JP6061998B2 - 燃料電池用電極触媒、遷移金属炭窒酸化物およびその用途 - Google Patents

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Description

本発明は燃料電池用電極触媒の製造方法、遷移金属炭窒酸化物の製造方法、燃料電池用電極触媒およびその用途に関する。
高分子固体型燃料電池は、高分子固体電解質をアノードとカソードとで挟み、アノードに燃料を供給し、カソードに酸素または空気を供給して、カソードで酸素が還元されて電気を取り出す形式の燃料電池である。燃料には水素またはメタノールなどが主として用いられる。
従来、燃料電池の反応速度を高め、燃料電池のエネルギー変換効率を高めるために、燃料電池のカソード(空気極)表面やアノード(燃料極)表面には、触媒を含む層(以下「燃料電池用触媒層」とも記す。)が設けられていた。
この触媒として、一般的に貴金属が用いられており、貴金属の中でも高い電位で安定であり、活性が高い白金、パラジウムなどの貴金属が主として用いられてきた。しかし、これらの貴金属は価格が高く、また資源量が限られていることから、代替可能な触媒の開発が求められていた。
また、カソード表面に用いる貴金属は、酸性雰囲気下では溶解する場合があり、長期間に渡る耐久性が必要な用途には適さないという問題があった。このため酸性雰囲気下で腐食せず、耐久性に優れ、高い酸素還元能を有する触媒の開発が強く求められていた。
貴金属代替触媒として、貴金属を一切使わない卑金属炭化物、卑金属酸化物、卑金属炭窒酸化物、カルコゲン化合物及び炭素触媒などが報告されている(例えば、特許文献1〜特許文献4を参照)。これらの材料は、白金などの貴金属材料に比べて、安価であり、資源量が豊富である。
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載された卑金属材料を含むこれらの触媒は、実用的に充分な酸素還元能が得られていないという問題点がある。
また、特許文献3及び特許文献4に記載された触媒は、高い酸素還元触媒活性を示すが、燃料電池運転条件下での安定性が非常に低いことが問題点である。
このような貴金属代替触媒として、特許文献5及び特許文献6でのNb及びTi炭窒酸化物は上記性能を有効に発現できることから、特に注目されている。
特許文献5及び特許文献6に記載された触媒は、従来の貴金属代替触媒に比べてきわめて高性能であるが、その製造工程の一部において1600℃〜1800℃という高温下での加熱処理が必要であった(例えば特許文献5 実施例1または特許文献6 実施例1)。
このような高温加熱処理は工業的には不可能ではないが困難をともない、設備費の高騰や運転管理の困難を招き、ひいては製造コストが高くなることからより安価に製造出来る方法の開発が望まれていた。
特許文献7には炭素、窒素及び酸素を含有するカーボン含有チタンオキシナイトライドの製造に関する技術が報告されている。
しかしながら、特許文献7に記載されている製造方法では、カーボン含有チタンオキシナイトライドを製造するために、窒素含有有機化合物とチタン前駆体との反応によるチタンオキシナイトライドの製造とフェノール樹脂とチタンオキシナイトライド前駆体との反応によるカーボン含有チタンオキシナイトライド製造の二段階合成が必要であり、工程が複雑である。特に、チタンオキシナイトライド前駆体の製造は80℃での攪拌、過熱、および還流、ならびに冷却および減圧濃縮などの複雑な工程が必要であるため、製造コストが高い。
また、フェノール樹脂は3次元網目構造を持つ熱硬化性樹脂であるため、金属酸化物と均一に混合して反応させることが難しい。特に、フェノール樹脂の熱分解温度は400℃〜900℃であるため、1000℃以下の温度で、フェノール樹脂の完全分解による炭化反応が起こりにくい問題点もある。
さらに、特許文献7および非特許文献1には、その用途として太陽光集熱器用の薄膜および光触媒としての応用が記されているだけで、電極触媒として有用性の高い粒状または繊維状などの形状を持つ金属炭窒酸化物の製造方法及びその用途は開示も検討もなされていない。
特許文献8には、酸化物と炭素材料前駆体との混合材料を焼成することを特徴とする電極触媒の製造方法が開示されているが、充分な触媒性能を持つ電極触媒は得られていない。
また、特許文献9には、コバルトなどの多核錯体を用いてなる燃料電池用電極触媒が開示されているが、原料の毒性が高く、高コストであり、充分な触媒活性を持たないという問題があった。
非特許文献2には、チタンアルコキシドと炭素材料前駆体との混合材料を焼成することを特徴とする電極触媒の製造方法が開示されているが、製造工程においては、窒素を含有する有機物は使用されておらず、充分な触媒性能を持つ電極触媒は得られていない。
特開2004−303664号公報 国際公開第07/072665号パンフレット 米国特許出願公開第2004/0096728号明細書 特開2005−19332号公報 国際公開第2009/031383パンフレット 国際公開第2009/107518パンフレット 特開2009−23887号公報 特開2009−255053号公報 特開2008−258150号公報
Journal of Inorganic Materials (Chinese) 20, 4, P785 Electrochemistry Communications Volume 12, Issue 9, September 2010, Pages 1177-1179
本発明はこのような従来技術における問題点の解決を課題とする。
すなわち本発明の目的は、比較的低い温度での熱処理を経て(すなわち、高温での熱処理(焼成)工程を設けることなく)、遷移金属(チタン等)を用いた高い触媒活性を有する燃料電池用電極触媒を製造する方法を提供することである。
また、本発明の他の目的は、低コストで、高い触媒活性を有する遷移金属炭窒酸化物を製造することのできる遷移金属炭窒酸化物の製造方法を提供することである。
本発明は、たとえば以下の(1)〜(25)に関する。
(1)
少なくとも遷移金属含有化合物、窒素含有有機化合物および溶媒を混合して触媒前駆体溶液を得る工程1、
前記触媒前駆体溶液から溶媒を除去する工程2、および
工程2で得られた固形分残渣を500〜1100℃の温度で熱処理して電極触媒を得る工程3を含み、
前記遷移金属含有化合物の一部または全部が、遷移金属元素として周期表第4族および第5族の元素から選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素M1を含有する化合物であることを特徴とする燃料電池用電極触媒の製造方法。
(2)
前記遷移金属元素M1が、チタン、ジルコニウム、ニオブおよびタンタルから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記(1)に記載の燃料電池用電極触媒の製造方法。
(3)
前記工程1において、前記遷移金属含有化合物の溶液と、前記窒素含有有機化合物とを混合することを特徴とする上記(1)または(2)に記載の燃料電池用電極触媒の製造方法。
(4)
前記窒素含有有機化合物が、前記遷移金属含有化合物中の遷移金属と共にキレートを形成可能な化合物であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の燃料電池用電極触媒の製造方法。
(5)
前記工程1において、さらにジケトン構造を有する化合物からなる沈殿抑制剤を混合することを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の燃料電池用電極触媒の製造方法。
(6)
前記工程1において、前記遷移金属含有化合物の溶液と前記沈殿抑制剤とを混合し、次いで前記窒素含有有機化合物を混合することを特徴とする上記(5)に記載の燃料電池用電極触媒の製造方法。
(7)
前記遷移金属含有化合物の一部が、遷移金属元素として鉄、ニッケル、クロム、コバルト、バナジウムおよびマンガンから選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素M2を含む化合物であることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の燃料電池用電極触媒の製造方法。
(8)
前記遷移金属含有化合物が、金属硝酸塩、金属有機酸塩、金属酸塩化物、金属アルコキシド、金属ハロゲン化物、金属過塩素酸塩および金属次亜塩素酸塩からなる群から選ばれる1種類以上であることを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載の燃料電池用電極触媒の製造方法。
(9)
前記窒素含有有機化合物が、アミノ基、ニトリル基、イミド基、イミン基、ニトロ基、アミド基、アジド基、アジリジン基、アゾ基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、オキシム基、ジアゾ基、およびニトロソ基、ならびにピロール環、ポルフィリン環、イミダゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、およびピラジン環から選ばれる1種類以上を分子中に有することを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれかに記載の燃料電池用電極触媒の製造方法。
(10)
前記窒素含有有機化合物が、水酸基、カルボキシル基、アルデヒド基、酸ハライド基、スルホ基、リン酸基、ケトン基、エーテル基、およびエステル基から選ばれる1種類以上を分子中に有することを特徴とする上記(1)〜(9)のいずれかに記載の燃料電池用電極触媒の製造方法。
(11)
前記工程3において、前記固形分残渣を、水素ガスを0.01体積%以上10体積%以下含む雰囲気中で熱処理することを特徴とする上記(1)〜(10)のいずれかに記載の燃料電池用電極触媒の製造方法。
(12)
前記工程3が、工程2で得られた固形分残渣を500〜1100℃の温度で熱処理し、得られた熱処理物を解砕して電極触媒を得る工程であることを特徴とする上記(1)〜(11)のいずれかに記載の燃料電池用電極触媒の製造方法。
(13)
上記(1)〜(12)のいずれかに記載の製造方法で得られた燃料電池用電極触媒であって、該触媒を構成する遷移金属元素、炭素、窒素および酸素の原子数の比(遷移金属元素:炭素:窒素:酸素)が1:x:y:z(ただし、0<x≦7、0<y≦2、0<z≦3である。)であることを特徴とする燃料電池用電極触媒。
(14)
上記(7)に記載の製造方法で得られた燃料電池用電極触媒であって、該触媒を構成する遷移金属元素M1、遷移金属元素M2、炭素、窒素および酸素の原子数の比(遷移金属元素M1:遷移金属元素M2:炭素:窒素:酸素)が(1−a):a:x:y:z(ただし、0<a≦0.5、0<x≦7、0<y≦2、0<z≦3である。)であることを特徴とする燃料電池用電極触媒。
(15)
窒素含有有機化合物と分子中に酸素を含む遷移金属化合物との混合物を500℃以上1000℃以下の温度で熱処理することを特徴とする遷移金属炭窒酸化物の製造方法。
(16)
上記(15)に記載の遷移金属炭窒酸化物の製造方法により製造された遷移金属炭窒酸化物であって、その組成式が、mCxyz(ただし、mは遷移金属元素であり、x、y、zは原子数の比を表わし、0<x≦3、0<y≦2、0<z≦3である。)で表されることを特徴とする遷移金属炭窒酸化物。
(17)
上記(16)に記載の遷移金属炭窒酸化物を含むことを特徴とする燃料電池用電極触媒。
(18)
BET法で算出される比表面積が30〜350m2/gであることを特徴とする上記(13)、(14)または(17)に記載の燃料電池用電極触媒。
(19)
上記(13)、(14)、(17)または(18)に記載の燃料電池用電極触媒を含むことを特徴とする燃料電池用触媒層。
(20)
電子伝導性粒子をさらに含むことを特徴とする上記(19)に記載の燃料電池用触媒層。
(21)
上記(20)に記載の燃料電池用触媒層と多孔質支持層とを有することを特徴とする電極。
(22)
カソードとアノードと前記カソードおよび前記アノードの間に配置された電解質膜とを有する膜電極接合体であって、前記カソードおよび/または前記アノードが上記(21)に記載の電極であることを特徴とする膜電極接合体。
(23)
上記(22)に記載の膜電極接合体を備えることを特徴とする燃料電池。
(24)
固体高分子形燃料電池であることを特徴とする上記(23)に記載の燃料電池。
(25)
発電機能、発光機能、発熱機能、音響発生機能、運動機能、表示機能および充電機能からなる群より選ばれる少なくとも一つの機能を有する物品であって、上記(23)または(24)に記載の燃料電池を備えることを特徴とする物品。
本発明の燃料電池用電極触媒の製造方法によれば、比較的低い温度での熱処理を経て(すなわち、高温での熱処理(焼成)工程を設けることなく)、遷移金属(チタン等)を用いた高い触媒活性を有する燃料電池用電極触媒を製造することができる。
また、本発明の遷移金属炭窒酸化物の製造方法によれば、遷移金属炭窒酸化物を従来の方法よりも低温で製造することができるので、製造コストを削減することができ、製造工程の安全性を向上させることができる。
図1は、実施例1−1の触媒(1)の粉末X線回折スペクトルである。 図2は、実施例1−2の触媒(2)の粉末X線回折スペクトルである。 図3は、実施例1−3の触媒(3)の粉末X線回折スペクトルである。 図4は、実施例1−4の触媒(4)の粉末X線回折スペクトルである。 図5は、実施例1−5の触媒(5)の粉末X線回折スペクトルである。 図6は、参考例1−6の触媒(6)の粉末X線回折スペクトルである。 図7は、参考例1−7の触媒(7)の粉末X線回折スペクトルである。 図8は、実施例1−8の触媒(8)の粉末X線回折スペクトルである。 図9は、実施例2−1の燃料電池用電極(1)の酸素還元能を評価した電流−電位曲線を示す。 図10は、実施例2−2の燃料電池用電極(2)の酸素還元能を評価した電流−電位曲線を示す。 図11は、参考例2−3の燃料電池用電極(3)の酸素還元能を評価した電流−電位曲線を示す。 図12は、参考例2−4の燃料電池用電極(4)の酸素還元能を評価した電流−電位曲線を示す。 図13は、実施例2−5の燃料電池用電極(5)の酸素還元能を評価した電流−電位曲線を示す。 図14は、実施例3−1の触媒の粉末X線回折スペクトルである。 図15は、実施例3−1の燃料電池用電極の酸素還元能を評価した酸素還元電流密度−電位曲線を示す。 図16は、参考例3−2の燃料電池用電極の酸素還元能を評価した酸素還元電流密度−電位曲線を示す。 図17は、実施例3−3の燃料電池用電極の酸素還元能を評価した酸素還元電流密度−電位曲線を示す。 図18は、参考例3−4の燃料電池用電極の酸素還元能を評価した酸素還元電流密度−電位曲線を示す。 図19は、実施例3−5の燃料電池用電極の酸素還元能を評価した酸素還元電流密度−電位曲線を示す。 図20は、実施例3−6の燃料電池用電極の酸素還元能を評価した酸素還元電流密度−電位曲線を示す。 図21は、実施例3−7の燃料電池用電極の酸素還元能を評価した酸素還元電流密度−電位曲線を示す。 図22は、実施例3−8の燃料電池用電極の酸素還元能を評価した酸素還元電流密度−電位曲線を示す。 図23は、参考例3−9の燃料電池用電極の酸素還元能を評価した酸素還元電流密度−電位曲線を示す。 図24は、実施例3−11の燃料電池用電極の酸素還元能を評価した酸素還元電流密度−電位曲線を示す。 図25は、実施例3−12の燃料電池用電極の酸素還元能を評価した酸素還元電流密度−電位曲線を示す。 図26は、実施例3−13の燃料電池用電極の酸素還元能を評価した酸素還元電流密度−電位曲線を示す。 図27は、実施例3−14の燃料電池用電極の酸素還元能を評価した酸素還元電流密度−電位曲線を示す。 図28は、実施例3−15の燃料電池用電極の酸素還元能を評価した酸素還元電流密度−電位曲線を示す。 図29は、実施例3−16の燃料電池用電極の酸素還元能を評価した酸素還元電流密度−電位曲線を示す。 図30は、実施例3−17の燃料電池用電極の酸素還元能を評価した酸素還元電流密度−電位曲線を示す。 図31は、実施例3−18の燃料電池用電極の酸素還元能を評価した酸素還元電流密度−電位曲線を示す。 