JP2006102643A - 硫化カルシウム系重金属固定化剤、及びその製造方法、並びに地盤改良材の製造方法、及び処理対象物の処理方法 - Google Patents

硫化カルシウム系重金属固定化剤、及びその製造方法、並びに地盤改良材の製造方法、及び処理対象物の処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 重金属の固定化性に優れ、硫化水素の発生が低減された硫化カルシウム系重金属固定化材、その製造方法、その硫化カルシウム系重金属固定化材を利用した地盤改良材の製造方法及び処理対象土の処理方法を提供する。
【解決手段】 粉砕した石膏と炭素含有物とを還元雰囲気下600℃〜750℃で加熱処理する。これにより、硫化カルシウムを20質量%〜80質量%含有する硫化カルシウム系重金属固定化剤が得られる。この固定化剤は、短軸径5μm以下の粒状一次粒子或いは繊維径5μm以下の繊維状一次粒子を含有し、それらが凝集した5mm以下の二次粒子を含有することもある。この固定化剤をセメント又はセメント系固化材と混合することにより地盤改良材を製造することができ、また、重金属を含む処理対象物に混合することにより、効果的に重金属を固定化することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、汚染土壌等に含まれる重金属の溶出を防止するための硫化カルシウム系重金属固定化剤、及びその製造方法、並びに地盤改良材の製造方法、及び処理対象物の処理方法に関するものである。
重金属等の汚染土壌に対する対応は現代社会の抱える大きな問題の一つであり、その恒久対策の一つとして、セメント或いはセメント系固化材による封じ込めが一般的に適用されている。しかし、これまでのこの方法では土壌の性状(粒度、含水比、有機物量)の影響を受けやすく、結果として、重金属の固定化には限界があった。また、土質によっては、セメントに由来する六価クロムが土壌環境基準を超えて溶出するといった問題があった。
セメント系固化材による固化処理土からの六価クロム溶出の対策としては、各種の還元剤を添加する方法が知られている(例えば、特許文献1)。還元剤としては、硫酸第一鉄、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、硫黄、硫化カルシウム、硫化鉄等の硫化物や、これらの硫化物を含むスラグ、硫化水素等の水素化物、Na、K、Mg、Fe、Zn等の金属粉が使用される。しかし、固化処理土における重金属固定化効果が不十分であったり、中・長期的な還元作用の持続性や固化処理土の強度発現性の低下、ハンドリング性等に問題があった。
また、無機系物質による重金属の固定化剤には、上述の還元剤の他に、酸素、オゾン、金属酸化物、過酸化物、塩素酸塩、ハロゲン化物等の酸化物、及び、硫化物、アルカリ、石灰等の沈殿剤が使用されている。酸化剤は、汚染土や排水中におけるCODやBODの低減、脱色、除鉄、除マンガン、シアン及び有機水銀の分解等、重金属の沈殿の前処理を目的として添加され、沈殿剤は、カドミウム、鉛、砒素、水銀等の有害重金属を難溶性の硫化物、カルシウム塩、水酸化物として沈殿させる目的で添加される。しかし、複合汚染土や都市ゴミ焼却灰、産業廃棄物等のように複数の重金属が共存する複合汚染の場合には性能が低下し、対象とする重金属の許容濃度限界をクリアできず、上記した還元剤や沈殿剤には自ずと限界があった。
この中にあって、硫化カルシウムは、重金属の不溶化効果が大きく、少量の添加により十分な重金属溶出抑制性能を発揮することから、添加量を抑えられるため、固化処理土の強度を低下させることなく、重金属の不溶化を行うことができる。しかし、硫化カルシウムは、現在、高純度の試薬が市場に流通しているだけであり、コストが高く、工業的な製造方法の開発が望まれている。
硫化カルシウムの製造方法については、リン酸石膏に石炭あるいは一酸化炭素を加えて還元して製造する方法(非特許文献1)が公知である。この方法はリン酸石膏に還元剤を添加して800℃以上で加熱処理し、純度が30質量%以上の硫化カルシウムを得るものである。
特開2003−146728号公報 US Depertment of The Interior,Report of invrdtigation No.9323 14p 「Recovery of sulfur from phosphogypsum:Conversion of calcium sulfate to calcium sulfide」
しかしながら、上記の非特許文献1の方法で得られた硫化カルシウムは、粒子の溶融が進んでおり、十分な重金属固定化能を発揮させるために平均粒径で2μm〜20μmまで粉砕し、硫化カルシウム粒子の比表面積を大きくする必要がある。そのため、硫化カルシウムの粉砕に時間を要し、エネルギーコストが高くなるだけでなく、微粉となるためハンドリング性が悪い等の問題があった。さらに、硫化カルシウムは、貯蔵や輸送、更にはセメントや固化材等との混合時に、空気中の水分及び二酸化炭素の作用により硫化水素を発生し、その臭気が問題となっていた。
