JP2015024348A - 汚染残土の不溶化処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 汚染残土の仮置き場所の確保やその汚染対策の特段の必要をなくし、地下水などへの汚染物質の溶出防止を高い信頼性をもって実現する。【解決手段】 汚染残土11に汚染物質を不溶化する不溶化材溶液を散布(13,14)し、不溶化材溶液の自然流下により、盛土或いは埋め立てされた汚染残土11に当該不溶化材溶液を浸透させる。また、不溶化材溶液の自然流下により、盛土或いは埋め立てた汚染残土11層の下部に不溶化材の濃度が高い層15を形成するのが好ましい。【選択図】 図3
Description
本発明は、土木工事などで生じる土砂(残土)の処理方法に関し、特に、汚染物質を含む汚染残土を不溶化して盛土或いは埋め立てる方法に関する。
土木工事などでは残土が生じるが、特に、トンネル掘削工事や道路工事などでは、残土として粒径50mm以上の巨礫や岩塊を含む掘削ズリが生じる。
このような残土には人工由来或いは自然由来による重金属などの汚染物質が含まれている場合があり、このような汚染物質を含む汚染残土を盛土や埋め立てして処理するためには、汚染物質を不溶化する処理を施して、地下水などへの汚染物質の流出を防止する必要がある。
このような残土には人工由来或いは自然由来による重金属などの汚染物質が含まれている場合があり、このような汚染物質を含む汚染残土を盛土や埋め立てして処理するためには、汚染物質を不溶化する処理を施して、地下水などへの汚染物質の流出を防止する必要がある。
汚染残土の不溶化処理は、例えば、不溶化材を汚染残土と混合して汚染物質の溶出を抑制することで行なわれるが、汚染残土が粒径50mm以上の巨礫や岩塊を含む掘削ズリである場合には、不溶化材と混ざり合って均一な不溶化効果が得られるようにするため、或いは、埋立て処分場の受入寸法の制限を満たすためなどから、掘削ズリを粒径50mm以下に粉砕する必要がある。
汚染残土を埋め立てする場合には、例えば、図1(a)に示すように、巨礫や岩塊を破砕機1により粒径50mm以下に粉砕し、図1(b)に示すように、粉砕した汚染残土を地下水位2より浅く掘った穴3に投棄して、これに粉体状の不溶化材を散布してバックホウ4等により混合撹拌を行う。
また、汚染残土を盛土する場合には、例えば、図2に示すように、盛土する前に汚染物質を吸着させる吸着剤(吸着層)5を敷設し、この上に粒径50mm以上の巨礫や岩塊を含んだ汚染残土を投棄して覆土6を施す。
また、汚染残土を盛土する場合には、例えば、図2に示すように、盛土する前に汚染物質を吸着させる吸着剤(吸着層)5を敷設し、この上に粒径50mm以上の巨礫や岩塊を含んだ汚染残土を投棄して覆土6を施す。
特許文献1には、石油及び石油を原料とする有機物によって汚染された土壌を生分解性洗浄剤により洗浄する工程、洗浄液と土壌を分離する工程、分離された洗浄液を微生物により処理する工程からなる汚染土壌の浄化方法が開示されている。
特許文献2には、汚染物質捕捉流路分散層として、仮置きヤード上に吸着層を形成し、また、吸着層の上層に流路分散層を形成し、この流路分散層の上に掘削ずりを積み上げて仮置き盛土を形成し、仮置き盛土Mから流下する汚染物質を含む水分を吸着層における吸着シートの吸着剤に吸着させて不溶化する、掘り起こし残土の仮置き方法が開示されている。
特許文献3には、有害物質含有物品の混入した掘削土壌から石、ガラ等を分離する振動篩を有する1次分離装置と、1次分離装置で石、ガラ等の大型混入物を取り除いた土壌に水を供給、混合してスラリー状土壌を得る混練装置と、スラリー状土壌から有害物質含有物品を含む土壌を分離する回転篩を有する次分離装置を備え、2次分離装置で分離した有害物質含有物品を含む土壌から有害物質含有物品を分離して抽出する、土壌処理システムおよび処理方法が開示されている。
