JP6743961B2 - 汚染物質吸着シート及び当該シートを用いた汚染物質吸着方法 - Google Patents

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Description

本発明は、汚染物質吸着シート及び当該シートを用いた汚染物質吸着方法に関し、特に建築・土木工事で発生する掘削ずり等の掘り起こし残土や汚泥や排水から発生する重金属等の汚染物質を有効に捕獲することができ、軽量で施工性に優れるとともに耐久性に優れる、汚染物質吸着シート及び当該シートを用いた汚染物質吸着方法に関する。
トンネル、ダム、造成などの建設・土木工事を実施する際には、掘削によって掘り起こし残土として、掘削ずりが発生する。
かかる掘削ずりには、自然由来または人工的な汚染物質が含まれることがあるため、汚染物質を含む掘削ずりを含有する建設残土を用いて盛土や埋め立て等を行う場合には、これらの汚染物質に対する有効な除去処理が求められる。
従来は、これらの汚染物質を含む建設残土や建設廃材の処理方法としては、掘削ずりや建設廃材を場外に搬出して処理する方法や不溶化処理方法が利用されている。
また、シートを製造して、かかるシート上に掘削ずりや建設廃材を積載し、汚染物質を吸着させる方法も提案されている。
また、建造物が破壊されて生じるがれきなどの廃棄物は、一旦、屋外の所定の土地に仮置きされた後に処分されるが、当該廃棄物に、重金属類などの環境汚染物質が含まれている場合があり、雨水により廃棄物に水が染み込むと、その水は環境汚染物質を取り込んだ後、汚染水となって廃棄物から染み出し、土壌を汚染する。
例えば、国際公開公報WO2013/115033A1には、ゼオライト等の吸着材と有機バインダーとを混合して吸着シートを形成する場合に、吸着材であるゼオライトの細孔内に有機バインダーの側鎖等が吸着してしまい、十分な吸着性能が得られないと問題があり、また温度400〜800℃で焼成して有機バインダーを除去できたとしても、その吸着性能は十分とはいえなかったとの問題を解決するため、有機繊維に多孔性金属錯体を担持させたシート状の成形体とする発明が開示されている。
また、特開2014−166621号公報には、汚染水から環境汚染物質を除去する機能を備え、汚染水による土壌汚染を効果的に防止できる環境汚染物質除去シートとして、ゼオライト吸着材を含む透水性層と、該透水性層の一方の面に積層した透水性調節層とを少なくとも有する環境汚染物質除去シートで、下記の方法で測定する200ml通水時間が10分以上である、環境汚染物質除去シートが開示されている。
200ml通水時間:A4サイズの環境汚染物質除去シートを市販の漏斗に透水性調節層が下になるように置き、中央部を押し込んで凹ませた状態で固定し、その上から200mlの水を注ぐ。水の全量が下に自重で落ちるまでの時間を測定し、200ml通水時間とした。
WO2013/115033A1 特開2014−166621号公報
本発明の目的は、建築・土木工事で発生する掘削ずり等の掘り起こし残土や汚泥や排水から発生する重金属等の汚染物質を有効に捕獲することができ、軽量で施工性に優れるとともに耐久性に優れる、汚染物質吸着シートを提供することである。
また、本発明の他の目的は、上記本発明の汚染物質吸着シートを用いて、効率よく建築・土木工事で発生する掘削ずり等の掘り起こし残土や汚泥や排水から発生する重金属等の汚染物質吸着方法を提供することである。
上記課題を解決するため、本発明者らは、以下の重金属吸着材が不織布に担持されている特定のシートとすることで解決できることを見出し、本発明に至った。
(1)本発明の汚染物質吸着シートは、汚染物質を含有する残土、建設発生土、汚泥または排水から浸出する汚染物質を捕獲する汚染物質吸着シートであって、該汚染物質吸着シートは、不織布に重金属を吸着する吸着材が担持されており、前記不織布は単位面積あたり10〜600g/mであり、前記吸着材は前記汚染物質吸着シートあたり10〜5000g/mであり、透水係数が10−5cm/s以上であることを特徴とする、汚染物質吸着シートである。
