JP3965412B2 - 汚泥改質剤 - Google Patents
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Description
その処理方法としては、天日乾燥を用いた方法がある。即ち、大面積の囲いを備えた乾燥用プール(囲繞堤)を設け、水分を調整した汚泥を乾燥用プールに入れて天日乾燥によって水分量を低減する方法である。しかし、水分調整の乾燥用プール(囲繞堤)は、大面積を要する上、雨水などによる流失を防止する工夫が必要であり、設置コストも大きく、悪臭による周辺環境への負荷が大きいという問題を抱えている。
そこで、特許文献1に示されるように、焼却灰とセメントとを主に混合した固化材が開発されている。この固化材を用いて土壌改良を行うと、セメントの含有量を固化材100重量比に対して30〜100重量比使用することによって焼却灰のみを用いた場合よりも土壌圧縮強度を高めることができるため、水分量の多い汚泥の処理には適している。
本発明は、粉砕等の二次加工を不要とし、有害物質を含まず、強アルカリとならない植生豊かな農耕土及びたい肥用土等に、汚泥を改質できる汚泥改質剤を提供することを目的とする。
即ち、粉体状のキャリヤ100重量部に、凝集剤を2〜5重量部、活性炭を0.2〜2重量部配合しており、前記キャリヤは、汚泥の団粒固化促進成分としてのポゾラン系固化材と、悪臭除去及びアルカリ分補充による固化促進成分としての産業廃材で形成した炭化物粉体とで成る。
これによって、粉砕等の二次加工を不要とし、有害物質を含まず、強アルカリとならない植生豊かな農耕土及びたい肥用土等に、汚泥を改質できる。
これによって、ポゾラン系固化材に産業廃材を利用できるので、汚泥改質剤の製造コストを下げることが可能となる。
前記炭化物粉体が、モミガラくん炭、伐採林・倒木の木炭、木炭せん断時の炭くず又は炭化物製造場における粉塵から選ばれる1種以上を原料とする。
これによって、炭化物粉体としてこれらの産業廃材を利用できるので、汚泥改質剤の製造コストを下げることが可能となる。
前記キャリヤの10〜90重量%が前記炭化物粉体である。
これによって、炭化物粉体を構成する多孔質性の炭化物がアンモニアなどの臭気物質を吸着するので、畜産糞尿等のようにひどい悪臭を有する汚泥を、その悪臭を除去しながら処理することが可能となる。
前記凝集剤にポリ塩化アルミ又は硫酸バンドの少なくとも一方を用いている。
水分量200〜400%の前記汚泥に対して汚泥の5重量%以上を添加して、水分量70%以下の農耕土を形成する。
これによって、5重量%以上という少量の添加で、従来の汚泥改質剤では30重量%程度は添加しなければ改質が困難であった水分量200〜400%の汚泥を、植生が維持できる農耕土に土壌改質できる。
これによって、土着菌の作用により汚泥のたい肥用土への再利用が可能となる。
本発明の汚泥改質剤は、粉体状のキャリヤ、凝集剤、及び活性炭より成っている。
前記キャリヤは乾燥した粉体であって、前記汚泥改質剤の主成分となるものであり、ポゾラン系固化材と炭化物粉体とを所定割合で混合したものである。
前記ポゾラン系固化材と炭化物粉体との混合割合はキャリヤの重量を100とした場合、ポゾラン系固化材を10〜90重量%、好ましくは20〜70重量%に、炭化物粉体を10〜90重量%、好ましくは30〜80重量%混合するのが良い。ポゾラン系固化材を前記混合割合とすることで、汚泥中の水分を十分に吸水して固化させることが可能となり、固化された汚泥の粉砕を行わずにそのまま農耕土に再利用することが可能となる。
また、前記ポゾラン系固化材における火山灰及びフライアッシュの配合割合は、改質された汚泥(以下、改質土と略す。)の用途によって変えて用いるのが好ましい。
前記キャリヤはポゾラン系固化材の自硬反応によって固化するが、ポゾラン系固化材の自硬反応のみでは不十分な場合があるため、凝集剤をキャリヤ100重量部に対して2〜5重量部添加するのが好ましい。凝集剤を用いることで、前記自硬反応が起きにくい酸性の強い汚泥を改質する場合でも、容易に団粒固化させることが可能となる。
前記キャリヤに含まれる炭化物粉体は悪臭の除去作用があるが、炭化物粉体の悪臭除去機能のみでは不十分な場合にこれを助けるために、汚泥改質剤には活性炭をキャリヤ100重量部に対して0.2〜2重量部配合するのが良い。活性炭を0.2〜2重量部配合することにより、キャリヤを構成するポゾラン系固化材と炭化物粉体との粒子間に活性炭粒子が入り込んで、キャリヤの均一な分散が得られる。
本発明の汚泥改質剤は、セメント等の強アルカリ成分を含まず、汚泥本来のpHに対する変動が小さい。また、重金属類(ヒ素、水銀、カドミニウム、鉛、クロム、銅、マンガン等)を捕集して溶出を防ぐ。このため、改質された汚泥は植生に向く中性付近の酸性度となり、植物に悪影響を及ぼす恐れのある重金属の影響も殆どないので、農耕土への転用を可能とする。
[実施例]
以下に本発明を実施例を用いてより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[サンプル調整]
土壌のサンプル(以下、汚泥と略す。)には、浚渫汚泥、豚屎尿(豚屎尿に土着菌の保菌土壌である畑土を15%混合したもの)、調整汚泥(自然界にある汚泥のおいて、汚染物を人為的に20倍以上の濃度に増加させた浚渫汚泥。表1の組成を有する。)の3種類を用いた。これらの泥土に対して、水分量120〜400%のサンプルを得るために、水を適宜配合した。また、汚泥は土壌改質操作前に常圧加熱減量法により汚泥の水分量を測定した。
