いので、改質反応に伴って生じるコーキング発生量も他の方法による改質反応に比べて極端に多い。このため、これらの触媒を用いたタール改質反応において、少なくとも一部の固体混合物は、触媒表面から離脱して重力や気流の作用によって触媒保持器等に補足されるので、これらの触媒を用いたタール改質反応では従来型の触媒保持器を用いると容易に閉塞を生じる原因となることがわかった。
本発明は、高い開口率と互いに連結した開口形状を実現し、この種の触媒反応に適用することによって、反応中に触媒表面から離脱して触媒保持器に補足されうる固体生成物の通気への悪影響を低減できるという顕著な効果がある。
(その他の適用可能な例)
本発明は、上記に例示した触媒反応装置及び触媒のほか、コーキング等を生じる、下記の触媒反応装置にも好適に使用できる。
1)メタン改質触媒反応装置:特開2006-35172の「比較例」には、炭化水素であるメタンガスを原料ガスとして大量のコーキング(炭素析出)が発生することが記載されている。
2)都市ガス改質触媒反応装置:特許文献2にコーキングの事例が記載されている。
3)その他、LPG等の各種石油精製ガスや天然ガスの改質のための触媒反応装置、水素を含有するガスと酸化剤ガスを作用させて発電し、水を副生する、燃料電池用の触媒反応装置(例:特開2009-48797)等に適用できる。
[第2の実施形態]
図7に示したような触媒反応器において、中心部の多孔質体は、必ずしも粒状体を積層したものである必要はない。そこで、この実施形態では、中心部の多孔質構造を自立可能な厚板状の一体成型品とことによって、より簡易な操業を実現することができる。
(非反応性の多孔質体)
たとえば、アルミナ粒子等の多孔質焼結体、煉瓦、または、グラスウール等のセラミックスウール等の一体成型品を単独、若しくは2つ以上組み合わせて用いることができる。
多孔質体の触媒層厚(合計)に対する比率は、実施形態1と同様の理由から、20%から50%程度が好ましい。多孔質体の通気抵抗係数の好ましい範囲も、実施形態1と同様である。尚、本実施形態においては、一体形成品を用いているので、実施形態1でよりも広い範囲で多孔質体の通気抵抗を設定可能である。これは、多孔質体用粒状体を積層して形成する多孔質体では実現困難な、多孔質体用粒状体の大きさの1/100以下や数倍以上といった孔径を、一体形成品である本実施形態での多孔質体では実現可能だからである。
多孔質体の触媒反応容器への配置方法は、例えば、空の触媒反応容器の底中央部に多孔質体の板を自立させ、その両側に触媒を充填することによって、触媒と多孔質間に連続した隙間を生じさせないように、粒状体層を形成できる。
[実施例1]
この例では、反応容器内には壁面近傍に触媒を、中心領域に触媒反応しない粒状体を充填する装置構成とした。
(反応系全体の構成)
石炭供給装置(石炭ホッパー定量供給器)から、加熱されたキルンに20kg/時の速度で石炭を供給して石炭乾留ガス(石炭中の水分に起因する水蒸気を含む)を連続発生させた。触媒反応装置の流入口は、保温管によってキルンに接続し、触媒反応装置流出口は、保温管によってスクラバ経由で誘引ファンに接続した。石炭乾留ガスは、ガス中のタールが触媒反応容器で改質されて軽質ガス(水素等)を生成し、改質ガスとして誘引ファンによってフレアスタック(改質ガスを燃焼する)経由で大気中に放散させた。触媒反応容器は、炉温が一定温度に制御された電気加熱炉内に収容した。誘引ファンは、流量を調節でき、石炭乾留ガスの発生速度に対応する流量に制御された。
(触媒)
触媒としては、Ni0.1Ce0.1Mg0.8Oなる成分系のものを使用した。
