JP2006055724A - 土壌修復方法 - Google Patents

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哲治 茨城
Mitsuru Yamamoto
充 山本
Kenji Katagiri
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Nobuyuki Kanemori
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Abstract

【目的】本発明では、鉄を反応物質として使用する土壌修復剤を土砂に混合して有害物質を除去する際に、土壌が軟化する問題を解決して、土壌浄化後の工事を円滑に行えるようにすることを目的とする。
【解決手段】土壌中のトリクロロエチレンや6価クロムなどの汚染物質を無害化する反応剤である、鉄含有粒子と、ポルトランドセメントや高炉スラグ微粉末などの水和によって土壌固化機能を有する粉体の両者を同時に、汚染土砂と混合することにより、当該土砂中の有機ハロゲン化合物または6価クロムの濃度を低減すると同時に、当該土砂を固化させる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、トリクロロエチレン類、ジクロロエチレン類、ダイオキシン類などの有機ハロゲン化合物や6価クロムに汚染された土壌を修復するための鉄系粒子を含む汚染土壌修復剤を用いた土壌浄化方法に関する。
従来は、機械類や半導体の洗浄には、ジクロロエチレンやトリクロロエチレン等の有機ハロゲン化合物が利用されてきた。この有機ハロゲン化合物は発ガン性があることから、有害物質との認識がなされており、近年は、その使用が抑制されるとともに、排出管理が厳しくなっている。しかし、過去の有機ハロゲン化合物使用が原因での汚染土壌が残っており、環境問題となっている。また、メッキ工場の排水などが原因で六価クロムに汚染されている場合もある。
上記有機ハロゲン化物等の有機化合物での汚染土壌を浄化する方法としては、土壌ガス吸引法、地下水揚水法、土壌掘削法等が知られている。土壌ガス吸引法は、不飽和帯に存在する対象物質を強制的に吸引するものであり、ボーリングにより地盤中に吸引用井戸を設置し、真空ポンプによって吸引用井戸内を減圧にし、気化した有機化合物を吸引井戸内に集め、地上に導いて土壌ガス中の有機化合物を活性炭に吸着させるなどの方法によって処理するものである。上記有機化合物による汚染が帯水層にまで及んでいる場合には、吸引用井戸内に水中ポンプを設置し、土壌中のガスと同時に揚水して処理する方法が採用されている。地下揚水法は、土壌中に揚水井戸を設置し、汚染地下水を揚水して処理する方法である。さらに、土壌掘削法は、汚染土壌を掘削し、掘削した土壌を風力乾燥、加熱処理を施して有機化合物の除去を行う方法である。
上記のような集められた汚染水、あるいは地下水等の汚染水を浄化する方法としては、例えば特許第2636171公報に、汚染水中の溶存酸素を除去した後、汚染水を鉄等の金属表面に接触させ、汚染水中に含まれる有機ハロゲン化物を還元除去する方法が開示されている。このような鉄の還元作用を利用した汚染水の浄化方法は、特開平3−106496公報、特開平8−257570公報、特開平10−263522公報等にも記載されている。これらの方法はいずれも汚染水を、鉄を含む層、フィルター等の一定部分を通過させて処理を行う方法である。
しかしながら、これらの方法は、土壌を直接浄化する方法ではなく、上記土壌ガス吸引法、地下水揚水法等により集められた汚染水、あるいは河川、地下水等の汚染水を浄化する方法であり、対象となる処理物の量は極めて大量であり、処理は長期間を要する場合が多い。また処理工程が複雑となる場合が多いのも欠点である。このため、汚染源である土壌を直接簡便に浄化する方法が求められている。