特許文献4には、掘削した汚染土壌に水を供給して撹拌混合し、スラリー状として汚染土壌の汚染濃度を減少させる混練ステップと、スラリー状の前記汚染土壌から汚染水を分離する分離ステップと、分離ステップで分離した汚染水を浄化する浄化処理ステップと、分離ステップで汚染水を分離した後、残土と零価の鉄粉を含む金属還元剤と水を撹拌混合して混合物とする混合ステップを備え、混合物を容器に収納し、容器内で一定期間養生させて有機塩素化合物を分解処理する、汚染土壌の浄化処理方法が開示されている。
特許文献5には、汚染物質を含む土壌を貯留する土壌貯留構造体と、土壌中に流体を注入する流体注入手段と、汚染物質を捕捉する汚染物質捕捉手段と、土壌貯留構造体から土壌を取り出す取り出し手段とを備えた汚染物質の浄化構造に、汚染物質を含む土壌を土壌貯留構造体に入れ、流体注入手段を介して土壌中に流体を注入し、汚染物質捕捉手段近傍に移動してきた汚染物質を汚染物質捕捉手段に捕捉させる、汚染物質を含んだ土壌の浄化方法が開示されている。
図1に示したように、巨礫や岩塊を含む汚染残土を粉砕してから不溶化処理を施す場合には、破砕処理のために汚染残土の仮置き場の確保やその汚染対策が必要となるという課題があり、これがために更に、処理全体の作業日数及びコストが増加してしまうという課題がある。
また、破砕処理を必要としない汚染残土にあっても、汚染残土に粉体状の不溶化材を散布して混合撹拌を行うため、汚染残土の飛散に対してその汚染対策が必要となるという課題があった。
また、破砕処理を必要としない汚染残土にあっても、汚染残土に粉体状の不溶化材を散布して混合撹拌を行うため、汚染残土の飛散に対してその汚染対策が必要となるという課題があった。
図2に示したように、汚染残土を盛土する場合には、盛土を行う前に吸着層を敷設するため、汚染残土の仮置き場所の確保やその汚染対策が必要となるという課題がある。更に、豪雨や地震の影響により盛土が崩壊して吸着層に亀裂が生じた場合、汚染物質が地下水に溶出されることも懸念される。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、汚染残土の仮置き場所の確保やその汚染対策の特段の必要をなくし、地下水などへの汚染物質の溶出防止を高い信頼性をもって実現する汚染残土の不溶化処理方法を提供することを目的としている。
また、本発明は、特に、粒径50mm以上の巨礫や岩塊を含む汚染掘削ズリを、埋立て処分場への搬出を行なうことなく、不溶化処理して盛土や埋め立てを行なう原位置不溶化処理を実現することを目的としている。
また、本発明は、特に、粒径50mm以上の巨礫や岩塊を含む汚染掘削ズリを、埋立て処分場への搬出を行なうことなく、不溶化処理して盛土や埋め立てを行なう原位置不溶化処理を実現することを目的としている。
本発明に係る汚染残土の不溶化処理方法は、汚染残土に汚染物質を不溶化する不溶化材溶液を散布し、前記不溶化材溶液の自然流下により、盛土或いは埋め立てされた前記汚染残土に当該不溶化材溶液を浸透させることを特徴とする。
ここで、本発明の汚染残土の不溶化処理方法では、不溶化材溶液の散布は、汚染残土の盛土或いは埋め立ての前後を問わない。
すなわち、本発明では、前記汚染残土を盛土或いは埋め立てた後に、当該汚染残土の層の表面から前記不溶化材溶液を散布する。または、本発明では、前記汚染残土に前記不溶化材溶液を散布した後に、当該汚染残土を盛土或いは埋め立てする。更には、本発明では、汚染残土を盛土或いは埋め立てする前後の両方で、当該汚染残土に前記不溶化材溶液を散布してもよい。
すなわち、本発明では、前記汚染残土を盛土或いは埋め立てた後に、当該汚染残土の層の表面から前記不溶化材溶液を散布する。または、本発明では、前記汚染残土に前記不溶化材溶液を散布した後に、当該汚染残土を盛土或いは埋め立てする。更には、本発明では、汚染残土を盛土或いは埋め立てする前後の両方で、当該汚染残土に前記不溶化材溶液を散布してもよい。
また、本発明の汚染残土の不溶化処理方法では、前記不溶化材溶液の自然流下により、前記盛土或いは埋め立てた汚染残土層の下部に不溶化材の濃度が高い層を形成するのが好ましい。例えば、散布する不溶化材溶液の量や粘度を調整することで、不溶化材の濃度が高い層を意図的に形成することができる。
