JP5674152B2 - フッ素、ヒ素及び重金属溶出低減材 - Google Patents

フッ素、ヒ素及び重金属溶出低減材 Download PDF

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Description

本発明は、主として汚染土壌等から有害重金属が溶出することを抑制する溶出低減材に関する。
近年、工場跡地における土壌汚染や、産業廃棄物等の不法投棄による土壌汚染が社会問題として指摘されるようになり、このような汚染土壌から化学物質が溶出することを抑制する方法が、種々試みられている。
例えば、該汚染土壌中に含まれる重金属に対しては、酸化マグネシウム、軽焼ドロマイト、セメント、ゼオライト、鉄塩、高炉スラグなど用いて溶出低減処理を図ることが提案されている。なかでも、ドロマイトは、栃木県葛生地方など日本国内でも大量に産出する鉱物であるため、比較的安価に入手することができ、該ドロマイトを低温で焼成した軽焼ドロマイトは、溶出低減材としても注目されている(下記特許文献1参照)。
ところで、この軽焼ドロマイトは、ドロマイトの主成分であるCaCO3やMgCO3に由来するカルシウムイオンやマグネシウムイオンが、ポゾラン反応やゲル化反応を起こすことによって重金属の溶出を抑制するものと言われているが、従来の軽焼ドロマイトにおいては、重金属等の溶出抑制効果が十分とは言えず、溶出低減効果を高めるために他の溶出低減手段を併用しなければならないという問題があった。
特開2006−289306号公報
本発明は、上述の如き従来技術の問題点に鑑み、重金属等の溶出抑制作用の優れた溶出低減材を提供することを課題とする。
本発明に係るフッ素、ヒ素及び重金属溶出低減材は、炭酸マグネシウム(MgCO3)と炭酸カルシウム(CaCO3)とを含む鉱物が軽焼されてなり、且つ前記MgCO3が脱炭酸されることで生成されるMgCxy(但し、0<x≦1、0<y<3を満たす。)と、MgCO3と、CaCO3とを含む軽焼生成物を含有し、前記鉱物は、炭酸マグネシウムを20質量%以上、炭酸カルシウムを15質量%以上含むことを特徴としている。
本発明に係るフッ素、ヒ素及び重金属溶出低減材は、炭酸マグネシウム(MgCO3)と炭酸カルシウム(CaCO3)とを主成分として含む鉱物が軽焼された軽焼生成物であって、前記鉱物中に含まれる炭酸マグネシウムの一部が脱炭酸されて生成されるMgCxy(但し、0<x≦1、0<y<3を満たす。)を含み、さらに、脱炭酸されていない炭酸マグネシウム(MgCO3)および炭酸カルシウム(CaCO3)を含む、すなわち、3つの成分を含む軽焼生成物を含む溶出低減材であるため、優れた溶出抑制作用を発揮させることができる。
尚、本発明における軽焼とは、前記鉱物を加熱して、前記鉱物中の炭酸マグネシウム(MgCO3)の一部を脱炭酸させることをいう。
本発明に係るフッ素、ヒ素及び重金属溶出低減材において、前記軽焼生成物は、X線光電子分光法(XPS)によって検出されるO1sに対応するスペクトルにおいて、前記MgCxyのピークが、MgCO3およびCaCO3の各ピークの中間領域に示されることが好ましい。
本発明の溶出低減材に含まれる前記軽焼生成物において、前記のような前記MgCxy、MgCO3、CaCO3が含まれていることは、X線光電子分光法(XPS)によって検出されるO1sに対応するスペクトルにおいて示される前記各ピークによって、明確に検証可能である。
すなわち、前記のようなピークを示す前記軽焼生成物であれば、優れた溶出抑制作用を発揮させうる状態で前記MgCxy、MgCO3、CaCO3の各成分が含有されている軽焼生成物である。
本発明において、前記軽焼生成物は、X線回析法(XRD)による同定結果および前記X線光電子分光法(XPS)によって検出されないことが好ましい。
前記鉱物中のCaCO3が脱炭酸されたCaOを実質的に含まない軽焼生成物を含むことによって、より、溶出抑制作用を発揮させることができる。
