JP6066268B2 - 重金属溶出低減材及び焼却灰の重金属溶出低減方法 - Google Patents

重金属溶出低減材及び焼却灰の重金属溶出低減方法 Download PDF

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本発明は、焼却灰からの重金属類の溶出を低減させる重金属溶出低減材、及び焼却灰の重金属溶出低減方法に関する。
ゴミ処理施設から排出されるゴミの焼却灰、石炭火力発電所から排出される石炭灰等の焼却灰は、盛土材、埋め戻し材、土壌改良材、コンクリート混和材、道路材、建材等の土木建築用材料等として利用されている。しかし、焼却灰中には、クロム等の有害重金属が含有されている場合がある。従って、焼却灰を前記土木建築用材料等として利用する際に、これらの有害重金属の溶出を低減させることが行なわれている。
例えば、特許文献1には、焼成ドロマイトと水硬性物質とを石炭灰等の焼却灰に混合して、フッ素、クロム、水銀等の重金属類の溶出を低減させることが記載されている。
しかし、前記焼却灰のうち特に石炭灰には、クロムのほかに砒素、セレン、ホウ素が比較的多く含まれており、特許文献1に記載の方法では、前記4種類すべての重金属類の溶出を低減させることが困難であった。
特開2006−289306号公報
そこで、本発明は、上記のような従来の問題を鑑みて、クロム、砒素、セレン、ホウ素の溶出を低減できる重金属溶出低減材および焼却灰の重金属溶出低減方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、特定の軽焼生成物とセメントとを含む重金属溶出低減材において、前記軽焼生成物と前記セメントとの質量比を特定の範囲にすることで、クロム、砒素、セレン、ホウ素の溶出を低減させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る重金属類溶出低減材は、MgC(但し、0<x≦1、0<y<3を満たす。)と炭酸マグネシウム(MgCO)と炭酸カルシウム(CaCO)とを含む軽焼ドロマイトと、セメントとを備え、前記軽焼ドロマイトと前記セメントとの質量比が、軽焼ドロマイトの質量:セメントの質量=36:64〜24:76の範囲であり、前記軽焼ドロマイトは、前記軽焼ドロマイト全量に対して、前記炭酸カルシウム(CaCO)を40質量%〜65質量%含むものであり、クロム、ヒ素、セレン、及び、ホウ素の溶出を低減する
本発明によれば、前記MgCxyとMgCO3とCaCO3とを含有する軽焼生成物と、セメントとを前記質量比で備えた重金属溶出低減材であるため、かかる重金属溶出低減材を焼却灰に混合することで、焼却灰に含まれるクロム、砒素、セレン、ホウ素の4種類すべての重金属類の溶出を低減させることができる。
尚、本発明における軽焼とは、前記鉱物中の炭酸マグネシウム(MgCO3)の一部を脱炭酸させるように前記鉱物を加熱することをいう。
また、本発明における重金属類とは、土壌汚染対策法に定める特定有害物質のうちの第2種特定有害物質に含まれる物質をいう(以下、本明細書において同じ)。
本発明において、鉄塩をさらに含んでいてもよい。
鉄塩をさらに含む場合には、前記各重金属類の溶出をより低減させることができる。
溶出低減方法に係る本発明は、前記重金属溶出低減材を焼却灰に混合して、前記焼却灰からの重金属類の溶出を低減させる。
本発明によれば、クロム、砒素、セレン、ホウ素の溶出を低減できる。
実施例の溶出低減材についての、X線光電子分光法(XPS)によって検出されるO1sに対応するスペクトル ドロマイトの、X線光電子分光法(XPS)によって検出されるO1sに対応するスペクトル。 ドロマイトの、X線光電子分光法(XPS)によって検出されるO1sに対応するスペクトル。 酸化マグネシウムの、X線光電子分光法(XPS)によって検出されるO1sに対応するスペクトル。 X線回析によって検出されるスペクトル。
以下、本発明に係る重金属溶出低減材および焼却灰の重金属溶出低減方法について具体的に説明する。
まず、本発明の重金属溶出低減材の一実施形態について説明する。
