JP6900641B2 - 除菌水の製造方法および除菌水の製造システム - Google Patents
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Description
すなわち、タンパク質などの高分子化合物とイオンを含む原水から、肥料やミネラル分などのイオンを十分に含む除菌水を低コストで製造するという課題は、従来知られていなかった新規課題であった。
例えば、「泡沫分離」後の安定泡沫を用いる特許文献1に記載の方法は、泡沫分離処理した処理水は廃棄して、安定泡沫を用いる方法であり、解決しようとする課題が全く異なる方法であった。
特許文献2に記載のオゾン殺菌と活性炭を併用する方法は、オゾン殺菌を用いる点と、定期的に大量の廃棄活性炭が発生する点に起因して、除菌水の製造コストが高い方法であった。
特許文献3の凝集剤や栄養剤、メタノールを添加する方法は、除菌を意図しておらず、また、凝集剤等を用いる点に起因して処理水の製造コストが高い方法であった。
特許文献4および6などの海水の淡水化を目的として逆浸透膜を用いる方法では、菌に加えてイオンも除いてしまうため、肥料やミネラル分などのイオンをほとんど残せなかった。また、特許文献4は、凝集剤を添加することを前提としており、凝集剤を用いる点に起因して処理水の製造コストが高い方法であった。
特許文献5の生物処理と凝集剤を併用する方法は、除菌を意図しておらず、また、生物処理と凝集剤を併用する点に起因して処理水の製造コストが高い方法であった。
その結果、高分子化合物および少なくとも1種類のイオンを含む原水に対して泡沫分離処理を行って一次処理水を得る工程と、一次処理水に対して膜ろ過処理を行って二次処理水(除菌水)を得る工程とを組み合わせて、除菌水のイオンの濃度が原水のイオンの濃度の特定の範囲内に制御することによって、薬品処理および/または生物処理を行わずに、高分子化合物およびイオンを含む原水から十分にイオンを含む除菌水を低コストで製造できることを見出すに至った。
このように泡沫分離処理と、膜分離を組み合わせる構成は、従来知られていなかった。また、肥料やミネラル分などの十分にイオンを含む除菌水を求められているという従来知られていなかった新規な課題に気づかなければ、イオン成分もすべて除去して淡水化する技術しか着想できない。
「泡沫分離処理」を用いることで、「泡沫分離処理」以外のその他の「浮上分離」方法に比べて、低コストで除菌水を製造することができる。
上記課題を解決するための具体的な手段である本発明の構成と、本発明の好ましい構成を以下に記載する。
一次処理水に対して膜ろ過処理を行って二次処理水を得る工程とを有する除菌水の製造方法であって、
原水が高分子化合物および少なくとも1種類のイオンを含み、
実質的に薬品処理および生物処理を行わない、除菌水の製造方法。
[2] 膜ろ過処理が限外ろ過膜処理または精密ろ過膜処理である[1]に記載の除菌水の製造方法。
[3] 原水に含まれる高分子化合物の重量平均分子量が100,000〜1,000,000である[2]に記載の除菌水の製造方法。
[4] 二次処理水の塩素の濃度が原水の塩素の濃度以下であり、
二次処理水の硫酸の濃度が原水の硫酸の濃度以下である[1]〜[3]のいずれか1項に記載の除菌水の製造方法。
[5] 二次処理水の過酸化物の濃度が検出下限値未満である[1]〜[4]のいずれか1項に記載の除菌水の製造方法。
[6] 閉鎖循環式である[1]〜[5]のいずれか1項に記載の除菌水の製造方法。
[7] 二次処理水のイオンの濃度の、原水のイオンの濃度に対する変化率が±1質量%以下である[1]〜[6]のいずれか1項に記載の除菌水の製造方法。
[8] 原水に対して泡沫分離処理を行って一次処理水を得る泡沫分離装置と、
一次処理水に対して膜ろ過処理を行って二次処理水を得る膜ろ過装置とを有する除菌水の製造システムであって、
原水が高分子化合物および少なくとも1種類のイオンを含み、
