JP6065229B2 - 口腔機能の改善または向上剤、およびそれを含有する口腔用の医薬品、医薬部外品、化粧品または飲食品 - Google Patents

口腔機能の改善または向上剤、およびそれを含有する口腔用の医薬品、医薬部外品、化粧品または飲食品 Download PDF

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本発明は、口腔粘膜に対する付着性および浸透性に優れ、口腔機能の改善効果または向上効果に優れる口腔機能の改善または向上剤、およびそれを含有する口腔用の医薬品、医薬部外品、化粧品または飲食品に関する。
従来より、口腔内の保湿や清浄化、または齲蝕防止、歯周疾患の予防を目的として、口腔内保湿ジェル、洗口剤、歯磨剤など、口腔用の医薬品や医薬部外品、化粧品等の製剤が提供されてきた。
保湿を目的とした口腔用製剤は、通常プロパンジオール、グリセリン、ジグリセリン等の多価アルコール、ソルビトール、キシリトール等の糖アルコール、ヒアルロン酸等のムコ多糖類などの保湿剤を含有する水溶液に、増粘ゲル化剤を加えてジェル状とし、あるいは前記水溶液を口腔内に射出されるスプレーとして提供されている。
口腔内の清浄化を目的とする口腔用製剤は、主として液状の洗口剤、液状、ペースト状等の歯磨剤として提供され、抗菌剤を含有するものが多い。かかる抗菌剤としては、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等が用いられる。
齲蝕防止、歯周疾患の予防を目的とする口腔用製剤は、歯磨剤、歯肉マッサージ用ジェル等として提供され、モノフルオロリン酸ナトリウム等のフッ素化合物、アラントインおよびその誘導体、グリチルリチンおよびその誘導体等の抗炎症剤、ε−アミノカプロン酸等の抗プラスミン剤、ヒノキチオール、銅クロロフィリンナトリウム等の組織賦活剤などが含有される。
近年、口腔が食物の摂取(咀嚼、嚥下)のみではなく、発音や呼吸においても重要な役割を有することが指摘され、また、口腔機能と身体の運動能や、大脳の認知機能との関わりも示唆されている(非特許文献1)。
特に、高齢者や要介護者においては、加齢や疾病に伴う中枢、末梢神経の退行変性、舌根運動、咽頭の蠕動様運動の低下により、摂食・嚥下機能が低下し、栄養状態の低下や全身状態の悪化をもたらし、時には重篤な誤嚥性肺炎等の気道感染を誘発する。
また、地震、津波、豪雨等の天災やその後の避難生活においては、老若男女を問わず精神的および肉体的ストレスにさらされ、唾液分泌の低下等をきたす。かかる状況下では、口腔内の清浄化も不十分となり、口腔環境の悪化に伴い口腔機能は低下する。
従って、高齢者または要介護者、被災者等の生活の質(QOL)の向上のみならず、種々の身体機能および精神機能の維持、向上、齲蝕や歯周病、口内炎等の口腔疾患、誤嚥性肺炎等の気道感染などの予防を図る上でも、口腔リハビリテーション、すなわち、加齢、疾病、障害等により低下した口腔機能の回復や、それ以上の低下を防ぐことを目的とした口腔のリハビリテーションの重要性が高まっている。
口腔リハビリテーションには、口腔内保湿・湿潤剤、口腔内清浄化剤、歯肉マッサージ剤等の口腔用製剤が用いられ、日常的に行う口腔リハビリテーションには、高価ではなく手軽に入手でき、さらに作用が穏やかで、連用による副作用を生じる恐れのない口腔用製剤が好ましく用いられる。かかる口腔用製剤としては、水溶性の液剤やジェル剤が一般的に用いられている。
しかし、これらの水溶性の製剤は流動性が高く、口腔粘膜に対する付着性および浸透性が低いことから、特に高齢者や要介護者においては、むせ、誤飲、誤嚥等を生じるおそれがあった。
一方、油性製剤としては、口内炎、歯肉炎、舌炎等の治療に用いられる口腔内軟膏が知られている。口腔内軟膏においては、口腔粘膜に対する付着性を高めるために、ワセリン等の油脂性基剤にセルロース類やパラフィン類が添加されている。
しかし、かかる油性の口腔内軟膏は、口腔粘膜に対する付着性は高いが、浸透性に劣り、また柔軟性や展延性が、口腔内の広範な領域における塗布や、口腔内のマッサージに十分に適するとはいいがたいものであった。
また、ペースト状またはクリーム状の口腔用製剤は、ほとんどが歯磨剤として提供されており、口腔粘膜への使用を企図するものではない。
それゆえ、口腔粘膜に対する付着性および浸透性が良好で、さらに口腔内のマッサージに適する柔軟性および展延性を有し、口腔機能の改善または向上効果に優れる口腔用製剤が望まれている。
米山武義、菊谷武:「口腔ケア」;一番ヶ瀬康子監修、山岡喜美子、荏原順子編著、リーディングス介護福祉学15 介護技術、pp.105、建帛社、2005年
そこで、本発明においては、十分な柔軟性および展延性を有し、簡便に口腔粘膜に使用することができ、口腔粘膜に対する付着性および浸透性が高くて、むせ、誤飲、誤嚥等を生じにくく、かつ口腔機能の改善、向上効果に優れ、口腔リハビリテーションに適する口腔機能の改善または向上剤を提供することを目的とした。
本発明者は、上記課題を解決するべく鋭意検討したところ、オガルカヤ属植物の精油をシアバターに含有させてなる組成物は、口腔粘膜に対する付着性が良好で浸透性が高く、高い保湿性および潤滑性を有し、口腔粘膜を良好に湿潤させて柔軟化することができるとともに、高い抗菌活性を示し、口腔内の清浄化効果に優れること、さらには、痂皮除去促進作用を有し、口腔内の創傷の治癒促進効果を有することから、口腔用の医薬品、医薬部外品、化粧品等の製剤、または飲食品に用いることにより、優れた口腔機能の改善、向上効果を奏することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は次の[1]〜[12]に関する。