尚、CaOを実質的に含まない、とは、前記軽焼生成物の、X線回析法(XRD)による同定結果およびX線光電子分光法(XPS)によって検出されるO1sに対応するスペクトルにおいて、CaOのピークを示さないことをいう。
本発明に係る溶出低減材は、さらに、水溶性硫酸塩を含有することが好ましい。
前記水溶性硫酸塩をさらに含有することによって、より高い溶出抑制作用を発揮させることができる。
また、本発明において、前記水溶性硫酸塩が硫酸第一鉄であることが好ましい。
特に、前記水溶性硫酸塩として硫酸第一鉄を用いた場合には、より一層高い溶出抑制作用を発揮させることができる。
本発明によれば、重金属等の溶出抑制作用の優れた溶出低減材を提供することが可能となる。
実施例の溶出低減材についての、X線光電子分光法(XPS)によって検出されるO1sに対応するスペクトル 比較例の溶出低減材についての、X線光電子分光法(XPS)によって検出されるO1sに対応するスペクトル。 比較例の溶出低減材についての、X線光電子分光法(XPS)によって検出されるO1sに対応するスペクトル。 比較例の溶出低減材についての、X線光電子分光法(XPS)によって検出されるO1sに対応するスペクトル。 実施例および比較例の溶出低減材についての、X線回析によって検出されるスペクトル。
以下、本発明に係る溶出低減材について実施形態として具体的に説明する。
本実施形態の溶出低減材は、炭酸マグネシウム(MgCO3)と炭酸カルシウム(CaCO3)とを主成分として含む鉱物が軽焼されてなり、且つ前記炭酸マグネシウムが脱炭酸されることで生成されるMgCxy(但し、0<x≦1、0<y<3を満たす。)と、炭酸マグネシウム(MgCO3)と、炭酸カルシウム(CaCO3)とを含む軽焼生成物を含有するものである。
炭酸マグネシウムと炭酸カルシウムとを主成分として含む前記鉱物とは、炭酸マグネシウムを20質量%以上、好ましくは40質量%以上含み、且つ炭酸カルシウムを15質量%以上、好ましくは 50質量%以上含む鉱物を好適に用いることができる。
前記鉱物の具体例としては、ドロマイト等を挙げることができる。
前記ドロマイトとしては、炭酸マグネシウムと炭酸カルシウムとを含有してなるものであれば特に限定されず、天然に産出するドロマイト(白雲石)のほか、水酸化マグネシウムスラリーと石灰乳との混合物を焼成して得られた合成ドロマイト等を用いることもできる。
なお、天然に産出するドロマイトは、一般に、CaO/MgOで表わされる複塩のモル比が0.70〜1.63の範囲であり、CaCO3をCaO換算で概ね9〜40質量%、MgCO3をMgO換算で概ね10〜38質量%含有するものである。
本実施形態の前記鉱物は、前記したようなMgCxyと、炭酸マグネシウム(MgCO3)と、炭酸カルシウム(CaCO3)とを含む生成物が生成されるように軽焼する。
かかる軽焼の際の温度条件としては、640〜990℃の範囲とし、好ましくは690〜890℃とし、さらに好ましくは760〜850℃とする。
また、軽焼時間は温度条件によっても変動するが、通常、10〜60分である。
前記のような軽焼を行なうことにより、前記鉱物中に含まれる炭酸マグネシウム(MgCO3)の一部を脱炭酸してMgCxy(但し、0<x≦1、0<y<3を満たす。)を生成することができる。
すなわち、前記軽焼を行なうことにより、前記鉱物中の炭酸マグネシウム(MgCO3)の一部はそのまま残存させると同時に、炭酸マグネシウムの一部を脱炭酸してMgCxyとし、さらに前記鉱物中の炭酸カルシウム(CaCO3)は実質的には脱炭酸させないことによって、前記MgCxyと、炭酸マグネシウム(MgCO3)と、炭酸カルシウム(CaCO3)とを含む軽焼生成物を得ることができる。
前記鉱物を、高温長時間焼成して完全な焼成物とした場合、前記鉱物中に含まれる炭酸マグネシウム(MgCO3)が脱炭酸されると同時に、炭酸カルシウム(CaCO3)も脱炭酸されてしまい、前記のような3つの成分を実質的に含む軽焼生成物を得ることができない。
前記軽焼生成物における前記MgCxyは、例えば、MgCO3の基本構造が脱炭酸によって変化し基本構造の規則性が崩れた不定形な形で存在していると考えられる。