六価クロムで汚染された土壌については、硫酸第一鉄等の還元剤で浄化する方法が知られているが、クロム鉱滓のように三価及び六価クロムの塊状で存在する場合には、硫酸第一鉄では作用時間が短いため、十分な還元を行うことができない。そこで、長期にわたって還元作用を示す浄化剤が発明されており、特に、特開2001−198567公報に記載される技術では、微細な鉄粉を土壌修復剤として用いた技術が示されている。この方法は、微細な鉄粉を直接地中に注入することにより、土壌修復する方法である。
鉄を含有する粉体を用いた土壌浄化方法(以降、鉄粉法と称する)では、鉄含有粉体をスラリ−状にして、これを土壌中に注入すること、湿った状態にした鉄含有粉体を掘削した土砂に混合してこの土砂を埋め戻すこと、または、土壌をその場で攪拌しながら、泥状の鉄含有粉体を混合していく方法などがあった。
これらの方法では、鉄含有粉体をほぼ均一に汚染土壌と混合することにより、有機ハロゲン化合物などの有害物質を効果的に除去ることができる。混合する鉄含有粉体の比率は土砂1立方メートル10〜100kg程度であり、比較的安い処理剤費用ですむ効果がある。
特許第2636171公報 特開平3−106496公報 特開平8−257570公報 特開平10−263522公報 特開2001−198567公報
鉄粉法においては、鉄含有粉体を土砂に混合する操作を行うが、この操作の段階で、土砂を攪拌する、または、土砂中の水分比率を高める結果となる。例えば、掘削した土砂に鉄現有粉体を混合して埋め戻す工法では、土砂が攪拌される。この結果、埋め戻された土砂が軟弱化する。また、地面の下の土砂に泥状の鉄含有粉体を入れて、これをその場で混合する工法でも、やはり土砂が軟弱化する。また、注入管を用いて、鉄含有粉体のスラリーを土壌中に注入する工法では、注入された土壌の水分が上昇して、この場合もやはり土砂が軟弱化する。
鉄粉法は非常に効果的な土壌浄化工法であるが、このように、工事後の土壌が軟弱化する問題があった。土壌が軟弱化することにより、以下に述べる課題が生じていた。軟弱化した地盤となった結果、土壌浄化した部分の土地に、車両等が入ると、車両のタイヤやクローラー等が土中に埋り込み、走行できなくなることが起きる問題が生じる。従って、この場所での土地の使用用途が制限される問題が生じる。また、この場所に、建築物などを建てようとする場合は、建設後にこの建築物が沈降する問題が生じる。
従来は、このような地盤軟弱化に関わる問題に対応するために、土壌浄化工事の後に、地盤強度を回復させる工事を行っていた。例えば、軟弱化した地盤の上に土砂などの盛り土による載荷材を置いて、数ヶ月から数年間に渡って、地盤を圧縮固化させる処理を行うこともあった。また、地盤改良工事として、サンドコンパクション等の強制的に地盤を圧縮する工事を行うこともあった。このような工事を行うことにより、軟弱地盤の問題は解決するが、追加工事のために工事期間が延長する問題や工事費用が高価になる問題があった。
以上に、説明したように、鉄粉法による有機ハロゲン化合物や6価クロムの浄化工事は効率が良く、かつ、確実であるが、このような地盤軟弱化の問題とそれを修復するための追加工事が必要であることから、実際の工事を行う際には、施工上の支障となり、かつ、経済性の低下を招いていた。このように、従来技術では、技術上、経済上の問題があり、技術的な改善が求められていた。
本発明は、これらのような従来技術が有する問題点を解決するためになされた発明であり、その要旨とするところは(1)から(6)に示す通りである。