[1]オガルカヤ属(Cymbopogon sp.)植物の精油を含有するシアバターよりなる、口腔機能の改善または向上剤。
[2]オガルカヤ属(Cymbopogon sp.)植物の精油の含有量が0.00001重量%〜10重量%である、上記[1]に記載の口腔機能の改善または向上剤。
[3]オガルカヤ属(Cymbopogon sp.)植物が、ウェストインディアンレモングラス(Cymbopogon citratus)またはイーストインディアンレモングラス(Cymbopogon flexuosus)である、上記[1]または[2]に記載の口腔機能の改善または向上剤。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかに記載の口腔機能の改善または向上剤を含有する、口腔用医薬品。
[5]口腔機能の改善または向上剤を0.1重量%〜100重量%含有する、上記[4]に記載の口腔用医薬品。
[6]上記[1]〜[3]のいずれかに記載の口腔機能の改善または向上剤を含有する、口腔用医薬部外品。
[7]口腔機能の改善または向上剤を0.1重量%〜100重量%含有する、上記[6]に記載の口腔用医薬部外品。
[8]上記[1]〜[3]のいずれかに記載の口腔機能の改善または向上剤を含有する、口腔用化粧品。
[9]口腔機能の改善または向上剤を0.1重量%〜100重量%含有する、上記[8]に記載の口腔用化粧品。
[10]上記[1]〜[3]のいずれかに記載の口腔機能の改善または向上剤を含有する、飲食品。
[11]口腔機能の改善または向上剤を0.1重量%〜100重量%含有する、上記[10]に記載の飲食品。
[12]保健機能食品、特別用途食品または健康補助食品である、上記[10]または[11]に記載の飲食品。
本発明の口腔機能の改善または向上剤は、室温では柔軟性を有する固形状態で、口腔粘膜に対する付着性が良好であり、さらに、口腔内に適用した後は、体温により適度な粘稠性を有する液状となり、良好な潤滑性と口腔粘膜に対する浸透性を有するため、簡便に口腔粘膜に使用することができ、口腔リハビリテーションに適する。そして、口腔粘膜の湿潤作用、舌根運動、咽頭の蠕動様運動の潤滑化作用、唾液分泌促進作用、口腔内の清浄化作用、口臭防止作用、痂皮除去促進作用による口腔内創傷の治癒促進作用等を奏し、口腔機能を良好に改善し、または向上させることができる。
なお、本発明の口腔機能の改善または向上剤の有する痂皮除去作用により、口腔内の不快感が低減され、飲食物の咀嚼や嚥下における障害の低減が期待される。また、舌根運動の円滑化により、発音や構音における障害の低減が期待される。
また、本発明の口腔機能の改善または向上剤は、口腔粘膜に対する付着性が良好で、口腔内に塗布する際やマッサージを行う際に液だれを生じることがないため、むせ、誤飲、誤嚥等を生じることなく安全に適用することができ、さらに、口腔粘膜に対し低刺激性であることから、長期間の連続使用または連続摂取にも適する。
本発明の口腔機能の改善または向上剤は、オガルカヤ属(Cymbopogon sp.)植物の精油を含有するシアバターよりなる。
本発明において精油を採取するオガルカヤ属(Cymbopogon sp.)植物は、イネ科(Poaceae)に属する多年草植物であり、ウェストインディアンレモングラス(Cymbopogon citratus)、イーストインディアンレモングラス(Cymbopogon flexuosus)、ジャワシトロネラソウ(Cymbopogon winterianus Jowitt)、コウスイガヤ(Cymbopogon nardus)、キンボポゴン マルティニ(Cymbopogon martini)等が挙げられる。これらの中でも、ウェストインディアンレモングラス(Cymbopogon citratus)およびイーストインディアンレモングラス(Cymbopogon flexuosus)が好ましく用いられ、ウェストインディアンレモングラス(Cymbopogon citratus)がより好ましく用いられる。
ウェストインディアンレモングラス(Cymbopogon citratus)等のオガルカヤ属(Cymbopogon sp.)植物の精油は、一般的な精油採取法、たとえば水蒸気蒸留法、油脂吸着法、有機溶剤抽出法、超臨界気体抽出法等により得ることができるが、水蒸気蒸留法が好ましく採用される。
本発明においては、ウェストインディアンレモングラス(Cymbopogon citratus)等のオガルカヤ属(Cymbopogon sp.)植物を各栽培地より入手し、または適宜栽培して、前記植物の植物体、好ましくは葉より、水蒸気蒸留法等により採取した精油をそのまま、またはさらに精製して用いてもよく、ガイア・エヌピー株式会社、株式会社生活の木等より、「レモングラス精油」として市販されている製品を用いてもよい。
本発明の目的には、上記オガルカヤ属(Cymbopogon sp.)植物の精油としては、有機精油を用いることが好ましい。なお、「有機精油」とは、有機栽培したウェストインディアンレモングラス等のオガルカヤ属(Cymbopogon sp.)植物から水蒸気蒸留等によって分離、採取され、化学肥料や農薬の残留成分を含まず、その後の製品加工におけるすべての工程で添加物などを一切含まない精油をいう。
ウェストインディアンレモングラス(Cymbopogon citratus)等のオガルカヤ属(Cymbopogon sp.)植物の精油には、シトラール(ゲラニアール;(2E)−3,7−ジメチル−2,6−オクタジエナールおよびネラール;(Z)−3,7−ジメチル−2,6−オクテナール)、シトロネラール(3,7−ジメチル−6−オクテナール)等のモノテルペンアルデヒド類、リモネン(4−イソプロペニル−1−メチル−1−シクロヘキセン)等のモノテルペン炭化水素、ゲラニオール((2E)−3,7−ジメチル−2,6−オクタジエン−1−オール)等のモノテルペンアルコールなどが含まれ、精油成分として、分離、精製された前記成分より1種または2種以上を選択して用いてもよい。
