JP2013147596A - 連続式固定床触媒反応装置及びこれを用いた触媒反応方法 - Google Patents

連続式固定床触媒反応装置及びこれを用いた触媒反応方法 Download PDF

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【課題】大型の固定床触媒層内で生成・堆積する固体生成物の除去に有効な手段を備えた連続式固定床触媒反応装置と、これを用いて原料ガス、特にタール含有原料ガスを、高効率に改質する触媒反応方法を提供すること。
【解決手段】本発明の連続式固定床触媒反応装置10は、触媒反応用の原料ガスの流入路20及び改質ガスの流出路21と、流入路20及び流出路21に接続され、かつ触媒を収容する触媒反応容器11とを有する連続式固定床触媒反応装置であって、複数の触媒をそれらの可動性を損なわずに貫通して触媒連13を形成する中心棒と、複数の中心棒を立設する保持板12と、反応容器11内で保持板12を往復運動させるための駆動機構15とを具備することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、触媒を用いた流体の化学反応を行うための反応容器及びこれを用いた触媒反応方法の技術に関する。
触媒を充填した固定床触媒反応容器を用いた流体の化学反応において、触媒反応によって固体等の析出物を生成する場合には、しばしば、触媒層中の触媒間の空間にこの固体析出物が堆積して触媒層を閉塞させ、通気できなくなる問題が発生する。
例えば、特許文献1(特開2010−77219号公報)においては、水素・二酸化炭素・水蒸気・タール含有ガスを、固定床触媒反応装置において、ニッケル・セリウム・アルミニウムを含む触媒に接触させてタールガスの改質を行う技術が開示されており、この技術においては、改質中に触媒表面に固体炭素が析出し、これを除去するために水蒸気または空気を前記炭素に接触させる再生処理の必要なことが記載されている。
また、特許文献1には、移動床形式および流動床形式の触媒反応容器の使用も例示されている。これらの方式では触媒表面に析出した炭素を反応作業中に除去しうる。しかし、このような反応容器は、固定床触媒反応容器に比べて装置が複雑化することや、流動床形式の場合には操業も不安定になりやすいので、特に、高温・高圧・高腐食性流体を処理するための反応容器としては一般的ではない。
一方、移動床形式および流動床形式の触媒反応容器における上記のような問題がない固定床反応容器では、通常、触媒層を挟んだ両側に空間を設け、一方の空間から他方に流体を流通させて反応させる。触媒層の両側に空間を形成するためには、触媒の保持機構が必要であり、触媒保持機構の代表例は特許文献2(特開2011−6289号公報)に記載されているが、触媒径よりも小さな孔径を有するパンチングメタル板や網を用いて触媒の保持と通気を確保している。図7にその例を示すが、触媒反応容器1の内部に触媒2が収容されており、触媒の保持はパンチングメタル板や網3によって行われている。図1において、原料ガス4は流入口5から流入し、流出口6から改質ガス7として流出する。
反応中の固体析出物の堆積による触媒層の閉塞を防止する手段として、例えば特許文献2には、2つの触媒層の間をガスが通気する自由空間において、第1の触媒層から流出したガス中の粉塵を補足することによって第2の触媒層での閉塞を防ぐ技術が記載されている。しかしこの場合には、触媒層内部で生成し、触媒間の空間で触媒に付着・堆積する粉塵による触媒層の閉塞を防止することはできない。
特許文献3(特開2009−48797号公報)には、燃料電池用のセル内の触媒層に超音波を照射することによって、触媒上で発生した水を流出・除去する技術が記載されている。超音波は、自由空間中や粒体層・粉体層中での減衰が大きいので、照射源近傍にしか作用できない。このため、燃料電池用セル内の触媒層のように比較的小型のものには有効であるが、大量の流体を処理する大型の触媒層では、超音波によって触媒層全体を振動させることは困難である。
特許文献4(特開2008−120604号公報)には、炭化水素の水蒸気改質を低温で実施することによりコーキングを抑制する技術が記載されている。しかし、触媒反応には触媒耐久性および反応速度上の観点から最適な反応温度条件が存在し、コーキングによる触媒層の閉塞は、この最適条件において発生している。そのため、触媒反応温度を低下させてしまうと、反応の最適条件ではなくなるので、触媒性能が低下する問題がある。
特許文献5(特開平8−24622号公報)には、従来技術として、移動床触媒反応容器における堆積ダストによる触媒層の部分閉塞を槌打装置やバイブレータによって除去することが記載されている。この場合には、槌打やバイブレーションによって、触媒の充填率が上昇して触媒間の空間が狭まり、触媒の流動性がかえって悪化する問題がある。
非特許文献1には、特殊な固定床触媒反応容器として、平行流式、モノリス式、管壁式等が記載されている。これらはいずれも、触媒反応容器内に触媒層と、触媒層に囲まれた専用の気流路を設けることによって、触媒反応容器内の通気抵抗の低減を図っている。簡単に言うと、平行流式では、網などで両端を保持した通常の触媒層を平行に複数並べ、触媒層間の空間を専用気流路とする。モノリス式では、ハニカム構造等の構造物の表面に触媒を担持し、ハニカム構造の孔を専用気流路とする。管壁式では、管路内を専用気流路とし、管内面に触媒を担持する。
専用の気流路を設けた場合、触媒反応によって固体生成物が生じると、専用気流路を構成する触媒表面に固体生成物が堆積して専用気流路の流路幅が狭まり、閉塞を生じることがある。あるいは、気流路の閉塞を生じない場合でも、専用気流路を構成する触媒表面に堆積した固体生成物によって専用気流路と触媒層間の流体の交換が阻まれるので、原料ガスが活性を保持した触媒と接触することなく流出して触媒反応効率が著しく減少してしまうという「吹き抜け」現象を生じる。あるいは、モノリス式のように反応容器内に専用気流路が複数存在し、各専用気流路が互いに孤立(即ち、隣接する気流路間での物質交換およびこれに伴う熱交換の抑制された状態)しており、反応容器の奥深い部位での専用気流路内では外部から熱供給を行えない気流路を設けた反応容器において、触媒反応が強い吸熱反応の場合には、上流側の反応によって下流では流体温度が大きく低下して反応可能温度以下となり、反応効率が極端に低下してしまう。逆に触媒反応が強い発熱反応の場合には、反応容器の奥深い部位では発生した熱量を反応容器を通じて外部に放出できないので、下流では流体温度が過度に上昇して触媒を失活させたり、触媒反応容器を焼損することがある。
さらに、モノリス式の場合、一般に複雑な形状で大型となるモノリス全体を、触媒を担持するための担体、または、触媒自身の単一構造物として成形する必要があるため、触媒製造技術上、適用できる触媒設計(構造)が比較的単純なもの(例えば、単一化学成分種の触媒を担体表面に均一塗布する等)に限られるという問題がある。このため、例えば、タール改質触媒のように、表面が複数の異なる化学種成分の区画に微細に分割されて各化学種成分が互いに協調して触媒効果を発揮するような複雑な設計(構造)の触媒にモノリス式を適用することは、著しく困難であり、可能だとしても極めて高価なものになる。
特開2010−77219号公報 特開2011−6289号公報 特開2009−48797号公報 特開2008−120604号公報 特開平8−24622号公報
触媒学会編:触媒講座第6巻(工学編2)触媒反応装置とその設計,講談社(東京),1985,pp.100−169
