JP5002806B2 - 土壌浄化材 - Google Patents

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本発明は、有機化合物により汚染された土壌を地盤強度の低下を防止しながら浄化する土壌浄化材に関する。
従来より、VOC(揮発性有機化合物)等の有機化合物により汚染された土壌を、鉄粉等を用いて浄化する土壌浄化材においては、この汚染された土壌に含まれる有機化合物を土壌浄化材に含まれている鉄微粒子を水中に分散させた鉄微粒子スラリーを、土壌中に注入し、この汚染された土壌に含まれる有機化合物を鉄微粒子表面の酸化および局部的な電池反応により供給される自由電子の作用により脱塩素化し浄化するものである。
また、従来の土壌浄化方法においては、浄化対象域の地表上に、高圧噴射注入ロッドを前進後退及び回転駆動するロッド駆動装置、浄化材と水とを混合して浄化材スラリーを調製するミキシング装置並びに浄化材スラリーを圧送する高圧ポンプ装置等を設置し、浄化材スラリーを地盤中の浄化対象域へ高圧噴射し、浄化材と有機化合物等の汚染物質との反応により土壌を浄化させ、浄化作業の施工後の浄化対象域が、浄化材スラリーを高圧噴射された浄化材層と、原地盤がそのまま維持された地盤層とが交互に積層した状態とし、浄化対象域を、施工後であっても原地盤の強度をほぼ維持するようにしたものも提案されている(例えば、特許文献1参照。)。他の土壌浄化措置に用いる土壌固化材では、酸化マグネシウム3〜5モルに濃硫酸1モルを攪拌しながら添加し、反応温度105℃以上で反応させることにより調整した中性無水マグネシウムオキシサルフェイトを有効成分とし、耐水性、強度に優れ、環境に悪影響を及ぼさない中性の固化材としたものも提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
特開2005−161236号公報 特開2005−213277号公報
しかしながら上述の土壌浄化材では、鉄微粒子を水中に分散させた鉄微粒子スラリーを、土壌中に大量に注入して混合攪拌し浄化を行っているため、水分が土壌に染み込んで泥状となってこの土壌が軟らかくなり土壌の地盤強度が低下するという問題があった。地盤強度が低下すると地盤が脆くなって崩れ地盤沈下が発生することになる。そこで、地盤強度の低下を抑制し防止するために一般的な固化材であるセメントを土壌浄化材に混合した場合には、セメントが固まることで地盤が強化され地盤強度の低下を抑制できるが、セメントの性質上地盤のpHがアルカリ領域となり、鉄微粒子スラリーの鉄微粒子の浄化作用が阻害され有機化合物の脱塩素化が行われず土壌の浄化ができなくなる。
また、地盤のpHがアルカリ領域となることを防ぐために、固化材として中性材料の石膏を用いた場合には、pHがアルカリ領域となることを防ぐことはできるが、地盤強度の低下を土壌浄化材注入以前と同等に抑制しているともいえなかった。
特許文献1に記載されている土壌浄化方法においても、浄化材スラリーを高圧噴射された浄化材層と、原地盤がそのまま維持された地盤層とが交互に積層した状態としているが、地盤強度の低下を土壌浄化材注入以前と同等に抑制しているともいえなかった。特許文献2に記載されている土壌固化材を用いても、強度に優れてはいるが有効成分である中性無水マグネシウムオキシサルフェイトを生成する作業で、濃硫酸を取り扱うこととなり、また、反応させる際に、反応温度を105℃以上に加熱して反応させるため、作業が煩雑かつ危険性が危惧される上、製造コストもかかるという問題があった。
本発明は、以上のような問題点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、鉄微粒子スラリーの浄化作用を十分に発揮でき、更に、地盤強度の低下を効果的に防止する安価な土壌浄化材を提供することにある。
以上の問題点を解決するために本発明は、有機化合物に汚染された土壌を浄化する土壌浄化材において、
鉄微粒子を含む鉄微粒子スラリーと、
前記土壌を固化して地盤強度の低下を防止するためのアルカリ性固化材と、
前記アルカリ性固化材をアルカリ刺激するアルカリ刺激材と、
前記土壌浄化材のpHを中性領域に調整するpH調整剤と、を含むことを特徴とする。
このような発明においては、アルカリ刺激材がアルカリ性固化材をアルカリ刺激することによりアルカリ性固化材が土壌を固化して地盤強度の低下を防止するとともに、pH調整剤がアルカリ性固化材によってアルカリ領域となった土壌浄化材のpHを中性領域に調整するので、鉄微粒子スラリーによる土壌の浄化作用が阻害されずに十分に発揮することができる。
また、上述の土壌浄化材において、
前記アルカリ性固化材は、高炉水砕スラグであり、
前記アルカリ刺激材は、石膏であり、
前記pH調整剤は、クエン酸であっても良い。このような発明においては、石膏が高炉水砕スラグをアルカリ刺激することにより高炉水砕スラグが固化することで地盤が強化されて地盤強度の低下を効果的に防止できる。クエン酸の酸性材としての作用により、土壌浄化材のpHを中性領域に調整することができ、鉄微粒子スラリーによる土壌の浄化作用が阻害されずに十分に発揮することができる。
上述の土壌浄化材において、
前記アルカリ性固化材は、200〜600kg/mの高炉水砕スラグからなり、
前記アルカリ刺激材は、100〜400kg/mの石膏からなり、
前記pH調整剤は、前記アルカリ刺激材の重量比2〜10%のクエン酸であることとしても良い。このような発明においては、石膏が高炉水砕スラグをアルカリ刺激することにより高炉水砕スラグが固化することで地盤の強化を実現でき、地盤強度の低下を効果的に防止できる。クエン酸の作用により、土壌浄化材のpHを中性領域に調整し鉄微粒子スラリーによる土壌の浄化作用を十分に発揮することができる。
本発明に係る土壌浄化材によれば、鉄微粒子スラリーの浄化作用を十分に発揮でき、更に、地盤強度の低下を効果的に防止することが安価に実現することが可能となる。
以下、本発明に係る土壌浄化材を実施するための最良の形態を具体的に説明する。本実施の形態における土壌浄化材は、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロエチレン、四塩化炭素、1,1,1−トリクロロエタン及び1,1,2−トリクロロエタン等の有機ハロゲン化物等の有機化合物により汚染された土壌に対して、有機化合物を脱塩素化させることにより浄化するものであり、この汚染された土壌に含まれる有機化合物を脱塩素化させる鉄微粒子を含む鉄微粒子スラリーと、土壌を固化して地盤強度の低下を防止するためのアルカリ性材料を用いたアルカリ性固化材と、アルカリ性固化材をアルカリ刺激することによりこのアルカリ性固化材の固化を促進させるアルカリ刺激材と、アルカリ性固化材を含むことによりアルカリ領域となった土壌浄化材のpHを中性領域に調整するpH調整剤とを含んでなっており、アルカリ性固化材により、土壌を固化して地盤強度の低下の防止を実現しながら、アルカリ性固化材でアルカリ領域となった状態をpH調整剤によって土壌浄化材のpHを中性領域として、鉄微粒子スラリーでの有機化合物の脱塩素化の浄化作用を十分に発揮させるようにしたものである。
鉄微粒子スラリーは、金属鉄又は酸化鉄を含んでおり、水と金属鉄を混合したスラリー、水と酸化鉄を混合したスラリー、又は水と金属鉄と酸化鉄を混合したスラリーのいずれかが用いられる。さらに、金属鉄又は酸化鉄の平均粒径は2mm以下であることが好ましい。通常の高圧噴射用の噴射ノズル径が3mm程度であるのでこれに対応するためである。鉄微粒子スラリーの浄化作用を高める場合には、例えば、平均粒径500μm以下の微粉金属鉄又は微粉酸化鉄とするとそれらの表面積が大きく反応性に富むため望ましい。
アルカリ性固化材としては、固化により地盤を強化し地盤強度低下の防止を実現するためのアルカリ性材料の高炉水砕スラグが挙げられる。
高炉水砕スラグは、例えば以下のようにして得られる。銑鉄の製造過程で高炉から発生する溶融状態の高炉スラグに加圧水を噴射し、急激に冷却させ生成したガラス状の水砕スラグを粉砕することにより、微粉末状の高炉水砕スラグが得られる。さらに、この高炉水砕スラグの平均粒径は2mm以下であることが好ましい。通常の高圧噴射用の噴射ノズル径が3mm程度であるのでこれに対応するためである。
アルカリ刺激材には、低アルカリ性を有し、高炉水砕スラグに対してアルカリ刺激を行い固化を促進するための石膏が用いられる。石膏は、二水石膏(CaSO・2HO)、半水石膏(CaSO・0.5HO)、無水石膏(CaSO)、またはそれらから選ばれる2種以上の混合物のいずれでもよい。半水石膏、無水石膏またはそれらの混合物は焼石膏とも呼ばれ、吸水性が高く、固化速度が速いので焼石膏を用いるのに好ましい。他に高炉水砕スラグに対してアルカリ刺激を行い、低アルカリ性又は中性に近い性質を有していれば他のアルカリ刺激材を用いても良い。