そこで、本発明は、重金属の固定化性に優れ、硫化水素の発生が低減された硫化カルシウム系重金属固定化材、その製造方法、その硫化カルシウム系重金属固定化材を利用した地盤改良材の製造方法及び処理対象土の処理方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、石膏や石膏廃材に炭素含有物を含有する物質を還元剤として添加、混合し、還元雰囲気下特定温度範囲で加熱処理することにより、特定の粒子形状を有する加熱処理物とすることで、重金属の不溶化効果に優れ、微粉砕する必要がなく、硫化水素の発生が少ない硫化カルシウム系重金属固定化剤が製造できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明に係る硫化カルシウム系重金属固定化剤は、硫化カルシウムを20質量%〜80質量%含有し、20℃において硫化カルシウム系重金属固定化剤/水(質量比)=0.01で1時間攪拌した後における上澄液中の硫黄イオン濃度が150mg/L以上であることを特徴とする。
この硫化カルシウム系重金属固定化剤によれば、硫化カルシウム系重金属固定化剤を重金属を含む処理対象土、都市ゴミ焼却灰、セメント等の被処理物に混合すると、硫化カルシウム系重金属固定化剤中の硫化カルシウムが、被処理物中の重金属類と反応して不溶性の硫化物を形成させ、重金属の溶出を抑制する。硫化カルシウム系重金属固定化剤中の硫化カルシウム量が20質量%よりも少ない場合、十分な重金属固定化効果が得られないため好ましくなく、80質量%よりも多い場合には、含有量の増加による重金属固定化機能の向上があまりなく、また、大気中の水分や二酸化炭素との接触による硫化水素の発生量が多くなるため、好ましくない。また、20℃において硫化カルシウム系重金属固定化剤/水(質量比)=0.01で1時間攪拌した後における上澄液の硫黄イオン濃度が、150mg/Lよりも少ない場合には、硫化カルシウムから発生した硫黄イオンと重金属との反応が進み難く、重金属固定化効果が不十分となるため好ましくない。
この硫化カルシウム系重金属固定化剤は、短軸径5μm以下の粒状一次粒子及び/又は繊維径5μm以下の繊維状一次粒子を含有していることが好ましい。粒状一次粒子の短軸径或いは繊維状一次粒子の繊維径が5μmより大きい場合、硫化カルシウム系重金属固定化剤の比表面積が減少し、20℃において硫化カルシウム系重金属固定化剤/水(質量比)=0.01で1時間攪拌した後における上澄液の硫黄イオン濃度が150mg/Lよりも少なくなる傾向にある。
さらに、硫化カルシウム系重金属固定化剤には、粒状一次粒子及び/又は繊維状一次粒子が凝集した5mm以下の二次粒子をさらに含有していても良い。ここで、二次粒子は粒状一次粒子及び/又は繊維状一次粒子が凝集したものであるため、水が二次粒子内に入り込みやすく、水と二次粒子との接触面積も確保される。したがって、二次粒子が水に接触したときに硫黄イオンが溶出しやすく、その硫黄イオンによる重金属の固定化効果が確保される。なお、二次粒子の粒径が5mmよりも大きい場合には、セメントや固化材、処理対象土、処理対象物と均一に分散させることが難しくなり、部分的に被処理物からの重金属の溶出を防止できなくなる場合がある。
或いは、硫化カルシウム系重金属固定化剤には、粒状粒子及び/又は繊維状粒子が凝集した5mm以下の凝集粒子を含有していると良い。この場合も、凝集粒子は粒状粒子及び/又は繊維状粒子が凝集したものであるため、水が凝集粒子内に入り込みやすく、水と凝集粒子との接触面積も確保される。したがって、凝集粒子が水に接触したときに硫黄イオンが溶出しやすく、その硫黄イオンによる重金属の固定化効果が確保される。なお、凝集粒子の粒径が5mmよりも大きい場合には、セメントや固化材、処理対象土、処理対象物と均一に分散させることが難しくなり、部分的に被処理物からの重金属の溶出を防止できなくなる場合がある。
または、本発明に係る硫化カルシウム系重金属固定化剤は、硫化カルシウムを20質量%〜80質量%含有し、短軸径5μm以下の粒状一次粒子及び/又は繊維径5μm以下の繊維状一次粒子を含有していることを特徴とする。
この硫化カルシウム系重金属固定化剤によれば、硫化カルシウム系重金属固定化剤を処理対象土、都市ゴミ焼却灰、セメント等の被処理物に混合すると、硫化カルシウム系重金属固定化剤中の硫化カルシウムが、被処理物中の重金属類と反応して不溶性の硫化物を形成させ、重金属の溶出を抑制する。硫化カルシウム系重金属固定化剤中の硫化カルシウム量が20質量%よりも少ない場合、十分な重金属固定化効果が得られないため好ましくなく、80質量%よりも多い場合には、含有量の増加による重金属固定化機能の向上があまりなく、また、大気中の水分や二酸化炭素との接触による硫化水素の発生量が多くなり、好ましくない。また、粒状一次粒子の短軸径或いは繊維状一次粒子の繊維径が5μmより大きい場合、硫化カルシウム系重金属固定化剤の比表面積が減少し、20℃において硫化カルシウム系重金属固定化剤/水(質量比)=0.01で1時間攪拌した後における上澄液の硫黄イオン濃度が150mg/Lよりも少なくなる傾向にあるため好ましくない。