図32は、参考例3−19の燃料電池用電極の酸素還元能を評価した酸素還元電流密度−電位曲線を示す。 図33は、参考例3−20の燃料電池用電極の酸素還元能を評価した酸素還元電流密度−電位曲線を示す。 図34は、参考例3−21の燃料電池用電極の酸素還元能を評価した酸素還元電流密度−電位曲線を示す。 図35は、参考例3−22の燃料電池用電極の酸素還元能を評価した酸素還元電流密度−電位曲線を示す。 図36は、実施例3−23の燃料電池用電極の酸素還元能を評価した酸素還元電流密度−電位曲線を示す。 図37は、実施例3−24の燃料電池用電極の酸素還元能を評価した酸素還元電流密度−電位曲線を示す。 図38は、実施例3−25の燃料電池用電極の酸素還元能を評価した酸素還元電流密度−電位曲線を示す。 図39は、参考例3−26の燃料電池用電極の酸素還元能を評価した酸素還元電流密度−電位曲線を示す。 図40は、実施例3−27の燃料電池用電極の酸素還元能を評価した酸素還元電流密度−電位曲線を示す。 図41は、実施例3−28の燃料電池用電極の酸素還元能を評価した酸素還元電流密度−電位曲線を示す。 図42は、参考例3−29の燃料電池用電極の酸素還元能を評価した酸素還元電流密度−電位曲線を示す。 図43は、参考例3−30の燃料電池用電極の酸素還元能を評価した酸素還元電流密度−電位曲線を示す。 図44は、参考例3−31の燃料電池用電極の酸素還元能を評価した酸素還元電流密度−電位曲線を示す。 図45は、実施例3−32の燃料電池用電極の酸素還元能を評価した酸素還元電流密度−電位曲線を示す。 図46は、実施例3−33の燃料電池用電極の酸素還元能を評価した酸素還元電流密度−電位曲線を示す。 図47は、実施例3−34の燃料電池用電極の酸素還元能を評価した酸素還元電流密度−電位曲線を示す。 図48は、実施例3−36の燃料電池用電極の酸素還元能を評価した酸素還元電流密度−電位曲線を示す。 図49は、実施例3−37の燃料電池用電極の酸素還元能を評価した酸素還元電流密度−電位曲線を示す。 図50は、実施例3−38の燃料電池用電極の酸素還元能を評価した酸素還元電流密度−電位曲線を示す。 図51は、実施例3−39の燃料電池用電極の酸素還元能を評価した酸素還元電流密度−電位曲線を示す。 図52は、実施例3−40の燃料電池用電極の酸素還元能を評価した酸素還元電流密度−電位曲線を示す。 図53は、実施例3−41の燃料電池用電極の酸素還元能を評価した酸素還元電流密度−電位曲線を示す。 図54は、実施例3−42燃料電池用電極の酸素還元能を評価した酸素還元電流密度−電位曲線を示す。 図55は、実施例3−43燃料電池用電極の酸素還元能を評価した酸素還元電流密度−電位曲線を示す。 図56は、比較例3−1の燃料電池用電極の酸素還元能を評価した酸素還元電流密度−電位曲線を示す。 図57は、比較例3−2の燃料電池用電極の酸素還元能を評価した酸素還元電流密度−電位曲線を示す。 図58は、比較例3−3の燃料電池用電極の酸素還元能を評価した酸素還元電流密度−電位曲線を示す。 図59は、比較例3−4の燃料電池用電極の酸素還元能を評価した酸素還元電流密度−電位曲線を示す。 図60は、比較例3−5の燃料電池用電極の酸素還元能を評価した酸素還元電流密度−電位曲線を示す。
[燃料電池用電極触媒の製造方法]
本発明の燃料電池用電極触媒の製造方法は、
少なくとも遷移金属含有化合物、窒素含有有機化合物および溶媒を混合して溶液(本明細書において「触媒前駆体溶液」とも記す。)を得る工程1、
前記触媒前駆体溶液から溶媒を除去する工程2、および
工程2で得られた固形分残渣を500〜1100℃の温度で熱処理して電極触媒を得る工程3を含み、
前記遷移金属含有化合物の一部または全部が、遷移金属元素として周期表第4族および第5族の元素から選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素M1を含有する化合物であることを特徴としている。なお本明細書において、特段の事情がない限り、原子およびイオンを、厳密に区別することなく「原子」と記載する。
(工程1)
工程1では、少なくとも遷移金属含有化合物、窒素含有有機化合物および溶媒を混合して触媒前駆体溶液を得る。
前記混合の手順としては、たとえば、
手順(i):1つの容器に溶媒を準備し、そこへ前記遷移金属含有化合物および前記窒素含有有機化合物を添加し、溶解させて、これらを混合する、
手順(ii):前記遷移金属含有化合物の溶液、および前記窒素含有有機化合物の溶液を準備し、これらを混合するが挙げられる。
各成分に対して溶解性の高い溶媒が異なる場合には、手順(ii)が好ましい。また、前記遷移金属含有化合物が、たとえば、後述する金属ハロゲン化物の場合には、手順(i)が好ましく、前記遷移金属含有化合物が、たとえば、後述する金属アルコキシドまたは金属錯体の場合には、手順(ii)が好ましい。
前記遷移金属含有化合物として後述する第1の遷移金属含有化合物および第2の遷移金属含有化合物を用いる場合の、前記手順(ii)における好ましい手順としては、
手順(ii'):前記第1の遷移金属含有化合物の溶液、ならびに前記第2の遷移金属含有化合物および前記窒素含有有機化合物の溶液を準備し、これらを混合するが挙げられる。
混合操作は、溶媒への各成分の溶解速度を高めるために、撹拌しながら行うことが好ましい。
遷移金属含有化合物の溶液と窒素含有有機化合物の溶液とを混合する場合には、一方の溶液に対して他方の溶液を、ポンプ等を用いて一定の速度で供給することが好ましい。
また、窒素含有有機化合物の溶液へ遷移金属含有化合物の溶液を少量ずつ添加する(すなわち、全量を一度に添加しない。)ことも好ましい。
前記触媒前駆体溶液には遷移金属含有化合物と窒素含有有機化合物との反応生成物が含まれると考えられる。溶媒へのこの反応生成物の溶解度は、遷移金属含有化合物、窒素含有有機化合物および溶媒等の組み合わせによっても異なる。
このため、たとえば遷移金属含有化合物が金属アルコキシドまたは金属錯体の場合には、前記触媒前駆体溶液は、溶媒の種類、窒素含有有機化合物の種類にもよるが、好ましくは沈殿物や分散質を含まず、含むとしてもこれらは少量(たとえば溶液全量の10重量%以下、好ましくは5重量%以下、より好ましくは1重量%以下。)である。また、前記触媒前駆体溶液は、好ましくは澄明であり、たとえばJIS K0102に記載された液体の透視度の測定法において測定された値が、好ましくは1cm以上、より好ましくは2cm以上、さらに好ましくは5cm以上である。
一方、たとえば遷移金属含有化合物が金属ハロゲン化物の場合には、前記触媒前駆体溶液中には、溶媒の種類、窒素含有有機化合物の種類にもよるが、遷移金属含有化合物と窒素含有有機化合物との反応生成物と考えられる沈殿物が生じやすい。
工程1では、オートクレーブ等の加圧可能な容器に遷移金属含有化合物、窒素含有有機化合物、溶媒を入れ、常圧以上の圧力をかけながら、混合を行ってもよい。
遷移金属含有化合物と窒素含有有機化合物と溶媒とを混合する際の温度は、たとえば、0〜60℃である。遷移金属含有化合物と窒素含有有機化合物とから錯体が形成されると推測されるところ、この温度が過度に高いと、溶媒が水を含む場合に錯体が加水分解され水酸化物の沈殿を生じ、優れた触媒が得られないと考えられ、この温度が過度に低いと、錯体が形成される前に遷移金属含有化合物が析出してしまい、優れた触媒が得られないと考えられる。
<遷移金属含有化合物>
前記遷移金属含有化合物の一部または全部は、遷移金属元素として周期表第4族および第5族の元素から選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素M1を含有する化合物である。前記遷移金属元素M1としては、具体的にはチタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブおよびタンタルが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
遷移金属元素M1の中でも、コストおよび得られる触媒の性能の観点から、チタン、ジルコニウム、ニオブおよびタンタルが好ましく、チタンおよびジルコニウムがさらに好ましい。
前記遷移金属含有化合物は、好ましくは、酸素原子およびハロゲン原子から選ばれる少なくとも1種を有しており、その具体例としては、金属リン酸塩、金属硫酸塩、金属硝酸塩、金属有機酸塩、金属酸ハロゲン化物(金属ハロゲン化物の中途加水分解物)、金属アルコキシド、金属ハロゲン化物、金属ハロゲン酸塩および金属次亜ハロゲン酸塩、金属錯体が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
前記金属アルコキシドとしては、前記遷移金属のメトキシド、プロポキシド、イソプロポキシド、エトキシド、ブトキシド、およびイソブトキシドが好ましく、前記遷移金属のイソプロポキシド、エトキシドおよびブトキシドがさらに好ましい。前記金属アルコキシドは、1種のアルコキシ基を有していてもよく、2種以上のアルコキシ基を有していてもよい。
酸素原子を有する遷移金属含有化合物としては、アルコキシド、アセチルアセトン錯体、酸塩化物および硫酸塩が好ましく、コストの面から、アルコキシド、アセチルアセトン錯体がより好ましく、前記液相中の溶媒への溶解性の観点から、アルコキシド、アセチルアセトン錯体がさらに好ましい。
前記金属ハロゲン化物としては、前記遷移金属の塩化物、臭化物およびヨウ化物が好ましく、前記金属酸ハロゲン化物としては、前記遷移金属の酸塩化物、酸臭化物、酸ヨウ化物が好ましい。
金属過ハロゲン酸塩としては金属過塩素酸塩が好ましく、金属次亜ハロゲン酸塩としては金属次亜塩素酸塩が好ましい。
前記遷移金属含有化合物の具体例としては、
チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、チタンテトライソブトキシド、チタンテトラペントキシド、チタンテトラアセチルアセトナート、チタンオキシジアセチルアセトナート、トリス(アセチルアセトナト)第二チタン塩化物([Ti(acac)3]2[TiCl6])、四塩化チタン、三塩化チタン、オキシ塩化チタン、四臭化チタン、三臭化チタン、オキシ臭化チタン、四ヨウ化チタン、三ヨウ化チタン、オキシヨウ化チタン等のチタン化合物;
ニオブペンタメトキシド、ニオブペンタエトキシド、ニオブペンタイソプロポキシド、ニオブペンタブトキシド、ニオブペンタペントキシド、五塩化ニオブ、オキシ塩化ニオブ、五臭化ニオブ、オキシ臭化ニオブ、五ヨウ化ニオブ、オキシヨウ化ニオブ等のニオブ化合物;
ジルコニウムテトラメトキシド、ジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムテトラプロポキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラブトキシド、ジルコニウムテトライソブトキシド、ジルコニウムテトラペントキシド、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、四塩化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、四臭化ジルコニウム、オキシ臭化ジルコニウム、四ヨウ化ジルコニウム、オキシヨウ化ジルコニウム等のジルコニウム化合物;
タンタルペンタメトキシド、タンタルペンタエトキシド、タンタルペンタイソプロポキシド、タンタルペンタブトキシド、タンタルペンタペントキシド、タンタルテトラエトキシアセチルアセトナート、五塩化タンタル、オキシ塩化タンタル、五臭化タンタル、オキシ臭化タンタル、五ヨウ化タンタル、オキシヨウ化タンタル等のタンタル化合物;
ハフニウムテトラメトキシド、ハフニウムテトラエトキシド、ハフニウムテトラプロポキシド、ハフニウムテトライソプロポキシド、ハフニウムテトラブトキシド、ハフニウムテトライソブトキシド、ハフニウムテトラペントキシド、ハフニウムテトラアセチルアセトナート、四塩化ハフニウム、オキシ塩化ハフニウム、臭化ハフニウム、オキシ臭化ハフニウム、ヨウ化ハフニウム、オキシヨウ化ハフニウム等のハフニウム化合物;
バナジウムオキシトリメトキシド、バナジウムオキシトリエトキシド、バナジウムオキシトリイソプロポキシド、バナジウムオキシトリブトキシド、バナジウム(III)アセチルアセトナート、バナジウム(IV)アセチルアセトナート、五塩化バナジウム、オキシ塩化バナジウム、五臭化バナジウム、オキシ臭化バナジウム、五ヨウ化バナジウム、オキシヨウ化バナジウム等のバナジウム化合物が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
これらの化合物の中でも、得られる触媒が均一な粒径の微粒子となり、その活性が高いことから、
チタンテトラエトキシド、四塩化チタン、オキシ塩化チタン、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラアセチルアセトナート、
ニオブペンタエトキシド、五塩化ニオブ、オキシ塩化ニオブ、ニオブペンタイソプロポキシド、
ジルコニウムテトラエトキシド、四塩化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、
タンタルペンタメトキシド、タンタルペンタエトキシド、五塩化タンタル、オキシ塩化タンタル、タンタルペンタイソプロポキシド、およびタンタルテトラエトキシアセチルアセトナートが好ましく、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラアセチルアセトナート、ニオブエトキシド、ニオブイソプロポキシド、オキシ塩化ジルコニウム、ジルコニウムテトライソプロポキシド、およびタンタルペンタイソプロポキシドがさらに好ましい。
また、前記遷移金属含有化合物として、遷移金属元素として周期表第4族または第5族の遷移金属元素M1を含む遷移金属含有化合物(以下「第1の遷移金属含有化合物」ともいう。)と共に、遷移金属元素として、遷移金属元素M1とは異なる元素であって、鉄、ニッケル、クロム、コバルト、バナジウムおよびマンガンから選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素M2を含む遷移金属含有化合物(以下「第2の遷移金属含有化合物」ともいう。)が併用されてもよい。第2の遷移金属含有化合物を用いると、得られる触媒の性能が向上する。
触媒のXPSスペクトルの観察から、第2の遷移金属含有化合物を用いると、遷移金属元素M1(たとえばチタン)と窒素原子との結合形成が促進され、その結果、触媒の性能が向上するのではないかと推測される。
第2の遷移金属含有化合物中の遷移金属元素M2としては、コストと得られる触媒の性能とのバランスの観点から、鉄およびクロムが好ましく、鉄がさらに好ましい。
第2の遷移金属含有化合物の具体例としては、
塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)、硫化鉄(II)、硫化鉄(III)、フェロシアン化カリウム、フェリシアン化カリウム、フェロシアン化アンモニウム、フェリシアン化アンモニウム、フェロシアン化鉄、硝酸鉄(II)、硝酸鉄(III)、シュウ酸鉄(II)、シュウ酸鉄(III)、リン酸鉄(II)、リン酸鉄(III)フェロセン、水酸化鉄(II)、水酸化鉄(III)、酸化鉄(II)、酸化鉄(III)、四酸化三鉄、酢酸鉄(II)、乳酸鉄(II)、クエン酸鉄(III)等の鉄化合物;
塩化ニッケル(II)、硫酸ニッケル(II)、硫化ニッケル(II)、硝酸ニッケル(II)、シュウ酸ニッケル(II)、リン酸ニッケル(II)、ニッケルセン、水酸化ニッケル(II)、酸化ニッケル(II)、酢酸ニッケル(II)、乳酸ニッケル(II)等のニッケル化合物;
塩化クロム(II)、塩化クロム(III)、硫酸クロム(III)、硫化クロム(III)、硝酸クロム(III)、シュウ酸クロム(III)、リン酸クロム(III)、水酸化クロム(III)、酸化クロム(II)、酸化クロム(III)、酸化クロム(IV)、酸化クロム(VI)、酢酸クロム(II)、酢酸クロム(III)、乳酸クロム(III)等のクロム化合物;