本発明によると、不溶化材溶液自体の流動性、あるいは、後に雨水などで与えられる流動性により、散布された不溶化材溶液は、自然流下して汚染残土中に浸透し、この浸透していく過程で接触した汚染残土を不溶化する。すなわち、汚染残土の仮置き場所の確保やその汚染対策の特段の必要をなくして、盛土や埋め立てを行なう現場において汚染残土を不溶化する原位置不溶化処理を行なうことができる。
更に、浸透した不溶化材溶液は堆積した汚染残土の底面に残留することとなるため、底面での汚染物質の吸着も期待できるため、汚染残土と不溶化材の接触及び底面に残留した不溶化材の効果により、地下水への汚染物質の溶出を信頼性高く防止することができる。
更に、浸透した不溶化材溶液は堆積した汚染残土の底面に残留することとなるため、底面での汚染物質の吸着も期待できるため、汚染残土と不溶化材の接触及び底面に残留した不溶化材の効果により、地下水への汚染物質の溶出を信頼性高く防止することができる。
本発明の汚染残土の不溶化処理方法は、広く汚染残土一般の処理に適用することができるが、特に、汚染残土として、粒径50mm以上の巨礫や岩塊を含む掘削ズリの処理に適用するのが好適である。
本発明では、前記不溶化材は、重金属を含む汚染物質を吸着する細孔構造による物理的吸着性能と重金属イオンを難溶化する化学的吸着性能とを有する非セメント系複合材料であるのが好ましい。
また、本発明では、前記不溶化材溶液は、人工ゼオライト、ドロマイト、酸化マグネシウム、火山灰土、ロックウール、セルロースからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む多孔質材料又は不溶化材を含有するのが好ましい。
また、本発明では、前記不溶化材溶液は、人工ゼオライト、ドロマイト、酸化マグネシウム、火山灰土、ロックウール、セルロースからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む多孔質材料又は不溶化材を含有するのが好ましい。
また、本発明では、前記不溶化溶液は、炭酸マグネシウム(MgCO3)と炭酸カルシウム(CaCO3)とを主成分として含有する鉱物が軽焼された軽焼生成物と、水溶性硫酸塩とを含み、前記軽焼生成物は、MgCO3が脱炭酸されることで生成されたMgCxOy(但し、0<x≦1、0<y<3を満たす。)とMgCO3とCaCO3とを含む溶出低減材であるのが好ましい。
また、本発明では、前記不溶化材溶液は、増粘剤を含み、Pロート流下値が5秒乃至60秒であるのが好ましく、これによって、不溶化材溶液の適度な流動性及び汚染残土への付着性を得ることができる。
なお、本発明において不溶化溶液とは、不溶化材を含む液体をいうものであり、不溶化材が、水等の液体中に溶解しているか否かは問わない。
なお、本発明において不溶化溶液とは、不溶化材を含む液体をいうものであり、不溶化材が、水等の液体中に溶解しているか否かは問わない。
本発明によれば、処理全体の作業日数及びコストを削減して、汚染残土中の重金属の不溶化を高い信頼性をもって実現することができる。
特に、粒径50mm以上の巨礫や岩塊を含む汚染掘削ズリの処理においては、埋立て処分場への搬出を行なう必要をなくし、原位置不溶化処理を実現することができる。
特に、粒径50mm以上の巨礫や岩塊を含む汚染掘削ズリの処理においては、埋立て処分場への搬出を行なう必要をなくし、原位置不溶化処理を実現することができる。
本発明を、粒径50mm以上の巨礫や岩塊を含む汚染掘削ズリ(汚染残土)の不溶化処理に適用した一実施形態に基づいて、具体的に説明する。
なお、本発明を、このような粒径が大きい巨礫や岩塊を含まない汚染残土に適用する場合も、以下の説明と同様である。
なお、本発明を、このような粒径が大きい巨礫や岩塊を含まない汚染残土に適用する場合も、以下の説明と同様である。
汚染残土の盛土や埋め立てへの利用において、粒径50mm以上の巨礫や岩塊を含んだ汚染残土を、特段の破砕処理を行なうことなく、そのまま堆積し、この汚染残土の表面に不溶化材溶液を散布する。なお、埋め立てを行なう場合には、堆積する汚染残土は地下水位より浅い位置とする。
これにより、汚染残土表面に散布した不溶化材溶液を自然流下により汚染残土中に浸透させて、汚染残土を原位置で不溶化処理する。