この硫化カルシウム系重金属固定化剤は、粒状一次粒子及び/又は繊維状一次粒子が凝集した5mm以下の二次粒子をさらに含有すると良い。ここで、二次粒子は、粒状一次粒子及び/又は繊維状一次粒子が凝集したものであるため、水が二次粒子内に入り込みやすく、水と二次粒子との接触面積も確保される。したがって、二次粒子が水に接触したときに硫黄イオンが溶出しやすく、その硫黄イオンによる重金属の固定化効果が確保される。ただし、二次粒子の粒径が5mmよりも大きい場合には、セメントや固化材、処理対象土、処理対象物と均一に分散させることが難しくなり、部分的に被処理物からの重金属の溶出を防止できなくなる場合がある。
または、本発明に係る硫化カルシウム系重金属固定化剤は、硫化カルシウムを20質量%〜80質量%含有し、粒状粒子及び/又は繊維状粒子が凝集した5mm以下の凝集粒子を含有することを特徴とする。
この硫化カルシウム系重金属固定化剤によれば、硫化カルシウム系重金属固定化剤を処理対象土、都市ゴミ焼却灰、セメント等の被処理物に混合すると、硫化カルシウム系重金属固定化剤中の硫化カルシウムが、被処理物中の重金属類と反応して不溶性の硫化物を形成させ、重金属の溶出を抑制する。硫化カルシウム系重金属固定化剤中の硫化カルシウム量が20質量%よりも少ない場合、十分な重金属固定化効果が得られないため好ましくなく、80質量%よりも多い場合には、含有量の増加による重金属固定化機能の向上があまりなく、また、大気中の水分や二酸化炭素との接触による硫化水素の発生量が多くなり、好ましくない。また、この硫化カルシウム系重金属固定化剤は、粒状粒子及び/又は繊維状粒子の殆どが凝集した場合であるが、この場合に、二次粒子の粒径が5mmよりも大きい場合には、セメントや固化材、処理対象土、処理対象物と均一に分散させることが難しくなり、部分的に被処理物からの重金属の溶出を防止できなくなる場合がある。
上記のような硫化カルシウム系重金属固定化剤において、容器容積(mL)/硫化カルシウム系重金属固定化剤重量(g)比=10となるように容器内に収容されて、初期相対湿度60%で20℃に維持されたとき、24時間静置した後における容器内の硫化水素濃度が1.0ppm以下となることが好ましい。このように、硫化カルシウムの含有量によって、硫化水素の発生が抑えられているため、セメントとの混合時に臭気も問題とならない。
また、本発明に係る硫化カルシウム系重金属固定化剤の製造方法は、石膏と炭素含有物とを、還元雰囲気下600℃〜750℃で加熱処理することにより、硫化カルシウムを20質量%〜80質量%含有する硫化カルシウム系重金属固定化剤を製造することを特徴とする。
この硫化カルシウム系重金属固定化剤の製造方法によれば、石膏が還元されて硫化カルシウムが生成するが、加熱処理温度を600℃〜750℃に調整しているので、石膏を還元することにより生成する粒子の溶融及び焼結が抑制されるため、比表面積が大きく、優れた重金属固定化機能を有する硫化カルシウム系重金属固定化剤を製造することができる。ここで、熱処理温度が600℃よりも低い場合、石膏の還元反応が十分に進行せず、硫化カルシウム含有量が20質量%以下となるため好ましくない。また、加熱処理温度が750℃よりも高い場合、生成した硫化カルシウムの一次粒子が溶融し、焼結していくため、比表面積が小さくなり、20℃において硫化カルシウム系重金属固定化剤/水(質量比)=0.01で1時間攪拌した後における上澄液の硫黄イオン濃度が150mg/L未満となるため好ましくない。
この硫化カルシウム系重金属固定化剤の製造方法において、石膏は、粒径5mm以下に粉砕されて加熱処理されることが好ましい。これにより、生成される硫化カルシウム系重金属固定化剤は、短軸径5μm以下の粒状一次粒子及び/又は繊維径5μm以下の繊維状一次粒子を含有することになる。
また、本発明に係る地盤改良材の製造方法は、上記の硫化カルシウム系重金属固定化剤と、セメント又は固化材とを混合することを特徴とする。上記の硫化カルシウム系重金属固定化剤は、優れた重金属固定化機能を有しているため、セメント或いは固化材に含まれる重金属が硫化カルシウム系重金属固定化剤によって固定化され、重金属の溶出が十分抑制された地盤改良材を製造することができる。
また、本発明に係る地盤改良土の製造方法は、上記の硫化カルシウム系重金属固定化剤と、セメント又は固化材と、処理対象土とを混合することを特徴とする。上記の硫化カルシウム系重金属固定化剤は、優れた重金属固定化機能を有しているため、セメント或いは固化材に含まれる重金属が硫化カルシウム系重金属固定化剤によって固定化される。したがって、重金属の溶出が十分抑制された地盤改良土を製造することができる。
