JP2010163619A - 土壌改良注入材及び当該注入材を用いた土壌汚染物質の不溶化方法 - Google Patents

土壌改良注入材及び当該注入材を用いた土壌汚染物質の不溶化方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2010163619A
JP2010163619A JP2010029842A JP2010029842A JP2010163619A JP 2010163619 A JP2010163619 A JP 2010163619A JP 2010029842 A JP2010029842 A JP 2010029842A JP 2010029842 A JP2010029842 A JP 2010029842A JP 2010163619 A JP2010163619 A JP 2010163619A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
soil
slurry
thickener
metal powder
grouting material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2010029842A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5246177B2 (ja
Inventor
Kaname Aoyama
要 青山
Tetsuya Wakiyama
哲也 脇山
Takeshi Sudo
毅 須藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Osaka Cement Co Ltd filed Critical Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
Priority to JP2010029842A priority Critical patent/JP5246177B2/ja
Publication of JP2010163619A publication Critical patent/JP2010163619A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5246177B2 publication Critical patent/JP5246177B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Processing Of Solid Wastes (AREA)
  • Soil Conditioners And Soil-Stabilizing Materials (AREA)

Abstract

【課題】 初期のスラリー粘度を抑制することで、スラリー中の金属粉を均一に混合し、その後スラリー粘度が上昇して、スラリー中の金属粉の分離を抑制し、土壌中の重金属を固化・不溶化することができる、土壌改良注入材及び土壌汚染物質の不溶化方法を提供する。
【解決手段】 土壌改良注入材は、(1)金属粉と、(2)スルホン基を有する芳香属化合物及び/又はその塩と、アルキルトリメチルアンモニウム塩とを含有する増粘材IIと、(3)水とを含む。また、土壌汚染物質の不溶化方法は、水及び前記増粘剤IIとを攪拌混練する工程と、次いで前記工程で得られた材料に金属粉を添加混合して土壌改良注入材スラリーを調製する工程と、得られた土壌改良注入材スラリー土壌中に注入する工程と、土壌改良注入材スラリーが注入された土壌を攪拌混合する工程とを備える。
【選択図】 なし