記(1)の汚染物質吸着シート、吸着材は、平均粒径が3〜100μmの粉末状であって、ドロマイト系化合物を含むことを特徴とする、汚染物質吸着シートである。
2)好ましくは、上記()の汚染物質吸着シートにおいて、吸着材は、さらに酸性硫酸塩を含むことを特徴とする、汚染物質吸着シートである。
)さらに好ましくは、上記()の汚染物質吸着シートにおいて、酸性硫酸塩は、ドロマイト系化合物及び酸性硫酸塩の合量中、1〜40質量%の割合で含まれることを特徴とする、汚染物質吸着シートである。
)さらに好ましくは、上記()乃至()のいずれかの汚染物質吸着シートにおいて、ドロマイト系化合物はCaMg(CO、MgO及びCaCOを含むことを特徴とする、汚染物質吸着シートである。
)さらに好ましくは、上記(1)乃至()のいずれかの汚染物質吸着シートにおいて、汚染物質吸着シートは1シート以上からなることを特徴とする、汚染物質吸着シートである。
)本発明の汚染物質吸着シートを用いた汚染物質吸着方法は、上記(1)乃至()のいずれかの汚染物質吸着シートを、汚染物質を含有する残土、建設発生土、汚泥または排水と接触させて、汚染物質を捕獲することを特徴とする、汚染物質吸着シートを用いた汚染物質吸着方法である。
本発明の汚染物質吸着シートは、汚染物質を含有する残土、建設発生土、汚泥または排水から浸出する汚染物質を効率よく捕獲して、周囲への汚染物質の流出を効果的に防止することができる。
また、本発明の汚染物質吸着シートは軽量であるため、施工が容易であり、当該シート上に掘削ずり等の残土等を多量に積載しても、またその残土等の上部をブルドーザやトラック等の重機が通行してもシートが破れることなく、十分な耐久性を備えることができる。
さらに、使用後の本発明の汚染物質吸着シートは、例えばセメント工場の燃料として利用することが可能である。
また、本発明の汚染物質吸着シートを、汚染物質を含有する残土、建設発生土、汚泥または排水流路の下部に設置することで、雨水等により汚染物質を含む残土等からの汚染水から汚染物質を効果的に回収することができ、汚染物質の流出を有効に防止することが可能となる。
本発明の汚染物質吸着シートを模式的に示す断面図である。 図1AのX部分を拡大して模式的に示す図である。 本発明の汚染物質吸着シートを残土処理に用いる際の施工の一例を模式的に示す図である。
本発明を以下の好適例により説明するが、これらに限定されるものではない。
本発明の汚染物質吸着シートは、汚染物質を含有する残土、建設発生土、汚泥または排水から浸出する汚染物質を捕獲する汚染物質吸着シートであって、該汚染物質吸着シートは、不織布に重金属を吸着する吸着材が担持されており、前記不織布は単位面積あたり10〜600g/mであり、前記吸着材は前記汚染物質吸着シートあたり10〜5000g/mであり、透水係数が10−5cm/s以上である、汚染物質吸着シートである。
本発明の汚染物質吸着シートは、不織布に重金属を吸着する吸着材が担持されてなるものである。
図1Aは、汚染物質吸着材が不織布繊維に担持された状態を模式的に示す図であり、図1Bは、図1A中のX部分を拡大して模式的に示した図である。
本発明の汚染物質吸着シート1を構成する不織布2は、重金属を吸着する吸着材3を担持できれば特に限定されるものではなく、市場で入手できる任意の不織布を用いることができる。
不織布2としては、その繊度、繊維長等は特に限定されず、適宜決定することができる。
また、不織布2は、通常不織布を製造する際に用いられる有機繊維で構成されることができ、かかる有機繊維としては、親水性有機繊維や疎水性有機繊維が挙げられ、好ましくは疎水性有機繊維からなることが長期に強度を保持して有効な耐久性を備える点から望ましい。