硝酸ニッケル、硝酸セリウム、硝酸マグネシウムを各金属元素のモル比が1:1:8になるように精秤して、60℃の加温で混合水溶液を調製したものに、60℃に加温した炭酸カリウム水溶液を加えて、ニッケル、マグネシウム、及びセリウムを水酸化物として共沈させ、スターラーで十分に攪拌した。その後、60℃に保持したまま一定時間攪拌を続けて熟成を行った後、吸引ろ過を行い、80℃の純水で十分に洗浄を行った。洗浄後に得られた沈殿物を120℃で乾燥し粗粉砕した後、空気中600℃で焼成(か焼)したものを解砕した後にビーカーに入れ、アルミナゾルを加えて攪拌羽根を取り付けた混合器で十分混合したものをなすフラスコに移してロータリーエバポレーターに取り付け、攪拌しながら吸引することで、水分を蒸発させた。なすフラスコ壁面に付着したニッケルとマグネシウムとセリウムとアルミナの化合物を蒸発皿に移して120℃で乾燥、600℃でか焼後、粉末を圧縮成形器を用いて3mmφの錠剤状にプレス成型し、外径15mm、内径5mm、高さ15mmの円筒状成型体を得た。
その成型体を空気中950℃で焼成を行い、Ni0.1Ce0.1Mg0.8Oにアルミナが50質量%混合した触媒成型体を調製した。その成型体の成分をICP分析で確認した結果、所望の成分であることを確認した。また、その成型体を木屋式硬度計で計測したところ、約100Nの高い強度を保持することがわかった。
(触媒反応しない粒状体)
触媒と同一形状のアルミナ焼結体とした。
(触媒反応装置)
図7に示した粒子状の多孔質体を用いる装置で、試験した。使用した触媒反応装置は、次のとおりであった。触媒反応容器の壁近傍の厚さ40mm(2ヶ所)に触媒を充填し、その間の中心部の厚さ40mmにアルミナ粒状体を充填した。充填は、外壁と並行に2枚の薄板で予め反応容器厚さを3分割して、中心部にアルミナ粒状体、その他の区域に触媒を少量ずつ投入した後、仕切りの薄板を上昇させる作業を繰り返して行った。触媒層及び粒状体層のそれぞれ中央位置に熱電対を挿入した。
・反応容器形状: 中心軸垂直断面の形状・寸法が一定な矩形断面となるダクト状
・反応容器材質: ステンレス鋼
・反応容器厚: 120mm
・触媒層厚(2ヶ所とも): 40mm
・多孔質体厚: 40mm
・反応容器幅: 300mm
・反応容器高: 450mm
・触媒層高さ: 310mm
・触媒層アスペクト比: 2.6
・駆動装置昇降ストローク: 15mm
・駆動装置上昇速度: 2mm/秒
・駆動装置下降速度: 100mm/秒
・触媒保持器: スレンレス丸棒製のピン式
・ピン: 直径12mm、長さ mm、頂部は平坦、コーナ部1mmを面取り
・ピンの配置: 底辺16mm(反応容器幅方向)、高さ13.5mm(反応容器厚方向)の二等辺三角形、全て触媒保持器底板に溶接
・ピン開口率: 94%
・使用触媒量: 7kg
・触媒反応しない粒状体量: 4kg
改質反応を始める前に、まず反応器を窒素雰囲気下で800℃まで昇温した後、水素ガスを80Nl/min流しながら30分間還元処理を行った。その後、コークス炉ガスを調整して導入し、常圧下、反応評価した。
駆動装置の操作タイミングは、石炭乾留ガスの通気を開始してから3時間後及び4時間後に、それぞれ第1回及び第2回の昇降を、各2往復実施した。
(作業条件)
作業条件は、次のとおりであった。
・石炭乾留キルン温度: 750℃
・電気加熱炉温: 800℃
・石炭乾留ガス流量: 平均10Nm3/h
・石炭乾留ガス通気時間: 5時間
(測温)
反応容器の外壁と同じ高さの触媒層の厚方向中心に熱電対を設置して、通気中の温度を連続測定した。
(ガス成分測定)
触媒反応容器の入側および出側で間欠的にガスサンプリングを行い、ガスクロマトグラフィーを用いて、水素構成率とガス流量(上流で作動ガス中に定流量供給しているアルゴンガス濃度から算出)を求めた。