塩化コバルト(II)、塩化コバルト(III)、硫酸コバルト(II)、硫化コバルト(II)、硝酸コバルト(II)、硝酸コバルト(III)、シュウ酸コバルト(II)、リン酸コバルト(II)、コバルトセン、水酸化コバルト(II)、酸化コバルト(II)、酸化コバルト(III)、四酸化三コバルト、酢酸コバルト(II)、乳酸コバルト(II)等のコバルト化合物;
塩化バナジウム(II)、塩化バナジウム(III)、塩化バナジウム(IV)、オキシ硫酸バナジウム(IV)、硫化バナジウム(III)、オキシシュウ酸バナジウム(IV)、バナジウムメタロセン、酸化バナジウム(V)、酢酸バナジウム、クエン酸バナジウム等のバナジウム化合物;
塩化マンガン(II)、硫酸マンガン(II)、硫化マンガン(II)、硝酸マンガン(II)、シュウ酸マンガン(II)、水酸化マンガン(II)、酸化マンガン(II)、酸化マンガン(III)、酢酸マンガン(II)、乳酸マンガン(II)、クエン酸マンガン等のマンガン化合物が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
これらの化合物の中でも、
塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、フェロシアン化カリウム、フェリシアン化カリウム、フェロシアン化アンモニウム、フェリシアン化アンモニウム、酢酸鉄(II)、乳酸鉄(II)、
塩化ニッケル(II)、酢酸ニッケル(II)、乳酸ニッケル(II)、
塩化クロム(II)、塩化クロム(III)、酢酸クロム(II)、酢酸クロム(III)、乳酸クロム(III)、
塩化コバルト(II)、塩化コバルト(III)、酢酸コバルト(II)、乳酸コバルト(II)、
塩化バナジウム(II)、塩化バナジウム(III)、塩化バナジウム(IV)、オキシ硫酸バナジウム(IV)、酢酸バナジウム、クエン酸バナジウム、
塩化マンガン(II)、酢酸マンガン(II)、乳酸マンガン(II)が好ましく、
塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、フェロシアン化カリウム、フェリシアン化カリウム、フェロシアン化アンモニウム、フェリシアン化アンモニウム、酢酸鉄(II)、乳酸鉄(II)、塩化クロム(II)、塩化クロム(III)、酢酸クロム(II)、酢酸クロム(III)、乳酸クロム(III)がさらに好ましい。
<窒素含有有機化合物>
前記窒素含有有機化合物としては、前記遷移金属含有化合物中の金属原子に配位可能な配位子となり得る化合物(好ましくは、単核の錯体を形成し得る化合物)が好ましく、多座配位子(好ましくは、2座配位子または3座配位子)となり得る(キレートを形成し得る)化合物がさらに好ましい。
前記窒素含有有機化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記窒素含有有機化合物は、好ましくは、アミノ基、ニトリル基、イミド基、イミン基、ニトロ基、アミド基、アジド基、アジリジン基、アゾ基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、オキシム基、ジアゾ基、ニトロソ基などの官能基、またはピロール環、ポルフィリン環、イミダゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環などの環(これらの官能基および環をまとめて「含窒素分子団」ともいう。)を有する。
前記窒素含有有機化合物は、含窒素分子団を分子内に有すると、工程1での混合を経て、前記遷移金属含有化合物に由来する遷移金属原子により強く配位することができると考えられる。
前記含窒素分子団の中では、アミノ基、イミン基、アミド基、ピロール環、ピリジン環およびピラジン環がより好ましく、アミノ基、イミン基、ピロール環およびピラジン環がさらに好ましく、アミノ基およびピラジン環が、得られる触媒の活性が特に高くなることから、特に好ましい。
前記窒素含有有機化合物(ただし、酸素原子を含まない。)の具体例としては、メラミン、エチレンジアミン、エチレンジアミン・二塩酸塩、トリアゾール、アセトニトリル、アクリロニトリル、エチレンイミン、アニリン、ピロール、ポリエチレンイミンなどが挙げられ、これらの中でも、得られる触媒の活性が高いことからエチレンジアミンおよびエチレンジアミン・二塩酸塩が好ましい。
前記窒素含有有機化合物は、好ましくは、水酸基、カルボキシル基、アルデヒド基、酸ハライド基、スルホ基、リン酸基、ケトン基、エーテル基またはエステル基(これらをまとめて「含酸素分子団」ともいう。)を有する。前記窒素含有有機化合物は、含酸素分子団を分子内に有すると、工程1での混合を経て、前記遷移金属含有化合物に由来する遷移金属原子により強く配位できると考えられる。
前記含酸素分子団の中では、カルボキシル基およびアルデヒド基が、得られる触媒の活性が特に高くなることから、特に好ましい。
分子中に酸素原子を含む前記窒素含有有機化合物としては、前記含窒素分子団および前記含酸素分子団を有する化合物が好ましい。このような化合物は、工程1を経て、前記遷移金属含有化合物に由来する遷移金属原子に特に強く配位できると考えられる。
前記含窒素分子団および前記含酸素分子団を有する化合物としては、アミノ基およびカルボキシル基を有するアミノ酸、ならびにその誘導体が好ましい。
前記アミノ酸としては、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、ノルバリン、グリシルグリシン、トリグリシンおよびテトラグリシンが好ましく、得られる触媒の活性が高いことから、アラニン、グリシン、リシン、メチオニン、チロシンがより好ましく、得られる触媒が極めて高い活性を示すことから、アラニン、グリシンおよびリシンが特に好ましい。
分子中に酸素原子を含む前記窒素含有有機化合物の具体例としては、上記アミノ酸等に加えて、アセチルピロールなどのアシルピロール類、ピロールカルボン酸、アセチルイミダゾールなどのアシルイミダゾール類、カルボニルジイミダゾール、イミダゾールカルボン酸、ピラゾール、アセトアニリド、ピラジンカルボン酸、ピペリジンカルボン酸、ピペラジンカルボン酸、モルホリン、ピリミジンカルボン酸、ニコチン酸、2−ピリジンカルボン酸、2,4−ピリジンジカルボン酸、8−キノリノール、およびポリビニルピロリドンが挙げられ、得られる触媒の活性が高いことから、2座配位子となり得る化合物、具体的にはピロール−2−カルボン酸、イミダゾール−4−カルボン酸、2−ピラジンカルボン酸、2−ピペリジンカルボン酸、2−ピペラジンカルボン酸、ニコチン酸、2−ピリジンカルボン酸、2,4−ピリジンジカルボン酸、および8−キノリノールが好ましく、2−ピラジンカルボン酸、および2−ピリジンカルボン酸がより好ましい。
工程1で用いられる前記遷移金属含有化合物の遷移金属元素の総原子数Aに対する、工程1で用いられる前記窒素含有有機化合物の炭素の総原子数Bの比(B/A)は、工程3での熱処理時に二酸化炭素、一酸化炭素等の炭素化合物として脱離する成分を少なくすることが可能であり、すなわち触媒製造時に排気ガスを少量とすることができることから、好ましくは200以下、より好ましくは150以下、さらに好ましくは80以下、特に好ましくは30以下であり、良好な活性の触媒を得るという観点から、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、さらに好ましくは3以上、特に好ましくは5以上である。
工程1で用いられる前記遷移金属含有化合物の遷移金属元素の総原子数Aに対する、工程1で用いられる前記窒素含有有機化合物の窒素の総原子数Cの比(C/A)は、良好な活性の触媒を得るという観点から、好ましくは28以下、より好ましくは17以下、さらに好ましくは12以下、特に好ましくは8.5以下であり、良好な活性の触媒を得るという観点から、好ましくは1以上、より好ましくは2.5以上、さらに好ましくは3以上、特に好ましくは3.5以上である。
工程1で用いられる前記第1の遷移金属含有化合物と前記第2の遷移金属含有化合物との割合を、遷移金属元素M1の原子と遷移金属元素M2の原子とのモル比(M1:M2)に換算して、M1:M2=(1−a):aと表わすと、aの範囲は、好ましくは0.01≦a≦0.5、さらに好ましくは0.02≦a≦0.4、特に好ましくは0.05≦a≦0.3である。
<溶媒>
前記溶媒としては、たとえば水、アルコール類および酸類が挙げられる。アルコール類としては、エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノールおよびエトキシエタノールが好ましく、エタノールおよびメタノールさらに好ましい。酸類としては、酢酸、硝酸(水溶液)、塩酸、リン酸水溶液およびクエン酸水溶液が好ましく、酢酸および硝酸がさらに好ましい。これらは、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
前記遷移金属含有化合物が金属ハロゲン化物の場合の溶媒としてはメタノールが好ましい。
<沈殿抑制剤>
前記遷移金属含有化合物が、塩化チタン、塩化ニオブ、塩化ジルコニウム、塩化タンタルなど、ハロゲン原子を含む場合には、これらの化合物は一般的に水によって容易に加水分解され、水酸化物や、酸塩化物等の沈殿を生じやすい。よって、前記遷移金属含有化合物がハロゲン原子を含む場合には、強酸を1重量%以上添加することが好ましい。たとえば酸が塩酸であれば、溶液中の塩化水素の濃度が5重量%以上、より好ましくは10重量%以上となるように酸を添加すると、前記遷移金属含有化合物に由来する沈殿の発生を抑制しつつ、澄明な触媒前駆体溶液を得ることができる。
前記遷移金属含有化合物が金属錯体であって、かつ前記溶媒として水を単独でまたは水と他の化合物とを用いる場合にも、沈殿抑制剤を用いることが好ましい。この場合の沈殿抑制剤としては、ジケトン構造を有する化合物が好ましく、ジアセチル、アセチルアセトン、2,5−ヘキサンジオンおよびジメドンがより好ましく、アセチルアセトンおよび2,5−ヘキサンジオンがさらに好ましい。
これらの沈殿抑制剤は、遷移金属含有化合物溶液(前記遷移金属含有化合物を含有し、前記窒素含有有機化合物を含有しない溶液)100重量%中に好ましくは1〜70重量%、より好ましくは、2〜50重量%、さらに好ましくは15〜40重量%となる量で添加される。
これらの沈殿抑制剤は、触媒前駆体溶液100重量%中に好ましくは0.1〜40重量%、より好ましくは、0.5〜20重量%、さらに好ましくは2〜10重量%となる量で添加される。
前記沈殿抑制剤は、工程1の中でのいずれの段階で添加されてもよい。
工程1では、好ましくは、前記遷移金属含有化合物および前記沈殿抑制剤を含む溶液を調製して、次いでこの溶液と前記窒素含有有機化合物とを混合して触媒前駆体溶液を得る。また、前記遷移金属含有化合物として前記第1の遷移金属含有化合物および前記第2の遷移金属含有化合物を用いる場合であれば、工程1では、好ましくは、前記第1の遷移金属含有化合物および前記沈殿抑制剤を含む溶液を調製して、次いでこの溶液と前記窒素含有有機化合物および前記第2の遷移金属含有化合物とを混合して触媒前駆体溶液を得る。このように工程1を実施すると、前記沈殿の発生をより確実に抑制することができる。
(工程2)
工程2では、工程1で得られた前記触媒前駆体溶液から溶媒を除去する。
溶媒の除去は大気下で行ってもよく、不活性ガス(例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム)雰囲気下で行ってもよい。不活性ガスとしては、コストの観点から、窒素およびアルゴンが好ましく、窒素がより好ましい。
溶媒除去の際の温度は、溶媒の蒸気圧が大きい場合には常温であってもよいが、触媒の量産性の観点からは、好ましくは30℃以上、より好ましくは40℃以上、さらに好ましくは50℃以上であり、工程1で得られる溶液中に含まれる、キレート等の金属錯体であると推定される触媒前駆体を分解させないという観点からは、好ましくは250℃以下、より好ましくは150℃以下、さらに好ましくは110℃以下である。
溶媒の除去は、溶媒の蒸気圧が大きい場合には大気圧下で行ってもよいが、より短時間で溶媒を除去するため、減圧(たとえば、0.1Pa〜0.1MPa)下で行ってもよい。減圧下での溶媒の除去には、たとえばエバポレーターを用いることができる。
溶媒の除去は、工程1で得られた混合物を静置した状態で行ってもよいが、より均一な固形分残渣を得るためには、混合物を回転させながら溶媒を除去することが好ましい。
前記混合物を収容している容器の重量が大きい場合は、撹拌棒、撹拌羽根、撹拌子などを用いて、溶液を回転させることが好ましい。
また、前記混合物を収容している容器の真空度を調節しながら溶媒の除去を行う場合には、密閉できる容器で乾燥を行うこととなるため、容器ごと回転させながら溶媒の除去を行うこと、たとえばロータリーエバポレーターを使用して溶媒の除去を行うことが好ましい。
溶媒の除去の方法、あるいは前記遷移金属含有化合物または前記窒素含有有機化合物の性状によっては、工程2で得られた固形分残渣の組成または凝集状態が不均一であることがある。このような場合に、固形分残渣を、混合し、解砕して、より均一、微細な粉末としたものを工程3で用いると、粒径がより均一な触媒を得ることができる。
固形分残渣を混合し、解砕するには、たとえば、ロール転動ミル、ボールミル、小径ボールミル(ビーズミル)、媒体撹拌ミル、気流粉砕機、乳鉢、自動混練乳鉢、槽解機、ジェトミルを用いることができ、固形分残渣が少量であれば、好ましくは、乳鉢、自動混練乳鉢、またはバッチ式のボールミルが用いられ、固形分残渣が多量であり連続的な混合、解砕処理を行う場合には、好ましくはジェットミルが用いられる。
(工程3)
工程3では、工程2で得られた固形分残渣を熱処理して電極触媒を得る。
この熱処理の際の温度は、500〜1100℃であり、好ましくは600〜1050℃であり、より好ましくは700〜950℃である。
熱処理の温度が上記範囲よりも高すぎると、得られた電極触媒の粒子相互間においての焼結、粒成長がおこり、結果として電極触媒の比表面積が小さくなってしまうため、この粒子を塗布法により触媒層に加工する際の加工性が劣ってしまう。一方、熱処理の温度が上記範囲よりも低過ぎると、高い活性を有する電極触媒を得ることができない。
前記熱処理の方法としては、たとえば、静置法、攪拌法、落下法、粉末捕捉法が挙げられる。
静置法とは、静置式の電気炉などに工程2で得られた固形分残渣を置き、これを加熱する方法である。加熱の際に、量り取った前記固形分残渣は、アルミナボード、石英ボードなどのセラミックス容器に入れてもよい。静置法は、大量の前記固形分残渣を加熱することができる点で好ましい。
攪拌法とは、ロータリーキルンなどの電気炉中に前記固形分残渣を入れ、これを攪拌しながら加熱する方法である。攪拌法の場合は、大量の前記固形分残渣を加熱することができ、かつ、得られる電極触媒の粒子の凝集および成長を抑制することができる点で好ましい。さらに、撹拌法は、加熱炉に傾斜をつけることによって、連続的に電極触媒を製造することが可能である点で好ましい。
落下法とは、誘導炉中に雰囲気ガスを流しながら、炉を所定の加熱温度まで加熱し、該温度で熱的平衡を保った後、炉の加熱区域である坩堝中に前記固形分残渣を落下させ、これを加熱する方法である。落下法は、得られる電極触媒の粒子の凝集および成長を最小限度に抑制できる点で好ましい。
粉末捕捉法とは、微量の酸素ガスを含む不活性ガス雰囲気中で、前記固形分残渣を飛沫にして浮遊させ、これを所定の加熱温度に保たれた垂直の管状炉中に捕捉して、加熱する方法である。
前記静置法で熱処理を行う場合には、昇温速度は、特に限定されないが、好ましくは1℃/分〜100℃/分程度であり、さらに好ましくは5℃/分〜50℃/分である。また、加熱時間は、好ましくは0.1〜10時間、より好ましくは0.5時間〜5時間、さらに好ましくは0.5〜3時間である。静置法において加熱を管状炉で行なう場合、電極触媒粒子の加熱時間は、0.1〜10時間、好ましくは0.5時間〜5時間である。前記加熱時間が前記範囲内であると、均一な電極触媒粒子が形成される傾向がある。
前記攪拌法の場合、前記固形分残渣の加熱時間は、通常10分〜5時間であり、好ましくは30分〜2時間である。本法において、炉に傾斜をつけるなどして連続的に加熱を行う場合は、定常的な炉内のサンプル流量から計算された平均滞留時間を前記加熱時間とする。
