JP2015142918A - 土壌改良材 - Google Patents

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Abstract

【課題】製鋼スラグを利用した土壌改良材であって、製鋼スラグの還元効果によって6価クロム等の有害物質の有害性を低減し、土壌の環境安全性を効果的に改善できる土壌改良材を提供する。
【解決手段】土壌と混合して使用される土壌改良材であって、トータルFe含有量が15質量%以上、FeO含有量が10質量%以上、CaO/SiO(質量比)が2以上、5未満、好ましくは金属Fe含有量が1質量%以上である製鋼スラグからなる。製鋼スラグから十分な量のCa分を供給して、妨害性アニオンの効果を適切に抑制しつつ、鉄および酸化鉄による還元能力を十分に発揮させることができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、6価クロムやアンモニア等のような有害物質で汚染された土壌を改良するための土壌改良材に関するものである。
土壌は、置かれた環境や周辺の排水の影響或いは自然由来によって、有害物質に汚染される場合があり、その汚染の度合いが環境基準値を超える場合もある。例えば、6価クロムや砒素などの重金属類、トリクロロエチレン、ダイオキシン等の有機化合物に関して、土壌環境基準等において土壌中の上限値が定められている。
6価クロムは、還元して3価にすることによって溶解度が大幅に低減し、安全性を確保できることから、還元剤を混合することで溶出抑制を図る方法が広く知られており、具体的な方法としては、還元剤として硫酸第一鉄を用いる方法(例えば、特許文献1,2)、硫黄系還元剤を用いる方法(例えば、特許文献3,4)、鉄粉を用いる方法(例えば、特許文献5,6)などがある。
特開平09−85224号公報 特開2001−121109号公報 特開平10−324547号公報 特開2000−093934号公報 特開2001−198567号公報 特開2004−141812号公報 特開2003−206172号公報 特開2005−74280号公報 特開2000−37676号公報 特開2004−130240号公報 特開2004−331759号公報 特開2005−152781号公報
上述した従来技術のなかで、還元剤として硫酸第一鉄を用いる方法は、速効性は高いものの、効果がすぐに失われてしまう欠点がある。また、硫黄系還元剤を用いる方法は、比較的長期の還元性能が維持されるが、速効性を確保するためには、材料の粒度や特性を特定の限られた範囲にする必要性がある。また、還元剤として鉄粉を用いる方法は、還元剤として同じ鉄系の硫酸第一鉄を用いる方法に較べて長期的な還元効果が期待できるものの、実際上の問題として、スラリー状にして混合することによる地盤の軟弱化等の問題がある。これは、鉄粉と土壌の混合条件に十分留意しないと、均質混合が難しいためである。
本発明者らは、上述したような従来の土壌改良材の問題に鑑み、優れた還元作用を発揮して適切な土壌改良を行うことができ、且つ特別な施工条件を必要としない材料について、以下のような検討を行った。
まず、本発明者らは、鉄粉などが持つ還元作用を有効に発揮させるためには、簡便な混合でも均質性を確保できることが重要ではないかと考え、細かい鉄を含み、且つ土壌との比重差が小さい材料について探索した結果、製鋼スラグが適した材料であるとの結論を得た。
従来、製鋼スラグを有害物質の無害化技術に利用したものとして、特許文献7〜9に示されるようなものがある。これらのうち、特許文献7に示されるのは脱硫スラグを含む固化材であるが、この固化材は脱硫スラグに含まれる硫黄による還元能力を期待したものであり、酸化鉄や鉄粉の作用効果については不明である。また、特許文献8に示されるのは、製鋼スラグとアルカノールアミンを含有する有害物質捕集材であるが、同文献(段落0024)では、製鋼スラグのみを用いると、種々の妨害性のアニオンの濃度が高い環境下では、捕集材としての効果が期待できないとしている。また、特許文献9に示されるのは、重金属を含む廃棄物を転炉スラグ等の製鋼スラグを用いて安定化処理する方法であるが、この方法では、温水環境下で共存させるなど特殊な処理場と温度場が要求されており、また、土壌のような比表面積が大きい対象についての有効性は明確ではない。
