JP6485514B2 - 重金属等汚染対策材及び前記汚染対策材を用いた重金属等汚染対策工法 - Google Patents
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塩化第二鉄や硫酸第一鉄等の鉄粉系不溶化材は、不溶化できる重金属類が砒素などに限られており、複合的な汚染について対応することが困難であるという問題がある。
しかし、これらの従来の土壌固化材は、セメントや生石灰等の影響で、改質後の土壌のpHが10以上とアルカリ性が強くなってしまい、不溶化土壌のpHが長期的に高い状態が続くため、降雨等により強アルカリ性の地下水が周辺環境へ流れ出てしまい、植生への影響が考えられる。また重金属不溶化能力が低いため、中性領域では溶出していなかった重金属類が溶出する問題がある。
このような材料は固化・不溶化特性には優れるものの、pHが未処理土壌と比べてアルカリ性になりやすく、セメント系固化材等と同様に、周辺環境へ影響を及ぼす可能性があることから改良土の適用範囲に制約を受けるという問題がある。
しかし、pHは中性に保持されるが、改良土のコーン指数は200〜400kN/m2程度と低いため、改良土の使用用途が制限されている。また、コーン指数を200〜400kN/m2まで向上させるには土壌1m3あたり100kg以上の固化材の添加が必要になり、改良土壌固化材量の増加及びコストの面で適切ではなく、更に、重金属の不溶化性能については記載はされていない。また、石膏系固化材は水和生成物である二水石膏が水溶性であるため、雨水等の水分に長期的に暴露する環境では改良土が再泥化してコーン指数が低下するという問題がある。
また、近年、改質した土壌を、湖岸や海岸等に水面埋め立て処理する場合があり、埋め立て後も安定的に重機等が走行できるよう、水分と接触した場合でも再泥化抑制機能を持つ材料のニーズが高まっている。
しかし、特許文献3に示される固化不溶化材料ではpH中性維持能力、不溶化性能及び改質土のコーン指数向上性は良好ではあるが、再泥化するリスクがある。
また特許文献4に示される固化不溶化材は、pH中性維持能力と不溶化性能に優れるものの、pH中性型固化材と同様に石膏がベースのため、添加量を増やしても改良土のコーン指数が約200kN/m2と低いことと長期的に再泥化するリスクがある。
よって従来の固化不溶化材は改良土の適用範囲に制約を受けるという問題がある。
(3) 上記(1)又は(2)の重金属等汚染対策材において、該重金属等汚染対策材中に含まれるMgOは、0.1〜8.0質量%であることを特徴とする。
(5) 上記(1)乃至(4)いずれかの重金属等汚染対策材において、半焼成ドロマイトは、粉末X線回折によるリートベルト法を用いて解析したドロマイト焼成物中の残留CaMg(CO3)2相の含有量が、0.4≦x≦35.4(質量%)であることを特徴とする。
(8) 上記(7)の重金属汚染対策工法において、重金属汚染対策材を添加した土壌のpHを中性(5.8〜8.6)とすることを特徴とする。
従って、従来においては、不溶化処理した土壌がアルカリ性となってしまい、降雨等により強アルカリ性の地下水が周辺環境へ流れ出て植生への影響が懸念されていたが、本発明の重金属等汚染対策材によれば、改良土のpHが中性であるため、従来の不溶化材を適用できなかった現場においても対応が可能となり、重金属等に汚染された土壌処理の適用範囲を拡大することができる。
また、外部からの水分による再泥化を抑制することができるため、湖岸や海岸での埋め立て処理も可能とすることができる。
特に自然由来汚染土壌に多く含まれる鉛、砒素、フッ素等の溶出量が土壌溶出量基準をわずかに超過したレベルであれば、少ない添加量で不溶化と土壌改質性能を発現するという効果を発揮する。
本発明の重金属等汚染対策材は、重金属等汚染対策材は、半焼成ドロマイト、硫酸アルミニウム、硫酸第一鉄、非晶質ケイ酸カルシウム及び/又は炭酸カルシウム及び/又はドロマイト、並びに高分子材料を必須含有成分とし、前記半焼成ドロマイトと硫酸アルミニウムと硫酸第一鉄と非晶質ケイ酸カルシウム及び/又は炭酸カルシウム及び/又はドロマイトの合量中、非晶質ケイ酸カルシウム及び/又は炭酸カルシウム及び/又はドロマイトを50質量%以上、半焼成ドロマイトを5〜30質量%、硫酸アルミニウムを5〜44質量%、硫酸第一鉄を1〜5質量%の割合で含有するとともに、高分子材料を、非晶質ケイ酸カルシウム及び/又は炭酸カルシウム及び/又はドロマイトと半焼成ドロマイトと硫酸アルミニウムと硫酸第一鉄との合量に対して外割で0.1〜10質量%の割合で含有する、重金属等汚染対策材である。