また、前記軽焼生成物における前記MgCO3および前記MgCxyはおそらく非晶質であると考えられる。
前記鉱物中の炭酸マグネシウム(MgCO3)の一部はそのまま残存させると同時に、炭酸マグネシウムの一部を脱炭酸してMgCxyとし、さらに前記鉱物中の炭酸カルシウム(CaCO3)は実質的には脱炭酸させない状態で軽焼を停止することによって、残存するMgCO3および生成されるMgCxyは非晶質化するものと考えられる。
このことは、前記のようなXRDによる同定結果およびXPSによる検出スペクトル解析から推測しうる。
すなわち、前記軽焼生成物を、XPSによる成分分析を行うと、MgCO3およびMgCxyのピークが検出されるが、同時にXRDによる同定を行うと、MgCO3およびMgCxyは検出されない。これは、XRDでは結晶質のものしか検出できないため、前記軽焼生成物中に含まれる前記MgCO3および前記MgCxyは非晶質化しているものと推定される。
前記軽焼生成物における、前記MgCO3および前記MgCxyの合計含有量は、32.1質量%〜40.3質量%、好ましくは34.5質量%〜39.6質量%であることが好ましい。
かかる範囲の含有量であることで、溶出低減材とした場合に溶出低減効果を向上させることができる。
前記軽焼生成物における、前記CaCO3の含有量は40質量%〜65質量%、好ましくは45質量%〜65質量%であることが好ましい。
かかる範囲の前記CaCO3の含有量であることで、溶出低減材とした場合に、長期間溶出低減効果を維持することができる。
前記MgCO3および前記MgCxyの合計含有量、前記CaCO3の含有量の測定は、例えば、JIS R2212−4に規定するマグネシア及びドロマイト質耐火物の成分分析方法、または、X線回析法(XRD)による同定結果およびX線光電子分光法(XPS)による成分分析により、測定することが可能である。
前記軽焼生成物が前記のような3つの成分を実質的に含む軽焼生成物であることは、X線光電子分光法(XPS)によって検出されるスペクトルにおいて示される前記各ピーク値によって明確に確認できる。
本実施形態では、例えば、X線光電子分光装置 Sigma Probe(VGサイエンティフィック社製)を用いて、前記軽焼生成物を試料ペレットに埋めて表面をエッチング処理等適宜前処理した試料を分析し、検出されるXPSスペクトルのO1sに対応するスペクトルにおけるピークを調べることで、前記軽焼生成物が前記のような3つの成分を含む場合には、各成分のピークが現れる。
尚、本実施形態の前記軽焼生成物は、CaOを実質的に含まないことが好ましい。
前記鉱物を軽焼した場合には、前記鉱物中のMgCO3の一部を脱炭酸させるが、CaCO3を実質的には脱炭酸する温度での焼成ではないため、前記軽焼生成物中には、実質的にCaOは含まれていない。
前記軽焼生成物がCaOを実質的に含まないことは、例えば、X線回析法(XRD)による同定結果および前記X線光電子分光法(XPS)によって検出されるO1sに対応するスペクトルにおいて、CaOのピークが現れないことで確認することができる。
前記軽焼生成物は、前記鉱物を軽焼することで質量が減少するが、かかる軽焼による質量減少率は9〜20%、好ましくは10〜17%、より好ましくは16〜17%であるように軽焼することが好ましい。
前記軽焼による質量減少率をこのような数値範囲内とすることにより、炭酸マグネシウム等からの脱炭酸反応を適切に生じさせ、前記鉱物中の炭酸マグネシウムの一部を残存させると同時に、炭酸マグネシウムの一部を脱炭酸してMgCxyとし、かかる脱炭酸によって生じる前記MgCxyと、炭酸マグネシウム(MgCO3)と、炭酸カルシウム(CaCO3)とを含む軽焼生成物を適切に生成させることができるものと考えられる。
尚、焼成雰囲気等の他の焼成条件や、焼成に用いる焼成装置については、従来公知の焼成条件および焼成装置を採用することができる。
また、本発明に係る溶出低減材は、必要に応じて、さらに、水溶性硫酸塩が添加されていてもよい。