このように、従来技術では大型の固定床触媒層内で生成・堆積する固体生成物を有効に除去する手段がなかった。本発明の目的は、大型の固定床触媒層内で生成・堆積する固体生成物の除去に有効な手段を備えた連続式固定床触媒反応装置と、これを用いて原料ガス、特にタール含有原料ガスを、高効率に改質する触媒反応方法を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明者の研究の結果、以下の解決方法を発明するに至った。
(1)触媒反応用の原料ガスの流入路及び改質ガスの流出路と、
流入路及び流出路に接続され、かつ触媒を収容する触媒反応容器と、
を有する連続式固定床触媒反応装置であって、
・複数の触媒をそれらの可動性を損なわずに貫通して触媒連を形成する中心棒と、
・複数の中心棒を立設する保持板と、
・反応容器内で保持板を往復運動させるための駆動機構と、
を具備することを特徴とする、連続式固定床触媒反応装置。
(2)前記中心棒に高熱伝導性材料を用いるとともに、前記中心棒の端部を加熱する加熱装置を具備することを特徴とする、上記(1)に記載の連続式固定床触媒反応装置。
(3)前記駆動機構が、それによる往復運動の終端部において前記中心棒の速度が触媒の速度よりも小さくなるように動作することを特徴とする、上記(1)又は(2)に記載の連続式固定床触媒反応装置。
(4)前記触媒反応用流体が炭化水素を含有するガスであり、触媒反応による生成物がガスと固体の炭化水素または固体のカーボンとであることを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の連続式固定床触媒反応装置。
(5)前記触媒反応用流体がタールを含有するガスであることを特徴とする、上記(4)に記載の連続式固定床触媒反応装置。
(6)前記触媒が、ニッケル、マグネシウム、セリウム、アルミニウムを含む複合酸化物であって、アルミナを含まない複合酸化物からなる触媒であり、前記複合酸化物が、NiMgO、MgAl24、CeO2の結晶相からなることを特徴とする、上記(5)に記載の連続式固定床触媒反応装置。
(7)前記触媒が、ニッケル、マグネシウム、セリウム、ジルコニウム、アルミニウムを含む複合酸化物からなる触媒であり、前記複合酸化物が、NiMgO、MgAl24、CexZr1-x2(0<x<1)の結晶相を含むことを特徴とする、上記(5)に記載の連続式固定床触媒反応装置。
(8)前記触媒が、
aM・bNi・cMg・dOで表わされる複合酸化物であるタール含有ガスの改質用触媒であって、
a、b、及びcは、a+b+c=1、0.02≦a≦0.98、0.01≦b≦0.97、かつ、0.01≦c≦0.97を満たし、
dは、酸素と陽性元素が電気的に中立となる値であり、
Mは、Ti、Zr、Ca、W、Mn、Zn、Sr、Ba、Ta、Co、Mo、Re、白金、ルニウム、パラジウム、ロジウム、Li、Na、K、Fe、Cu、Cr、La、Pr、Ndから選ばれる少なくとも1種類の元素であり、
前記複合酸化物に、シリカ、アルミナ、ゼオライトから選ばれる少なくとも1種類の酸化物を加え、シリカ、アルミナ、ゼオライトから選ばれる前記酸化物の含有量が、前記複合酸化物に対し1〜90質量%である、
ことを特徴とする、上記(5)に記載の連続式固定床触媒反応装置。
(9)上記(1)〜(8)のいずれか1つに記載の連続式固定床触媒反応装置を用いて、触媒反応を行うことを特徴とする、連続式固定床触媒反応方法。
ここで、本発明者が本発明に到達した経緯を説明すると、次のとおりである。
本発明者らの調査の結果、固定床触媒層中の触媒間に生成固体カーボンの堆積する機構は次のとおりであることがわかった。
(1)固定床触媒層中の隣り合う複数の触媒で形成される触媒間空間において、主流の上流側の隙間から原料ガス(一部改質済み)が流入し、主流の下流側の隙間から改質されたガス(一部は残留した原料ガス)が改質ガスとして流出する。
(2)触媒間空間に供給された原料ガスが触媒反応によって改質される際、触媒表面で生成した固体カーボンの一部が触媒表面に付着する。
(3)触媒間空間に供給された原料ガスが触媒反応によって改質される際、触媒表面で生成し、気流によって触媒表面から離脱した固体カーボン微粒子は、上記の既に触媒表面に付着した固体カーボン上に付着して、触媒表面で直径数十μmから約1mmのカーボン球が成長する。
(4)上記のカーボン球は、時に触媒表面から離脱し、既に存在する他のカーボン球の上に再付着するなどして、触媒表面に多層のカーボン球から構成される厚みが数mmにもおよぶ固体カーボンの堆積層が形成される。
(5)この固体カーボン堆積層は実質的に多孔質であるので、高速のガスが通気する際には大きな圧力損失を生じる。
(6)特定の触媒間空間での通気抵抗が過大となれば、主流は、他のより通気抵抗の低い触媒間空間を優先的に通気するようになる。但し、固体カーボン堆積層が多孔質であるため、固体カーボンの堆積によって通気抵抗が過大になった空間においても、触媒間空間へのガスの流れが完全に遮断されるわけではなく、触媒表面には低流量で原料ガスが供給され続ける。この結果、触媒表面でのガス改質による固体カーボンの成長は常に進行し続ける(但し、触媒表面での露出面積は減少するので、改質速度は初期に比べて大幅に低下する)。
(7)触媒層中の大半の触媒間空間において固体カーボンの堆積が進むと触媒層全体としての圧力損失が過大となり、「閉塞状態」が生じる(触媒反応容器では所与の流量で原料ガスを処理しなければならず、この所与のガス流量時にいずれの触媒間空間を通気しても圧力損失が反応装置の許容値(ガス搬送能力や容器の強度等によって定まる)を超えることが避けられない状態で触媒層は実質的な「閉塞」となる)。
水素・二酸化炭素・水蒸気・タール含有ガスの改質反応を行い、閉塞を生じた固定床触媒反応容器の触媒表面から固体カーボン堆積層を単独で取り出し、容器の中に入れて軽くシェイクする様な機械的外力を加えると、構成単位であるカーボン球の境界で容易に分離し、粉化した。このような固体カーボンの堆積により閉塞を生じた触媒層から固体カーボンを除去するために、本発明者らは、種々の対策を試みた。
第1の対策として、触媒層外部からのブローによる触媒層の逆洗を試みた。詳しく言えば、反応容器内に触媒層の下流側に窒素ガス供給配管を設け、触媒層に対して高速窒素流を噴射して、触媒層の逆洗を試みた。逆洗は、粉塵除去用のフィルタの閉塞時の対策として一般に用いられる手法である。
結果として、一部の固体カーボンは除去されたが、触媒層の圧力損失の変化は軽微であり、閉塞を解消する効果はなかった。その理由としては、次のことが考えられる。
1)フィルタの場合、上流からフィルタ内に流入した粉塵粒のうち、フィルタの目開きよりも大きいものをその場で捕集する。フィルタは、通常、上流ほど目開きが大きい。従って、フィルタの閉塞部に対して主流の下流側から高速流を供給して逆洗を行う場合、捕集された粉塵粒のうちフィルタの目から離脱したものは、高速気流に搬送されて主流の上流側に進行する際、より大きな目開きを通過するので、メッシュに再捕集されることは少なく、フィルタ外に排出できる。
一方、本発明が対象とする触媒反応副生物である固体カーボンなどの堆積層は、主流の上流から流入するのではなく、触媒間空間中で、ガスを原料として生成する。このため、堆積カーボンの大きさが触媒間空間の流出入の隙間よりも小さいとは限らないので、そのままでは触媒間空間から流出できない堆積カーボンが多量に存在する。
カーボン堆積層を破壊して微粉化すれば触媒間空間から流出できる可能性がある。しかし、気流が堆積カーボンに与える応力は一般に小さいので(触媒層全体に大きい気圧差を与えても、触媒層中で触媒は、通常多数の層で積載されているいので、個々の触媒間空間の入側−出側気圧差は微小となり、大きな応力を堆積カーボンに与えることはできない)、堆積カーボン層を破壊することはできない。