(1)鉄の0価イオン(金属鉄)と2価イオン(酸化第一鉄)の少なくとも一方を含む粒子(鉄含有粒子)を有機ハロゲン化合物の分解反応触媒や6価クロムの還元剤として用いる。また、カルシウムやアルミニウムのイオンを放出することにより、土砂粒子間に水和物を形成する粒子を土壌固化剤として用いる。トリクロロエチレン、ジクロロエチレン等の有機ハロゲン化合物または6価クロムを含有する汚染土壌を掘削して、当該汚染土壌に、鉄含有粒子と土壌固化剤を混合して、比較的均一な混合物を形成し、これを埋め戻す。この処理を行うことにより、土砂中の有機ハロゲン化合物または6価クロムの濃度を低減する。この混合操作によって、一時期は土砂が軟弱化するが、固化剤の効果により、最終的には土砂を固化させることができる。
(2)前出(1)に記載されている方法であって、土砂に混合操作をする際に、平均粒子径が10ミクロン以下の鉄含有粒子と土壌固化剤の混合物を30質量%以上の水分含む状態として、当該混合物を土砂と混合することにより、土壌浄化を行うとともに、土壌を固化させる(1)に記載の土壌修復方法である。
(3)鉄含有粒子と土壌固化剤とを、有機ハロゲン化合物または6価クロムを含有する汚染土壌中に送り込む。送り込む方法としては、機械で攪拌しながら、泥状の鉄含有粒子と土壌固化剤の混合物を土中に入れる方法や、注入管で注入する方法などである。この操作で、土砂中の有機ハロゲン化合物または6価クロムの濃度を低減するとともに、土砂の軟弱化を防止する。
(4)前出(3)に記載されている方法であって、土砂に混合操作をする際に、平均粒子径が10ミクロン以下の鉄含有粒子と土壌固化剤の混合物を70質量%以上の水分を含む状態として、当該混合物を土砂と混合することを特徴とする土壌修復方法である。
(5)前出(1)乃至(4)のいずれかに記載の方法であって、土壌固化剤として、高炉スラグ微粉末の単独品、または、高炉スラグ微粉末と他の土壌固化機能を有する粉体の混合物であって高炉スラグ微粉末を30質量%以上含む粉体を用いる土壌修復方法である。
(6)平均粒子径が5ミクロン以下であり、かつ、酸化第一鉄と金属鉄の合計比率が40質量%以上の粒子(鉄含有粒子)と、高炉スラグ微粉末の単独品、または、高炉スラグ微粉末と他の土壌固化機能を有する粉体の混合物であって高炉スラグ微粉末を30質量%以上含む粉体(土壌固化剤)を用いる。当該鉄粒子と、当該高炉スラグ微粉末の単独品、または、これを40質量%以上含む粉体との質量比率が1対0.5〜1対10の範囲として、この両者の混合物を土砂と混合する(5)に記載の土壌修復方法である。
本発明の方法では、有機ハロゲン化合物の浄化機能の高い鉄含有粒子と、水和物を形成し土壌固化機能の高い粉体との混合物を汚染土壌と混合処理する事により、土壌浄化と土壌固化を同時に行なう事ができる。このことにより、土壌浄化工事後に再度地盤改良工事を行う必要が無くなり、全体工期の短縮や工事費用の削減が可能となる。また、土壌固化剤として、大量に製造されており、容易かつ安価に入手可能な高炉スラグ微粉末やポルトランドセメントの使用による土壌処理コストの削減も可能となる。
本発明では、土壌修復剤として、金属鉄と酸化第一の少なくとも一方を含む鉄含有粒子と、土壌固化剤を準備する。鉄含有粒子は、還元機能と触媒機能を有する金属鉄と酸化第一鉄を含有することから、土壌中の有害物質の無害化反応に寄与する。
鉄含有粒子の有機ハロゲン化合物は、鉄含有粒子の表面またはその近傍で分解されて、ハロゲンイオンと有機物に分解する。この反応における、本発明の鉄含有粒子の作用は、粒子表面の鉄イオンの酸化還元(イオン価数変化)により、 有機ハロゲン化合物の塩素等が活性化し、分離するものである。この反応により、土壌汚染物質である有機ハロゲン化合物の濃度を低下することができる。鉄含有粒子中の金属鉄と酸化第一鉄(水酸化物を含む)の存在比率が低くともこの反応が起きるが、有効な反応容量を確保するためには、金属鉄と酸化第一鉄が40質量%以上であることが望ましい。結晶系としては、ウスタイト(FeO)、マグネタイト(Fe3O4)の形態の酸化鉄と金属鉄を含むものである。また、一部が水酸化鉄であるものでも良い。本発明において、この粒子の表面は、ウスタイトかマグネタイトである方が良い。