前記落下法の場合、前記固形分残渣の加熱時間は、通常0.5〜10分であり、好ましくは0.5〜3分である。前記加熱時間が前記範囲内であると、均一な電極触媒粒子が形成される傾向がある。
前記粉末捕捉法の場合、前記固形分残渣の加熱時間は、0.2秒〜1分、好ましくは0.2〜10秒である。前記加熱時間が前記範囲内であると、均一な電極触媒粒子が形成される傾向にある。
前記静置法で熱処理を行う場合には、熱源としてLNG(液化天然ガス)、LPG(液化石油ガス)、軽油、重油、電気などを用いた加熱炉を熱処理装置として用いてもよい。この場合、本発明においては前記固形分残渣を熱処理する際の雰囲気が重要であるので、燃料の炎が炉内に存在する、炉の内部から加熱する装置ではなく、炉の外部からの加熱する装置が好ましい。
前記固形分残渣の量が1バッチあたり50kg以上となるような加熱炉を用いる場合には、コストの観点から、LNG,LPGを熱源とする加熱炉が好ましい。
触媒活性の特に高い電極触媒を得たい場合には、厳密な温度制御が可能な、電気を熱源とした電気炉を用いることが望ましい。
炉の形状としては、管状炉、上蓋型炉、トンネル炉、箱型炉、試料台昇降式炉(エレベーター型)、台車炉などが挙げられ、この中でも雰囲気を特に厳密にコントロールすることが可能な、管状炉、上蓋型炉、箱型炉および試料台昇降式炉が好ましく、管状炉および箱型炉が好ましい。
前記撹拌法を採用する場合も、上記の熱源を用いることができるが、撹拌法の中でもとくにロータリーキルンに傾斜をつけて、前記固形分残渣を連続的に熱処理する場合には、設備の規模が大きくなり、エネルギー使用量が大きくなりやすいので、LPG等燃料由来の熱源を利用することが好ましい。
前記熱処理を行う際の雰囲気としては、得られる電極触媒の活性を高める観点から、その主成分が不活性ガス雰囲気であることが好ましい。不活性ガスの中でも、比較的安価であり、入手しやすい点で窒素、アルゴン、ヘリウムが好ましく、窒素およびアルゴンがさらに好ましい。これらの不活性ガスは、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。なお、これらのガスは一般的な通念上不活性といわれるガスであるが、工程(2)の前記熱処理の際にこれらの不活性ガスすなわち、窒素、アルゴン、ヘリウム等が、前記固形分残渣と反応している可能性はある。
前記熱処理の雰囲気中に反応性ガスが存在すると、得られる電極触媒がより高い触媒性能を発現することがある。
たとえば、熱処理を、窒素ガス、アルゴンガスもしくは窒素ガスとアルゴンガスとの混合ガス、または窒素ガスおよびアルゴンガスから選ばれる一種以上のガスと水素ガス、アンモニアガスおよび酸素ガスから選ばれる一種以上のガスとの混合ガスの雰囲気で行うと、高い触媒性能を有する電極触媒が得られる傾向がある。
前記熱処理の雰囲気中に水素ガスが含まれる場合には、水素ガスの濃度は、たとえば100体積%以下、好ましくは0.01〜10体積%、より好ましくは1〜5体積%である。
前記熱処理の雰囲気中に酸素ガスが含まれる場合には、酸素ガスの濃度は、たとえば0.01〜10体積%、好ましくは0.01〜5体積%である。
また、前記遷移金属含有化合物、前記窒素含有有機化合物および前記溶媒の何れもが酸素原子を有さない場合には、前記熱処理は、好ましくは酸素ガスを含む雰囲気で行われる。
前記熱処理で得られた熱処理物は、そのまま電極触媒として使用してもよく、さらに解砕してから電極触媒として用いてもよい。なお、本明細書において、解砕、破砕等、熱処理物を細かくする操作を、特に区別せず「解砕」と表記する。解砕を行うと、得られた電極触媒を用いて電極を製造する際の加工性、および得られる電極の特性を改善できることがある。この解砕には、たとえば、ロール転動ミル、ボールミル、小径ボールミル(ビーズミル)、媒体撹拌ミル、気流粉砕機、乳鉢、自動混練乳鉢、槽解機またはジェトミルを用いることができる。電極触媒が少量の場合には、乳鉢、自動混練乳鉢、バッチ式のボールミルが好ましく、熱処理物を連続的に多量に処理する場合には、ジェットミル、連続式のボールミルが好ましく、連続式のボールミルの中でもビーズミルがさらに好ましい。
上記解砕は、好ましくは下記条件で行われる。
(解砕条件):前記熱処理に与える衝撃力(機械的エネルギー)が2〜100Gの範囲
ボールミルを用いる場合、自転遠心加速度が2〜20Gの範囲
以下では、ボールミルを用いて解砕を行う場合を例に、解砕条件をさらに詳細に説明する。
上記解砕は、適切な自転遠心加速度に設定することによって、バッチ式のボールミル(ポット型のボールミルなど)、あるいは連続式のボールミルを用いても達成することができる。
自転によって生じる加速度が、2G以上であると、解砕を行う時間を短縮できるため、触媒を工業的に製造する上で優位であり、20G以下であると、触媒の表面が受けるダメージが小さくなり、活性が高い触媒が得られる。
前記熱処理物のスラリーをミル内に循環させるタイプのボールミル、すなわち浅田鉄工所製グレンミルに例示されるような連続式のボールミルを用いて解砕を行う場合、解砕を行う時間とは、実質的に、ボールミルのミル破砕室(解砕室)の中に前記熱処理物が存在する時間である。したがって、ミル全体に循環させている前記熱処理物のスラリーの体積がミル破砕室(解砕室)の容積の2倍であった場合、"ボールミルによる解砕を行う時間"は、実際にミルを稼動させている時間の1/2であり、ミル全体に循環させている前記熱処理物のスラリーの体積がミル破砕室(解砕室)の容積の3倍であった場合、"ボールミルによる解砕を行う時間"は、実際にミルを稼動させている時間の1/3である。
前記ボールミルのボールの直径は、好ましくは0.01〜5.0mmであり、より好ましくは0.05〜3.0mmであり、さらに好ましくは0.1〜1.0mmであることがより好ましい。ボールの直径が上記範囲にあると、高い触媒能(酸素還元能)を有する燃料電池用触媒が得られる。
前記ボールミルのボールの材質および、ボールミルの容器としては、ジルコニア、ガラス、アルミナ等が挙げられる。ボールの材質としては、耐磨耗性が高いジルコニアが好ましい。
前記ボールミルのボールの添加量は、ミル容器内に入れる前記熱処理物の質量に対して好ましくは10〜100倍である。
前記ボールミルによる解砕を行う際の自転遠心加速度は、好ましくは2〜20Gの範囲であり、より好ましくは4〜18Gの範囲であり、さらに好ましくは6〜16Gの範囲である。自転遠心加速度が上記範囲にあると、高い触媒能(酸素還元能)を有する燃料電池用触媒が得られる。
なお、本発明において、ボールミルによる解砕を行う際の自転遠心加速度は、以下の式より求められる。
自転遠心加速度(単位:重力加速度G)=1118×R1×N1 2×10-8
1:自転半径(cm)
1:自転回転数(rpm)
前記ボールミルが遊星ボールミルである場合には、前記遊星ボールミルによる解砕を行う際の公転遠心加速度は、好ましくは5〜50Gであり、より好ましくは8〜45Gの範囲であり、さらに好ましくは10〜35Gの範囲である。公転遠心加速度が上記範囲にあると、高い触媒能(酸素還元能)を有する燃料電池用触媒が得られる。
なお、本発明において、遊星ボールミルによる解砕を行う際の公転遠心加速度は、以下の式より求める。
公転遠心加速度(単位:重力加速度G)=1118×R2×N2 2×10-8
2:公転半径(cm)
2:公転回転数(rpm)
解砕を湿式で行う場合、熱処理物と分散媒との混合割合(熱処理物の質量:分散媒の質量)は、好ましくは1:1〜1:50であり、より好ましくは1:3〜1:20であり、さらに好ましくは1:5〜1:10である。
前記分散媒としては、メタノール、エタノール、1-プロパノ―ル、2-プロパノ―ル、1-ブタノ−ル、2‐ブタノ−ル、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、ペンタノ−ル、2−ヘプタノ−ル、ベンジルアルコール等のアルコール類;
アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイゾブチルケトン、メチルアミルケトン、アセトニルアセトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトンなどのケトン類;
テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アニソール、メトキシトルエン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル類;
イソプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ジエチルアミンなどのアミン類;
蟻酸プロピル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチルなどのエステル類;
アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等の極性溶媒が好ましい。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記分散媒は、好ましくは水を実質的に含まない。具体的には、前記分散媒中の水の含量は、好ましくは0〜0.1質量%である。
前記分散媒は、ミル容器内に前記熱処理物およびボールを入れた状態でミル容器全体の好ましくは1〜3割を充填するように添加する。
乾式で(すなわち、分散媒を用いずに)の解砕は、解砕後、触媒を回収しやすい点で好ましい。
前記解砕は、通常、常温常圧下で行うが、温度、圧力を調整して行ってもよい。
[燃料電池用電極触媒]
本発明の燃料電池用電極触媒は、上述した本発明の燃料電池用電極触媒の製造方法により製造されることを特徴としている(以下、上述した本発明の燃料電池用電極触媒の製造方法により製造される燃料電池用電極触媒を「触媒(A)」ともいう)。
前記触媒(A)を構成する遷移金属元素(ただし、遷移金属元素M1と遷移金属元素M2とを区別しない。)、炭素、窒素および酸素の原子数の比を、遷移金属元素:炭素:窒素:酸素=1:x:y:zと表すと、好ましくは、0<x≦7、0<y≦2、0<z≦3である。
電極触媒の活性が高いことから、xの範囲は、より好ましくは0.15≦x≦5.0、さらに好ましくは0.2≦x≦4.0であり、特に好ましくは1.0≦x≦3.0であり、yの範囲は、より好ましくは0.01≦y≦1.5、さらに好ましくは0.02≦y≦0.5であり、特に好ましくは0.03≦y≦0.4であり、zの範囲は、より好ましくは0.6≦z≦2.6であり、さらに好ましくは0.9≦z≦2.0であり、特に好ましくは1.3≦z≦1.9である。
また前記触媒(A)が、前記遷移金属元素として、周期表第4族および第5族の元素からなる群から選択される1種の遷移金属元素M1、および鉄、ニッケル、クロム、コバルト、バナジウムおよびマンガンより選択される少なくとも1種の遷移金属元素M2を含む場合には、前記触媒(A)を構成する遷移金属元素M1、遷移金属元素M2、炭素、窒素および酸素の原子数の比を、遷移金属元素M1:遷移金属元素M2:炭素:窒素:酸素=(1−a):a:x:y:zと表すと、好ましくは、0<a≦0.5、0<x≦7、0<y≦2、0<z≦3である。前記触媒(A)は、このようにM2を含むと、より性能が高くなる。
電極触媒の活性が高いことから、x、yおよびzの好ましい範囲は上述のとおりであり、aの範囲は、より好ましくは0.01≦a≦0.5、さらに好ましくは0.02≦a≦0.4、特に好ましくは0.05≦a≦0.3である。
前記a、x、yおよびzの値は、後述する実施例で採用した方法により測定した場合の値である。
<遷移金属元素M2が存在することにより発揮されると予想される効果>
遷移金属元素M2(M1とは異なる、鉄、ニッケル、クロム、コバルト、バナジウムおよびマンガンより選択される少なくとも1種の金属元素)が存在することにより予想される効果は以下のとおりである。
(1)遷移金属元素M2または遷移金属元素M2を含む化合物が、電極触媒を合成する際に、遷移金属元素M1原子と窒素原子との結合を形成するための触媒として作用している。
(2)遷移金属元素M1が溶出するような高電位、高酸化性雰囲気下で電極触媒を使用する場合であっても、遷移金属元素M2が不動態化することによって、遷移金属元素M1のさらなる溶出を防ぐ。
(3)工程3の熱処理の際に、熱処理物の焼結、すなわち比表面積の低下を防ぐ。
(4)電極触媒中に遷移金属元素M1、遷移金属元素M2および存在することによって、双方の金属元素原子が隣接しあう部位において、電荷の偏りが生じ、金属元素として遷移金属元素M1のみを有する電極触媒ではなしえない、基質の吸着もしくは反応、または生成物の脱離が発生する。
本発明の触媒(A)は、好ましくは、遷移金属元素、炭素、窒素および酸素の各原子を有し、前記遷移金属元素の酸化物、炭化物または窒化物単独あるいはこれらのうちの複数の結晶構造を有する。前記触媒(A)に対するX線回折分析による結晶構造解析の結果と、元素分析の結果とから判断すると、前記触媒(A)は、前記遷移金属元素の酸化物構造を有したまま、酸化物構造の酸素原子のサイトを炭素原子または窒素原子で置換した構造、あるいは前記遷移金属元素の炭化物、窒化物または炭窒化物の構造を有したまま、炭素原子または窒素原子のサイトを酸素原子で置換した構造を有するか、あるいはこれらの構造を含む混合物ではないかと推測される。
<BET比表面積>
本発明の燃料電池用電極触媒の製造方法によれば、比表面積の大きな燃料電池用電極触媒が製造され、本発明の触媒(A)のBET法で算出される比表面積は、好ましくは30〜350m2/g、より好ましくは50〜300m2/g、さらに好ましくは100〜300m2/gである。後述する触媒(B)のBET法で算出される比表面積についても、上記触媒(A)と同様である。
前記触媒(A)の、下記測定法(A)において、酸素雰囲気での還元電流と窒素雰囲気での還元電流とに0.05mA/cm2以上の差が現れ始める電位(酸素還元電位E@0.05mA/cm2)は、可逆水素電極を基準として好ましくは0.6V(vs.RHE)以上、より好ましくは0.7V(vs.RHE)以上、さらに好ましくは0.8V以上である。
〔測定法(A):
電子伝導性物質であるカーボンに分散させた触媒が1質量%となるように、該触媒及びカーボンを溶剤中に入れ、超音波で攪拌し懸濁液を得る。なお、カーボンとしては、カーボンブラック(比表面積:100〜300m2/g)(例えばキャボット社製 VULCAN(登録商標) XC−72)を用い、触媒とカーボンとが質量比で95:5になるように分散させる。また、溶剤としては、イソプロピルアルコール:水(質量比)=2:1を用いる。
前記懸濁液を、超音波をかけながら10μLを採取し、すばやくグラッシーカーボン電極(直径:5.2mm)上に滴下し、120℃で5分間乾燥させる。乾燥することにより触媒を含む燃料電池用触媒層が、グラッシーカーボン電極上に形成される。この滴下及び乾燥操作を、カーボン電極表面に1.0mg以上の燃料電池触媒層が形成されるまで行う。
次いでNAFION(登録商標)(デュポン社 5%NAFION(登録商標)溶液(DE521))をイソプロピルアルコールで10倍に希釈したものを、さらに前記燃料電池用触媒層上に10μL滴下する。これを、120℃で1時間乾燥する。
このようにして、得られた電極を用いて、酸素雰囲気及び窒素雰囲気で、0.5mol/Lの硫酸水溶液中、30℃の温度で、同濃度の硫酸水溶液中での可逆水素電極を参照電極とし、5mV/秒の電位走査速度で分極することにより電流−電位曲線を測定した際の、酸素雰囲気での還元電流と窒素雰囲気での還元電流とに0.2μA/cm2以上の差が現れ始める電位を酸素還元開始電位とする。〕
本発明において、酸素還元電流密度は、以下のとおり求めることができる。
まず、上記測定法(A)の結果から、特定の電位(たとえば0.7V(vsRHE))における、酸素雰囲気での還元電流と窒素雰囲気での還元電流との差を算出する。算出した値を、さらに電極面積で除した値を酸素還元電流密度(mA/cm2)とする。
<遷移金属炭窒酸化物の製造方法>
本発明の遷移金属炭窒酸化物の製造方法は、分子中に窒素を含む有機化合物と分子中に酸素を含む遷移金属化合物との混合物を500℃以上1000℃以下の温度で熱処理することを特徴とする。
