JP4620419B2 - 有機塩素系化合物汚染用浄化材および浄化方法 - Google Patents

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本発明は、有機塩素系化合物(以下、VOCと称する)で汚染された土壌や地下水を浄化する浄化材および浄化方法に関する。
VOCで汚染された土壌、地下水の浄化法として、鉄粉などの金属系還元剤を汚染土と混合したり、汚染土に注入したりすることにより、汚染物質を分解して浄化する方法がある(例えば、特許文献1,2,3,4、非特許文献1参照)。この方法を大別すると、汚染土をバックホウやオールケーシングなどにより掘削して地上で処理する方法と、原位置で処理する方法(注入または混合)とに分けられる。
しかし、わが国の地盤は、攪乱すると著しく強度を低下することが多いため、VOCで汚染された土壌、地下水に鉄粉などの金属系還元剤を混合したり、注入したりする従来工法で汚染物質を分解して浄化した場合、浄化処理後の地盤強度は著しく低下する。
表1は、不攪乱土(乱さない土)の一軸圧縮強度と、その土をミキサーで完全に攪乱した直後、および攪乱後静置1ヶ月後の一軸圧縮強度とを示している。これより、土は攪乱によって著しく強度が低下すること、およびその後の強度回復によっても以前の乱さない土の強度には遠く及ばないことが判る。このため、汚染土を掘削し地上で処理する場合は、泥濘化した大量の浄化処理土はその処理に困ることになり、混合処理機を用いて原位置処理する場合は、浄化の施工を行なった全ての領域が著しく強度の低下した地盤になってしまい、浄化作業の危険性(例えば、処理機やその他重機の転倒)はもちろん、汚染が敷地境界に広がっていて、その境界のそばに建物や土構造物が存在する場合は、その建物や土構造物が傾いたり、すべり破壊を生じたりすることになる。
Figure 0004620419
そこで、鉄粉などの金属系還元剤の地盤中への混合・注入に伴う強度低下を生じさせない工法として、VOC汚染土用浄化材およびこれを用いた汚染土浄化施工方法(特許文献1)および酸化鉄と石膏系固化材とを用いたVOC処理技術(非特許文献1)が提案されている。特許文献1、非特許文献1に開示される技術は、金属系還元剤にスラリー状にするとpHが11以下であるセメント系の固化材(低アルカリ性)や石膏系の固化材を加えた浄化材(粉体またはスラリー)、およびこれを用いた汚染物質の浄化と汚染地盤の強度回復を両立することを特徴とする工法に関する技術である。
なお、VOCで汚染された土壌や地下水を浄化する方法としては、例えば、過酸化水素を用いたVOCの土壌浄化方法(例えば、特許文献2参照)、鉄粉/鉄粉スラリーと低アルカリ性固化材を用いたVOCの土壌浄化施工方法(例えば、特許文献3参照)、原位置で汚染土壌にフェントン試薬(過酸化水素+鉄塩、鉄粉)を混合し、浄化する工法(例えば、特許文献4参照)などが知られている。
特開2004−154744号公報 特許第3192078号公報 特開2000−210683号公報 特開2003−251327号公報 『酸化鉄と中性系固化材を用いたVOC汚染土壌の原位置処理方法』(地下水・土壌汚染とその防止対策に関する研究集会 第10回講演集、第505頁〜第508頁、2004年7月14日〜16日大阪国際交流センター)
しかし、特許文献1に開示される技術は、金属系還元剤にスラリー状にするとpHが11以下のセメント系の固化材(低アルカリ性)を加え、原位置混合により浄化並びに強度回復を図る、または掘削・混合して当該敷地内へ埋戻しあるいは場外搬出して浄化並びに強度回復を図る工法であるが、スラリー状にするとpHが11以上の固化材を用いると、汚染土濃度を環境基準値以下まで低減させるのは困難であるため、地盤強度確保のための安定材はスラリー状にするとpHが11以下の低アルカリ性固化材に限定している。
一方、非特許文献1に開示される技術は、深層混合地盤改良機により石膏系固化材と金属系還元剤とを原位置混合・攪拌することで、浄化並びに強度回復を図る工法であるが、金属系還元剤は酸化鉄、固化材は石膏系固化材に限定している。
