JP4016462B2 - 汚泥又は泥土の改質剤及び処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、汚泥又は泥土の改質剤及び処理方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、浚渫工事、建設工事、トンネル工事などの工事現場で発生する泥土や、ヘドロ、スラッジ類、あるいは上・下水処理場などで発生する汚泥を、短時間で再利用又は廃棄が容易な形態の処理土に改質することができ、特に汚泥や泥土が有害な重金属を含む場合も、安全に処理して処理土からの重金属の溶出を確実に防止することができる汚泥又は泥土の改質剤及び処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
石油井、ガス井、地熱井、トンネル工事、ダム・湖沼・河川・海底などの浚渫工事、建設工事、その他の工事現場で発生する泥土や、ヘドロ、スラッジ類、あるいは上・下水処理場などで発生する汚泥は、含水量が多く流動性に富むため、通常のダンプカーやトラックなどによる運搬作業を困難なものとしている。このため、従来はこれらの泥土に石灰あるいはセメント系の固化剤を混合して処理したり、水溶性高分子化合物又は高吸水性樹脂を混合して処理したり、天日乾燥による圧密・自然乾燥処理を行ったり、脱水処理機械により泥土を強制脱水する処理などが行われてきた。しかし、これらの方法には、処理に長時間を要する、処理土がアルカリ性となって再利用が制限される、処理土の強度が低い、特殊な設備を必要とするなど、さまざまな問題があった。
汚泥や泥土の処理に、水ガラスと他の薬剤を併用する方法が種々検討されている。例えば、水ガラスと塩化カルシウムを併用する方法(Joosten工法)や、水ガラスと消石灰を併用する方法(Rodio工法)が提案されている。しかし、これらの方法によれば、処理土のpHがアルカリ性となり、処理土の再利用が大きく制限されるという問題点がある。また、水ガラスと硫酸第二鉄及び硫酸アルミニウムカリウムなどを併用する方法が提案されているが、この方法によれば、処理土のpHは中性となるが、ゲル化時間が数秒と非常に短く、処理土の均質な処理が困難であるという問題がある。さらに、水ガラスと硫酸などの強酸を併用する方法が提案されているが、この方法によっても、処理土のゲル化速度が速すぎて処理土を均質に処理できず、固化した部分と改質が不十分な部分が生じるため全体として強度が低くなるという問題がある。
また、掘削泥土やヘドロ、汚泥などは、重金属を含有する場合があり、土壌汚染防止法においても、カドミウム、銅、鉛などの重金属が防除事業の対象とされている。したがって、このような重金属を含有する汚泥や泥土を処理土として埋立てなどに利用するに当たっては、処理土中の重金属の溶出を確実に防止する処理を施す必要がある。
従来、重金属を含有する掘削泥土やヘドロ、汚泥中の重金属溶出防止法としては、溶融法、セメント固化法、酸又はその他の溶媒による抽出法、薬剤処理法などが提案されているが、設備、運転管理、処理コスト、処理土のpHなどの面からも満足でき、容易かつ効率的に泥土や汚泥を処理して、処理土からの重金属の溶出を確実に防止できる処理技術は未だ開発されていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、含水量の多い汚泥又は泥土を、短時間でその流動性を失わせ、強度が大きく再利用の容易な処理土とすることができ、特に汚泥や泥土が有害な重金属を含む場合も、安全に処理して処理土からの重金属の溶出を確実に防止することができる汚泥又は泥土の改質剤及び処理方法を提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、汚泥又は泥土に、水ガラスとリン酸又はリン酸塩を添加して混合することにより、ゲル化速度が適切に制御されて、短時間で強度の大きい処理土となり、かつ汚泥又は泥土に重金属が含まれている場合には、重金属が固定化されて溶出しがたい状態となることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)水ガラス及びリン酸二水素アルミニウムを組み合わせてなることを特徴とする重金属を含有する汚泥又は泥土の改質剤、