本発明の口腔機能の改善または向上剤において、オガルカヤ属(Cymbopogon sp.)植物の精油を含有させるシアバターは、アカテツ科(Sapotaceae)シアバターノキ(Vitellaria paradoxa C.F.Gaertn.またはButyrospermum parkii)の種子の仁に含まれる植物性脂肪であり、主成分としてステアリン酸およびオレイン酸を含み、また、微量のトコフェロール、カロテノイド、トリテルペンを含む。
シアバターは、シアバターノキ種子の仁を粉砕、焙煎した後、抽出、精製して得たものを用いることもできるが、株式会社生活の木等より市販されている製品を用いることが便利である。本発明の目的には、無色、無臭であるため、精製品を用いることが好ましい。
本発明の口腔機能の改善または向上剤において、オガルカヤ属(Cymbopogon sp.)植物の精油は、正味の精油含有量として、通常0.00001重量%〜10重量%含有され、好ましくは0.0001重量%〜7重量%、より好ましくは0.001重量%〜5重量%、さらに好ましくは0.01重量%〜3重量%含有される。
本発明の口腔機能の改善または向上剤は、シアバターにオガルカヤ属(Cymbopogon sp.)植物の精油を加え、均一に混合して調製することができる。また、本発明の口腔機能の改善または向上剤には、必要に応じて、抗酸化剤、矯味剤、着色剤、分散剤等の製剤化に際し一般的に使用される添加剤を加えることができる。本発明の口腔機能の改善または向上剤は、油剤、油性軟膏等の油性製剤として調製することができる。
本発明の口腔機能の改善または向上剤は、具体的には、たとえば次のようにして製造することができる。
乳鉢、ビーカー等の陶製、磁製、ガラス製、ステンレス製等の容器を15℃〜35℃、好ましくは20℃〜33℃、より好ましくは25℃〜30℃に保温し、所定量のシアバターを入れて、オガルカヤ属(Cymbopogon sp.)植物の精油を少量(たとえば0.025mL)ずつ所定量になるまで滴下しながら混練し、均一に混合した後、箆等を用いて容器に充填する。容器としては、ガラス製、プラスチック製のびんやジャーが挙げられ、褐色ガラスびん等の遮光性容器を用いることが好ましい。
本発明の口腔機能の改善または向上剤は、また次の方法によっても製造することができる。
遮光性および防湿性に優れるアルミパウチに所定量のシアバターを入れ、40℃〜80℃、好ましくは50℃〜70℃、より好ましくは55℃〜60℃で湯煎して、シアバターを融解し、常温にて陶製、磁製、ガラス製、ステンレス製等の混合槽に移して放冷する。シアバターが固化しかけて半透明となった状態において、オガルカヤ属(Cymbopogon sp.)植物の精油を攪拌しながら滴下し、均一に混合した後、容器に充填して常温下に静置し、固化させる。容器としては、ガラス製、プラスチック製のびんやジャー、プラスチックチューブ、金属チューブ等が挙げられ、褐色ガラスびん等の遮光性容器を用いることが好ましい。
また、本発明の口腔機能の改善または向上剤は、スティック状の製剤とすることができる。
スティック状の製剤は、上記と同様にシアバターを融解した後、オガルカヤ属(Cymbopogon sp.)植物の精油を添加して均一に混合し、好ましくは脱泡してから型に充填し、室温で固化させ、次いで型から取り出して容器に装填し、フレーミングして製造することができる。または、リップスティック等、スティック状の製剤用容器に直接注入して、室温で固化させることによっても製造することができる。
本発明の口腔機能の改善または向上剤は、びん、ジャー、チューブ等の容器からスパーテル等により、または直接押し出して手指にとり、口腔内に塗布することができる。本発明の口腔機能の改善または向上剤は、直接口腔内に塗布してもよく、一旦手の甲等に戴置して体温により融解させた後、口腔内に塗布してもよい。
また、本発明の口腔機能の改善または向上剤をスティック状の剤形とした場合には、特に歯肉や舌背への塗布に適する。
本発明の口腔機能の改善または向上剤は、シアバターおよびオガルカヤ属(Cymbopogon sp.)植物の精油の総量として、成人1日あたり0.5g〜20gを用いることが好ましく、1g〜10gを用いることがより好ましく、2g〜5gを用いることがさらにより好ましい。なお、口腔機能の改善または向上剤の前記の量は、1回で使用してもよく、数回に分けて使用してもよい。
本発明の口腔機能の改善または向上剤は、そのまま、または薬学的に許容され得る担体に含有させて、口腔機能の改善または向上を目的とした口腔用の医薬品として提供することができる。薬学的に許容され得る担体としては、シアバターと相溶性のある油性担体が好ましく用いられ、スクワラン、流動パラフィン、固形パラフィン、ワセリン等の炭化水素油、アボカド油、オリーブ油、ゴマ油、サフラワー油、ヒマシ油、ヤシ油、カカオ脂、ラノリン脂等の動植物性油脂、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ホホバ油等のロウ、セタノール、ステアリルアルコール等の高級アルコールなどが例示される。本発明においては、薬学的に許容され得る担体として、前記炭化水素油、動植物性油脂、ロウおよび高級アルコール等から選択した1種を単独で用いてもよく、または2種以上を併用して用いてもよい。あるいは、医薬品の剤形によっては、水、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール、エタノール等の低級アルコールなどの水性または水混和性の液状担体を用いることもできる。