本実施形態の重金属溶出低減材は、炭酸マグネシウム(MgCO3)と炭酸カルシウム(CaCO3)とを主成分として含有する鉱物が軽焼された軽焼生成物と、セメントとを備え、前記軽焼生成物は前記MgCO3が脱炭酸されることで生成されたMgCxy(但し、0<x≦1、0<y<3を満たす。)とMgCO3とCaCO3とを含み、
前記軽焼生成物と前記セメントとの質量比が、軽焼生成物の質量:セメントの質量=60:40〜20:80の範囲であるものである。
前記軽焼生成物は、炭酸マグネシウム(MgCO3)と炭酸カルシウム(CaCO3)とを主成分として含有する鉱物が軽焼されたものである。
炭酸マグネシウムと炭酸カルシウムとを主成分として含有する前記鉱物とは、炭酸マグネシウムを20質量%以上、好ましくは40質量%以上、且つ炭酸カルシウムを15質量%以上、好ましくは、50質量%以上含有する鉱物を好適に用いることができる。
前記鉱物の具体例としては、ドロマイト等を挙げることができる。
前記ドロマイトとしては、炭酸マグネシウムと炭酸カルシウムとを含有してなるものであれば特に限定されず、天然に産出するドロマイト(白雲石)の他、水酸化マグネシウムスラリーと石灰乳との混合物を焼成して得られた合成ドロマイト等を用いることもできる。
なお、天然に産出するドロマイトは、一般に、CaO/MgOで表わされる複塩のモル比が0.70〜1.63の範囲であり、CaCO3をCaO換算で概ね9〜40質量%(CaCO3として16.0質量%〜71.5質量%)、MgCO3をMgO換算で概ね10〜38質量%(MgCO3として20.9質量%〜79.5質量%)含有するものである。
尚、前記ドロマイト中のCaCO3をCaO換算とし、MgCO3をMgO換算とする計算方法は下記のとおりである。
ドロマイトはCaMg(CO32すなわち、CaCO3+MgCO3と表すことができる。ドロマイト中のCaCO3とCaOの質量%の関係は下記式(1)のようになり、ドロマイト中のMgCO3とMgOの質量%の関係は下記式(2)のようになり、式(1)または(2)から、CaCO3をCaO換算し、MgCO3をMgO換算する。ことができる。

CaO(質量%)=CaCO3(質量%)×CaO分子量÷CaCO3分子量・・(1)

MgO(質量%)=MgCO3(質量%)×MgO分子量÷MgCO3分子量・・(2)
本実施形態の前記鉱物の大きさは、例えば、数mm〜100mm程度、好ましくは、3mm〜10mm程度である。前記の大きさの鉱物にするために、例えば、前記鉱物を粉砕して大きさを調整してもよい。
さらに、前記鉱物はブレーン値が2000〜3000cm/gの範囲であることが好ましい。
尚、前記鉱物の大きさは、例えば、所定の目開きのふるいを用いて測定することができる。また、前記ブレーン値は、JIS R 5201「セメントの物理試験方法」に規定する比表面積試験の方法に準拠した方法で測定した値をいう。
本実施形態の前記鉱物は、前記MgCxyと、炭酸マグネシウム(MgCO3)と、炭酸カルシウム(CaCO3)とを含む生成物が生成されるように軽焼する。
かかる軽焼の際の温度条件としては、640〜990℃の範囲、好ましくは690〜890℃、さらに好ましくは760〜850℃である。
また、軽焼時間は温度条件によっても変動するが、通常、10〜60分である。
前記鉱物を軽焼することで、前記鉱物中に含まれる炭酸マグネシウム(MgCO3)の一部が脱炭酸されてMgCxy(但し、0<x≦1、0<y<3を満たす。)が生成される。すなわち、前記軽焼により、前記鉱物中の炭酸マグネシウム(MgCO3)の一部はそのまま残存させると同時に、炭酸マグネシウムの一部を脱炭酸してMgCxyとし、さらに前記鉱物中の炭酸カルシウム(CaCO3)は実質的には脱炭酸させないことによって、前記MgCxyと、炭酸マグネシウム(MgCO3)と、炭酸カルシウム(CaCO3)とを含有する軽焼生成物を得ることができる。
前記鉱物を、高温長時間焼成して完全な焼成物とした場合、前記鉱物中の炭酸マグネシウム(MgCO3)が脱炭酸されると同時に、炭酸カルシウム(CaCO3)も脱炭酸されてしまい、前記のような3つの成分を実質的に含有する軽焼生成物を得ることができない。
前記のような3つの成分を実質的に含有する軽焼生成物であることで、重金属溶出低減材とした場合に、クロム、砒素、セレン、ホウ素の4つの重金属類すべての溶出を低減できる効果が得られる。
前記軽焼生成物における前記MgCxyは、例えば、MgCO3の基本構造が脱炭酸によって変化し基本構造の規則性が崩れた不定形な形で存在していると考えられる。
また、前記軽焼生成物における前記MgCO3および前記MgCxyはおそらく非晶質であると考えられる。
前記鉱物中の炭酸マグネシウム(MgCO3)の一部はそのまま残存させると同時に、炭酸マグネシウムの一部を脱炭酸してMgCxyとし、さらに前記鉱物中の炭酸カルシウム(CaCO3)は実質的には脱炭酸させない状態で軽焼を停止することによって、残存するMgCO3および生成されるMgCxyは非晶質化するものと考えられる。
このことは、例えば、X線回析法(XRD)による同定結果およびX線光電子分光法(XPS)による検出スペクトル解析などから容易に推測しうる。
すなわち、前記軽焼生成物を、XPSによる成分分析を行うと、MgCO3およびMgCxyのピークが検出されるが、同時にXRDによる同定を行うと、MgCO3およびMgCxyは検出されない。これは、XRDでは結晶質のものしか検出できないため、前記軽焼生成物中に含まれる前記MgCO3および前記MgCxyは非晶質化しているものと推定される。
前記軽焼生成物における、前記MgCO3および前記MgCxyの合計含有量は、例えば、32.1質量%〜40.3質量%、好ましくは34.5質量%〜39.6質量%である。
前記軽焼生成物中の各成分が前記範囲の含有量であることで、重金属溶出低減材とした場合に、前記4つの重金属類に対するより高い溶出低減効果が得られる。
前記軽焼生成物における、前記CaCO3の含有量は、例えば、40質量%〜65質量%、好ましくは45質量%〜65質量%である。
かかる範囲の前記CaCO3の含有量であることで、重金属溶出低減材とした場合に、長期間溶出低減効果を維持することができる。
前記MgCO3および前記MgCxyの合計含有量、並びに前記CaCO3の含有量の各測定は、例えば、JIS R2212−4に規定するマグネシア及びドロマイト質耐火物の成分分析方法、X線回析法(XRD)による同定結果、X線光電子分光法(XPS)による成分分析方法等により測定することが可能である。
前記軽焼生成物が前記のような3つの成分を実質的に含有する軽焼生成物であるか否かは、X線光電子分光法(XPS)によって検出されるスペクトルにおいて示される前記各ピーク値が現れるか否かによって明確に確認できる。
例えば、X線光電子分光装置 Sigma Probe(VGサイエンティフィック社製)を用いて、前記軽焼生成物を試料ペレットに埋めて表面をエッチング処理等適宜前処理した試料から検出されるXPSスペクトルのO1sに対応するスペクトルにおけるピークを調べると、前記軽焼生成物が前記のような3つの成分を含有する場合には、各成分のピークが現れる。
尚、本実施形態の前記軽焼生成物は、CaOを実質的に含有しないことが好ましい。
前記鉱物を軽焼した場合には、前記鉱物中のMgCO3の一部を脱炭酸させるが、CaCO3を実質的には脱炭酸する温度での焼成ではないため、前記軽焼生成物中には、実質的にCaOは含まれていない。
尚、前記軽焼生成物がCaOを実質的に含有しない、とは、X線回析法(XRD)による同定結果および前記X線光電子分光法(XPS)によって検出されるO1sに対応するスペクトルにおいて、CaOのピークが現れないことを意味する。
前記軽焼生成物は、前記鉱物を軽焼することで質量が減少するが、かかる軽焼による質量減少率は、例えば、9〜20%、好ましくは10〜17%、より好ましくは16〜17%である。
質量減少率をこのような数値範囲内とすることにより、炭酸マグネシウム等からの脱炭酸反応を適切に生じさせ、前記鉱物中の炭酸マグネシウムの一部を残存させると同時に、炭酸マグネシウムの一部を脱炭酸してMgCxyとし、かかる脱炭酸によって生じる前記MgCxyと、炭酸マグネシウム(MgCO3)と、炭酸カルシウム(CaCO3)とを含有する軽焼生成物を適切に生成させることができるものと考えられる。
前記軽焼生成物のBET比表面積は、例えば、5〜10m2/g、好ましくは7〜10m2/gであって、且つ、細孔径分布のピーク半径が10〜20nmの数値範囲内であることが好ましい。前記軽焼生成物中のBET比表面積および細孔径分布のピーク半径が前記範囲であることで、重金属溶出低減材とした場合に前記4つの重金属類に対してより高い溶出低減効果が得られる。
本実施形態の重金属溶出低減材に含まれるセメントとしては、公知のセメントであれば特に制限されることはないが、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、白色ポルトランドセメント等のポルトランドセメント;高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカセメント等の混合セメント;超速硬セメント、アルミナセメントなどが挙げられる。
前記セメントは単独で又は2種以上を混合してもよい。
前記セメントは、石膏などと混合されたセメント系固化材として、本実施形態の重金属溶出低減材に配合されていてもよい。
本実施形態の重金属溶出低減材において、前記軽焼生成物と前記セメントの質量比は、軽焼生成物:セメント=60:40〜20:80の範囲、好ましくは、40:60〜20:80の範囲、特に好ましくは、36:64〜24:76の範囲である。
前記軽焼生成物と前記セメントの質量比が前記範囲であることで、焼却灰中に含まれるクロム、砒素、セレン、ホウ素の各重金属類すべての溶出を低減することができる。
また、前記軽焼生成物と前記セメントの質量比が前記範囲であることで、焼却灰に混合した場合に、セメント由来の重金属類が混入する量を適切な量に抑制でき、且つ、混合後の焼却灰の強度を適度な範囲に調整することが容易にできる。
本実施形態の重金属溶出低減材は、さらに、鉄塩を含んでいてもよい。
前記鉄塩としては、例えば、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、塩化第二鉄、塩化第一鉄等が挙げられる。中でも、硫酸第一鉄が、任意のpHに調整しやすく、且つ還元力が比較的大きいため、特に好ましい。
前記鉄塩は、例えば、1.0質量%以上10.0質量%以下、好ましくは1.0質量%以上4.0質量%以下、配合されていることが好ましい。
前記鉄塩の量が前記範囲であることで、前記4つの重金属類の溶出をより低減できる。
本実施形態の重金属溶出低減材は、必要に応じて他の成分を含んでいてもよい。
次に、前記重金属溶出低減材を用いた焼却灰の重金属溶出低減方法の一実施形態について説明する。
本実施形態の焼却灰の重金属溶出低減方法は、前記重金属溶出低減材を焼却灰に混合して、重金属類の溶出を低減させる方法である。
前記焼却灰としては、例えば、都市ゴミや産業廃棄物のゴミ処理施設から排出されるゴミの焼却灰、石炭火力発電所から排出されるフライアッシュやクリンカアッシュ等の石炭灰等が挙げられる。特に前記石炭灰には、クロム、砒素、セレン、ホウ素の重金属類が比較的多く含有されている場合がある。かかる石炭灰を、土木建築材料等として利用する場合に、これらの重金属類が溶出して環境を汚染するおそれがある。
本実施形態の重金属溶出低減材方法は、前記4種類の重金属類が比較的多く含まれている石炭灰からの重金属類の溶出を低減する方法として適している。
前記重金属溶出低減材を、石炭灰に混合する量は、石炭灰に含まれる重金属類の濃度に応じて適宜設定できるが、例えば、石炭灰に対して2.5質量%以上20質量%以下、好ましくは10質量%以上15質量%以下程度混合する。
前記範囲であれば、前記重金属溶出低減材を過剰に混合することなく、クロム、砒素、セレン、ホウ素の溶出の低減効果が得られる。
本実施形態の溶出低減方法では、前記重金属溶出低減材を石炭灰に混合する際に、水を混合してもよい。前記水の混合量は、例えば、石炭灰に対して30質量%〜45質量%程度である。
前記水を石炭灰に混合するタイミングとしては、前記重金属溶出低減材を石炭灰に混合する前又は後であってもよく、あるいは同時であってもよいが、混合時に粉体材料が空気中に飛ぶことを防止するという観点から、前記重金属溶出低減材を石炭灰に混合する前に水を混合することが好ましい。
本実施形態にかかる重金属溶出低減材および焼却灰の重金属溶出低減方法は以上のとおりであるが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は前記説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
以下に実施例を示して、本発明にかかる重金属溶出低減材および溶出低減方法についてさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(重金属溶出低減材)
重金属溶出低減材の材料として、下記のものを準備した。
《軽焼生成物》
3mm〜7mmの粒子状のドロマイト(住友大阪セメント株式会社唐沢鉱業所産)を、800℃の電気炉で30分間軽焼し、粉砕してブレーン値4200±200cm2/gの粉末とした軽焼生成物を準備した。
尚、前記ドロマイトは、目開き7mmのふるいを通過し、3mmのふるい上に残留したものを用いた。
《セメント系固化材》
普通ポルトランドセメント(住友大阪セメント社製)と、高炉スラグ(住金鉱化社製)と、無水石膏(旭硝子社製)とを、質量比が7:2:1となるように混合したセメント系固化材を準備した。
《硫酸第一鉄》
鉄塩として、硫酸第一鉄・一水和物(堺化学工業社製)を準備した。
前記各材料を、表1の配合になるように混合して、実施例1〜4および比較例2〜6の重金属溶出低減材を作製した。
尚、重金属溶出低減材の各成分については、軽焼生成物:セメント系固化材中のセメントの質量部比、および、軽焼生成物、セメント系固化材、硫酸第一鉄の配合の質量%を表1に示した。
(溶出試験I)
石炭火力発電所産のフライアッシュ1kgに対して、水360g(36質量%)添加してよく混合し、その後、各実施例1〜4、または比較例2〜6の重金属溶出低減材をそれぞれ100gずつ(石炭灰乾燥質量に対して10質量%)混合した。各重金属溶出低減材を混合したフライアッシュは密封して、24時間20℃にて静置後に、実験室内にて、フライアッシュと重金属溶出低減材との混合物の重量が一定になるまで、室温で3日間程度乾燥させた後、「平成3年環境庁告示第46号」に準拠した各重金属類の溶出試験を行い、溶出液中の、クロム、砒素、セレン、ホウ素の濃度を以下の装置を用いて測定した。
尚、比較例1として、石炭灰に水のみ混合した混合物を準備し、前記溶出試験を行ない、同様に溶出液中の、クロム、砒素、セレン、ホウ素の濃度を測定した。
《重金属類の濃度測定装置》
クロム、ホウ素:ICP発光分光分析(バリアンテクノロジーズジャパンリミテッド社製 VARIAN ICP発光分光分析装置 730−ES)
砒素:水素化物原子吸光法(日立製作所社製 Z−5000型偏光ゼーマン原子吸光光度計)
フッ素:ランタン−アリザリンコンプレキソン吸光光度法(ビーエルテック社製 連続流れ分析装置 SWAAT)
結果を、表1に示す。
表1の結果から、各実施例は、クロム、砒素、セレン、ホウ素の4つの重金属類すべての溶出が抑制されていた。特に、軽焼生成物とセメントとの質量比が、36:64〜24:76の範囲内である実施例3および4では、クロム、砒素、セレン、ホウ素の4つの重金属類の溶出量すべてが表中に記載の基準値(環境庁告示第46号に記載の環境基準値)を下回った。
(溶出試験II)
実施例3の溶出低減材を用いて、石炭灰に対する溶出低減材の混合量を変化させた実施例5〜実施例9について各重金属類の溶出量を前記実施例1から4と同様の方法で測定した。尚、比較のため比較例1の結果と、合わせて、結果を表2に示した。
表2の結果から、石炭灰に対して混合する重金属溶出低減材の量が多くなるほど、各重金属の溶出は低減できることがわかる。尚、15質量%混合した実施例9では、セレンの溶出量は、12.5質量%混合した実施例8と同程度の溶出量であった。
(軽焼生成物等の分析)
前記軽焼生成物および、比較のために栃木県葛生地方産出のドロマイト(住友大阪セメント株式会社唐沢鉱業所産)を加熱処理しないもの(ドロマイト1)、120分間加熱したもの(ドロマイト2)及び、市販のMgO(泉工業株式会社製、商品名:酸化マグネシウム(純度19.99%)(酸化マグネシウム)をX線光電子分光装置:Sigma Probe(VGサイエンティフィック社製)を用いて分析した。
測定条件は以下の通りである。
《測定条件》
X線源: AlKα線(1486.6eV)
検出角度:約45°
ビーム径:100W/400μm
パスエネルギー(ワイドスキャン):100eV、Ar(30),C(20),O(30),Mg(10),Ca(10)、(カッコ内は積算回数)
パスエネルギー(元素ナロースキャン):20eV
測定元素:Ar,C,O,Mg,Ca
Ar+イオンスパッタ速度:約2nm/min(Ta25膜に換算)
前記試料はそれぞれInペレットに埋めて平らにし、カーボンテープで試料台に固定した。
測定は各試料とも300秒、Arイオンでスパッタによるエッチング処理後、測定した。
図1乃至図4に、軽焼生成物、ドロマイト1,2および酸化マグネシウムのXPSスペクトルのOs1のスペクトルを示す。
また、表3には分析結果を示す。
図1は軽焼生成物のXPSスペクトルである。
図1および表3に示すように、軽焼生成物からは、MgCO3およびCaCO3のピークの間の領域に2種類のMgCxyのピークが現れている。
すなわち、前記軽焼生成物は、ドロマイト中のMgCO3の一部が脱炭酸されたMgCxyを含み、且つ、MgCO3およびCaCO3も含むことを示している。
一方、CaOの位置にはピークが見られないことから、前記軽焼生成物は、ドロマイト中の成分であるCaCO3が脱炭酸されたCaOを含んでいないことを示している。
図2に示すドロマイト1は、ドロマイト中の成分であるMgCO3及びCaCO3のピークのみを示している。
図3に示すドロマイト2は、MgCxyのピークを示しており、MgCO3のピークは示していない。これは、ドロマイト中のMgCO3のほとんどが脱炭酸されてMgCxyとなったためと考えられる。さらに、ドロマイト2はCaOのピークも示しており、これはCaCO3の一部が脱炭酸されていると考えられる。
図4に示す酸化マグネシウムではMgOのピークのみを示している。
さらに、前記軽焼生成物、ドロマイト1,2及び酸化マグネシウムを、X線回析装置:X’Pert PRO(PANalytical社製)を用いてXRD回析を行った。
測定条件は以下の通りである。
《測定条件》
手法:粉末X線回折、スピンなし
管球:Cu
出力設定:45kV,40mA
2θ:30〜85°
ステップサイズ:0.05°2Th.
スキャンステップ時間:0.5s
スキャン種類:連続
図5にXRD回析スペクトルを示す。
前記XRD回析の結果、ドロマイト1からはCaMg(CO32が、軽焼生成物からはCaCO3のみが、ドロイマイト2からはCaCO3およびCaOが、酸化マグネシウムからはMgOのみが、同定された。
すなわち、軽焼生成物のXPSスペクトルにおいてはMgCO3およびMgCxyのピークを示しているにもかかわらず、XRD同定ではこれらのマグネシウム化合物は検出されなかったことから、軽焼生成物に含まれるMgCO3およびMgCxyはXRDで検出されない非晶質化したものであると推定される。

Claims (3)

  1. MgC(但し、0<x≦1、0<y<3を満たす。)と炭酸マグネシウム(MgCO)と炭酸カルシウム(CaCO)とを含む軽焼ドロマイトと、セメントとを備え、
    前記軽焼ドロマイトと前記セメントとの質量比が、軽焼ドロマイトの質量:セメントの質量=36:64〜24:76の範囲であり、
    前記軽焼ドロマイトは、前記軽焼ドロマイト全量に対して、前記炭酸カルシウム(CaCO)を40質量%〜65質量%含むものであり、クロム、ヒ素、セレン、及び、ホウ素の溶出を低減する重金属類溶出低減材。
  2. 鉄塩をさらに含む請求項1に記載の重金属類溶出低減材。
  3. 請求項1または2に記載の重金属溶出低減材を焼却灰に混合して、前記焼却灰からの重金属類の溶出を低減させる焼却灰の重金属類溶出低減方法。
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