分子中に酸素を含む遷移金属化合物とは、たとえば、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、タンタル及びタングステンからなる群から選ばれる一種以上の金属(以下「金属m」または単に「m」ともいう。2種以上金属を含む場合は「金属m1」または単に「m1」とmの後に数字を記す。)を含む金属酸化物、金属水酸化物、または前記金属酸化物及び金属水酸化物の混合物である。
本発明において、遷移金属炭窒酸化物の原料として分子中に窒素を含む有機化合物と分子中に酸素を含む遷移金属化合物との混合物を使用すると、1000℃以下の低温度で炭化及び窒化反応をさせて遷移金属炭窒酸化物を製造することができる。
従来カーボンブラックなどを炭素源として用いた場合は、金属酸化物が炭化するために約1300℃以上の高温が必要であった。
また、窒素ガスにより金属酸化物を窒化させるためには、約1200℃以上の熱処理温度が必要であった。窒素ガスに代えてアンモニアを用いる場合は1000℃以下の熱処理温度でも可能であるが、アンモニアは、発火点が651℃と低温であり、可燃性、引火性、腐食性を有し、人体や環境に有害であるなど様々な危険性があり、安全性が非常に低いという欠点がある。
本発明は分子中に窒素を含む有機化合物と分子中に酸素を含む遷移金属化合物との混合物を用いて、遷移金属酸化物または遷移金属水酸化物から1段階熱処理工程により、炭化反応及び窒化反応を1000℃以下で行うことが可能であるため、従来の製造方法に比べ非常に安価で、かつ安全に遷移金属炭窒酸化物を得ることができる。
また、燃料電池用電極触媒として、粒状、及び繊維状など様々な形状を有する金属炭窒酸化物の製造が可能であるなどの利点もある。
分子中に窒素を含む有機化合物と分子中に酸素を含む遷移金属化合物とを混合する方法は、これらの化合物が均一に混合できる方法であれば特に限定されない。
また、遷移金属化合物及び/またはこれらのものからなるゾルと分子中に窒素を含む有機化合物とを溶媒に混合し、攪拌、加熱することで均一な混合物を得ることも可能である。
また、上記の遷移金属化合物と上記の有機化合物をミルなどで混練することで、物理的に均一な混合物を得ることも可能である。
分子中に窒素を含む有機化合物と分子中に酸素を含む遷移金属化合物との混合物における有機化合物と遷移金属化合物の混合割合としては、遷移金属化合物に含まれる金属(2種以上の場合は全ての金属の総和モル数である。)と有機化合物(2種以上の場合は全ての有機化合物の総和モル数である。高分子化合物の場合はモノマーを基準とする。)とのモル比で
金属成分のモル数:有機化合物のモル数=1:0.01〜1:20
の範囲であることが好ましく、1:0.1〜1:10であることがより好ましい。
混合割合が上記範囲内であると、金属酸化物または金属水酸化物の適切な炭化及び窒化反応が起こりやすく、炭素、窒素及び酸素の好ましい組成比を持つ金属炭窒酸化物を得やすい。上記モル比範囲より有機化合物が多い場合は、炭化または窒化が進みやすくなり、好ましい金属炭窒酸化物を得ることが困難になる恐れがある。
また、上記のモル比範囲より、有機化合物の量が少ない場合は炭化または窒化反応が起こりにくくなり、好ましい炭素、窒素及び酸素の組成比を持つ金属炭窒酸化物を得ることが困難になる恐れがある。
前記混合物の熱処理の温度は好ましくは500〜1000℃の範囲であり、より好ましくは600〜950℃の範囲であり、さらに好ましくは700〜900℃の範囲である。
熱処理温度が前記範囲内であると、得られる遷移金属炭窒酸化物の結晶性及び均一性が良好な点で好ましく、遷移金属炭窒酸化物は燃料電池触媒(なお、前記遷移金属炭窒酸化物からなる燃料電池触媒を「触媒(B)」とも記す。)としても活性が高い。また、製造コストの低減および製造工程の安全性の向上を図ることができる。
前記の熱処理温度より高い場合は、炭化及び窒化が起こりやすくなるため、好ましい炭素、窒素及び酸素の組成比を持つ金属炭窒酸化物を得ることが難しく、得られた触媒活性も低くなる傾向がある。
前記の熱処理温度より低い場合は、炭化及び窒化反応が十分に進行せず、好ましい金属炭窒酸化物を得ることができない可能性が高い。
前記の熱処理温度より高い場合及び低い場合とも、製造コストの低減及び製造工程の安全性の向上を図れなくなる。
本発明の遷移金属炭窒酸化物の製造方法においては、上記のように、従来の方法よりも低い温度の熱処理によって遷移金属炭窒酸化物を得ることができる。このため、本発明の遷移金属炭窒酸化物の製造方法においては、安全に、かつ低コストで遷移金属炭窒酸化物を得ることが可能になる。本発明において、このように低い温度の熱処理によっても結晶性及び均一性が良好で、燃料電池触媒としても活性が高い遷移金属炭窒酸化物を得ることができるのは、1000℃以下の温度範囲において、有機化合物の熱分解による活性化された炭素及び窒素成分が金属酸化物または水酸化物と反応しやすくなり、金属酸化物または水酸化物の一部の酸素と置換することで、好ましい炭素、窒素及び酸素の組成比を持つ繊維金属炭窒酸化物を得ることができるからだと考えられる。
前記混合物の熱処理は、例えば、窒素及び/またはアルゴンを含むガス雰囲気で行うことができる。さらに、前記ガスに、全ガスに対して0容量%より大きく5容量%以下となるように水素を混合して得られるガス雰囲気で熱処理することもでき、また、全ガスに対して0容量%より大きく10容量%以下となるように酸素を混合して得られるガス雰囲気で熱処理することもできる。
これらの中でも、窒化反応をコントロールしやすく、炭化反応による余分な炭素を除去しやすいという理由から、アルゴン、水素ガスと窒素ガスとの混合ガス及びこれらのガスと微量の酸素ガスとを含むガスが好ましい。本発明の製造方法においては、有機物に含まれる窒素源を金属炭窒酸化物の窒素源として使用することができるので、熱処理雰囲気に必ずしも窒素源が含まれている必要がない。
上記ガス中に添加される酸素ガスの濃度は、加熱時間と加熱温度に依存するが、0.01〜10容量%が好ましく、0.05〜5容量%がさらに好ましい。前記酸素濃度が前記範囲内であると、均一な金属炭窒酸化物が形成できる点で好ましい。
また、ガス雰囲気の圧力は特に限定されず、製造の安定性とコストなどを考慮して大気圧下で熱処理を行ってもよく、この条件でも好ましい金属炭窒酸化物を得ることができる。
前記の混合物の熱処理時間においては、熱処理する際の昇温速度は特に限定されてないが、例えば、1℃/min〜100℃/min程度が好ましく、さらに好ましくは5℃/min〜50℃/minである。また、昇温後保持時間については、好ましい炭化及び窒化反応並びに金属炭窒酸化物の粒子サイズ及び製造コストなどを考慮すると、10分〜5時間が好ましく、さらに好ましくは30分〜3時間である。
遷移金属炭窒酸化物の形状は、好ましい炭素、窒素及び酸素の組成比を持つ金属炭窒酸化物と燃料電池触媒としての活性を有する限り、特に限定はされない。例えば、粒子状、繊維状、シート状、多孔体構造などが挙げられる。
燃料電池用電極触媒として遷移金属炭窒酸化物を使うには、高い導電性、安定性及び高表面積が要求される。このためには、上記の製造工程中または工程後に金属炭窒酸化物を担体に担持することもできる。
担体としては、導電性及び安定性が高く、表面積が広いものであれば、特に限定されないが、例えば、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、多孔体カーボン、カーボンナノホーン、フラーレン、グラファイト、グラフェン、黒鉛、導電性セラミック、多孔体導電性セラミックなどが挙げられる。担体の形状と大きさは特に限定されないが、担持される金属炭窒酸化物の活性など考慮すると、担体の粒子径は10〜1000nmが好ましく、さらに、10〜100nmが好ましい。
遷移金属炭窒酸化物を触媒(B)として使用するにあたっては、当該遷移金属炭窒酸化物を解砕して使うことも可能である。解砕する方法としては、例えば、ロール転動ミル、ボールミル、媒体撹拌ミル、気流粉砕機、乳鉢、槽解機による方法等が挙げられる。中でも、遷移金属炭窒酸化物をより微粒とすることができる点では、気流粉砕機による方法が好ましく、少量処理が容易となる点では、乳鉢による方法が好ましい。
<触媒>
上記製造方法で得られる遷移金属炭窒酸化物は、例えば、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、タンタル及びタングステンからなる群より選択された少なくとも1種の遷移金属の炭窒酸化物である。
この遷移金属炭窒酸化物は、粉末X線回折法(Cu−Kα線)によって測定した際に、前記遷移金属炭窒酸化物に含まれる遷移金属の酸化物、炭化物、窒化物、窒素酸化物、炭素酸化物または炭窒酸化物の構造に相当するX線回折線ピークが少なくとも一つ観察される。
X線回折線ピークとは、試料(結晶質)に様々な角度でX線を照射した場合に、特異的な回折角度および回折強度で得られるピークのことをいう。
本発明においては、信号(S)とノイズ(N)の比(S/N)が2以上で検出できるシグナルを一つの回折線ピークとしてみなす。
ここで、ノイズ(N)は、ベースラインの幅とした。
X線回折法の測定装置としては、例えば粉末X線解析装置:リガクRAD−RXを用いて行うことができ、その測定条件としては、X線出力(Cu−Kα):50kV、180mA、走査軸 :θ/2θ、測定範囲(2θ):10°〜89.98°、測定モード:FT、読込幅 :0.02°、サンプリング時間:0.70秒、DS、SS、RS:0.5°、0.5°、0.15mm、ゴンオメーター半径:185mmで行うことができる。
前記遷移金属炭窒酸化物の組成式は、該金属炭窒酸化物に含まれる金属が1種類の場合には、例えば、mCxyz(ただし、mは遷移金属元素であり、x、y、zは原子数の比を表し、0<x≦3、0<y≦2、0<z≦3である。)で表される。
また、該金属炭窒酸化物に含まれる金属が2種類以上の場合には、例えば、m1am2bxyz(ただし、m1は、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、タンタル及びタングステンからなる群より選択される1種の金属であり、m2は、前記群より選択されるm1とは異なる少なくとも1種の金属である。a、b、x、y、zは原子数の比を表し、0.5≦a<1、0<b≦0.5、0<x≦3、0<y≦2、0<z≦3、かつa+b=1である。)で表される。
すなわち、上記組成式で示される遷移金属炭窒酸化物は、この炭窒酸化物に含まれる金属の全原子数の50%以上を占める金属、すなわち主金属が少なくとも1種存在する。2種類の金属がそれぞれ全原子数の50%を占める場合には、これら2つの金属が主金属となる。この遷移金属炭窒酸化物は、金属として主金属のみを含有していてもよく、主金属以外の金属を1種以上含有していてもよい。主金属以外の金属を2種以上含有する場合には、これら2種以上の金属の含有割合は任意である。
各原子数の比が上記範囲であると、酸素還元電位が高くなる傾向があり好ましい。
遷移金属炭窒酸化物の組成式は後述する元素分析等で求めることができる。
上記製造方法で製造された遷移金属炭窒酸化物は触媒として使用することができる。この触媒は特に燃料電池用触媒として好適に使用することができる。本発明で得られる遷移金属炭窒酸化物からなる触媒とは、触媒の元素分析を行ったときに少なくとも遷移金属、炭素、窒素および酸素が検出され、単一の化合物であるか、または混合物である可能性もある。
遷移金属炭窒酸化物を触媒(B)として使用するためには、導電性を付与するための添加材、具体的には、電子伝導性粒子であるバルカンXC72、ケッチェンブラックなどに代表されるカーボンブラックなどを配合させて用いることがあり、本発明においても実施の際には導電性粒子を用いることがある。しかしながら、本発明で得られる遷移金属炭窒酸化物からなる触媒は、この「導電性を付与するための添加材」を配合しなくても、元素分析を行った際に炭素が検出されることを特徴とする。
前記触媒(B)の、上述した測定法(A)に従って測定される酸素還元開始電位は、可逆水素電極を基準として好ましくは0.5V(vs.RHE)以上である。
また、触媒(B)の酸素還元電流密度は、以下のとおり求めることができる。
まず、上記測定法(A)の結果から、0.7V(vsRHE)における、酸素雰囲気での還元電流と窒素雰囲気での還元電流との差を算出する。算出した値を、さらに電極面積で除した値を酸素還元電流密度(mA/cm2)とする。
[用途]
本発明の触媒(A)および触媒(B)は、白金触媒の代替触媒として使用することができる。
本発明の燃料電池用触媒層は、前記触媒(A)または触媒(B)を含むことを特徴としている。
燃料電池用触媒層には、アノード触媒層、カソード触媒層があるが、前記触媒(A)および触媒(B)はいずれにも用いることができる。前記触媒(A)および触媒(B)は、耐久性に優れ、酸素還元能が大きいので、カソード触媒層に用いることが好ましい。
本発明の燃料電池用触媒層は、好ましくは、電子伝導性粉末をさらに含む。前記触媒(A)または触媒(B)を含む燃料電池用触媒層がさらに電子伝導性粉末を含む場合には、還元電流をより高めることができる。電子伝導性粉末は、前記触媒(A)または触媒(B)に、電気化学的反応を誘起させるための電気的接点を生じさせるため、還元電流を高めると考えられる。
前記電子伝導性粒子は通常、触媒の担体として用いられる。
前記触媒(A)はある程度の導電性を有するが、触媒(A)により多くの電子を与える、あるいは、反応基質が触媒(A)から多くの電子を受け取るために、触媒(A)に、導電性を付与するための担体粒子を混合してもよい。これらの担体粒子は、工程1〜工程3を経て製造された触媒(A)に混合されてもよく、工程1〜工程3のいずれかの段階で混合されてもよい。
電子伝導性粒子の材質としては、炭素、導電性高分子、導電性セラミックス、金属または酸化タングステンもしくは酸化イリジウムなどの導電性無機酸化物が挙げられ、それらを1種単独または組み合わせて用いることができる。特に、炭素からなる電子伝導性粒子は比表面積が大きいため、また、安価に小粒径のものを入手しやすく、耐薬品性、耐高電位性に優れるため、炭素単独または炭素とその他の電子伝導性粒子との混合物が好ましい。すなわち燃料電池用触媒層としては、前記触媒(A)または触媒(B)と炭素とを含むことが好ましい。
炭素としては、カーボンブラック、グラファイト、活性炭、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、フラーレン、多孔体カーボン、グラフェンなどが挙げられる。炭素からなる電子伝導性粒子の粒径は、小さすぎると電子伝導パスが形成されにくくなり、また大きすぎると燃料電池用触媒層のガス拡散性の低下や触媒の利用率の低下が起こる傾向があるため、好ましくは10〜1000nmであり、より好ましくは10〜100nmである。
電子伝導性粒子が炭素からなる場合、前記触媒(A)または触媒(B)と電子伝導性粒子との重量比(触媒:電子伝導性粒子)は、好ましくは4:1〜1000:1である。
前記導電性高分子としては特に限定は無いが、例えばポリアセチレン、ポリ−p−フェニレン、ポリアニリン、ポリアルキルアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリインドール、ポリ−1,5−ジアミノアントラキノン、ポリアミノジフェニル、ポリ(o−フェニレンジアミン)、ポリ(キノリニウム)塩、ポリピリジン、ポリキノキサリン、ポリフェニルキノキサリン等が挙げられる。これらの中でも、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェンが好ましく、ポリピロールがより好ましい。
前記燃料電池用電極触媒層は、好ましくは高分子電解質をさらに含む。前記高分子電解質としては、燃料電池用触媒層において一般的に用いられているものであれば特に限定されない。具体的には、スルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体(例えば、ナフィオン(NAFION(登録商標))、スルホン酸基を有する炭化水素系高分子化合物、リン酸などの無機酸をドープさせた高分子化合物、一部がプロトン伝導性の官能基で置換された有機/無機ハイブリッドポリマー、高分子マトリックスにリン酸溶液や硫酸溶液を含浸させたプロトン伝導体などが挙げられる。これらの中でも、ナフィオン(NAFION(登録商標)が好ましい。前記燃料電池用触媒層を形成する際のナフィオン(NAFION(登録商標))の供給源としては、5%ナフィオン(NAFION(登録商標))溶液(DE521、デュポン社)などが挙げられる。