本発明の医薬品は、好ましくは口腔用軟膏剤、口腔用クリーム剤、口腔用ゲル剤等の口腔用半固形剤として提供することができ、必要に応じて、分散剤、懸濁化剤、乳化剤、増粘・ゲル化剤、抗酸化剤、pH調整剤、矯味剤、着色剤、香料等の添加剤を加えて、製剤学的に一般的な製造方法、たとえば第16改正日本薬局方製剤総則に記載された方法により、調製することができる。
本発明において、口腔用軟膏剤は、油性軟膏剤または水溶性軟膏剤として調製することができる。油性軟膏剤は通常、上記した油性担体を加温して融解し、本発明の口腔機能の改善または向上剤を加えて混合し、溶解または分散させ、全体が均質となるまで混練して調製することができる。一方、水溶性軟膏剤は通常、マクロゴール等の水性基剤を加温して融解し、本発明の口腔機能の改善または向上剤を添加して、全体が均質となるまで混練して調製することができる。
本発明において、口腔用クリーム剤は、油中水型または水中油型のクリーム剤として調製することができる。これらは通常、上記油性担体に必要に応じて乳化剤等の添加剤を加え、これに本発明の口腔機能の改善または向上剤を加えて油相とし、別に精製水、多価アルコール等の水性担体をそのまま、または必要に応じて乳化剤等の添加剤を加えて水相とし、それぞれ加温して、油相に水相を添加しまたは水相に油相を添加して混合攪拌し、乳化して調製することができる。
本発明において、口腔用ゲル剤は、好ましくは油性ゲル剤として調製することができる。油性ゲル剤は、通常、本発明の口腔機能の改善または向上剤を、グリコール類、高級アルコール等の液状の油性基剤に加えて混和し、油ゲル化剤、分散剤等の添加剤を加え、混合して、均質に膨潤させて調製することができる。
本発明の目的には、製剤の柔軟性および展延性、口腔粘膜への付着性および浸透性等の観点から、油性軟膏剤または油中水型クリーム剤として調製することが好ましく、油性軟膏剤とすることがより好ましい。
本発明はまた、本発明の口腔機能の改善または向上剤を含有する口腔用医薬部外品、すなわち、オガルカヤ属(Cymbopogon sp.)植物の精油を含有、混和させたシアバターを含有する口腔用医薬部外品を提供することができる。本発明の口腔用医薬部外品についても、上記油性担体や水性または水混和性の液状担体に本発明の口腔機能の改善または向上剤を加え、必要に応じて分散剤、懸濁化剤、乳化剤、増粘・ゲル化剤、抗酸化剤、pH調整剤、矯味剤、着色剤、防腐剤、香料等の添加剤を加えて、上記した軟膏剤、クリーム剤等の剤形とすることができる。本発明の口腔用医薬部外品は、歯肉炎、歯周炎等の歯周疾患の予防または改善薬、口腔咽頭薬、口腔内清浄化剤等として提供することができる。
本発明の口腔機能の改善または向上剤、口腔用医薬品および口腔用医薬部外品の調製において用い得る上記抗酸化剤としては、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、γ−オリザノール、クエルセチン、ジブチルヒドロキシトルエン、セージ抽出物、テトラエチルブチリデンビスフェノール、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸、ルチン等が挙げられる。
本発明の口腔機能の改善または向上剤、口腔用医薬品および口腔用医薬部外品の調製において用い得る上記矯味剤としては、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、カンゾウ抽出物、キシリトール、サッカリンナトリウム、ショ糖、スクラロース、ステビア抽出物、D−ソルビトール等の甘味剤;アジピン酸、カフェイン、ゲンチアナ抽出物、コハク酸、酢酸、クエン酸、L−酒石酸、L−酒石酸ナトリウム、フィチン酸、DL−リンゴ酸等の苦味剤または酸味剤が挙げられる。
本発明の口腔機能の改善または向上剤、口腔用医薬品および口腔用医薬部外品の調製において用い得る上記着色剤としては、三二酸化鉄、二酸化チタン等の無機顔料;アナトー色素、ウコン色素、β−カロテン、クチナシ黄色素、クロロフィル、サフラン、ストロベリー色素、タマリンド色素、ブドウ果汁、ブルーベリー色素等の天然色素;食用黄色4号、食用黄色4号アルミニウムレーキ、食用青色1号、食用青色1号アルミニウムレーキ、食用青色2号、食用青色2号アルミニウムレーキ、食用赤色102号、食用赤色104号、食用赤色2号、食用赤色2号アルミニウムレーキ、食用緑色3号、食用緑色3号アルミニウムレーキ等のタール色素;銅クロロフィリンナトリウム、グルコン酸銅等が挙げられる。
本発明の口腔機能の改善または向上剤、口腔用医薬品および口腔用医薬部外品の調製において用い得る上記分散剤もしくは懸濁剤または乳化剤としては、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤等の界面活性剤が挙げられる。非イオン性界面活性剤としては、酵素処理レシチン、酵素分解レシチン、植物レシチン、分別レシチン、卵黄レシチン等のレシチン;グリセリンモノパルミチン酸エステル、グリセリンモノステアリン酸エステル、グリセリンモノオレイン酸エステル等のグリセリン脂肪酸エステル;ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル等のショ糖脂肪酸エステル;ソルビタンモノラウリン酸エステル、ソルビタンモノパルミチン酸エステル、ソルビタンモノステアリン酸エステル、ソルビタンモノオレイン酸エステル等のソルビタン脂肪酸エステル;酢酸モノグリセリド、乳酸モノグリセリド、クエン酸モノグリセリド、ジアセチル酒石酸モノグリセリド等の有機酸モノグリセリド;ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル;ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド等の脂肪酸アルカノールアミド等が挙げられる。