一方、特許文献10,11に記載の技術では、有害物質低減材を構成するカルシウムフェライト系材料が用いられている。この技術で使用されるカルシウムフェライト系材料は、CaOとFeの化合物からなっており、換言すれば、鉄系の原料として3価のFe源を用いるものである。この技術の本質は、有害重金属を不溶化するものであり、還元効果は期待できない。また、特許文献11では転炉スラグが用いられているが、その役割は潜在水硬性材料としてのものである。
このような技術の改善策として、特許文献12には、高炉徐冷スラグと製鋼スラグとからなる有害物質低減材が示されており、この技術は、高炉徐冷スラグにより還元効果を発揮させ、製鋼スラグのFeとAlで有害重金属を不溶化するというものである。しかし、同文献において製鋼スラグであるとしている、FeとAlの合計濃度が高い酸化性のスラグは、一般に知られている製鋼スラグの組成とかなり異なったものである。例えば、代表的な製鋼スラグの組成を表1に示すが、脱炭炉スラグ、脱リンスラグではFeとAlの比率は低く、2CaO・Fe、4CaO・Al・Feが最大限生成したと仮定しても、FeとAlの合計濃度が20質量%を超えることはない。また、電気炉スラグはAlの割合が比較的高く、FeとAlの合計濃度は高めになるものの、FeやCaOは少ないため、2CaO・Fe、4CaO・Al・Feが最大限生成したとしても、FeとAlの合計濃度は脱炭炉スラグや脱リンスラグと同程度である。加えて、実際のスラグでは、2CaO・SiOやMgO、スピネル等との固溶物もあり、そのような生成量にはならない。したがって、特許文献12に示されるようなFeとAlの合計濃度が高いスラグを得るには、精錬工程で発生した製鋼スラグに特別な処理(例えば、熱処理などで酸化させる)を加えてFeを増やす必要がある。また、特許文献12が使用する有害物質低減材は、その反応機構から明らかなように、一般的な鉄鋼製造プロセスで発生する製鋼スラグが有する金属FeやFeOの反応を有効に活用するものではない。したがってまた、特許文献12には、スラグのFeとAlの合計量の記載しかなく、トータルFe、FeO、金属Feの各含有量は全く不明である。
Figure 2015142918
したがって本発明の目的は、発生後特別な処理を施すことなく常温まで冷却した製鋼スラグを利用した土壌改良材であって、製鋼スラグの還元作用によって6価クロム等の有害物質の有害性を低減し、土壌の環境安全性を効果的に改善できる土壌改良材を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく検討を重ねた結果、以下のような知見を得た。すなわち、製鋼スラグが有する金属FeやFeOは還元機能を十分有しているが、置かれた環境とアニオン類の影響によって還元等の能力が低下し、また土壌の種類によっても、元素の吸着効果によって、その効果が大きく変動してしまう。したがって、これを抑制することができれば、製鋼スラグだけを添加した場合でも有効な還元効果が発現できる。具体的には、トータルFeおよびFeOの含有量とCaO/SiOを所定レベル以上とした製鋼スラグを用いることにより、スラグから十分な量のCa分を供給して、妨害性アニオンの効果を適切に抑制しつつ、鉄および酸化鉄による還元作用を十分に発揮させることができる。
本発明はこのような知見に基づきなされたもので、以下を要旨とするものである。