かかる構成を有することにより、上記効果を有効に発現することが可能となる。
好ましくは、半焼成ドロマイトに含有されるMgOは半焼成ドロマイト中、5〜25質量%、好ましくは17〜22質量%の半焼成ドロマイトである。
本発明に用いる半焼成ドロマイト中に含まれるMgO量が、上記範囲にあることにより、重金属等を有効に不溶化することができることとなり望ましい。
半焼成ドロマイト中に含まれるCaMg(CO3)2相を定量して、上記範囲内のCaMg(CO3)2相残留量の半焼成ドロマイトを用いることで、原料となるドロマイト鉱石の産地による組成の相違や、焼成温度等の焼成条件の設定等に関係なく、ドロマイトが最大に優れた重金属等吸着性能を有することが可能となる。
本発明においては、ドロマイトを焼成した半焼成ドロマイト中のドロマイト相(CaMg(CO3)2相)の残留量を粉末X線回折によるリートベルト法により解析して、残留CaMg(CO3)2相の含有量が、好ましくは0.4≦x≦35.4(質量%)、より好ましくは1.8≦x≦17.4(質量%)とすることで、重金属等を、より良好に不溶化することを実現することが可能となる。
残留CaMg(CO3)2相の含有量を、上記範囲内とすることで、半焼成ドロマイト中のMgO含有量を上記範囲とすることができ、特に、重金属等を、より良好に不溶化することを実現することが可能となる。
ドロマイトを焼成する温度は、特に限定されず、通常ドロマイトを焼成して半焼成ドロマイトを製造する温度、例えば650〜1000℃で焼成することができる。残留CaMg(CO3)2相の含有量が、0.4≦x≦35.4(質量%)となるように焼成すれば焼成時間も制限されるものではない。
本発明の重金属等汚染対策材に硫酸アルミニウムが含有されることによって、硫酸アルミニウムが水と反応して形成された水酸化アルミニウムに、フッ素等が吸着して共沈する効果により、不溶化することが可能となる。かかる硫酸アルミニウムは酸性であるため、他の必須含有材料の配合比率を調整することで、本発明の重金属等汚染対策材を用いて処理した土壌を中性に保持することを可能とする。
硫酸第一鉄を含有することにより、その高い還元作用によって、砒素や六価クロム等の重金属等に対して、より有効に不溶化することができるとともに、酸性であるため、他の必須含有材料の配合比率を調整することで、本発明の重金属等汚染対策材を用いて処理した土壌を中性に保持することを可能とする。
また、硫酸第一鉄は無機凝集剤としての効果があると推測され、土中の細粒分を電気的に凝集させて土壌硬度を向上させる機能を有することも考えられる。
また、硫酸アルミニウムと硫酸第一鉄とは、無機凝集剤としての効果があると推測され、土中の細粒分を電気的に凝集させて土壌硬度を向上させる機能を有することも考えられる。
非晶質ケイ酸カルシウムとしては、任意の市場で入手し得る非晶質ケイ酸カルシウムを用いることができ、例えば、高炉スラグ及び製鋼スラグからなる群より選ばれる少なくとも1種を好ましく使用することができる。より好適なのは高炉スラグであり、特に好適なものは高炉水砕スラグである。
例えば、高炉スラグ等は、pHが9〜10程度と、弱アルカリ性であり、また潜在水硬性を有して長期的に強度発現するため、土壌の固化性能を改質して向上させる作用を有し、特に好適に用いることが可能である。
炭酸カルシウムは、カルシウムが溶出して土壌中のアルミ成分と反応してエトリンガイト様の水和物が析出することにより、土壌の粒子を強固に結合して団粒化を促進し、土壌固化性能を得ることができる。
ドロマイトは土壌中の水分と反応してカルシウム及びマグネシウムがイオンとして溶出する。溶出したカルシウムが土壌中のアルミニウム成分と反応してエトリンガイト様の水和物が析出することにより、土壌の粒子を強固に結合して団粒化を促進し、土壌固化性能を得ることができる。また、溶出したカルシウムが硫酸第一鉄から溶出した硫酸イオンと反応することにより二水石膏が析出するため、土壌中の含水比が低減することにより土壌強度向上性能が向上する。同様に、溶出したマグネシウムが硫酸第一鉄から溶出した硫酸イオンと反応することにより、硫酸マグネシウム六水和物が析出するため、土壌中の含水比が低減することにより土壌強度向上性能が向上する。
