JP4009045B2 - 地盤改良材料および複合地盤ならびに地盤改良工法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、軟弱地盤の改良や液状化の防止等を目的とする地盤改良に用いられる地盤改良材料およびこの地盤改良材料を用いた複合地盤ならびに地盤改良工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、含水比の高い粘性土地盤、泥炭地盤等、また、液状化の問題を有するゆるく堆積した砂地盤等は軟弱地盤と呼ばれており、この軟弱地盤に構造物を築造する場合、その構造物に対する地盤の支持力、地盤の沈下等が問題になる。このため軟弱地盤での構造物の築造に際しては、その築造の前に地盤改良を行っている。
このような地盤改良工法としては、材料の膨張による方法である生石灰パイル工法、また、主に液状化防止対策として用いられ、地盤中に砂杭を締め固めながら造成する方法であるサンドコンパクションパイル工法がある。あるいは、セメントやセメントを主成分として調整した材料により、土を固結する方法であるセメント安定処理工法もある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この生石灰パイル工法は、生石灰の消化反応による膨張作用により周辺地盤が圧密されて複合地盤を形成する方法であるが、生石灰の膨張による既設構造物への影響が避けられない。すなわち、生石灰の反応が瞬時に起こるため、膨張力が強く既設構造物の変位や土圧増加等の悪影響を避けることが難しいものである。このため、施工性が充分に満足できるものではない。
【0004】
また、生石灰からなるパイル材料はそれ自身では強度がないために仮設材料として扱われており、地盤中に投入した材料そのものの強度を期待することができないうえ、長期間にわたる材料の耐久性が乏しい。したがって、地盤全体としての液状化抵抗や強度の増加は期待できない。
さらに、セメント安定処理工法のようにセメントを主原料とする工法、あるいは、石灰を主原料とした地盤改良工法は、地盤中のpHが高くなり産業廃棄物となるセメント汚染した排泥を生じてしまう。また、場合によっては地下水の水質に悪影響を与えてしまうものである。
【0005】
一方、材料の膨張による工法ではなく、地盤中に砂杭を造成するサンドコンパクションパイル工法では、砂杭を締め固めるための振動や騒音により既設構造物や周辺環境に悪影響を及ぼす可能性がある。また、材料の膨張による工法と比較して、地盤改良体である砂杭のピッチが小さくなり、不経済となる場合がある。
【0006】
そこで、本発明は、地盤中に投入した材料が既設構造物や周辺環境に影響を及ぼすことなく地盤全体としての液状化抵抗や強度の増加を生じさせ、また、施工性に優れた地盤改良材料および複合地盤ならびに地盤改良工法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
これらの課題を解決するために、本発明は、地盤中の水分と反応することにより膨張・硬化をして、前記地盤を改良する地盤改良材料であって、硬焼生石灰粉粒体、および、硫酸アルミニウム系化合物を含むことを特徴とする、地盤改良材料を提供するものである。
また、前記地盤改良材料は無機材料を含むものであってもよく、特に、珪酸成分を含有する無機材料を含むことが好ましい。
【0008】
また、前記硬焼生石灰粉粒体、前記硫酸アルミニウム系化合物、および、前記無機材料の混合割合は、質量規準で前記硬焼生石灰粉粒体を10%〜60%、前記硫酸アルミニウム系化合物を0.1%〜5%の範囲内で決定するとともに、前記無機材料を加えた混合割合の合計が100%となることが好ましい。
【0009】
すなわち、本発明は、硬焼生石灰粉粒体の消化・吸水による膨張作用と、硬焼生石灰粉粒体、硫酸アルミニウム系化合物、および、無機材料中の成分が反応することで生じる硬化作用により強度を発現する地盤改良材料である。
【0010】
さらに、本発明の地盤改良材料は、地盤中の水分と反応することにより膨張・硬化をして、前記地盤を改良する地盤改良材料であって、硬焼生石灰粉粒体と、アルミニウム系化合物と、硫酸成分を有する無機材料と、を含むものであってもよい。
ここで、硫酸成分(硫酸イオン)を有する無機材料には、石膏を用いることが好適である。
【0011】