[1]トータルFe含有量が15質量%以上、FeO含有量が10質量%以上、CaO/SiO(質量比)が2以上、5未満である製鋼スラグからなることを特徴とする土壌改良材。
[2]上記[1]の土壌改良材において、製鋼スラグの金属Fe含有量が1質量%以上であることを特徴とする土壌改良材。
[3]上記[1]または[2]の土壌改良材において、さらに、未エージングの高炉徐冷スラグを含むことを特徴とする土壌改良材。
[4]上記[3]の土壌改良材において、未エージングの高炉徐冷スラグは、粒径10mm以下の割合が90mass%以上である粒度を有することを特徴とする土壌改良材。
[5]上記[3]または[4]の土壌改良材において、未エージングの高炉徐冷スラグは、水:スラグ=10:1の質量部割合で水と混合し、200rpmで6時間振とう後、ろ過したときのチオ硫酸イオンの浸出量が30mg/L以上となるスラグであることを特徴とする土壌改良材。
本発明の土壌改良材は、製鋼スラグまたは製鋼スラグ+高炉徐冷スラグだけからなる土壌改良材でありながら、製鋼スラグまたは製鋼スラグ+高炉徐冷スラグの還元作用によって6価クロム等の有害物質の有害性を低減し、土壌の環境安全性を効果的に改善することができる。
製鋼スラグのトータルFe含有量と6価クロム還元率との関係を示すグラフ 製鋼スラグのFeO含有量と6価クロム還元率との関係を示すグラフ 製鋼スラグの金属Fe含有量およびトータルFe含有量と6価クロム還元率との関係を示すグラフ 製鋼スラグのCaO/SiO(質量比)とCa溶出量との関係を示すグラフ 製鋼スラグのCaO/SiO(質量比)と6価クロム還元率との関係を示すグラフ
本発明の土壌改良材は、トータルFe含有量が15質量%以上、好ましくは20質量%以上、FeO含有量が10質量%以上、CaO/SiO(質量比)が2以上5未満、好ましくは3以上5未満の製鋼スラグからなるものである。
このように所定レベル以上のトータルFe含有量とFeO含有量を有し、且つCaO/SiO(質量比)が2以上、好ましくは3以上の製鋼スラグを土壌改良材として用いることにより、土壌の表面水や間隙水が製鋼スラグと接触した際にCa分が供給され、妨害性アニオンの効果を適切に抑制することができ、鉄および酸化鉄による還元能力を十分に発揮させることが可能となる。また、セメント等による粘土質等の土壌改良では、セメントから供給されるCaが粘土鉱物の表面や層間に吸着されてしまい、Caによる効果が十分に得られないという問題があるが、製鋼スラグにより十分なCaを供給することによって、効果を維持できることも判った。
製鋼スラグのトータルFe含有量が15質量%未満、FeO含有量が10質量%未満では、土壌との接触比が十分確保できないこと、土壌種類の影響で効果が不安定になるケースがあることから、いずれの場合も鉄および酸化鉄による還元作用が十分に得られない。また、このような観点から、より好ましいトータルFe含有量は20質量%以上である。
また、製鋼スラグは、金属Fe含有量が1質量%以上、望ましくは3質量%以上であることが好ましく、このような量の金属Feを含有することにより、還元作用をより高めることができる。
製鋼スラグは、上述したFeOと金属Fe以外に、水酸化鉄や3価の鉄酸化物などを含んでいてもよい。
図1〜図3に、製鋼スラグのトータルFe含有量、FeO含有量、金属Fe含有量と6価クロム還元率との関係を調査した結果を示す。これらの試験では、クロム標準液を用いて、6価クロム濃度を0.5mg/Lに調整し、これを土壌に10質量%添加した。この土壌質量:1に対して製鋼スラグを質量比で0.5の割合で混合し、これを1日静置した後、環境庁告示第46号法で6価クロム溶出試験を行い、6価クロム還元率(還元後の6価クロム量/還元前の6価クロム量)を調べた。