Description

本発明は、土壌改良注入材及び当該注入材を用いた土壌汚染物質の不溶化方法に関し、特に土壌中に含まれる重金属の不溶化を効率よく行うことができる土壌改良注入材及び当該注入材を用いて土壌中の重金属の不溶化を効率よく実施することができる土壌汚染物質の不溶化方法に関する。
従来より、工場やその跡地等その周辺地域等の土壌には、カドミウム、シアン、鉛、六価クロム、砒素および水銀等の重金属が含有されており、土壌汚染が大きな社会問題となっている。
このような土壌の汚染は、その土地の再利用や土地開発を困難にするとともに、更には、重金属による地下水の汚染も深刻な問題となっている。
汚染土壌の処理方法において、無機系還元剤と、有機系増粘剤(CMC、ポリアクリルアマイド、アルギン酸、グアガム、MC、HEC)と、水とからなるスラリーを用い、当該スラリーを汚染土壌中に注入し、処理する方法が、例えば特開平8−281246号公報等に開示されている。
しかし、この公報においては、無機系還元剤と空気との接触を妨げる目的で有機系増粘剤が混合されており、空気中の酸素ではなく、土壌中の六価クロムによって、土壌中の汚染物質が酸化されてしまう。
そのため、これらの有機系増粘剤の種類及び混合量では、スラリー中で無機系還元剤の分離を抑制することができず、均一な組成を得ることが困難であるという問題点を有している。
一方、比重の重い金属粉である無機系還元剤の土壌注入材スラリー中での材料分離を抑制するために、前記有機系増粘剤を単独で多量に使用して、スラリー粘性を確保した場合には、有機系増粘剤の急激な増粘作用により、金属粉を均一に混合することができず、ムラのあるスラリーとなってしまう。
また、前記したような有機系増粘剤を用いず、スメクタイト類粘土鉱物、例えばベントナイトを増粘剤とし、還元剤と水からなるスラリーを用い、汚染土壌中に当該スラリーを注入し汚染土壌を処理する方法が、現実に実施されている。
しかし、ベントナイトを用いた場合、比重の重い金属粉がスラリー中で分離しないスラリー粘度とするためには、ベントナイトの添加量が多くなり過ぎ、初期のスラリー粘度が高くなり、金属粉を均一に混合することができず、ムラのあるスラリーとなってしまう。
他の汚染土壌処理方法としては、汚染土壌を掘削し、地上にてパドル式(二軸)ミキサーやコンクリートミキサー、自走式土壌処理機械などによって汚染土壌と還元剤(金属粉等)および砂・礫または酸化剤を強制攪拌しながら混合し、混合処理土を原位置へ戻すという、攪拌混合工法が提案されている(特開2002−326080号公報、特開2003−47978号公報、特開2003−300047号公報)。
また、原位置攪拌混合する汚染土壌の浄化方法として、汚染土壌中に金属鉄粉を装入した後、地盤攪拌混合機用いて汚染土壌と金属鉄粉を混合攪拌し処理を行う方法が提案されている(特開2003−112158号公報)。
また更に、比重の大きな金属粉を圧縮空気を用いて汚染土壌中に圧送し、混合攪拌して汚染土壌を浄化する方法も提案されている(特開2002−273403号公報、特開2002−326080号公報)。
しかし、汚染土壌と還元剤(金属粉)の粉体添加による混合処理を行う場合、プラント混合処理や原位置処理における表層部分の処理では、汚染土壌(地盤)に直接還元剤(金属粉)を散布し混合攪拌することができる。一方、深層部分の混合処理では、先に汚染地盤中に還元剤(金属粉)を装入する工程と、装入した還元剤と汚染地盤を混合攪拌する工程の2工程を行うため、工期が長くなり、施工コストが極めて高くなってしまう。
また、還元剤(金属粉)を圧縮空気を用い汚染地盤中に圧送する場合、金属粉の摩擦による発熱や静電気等による粉塵爆発の危険性があるため、施工安全上の問題があり、空気圧送のためのプラントや施工機械は、特殊なものを使用するため、施工コストも高額なものとなるという問題点を有していた。
特開2002−326080号公報 特開2003−47978号公報 特開2003−300047号公報 特開2002−273403号公報 特開2002−326080号公報
本発明の目的は、上記従来の問題点を解決し、初期のスラリー粘度を抑制し、混練性を充分に確保し、その後粘性を上昇させて、スラリー中の金属粉を均一に混合し、ムラのないスラリーを作製する。
次いで、粘性を上昇させて金属粉の分離を抑制し、スラリー中の金属粉が均一に土壌に混合できるようにすることで、土壌中のカドミウム、シアン、鉛、六価クロム、砒素および水銀等の重金属を不溶化することができる、土壌改良注入材を提供することである。
本発明の他の目的は、本発明の上記土壌改良注入材を用いて、土壌中の重金属を効率良く不溶化することができる、土壌汚染物質の不溶化方法を提供することである。
本発明の土壌改良注入材は、(1)金属粉と、(2)スルホン基を有する芳香属化合物及び/又はその塩と、アルキルトリメチルアンモニウム塩とを含有する増粘材IIと、(3)水とを含むことを特徴とする。
好適には、前記土壌改良注入材において、金属粉100重量部に対し、増粘剤IIを1〜100重量部含有することを特徴とするものである。
更に好適には、上記土壌改良注入材は、更にセメント、高炉スラグ、石灰石粉、フライアッシュ、シリカ粉、炭酸カルシウム及び石膏からなる群より選ばれた少なくとも1種を含むことを特徴とする。
本発明の土壌汚染物質の不溶化方法は、水と、スルホン基を有する芳香属化合物及び/又はその塩と、アルキルトリメチルアンモニウム塩とを含有する増粘剤IIとを攪拌混練する工程と、次いで前記工程で得られた材料に金属粉を添加混合して土壌改良注入材スラリーを調製する工程と、得られた土壌改良注入材スラリーを土壌中に注入する工程と、土壌改良注入材スラリーが注入された土壌を攪拌混合する工程とを備えることを特徴とする。