2)一部のカーボンを除去した時点で、カーボン除去の結果として通気抵抗の小さくなった少数の触媒間空間を連ねた狭い流路が触媒層の中に新たに形成され、主流の大半はこの流路に集中して流れる。この際、新たに形成された流路以外の触媒間空間には気流はほとんど通過しないので、これ以上カーボンが除去されることはない。このため、主流が通過する狭い流路で流速が上昇して大きな圧力損失が生じるので、閉塞状態はあまり改善されない。このように形成された新たな流路も、流路内で新たなカーボンが生成・堆積することよって急速に再閉塞していくので、逆洗の効果は短時間とならざるをえない。その一方、早期に失活を生じた触媒によって構成される(囲まれる)触媒間空間ではこのような触媒間空間の再閉塞を生じない。しかし、そもそも、主流が失活した触媒のみと接触して触媒層を通過するのであれば、ガスの改質を行えないので、触媒反応容器としての性能を発揮できない。
これらから、次のように結論することができる。
すなわち、一般に、閉塞を生じた触媒層においては、
[個々の堆積カーボンの大きさ]>[当該触媒間空間の隙間]
の状態となっており、
[個々の堆積カーボンの大きさ]<[当該触媒間空間の隙間]
としない限り、触媒層からカーボンを大量に除去することはできず、触媒層外部からのブローによる触媒層の逆洗はこれに有効ではない。
そこで次に、第2の対策として、反応容器外面を槌打して、堆積カーボン層の破壊、または触媒間空間の拡大を試みた。
結果として、最初の閉塞発生後に槌打(第1回目の槌打)すると、一部の堆積カーボンを除去でき、圧力損失も半分程度に減少し、一定の効果が見られた。この後、再閉塞発生後に再び槌打(第2回目の槌打)すると、堆積カーボンの除去は微小であり、圧力損失の変化はなく、閉塞を回避することはできなかった。すなわち、反応容器外面の槌打は、2回目以降は堆積カーボンの除去に有効でないことがわかった。その理由としては、次のことが考えられる。
1)通常、触媒を反応容器内に積層する際には上部から単純に落下させるので、触媒層における触媒は最密充填状態にはない。ここに、第1回目の槌打を加えると、振動によって触媒が最密充填あるいはそれに近い状態になる(簡単にするために、以下ではこれを「最密重点化」と称することにする)。最密充填化の過程で触媒間の相対位置は、合計で触媒代表長さの30%程度の大きさで移動する。この相対位置の移動時(即ち、触媒間相対運動)に、一部の堆積カーボンが触媒との接触応力によって破壊されて小型化するとともに、触媒間の間隔が一時的に広がる瞬間を生じるので、
[個々の堆積カーボンの大きさ]<[当該触媒間空間の隙間]
の関係が実現されて触媒層中を落下し、遂には触媒層から除去された。
2)一方、第1回の槌打終了後に触媒層は最密充填化されているので、第2回目以降の槌打を行っても触媒間の相対位置はほとんど変化せず、堆積カーボンの破壊や触媒間の間隔の広がりは生じない。このため、第2回目以降の槌打では堆積カーボンの除去の効果が認められなかった。
これらから、次のように結論することができる。
すなわち、1回限りの閉塞解消効果では、多くの場合、触媒反応容器における所要処理継続時間を満足できないので、反応容器外面の槌打は堆積カーボンの継続的な除去のためには不十分である。触媒層から堆積カーボンを継続的に除去するためには、
[個々の堆積カーボンの大きさ]<[当該触媒間空間の隙間]
とした後に、触媒層の最密充填状態を解消する手段が必要である。
前述の結論を踏まえ、第3の対策として、内部に貫通孔を有する複数の触媒を用いて個々の触媒を中心棒で貫いて一列に整列させたものとして定義する「触媒連」を用い、複数の触媒連を間隔をあけて配列して形成したものとして定義する「触媒柵」を触媒反応容器内に配置して、各触媒連間の空間を専用気流路とし、触媒反応容装置の運転を開始してから一定時間経過後に短時間往復運動させることを試みた。その結果、次のことがわかった。
(a)反応の初期状態から反応固体生成物の触媒表面への堆積が所定量進むまでの期間では、
[個々の堆積カーボンの大きさ]<[当該触媒間空間の隙間(専用気流路の幅)]
を実現できている。従って、固体生成物が触媒上に所定量堆積するまでの間に触媒柵を往復運動させることによって堆積物を触媒表面から離脱させることができる。さらに、離脱させた固体生成物を、専用気流路を通じて落下または気流搬送することによって、触媒反応容器外に排出することができる。このようにして、触媒表面の生成物を除去することによって、触媒表面での生成物堆積状態を反応の初期状態と同様の状態に戻すことができるので、この往復運動操作を生成物の堆積が進行するたびに繰り返すことによって、反応容器の通気性を常に良好に保つことができる。
ここで、本発明では、従来の単純な積層構造の触媒層と同一レベルの触媒充填率を維持しつつ、各専用気流路の断面を広大なもの(例えば、主流方向に触媒容器高さのレベル、かつ、主流垂直方向に触媒断面積と同等レベル)にできる。このため、気流路内での少々の生成物堆積量では反応容器の通気性が阻害されることはないので、上記の往復動作の所要頻度を、少なくすることができきる(例えば、1回/時間)。これは、従来の単純な積層構造の触媒層では触媒ごとに分散した多数の小空間であった触媒間の隙間を、本発明では少数の太い気流路に集約することによって、高い通気性と高い触媒充填率を両立できるからである。一方、従来の単純な積層構造の触媒層では、個々の触媒が互いに支え合って触媒層を形成・保持するという構造であるため、隣接する触媒間で構成される気流路は、触媒ごとに細分化されるとともに狭窄部を生じ易い。このような触媒層では気流路の狭窄部において高々、触媒断面積の1/10程度の流路断面積しか確保できないため、気流路内での少量の生成物の堆積があっても、反応容器の通気抵抗が急上昇してしまう(気流路の通気抵抗は、一般に狭窄部での断面積に依存する)。しかも、この方式に限らず、従来の触媒層では気流路に一旦、生成物が堆積すると、これを取り除く手段が存在しなかったので、反応によって生成物を生じ易い反応容器では、通気抵抗の上昇による制約によって、連続運転可能な時間は極めて短いものであった。
(b)触媒柵の往復運動時には、各触媒連において、隣あう触媒は互いに結合されていないので、触媒間での相対運動を容易に生じる(例えば、触媒内孔壁と、これに接する中心棒表面間の摩擦力は触媒によって異なるので、中心棒を一定の速度で移動させたとしても、中心棒に駆動される個々の触媒の速度にはばらつきを生じる)。そのため、触媒間での衝突が容易に生じるので衝突時に各触媒で強い表面振動を生じて生成物を触媒表面から離脱させることができる。
それに対し、例えば、管路内を専用気流路とし、管内面に触媒を担持する、従来技術の管壁式の触媒反応容器の場合は、触媒担体が単一の構造物であるので、往復運動させたとしても担体全体が移動するのみで担体内に相対運動を生じない。このため、触媒の表面振動は限定的となり(例えば、部分的に打撃を与えても打撃点から離れると触媒表面の振動は急激に減衰してしまう。また、管壁全体を均一に打撃しようとしても、構造上、過剰に複雑な機構となるため好ましくない)、生成物を触媒表面から離脱させる効果は小さい。他の専用気流路を設ける形式の反応容器(例えば、モノリス式)でも、触媒構造が単一構造物で構成されているため、管壁式の反応容器と同様の理由で、触媒全体を効率的に振動させることは、困難である。
(c)触媒柵を定期的に往復運動させることによって触媒表面のバルク状の生成物の堆積が少なくなるので、触媒反応容器内で原料ガスが常に触媒表面に到達できる。このため、触媒反応効率の低下が少ない。
(d)触媒連間の専用気流路が互いに連結しているので流体の主流垂直方向にガスが拡散(物質交換およびこれに伴う熱交換)しやすい。このため、加熱面(触媒反応が吸熱反応の場合)である触媒反応容器の外壁面から遠く離れた触媒に対しても、ガス拡散によって加熱面から十分に熱を供給することがきでき、吹き抜けを生じにくい。