これらの不織布繊維としては、例えば、パルプ、古紙パルプ、リンター、麻、綿、ケナフ等から調製される天然セルロース繊維や、レーヨン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体などのポリオレフィン系繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド、ポリイミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、スチレン−エチレン共重合体、スチレン−アクリル共重合体、水溶性熱可塑性ポリビニルアルコール(PVA)等のポリビニルアルコール系樹脂等を例示することができる。
また、不織布の製造方法は特に限定されず、通常の製造方法を適用して、本発明に用いる不織布を製造することができる。
不織布の一般的な製造工程としては、原料繊維からウェブを形成するウェブ形成工程と、ウェブ中の原料繊維を結合させる繊維結合工程とを有する方法があり、ウェブ形成工程としてエアレイド法が採用された不織布(エアレイド不織布)や、ウェブ形成工程としてカーディング法が採用された不織布がある。また、不織布の形態としては、例えばウェブ形成工程の違いに基いて、乾式不織布、湿式不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布などがあり、いずれのものも使用することが可能である。
また、不織布のウェブ繊維結合方法としては、公知の任意の方法を適用することができ、例えば、ケミカルボンド法(浸漬法・スプレー法)、サーマルボンド法、ニードルパンチ法、水流交絡法等を用いることができる。
また、不織布の単位面積あたりの質量(目付)は、特に限定されないが、好ましくは10〜650g/mが望ましく、より好ましくは10〜600g/m、さらに好ましくは200〜600g/mであることが望ましい。目付が上記範囲であると、軽量で施工性がよく、汚染物質を良好に捕獲することができる汚染物質吸着シートを得ることができる。
本発明の汚染物質吸着シート1の透水係数は、10−5cm/s以上とするものであり、好ましくは10−4cm/s以上とすることが望ましい。
汚染物質を含む汚染水が汚染物質吸着シート上に滞留すると、汚染水が汚染物質吸着シートと十分に接触することなく、当該シートの周囲にあふれてしまい、汚染物質を有効に除去することができなくなるため、本発明の汚染物質吸着シートの透水係数を上記範囲として当該シートが高い透水性を有することとし、建設・土木工事等から発生する掘り起こし残土等から浸出する汚染物質を含む汚染水を汚染物質吸着シートに通過させやすくして、有効に掘り起こし残土等に含まれる汚染物質を含む汚染水等と汚染物質吸着シートとを効率的に接触させて、汚染物質を有効に捕獲除去することを可能とする。
また、一方、汚染水が汚染物質シート中の汚染物質吸着材と十分に接触する時間なく直ちに通過してしまうと、汚染物質を有効に吸着除去することができない場合もあるため、好ましくは透水係数が10−1cm/s以下であることが望ましい。
本発明の汚染物質吸着シート1を構成する不織布2に担持される、重金属を吸着する吸着材3としては、特に限定されず、公知の重金属吸着材を用いることができる。
好ましくは、当該吸着材は、粉末状であることが、不織布繊維に広く分散されて担持されることができるため望ましい。また、粉末形態とすることで汚染水と速やかに反応することが可能であり、汚染物質である重金属等を効率的に吸着して捕獲することができる。
かかる粉末の平均粒径は、好ましくは3〜100μm、より好ましくは30〜100μmであることが、汚染水の透水性を良好に保持するために望ましい。
また、重金属等を吸着できる吸着材3としては、公知の任意の吸着材を用いることができるが、特に、ドロマイト系化合物を含む吸着材が、汚染物質である重金属等を有効に捕獲して固定することができることから望ましい。
ここで、汚染物質としての重金属等としては、重金属やハロゲンを意味し、重金属としては、例えば、マンガン、クロム、銅、カドミウム、水銀、セレン、鉛、砒素、カドミウム等の1種若しくは2種以上のもので、かつ重金属単体及びその化合物が例示でき、またハロゲンとしてはフッ素、塩素等の単体及びその化合物が例示できる。さらにこれらに加え土壌汚染対策法に規定される第2種特定有害物質に含まれるホウ素単体及びその化合物を例示することができるが、これらの重金属やハロゲンに限定されるものではない。