また、前記硬焼生石灰粉粒体、前記アルミニウム系化合物、および、前記無機材料の混合割合は、質量規準で前記硬焼生石灰粉粒体を10%〜60%、前記アルミニウム系化合物を0.1%〜5%の範囲内で決定するとともに、前記無機材料を加えた混合割合の合計が100%となることが好ましい。
【0012】
すなわち、本発明は、硬焼生石灰粉粒体の消化・吸水による膨張作用と、硬焼生石灰粉粒体、アルミニウム系化合物、および、無機材料中の硫酸成分が反応することで生じる硬化作用により強度を発現する地盤改良材料である。
本発明は、前記硫酸アルミニウム系化合物の代わりにアルミニウム系化合物を使用し、硫酸成分を無機材料により補うことで、前記地盤改良材料と同種の効果を奏するように構成したものである。
【0013】
さらに、前記硬焼生石灰粉粒体、および、前記硫酸アルミニウム系化合物、また、これらの成分に前記無機材料を含む地盤改良材料、又は、前記硬焼生石灰粉粒体、前記アルミニウム系化合物、及び、前記硫酸成分を有する無機材料を含む地盤改良材料を杭状に造成して複合地盤を構築するために用いることもできる。
【0014】
また、前記各種の地盤改良材料を用い、地盤中に膨張した硬化体を構築する地盤改良工法に用いることもできる。
【0015】
ここで、地盤の所定位置に所定深さの孔部を掘削し、当該孔部内に地盤改良材料を充填することにより、杭状の地盤改良材料構造体を構築し、前記地盤中の水分と反応させることにより、前記地盤中に膨張した硬化体を構築する地盤改良工法とすることもできる。また、地盤中に、地盤改良材料を圧入することにより、前記地盤の所定位置に、所定深さである杭状の地盤改良材料構造体を構築し、前記地盤中の水分と反応させることにより、前記地盤中に膨張した硬化体を構築する地盤改良工法とすることもできる。
【0016】
すなわち、本発明の各種地盤改良材料を用いた地盤改良工法は、遅効型の膨張作用のために地盤の改良に際して既設構造物等が急激な土圧増加等の影響を受けることがない。また、膨張・硬化後の地盤改良材料は長期の耐久性を有する強度を得るため、効果的な地盤改良を行うことが可能である。さらに、地盤改良材料を杭状に構築することによって膨張・硬化後の地盤改良材料構造体が杭効果を有して地盤支持力がより向上する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る地盤改良材料の実施の一形態を説明する。
なお、本発明に係る地盤改良材料は、本実施の形態に説明されるものに限定されるものではない。
【0018】
[地盤改良材料]
◎第1実施形態
本発明に係る地盤改良材料の第1実施形態は、硬焼生石灰粉粒体、および、硫酸アルミニウム系化合物、さらには、前記2成分に加えて、珪酸成分を含有する無機材料を含むものである。
【0019】
この本発明に使用することができる硬焼生石灰粉粒体は、焼成処理が1100℃〜1500℃、より好ましくは1100℃〜1300℃の範囲の温度で行われたものである。生石灰は石灰石を焼成し分解させることにより生成するが、生成した生石灰の水和速度はこの焼成の条件によって異なり、例えば、高温で焼成を行った場合には、水和速度、すなわち、消化反応による膨張作用が遅くなる。このため、焼成処理を1100℃〜1500℃の高温の温度範囲で行うことにより、本発明の地盤改良材料の膨張作用を遅効型にすることが可能である。なお、この温度範囲で焼成することにより得られる硬焼生石灰は、日本石灰協会生石灰粗粒滴定法による4N塩酸消費量が滴定開始後の3分値で150ml以下である。
ここで、焼成温度が1100℃より低いと、生石灰の活性が高すぎて水和速度が速くなり急激に膨張作用が起こってしまう。また、焼成温度が1500℃よりも高いと生石灰の活性が低下しすぎてしまい、膨張作用が小さくなり適さない。
【0020】
このような温度範囲で焼成した硬焼生石灰粉粒体を、15mm以下の粒径に粉砕して得た粉粒体を用いることが好ましい。このように粉粒体にすることにより、高温で処理して活性を低下させた硬焼生石灰の反応性を上昇させて、施工に適した水和速度を得ることができる。
このように、膨張作用を遅効型にすることにより、瞬時に膨張作用が起こるために生じる既設構造物等に対する影響を抑制することができる。
【0021】
また、本発明の硫酸アルミニウム系化合物としては、硫酸アルミニウム[Al2(SO4)3]、硫酸アルミニウム18水和物[Al2(SO4)3・18H2O]、硫酸ナトリウムアルミニウム12水和物[AlNa(SO4)2・12H2O]、硫酸カリウムアルミニウム[AlK(SO4)2]、硫酸カリウムアルミニウム12水和物[AlK(SO4)2・12H2O]、硫酸アンモニウムアルミニウム12水和物[Al(NH4)(SO4)2・12H2O]等が挙げられる。これらに示すように、硫酸アルミニウム系化合物とは、硫酸成分とアルミニウム成分を構造中に含むものを意味し、その条件を満たす範囲内において特に限定されるものではない。