これは、表面でのイオン電荷の変化が起きやすく、反応活性が高いためである。平均粒子径は0.1〜30ミクロン程度のものを用途に応じて使用する。短期に反応が起きることが必要な用途では、0.1〜5ミクロン程度の微粒子を用いる。5ミクロン以下の粒子の場合は、比表面積が200平方メートル/キログラム以上であることから、反応速度が大きい効果がある。特に、数週間から1ヶ月程度の短期間で無害化処理を完了する場合や汚染物質の濃度が高い場合は、このように微粒子のものが良い。また、6価クロムの還元処理においては、0価(金属)と2価の鉄イオンが3価に変化する際に、6価クロムを無害な3価クロムに変化させることで起きることから、本発明での鉄含有粒子では、6価クロム汚染土壌の浄化にも使用可能である。
鉄含有粒子の製造方法は種々あるが、効率的に行える方法は、1)金属鉄塊を粉砕して鉄粒を製造する方法、2)溶融鉄を吹き飛ばすなどの方法で細かくした後に固化させて粒子を製造する方法、3)鉄を気化させてこれを固化凝集させることで微粒子(アトマイズ粒子)を製造する方法、また、4)溶液沈殿させた微細な酸化鉄や水酸化鉄をそのまま又は還元する方法(還元鉄粒子)などがある。1)の方法では、20〜100ミクロンと比較的粗い粒子を製造することに向いており、また、2)の方法は5〜50ミクロンの粒子を製造することに向いている。一方、3)の方法では、0.1〜5ミクロンの細かい粒子を製造すること、また、4)の方法は0.1〜5ミクロンの細かい粒子を製造することに向いている。これらの方法の中では、3)のアトマイズ粒子と4)の還元鉄粒子は、比表面積が大きく、反応活性が高いので、高反応活性が必要な処理の場合は、これらを用いることが良い。
本発明者らは、種々の実験結果を解析したところ、金属鉄と酸化第一鉄の比率の高い鉄含有粒子を使用した土壌浄化効果が大きいことを確認した。金属鉄と酸化第一鉄40質量%以上の比率で含む鉄含有粒子は、土壌中の有害物質との反応活性が特に高いことを見出した。この実験では、約5ミクロンである、種々の金属鉄と酸化第一鉄の含有比率の粒子を用いて、処理5日間でのトリクロロエチレンの除去率を測定した。この結果を図1に示す。金属鉄と酸化第一鉄の比率を40質量%以下では、除去率が50%以下と低かったが、40質量%以上の金属鉄と酸化第一鉄の比率であれば、除去率は60〜90%と高い。したがって、高活性の土壌修復剤を製造するためには、混合する鉄含有粒子の金属鉄と酸化第一鉄の比率を40質量%以上とすることが良い。
一方、土壌固化剤は、水中にカルシウムイオン、アルミニウムイオン、アルミン酸イオン等を放出する物質の粒子が良い。例えば、ポルトランドセメント、アルミナセメント、高炉スラグ微粉末、生石灰等が良い。粒子内に酸化珪素、酸化カルシウム、酸化アルミニウム等を適切な比率で含有し、土壌固化が効率良く行えるため、ポルトランドセメント、アルミナセメント、高炉スラグ微粉末を主体とする粉体が最も望ましい。特に、ポルトランドセメントと高炉スラグ微粉末は、工業的に大量生産されており、入手が簡単であること、また、低価格であることから、これらの単体品や混合品を用いることが望ましい。粒子径は、特に差別化されるものはないが、迅速な効果発揮には粒子径20ミクロン以下が多いものが適性である。
本発明の土壌修復剤のうち、平均粒子径が5ミクロン以下のガラス化高炉スラグ粒子(高炉スラグ微粉末)を30質量%以上含むものを用いると、有害物質の浄化と同時に地盤の固化にも効果がある。特に、汚染された土砂を掘削して、この土砂とこの土壌修復剤を混合した後に、この混合物を掘削した現場に埋め戻す施工処理に有効である。この施工をした後に、この土壌修復剤の中のガラス化高炉スラグ粒子から、水和性のイオンが溶出してきて、土砂中に水和物を形成して、土壌を固化させる。この結果、埋め戻し後の地盤改良が不要又は簡易になる効果がある。