本発明の燃料電池用触媒層は、アノード触媒層またはカソード触媒層のいずれにも用いることができる。本発明の燃料電池用触媒層は、高い酸素還元能を有し、酸性電解質中において高電位であっても腐蝕しがたい触媒を含むため、燃料電池のカソードに設けられる触媒層(カソード用触媒層)として有用である。特に固体高分子型燃料電池が備える膜電極接合体のカソードに設けられる触媒層に好適に用いられる。
前記触媒(A)または触媒(B)を、担体である前記電子伝導性粒子上に分散させる方法としては、気流分散、液中分散等の方法が挙げられる。液中分散は、溶媒中に触媒(A)または触媒(B)および電子伝導性粒子を分散したものを、燃料電池用触媒層形成工程に使用できるため好ましい。液中分散としては、オリフィス収縮流による方法、回転せん断流による方法または超音波による方法等があげられる。液中分散の際、使用される溶媒は、触媒や電子伝導性粒子を浸食することがなく、分散できるものであれば特に制限はないが、揮発性の液体有機溶媒または水等が一般に使用される。
また、前記触媒(A)または触媒(B)を、前記電子伝導性粒子上に分散させる際、さらに上記電解質と分散剤とを同時に分散させてもよい。
燃料電池用触媒層の形成方法としては、特に制限はないが、たとえば、前記触媒(A)または触媒(B)と電子伝導性粒子と電解質とを含む懸濁液を、後述する電解質膜またはガス拡散層に塗布する方法が挙げられる。前記塗布する方法としては、ディッピング法、スクリーン印刷法、ロールコーティング法、スプレー法などが挙げられる。また、前記触媒(A)または触媒(B)と電子伝導性粒子と電解質とを含む懸濁液を、塗布法またはろ過法により基材に燃料電池用触媒層を形成した後、転写法で電解質膜に燃料電池用触媒層を形成する方法が挙げられる。
本発明の電極は、前記燃料電池用触媒層と多孔質支持層とを有することを特徴としている。
本発明の電極はカソードまたはアノードのいずれの電極にも用いることができる。本発明の電極は、耐久性に優れ、触媒能が大きいので、カソードに用いるとより産業上の優位性が高い。
多孔質支持層とは、ガスを拡散する層(以下「ガス拡散層」とも記す。)である。ガス拡散層としては、電子伝導性を有し、ガスの拡散性が高く、耐食性の高いものであれば何であっても構わないが、一般的にはカーボンペーパー、カーボンクロスなどの炭素系多孔質材料や、軽量化のためにステンレス、耐食材を被服したアルミニウム箔が用いられる。
本発明の膜電極接合体は、カソードとアノードと前記カソードおよび前記アノードの間に配置された電解質膜とを有する膜電極接合体であって、前記カソードおよび/または前記アノードが、前記電極であることを特徴としている。
電解質膜としては、例えば、パーフルオロスルホン酸系を用いた電解質膜または炭化水素系電解質膜などが一般的に用いられるが、高分子微多孔膜に液体電解質を含浸させた膜または多孔質体に高分子電解質を充填させた膜などを用いてもよい。
また本発明の燃料電池は、前記膜電極接合体を備えることを特徴としている。
燃料電池の電極反応はいわゆる3相界面(電解質‐電極触媒‐反応ガス)で起こる。燃料電池は、使用される電解質などの違いにより数種類に分類され、溶融炭酸塩型(MCFC)、リン酸型(PAFC)、固体酸化物型(SOFC)、固体高分子型(PEFC)等がある。中でも、本発明の膜電極接合体は、固体高分子型燃料電池に使用することが好ましい。
本発明の触媒(A)または触媒(B)を用いた燃料電池は性能が高く、また、白金を触媒として用いた場合と比較してきわめて安価であるという特徴を持つ。本発明の燃料電池は、発電機能、発光機能、発熱機能、音響発生機能、運動機能、表示機能および充電機能からなる群より選ばれる少なくとも一つの機能を有し燃料電池を備える物品の性能、特に携帯可能な物品の性能を向上させることができる。前記燃料電池は、好ましくは物品の表面または内部に備えられる。
<本発明の燃料電池を備えた物品の具体例>
本発明の燃料電池を備えることができる前記物品の具体例としては、ビル、家屋、テント等の建築物、蛍光灯、LED等、有機EL、街灯、屋内照明、信号機等の照明器具、機械、車両そのものを含む自動車用機器、家電製品、農業機器、電子機器、携帯電話等を含む携帯情報端末、美容機材、可搬式工具、風呂用品トイレ用品等の衛生機材、家具、玩具、装飾品、掲示板、クーラーボックス、屋外発電機などのアウトドア用品、教材、造花、オブジェ、心臓ペースメーカー用電源、ペルチェ素子を備えた加熱および冷却器用の電源が挙げられる。
以下に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
また、実施例および比較例における各種測定は、下記の方法により行った。
[分析方法]
1.粉末X線回折 理学電機株式会社製 ロータフレックスを用いて、試料の粉末X線回折を行った。
各試料の粉末X線回折における回折線ピークの本数は、信号(S)とノイズ(N)の比(S/N)が2以上で検出できるシグナルを1つのピークとしてみなして数えた。
なお、ノイズ(N)は、ベースラインの幅とした。
2.元素分析
炭素:試料約0.1gを量り取り、堀場製作所 EMIA−110で測定を行った。
窒素・酸素:試料約0.1gを量り取り、Ni−Cupに封入後、ON分析装置で測定を行った。
遷移金属元素(チタンなど):試料約0.1gを白金皿に量り取り、酸を加えて加熱分解した。この加熱分解物を定容後、希釈し、ICP−MSで定量を行った。
3.BET比表面積
試料を0.15g採取し、全自動BET比表面積測定装置 マックソーブ((株)マウンテック製)で比表面積測定を行った。前処理時間、前処理温度は、それぞれ30分、200℃に設定した。
[実施例1−1]
1.触媒の製造
チタンテトライソプロポキシド(純正化学)5mL及びアセチルアセトン(純正化学)5mLをエタノール(和光純薬)15mLと酢酸(和光純薬)5mLとの溶液に加え、室温で攪拌しながらチタン含有混合物溶液を作製した。また、グリシン(和光純薬)2.507gを純水20mLに加え、室温で攪拌して完全に溶解させてグリシン含有混合物溶液を作製した。チタン含有混合物溶液をグリシン含有混合物溶液にゆっくり添加し、透明な触媒前駆体溶液を得た。ロータリーエバポレーターを用い、窒素雰囲気の減圧下で、ホットスターラーの温度を約100℃に設定し、前記触媒前駆体溶液を加熱かつ攪拌しながら、溶媒をゆっくり蒸発させた。完全に溶媒を蒸発させて得られた固形分残渣を乳鉢で細かく均一に潰して、粉末を得た。
この粉末を管状炉に入れ、4容量%水素と窒素との混合ガス(すなわち、水素ガス:窒素ガス=4体積%:96体積%の混合ガス。以下も同様。)雰囲気下で昇温速度10℃/minで900℃まで加熱し、900℃で1時間保持し、自然冷却することにより粉末(以下「触媒(1)」または「熱処理物(1)」とも記す。)を得た。
触媒(1)の粉末X線回折スペクトルを図1に示す。立方晶構造を持つチタン化合物およびルチル構造を持つ酸化チタンの回折線ピークが観測された。
また、触媒(1)の元素分析結果を表1に示す。炭素、窒素及び酸素の存在が確認された。
触媒(1)のBET比表面積は146m2/gであった。
[実施例1−2]
1.触媒の製造
チタンテトライソプロポキシド(純正化学(株)製)5mL及びアセチルアセトン(純正化学)5mLをエタノール(和光純薬(株)製)15mLと酢酸(和光純薬(株)製)5mLとの溶液に加え、室温で攪拌しながらチタン含有混合物溶液を作製した。また、グリシン(和光純薬(株)製)2.507g及び酢酸鉄(Aldrich社製)0.153gを純水20mLに加え、室温で攪拌して完全に溶解させてグリシン含有混合物溶液を作製した。チタン含有混合物溶液をグリシン含有混合物溶液にゆっくり添加し、透明な触媒前駆体溶液を得た。ロータリーエバポレーターを用い、窒素雰囲気の減圧下で、ホットスターラーの温度を約100℃に設定し、前記触媒前駆体溶液を加熱かつ攪拌しながら、溶媒をゆっくり蒸発させた。完全に溶媒を蒸発させて得られた固形分残渣を乳鉢で細かく均一に潰して、粉末を得た。
この粉末を管状炉に入れ、4容量%水素と窒素との混合ガス雰囲気下で昇温速度10℃/minで900℃まで加熱し、900℃で1時間保持し、自然冷却することにより粉末(以下「触媒(2)」または「熱処理物(2)」とも記す。)を得た。
触媒(2)の粉末X線回折スペクトルを図2に示す。立方晶構造を持つチタン化合物およびルチル構造を持つ酸化チタンの回折線ピークが観測された。
また、触媒(2)の元素分析結果を表1に示す。炭素、窒素及び酸素の存在が確認された。
触媒(2)のBET比表面積は172m2/gであった。
[実施例1−3]
1.触媒の製造
チタンテトライソプロポキシド(純正化学(株)製)5mL及びアセチルアセトン(純正化学(株)製)5mLをエタノール(和光純薬(株)製)15mLと酢酸(和光純薬(株)製)5mLとの溶液に加え、室温で攪拌しながらチタン含有混合物溶液を作製した。また、グリシン(和光純薬(株)製)2.507g及び酢酸鉄(Aldrich社製)0.306gを純水20mLに加え、室温で攪拌して完全に溶解させてグリシン含有混合物溶液を作製した。チタン含有混合物溶液をグリシン含有混合物溶液にゆっくり添加し、透明な溶液を得た。ロータリーエバポレーターを用い、窒素雰囲気の減圧下で、ホットスターラーの温度を約100℃に設定し、前記溶液を加熱かつ攪拌しながら、溶媒をゆっくり蒸発させた。完全に溶媒を蒸発させて得られた固形分残渣を乳鉢で細かく均一に潰して、粉末を得た。
この粉末を管状炉に入れ、アルゴンガス雰囲気下で昇温速度10℃/minで900℃まで加熱し、900℃で1時間保持し、自然冷却することにより粉末(以下「触媒(3)」とも記す。)を得た。
触媒(3)の粉末X線回折スペクトルを図3に示す。立方晶構造を持つチタン化合物およびルチル構造を持つ酸化チタンの回折線ピークが観測された。
また、触媒(3)の元素分析結果を表1に示す。炭素、窒素及び酸素の存在が確認された。
触媒(3)のBET比表面積は181m2/gであった。
[実施例1−4]
1.触媒の製造
チタンテトライソプロポキシド(純正化学(株)製)5mL及びアセチルアセトン(純正化学(株)製)5mLをエタノール(和光純薬(株)製)15mLと酢酸(和光純薬(株)製)5mLとの溶液に加え、室温で攪拌しながらチタン含有混合物溶液を作製した。また、グリシン(和光純薬(株)製)1.254g及び酢酸鉄(Aldrich社製)0.153gを純水20mLに加え、室温で攪拌して完全に溶解させてグリシン含有混合物溶液を作製した。チタン含有混合物溶液をグリシン含有混合物溶液にゆっくり添加し、透明な触媒前駆体溶液を得た。ロータリーエバポレーターを用い、窒素雰囲気の減圧下で、ホットスターラーの温度を約100℃に設定し、前記触媒前駆体溶液を加熱かつ攪拌しながら、溶媒をゆっくり蒸発させた。完全に溶媒を蒸発させて得られた固形物残渣を乳鉢で細かく均一に潰して、粉末を得た。
この粉末を管状炉に入れ、アルゴンガス雰囲気下で昇温速度10℃/minで800℃まで加熱し、800℃で1時間保持し、自然冷却することにより粉末(以下「触媒(4)」とも記す。)を得た。
触媒(4)の粉末X線回折スペクトルを図4に示す。立方晶構造を持つチタン化合物およびルチル構造を持つ酸化チタンの回折線ピークが観測された。
また、触媒(4)の元素分析結果を表1に示す。炭素、窒素及び酸素の存在が確認された。
触媒(4)のBET比表面積は181m2/gであった。
[実施例1−5]
1.触媒の製造
チタンテトライソプロポキシド(純正化学(株)製)5mL及びアセチルアセトン(純正化学(株)製)5mLをエタノール(和光純薬(株)製)15mLと酢酸(和光純薬(株)製)5mLとの溶液に加え、室温で攪拌しながらチタン含有混合物溶液を作製した。また、グリシン(和光純薬(株)製)2.507gを純水20mLに加え、室温で攪拌して完全に溶解させてグリシン含有混合物溶液を作製した。チタン含有混合物溶液をグリシン含有混合物溶液にゆっくり添加し、透明な触媒前駆体溶液を得た。ロータリーエバポレーターを用い、窒素雰囲気の減圧下で、ホットスターラーの温度を約100℃に設定し、前記触媒前駆体溶液を加熱かつ攪拌しながら、溶媒をゆっくり蒸発させた。完全に溶媒を蒸発させて得られた固形分残渣を乳鉢で細かく均一に潰して、粉末を得た。
この粉末を管状炉に入れ、4容量%水素と窒素ガス雰囲気下で昇温速度10℃/minで500℃まで加熱し、500℃で2時間保持し、自然冷却することにより粉末(以下「触媒(5)」とも記す。)を得た。
触媒(5)の粉末X線回折スペクトルを図5に示す。立方晶構造を持つチタン化合物およびルチル構造を持つ酸化チタンの回折線ピークが観測された。
また、触媒(5)の元素分析結果を表1に示す。炭素、窒素及び酸素の存在が確認された。
触媒(5)のBET比表面積は51m2/gであった。
参考例1−6]
1.触媒の製造
チタンテトライソプロポキシド(純正化学(株)製)5mL及びアセチルアセトン(純正化学(株)製)3mLをエタノール(和光純薬(株)製)15mLと酢酸(和光純薬(株)製)5mLとの溶液に加え、室温で攪拌しながらチタン含有混合物溶液を作製した。また、ポリビニルピロリドン(Aldrich社製)1.859gと酢酸鉄(Aldrich社製)0.145gとを純水15mLに加え、室温で攪拌して完全に溶解させてポリビニルピロリドン含有混合物溶液を作製した。チタン含有混合物溶液をポリビニルピロリドン含有混合物溶液にゆっくり添加し、透明な触媒前駆体溶液を得た。ロータリーエバポレーターを用い、窒素雰囲気の減圧下で、ホットスターラーの温度を約100℃に設定し、前記触媒前駆体溶液を加熱かつ攪拌しながら、溶媒をゆっくり蒸発させた。完全に溶媒を蒸発させて得られた固形分残渣を乳鉢で細かく均一に潰して、粉末を得た。
この粉末を管状炉に入れ、窒素ガス雰囲気下で昇温速度10℃/minで900℃まで加熱し、900℃で3時間保持し、自然冷却することにより粉末(以下「触媒(6)」とも記す。)を得た。
触媒(6)の粉末X線回折スペクトルを図6に示す。立方晶構造を持つチタン化合物およびルチル構造を持つ酸化チタンの回折線ピークが観測された。
また、触媒(6)の元素分析結果を表1に示す。炭素、窒素及び酸素の存在が確認された。
触媒(6)のBET比表面積は260m2/gであった。
参考例1−7]
1.触媒の製造
チタンテトライソプロポキシド(純正化学(株)製)5mLをエタノール(和光純薬(株)製)15mLと酢酸(和光純薬(株)製)5mLとの溶液に加え、室温で攪拌しながらチタン含有混合物溶液を作製した。また、ポリビニルピロリドン(Aldrich社製)1.859g及び酢酸鉄(Aldrich社製)0.145gを純水15mLに加え、室温で攪拌して完全に溶解させてポリビニルピロリドン含有混合物溶液を作製した。チタン含有混合物溶液をポリビニルピロリドン含有混合物溶液にゆっくり添加し、透明な触媒前駆体溶液を得た。ロータリーエバポレーターを用い、窒素雰囲気の減圧下で、ホットスターラーの温度を約100℃に設定し、前記触媒前駆体溶液を加熱かつ攪拌しながら、溶媒をゆっくり蒸発させた。完全に溶媒を蒸発させて得られた固形分残渣を乳鉢で細かく均一に潰して、粉末を得た。
この粉末を管状炉に入れ、窒素ガス雰囲気下で昇温速度10℃/minで600℃まで加熱し、600℃で2時間保持し、自然冷却することにより粉末(以下「触媒(7)」とも記す。)を得た。
触媒(7)の粉末X線回折スペクトルを図7に示す。立方晶構造を持つチタン化合物およびルチル構造を持つ酸化チタンの回折線ピークが観測された。
また、触媒(7)の元素分析結果を表1に示す。炭素、窒素及び酸素の存在が確認された。
触媒(7)のBET比表面積は65m2/gであった。
[実施例1−8]
1.触媒の製造