以上のように、既往の特許および技術は、金属系還元剤にスラリー状にするとpHが11以下のセメント系の固化材(低アルカリ性)または石膏系の固化材を加えた浄化材により、汚染物質の浄化と汚染地盤の強度回復とを両立する工法であるが、何れも地盤強度回復のために適用可能な安定材が限定されている。
一般に、金属系還元剤によるVOCの浄化原理は、以下の反応式によるものと考えられている(出展:地下水学会誌第42巻第1号pp27〜pp45,2000)。
CHCl2・CHCl2+4Fe+4H2O→CH3・CH3+4Fe2++4Cl-+4OH-
2HCl3+3Fe+3H2O→C24+3Fe2++3Cl-+3OH-
しかし、金属系還元剤の反応の結果生じる第一鉄イオン(Fe2+)は、水酸化鉄となる。高アルカリ性条件では、水酸化鉄の溶解度が極めて小さいため、鉄粒子の表面に不溶性被膜が形成されることにより、浄化対象物との接触が阻害され、その結果浄化効果は著しく低減する。したがって、金属系還元剤の注入・混合に伴う地盤強度低下防止のためには、高アルカリ性の固化材は使用できず、低アルカリ性の固化材や中性の固化材を用いざるを得ないとされている。
図1および図2は、沖積粘土をセメント系の固化材(高アルカリ性、低アルカリ性)および石膏系(中性)の固化材で固化処理した場合の固化材添加量と一軸圧縮強さ、および含水比と一軸圧縮強さを示している。なお、高アルカリ性セメント系の固化材としてB種高炉セメント、低アルカリ性セメント系の固化材として酸化マグネシウムを主体としたマグネシア系セメント、石膏系の固化材として無水石膏を主体とした固化材を用いている。
これより、低アルカリ性セメント系の固化材や石膏系の固化材では、強度回復のためには、高アルカリ性セメント系の固化材に比べ添加量が著しく多くなること、および対象土の含水比が高くなると、添加量が著しく多くなることが判る。また、低アルカリ性セメント系の固化材や石膏系の固化材の単価は、高アルカリ性セメント系の固化材の数倍以上であるため、これらを用いて浄化対象地盤を一定の強度に確保するためには、コストの高い材料を大量に使用することとなる。
なお、特許文献2では、フェントン試薬の注入または、噴射撹拌による原位置酸化処理であり、高濃度汚染を短期間で環境基準値以下まで低減させることは困難であり、また、噴射撹拌を実施した場所は泥濘化し、地盤強度が極端に低下する問題点がある。
また、特許文献3では、直接土壌に過酸化水素および過マンガン酸塩を散布するなどして添加するため、過酸化水素および過マンガン酸塩が均一にならないといった問題や、所定の深さの土壌において充分に浄化を行うことができないといった問題があった。
また、特許文献4では、原位置でフェントン試薬をスラリー混合し浄化するものであるが、特許文献2と同様に高濃度汚染を短期間で環境基準値以下まで低減させることは困難である。また、特許文献4の明細書には、「鉄粉を混合撹拌し、その後過酸化水素を添加混合」との記載があるが、この際の鉄粉はフェントン試薬の反応剤として使用されるものであり、VOCの還元分解は狙いとはされていない。また、鉄粉⇒過酸化水素の順番では、鉄粉の還元能力が過酸化水素により消費され、長期的なかつ確実なVOCの分解は生じ得ない。
本発明は斯かる従来の問題点を解決するために為されたもので、その目的は、金属系還元剤に添加する固化材の種類を問わず、VOC汚染地盤の浄化と地盤強度の回復を両立することができる浄化材および浄化方法を提供することにある。
請求項1に係る発明は、平均粒径が0.05〜0.50μmであってα−Fe含有量が30重量%〜90重量%である鉄微粒子粉末に、(1)スラリー状にするとpHが11を超える高アルカリ性を呈するセメント、または(2)消石灰、生石灰またはドロマイトの何れかからなる固化材を加えて成ることを特徴とする。
請求項2に係る発明は、有機塩素系化合物汚染地盤を掘削し、その掘削土に請求項1記載の有機塩素系化合物汚染用浄化材を加えて混合し、これを再び敷地内に埋め戻すまたは場外に搬出することを特徴とする。
請求項3に係る発明は、有機塩素系化合物汚染地盤を掘削せず、請求項1記載の有機塩素系化合物汚染用浄化材を、粉体としてまたは水を添加したスラリーとして有機塩素系化合物汚染地盤中に吐出し混合することを特徴とする。