好適には、前記土壌汚染物質の不溶化方法において、更にセメント、高炉スラグ、石灰石粉、フライアッシュ、シリカ粉、炭酸カルシウム及び石膏からなる群より選ばれた少なくとも1種を、増粘剤または金属粉とともに攪拌混合することを特徴とする土壌汚染物質の固化・不溶化方法(セメント等を使用した場合、固化)である。
本発明の土壌汚染改良注入材は、初期のスラリー粘度を抑制することで、スラリー中の金属粉を均一に混合し、その後スラリー粘度が上昇して、スラリー中の金属粉の分離を抑制することができる材料である。
本発明の土壌汚染改良注入材を土壌中に注入し、還元剤である金属粉と土壌中の重金属とを十分に接触させることができることにより、汚染物質を効率よく不溶化することができる。
また、セメント等の水硬性物質を添加することにより、汚染土壌中に含まれる重金属類を難溶性物質の生成により固定化したり、水和生成物による置換固溶や表面吸着により固定化したり、及び硬化組織の緻密化により封じ込めたりすることにより、汚染物質を効率よく固化・不溶化することができるとともに、軟弱化した土壌の強度も高くすることができる。
また、本発明の土壌汚染物質の不溶化方法は、本発明の上記土壌改良注入材を用いて、土壌中の重金属を効率良く不溶化することを可能とし、汚染物質を含有する土壌の有効活用を可能にするものである。
本発明を、以下の好適例を用いて説明するがこれらに限定されるものではない。
本発明の土壌改良注入材は、(1)金属粉と、(2)スルホン基を有する芳香属化合物及び/又はその塩と、アルキルトリメチルアンモニウム塩とを含有する増粘材IIと、(3)水とを含むスラリー材料であり、好適には、前記土壌改良注入材は、金属粉100重量部に対し、増粘剤IIを1〜100重量部含有されてなる。
本発明の土壌改良注入材に用いられる金属粉としては、還元性金属粉であれば任意のものを使用することができ、例えば、鉄粉やマグネシウム粉等が例示でき、特に、鉄が安価で容易に市場で入手できることから好適に使用されている。
かかる金属粒子の粒径は可能な限り小さい方がよく、それは粒子の反応面積を大きくすることができ、またスラリー中において分離し難くなるからである。
また、土壌改良注入材の他の例としては、(1)金属粉と、(2)少なくとも2種以上の水溶性高分子化合物、並びにスメクタイト類粘土鉱物及び/又は水溶性炭酸塩を含有する増粘剤Iと、(3)水とを含むスラリー材料であり、好適には、前記土壌注入材は、金属粉100重量部に対し、増粘剤Iを1〜100重量部含有する土壌改良注入材がある。
前記当該増粘剤Iは、少なくとも2種以上の水溶性高分子化合物、並びにスメクタイト類粘土鉱物及び/又は水溶性炭酸塩を含有し、前記高分子化合物としては、例えば植物系多糖類[カラギーナン、アミロース、アミロペクチン、ローカストビーンガム、グアガム、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース・ヒドロキシプロピルメチルセルロースなど]、動物系高分子化合物[ゼラチン、カゼイン、コラーゲンなど]、および合成系高分子化合物[ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩など)、アクリルアミド/アクリル酸塩コポリマー、ポリエチレンオキサイドなど]等が挙げられる。
かかる水溶性高分子化合物は、少なくとも2種以上を混合して用いることが必要であり、これは、少なくとも2種以上を混合することで、初期のスラリー粘度を抑制し、スラリー中の金属粉を均一に混合し、その後スラリー粘度が上昇して、スラリー中の金属粉の分離を抑制することができる。
その混合割合は、特に限定されず、初期のスラリー粘度を抑制し、均一に金属粉を混合できる時間が経過した後、スラリー粘度が上昇する割合であれば良い。
更に増粘剤Iには、スメクタイト類粘土鉱物及び/又は水溶性炭酸塩が含まれる。
スメクタイト類粘土鉱物としては、ベントナイト、モンモリロナイトなどが挙げられ、水溶性炭酸塩としては、炭酸水素一価金属塩である炭酸水素ナトリウムや炭酸水素カリウム等が例示される。
このように増粘剤Iには、2種以上の水溶性高分子化合物に、スメクタイト類粘土鉱物及び/又は水溶性炭酸塩を混合することにより、増粘剤Iの弱アルカリ域での粘性を高め、後述するセメントなどの添加材中にアルカリ金属、アルカリ土類金属を含む材料が混在していても、粘性を低下することなく、作業時間を確保することができ、増粘剤の効果を確保することができる。
増粘剤I中に含まれる少なくとも2種類の水溶性高分子化合物と、スメクタイト類粘土鉱物及び/又は水溶性炭酸塩との配合割合は、重量比で1:1〜10:1、好ましくは1:1〜5:1であり、このような配合割合とすることで、混練直後のスラリー粘度を抑制し、添加される金属粉を均一に混練できるとともに、混練後の金属粉の材料分離を抑えることができるという利点が得られるからである。
特に、少なくとも2種類の水溶性高分子化合物としては、グアガムとCMCとを含むものであり、スメクタイト類粘土鉱物及び/又は水溶性炭酸塩としては、ベントナイトとソーダ灰とする組み合わせが好ましい。
本発明の土壌改良注入材には増粘剤IIが含まれ、当該増粘剤IIにはスルホン基を有する芳香属化合物及び/又はその塩と、アルキルトリメチルアンモニウム塩とが含有され、前記スルホン基を有する芳香属化合物及び/又はその塩としては、p−トルエンスルホン酸、スルホサリチル酸、m−スルホ安息香酸、p−スルホ安息香酸、p−フェノールスルホン酸、m−キシレン−4−スルホン酸、クメンスルホン酸、スチレンスルホン酸等、およびこれらの塩が挙げられ、これらを2種以上併用してもよい。
但し、芳香属化合物及び/又はその塩が重合体である場合は、重量平均分子量は500未満であることが好ましい。