実質的に薬品処理および生物処理を行わない、除菌水の製造システム。
本発明の除菌水の製造方法は、原水に対して泡沫分離処理を行って一次処理水を得る工程と、
一次処理水に対して膜ろ過処理を行って二次処理水(除菌水)を得る工程とを有する除菌水の製造方法であって、
原水が高分子化合物および少なくとも1種類のイオンを含み、
実質的にポリアクリルアミドおよびゼラチン以外の薬品による薬品処理および生物処理を行わない。
本発明によれば、このような構成により、ポリアクリルアミドおよびゼラチン以外の薬品による薬品処理および/または生物処理を行わずに、高分子化合物およびイオンを含む原水から十分にイオンを含む除菌水を低コストで製造できる除菌水の製造方法および除菌水の製造システムを提供できる。
なお、「実質的にポリアクリルアミドおよびゼラチン以外の薬品による薬品処理または生物処理を行わない」とは、原水または一次処理水に積極的にポリアクリルアミドおよびゼラチン以外の薬品を添加する工程、または、原水または一次処理水に積極的に生物処理する工程、を行わないことを意味する。本発明の除菌水の製造方法では、用いる原水や一次処理水に、薬品や生物が含まれていてもよい。
ここでいう「薬品」とは、凝集剤、除菌剤、キレート剤等のように、原水に加えることによって、原水に含まれている何らかの成分又は不純物の量を実質的に変化させる能力がある化合物および組成物等を意味し、ポリアクリルアミドおよびゼラチン以外の薬品を意味する。また、生物(処理)とは、原水に含まれている何らかの成分又は不純物の量を実質的に変化させる能力がある微生物を原水に加えることにより、原水の処理を行うことを意味する。「成分の量を実質的に変化させる」とは、原水に含まれる当該成分の全質量を100質量%としたとき、最終的に処理が完了した処理水又は循環処理における一処理工程を経た処理水に含まれる当該成分の量が1質量%以上減少していることを意味する。
以下、本発明の除菌水の製造方法の好ましい態様について説明する。
本発明の除菌水の製造方法の各工程について、順に説明する。
まず、原水に対して泡沫分離処理を行って一次処理水を得る工程について説明する。
本発明では、原水が高分子化合物および少なくとも1種類のイオンを含む。
本発明の除菌水の製造方法では、原水の細菌類などを除くことができる。原水は、細菌類を含むことが好ましいが、本発明は原水が細菌類を含む態様に限定されない。例えば、細菌類およびウイルスを含む原水から、細菌類および一部のウイルスを除いてもよい。
本発明の除菌水の製造方法は、原水中の膜分離が困難な高分子化合物を除くことができる。ただし、本発明の除菌水の製造方法は、膜分離に悪影響を与えない高分子化合物が取り除かれずに除菌水に残留してもよい。
原水の例としては、例えば、陸上養殖の循環飼育水といった生物汚濁水;海水;河川水;雨水;水産加工工場排水;植物工場の循環養液などを挙げることができる。
本発明の除菌水の製造方法によれば、高分子化合物を含むために膜分離が困難な原水を、薬品処理および/または生物処理を行わずに、膜ろ過して除菌水を得ることができる。例えば、陸上養殖の飼育水、海水、水産加工工場排水などは、魚介類に由来する高分子化合物(タンパク質、粘性物質、バイオポリマーやその他の高分子有機物など)を豊富に含む膜分離が困難な原水である。また、冬の海水は、高分子化合物(タンパク質、粘性物質、バイオポリマーやその他の高分子有機物など)がその他の季節の海水よりも多いために膜分離が困難な原水である。
原水のpHの下限値は3以上であることが好ましく、5以上であることがより好ましく、6以上であることが特に好ましい。
原水のpHの上限値は10以下であることが好ましく、9以下であることがより好ましく、8以下であることが特に好ましい。
なお、本明細書中、原水のpHは25℃で測定した値を用いる。
原水に含まれる高分子化合物について説明する。