これら硫酸アルミニウム系化合物は、単独あるいは2種類以上を混合して用いることも可能である。
【0022】
このため硬焼生石灰粉粒体、および、硫酸アルミニウム系化合物を含む本発明の地盤改良材料は、遅効型の膨張作用と硬化作用の2つの作用を示すものである。すなわち、この硬焼生石灰粉粒体が地盤中の水分と反応し、ホルトランダイトを生成することにより膨張作用を引き起こして地盤を締め固める。このとき、この硬焼生石灰粉粒体が遅効型であり、膨張は緩やかに進行する。さらに、生成したホルトランダイトが硫酸アルミニウム化合物と反応することにより、エトリンガイト、あるいは、モノサルフェートを生成し地盤改良材料が強度を有する。地盤改良材料が膨張・硬化作用を行うことにより得られる硬化体は耐久的であり、このような硬化体となることで、アルカリ成分の地盤中での溶解・拡散を防止することができる。
【0023】
このように、地盤改良材料は高い遅効型の膨張性を有し、かつ、膨張・硬化作用によって発現した強度は長期の耐久性を有するものである。したがって、本発明の地盤改良材料は膨張作用により地盤を締固め、また、硬化作用により地盤改良材料自体が強度を有することにより地盤を改良するものである。
また、エトリンガイトの生成により、従来の生石灰パイル工法やセメントを添加または使用した材料に比べ、pHを抑制することができ、周辺環境への悪影響を防ぐことができる。
【0024】
また、前記の2成分に珪酸成分を含有する無機材料を加えると、さらに効果的である。この無機材料については特に限定されるものではなく、珪酸成分を含有するものであればさらに好ましい。このような無機材料としては、細骨材、砂、現地発生土、スクリーニングス、石膏等が存在する。また、珪酸成分を含有する無機材料としては、高炉水砕スラグ、転炉スラグ、および、石炭灰(フライアッシュ)等が挙げられる。
【0025】
高炉水砕スラグ、および、転炉スラグとは、石灰、シリカ、および、アルミナの混合物であり、アルカリ成分である水酸化カルシウムや硫酸塩の存在により、直接水と反応し硬化するものである。また、石炭灰(フライアッシュ)とは、シリカを多く含んだ球形の粉末である。
また、一般的にコンクリートやモルタルの製造に用いられる粗骨材や細骨材を使用することができる。これらの骨材は、強靭で耐久性があるものが一般的に用いられており、骨材として良好に用いられているものの殆どには珪酸成分が含まれている。
【0026】
このように、珪酸成分を加えることにより、ポゾラン反応が引き起こされ不溶性の珪酸石灰水和物等が生成し、地盤改良材料自体の強度が向上する。さらには、硬焼生石灰粉粒体、および、硫酸アルミニウム系化合物とともにエトリンガイトの生成に寄与して膨張・硬化作用を生じ、その地盤改良効果を増加させるものである。
また、高炉水砕スラグ等の水硬性を示す成分が含まれている無機材料を用いた場合には、この水硬性のために、より硬化作用が高められ地盤改良材料の強度が増す。
【0027】
また、無機材料は15mm以下の粒径であることが好ましい。粒径を15mm以下とすることにより、反応性が向上し、本発明の地盤改良材料自体の強度を増すことができる。
なお、このような粉粒体を得るための粉砕機としては、ジョークラッシャ、インペラーブレーカ、ローラーミル、ケージミル等の一般的な粉砕機を用いることができる。
【0028】
また、前記硬焼生石灰粉粒体、硫酸アルミニウム系化合物、および、無機材料の3成分の混合割合は、試験施工の結果、質量規準で硬焼生石灰粉粒体が10%〜60%、硫酸アルミニウム系化合物が0.1%〜5%の範囲で決定するとともに、前記無機材料を加えた混合割合の合計が100%となることが好ましい、との結果が得られ、この範囲を逸脱すると、所期の効果が発揮されにくくなることが確認された。
【0029】
前記のように混合割合を変化させることで、処理対象である軟弱地盤等の条件によって、その効果を調節することが可能であり、施工性が向上する。例えば、膨張作用を大きくしたい場合には、地盤改良材料全量に対して硬焼生石灰粉粒体の配合量を多くすればよく、また、材料自体の強度を大きくしたい場合には、所望の強度が得られるように、硫酸アルミニウム系化合物や無機材料の配合量を調節すれば良い。