また、増粘剤II中に含有されるアルキルトリメチルアンモニウム塩は、炭素数10〜26のアルキル基を有するものが好ましく、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、タロートリメチルアンモニウムクロライド、タロートリメチルアンモニウムブロマイド、水素化タロートリメチルアンモニウムクロライド、水素化タロートリメチルアンモニウムブロマイド等が挙げられ、これらを1種または2種以上併用してもよい。
水溶性と増粘効果の観点から、具体的には、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド等が好ましい。
特に芳香属化合物及び/又はその塩としてはp−トルエンスルホン酸またはその塩であり、アルキルトリメチルアンモニウム塩としては、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム塩とする組み合わせが好ましい。
このように、増粘剤Iに、少なくとも2種類の水溶性高分子化合物と、スメクタイト類粘土鉱物及び/又は水溶性炭酸塩とを併用することにより、または、増粘剤IIに、芳香属化合物及び/又はその塩と、アルキルトリメチルアンモニウム塩とを併用することにより、水相中に短時間で会合体を形成し、効率的に粘性を付与でき、更に、この会合体形成は、注入材スラリー中で均一に形成されることにより余剰水分を完全に補足するため、単位水量の多い注入材スラリー配合でも、材料分離抵抗性に優れたものとすることが可能となる。
また、増粘剤は、金属粉の周囲を被覆することとなり、空気等に触れても、酸化することなく、土壌中の汚染物質を効率よく還元することができる。
本発明の土壌改良注入材は、上記金属粉と前記増粘剤IIとを含有してなるものであり、その配合割合は、当該金属粉100重量部に対して、増粘剤IIを1〜100重量部、好ましくは10〜50重量部とするものであり、増粘剤Iを含有する土壌改良注入材は、上記金属粉と前記増粘剤Iとを含有してなるものであり、その配合割合は、当該金属粉100重量部に対して、増粘剤Iを1〜100重量部、好ましくは1〜50重量部とするものである。
このような配合割合とすることで、急激な粘性発現を抑制するとともに、土壌改良注入材スラリーの混練性を向上させることが可能となる。
特に金属粉と増粘剤とを組み合わせることにより、金属粉と空気との接触を妨げ、金属粉が空気により酸化されることを防止することができるため、長期間、土壌中の汚染物質の不溶化効果を持続することができる。
また、本発明の土壌改良注入材には、必要に応じて、サリチル酸、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸ナトリウム、テヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エステル、メチルンフトキノン、有機窒素系化合物、含ハロゲン窒素硫黄系化合物、含窒素環状化合物等の防腐剤を添加して、保存安定性を高めることも可能である。
更に本発明の土壌改良注入材には、必要に応じて、セメント、高炉スラグ、石灰石粉、フライアッシュ、シリカ粉、炭酸カルシウム及び石膏からなる群より選ばれた少なくとも1種の添加材を混合することができる。
これらの添加材を混合することにより、土壌改良注入材スラリーの単位水量を減少させて、ブリーディングを抑制することができる。
前記添加材を混合した土壌改良注入材スラリーを汚染土壌に注入することにより、汚染土壌中に含まれる重金属類を難溶性物質の生成により固定化したり、水和生成物による置換固溶や表面吸着により固定化したり、及び硬化組織の緻密化により封じ込めたりすることにより、汚染物質を効率よく固化・不溶化することができるとともに、軟弱化した土壌の強度も高くすることができる。
本発明の土壌改良注入材は、水と、上記増粘剤IIとを攪拌混練し、次いで得られた材料に金属粉を添加混合して土壌改良注入材スラリーを調製することができる。
添加する混練水の量は、増粘剤及び金属粉、必要に応じて添加される防腐剤や上記添加材からなる混合材料に対し、水/前記混合材料比が、50〜500、好ましくは50〜300となるように混練水を添加することにより、本発明の土壌改良注入材スラリーを得ることができる。
また、増粘剤Iを用いた場合も、同様にして土壌改良注入材スラリーを得ることができる。
金属粉を含むスラリーを汚染土壌と混合攪拌する場合、処理土の体積変化、処理土の軟弱化を抑えるために、前記材料(金属粉及び増粘剤等)と混練水との水比を抑える必要がある。
従来の増粘剤を使用した場合、急激な増粘によりプラントでの混練性が悪化し、均一な金属粉スラリーができず、スラリーとしての圧送性も低下していたが、本発明の土壌改良注入材は、上記増粘剤を用いることで、急激な粘性の増加を抑え、金属粉スラリーの混練性を高めることができる。
更に必要に応じて添加される、セメント、高炉スラグ、石灰石粉、フライアッシュ、シリカ粉、炭酸カルシウム、石膏、防腐剤は、増粘剤とともに、または金属粉とともに攪拌混合することができる。
本発明の土壌改良注入材を、汚染物質が含まれる土壌中へ注入することにより、汚染物質を固化・不溶化することができる。
本発明の土壌改良注入材を土壌中に添加混合する工法としては、現場の土壌中にスラリーを注入散布する原位置処理工法や、ニーダー式ミキサー、パドル式ミキサー等を用いて土壌を機械的に攪拌混合する掘削処理工法を採用することができる。
以上のような土壌処理を行うことにより、土壌中に含まれる重金属の固化・不溶化を効率よく実施することができる。
本発明の次の実施例、参考例、比較例及び試験例により説明する。