陰イオン性界面活性剤としては、ステアリン酸ナトリウム等の脂肪酸塩;N−ヤシ油脂肪酸アシル−DL−アラニントリエタノールアミン、N−ラウロイルサルコシンナトリウム等のN−アシルアミノ酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩等が挙げられる。陽イオン性界面活性剤としては、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸塩等が挙げられる。本発明においては、これらより1種または2種以上を選択して用いることができる。
本発明の口腔機能の改善または向上剤、口腔用医薬品および口腔用医薬部外品の調製において用い得る増粘・ゲル化剤としては、カラギーナン、キサンタンガム、プルラン、ペクチン等の増粘多糖類;カルメロースナトリウム等のセルロース誘導体;ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール等の合成水溶性高分子;ゼラチン等が挙げられる。
本発明の口腔機能の改善または向上剤、口腔用医薬品および口腔用医薬部外品の調製において用い得る上記油ゲル化剤としては、12−ヒドロキシステアリン酸、有機ベントナイト等が挙げられる。
本発明の口腔機能の改善または向上剤、口腔用医薬品および口腔用医薬部外品の調製において用い得る上記pH調整剤としては、塩酸、硫酸、硫酸ナトリウム、リン酸、リン酸一水素カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸三ナトリウム、クエン酸、クエン酸三ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等が挙げられる。
本発明の口腔機能の改善または向上剤、口腔用医薬品および口腔用医薬部外品の調製において用い得る防腐剤としては、安息香酸ナトリウム、ウンデシレノイルグリシン、フェノキシエタノール等が挙げられる。
本発明の口腔機能の改善または向上剤、口腔用医薬品および口腔用医薬部外品の調製において用い得る香料としては、DL−メントール、ビサボロール等が挙げられる。
また、本発明に係る口腔機能の改善または向上剤は、そのまま、または口腔用化粧品の調製に汎用される成分を用いて、口腔用化粧品とすることができる。これら口腔用化粧品は、好ましくは油性軟膏状、油中水型クリーム状、油性スティック状等の形状で提供される。
本発明に係る口腔機能の改善または向上剤をそのまま口腔用化粧品とする際、すなわち、オガルカヤ属(Cymbopogon sp.)植物の精油をシアバターに含有、混和させて口腔用化粧料とする際、本発明の特徴を損なわない範囲で、必要に応じて他の抗菌剤、歯周疾患防止剤、抗炎症剤等の有効成分、および抗酸化剤、矯味剤、着色剤等の一般的な添加成分を用いることができる。
上記の他の抗菌剤としては、チモール、ヒノキチオール等が挙げられ、歯周疾患防止剤としては、コレスタノール、エピコレスタノール等が挙げられる。抗炎症剤としては、アラントイン、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸ステアリル等が挙げられる。
上記抗酸化剤としては、α−トコフェロール、天然ビタミンE、γ−オリザノール、クエルセチン、没食子酸エピガロカテキン、ルチン等が挙げられる。
上記矯味剤としては、アスパルテーム、サッカリン等の甘味剤;アジピン酸、カフェイン、ナリンジン、フィチン酸等の苦味剤または酸味剤が挙げられる。
上記着色剤としては、アナトー色素、ウコン色素、β−カロテン、クチナシ黄色素、クロロフィル等の天然色素が挙げられる。
また、本発明に係る口腔機能の改善または向上剤を含有する口腔用化粧品、すなわち、オガルカヤ属(Cymbopogon sp.)植物の精油を含有、混和させたシアバターを含有する口腔用化粧品の調製においては、本発明の特徴を損なわない範囲で、他の油脂原料、保湿剤、分散剤、懸濁化剤、乳化剤、増粘・ゲル化剤、抗酸化剤、防腐剤、矯味剤、着色剤、香料等、通常口腔用化粧品に添加される成分を含有させることができる。
他の油脂原料としては、水素添加ヒマシ油等の植物性油脂;イソドデカン等の炭化水素油;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ベヘン酸等の脂肪酸;ラウリルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等の高級アルコール;ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルデシル、オレイン酸デシル等の脂肪酸エステル;シリコーン樹脂等が挙げられる。
保湿剤としては、プロパンジオール、グリセリン、ジグリセリン、ポリエチレングリコール等の多価アルコール;ソルビトール、キシリトール等の糖アルコール;ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム等のムコ多糖類等が挙げられる。
分散剤、懸濁化剤、乳化剤、増粘・ゲル化剤、抗酸化剤、防腐剤、矯味剤、着色剤および香料としては、上記したものと同様のものを用いることができる。
