JP3688263B2 - 有機塩素系化合物汚染土用浄化材およびこれを用いた汚染土浄化施工方法 - Google Patents

有機塩素系化合物汚染土用浄化材およびこれを用いた汚染土浄化施工方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、地盤工学および衛生工学に基づいた地盤環境修復に係り、特に、有機塩素系化合物で汚染された土壌、地下水の浄化および地盤の強度低下を生じさせない方法および浄化材に関する。
なお、有機塩素系化合物とは、ジクロロメタン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1−ジクロロエチレン、シス−1,2−ジクロロエチレン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、1,3−ジクロロプロペン、塩化ビニル、トランス−1,2−ジクロロエチレンをいう。
【0002】
【従来の技術】
従来、有機塩素系化合物で汚染された土壌、地下水の浄化法として、鉄粉などの金属還元剤を汚染土と混合したり、汚染土に注入したりすることにより汚染物質を分解して浄化する方法が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7参照)。
上述の浄化法を大別すると、図7に示すように、汚染土をバックホーやオールケーシング工法により掘削して地上で処理する方法と、図8に示すように、原位置で処理する方法(注入または混合)がある。
【0003】
一般に、地上での処理の場合は、土壌汚染の深度が浅い場合であり、原位置処理の場合は、土壌汚染の深度が深い場合が多いと考えられる。
これらの対処法としては、地盤改良技術を基本にすることが多い。
地盤を深層にわたって原位置で改良する技術としては、地盤改良工事の深層混合処理工法および山止め工事のソイル柱列工法がある。
【0004】
深層混合処理工法では、改良材スラリーまたは粉体の改良材を用いる。
一方、地上で土と改良材または改良材スラリーを混ぜるには、種々の混合機(ミキサー)または土工事用施工機械(バックホーなど)がある。
工事に用いる金属還元剤などを含む材料のタイプとしては、粉体、スラリーがある。
【0005】
【特許文献1】
特許第3079109号公報
【特許文献2】
特開2001−259661号公報
【特許文献3】
特開2001−321762号公報
【特許文献4】
特開平10−71386号公報
【特許文献5】
特開2001−38341号公報
【特許文献6】
特開平11−235577号公報
【特許文献7】
特開2000−5740号公報
【特許文献8】
特開2001−200252号公報
【非特許文献1】
藤森新作、小堀茂次著「自然環境にやさしい土壌硬化剤マグホワイトの開発」、農業土木学会誌、vol68 第12号(平成12年12月)pp53−56
【非特許文献2】
山本達夫、勝又正治、鶴田慎之介、宮路隆徳著「中性固化材を用いた浄化場汚泥の有効利用方法について(その1)」、第36回地盤工学研究発表会,pp777−778
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、わが国の地盤は、撹乱すると著しく強度を低下することが多いため、有機塩素系化合物で汚染された土壌、地下水と鉄粉などの金属還元剤とを混合したり、注入したりする従来工法で汚染土を浄化した場合、汚染土は混合や注入によって強度が著しく低下する。
表1は、不撹乱土(乱さない土)の一軸圧縮強度とその土をミキサーで完全に撹乱した直後の強度および撹乱後静置一ヶ月の強度とを示している。表1において、一軸圧縮強度quはベーンせん断強度の値×2より求めたものである。
【0007】
【表1】
Figure 0003688263
表1は、一例であるが、土は撹乱によって著しく強度が低下することおよびその後の強度回復によっても以前の乱さない土の強度には遠く及ばないことが判る。
このため、汚染土を掘削しこれを地上で浄化処理する場合、泥濘化した大量の浄化処理土は、その処置に困ることになる。
【0008】