使用材料
以下の実施例及び比較例において、次の原材料を使用した。
・金属粉 :還元鉄粉(比重8.0、竹内工業株式会社)
・グアガム:F−50(三菱商事株式会社)
・CMC :サンローズF1400MC(日本製紙株式会社)
・ベントナイト:スーパークレイ(豊順洋行株式会社)
・吸水性樹脂 :サンウェットIM−1000(三洋化成株式会社)
・ソーダ灰 :ソーダ灰(株式会社トクヤマ)
・増粘剤I :表1〜3中の参考例1〜12の増粘剤の配合割合参照
・増粘剤II :表3中の実施例1〜3の増粘剤の配合割合参照
但し、花王株式会社のp−トルエンスルフォン酸ナトリウム液(化合物A)とヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド液(化合物B)を1:1で混合)
・セメント:普通ポルトランドセメント(住友大阪セメント株式会社製)
・添加材 :フライアッシュ(常磐火力製)
参考例1〜3・比較例1〜3(実験例1)
表1に示す配合割合で、所定量計量した混練水に、増粘剤原料を計量・混合して作製した増粘剤Iを投入しながら、攪拌機を用いて混練してスラリーを調製した。
スラリー粘度は、回転粘度計(VT−04:リヨン株式会社製)を用いて、混練直後から120分後まで測定した。
その結果を表1に示す。
表1の結果から、比較例1及び2のグアガムやCMCを単独で使用した場合は、混練直後より高い粘性を示し、また比較例3のベントナイト主体の増粘剤を用いた場合は、混練直後の粘性は低いが、所定の粘度となるまで時間がかかりすぎることとなる。
これに対し、参考例1〜3では、混練直後の粘性が低く、5分後には30dPa・s以上と粘性が高くなる。
この特性により、金属粉を均一に混練でき、かつ金属粉の分離も起こらないスラリーとなる。
Figure 2010163619
参考例4〜5・比較例4〜5(実験例2)
表2に示す配合割合で、所定量計量した混練水に、増粘剤原料を計量・混合して作製した増粘剤Iを投入しながら、攪拌機を用いて混練して増粘剤スラリーを調製した。
増粘剤スラリー粘度を、回転粘度計(VT−04:リヨン株式会社製)を用いて、混練直後に測定した。
増粘剤スラリー混練後20分経過した後、増粘剤スラリー1mに対して、セメントスラリー(セメント2kgと水1.2kgとを配合する混合割合)を添加して、再度混合した。
そのスラリー粘度を前記粘度計を用いて、混練直後から120分後まで測定した。
その結果を表2に示す。
表2の結果から、比較例4及び5では、セメントスラリーを添加する前には、50〜70dPa・s程度であった粘度が、セメントスラリーを添加すると、約50%低下したのに対し、参考例4及び5では、セメントスラリーを添加しても、ほとんど低下していない。
この特性により、セメント等の添加剤を混合しても、粘度低下による金属粉の分離を防止することができる。
Figure 2010163619
参考例6〜12・実施例1〜3・比較例6〜8(実験例3)
表3に示す配合割合で、まず混練水に増粘剤IまたはII、さらに参考例10、11、12では添加材としてフライアッシュを投入して、攪拌機を用いて混練し、増粘剤スラリーを作製し、所定量の金属粉を投入して地盤注入材スラリーを調製した。
この時に金属粉の混練性を目視にて確認し、材料の分離性については、地盤注入材スラリーをブディージング袋(φ50mm×高さ300mmのビニール袋)に入れて、金属粉の分離状態を目視にて確認した。
参考例6〜12、実施例1〜3、比較例6〜8で得られた土壌改良注入材スラリーの特性を測定した結果を、表3及び表4に示す。
Figure 2010163619
Figure 2010163619
但し、表3及び表4中、混練性、材料分離、流動性は、以下の基準または測定方法により、評価または測定した。
・混練性
増粘剤スラリーに金属粉を投入し攪拌した場合の混練性について、以下の基準で評価した。
○・・・均一に攪拌でき分離が生じない。
×・・・初期のスラリー粘度が高く均一に攪拌できないため、ママコ状態になる。
スラリー粘度が低すぎるため、投入した金属粉が分離する。
・材料分離(ブディージング袋使用)
増粘剤スラリーに金属粉を投入し攪拌した場合の混練性について、以下の基準で評価した。
○・・・材料分離がない。(スラリー中に金属粉が均一に分散している)
△・・・ブディージング袋の上部に金属粉が少なく、下部に金属粉が多い。
×・・・ブディージング袋の下部に金属粉が沈降している。
・流動性
JIS R 5201「セメントの物理試験」のテーブルフローにより測定したフロー値である。
参考例6、7、11、実施例2および比較例6〜8で得られた各土壌改良注入材スラリーを、六価クロムを表3に示す割合(0.74および1.1mg/L)で含む2種類の土壌1m当たり、223リットルの量で注入して、ホバートミキサーを用いて十分攪拌混合し、改良土を作製した。
改良土を7日間20℃±3℃の恒温室で養生し、環境庁告示46号による六価クロム溶出試験を実施した。
また、改良土中に含まれる増粘剤スラリーの分離性について目視にて確認した。
この結果より、比較例6では注入材スラリーの粘性が低く、金属粉の分離が生じており、混練ムラも生じている。
比較例7では、注入材スラリーの粘性が高く、金属粉の分離が生じていないが、混練ムラが生じている。
また、ベントナイトを主体とする比較例8では、混練直後のスラリーの粘性が低く、混練ムラが生じている。
これに対し実施例では、スラリー中に金属粉を均一に混合することができ、混練ムラのないスラリーが調製できたことがわかる。
本発明の土壌改良注入材及び土壌汚染物質の固化・不溶化方法は、工場、工場跡地等、従来は汚染物質が問題となり有効活用を困難としていた地盤に適用することができる。

