JP2004082102A - 有機ハロゲン化合物で汚染された土壌・地下水の浄化剤、その製造法及び有機ハロゲン化合物で汚染された土壌・地下水の浄化処理方法 - Google Patents

有機ハロゲン化合物で汚染された土壌・地下水の浄化剤、その製造法及び有機ハロゲン化合物で汚染された土壌・地下水の浄化処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、土壌又は地下水中に含まれる脂肪族有機ハロゲン化合物又は芳香族有機ハロゲン化合物を効率よく、持続的に、しかも経済的に分解できる浄化剤を提供するものである。
【解決手段】鉄複合粒子を有効成分として含有する水懸濁液であって、当該鉄複合粒子の一次粒子の粒子形状が米粒状であって平均長軸径が0.05〜0.50μmであって軸比が1.0を越え2.0以下であり、α−Fe含有量が30〜99重量%であり、当該鉄複合粒子の二次粒子の粒度分布が単一ピークであり、メジアン径(D50:鉄複合粒子の全体積を100%として粒子径に対する累積割合を求めたときの累積割合が50%となる粒子径)が0.5〜5.0μmであり、D90/D10比が1.0〜5.0である有機ハロゲン化合物で汚染された土壌・地下水の浄化剤からなる
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、土壌又は地下水中に含まれるジクロロメタン、四塩化炭素、1、2−ジクロロエタン、1、1−ジクロロエチレン、シス−1、2−ジクロロエチレン、1、1、1−トリクロロエタン、1、1、2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、1、3−ジクロロプロペン等の脂肪族有機ハロゲン化合物又はダイオキシン類、PCB等の芳香族有機ハロゲン化合物又は前記有機ハロゲン化合物とカドミウム、鉛、六価クロム、砒素、セレン、シアン等の重金属からなる汚染物質を効率よく、持続的に、しかも経済的に分解できる浄化剤を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の脂肪族有機ハロゲン化合物は、半導体工場での洗浄用や金属加工金属の脱脂用として幅広く用いられている。
【0003】
また、都市ごみや産業廃棄物を焼却するごみ焼却炉から発生する排ガスや飛灰、主灰中には、微量ではあるが人体に対して極めて強い毒性を持つ芳香族有機ハロゲン化合物であるダイオキシン類が含まれている。ダイオキシン類は、ジベンゾ−p−ジオキシン、ジベンゾフラン等の水素が塩素で置換された化合物の総称である。排ガスや飛灰はごみ焼却炉周辺に滞留し周辺地域の土壌中にダイオキシン類が残存することとなる。
【0004】
更に、PCB(ポリ塩化ビフェニル)は化学的、熱的に安定であり、電気絶縁性にも優れており、トランス、コンデンサーの絶縁油、可塑剤、熱媒体として多用されていたが、有害であることから製造及び使用が禁止されている。しかしながら、過去において使用されていたPCBの有効な処理方法は確立されておらず、大部分が処理されずにそのまま保存されている。
【0005】
脂肪族有機ハロゲン化合物及び芳香族有機ハロゲン化合物は難分解性である上に発癌性物質又は強い毒性を有する物質であるため、土壌・地下水の有機ハロゲン化合物による汚染が深刻な環境問題になっている。
【0006】
即ち、前記有機ハロゲン化合物が排出された場合、有機ハロゲン化合物は難分解性であるため、排出された土壌中に蓄積され有機ハロゲン化合物で汚染された状態となり、また、地下水も有機ハロゲン化合物によって汚染されることとなる。更に、地下水は汚染土壌以外の周辺地域についても広がるため、広範な領域で有機ハロゲン化合物による汚染が問題となる。
【0007】
有機ハロゲン化合物によって汚染された土壌では土地の再利用・再開発を行うことができないため、有機ハロゲン化合物によって汚染された土壌・地下水の浄化処理方法として様々な技術手段の提案がなされているが、有機ハロゲン化合物は難分解性であり、しかも、多量の土壌・地下水が処理対象となるため、効率的、且つ、経済的な浄化技術は未だ十分に確立されていない。
【0008】
有機ハロゲン化合物によって汚染された土壌の浄化方法として、各種触媒を用いて浄化処理する方法、有機ハロゲン化合物の揮発性を利用して吸引除去する方法、土壌を掘削して加熱処理によって無害化する熱分解法、微生物を利用する方法等が知られている。また、有機ハロゲン化合物によって汚染された地下水の浄化方法として、汚染地下水を土壌外に抽出して無害化する方法、地下水を揚水することによって有機ハロゲン化合物を除去する方法等が知られている。
【0009】
有機ハロゲン化合物で汚染された土壌・地下水の浄化方法として提案されている技術手段のうち、有機ハロゲン化合物で汚染された土壌・地下水と鉄系粒子を用いた浄化剤とを混合接触させて無害化する技術手段としては、特許文献1乃至13に開示されている各技術手段が提案されている。
【0010】
【特許文献1】特開平10−71386号公報
【特許文献2】特開平11−235577号公報
【特許文献3】特開平11−253908号公報
【特許文献4】特開2000−5740号公報
【特許文献5】特開2000−225385号公報
【特許文献6】特開2000−237768号公報
【特許文献7】特開2000−334063号公報
【特許文献8】特開2001−38341号公報
【特許文献9】特開2001−113261号公報
【特許文献10】特開2001−198567号公報
【特許文献11】特開2002−161263号公報
【特許文献12】特開2002−210452号公報
【特許文献13】特開2002−317202号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前出特許文献1には汚染土壌内にボーリング孔を穿孔した後、該ボーリング孔に圧縮空気及び鉄粉を吹き付けて、鉄粉を含有する鉄粉分散層を形成して地下水と接触させることによって土壌及び地下水中の有害物質を無害化する技術が開示されているが、用いる鉄粉の詳細な特性及び使用量等については記載されておらず、有機ハロゲン化合物を十分に低減できるとは言い難いものである。
【0012】
また、前出特許文献2には0.1重量%以上の炭素を含有する鉄粉を土壌に添加・混合して土壌中の有機ハロゲン化合物を無害化する技術が開示されているが、鉄粉の比表面積及び粒度は記載されているものの粒子サイズが大きいため、有機ハロゲン化合物を十分に低減できるとは言い難いものである。
【0013】
また、前出特許文献3にはPCBに粉末状の金属を混合して均一な混合状態の混練物を加熱して金属の塩化物を形成してPCBを無害化する技術が記載されているが、実施例では250℃以上の加熱が必要であり、経済的とは言い難い。
【0014】
また、前出特許文献4には銅を含有した鉄粉を用いて土壌中の有機ハロゲン化合物を無害化する技術が開示されているが、有機ハロゲン化合物の分解に長時間を必要とするため効率よく有機ハロゲン化合物を無害化できるとは言い難いものである。