また、有機塩素系化合物のように汚染が深部にまで及ぶ地盤汚染を、混合処理機を用いて処理する場合、浄化の施工を行なった全ての領域が著しく強度低下した地盤になってしまう。
このため、浄化作業の安全上(例えば、処理機やその他重機の転倒)は勿論、汚染が敷地境界に広がっており、その境界のそばに建物や土構造物などがある場合、その建物が傾いたり、土構造物がすべり破壊を生じたりする虞がある。
【0009】
しかし、特許文献1〜特許文献7に開示される技術は、いずれも注入または混合による地盤強度の低下について考慮されていない。
本発明は、斯かる従来の問題点を解決するために為されたもので、その目的は、有機塩素系化合物で汚染された土壌を鉄粉などの金属還元剤で浄化すると同時に地盤の強度低下を生じさせることのない有機塩素系化合物汚染土用浄化材およびこれを用いた汚染土浄化施工方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、水を加えたスラリーのpHが11以下の低アルカリ性セメントを、鉄粉またはコロイド状鉄粉に加えた粉体またはスラリーから成ることを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1記載の有機塩素系化合物汚染土用浄化材にアルミニウム粉末を加えて成ることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載の有機塩素系化合物汚染土用浄化材に、水と増粘材スラリーを加えて成ることを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項1または請求項2に記載の有機塩素系化合物汚染土用浄化材において、前記低アルカリ性セメントの添加量は、土1m3に対して、10〜50kgとすることを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項2に記載の有機塩素系化合物汚染土用浄化材において、前記アルミニウム粉末の大きさは、200μm以下であり、前記アルミニウム粉末の添加量は、土1m3に対して、0.1〜2kgとすることを特徴とする。
【0012】
請求項6に係る発明は、請求項5に記載の有機塩素系化合物汚染土用浄化材において、前記アルミニウム粉末の添加量は、土1m3に対して、0.5〜1kgとすることを特徴とする。
請求項7に係る発明は、有機塩素系化合物汚染地盤を掘削し、その掘削土に請求項1ないし請求項6の何れかに記載の有機塩素系化合物汚染土用浄化材を加えて混合し、これを再び敷地内に埋め戻すまたは場外に搬出することを特徴とする。
【0013】
請求項8に係る発明は、有機塩素系化合物汚染地盤に混合処理機を貫入させ、請求項1ないし請求項6の何れかに記載の有機塩素系化合物汚染土用浄化材を、粉体としてまたは水を添加したスラリーとして前記有機塩素系化合物汚染地盤中に吐出しながら汚染土と混合することを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明者は、鉄粉などの金属還元剤と地盤改良で用いられている改良材などを粉体混合したもの、またはこれに水、増粘材、アルミニウム粉末、混和剤などを加えてスラリーにしたものを、有機塩素系化合物による汚染土に混ぜ、これにより金属還元剤の浄化効果と混合に伴う地盤の強度低下を防ぐことを見出した。
ここで、ひとつ問題になるのは、金属還元剤の有機塩素系化合物の分解能力が改良材によって著しく阻害されないかということであるが、低アルカリ性セメントまたはアルミニウム粉末、またはそれらを組み合わせたものを用いることで、著しく阻害されることがないことを確認した。
【0015】
粉体の場合は、地盤の撹乱を最小限にとどめることができるが、それでも処理機による撹乱は前述したように、大きいし、また砂質土では粉体でかつ少量のため処理機貫入に対する抵抗が大きく、場合によっては処理機の貫入が停止することさえある。
一方、スラリーの場合は、同一改良材添加量の場合、粉体に比較して、処理土の強度は低いものの、先の処理機の地盤中への貫入は逆に容易になる。
【0016】
ここで用いる材料は、水を除くと、金属還元剤、アルミニウム粉末(以上、浄化材という)、低アルカリ性セメント、増粘材、混和剤である(浄化材とその他添加材を加えたものを浄化材等と記し、それらがスラリーの場合には浄化材等スラリーと記す)。
以下に、浄化材とその他添加する材料の役割を示す。
【0017】
先ず、金属還元剤は、浄化の対象物質である有害な有機塩素系物質を還元的に分解する作用をもつ。具体的には、以下の2つの作用がある。
i)金属還元剤本体が酸化し電子を放出することで、対象物質を脱塩素または還元する。
ii)金属還元剤と水との反応により水素を発生し、その水素が対象物質を還元または水素置換する。
【0018】
金属還元剤として適用可能な元素には、電気陰性度が水素以上の元素であるK,Ca,Na,Mg,Zn,Al,Fe,Ni,Snなどが挙げられるが、実用的にはコスト、取扱上の安全性、効果、使用後の二次汚染の有無などから判断すると、Mg,Zn,Al,Fe,Niが適しており、中でもFeが最も扱い易い。
【0019】
上記i)、ii)の反応をFeを例として化学反応式で示す。
▲1▼ Fe → Fe2+ + 2e−
▲2▼ Fe + 2H2O → Fe2+ + 2OH- +H2
ただし、鉄粉は、高アルカリ性の環境では表面に水酸化鉄の皮膜が形成され、還元反応が阻害されるため、その対策が必要となる。
【0020】
鉄粉の使用量は、0.5〜500kg/m3(望ましくは、1〜100kg/m3)であり、これらの上限、下限値は、実汚染土壌での浄化実験結果により求められる。
鉄粉の大きさや形状は、施工方法により規定される。スラリーとして材料を搬送できる条件(サイズ:500μm以下、形状:粉末)とする。
【0021】
次に、セメントは、セメント自身および土との反応により硬化することから、撹乱または水添加によって著しく強度低下する汚染地盤を強度回復させる。
セメントとしては、普通ポルトランドセメント、高炉セメント、セメント系固化材、低アルカリ性セメントなどがあるが、低アルカリ性セメント以外のセメントは、土壌と混和するとpHは12以上の高アルカリ性になることから、本発明には向いてない。
【0022】
低アルカリ性セメントとしては、リン酸マグネシア系セメント(例えば、特許文献8、非特許文献1参照)や植物の「ケナフ」主成分とした中性固化材(例えば、非特許文献2参照)などがある。これらのセメントに水を加えたスラリーのpH測定例によると、リン酸マグネシアセメントスラリーのpHは10.7、「ケナフ」主成分とした中性固化材では7.0である。
【0023】
低アルカリ性セメントのアルカリ性の上限は、浄化剤の効果が発揮し得る範囲としている。還元状態で鉄が水溶液に溶解するpHの限界値が10.5(この時点でのFe2+の水中の飽和濃度は0.01mg/l)である。また、低アルカリセメント10〜50kgと土壌を混合すると、セメント単独時でのpHよりも0.5ほど低下する。これらより低アルカリセメント単体でのpHは11以下であることが必要となる。
【0024】
次に、アルミニウム粉末について説明する。
Alは、両性金属に分類され、酸性、アルカリ性のいずれにおいても水と比較的迅速に反応し、水素を発生しながらアルミン酸(水酸化アルミニウム)となる。
Al + 3H2O + → Al(OH)3 + 3/2H2
pHを12以上とすれば、土壌との混合後数時間以内にほぼ全量が反応し、Al1kgあたり総量1.24Nm3の水素ガスが発生する。pHが中性付近でも徐々に水との反応が進行し、最終的には上の反応式のように全量が反応する。アルミニウム粉末を本発明で使用する際に期待される効果は以下の3点である。
【0025】
アルミニウム粉末から発生する水素ガスにより、混合した土壌が還元雰囲気となる。
水素そのものが水素供与体として使用され、脱塩素反応が促進される。
混合初期には、アルミニウム粉末表面で対象物質が還元分解される。
次に、増粘材は、有機塩素系化合物を混合処理機を用いて原位置で分解する施工法において、混合処理機を容易に貫入できるようにしたり、あるいは浄化材を送る配管内での鉄粉の沈降を防止したりするために、あるいは少量の金属還元剤を増粘材で増量して均一に分散させるために、浄化材に加えるもので、通常はスラリーで用いる。
【0026】
増粘材には、珪藻土、ベントナイト、市販の精製粘性土、自然堆積粘性土などがある。鉄粉の密度は、7.8であることから、低アルカリ性セメントスラリーだけでは、鉄粉が配管の中で沈降することも十分考えられる。
次に、混和剤は、浄化材等スラリーの圧送を容易にするために、スラリーの性状を変えることに用いる。例えば、スラリーに流動性をもたせたり、夏場のスラリーの粘性増大を押えたりなどすることができる。
【0027】
用いる材料の組み合わせを表2に示す。
【表2】
Figure 0003688263
対象とする汚染された細粒分を含む多くの地盤は、乱さない状態で測定した圧縮強度が、数kgf/cm2以下である。
したがって、浄化後の土の強度をこれに近い値を目標として復旧するとすれば、例えば、普通ポルトランドセメントを改良材として用いる場合、汚染土1m3当たり、50kg以下の低添加率となることが多い。乱さない地盤の強度よりも著しく高い強度に地盤改良することは、その後の土地の利用に支障をきたすことにもなるため、浄化後の地盤の強度はできるだけ浄化前の乱さない地盤の強度に近いほうが望ましい。
【0028】
上記の点を考慮すると、実際の浄化後の強度の目安としては、
▲1▼人が載れる地盤の強度(一軸圧縮強度で0.2kgf/cm2[20kN/m2]程度)以上
▲2▼建設汚泥の判定に用いられている強度の値(一軸圧縮強度で0.5kgf/cm2[50kN/m2])以上
▲3▼一般に中位の強度を有する土の強度(一軸圧縮強度で0.5〜1.0kgf/cm2[50〜100kN/m2]程度)
などが考えられることから、0.2〜1.0kgf/cm2[20〜100kN/m2]と判断できる。これらは、最終的には浄化へのセメントの影響によって決まる。
【0029】
また、有機塩素系化合物汚染地盤に貫入する混合処理機としては、例えば、攪拌はねを有する浅層・深層混合処理機およびそれに類するもの、TRD(トレーダー)工法およびそれに類するもの、および山止め壁施工法のSMW機およびそれに類するものなどがある。
【0030】
【実施例】
(実施例1)
自然土に低アルカリ性セメントを粉体で混合したときの混合土の材令28日の非排水せん断強度を調べた。
低アルカリ性セメントとしては、リン酸マグネシアセメントを用いた。用いた土は、粘性土4種類,砂質土1種類である。
図1は、試験結果(せん断強度を一軸圧縮強度に換算)を示す。横軸は土1m3に対する低アルカリ性セメント(粉体)の添加量を示している。
【0031】
図1より、さまざまな種類の自然土に対し、低アルカリ性セメント(粉体)を土1m3当たり10〜50kg添加することにより、浄化土の目標一軸圧縮強度0.2〜1.0kgf/cm2[20〜100kN/m2]が得られることが判る。
(実施例2)
土と低アルカリ性セメントとの混合土の材令28日の非排水せん断強度を調べた。
【0032】
低アルカリ性セメントとしては、リン酸マグネシアセメントを用いた。用いた土は、自然含水比83.4%の粘性土である。
低アルカリ性セメントは、土1m3当たり20,30,50kgの粉体量を各々水セメント比80%のスラリーとして添加した。
図2は、試験結果(せん断強度を一軸圧縮強度に換算)を示す。
【0033】
図2より、リン酸マグネシアセメントが土1m3当たり10〜50kgで浄化土の目標一軸圧縮強度0.2〜1.0kgf/cm2[20〜100kN/m2]が得られることが判る。
(実施例3)
実施例2と同じ粘性土に対し、低セメント性セメントと増粘材として珪藻土を加えた混合土の材令28日の非排水せん断強度を調べた。
【0034】
低アルカリ性セメントは、リン酸マグネシアセメントを用い、土1m3当たり20,30,50kgの粉体量を各々水セメント比80%のスラリーとし、珪藻土はセメントの1〜3倍の粉体量を水珪藻土比150%のスラリーとして添加した。
図3は、試験結果(せん断強度を一軸圧縮強度に換算)を示す。
【0035】
図3より、増粘材として珪藻土を用いても、用いない場合に比較して処理土の強度はあまり低下しないことが判る。
したがって、珪藻土を加えた浄化材を用いることにより、鉄粉の沈降を防ぎ、かつ混合処理機の貫入を容易にし、かつ浄化材を偏ることなく均一に分散させ、かつ浄化土の強度を低下させないことが可能である。
【0036】
(実施例4)
粘性土に対する鉄粉の分解特性把握実験結果
1)実験条件
対象土壌:粘性土 含水比 約80%
浄化対象物質:トリクロロエチレン(TCE)
浄化用鉄粉: 鉄粉A:コロイド状鉄粉、鉄粉B:金属冶金用鉄粉
2)実験方法
▲1▼粘性土1000gに対して、トリクロロエチレン1000mg/l水溶液80mlおよび所定量の鉄粉、固化材、増粘材、水を手早く、かつ均一に混合する。
▲2▼
【0037】
混合した土壌を密閉ガラスネジ口ビン(テフロン(登録商標)ライナー付キャップ、有効容量120ml)に隙間が生じないように充填し、密栓した。
▲3▼必要数のビンに充填した後に、調整直後のサンプルを採取した。土壌を充填したビンは遮光、室温で、一定期間静置後、分析に供した。
▲4▼経時的にビン中の土壌を採取し、土壌溶出濃度を測定した。土壌溶出操 作は環告46号、水中の揮発性有機化合物の測定方法は、JIS K 0125.5.2 ヘッドスペースGC/MS法に準拠した。また、土壌のpHは溶出操作で得られた溶出水のpHとした。
【0038】
1回の測定で1個のビンを使用し、ビンのフタの開け閉めなどによる浄化対象物質の揮散の影響を排除した。
3)実験結果(表3、図4参照)
鉄粉A:A1では、鉄粉単独での浄化性能を把握するために、セメントなどの添加材は加えなかった。鉄粉A:A2〜A5では、実施例1で確認した地盤強度回復に必要な固化材を所定量添加した。
鉄粉添加量47kg/m3では、鉄粉のみ(鉄粉A:A1)と、低アルカリ性セメント31kg/m3添加(鉄粉A:A2)では、11日後には十分にTCE濃度が低減し、速度差は認められなかった。
【0039】
固化材にB種高炉セメント16kg/m3、増粘材として珪藻土16kg/m3を添加したケース(鉄粉A:A3)では、29日後で初期の30%程度が残存し、セメントによる分解性の阻害が認められた。また、固化材・増粘材の添加量を同量とし、鉄粉量を倍の93kg/m3とすれば、十分な濃度低減効果が認められた。
【0040】
以上の結果より、鉄粉A:A2または鉄粉A:A4の条件で、汚染対象質の十分な分解と撹乱後の地盤の強度の回復を両立し得ることが明らかになった。
鉄粉Bの場合には、低アルカリ性セメント(鉄粉B:B2)では、TCE濃度は十分に低減したが、B種高炉セメント(鉄粉B:B3)では、分解速度が低下した。
【0041】
【表3】
Figure 0003688263
(実施例5)
実汚染粘性土に対する分解特性
1)実験条件
対象土壌:VOC*実汚染土壌(粘性土、含水率80〜100%、汚染物質:PCE,TCE,cis−DCE)
*VOC:浄化対象である揮発性有機物質を総称して以後用いる。
【0042】
浄化用鉄粉 :鉄粉A
2)実験方法(実施例4と同様)
3)実験結果(表4、表5、図5、図6参照)
各実験ケース毎にいかに説明する。
▲1▼7日後には、PCE、TCEはほぼ全量が分解され、35日目では初期の1/50以下となった。cis−DCEがやや増加した。
▲2▼
【0043】
▲1▼ほぼ同様に、PCE、TCEが減少し、35日目には1/100以下となった。cis−DCEもやや減少している。▲1▼よりも残存率が低い。
▲3▼42日目でPCEが初期の1/30に、TCEが1/50に、cis−DCEが1/30に減少した。
▲4▼42日目でPCEが初期の1/50に減少した。▲3▼に比べアルミニウム添加により、還元雰囲気が向上しTCE、PCEの減少速度は速いが、cis−DCEの減少がやや遅い。
▲5▼
【0044】
PCEが徐々に減少しているが、42日目で初期値の18%に相当する0.53mg/lが依然残存している。
▲6▼ややPCEが減少したが、PCE,TCE,cis−DCEが0.28、0.24,0.13mg/l程度で下げ止っている。
▲7▼添加剤を入れない場合には、VOCの減少は認められない。
【0045】
【表4】
Figure 0003688263
【表5】
Figure 0003688263
表5において、処理後欄の▲1▼、▲2▼、▲6▼は、35日後、処理後欄の▲3▼、▲4▼、▲5▼、▲7▼は、49日後を示す。
処理後欄において、環境基準値以下となった部分は、PCEの▲1▼、▲2▼、▲3▼、▲4▼、TCEの▲1▼、▲2▼、▲3▼、▲4▼、▲5▼、cis−DCEの▲3▼であった。
【0046】
残存率欄において、処理前の1/10以下となった部分は、PCEの▲1▼、▲2▼、▲3▼、▲4▼、▲6▼、TCEの▲1▼、▲2▼、▲3▼、▲4▼、cis−DCEの▲3▼、▲4▼、VOCの▲3▼、▲4▼、▲6▼であった。
以上の結果より、実汚染土壌における分解特性として、以下の効果が明らかとなった。
【0047】
低アルカリセメントを添加しても、鉄粉のVOC分解性の阻害影響は極めて小さく、実用上十分に許容しうる範囲である。
図5において、略号は下記の通りである。
PCE:テトラクロロエチレン
TCE:トリクロロエチレン
C−DCE:シス−1,2−ジクロロエチレン
T−DCE:トランス−1,2−ジクロロエチレン
1,1−DCE:1,1−ジクロロエチレン
VC:塩化ビニル
【0048】
【発明の効果】
本発明によれば、有機塩素系化合物で汚染された土壌、地下水を鉄粉やコロイド状鉄粉で浄化し、同時に、浄化の作業による地盤の強度低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】土と低アルカリ性セメント(粉体)との混合土の材令28日の一軸圧縮強度を示す図である。
【図2】土と低アルカリ性セメント(スラリー)との混合土の材令28日の一軸圧縮強度を示す図である。
【図3】土と低アルカリ性セメントおよび珪藻土との混合土の材令28日の一軸圧縮強度を示す図である。
【図4】鉄粉Aと鉄粉BにおけるTCE溶出濃度を示す図である。
【図5】実汚染粘性土に対する分解特性を示す図である。
【図6】実汚染粘性土に対する分解特性を示す図である。
【図7】汚染土を掘削して地上で処理する方法を示す図である。
【図8】原位置で処理する方法を示す図である。

Claims (8)

  1. 水を加えたスラリーのpHが11以下の低アルカリ性セメントを、鉄粉またはコロイド状鉄粉に加えた粉体またはスラリーから成ることを特徴とする有機塩素系化合物汚染土用浄化材。
  2. 請求項1記載の有機塩素系化合物汚染土用浄化材に、アルミニウム粉末を加えて成ることを特徴とする有機塩素系化合物汚染土用浄化材。
  3. 請求項1または請求項2に記載の有機塩素系化合物汚染土用浄化材に、水と増粘材スラリーを加えて成ることを特徴とする有機塩素系化合物汚染土用浄化材。
  4. 請求項1または請求項2に記載の有機塩素系化合物汚染土用浄化材において、前記低アルカリ性セメントの添加量は、土1m3に対して、10〜50kgとすることを特徴とする有機塩素系化合物汚染土用浄化材。
  5. 求項2に記載の有機塩素系化合物汚染土用浄化材において、前記アルミニウム粉末の大きさは、200μm以下であり、前記アルミニウム粉末の添加量は、土1m3に対して、0.1〜2kgとすることを特徴とする有機塩素系化合物汚染土用浄化材。
  6. 請求項5に記載の有機塩素系化合物汚染土用浄化材において、前記アルミニウム粉末の添加量は、土1m3に対して、0.5〜1kgとすることを特徴とする有機塩素系化合物汚染土用浄化材。
  7. 有機塩素系化合物汚染地盤を掘削し、その掘削土に請求項1ないし請求項6の何れかに記載の有機塩素系化合物汚染土用浄化材を加えて混合し、これを再び敷地内に埋め戻すまたは場外に搬出することを特徴とする汚染土浄化施工方法。
  8. 有機塩素系化合物汚染地盤に混合処理機を貫入させ、請求項1ないし請求項6の何れかに記載の有機塩素系化合物汚染土用浄化材を、粉体としてまたは水を添加したスラリーとして前記有機塩素系化合物汚染地盤中に吐出しながら汚染土と混合することを特徴とする汚染土浄化施工方法。
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