(結果)
反応容器壁の温度は、触媒の下限温度(680℃)よりも十分高く(800℃)、少なくとも壁面近傍での触媒反応の可能な温度条件であった。一また、中心部の温度は、壁面近傍よりは低いものの下限温度よりも十分高い温度であった(730℃)。
本実施例では、中心部には非反応性の粒状体を配置しているので、中心部まで触媒層で中心部を下限温度以上に維持する場合に比べて、触媒層中のカーボンの堆積による通気抵抗の上昇速度は、より緩やかなものであった。
また、通気抵抗が上昇した時点で保持器を昇降したことによって、圧力損失は急激に低下し、良好な通気状態を回復することができた(図10参照)。
また、触媒を取り出して観察した結果、壁面近傍には改質反応に伴うコーキングが認められたが軽微なものであった。中心部には、保持器昇降時に流入したと推定されるカーボン粉が若干認められたが、その量は、触媒層に比べて、より少量であった。
ガス成分測定結果から、触媒反応容器における水素増幅率(出側水素流量/入側水素流量)は、通気開始後3時間で約2であり、反応効率は、良好であった。もし、吹き抜けを生じていれば、水素増幅率は、ほぼ1となっていたはずなので、本実施例では吹き抜けを生じていないものと判断できる。
[参考例1]
この例は、実施例1と同様の装置であるが、反応容器内には触媒のみを充填し、触媒反応しない粒状体を用いない装置構成とした。
(装置構成)
図11の装置で試験した。この装置は、昇降装置がないこと、触媒反応容器内に触媒のみを収納し、アルミナ粒状体を収容しなかったことを除き、図7に示した装置と同じであった。
(触媒反応器)
触媒は、反応容器厚方向に一様に配置した以外は実施例1と同様であった。
(結果)
通気時間が増大しても顕著な圧力損失の上昇は認められず、通気性向上効果が得られた(図12参照)。
反応容器壁の温度は、触媒の下限温度(680℃)よりも十分高く(800℃)、少なくとも壁面近傍での触媒反応の可能な温度条件であった。一方、中心部の温度は、ほぼ下限温度であり、反応温度条件を満たしていなかった。
試験終了後に、保持器基板上に100gの固体カーボンが堆積していたが、保持器表面には薄い固体カーボン膜を生じたのみであり、バルク状の固体カーボンのピンへの付着は一切なく、保持器の通気抵抗は、設置時と同一であった。
また、触媒を取り出して観察した結果、壁面近傍には改質反応に伴うコーキングが、より薄い触媒層厚での試験時と同程度に生成していた。これに対して、中心部では流入口近傍を除いてコーキングは軽微であった。流入口近傍の触媒層では中心部においても顕著なコーキングが認められた。これは、流入ガスの顕熱による触媒反応によるものと考えられる。この流入口近傍の中心部で生じたコーキングは、時間とともに触媒層のより上部まで進行すると予想されるので、本参考例での耐閉塞性は、実施例1よりは劣るものと考えられる。
ガス成分測定結果から、触媒反応容器における水素発生流量は、実施例1での70%程度であり、反応効率は、低いものの、吹き抜けを生じた場合に想定される、水素発生流量(≒0)に比べて遥かに高い反応効率であったので、吹き抜けは生じていなかったものと考えられる。
このように、触媒層厚を本発明で可能な厚(例:80mm)よりも十分大きく設定すれば(160mm)、中心部が触媒層であっても厚中心部に非反応領域を形成でき、一定の触媒層耐閉塞性の得られることがわかった。
[比較例1]
この例では、反応容器内には触媒層のみを充填し、触媒反応しない粒状体を用いず、さらに、反応容器厚さを参考例1と比べて小さくして、触媒層の中心部まで十分に反応する温度に加熱する従来の装置構成とした。