本発明の口腔用医薬品、口腔用医薬部外品または口腔用化粧品における上記口腔機能の改善または向上剤の含有量は、オガルカヤ属(Cymbopogon sp.)植物の精油が含有、混和されたシアバターの総量として、通常0.1重量%〜100重量%であり、好ましくは1重量%〜100重量%であり、より好ましくは10重量%〜100重量%である。
なお、本発明の口腔機能の改善または向上剤、およびこれを含有する口腔用医薬品、口腔用医薬部外品または口腔用化粧品は、咽頭部はじめ口腔粘膜に対する刺激性が低く、安全性も高いため、連続して使用することができる。
本発明の口腔機能の改善または向上剤は、そのまま、または必要に応じて通常用いられる食品添加物を加えて、口腔機能の改善または向上用飲食品とすることができる。ここで、「飲食品」とは、食品衛生法第4条に定義される「食品」、すなわち飲食物をいう。本発明の口腔機能の改善または向上用飲食品は、液状または乳状、半固形状、固形状の形態で提供することができる。
液状または乳状の飲食品としては、スープ、ソース、ドレッシング、飲料などが挙げられる。飲料としては、牛乳、豆乳、乳酸菌入り飲料等の乳飲料;チョコレート飲料等が挙げられる。
半固形状の食品としては、ヨーグルト、クリーム等が挙げられる。
固形状の食品としては、チョコレート;マーガリン、バター、ショートニング等の油脂食品;インスタントスープ等の粉末食品;グミ;カプセル状食品等が挙げられる。
本発明においては、手軽に摂取できること、本発明の口腔機能の改善または向上剤に用いるシアバターとの相溶性、および口腔粘膜に対する湿潤効果の持続性等の観点から、チョコレート、マーガリン、バター、ショートニング等の油脂食品、クリーム、カプセル状食品といった形態で提供することが好ましい。
本発明の口腔機能の改善または向上用飲食品は、上記本発明の口腔機能の改善または向上剤に、必要に応じて、甘味料、着色料、保存料、増粘安定剤、ゲル化剤、酸化防止剤、発色剤、漂白剤、防黴剤、乳化剤、膨張剤、調味料、酸味料、苦味料、光沢剤、ガムベース、栄養強化剤、製造用剤、香料等の食品添加物を加え、一般的な飲食品の製造方法により製造することができる。
本発明の口腔機能の改善または向上用飲食品は、特にヨーグルト、クリーム等の乳化物、またはカプセル等の形態で、特定保健用食品、栄養機能食品等の保健機能食品;病者用食品、高齢者用食品等の特別用途食品;健康補助食品等として提供することもできる。
なお、「保健機能食品」は、食品衛生法および健康増進法により創設され運用されている保健機能食品制度によるものであり、「特定保健用食品」および「栄養機能食品」を含む。「特定保健用食品」は、特定の保健の目的が期待できる旨の表示が許可または承認された食品であり、「栄養機能食品」は、内閣総理大臣が定める基準に従い、特定の栄養成分の機能を表示した食品である。また、特別用途食品は、健康増進法の規定により、「特別用途表示」が許可された食品である。
さらに、「健康補助食品」は、公益財団法人日本健康・栄養食品協会の設定する規格基準に従って認定された食品である。
本発明の口腔機能の改善または向上用飲食品の成人1日あたりの摂取量は、シアバターおよびオガルカヤ属(Cymbopogon sp.)植物の精油の総量として、0.5g〜20gであることが好ましく、1g〜10gであることがより好ましく、2g〜5gであることがさらにより好ましい。本発明においては、前記摂取量を1回で摂取させてもよく、数回に分けて摂取させてもよい。
本発明の口腔機能の改善または向上用飲食品を、上記保健機能食品、特別用途食品、健康補助食品などとして提供する場合には、上記した本発明の口腔機能の改善または向上用飲食品の1回あたりの摂取量を、1食摂取量単位で包装または充填された形態の飲食品中に含むことが好ましい。ここで、「1食摂取量単位で包装または充填された形態の飲食品」とは、1回に摂取するべき量の飲食品が、1個の袋や箱、ビン等の容器に包装または充填されていることをいう。
また、本発明の口腔機能の改善または向上剤は、既存の飲食品に添加して摂取させることもできる。
本発明の口腔機能の改善または向上剤を添加し得る既存の飲食品としては、マーガリン、バター、ショートニング等の油脂食品;ヨーグルト、クリーム等の乳化食品;チョコレート等が、好適なものとして挙げられる。
本発明の口腔機能の改善または向上剤は、1日あたりの摂取量が上記した範囲となるように上記飲食品に添加される。
本発明の口腔機能の改善または向上剤、およびこれを含有する口腔用医薬品、口腔用医薬部外品、口腔用化粧品あるいは飲食品は、多湿を避けて5℃〜35℃で保存することが好ましく、15℃〜25℃で保存することがさらに好ましい。
以下に本発明について、実施例により詳細に説明する。
[実施例1]口腔機能改善剤(油性軟膏剤)
イーストインディアンレモングラス(Cymbopogon flexuosus)精油を0.1重量%含有するシアバターよりなる口腔機能改善剤(油性軟膏剤)を調製した。
すなわち、アルミパウチにシアバター99.9gを量りこみ、60℃で湯煎してシアバターを融解し、次いで15℃〜25℃にて陶製の混合槽に移して放冷した。シアバターが固化しかけて半透明となった状態において、イーストインディアンレモングラス(Cymbopogon flexuosus)精油0.1gを攪拌しながら滴下し、金属製の箆を用いて均一に混合し、ガラス製遮光びんに充填して15℃〜25℃で静置し、固化させた。
なお、イーストインディアンレモングラス(Cymbopogon flexuosus)精油としては、株式会社生活の木より販売されている「生活の木 有機レモングラス」(有機精油)を用いた。また、シアバターとしては、株式会社生活の木より販売されている「生活の木 シアバター(精製)」(精製品)を用いた。
[比較例1]