添加量が50質量%より少なくなると、改良土の固化性能や水和物の析出量が低下し望ましくない。
また、使用するスラグの組成については特に制限されないが、石膏配合スラグ配合のものが水硬性を促進するため好適に使用できる。
また、スラグについては粉末形態であることが好適であり、ブレーン比表面積は8,000cm2/g以下、より好ましくは3,000〜5,000cm2/gであることが、土壌を固化改良する点から望ましい。
更に、スラグ自体からの重金属溶出を抑制するため、スラグ自体に含まれる特定有害物質すべてに対して溶出量及び含有量が環境基準値を下回る必要がある。また同様に、炭酸カルシウムやドロマイトについても、環境基準値を下回る必要がある。
本発明に用いる高分子材料の性状としては、水、特に冷水に溶けやすいこと、水溶液のpHが中性領域であること、種々の土壌に対応することから有効pH領域が弱酸〜弱アルカリ性の範囲をカバーすること、水に溶けると増粘性を示すことを備えるものを用いることが望ましい。
前記有機高分子凝集剤の種類としてはアニオン系高分子凝集剤、ノニオン系高分子凝集剤及びカチオン系高分子凝集剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を好適に使用することができ、特に、より好適なものは、溶液pHが中性であり粘度が高いアニオン系高分子凝集剤である。
前記有機高分子凝集剤としては、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸エステル、ポリアミジン、ポリアクリル酸ソーダ、ポリエチレンオキサイド及びアクリル酸ソーダ−アクリルアミド共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種を使用することができ、特により好適なものは、ポリアクリルアミド系で、同一水量に溶解させたときに水溶液粘度が高いものである。
その含有量は、前記半焼成ドロマイトと硫酸アルミニウムと硫酸第一鉄と非晶質ケイ酸カルシウム及び/又は炭酸カルシウム及び/又はドロマイトとの合量に対して外割で0.1〜10質量%、好ましくは1〜5質量%である。
10質量%を超えると、コストが高くなり経済的でない。また、過剰添加により土壌の改質性能が低下するリスクがある。さらに、土中への有機物の大量添加は環境的にも好ましくない。
かかる重金属等汚染対策材中のMgOは、含有されるドロマイト系化合物由来のものであり、具体的には、ドロマイトを焼成して得られた半焼成ドロマイト等由来のものであり、更に好ましくは半焼成ドロマイト由来のものである。
MgO含有量が0.1質量%未満では、鉛やフッ素等に対する不溶化能力が低下し、8質量%を超えると、MgOのpHがアルカリ性であるため得られる重金属等汚染対策材のpHが9以上のアルカリ性を示し、したがってpH緩衝能力によりpHが下がりにくくなり、土壌pHを中性にするのが困難になる。
また、本発明の重金属等汚染対策材の不溶化性能等に影響を与えない範囲で、上記必須含有材料以外にも、硫酸アルミニウムや消石灰などのpH調整用の任意の材料や、スラグ、炭酸カルシウムなどの土壌改質用の任意の補助材を添加しても良い。
本発明の重金属等対策工法を施工することで、土壌のpHを中性(5.8〜8.6)とする。
例えば、土壌中の重金属等の溶出量は土壌汚染対策法に基づき測定した溶出量がすべて土壌溶出量基準以内となるとともに、環境庁告示46号(平成3年8月23日公布)に準拠した方法で調製した検液のpHは、環境庁の一律排水基準に規定される5.8〜8.6の範囲となり、更に、コーン指数は国土交通省の「発生土利用基準について」の土質区分基準の第3種改良土に規定される400kN/m2以上とすることができ、確実に環境基準を満足するように設計することが可能である。
(模擬汚染土壌の調製)
模擬汚染土壌を以下のようにして調製した。
模擬汚染土壌を調製するに際して使用する原土として、下記表1の特性を有する原土を準備した。
具体的には、砒素を含有する水溶液としては、亜ヒ酸ナトリウム[NaAsO2](関東化学社製)の所定量を水に添加して溶解させた水溶液を、鉛を含有する水溶液としては、硝酸鉛[Pb(NO3)2](関東化学社製)の所定量を水に添加して溶解させた水溶液を、フッ化物を含有する水溶液としては、フッ化ナトリウム[NaF](関東化学社製)の所定量を水に添加して溶解させた水溶液を準備した。
次いで、20℃の室内で各土壌をポリエチレン袋に密封して7日間養生し、それぞれ砒素模擬汚染土壌、鉛模擬汚染土壌、フッ素模擬汚染土壌の3種類の各模擬汚染土壌を調製した。
重金属等汚染対策材を調製するにあたり、以下の材料を用いた。
・半焼成ドロマイト(粉末):栃木県葛生産のドロマイト(粉末)を焼成(表3)
・硫酸アルミニウム:浅田化学工業社製
・硫酸第一鉄:堺化学社製 一水和物粉末
・ドロマイト(粉末):栃木県葛生産
・非晶質ケイ酸カルシウム:日鐵住金スラグ製品社製 高炉スラグ微粉末
(商品名:エスメント 4000ブレーン 石膏入り)
・炭酸カルシウム:関東化学社製 鹿1級粉末
・高分子材料:高分子凝集剤−ハイモ社製、増粘剤−松本油脂製薬社製
・半水石膏:関東化学社製 焼石膏粉末
上記各使用原材料を、下記表6に示す配合割合で混合して、各重金属等汚染対策材を調製した。
なお、各原材料の混合順序は特に制限されないが、各原材料を同時に混合して、各重金属等汚染対策材を製造した。なお、表6中、非晶質ケイ酸カルシウム及び/又は炭酸カルシウム及び/又はドロマイト、半焼成ドロマイト、硫酸アルミニウム並びに硫酸第一鉄は、非晶質ケイ酸カルシウム及び/又は炭酸カルシウム及び/又はドロマイトと半焼成ドロマイトと硫酸アルミニウムと硫酸第一鉄との合量に対して内割で配合した配合量(質量%)を示す。高分子材料は、非晶質ケイ酸カルシウム及び/又は炭酸カルシウム及び/又はドロマイトと、半焼成ドロマイトと、硫酸アルミニウムと、硫酸第一鉄との合量に対して外割で配合した配合量(質量%)を示す。
試験例1:重金属等汚染対策材中のMgO含有量測定
各重金属等汚染対策材について、粉末X線回折によるリートベルト法を用いてMgOの含有量を測定した。その結果を下記表7に示す。
上記各模擬汚染土壌1m3に対して、表6に示す各重金属等汚染対策材75kgを添加し、ソイルミキサーにて低速で2.5分間練り混ぜた後、ソイルミキサーの容器とパドルに付着した土壌を掻き落とし、再度、低速で2.5分間練り混ぜて、各試験土壌を調製した。
試験土壌を調製した後、7日後(材齢7日)の各試験土壌について、環境庁告示46号(平成3年8月23日公布)に準拠した方法で検液を作製し、検液中の重金属等濃度を、JIS K 0102『工場排水試験方法』に準拠して、砒素、鉛、フッ素溶出量を測定した。
なお、比較例1として、各模擬汚染土壌に重金属等対策材を混合しない各模擬汚染土壌についても同様にして、砒素、鉛、フッ素溶出量を測定した。
これらの結果を、下記表7に示す。
上記砒素含有模擬汚染土壌1m3に対して、表6に示す各種重金属等汚染対策材75kgを添加し、ソイルミキサーにて低速で2.5分間練り混ぜた後、ソイルミキサーの容器とパドルに付着した土壌を掻き落とし、再度、低速で2.5分間練り混ぜて、試験土壌を調製した。
試験土壌を調製した後、各試験土壌をJISA 1210:2009「突固めによる土の締固め試験方法」に規定される10cmモールドに3層に分けて充填し、20℃で材齢1日まで密封養生した後、JIS A 1228「突固めによる土の締固め試験方法」に準拠してコーン指数を測定した。
その結果を下記表7に示す。
上記砒素含有模擬汚染土壌1m3に対して、表4に示す各種重金属等汚染対策材75kgを添加し、ソイルミキサーにて低速で2.5分間練り混ぜた後、ソイルミキサーの容器とパドルに付着した土壌を掻き落とし、再度、低速で2.5分間練り混ぜて、試験土壌を調製した。
試験土壌を調製した後、各試験土壌をJISA 1210:2009「突固めによる土の締固め試験方法」に規定される10cmモールドに3層に分けて充填し、20℃で材齢1日まで密封養生した後脱型して供試体を得た。
常温の水道水を貯めた水槽に供試体を入れ、供試体が完全に水中に浸漬する状態で24時間静置し、目視にて供試体の崩れ方から再泥化の有無を確認した(1回目浸漬)。
供試体の初期形状を維持した場合(再泥化しなかった)及び供試体の崩れが一部であった場合は、供試体を水中から取出して24時間30℃で乾燥させた。次いで、当該供試体を再度水中に完全に浸漬させた状態で24時間静置し、目視にて供試体の崩れの状態より再泥化の有無を確認した(2回目浸漬)。
その結果を下記表7に示す。
検液pHは、環境庁の一律排水基準にて規定される5.8〜8.6の範囲となるものを合格とした。