(2)重金属を含有する汚泥又は泥土に、水ガラス及びリン酸二水素アルミニウムを添加することを特徴とする汚泥又は泥土の処理方法、
(3)水ガラス及びリン酸二水素アルミニウムとともに、吸水性物質を組み合わせて使用する第 ( 2 ) 項記載の汚泥又は泥土の処理方法、及び、
(4)吸水性物質が椰子屑である第 ( 3 ) 項記載の汚泥又は泥土の処理方法、
を提供するものである。
さらに、本発明の好ましい態様として、
(5)水ガラスが、水ガラス2号又は水ガラス3号である第(1)項記載の汚泥又は泥土の改質剤、
(6)水ガラスの添加量が、汚泥又は泥土100重量部に対して0.1〜30重量部である第(2)項記載の汚泥又は泥土の処理方法、
(7)リン酸二水素アルミニウムの添加量が、汚泥又は泥土100重量部に対して0.1〜20重量部である第(2)項記載の汚泥又は泥土の処理方法、
(8)水ガラスとリン酸二水素アルミニウムを、処理土のpHが5.8〜8.6となるよう添加する第(2)項記載の汚泥又は泥土の処理方法、及び、
(9)水溶性高分子化合物を併用する第(2)項記載の汚泥又は泥土の処理方法、
を挙げることができる。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の汚泥又は泥土の改質剤及び処理方法は、石油井、ガス井、地熱井、トンネル工事、基礎工事、ダム・湖沼・河川・海底などの浚渫工事、建設工事その他の工事現場で発生する泥土や、ヘドロ、スラッジ類、あるいは上・下水処理場などで発生する汚泥に適用することができる。本発明の改質剤及び処理方法によって処理することのできる泥土の含水率の上限は特に問わず、例えば、含水率が90重量%に達するような高含水率の汚泥や泥土も処理することができる。本発明は、重金属を含有する汚泥や泥土に特に好適に適用することができる。本発明の改質剤及び処理方法により処理することができる重金属としては、例えば、銅、亜鉛、鉛、カドミウム、マンガン、鉄、ニッケル、コバルト、ヒ素、アンチモン、錫、ビスマス、クロム、水銀、モリブデン、タングステン、バナジウムなどを挙げることができる。
本発明の汚泥又は泥土の改質剤は、水ガラス並びにリン酸及び/又はリン酸塩を組み合わせてなるものである。水ガラスは、一般式 Na2O・nSiO2 で表されるケイ酸ナトリウムの濃厚水溶液で、nは通常2〜4である。本発明に使用する水ガラスには特に制限はなく、例えば、JIS K 1408に規定する水ガラス1号(n=約2)、水ガラス2号(n=約2.5)、水ガラス3号(n=約3)などを挙げることができる。これらの中で、水ガラス2号と水ガラス3号を好適に使用することができる。使用する水ガラス中のSiO2含有量が25〜37重量%であり、NaO2含有量が8〜16重量%であることが好ましい。本発明において、水ガラスは、1種を単独で使用することができ、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明方法において、水ガラスの添加量は、汚泥又は泥土100重量部に対して0.1〜30重量部であることが好ましく、0.5〜20重量部であることがより好ましい。水ガラスの添加量が汚泥又は泥土100重量部に対して0.1重量部未満であると、汚泥又は泥土の固化が不十分となり、また重金属が含有される場合には、重金属を安定して固定化することが困難となるおそれがある。水ガラスの添加量は、通常は汚泥又は泥土100重量部に対して30重量部で、処理土は十分な強度となり、かつ含有される重金属は固定化されるので、汚泥又は泥土100重量部に対して30重量部を超える水ガラスの添加は通常は不必要であるのみならず、処理土を中性とする場合の中和に必要な酸の量が過大となるおそれがある。
【0006】