これにより、汚染残土表面に散布した不溶化材溶液を自然流下により汚染残土中に浸透させて、汚染残土を原位置で不溶化処理する。
ここで、不溶化材溶液の散布方法は特に制限されず、例えば、ホースを用いて汚染残土の表面に散布する。また、汚染残土が広範囲に及ぶ場合は、例えば、凍結防止剤散布車や散水車などの車両を利用して、車両を走行させながら不溶化材溶液を散布することもできる。
なお、不溶化材溶液の散布量は汚染残土の表面全域に散布できるよう決定し、また、堆積した汚染残土の深くまで浸透するように、堆積深さに応じて決定する。
なお、不溶化材溶液の散布量は汚染残土の表面全域に散布できるよう決定し、また、堆積した汚染残土の深くまで浸透するように、堆積深さに応じて決定する。
散布された不溶化材溶液は、自然流下により汚染残土中に浸透して、堆積された汚染残土層の下部に不溶化材の濃度が高い層を形成するため、万が一、不溶化後に凍結融解やスレーキング等により岩塊が割れて汚染物質が溶出しても、汚染残土層の底部に残留した不溶化材の効果により、溶出量が低減される。
汚染残土中に含まれる汚染物質としては、例えば、土壌汚染対策法に定める第二種特定有害物質(重金属類)が挙げられ、具体的には、カドミウム、六価クロム、シアン、水銀、セレン、鉛、ヒ素、フッ素、ホウ素などがある。
汚染残土中に含まれる汚染物質としては、例えば、土壌汚染対策法に定める第二種特定有害物質(重金属類)が挙げられ、具体的には、カドミウム、六価クロム、シアン、水銀、セレン、鉛、ヒ素、フッ素、ホウ素などがある。
また、不溶化材としては、重金属を含む汚染物質を吸着する細孔構造による物理的吸着性能と重金属イオンを難溶化する化学的吸着性能とを有する、市場で入手できる任意の非セメント系複合材料を用いることができ、例えば、人工ゼオライト、ドロマイト、酸化マグネシウム、火山灰土、ロックウール、セルロースからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む多孔質材料又は不溶化材を例示することができる。
特に好ましくは、不溶化材溶液に含まれる不溶化材として、炭酸マグネシウム(MgCO3)と炭酸カルシウム(CaCO3)とを主成分として含有する鉱物が軽焼された軽焼生成物と、水溶性硫酸塩とを含み、前記軽焼生成物は、MgCO3が脱炭酸されることで生成されたMgCxOy(但し、0<x≦1、0<y<3を満たす。)とMgCO3とCaCO3とを含む溶出低減材ドロマイトを挙げることができる。
不溶化材として、かかる溶出低減材ドロマイトを用いることで、特に上記効果を有効に発現することが可能となり望ましい。
なお、本出願人は、このような不溶化材(溶出低減材)について特許出願を行なっており、詳細はこの出願を参照されたい(特開2013−32431号公報)。
不溶化材として、かかる溶出低減材ドロマイトを用いることで、特に上記効果を有効に発現することが可能となり望ましい。
なお、本出願人は、このような不溶化材(溶出低減材)について特許出願を行なっており、詳細はこの出願を参照されたい(特開2013−32431号公報)。
炭酸マグネシウムと炭酸カルシウムとを主成分として含む鉱物とは、炭酸マグネシウムを20質量%以上、好ましくは40質量%以上含み、且つ炭酸カルシウムを15質量%以上、好ましくは50質量%以上含む鉱物を用いることができる。
かかる鉱物の具体例としては、ドロマイト等を挙げることができる。
前記ドロマイトとしては、炭酸マグネシウムと炭酸カルシウムとを含有してなるものであれば特に限定されず、天然に産出するドロマイト(白雲石)のほか、水酸化マグネシウムスラリーと石灰乳との混合物を焼成して得られた合成ドロマイト等を用いることもできる。
かかる鉱物の具体例としては、ドロマイト等を挙げることができる。
前記ドロマイトとしては、炭酸マグネシウムと炭酸カルシウムとを含有してなるものであれば特に限定されず、天然に産出するドロマイト(白雲石)のほか、水酸化マグネシウムスラリーと石灰乳との混合物を焼成して得られた合成ドロマイト等を用いることもできる。