図1の試験では、精錬炉における撹拌条件を変えてトータルFe含有量が異なる製鋼スラグを生成させた。この製鋼スラグのCaO/SiO(質量比)は3.2〜4.2、金属Fe含有量は2質量%であり、FeO含有量はトータルFeの75質量%がFeOとなるように調整した。また、図2の試験では、トータルFe含有量が18〜20質量%、金属Fe含有量が1.5質量%、CaO/SiO(質量比)が3.8〜4.2の製鋼スラグの冷却時酸化条件を変更して、FeO含有量の異なる製鋼スラグを生成させた。さらに、図3の試験では、トータルFe含有量が20質量%、FeO含有量が10〜15質量%の製鋼スラグについて、磁選の条件を変えることで所定の金属Fe含有量になるように調整した。
図1および図2によれば、トータルFe含有量が15質量%以上、FeO含有量が10質量%以上の製鋼スラグを用いることで、60%以上の6価クロム還元率が得られることが判る。さらに、トータルFe含有量が20質量%以上になると、80%以上の6価クロム還元率が得られ、より好ましいことが判る。また、図3によれば、特に金属Fe含有量が1質量%以上、好ましくは3質量%以上の製鋼スラグを用いることにより、より高い6価クロム還元率が得られることが判る。
なお、トータルFe含有量の上限は特に規定するものではないが、金属Feの比重が7.8、FeOの比重が5.7であり、土壌の比重は火山灰で2.4、非火山灰で2.6程度であることから判るように、製鋼スラグ中のトータルFe含有量が多すぎるとスラグと土壌との比重差が大きく、混合時に分離しやすくなり、均質な混合が難しくなったり、処理にばらつきが生じるという問題が発生しやすい。したがって、土壌との比重差が小さい方が好ましく、製鋼スラグの比重は3〜4となるような成分比率であることが好ましい。この点から、Feの酸化状態にもよるが、トータルFe含有量は30質量%以下であることが好ましく、26質量%以下であることがさらに好ましい。製鋼スラグの比重が3〜4程度であれば、土壌と比重が近いことから、安定した混合・還元特性を得ることが可能となる。
製鋼スラグの塩基度、すなわちCaO/SiO(質量比)が2未満では、Ca溶出量が急激に低下し、周辺の妨害性のアニオンによる影響を吸収しきれない場合がある。この観点から、より好ましいCaO/SiO(質量比)は3以上である。一方、製鋼スラグのCaO/SiO(質量比)が5以上では、還元効果に及ぼす影響はないものの、スラグ中の遊離CaOが残存する量が多いことになり、土壌の体積安定性が低下するため望ましくない。
図4に、製鋼スラグのCaO/SiO(質量比)とCa溶出量との関係を調査した結果を示す。この試験では、トータルFe含有量が20質量%、FeO含有量が15質量%、金属Fe含有量が1.0質量%の製鋼スラグについて、CaO/SiO(質量比)を1.2〜4.2の範囲で変化させ、Ca溶出量を調査した。Ca溶出量は、製鋼スラグ1質量部に対して水を10質量部添加し、200rpmで6時間振とうした後、メンブランフィルターでろ過したろ液を用いて評価した。
図4によれば、製鋼スラグからのCa溶出量は、スラグのCaO/SiO(質量比)が2以上となると急増し、特に3以上となると顕著に増加している。このように十分なCa溶出量が確保されることにより、妨害性のアニオンや吸着による効果の低下が防止され、FeOや金属Feによる還元効果を有効に発揮することが可能となる。
図5に、トータルFe含有量が22質量%、FeO含有量が20質量%、金属Fe含有量が1.0質量%であって、CaO/SiO(質量比)が異なる製鋼スラグを用いて、6価クロム低減効果(6価クロムの還元率)を調査した結果を示す。この試験では、クロム標準液を用いて、6価クロム濃度を0.5mg/Lに調整し、これを土壌に10質量%添加した。この土壌質量:1に対して製鋼スラグを質量比で0.5の割合で混合し、これを1日静置した後、環境庁告示第46号法で6価クロム溶出試験を行い、6価クロム還元率(還元後の6価クロム量/還元前の6価クロム量)を調べた。