上記実施例1の口腔機能改善剤において、シアバターを白色ワセリンに代替した以外は実施例1と同様に調製し、比較例1の口腔機能改善剤とした。
[比較例2]
上記実施例1の口腔機能改善剤において、イーストインディアンレモングラス(Cymbopogon flexuosus)精油を添加しない以外は実施例1と同様に調製し、比較例2の口腔機能改善剤とした。
[試験例1]臨床試験:口腔機能の改善効果
実施例1および比較例1、2の各口腔機能改善剤について、まず、男性3名、女性3名(35才〜60才、平均年齢=49.0才)を被験者として、予備的な使用試験を行った。該試験は、平成22年6月〜平成22年10月の期間に行った。
その結果、比較例1の口腔機能改善剤については、全被験者が口腔内における操作性の悪さ、口腔粘膜に基剤が残存することによる不快感および悪心を訴え、口腔リハビリテーションにおける使用継続が困難であると判断された。
従って、以下の臨床試験では、実施例1および比較例2の口腔機能改善剤を用いて、口腔リハビリテーションを実施した。
(1)被験者
実施例1および比較例2の口腔機能改善剤使用群のそれぞれにつき、臨床試験の実施についての同意を得た患者67名(女性39名、男性28名)を被験者として選択した。各群ともに、被験者の年齢は30才〜98才(平均年齢=79.3才)であり、下記表1に示す症状を主訴とした。なお、被験者のうち、口腔乾燥を呈する3名と、口腔内汚染を呈する3名において、痂皮形成の併発が認められた(従って、総症例数は73例となる)。
Figure 0006065229
(2)試験期間
本臨床試験は、平成22年12月〜平成24年12月まで、2年にわたって実施した。
(3)試験方法
上記各群の被験者に、実施例1および比較例2の各口腔機能改善剤を1.5g/回、1日1〜2回(基本的には1日2回とし、被験者の健康状態により1日1回とした)、歯科衛生士または看護師の手の甲の体温で融解し、被験者の口腔粘膜に塗布させ、口腔リハビリテーションを実施した。初診時および試験期間の終了後において、それぞれ主訴とする症状について下記の評価方法により評価した。
(i)口腔内乾燥
口腔内乾燥については、被験者の口腔内の湿潤状況および唾液の分泌状況についての所見により、「重度の乾燥が認められる」(大唾液腺および小唾液腺からの明らかな唾液分泌が認められず、口腔内の乾燥が顕著である)、「中等度の乾燥が認められる」(大唾液腺から分泌された唾液量が少なく、粘稠で気泡を巻き込んでいるため、口腔内の乾燥が明らかに認められる)、「軽度の乾燥が認められる」(大唾液腺からの唾液分泌は認められるが、分泌された唾液が粘稠であるため、口腔内の乾燥がわずかに認められる)、「異常が認められない」(唾液分泌が正常であり、口腔内の乾燥が認められない)の臨床診断基準により評価した。
(ii)口腔内汚染
口腔内汚染については、被験者の口腔内所見により、「口腔内汚染が認められる」、「口腔内汚染が認められない」の臨床診断基準により評価した。
(iii)痂皮形成
痂皮形成については、被験者の口腔内における痂皮形成に関する所見により、「痂皮形成が認められる」、「痂皮形成が認められない」の臨床診断基準により評価した。
(iv)口腔内疼痛
口内炎(口腔領域のいずれかにおいて炎症性病像を有するもので、細菌感染またはウイルス感染によるもの、あるいはアフタ性口内炎)を伴う口腔内疼痛については、被験者より聞き取りによって、「疼痛がある」、「疼痛がない」の臨床診断基準により評価した。
(v)口臭
被験者の口臭の程度については、歯科衛生士または看護師の嗅覚により、「重度の口臭が認められる」(口臭が強く、不快感を感じる)、「軽度の口臭が認められる」(口臭が認識できるが許容できる範囲内である)、「口臭が認められない」の臨床診断基準により評価した。
(vi)味覚異常
味覚異常については、被験者より聞き取りによって、「すべての味を感じない」、「特定の味を感じない」、「味覚はあるが感じにくい」、「味覚に異常がない」の臨床診断基準により評価した。
(vii)嚥下障害
嚥下障害については、被験者より聞き取りによって、「嚥下することができない」、「嚥下することが困難である」、「嚥下することに異常はない」の臨床診断基準により評価した。
上記(i)〜(vii)の各症状については、各被験者において、口腔リハビリテーションを開始した時(以下本明細書において「介入時」と表記する)に行った評価と、口腔リハビテーションの終了後に行った評価を比較して、「改善が認められる」、「介入時から維持されている」(介入時からの状態および機能が維持されている)、「改善が認められない」の3段階にて評価した。
(4)結果
臨床試験の結果を、各評価を得た症例数にて表2に示す。
Figure 0006065229
(5)考察
表2に示されるように、実施例1の口腔機能改善剤については、上記口腔リハビテーションの実施により症状の改善が認められない症例はみられなかった。また、全症例中の58.9%にあたる43例において、口腔内乾燥、口腔内汚染、痂皮形成、口腔内疼痛、口臭、味覚異常および嚥下障害のそれぞれの症状が改善されており、41.1%にあたる30例において、介入時からの状態および機能が維持されていることが認められた。
なお、「改善が認められない」と評価された症例、すなわち、器質的障害、機能的障害等により、介入時において悪化していた症状または低下していた機能に変化の見られなかった症例は皆無であった。
上記の結果より、本発明の実施例1の口腔機能改善剤を用いて口腔リハビリテーションを行うことにより、口腔機能が改善され、または維持されることが示された。