本発明によれば、高アルカリ条件でも汚染土壌を環境基準値以下まで分解できる。金属還元剤として鉄微粒子粉末を用いることで、セメント系の固化材(高アルカリ性)と併用しても環境基準値の100倍程度の汚染土壌を環境基準値以下まで分解することができる。
本発明によれば、土壌への直接混合に伴う地盤強度低下を回復できる。混合処理機を用いて原位置処理する場合、浄化の施工を行なった全ての領域が著しく強度の低下した地盤になってしまい、施工重機の転倒や隣接する建物や土構造物が傾いたりすべり破壊を生じたりするおそれがあるが、固化材を併用することで施工直後から地盤強度を回復させ、将来の土地利用においても影響のない状態を実現できる。
本発明によれば、混合部位周辺の浄化を行うことができる。鉄微粒子粉末は長期にわたり分解効果を維持するため、混合部位のみならずその周囲に残留している汚染物質の分解が促進される。
以下、本発明を実施形態により説明する。
(1)鉄微粒子粉末を使用したVOC汚染用浄化材
本実施形態では、高アルカリ環境下での金属系還元剤の反応阻害を少なくするために、金属系還元剤の活性を高めるために、平均粒径が0.05〜0.50μmであってα−Fe含有量が30重量%〜90重量%である鉄微粒子粉末に、固化材(セメント系または石灰系またはこれらを組み合わせたもの)を加えた。平均粒径が0.05〜0.50μmであってα−Fe含有量が30重量%〜90重量%である鉄微粒子粉末は、還元反応主体である純鉄(α−Fe)の含有量が多く、粒径の小さいため、混合初期には還元反応に必要な活性点の数が多く、水酸化鉄の被膜形成による反応阻害の影響を無視することができ、VOCの浄化が可能となる。
この鉄微粒子粉末に固化材を加えたVOC汚染用浄化材は、α−Fe含有量が30重量%〜90重量%で平均粒径が0.05〜0.50μmである鉄微粒子粉末に、pHが11以上のセメント系または石灰系またはこれらを組み合わせた固化材(高アルカリ性)を加えることによって構成される。
ここで、平均粒径が0.05〜0.50μmであってα−Fe含有量が30重量%〜90重量%である鉄微粒子粉末について説明する。
通常の鉄粉の粒径は、平均50〜100μm(10〜150μm)、微粒鉄粉の粒径は、平均0.6μm、α−Fe含有量25重量%であり、これらを用いた場合は高アルカリ性の普通セメントと併用すると、反応の阻害が確認された。
しかし、本実施形態で使用した超微粒子鉄粉は、粒径が平均0.07μm(0.05〜0.5μm)でα−Fe含有量30%〜90重量%であるから、これを用いると、高アルカリ環境下でも反応阻害は確認されなかった。
鉄の還元分解反応は、反応速度(α−Fe含有量)と比表面積(粒径)に依存するため、高アルカリ環境下での反応阻害を防止するには、大きな反応速度が必要である。超微粒子鉄粉は、この条件に合致する。
次に、平均粒径が0.05〜0.50μmであってα−Fe含有量が30重量%〜90重量%である鉄微粒子粉末とした根拠を説明する。
従来の微粒鉄粉の平均粒径0.6μmより微粒子にすることによって比表面積を大きくし、鉄の還元分解反応において、大きな反応速度を得るために、鉄粉の平均粒径を0.05〜0.50μmとした。
また、純鉄の割合が30重量%〜90重量%としたのは、純度が高ければ反応点が多くなるため望ましい。従って、上限値は100重量%であるが、下記の理由から、90重量%とした。100重量%にすると、製法上コストがかかる。また、極端に活性が上がりすぎて保管時に反応が進行し活性が低下するため、表面を酸化鉄として安定化させることが望ましい。
また、スラリーとしての鉄の含有量は、5〜20重量%である。標準的には、純鉄12.5重量%+酸化鉄12.5重量%+水75重量%のような配合とされる。
次に、固化材について説明する。なお、図3に固化材の分類を示す。