(e)特に、触媒連の中心棒を高熱伝導性材料とし、中心棒の端部を加熱することによって、壁面から遠く離れた触媒を中心軸を介して加熱して反応による吸熱を補償することによって触媒低温化および触媒低温化に伴う改質効率低下を回避することができるので、吹き抜けを一層生じにくくすることができる。
こうして、本発明は、個々の触媒を中心棒で貫いて一列に整列させた触媒連を複数用い、各触媒連間の空間を専用気流路とするとともに、触媒連の集合体である触媒柵を触媒反応容器内で往復運動させることによって、触媒層全域(触媒柵全体)において触媒表面に堆積した固体生成物を効率的に落下させて触媒層(触媒柵)から除去できるという顕著な効果を奏するものである。
従って、本発明は、固定床触媒層内で触媒上に生成・堆積する固体生成物の除去に好適に適用することができる。例えば、ニッケル、マグネシウム、セリウム、ジルコニウム、アルミニウムを含む複合金属酸化物触媒によるタール含有ガスの改質反応では、他の反応に比べて触媒表面への固体カーボンの堆積量が多く、それを除去するニーズがより高い。本発明は、このように他の反応に比べ触媒表面への固体カーボンの堆積量が多いタール含有ガス改質反応用の触媒を用いる場合においても、触媒上に生成・堆積する固体生成物の効率的な除去を可能にする。
本発明の対象である触媒固定床と異なり、移動床は、原則として反応中に絶えず触媒を移動(および撹拌)させる。それに対し、本発明では、反応容器内での触媒層の移動を間欠的に、短時間実施すればよいので、反応中に触媒撹拌を行う必要はない。さらに、移動床では、反応中に一定量の触媒を系外に排出するとともに同量の触媒を系外から供給する。それに対し、本発明では、反応中に触媒の入れ替えは行わない(触媒層が固定床であるから)。
本発明の触媒反応装置によれば、固定床触媒層内で触媒上に生成・堆積して触媒性能を低下させる原因となる固体堆積物を、触媒層全体を往復運動させることにより、効率よく除去することができる。さらに、本発明の触媒反応装置では、触媒反応容器内において隣り合う触媒連どうしは一定の間隔をあけて配置されるため、触媒をランダムに充填して構成される触媒層などにおいて生じる触媒間の空間での固体生成物の堆積による閉塞の問題は、本質的に回避される。そのため、従来のように触媒や触媒保持器を洗浄するために運転を停止する必要なしに、反応装置を連続運転することが可能となる。また、その触媒反応装置を用いて、固体カーボンなどの固体生成物を発生する触媒反応を高い効率で行うことができる。
本発明の第1の実施形態の反応装置を説明する模式図である。 本発明の第2の実施形態の反応装置を説明する模式図である。 本発明の第3の実施形態の反応装置を説明する模式図である。 実施例1の試験結果を示すグラフである。 本発明による触媒連を説明する模式図である。 本発明による触媒柵を説明する模式図である。 従来技術の触媒反応容器を説明する模式図である。 実施例2の試験結果を示すグラフである。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(全体構造)
図1に、本発明の第1の実施形態の連続式固定床触媒反応装置10を示す。この図の(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。本発明の触媒反応装置10は、反応容器11を含み、その内部に、保持板12によって保持された触媒連13の集合体である触媒柵14が収容されている。
このように、触媒連13とその集合体である触媒柵14を用いることが本発明の一つの特徴である。触媒連13は、図5に示したように、複数の触媒51と、それらの可動性を損なわずに貫通して触媒連を形成する中心棒52とにより形成される。触媒柵14は、図6に示したように、複数の触媒連13と、その中心棒52を立設する、すなわち立てた状態で固定する、保持板12により形成される。図1の実施形態では、保持板12と触媒連13との間には、カラー15が配置されている。
本発明のもう一つの特徴は、保持板12の下に、保持板を昇降させることにより触媒柵を一斉に上下方向に往復運動させるための駆動機構15が位置していることである。駆動機構15は昇降装置16と、昇降装置16を保持板12につなぐ伝導軸17で構成されている。
反応容器11には、下方から原料ガス18が供給されて、その主流が触媒連13と平行に触媒柵14を通過する際に反応し、触媒層14からの改質ガス19は反応容器11の上方から排出される。原料ガス18の例は、炭化水素を含有するガス、炭化水素とともにタールを含有するガスなどでよい。改質ガス19の例は、炭化水素を含有するガスを改質して得られる改質ガスなどでよい。触媒の例を挙げると、炭化水素改質用の触媒などでよく、その表面には触媒反応の副生物として固形物、例えば固体カーボンなどが堆積する。触媒反応が吸熱反応の場合、反応に必要な温度と熱を、触媒反応容器11を例えば加熱炉(図示せず)中に配置することにより、与えてもよい。触媒反応が発熱反応の場合は、反応熱を、触媒反応容器の外部に設けた冷媒流路(図示せず)に冷媒を流すなどにより除去してもよい。場合により、反応容器11への原料ガスは、図1とは逆に、触媒柵14の上方から下方へ流れるように供給することも可能である。
(反応容器の形状)
反応容器11は、両端に開口20a、21aを有し、これらの開口間に触媒柵を収納できるものであればどのような形状でもよい。開口20aは、触媒反応用流体(原料ガス)の流入路20を構成する供給管に通じており、触媒反応用流体の反応容器11へ流入口に当たるものである。開口21aは、反応容器11の改質ガスの流出路21を構成する排出管に通じており、改質ガスの反応容器11からの流出口に当たるものである。反応容器11は、例えば、円筒状、角型ダクト状などの形状であることができる。以下では、角型ダクト状の反応容器を例に説明する。
以下の説明において、「容器の中心軸」とは、容器の水平断面の図心を鉛直方向に連ねたものと定義する。「反応容器厚」は、水平断面における反応容器の代表長さのうちの最小の長さに相当し、「反応容器幅」は、水平平面における反応容器の代表長さのうちの最大の長さに相当する。容器が円筒の場合には、容器の「幅」および「厚」を「直径」と置き換えればよい。
(反応容器の材質)
反応容器11の材質は、触媒を保持する強度、触媒反応に関与する流体への耐熱・耐食性、反応生成物への耐汚染性を有する材料であれば、どのようなものでも使用できる。例えば、炭素鋼、ステンレス鋼、ニッケル合金、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金等の金属材料、シリカ、アルミナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素等のセラミックス材料(煉瓦に加工されたものを含む)、ソーダガラス、溶融石英等のガラス材料を使用することができる。
(反応容器の寸法)
反応容器厚及び反応容器幅ともに、触媒直径よりも大きい必要がある。反応容器の厚みが大きいほど、空間を効率的に使用して多量の触媒を触媒反応容器に収納することができる。一般に触媒反応では発熱または吸熱があり、かつ、反応容器の表面を通じてこれらの熱を外部と授受するため、反応容器の厚みが大きいほど、厚み方向に熱が伝わりにくくなる。このため、反応容器の厚み(反応容器断面が円形の場合には直径)は、500mm以下であることが好ましい。また、当然のことながら、反応容器の厚みは、収納する触媒の代表寸法(例えば、触媒直径)よりも大きくなければならない。
反応容器の幅には、機能上、特段の制約はない。保持すべき触媒層体積、反応容器厚を基に、構造上・強度上の制約を考慮してエンジニアリング的に定めればよい(例えば、5000mm)。