原水に含まれる高分子化合物の重量平均分子量は、大きいほど除去が簡単かつ膜閉塞の原因となりにくいので、上限は特に制限はないが、通常は1,000,000以下である。
本発明では、原水に含まれる高分子化合物の重量平均分子量が100,000〜1,000,000であることが好ましい。原水に含まれる高分子化合物の重量平均分子量の下限値は150,000以上であることがより好ましく、200,000以上であることが特に好ましい。本発明では、このような範囲の重量平均分子量の高分子化合物を含む原水であっても、泡沫分離処理と膜ろ過処理を併用することによって膜閉塞することなく膜ろ過処理を行うことができる。
後述する膜ろ過処理では、限外ろ過膜などを用いる。限外ろ過膜などのろ過膜は、孔径に応じて膜閉塞(詰まり)の原因となる高分子化合物の重量平均分子量の範囲がある。
例えば、0.02μmの孔径の限外ろ過膜では、重量平均分子量が500,000前後の高分子化合物が膜閉塞の原因となりやすい。0.01μmの孔径の限外ろ過膜では、重量平均分子量が250,000前後の高分子化合物が膜閉塞(詰まり)の原因となりやすい。
原水に含まれるイオンについて説明する。
原水に含まれるイオンの種類としては特に制限はない。原水に含まれるイオンとしては、カルシウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、ホウ素イオン、塩素イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、臭素酸イオン、アンモニウムイオン、リン酸イオンなどを挙げることができる。
本発明では、泡沫分離処理によって、原水の高分子化合物を効率的に系外に取り除くことが好ましい。
原水において、高分子化合物は懸濁物と吸着し複合体を形成していてもよい。高分子化合物を含む原水に気泡を供給すると、原水中の高分子化合物や、高分子化合物と懸濁物の複合体は気泡の気液界面に強く結合して浮上し、水面上に粘性の高い安定泡沫を形成することができる。特に、原水として海水を用いる場合、海水中には魚介類が分泌する粘性物質(高分子化合物の一種類)が含まれており、この物質は界面活性を有し、気泡や様々な懸濁物と吸着する。
泡沫分離処理では、キャビテーションを用いた微細気泡(マイクロバブル)を発泡させることが好ましい。キャビテーションとは、液体の流れの中で圧力差により短時間に泡の発生と消滅が起きる物理現象である。
泡沫分離処理では、微細気泡を製造する際に、高い圧力を加えて製造する必要はない。また、泡沫分離処理では、微細気泡を上昇させる際に、圧力を加える必要もない。そのため、泡沫分離処理は、高圧の気体や、高圧の気体を導入した液体は用いる必要はなく、その他の浮上処理よりも低コストで行うことができる。
泡沫分離処理では、空気の微細気泡を用いることがコストの観点から好ましい。
微細気泡のサイズとしては特に制限はなく、通常の泡沫分離処理に用いられる微細気泡を用いることができる。
泡沫分離装置としては、例えば市販のカーヴァスエアレーター式泡沫分離装置(プレスカ社製)などを用いることができる。
(1)微細気泡を水中に供給する工程。
(2)原水中の物質が微細気泡と接触し、気泡の気液界面に吸着する工程。
(3)原水中の物質を吸着した気泡が水面に向かって上昇する工程。
(4)水面で気泡が破裂する前に、次々に浮上する気泡によって、水面に気泡層(安定泡沫)を形成する工程。
泡沫分離装置は、さらに以下の(5)の工程を有することがより好ましい。
(5)安定泡沫を系外に排出する工程。
泡沫分離処理により、一次処理水が得られる。
一次処理水のpH(power of hydrogen)は特に制限はない。
一次処理水のpHの好ましい範囲は、原水のpHの好ましい範囲と同様である。
一方、本発明の除菌水の製造方法の他の1つの態様は、泡沫分離処理によって、原水を一次処理水と泡沫(濃縮水を含んでいてもよい)に分離し、泡沫(濃縮水を含んでいてもよい)を廃棄することも好ましい。