前記水溶性硫酸塩としては、例えば、硫酸第一鉄、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アルミニウムナトリウム等を挙げることができ、中でも、硫酸第一鉄を用いることが好ましい。
本実施形態の溶出低減材において、前記水溶性硫酸塩を加える場合には、前記軽焼生成物100重量部に対して、5〜90重量部、好ましくは、5〜30重量部とすることが好ましい。
前記水溶性硫酸塩を前記範囲に配合することで、重金属等の溶出を抑制することが可能となり、特に、長期間にわたって、安定して溶出低減効果が継続して得られる。
本実施形態の溶出低減材は、例えば、重金属等を含む汚染土壌等に添加する場合には、土壌中の重金属の量に応じて適宜好ましい量を混合することができるが、例えば、汚染土壌に対して20〜200kg/m3、好ましくは50〜150kg/m3の濃度になるように添加することが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明について更に詳細に説明する。
《成分分析》
軽焼生成物の調整
栃木県葛生地方産出のドロマイト(住友大阪セメント株式会社唐沢鉱業所産)を準備し、800℃の電気炉で0分(加熱処理しない:比較例1)、30分間加熱したもの(実施例1)、及び120分間加熱したもの(比較例2)を準備した。
さらに、市販のMgO(泉工業株式会社製、商品名:酸化マグネシウム(純度19.99%)(比較例3)を準備した。
軽焼生成物の成分分析
上記各実施例および比較例を、X線光電子分光装置:Sigma Probe(VGサイエンティフィック社製)を用いて分析した。
測定条件は以下の通りである。
《測定条件》
X線源: AlKα線(1486.6eV)
検出角度:約45°
ビーム径:100W/400μm
パスエネルギー(ワイドスキャン):100eV、Ar(30),C(20),O(30),Mg(10),Ca(10)、(カッコ内は積算回数)
パスエネルギー(元素ナロースキャン):20eV
測定元素:Ar,C,O,Mg,Ca
Ar+イオンスパッタ速度:約2nm/min(Ta25膜に換算)
前記試料はそれぞれInペレットに埋めて平らにし、カーボンテープで試料台に固定した。
測定は各試料とも300秒、Arイオンでスパッタによるエッチング処理後、測定した。
図1乃至図4に、各実施例および比較例のXPSスペクトルのOs1のスペクトルを示す。
また、表1には各実施例および比較例の分析結果を示す。
図1は実施例1のXPSスペクトルである。
図1および表1に示すように、実施例1の軽焼生成物からは、MgCO3およびCaCO3のピークの間の領域に2種類のMgCxyのピークが現れている。
すなわち、実施例1の軽焼生成物は、ドロマイト中のMgCO3の一部が脱炭酸されたMgCxyを含み、且つ、MgCO3およびCaCO3も含むことを示している。
一方、CaOの位置にはピークが見られないことから、実施例1の軽焼生成物では、ドロマイト中の成分であるCaCO3が脱炭酸されたCaOを含んでいないことを示している。
図2に示す比較例1は、ドロマイト中の成分であるMgCO3及びCaCO3のピークのみを示している。
図3に示す比較例2は、MgCxyのピークを示しており、MgCO3のピークは示していない。
これは、ドロマイト中のMgCO3のほとんどが脱炭酸されてMgCxyとなったためと考えられる。
さらに、比較例2はCaOのピークも示しており、これはCaCO3の一部が脱炭酸されていると考えられる。
図4に示す比較例3はMgOのピークを示している。実施例1および比較例2では、この比較例3で示されるピークの位置にはピークを示しておらず、すなわち、実施例1および比較例2で軽焼または焼成によって生成されるMgCxyはMgOとは異なる化合物であることがわかる。
さらに、前記各実施例および比較例を、X線回析装置:X’Pert PRO(PANalytical社製)を用いてXRD回析を行った。
測定条件は以下の通りである。
《測定条件》
手法:粉末X線回折、スピンなし
管球:Cu
出力設定:45kV,40mA
2θ:30〜85°
ステップサイズ:0.05°2Th.