固化材はセメント系、石灰系、石膏系に大別され、そのうちセメント系の固化材は、高アルカリ性セメントと低アルカリ性セメントとに分けられる。高アルカリ性セメントには、ポルトランドセメント(普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメントなど)、混合セメント(高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメントなど)、特殊セメント(アルミナセメント、セメント系固化材、耐海水セメント、高炉スラグ−石膏系セメント、高炉スラグ−石灰系セメント、高硫酸塩スラグセメント、エコセメントなど)、およびこれらを組み合わせたものがある。
一方、低アルカリ性セメントには、マグネシアセメントや酸化マグネシウムを主体とするマグネシア系セメントなどがある。また、石灰系の固化材には、消石灰、生石灰、ドロマイトなどが挙げられ、石膏系の固化材としては、無水石膏、半水石膏、二水石膏などがある。さらに、その他の固化材として、セメント系、石灰系、石膏系を組み合わせたものがある。
本発明においては、スラリー状にするとpH11を超えるセメントを高アルカリ性セメントと称する。これは、一般のセメント(ポルトランドセメント、高炉セメント)や石灰などは酸化カルシウム(CaO)が主体であるため、スラリー状にするとpH=12〜13を呈することに起因する。
また、スラリー状にするとpH11以下のセメントを低アルカリ性セメントと称する。これは、低アルカリセメントと呼ばれるマグネシア系セメントは、酸化マグネシウム(MgO)が主体であるため、スラリー状にするとpH=10〜11となることに起因する。
(2)VOC汚染用浄化材を用いた浄化方法
上記のVOC汚染用浄化材を用いた浄化方法として、以下の2つがある。
1.汚染地盤を掘削し、その掘削土に上記のVOC汚染用浄化材を加えて混合し、これを再び敷地内に埋め戻すまたは場外に搬出する施工方法。
2.汚染地盤を掘削せず、上記のVOC汚染土用浄化材を粉体として、または水を添加したスラリーとして汚染地盤に吐出して原位置で混合する施工方法。なお、原位置混合処理工法として、以下の公知の工法が挙げられる。
・機械攪拌式深層混合処理工法(例えばCDM工法、TRD工法など)
スラリー状または粉体の改良材を現地盤中に吐出または圧送し、回転軸先端の掘削攪拌翼(単軸・多軸)やチェーン式切削攪拌機、カッター式(水平多軸・垂直多軸)切削攪拌機などにより強制的に攪拌混合して改良体を形成する工法。なお、改良材の吐出は貫入時に行なうものや引抜き時に行なうもの、貫入・引抜き時の両工程で行なう場合がある。
・高圧噴射式深層混合処理工法(例えばJSG工法など)
スラリー状の改良材を高圧墳流体(ジェット噴流)として水平または交差させて噴射し、高圧噴流体の持つエネルギーを利用して現地盤を切削しながら土と改良材を攪拌混合して改良体を形成したり、切削形成された人為的空間に改良材を注入、あるいは地盤内の土と改良材を機械撹拌を併用して攪拌混合して改良体を形成する工法。なお、噴射形態や使用圧力などにより、水−空気−材料噴射系、空気−材料噴射系、材料噴射系などに分けられる。
・表層処理工法
粉体またはスラリー状の改良材を現地盤に散布、または地盤内に吐出し、バックホウやスタビライザー(表層改良機)などにより土と混合して改良体を形成する工法。
本実施形態においては、何れの浄化方法においても、高アルカリ条件でも汚染土壌を環境基準値以下まで分解できる。金属還元剤として鉄微粒子粉末を用いることで、セメント系の固化材(高アルカリ性)と併用しても、環境基準値の100倍程度の汚染土壌を環境基準値以下まで分解することができる。また、土壌への直接混合に伴う地盤強度低下を回復できる。混合処理機を用いて原位置処理する場合、浄化の施工を行なった全ての領域が著しく強度の低下した地盤になってしまい、施工重機の転倒や隣接する建物や土構造物が傾いたりすべり破壊を生じたりするおそれがあるが、固化材を併用することで、施工直後から地盤強度を回復させ、将来の土地利用においても影響のない状態を実現できる。また、混合部位周辺の浄化を行うことができる。鉄微粒子粉末は長期にわたり分解効果を維持するため、混合部位のみならずその周囲に残留している汚染物質の分解が促進される。
なお、土壌環境基準値は、有機塩素系化合物の土壌溶出量として下記のように規定されている。
トリクロロエチレン(PCE)0.03mg/L
テトラクロロエチレン(TCE)0.01mg/L
cis−1,2−ジクロロエチレン(cis−1,2−DCE)0.04mg/L
(模擬汚染水による室内実験)
固化材の併用による還元分解阻害影響の確認
1.実験方法
イオン交換水:83.5mL
固 化 材:低アルカリ性セメント(マグネシア系セメント)
高アルカリ性セメント(B種高炉セメント)
各5g(水100mLに対して5%)
金属還元剤:スラリー状鉄微粒子粉末(平均粒径が0.05〜0.50μmであっ てα−Fe含有量が30重量%である鉄微粒子粉末スラリー、以下、 高活性鉄粉スラリーと称する。)
従来型鉄粉スラリー(平均0.6μm、α−Fe含有量25重量%で ある鉄粉末スラリー)
各20g(水100mLに対して鉄粒子が5%)
汚染物質:トリクロロエチレン(TCE)10mg/L(環境基準値の100 倍)
混合方法:固化材→水→鉄粉スラリー→TCEの順に100mLネジ口ガラス瓶 に入れ、密閉した後、振とう攪拌する。
濃度測定:所定期間後、1mLを採取し、残留TCEを測定する。
2.実験結果
経過日数とTCE溶出濃度との関係を、高活性鉄粉スラリーを用いた場合と従来型の鉄粉スラリーを用いた場合とに分けて図4,図5に示す。
金属還元剤に高活性鉄粉スラリーを使用した場合、図4に示すように、固化材添加の有無に拘わらず、全てのケースにおいて3日後には環境基準値以下までの濃度低減が見られ、B種高炉セメントの添加による還元分解への阻害は確認されなかった。
一方、金属還元剤に従来の鉄粉スラリーを使用した場合、図5に示すように、マグネシア系セメントを添加したケースは、6日後には環境基準値以下まで濃度の低減が見られたが、B種高炉セメントを添加したケースは、濃度の低減が全く見られなかった。
以上のことから、金属還元剤に鉄微粒子粉末を採用すれば、高アルカリ性セメントが適用できる可能性を確認した。
(模擬汚染土による室内実験)
(1)固化材の併用による還元分解阻害影響の確認
1.実験方法
試 料 土:沖積粘性土(ρs=2.519g/cm3、w=87.0%、
wL=63.5%、wp=28.9%、Ip=34.6)
火山灰質粘性土(ρs=2.509g/cm3、w=110.0%、
wL=142.2%、wp=61.4%、Ip=80.8)
固 化 材:普通ポルトランドセメント(Nセメント)
B種高炉セメント(BBセメント)
火山灰質粘性土用セメント系固化材(Cセメント)
各30kg/m3
金属還元剤:スラリー状鉄微粒子粉末(高活性鉄粉スラリー)10kg/m3
汚染物質:トリクロロエチレン(TCE)10g/kg
テトラクロロエチレン(PCE)2g/kg
混合方法:1)高濃度汚染土を作成(TCE10g/kg、PCE2g/kg)
し、汚染土+清浄土をミキサーで2分混合した後、事前に配合したス
ラリー(高活性鉄粉スラリー+固化材+水)を2分混合する。
2)混合直後の土壌を採取してPCE、TCE溶出試験を実施し、これ を初期値とする。
3)残りの混合土を500mLガラス瓶に充填し、密封する。
濃度測定:所定期間後、土壌を採取してPCE、TCE溶出試験を実施する。
2.実験結果
1)沖積粘性土
経過日数とPCE溶出濃度および経過日数とTCE溶出濃度の関係を図6、図7に示す。
金属還元剤に高活性鉄粉スラリーを使用した場合、NセメントやBBセメントなどの高アルカリ性セメントの添加の有無に拘わらず、7日後にはTCEが環境基準値以下まで、21日後にはPCEが環境基準値以下までの濃度低減が見られた。最終的にはTCEで初期濃度の1/1000程度、PCEで初期濃度の1/100程度の濃度低減が認められ、高アルカリ性セメントの添加による還元分解への阻害は確認されなかった。
2)火山灰質粘性土
経過日数とPCE溶出濃度および経過日数とTCE溶出濃度の関係を図8、図9に示す。
金属還元剤に高活性鉄粉スラリーを使用した場合、Cセメントなどの高アルカリ性セメントの添加の有無に拘わらず、TCEは3日後には環境基準値以下まで、PCEは14日後には環境基準値以下(初期濃度の1/100〜1/500程度)までの濃度低減が見られた。最終的にはTCEで初期濃度の1/400程度、PCEで初期濃度の1/1000程度の濃度低減が認められ、高アルカリ性セメントの添加による還元分解への阻害は確認されなかった。