【0015】
また、前出特許文献5には水素供与性化合物の存在下で還元性金属との化学反応によってハロゲン化炭化水素を還元的脱ハロゲン化する技術が記載されているが、脱ハロゲン化反応を促進させるアミンが必須であり、還元性金属による分解反応が十分とは言い難いものである。
【0016】
また、前出特許文献6には有機ハロゲン化合物と鉄系金属とを接触させる技術が開示されているが、繊維状の鉄系金属であって繊維径が大きく、芳香族有機ハロゲン化合物を十分に低減できるとは言い難いものである。
【0017】
また、前出特許文献7にはダイオキシン類と製鉄所における熱間圧延鋼板の製造工程から生じるミルスケールを含む塩酸酸性水溶液とを100℃より低温で接触させてダイオキシン類を無害化する技術が開示されているが、無害化を促進させる塩酸酸性水溶液が必須であり、ミルスケール自体の分解反応が十分とは言い難いものである。
【0018】
また、前出特許文献8には平均粒子径1〜500μmの鉄粒子を含む水懸濁液からなる土壌浄化剤が開示されているが、粒子サイズが大きく、有機ハロゲン化合物を十分に分解することが困難となる。
【0019】
また、前出特許文献9にはダイオキシン汚染土壌と鉄化合物を含む塩酸酸性水溶液中とを接触させてダイオキシンを無害化する方法が開示されているが、無害化を促進させる塩酸酸性水溶液が必須であり、鉄化合物自体の分解反応が十分とは言い難いものである。
【0020】
また、前出特許文献10には平均粒子径が10μm未満の球状鉄粒子を含有する水懸濁液を用いる技術が開示されているが、該球状鉄粒子を含有する水懸濁液は製鋼用の酸素吹転炉から精錬中に発生する排ガスを集塵し、ガスを除去して得られる水懸濁液であり、鉄粒子の粒度分布が広く汚染土壌への浸透速度が不均一となり浄化性能に遅れが生じ浄化に長時間かかるため、有機ハロゲン化合物を十分に低減できるとは言い難いものである。
【0021】
また、前出特許文献11には、ニッケル、銅、コバルト及びモリブデンから選ばれる金属が表面に付着し、付着金属以外の表面が鉄酸化被膜で覆われている有機ハロゲン化合物分解用鉄粉が記載されているが、ミルスケールで得られた鉄粉や溶鋼を水アトマイズした鉄粉を用いており、鉄粉の比表面積が低く、粒子サイズが大きいものと推定され、有機ハロゲン化合物を十分に低減できるとは言い難いものである。
【0022】
また、前出特許文献12には、Sを含有する鉄粉を有機ハロゲン化合物で汚染された土壌・地下水の浄化処理に用いることが記載されているが、粒子サイズが大きく、有機ハロゲン化合物を十分に低減できるとは言い難い。
【0023】
また、前出特許文献13には、マグネタイトを含有する鉄複合粒子粉末を有機ハロゲン化合物で汚染された土壌・地下水の浄化処理に用いることが記載されているが、Sを含有しておらず、有機ハロゲン化合物を十分に低減できるとは言い難い。
【0024】
そこで、本発明は、土壌・地下水中に含まれる有機ハロゲン化合物又は有機ハロゲン化合物とカドミウム、鉛、六価クロム、砒素、セレン、シアン等の重金属からなる有害物質を効率よく持続的に、且つ経済的に処理できる浄化剤を用いた浄化方法を提供することを技術的課題とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】
前記技術的課題は以下の通りの本発明により達成できる。
【0026】
即ち、本発明は、鉄複合粒子を有効成分として含有する水懸濁液であって、当該鉄複合粒子の一次粒子の粒子形状が米粒状であって平均長軸径が0.05〜0.50μmであって軸比が1.0を越え2.0以下であり、α−Fe含有量が30〜99重量%であり、当該鉄複合粒子の二次粒子の粒度分布が単一ピークであり、メジアン径(D50:鉄複合粒子の全体積を100%として粒子径に対する累積割合を求めたときの累積割合が50%となる粒子径)が0.5〜5.0μmであり、D90/D10比が1.0〜5.0であることを特徴とする有機ハロゲン化合物で汚染された土壌・地下水の浄化剤である(本発明1)。
【0027】
また、本発明は、α−FeとFeとからなる鉄複合粒子を有効成分として含有する水懸濁液であって、当該鉄複合粒子の一次粒子の粒子形状が米粒状であって平均長軸径が0.05〜0.50μmであって軸比が1.0を越え2.0以下であり、該鉄複合粒子粉末のX線回折スペクトルにおいてα−Feの(110)面の回折強度D110とマグネタイトの(311)面の回折強度D311との強度比(D110/(D110+D311))が0.20〜0.98であり、当該鉄複合粒子の二次粒子の粒度分布が単一ピークであり、メジアン径(D50:鉄複合粒子の全体積を100%として粒子径に対する累積割合を求めたときの累積割合が50%となる粒子径)が0.5〜5.0μmであり、D90/D10比が1.0〜5.0であることを特徴とする有機ハロゲン化合物で汚染された土壌・地下水の浄化剤である(本発明2)。
【0028】
また、本発明は、比重が1.2〜1.4であり、濃度が20〜40重量%であることを特徴とする本発明1又は本発明2の有機ハロゲン化合物で汚染された土壌・地下水の浄化剤である(本発明3)。
【0029】
また、本発明は、前記有機ハロゲン化合物で汚染された土壌・地下水の浄化剤に含有される前記鉄複合粒子の飽和磁化値が90〜190Am/kgであり、BET比表面積が5〜60m/gであり、α−Feの(110)面の結晶子サイズが200〜500Åであることを特徴とする本発明1乃至本発明3のいずれかの有機ハロゲン化合物で汚染された土壌・地下水の浄化剤である(本発明4)。
【0030】
また、本発明は、平均長軸径が0.05〜0.50μmのゲータイト粒子粉末又は該ゲータイト粒子粉末を250〜350℃の温度範囲で加熱脱水したヘマタイト粒子粉末を350〜600℃の温度範囲で加熱還元して鉄粒子粉末とし、冷却後、該鉄粒子粉末を気相中で表面酸化被膜を形成することなく水中に取り出し、水中で当該鉄粒子粉末の粒子表面に表面酸化被膜を形成して鉄複合粒子を含有する水懸濁液を得、次いで、分散機又は攪拌機で湿式粉砕することを特徴とする本発明1乃至本発明4のいずれかの有機ハロゲン化合物で汚染された土壌・地下水の浄化剤の製造法である(本発明5)。
【0031】
また、本発明は、本発明1乃至本発明4のいずれかの有機ハロゲン化合物で汚染された土壌・地下水の浄化剤と有機ハロゲン化合物で汚染された土壌又は有機ハロゲン化合物で汚染された地下水とを混合接触させることを特徴とする有機ハロゲン化合物で汚染された土壌・地下水の浄化処理方法である(本発明6)。
【0032】
また、本発明は、本発明1乃至本発明4のいずれかの有機ハロゲン化合物で汚染された土壌・地下水の浄化剤と有機ハロゲン化合物及び重金属からなる汚染物質で汚染された土壌又は有機ハロゲン化合物及び重金属からなる汚染物質で汚染された地下水とを混合接触させることを特徴とする有機ハロゲン化合物で汚染された土壌・地下水の浄化処理方法(本発明7)。
【0033】
本発明の構成を詳しく説明すれば、次の通りである。
【0034】