前記鉱物は、MgCxOyと、炭酸マグネシウム(MgCO3)と、炭酸カルシウム(CaCO3)とを含む生成物が生成されるように軽焼する。
軽焼の温度条件としては、640〜990℃の範囲とし、好ましくは690〜890℃とし、さらに好ましくは760〜850℃とする。
また、軽焼時間は温度条件によっても変動するが、通常、10〜60分である。
軽焼の温度条件としては、640〜990℃の範囲とし、好ましくは690〜890℃とし、さらに好ましくは760〜850℃とする。
また、軽焼時間は温度条件によっても変動するが、通常、10〜60分である。
このように軽焼を行なうことにより、前記鉱物中に含まれる炭酸マグネシウム(MgCO3)の一部を脱炭酸してMgCxOy(但し、0<x≦1、0<y<3を満たす。)を生成することができる。
すなわち、軽焼を行なうことにより、前記鉱物中の炭酸マグネシウム(MgCO3)の一部はそのまま残存させると同時に、炭酸マグネシウムの一部を脱炭酸してMgCxOyとし、さらに前記鉱物中の炭酸カルシウム(CaCO3)は実質的には脱炭酸させないことによって、前記MgCxOyと、炭酸マグネシウム(MgCO3)と、炭酸カルシウム(CaCO3)とを含む軽焼生成物を得ることができる。
すなわち、軽焼を行なうことにより、前記鉱物中の炭酸マグネシウム(MgCO3)の一部はそのまま残存させると同時に、炭酸マグネシウムの一部を脱炭酸してMgCxOyとし、さらに前記鉱物中の炭酸カルシウム(CaCO3)は実質的には脱炭酸させないことによって、前記MgCxOyと、炭酸マグネシウム(MgCO3)と、炭酸カルシウム(CaCO3)とを含む軽焼生成物を得ることができる。
前記軽焼生成物における、MgCO3およびMgCxOyの合計含有量は、32.1質量%〜40.3質量%、好ましくは34.5質量%〜39.6質量%であることが好ましい。
前記軽焼生成物における、前記CaCO3の含有量は40質量%〜65質量%、好ましくは45質量%〜65質量%であることが好ましい。
前記軽焼生成物における、前記CaCO3の含有量は40質量%〜65質量%、好ましくは45質量%〜65質量%であることが好ましい。
かかる不溶化材は、水等の液体を媒体とした、不溶化溶液として用いられ、該不溶化溶液を残土に散布することで、汚染残土中に含まれる重金属を有効に吸着除去することが可能となる。
また、不溶化材溶液には、水溶性硫酸塩が添加されており、水溶性硫酸塩としては、例えば、硫酸第一鉄、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アルミニウムナトリウム等を挙げることができ、中でも、硫酸第一鉄を用いることが好ましい。
水溶性硫酸塩を加える場合、前記軽焼生成物100重量部に対して、5〜90重量部、好ましくは、5〜30重量部とすることが好ましい。
前記水溶性硫酸塩を前記範囲に配合することで、重金属等の溶出を抑制することが可能となり、特に、長期間にわたって、安定して溶出低減効果が継続して得られる。
水溶性硫酸塩を加える場合、前記軽焼生成物100重量部に対して、5〜90重量部、好ましくは、5〜30重量部とすることが好ましい。
前記水溶性硫酸塩を前記範囲に配合することで、重金属等の溶出を抑制することが可能となり、特に、長期間にわたって、安定して溶出低減効果が継続して得られる。
上記の不溶化材溶液は、例えば、重金属等を含む汚染土壌等に添加する場合には、汚染残土中の重金属の量に応じて適宜好ましい量を散布することができるが、例えば、不溶化材が、汚染残土に対して20〜200kg/m3、好ましくは50〜150kg/m3の濃度になるように添加することが好ましい。
更に、散布された不溶化材溶液の残土への付着性を高めるため、不溶化溶液中にセルロース系やアクリル系などの増粘剤を添加することができる。
不溶化材溶液の性状は、掘削ズリ内部へ浸透する際の流動性を確保するため、Pロート流下値の目安を5〜60秒とするのが好ましく、更に好ましくは、7〜15秒とする。
Pロート流下値は、土木学会規準、 プレパックドコンクリートの注入モルタルの流動性試験方法(P漏斗による方法)(JSCE−F 521)に準じて測定した値である。
