JP6064733B2 - 後席シートバックのベルトガイド - Google Patents
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Description
後席に着座する乗員は、まず、シートクッションに腰を掛けて背をシートバックに預けた後、片手(通常は、ベルトリトラクタとは反対側の手)でショルダベルトを掴み、該ショルダベルト下方に係止されているタングが、シートクッション後部のバックルに届くまで、同ショルダベルトを車両中央向き、かつ下方に向けて引出す動作を行なう。
この不快感を解消するために、ベルトガイドのベルト挿通孔をより車外側に位置させることも考えられるが、この場合には、シートベルト本来の衝突時の乗員拘束性能に影響が生ずるという新たな問題が生じてしまう。
よって、衝突時のシートベルトによる乗員拘束性能に何等影響を与えることなく、ベルトガイドの挿通孔部の構成のみによって乗員の不快感を解決することができる。
さらに、勢いよくショルダベルトを引出す場合であっても、ショルダベルトは略半円状の経路に沿って逃げていくため、ショルダベルト端部が略半円状の経路終端に擦れて引出しの抵抗になるのを低減することができる。
よって、衝突時のシートベルトによる乗員拘束性能に何等影響を与えることなく、ベルトガイドの挿通孔部の構成のみによって乗員の不快感を解決することができる効果がある。
図面は後席シートバックのベルトガイドを示すが、まず、図1,図2を参照して後部車体構造について説明する。
図2に示すように、フロアパネル1の後端部には、上方に立上がるキックアップ部2を一体または一体的に連設し、このキックアップ部2の上端から後方に向けて略水平に延びるリヤシートパン3を設けている。
このリヤシートパン3の後端部には、前低後高状に傾斜したスラント部4を介して荷室フロアパネル5を一体または一体的に連設している。
上述のキックアップ部2の後面とリヤシートパン3の前部下面との間には、車幅方向に延びる閉断面7を形成して、車体剛性の向上を図っている。
さらに、上述のリヤクロスメンバアッパ8と上下方向に対向する位置において、上述のスラント部4の下面部には車幅方向に延びるリヤクロスメンバロア10を接合固定し、このリヤクロスメンバロア10とスラント部4下面部との間には、車幅方向に延びる閉断面11を形成し、上下の各閉断面9,11をオーバラップさせて、後部車体剛性の向上を図るように構成している。
上述のリヤシートパン3、スラント部4を含む荷室フロアパネル5およびフロアパネル1の左右両サイド部には、リヤサイドフレーム16(但し、図面では、右側のリヤサイドフレームのみを示す)を設け、このリヤサイドフレーム16の前端部をサイドシル17の後端部に連結している。
上述のルーフパネル12の両サイド部には車両の前後方向に延びる閉断面構造のルーフサイドレール18を設け、このルーフサイドレール18の後端部には、リヤドア開口19と荷室14用の開口部15との間において、該ルーフサイドレール18に連続して車両の上下方向に延びるリヤピラー20を設けている。このリヤピラー20の上端部は図1に仮想線で示すように、車幅方向内方に位置するように形成されている。
図面では車両右側のリヤシート21と、中央席22(いわゆるセンタシート)の右側半分のみを示すが、車両左側のリヤシートおよび中央席22の左側半分は、その右側の構造と略左右対称に形成されている。この点については、以下に述べるシートベルト装置23およびベルトガイド25の構造についても同様である。
同様に、中央席22も、乗員が着座するシートクッション22Cと、乗員の背もたれ面を形成するシートバック22Bと、乗員の頭部を保持するヘッドレスト22Hとを備えている。
上述のベルトガイド25は、リヤシート21のシートバック21B上部においてヘッドレスト21Hよりも車外側に配置されている。また、上述のベルトリトラクタ26はリヤシート21より後方で、かつ、リヤシート21の車外側寄りに設置されている。詳しくは、上記ベルトリトラクタ26は当該リトラクタ26から前方に引出されベルトガイド25で挿通保持されるシートベルト24が図2に示すように側面視で略水平状となり、かつ、図1に示すように平面視で、シートベルト24のベルトガイド25側に対してシートベルト24のリトラクタ26側が車幅方向外側になるように設置されている。
上述のシートベルト24はベルトリトラクタ26から前方に引出され、ベルトガイド25で挿通保持され、かつシートバック21Bの前面に垂下されると共に、シートベルト24の垂下端部はリヤシートパン3等の車体側に設けられたベルトアンカ(図示せず)に固定されており、後席乗員拘束時に中間タング27をシートクッション21C後部のバックルBUに係合させると3点式シートベルトとなり、ベルトガイド25と、バックルBUに係合させた中間タング27との間のシートベルト24がショルダベルト30となり、バックルBUに係合させた中間タング27と、ボディ側のベルトアンカとの間のシートベルト24がラップベルトとなる。
なお、図6〜図9において、36はシートバックフレーム31の背面側(リヤ側面)に設けられたバックプレートである。
ベルトガイド25のベース部25Aにおける操作ボタン37配置位置の車外側には、該ベース部25Aの車両前後方向中間部から上方に立上るようにガイド部25Bと、ガイド部25Bの側部周縁および上部周縁に位置するガード部25C,25Dが設けられている。