まず、本発明1乃至4に係る有機ハロゲン化合物で汚染された土壌・地下水の浄化剤(以下、「浄化剤」という)について述べる。
【0035】
本発明における鉄複合粒子の一次粒子の粒子形状は米粒状である。本発明では紡錘状又は針状のゲータイト粒子粉末又はヘマタイト粒子をそのまま加熱還元処理するので、α−Fe相へ結晶変態する際、粒子形状が崩れ、等方的に成長する過程を経るので米粒状となる。一方、球状では粒子サイズが同じであれば、BET比表面積が小さくなり触媒活性が低くなるため、球状粒子が存在しないことが好ましい。
【0036】
本発明に係る浄化処理用鉄複合粒子粉末の平均長軸径は0.05〜0.50μmが好ましい。平均長軸径が0.05μm未満の場合にはα−Fe相が不安定であるため表面に厚い酸化被膜が形成され、α−Fe含有量を高くすることが困難となり、本発明の目的とする効果を得ることが困難となる。0.50μmを越える場合にはα−Fe含有量は高くできるが、BET比表面積が小さくなり、本発明の目的とする効果を得ることが困難となる。より好ましくは0.05〜0.30μmである。
【0037】
本発明における鉄複合粒子粉末の一次粒子の軸比は1.0を越え2.0以下である。軸比が1.0の場合、球状粒子であり粒子サイズが同じであればBET比表面積が小さくなり触媒活性が低くなり好ましくない。2.0を越える場合、BET比表面積が大きくなりα−Fe相が不安定になり表面に厚い酸化被膜が形成されやすく、α−Fe含有量を高くすることが困難となり、本発明の目的とする効果が得られ難い。好ましくは1.2〜1.8である。
【0038】
本発明に係る浄化剤を構成する鉄複合粒子をレーザー回折装置で粒度分布を測定した場合、鉄複合粒子の二次粒子の粒度分布は単一ピークである。複数のピークを有する場合、汚染土壌中への浸透速度が均一でなく浄化に長時間を要し本発明の目的とする効果が得られない。
【0039】
本発明に係る浄化剤中を構成する鉄複合粒子の二次粒子のメジアン径(D50:鉄複合粒子の全体積を100%として粒子径に対する累積割合を求めたときの累積割合が50%となる粒子径)は0.5〜5.0μmである。二次粒子のメジアン径(D50)はより小さい程良いが一次粒子が微粒子であり、α−Feを含有するため、磁気凝集を起こし易く、0.5μm未満とすることは工業的には困難である。5.0μmを超える場合は、汚染土壌への浸透が遅くなり短時間で浄化し難く、本発明の目的とする効果が得られない。好ましくは0.5〜3.5μmである。
【0040】
本発明に係る浄化剤中の鉄複合粒子の二次粒子のD90(鉄複合粒子の全体積を100%として粒子径に対する累積割合を求めたときの累積割合が90%となる粒子径)とD10(鉄複合粒子の全体積を100%として粒子径に対する累積割合を求めたときの累積割合が10%となる粒子径)との比D90/D10は1.0〜5.0である。分布幅はより小さいほど汚染土壌への浸透速度が均一化され浄化速度も均一化されるため好ましいが、工業的には1.0が限界である。5.0を超える場合は汚染土壌への浸透速度が不均一となり浄化性能に遅れが生じ浄化に長時間かかる為、本発明の目的とする効果が得られない。
好ましくは1.0〜3.5である。
【0041】
本発明に係る浄化剤中の鉄複合粒子の二次粒子の分布幅(D84−D16)(D84:鉄複合粒子の全体積を100%として粒子径に対する累積割合を求めたときの累積割合が84%となる粒子径、D16:鉄複合粒子の全体積を100%として粒子径に対する累積割合を求めたときの累積割合が16%となる粒子径)は0.5〜5.0μmが好ましい。分布幅はより小さいほど汚染土壌への浸透速度が均一化され浄化速度も均一化されるため好ましいが、工業的には0.5が限界である。5.0を超える場合は汚染土壌への浸透速度が不均一となり浄化性能に遅れが生じ浄化に長時間かかる為、本発明の目的とする効果が得られない。好ましくは0.5〜3.5μmである。
【0042】
本発明における鉄複合粒子は、α−Fe含有量は30〜99重量%である。α−Fe含有量が30重量%未満の場合には、有機ハロゲン化合物の浄化性能が十分ではなく本発明の目的とする効果が得られない。α−Fe含有量が99重量%を越える場合には、粒子サイズが極端に大きいか又はBET比表面積が極端に小さく空気中で安定な状態であり、後出比較例に示すように触媒活性が著しく劣るものとなる。好ましくは40〜99重量%である。
【0043】
鉄複合粒子の構成相はα−Fe相とともに、Fe相を含有することが好ましい。Feを含有することによって触媒活性を長時間維持することが可能となる。α−FeとFeとの含有割合は該鉄複合粒子粉末のX線回折スペクトルにおいて、α−Feの(110)面の回折強度D110とFeの(311)面の回折強度D311との強度比(D110/(D311+D110))が0.20〜0.98であることが好ましく、より好ましくは0.30〜0.98である。また、Feは鉄複合粒子粉末の粒子表面に存在することが好ましい。
【0044】
本発明における鉄複合粒子の結晶子サイズ(α−Feの(110)面)は200〜400Åが好ましい。200Å未満の場合にはBET比表面積は大きいがα−Fe相が不安定であるため表面に厚い酸化被膜が形成され、α−Fe含有量を高くすることが困難となり、本発明の目的とする効果を得ることが困難となる。400Åを越える場合には、α−Fe含有量は高くできるが、BET比表面積が小さくなり、本発明の目的とする効果を得ることが困難となる。より好ましくは200〜350Åである。
【0045】
本発明における鉄複合粒子粉末のBET比表面積値は5〜60m/gが好ましい。5m/g未満の場合には、接触面積が小さくなり触媒活性が発現しにくい。60m/gを越える場合には、α−Fe相が不安定であるため表面に厚い酸化被膜が形成され、α−Fe含有量を高くすることが困難となり、本発明の目的とする効果を得ることが困難となる。より好ましくは7〜55m/gである。
【0046】
本発明における鉄複合粒子粉末の飽和磁化値は90〜190Am/kg(90〜190emu/g)が好ましい。90Am/kg未満の場合には、α−Fe含有量が低く触媒活性が低下するため好ましくない。190Am/kgを越える場合にはα−Fe含有量が高いもののBET比表面積が低くなりやすく触媒活性が低下する。より好ましくは95〜190Am/kg(95〜190emu/g)である。
【0047】
本発明における鉄複合粒子粉末には、微量のSを含有させることが好ましく、S含有量は500〜10000ppmが好ましく、より好ましくは1000〜5000ppmである。
【0048】
本発明における鉄複合粒子粉末は、Pb、Cd、As、Hg、Sn、Sb、Ba、Zn、Cr、Nb、Co、Bi等のFe以外の金属元素は毒性のある金属であるため極力含有しない方がよく、特にPb、Cd、As、Hgを実質的に含有しないことが好ましい。
【0049】
本発明に係る浄化剤の比重は1.2〜1.4が好ましい。1.2未満では浄化剤の輸送、土壌等への添加量を考えると固形分が少なく経済的でなく、1.4を超える場合は本発明の一次粒子径、二次粒子径を考慮すると浄化剤が増粘し、工業的に製造するのは困難である。