Claims (5)

  1. (1)金属粉と、(2)スルホン基を有する芳香属化合物及び/又はその塩と、アルキルトリメチルアンモニウム塩とを含有する増粘材IIと、(3)水とを含むことを特徴とする、土壌改良注入材。
  2. 請求項1記載の土壌改良注入材において、金属粉100重量部に対し、増粘剤IIを1〜100重量部含有することを特徴とする、土壌改良注入材。
  3. 請求項1又は2記載の土壌改良注入材において、更にセメント、高炉スラグ、石灰石粉、フライアッシュ、シリカ粉、炭酸カルシウム及び石膏からなる群より選ばれた少なくとも1種を含むことを特徴とする、土壌改良注入材。
  4. 水と、スルホン基を有する芳香属化合物及び/又はその塩とアルキルトリメチルアンモニウム塩とを含有する増粘剤IIとを攪拌混練する工程と、次いで前記工程で得られた材料に金属粉を添加混合して土壌改良注入材スラリーを調製する工程と、得られた土壌改良注入材スラリーを土壌中に注入する工程と、土壌改良注入材スラリーが注入された土壌を攪拌混合する工程とを備えることを特徴とする、土壌汚染物質の不溶化方法。
  5. 請求項4記載の土壌汚染物質の不溶化方法において、更にセメント、高炉スラグ、石灰石粉、フライアッシュ、シリカ粉、炭酸カルシウム及び石膏からなる群より選ばれた少なくとも1種を、増粘剤IIまたは金属粉とともに攪拌混合することを特徴とする、土壌汚染物質の不溶化方法。
JP2010029842A 2010-02-15 2010-02-15 土壌改良注入材及び当該注入材を用いた土壌汚染物質の不溶化方法 Expired - Fee Related JP5246177B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010029842A JP5246177B2 (ja) 2010-02-15 2010-02-15 土壌改良注入材及び当該注入材を用いた土壌汚染物質の不溶化方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010029842A JP5246177B2 (ja) 2010-02-15 2010-02-15 土壌改良注入材及び当該注入材を用いた土壌汚染物質の不溶化方法