また、処理対象物の処理方法は、重金属を含む処理対象物に、上記の硫化カルシウム系重金属固定化剤を混合することを特徴とする。上記の硫化カルシウム系重金属固定化剤は、重金属を固定化する機能に優れているため、汚染土に含まれる重金属が十分に固定化され、重金属の溶出を十分に抑制することができる。
本発明は、重金属の固定化性に優れ、硫化水素の発生を低減することができる。
以下、本発明に係る硫化カルシウム系重金属固定化剤、硫化カルシウム系重金属固定化剤の製造方法、地盤改良材の製造方法、及び処理対象物の処理方法の好適な実施形態について詳細に説明する。
<硫化カルシウム系重金属固定化剤>
まず、本発明に係る硫化カルシウム系重金属固定化剤の実施形態について説明する。硫化カルシウム系重金属固定化剤は、硫化カルシウムを20質量%〜80質量%含有し、20℃において硫化カルシウム系重金属固定化剤/水(質量比)=0.01で1時間攪拌した後における上澄液中の硫黄イオン濃度が150mg/L以上である。ここで、硫黄イオン濃度の測定にあたっては、20℃の環境下において、硫化カルシウム系重金属固定化剤を20℃とし、その硫化カルシウム系重金属固定化剤を20℃に維持された水に混入して撹拌する。
この硫化カルシウム系重金属固定化剤を、汚染土壌、汚泥、排水、地下水、都市ゴミ焼却灰、産業廃棄物等の被処理物に混合すると、硫化カルシウム系重金属固定化剤中の硫化カルシウムが、被処理物中の重金属類と反応して不溶性の硫化物を形成させ、重金属の溶出を抑制する。また、セメントやセメント系固化材に硫化カルシウム系重金属固定化剤を混合しても、セメントやセメント系固化材に含まれる六価クロムを固定化し、六価クロムの溶出を防止することもできる。硫化カルシウム系重金属固定化剤中の硫化カルシウム量が20質量%よりも少ない場合、十分な重金属固定化効果が得られないため好ましくなく、80質量%よりも多い場合には、含有量の増加による重金属固定化機能の向上があまりなく、また、大気中の水分や二酸化炭素との接触による硫化水素の発生量が多くなり、好ましくない。また、20℃において硫化カルシウム系重金属固定化剤/水(質量比)=0.01で1時間攪拌した後における上澄液の硫黄イオン濃度が、JIS R5202「ポルトランドセメントの化学分析方法」により測定して、150mg/Lよりも少ない場合には、硫化カルシウムから発生する硫黄イオンと重金属との反応が進み難く、重金属固定化効果が不十分となるため好ましくない。
また、硫化カルシウム系重金属固定化剤は、短軸径5μm以下の粒状一次粒子及び/又は繊維径5μm以下の繊維状一次粒子を含有している。なお、粒状一次粒子の短軸径は3μm以下であることがより好ましく、繊維状一次粒子の繊維径も3μm以下であることがより好ましい。ここで、粒状一次粒子の短軸径或いは繊維状一次粒子の繊維径が5μmより大きい場合、硫化カルシウム系重金属固定化剤の比表面積が減少し、20℃において硫化カルシウム系重金属固定化剤/水(質量比)=0.01で1時間攪拌した後における上澄液の硫黄イオン濃度は150mg/Lよりも少なくなる傾向にある。
硫化カルシウム系重金属固定化剤は、粒状一次粒子及び/又は繊維状一次粒子の一部が凝集した5mm以下の二次粒子をさらに含有しているか、ほぼ全て凝集した5mm以下の二次粒子(凝集粒子)を含有している。なお、二次粒子の粒径は、1mm以下であるとより好ましい。二次粒子(凝集粒子)は粒状一次粒子及び/又は繊維状一次粒子が凝集したものであるため、水が二次粒子内に入り込みやすく、水と二次粒子との接触面積も確保される。したがって、二次粒子が水に接触したときに硫黄イオンが溶出しやすく、その硫黄イオンによる重金属の固定化効果が確保される。ただし、二次粒子の粒径が5mmよりも大きい場合には、セメントや固化材、処理対象土、処理対象物等と均一に分散させることが難しくなり、部分的に被処理物からの重金属の溶出を防止できなくなる場合がありうる。
また、上記の硫化カルシウム系重金属固定化剤は、容器容積(mL)/硫化カルシウム系重金属固定化剤重量(g)比=10となるように容器内に収容されて、初期相対湿度60%で20℃に維持されたとき、24時間静置した後における容器内の硫化水素濃度が1.0ppm以下である。このように、硫化カルシウムの含有量によって、硫化水素の発生が抑えられているため、セメントとの混合時に臭気も問題とならない。
<硫化カルシウム系重金属固定化剤の製造方法>
次いで、本発明に係る硫化カルシウム系重金属固定化剤の製造方法の実施形態について説明する。この方法は、粉砕された石膏と炭素含有物とを、還元雰囲気下600℃〜750℃で加熱処理することにより、硫化カルシウムを20質量%〜80質量%含有する硫化カルシウム系重金属固定化剤を製造するものである。