汚染物質吸着材として好適に用いられるドロマイト系化合物は、MgO、CaMg(CO及びCaCOを必須含有成分とするものである。
当該成分を含有するドロマイト系化合物としては、例えば、MgO、CaCO及びCaMg(COを主成分とする半焼成ドロマイトが挙げられる。
前記ドロマイトは、市場で入手し得る任意のものを用いることができ、産地は問わない。
また、半焼成ドロマイトも市場で入手し得る任意の半焼成ドロマイトや、市場で入手し得る任意のドロマイトを焼成して得られた半焼成ドロマイトを用いることができ、産地や原料ドロマイトの組成等は問わない。半焼成ドロマイトは、分解反応が完全に完了するまでドロマイトを焼成して得られるものではなく、MgO、CaMg(CO及びCaCOを必須成分として含むものである。
ドロマイトは、石灰石CaCOとマグネサイトMgCOのモル比が1:1となる複塩構造を有しており、CO 2−基を挟んでCa2+イオンとMg2+イオンが交互に層を成して、一般に、MgCOの割合が10〜45質量%のものをいう。ドロマイトは、国内に多量に存在しており、ドロマイトを使用した吸着材は、コストや環境負荷の点からも有利である。
上記半焼成ドロマイトとしては、粉末X線回折によるリートベルト法を用いて解析したドロマイト焼成物中の残留CaMg(CO相の含有量xが、0.4≦x≦35.4(質量%)となる半焼成ドロマイトを好適に用いることができる。
半焼成ドロマイト中に含まれるCaMg(CO相を定量して、上記範囲内のCaMg(CO相残留量の半焼成ドロマイトを好適に用いることで、原料となるドロマイト鉱石の産地による組成の相違や、焼成温度等の焼成条件の設定などに関係なく、ドロマイトが最大に優れた重金属等吸着性能を有することが可能となる。
ドロマイトは焼成することで、CaMg(CO→MgO+CaCO+COで表わされる分解反応を示す。また、ドロマイトの焼成による上記熱分解により、細孔が形成されて重金属等捕獲性能を発揮しているものと考えられる。本発明においては、ドロマイトを焼成した半焼成ドロマイト中のドロマイト相(CaMg(CO相)の残留量を粉末X線回折によるリートベルト法により解析して、残留CaMg(CO相の含有量xが、0.4≦x≦35.4(質量%)、好ましくは1.8≦x≦17.4(質量%)とすることで、特に好適に、重金属等を、より良好に捕獲することを実現することが可能となる。
例えば、かかる好適な半焼成ドロマイトは、粉末X線回折によるリートベルト法を用いて解析したドロマイト焼成物中の残留CaMg(CO相の含有量xが、好ましくは0.4≦x≦35.4(質量%)、より好ましくは1.8≦x≦17.4(質量%)となるように焼成することで製造することができる。
ドロマイトを焼成する温度は、特に限定されず、通常ドロマイトを焼成して半焼成ドロマイトを製造する温度、例えば650〜1000℃で焼成することができる。残留CaMg(CO相の含有量が、0.4≦x≦35.4(質量%)となるように焼成すれば焼成時間も制限されるものではない。
本発明に用いる吸着材中のMgO含有量は、好ましくは粉末X線回折によるリートベルト法を用いて解析した値で14〜23質量%であり、さらに好適には14〜21質量%である。
かかる吸着材中のMgOは、含有されるドロマイト系化合物由来のものであり、具体的には、ドロマイトを焼成して得られた半焼成ドロマイト等由来のものであり、更に好ましくは半焼成ドロマイト由来のものである。
MgO含有量が14質量%未満では、鉛やフッ素等に対する吸着能力が低下する場合があったり、23質量%を超えると、MgOのpHがアルカリ性であるため、汚染水中の汚染物質を吸着した後の雨水等の水のpHが10以上のアルカリ性を示すこととなり、望ましくない。
本発明に用いる吸着材に含まれるドロマイト系化合物は、必須含有成分MgO、CaMg(CO及びCaCOが含まれるように1種類及び/または2種類以上の材料を任意に混合することができる。