なお、この改質土に対して、水分量の変化、悪臭評価、重金属類流出量の評価、pHの評価、植生の評価及び経済性の評価を行った。
なお、前記汚泥改質剤は、降下火山灰(大雪山系)またはフライアッシュを10〜90重量部と、モミガラくん炭の炭化物粉体を10〜90重量部とを混合して、キャリヤ100重量部を得て、ここに凝集剤としてポリ塩化アルミ(多木化学社製)を5重量%、活性炭を2重量%加えて、混合して作製した。比較として市販汚泥改質剤と市販セメントとを7〜35重量%添加した改質土も作製した。
前記悪臭評価は、改質前後の臭気を官能評価したもので、悪臭が感じられない、あるいは臭気はあるが気にならない程度を合格とし、それ以外を不合格とした。5名以上の評価者で官能評価して、合格と判定する評価者が70%以上である場合を○の評価、30%以上70%未満の場合を△の評価、30%未満の場合を×の評価とした。
前記植生の評価は、野菜(小松菜、大根)の発芽状態で判断した。発芽状態において、播種後3日以内に発芽しない場合を×、セメントを含む市販汚泥改質剤と発芽状態が同等なものを△、発芽状態が優れているものを○とした。
経済性の評価は従来の汚泥改質剤を使用した場合の使用コストに対して、優れるか否かを○×で評価した。
前記評価項目に対して、全てが○の評価である場合を○の総合評価、△が1〜2で残りが○の場合を△の総合評価、それ以外を×の総合評価とした。結果を表2に示す。
実施例1〜4は水分量120〜400%の浚渫汚泥に、ポゾラン系固化材を50重量部と炭化物粉体を50重量部とから成る汚泥改質剤を7重量%加えて処理したものである。水分量が120〜400%まで変化しても評価項目はいずれも○の評価となっており、水分量350%の浚渫汚泥に市販汚泥改質剤を実施例1〜4同様に7重量%加えた比較例1では評価項目が×の評価となっているのに比べて、水分量120〜400%の汚泥の処理が7重量%という低添加量で可能であることが分かる。なお、汚泥改質剤の添加量を35重量%に上げた比較例2では、水分量はやや良好になるが、それ以外の経済性等の評価項目が実施例1〜4ほど良好でなく、実施例1〜4に比べて総合評価は良くない。
「実施例5〜7」
実施例5〜7は、畑土を15%加えた豚屎尿の汚泥に対して、実施例1〜4と同様に、7重量%の添加量で汚泥改質剤を加えたものであり、その水分量を120〜400%と変えて処理を行っている。
「実施例8及び9」
実施例8及び9は、水分量200及び400%の調整汚泥に対して、7重量%の添加量で、本発明の汚泥改質剤を加えたものである。実施例1〜7同様に、良好な改質土が得られている。自然界で存在する汚泥より有害物質濃度が高い調整汚泥であっても、重金属類流出量を低下させ、良好な改質土に変化させることが分かる。
「実施例10〜13」
実施例10〜13は、実施例3の汚泥改質剤において、ポゾラン系固化材と炭化物粉体の配合比を変えたものである。ポゾラン系固化材が90重量部で炭化物粉体を10%しか含まない実施例10、及びポゾラン系固化材が10重量部で炭化物粉体を90%含む実施例13では、評価項目の中で、水分量または悪臭評価のいずれかが実施例1〜4よりやや劣る結果となっており、汚泥改質剤としては使用に耐えるが、やや総合結果としては劣る。
「実施例14」
実施例14は、実施例6において、汚泥改質剤の添加量を5重量%としたものであり、実施例3に比べて、悪臭の評価に劣る結果となっている。このことから、汚泥改質剤の添加量を少なくとも5重量%とした方が好ましいことが分かる。
Claims (7)
- 粉体状のキャリヤ100重量部に、凝集剤を2〜5重量部、活性炭を0.2〜2重量部配合しており、
前記キャリヤは、汚泥の団粒固化促進成分としてのポゾラン系固化材と、悪臭除去及びアルカリ分補充による固化促進成分としての産業廃材で形成した炭化物粉体とで成ることを特徴とする汚泥改質剤。 - 前記ポゾラン系固化材に、火山灰、フライアッシュ又はこれらの混合物が用いられていることを特徴とする請求項1に記載の汚泥改質剤。
- 前記炭化物粉体が、モミガラくん炭、伐採林・倒木の木炭、木炭せん断時の炭くず又は炭化物製造場における粉塵から選ばれる1種以上を原料とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の汚泥改質剤。
- 前記キャリヤの10〜90重量%が前記炭化物粉体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の汚泥改質剤。
- 前記凝集剤にポリ塩化アルミ又は硫酸バンドの少なくとも一方を用いていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の汚泥改質剤。
- 水分量200〜400%の汚泥に対して汚泥の5重量%以上を添加して、水分量70%以下の農耕土を形成することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の汚泥改質剤。
- 前記汚泥に土着菌の保菌土壌を混合したい肥用土を形成することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の汚泥改質剤。
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