図5によれば、製鋼スラグのCaO/SiO(質量比)によって6価クロムの還元効果が変化し、CaO/SiO(質量比)が2以上で有効な還元効果が得られ、特に3以上で顕著な還元効果が得られている。
本発明で使用される製鋼スラグとしては、例えば、転炉スラグ(脱炭スラグ)、溶銑予備処理スラグ(脱燐スラグ、脱硫スラグ、脱珪スラグなど)、電気炉スラグなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
製鋼スラグの粒度も特に限定されるものではないが、還元反応に関与する接触面やCa溶出の促進のための比表面積を確保するという観点から、通常、最大粒径が10mm以下に破砕若しくは篩分けにより粒度調整されたものが望ましい。
本発明で規定する製鋼スラグの組成条件は、例えば、CaO/SiO(質量比)については、精錬中の副原料(石灰、珪石等)の調整などにより、また、トータルFe含有量、FeO含有量および金属Fe含有量については、製鉄操業時の酸化鉄の添加条件や酸素吹きの条件の調整、磁選条件の調整、冷却条件の調整などにより、それぞれ実現することができる。
本発明の土壌改良材は、上述したような組成の製鋼スラグに、さらに、未エージングの高炉徐冷スラグを混合したものでもよい。改良の対象となる土壌は、条件によって反応性が異なり、特に酸性側になる土壌では金属Fe、FeOによる還元反応が有効に作用しにくくなる場合がある。このような土壌に対して、製鋼スラグに未エージングの高炉徐冷スラグを混合した土壌改良材を適用した場合、多硫化物やチオ硫酸などの還元性材料が供給され、安定した還元能力が発揮される。
ここで、高炉徐冷スラグのエージングとは、JIS−A5015「鉄鋼スラグ路盤材」に規定されるものであり、未エージングの高炉徐冷スラグとは、破砕後のエージング期間が6ヶ月に満たないものである。
このように高炉徐冷スラグとして未エージングのものを用いるのは、未エージングの高炉徐冷スラグからは多硫化物やチオ硫酸イオンが浸出するのに対し、大気中でエージングを進めた高炉徐冷スラグでは表面から硫化物の酸化が進み、硫酸塩(SO 2−)に変わり、還元能力が大きく低下してしまうためである。
高炉徐冷スラグの粒度は特に限定されるものではないが、表面積が大きいほど還元性物質が土壌に供給されやすくなる。このため粒径10mm以下の割合が90質量%以上、より望ましくは、粒径5mm以下の割合が90質量%以上である粒度を有することが好ましい。
未エージングの高炉徐冷スラグは、還元能力は高いものがより望ましい。特に、水:スラグ=10:1の質量部割合で水と混合し、200rpmで6時間振とう後、ろ過したときのチオ硫酸イオンの浸出量が30mg/L以上となる高炉徐冷スラグを用いることが好ましい。チオ硫酸イオンは、還元剤として知られるイオンであるが、高炉徐冷スラグに含まれる硫黄成分が一部酸化された状態で溶出してくる。チオ硫酸イオンの浸出量が30mg/L未満の高炉徐冷スラグでも効果は期待できるが、妨害性のアニオンなどの影響に対して安定した還元効果を得るためには、チオ硫酸イオンの浸出量が30mg/L以上のものが望ましい。
製鋼スラグに対する高炉徐冷スラグの配合量は特に限定しないが、pHが4未満になるような土壌に適用する場合には、製鋼スラグ+高炉徐冷スラグ中で20質量%以上配合するのが望ましい。高炉徐冷スラグの配合量の上限は特にないが、余剰Sが発生すると、低pH土壌では極微量ではあるものの硫化水素が発生する可能性があり、このため、好ましくは製鋼スラグ+高炉徐冷スラグ中で50質量%未満であることが望ましい。
本発明の土壌改良材は、6価クロム以外にも、アンモニアやPCB、トリクロロエチレンといった有機塩素化合物等の浄化効果も期待できる。
本実施例では、製鋼スラグとして、脱炭スラグと脱燐スラグを用いた。高炉徐冷スラグは、高炉から出されたスラグを放流・徐冷して得られたスラグである。各スラグをヤードに放流して冷却後、クラッシャーで破砕し、条件にあわせて粒度を整えて使用した。