(触媒反応器)
反応容器は、厚さ80mm、幅225mm、高さ450mmのダクト状とし、触媒層高さを380mmとした以外は参考例1と同様にして、触媒改質試験を行った。
(結果)
反応容器壁の温度は、触媒の下限温度(680℃)よりも十分高く(800℃)、壁面近傍での触媒反応の可能な温度条件であった。また、中心部の温度は、740℃であり、反応温度条件を満たしていた。
通気時刻200分以降、圧力損失が急増して、試験を終了した(図12参照)。
試験終了後に、触媒を取り出して観察した結果、厚方向全域で改質反応に伴うコーキングが認められた。
ガス成分測定結果から、触媒反応容器における水素発生流量は、実施例1と同程度であり、反応効率は、良好であった。
このように、触媒層厚が本発明での触媒厚と同等の場合(80mm)、厚中心部では十分温度を低下できず、触媒層の閉塞を回避できないことがわかった。
[参考例2]
硝酸ニッケル、硝酸セリウム、硝酸酸化ジルコニウム、硝酸マグネシウムを各金属元素のモル比が1:1:1:7になるように精秤して、60℃の加温で混合水溶液を調製したものに、60℃に加温した炭酸カリウム水溶液を加えて、ニッケル、セリウム、ジルコニウム、及び、マグネシウムを水酸化物として共沈させ、スターラーで十分に攪拌した。
その後、60℃に保持したまま一定時間攪拌を続けて熟成を行った後、吸引ろ過を行い、80℃の純水で十分に洗浄を行った。洗浄後に得られた沈殿物を120℃で乾燥し粗粉砕した後、空気中600℃でか焼したものを解砕した後にビーカーに入れ、アルミナゾルを加えて攪拌羽を取り付けた混合器で十分混合したものを、なすフラスコに移してロータリーエバポレーターに取り付け、攪拌しながら吸引することで、水分を蒸発させた。なすフラスコ壁面に付着したニッケルとマグネシウムとアルミナの化合物を蒸発皿に移して120℃で乾燥、600℃でか焼後、圧縮成形器を用いて粉末を3mmφの錠剤状にプレス成型し、錠剤成型体を得た。その成型体を空気中950℃で焼成を行い、Ni0.1Ce0.1Zr0.1Mg0.7Oにアルミナが50質量%混合した触媒成型体を調製した。
その成型体の成分をICP分析で確認した結果、所望の成分であることを確認した。また、本調製品をXRD測定した結果、NiMgO、MgAl24、CexZr1-x2相からなることが判明し、各々の結晶子の大きさは、14nm、11nm、22nmであった。
この触媒をSUS製反応管の中央に位置するよう石英ウールで固定し、触媒層中央位置に熱電対を挿入し、これら固定床反応管を所定の位置にセットした。
改質反応を始める前に、まず反応器を窒素雰囲気下で800℃まで昇温した後、水素ガスを100mL/min流しながら30分間還元処理を行った。その後、コークス炉ガス(粗ガス)の模擬ガス(水素:窒素=1:1、H2Sを2000ppm含有、トータル流量125mL/min)を調製して反応器に導入するとともに、石炭乾留発生タールの模擬物質として、タール中にも実際に含まれかつ常温で粘度の低い液体物質である1−メチルナフタレンを代表物質として、0.025g/minの流量で反応器へ導入し、常圧下で反応評価した。
試験終了後に触媒を回収して観察した結果、触媒間に大量のバルク状カーボンが堆積していた。この触媒および堆積物を篩分けしたところ、触媒表面のバルク状固体カーボンは、数回の軽微な振動で大半が触媒表面から離脱し篩の目を通過して落下した。
従って、本触媒を用いた場合、触媒間に堆積した固体カーボンの大半は、わずかな触媒撹拌で触媒間を通過して落下することがわかった。また、このカーボンの物性を調査した結果、実施例1で発生したカーボンとほぼ同様であった。これらの結果から、本触媒を用いた改質反応において、実施例1や2の装置を用いれば、触媒層保持部での生成物の付着・閉塞を大幅に回避できると考えられる。