不溶化材溶液の性状は、掘削ズリ内部へ浸透する際の流動性を確保するため、Pロート流下値の目安を5〜60秒とするのが好ましく、更に好ましくは、7〜15秒とする。
Pロート流下値は、土木学会規準、 プレパックドコンクリートの注入モルタルの流動性試験方法(P漏斗による方法)(JSCE−F 521)に準じて測定した値である。
図3には、汚染掘削ズリの埋め立て作業における原位置不溶化処理の一例を示してある。
埋め立て地の土壌9に穴10を掘って設け、この穴10に汚染掘削ズリ11を投棄して堆積させる。なお、穴10は、地下水12より浅い深さとする。
そして、穴10内に略いっぱいに汚染掘削ズリ11を投棄し終わると、汚染掘削ズリ11の表面を平らにし、不溶化材溶液を汚染掘削ズリ11の表面に散布する。
埋め立て地の土壌9に穴10を掘って設け、この穴10に汚染掘削ズリ11を投棄して堆積させる。なお、穴10は、地下水12より浅い深さとする。
そして、穴10内に略いっぱいに汚染掘削ズリ11を投棄し終わると、汚染掘削ズリ11の表面を平らにし、不溶化材溶液を汚染掘削ズリ11の表面に散布する。
この不溶化材溶液の散布は、例えば、作業者がホース13をもって行なってもよく、あるいは、凍結防止剤散布車や散水車などの車両14を利用して行なってもよく、適宜、種々な散布方法を採用することができる。
そして、このように散布された不溶化材溶液は、汚染掘削ズリ11の表面から下方へ自然流下して、汚染掘削ズリ11の表面に付着し、更に、堆積された汚染掘削ズリ11の下部(底部)に滞留する。これによって、汚染掘削ズリ11が不溶化されるとともに、堆積された汚染掘削ズリ11の底部に不溶化材の濃度が高い層15が形成される。
そして、このように散布された不溶化材溶液は、汚染掘削ズリ11の表面から下方へ自然流下して、汚染掘削ズリ11の表面に付着し、更に、堆積された汚染掘削ズリ11の下部(底部)に滞留する。これによって、汚染掘削ズリ11が不溶化されるとともに、堆積された汚染掘削ズリ11の底部に不溶化材の濃度が高い層15が形成される。
この後、汚染掘削ズリ11の表面に覆土などして、埋め立て作業を終了するが、不溶化材溶液が汚染掘削ズリ11に浸透して汚染物質の溶出が抑制され、また、底部の不溶化材層15により汚染物質が地下水12に混入する事態が防止される。
図4には、汚染掘削ズリの盛土作業における原位置不溶化処理の一例を示してある。
処理地の地面に汚染掘削ズリ11を投棄して堆積させ、汚染掘削ズリ11の表面を平らにして、不溶化材溶液を汚染掘削ズリ11の表面に散布する。
処理地の地面に汚染掘削ズリ11を投棄して堆積させ、汚染掘削ズリ11の表面を平らにして、不溶化材溶液を汚染掘削ズリ11の表面に散布する。
この不溶化材溶液の散布は、例えば、作業者がホース13をもって行なってもよく、あるいは、凍結防止剤散布車や散水車などの車両14を利用して行なってもよく、適宜、種々な散布方法を採用することができる。
また、不溶化材溶液の散布は、汚染掘削ズリ11の上面側からだけでなく、汚染掘削ズリ11の側面側から例えば作業者がホース16をもって行なってもよい。
また、不溶化材溶液の散布は、汚染掘削ズリ11の上面側からだけでなく、汚染掘削ズリ11の側面側から例えば作業者がホース16をもって行なってもよい。
このように散布された不溶化材溶液は、汚染掘削ズリ11の表面から下方へ自然流下して、汚染掘削ズリ11が不溶化されるとともに、堆積された汚染掘削ズリ11の下部(底部)に滞留する。これによって、堆積された汚染掘削ズリ11の底部に不溶化材の濃度が高い層15が形成される。
この後、汚染掘削ズリ11の表面に覆土などして、盛土作業を終了するが、不溶化材溶液が汚染掘削ズリ11に浸透して汚染物質の溶出が抑制され、また、底部の不溶化材層15により汚染物質が地下水12に混入する事態が防止される。
図5には、トンネル掘削工事における掘削刷りの埋め立て作業の概要を示してある。
トンネル18によって山を貫く道路や鉄道を建設する場合、トンネル18の掘削によって発生した掘削刷り19を山間の谷に投棄して埋め立てに利用することが有効である。