本発明の改質剤及び処理方法において使用するリン酸には特に制限はなく、例えば、正リン酸(H3PO4)、次亜リン酸(H3PO2)、メタ亜リン酸(HPO2)、ピロ亜リン酸(H4P2O5)、正亜リン酸(H3PO3)、次リン酸(H4P2O6)、メタリン酸(HPO3)、ピロリン酸(H4P2O7)、三リン酸(H5P3O10)、その他の縮合リン酸などを挙げることができる。本発明において使用するリン酸塩には特に制限はなく、例えば、リン酸二水素アンモニウム、リン酸二水素リチウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸二水素バリウム、リン酸二水素アルミニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素アンモニウムナトリウム、リン酸一水素アルミニウム、リン酸三アンモニウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウムなどの正リン酸の塩のほか、上記の各種のリン酸の塩などを挙げることができる。
これらの中で、正リン酸及び縮合リン酸は、少ない添加量で処理土を中性とすることができるため好適である。特に、ピロリン酸などの縮合リン酸を用いた場合は、反応が緩やかに進み、均一な固化処理が可能であるために、より強度の高い処理土を得ることができる。また、リン酸二水素アルミニウム(Al(H2PO4)3)を使用した場合は、アルミニウムが重金属の固定化効果を奏し、重金属の溶出をより低いレベルに押さえることができる。本発明において、リン酸及び/又はリン酸塩は、1種を単独で使用することができ、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明方法において、リン酸又はリン酸塩の添加量は、汚泥又は泥土100重量部に対して0.1〜20重量部であることが好ましく、0.2〜10重量部であることがより好ましい。リン酸又はリン酸塩の添加量が、汚泥又は泥土100重量部に対して0.1重量部未満であると、汚泥又は泥土の固化が不十分となり、また重金属が含有される場合には、重金属を安定して固定化することが困難となるおそれがある。リン酸又はリン酸塩の添加量は、汚泥又は泥土100重量部に対して20重量部あれば処理土は十分な強度となり、かつ含有される重金属は固定化されるので、汚泥又は泥土100重量部に対して20重量部を超えるリン酸又はリン酸塩の添加は通常は不必要である。
【0007】
本発明の汚泥又は泥土の改質剤の形態には特に制限はなく、例えば、水ガラスとリン酸又はリン酸塩を混合した1剤型の改質剤とすることができ、あるいは水ガラスとリン酸又はリン酸塩を分けた2剤型の改質剤とすることもできる。1剤型の改質剤は、水ガラスの中へリン酸又はリン酸塩を添加して混合した薬剤とすることができ、あるいは、水ガラスにさらに水を加えて得られる希釈液にリン酸又はリン酸塩を添加して溶解した薬剤とすることもできる。2剤型の改質剤は、水ガラス又はその希釈液からなる第1剤と、リン酸、リン酸塩又はこれらの水溶液からなる第2剤の組み合わせとすることができる。これらの改質剤の形態の中で、2剤型の改質剤は、それぞれの薬剤の添加時期及び添加量を任意に選択することができ、汚泥又は泥土の改質効果も大きいので、特に好適に使用することができる。
本発明の汚泥又は泥土の処理方法において、水ガラスとリン酸又はリン酸塩を添加する順序には特に制限はなく、水ガラスとリン酸又はリン酸塩を同時に添加することができ、水ガラスを添加したのちにリン酸又はリン酸塩を添加することもでき、あるいは、リン酸又はリン酸塩を添加したのちに水ガラスを添加することもできる。これらの添加方法のうち、水ガラスとリン酸又はリン酸塩を同時に添加することによっても良好な改質効果が得られるが、水ガラスとリン酸又はリン酸塩のいずれか一方を先に添加して混練したのち、他方を添加して混練する方が、各薬剤を均質に分散することができ、より高い改質効果が得られるので好ましい。水ガラスとリン酸又はリン酸塩を添加した汚泥又は泥土を混練する方法には特に制限はなく、処理すべき汚泥又は泥土の性状及び量に応じて適当な建設機械などを選択することができる。このような機械としては、例えば、パワーショベル、ドラグショベル、バックホウ、二軸混練機などを挙げることができる。
本発明方法において、水ガラスとリン酸又はリン酸塩の添加量の比には特に制限はないが、固定化処理して得られる処理土のpHが5.8〜8.6となるよう添加量の比を選択することが好ましい。水ガラスとリン酸又はリン酸塩の添加量の比は、水ガラスの種類、リン酸又はリン酸塩の種類、汚泥又は泥土の土質などに応じて適宜選択することができるが、例えば、水ガラス3号と75重量%正リン酸を用いると、多くの場合、両者の添加体積比率4:1〜5:1でこの条件が満たされる。処理土のpHが5.8〜8.6になるよう水ガラスとリン酸又はリン酸塩の添加量を選択することにより、ゲル化が適切な速度で進み、強度が大きく取り扱いやすい処理土が得られるとともに、重金属も確実に固定化される。