【0050】
本発明に係る浄化剤中の鉄複合粒子の濃度は20〜40重量%が好ましい。20重量%未満では浄化剤の輸送、土壌等への添加量を考えると固形分が少なく経済的でなく、40重量%を超える場合は本発明の一次粒子径、二次粒子径を考慮すると浄化剤が増粘し、工業的に製造するのは困難である。
【0051】
次に、本発明5に係る浄化剤の製造法について述べる。
【0052】
ゲータイト粒子粉末は、常法に従って、例えば、第一鉄塩と、水酸化アルカリ、炭酸アルカリ又はアンモニアから選ばれる1種又は2種以上とを反応させて得られる鉄の水酸化物や炭酸鉄等の第一鉄含有沈殿物を含む懸濁液中に空気等の酸素含有ガスを通気することにより得ることができる。
【0053】
ゲータイト粒子粉末の平均長軸径は0.05〜0.50μmであり、粒子形状は紡錘状又は針状が好ましく、軸比は4〜30が好ましく、より好ましくは5〜25であり、BET比表面積は20〜200m/gが好ましく、より好ましくは25〜180m/gである。
【0054】
また、鉄複合粒子におけるα−Fe含有量を高い割合で維持すると共に形状を破壊して粒状に結晶成長させるには、ゲータイト粒子粉末に対して焼結防止処理などの表面処理を行わないことが好ましい。
【0055】
ゲータイト粒子粉末は、常法に従って、造粒しておくことが好ましい。造粒することによって、固定層方式の還元炉を使用できる。
【0056】
得られたゲータイト粒子粉末は250〜350℃の温度範囲で加熱脱水したヘマタイト粒子粉末にすることが好ましい。
【0057】
ヘマタイト粒子粉末の平均長軸径は0.05〜0.50μmであり、粒子形状は紡錘状又は針状どちらでも良い。
【0058】
前記ゲータイト粒子粉末又は前記ヘマタイト粒子粉末を350〜600℃の温度範囲で加熱還元することによって鉄粒子(α−Fe)粉末とする。
【0059】
加熱還元温度が350℃未満である場合には、還元反応の進行が遅く、還元反応に長時間を要する。また、BET比表面積を大きくすることができるが、結晶成長を十分に行うことができず、α−Fe相が不安定となり粒子表面に酸化被膜が厚く形成されるためα−Fe含有量を高くすることができない。600℃を超える場合には、還元反応が急激に進行して粒子及び粒子相互間の焼結が過度に促進され粒子径が大きくなり、BET比表面積も小さくなるため好ましくない。
【0060】
なお、還元反応の昇温時の雰囲気は水素ガス、窒素ガス等が利用できるが、工業的には水素ガスが好ましい。
【0061】
加熱還元後の鉄粒子粉末は冷却した後、該鉄粒子粉末を気相中で表面酸化被膜を形成することなく水中に取り出し、水中で当該鉄粒子粉末の粒子表面に表面酸化被膜を形成する。
【0062】
冷却時の雰囲気は窒素又は水素のいずれでもよいが、最終的には窒素に切り替えることが好ましい。また、水中に取り出す時には100℃以下まで冷却されていることが好ましい。
【0063】
上記加熱還元処理によって、粒子全体はα−Fe相からなる鉄粒子となり、水中に取り出すことによって、α−Feの触媒活性により水を分解し、水素と酸素に分離し、その酸素によりα−Feが酸化され、粒子表面にFeからなる酸化被膜が形成されるものと推定している。
【0064】
加熱還元後の鉄粒子粉末を冷却後、水中に取り出し、水中で当該鉄粒子粉末の粒子表面に表面酸化被膜を形成した後、鉄複合粒子を湿式粉砕する。
【0065】
鉄複合粒子の凝集状態、性質(高活性)、大きさ、粉砕装置の能力(製品の粒度、粉砕量)及び最終形態を考慮すると、粉砕は湿式粉砕することが好ましい。
【0066】
本発明に用いる粉砕装置としては、メディアを用いる場合、転動ミル(ポットミル、チューブミル、コニカルミル)や振動ミル(ファイン・バイブレーションミル)等の容器駆動式、塔型(タワーミル)、攪拌槽型(アトライター)、流通管型(サンドグラインドミル)及びアニュラー型(アニュラーミル)等の媒体攪拌式を用いることができる。メディアを用いない場合、容器回転型(オングミル)、湿式高速回転型(コロイドミル、ホモミキサー、ラインミキサー)等のせん断・摩擦式を用いることができる。
【0067】
一般的に粉砕は25mm以下の原料を粉状に砕く事で、大別して粗粉砕、細粉砕、微粉砕の工程に分けられる。粗粉砕は5mm〜20メッシュまでの粉砕で、細粉砕は200メッシュ以下の粒子が90%程度、微粉砕は325メッシュ以下の粒子が90%程度となるように粉砕することと一般的に言われており、さらに数ミクロンまで粉砕できる超微粉砕機もある。本発明においては、鉄複合粒子を粗粉砕、細粉砕及び微粉砕の3つの粉砕状態を経ることが好ましい。
【0068】
粗粉砕にはバッフルを取り付けた攪拌槽内に挿入して攪拌する低速回転型、中速回転型、高速回転せん断型、高低速回転組み合わせ攪拌機等が使用できるが、本発明の鉄複合粒子の凝集体を考慮すると1000〜6000rpmの中速〜高速回転型攪拌機が好ましい。攪拌機の羽根形状はディスクタービン、ファンタービン、矢羽根タービン、プロペラ型等が挙げられるが、エッジ付きのディスクタービンが好ましく、例えば、特殊機化工業製のホモディスパーである。
【0069】
細粉砕又は微粉砕にはバッチ式装置又は連続式装置が使用できるが、工業的には連続式が好ましい。メディアを用いる場合はボールミル、タワーミル、サンドグラインドミル、アトライター等が使用でき、メディアを用いない場合は、ホモミキサー、ラインミキサー等が使用できる。
【0070】
細粉砕には、複数のスリットを外周に入れて軸固定面部にカッター歯を設けた回転子と固定子を多段式に組み合わせた装置を使用することができ、回転子の周速が30m/s以上のメディアレスであるラインミキサー等の連続せん断分散機、例えば、特殊機化工業製のホモミックラインミルが特に好ましい。
【0071】
微粉砕(仕上げ粉砕)は、円筒形のベッセル内にφ1〜φ3のメディアを充填率70〜80%で挿入し、ベッセル中心部に設置された回転軸に複数個の円板を取り付けて回転させることにより、メディアに急速旋回作用が起こり、その中を処理物が下から上に通過するサンドグラインドミル等のメディア式分散機を使用することができ、例えばアイメックス社製のサンドグラインダーが特に好ましい。
【0072】
本発明の湿式粉砕においては、粒子のクラック生長を助け再結合を抑制するため、又は粒子が凝集して粒状となり粉砕され難くなったりボールやミルに付着して粉砕力が弱められたりすることを抑制するために、粉砕助剤を適宜添加しても良い。粉砕助剤には固体、液体があり固体としては、ステアリン酸塩類、コロイド状シリカ、コロイド状カーボン等、液体ではトリエタノールアミン、スルホン酸アルキル等が使用できる。
【0073】
湿式粉砕時の懸濁液の濃度は鉄複合粒子が20〜40重量%が好ましい。20重量%未満の場合は、粉砕時にせん断等の応力が掛かり難く所定の粉砕粒度が得られないか長時間を要し、また粉砕に必要なメディアが著しく摩耗する為好ましくない。40重量%を超える場合には、水懸濁液が増粘し、機械的な負荷が大きく工業的に製造するのは困難である。
【0074】
次に、本発明6に係る有機ハロゲン化合物で汚染された土壌・地下水の浄化処理方法ついて述べる。
【0075】
有機ハロゲン化合物で汚染された土壌・地下水の浄化処理は、一般的に、含有される汚染物質を直接地下で分解する原位置分解法と掘削又は抽出した土壌・地下水中の汚染物質を分解する原位置抽出法とがあり、本発明においてはいずれの方法でも行うことができる。
【0076】
原位置分解法においては、浄化剤を高圧の空気、窒素等のガスあるいは水を媒体にしてそのまま浸透もしくはボーリング孔から地下に導入する方法が取られる。特に本発明の浄化剤は水懸濁液であるのでそのまま使用するか必要に応じて希釈すれば良い。
【0077】
原位置抽出法においては、掘削した土壌と浄化剤を、サンドミル、ヘンシェルミキサー、コンクリートミキサー、ナウターミキサー、一軸又は二軸式のニーダー型混合器等を用いて混合攪拌すれば良い。
【0078】
浄化剤の添加量は、土壌・地下水の有機ハロゲン化合物の汚染の程度に応じて適宜選択することができるが、汚染土壌を対象とする場合には、通常土壌100重量部に対して固形分換算で0.1〜30重量部が好ましく、より好ましくは0.2〜20重量部である。0.1重量部未満の場合には、本発明の目的とする効果が充分得られない。30重量部を超える場合には、浄化効果は向上するが経済的ではない。また、汚染地下水を対象とする場合には、地下水100重量部に対して固形分換算で0.1〜30重量部添加することが好ましく、より好ましくは0.2〜20重量部である。また、本発明に係る浄化剤を前記添加量になるように希釈して用いてもよい。
【0079】
本発明の浄化剤を用いた場合には、後述する評価法において、汚染土壌中の脂肪族有機ハロゲン化合物の残存率を8%以下、好ましくは0.1〜5.0%にすることができ、汚染地下水中の脂肪族有機ハロゲン化合物の残存率を8%以下、好ましくは0.1〜5.0%にすることができる。また、汚染土壌中の芳香族有機ハロゲン化合物の残存率を30%以下、好ましくは25%以下にすることができ、汚染地下水中の芳香族有機ハロゲン化合物の残存率を30%以下、好ましくは25%以下にすることができる。
【0080】
次に、本発明7に係る有機ハロゲン化合物及び重金属からなる汚染物質を含有する土壌・地下水の浄化処理方法ついて述べる。
【0081】
本発明においては、有機ハロゲン化合物と同時に、カドミウム、鉛、六価クロム、砒素、セレン、シアン等の重金属からなる汚染物質を不溶化することができる。
【0082】
浄化剤(固形分換算)の添加量は、前記と同様である。
【0083】
【発明の実施の形態】
本発明の代表的な実施の形態は次の通りである。
【0084】
ゲータイト粒子粉末及びヘマタイト粒子粉末の平均長軸径及び軸比は透過型電子顕微鏡写真で測定した。鉄複合粒子粉末の平均長軸径及び軸比は走査型電子顕微鏡写真を用いて測定した。
【0085】
鉄複合粒子粉末はレーザー散乱・回折方式「NIKKISO MICROTRAC HRA MODEL 9320−X100」(日機装社製)を用いて粒度分布を測定した。なお、分散溶媒をエタノールとし、分散剤をオルガノシランとし、分散を超音波分散機で1分間とした。
【0086】
各粒子粉末のS含有量は、「カーボン・サルファーアナライザー:EMIA−2200」(HORIBA製)を使用して測定した。
【0087】
各粒子粉末の結晶相は前記X線回折装置によって10〜90°の範囲で測定して同定した。
【0088】
鉄複合粒子粉末のα−Fe含有量は、あらかじめ各種混合割合の鉄とマグネタイト(α−Feを水中に取り出し変態させた)とからなる混合粉末のX線回折を測定し、α−Feの(110)面の回折強度D110、マグネタイトの(311)面の回折強度D311と混合割合との関係式を作成して検量線として用いることによって算出した。検量線である関係式は下記の通りである。
【0089】
α−Fe含有量=−51.387X+151.88X
X:強度比率(D110/(D110+D311))
【0090】
鉄複合粒子粉末のα−Feの(110)面の結晶子サイズは、X線回折法で測定される結晶粒子の大きさを、各粒子の結晶面のそれぞれに垂直な方向における結晶粒子の厚さを表したものであり、各結晶面についての回折ピーク曲線から、下記シェラーの式を用いて計算した値で示したものである。
【0091】
結晶子サイズ=Kλ/βcosθ
但し、β=装置に起因する機械幅を補正した真の回折ピークの半値幅(ラジアン単位)。
K=シェラー定数(=0.9)。
λ=X線の波長(Cu Kα線 0.1542nm)。
θ=回折角(各結晶面の回折ピークに対応)。
【0092】
各粒子粉末中に存在する鉄以外の金属元素のうち、Pb及びCdについては「フレーム原子吸光光度計 AA−6500S」(島津製作所製)を、Asについては「水素化合物発生原子吸光光度計 HVG−1」(島津製作所製)を、Hgについては「還元気化原子吸光光度計 MVU−1A」(島津製作所製)を用いてそれぞれ測定した。
【0093】
各粒子粉末の比表面積は、「モノソーブMS−11」(カンタクロム(株)製)を使用し、BET法により測定した値で示した。
【0094】
鉄複合粒子粉末の飽和磁化値は、「振動試料磁力計VSM−3S−15」(東英工業(株)製)を使用し、外部磁場795.8kA/m(10kOe)で測定した。
【0095】
<土壌用検量線の作製:脂肪族有機ハロゲン化合物の定量>
有機ハロゲン化合物の濃度は下記手順に従ってあらかじめ検量線を作成し、得られた検量線に基づいて濃度を算出した。
トリクロロエチレン(TCE:CHCl):分子量131.39
試薬特級(99.5%)、密度(20℃)1.461〜1.469g/ml
【0096】
トリクロロエチレンを0.05μl、0.1μl及び1.0μlの3水準とし、褐色バイアル瓶50ml(実容積68ml)にイオン交換水30mlを添加し、砂質土壌20g(目開き2mmの篩い下)を封印し、次いで、トリクロロエチレンを各水準量注入し、直ちにフッ素樹脂ライナー付きゴム栓で蓋をし、その上からアルミシールで強固に締め付ける。バイアル瓶のヘッドスペースのガスをシリンジで50μl分取し、「GC−MS−QP5050」(島津製製作所製)を用いてトリクロロエチレンを測定する。トリクロロエチレンは全く分解されないものとして、添加量とピーク面積との関係を求める。このときのカラムはキャピラリーカラム(DB−1:J&W Scientific社製、液相:ジメチルポリシロキサン)とし、キャリアガスにはHeガス(143l/min)を使用し、40℃、2分間保持した後、10℃/minの速度で250℃まで昇温してガスを分析する。
【0097】
<脂肪族有機ハロゲン化合物測定用試料調整>
あらかじめ湿った砂質土壌20g(目開き2mm篩い下)にトリクロロエチレン1.0μlを添加し、トリクロロエチレンで汚染された土壌を作製した。褐色バイアル瓶50ml(実容積68ml)に、鉄複合粒子粉末として1gとなる量の浄化剤と該浄化剤中の水含有量とあわせて30.0mlとなる量のイオン交換水とを注入し、次いで、前記汚染土壌を注入し、直ちにフッ素樹脂ライナー付きゴム栓で蓋をし、その上からアルミシールで強固に締め付ける。前記バイアル瓶をペイントコンディショナー(レッドデビル社製)で3時間振とうする。
【0098】
<脂肪族有機ハロゲン化合物の評価方法>
トリクロロエチレン残存量は、前記バイアル瓶のヘッドスペースのガスをシリンジで50μl分取し、前記「GC−MS−QP5050」(島津製作所社製)を用いて測定する。
【0099】
<地下水用検量線の作製:脂肪族有機ハロゲン化合物の定量>
砂質土壌を添加しない以外は前記<土壌用検量線の作製:脂肪族有機ハロゲン化合物の定量>と同様にして地下水用検量線を作成した。
【0100】
<試料調整>
前記褐色バイアル瓶50ml(実容積68ml)に鉄複合粒子粉末として1gとなる量の浄化剤と該浄化剤中の水含有量とあわせて30.0mlとなる量のイオン交換水とを注入し、次いで、トリクロロエチレン1μlを注入し、直ぐにフッ素樹脂ライナー付きゴム栓で蓋をし、その上からアルミシールで強固に締め付ける。前記バイアル瓶をペイントコンディショナー(レッドデビル社製)で3時間振とうする。
【0101】
<評価方法>
トリクロロエチレン残存量は前記<脂肪族有機ハロゲン化合物の評価方法>と同様にして測定した。
【0102】
<土壌用検量線の作製:芳香族有機ハロゲン化合物の定量>
トリクロロベンゼン(TCB:CCl):分子量181.45
試薬特級(99.0%以上)、密度(20℃)1.46g/ml
【0103】
トリクロロベンゼンを0.05μl、0.1μl及び1.0μlの3水準とし、褐色バイアル瓶50ml(実容積68ml)にイオン交換水30mlを添加し、砂質土壌20g(目開き2mmの篩い下)を封印し、次いで、トリクロロベンゼンを各水準量注入し、直ちにフッ素樹脂ライナー付きゴム栓で蓋をし、その上からアルミシールで強固に締め付ける。次いで、バイアル瓶をペイントコンディショナー(レッドデビル社製)で10時間振とうする。その後、n−ヘキサン10mlを添加し、超音波分散機で20分間分散し、遠心分離機で8000rpm、5分間分離し、上層ヘキサン層からシリンジで1.0μl分取し、「GC−MS−QP5050」(島津製作所製)を用いてトリクロロベンゼンを測定する。トリクロロベンゼンは全く分解されないものとして、添加量とピーク面積との関係を求める。このときのカラムはキャピラリーカラム(DB−1:J&W Scientific社製、液相:ジメチルポリシロキサン)とし、キャリアガスにはHeガス(143l/min)を使用し、40℃、2分間保持した後、10℃/minの速度で250℃まで昇温してガスを分析する。
【0104】
<芳香族有機ハロゲン化合物測定用試料調整>
あらかじめ湿った砂質土壌20g(目開き2mm篩い下)にトリクロロベンゼン1.0μlを添加し、トリクロロベンゼンで汚染された土壌を作製した。褐色バイアル瓶50ml(実容積68ml)に鉄複合粒子粉末として1gとなる量の浄化剤と浄化剤中の水含有量とあわせて30.0mlとなる量のイオン交換水とを注入し、次いで、前記汚染土壌を注入し、直ちにフッ素樹脂ライナー付きゴム栓で蓋をし、その上からアルミシールで強固に締め付ける。前記バイアル瓶をペイントコンディショナー(レッドデビル社製)で10時間振とうする。その後、n−ヘキサン10mlを添加し、超音波分散機で20分間分散し、遠心分離機で8000rpm、5分間分離する。
【0105】
<芳香族有機ハロゲン化合物の評価方法>
トリクロロベンゼン残存量は、前記遠心分離した上層のn−ヘキサン層からシリンジで1.0μl分取し、前記「GC−MS−QP5050」(島津製作所社製)を用いて測定する。
【0106】
<地下水用検量線の作製:芳香族有機ハロゲン化合物の定量>
砂質土壌を添加しない以外は前記<土壌用検量線の作製:芳香族有機ハロゲン化合物の定量>と同様にして地下水用検量線を作成した。
【0107】
<試料調整>
前記褐色バイアル瓶50ml(実容積68ml)に鉄複合粒子粉末として1gとなる量の浄化剤と該浄化剤中の水含有量とあわせて30.0mlとなる量のイオン交換水とを注入し、次いで、トリクロロベンゼン1μlを注入し、直ぐにフッ素樹脂ライナー付きゴム栓で蓋をし、その上からアルミシールで強固に締め付ける。前記バイアル瓶をペイントコンディショナー(レッドデビル社製)で10時間振とうする。その後、n−ヘキサン10mlを添加し、超音波分散機で20分間分散し、遠心分離機で8000rpm5分間分離する。
【0108】
<評価方法>
トリクロロベンゼン残存量は前記<芳香族有機ハロゲン化合物の評価方法>と同様にして測定した。
【0109】
浄化処理における重金属等の有害物質の測定は、汚染土壌の固形分については、環境庁告示第46号「土壌の汚染に係る環境基準について」に基づいて、汚染地下水については、環境庁告示第10号「地下水の水質汚濁に係る環境基準について」に基づいて分析した。
【0110】
<浄化剤の製造>
毎秒3.4cmの割合でNガスを流すことによって非酸化性雰囲気に保持された反応容器中に、1.16mol/lのNaCO水溶液704lを添加した後、Fe2+1.35mol/lを含む硫酸第一鉄水溶液296lを添加、混合(NaCO量は、Feに対し2.0倍当量に該当する。)し、温度47℃においてFeCOを生成させた。
【0111】
ここに得たFeCOを含む水溶液中に、引き続き、Nガスを毎秒3.4cmの割合で吹き込みながら、温度47℃で70分間保持した後、当該FeCOを含む水溶液中に、温度47℃において毎秒2.8cmの空気を5.0時間通気してゲータイト粒子を生成させた。なお、空気通気中におけるpHは8.5〜9.5であった。
【0112】
ここに得たゲータイト粒子を含有する懸濁液をフィルタープレスで水洗した。その際、洗浄度を制御し、微量のSを残存させた。得られたプレスケーキを圧縮成型機を用いて孔径4mmの成型板で押し出し成型して120℃で乾燥してゲータイト粒子粉末の造粒物とした。
【0113】
ここに得た造粒物を構成する含有するゲータイト粒子粉末は、平均長軸径0.30μm、軸比(長軸径/短軸径)12.5の紡錘状を呈した粒子からなり、粒度が均斉で樹枝状粒子が混在しないものであった。BET比表面積は85m/g、S含有量は900ppmであった。
【0114】
前記造粒物を330℃で加熱しヘマタイト粒子とし乾式粉砕する。その後水に邂逅し70%硫酸を4ml/kgの割合で添加し攪拌する。その後、脱水しプレスケーキとし、圧縮成型機を用いて孔径3mmの成型板で押し出し成型して120℃で乾燥してヘマタイト粒子粉末の造粒物とした。
【0115】
ここに得た造粒物を構成するヘマタイト粒子粉末は、平均長軸径0.25μm、軸比(長軸径/短軸径)10.5の紡錘形を呈した粒子からなり、粒度が均斉で樹枝状粒子が混在しないものであった。S含有量は2100ppmであった。
【0116】