加熱処理温度を600℃〜750℃に調整しているので、石膏を還元することにより生成する粒子の溶融及び焼結が抑制され、短軸径が5μm以下の粒状一次粒子或いは繊維径が5μm以下の繊維状一次粒子、又はこれらの粒状一次粒子或いは繊維状一次粒子が凝集した5mm以下の二次粒子(凝集粒子)を含み、比表面積が大きく、優れた重金属固定化機能を有する硫化カルシウム系重金属固定化剤を製造することができる。したがって、生成した硫化カルシウム系重金属固定化剤を粉砕する必要も特になく、粉砕にかかる時間やコストも低減される。なお、粒子が繊維状であるか粒状であるかは、硫化カルシウム系重金属固定化剤の原料として用いた石膏の種類による。例えば、繊維状の二水石膏を用いた場合には、硫化カルシウム系重金属固定化剤は繊維状粒子となり、粒状の排脱無水石膏を用いた場合には、硫化カルシウム系重金属固定化剤の粒子は粒状となる。また、繊維状の石膏と粒状の石膏とが混在する石膏を原料とすれば、硫化カルシウム系重金属固定化剤の粒子は、繊維状のものと粒状のものとが混在することになる。ここで、熱処理温度が600℃よりも低い場合、石膏の還元反応が十分に進行せず、硫化カルシウム含有量が20質量%以下となるため好ましくない。また、加熱処理温度が750℃よりも高い場合、生成した硫化カルシウムの一次粒子が溶融し焼結していくため、比表面積が小さくなり、20℃において硫化カルシウム系重金属固定化剤/水(質量比)=0.01で1時間攪拌した後における上澄液の硫黄イオン濃度が150mg/L未満となるため好ましくない。
硫化カルシウム系重金属固定化剤の原料となる石膏は、石膏を主成分とするものであれば、特に限定はされず、市販の無水石膏、半水石膏、二水石膏や、廃石膏ボード、鋳込み型用石膏型、工業模型用石膏型等の石膏廃材が使用できる。石膏ボード廃材を使用する場合には、石膏ボードに約7質量%の紙が付着しているが、石膏を還元雰囲気で加熱処理する場合、紙を石膏ボード廃材から分離除去する必要はない。この付着紙が、石膏を加熱処理する際に添加する還元剤の一部として有効に機能するためである。なお、石膏廃材に付着する金属類は破砕処理後、磁選機、篩等を用いて除去することが好ましい。
石膏を加熱処理する際に還元剤として添加する炭素含有物の含有物質としては、カーボン、石炭、コークス、木炭、木材等の他に、石炭火力発電所から排出する未燃炭素を含む石炭灰、石炭ガス化炉から排出されるガス化スラグ、製紙工場から排出するパルプスラッジや廃プラスチック、廃木材、伐採木等の廃棄物が挙げられる。
また、石膏及び炭素含有物を加熱処理する際、石膏は、粒径5mm以下に粉砕されているとよい。これにより、生成される硫化カルシウム系重金属固定化剤は、短軸径5μm以下の粒状一次粒子及び/又は繊維径5μm以下の繊維状一次粒子を含有することになる。石膏を粒径5mmとするためには、石膏が5mm篩を全通する粒度にまで粉砕すると良い。なお、石膏は、好ましくは粒径0.5mm以下に粉砕されているとよい。
<地盤改良材及び地盤改良土の製造方法>
次に、本発明に係る地盤改良材の製造方法の実施形態について説明する。地盤改良材は、上記の硫化カルシウム系重金属固定化剤と、セメント又は固化材とを混合して製造する。固化材としては、例えば、セメント系固化材が良い。上記の硫化カルシウム系重金属固定化剤は、優れた重金属固定化機能を有しているため、セメント又はセメント系固化材に含まれる重金属が硫化カルシウム系重金属固定化剤によって固定化され、重金属の溶出が十分抑制された地盤改良材を製造することができる。地盤改良材を使用する処理対象土としては、火山灰質粘性土等が挙げられ、地盤改良材と火山灰質粘性土等の処理対象土を混合することにより、地盤改良土を製造方法することができる。この場合においても、セメント或いは固化材に含まれる重金属が固定化され、混合物全体が固化するので、この固化した混合物を地盤改良材として用いることができる。
<処理対象物の処理方法>
次に、本発明に係る処理対象物の処理方法の実施形態について説明する。処理対象物の処理方法は、重金属を含む処理対象物に、上記の硫化カルシウム系重金属固定化剤を混合する。上記の硫化カルシウム系重金属固定化剤は、重金属を固定化する機能に優れている。このため、この処理対象物の処理方法によれば、汚染土に含まれる重金属が十分に固定化され、重金属の溶出を十分に抑制することができる。
以下、実施例を用いて、本発明の内容をより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
< 重金属固定化材の作製 >
[ 試料の調整 ]
紙が付着した石膏ボード (厚さ9.5mm)を、ジョークラッシャー及びアトマイザーを用いて、0.5mm篩を全通する粒度にまで粉砕し、石膏ボード粉砕物を得た。また、建設現場から回収した廃木材を、チッパ−シュレッダーで一次粉砕した後、竪型ローラーミルを用いて3mm篩を全通する粒度に粉砕して、廃木材粉砕物を得た。さらに、石膏ボード粉砕物と廃木材粉砕物とを質量比で6:4になるよう混合した。各試料a〜eにおける原料の配合を表1の「原料配合」の欄に示す。