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005099779A Division JP4588512B2 (ja) 2005-03-30 2005-03-30 土壌改良注入材及び当該注入材を用いた土壌汚染物質の不溶化方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010163619A true JP2010163619A (ja) 2010-07-29
JP5246177B2 JP5246177B2 (ja) 2013-07-24

Family

ID=42580022

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010029842A Expired - Fee Related JP5246177B2 (ja) 2010-02-15 2010-02-15 土壌改良注入材及び当該注入材を用いた土壌汚染物質の不溶化方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5246177B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014131793A (ja) * 2012-12-07 2014-07-17 National Agriculture & Food Research Organization 冬期の汚染土壌表層の除去工法
KR101937980B1 (ko) * 2018-01-26 2019-01-14 조은산업주식회사 토양개량제 제조용 조성물, 토양개량제 및 토양개량방법
KR101949444B1 (ko) * 2017-11-08 2019-02-18 조은산업 주식회사 토양개량제 제조용 조성물, 토양개량제 및 토양개량방법
JP6488034B1 (ja) * 2018-02-27 2019-03-20 隆 宮本 土壌改良材及び土壌改良方法
CN114349085A (zh) * 2021-12-13 2022-04-15 山东省煤炭科学研究院有限公司 高浓度高盐水增稠处理剂及其制备方法、使用方法

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08281246A (ja) * 1995-04-10 1996-10-29 Hazama Gumi Ltd 汚染土壌の処理方法
JP2003261860A (ja) * 2001-12-11 2003-09-19 Kao Corp レオロジー改質剤
JP2004091535A (ja) * 2002-08-29 2004-03-25 Sumitomo Osaka Cement Co Ltd 凍結地盤用注入材及びその製造・注入方法
JP2004105882A (ja) * 2002-09-19 2004-04-08 Civil Chemical Engineering Co Ltd 土壌浄化方法
JP2004332230A (ja) * 2003-04-30 2004-11-25 Fudo Constr Co Ltd 細粒材の圧送方法
JP2005007256A (ja) * 2003-06-18 2005-01-13 Matsuda Giken Kogyo Kk 汚染土壌不溶化固化剤