反応容器の高さは、上昇させたときの触媒連の高さよりも大きくなければならない。一方、反応容器高さの上限については、機能上の制約はなく、構造上・強度上の制約を考慮してエンジニアリング的に定めればよい(例えば、5000mm)。
(触媒連と触媒柵)
図5に示したように、触媒連13は、円筒状などの内部に貫通孔を有する触媒51と、一群の触媒51を貫く中心棒52により構成される。図6に示したように、触媒柵14は、一群の触媒連13を保持板12に固定して製作される。
触媒柵14が、図1に示したように触媒連13を垂直方向に向けて反応容器11内に配置される場合には、中心棒52の下部(触媒連と保持板とが接合する部分)に、触媒の落下防止用のカラー22(図1)を設けることができる。カラー22の直径を触媒孔径よりも大きくすることで、触媒の落下を防止できる。また,この場合には、カラー22より下方が流体の流入または流出のための空間、並びに、触媒表面で生成した生成物を落下・堆積させるための空間となる。
触媒柵14が、後に説明する第2の実施形態におけるように触媒連13を水平方向に向けて反応容器11内に配置される場合には、中心棒52の両端を保持板12に接合する。
(触媒柵の開口率)
触媒柵の開口率は、開口率=(1−[触媒柵の主流に垂直な断面の断面積]/[触媒反応容器の主流に垂直方向の見かけ断面積])×100(%)として定義することができる。「主流」とは、反応容器11へ供給された流体が、反応容器11内でその流入口20aから流出口20bへと向かう流れ、として定義され、図1の場合には、主流は触媒連13に平行な方向の流体の流れとなる。触媒柵の開口率が大きいほど、通気抵抗が小さい。一方、開口率が過大だと必要な触媒反応容器体積が増大し、また、通気抵抗が小さいので吹き抜けも生じやすい。従って、開口率は、30%以上60%以下の範囲が好ましい。
(触媒連の中心棒)
触媒連の中心棒は、触媒を貫くことでそれを損傷させないように、丸棒が好ましい。但し、加工の便宜等の理由によって、多角形断面の棒であってもよい。
また、触媒が中心棒の周囲で移動しやすいように、中心棒は直線状であることが好ましい。但し、加工の便宜等の理由によって、曲がり棒であってもよい。
中心棒の直径は、触媒の孔径よりも小さくなければならない。また、触媒の保持や昇降運動に耐えうる強度を保ち、高温時のクリープ等による座屈を避けるために、適度の直径であることが好ましい。例えば、直径1mm以上、30mm以下を適用することができる。
中心棒の材質は、強度・剛性・耐熱性等の観点から、また、高熱伝導性材料であるのが好ましいことから、金属、特に、ステンレス鋼、インコネル(登録商標)等のニッケル合金、チタン、チタン合金を用いることができる。また、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等は、高熱伝導性材料として特に好ましい。
(触媒連の長さ)
上下方向に往復運動させる触媒柵が反応容器内に収納可能である限り、触媒連の長さは触媒反応容器高さの範囲内あれば特に制約はない。中心棒で貫く触媒の数を増やすことで、触媒連長さを自由に定めることができる。但し、長い触媒連の場合、下流側では原料流体濃度が減少するので、触媒反応の反応速度は低下する。従って、処理する原料流体流量と触媒総量の比を勘案して適宜最適な長さを決めればよい。
(触媒連の作製方法)
触媒連は、例えば、手作業で触媒を中心棒に貫通させて作製することができる。
(触媒連の保持板)
触媒連を支持する保持板は、中心棒を、溶接やねじ込みなどの方法で取り付けることができる材料で製作される。その材質は、強度・剛性・耐熱性等の観点から、中心棒と同様に、ステンレス鋼、インコネル(登録商標)等のニッケル合金、チタン、チタン合金などでよい。カラーを用いる場合、それも保持板の材料と同様の材料で製作することができる。
(触媒柵の駆動機構)
本実施形態では、保持板12を昇降させることによってその上の触媒柵14を反応容器11内で昇降させる。そのために、本実施形態の反応容器11には保持板12を昇降させる駆動機構15が装備される。駆動機構15には、エアシリンダ、ラックピニオン等の歯車を利用した昇降装置16などの、一般的な駆動機構を用いることができる。保持板12は、伝導軸17を用いて昇降装置16に結合される。昇降装置16を作動させると、保持板12の全体が反応容器11の軸線に沿って移動して、触媒柵14の全体をやはり反応容器11の軸線に沿って上下に移動させる。
少なくとも伝導軸17の保持板12側の一部は反応容器11、または、反応容器11の下方に存在しうる原料ガス流入路20や改質ガス流出路21の内側に存在する必要がある。昇降装置16は、反応容器11の外部に設けることができる。反応容器11を例えば加熱炉などの加熱装置(図示せず)内に配置する場合には、昇降装置16を加熱装置外に設けることもできる。この場合、市販の昇降装置を使える一方で、伝導軸17が反応容器11を貫通する部分を高温用パッキン等で封止する必要がある。
駆動機構15全体を、図1に示したように反応容器11内に設ける場合には、昇降装置16を、例えば反応容器11内の高温や腐食性物質から保護するために、耐熱・耐食性のものとする必要がある。これは、一例として、駆動機構15のエアシリンダ全体をハステロイ(登録商標)等の耐熱合金製とすることによって実現できる。この場合、エアシリンダへの供給エア配管(図示せず)は反応容器11を貫通するが、この部分は非可動部なので、配管を全周溶接するなどして封止を図ればよい。
(保持板の昇降ストローク)
触媒間の相対運動を十分行うためには、保持板12の昇降ストロークは大きいことが好ましい。例えば、触媒外面の代表寸法(例:直径)の0.1倍程度の昇降ストロークであっても加振の効果は存在するので、触媒表面の固体カーボンなどの堆積物の除去効果は一定程度は得られる。とは言え、十分な堆積物除去効果を挙げるためには、保持板12の昇降ストロークは触媒外面代表寸法の0.5倍以上であることが好ましく、1倍以上であることがより好ましい。
一方、昇降ストロークが極端に大きい場合には、反応容器11および駆動機構15が大型化するので効率的ではない。また、小さいストローク(但し、1倍以上)の昇降を繰り返し行うことで、より大きな昇降ストロークと同様の効果が得られる。よって、昇降ストロークは、触媒外面の代表寸法の10倍以下であることが好ましい。
(保持板の昇降速度)
上昇速度には特段の制約はない。下降速度は、固体堆積物を触媒表面から離脱させるのに十分な触媒間の相対運動を可能にするように設定する必要がある。極端に遅い下降速度では、触媒間で相対運動を生じないので好ましくない。下降速度は、触媒の自由落下速度(例:100mm/s)よりも速くすることができる。このようにすることによって、個々の触媒が下降する際に触媒と中心棒との接触状態に応じて下降速度のバラツキを生じ、触媒間で相対運動と衝突を生じさせることができる。
あるいは、駆動機構の往復運動の終端部において中心棒の速度が触媒の速度よりも小さくなるようにすることで、慣性を利用して触媒を保持板に衝突させることにより衝撃を与えることも可能である。これは、図2を参照して次に説明する第2の実施形態におけるように触媒柵を水平方向に運動させる場合に、特に有効である。
(触媒の形状)
触媒は、触媒連から脱落しないことが必要である。従って、中心棒が貫通することができる孔を有する形状であることが有利である。例えば、リング状、円筒状、ダクト状等の触媒を用いることができる。また、触媒の脱落防止の要件を満たす形状として、中心棒の直径よりも開口幅の小さい馬蹄形としてもよい。