チタンテトライソプロポキシド(純正化学(株)製)5mL及びアセチルアセトン(純正化学(株)製)5mLをエタノール(和光純薬(株)製)15mLと酢酸(和光純薬(株)製)5mLとの溶液に加え、室温で攪拌しながらチタン含有混合物溶液を作製した。また、グリシン(和光純薬(株)製)3.762g及び酢酸鉄(Aldrich社製)0.306gを純水20mLに加え、室温で攪拌して完全に溶解させたグリシン含有混合物溶液を作製した。チタン含有混合物溶液をグリシン含有混合物溶液にゆっくり添加し、透明な触媒前駆体溶液を得た。ロータリーエバポレーターを用い、窒素雰囲気の減圧下で、ホットスターラーの温度を約100℃に設定し、前記触媒前駆体溶液を加熱かつ攪拌しながら、溶媒をゆっくり蒸発させた。完全に溶媒を蒸発させて得られた固形分残渣を乳鉢で細かく均一に潰して、粉末を得た。
この粉末を管状炉に入れ、4容量%水素と窒素の混合ガス雰囲気下で昇温速度10℃/minで900℃まで加熱し、900℃で1時間保持し、自然冷却することにより粉末(以下「触媒(8)」とも記す。)を得た。
触媒(8)の粉末X線回折スペクトルを図8に示す。立方晶構造を持つチタン化合物およびルチル構造を持つ酸化チタンの回折線ピークが観測された。
また、触媒(8)の元素分析結果を表1に示す。炭素、窒素及び酸素の存在が確認された。
触媒(8)のBET比表面積は241m2/gであった。
[実施例2−1]
1.燃料電池用電極の製造
触媒(2)0.095gとカーボン(キャボット社製 XC−72)0.005gとを、イソプロピルアルコール:純水=2:1の質量比で混合した溶液10gに入れ、超音波で撹拌、懸濁して混合した。この混合物30μlをグラッシーカーボン電極(東海カーボン社製、直径:5.2mm)に塗布し、120℃で1時間乾燥し、カーボン電極表面に1.0mg以上の燃料電池触媒層が形成された。さらに、燃料電池用触媒層の上にNAFION(登録商標)(デュポン社 5%NAFION(登録商標)溶液(DE521))を10倍にイソプロピルアルコールで希釈したもの10μlを塗布し、120℃で1時間乾燥し、燃料電池用電極(1)を得た。
2.酸素還元能の評価
作製した燃料電池用電極(1)を、酸素雰囲気および窒素雰囲気で、0.5mol/dm3の硫酸溶液中、30℃、5mV/秒の電位走査速度で分極し、電流−電位曲線を測定した。その際、同濃度の硫酸溶液中での可逆水素電極を参照電極とした。
上記測定結果から、酸素雰囲気での還元電流と窒素雰囲気での還元電流とに0.2μA/cm2以上差が現れ始める電位を酸素還元開始電位とした。また、0.7V(vsRHE)における、酸素雰囲気での還元電流と窒素雰囲気での還元電流との差を算出した。算出した値を、さらに電極面積で除した値を酸素還元電流密度(mA/cm2)とした。
酸素還元開始電位および酸素還元電流密度により、作製した燃料電池用電極(1)の触媒能を評価した。
すなわち、酸素還元開始電位が高いほど、酸素還元電流密度が大きいほど、燃料電池用電極における触媒の触媒能が高いことを示す。
図9に、上記測定により得られた電流−電位曲線を示す。
実施例1−2で作製した触媒(2)は、酸素還元開始電位が1.01V(vs.RHE)、酸素還元電流密度が1.28mA/cm2であり、高い触媒能を有することがわかった(表2)。
[実施例2−2]
1.燃料電池用電極の製造
触媒(3)0.095gとカーボン(キャボット社製 XC−72)0.005gとを、イソプロピルアルコール:純水=2:1の質量比で混合した溶液10gに入れ、超音波で撹拌、懸濁して混合した。この混合物30μlをグラッシーカーボン電極(東海カーボン社製、直径:5.2mm)に塗布し、120℃で1時間乾燥し、カーボン電極表面に1.0mg以上の燃料電池触媒層が形成された。さらに、燃料電池用触媒層の上にNAFION(登録商標)(デュポン社 5%NAFION(登録商標)溶液(DE521))を10倍にイソプロピルアルコールで希釈したもの10μlを塗布し、120℃で1時間乾燥し、燃料電池用電極(2)を得た。
2.酸素還元能の評価
作製した燃料電池用電極(2)を、酸素雰囲気および窒素雰囲気で、0.5mol/dm3の硫酸溶液中、30℃、5mV/秒の電位走査速度で分極し、電流−電位曲線を測定した。その際、同濃度の硫酸溶液中での可逆水素電極を参照電極とした。
上記測定結果から、酸素雰囲気での還元電流と窒素雰囲気での還元電流とに0.2μA/cm2以上差が現れ始める電位を酸素還元開始電位とした。また、0.7V(vsRHE)における、酸素雰囲気での還元電流と窒素雰囲気での還元電流との差を算出した。算出した値を、さらに電極面積で除した値を酸素還元電流密度(mA/cm2)とした。
酸素還元開始電位および酸素還元電流密度により、作製した燃料電池用電極(2)の触媒能を評価した。
すなわち、酸素還元開始電位が高いほど、酸素還元電流密度が大きいほど、燃料電池用電極における触媒の触媒能が高いことを示す。
図10に、上記測定により得られた電流−電位曲線を示す。
実施例1−3で作製した触媒(3)は、酸素還元開始電位が1.01V(vs.RHE)、酸素還元電流密度が1.90mA/cm2であり、高い触媒能を有することがわかった(表2)。
参考例2−3]
1.燃料電池用電極の製造
触媒(6)0.095gとカーボン(キャボット社製 XC−72)0.005gとを、イソプロピルアルコール:純水=2:1の質量比で混合した溶液10gに入れ、超音波で撹拌、懸濁して混合した。この混合物30μlをグラッシーカーボン電極(東海カーボン社製、直径:5.2mm)に塗布し、120℃で1時間乾燥し、カーボン電極表面に1.0mg以上の燃料電池触媒層が形成された。さらに、燃料電池用触媒層の上にNAFION(登録商標)(デュポン社 5%NAFION(登録商標)溶液(DE521))を10倍にイソプロピルアルコールで希釈したもの10μlを塗布し、120℃で1時間乾燥し、燃料電池用電極(3)を得た。
2.酸素還元能の評価
作製した燃料電池用電極(3)を、酸素雰囲気および窒素雰囲気で、0.5mol/dm3の硫酸溶液中、30℃、5mV/秒の電位走査速度で分極し、電流−電位曲線を測定した。その際、同濃度の硫酸溶液中での可逆水素電極を参照電極とした。
上記測定結果から、酸素雰囲気での還元電流と窒素雰囲気での還元電流とに0.2μA/cm2以上差が現れ始める電位を酸素還元開始電位とした。また、0.7V(vsRHE)における、酸素雰囲気での還元電流と窒素雰囲気での還元電流との差を算出した。算出した値を、さらに電極面積で除した値を酸素還元電流密度(mA/cm2)とした。
酸素還元開始電位および酸素還元電流密度により、作製した燃料電池用電極(3)の触媒能を評価した。
すなわち、酸素還元開始電位が高いほど、酸素還元電流密度が大きいほど、燃料電池用電極における触媒の触媒能が高いことを示す。
図11に、上記測定により得られた電流−電位曲線を示す。
参考例1−6で作製した触媒(6)は、酸素還元開始電位が1.04V(vs.RHE)、素還元電流密度が0.68mA/cm2であり、高い触媒能を有することがわかった(表2)。
参考例2−4]
1.燃料電池用電極の製造
触媒(7)0.095gとカーボン(キャボット社製 XC−72)0.005gとを、イソプロピルアルコール:純水=2:1の質量比で混合した溶液10gに入れ、超音波で撹拌、懸濁して混合した。この混合物30μlをグラッシーカーボン電極(東海カーボン社製、直径:5.2mm)に塗布し、120℃で1時間乾燥し、カーボン電極表面に1.0mg以上の燃料電池触媒層が形成された。さらに、燃料電池用触媒層の上にNAFION(登録商標)(デュポン社 5%NAFION(登録商標)溶液(DE521))を10倍にイソプロピルアルコールで希釈したもの10μlを塗布し、120℃で1時間乾燥し、燃料電池用電極(4)を得た。
2.酸素還元能の評価
作製した燃料電池用電極(4)を、酸素雰囲気および窒素雰囲気で、0.5mol/dm3の硫酸溶液中、30℃、5mV/秒の電位走査速度で分極し、電流−電位曲線を測定した。その際、同濃度の硫酸溶液中での可逆水素電極を参照電極とした。
上記測定結果から、酸素雰囲気での還元電流と窒素雰囲気での還元電流とに0.2μA/cm2以上差が現れ始める電位を酸素還元開始電位とした。また、0.7V(vsRHE)における、酸素雰囲気での還元電流と窒素雰囲気での還元電流との差を算出した。算出した値を、さらに電極面積で除した値を酸素還元電流密度(mA/cm2)とした。
酸素還元開始電位および酸素還元電流密度により、作製した燃料電池用電極(4)の触媒能を評価した。
すなわち、酸素還元開始電位が高いほど、酸素還元電流密度が大きいほど、燃料電池用電極における触媒の触媒能が高いことを示す。
図12に、上記測定により得られた電流−電位曲線を示す。
参考例1−7で作製した触媒(7)は、酸素還元開始電位が0.82V(vs.RHE)、酸素還元電流密度が0.4mA/cm2であり、高い触媒能を有することがわかった(表2)。
[実施例2−5]
1.燃料電池用電極の製造
触媒(8)0.095gとカーボン(キャボット社製 XC−72)0.005gとを、イソプロピルアルコール:純水=2:1の質量比で混合した溶液10gに入れ、超音波で撹拌、懸濁して混合した。この混合物30μlをグラッシーカーボン電極(東海カーボン社製、直径:5.2mm)に塗布し、120℃で1時間乾燥し、カーボン電極表面に1.0mg以上の燃料電池触媒層が形成された。さらに、燃料電池用触媒層の上にNAFION(登録商標)(デュポン社 5%NAFION(登録商標)溶液(DE521))を10倍にイソプロピルアルコールで希釈したもの10μlを塗布し、120℃で1時間乾燥し、燃料電池用電極(5)を得た。
2.酸素還元能の評価
作製した燃料電池用電極(5)を、酸素雰囲気および窒素雰囲気で、0.5mol/dm3の硫酸溶液中、30℃、5mV/秒の電位走査速度で分極し、電流−電位曲線を測定した。その際、同濃度の硫酸溶液中での可逆水素電極を参照電極とした。
上記測定結果から、酸素雰囲気での還元電流と窒素雰囲気での還元電流とに0.2μA/cm2以上差が現れ始める電位を酸素還元開始電位とした。また、0.7V(vsRHE)における、酸素雰囲気での還元電流と窒素雰囲気での還元電流との差を算出した。算出した値を、さらに電極面積で除した値を酸素還元電流密度(mA/cm2)とした。
酸素還元開始電位および酸素還元電流密度により、作製した燃料電池用電極(5)の触媒能を評価した。
すなわち、酸素還元開始電位が高いほど、酸素還元電流密度が大きいほど、燃料電池用電極における触媒の触媒能が高いことを示す。
図13に、上記測定により得られた電流−電位曲線を示す。
実施例1−8で作製した触媒(8)は、酸素還元開始電位が0.95V(vs.RHE)、酸素還元電流密度が1.50mA/cm2であり、高い触媒能を有することがわかった(表2)。
[実施例3−1]
1.触媒の製造
第1の遷移金属含有化合物としてチタンテトライソプロポキシド(純正化学(株)製)9.37g及びアセチルアセトン(純正化学)5.12gをエタノール(和光純薬(株)製)15mLと酢酸(和光純薬(株)製)5mLとの溶液に加え、室温で攪拌しながら第1の遷移金属含有混合物溶液を作製した。また、窒素含有有機化合物としてグリシン(和光純薬(株)製)10.0g及び第2の遷移金属含有化合物として酢酸鉄(Aldrich社製)0.582gを純水20mLに加え、室温で攪拌して完全に溶解させて窒素含有有機化合物含有混合物溶液を作製した。第1の遷移金属含有混合物溶液を窒素含有有機化合物含有混合物溶液にゆっくり添加し、透明な触媒前駆体溶液を得た。ロータリーエバポレーターを用い、窒素雰囲気の減圧下で、ホットスターラーの温度を約100℃に設定し、前記触媒前駆体溶液を加熱かつ攪拌しながら、溶媒をゆっくり蒸発させた。完全に溶媒を蒸発させて得られた固形分残渣を乳鉢で細かく均一に潰して、粉末を得た。
この粉末を管状炉に入れ、水素ガスを4体積%含む窒素ガスの雰囲気下で昇温速度10℃/minで890℃まで加熱し、890℃で1時間保持し、自然冷却することにより粉末状の触媒を得た。この触媒のBET比表面積および元素分析結果を表3に示す。
2.燃料電池用電極の製造
次いで、この触媒0.095gとカーボン(キャボット社製 XC−72)0.005gとを、イソプロピルアルコール:純水=2:1の質量比で混合した溶液10gに入れ、超音波で撹拌、懸濁して混合した。この混合物30μlをグラッシーカーボン電極(東海カーボン社製、直径:5.2mm)に塗布し、120℃で5分間乾燥し、カーボン電極表面に1.0mg以上の燃料電池触媒層が形成された。さらに、燃料電池用触媒層の上にNAFION(登録商標)(デュポン社 5%NAFION(登録商標)溶液(DE521))をイソプロピルアルコールで10倍に希釈したもの10μlを塗布し、120℃で1時間乾燥し、燃料電池用電極を得た。
3.酸素還元能の評価
作製した燃料電池用電極を、酸素雰囲気および窒素雰囲気で、0.5mol/Lの硫酸水溶液中、30℃、5mV/秒の電位走査速度で分極し、電流−電位曲線を測定した。その際、同濃度の硫酸溶液中での可逆水素電極を参照電極とした。酸素雰囲気での還元電流と窒素雰囲気での還元電流とに0.05mA/cm2以上差が現れ始める電位を酸素還元電位E@0.05mA/cm2とした。この酸素還元電位により、作製した燃料電池用電極の触媒能を評価した。すなわち、この酸素還元電位が高いほど、燃料電池用電極における触媒の触媒能が高いことを示す。
[実施例3−3、3−5〜3−8、3−11〜3−18、3−23〜3−25、3−32〜3−38、参考例3−2、3−4、3−9、3−19〜3−22、3−26、3−29〜3−31、比較例3−1〜3−3]
第1の遷移金属含有化合物、窒素含有有機化合物および第2の遷移金属含有化合物として表3に記載された化合物を表3に記載された重量で用いたこと以外は実施例3−1と同様の手順で触媒を製造し、その分析を行い、さらに燃料電池用電極を得て、その酸素還元能を評価した。結果を表3に示す。
[実施例3−27〜3−28]
1.触媒の製造
第1の遷移金属含有化合物、窒素含有有機化合物および第2の遷移金属含有化合物として表3に記載された化合物を表3に記載された重量で用いたこと以外は実施例3−1と同様の手順で透明な触媒前駆体溶液を得た。ロータリーエバポレーターを用い、窒素雰囲気の減圧下で、ホットスターラーの温度を約100℃に設定し、前記触媒前駆体溶液を加熱かつ攪拌しながら、溶液量が半分になるまで溶媒をゆっくり蒸発させた。溶液中に析出した固体をろ過操作によって取り出し、この固体を窒素中で乾燥させて得られた固形分残渣を乳鉢で細かく、均一に潰して粉末を得た。
この粉末を管状炉に入れ、水素ガスを4体積%含む窒素ガスの雰囲気下で昇温速度10℃/minで890℃まで加熱し、890℃で1時間保持し、自然冷却することにより粉末状の触媒を製造し、その分析を行い、さらに燃料電池用電極を得て、その酸素還元能を評価した。結果を表3に示す。
[実施例3−39]
加熱温度を890℃から1000℃に変更したこと以外は実施例3−1と同様の手順で触媒を製造し、その分析を行い、さらに燃料電池用電極を得て、その酸素還元能を評価した。結果を表3に示す。
[実施例3−40]
第1の遷移金属含有化合物、窒素含有有機化合物および第2の遷移金属含有化合物として表3に記載された化合物を表3に記載された重量で用い、エタノールに代えてメタノール(特級、和光ケミカル)50mlを用い、酢酸を用いなかったこと以外は実施例3−1と同様の手順で触媒を製造し、その分析を行い、さらに燃料電池用電極を得て、その酸素還元能を評価した。結果を表3に示す。
[実施例3−41]
1.触媒の製造
ビーカーに、アセチルアセトン2.60gを入れ、これを攪拌しながら第1の遷移金属含有化合物としてバナジウムイソプロポキシド4.30gを滴下し、さらに酢酸28mlを2分間かけて滴下し、第1の遷移金属含有混合物溶液を調製した。
ビーカーに水60ml、エタノール50ml、および酢酸60mlを入れ、ここに窒素含有有機化合物としてピラジンカルボン酸8.74gを加えて完全に溶解させた。得られた溶液に、これを攪拌しながら、さらに酢酸鉄0.290gを少量ずつ加えて溶解させた。次に温度を室温に保ちながら、かつ攪拌しながら、第1の遷移金属含有混合物溶液をゆっくり(10分間かけて)滴下し、滴下後さらに30分間攪拌を行い、透明な触媒前駆体溶液(3−41)を得た。
ロータリーエバポレーターを用い、窒素雰囲気の減圧下で、ホットスターラーの温度を約100℃に設定し、前記触媒前駆体溶液を加熱かつ攪拌しながら、溶媒をゆっくり蒸発させた。完全に溶媒を蒸発させて得られた固形分残渣を乳鉢で細かく均一に潰して、粉末を得た。