コーン指数は、国土交通省の「発生土利用基準について」の土質区分基準の第3種改良土に規定される400kN/m2以上であるものを合格とした。
再泥化試験は、供試体の初期形状を維持している場合を○、一部が崩れたり、ひび割れが入ったものを△、形状が消失し泥化したものを×として評価した。上記2回の水中浸漬試験を実施して、2回目の浸漬後であっても、初期形状を維持し、供試体に崩れやひび割れが目視で観察できなかったものを合格(○)とした。
なお、実施例においては、上記鉛含有試験土壌及びフッ素含有試験土壌についても同様の方法で評価した試験例2〜4の測定結果は、材齢7日の試験土壌中の鉛、フッ素の溶出量がすべて土壌溶出量基準以内となった(土壌汚染対策法に基づく、次の土壌溶出量基準以下であるものを合格とした。鉛:0.01mg/L、フッ素:0.8mg/L)(表7)。更に、検液pHが一律排水基準範囲内となり、かつコーン指数400kN/m2以上であり、供試体は再泥化せず崩れは観られなかった。
これは、非晶質ケイ酸カルシウムと硫酸イオンの反応によるエトリンガイトの生成によりコーン指数が向上するものの、高分子材料が存在せず土壌中の細粒分の凝集効果がないためコーン指数の伸びが低くなったり、再泥化抑制効果が発現しなかったと考えられる。
半焼成ドロマイトに存在する微細孔への物理吸着がないこと及び半焼成ドロマイト成分との鉛イオンの反応による難溶性化合物が形成されないためだと考えられる。
Claims (8)
- 半焼成ドロマイト化合物、硫酸アルミニウム、硫酸第一鉄、非晶質ケイ酸カルシウム及び/又は炭酸カルシウム及び/又はドロマイト、並びに高分子材料を必須含有成分とし、前記半焼成ドロマイト化合物と硫酸アルミニウムと硫酸第一鉄と非晶質ケイ酸カルシウム及び/又は炭酸カルシウム及び/又はドロマイトの合量中、非晶質ケイ酸カルシウム及び/又は炭酸カルシウムを50質量%以上、前記半焼成ドロマイトを5〜30質量%、硫酸アルミニウムを5〜44質量%及び硫酸第一鉄を1〜5質量%の割合で含有するとともに、高分子材料を、非晶質ケイ酸カルシウム及び/又は炭酸カルシウム及び/又はドロマイトと半焼成ドロマイトと硫酸アルミニウムと硫酸第一鉄との合量に対して外割で0.1〜10質量%の割合で含有することを特徴とする、重金属等汚染対策材。
- 請求項1記載の重金属等汚染対策材において、半焼成ドロマイトは、MgOを5〜25質量%含むことを特徴とする、重金属等汚染対策材。
- 請求項1又は2記載の重金属等汚染対策材において、該重金属等汚染対策材中に含まれるMgOは、0.1〜8.0質量%であることを特徴とする、重金属等汚染対策材。
- 請求項1乃至3いずれかの項記載の重金属等汚染対策材において、重金属等汚染対策材は、粉末形態であることを特徴とする、重金属等汚染対策材。
- 請求項1乃至4いずれかの項記載の重金属等汚染対策材において、半焼成ドロマイトは、粉末X線回折によるリートベルト法を用いて解析したドロマイト焼成物中の残留CaMg(CO3)2相の含有量が、0.4≦x≦35.4(質量%)であることを特徴とする、重金属等汚染対策材。
- 請求項1乃至5いずれかの項記載の重金属等汚染対策材において、非晶質ケイ酸カルシウムは高炉スラグ及び製鋼スラグからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、高分子材料は有機高分子凝集剤及び/又は増粘剤であり、前記有機高分子凝集剤はポリアクリルアミド、ポリアクリル酸エステル、ポリアミジン、ポリアクリル酸ソーダ、ポリエチレンオキサイド及びアクリル酸ソーダ−アクリルアミド共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種で、前記増粘剤はセルロース系増粘剤、ポリアミド系増粘剤及びポリビニルアルコール系増粘剤からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、重金属等汚染対策材。
- 請求項1乃至6いずれかの項記載の重金属等汚染対策材を土壌と混合して用いることを特徴とする、重金属等汚染対策工法。
- 請求項7記載の重金属汚染対策工法において、重金属汚染対策材を添加した土壌のpHを中性(5.8〜8.6)とすることを特徴とする、重金属等汚染対策工法。
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