【0030】
さらに、このような地盤改良材料は、杭状に造成された地盤改良材料構造体1として用いることが好ましい(図1参照)。杭状の構造体とすることにより、地盤改良材料に強度が発現した際、杭状に造成された地盤改良材料構造体1が杭効果を示す。このため地盤Gの支持力を向上させることができ、本発明を用いての地盤改良効果も向上する。
【0031】
◎第2実施形態
本発明に係る地盤改良材料の第2実施形態は、硬焼生石灰粉粒体と、アルミニウム系化合物と、硫酸成分を含有する無機材料と、を含むものである。
本発明は、第1実施形態における地盤改良材料に使用した硫酸アルミニウム系化合物の代わりにアルミニウム系化合物を使用し、硫酸成分を無機材料により補うことで、前記第1実施形態の地盤改良材料と同種の効果を奏するように構成したものである。そのため、アルミニウム系化合物と無機材料についてのみ説明する。
【0032】
本発明で使用するアルミニウム系化合物としては、塩化アルミニウム[AlCl3]、塩化アルミニウム6水和物[AlCl3・6H2O]、酸化アルミニウム[Al2O3]、酸化アルミニウム1水和物[Al2O3・H2O]、酸化アルミニウム3水和物[Al2O3・3H2O]、水酸化アルミニウム[Al(OH)3]等が挙げられる。これらに示すように、アルミニウム系化合物とは、アルミニウム成分を構造中に含むものを意味し、その条件を満たす範囲内において特に限定されるものではない。また、これらアルミニウム系化合物は、単独あるいは2種類以上を混合して用いることも可能である。
【0033】
硫酸成分を有する無機材料としては、石膏(硫酸カルシウム)(無水石膏、焼石膏、二水石膏)を用いることが好適であるが、他の無機材料を使用することも可能である。なお、建設廃材である石膏ボードを粉砕して無機材料として利用すれば、非常に有益である。
【0034】
また、前記硬焼生石灰粉粒体、アルミニウム系化合物、および、無機材料の3成分の混合割合は、試験施工の結果、質量規準で硬焼生石灰粉粒体が10%〜60%、アルミニウム系化合物が0.1%〜5%の範囲で決定するとともに、前記無機材料を加えた混合割合の合計が100%となることが好ましい、との結果が得られ、この範囲を逸脱すると、所期の効果が発揮されにくくなることが確認された。
【0035】
[地盤改良工法]
以下、本発明に係る地盤改良工法の実施の一形態を、図1を適宜参照しながら説明する。
前記地盤改良工法は、処理対象である地盤G中に、所定間隔、かつ、所定深さで、前記地盤改良材料から構成される杭状の地盤改良材料構造体1を構築して複合地盤を形成する工法である。本工法は、前記地盤G中に構築された地盤改良材料構造体1が地盤G中の水分等と反応し、膨張・硬化作用を生じるため、当該地盤改良材料構造体1が地盤G中で膨張した硬化体2を形成することで、杭効果や地盤Gの締固め等の効果により、地盤Gを改良する性質を利用したものである。ここで、杭状の地盤改良材料構造体1の構築方法としては、以下の2つの方法が代表的である。
【0036】
○置換工法
置換工法は、アースオーガ等の穿孔装置を用いることにより、対象地盤Gの所定位置に所定深さの孔部を掘削して、当該孔部中の土砂を排出し、孔部内に地盤改良材料を充填することにより、杭状の地盤改良材料構造体1を構築する工法である。
【0037】
○圧入工法
圧入工法は、前記置換工法に示したように孔部内の排土を行わず、対象地盤G内に貫入させた圧入装置により、圧縮空気等を使用して地盤改良材料を圧入することにより、当該対象地盤Gの所定位置に、所定深さである杭状の地盤改良材料構造体1を構築する工法である。
【0038】
前記置換工法及び圧入工法によれば、地盤G中への地盤改良材料構造体1の構築に際して振動を伴わないため、周辺環境への振動・騒音等の悪影響を極力回避することが可能である。
なお、地盤改良材料を地盤中Gに構築する方法は、前記方法に限られず、他の既存の方法を用いることもできる。
【0039】
【実施例】
以下、本発明に係る地盤改良材料を、実施例により詳述するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
なお、本実施例においては、硫酸アルミニウム系化合物として硫酸アルミニウム、無機材料として細骨材(砂)および転炉スラグを用いた。
また、処理対象地盤として、水で飽和した砂質土壌を用いた。
【0040】
○実施例A
硬焼生石灰粉粒体、硫酸アルミニウム、細骨材を表1に示す配合量で混合し、地盤改良材料Aを作成した。
○実施例B