Figure 2006102643
[ 試料の加熱処理 ]
さらに、混合物40gをそれぞれ船形るつぼに入れ、密閉可能な管状電気炉(内径60mm×高さ1000mm)内で、500℃〜800℃、密閉状態で4時間加熱処理を行った。各試料a〜eの加熱処理温度及び加熱処理時間を表1に示す。
[ 加熱処理物の化学的特性 ]
各試料a〜eを加熱処理して得られた加熱処理物をそれぞれ加熱処理物A〜Eとする。これら加熱処理物A〜Eについて、JISR 5202「ポルトランドセメントの化学分析方法」により硫化物形態の硫黄を測定した。硫化カルシウム量は(イ)式より算出した。
硫化カルシウム量=硫化物形態硫黄量(質量%)×(72.14/32.06)・・・(イ)
また、各加熱処理物A〜Eを20℃、相対湿度60%の恒温恒湿器内で口径60mm×高さ110mmのポリプロピレン製広口瓶に30g採取し、密栓した。このように広口瓶の初期相対湿度を60%として20℃に維持したまま1日間静置した後、容器中の硫化水素濃度を(株)ガステック社製検知管で測定した。
さらに、各加熱処理物A〜Eにつき、加熱処理物2gおよび20℃の水200gを300mLのガラス製ビーカーに入れ(加熱処理物/水(質量比)=0.01となる)、スターラーで1時間攪拌した後、上澄液を分取し、JISR 5202「ポルトランドセメントの化学分析方法」に準拠し、上澄液の硫黄イオン濃度の測定を行った。なお、環境温度も20℃に維持した。各加熱処理物A〜Eの上記化学特性、一次粒子の形態、二次粒子の形態、一次粒子の粒径、二次粒子の粒径を表2に示す。なお、一次粒子の粒径は、走査型電子顕微鏡での映像上での粒状一次粒子における短軸径の測定値、及び繊維状粒子における繊維径の測定値の平均値である。また、二次粒子の粒径は、JIS A 1102「骨材のふるい分け試験方法」に準拠し、ふるいを通過した粒子の総量が50質量%となった場合の通過径である。
Figure 2006102643
[ 加熱処理物の形状 ]
また、加熱処理物A〜Eの形状を走査型電子顕微鏡で観察した。図1に、加熱処理物Aの粒子表面における繊維状粒子の走査型電子顕微鏡写真を示す。図2に、加熱処理物Bの粒子表面における繊維状粒子の走査型電子顕微鏡写真を示す。図3に、加熱処理物Cの粒子表面における繊維状粒子の走査型電子顕微鏡写真を示す。図4に、加熱処理物Cの二次粒子の走査型電子顕微鏡写真を示す。図5に、加熱処理物Dの粒子表面における繊維状粒子の走査型電子顕微鏡写真を示す。図6に、加熱処理物Eの粒子表面における繊維状粒子の走査型電子顕微鏡写真を示す。図7に、加熱処理物Eの二次粒子の走査型電子顕微鏡写真を示す。ここで、写真に示した番号は、短軸径又は繊維径の平均値を求めるにあたって選択した10個の粒子を示している。
図1及び図2の顕微鏡写真から分かるように、加熱処理温度750℃で焼成した加熱処理物Cは、繊維径が1μm以下の繊維状一次粒子、及びその繊維状一次粒子が複数凝集した二次粒子(凝集粒子)が多く含まれていることがわかった。これは、原料に用いた石膏ボードの石膏が二水石膏であったためである。
ところが、図3及び図4の顕微鏡写真から分かるように、加熱処理温度800℃で焼成した加熱処理物Eは、加熱処理温度が高すぎるために、粒子表面の溶融、焼結が進んでいた。そのため、加熱処理物Eは、繊維径2μm程度の繊維状一次粒子が殆ど互いに融着してできた溶融粒子であり、その粒径は5μmを超えていた。
[ 加熱処理物の評価 ]
表2に示すように、加熱処理温度が500℃の加熱処理物Aの硫化カルシウム含有量は、1.3質量%であり、20質量%よりも少なかった。他方、600℃〜750℃で加熱処理して得た加熱処理物B〜Dの硫化カルシウム含有量は各々24.1質量%、49.7質量%、72.2質量%であり、20質量%〜80質量%の範囲内であった。また、各加熱処理物B〜Dを加熱処理物/水(質量比)=0.01となるよう20℃の水に添加して1時間攪拌した後、上澄液の硫黄イオン濃度をJIS R5202「ポルトランドセメントの化学分析方法」により測定したところ、いずれも硫黄イオン濃度は150mg/L以上であった。さらに、20℃、相対湿度60%の条件下における硫化水素の発生量も1.0ppm以下と少なかった。
また、加熱処理物B〜Dを20℃において加熱処理物/水(質量比)=0.01で1時間攪拌した後における上澄液の硫黄イオン濃度は、JISR 5202「ポルトランドセメントの化学分析方法」により測定した結果、150mg/Lを上回った。これにより、硫化カルシウムから発生する硫黄イオンと重金属との反応がスムーズに進み、重金属を固定化する効果が高いことが分かった。これは、加熱処理物B〜Dが二次粒子を含んでいても、その二次粒子は凝集粒子であるために水が入り込みやすく、水と接触できる比表面積が確保されているためと考えられる。一方、加熱処理物A,Eの試験では、上澄液の硫黄イオン濃度は150mg/Lを下回った。ここで、加熱処理物Eは、繊維状一次粒子が殆ど融着して溶融粒子となったために、比表面積が小さくなってしまい、水との接触面積が低減したためと考えられる。