[参考例3]
ニッケル、マグネシウム、ナトリウムの原子量%がそれぞれ10%、80%、10%になるように精秤して、60℃の加温で混合水溶液を調製したものに、60℃に加温した炭酸カリウム水溶液を加えて、ニッケルとマグネシウムとナトリウムを水酸化物として共沈させ、スターラーで十分に攪拌した。その後、60℃に保持したまま一定時間攪拌を続けて熟成を行った後、吸引ろ過を行い、80℃の純水で十分に洗浄を行った。
洗浄後に得られた沈殿物を120℃で乾燥し粗粉砕した後、空気中600℃で焼成(か焼)したものを解砕し、その後、粉末を圧縮成形器を用いて3mmφの錠剤状にプレス成型し、錠剤成型体を得た。その成型体を空気中950℃で焼成を行い、Ni0.10.1Mg0.8Oの触媒成型体を調製した。
この触媒をSUS製反応管の中央に位置するよう石英ウールで固定し、触媒層中央位置に熱電対を挿入し、これら固定床反応管を所定の位置にセットした。
改質反応を始める前に、まず反応器を窒素雰囲気下で800℃まで昇温した後、水素ガスを100mL/min流しながら30分間還元処理を行った。その後、コークス炉ガス(粗ガス)の模擬ガス(水素:窒素=1:1、H2Sを2000ppm含有、トータル流量125mL/min)を調製して反応器に導入するとともに、石炭乾留発生タールの模擬物質として、タール中にも実際に含まれかつ常温で粘度の低い液体物質である1−メチルナフタレンを代表物質として、0.025g/minの流量で反応器へ導入し、常圧下で反応評価した。
試験終了後に触媒を回収して観察した結果、触媒間に大量のバルク状カーボンが堆積していた。この触媒および生成物を篩分けしたところ、触媒表面のバルク状固体カーボンは、数回の振動で大半が触媒表面から離脱し篩の目を通過して落下した。
従って、本触媒を用いた場合、触媒間に堆積した固体カーボンの大半は、わずかな触媒撹拌で触媒間を通過して落下することがわかった。また、このカーボンの物性を調査した結果、実施例1で発生したカーボンとほぼ同様であった。これらの結果から、本触媒を用いた改質反応において、実施例1の装置を用いれば、触媒層保持部での生成物の付着・閉塞を大幅に回避できると考えられる。
1 触媒反応容器、
2 触媒層、
3 パンチングメタル又は網、
4 原料ガス、
5 流入口、
6 流出口、
7 改質ガス、
10 触媒反応装置、
11 反応容器、
12 保持器、
13 触媒層、
14 多孔質体、
15 改質ガス、
16 昇降装置、
17 伝道軸、
19 ピン、
20 底板、
21 供給管、
22 排出管

Claims (12)

  1. 加熱炉内に設置された筒状の触媒反応容器の内壁に触媒が接するように触媒を収納し、前記処理装置容器の一端近傍を原料ガスの流入口とし、他端近傍を生成ガスの流出口とし、触媒反応は吸熱反応であり、所定温度以下では反応を生じず、前記所定温度以上では温度の高いほど反応速度が上昇する触媒を用い、反応熱は主として反応容器表面の加熱によって与えられ、原料ガスの触媒反応によって生成ガスを生成するとともに触媒表面に生成固体を生じる連続式固定床触媒反応器であって、
    前記反応容器内壁近傍領域を前記触媒反応を行う触媒層とするとともに、前記反応容器の厚方向中心領域を前記原料ガスに対して触媒反応を生じない固体で構成された多孔質体とし、かつ前記触媒層と前記多孔質体の間に連続した空隙を生じないように配置したことを特徴とする連続式固定床触媒反応器。