触媒の孔寸法は、触媒連の中心棒に対して自由に移動できるように、中心棒の直径よりも十分に大きくなければならない。特に、次に説明する第2の実施形態のように触媒連が水平に配置され、触媒柵の往復動が鉛直方向になされる場合には、個々の触媒の鉛直方向の相対移動(中心棒に対する)距離は、[中心孔径]−[中心棒直径]の範囲に限られるので、この差を十分に大きく設定することが好ましい。例えば、[中心孔径]を[中心棒直径]+1mmとすることができる。
(触媒の材質・作用)
本発明の触媒反応装置を適用できる触媒の材質や触媒作用は、流体、特にガスを原料とする触媒反応に用いられる触媒であれば、特に制限はない。流体がガスであり、触媒反応による生成物がガスと固体または液体とである触媒反応、中でも、触媒反応用流体が炭化水素を含有するガスであり、触媒反応による生成物がガスおよび固体または液体である触媒反応、特に、触媒反応用流体がタールを含有するガスであり、触媒反応による生成物が固体の炭化水素または固体のカーボンを含む触媒反応に用いられる触媒に好適に使用できる。
一般的には、上記のような触媒反応に用いられる酸化物触媒に広く使用でき、特に触媒反応用流体がタールを含有するガスであり、触媒反応による生成物が固体の炭化水素または固体のカーボンを含む触媒反応に用いられる酸化物触媒に好適に適用できる。
本発明の触媒反応装置に好適に使用できる触媒の具体的な例としては、たとえば、ニッケル、マグネシウム、セリウム、アルミニウムを含む酸化物であって、少なくとも1種の複合酸化物を含み、単独化合物としてアルミナを含まないタール含有ガスの改質用触媒を挙げることができる(WO2010/134326)。この複合酸化物の好適な例は、NiMgO、MgAl24、CeO2の結晶相からなり、さらには、各結晶相の内、X線回折測定により求めたNiMgO結晶相の(200)面の結晶子の大きさが1nm〜50nm、MgAl24結晶相の(311)面の結晶子の大きさが1nm〜50nm、CeO2結晶相の(111)面の結晶子の大きさが1nm〜50nmである。この触媒は、炭素質原料を熱分解した際に発生する多量の硫化水素を含み、炭素析出を起こし易い縮合多環芳香族主体のタール含有ガスであっても、随伴するタール等重質炭化水素を高効率に改質して、水素、一酸化炭素、メタンを主体とする軽質炭化水素に変換すること、また、触媒性能が劣化した際、水蒸気又は空気の少なくともいずれかを高温下で触媒に接触させることにより、触媒上の析出炭素や吸着硫黄を除去して触媒性能を回復させ長期間安定した運転が可能になるという特徴を有する。
また、ニッケル、マグネシウム、セリウム、ジルコニウム、アルミニウムを含む複合酸化物からなることを特徴とするタール含有ガスの改質用触媒を挙げることができる(特願2010−082576)。この複合酸化物の好適な例は、NiMgO、MgAl24、CexZr1-x2(0<x<1)の結晶相を含み、さらには、各結晶相の内、X線回折測定により求めたNiMgO結晶相の(220)面の結晶子サイズが1nm〜50nm、MgAl24結晶相の(311)面の結晶子サイズが1nm〜50nm、CexZr1-x2結晶相の(111)面の結晶子サイズが1nm〜50nmであることが好ましい。この触媒によれば、石炭やバイオマスを熱分解した際に発生するタール含有ガスを、安定的に一酸化炭素、水素等の軽質化学物質へ転換することができる。特に、タール含有ガス中に、硫化水素を高濃度で含むタール含有ガスであっても、脱硫処理せずにそのまま触媒と接触させて、粗ガス中のタールを改質して、又は、精製ガス中の炭化水素成分を改質して、タール含有ガスを一酸化炭素、水素等の軽質化学物質へ安定的に転換することができる。
さらに、aM・bNi・cMg・dOで表される複合酸化物であるタール含有ガスの改質用触媒であって、a、b、及びcは、a+b+c=1、0.02≦a≦0.98、0.01≦b≦0.97、かつ、0.01≦c≦0.97を満たし、dは、酸素と陽性元素が電気的に中性となる値であり、Mは、Li、Na、Kから選ばれる少なくとも1種類の元素であるタール含有ガスの改質用触媒を挙げることができる(特願2010−081867、特願2010−08197、特願2010−083527)。この複合酸化物の好適な例は、シリカ、アルミナ、ゼオライトから選ばれる少なくとも1種類の酸化物を加えてなり、さらには、シリカ、アルミナ、ゼオライトから選ばれる少なくとも1種類の酸化物の含有量が、複合酸化物全体に対し1〜90質量%であることが好ましい。この触媒によれば、石炭やバイオマスを熱分解した際に発生するタール含有ガスを、安定的に一酸化炭素、水素等の軽質化学物質へ転換することができる。特に、タール含有ガス中に、硫化水素を高濃度で含むタール含有ガスであっても、脱硫処理せずにそのまま触媒と接触させて、粗ガス中のタールを改質して、又は精製ガス中の炭化水素成分を改質して、タール含有ガスを一酸化炭素、水素等の軽質化学物質へ安定的に転換することができる。
(その他の適用可能な例)
本発明は、上記に例示した触媒反応装置及び触媒のほか、コーキング等を生じる、下記の触媒反応装置にも好適に使用できる。
1)メタン改質触媒反応装置: 特開2006−35172号公報の「比較例」には、炭化水素であるメタンガスを原料ガスとして大量のコーキング(炭素析出)が発生することが記載されている。
2)都市ガス改質触媒反応装置: 特許文献2にコーキングの事例が記載されている。
3)その他、LPG等の各種石油精製ガスや天然ガスの改質のための触媒反応装置、水素を含有するガスと酸化剤ガスを作用させて発電し、水を副生する、燃料電池用の触媒反応装置(例:特開2009−48797号公報)等に適用できる。
次に、図2を参照して第2の実施形態の連続式固定床触媒反応装置を説明する。この図の(a)は平面図、(b)正面図、(c)は側面図である。図2の触媒反応装置10は、触媒柵が触媒連を水平方向に向けて反応容器内に配置されることを除いて、図1を参照して説明した第1の実施形態のものと同様である。
この実施形態では、触媒連の両端を保持板12に固定して、触媒柵が形成されている。触媒連と保持板12と接合部に、第1の実施形態の触媒柵で用いられるカラーは不要である。保持板12は触媒柵14’の下方へ延長して、支持部材25に接続しており、支持部材25が昇降機構15の伝導軸17と連結している。
この実施形態における特徴は、次のとおりである。
(1)触媒柵が触媒連を水平方向に向けて反応容器内に配置されており、すなわち、触媒連が主流に直交するように配置される。特に、主流からみて触媒連を千鳥配置にできる。これにより、主流の流れは、触媒連の側面である触媒表面に衝突して触媒連の両側を通るように流れの向きが曲げられる。この際、主流に対し垂直な方向に強い移流と乱流拡散を生じることによって、主流垂直方向での物質移動および熱移動が促進される。その結果、反応容器内を加熱する場合に反応容器表面に外部から供給された熱量は、反応容器の内部深くまで輸送されるとともに、反応容器の厚み方向で触媒反応速度が異なったとしても物質輸送の効果によって厚み方向での流体濃度は均一化され、吹き抜けを生じにくい。特に、触媒連を千鳥配置した場合には、主流の流れは、絶えず触媒連との衝突によって曲げられるため、厚み方向での物質移動・熱移動が一層促進され、これらの効果がより顕著になる。
(2)触媒柵を上下に往復運動させることができる。これにより、個々の触媒の内孔と中心棒間で相対運動を生じて、それらの衝突が起きる。この衝突の際の振動を用いて、個々の触媒表面に生成したバルク状の固体生成物を脱落、除去することができる。
(3)触媒柵を保持する保持板に各触媒連の中心棒を連結し、保持板全体を触媒反応容器からの伝熱によって加熱することができる。これにより、保持板と触媒連中心棒間の伝熱促進を図るとともに、保持板を常に高温に保つことによって、反応容器の壁から離れた領域の触媒まで、これに接する中心棒の熱伝導によって加熱することができる。