< 火山灰質粘性土と加熱処理物とを用いた供試体の評価 >
[ 供試体の作製 ]
まず、表3に示すように、得られた各加熱処理物A〜Eと一般軟弱土用セメント系固化材とを質量比0.5/99.5の割合で混合し、地盤改良材を作製した。さらに、処理対象物として火山灰質粘性土(自然含水比100.9%:非汚染土)を用い、火山灰質粘性土(処理対象物)1m当たり、加熱処理物1kg、一般軟弱土用セメント系固化材199kgの割合となるよう上記地盤改良材と火山灰質粘性土とを混合し攪拌した後、円筒状の型枠(径5cm×高さ10cm)に充填して締固め、20℃、相対湿度80%の恒温室で密封養生した。さらに、7日経過後、脱型して供試体を得た(No.1〜5)。なお、比較として、加熱処理物を混合せず、火山灰質粘性土1m当たり一般軟弱土用セメント系固化材200kgを混合して上記と同様の操作により供試体を得た(No.6)。
[ 供試体の金属溶出評価 ]
供試体の形成に用いたセメント系固化材には、わずかに六価クロムが含まれている。そこで、各供試体について、環境庁告知第46号に準拠し、重金属溶出量を測定した。その結果を表3の「重金属溶出量」の欄に示す。この欄に示すように、加熱処理物B〜Dを使用して作製した地盤改良材を、火山灰質粘性土と混合して得られた供試体からの六価クロムの溶出量は、いずれも土壌環境基準値0.05mg/L以下であった(No.2〜4)。これらの加熱処理物B〜Dは、硫化カルシウムを20質量%〜80質量%含有していた加熱処理物であり、20℃において加熱処理物/水(質量比)=0.01で1時間攪拌した後における上澄液の硫黄イオン濃度は150mg/L以上であったものである(参照表2)。一方、加熱処理物A,Eを使用して作製した地盤改良材を混合して得られた供試体からの六価クロムの溶出量は、土壌環境基準値0.05mg/Lを上回った(No.1,6)。これらの加熱処理物A,Eは、20℃において加熱処理物/水(質量比)=0.01で1時間攪拌した後における上澄液の硫黄イオン濃度は150mg/L未満であった加熱処理物である(参照表3)。
[ 供試体の圧縮強さ ]
さらに、脱型後の供試体について、JIS A 1216「土の一軸圧縮試験方法」に準拠し一軸圧縮強度の試験を行った。その試験結果を表3の「一軸圧縮強さ」の欄に示す。この欄に示すように、加熱処理物B〜Dを使用して作製した地盤改良材を火山灰質粘性土と混合して作成した供試体は、いずれも一軸圧縮強さが900kN/mを超えており、強度発現性も良好であることが確認された(No.2〜5)。
< 汚染土等の金属溶出評価 >
さらに、汚染された処理対象物の重金属固定化効果の評価を行った。処理対象物としては、次の3種類を選択した。
(I)砂質土(自然含水比18.0%)六価クロム汚染土
環境庁告示第46号による六価クロム溶出量:15.2mg/L
(II)粘性土(自然含水比36.2%)鉛汚染土
環境庁告示第46号による鉛溶出量:77.4mg/L
(III)都市ゴミ焼却灰(pH=11.1)
調湿前の都市ゴミ焼却灰の環境告示第13号による溶出試験での各重金属溶出量
カドミウム溶出量:2.0mg/L、
砒素溶出量:0.9mg/L、
鉛溶出量:91.4mg/L、
六価クロム溶出量:3.5mg/L、
水銀溶出量:0.012mg/L
なお、都市ゴミ焼却灰は含水比が18質量%になるように予め水を噴霧、攪拌して調湿した。
そして、六価クロム汚染砂質土1m当たり加熱処理物Cを2kg混合して、環境庁告知第46号に準拠し、六価クロムの溶出量を測定した(No.7)。また、六価クロム汚染砂質土1m当たり加熱処理物Eを2kg混合し、環境庁告知第46号に準拠し、六価クロムの溶出量を測定した(No.8)。比較例として、加熱処理物を混入していない六価クロム汚染砂質土から六価クロムの溶出量を測定した(No.9)。その結果、加熱処理物Cを混合した六価クロム汚染砂質土からの六価クロムの溶出量は、土壌環境基準値0.05mg/Lよりも低かった(No.7)。一方、加熱処理物Eを混合した六価クロム汚染砂質土及び加熱処理物を混入していない六価クロム汚染砂質土それぞれの六価クロムの溶出量は、土壌環境基準値0.05mg/Lを超えていた(No.8,9)。
また、鉛汚染粘性土1m当たり加熱処理物Cを2.5kg混合して、環境庁告知第46号に準拠し、鉛の溶出量を測定した(No.10)。また、鉛汚染粘性土1m当たり加熱処理物Eを2.5kg混合して、環境庁告知第46号に準拠し、鉛の溶出量を測定した(No.11)。比較例として、加熱処理物を混入しないで鉛汚染粘性土から、環境庁告知第46号に準拠し、鉛の溶出量を測定した(No.12)。その結果、加熱処理物Cを混合した鉛汚染粘性土からの鉛の溶出量は、土壌環境基準値0.01mg/Lよりも低かった(No.10)。一方、加熱処理物Eを混合した鉛汚染粘性土及び加熱処理物を混入しなかった鉛汚染粘性土それぞれにおける鉛の溶出量は、土壌環境基準値0.01mg/Lを超えていた(No.11,12)。