高炉スラグ微粉末は、酸化珪素、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、および酸化マグネシウムを主成分とするガラス質の粒子であり、効果的にカルシウムイオン、アルミニウムイオン、アルミン酸イオン等を水中に放出する。粒子径は10ミクロン以下のものが良い。酸化カルシウム、酸化アルミニウム、および酸化マグネシウムの質量の総和を酸化珪素の質量で割った値が1.75以上であれば、上記のイオンの放出速度が高いことから、この条件の高炉スラグ微粉末を使用することが良い。また、高炉スラグ微粉末の良い性質は、クロム元素をほとんど含まず、また、硫黄イオンを含むことから、還元能力を有することがある。この性質により、土壌中の6価クロムの還元を補助する効果もあることから、特に望ましい土壌固化剤である。高炉スラグ微粉末はアルカリ性で固化しやすい性質を持っているため、アルカリ土に用いる場合は、単独で土壌固化剤として用いることができる。
また、高炉スラグ微粉末と、ポルトランドセメントやアルミナセメントとの混合物を土壌固化剤として使用することも良い。これは、上記に述べた高炉スラグ微粉末の特長を活かして、かつ、固化速度の大きいポルトランドセメントやアルミナセメントの特長を活かすことができるからである。また、酸性土の条件では高炉スラグ微粉末は固化しづらい問題があることから、酸性土の場合は、高炉スラグ微粉末とポルトランドセメント等との混合物が有効である。高炉スラグ微粉末の混合比率が30質量%以上であれば、高炉スラグ微粉末の特長を損なわない。また、たとえ、高炉スラグ微粉末に混合する他の土壌固化剤に6価クロム等の重金属イオンが微量に含まれていても、高炉スラグ微粉末の比率が30質量%以上であれば、これらを無害化する効果が発揮できる。このことから、通常のセメントに高炉スラグ微粉末を混合する場合は、この質量比率が30%以上であることが良い。関東ローム層などの酸性土の場合は、高炉スラグ微粉末単独でなく、普通セメント(ポルトランドセメント等)と高炉スラグ微粉末の混合物であって、後者の質量比率を30〜70%である土壌固化剤を使用することが良い。また、酸性が強い土壌の場合や急速に固化することが必要な場合は、普通ポルトランドセメントなどのセメントを単独で土壌固化剤として使用する場合もある。
土壌との混合方法は、以下のものがある。掘削した土砂と本発明の土壌修復剤をミキサーで混合して、これを掘削穴に埋め戻す方法、土砂を耕運しながら、本発明の土壌修復剤を混合していく方法、スラリー状の本発明の土壌修復剤を土壌中に注入する方法などがある。また、汚染土壌を処理が容易な場所に運んで、ここで本発明の土壌修復剤と混合することもある。なお、混合比率は、除去対象物質、汚染濃度、施工条件等で異なるものの、土砂1立方メートルに対して、鉄含有粒子が5〜100キログラム程度となるように本発明の土壌修復剤を使用することが多い。また、土壌固化剤の比率は、土砂1立方メートルに対して50〜120キログラムの範囲であることが多い。
図2を用いて、ミキサーを用いて掘削した土砂に混合する方法を説明する。本発明の土壌浄化剤を容器1に入れる。容器1の内部の土壌浄化剤は水分を多く含む状態とする。この土壌浄化剤をミキサー3に供給する。一方、土砂供給シュート2に重機で土砂4を入れ、これをミキサー3に供給する。ミキサー3で十分に混合した後に、混合土砂5を掘削した穴に埋め戻す。埋め戻しには、ダンプ式トラック、ベルトコンベア、パワーショベル等の重機などを用いる。図2には、パワーショベル6の例が記載されている。この方式の施工の際には、本発明の土壌浄化剤と土砂との混合特性が良いことが重要である。この目的のためには、土壌浄化剤の水分含有率が土砂の水分含有率に近いことが重要である。一般的に、土砂の水分は、30〜70質量%であることが多い。そこで、混合特性を良くするため、本発明の土壌浄化剤の水分を20〜80質量%に調整した後に、土砂と混合する。土砂が細かい粘土状であれば、水分を50〜80質量%とすることが多い。粗い土砂の場合は比較的低水分であることが多い。埋め戻し後には、本発明の土壌浄化剤中の土壌固化剤が水和反応して、土砂粒子を結合する効果がでる。この効果により、施行処理後の土砂が固化する。固化に要する時間は、土壌固化剤の種類、土砂の種類や温度などにより異なるが、10〜30日程度である。