前記ヘマタイト粒子粉末の造粒物100gを固定層還元装置に導入し、Hガスを通気させながら、450℃で180分間、完全にα−Feとなるまで還元した。次に、Nガスに切替え室温まで冷却させた後、イオン交換水160mlを直接還元炉に導入し、そのまま30重量%の鉄粒子粉末を含有する水懸濁液として取り出した。
【0117】
その水懸濁液をバッフルを取り付けたステンレスビーカーに移し、中速回転型攪拌機として動力0.2kWのT.Kホモディスパー2.5型(直径40mmφのエッジタービン翼、特殊機化工業(株)製)を挿入し、回転数3600rpmで30分間攪拌した。
【0118】
次いで、連続せん断式分散機として、動力0.55kWのT.Kホモミックラインミル(PL−SL型、特殊機化工業(株)製)で、回転数4000rpmで分散処理した。
【0119】
その後、メディア式分散機として、動力1.5kWの四筒式サンドグラインダー(4TSG−(1/8G)型、アイメックス社製)に、直径2mmのガラスビーズを0.25l充填し、回転数500rpmで分散処理し浄化剤とした。
【0120】
得られた浄化剤の比重は1.25、固形分濃度は30重量%であり、レーザー回折・散乱法による浄化剤(水懸濁液)の粒度分布は、図1に示す通り、単一ピークであり、メジアン径(D50)が2.40μm、D90/D10比が1.86、分布幅(D84−D16)が1.15μmであった。
【0121】
得られた浄化剤中に含有する鉄複合粒子は、走査型電子顕微鏡(30000倍)で観察した結果、図2に示す通り、一次粒子の粒子形状は米粒状であって平均長軸径が0.13μmであって軸比が1.6であった。
【0122】
ここに得た鉄複合粒子は、α−Feを主体としており、飽和磁化値157Am/kg(157emu/g)、BET比表面積26m/g、結晶子サイズ298Åであった。S含有量は2900ppm、Cd、Pb、As及びHgはいずれも検出されなかった。X線回折の結果、α−FeとFeとが存在することが確認された。また、検量線から求めたα−Fe含有量は97.9wt%であり、そのD110(α−Fe)とD311(Fe)の強度比D110/(D110+D311)は0.95であった。
【0123】
<脂肪族有機ハロゲン化合物の浄化処理結果>
前記評価方法によれば、前記浄化剤を用いた場合の土壌中のトリクロロエチレンの残存率は3.3%であり、地下水中のトリクロロエチレンの残存率は4.0%であった。
【0124】
<芳香族有機ハロゲン化合物の浄化処理結果>
前記評価方法によれば、前記浄化剤を用いた場合の、土壌中のトリクロロベンゼンの残存率は17.4%であり、地下水中のトリクロロベンゼンの残存率18.7%であった。
【0125】
【作用】
本発明において重要な点は、本発明に係る浄化剤を用いることによって、土壌・地下水の有機ハロゲン化合物を効率よく、持続的に、しかも、経済的に分解処理できるという点である。
【0126】
本発明者は、土壌・地下水中の有機ハロゲン化合物を効果的に分解できる理由は未だ明らかではないが、下記のように推定している。
【0127】
即ち、本発明に係る浄化剤は、浄化剤中の有効成分である鉄複合粒子を十分に粉砕することによって、粒度分布が狭い鉄複合粒子であり、土壌中又は地下水中で容易に浸透・分散することができるので、鉄複合粒子が本来有する有機ハロゲン化合物に対する分解活性を十分に発揮できたことによるものと推定している。
【0128】
また、有機ハロゲン化合物と同時にカドミウム、鉛、六価クロム、砒素、セレン、シアン等の重金属からなる有害物質が存在する場合には、鉄複合粒子の一部が溶解するとともに溶解したFeと重金属とがフェライト化することによって、土壌又は地下水中の重金属を不溶化することができる。
【0129】
【実施例】
次に、本発明の実施例及び比較例を挙げる。
【0130】
ゲータイト粒子
ゲータイト粒子として表1に示すゲータイト粒子を用意した。
【0131】
ゲータイト粒子2
ゲータイト粒子1と同様のゲーサイト粒子をフィルタープレスで水洗する際、洗浄度を制御し、微量のSを残存させた。得られたプレスケーキを圧縮成型機を用いて孔径4mmの成型板で押し出し成型して120℃で乾燥してゲータイト粒子粉末の造粒物とした。
【0132】
ここに得た造粒物を構成する含有するゲータイト粒子粉末は、平均長軸径0.30μm、軸比(長軸径/短軸径)12.5の紡錘状を呈した粒子からなり、粒度が均斉で樹枝状粒子が混在しないものであった。BET比表面積は85m/g、S含有量は1700ppmであった。
【0133】
【表1】
Figure 2004082102
【0134】
浄化剤:実施例1〜5、参考例1〜2、比較例1〜2;
ゲータイト粒子の種類、加熱脱水、加熱還元の温度、分散の方法等を種々変化させた以外は前記発明の実施の形態と同様にして浄化剤を得た。
【0135】
このときの製造条件を表2〜3に、得られた浄化剤の諸特性を表4〜5に示す。
【0136】
比較例1は還元鉄粉、比較例2は電解鉄粉である。
【0137】
【表2】
Figure 2004082102
【0138】
【表3】
Figure 2004082102
【0139】
【表4】
Figure 2004082102
【0140】
【表5】
Figure 2004082102
【0141】
<汚染土壌・汚染地下水の浄化処理>
実施例6〜10、参考例3〜4、比較例3〜4;
浄化剤の種類を種々変化させた以外は、前記発明の実施の形態と同様にして汚染土壌又は汚染地下水の処理を行った。
【0142】
このときの処理条件及び測定結果を表6に示す。
【0143】
【表6】
Figure 2004082102
【0144】
<有機ハロゲン化合物及び重金属等の有害物質で汚染された土壌の鉄複合粒子による浄化処理>
あらかじめ湿った砂質土壌20g(目開き2mm篩い下)にトリクロロエチレン1.0μlを添加し、トリクロロエチレンで汚染された土壌を作製した。褐色バイアル瓶50ml(実容積68ml)に実施の形態の浄化剤を鉄複合粒子として1gとなる量の浄化剤とイオン交換水27mlを注入し、次いで、前記汚染土壌を注入し、さらにカドミウム、鉛、砒素、セレン及びシアンを各10ppmとなるように1000ppm標準液(関東化学(株)製)より各0.3ml注入し、六価クロムを50ppmとなるように1000ppm標準液(関東化学(株)製)より1.5ml注入し、全量で100ppmになるように合計3.0ml注入した。直ぐにフッ素樹脂ライナー付きゴム栓で蓋をし、その上からアルミシールで強固に締め付けた。前記バイアル瓶をペイントコンディショナー(レッドデビル社製)で3時間振とうした後、前記バイアル瓶のヘッドスペースのガスをシリンジで50μl分取し、前記方法を用いてトリクロロエチレン残存量を測定した。その後更に13時間振とう(合計16時間)した後、0.45μmメンブランフィルターを使用して固液分離した。
【0145】