【0008】
本発明方法においては、水ガラスとリン酸又はリン酸塩とともに、吸水性物質や水溶性高分子化合物を組み合わせて使用することが処理土の強度が上がり好ましい。このような吸水性物質としては、椰子屑(Coir pith)、無機多孔性物質、膨潤性粘土鉱物などを挙げることができる。
椰子屑(Coir pith)は、ココヤシの実の中果皮より繊維を採取したあとに残される、通常淡褐色ないし暗褐色の短繊維状ないし粉状物質である。その性状などは、Alan W.Meerowによって、「TropicLine」第6巻、第2号、第1〜4頁(1993年)に紹介されているが、多量のリグニン及びセルロースを含有し、吸水性を有する多孔性の物質である。椰子屑(Coir pith)は、その特性として吸水効果を有し、また繊維構造によって補強効果を発揮する。掘削泥土に椰子屑(Coir pith)を添加することにより急速に掘削泥土中の水分が吸収され、処理土は繊維によって補強されるので、強度の大きい、取り扱いやすい固化した処理土が得られる。
無機多孔性物質としては、例えば、ゼオライト、パーライト、バーミキュライト、珪藻土焼成物、粘土鉱物多孔質焼成物、ケイ酸カルシウム焼成物などを挙げることができる。また、膨潤性粘土鉱物としては、例えば、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチーブンサイト、膨潤性雲母などを挙げることができる。
水溶性高分子化合物としては、例えば、デンプン、マンナン、アルギン酸ソーダ、ローカストビーンガム、グアーガム、ペクチン、キサンタンガム、デキストラン、ゼラチン、ラムザンガム、ジェランガムなどの天然水溶性高分子化合物、ビスコース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カチオン化セルロース、α化デンプン、カルボキシルデンプン、ジアルデヒドデンプン、カチオン化デンプン、デキストリン、ブリティッシュゴム、カチオン化グアーガム、アニオン化グアーガム、メチルグリコールキトサンなどの半合成水溶性高分子化合物、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリ(メタ)アクリル酸ソーダ、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルメチルエーテルなどの合成高分子化合物などを挙げることができる。水溶性高分子化合物は、増粘効果、吸水効果、凝集効果などを有し、本発明の汚泥又は泥土の改質剤に含有せしめたとき、効果的に汚泥又は泥土を強度の大きい処理土に変換する。
【0009】
本発明方法において、水ガラス並びにリン酸及び/又はリン酸塩とともに、吸水性物質又は水溶性高分子化合物を組み合わせて使用する場合、水ガラス、リン酸又はリン酸塩、吸水性物質又は水溶性高分子化合物をすべて混合して1剤として使用することができる。また、リン酸又はリン酸塩と吸水性物質を混合して1剤として汚泥又は泥土に添加したのち水ガラスを別に添加するように、水ガラス、リン酸又はリン酸塩、吸水性物質又は水溶性高分子化合物のうち、任意の2種の混合物と残りの1種の組み合わせによる2剤型として使用することもできる。さらには、水ガラス、リン酸又はリン酸塩、吸水性物質又は水溶性高分子化合物を、それぞれ別々に汚泥又は泥土に添加する3剤型として使用することもできる。これらの添加方法の中で、汚泥又は泥土に改質剤を均一に混合するためには、3剤型として使用することが好ましく、特に、水ガラスとリン酸又はリン酸塩のうちの少なくともいずれか一方を添加する前に、吸水性物質又は水溶性高分子化合物を添加することが好ましい。水ガラスとリン酸又はリン酸塩の両者を添加する前であれば、汚泥又は泥土はゲル化していないので、吸水性物質や水溶性高分子化合物を容易に均一に混合することができる。
本発明において、吸水性物質を添加するとき、その添加量は、汚泥又は泥土の土質あるいは含水率により異なり特に限定されないが、通常は汚泥又は泥土100重量部に対し0.01〜20重量部、好ましくは0.05〜10重量部である。