本発明に用いる鉄含有粒子の粒子径は、10ミクロン以下であれば、反応界面積が広く、反応活性が高い利点がある。ただし、このような鉄含有粒子は酸化反応による反応活性劣化も速いことから、長期間にわたって効果の発揮が必要な場合は、10〜100ミクロン程度の鉄含有粒子を一方、土中に数ヶ月以上の効果維持が必要な場合は、10〜200ミクロン程度、望ましくは50〜200ミクロン程度の比較的粗い粒子を用いる。
また、この粒子を含むスラリーを土中に注入する際には、施工を容易にする条件として、スラリーが高流動性であることが良いことから、10ミクロン以下、望ましくは2ミクロン以下の粒子径の鉄含有粒子を用いることが良い。注入施工は、図3に記載される装置構成で用いて行うことが一般的である。まず、鉄含有粒子と土壌固化剤の混合物を混合タンク7の中で、水分を多く含む状態(スラリー状)で混合する。圧入ポンプ8を用いてスラリー注入管9にて土壌10中に注入する。
この方法は本発明の効果が大きく、鉄含有粒子を土砂中に20〜50キログラム/立方メートルの混合比でも有機汚染物質の濃度を10分の1以下とするのに、3〜10日、100分の1の濃度とするのに、2ヶ月程度であり、迅速な処理が可能である。注入に適正なスラリーの水分比率は70〜90質量%である。このように、高水分のスラリーを注入することから、土壌の水分が過多になり、やはり土壌が軟弱化する。この欠点を本発明中の土壌固化剤が補完する。軟弱化した土壌中で、固化剤から水和反応する物質が溶出して、これが土壌粒子間の結合剤として機能して、軟弱化した土壌を固化させる。なお、反応や固化までの時間等は、上記に説明した内容と同一である。
特に速い反応速度を期待する場合は、細かい粒子で構成される本発明の土壌修復剤を使用する。この場合は、平均粒子径が2ミクロン以下である鉄含有粒子と平均粒子径が5ミクロン以下であるガラス化高炉スラグ粒子を含む土壌固化剤との混合物を用いる。特に、スラリーとして本発明の土壌修復剤を用いる場合は、このような微粒子を使用する。
Figure 2006055724
本発明の実施例として、微細な鉄含有粒子と高炉スラグ微粉末50%とポルトランドセメント50%の混合物を比較的粗い土壌の浄化処理に用いた例を実施例1として示す。実施例1は、この混合物をスラリーとして、これを土壌中に注入した施工結果である。この鉄含有粒子は、酸化第一鉄と金属鉄の合計比率が73質量%の平均粒子径が0.9ミクロンの粒子であった。高炉スラグ微粉末とポルトランドセメントの混合物の平均粒子径は13ミクロンであった。両者の混合物からなるスラリーの水分は75%であった。この混合物を鉄含有粒子が40キログラム/立方メートル、高炉スラグ微粉末とポルトランドセメントの混合物が100キログラム/立方メートルとなるように,トリクロロエチレンで汚染されている土壌中に注入処理した。この処理では、7日後で55%、28日後で86%の除去率が得られた。また、一軸圧縮強度も一般的な地盤改良時の7日後の0.2N/mm2を超える値が得られた。比較例1は高炉スラグ微粉末とポルトランドセメントを混合せずに注入した例である。トリクロロエチレンの除去率は実施例1と同等であるが、圧縮強度の改善は28日経過しても全く見られなかった。