次に、一次処理水に対して膜ろ過処理を行って二次処理水(除菌水)を得る工程について説明する。
本発明では、膜ろ過処理が限外ろ過膜処理または精密ろ過膜処理であることが大腸菌などの細菌類を原水から除去しやすい観点から好ましく、限外ろ過膜処理であることが除菌水の細菌類やウイルスをさらに減らしやすい観点からより好ましい。
膜ろ過処理に用いるろ過膜の孔径の下限値は、0.001μm以上であることが一次処理水のイオン(すなわち原水のイオン)を取り除かずに十分にイオンを含む除菌水を製造する観点から好ましく、0.01μm以上であることがより好ましい。
膜ろ過処理に用いるろ過膜の孔径の上限値は、0.1μm以下であることが好ましく、0.03μm以下であることがより好ましい。
ろ過膜としては、例えばOJI−MEMBRANE(公称孔径0.02μmの限外ろ過膜)などを用いることができる。
「安定領域で膜ろ過ができる」とは、一定圧力でろ過を長時間(例えば、10分以上、好ましくは15分以上、より好ましくは30分以上)でき、ろ過水量が落ちてきたら、物理洗浄を行うことにより膜が再生可能という意味である。
膜ろ過処理に用いられる物理洗浄は、好ましくは空気を用いる物理洗浄であり、より好ましくは空気を用いる逆洗であり、特に好ましくは空気を用いる逆洗および逆洗に加えて、数回に1回程度の薬品洗浄の併用である。
膜ろ過処理では、25℃に換算した場合、換算ろ過量が50L/m2以上であることが好ましく、200L/m2以上であることがより好ましく、500L/m2以上であることが特に好ましい。
膜ろ過処理では、25℃に換算した場合、安定領域における流束が50L/(m2・hr・0.1MPa)以上であることが好ましく、200L/(m2・hr・0.1MPa)以上であることがより好ましく、500L/(m2・hr・0.1MPa)以上であることが特に好ましい。
本発明では、二次処理水のイオンの濃度が原水のイオンの濃度の50質量%以上であることが好ましい。これにより、高分子化合物およびイオンを含む原水から十分にイオンを含む除菌水を低コストで製造できる。二次処理水のイオンの濃度が原水のイオンの濃度の90質量%以上であることが好ましく、99質量%以上であることがより好ましく、99.5質量%以上であることが特に好ましい。
二次処理水に含まれるイオンの種類としては特に制限はない。二次処理水に含まれるイオンの例は、原水に含まれるイオンの例と同様である。
本発明では、二次処理水の硫酸(硫酸イオンの質量濃度と同義)の濃度が原水の硫酸の濃度以下であることが好ましく、原水の硫酸の濃度と同程度であることがより好ましい。二次処理水の硫酸の濃度は、薬品処理を実質的に行わないことで原水の硫酸の濃度と同程度とすることができる。
二次処理水は、凝集剤添加に起因するイオンの濃度が、原水のイオン(凝集剤や、殺菌剤である次亜塩素酸ナトリウムに起因するイオン)の濃度以下であることが好ましい。
高分子化合物を含む原水に凝集剤または硫酸を添加して高分子化合物を粗大フロック化する技術よりも、本発明の除菌水の製造方法の方がイオンバランスを維持しやすく、低コストである。
過酸化物としては、臭素酸イオン、トリハロメタン、などを挙げることができる。なお、「検出下限値未満」とは、本明細書の実施例に記載の方法に従って検出できる下限値よりも濃度が低いことを意味するものであり、本明細書を通じて同様とする。
本発明では、二次処理水のイオンの濃度の、原水のイオンの濃度に対する変化率が±1質量%以下であることが好ましく、±0.5質量%以下であることがより好ましく、±0.1質量%以下であることが特に好ましい。
本発明で得られる除菌水は無菌水であることが好ましい。
二次処理水のpHの好ましい範囲は、原水のpHの好ましい範囲と同様である。
本発明の除菌水の製造システムは、原水に対して泡沫分離処理を行って一次処理水を得る泡沫分離装置と、
一次処理水に対して膜ろ過処理を行って二次処理水を得る膜ろ過装置とを有する除菌水の製造システムであって、
原水が高分子化合物および少なくとも1種類のイオンを含み、
実質的に薬品処理および生物処理を行わない。
図2に、本発明の除菌水の製造システムの一例を示した。
図2に示した除菌水の製造システムの一例は、原水1に対して泡沫分離処理を行って一次処理水2を得る泡沫分離装置11と、一次処理水2に対して膜ろ過処理を行って二次処理水(除菌水)3を得る膜ろ過装置12とを有する。
図2では、水の流れを実線の矢印で示している。
図2に示されているように、原水1は、泡沫分離装置11に送液される。泡沫分離装置11で処理された一次処理水2は、次に膜ろ過装置12へ送液される。その後、膜ろ過装置12で処理された二次処理水は、系外に送液されることが好ましい。
本発明の除菌水の製造システムの1つの態様では、原水1から、泡沫分離装置11によって、安定泡沫4が除菌水の製造システムの系外に取り除かれることが好ましい。また、泡沫分離装置11では、原水1の一部の水(濃縮水)も取り除かれてもよい。泡沫分離装置11から安定泡沫4を取り除く場合は、積層した安定泡沫4をオーバーフローさせてもよい。安定泡沫4には、原水1中の高分子化合物が含まれることが好ましい。本発明では、原水1中の高分子化合物の多くを泡沫分離装置11で除き、一次処理水の高分子化合物の濃度を下げて膜分離処理しやすくすることが好ましい。
本発明の除菌水の製造システムの別の態様では、安定泡沫4の一部(または全部)を除菌水の製造システムの系内に戻して再利用するような(閉鎖)循環式としてもよい(図2には不図示)。
泡沫分離装置11の一般的な構成として、上部に泡沫排出口が設けられ、底部に微細気泡発生装置が設けられている構成を挙げることができる。
本発明の除菌水の製造システムの別の態様では、濃縮水5の一部(または全部)を除菌水の製造システムの系内に戻して再利用するような(閉鎖)循環式としてもよい(図2には不図示)。
膜ろ過装置12に任意の弁を設けて、二次処理水3と濃縮水5とをそれぞれ独立かつ任意に取り出せるようにしてもよい。
例えば、pH調節装置を、泡沫分離装置11の上流または下流に備えていてもよい。
例えば、任意の場所に温度調節装置を備えていて、原水、一次処理水および二次処理水の温度を調節してもよい。
本発明の除菌水の製造システムは、屋内に設置しても、屋外に設置してもよい。本発明の除菌水の製造システムは、特にUV(Ultra violet)処理を必要としないため、屋外に設置しやすい。
人工海水を原水(被処理水)として用いて下記の処理を行った。原水は人工海水を150L作製し、循環式飼育水槽で90日間循環させ、十分にろ過細菌類を馴養したものを分取した。生物に由来する高分子化合物の不足を考慮して、試験前にポリアクリルアミドを0.1mg/L程度添加した。得られた原水のpHは7.3であった。
まず、原水に対して泡沫分離処理を行い、一次処理水を得た。泡沫分離処理は25℃において、カーヴァスエアレーター式泡沫分離装置(プレスカ社製)を用いて行った。カーヴァスエアレーター式泡沫分離装置は6L/分程度の処理速度で通水し、反応槽滞留時間を120秒程度確保し、運転した。
次いで、泡沫分離処理で処理された一次処理水に対して、膜ろ過工程を行い、除菌水(二次処理水)を得た。膜ろ過では、限外(Ultrafiltration;UF)ろ過膜(OJI−MEMBRANEラボテスト機、公称孔径0.02μm)を用いて連続的にろ過処理した。
得られた二次処理水(除菌水)を採取し、各種類の成分の濃度を以下の装置を用いて測定した。
陽イオン、特に金属イオンの濃度の測定は、ICP(Inductively Coupled Plasma)発光分析装置(アメテック社製CIROS120)を用いた。
全有機炭素の濃度の測定は、全有機炭素(Total Organic Carbon;TOC)計(島津製TOC−L)を用いた。
陽イオン、陰イオンの濃度の測定は、イオンクロマトグラフ(サーモ社製ICS−2000)を用いた。
臭素酸イオンの濃度の測定は、ion chromatography tandem mass spectrometric(IC−MS/MS)装置(エービー・サイエックス社製3200QTRAP+サーモフィッシャーサイエンティフィック社製ICS−2100)を用いた。
二次処理水(除菌水)に含まれる各成分の濃度は、下記表1のとおりであった。なお、上記の装置を用いた場合における、過酸化物である臭素酸の検出下限値は0.0001mg/Lである。二次処理水(除菌水)に含まれる各成分は、各イオンの濃度を意味する。
原水のpHは7.3であった。
実施例1において、原水に対して泡沫分離処理を行わずに、原水に対して膜ろ過を行い、実施例1と同様に濃度測定を行った。ただし、全有機炭素の濃度については、分析機器の汚染回避のために測定を行わなかった。
参考例1で得られた結果を、実施例1で用いた原水のイオンバランスとした。
実施例1で用いた原水に対して泡沫分離処理を行わずに、20mg/Lの凝集剤であるポリ塩化アルミニウムを添加し、次いで、pHが6.5になるまで水酸化ナトリウムを添加することによって中和処理を行った。
その後、実施例1と同様に膜ろ過処理および濃度測定を行った。得られた結果を下記表1に記載した。
実施例1で用いた原水に対して泡沫分離処理を行わずに、16mg/Lの凝集剤である硫酸アルミニウムを添加し、次いで、pHが6.5になるまで水酸化ナトリウムを添加することによって中和処理を行った。
その後、実施例1と同様に膜ろ過処理および濃度測定を行った。得られた結果を下記表1に記載した。
実施例1で用いた原水に対して5mg/Lの次亜塩素酸ナトリウムを添加した。
その後、実施例1と同様に膜ろ過処理および濃度測定を行った。
実施例1で用いた原水に対して5mg/Lのオゾンを添加した。
その後、実施例1と同様に膜ろ過処理および濃度測定を行った。得られた結果を下記表1に記載した。
実施例1で原水として用いた上記の人工海水に模擬粘性物質として高分子化合物(タンパク質の1種類であるゼラチン)を300mg/L添加して、実施例2で用いる原水(試験水)を調製した。用いたゼラチンの重量平均分子量は、約100,000であった。
実施例2で用いる原水に対して、カーヴァスエアレーター式泡沫分離装置(プレスカ社製)を用いて泡沫分離処理を行い、一次処理水を得た。
次いで、一次処理水に対して、UFろ過膜(OJI−MEMBRANEラボテスト機、公称孔径0.02μm)を用いて連続的に膜ろ過処理を行い、除菌水(二次処理水)を得た。膜ろ過処理における、流束(ろ過流束)を評価した。膜ろ過処理においては、換算ろ過量50L/m2ごとに空気を用いる物理洗浄を行った。実施例2における換算ろ過量(L/m2)と流束(L/(m2・hr・0.1MPa))との関係を図1に示す。なお、本明細書中、流束の評価は25℃に換算して得られた値である。図1より、高分子化合物を添加した模擬海水を泡沫分離処理した後に膜ろ過処理した場合、ある程度の水準で流束が下げ止まり、空気を用いる物理洗浄を行うことで、ろ過を持続できることがわかった。すなわち、安定領域で膜ろ過ができることがわかった。
実施例2で得られた二次処理水(除菌水)に対し、実施例1と同様に濃度測定を行った。得られた結果を下記表1に記載した。
実施例2と同様の原水(試験水)について、泡沫分離処理を行わず、直接UFろ過膜(OJI−MEMBRANEラボテスト機、公称孔径0.02μm)を用いて連続的に膜ろ過処理を行い、除菌水を得た。膜ろ過処理における、ろ過流束を評価した。比較例5における換算ろ過量(L/m2)と流束(L/(m2・hr・0.1MPa))との関係を図1に示す。図1より、高分子化合物を添加した模擬海水を泡沫分離処理せずに膜ろ過処理した場合、膜閉塞が著しく、20L/m2ろ過する前に処理水が得られなくなり、この時点まででろ過処理を断念した。
比較例5で得られた除菌水に対し、実施例1と同様に濃度測定を行った。得られた結果を下記表1に記載した。
実施例1および2において、UFろ過膜の代わりに逆浸透膜(Reverse Osmosis Membrane;RO膜)を用いた以外は実施例1および2と同様にして、除菌水を製造し、濃度測定を行った。
その結果、比較例6で得られた除菌水では、原水中の菌に加えて原水中の各イオンもほぼ99質量%が除かれてしまい、除菌水のイオンの濃度が原水のイオンの濃度のほぼ1質量%であることがわかった。すなわち、除菌水のイオンバランスが原水のイオンバランスとは全く異なることがわかった。
比較例1〜4の凝集剤、次亜塩素酸ナトリウムまたはオゾンを添加する薬品処理は、除菌水のイオンバランスが変化するものであった。
泡沫分離処理をしなかった比較例5より、高分子化合物を含む原水を膜ろ過すると、安定領域で膜ろ過ができず、ろ過膜を頻繁に交換する必要が生じるために除菌水を低コストで製造できないことがわかった。
比較例6より、逆浸透膜を用いた場合、原水と同じイオンバランスを有する除菌水は得られないことがわかった。
十分にイオンを含む除菌水を低コストで製造することにより、魚の養殖や植物の栽培などの分野において、肥料やミネラル分などのイオンを十分に含む除菌水を提供することができる。
2 一次処理水
3 二次処理水(除菌水)
4 安定泡沫
5 濃縮水
11 泡沫分離装置
12 膜ろ過装置
Claims (7)
- 原水に対して泡沫分離処理を行って一次処理水を得る工程と、
前記一次処理水に対して膜ろ過処理を行って二次処理水を得る工程とを有する除菌水の製造方法であって、
前記原水が高分子化合物および少なくとも1種類のイオンを含み、
前記泡沫分離処理を、キャビテーションを用いる回転翼剪断式泡沫分離装置に前記原水を通水させることにより供給される微細気泡を用いて行い、
前記泡沫分離処理が安定泡沫を系外に排出する工程を含み、
前記膜ろ過処理が限外ろ過膜処理または精密ろ過膜処理であり、
前記膜ろ過処理が空気を用いる物理洗浄を行う安定領域での膜ろ過であり、
実質的にポリアクリルアミドおよびゼラチン以外の薬品による薬品処理および生物処理を行わない、除菌水の製造方法。 - 前記原水に含まれる前記高分子化合物の重量平均分子量が100,000〜1,000,000である、請求項1に記載の除菌水の製造方法。
- 前記二次処理水の塩素の濃度が前記原水の塩素の濃度以下であり、
前記二次処理水の硫酸の濃度が前記原水の硫酸の濃度以下である、請求項1または2に記載の除菌水の製造方法。 - 前記二次処理水の過酸化物の濃度が検出下限値未満である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の二次処理水の製造方法。
- 閉鎖循環式である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の除菌水の製造方法。
- 前記二次処理水の前記イオンの濃度の、前記原水の前記イオンの濃度に対する変化率が±1質量%以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の除菌水の製造方法。
- 原水に対して泡沫分離処理を行って一次処理水を得る泡沫分離装置と、
前記一次処理水に対して膜ろ過処理を行って二次処理水を得る膜ろ過装置とを有する除菌水の製造システムであって、
前記原水が高分子化合物および少なくとも1種類のイオンを含み、
前記泡沫分離装置がキャビテーションを用いる回転翼剪断式泡沫分離装置であり、
前記泡沫分離処理を、前記泡沫分離装置に前記原水を通水させることにより供給される微細気泡を用いて行い、
前記泡沫分離装置が安定泡沫を系外に排出し、
前記膜ろ過装置が限外ろ過膜または精密ろ過膜を備え、
前記膜ろ過装置が空気を用いる物理洗浄を行う安定領域での膜ろ過を行い、
実質的にポリアクリルアミドおよびゼラチン以外の薬品による薬品処理および生物処理を行わない、除菌水の製造システム。
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