製鋼スラグの組成のうち、金属Fe含有量は磁選の条件を選択することで調整し、FeO含有量は製鉄操業時の酸化鉄の添加条件や酸素吹きの条件を選択することで調整し、トータルFe含有量は磁選条件(磁場の強さ、距離など)を選択することで調整し、それぞれ分析値をもとに適用した。また、CaO/SiO(質量比)は、副原料添加量を管理し、得られたスラグを選択することで調整し、分析値をもとに適用した。
土壌改良材の添加量を3質量%とした条件で、環境庁告示46号法による溶出試験方法に基づく溶出試験を行い、6価クロムの溶出量を測定した。対象の土壌としては、6価クロムの溶出抑制効果を阻害すると言われる火山灰質粘性土のセメント改良土を用いた。試験は、土壌に土壌改良材を3質量%添加して十分撹拌した後、3日間静置してから溶出試験を行った。その結果を、土壌改良材の構成とともに表2に示す。
なお、表2に示す溶出試験の評価は以下の通りである。
○:6価クロムの検出下限値(0.03mg/L)未満
△:6価クロムの溶出値が0.03mg/L以上、0.05mg/L以下
×:6価クロムの溶出値が0.05mg/L超
表2によれば、本発明の土壌改良材では、いずれも6価クロムの溶出量が基準値以下に抑えられている。
Figure 2015142918
本発明はこのような知見に基づきなされたもので、以下を要旨とするものである。
[1]土壌と混合して使用される土壌改良材であって、トータルFe含有量が15質量%以上、FeO含有量が10質量%以上、CaO/SiO(質量比)が2以上、5未満である製鋼スラグからなることを特徴とする土壌改良材。
[2]上記[1]の土壌改良材において、製鋼スラグの金属Fe含有量が1質量%以上であることを特徴とする土壌改良材。
[3]上記[1]または[2]の土壌改良材において、さらに、未エージングの高炉徐冷スラグを含むことを特徴とする土壌改良材。
[4]上記[3]の土壌改良材において、未エージングの高炉徐冷スラグは、粒径10mm以下の割合が90mass%以上である粒度を有することを特徴とする土壌改良材。
[5]上記[3]または[4]の土壌改良材において、未エージングの高炉徐冷スラグは、水:スラグ=10:1の質量部割合で水と混合し、200rpmで6時間振とう後、ろ過したときのチオ硫酸イオンの浸出量が30mg/L以上となるスラグであることを特徴とする土壌改良材。
[6]上記[1]〜[5]のいずれかの土壌改良材において、製鋼スラグの比重が3〜4であることを特徴とする土壌改良材。

Claims (6)

  1. 土壌と混合して使用される土壌改良材であって、トータルFe含有量が15質量%以上、FeO含有量が10質量%以上、CaO/SiO(質量比)が2以上、5未満である製鋼スラグからなることを特徴とする土壌改良材。
  2. 製鋼スラグの金属Fe含有量が1質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の土壌改良材。
  3. さらに、未エージングの高炉徐冷スラグを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の土壌改良材。
  4. 未エージングの高炉徐冷スラグは、粒径10mm以下の割合が90mass%以上である粒度を有することを特徴とする請求項3に記載の土壌改良材。
  5. 未エージングの高炉徐冷スラグは、水:スラグ=10:1の質量部割合で水と混合し、200rpmで6時間振とう後、ろ過したときのチオ硫酸イオンの浸出量が30mg/L以上となるスラグであることを特徴とする請求項3または4に記載の土壌改良材。
  6. 製鋼スラグの比重が3〜4であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の土壌改良材。
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