pH調整剤としては、酸性材としてのクエン酸が用いられる。土壌浄化材のpHを適切に中性領域に調整でき土壌に注入することにより、土壌やその環境に対して生物への害などの悪影響の発生がなければ他の種類の酸性材を用いても良いが、クエン酸が粉末状で取り扱うことも可能で配合量やpHの調整も容易であり、環境への悪影響の発生もなく好ましい。
以上のような材料を含む土壌浄化材は、高炉水砕スラグの配合量を200〜600kg/m、石膏の配合量を100〜400kg/mとし、クエン酸の配合量を石膏の重量比2〜10%とすると、1mの土壌に対して地盤強度の低下を効果的に防止し、土壌浄化材のpHを適切に調整できるようになっている。
図1は、本実施の形態における土壌浄化材を用いた浄化措置の施工例を示す説明図である。図1に示すように、適宜の高圧噴射注入ロッド3を用いて浄化対象域の地表から造成孔4を削孔する。地表5上には、高圧噴射注入ロッド3を前進後退及び回転駆動するロッド駆動装置2、土壌浄化材と水とを混合して調製するミキシング装置並びに土壌浄化材を圧送する高圧ポンプ装置1等が設置される。高圧噴射注入ロッド3には1又は複数の流体移送管が通っており、先端のモニター部周囲に開口する1又は複数の噴射ノズルへ連通している。土壌浄化材は、高圧ポンプ装置1からスイベルを介して高圧噴射注入ロッド3へ圧送される。
例えば、高圧噴射注入ロッド3の先端には掘削ビット3aが設けられ、ロッド駆動装置2により回転前進することにより造成孔4を所定の深度まで穿設する。あるいは、高圧噴射注入ロッド3の先端から下方へ適宜高圧水を噴射して削孔を行ってもよい。浄化対象域の深度まで造成孔4を形成した後、高圧噴射注入ロッド3を回転させつつ、土壌浄化材を高圧噴射することにより浄化対象域全体の土壌に注入する。
続いて、本実施の形態における土壌浄化材の作用効果について説明する。図1に示すように、適宜の高圧噴射注入ロッド3を用いて造成孔4を浄化対象域に該当する所定の深度まで穿設する。浄化対象域の深度まで造成孔4を形成した後、高圧噴射注入ロッド3を回転させつつ、土壌浄化材を高圧噴射することにより浄化対象域全体の土壌に注入する。土壌浄化材に含まれる鉄微粒子スラリーは、微粒子であるので、有機化合物により汚染された土壌に付与した際、極めて迅速に土壌内に浸透し、浄化作用を示す。
例えば、土壌中で有機化合物としてトリクロロエチレンの酸化により鉄微粒子スラリーから発生する水素が反応した場合、1個の塩素原子が1個の水素原子で置換され、ジクロロエチレンと塩化水素が生成する。その後同様に塩素が水素で置換されて、順にモノクロロエチレン、そして無害なエチレンとなる。即ち、有機化合物で汚染された土壌又は地下水に、上記特定の鉄微粒子スラリーを含む土壌浄化材を注入した場合、鉄微粒子スラリーが注入によりかき混ぜられることにより鉄微粒子と水とが反応し、鉄が酸化され水素ガスが発生する。この水素ガスが有機化合物と反応して、上述のように塩素が水素と置換して無毒化される。
ここで、土壌浄化材およびこの土壌浄化材が注入された土壌中には、高炉水砕スラグを注入されてもpH調整剤であるクエン酸により、pHが低い数値に抑えられpHが8〜9程度のほぼ中性領域となるため、セメントを用いたことによりアルカリ領域となった影響を受け浄化作用が阻害される従来の問題点は解消され、酸化、脱塩素化等の反応が起こりやすい状態になる。このため、鉄微粒子スラリーの浄化作用がより促進されて効果的に土壌の浄化が行われる。
高炉水砕スラグと石膏によるアルカリ刺激を受けての固化反応速度は遅く、少しずつ土壌浄化材または土壌中の水分を得て水和により固化される。この固化までには数ヶ月を要するため、それまでの間に、土壌浄化材または土壌中の水分と鉄微粒子スラリーとで脱塩素化反応が継続して行われ、土壌が浄化される。また、土壌の浄化作用の後、アルカリ性固化材の高炉水砕スラグがアルカリ刺激材の石膏からアルカリ刺激を受け、固化が促進されることにより地盤が強化され地盤強度低下の防止が実現される。更に、アルカリ刺激材としての石膏自体も浄化作用の後固化され併せてより効果的に地盤が強化されて地盤強度低下の防止が実現される。そして、このようにして地盤強度が確保され地盤変状の発生がなく建築物や構造物に近接した箇所での浄化対象域でも浄化措置の施工が可能であり浄化措置後の地盤改良も不必要である。
図2は、本実施の形態における土壌浄化材を用いて試験的に浄化措置を行い、地盤強度の状態を測定した結果を示す表である。粒径が0.1mm以下でブレーン値が3500〜5500ブレーンとした微粉末状の高炉水砕スラグを用いて試験を行い、図2に示すように、このような高炉水砕スラグの配合量300kg、石膏の配合量200kg、クエン酸の配合量12kgとした場合に対して浄化措置後3日目で地盤強度が0.1N/mmであったことに対して、28日目で地盤強度が徐々に向上し1.0N/mmまで向上していることが示されている。また、高炉水砕スラグを含んでいてもpHが8.5となりほぼ中性領域に保たれている。また、高炉水砕スラグの配合量400kg、石膏の配合量200kg、クエン酸の配合量12kgとした場合に対して浄化措置後3日目で地盤強度が0.1N/mmであったことに対して、28日目で地盤強度が徐々に向上し1.8N/mmまで向上していることが示されている。高炉水砕スラグを含んでいてもpHが8.6となりほぼ中性領域に保たれている。そして、高炉水砕スラグの配合量500kg、石膏の配合量100kg、クエン酸の配合量10kgとした場合に対して浄化措置後3日目で地盤強度が0.1N/mmであったことに対して、28日目で地盤強度が徐々に向上し2.0N/mmまで向上していることが示され、高炉水砕スラグを多く配合することにより、地盤強度の向上がより効果的に実現されていることが明らかとなっている。
図3は、本実施の形態における土壌浄化材を用いて試験的に浄化措置を行った他の結果を示す表である。粒径が0.1mm以下でブレーン値が3500〜5500ブレーンとした微粉末状の高炉水砕スラグを用いて試験を行い、図3に示すように、高炉水砕スラグおよび石膏を200〜500kgとして多量な配合量に対して、pH調整剤であるクエン酸の配合量も同時に多くした場合には、土壌浄化材のpHが7.6〜8.6程度の中性領域に調整され、高炉水砕スラグおよび石膏の配合量を多くして地盤強度の向上を図っても浄化材である鉄微粒子スラリーによる浄化作用が阻害されることなく保たれていることが示されている。逆に、高炉水砕スラグおよび石膏を200〜500kgとして多量な配合量に対して、クエン酸の配合量を0〜3kgとして少なくした場合には、土壌浄化材のpHの調整効果が弱まり9以上となってアルカリ領域となり、鉄微粒子スラリーによる浄化作用が阻害されることが示されている。
(実施例)
図4は、固化材としてセメント系固化材を用いた従来の土壌浄化材の施行後の結果を示す表である。この従来の土壌浄化材では、含水比150%の関東ロームの土壌中にセメント系固化材を100〜300kg/m、二水石膏を100〜500kg/m、VOC分解用鉄粉を240kg/m、クエン酸を12kg/m、トリクロロエチレンを1kg/m、市販のミネラル水750kg/mの比率で添加してよく混合し、この土壌をガラス容器に移し入れ、密閉を行い所定時間冷暗所で静置養生を行った。そして、所定時間経過後に環境庁告示46号法による溶出試験を行って得られた検液JIS K 0125 5.4.1によりトリクロロエチレン濃度とpHを測定した結果を示している。
図4では、セメント系固化材で土壌浄化を行った後、1日後にpHが12以上まで上昇し、このpHがアルカリ領域となっていることにより、鉄粉による浄化作用はほとんど行われずトリクロロエチレンは9週間後まで分解されずに残っていることが示されている。これは、VOC分解用の鉄粉の局所電池反応による自由電子の供給がpH環境によって大きく変動するためであり、鉄粉のpHが弱酸性から弱アルカリ領域の場合には、VOC分解に用いられる十分な量の自由電子の供給があるのに対して、pHが高くなりアルカリ領域となると局所電池反応が進行せず自由電子の供給がなくなるためである。
以上のように、セメント系固化材を混合した従来の土壌浄化材では、高アルカリ領域となるため、鉄粉混合直後からpHが上昇して鉄粉の局所電池反応を阻害するためにVOCの分解が行われなくなっている。
図5は、本実施の形態における土壌浄化材の施行後の結果を示す表である。この土壌浄化材では、粒径が0.1mm以下でブレーン値が3500〜5500ブレーンとした微粉末状の高炉水砕スラグを用いており、含水比150%の関東ロームの土壌中に、高炉水砕スラグを200〜600kg/m、二水石膏を100〜400kg/m、VOC分解用鉄粉を240kg/m、クエン酸を12kg/m、トリクロロエチレンを1kg/m、市販のミネラル水750kg/mの比率で添加してよく混合し、この土壌をガラス容器に移し入れ、密閉を行い所定時間冷暗所で静置養生を行った。そして、所定時間経過後に環境庁告示46号法による溶出試験を行って得られた検液JIS K 0125 5.4.1によりトリクロロエチレン濃度とpHを測定した結果を示している。
図6は、本実施の形態における土壌浄化材の施行後の養生期間の経過に伴うトリクロロエチレン濃度とpHの数値の変化を示すグラフである。セメント系固化材を用いた従来の土壌浄化材では土壌浄化材または土壌中のpHが即座に12以上まで上昇したことに対して、本実施の形態における土壌浄化材では、図6(a)に示すように、高炉水砕スラグを固化材として用いたことにより、固化反応速度が遅くアルカリ刺激を受けての反応が徐々に行われて固化されるため、pHは徐々に上昇していき60日経過した後にpHが10でほぼ収束されていることが示されている。
また、pHが10で収束されるまでの間、pHが弱アルカリ領域となっており、VOC分解用の鉄粉の局所電池反応による自由電子の供給がされて浄化作用が十分に行われ、トリクロロエチレンが分解されており、図6(b)に示すように、養生期間中の30日後にはほぼ環境基準を満たし、60日後には未検出となっていることが示されている。
図7は、図5に示すように、本実施の形態における土壌浄化材の施行後養生期間中の土壌の地盤強度を測定した結果を示す表である。図5に示す本実施の形態における土壌浄化材のいずれの場合においても、地盤強度が0.1N/mmに低下していた状態から、高炉水砕スラグでのアルカリ刺激を受けての固化反応が行われて固化されていくことによって、徐々に回復していき90日後には0.5〜1.1N/mmまで地盤強度が回復したことが示されている。
(他の実施の形態)
なお、本発明を実施するための土壌浄化材の調製及び圧送装置1、造成孔4の削孔装置3、土壌浄化材の高圧噴射装置、並びにこれらの駆動装置2等の具体的構成は、図示及び説明したものに限られない。
本実施の形態における土壌浄化材を用いた浄化措置を示す説明図である。 本実施の形態における土壌浄化材を用いた浄化措置を行った結果を示す説明図である。 本実施の形態における土壌浄化材を用いた浄化措置を行った他の結果を示す説明図である。 従来の土壌浄化材の施行後の結果を示す説明図である。 本実施の形態における土壌浄化材の施行後の結果を示す説明図である。 本実施の形態における土壌浄化材の施行後の養生期間の経過に伴う結果を示す説明図である。 本実施の形態における土壌浄化材の施行後の地盤強度についての結果を示す説明図である。
符号の説明
1 高圧ポンプ装置
2 ロッド駆動装置
3 高圧噴射注入ロッド
3a 掘削ビット
4 造成孔
5 地表

Claims (3)

  1. 有機化合物に汚染された土壌を浄化する土壌浄化材において、
    鉄微粒子を含む鉄微粒子スラリーと、
    前記土壌を固化して地盤強度の低下を防止するためのアルカリ性固化材である高炉水砕スラグと、
    前記アルカリ性固化材をアルカリ刺激するアルカリ刺激材と、
    前記土壌浄化材の配合時のpHを中性領域に調整する酸性材であるpH調整剤と、を含むことを特徴とする土壌浄化材。
  2. 請求項1に記載の土壌浄化材において、
    前記アルカリ刺激材は、石膏であり、
    前記pH調整剤は、クエン酸であることを特徴とする土壌浄化材。
  3. 請求項2に記載の土壌浄化材において、
    前記アルカリ性固化材は、200〜600kg/m3の高炉水砕スラグからなり、
    前記アルカリ刺激材は、100〜400kg/m3の石膏からなり、
    前記pH調整剤は、前記アルカリ刺激材の重量比2〜10%のクエン酸であることを特徴とする土壌浄化材。
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