本発明の汚泥又は泥土の改質剤及び処理方法によれば、汚泥又は泥土中に重金属が存在する場合は、重金属がケイ酸ゲルにイオン結合されて固定化され、さらに、水難溶性のリン酸塩又は水酸化物となってケイ酸ゲルの表面及び内部に吸着され固定化されるので、汚泥又は泥土中の重金属を安定化し、確実に固定化して溶出を防止することができる。
【0010】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例において、銅の溶出量は、1972年総理府令第66号「農用地土壌汚染対策地域の指定要件に係る銅の量の検定の方法を定める総理府令」に規定された0.1M HCl抽出法により測定した。また、鉛の溶出量は、1991年環境庁告知46号「土壌の汚染に係る環境基準について」に規定された方法により測定した。
実施例1
河川浚渫現場において発生した浚渫土の処理を行った。この浚渫土は、砂分(75μm〜2mm)83重量%、シルト分(5〜75μm)10重量%、粘土分(5μm以下)3重量%を含み、含水比36.5重量%であり、銅溶出量150ppmであった。
この浚渫土1,500gをモルタルミキサーに取り、水ガラス(3号)70gを添加し、低速回転(公転62rpm、自転140±5rpm)で30秒間混練したのち、正リン酸(75重量%)14gを添加し、低速回転でさらに30秒間混練した。
正リン酸添加1時間後に、コーンペネトロメーターを使用してJIS A 1220に準じてコーン指数(静的貫入抵抗)を測定したところ、2.3kgf/cm2であった。0.1M HCl抽出法により処理土の銅溶出量を測定したところ、5ppmであった。また、処理土のpHは8.1であった。
実施例2
実施例1と同じ浚渫土1,500gをモルタルミキサーに取り、正リン酸(75重量%)22.5gを添加し、低速回転で30秒間混練したのち、水ガラス(3号)112gを添加し、低速回転でさらに30秒間混練した。
水ガラス添加1時間後に、実施例1と同様にしてコーン指数を測定したところ、4.5kgf/cm2であった。0.1M HCl抽出法により処理土の銅溶出量を測定したところ、溶出量は2ppmであった。また、処理土のpHは7.5であった。
実施例3
正リン酸(75重量%)14gの代わりに、ピロリン酸(95重量%)9.7gを添加した外は、実施例1と同じ操作を繰り返した。
ピロリン酸添加1時間後に、実施例1と同様にしてコーン指数を測定したところ、2.7kgf/cm2であった。0.1M HCl抽出法により処理土の銅溶出量を測定したところ、溶出量は4ppmであった。また、処理土のpHは7.9であった。
実施例4
水ガラス(3号)70gの代わりに水ガラス(2号)70gを添加し、正リン酸(75重量%)14gの代わりにピロリン酸(95重量%)12.6gを添加した外は、実施例1と同じ操作を繰り返した。
ピロリン酸添加1時間後に、実施例1と同様にしてコーン指数を測定したところ、3.0kgf/cm2であった。0.1M HCl抽出法により処理土の銅溶出量を測定したところ、溶出量は4ppmであった。また、処理土のpHは8.2であった。比較例1
正リン酸(75重量%)14gの代わりに、硫酸(97重量%)11.5gを添加した外は、実施例1と同じ操作を繰り返した。
硫酸添加1時間後に測定したコーン指数は、0.7kgf/cm2であった。0.1MHCl抽出法により測定した処理土の銅溶出量は、70ppmであった。また、処理土のpHは6.1であった。
実施例1〜4及び比較例1の結果を、第1表に示す。
【0011】
【表1】
【0012】
本発明の改質剤及び処理方法を用いた実施例1〜4においては、改質剤を添加し混練した1時間後には、処理土のコーン指数は2.3〜4.5kgf/cm2となり、十分な強度を有する状態となっている。また、銅の溶出量も2〜5ppmと十分に低い値となっている。これに対して、水ガラスと硫酸を用いた比較例1においては、1時間後の処理土のコーン指数は0.7kgf/cm2で強度が不足し、銅の溶出量も70ppmと多い。
実施例5
粉末粘土[丸中白土(株)、シルトF]107g、セメント試験用標準砂[山口県豊浦産]107g及び塩化鉛20mgを溶解した水道水107mlを混練し、含水比50重量%の試験用泥土300gを調製した。この試験用泥土からの鉛の溶出量は、10ppmであった。