スキャンステップ時間:0.5s
スキャン種類:連続
図5に、各実施例および比較例のXRD回析スペクトルを示す。
前記XRD回析の結果、比較例1(加熱処理していないドロマイト)からはCaMg(CO32が、実施例1(軽焼生成物)からはCaCO3のみが、比較例2(120分焼成ドロマイト)からはCaCO3およびCaOが、比較例3(市販酸化マグネシウム)からはMgOのみが、同定された。
すなわち、実施例1のXPSスペクトルにおいてはMgCO3およびMgCxyのピークを示しているにもかかわらず、XRD同定ではこれらのマグネシウム化合物は検出されなかったことから、実施例1に含まれるMgCO3およびMgCxyはXRDで検出されない非晶質化したものであると推定される。
溶出低減材の評価
前記比較例1(未処理ドロマイト)、実施例1、および比較例2(120分焼成ドロマイト)、ならびに前記実施例1の軽焼生成物に硫酸第一鉄一水塩(堺化学工業社製)を表2に示す配合で混合した実施例2乃至4の溶出低減材を調製し、ヒ素および鉛の溶出低減効果を以下の方法で評価した。
前記各実施例及び比較例をそれぞれ溶出低減材とし、ヒ素および鉛の溶出低減効果を以下の方法で評価した。
各実施例、比較例を、それぞれヒ素および鉛の5、100mg/lの標準溶液100mlに1gの割合で添加し、4時間撹拌混合した後、ろ過した際のろ液中の重金属濃度をICP分析装置(バリアンテクノロジーズジャパンリミテッド社製、装置名「VARIAN ICP 発光分光分析装置 730−ES」)を用いて測定した。その測定結果より、下記の算出式を用いて吸着除去率として求めた。

吸着除去率[%]=(初期濃度−ろ液中濃度)÷ 初期濃度 × 100

結果を下記表3に示す。
表3より、各実施例の溶出低減材は、未処理のドロマイト、加熱時間の長いドロマイトに比べいずれの重金属に対しても高い吸着除去率であることがわかる。
また、硫酸第一鉄を添加することにより、より優れた吸着作用を発揮しうるものであることが認められる。
模擬汚染土による評価
以下の手順にて模擬汚染土を調製するとともに、前記実施例1及び比較例4(セメント系固化材:タフロック(住友大阪セメント社製))の溶出低減材を、前記模擬汚染土を用いてさらに評価した。
摸擬汚染土の調製
砂質土(千葉県成田産)に、硝酸鉛、亜ヒ酸カリウム、フッ化ナトリウムを添加し、摸擬汚染土を作製した。
上記実施例1および比較例4として調製した溶出低減材を用い、摸擬汚染土に対し、粉体でそれぞれ100kg/m3の割合で添加し撹拌混合した。
そして、模擬汚染土、及び前記実施例1または比較例4を混合した後の摸擬汚染土に対し、材齢1日、7日、28日経過後において環境庁告示46号に準じて溶出試験を実施し、溶出液中の鉛、ヒ素およびフッ素の濃度について下記装置を用いて測定した。結果を下記表4に示す。
《測定装置》
鉛濃度:グラファイトファーネス原子吸光法(日立製作所社製、装置名「Z−5000型偏光ゼーマン原子吸光光度計」)
ヒ素濃度:水素化物原子吸光法(日立製作所社製、装置名「Z−5000型偏光ゼーマン原子吸光光度計」)
フッ素濃度:ランタン−アリザリンコンプレキソン吸光光度法(ビーエルテック社製、「連続流れ分析装置 SWAAT」)
表4より、実施例に係る溶出低減材は、摸擬汚染土に添加した場合、セメント系固化材を混合した場合に比べて、材齢28日経過でも、ヒ素、鉛およびフッ素に関して優れた溶出低減作用を発揮しうるものであることが認められる。
また、実施例に係る溶出低減材は、いずれの材齢経過後でも溶出液のpHを9.2〜9.8の範囲に抑制しており、pHが高くなると溶出しやすくなるヒ素などに対しても長期的に優れた溶出低減作用が発揮しうるものと認められる。

Claims (5)

  1. 炭酸マグネシウム(MgCO3)と炭酸カルシウム(CaCO3)とを含む鉱物が軽焼されてなり、且つ前記MgCO3が脱炭酸されることで生成されるMgCxy(但し、0<x≦1、0<y<3を満たす。)と、MgCO3と、CaCO3とを含む軽焼生成物を含有し、
    前記鉱物は、炭酸マグネシウムを20質量%以上、炭酸カルシウムを15質量%以上含むことを特徴とするフッ素、ヒ素及び重金属溶出低減材。
  2. 前記軽焼生成物は、X線光電子分光法(XPS)によって検出されるO1sに対応するスペクトルにおいて、前記MgCxyのピークが、MgCO3およびCaCO3の各ピークの中間領域に示される請求項1に記載のフッ素、ヒ素及び重金属溶出低減材。
  3. 前記軽焼生成物は、X線回析法(XRD)による同定結果および前記X線光電子分光法(XPS)によって検出されるO1sに対応するスペクトルにおいて、CaOのピークが現れないものである請求項1または2に記載のフッ素、ヒ素及び重金属溶出低減材。
  4. さらに、水溶性硫酸塩を含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のフッ素、ヒ素及び重金属溶出低減材。
  5. 前記水溶性硫酸塩が硫酸第一鉄であることを特徴とする請求項1乃至4いずれか一項に記載のフッ素、ヒ素及び重金属溶出低減材。
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