次いで、測定に必要な量の固形分(50g)及び濾液(300ml)が得られるまで、同様の処理を行った。濾液はそのまま環境庁告示第10号「地下水の水質汚濁に係る環境基準について」に基づき、固形分については40℃で3時間、大気中で乾燥し試料を得て、環境庁告示第46号「土壌の汚染に係る環境基準について」に基づき分析した。その結果、溶液中のカドミウム0.001mg/l未満、鉛0.005mg/l未満、六価クロム0.04mg/l未満、砒素0.001mg/l未満、セレン0.002mg/l未満、シアンは未検出であり、固体からの溶出量はカドミウム0.001mg/l未満、鉛0.005mg/l未満、六価クロム0.04mg/l未満、砒素0.001mg/l未満、セレン0.002mg/l未満、シアンは未検出であった。
【0146】
<有機ハロゲン化合物の浄化処理結果>
前記評価方法によれば、前記鉄複合粒子を用いた場合の土壌中のトリクロロエチレンの残存率は2.3%であった。
【0147】
<有機ハロゲン化合物、重金属等の有害物質で汚染された地下水の鉄複合粒子による浄化処理>
褐色バイアル瓶50ml(実容積68ml)に、実施の形態の浄化剤を鉄複合粒子として1gとなる量の浄化剤と27.0mlのイオン交換水、トリクロロエチレン1.0μlを注入し、さらにカドミウム、鉛、砒素、セレン及びシアンを各10ppmとなるように1000ppm標準液(関東化学(株)製)より各0.3ml注入し、六価クロムを50ppmとなるように1000ppm標準液(関東化学(株)製)より1.5ml注入し、全量で100ppmになるように合計3.0ml注入した。直ぐにフッ素樹脂ライナー付きゴム栓で蓋をし、その上からアルミシールで強固に締め付けた。前記バイアル瓶をペイントコンディショナー(レッドデビル社製)で3時間振とうした後、トリクロロエチレン残存量を前記バイアル瓶のヘッドスペースのガスをシリンジで50μl分取し、前記方法を用いて測定した。その後、更に13時間振とう(合計16時間)した後、0.45μmメンブランフィルターを使用して固液分離した。
【0148】
次いで、測定に必要な量の固形分及び濾液が得られるまで、同様の処理を行った。濾液はそのまま環境庁告示第10号「地下水の水質汚濁に係る環境基準について」に基づき、固形分については40℃で3時間、大気中で乾燥し試料を得て、環境庁告示第46号「土壌の汚染に係る環境基準について」に基づき分析した。その結果、溶液中のカドミウム0.001mg/l未満、鉛0.005mg/l未満、六価クロム0.04mg/l未満、砒素0.001mg/l未満、セレン0.002mg/l未満、シアンは未検出であり、固体からの溶出量はカドミウム0.001mg/l未満、鉛0.005mg/l未満、六価クロム0.04mg/l未満、砒素0.001mg/l未満、セレン0.002mg/l未満、シアンは未検出であった。
【0149】
<有機ハロゲン化合物の浄化処理結果>
前記評価方法によれば、前記鉄複合粒子を用いた場合の地下水中のトリクロロエチレンの残存率は2.4%であった。
【0150】
【発明の効果】
本発明に係る浄化剤は、有機ハロゲン化合物を効率よく分解できるので、有機ハロゲン化合物によって汚染された土壌・地下水の浄化剤として好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施の形態で得られた浄化剤に含有される鉄複合粒子の粒度分布を示すグラフである。
【図2】発明の実施の形態で得られた浄化剤に含有される鉄複合粒子の走査型電子顕微鏡写真である(30,000倍)。

Claims (7)

  1. 鉄複合粒子を有効成分として含有する水懸濁液であって、当該鉄複合粒子の一次粒子の粒子形状が米粒状であって平均長軸径が0.05〜0.50μmであって軸比が1.0を越え2.0以下であり、α−Fe含有量が30〜99重量%であり、当該鉄複合粒子の二次粒子の粒度分布が単一ピークであり、メジアン径(D50:鉄複合粒子の全体積を100%として粒子径に対する累積割合を求めたときの累積割合が50%となる粒子径)が0.5〜5.0μmであり、D90/D10比が1.0〜5.0であることを特徴とする有機ハロゲン化合物で汚染された土壌・地下水の浄化剤。
  2. α−FeとFeとからなる鉄複合粒子を有効成分として含有する水懸濁液であって、当該鉄複合粒子の一次粒子の粒子形状が米粒状であって平均長軸径が0.05〜0.50μmであって軸比が1.0を越え2.0以下であり、該鉄複合粒子粉末のX線回折スペクトルにおいてα−Feの(110)面の回折強度D110とマグネタイトの(311)面の回折強度D311との強度比(D110/(D110+D311))が0.20〜0.98であり、当該鉄複合粒子の二次粒子の粒度分布が単一ピークであり、メジアン径(D50:鉄複合粒子の全体積を100%として粒子径に対する累積割合を求めたときの累積割合が50%となる粒子径)が0.5〜5.0μmであり、D90/D10比が1.0〜5.0であることを特徴とする有機ハロゲン化合物で汚染された土壌・地下水の浄化剤。
  3. 比重が1.2〜1.4であり、濃度が20〜40重量%であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の有機ハロゲン化合物で汚染された土壌・地下水の浄化剤。
  4. 前記有機ハロゲン化合物で汚染された土壌・地下水の浄化剤に含有される前記鉄複合粒子の飽和磁化値が90〜190Am/kgであり、BET比表面積が5〜60m/gであり、α−Feの(110)面の結晶子サイズが200〜500Åであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の有機ハロゲン化合物で汚染された土壌・地下水の浄化剤。
  5. 平均長軸径が0.05〜0.50μmのゲータイト粒子粉末又は該ゲータイト粒子粉末を250〜350℃の温度範囲で加熱脱水したヘマタイト粒子粉末を350〜600℃の温度範囲で加熱還元して鉄粒子粉末とし、冷却後、該鉄粒子粉末を気相中で表面酸化被膜を形成することなく水中に取り出し、水中で当該鉄粒子粉末の粒子表面に表面酸化被膜を形成して鉄複合粒子を含有する水懸濁液を得、次いで、分散機又は攪拌機で湿式粉砕することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の有機ハロゲン化合物で汚染された土壌・地下水の浄化剤の製造法。
  6. 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の有機ハロゲン化合物で汚染された土壌・地下水の浄化剤と有機ハロゲン化合物で汚染された土壌又は有機ハロゲン化合物で汚染された地下水とを混合接触させることを特徴とする有機ハロゲン化合物で汚染された土壌・地下水の浄化処理方法。
  7. 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の有機ハロゲン化合物で汚染された土壌・地下水の浄化剤と有機ハロゲン化合物及び重金属からなる汚染物質で汚染された土壌又は有機ハロゲン化合物及び重金属からなる汚染物質で汚染された地下水とを混合接触させることを特徴とする有機ハロゲン化合物を含有する土壌・地下水の浄化処理方法。
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