  2. 前記多孔質体が粒状体を積層して構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の連続式固定床触媒反応器。
  3. 触媒反応容器は略重力方向に中心軸を持ち、前記触媒層および前記多孔質体は前記触媒層及び前記多孔質体下端に設けられた通気性を有する触媒層及び多孔質体保持器によって保持され、前記触媒層及び多孔質体保持器を昇降させる駆動装置を設け、前記触媒層及び多孔質体は前記触媒層及び多孔質体保持器の昇降にともなって昇降することを特徴とする、請求項1または2に記載の連続式固定床触媒反応器。
  4. 前記触媒層及び多孔質体保持器が、触媒反応容器の流入路及び流出路との接続部の少なくとも1方に、少なくとも粒状触媒を多数のピンの先端部で保持し、触媒反応用流体が当該ピンの間の空間を流通できる構造を有する保持器であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の連続式固定床触媒反応器。
  5. 前記触媒層の高さが、前記触媒反応容器の厚みの2倍以下であり、かつ、触媒外面の代表長さの最大値の3倍以上であることを特徴とする、請求項3または4に記載の連続式固定床触媒反応器。
  6. 前記駆動装置の下降時の速度が上昇時の速度よりも速いことを特徴とする、請求項3〜5のいずれか1項に記載の連続式固定床触媒反応器。
  7. 前記原料ガスが炭化水素を含有するガスであり、前記触媒反応による生成物が固体の炭化水素または固体のカーボンを含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の連続式固定床触媒反応器。
  8. 前記炭化水素を含有するガスがタールを含有するガスであることを特徴とする、請求項7に記載の連続式固定床触媒反応器。
  9. 前記触媒がニッケル、マグネシウム、セリウム、アルミニウムを含む複合酸化物であって、アルミナを含まない複合酸化物からなる触媒であり、前記複合酸化物が、NiMgO、MgAl2O4、CeO2の結晶相からなることを特徴とする、請求項8に記載の続式固定床触媒反応器。
  10. 前記触媒が、ニッケル、マグネシウム、セリウム、ジルコニウム、アルミニウムを含む複合酸化物からなる触媒であり、前記複合酸化物が、NiMgO、MgAl2O4、CexZr1-xO2(0<x<1)の結晶相を含むことを特徴とする、請求項8に記載の連続式固定床触媒反応装置。
  11. 前記触媒が、
    aM・bNi・cMg・dOで表わされる複合酸化物であるタール含有ガスの改質用触媒であって、
    a、b、及び、cは、a+b+c=1、0.02≦a≦0.98、0.01≦b≦0.97、かつ、0.01≦c≦0.97を満たし、
    dは、酸素と陽性元素が電気的に中立となる値であり、
    Mは、Ti,Zr,Ca,W,Mn,Zn,Sr,Ba,Ta,Co,Mo,Re,白金、ルニウム、パラジウム、ロジウム、Li,Na,K,Fe,Cu,Cr,La,Pr,Ndから選ばれる少なくとも1種類の元素であり、
    前記複合酸化物に、シリカ、アルミナ、ゼオライトから選ばれる少なくとも1種類の酸化物を加え、シリカ、アルミナ、ゼオライトから選ばれる前記酸化物の含有量が、前記複合酸化物に対し1〜90%質量%である、ことを特徴とする、請求項8に記載の連続式固定床触媒反応装置。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の連続式固定床触媒反応装置を用いて、触媒反応を行うことを特徴とする連続式固定床触媒反応方法。
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