また、都市ゴミ焼却灰1m当たり加熱処理物Cを5kg混合して、「金属等を含む産業廃棄物に係る判定基準を定める省令」に準拠し、六価クロム、砒素、カドミウム、水銀、鉛等の各種重金属の溶出量を測定した(No.13)。また、都市ゴミ焼却灰1m当たり加熱処理物Eを5kg混合して、同省令に準拠し、各種重金属の溶出量を測定した(No.14)。さらに、比較例として、加熱処理物を混入していない都市ゴミ焼却灰1mから、同省令に準拠し、各種重金属の溶出量を測定した(No.15)。なお、表3において、重金属溶出量については、重金属濃度が検出限界以下のものは「<(検出限界値)」と記載した。その結果、加熱処理物Cは、同省令の判定基準であるCd:0.3mg/L、Cr6+:1.5mg/L、Hg:0.005mg/L、As:1.5mg/L、Pb:0.3mg/Lに対して、都市ゴミ焼却灰の複合汚染土からの重金属溶出抑制に十分効果があることが確認された。
以上のことから、加熱処理物Cはクロム汚染砂質土、鉛汚染粘性土等の重金属汚染土や都市ゴミ焼却灰等の複合汚染土からの重金属溶出抑制にも十分効果があることが確認された(No.7,10,13)。
Figure 2006102643
加熱処理物Aの粒子表面の走査型電子顕微鏡写真である。 加熱処理物Bの粒子表面の走査型電子顕微鏡写真である。 加熱処理物Cの粒子表面の走査型電子顕微鏡写真である。 加熱処理物Cの二次粒子の走査型電子顕微鏡写真である。 加熱処理物Dの粒子表面の走査型電子顕微鏡写真である。 加熱処理物Eの粒子表面の走査型電子顕微鏡写真である。 加熱処理物Eの二次粒子の走査型電子顕微鏡写真である。

Claims (13)

  1. 硫化カルシウムを20質量%〜80質量%含有し、20℃において硫化カルシウム系重金属固定化剤/水(質量比)=0.01で1時間攪拌した後における上澄液中の硫黄イオン濃度が150mg/L以上であることを特徴とする硫化カルシウム系重金属固定化剤。
  2. 短軸径5μm以下の粒状一次粒子及び/又は繊維径5μm以下の繊維状一次粒子を含有していることを特徴とする請求項1に記載の硫化カルシウム系重金属固定化剤。
  3. 前記粒状一次粒子及び/又は前記繊維状一次粒子が凝集した5mm以下の二次粒子をさらに含有することを特徴とする請求項2に記載の硫化カルシウム系重金属固定化剤。
  4. 粒状粒子及び/又は繊維状粒子が凝集した5mm以下の凝集粒子を含有することを特徴とする請求項1に記載の硫化カルシウム系重金属固定化剤。
  5. 硫化カルシウムを20質量%〜80質量%含有し、短軸径5μm以下の粒状一次粒子及び/又は繊維径5μm以下の繊維状一次粒子を含有していることを特徴とする硫化カルシウム系重金属固定化剤。
  6. 前記粒状一次粒子及び/又は前記繊維状一次粒子が凝集した5mm以下の二次粒子をさらに含有することを特徴とする請求項5に記載の硫化カルシウム系重金属固定化剤。
  7. 硫化カルシウムを20質量%〜80質量%含有し、粒状粒子及び/又は繊維状粒子が凝集した5mm以下の凝集粒子を含有することを特徴とする硫化カルシウム系重金属固定化剤。
  8. 容器容積(mL)/硫化カルシウム系重金属固定化剤重量(g)比=10となるように容器内に収容されて、初期相対湿度60%で20℃に維持されたとき、24時間静置した後における前記容器内の硫化水素濃度が1.0ppm以下となることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の硫化カルシウム系重金属固定化剤。
  9. 石膏と炭素含有物とを、還元雰囲気下600〜750℃で加熱処理することにより、硫化カルシウムを20〜80質量%含有する硫化カルシウム系重金属固定化剤を製造することを特徴とする硫化カルシウム系重金属固定化剤の製造方法。
  10. 前記石膏は、粒径5mm以下に粉砕されて加熱処理されることを特徴とする請求項9に記載の硫化カルシウム系重金属固定化剤の製造方法。
  11. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の硫化カルシウム系重金属固定化剤と、セメント又は固化材とを混合することを特徴とする地盤改良材の製造方法。
  12. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の硫化カルシウム系重金属固定化剤と、セメント又は固化材と、処理対象土とを混合することを特徴とする地盤改良土の製造方法。
  13. 重金属を含む処理対象物に、請求項1〜8のいずれか一項に記載の硫化カルシウム系重金属固定化剤を混合することを特徴とする処理対象物の処理方法。
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