しかしながら、掘削刷り19に汚染物質が含まれている場合には、地下水20へ汚染物質が流出してしまうことを防止するために、掘削刷り19を不溶化処理する必要がある。
トンネル18によって山を貫く道路や鉄道を建設する場合、トンネル18の掘削によって発生した掘削刷り19を山間の谷に投棄して埋め立てに利用することが有効である。
しかしながら、掘削刷り19に汚染物質が含まれている場合には、地下水20へ汚染物質が流出してしまうことを防止するために、掘削刷り19を不溶化処理する必要がある。
この不溶化処理においても、図6に示すように、谷に堆積された掘削刷り19の表面から不溶化材溶液を散布し、掘削刷り内に不溶化材溶液を自然流下により浸透させる。
これにより、汚染掘削ズリ19が不溶化されるとともに、堆積された汚染掘削ズリ19の下部(底部)に滞留する。これによって、堆積された汚染掘削ズリ19の底部に不溶化材の濃度が高い層21が形成される。
これにより、汚染掘削ズリ19が不溶化されるとともに、堆積された汚染掘削ズリ19の下部(底部)に滞留する。これによって、堆積された汚染掘削ズリ19の底部に不溶化材の濃度が高い層21が形成される。
この後、汚染掘削ズリ19の表面に覆土などして、埋め立て作業を終了するが、不溶化材溶液が汚染掘削ズリ19に浸透して汚染物質の溶出が抑制され、また、底部の不溶化材層21により汚染物質が地下水20に混入する事態が防止される。
したがって、トンネル工事現場において、掘削ズリを原位置不溶化処理により埋め立てることができる。
したがって、トンネル工事現場において、掘削ズリを原位置不溶化処理により埋め立てることができる。
ここで、不溶化材溶液の散布は、埋め立てや盛土の中間段階で複数回実施してもよい。
例えば、図7に示すように、掘削ズリ19の或る程度の量を投棄したところで、その表面を均して不溶化材溶液を散布し、その後、更に掘削ズリ19の或る程度の量を投棄したところで、その表面を均して不溶化材溶液を散布するという作業を繰り返し行なう。
例えば、図7に示すように、掘削ズリ19の或る程度の量を投棄したところで、その表面を均して不溶化材溶液を散布し、その後、更に掘削ズリ19の或る程度の量を投棄したところで、その表面を均して不溶化材溶液を散布するという作業を繰り返し行なう。
これにより、不溶化材溶液の自然流下により不溶化材を掘削ズリ19により効果的に付着させることができる。そして、掘削ズリ19中に不溶化材の濃度が高い層21を幾層も形成することができて、より高い不溶化効果を得ることができるとともに、堆積した掘削刷り19の底部だけでなくその側部にも不溶化材層21を形成することができて、谷の側面から汚染物質が溶出してしまう事態を防止できる。
上記の説明では、汚染残土を埋め立て又は盛土用に投棄した後に不溶化材溶液を散布する例を示したが、本発明では、汚染残土に不溶化材溶液を散布した後に、当該汚染残土を盛土或いは埋め立てするようにしてもよい。
例えば、図8に示すように、掘削ズリ19を簡易なコンベアー22に載せて搬送し、この途中で掘削ズリ19に不溶化材溶液を散布する。そして、不溶化材溶液が散布された掘削ズリ19を埋め立て又は盛土用に投棄するが、上記のように谷に投棄するような場合には、コンベアー22で搬送された掘削ズリ19をそのまま谷に落下させるようにしてもよい。
例えば、図8に示すように、掘削ズリ19を簡易なコンベアー22に載せて搬送し、この途中で掘削ズリ19に不溶化材溶液を散布する。そして、不溶化材溶液が散布された掘削ズリ19を埋め立て又は盛土用に投棄するが、上記のように谷に投棄するような場合には、コンベアー22で搬送された掘削ズリ19をそのまま谷に落下させるようにしてもよい。
本発明の汚染残土の不溶化処理方法は、土木工事などで生じる汚染残土の不溶化処理に広く適用することができ、特に、粒径50mm以上の巨礫や岩塊を含む掘削ズリの原位置不溶化処理に適用して好適である。
10・・・穴、
11、19・・・汚染残土(掘削ズリ)、
12、20・・・地下水、
15、21・・・不溶化材層
11、19・・・汚染残土(掘削ズリ)、
12、20・・・地下水、
15、21・・・不溶化材層