(2)固化材による強度回復の確認
1.実験方法
試 料 土:粘性土(ρs=2.768g/cm3、w=96.0%、
wL=72.6%、wp=32.4%、Ip=40.2)
砂質土(ρs=2.724g/cm3、w=11.0%、
細粒分含有率9.7%)
ローム(ρs=2.509g/cm3、w=110.0%、
wL=142.2%、wp=61.4%、Ip=80.8)
固 化 材:B種高炉セメント
マグネシア系セメント
水セメント比:80%
混合方法:1)試料土に、事前に配合した固化材スラリー(固化材+水)を加えて 5分混合する。
2)混合後の土壌をφ3.5cm×h7.0cmのプラスチックモール ドに3層に分けて詰め、20℃の恒温・恒湿室にて所定の期間封緘養生 する。
強度測定:所定期間後、土壌を採取して一軸圧縮試験を実施する。
2.実験結果
固化材の添加量と材齢28日における一軸圧縮強度との関係を図10、図11に示す。なお、目標強度としては人が歩ける程度(20kN/m2)〜中位の強度を有する土の強度(100kN/m2)を目安に、概ね50kN/m2に設定した。
固化材にB種高炉セメントを用いた場合、図10に示すように、粘性土については60kg/m3、砂質土については30kg/m3で目標強度50kN/m2が得られることが判る。
一方、固化材にマグネシア系セメントを用いた場合、図11に示すように、粘性土については60kg/m3、砂質土については50kg/m3、関東ロームについては10kg/m3で目標強度50kN/m2が得られることが判る。
以上のことから、固化材を併用することで28日後には50kN/m2程度の地盤強度まで回復できることを確認した。
沖積粘土をセメント系の固化材(高アルカリ性、低アルカリ性)および石膏系(中性)の固化材で固化処理した場合の固化材添加量と一軸圧縮強さを示すグラフである。 沖積粘土をセメント系の固化材(高アルカリ性、低アルカリ性)および石膏系(中性)の固化材で固化処理した場合の含水比と一軸圧縮強さを示すグラフである。 固化材の分類を示す図である。 高活性鉄粉スラリーを用いた場合の経過日数とTCE溶出濃度との関係を示すグラフである。 従来型の鉄粉スラリーを用いた場合の経過日数とTCE溶出濃度との関係を示すグラフである。 沖積粘性土について、経過日数とPCE溶出濃度との関係を示すグラフである。 沖積粘性土について、経過日数とTCE溶出濃度との関係を示すグラフである。 火山灰質粘性土について、経過日数とPCE溶出濃度との関係を示すグラフである。 火山灰質粘性土について、経過日数とTCE溶出濃度との関係を示すグラフである。 固化材にB種高炉セメントを用いた場合の固化材の添加量と材齢28日における一軸圧縮強度との関係を示すグラフである。 固化材にマグネシア系セメントを用いた場合の固化材の添加量と材齢28日における一軸圧縮強度との関係を示すグラフである。

Claims (3)

  1. 平均粒径が0.05〜0.50μmであってα−Fe含有量が30重量%〜90重量%である鉄微粒子粉末に、(1)スラリー状にするとpHが11を超える高アルカリ性を呈するセメント、または(2)消石灰、生石灰またはドロマイトの何れかからなる固化材を加えて成ることを特徴とする有機塩素系化合物汚染用浄化材。
  2. 有機塩素系化合物汚染地盤を掘削し、その掘削土に請求項1記載の有機塩素系化合物汚染用浄化材を加えて混合し、これを再び敷地内に埋め戻すまたは場外に搬出することを特徴とする有機塩素系化合物汚染地盤の浄化方法。
  3. 有機塩素系化合物汚染地盤を掘削せず、請求項1記載の有機塩素系化合物汚染用浄化材を、粉体としてまたは水を添加したスラリーとして有機塩素系化合物汚染地盤中に吐出し混合することを特徴とする有機塩素系化合物汚染地盤の原位置浄化方法。
JP2004280077A 2004-09-27 2004-09-27 有機塩素系化合物汚染用浄化材および浄化方法 Active JP4620419B2 (ja)

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