これに対し、比較例2の口腔機能改善剤については、全症例中の84.9%にあたる62例において、症状の改善は認められず、口腔内乾燥、口腔内疼痛、および嚥下障害において、各1例ずつ改善が認められたのみであった。口腔リハビリテーション開始時(介入時)からの状態および機能が維持された症例は、8例(全症例中の11.0%)であった。
なお、口腔内乾燥等において認められた改善または状態および機能の維持は、シアバターの有する保湿性に起因するものであると推察される。
[試験例2]臨床試験:口腔内の細菌数の変化
実施例1および比較例2の各口腔機能改善剤を用いて、以下の通り臨床試験を行った。
(1)被験者
摂食・嚥下機能障害を有する66才〜91才(平均年齢=80.4才)の被験者58名(女性26名、男性32名)を選択した。なお、被験者全員より、臨床試験についての同意を得た。
(2)試験実施期間
本臨床試験は、平成24年10月〜平成24年11月に実施した。
(3)試験方法
上記の各被験者に対し、実施例1および比較例2の各口腔機能改善剤1.5gを、それぞれ歯科衛生士または看護師の手の甲の体温で融解し、被験者の口腔内に塗布して口腔リハビリテーションを実施した。口腔機能改善剤を塗布する前および口腔リハビリテーションを実施した後の舌背または唾液中における細菌数を、下記の方法により測定した。
被験者の口腔内の細菌数については、細菌数測定装置「細菌カウンタDU−AAD1NP−H」(パナソニック ヘルスケア株式会社製)を用いて測定した。
すなわち、実施例1および比較例2の各口腔機能改善剤を塗布する前および口腔リハビリテーション実施後に、それぞれ被験者の舌背(22例)または唾液(36例)から試料を採取した。舌背からは、本機器に付属の定圧検体採取器具を用いて一定の加重(20g)下に滅菌綿棒にて試料採取を行い、唾液については、舌下の唾液を滅菌綿棒で採取した。試料を採取した前記綿棒を上記細菌数測定装置に設置して、各試料中の細菌数を測定した。その結果について、実施例1および比較例2の各口腔機能改善剤を用いて口腔リハビリテーションを実施することにより、被験者の舌背または唾液における細菌数に変化がみられるかどうかを検討した。
(4)結果
被験者の舌背または唾液における細菌数の変化について、表3に示す。
Figure 0006065229
(5)考察
表3に示されるように、実施例1の口腔機能改善剤を使用して口腔リハビリテーションを行うことにより、舌背における細菌数については22例中17例(77.3%)において減少が認められ、唾液中における細菌数については36例中27例(75.0%)において減少が認められた。すなわち、本発明の口腔機能改善剤を用いることにより、摂食・嚥下機能に障害の見られる患者の口腔内環境が改善されることが示唆された。
一方、比較例2の口腔機能改善剤を使用して口腔リハビリテーションを実施した場合には、舌背および唾液について細菌数の減少が認められた被験者数は、それぞれ3例(13.6%)および7例(19.4%)にとどまった。
本発明によれば、柔軟性および展延性に優れ、簡便に口腔粘膜に使用することができ、口腔粘膜への付着性が良好で、口腔粘膜に対する浸透性が高く、むせ、誤飲、誤嚥等を生じにくく、かつ口腔機能の改善、向上効果に優れ、口腔リハビリテーションに適する口腔機能の改善または向上剤を提供することができる。
また、本発明によれば、上記本発明の口腔機能の改善または向上剤を含有し、口腔粘膜への付着性が良好で、口腔粘膜に対する浸透性が高く、口腔機能の改善、向上効果に優れ、口腔リハビリテーションに適する口腔用の医薬品、医薬部外品および化粧品、ならびに口腔機能の改善または向上用飲食品を提供することができる。

Claims (12)

  1. オガルカヤ属(Cymbopogon sp.)植物の精油を含有するシアバターよりなる、口腔機能の改善または向上剤。
  2. オガルカヤ属(Cymbopogon sp.)植物の精油の含有量が0.00001重量%〜10重量%である、請求項1に記載の口腔機能の改善または向上剤。
  3. オガルカヤ属(Cymbopogon sp.)植物が、ウェストインディアンレモングラス(Cymbopogon citratus)またはイーストインディアンレモングラス(Cymbopogon flexuosus)である、請求項1または2に記載の口腔機能の改善または向上剤。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の口腔機能の改善または向上剤を含有する、口腔用医薬品。
  5. 口腔機能の改善または向上剤を0.1重量%〜100重量%含有する、請求項4に記載の口腔用医薬品。
  6. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の口腔機能の改善または向上剤を含有する、口腔用医薬部外品。
  7. 口腔機能の改善または向上剤を0.1重量%〜100重量%含有する、請求項6に記載の口腔用医薬部外品。
  8. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の口腔機能の改善または向上剤を含有する、口腔用化粧品。
  9. 口腔機能の改善または向上剤を0.1重量%〜100重量%含有する、請求項8に記載の口腔用化粧品。
  10. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の口腔機能の改善または向上剤を含有する、飲食品。
  11. 口腔機能の改善または向上剤を0.1重量%〜100重量%含有する、請求項10に記載の飲食品。
  12. 保健機能食品、特別用途食品または健康補助食品である、請求項10または11に記載の飲食品。
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