Claims (9)
- 汚染残土に汚染物質を不溶化する不溶化材溶液を散布し、
前記不溶化材溶液の自然流下により、盛土或いは埋め立てされた前記汚染残土に当該不溶化材溶液を浸透させることを特徴とする汚染残土の不溶化処理方法。 - 請求項1に記載の汚染残土の不溶化処理方法において、
前記汚染残土を盛土或いは埋め立てた後に、当該汚染残土の層の表面から前記不溶化材溶液を散布することを特徴とする汚染残土の不溶化処理方法。 - 請求項1又は2に記載の汚染残土の不溶化処理方法において、
前記汚染残土に前記不溶化材溶液を散布した後に、当該汚染残土を盛土或いは埋め立てすることを特徴とする汚染残土の不溶化処理方法。 - 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の汚染残土の不溶化処理方法において、
前記不溶化材溶液の自然流下により、前記盛土或いは埋め立てた汚染残土層の下部に不溶化材の濃度が高い層を形成することを特徴とする汚染残土の不溶化処理方法。 - 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の汚染残土の不溶化処理方法において、
前記汚染残土は、粒径50mm以上の巨礫や岩塊を含む掘削ズリであることを特徴とする汚染残土の不溶化処理方法。 - 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の汚染残土の不溶化処理方法において、
前記不溶化材は、重金属を含む汚染物質を吸着する細孔構造による物理的吸着性能と重金属イオンを難溶化する化学的吸着性能とを有する非セメント系複合材料であることを特徴とする汚染残土の不溶化処理方法。 - 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の汚染残土の不溶化処理方法において、
前記不溶化材溶液は、人工ゼオライト、ドロマイト、酸化マグネシウム、火山灰土、ロックウール、セルロースからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む多孔質材料又は不溶化材を含有することを特徴とする汚染残土の不溶化処理方法。 - 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の汚染残土の不溶化処理方法において、
前記不溶化溶液は、炭酸マグネシウム(MgCO3)と炭酸カルシウム(CaCO3)とを主成分として含有する鉱物が軽焼された軽焼生成物と、水溶性硫酸塩とを含み、
前記軽焼生成物は、MgCO3が脱炭酸されることで生成されたMgCxOy(但し、0<x≦1、0<y<3を満たす。)とMgCO3とCaCO3とを含む溶出低減材であることを特徴とする汚染残土の不溶化処理方法。 - 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の汚染残土の不溶化処理方法において、
前記不溶化材溶液は、増粘剤を含み、Pロート流下値が5秒乃至60秒であることを特徴とする汚染残土の不溶化処理方法。
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---|---|---|---|---|
JP2016068061A (ja) * | 2014-10-01 | 2016-05-09 | 清水建設株式会社 | 有害物質の溶出防止方法 |
JP2018100313A (ja) * | 2016-12-19 | 2018-06-28 | 太平洋セメント株式会社 | 土壌用改質材 |
KR20190046635A (ko) * | 2017-10-25 | 2019-05-07 | 가부시키가이샤 뉴플레어 테크놀로지 | 멀티 하전 입자 빔 묘화 장치 |
-
2013
- 2013-07-24 JP JP2013153306A patent/JP2015024348A/ja active Pending
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