本発明の実施例として、微細な鉄含有粒子と高炉スラグ微粉末の混合物を比較的粗い土壌の浄化処理に用いた例を実施例2として示す。実施例2は、この混合物と掘削した土砂を混合して、これを掘削位置に埋め戻した施工結果である。この鉄含有粒子は、酸化第一鉄と金属鉄の合計比率が75質量%の平均粒子径が1.4ミクロンの粒子であった。高炉スラグ微粉末の平均粒子径は11ミクロンであった。両者の混合物の水分は45%であった。この混合物を鉄含有粒子が40キログラム/立方メートル、高炉スラグ微粉末を100キログラム/立方メートルとなるように,トリクロロエチレンで汚染されている掘削した土砂に混合して、これを埋め戻した。この処理では、7日後で57%、28日後で82%の除去率が得られた。一軸圧縮強度も一般的な地盤改良時の7日後の0.2N/mm2を超える値が得られた。比較例2は高炉スラグ微粉末を混合せずに処理した例である。トリクロロエチレンの除去率は実施例2と同等であるが、圧縮強度の改善は28日経過しても全く見られなかった。
鉄含有粒子中の金属鉄と酸化鉄の比率のトリクロロエチレンの除去率に対する影響を示す図である。 土壌修復剤と土砂をミキサーを用いて掘削した土砂に混合する方法を示す図である。 本発明に用いるスラリー状の土壌修復剤を土壌中に注入する方法を示す図である。
符号の説明
1 容器
2 土砂供給シュート
3 ミキサー
4 土砂
5 混合土砂
6 パワーショベル
7 混合タンク
8 圧乳ポンプ
9 スラリー注入管
10 土壌

Claims (6)

  1. 酸化第一鉄と金属鉄の少なくとも一方を含む粒子と、水和による土壌固化機能を有する粉体の両者を同時に、有機ハロゲン化合物または6価クロムに汚染された掘削した土砂と混合して、これを埋め戻すことにより、当該土砂中の有機ハロゲン化合物または6価クロムの濃度を低減するとともに、当該土砂を固化させることを特徴とする土壌修復方法。
  2. 水分を20質量%以上含む状態である、平均粒子径が10ミクロン以下の酸化第一鉄と金属鉄の少なくとも一方を含む粒子と水和による土壌固化機能を有する粉体の混合物を土砂と混合することを特徴とする請求項1に記載の土壌修復方法。
  3. 酸化第一鉄と金属鉄の少なくとも一方を含む粒子と、水和による土壌固化機能を有する粉体の両者を同時に、有機ハロゲン化合物に汚染された土砂中に送り込むことにより、当該土砂中の有機ハロゲン化合物または6価クロムの濃度を低減するとともに、当該土砂を固化させることを特徴とする土壌修復方法。
  4. 水分を70質量%以上含む状態である、平均粒子径が10ミクロン以下の酸化第一鉄と金属鉄の少なくとも一方を含む粒子と水和による土壌固化機能を有する粉体の混合物を土砂に送り込むことを特徴とする請求項3に記載の土壌修復方法。
  5. 水和による土壌固化機能を有する粉体として、高炉スラグ微粉末の単独品、または、高炉スラグ微粉末を30質量%以上含む粉体を用いることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の土壌修復方法。
  6. 平均粒子径が5ミクロン以下であり、かつ、酸化第一鉄と金属鉄の合計比率が40質量%以上の粒子と、高炉スラグ微粉末の単独品、または、これを30質量%以上含む粉体を用いて、当該酸化第一鉄と金属鉄を含む粒子と、当該高炉スラグ微粉末の単独品、または、高炉スラグ微粉末を40質量%以上含む粉体との質量比率が1対0.5〜1対10の範囲として、この両者の混合物を有機ハロゲン化合物または6価クロムを含む土砂と混合することを特徴とする請求項5に記載の土壌修復方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007268382A (ja) * 2006-03-30 2007-10-18 Sumitomo Osaka Cement Co Ltd 汚染土壌の浄化方法
JP2007301418A (ja) * 2006-01-26 2007-11-22 Jfe Mineral Co Ltd 土壌浄化材
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