この粉末のうち1.2gをロータリーキルン炉に入れ、水素ガスを4体積%含む窒素ガスを20ml/分の速度で流しながら、昇温速度10℃/分で890℃まで加熱し、890℃で0.5時間保持し、自然冷却することにより、粉末状の触媒を得た。この触媒のBET比表面積および元素分析結果を表3に示す。
[実施例3−42]
ビーカーに、酢酸80mlを入れ、これを攪拌しながらバナジウム(III)アセチルアセトナート6.13gを滴下し、第1の遷移金属含有混合物溶液を調製した。
攪拌子(長さ30mm)が1個入った容量500mlのナスフラスコに水60ml、エタノール50ml、および酢酸60mlを入れ、ここに窒素含有有機化合物としてピラジンカルボン酸8.74gを加えて完全に溶解させた。得られた溶液に、これを攪拌しながら、さらに酢酸鉄0.290gを少量ずつ加えて溶解させた。次に温度を室温に保ちながら、かつ攪拌しながら、第1の遷移金属含有混合物溶液をゆっくり(10分間かけて)滴下し、滴下後さらに30分間攪拌を行い、透明な触媒前駆体溶液(3−42)を得た。
触媒前駆体溶液(3−41)を触媒前駆体溶液(3−42)に変更したこと以外は実施例3−41と同様の操作により粉末状の触媒を得た。この触媒のBET比表面積および元素分析結果を表3に示す。
[実施例3−43]
1.触媒の製造
第1の遷移金属含有化合物としてチタンテトライソプロポキシド(純正化学(株)製)9.37g及びアセチルアセトン(純正化学)5.12gを酢酸(和光純薬(株)製)5mLとの溶液に加え、室温で攪拌しながら第1の遷移金属含有混合物溶液を作製した。また、窒素含有有機化合物としてグリシン(和光純薬(株)製)10.0g及び第2の遷移金属含有化合物として酢酸鉄(Aldrich社製)0.582gを純水20mLに加え、室温で攪拌して完全に溶解させて窒素含有有機化合物含有混合物溶液を作製した。第1の遷移金属含有混合物溶液を窒素含有有機化合物含有混合物溶液にゆっくり添加し、透明な触媒前駆体溶液を得た。ロータリーエバポレーターを用い、窒素雰囲気の減圧下で、ホットスターラーの温度を約80℃に設定し、前記触媒前駆体溶液を加熱かつ攪拌しながら、溶媒をゆっくり蒸発させた。完全に溶媒を蒸発させて得られた固形分残渣を乳鉢で細かく均一に潰して、粉末を得た。
この粉末を管状炉に入れ、水素ガスを4体積%含む窒素ガスの雰囲気下で昇温速度20℃/minで890℃まで加熱し、890℃で30分間保持し、自然冷却することにより粉末状の触媒を得た。この触媒のBET比表面積および元素分析結果を表3に示す。
[比較例3−4]
遷移金属含有化合物である酸化チタン(アナターゼ型、100m2/g)を管状炉に入れ、水素ガスを4体積%含む窒素ガスの雰囲気下で昇温速度10℃/minで900℃まで加熱し、900℃で1時間保持し、自然冷却することにより粉末状の触媒を製造した。その分析を行い、さらに燃料電池用電極を得て、その酸素還元能を評価した。結果を表3に示す。
[比較例3−5]
遷移金属含有化合物である酸化チタン(アナターゼ型、100m2/g)2gとカーボンブラック(キャボット社製、VULCAN(登録商標) XC72)0.75gを乳鉢中でよく混合し、管状炉に入れ、水素ガスを4体積%含む窒素ガスの雰囲気下で昇温速度10℃/minで1700℃まで加熱し、1700℃で3時間保持し、自然冷却することにより粉末状の触媒を製造した。その分析を行い、さらに燃料電池用電極を得て、その酸素還元能を評価した。結果を表3に示す。
[比較例3−6]
実施例3−1で得た粉末を管状炉に入れ、水素ガスを4体積%含む窒素ガスの雰囲気下で昇温速度10℃/minで170℃まで加熱し、170℃で1時間保持し、自然冷却することにより粉末状の触媒を製造した。その分析を行い、さらに燃料電池用電極を得て、その酸素還元能を評価した。結果を表4に示す。
[比較例3−7]
実施例3−1で得た粉末を管状炉に入れ、水素ガスを4体積%含む窒素ガスの雰囲気下で昇温速度10℃/minで240℃まで加熱し、240℃で1時間保持し、自然冷却することにより粉末状の触媒を製造した。その分析を行い、さらに燃料電池用電極を得て、その酸素還元能を評価した。結果を表4に示す。
[比較例3−8]
実施例3−1で得た粉末を管状炉に入れ、水素ガスを4体積%含む窒素ガスの雰囲気下で昇温速度10℃/minで300℃まで加熱し、300℃で1時間保持し、自然冷却することにより粉末状の触媒を製造した。その分析を行い、さらに燃料電池用電極を得て、その酸素還元能を評価した。結果を表4に示す。
[比較例3−9]
実施例3−1で得た粉末を管状炉に入れ、水素ガスを4体積%含む窒素ガスの雰囲気下で昇温速度200℃/hで1200℃まで加熱し、1200℃で2時間保持し、自然冷却することにより粉末状の触媒を製造した。さらに燃料電池用電極を得て、その酸素還元能を評価した。結果を表4に示す。
[比較例3−10]
実施例3−1で得た粉末を管状炉に入れ、水素ガスを4体積%含む窒素ガスの雰囲気下で昇温速度200℃/hで1400℃まで加熱し、1400℃で2時間保持し、自然冷却することにより粉末状の触媒を製造した。さらに燃料電池用電極を得て、その酸素還元能を評価した。結果を表4に示す。
[比較例3−11]
実施例3−1で得た粉末を管状炉に入れ、水素ガスを4体積%含む窒素ガスの雰囲気下で昇温速度200℃/hで1600℃まで加熱し、1600℃で2時間保持し、自然冷却することにより粉末状の触媒を製造した。さらに燃料電池用電極を得て、その酸素還元能を評価した。結果を表4に示す。
[アノード作製例4−1]
1.アノード用インクの調製
純水50mlに、白金担持カーボン(TEC10E60E、田中貴金属工業製)0.6gと、プロトン伝導性材料(NAFION(登録商標))0.25gを含有する水溶液(5%ナフィオン(NAFION(登録商標)水溶液、和光純薬工業製)5gとを入れて、超音波分散機(UT−106H型シャープマニファクチャリングシステム社製)で1時間混合することにより、アノード用インク(4−1)を調製した。
2.アノード触媒層を有する電極の作製
ガス拡散層(カーボンペーパー(TGP−H−060、東レ社製))を、アセトンに30秒間浸漬して脱脂した後、乾燥させ、次いで10%のポリテトラフルオロエチレン(以下「PTFE」とも記す。)水溶液に30秒間浸漬した。
浸漬物を、室温乾燥後、350℃で1時間加熱することにより、カーボンペーパー内部にPTFEが分散し撥水性を有するガス拡散層(以下「GDL」とも記す。)を得た。
次に、5cm×5cmの大きさとした前記GDLの表面に、自動スプレー塗布装置(サンエイテック社製)により、80℃で、上記アノード用インク(4−1)を塗布した。スプレー塗布を繰り返し行うことにより、単位面積あたりの白金(Pt)量が1mg/cm2であるアノード触媒層(4−1)を有する電極を作製した。
[実施例4−1]
1.インクの調製;
2−プロパノール25mLおよび蒸留水25mLの混合液に、上記触媒(1)0.355gと、電子伝導性材料としてのカーボンブラック(ケッチェンブラックEC300J、LION社製)0.08875gとを加え、さらにプロトン伝導性材料ナフィオン(NAFION(登録商標))を含有する水溶液(5%ナフィオン(NAFION(登録商標))水溶液、和光純薬工業(株)製)4.67gを加えて、超音波分散機(UT−106H型シャープマニファクチャリングシステム社製)を使用してこれらを1時間混合することにより、カソード用インク(4−1)を調製した。
2.燃料電池用触媒層を有する電極の作製;
次に、アノード作製例4−1と同様の方法で作製し、5cm×5cmの大きさとした前記GDLの表面に、自動スプレー塗布装置(サンエイテック社製)により、100℃で、上記カソード用インク(4−1)を塗布した。繰り返しスプレー塗布することにより、触媒(4−1)およびカーボンブラックの総量が単位面積あたり5mg/cm2のカソード触媒層(4−1)を有する電極を作製した。
3.膜電極接合体(以下「MEA」とも記す。)の作製;
電解質膜として、ナフィオン(NAFION(登録商標))膜N−212(DuPont社製)を用いた。カソードとして、上記GDLの表面にカソード触媒層(4−1)を有する電極を用いた。アノードとして、アノード作製例4−1で作製した、GDLの表面にアノード触媒層(4−1)を有する電極を用いた。前記カソード及び前記アノードの間に前記電解質膜を配置した燃料電池用膜電極接合体(以下「MEA」ともいう。)を以下のように作製した。
まず、前記電解質膜を前記カソードおよび前記アノードで挟み、カソード触媒層(4−1)およびアノード触媒層(4−1)が前記電解質膜に密着するようにホットプレス機を用いて、140℃、3MPaで6分間熱圧着して、MEA(4−1)を作製した。
4.単セルの作製;
上記MEA(4−1)を、2つシール材(ガスケット)、2つのガス流路付きセパレーター、2つの集電板およびで2つのラバーヒータで挟んでボルトで固定し、所定の面圧(4N)になるように締め付けて、固体高分子形燃料電池の単セル(4−1)(25cm2)を作製した。
5.発電特性の評価(触媒能の測定);
上記6で作製した単セル(4−1)を90℃、アノード加湿器を90℃、カソード加湿器を50℃に温度調節した。アノード側に燃料として水素を流量1リットル/分で供給し、カソード側に酸化剤として酸素を流量2リットル/分で供給し、両側ともに300kPaの背圧をかけながら、単セル(4−1)における電流―電圧特性を測定した。得られた電流―電圧特性曲線から最大出力密度を算出した。当該最大出力密度が大きいほど、MEAにおける触媒能が高いことを示す。MEA(4−1)における触媒能、すなわち最大出力密度は、29mW/cm2であった。
[実施例4−2]
実施例1−1で得られた熱処理物(1)を、遊星ボールミル(フリッチェ社製 Premium7、自転半径:2.3cm、公転半径:16.3cm)により以下のとおり解砕した。
密閉可能なジルコニアミル容器(容量45ml、内径45mm)の内部に、触媒(1)0.9g、直径0.5mmのジルコニアボール(ニッカトー社製)40g、2−プロパノール(分散溶媒)7mlを入れた。前記ジルコニアミル容器を密閉し、容器内部を充分にアルゴン置換した。次に、自転回転数:700rpm、公転回転数:350rpm、自転遠心加速度:12.6G、公転遠心加速度:22.3G、解砕時間:5分間で、熱処理物(1)を解砕し、触媒(4−2)を得た。
当該解砕後、前記ジルコニアミル容器ごと水冷を行った。水冷後、2−プロパノールおよび触媒(4−2)と、ジルコニアボールとを分離した。さらに、2−プロパノールおよび触媒(4−2)を減圧ろ過し、触媒(4−2)と2−プロパノールとを分離した。
触媒(1)を触媒(4−2)に変更したこと以外は実施例4−1と同様の操作を行い、カソード触媒層、MEA(MEA(4−2))および単セル(単セル(4−2))を作製し、発電特性の評価を行った。MEA(4−2)における触媒能、すなわち最大出力密度は76mW/cm2であった。
[実施例4−3]
触媒(1)を触媒(2)に変更したこと以外は実施例4−1と同様の操作を行い、カソード触媒層、MEA(MEA(4−3))および単セル(単セル(4−3))を作製し、発電特性の評価を行った。MEA(4−3)における触媒能、すなわち最大出力密度は334mW/cm2であった。
[実施例4−4]
熱処理物(2)を実施例1−2で得られた熱処理物(2)に変更したこと以外は実施例4−2と同様の操作を行い、触媒(4−4)を得た。
触媒(4−1)を触媒(4−4)に変更したこと以外は実施例4−1と同様の操作を行い、カソード触媒層、MEA(MEA(4−4))および単セル(単セル(4−4))を作製し、発電特性の評価を行った。MEA(4−4)における触媒能、すなわち最大出力密度は520mW/cm2であった。
Figure 0006061998
Figure 0006061998
※酸素還元電位E@0.05mA/cm2・・・酸素雰囲気での還元電流と窒素雰囲気での還元電流とに0.05mA/cm2以上差が現れ始める電位
Figure 0006061998
Figure 0006061998
表3、4中の略号の意味は以下のとおりである。
Acac:アセチルアセトン
Ti−iP:チタンテトライソプロポキシド
TiAcac錯体:チタンテトラアセチルアセトナート
Zr−B:ジルコニウムテトラブトキシド
Ta−E:タンタルペンタエトキシド
Nb−E:ニオブペンタエトキシド
V−iP:バナジウムオキシトリイソプロポキシド(VO(O−iPr)3
VAcac錯体:バナジウムアセチルアセトナート(V(acac)3

Claims (12)

  1. 少なくとも遷移金属含有化合物、窒素含有有機化合物および溶媒を混合して触媒前駆体溶液を得る工程1、
    前記触媒前駆体溶液から溶媒を除去する工程2、および
    工程2で得られた固形分残渣を500〜1100℃の温度で熱処理して電極触媒を得る工程3を含み、
    前記遷移金属含有化合物の一部または全部が、遷移金属元素として周期表第4族および第5族の元素から選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素M1を含有する化合物であり、且つ、
    前記窒素含有有機化合物が、グリシン、グリシルグリシン、ピラジンカルボン酸および2−ピリジンカルボン酸から選ばれる少なくとも1種である製造方法で得られた燃料電池用電極触媒であって、該触媒を構成する遷移金属元素、炭素、窒素および酸素の原子数の比(遷移金属元素:炭素:窒素:酸素)が1:x:y:z(ただし、0<x≦7、0<y≦2、0<z≦3である。)であることを特徴とする燃料電池用電極触媒。
  2. 前記遷移金属含有化合物の一部が、遷移金属元素として鉄、ニッケル、クロム、コバルト、バナジウムおよびマンガンから選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素M2を含む化合物であり、
    該触媒を構成する遷移金属元素M1、遷移金属元素M2、炭素、窒素および酸素の原子数の比(遷移金属元素M1:遷移金属元素M2:炭素:窒素:酸素)が(1−a):a:x:y:z(ただし、0<a≦0.5、0<x≦7、0<y≦2、0<z≦3である。)であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用電極触媒。
  3. グリシン、グリシルグリシン、ピラジンカルボン酸、2−ピリジンカルボン酸から選ばれる少なくとも1種である窒素含有有機化合物と、
    分子中に酸素を含む遷移金属化合物と
    の混合物を500℃以上1000℃以下の温度で熱処理する工程を含む製造方法により製造された遷移金属炭窒酸化物であって、その組成式が、mCxyz(ただし、mは遷移金属元素であり、x、y、zは原子数の比を表わし、0<x≦3、0<y≦2、0<z≦3である。)で表されることを特徴とする遷移金属炭窒酸化物。
  4. 請求項3に記載の遷移金属炭窒酸化物を含むことを特徴とする燃料電池用電極触媒。
  5. BET法で算出される比表面積が30〜350m2/gであることを特徴とする請求項1、2または4に記載の燃料電池用電極触媒。
  6. 請求項1、2、4または5に記載の燃料電池用電極触媒を含むことを特徴とする燃料電池用触媒層。
  7. 電子伝導性粒子をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の燃料電池用触媒層。
  8. 請求項7に記載の燃料電池用触媒層と多孔質支持層とを有することを特徴とする電極。
  9. カソードとアノードと前記カソードおよび前記アノードの間に配置された電解質膜とを有する膜電極接合体であって、前記カソードおよび/または前記アノードが請求項8に記載の電極であることを特徴とする膜電極接合体。
  10. 請求項9に記載の膜電極接合体を備えることを特徴とする燃料電池。
  11. 固体高分子形燃料電池であることを特徴とする請求項10に記載の燃料電池。
  12. 発電機能、発光機能、発熱機能、音響発生機能、運動機能、表示機能および充電機能からなる群より選ばれる少なくとも一つの機能を有する物品であって、請求項10または11に記載の燃料電池を備えることを特徴とする物品。
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