一例として約23.33質量%のMgOを含有する半焼成ドロマイトを使用した場合においては、吸着材中の半焼成ドロマイト配合比を60〜99質量%とすることにより、本発明に用いる吸着材中のMgOの含有量を14〜23質量%とすることができるが、使用するドロマイト系材料に応じて、上記配合比率の制約を受けるものではない。
更に、本発明に用いる吸着材には、望ましくは酸性硫酸塩を含む。
酸性硫酸塩としては、例えば、硫酸第一鉄、硫酸アルミニウム等が例示でき、好ましくは硫酸第一鉄を含有する。
酸性硫酸塩を含有することにより、硫酸第一鉄のようにその高い還元作用によって、砒素や六価クロム等の重金属等に対して、より有効に捕獲することができるとともに、酸性であるため、他のドロマイト系化合物中の含有材料の配合比率を調整することで、本発明に用いる吸着材を用いて処理した水を中性付近に保持することを可能とする。
また、本発明に用いる吸着材に含まれる酸性硫酸塩は、ドロマイト系化合物及び酸性硫酸塩の合量中、内割で、酸性硫酸塩を1〜40質量%、好ましくは14〜21質量%の割合で含む。
かかる割合で吸着材中にドロマイト系化合物と酸性硫酸塩とを含むことが望ましく、ドロマイト系化合物及び酸性硫酸塩の合量中、内割で、酸性硫酸塩を40質量%を超えて、特に50質量%を超えて含むと、吸着シートの製造時に、吸着材が凝集してしまい、シートに添着することができなくなり望ましくない。
吸着材の一例としては、上記したように、ドロマイト系化合物、酸性硫酸塩を含み、ドロマイト系化合物及び酸性硫酸塩の合量中、酸性硫酸塩は1〜40質量%の割合で含有され、且つ、吸着材中にMgOを14〜23質量%含む吸着材が望ましい。
また本発明に用いる吸着材を適用することで、汚染物質が吸着された後の雨水等の水を、中性付近に維持することが可能である。
本発明においては、吸着材中に、上記ドロマイト系化合物や酸性硫酸塩を含有し、これらの各含有量を上記範囲内の量とすることで、特に、重金属等を有効に捕獲することができるとともに、強度を向上させることができ、処理後の水のpHを中性付近に保持する上記効果を同時に奏することが可能となる。
本発明に用いる吸着材は、環境庁告示46号(平成3年8月23日公布)に準拠した方法で調製した検液のpHが中性付近(環境省の一律排水基準である(5.8〜8.6))となるようにすることができるものである。
本発明に用いる吸着材は、当該吸着材と水とを混合したスラリーのpHが最終的に8〜10、好ましくは9〜10で平衡状態に、より好ましくは例えば28日以降にpH8〜10、好ましくは9〜10となるものである。更に、望ましくは、当該吸着材と水とを混合した初期のスラリーのpHは6〜8となるものである。
本発明の汚染物質吸着シート中の前記吸着材の含量は、吸着シートあたり10〜5000g/m、好ましくは、50〜3000g/mである。
これにより、汚染物質を吸着する性能を有効に発揮することができるとともに、上記不織布に効果的に吸着材を担持させることが可能となる。
上記不織布に、前記吸着材を担持する方法は特に限定されず、公知の方法を適用することができ、例えば、上記した不織布のウェブ繊維結合方法としての公知の任意の方法、例えば、ケミカルボンド法(浸漬法・スプレー法)、サーマルボンド法、ニードルパンチ法、水流交絡法等をおいて、使用する液体である水中に前記吸着材を分散させて、不織布中に吸着材を均一に担持させることが可能である。
本発明の汚染物質吸着シートは、建築・土木工事で発生する掘削ずり等の掘り起こし残土や汚泥や排水に適用して、含有される上記汚染物質と、当該吸着シートとを接触させて、汚染物質を当該シート中に含まれる汚染物質に吸着させることにより除去することができる。
一例として、掘削ずりの残土を盛り土した場合の例を図2にあげて説明する。
図2に示すように、掘削ずりの残土4を、盛り土する際に、原土5と残土の盛り土4の間に、本発明のシート1を敷設する。これにより、雨水等により、盛り土中に含まれる汚染物質が雨水等に溶け出し、この汚染水が下降して、下部に敷設されている本発明の吸着シート1を透過する際に、当該吸着シート中の吸着材に汚染水中の汚染物質が接触して、吸着除去されることとなる。