この挿通孔部40は、車外側から(後述するボトム部41b側から)そのショルダベルト30が着用されるリヤシート21のヘッドレスト21Hに近づくにつれて下方から上方に徐々に屈曲して上昇し、ヘッドレスト21Hに向けて横向き凸となる略半円状の経路(以下単に、略半円スリット41と略記する)をなして、その上端部41aが車外側を指向して終端する車幅方向形状を有している。
また、上述の略半円スリット41の下端部が、挿通孔部40において最も位置が低くなる最低部としてのボトム部41bに設定されている。
このボトム部41bに連通連続して滑らかに上方へ湾曲しながら車幅方向の車外側に延びる上昇形状の湾曲スリット42を設け、この湾曲スリット42の車外側端部42aは、ガード部25Dのコーナ部内面で終端している。
さらに、図7に示すように、ベルトガイド25のガイド部25Bには、その車幅方向中央よりも車幅方向内側位置、すなわち、ヘッドレスト21H寄りの位置に、上下方向に延びて上端が開放され、かつ下端が上述の挿通孔部40における湾曲スリット42と連通するベルト差込み口43が形成されている。ここで、上述の各ガード部25C,25Dの上部相互間は、ベルト差込み口43の上端開放部と連通するように左右に離間形成されている。
なお、図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印Rは車両後方を示し、矢印INは車幅方向の内方を示し、矢印OUTは車幅方向の外方を示す。また、上記実施例においては車両右側の構成についてのみ説明したが、車両左側は右側のそれと略左右対称に構成されている。
よって、衝突時のシートベルト24による乗員拘束性能に何等影響を与えることなく、ベルトガイド25の挿通孔部40の構成のみによって乗員の不快感を解決することができる。
さらに、勢いよくショルダベルト30を引出す場合であっても、ショルダベルト30は略半円状の経路(略半円スリット41)に沿って逃げていくため、ショルダベルト30の端部30bが略半円状の経路(略半円スリット41)の終端(上端部41a)に擦れて引出しの抵抗になるのを低減することができる。
また、上記略半円状の経路(略半円スリット41)の下端部が、上記挿通孔部40の最低部(ボトム部41b参照)に設定されたものである(図7参照)。
さらに、上記ベルトガイド25には、そのガイド部25Bの車幅方向中央よりも車幅方向内側位置に上下方向に延びて上端が開放され、下端が上記挿通孔部40と連通するベルト差込み口43が形成されたものである(図7参照)。
加えて、上記実施例で開示したように、湾曲スリット42の車幅方向外側が上方に位置するように該湾曲スリット42を上昇形状に形成すると、乗員がショルダベルト30を取外し、この取外したショルダベルト30をベルトリトラクタ26で巻取る時、ショルダベルト30とシートバック21B前面との間の接触抵抗が可及的小さくなるので、該ベルトリトラクタ26による巻取り性能の向上を図ることができる。
この発明の後席は、実施例のリヤシート21に対応し、
以下同様に、
略半円状の経路は、略半円スリット41に対応し、
略半円状の経路の端部は、略半円スリット41の上端部41aに対応し、
挿通孔部の最低部は、ボトム部41bに対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
21B…シートバック
21H…ヘッドレスト
24…シートベルト
25…ベルトガイド
26…ベルトリトラクタ
30…ショルダベルト
30a…腹(アール部分)
30b…車幅中央側の端部
40…挿通孔部
41…略半円スリット(略半円状の経路)
41a…上端部(端部)
41b…ボトム部(最低部)
43…ベルト差込み口
Claims (3)
- 左右後席のシートバック上部において、各座席のヘッドレストよりも車外側に配置され、同シートバックより後方でかつ各座席の車外側寄りに設置されたベルトリトラクタから前方に引出した3点式シートベルトのショルダベルトを前後方向に挿通して保持する後席シートバックのベルトガイドであって、
上記ショルダベルトを挿通する略一定の隙をもって車幅方向に延在するスリット状の挿通孔部を有し、
該挿通孔部は、車外側からそのショルダベルトが着用される座席の上記ヘッドレストに近づくにつれて下方から上方に徐々に屈曲して上昇し、上記ショルダベルトを丸めて、その丸められたアール部分が上記ヘッドレスト側に向けて凸となるようにし、上記ショルダベルトの車幅中央側の端部を車外側に指向させる略半円状の経路を有しており、該車幅中央側の端部が車外側を指向して終端することを特徴とする
後席シートバックのベルトガイド。 - 上記略半円状の経路の下端部が、上記挿通孔部の最低部に設定された
請求項1に記載の後席シートバックのベルトガイド。 - 上記挿通孔部は、ショルダベルトの車幅中央側の端部が該挿通孔部の車室内側の終端部に当接した状態において、上記ショルダベルトの車幅外方側の端部が、略半円状の下端部よりも車幅外方に位置するように設けられた
請求項1または2に記載の後席シートバックのベルトガイド。
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