この試験用泥土に、水ガラス(3号)17gを添加し、スパーテルで30秒間撹拌したのち、リン酸二水素アルミニウム3gを添加し、さらに30秒間スパーテルで撹拌した。
リン酸二水素アルミニウム添加1時間後に、コーンペネトロメーターを使用してJIS A 1220に準じてコーン指数を測定したところ、3.5kgf/cm2であった。環境庁告知46号の試験法により処理土からの鉛の溶出量を測定したところ、0.01ppm以下であった。また、処理土のpHは8.2であった。
実施例6
実施例5と同じ試験用泥土300gに、水ガラス(3号)17gを添加し、スパーテルで30秒間撹拌したのち、コーヒミルで粉砕した椰子屑(Coir pith)2gを添加して、スパーテルで30秒間撹拌し、その後さらにリン酸二水素アルミニウム3gを添加し、30秒間スパーテルで撹拌した。
リン酸二水素アルミニウム添加1時間後に測定したコーン指数は、5.5kgf/cm2であった。環境庁告知46号の試験法により測定した処理土からの鉛の溶出量は、0.01ppm以下であった。また、処理土のpHは8.1であった。
比較例2
リン酸二水素アルミニウム3gの代わりに、硫酸(97重量%)2.8gを添加した外は、実施例5と同じ操作を繰り返した。
硫酸添加1時間後に測定したコーン指数は、1.1kgf/cm2であった。環境庁告知46号の試験法により測定した処理土の鉛の溶出量は、0.8ppmであった。また、処理土のpHは3.5であった。
比較例3
実施例5と同じ試験用泥土300gに、コーヒミルで粉砕した椰子屑(Coir pith)15gを添加し、スパーテルで30秒間撹拌した。
椰子屑添加1時間後に測定したコーン指数は、1.8kgf/cm2であった。環境庁告知46号の試験法により測定した処理土からの鉛の溶出量は、0.02ppmであった。また、処理土のpHは7.0であった。
実施例5〜6及び比較例2〜3の結果を、第2表に示す。
【0013】
【表2】
【0014】
本発明の改質剤及び処理方法を用いた実施例5においては、改質剤を添加し混練した1時間後には、処理土のコーン指数は3.5kgf/cm2となり、十分な強度を有する状態となっている。鉛の溶出量は規制値の0.01ppmを下回り、十分に低い値である。また、実施例6においては、天然有機吸水性物質である椰子屑(Coir pith)を併用することにより、コーン指数が5.5kgf/cm2まで向上している。これに対して、水ガラスと硫酸を用いた比較例2においては、1時間後の処理土のコーン指数は1.1kgf/cm2で強度が不足し、鉛の溶出量0.8ppmで規制値の0.01ppmを大きく上回っている。また、比較例3に見られるように、椰子屑のみを大量に添加しても処理土の強度は十分に向上しないが、椰子屑は、水ガラスとリン酸塩と併用した場合には、少量の添加でも十分な改質効果が発揮される。
【0015】
【発明の効果】
本発明によれば、トンネル工事、浚渫工事、建設工事などの工事現場で発生する泥土や、ヘドロ、スラッジ類、あるいは上・下水処理場などで発生する汚泥を、短時間で再利用又は廃棄が容易な形態の処理土とすることができる。さらに、汚泥や泥土が重金属を含有する場合、重金属を安全に固定化して、処理土からの重金属の溶出を確実に防止することができる。
Claims (4)
- 水ガラス及びリン酸二水素アルミニウムを組み合わせてなることを特徴とする重金属を含有する汚泥又は泥土の改質剤。
- 重金属を含有する汚泥又は泥土に、水ガラス及びリン酸二水素アルミニウムを添加することを特徴とする汚泥又は泥土の処理方法。
- 水ガラス及びリン酸二水素アルミニウムとともに、吸水性物質を組み合わせて使用する請求項2記載の汚泥又は泥土の処理方法。
- 吸水性物質が椰子屑である請求項3記載の汚泥又は泥土の処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP24179197A JP4016462B2 (ja) | 1997-08-22 | 1997-08-22 | 汚泥又は泥土の改質剤及び処理方法 |
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