汚染物質吸着シートを敷設する際には、例えば、盛り土の下部よりシートが広くなるように敷設することが望ましく、またシートの大きさが盛り土の下部より小さい場合には、シート同士が一部重なるように敷設することが望ましい、例えば、シートの両端から5分の1以上を重ねて敷設し、重なった部分が保持できるように、例えば留め具で固定することがよい。
必要に応じて、本発明の汚染物質吸着シートは、1シートであっても、2シート以上を積層して用いてもよく、さらに、必要に応じて、本発明の汚染物質吸着シートを、不織布からなる保護シートで挟持して用いてもよい。
また、使用後の本発明の汚染物質吸着シートは、例えばセメント工場の燃料として利用することが可能である。
本発明を次の実施例及び比較例により説明する。
(実施例1〜14、比較例1〜6)
(ドロマイト系吸着材)
汚染物質吸着材として、ドロマイト系吸着材を以下の材料により調製した。
・半焼成ドロマイト(粉末):栃木県葛生産のドロマイトを焼成
・酸性硫酸塩:硫酸第一鉄一水和物粉末
上記半焼成ドロマイト(粉末)について、粉末X線回折によるリートベルト法を用いて各成分の含有量を測定した。
その結果を表1に示す。
Figure 0006743961
(吸着材)
上記半焼成ドロマイトと硫酸第一鉄とを質量比で、下記表2〜4に示す割合で混合して、各吸着材を調製した。
各実施例及び比較例に用いた吸着材の各平均粒径を、表2〜4に示す。
(不織布)
不織布として、ポリプロピレン繊維からなり、目付けが表2〜4に示すものをそれぞれ不織布として用いた。なお、不織布としては同じ状態のものを用いていたものであり、目付の相違は、厚みの相違に反映されている。
上記不織布を、ケミカルボンド法にて製造する際に、バインダー液体に浸漬するが、当該バインダー液体内に上記吸着材を均一に含有させておき、かかる吸着材含有バインダー液体中に不織布を浸漬することで、不織布中に吸着材を均一に分散させて担持させ、各汚染物質吸着シートを製造した。
各シート中の吸着材の担持量は、それぞれ下記表2〜4に示す。
得られた各汚染物質吸着シートの透水係数もそれぞれ下記表2〜4に示す。
なお、不織布の目付、吸着材の担持量、平均粒径、透水係数は以下の方法により測定した値である。
・不織布の目付:JIS L 1913:2010 一般不織布試験方法の「6.2単位面積当たりの質量(ISO法)」に準拠した値である。
・吸着材の担持量:電子天秤にて、吸着材を担持させた不織布シートの質量から、不織布の質量を減じて、吸着材の担持量を計算した値である。
・平均粒径:マイクロトラックMT3000II(日機装(株)製)にて測定した値である。
・透水係数:JIS A 1218に準じて測定した値である。
Figure 0006743961
Figure 0006743961
Figure 0006743961
(試験例1〜5)
上記実施例1〜14及び比較例1〜6の各汚染物質吸着シートを、縦×横が30cm×25cmの各試験シートにして、下記の各試験を実施した。
(試験例1:砒素(As)吸着試験)
汚染物質として、重金属である砒素を用いた吸着試験を実施した。
具体的には、砒素(ひ素標準液(As−1000)、関東化学社製(株))を水に1mg/Lとなるように溶解させて、砒素水溶液を調製した。前記砒素水溶液100mlを、250mlのポリ容器に投入して、各試験シート30×25cm/枚を4分割して、投入した。
次いで60分間振とう後、ろ過して、残存溶液中の砒素濃度(mg/l)を測定した。
その結果を、上記表2〜4に示す。
(試験例2:施工性(曲げやすさ))
施工性は、曲げやすさ(伸び率(%))で評価した。
具体的には、各試験シートの縦方向の伸び率を、JIS L 1913:2010 一般不織布試験方法の「6.3引張強さ及び伸び率(ISO法)」に準拠して測定した。
その結果を、上記表2〜3に示す。