(4)別途、水平方向に触媒柵を往復運動させるための駆動装置を設けて、触媒柵を水平に往復運動させてもよい。これにより、第1の実施形態と同様に、触媒間で衝突を生じることによって、個々の触媒表面に生成したバルク状の固体生成物を脱落、除去することができる。
次に、図3を参照して第3の実施形態の連続式固定床触媒反応装置を説明する。図3の触媒反応装置10は、触媒連の末端に加熱装置31を設けることを除いて、図1を参照して説明した第1の実施形態のものと同様である。
加熱装置31は、触媒連13の下部のカラー22と保持板12との間に設けられ、ニッケル線等の発熱体(図示せず)を中心棒に巻き、発熱体を通電加熱するなどして、中心棒を加熱することができる。発熱体へは、電線32により給電することができる。各触媒連の触媒を、それに接する加熱された中心棒からの伝熱により加熱することができる。
加熱装置31は、触媒柵の全ての触媒連のために装備してもおく、一部の触媒連のために装備することもできる。後者の例として、反応容器厚み方向の中央部分の触媒連のために装備する場合を挙げることができる。こうすれば、反応容器の厚みが大きく、壁を通して外部から加熱することを必要とする反応容器においても、外部からの熱が十分に伝わりにくい反応容器厚み方向の中央部分の触媒を十分加熱することができる。
本発明において可能な実施形態は、前述のものに限られることはない。例えば、第2の実施形態において、触媒連を水平に配置するのではなく、水平面に対し角度を与えて配置してもよい。第1、第2の実施形態において、触媒連を水平方向に往復動させてもよい。また、第1、第2の実施形態おいて、鉛直方向と水平方向の往復運動を組み合わせて触媒連を運動させてもよい。
以下の実施例により本発明をさらに説明する。しかし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
(反応系全体の構成)
石炭供給装置(石炭ホッパー定量供給器)から、加熱されたキルンに20kg/時の速度で石炭を供給して石炭乾留ガス(石炭中の水分に起因する水蒸気を含む)を連続発生させた。触媒反応装置の流入口は、保温管によってキルンに接続し、触媒反応装置流出口は、保温管によってスクラバ経由で誘引ファンに接続した。石炭乾留ガスは、ガス中のタールが触媒反応容器で改質されて軽質ガス(水素等)を生成し、改質ガスとして誘引ファンによってフレアスタック(改質ガスを燃焼する)経由で大気中に放散させた。触媒反応容器は、炉温が一定温度に制御された電気加熱炉内に収容した。誘引ファンは、流量を調節でき、石炭乾留ガスの発生速度に対応する流量に制御された。
(触媒反応装置)
図1の触媒反応装置で試験した。反応容器は、ステンレス鋼製であり、寸法が80mm厚×300mm幅×700mm高さで、上下に開口を持つダクト形状であった。反応容器のダクトの上端に、JIS 80Aの流出管を、ダクトの下端にJIS 150Aの流入管を接続して通気するようにした。
(作業条件)
作業条件は、次のとおりであった。
・石炭乾留キルン温度: 750℃
・電気加熱炉炉温: 800℃
・石炭乾留ガス流量: 平均10Nm3/h
・石炭乾留ガス通気時間: 5時間
改質反応を始める前に、まず反応器を窒素雰囲気下で800℃まで昇温した後、水素ガスを80Nl/min流しながら30分間還元処理を行った。その後、コークス炉ガスを調整して導入し、常圧下、反応評価した。
以下の触媒7kgを図1に示した触媒反応装置に収容し、触媒層中央位置に熱電対を挿入した。
(触媒)
触媒としては、Ni0.1Ce0.1Mg0.8Oなる成分系のものを使用した。
硝酸ニッケル、硝酸セリウム、硝酸マグネシウムを各金属元素のモル比が1:1:8になるように精秤して、60℃の加温で混合水溶液を調製したものに、60℃に加温した炭酸カリウム水溶液を加えて、ニッケル、マグネシウム、及びセリウムを水酸化物として共沈させ、スターラーで十分に攪拌した。その後、60℃に保持したまま一定時間攪拌を続けて熟成を行った後、吸引ろ過を行い、80℃の純水で十分に洗浄を行った。洗浄後に得られた沈殿物を120℃で乾燥し粗粉砕した後、空気中600℃で焼成(か焼)したものを解砕した後にビーカーに入れ、アルミナゾルを加えて攪拌羽根を取り付けた混合器で十分混合したものをなすフラスコに移してロータリーエバポレーターに取り付け、攪拌しながら吸引することで、水分を蒸発させた。なすフラスコ壁面に付着したニッケルとマグネシウムとセリウムとアルミナの化合物を蒸発皿に移して120℃で乾燥、600℃でか焼後、粉末を圧縮成形器を用いてプレス成型し、外径15mm、内径5mm、高さ15mmの円筒状成型体を得た。
その成型体を空気中950℃で焼成を行い、Ni0.1Ce0.1Mg0.8Oにアルミナが50質量%混合した触媒成型体を調製した。その成型体の成分をICP分析で確認した結果、所望の成分であることを確認した。また、その成型体を木屋式硬度計で計測したところ、約100Nの高い強度を保持することがわかった。
(触媒柵)
直径4mm、長さ500mmのステンレス製丸棒を中心棒として使用し、下端から80mmの位置に直径10mmの円筒状のカラーを溶接して、触媒の脱落防止とした。触媒連の中心棒を保持器である底板に溶接し、カラーの上の部分に30個の触媒を貫通させて、触媒柵を製作した。触媒連の配置は、反応容器厚み方向に5列、幅方向に14または15列の千鳥配置とした。
(保持板の駆動機構)
・駆動装置昇降ストローク: 20mm
・駆動装置上昇速度: 10mm/秒
・駆動装置下降速度: 80mm/秒
・操作タイミング: 石炭乾留ガス通気開始後3.5時間で3往復の昇降を行う
(結果)
図4を使って試験結果を説明する。図4の横軸は通気時間、左側の縦軸は反応容器での圧力損失、右側の縦軸は増幅水素流量(触媒単位質量当たりの、触媒による改質反応により反応容器内で生成した水素の流量)を表している。試験中に通気抵抗の上昇は特に認められなかった。石炭乾留ガス通気開始後に改質性能は徐々に低下したが、触媒柵の往復運動を実施した直後に、急激に回復した。
試験終了後に、反応容器を冷却し、解体して内部を調査した結果、底板上に50gの固体カーボンが堆積していたが、触媒上には顕著なバルク状の生成物は付着していなかった。
[実施例2]
図2の触媒反応装置を用いて試験を行った。中心棒として、直径4mm、長さ280mmのステンレス製丸棒を用いたこと、触媒連の片端側を一方の保持器に溶接、もう一端側を他方の保持器に着脱式に取り付けたこと、各触媒連は、それぞれ19個の円筒型触媒を貫通したものであること、触媒柵は、前記触媒連を厚方向に5列、高さ方向に22段の千鳥配置としたこと、触媒柵の往復運動を上下方向(触媒柵の触媒をその直径方向に運動させる)としたこと、前記往復運動は、通気開始後8時間30分後および9時間30分後に実施したこと以外は、実施例1と同様とした。
(結果)
図8を使って試験結果を説明する。図8の横軸は通気時間、縦軸は反応容器での圧力損失、を表している。試験中に通気抵抗の上昇速度は、実施例1に比べてやや高いものであったが、2回の触媒柵の往復運動を実施した直後には、急激に圧力損失を低減することができた。
試験終了後に、反応容器を冷却し、解体して回収したカーボン量は、800gであった。
触媒の損傷は特に認められなかった。
[参考例1]
硝酸ニッケル、硝酸セリウム、硝酸酸化ジルコニウム、硝酸マグネシウムを各金属元素のモル比が1:1:1:7になるように精秤して、60℃の加温で混合水溶液を調製したものに、60℃に加温した炭酸カリウム水溶液を加えて、ニッケル、セリウム、ジルコニウム、及びマグネシウムを水酸化物として共沈させ、スターラーで十分に攪拌した。