硬焼生石灰粉粒体、硫酸アルミニウム、転炉スラグを表1に示す配合量で混合し、地盤改良材料Bを作成した。
【0041】
【表1】
【0042】
○試験方法
処理対象地盤に円筒パイプを挿入した後に円筒パイプ内部の土壌を排出して、地盤改良材料Aおよび地盤改良材料Bをそれぞれ充填する。充填終了後に円筒パイプを引き抜き、杭状の地盤改良材料構造体1を図1と同様に形成した。
このように地盤改良材料構造体1を形成した後、地盤改良材料A、Bに対して体積膨張率の経時変化、および、一軸圧縮強度の経時変化を測定した。結果を図2(a)および(b)に示す。
【0043】
図2(a)に示すように、地盤改良材料Aおよび地盤改良材料Bともに、10日間にわたって膨張が生じ遅効型の膨張となっている。膨張率は、無機材料が細骨材(砂)でも転炉スラグでもほぼ同様である。
【0044】
図2(b)に示すように、地盤改良材料Aおよび地盤改良材料Bともに材令の経過とともに一軸圧縮強度が大きくなっている。また、無機材料として転炉スラグを用いた地盤改良材料Bは、一定期間の経過後に、地盤改良材料Aよりも一軸圧縮強度が大きくなっている。これは、無機材料として用いた細骨材と転炉スラグ中の珪酸成分の含有量の差によるものであると推察される。
【0045】
【発明の効果】
以上に説明した本発明に係る地盤改良材料は、硬焼生石灰粉粒体と、硫酸アルミニウム系化合物、又は、アルミニウム系化合物と硫酸成分を有する無機材料と、を含む構成である。このため、遅効型の膨張作用を示し既設構造物や周辺環境に悪影響を及ぼすことがない。また、硬化作用によりエトリンガイト等を生成して強度を発現し長期の耐久性を得ることができる。
さらに、珪酸成分を含有する無機材料を加えることにより、ポゾラン反応等を生じて材料の強度が向上する。
また、地盤改良材料を杭状の地盤改良材料構造体とすることで、膨張・硬化後の地盤改良材料構造体が杭効果を示し、地盤の支持力を増加させるために地盤の改良効果が向上する。
また、成分の混合割合を変化させることで、対象地盤の条件によって膨張等の作用を調整することができるため施工性が向上する。
また、置換工法や圧入工法を使用することにより、地盤改良材料構造体の構築を行う際には、振動によって締め固める必要がないために、振動や騒音による既設構造物や周辺環境への影響を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る地盤改良工法の実施の一形態を表す概念図である。
【図2】本実施例の経時変化に対する地盤改良材料Aおよび地盤改良材料Bの特性を示す図であり、(a)は、体積膨張率を示し、(b)は、一軸圧縮強度を示している。
【符号の説明】
1・・・地盤改良材料構造体
2・・・硬化体
G・・・地盤
Claims (6)
- 地盤中の水分と反応することにより膨張・硬化をして、前記地盤を改良する地盤改良材料であって、
硬焼生石灰粉粒体と、硫酸アルミニウム系化合物と、無機材料と、を含み、
質量規準で前記硬焼生石灰粉粒体を10%〜60%、前記硫酸アルミニウム系化合物を0.1%〜5%の範囲内で決定するとともに、前記無機材料を加えた混合割合の合計が100%となることを特徴とする地盤改良材料。 - 地盤中の水分と反応することにより膨張・硬化をして、前記地盤を改良する地盤改良材料であって、
硬焼生石灰粉粒体と、アルミニウム系化合物と、硫酸成分を有する無機材料と、を含み、
質量規準で前記硬焼生石灰粉粒体を10%〜60%、前記アルミニウム系化合物を0.1%〜5%の範囲内で決定するとともに、前記無機材料を加えた混合割合の合計が100%となることを特徴とする地盤改良材料。 - 請求項1または請求項2に記載の地盤改良材料を地盤中に杭状に造成したことを特徴とする複合地盤。
- 請求項1または請求項2に記載の地盤改良材料を用い、地盤中に膨張した硬化体を造成することにより、地盤改良を行うことを特徴とする地盤改良工法。
- 請求項1または請求項2に記載の地盤改良材料を用い、地盤の所定位置に所定深さの孔部を掘削し、前記孔部内に前記地盤改良材料を充填することにより、杭状の地盤改良材料構造体を構築することを特徴とする地盤改良工法。
- 請求項1または請求項2に記載の地盤改良材料を用い、地盤中に前記地盤改良材料を圧入することにより、
前記地盤の所定位置に、所定深さである杭状の地盤改良材料構造体を構築することを特徴とする地盤改良工法。
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