なお、上記表2〜3中の評価基準は以下のとおりである。
◎:100%以上
〇:80以上〜100%未満
△:50以上〜80%未満
×:50%未満
(試験例3:耐久性1(引張強さ)
表2及び3中の耐久性(耐久性1)は、引張強さ(引張強力)で評価した。
具体的には、各試験シートの縦方向の引張強力(N/5cm)を、JIS L 1913:2010 一般不織布試験方法の「6.3引張強さ及び伸び率(ISO法)」に準拠して測定した。
その結果を、上記表2〜3に示す。
なお、上記表2〜3中の評価基準は以下のとおりである。
◎:1000(N/5cm)以上
〇:500以上〜1000(N/5cm)未満
△:300以上〜500(N/5cm)未満
×:300(N/5cm)未満
(試験例4:耐久性2(粉漏れ))
表4中の耐久性(耐久性2)は、粉漏れ評価した。
具体的には、各試験シートの表面に担持された吸着材粉の吹き出し状態を確認するとともに、手でシートを持って3回叩き、吸着材粉のシートからの漏れ具合を目視で確認した。
その結果を、上記表4に示す。
なお、上記表4中の評価基準は以下のとおりである。
◎:吸着材粉の吹き出し、粉漏れ無し
〇:吸着材粉の吹き出しは無いが、若干の吸着材粉漏れ有り
△:若干の吸着材粉の吹き出し有り且つ若干の吸着材粉の漏れ有り
×:吸着材粉の吹き出し有り且つ吸着材粉の漏れ有り
(試験例5:排水性)
表4中の排水性は、各試験シートに水を10ccスポイトで滴下し、滴下直後から120秒後の間の水の浸透状況を確認した。
その結果を、上記表4に示す。
なお、上記表4中の評価基準は以下のとおりである。
◎:滴下直後10秒以内に10ccの水がすぐに浸透する
〇:滴下直後から11〜60秒かけて水が徐々に浸透する
△:水が徐々に浸透するが、シート表面に水が残存している
×:水がシート上にほとんど残存しており浸透していない
本発明の汚染物質吸着材は、建築・土木工事で発生する掘削ずり等の掘り起こし残土や汚泥や排水から発生する重金属等の汚染物質を効率よく捕獲できるとともに、施工性に優れ、耐久性が良好で、シートの上部をトラックやブルドーザ等の重機が通過してもシートが破れることがないため、例えば、トンネルやダム等の掘削工事や建設工事等によって大量に発生する重金属等が溶出する汚染土壌の掘削ずり等の処理に有効に適用することが可能となる。
1・・・汚染物質吸着シート
2・・・不織布
3・・・吸着材
4・・・残土
5・・・原土

Claims (6)

  1. 汚染物質を含有する残土、建設発生土、汚泥または排水から浸出する汚染物質を捕獲する汚染物質吸着シートであって、該汚染物質吸着シートは、不織布に重金属を吸着する吸着材が担持されており、前記不織布は単位面積あたり10〜600g/mであり、前記吸着材は平均粒径が3〜100μmの粉末状であって、ドロマイト系化合物を含み、更に前記汚染物質吸着シートあたり10〜5000g/mであり、該汚染物質吸着シートの透水係数が10−5cm/s以上であることを特徴とする、汚染物質吸着シート。
  2. 請求項記載の汚染物質吸着シートにおいて、吸着材は、さらに酸性硫酸塩を含むことを特徴とする、汚染物質吸着シート。
  3. 請求項記載の汚染物質吸着シートにおいて、酸性硫酸塩は、ドロマイト系化合物及び酸性硫酸塩の合量中1〜40質量%の割合で含まれることを特徴とする、汚染物質吸着シート。
  4. 請求項乃至いずれかの項記載の汚染物質吸着シートにおいて、ドロマイト系化合物はCaMg(CO、MgO及びCaCOを含むことを特徴とする、汚染物質吸着シート。
  5. 請求項1乃至いずれかの項記載の汚染物質吸着シートにおいて、汚染物質吸着シートは1シート以上からなることを特徴とする、汚染物質吸着シート。
  6. 請求項1乃至いずれかの項記載の汚染物質吸着シートを、汚染物質を含有する残土、建設発生土、汚泥または排水と接触させて、汚染物質を捕獲することを特徴とする、汚染物質吸着シートを用いた汚染物質吸着方法。
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