その後、60℃に保持したまま一定時間攪拌を続けて熟成を行った後、吸引ろ過を行い、80℃の純水で十分に洗浄を行った。洗浄後に得られた沈殿物を120℃で乾燥し粗粉砕した後、空気中600℃でか焼したものを解砕した後にビーカーに入れ、アルミナゾルを加えて攪拌羽根を取り付けた混合器で十分混合したものを、なすフラスコに移してロータリーエバポレーターに取り付け、攪拌しながら吸引することで、水分を蒸発させた。なすフラスコ壁面に付着したニッケルとマグネシウムとアルミナの化合物を蒸発皿に移して120℃で乾燥、600℃でか焼後、圧縮成形器を用いて粉末を3mmφの錠剤状にプレス成型し、錠剤成型体を得た。その成型体を空気中950℃で焼成を行い、Ni0.1Ce0.1Zr0.1Mg0.7Oにアルミナが50質量%混合した触媒成型体を調製した。
その成型体の成分をICP分析で確認した結果、所望の成分であることを確認した。また、本調製品をXRD測定した結果、NiMgO、MgAl24、CexZr1-x2相からなることが判明し、各々の結晶子の大きさは、14nm、11nm、22nmであった。
この触媒をSUS製反応管の中央に位置するよう石英ウールで固定し、触媒層中央位置に熱電対を挿入し、これら固定床反応管を所定の位置にセットした。
改質反応を始める前に、まず反応容器を窒素雰囲気下で800℃まで昇温した後、水素ガスを100mL/min流しながら30分間還元処理を行った。その後、コークス炉ガス(粗ガス)の模擬ガス(水素:窒素=1:1、H2Sを2000ppm含有、トータル流量125mL/min)を調製して反応容器に導入するとともに、石炭乾留時発生タールの模擬物質として、タール中にも実際に含まれ且つ常温で粘度の低い液体物質である1−メチルナフタレンを代表物質として、0.025g/minの流量で反応容器へ導入し、常圧下で反応させた。
試験終了後に触媒を回収して観察した結果、触媒間に大量のバルク状カーボンが堆積していた。この触媒および堆積物を篩分けしたところ、触媒表面のバルク状固体カーボンは、数回の軽微な振動で大半が触媒表面から離脱し篩の目を通過して落下した。
従って、本触媒を用いた場合、触媒間に堆積した固体カーボンの大半は、わずかな触媒振動で触媒間を通過して落下することがわかった。この結果から、本触媒を用いた改質反応において、実施例1や2の装置を用いれば、触媒への固体生成物の付着を大幅に回避できると考えられる。
[参考例2]
ニッケル、マグネシウム、ナトリウムの原子量%がそれぞれ10%、80%、10%になるように精秤して、60℃の加温で混合水溶液を調製したものに、60℃に加温した炭酸カリウム水溶液を加えて、ニッケルとマグネシウムとナトリウムを水酸化物として共沈させ、スターラーで十分に攪拌した。その後、60℃に保持したまま一定時間攪拌を続けて熟成を行った後、吸引ろ過を行い、80℃の純水で十分に洗浄を行った。
洗浄後に得られた沈殿物を120℃で乾燥し粗粉砕した後、空気中600℃で焼成(か焼)したものを解砕し、その後、粉末を圧縮成形器を用いて3mmφの錠剤状にプレス成型し、錠剤成型体を得た。その成型体を空気中950℃で焼成を行い、Ni0.10.1Mg0.8Oの触媒成型体を調製した。
この触媒をSUS製反応管の中央に位置するよう石英ウールで固定し、触媒層中央位置に熱電対を挿入し、これら固定床反応管を所定の位置にセットした。
改質反応を始める前に、反応容器を窒素雰囲気下で800℃まで昇温した後、水素ガスを100mL/min流しながら30分間還元処理を行った。その後、コークス炉ガス(粗ガス)の模擬ガス(水素:窒素=1:1、H2Sを2000ppm含有、トータル流量125mL/min)を調製して反応容器に導入するとともに、石炭乾留時発生タールの模擬物質として、タール中にも実際に含まれかつ常温で粘度の低い液体物質である1−メチルナフタレンを代表物質として、0.025g/minの流量で反応容器へ導入し、常圧下で反応させた。
試験終了後に触媒を回収して観察した結果、触媒間に大量のバルク状カーボンが堆積していた。この触媒および生成物を篩分けしたところ、触媒表面のバルク状固体カーボンは、数回の軽微な振動で大半が触媒表面から離脱し篩の目を通過して落下した。
従って、本触媒を用いた場合、触媒間に堆積した固体カーボンの大半は、わずかな触媒振動で触媒間を通過して落下することがわかった。この結果から、本触媒を用いた改質反応において、実施例1や2の装置を用いれば、触媒への固体生成物の付着を大幅に回避できると考えられる。
10 連続式固定床反応装置
11 反応容器
12 保持板
13 触媒連
14、14’ 触媒柵
15 駆動機構
16 昇降装置
17 伝導軸
18 原料ガス
19 改質ガス
20 原料ガス流入路
21 改質ガス流出路
22 カラー
51 触媒
52 中心棒

Claims (9)

  1. 触媒反応用の原料ガスの流入路及び改質ガスの流出路と、
    流入路及び流出路に接続され、かつ触媒を収容する触媒反応容器と、
    を有する連続式固定床触媒反応装置であって、
    ・複数の触媒をそれらの可動性を損なわずに貫通して触媒連を形成する中心棒と、
    ・複数の中心棒を立設する保持板と、
    ・反応容器内で保持板を往復運動させるための駆動機構と、
    を具備することを特徴とする、連続式固定床触媒反応装置。
  2. 前記中心棒に高熱伝導性材料を用いるとともに、前記中心棒の端部を加熱する加熱装置を具備することを特徴とする、請求項1に記載の連続式固定床触媒反応装置。
  3. 前記駆動機構が、それによる往復運動の終端部において前記中心棒の速度が触媒の速度よりも小さくなるように動作することを特徴とする、請求項1又は2に記載の連続式固定床触媒反応装置。
  4. 前記触媒反応用流体が炭化水素を含有するガスであり、触媒反応による生成物がガスと固体の炭化水素または固体のカーボンとであることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の連続式固定床触媒反応装置。
  5. 前記触媒反応用流体がタールを含有するガスであることを特徴とする、請求項4に記載の連続式固定床触媒反応装置。
  6. 前記触媒が、ニッケル、マグネシウム、セリウム、アルミニウムを含む複合酸化物であって、アルミナを含まない複合酸化物からなる触媒であり、前記複合酸化物が、NiMgO、MgAl24、CeO2の結晶相からなることを特徴とする、請求項5に記載の連続式固定床触媒反応装置。
  7. 前記触媒が、ニッケル、マグネシウム、セリウム、ジルコニウム、アルミニウムを含む複合酸化物からなる触媒であり、前記複合酸化物が、NiMgO、MgAl24、CexZr1-x2(0<x<1)の結晶相を含むことを特徴とする、請求項5に記載の連続式固定床触媒反応装置。
  8. 前記触媒が、
    aM・bNi・cMg・dOで表わされる複合酸化物であるタール含有ガスの改質用触媒であって、
    a、b、及びcは、a+b+c=1、0.02≦a≦0.98、0.01≦b≦0.97、かつ、0.01≦c≦0.97を満たし、
    dは、酸素と陽性元素が電気的に中立となる値であり、
    Mは、Ti、Zr、Ca、W、Mn、Zn、Sr、Ba、Ta、Co、Mo、Re、白金、ルニウム、パラジウム、ロジウム、Li、Na、K、Fe、Cu、Cr、La、Pr、Ndから選ばれる少なくとも1種類の元素であり、
    前記複合酸化物に、シリカ、アルミナ、ゼオライトから選ばれる少なくとも1種類の酸化物を加え、シリカ、アルミナ、ゼオライトから選ばれる前記酸化物の含有量が、前記複合酸化物に対し1〜90質量%である、
    ことを特徴とする、請求項5に記載の連続式固定床触媒反応装置。
  9. 請求項1から8のいずれか1項に記載の連続式固定床触媒反応装置を用いて、触媒反応を行うことを特徴とする、連続式固定床触媒反応方法。
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