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08281246A (ja) * 1995-04-10 1996-10-29 Hazama Gumi Ltd 汚染土壌の処理方法
JP2003261860A (ja) * 2001-12-11 2003-09-19 Kao Corp レオロジー改質剤
JP2004091535A (ja) * 2002-08-29 2004-03-25 Sumitomo Osaka Cement Co Ltd 凍結地盤用注入材及びその製造・注入方法
JP2004105882A (ja) * 2002-09-19 2004-04-08 Civil Chemical Engineering Co Ltd 土壌浄化方法
JP2004332230A (ja) * 2003-04-30 2004-11-25 Fudo Constr Co Ltd 細粒材の圧送方法
JP2005007256A (ja) * 2003-06-18 2005-01-13 Matsuda Giken Kogyo Kk 汚染土壌不溶化固化剤

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014131793A (ja) * 2012-12-07 2014-07-17 National Agriculture & Food Research Organization 冬期の汚染土壌表層の除去工法
KR101949444B1 (ko) * 2017-11-08 2019-02-18 조은산업 주식회사 토양개량제 제조용 조성물, 토양개량제 및 토양개량방법
KR101937980B1 (ko) * 2018-01-26 2019-01-14 조은산업주식회사 토양개량제 제조용 조성물, 토양개량제 및 토양개량방법
CN110079329A (zh) * 2018-01-26 2019-08-02 助听产业株式会社 制造土壤改良剂的组合物、土壤改良剂及土壤改良方法
CN110079329B (zh) * 2018-01-26 2021-03-19 助听产业株式会社 制造土壤改良剂的组合物、土壤改良剂及土壤改良方法
JP6488034B1 (ja) * 2018-02-27 2019-03-20 隆 宮本 土壌改良材及び土壌改良方法
CN114349085A (zh) * 2021-12-13 2022-04-15 山东省煤炭科学研究院有限公司 高浓度高盐水增稠处理剂及其制备方法、使用方法
CN114349085B (zh) * 2021-12-13 2023-10-03 山东省煤炭科学研究院有限公司 高浓度高盐水增稠处理剂及其制备方法、使用方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP5246177B2 (ja) 2013-07-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4588512B2 (ja) 土壌改良注入材及び当該注入材を用いた土壌汚染物質の不溶化方法
JP5190587B2 (ja) 空洞充填材
JP5246177B2 (ja) 土壌改良注入材及び当該注入材を用いた土壌汚染物質の不溶化方法
CN104628324B (zh) 钻井岩屑无害化胶凝处理的药剂配方及方法
JP5063863B2 (ja) 気泡シールド工法で発生する建設排泥の処理方法
JP2008511531A (ja) 封入媒体
JP2000239660A (ja) 土壌固化剤
KR102056012B1 (ko) 실리카졸 그라우트재 제조 장치 및 제조 방법
JP2004211382A (ja) 地盤改良工法
JP6498716B2 (ja) 地盤の改良工法
JP2005007256A (ja) 汚染土壌不溶化固化剤
JP4056868B2 (ja) エアーグラウト材
JP6619193B2 (ja) 残土処理材及び残土の処理方法
JP2007111651A (ja) 変形追随遮水材
JP2006199583A (ja) 可塑性軽量注入材及びその充填工法
JPH07232148A (ja) 残土処理用固化剤および残土固化処理方法
JP2006326446A (ja) 建設汚泥の改良方法およびそれに用いる改良設備
JP6578316B2 (ja) 地盤の改良工法
JP4564647B2 (ja) 土壌固化剤
JP2003236521A (ja) フッ素汚染土壌の処理材及び処理方法
JP2012201765A (ja) 土壌改質組成物および土壌改質方法
JP3992778B2 (ja) 含水土壌の固化剤および固化方法
JP4838028B2 (ja) 汚染土壌の浄化方法
JPH1060470A (ja) 一粉型徐硬性裏込め材用組成物
JP4016462B2 (ja) 汚泥又は泥土の改質剤及び処理方法

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20121218

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130218

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130312

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130325

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5246177

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160419

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees