JP6051637B2 - 静電荷像現像用トナーの製造方法 - Google Patents

静電荷像現像用トナーの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、静電荷像現像用トナーの製造方法に関する。
近年、複写機のカラー化・高速化が進む中で、電子写真業界では、低コスト、高画質で環境に優しいトナーが要求されている。この要求を満たすために、従来の粉砕型トナーからケミカルトナーへの転換が進んでいる。ケミカルトナーの製造方法としては種々のものが検討され、そのいくつかの方法で製品が上市されている。しかしながら、トナーを搭載する複写機、プリンターの低コスト化により、高画質を得るためのトナー特性への要求がより高くなってきている。
特に、乳化重合法などにより作成した樹脂粒子、離型剤粒子、および着色剤粒子等を凝集・融着させてトナー粒子を作製する方法が、小粒径でありながら粒径の分布が狭く、したがって高画質画像が期待でき、トナー粒子表面に適度の凹凸があってクリーニング性もよい等の理由から注目されている。
このようなトナーは、水系媒体中、または有機溶媒中でトナー粒子を形成させ、トナー粒子分散液とした後、分離手段を用いてトナー粒子分散液からトナー粒子を固液分離し、その後必要に応じて外添剤を添加して得ることができる。分離手段としては、例えば、遠心分離装置、加圧型濾過装置、デカンテーション型固液分離装置などの固液分離装置が用いられている。
ここで、トナー粒子を分散させたトナー粒子分散液中には、界面活性剤、トナー粒子より脱離した遊離離型剤粒子またはその分解物粒子などの不純物が含有されている。そのため、トナー粒子をトナー粒子分散液から固液分離する際に、トナー粒子表面から不純物を効率的に除去する技術が求められている。
この問題を解決するために、例えば、特許文献1には、遠心分離機を用いた固液分離を含むトナーの製造工程において、フィルターの目にトナー粒子を充填して、トナー粒子でできた固液分離面を形成し、これによって不純物を効率的に除去する方法が記載されている。また、特許文献2には、フィルターを吸引して濾過分離を行うとともにフィルターを再生することによりトナー表面より不純物を除去する方法が記載されている。
特開2004−258607号公報 特開2005−156937号公報
上記のような遠心分離機を用いた固液分離では、一般に、周壁に多数の小孔を開けた回転円筒(バスケット)を高速で回転させ、その時に生じる遠心力によって濾過を行う。これによって、トナー粒子分散液から液成分を脱液してトナー粒子を分離し、トナーケーキと呼ばれる所定形状のトナー塊状物が形成される。得られたトナーケーキは、例えばブレードを用いて掻き取ることで遠心分離機から取り出されるが、このとき、設備の保全の観点から、ブレードが装置に装着された金属メッシュ等のフィルターやろ布と接触することを避けるためにトナーケーキの外側の10mm程度を残して掻き取ることが一般的であった。このため、遠心分離機の内部にはトナーケーキが残存してしまっていた(この掻き取りの残りの部分のトナーケーキを基礎層という)。さらに、生産性の観点から、この残存したトナーケーキの部分をそのままにして次工程を行っていた。
しかしながら、残存したトナーケーキの部分をそのままにして遠心分離機を使用すると、次第にトナー粒子分散液中に含まれる活性剤や遊離した着色剤などが蓄積していき、得られたトナーを用いて画像形成を行う際にトナー飛散の原因となることが明らかになった。
そこで本発明は、印字中のトナー飛散を防止しうる静電荷像現像用トナーの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく、鋭意研究を行った。その結果、トナー粒子を含むトナー粒子分散液を遠心分離機を用いて固液分離する工程において、前記遠心分離機の回転円筒の内側に通液孔を有する樹脂シートを敷設して固液分離工程を行い、その後、前記樹脂シートの表面にブレードが接するようにしてトナーケーキの掻き取りを行うことによって上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、以下のような構成を有する静電荷像現像用トナーの製造方法によって達成される。
1.遠心分離機によってトナー粒子分散液からトナー粒子を固液分離する工程を含む静電荷像現像用トナーの製造方法において、
前記遠心分離機の回転円筒の内側に通液孔を有するポリウレタンシートを敷設し、トナー粒子分散液からトナー粒子を固液分離してトナーケーキを得る工程と、
前記ポリウレタンシートの表面にブレードが接する位置でブレードセッティングを行い、前記ブレードを用いて前記トナーケーキの掻き取りを行う工程と、
を少なくとも有することを特徴とする、静電荷像現像用トナーの製造方法。
2.前記ポリウレタンシートは、1mあたり15kg/min以上の通水速度を有することを特徴とする、前記1に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
3.前記ポリウレタンシートは、200〜2000cN/cmの破断強度(前記回転円筒の回転方向)を有することを特徴とする、前記1または2に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
本発明によれば、掻き取りに用いるブレードに樹脂シートを接触させることで遠心分離機に傷を生じることなくトナーケーキの全量を掻き取ることができる。このため、掻き取り残したトナーケーキに不純物が蓄積することに起因する印字中のトナー飛散が抑制されうる。
本発明に用いられうる遠心分離機の一例を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明の一実施形態によれば、遠心分離機によってトナー粒子分散液からトナー粒子を固液分離する工程を含む静電荷像現像用トナーの製造方法において、前記遠心分離機の回転円筒の内側に通液孔を有する樹脂シートを敷設し、トナー粒子分散液からトナー粒子を固液分離してトナーケーキを得る工程と、前記樹脂シートの表面にブレードが接する位置でブレードセッティングを行い、前記ブレードを用いて前記トナーケーキの掻き取りを行う工程と、を少なくとも有することを特徴とする、静電荷像現像用トナーの製造方法が提供される。
以下、本発明について詳細に説明する。
従来、湿式で造粒するトナーの製造工程においては、トナー粒子が形成されたトナー粒子分散液を遠心分離機を用いて固液分離してトナーケーキを作製し、このトナーケーキを回収する際に、ブレード(掻き取りブレード)を用いて、基礎層として金属メッシュなどのろ過材(フィルター)から10mm程度を残すように内周側から掻き取って回収する方法が用いられてきた。このようにすることでブレードが遠心分離機の回転円筒の内部に設置されたフィルターなどと接触することを避けることができる。
しかしながら、このような方法では、繰り返し固液分離工程を行うと、トナー粒子分散液中に含まれる活性剤や遊離した着色剤などが基礎層に蓄積してしまう。そのため、洗浄によって不純物を十分に除去することが難しくなり、得られたトナーを用いて画像形成を行う際にトナー飛散の原因となってしまう。
しかしながら本発明の方法によれば、遠心分離機の回転円筒の内側に通液孔を有する樹脂シートを敷設し、この表面にブレードを接触させるようにして掻き取りを行うことで、装置を損傷することなく、トナーケーキを残さず回収することができる。そのため、連続生産をした場合であっても、トナーの飛散を少なくすることができる。
加えて、トナーの回収量が向上し、生産性も向上しうる。
本明細書中、「トナー粒子分散液」とは、粒子形成を完了して形成されたトナー粒子を分散させた液を意味する。
本明細書中、「固液分離」とは、トナー粒子分散液から液成分を脱液してトナー粒子を分離し、分離した含水状態のトナー粒子を、トナーケーキと呼ばれる所定形状のトナー塊状物(バルク物)を形成する操作をいう。
また、「樹脂シートの表面」とは、遠心分離機の回転円筒の内側に樹脂シートを敷設した際の樹脂シートの最表面をいう。
「ブレードセッティング」とは、トナーケーキの掻き取りに際して、ブレードの位置を設定することをいう。
[静電荷像現像用トナーの製造方法]
以下、本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法について詳細に説明する。
トナーの製造方法は、樹脂および離型剤を凝集・融着させてトナー粒子を作製する方法であれば特に制限されず、公知の方法を用いることが出来る。例えば、懸濁重合法、乳化会合法、分散重合法、溶解懸濁法、溶融法等を挙げることができる。その中で本発明において、特に好適なのは、乳化会合法による製造方法である。
以下に、乳化会合法による代表的なトナー製造例について説明する。
(1)離型剤をラジカル重合性単量体に溶解或いは分散する溶解/分散工程
(2)樹脂粒子の分散液を調製するための重合工程
(3)水系媒体中で樹脂粒子と着色剤粒子を凝集、融着させてコア粒子(会合粒子)を得る凝集・融着工程
(4)コア粒子を熱エネルギーにより熟成して形状を調整する第1の熟成工程
(5)コア粒子分散液中に、シェル用の樹脂粒子を添加してコア粒子表面にシェル用粒子を凝集、融着させてコア・シェル構造の会合粒子を形成するシェル化工程
(6)コア・シェル構造の会合粒子を熱エネルギーにより熟成して、コア・シェル構造の粒子の形状を調整してトナー粒子を得る第2の熟成工程
(7)トナー粒子を含むトナー粒子分散液を冷却する冷却工程
(8)冷却されたトナー粒子分散液からトナー粒子を固液分離し、トナーケーキを得る固液分離工程
(9)トナーケーキから界面活性剤などの不純物を除去する洗浄工程
(10)トナーケーキを掻き取り、トナー粒子を回収する回収工程
(11)回収されたトナー粒子を乾燥する乾燥工程
また、必要に応じて乾燥工程の後に、
(12)乾燥処理されたトナー粒子に外添剤を添加する工程
を有する場合もある。上記工程については、後で詳述する。なお、以下の説明では、コア・シェル構造の会合粒子を形成する工程を説明するが、例えば、上記(5)、(6)の工程を行わず、単層の粒子から形成されるトナーを同様に製造することもできる。
以下、各工程について詳細に説明する。
(1)溶解/分散工程
この工程は、ラジカル重合性単量体に離型剤を溶解させて、離型剤を混合したラジカル重合性単量体溶液を調製する工程である。
(2)重合工程
この重合工程の好適な一例においては、臨界ミセル濃度(CMC)以下の界面活性剤を含有した水系媒体中に、離型剤を溶解或いは分散含有したラジカル重合性単量体溶液を添加し、機械的エネルギーを加えて液滴を形成させ、次いで水溶性のラジカル重合開始剤を添加し、当該液滴中において重合反応を進行させる。尚、前記液滴中に油溶性重合開始剤が含有されていてもよい。このような重合工程においては、機械的エネルギーを付与して強制的に乳化(液滴の形成)処理を行うことが好ましい。かかる機械的エネルギーの付与手段としては、ホモミキサー、超音波、マントンゴーリンなどの強い撹拌又は超音波振動エネルギーの付与手段を挙げることができる。
この重合工程により、離型剤と結着樹脂とを含有する樹脂粒子が得られる。かかる樹脂粒子は、着色された微粒子であってもよく、着色されていない微粒子であってもよい。着色された樹脂粒子は、着色剤を含有する単量体組成物を重合処理することにより得られる。又、着色されていない樹脂粒子を使用する場合には、後述する凝集・融着工程において、樹脂粒子の分散液に、着色剤粒子の分散液を添加し、樹脂粒子と着色剤粒子とを融着させることで着色されたトナー粒子を得ることができる。
(3)凝集・融着工程
前記融着工程における凝集、融着の方法としては、重合工程により得られた樹脂粒子(着色又は非着色の樹脂粒子)を用いた塩析/融着法が好ましい。また、当該凝集・融着工程においては、樹脂粒子や着色剤粒子とともに、離型剤や荷電制御剤などの内添剤微粒子を凝集、融着させることができる。
なお、ここでいう「塩析/融着」とは、凝集と融着を並行して進め、所望の粒子径まで成長したところで、凝集停止剤を添加して粒子成長を停止させ、さらに、必要に応じて粒子形状を制御するための加熱を継続して行うことをいう。
前記凝集・融着工程における「水系媒体」とは、主成分(50質量%以上)が水からなるものをいう。ここに、水以外の成分としては、水に溶解する有機溶媒を挙げることができ、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
着色剤粒子は、着色剤を水系媒体中に分散することにより調製することができる。着色剤の分散処理は、水中で界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度(CMC)以上にした状態で行われる。着色剤の分散処理に使用する分散機は特に限定されないが、好ましくは超音波分散機、機械的ホモジナイザー、マントンゴーリンや圧力式ホモジナイザー等の加圧分散機、サンドグラインダー、ゲッツマンミルやダイヤモンドファインミル等の媒体型分散機が挙げられる。又、使用される界面活性剤としては、後述の界面活性剤と同様のものを挙げることができる。尚、着色剤(微粒子)は表面改質されていてもよい。着色剤の表面改質法は、溶媒中に着色剤を分散させ、その分散液中に表面改質剤を添加し、この系を昇温することにより反応させる。反応終了後、着色剤を濾別し、同一の溶媒で洗浄濾過を繰り返した後、乾燥することにより、表面改質剤で処理された着色剤(顔料)が得られる。
好ましい凝集、融着方法である塩析/融着法は、樹脂粒子と着色剤粒子とが存在している水中に、アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩及び3価の塩等からなる塩析剤を臨界凝集濃度以上の凝集剤として添加し、次いで、前記樹脂粒子のガラス転移点以上であって、且つ前記混合物の融解ピーク温度(℃)以上の温度に加熱することで塩析を進行させると同時に融着を行う工程である。ここで、塩析剤であるアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩は、アルカリ金属として、例えば、リチウム、カリウム、ナトリウム等が挙げられ、アルカリ土類金属として、例えば、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどが挙げられ、好ましくはカリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウムが挙げられる。
凝集、融着を塩析/融着で行う場合、塩析剤を添加した後に放置する時間をできるだけ短くすることが好ましい。この理由として明確では無いが、塩析した後の放置時間によって、粒子の凝集状態が変動し、粒径分布が不安定になったり、融着させたトナーの表面性が変動したりする問題が発生する場合がある。また、塩析剤を添加する温度としては少なくとも樹脂粒子のガラス転移温度以下であることが好ましい。塩析剤を添加する温度が樹脂粒子のガラス転移温度以下であれば、粒径の制御が容易になり、大粒径の粒子が発生したりする問題が生じにくい。この添加温度の範囲としては、例えば5〜55℃であり、好ましくは10〜45℃である。
また、塩析剤を樹脂粒子のガラス転移温度以下で加え、その後にできるだけ速やかに昇温し、樹脂粒子のガラス転移温度以上であって、かつ、前記混合物の融解ピーク温度(℃)以上の温度に加熱することが好ましい。この昇温までの時間としては1時間未満が好ましい。昇温速度としては、0.25℃/分以上が好ましい。上限としては特に明確では無いが、塩析が急激に進行することを防ぎ、粒径制御を容易にする観点から、5℃/分以下が好ましい。この融着工程により、樹脂粒子及び任意の微粒子が塩析/融着されてなる会合粒子(コア粒子)の分散液が得られる。
(4)第1の熟成工程
凝集・融着工程の加熱温度や特に第1の熟成工程の加熱温度と時間の制御することにより、粒径が一定で分布が狭く形成したコア粒子表面が平滑だが均一な形状を有するものになるように制御する。具体的には、凝集・融着工程で加熱温度を低めにして樹脂粒子同士の融着の進行を抑制させて均一化を促進させ、第1の熟成工程で加熱温度を低めに、かつ、時間を長くしてコア粒子の表面が均一な形状のものに制御する。
(5)シェル化工程
シェル化工程では、コア粒子分散液中にシェル用の樹脂粒子分散液を添加してコア粒子表面にシェル用の樹脂粒子を凝集、融着させ、コア粒子表面にシェル用の樹脂粒子を被覆させて着色粒子を形成する。
具体的には、コア粒子分散液は上記凝集・融着工程及び第1の熟成工程での温度を維持した状態でシェル用樹脂粒子の分散液を添加し、加熱撹拌を継続しながら数時間かけてゆっくりとシェル用樹脂粒子をコア粒子表面に被覆させる。加熱撹拌時間は、1時間〜7時間が好ましく、3時間〜5時間が特に好ましい。
(6)第2の熟成工程
シェル化により粒子が所定の粒径になった段階で塩化ナトリウムなどの停止剤を添加して粒子成長を停止させ、その後もコア粒子に付着させたシェル用樹脂粒子を融着させるために数時間加熱撹拌を継続する。そして、シェル化工程ではコア粒子表面に厚さが、例えば100〜300nmのシェルを形成する。このようにして、コア粒子表面に樹脂粒子を固着させてシェルを形成し、丸みを帯び、しかも形状の揃ったトナー粒子が形成される。
この第2の熟成工程の時間を長めに設定したり、熟成温度を高めに設定することでトナー粒子の形状を真球方向に制御することが可能である。
(7)冷却工程
この工程は、前記トナー粒子を含むトナー粒子分散液を冷却処理(急冷処理)する工程である。冷却処理条件としては、好ましくは、1〜20℃/minの冷却速度で冷却する。冷却処理方法としては特に限定されるものではなく、反応容器の外部より冷媒を導入して冷却する方法や、冷水を直接反応系に投入して冷却する方法を例示することができる。
(8)固液分離工程
固液分離工程では、上記の工程で所定温度まで冷却されたトナー粒子分散液からトナー粒子を固液分離する。本発明のトナーの製造方法においては、遠心分離法によって濾過することで固液分離を行う。そして、前記遠心分離機の回転円筒の内側に通液孔を有する樹脂シートを敷設し、トナー粒子分散液からトナー粒子を固液分離するものである。
具体的には、トナー粒子を含有するトナー粒子分散液を、遠心分離機のバスケットの内側にフィルターおよび通液孔を有する樹脂シートがこの順に装着された、遠心分離機のバスケット内に供給し、この遠心分離機を作動させて遠心分離し、樹脂シートの表面にトナー粒子からなるトナーケーキを形成する。
図1は、本発明で用いられる遠心分離機の一例を表す断面図である。
図1に示す遠心分離機は、トナーケーキを下部から排出するタイプのもので、本体301に、バスケット302、バスケット回転装置303、掻き取り装置304、液の供給パイプ305、液の排出口308、トナーケーキ排出口310が取り付けられている。掻き取り装置304には、ブレード(掻き取りブレード、スクレーパー)306、液の供給パイプ305には液の噴射ノズル309、バスケットには取り外し可能なフィルター307および樹脂シート320が装着されている。スタート時には液の供給パイプ305からトナー粒子分散液が供給され、バスケット302を高速回転して固液分離し、トナーケーキを樹脂シート320の表面に形成させる。濾液は液の排出口308から排出する。
その後、トナーケーキを洗浄するため、液の供給パイプ305から洗浄水が供給される。洗浄水は、液の排出口308から排出される。
洗浄後のトナーケーキはバスケット302を高速回転して脱水される。脱水後のトナーケーキは、ブレード306を用いて、バスケット302を低速回転させながら掻き落とされ、トナーケーキ排出口310から排出される。
(フィルター)
フィルター307としては、特に限定されないが、好ましくは、メッシュを有するフィルター、スクリーンを有するフィルター、多孔質部材を有するフィルター、プレートを有するフィルターが用いられうる。
(メッシュを有するフィルター)
本明細書中、メッシュとは、ワイヤーに代表される金属製あるいは有機材料製などの線状部材(以下、単にワイヤーともいう)を織り上げて作製したものである。
具体的には、線状部材である縦線(メッシュの長い方の線)と横線(メッシュの幅になる方の線)を規則的に配列し織ったもので、織り方としては、公知の平織、綾織、平畳織、綾畳織、むしろ織などが挙げられるが、これらの中では、精度、取扱いやすさ等の点で綾畳織が好ましい。
本発明におけるメッシュを有するフィルターの例としては、固液分離のためのメッシュに、保護する目的で他のメッシュをシンタリングと呼ばれる熱結合処理を行って一体化加工して作製したものが挙げられる。
ワイヤーの材質としては、耐圧強度が有り、他の層と熱結合により一体化加工できるものなら特に限定されず、金属製ワイヤーとしてはステンレス(316L、SUS904L)、ニッケル等を用いることができるが、これらの中ではステンレスの316Lが加工性、耐圧強度の点で好ましい。また、有機材料製のワイヤーの材質としては、ケブラーに代表される高張力、高弾性の繊維材料が好ましく、フィルター自体の質量を軽減させる利点を有している。
(スクリーンを有するフィルター)
本発明でいうスクリーンとは、線状部材(以下、ワイヤーロッドとも云う)をサポートロッド上に並列配置したもので、スリット状に開口した間隙があるスクリーンである。
ワイヤーロッドの断面形状としては、例えば、逆三角形、半円形、円形等が挙げられるがこれらの中では逆三角形が好ましい。また、サポートロッドの形状としては、三角形、雨滴型、円形等が挙げられるが雨滴型がワイヤーロッドを溶接しやすく好ましい。
ワイヤーロッド及びサポートロッドの材質としては、特に限定されないが耐圧強度が有り、溶着加工できるものなら特に限定されず、例えばステンレス(316L、SUS904L)、ニッケル等を用いることができるが、これらの中ではステンレスの316Lが耐圧強度及び溶着加工性の点で好ましい。
(多孔質部材を有するフィルター)
本発明で云う多孔質部材とは、ステンレス金属粉末等の金属粉末同士を焼結加工して作製したもので、焼結した金属粉末と金属粉末の空隙に多数の連続した細孔を有している。
多孔質部材を有するフィルターの具体例としては、金属粉末と金属粉末とが接点で焼結され強固な一体となった多孔質部材をまず作製し、該多孔質部材に補強メッシュを溶着して形成したものを挙げることができる。なお、細孔の大きさは、多孔質部材の作製に用いた金属粉末の大きさと作製時の圧力と温度を調節することで制御することができる。
(プレートを有するフィルター)
本発明で云うプレートとは、機械的あるいは化学的に金属板や樹脂板に貫通した細孔を設けたものである。
プレートを有するフィルターの具体例としては、ステンレス板などの金属板を化学的エッチングあるいは機械的加工により貫通した細孔を設けたプレートに、任意で補強メッシュを溶着して形成したものを挙げることができる。
これらのフィルターの目開きは、特に制限されないが、2〜45μmが好ましく、5〜35μmがより好ましい。
(樹脂シート)
本発明に用いられる遠心分離機においては、フィルター上に通液孔を有する樹脂シートが敷設される。
上記樹脂シートは、好ましくは透水性樹脂シートである。本明細書中、透水性樹脂シートは、実際の固液分離の操作を行う条件で1mあたり15kg/min以上の通水速度を有する樹脂シートをいう。
本明細書中、通水速度は、実際の固液分離の操作を行う条件で水が遠心分離機を通過する速度を意味する。通水速度の値は、実際の固液分離の操作を行う条件で、遠心分離機の回転円筒の内側に樹脂シートを敷設し、これに水のみを供給して排出速度を測定し、単位時間・面積あたりの水の排出速度を求める。
本発明でより好ましく使用される樹脂シートとしては、遠心分離機に設置した状態で、1mあたり20kg/min以上の通水速度を有するものが挙げられる。上記範囲であれば、遠心分離による脱水がをより効率的に進行させることができるので、生産性が向上しうる。通水速度の上限は特に限定されないが、強度の観点から、例えば、1mあたり50kg/min以下とすることが好ましい。
本発明で使用される樹脂シートは、好ましくは200〜2000cN/cm、より好ましくは350〜1300cN/cmの破断強度(緯度方向)を有する。上記範囲であれば、遠心分離機の円筒が回転しながらブレードと接触した場合であっても変形が生じにくく、高い耐性が得られうる。ここで、破断強度は、JIS−L−1096に従って測定した値を用いるものとする。
このような樹脂シートとしては、例えば、ポリウレタンなどの弾性樹脂発泡体が挙げられる。また、ポリウレタンなどの繊維の積層物や、発泡ウレタンとポリウレタン繊維を積層した積層物などをシート状にした樹脂シートも好ましく用いられうる。
または、ポリパラフェニレンテレフタルアミドなどの芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂などの高い強度を有する高分子材料のシートに、所望の通水速度が得られるように孔を形成したシートを用いてもよい。
本発明の方法においては、好ましくは樹脂シートとしてポリウレタンシートが用いられる。このようなポリウレタンシートは、高い通水速度を与えるため効率よく固液分離を行うことができる。また、ブレードに対して弾性を有するためトナーの全量を回収することができる。さらにブレードとの接触の際に大きく変形することがないため、装置の保全の観点からも好ましい。
中でも発泡ウレタンのシート、またはポリウレタン繊維の積層物をシート状にしたものがより好ましい。特に好ましくは、スパンデックスのようなポリウレタン繊維の堆積物である。ポリウレタン繊維の堆積物としては、スパンデックスを用いたものとして、KBセーレン社製エスパンシオーネUHF−25、UHF−50、UHF−75、UHF−80、UHF−85、UHF−100、UHF−150、UHF−180などが挙げられる。
樹脂シートの厚みは特に限定されないが、例えば0.2〜0.8mmであり、好ましくは0.25〜0.4mmである。
樹脂シートの形状についても特に限定されないが、好ましくは、一枚のシート状に形成されたものを用いる。必要に応じて、このシートに機械的手法でトナー径よりも小さい細孔を開けたものを用いることもできる。
本発明の方法においては、好ましくは回転円筒型遠心分離機の回転円筒(バスケット)の内側にフィルターを設置した後、上記の樹脂シートを敷設する。この際、例えば、樹脂シートの上下部を環状の固定具で隙間を生じないように固定することが好ましい。
このように樹脂シートを敷設した後、トナー粒子を含有するトナー粒子分散液を回転円筒型遠心分離機のバスケット内に供給し、この遠心分離機を作動させて樹脂シートの表面にトナー粒子を有するトナーケーキを形成する。
固液分離の際の回転円筒の加速度は、特に制限されないが、例えば、400〜1200Gであることが好ましく、500〜1000Gであることがより好ましい。上記範囲であれば生産効率が向上しうる。
(9)洗浄工程
次いで、固液分離されたトナーケーキから界面活性剤や塩析剤などの付着物を除去する洗浄処理が施される。トナーケーキは、水またはアルコール、好ましくは水で洗浄する。
好ましくは、遠心分離機のバスケット内に水を供給して、トナーケーキを洗浄する。水による洗浄は、好ましくは、濾液の電気伝導度が50μS/cm以下になるまで続けられる。濾液の電気伝導度が50μS/cm以下になるまで洗浄すると、トナー粒子に付着している不純物の残存量が低減され好ましい。さらに濾液の電気伝導度が10μS/cm以下になるまで洗浄すると、トナー粒子に付着する不純物の量がさらに低減される。ここで、濾液の電気伝導度は、通常の電気伝導度計により測定することができる。
洗浄に用いられる水としては、特に限定されないが、濾液の電気伝導度を50μS/cm以下にするためには、電気伝導度が5μS/cm以下の水を用いることが好ましい。さらに、磁気や超音波を用いて水のクラスタを小さくすることにより洗浄性能を高めた水を用いてもよい。
洗浄時の回転円筒の加速度は、特に制限されないが、500〜1000Gであることが好ましく、600〜800Gがより好ましい。上記範囲であれば、トナーケーキの全体にわたって均一に洗浄水を供給でき、トナー粒子に付着した不純物を除去することができ好ましい。
洗浄に用いられる水の供給量は、回転円筒型遠心分離機内に洗浄水が滞留しない範囲が好ましい。このようにすることで、トナー粒子から一度分離した不純物が、トナー粒子に再度付着することを防止することができる。
(10)回収工程
この工程では、洗浄後のトナーケーキが掻き取られ、遠心分離機から排出されて回収される。
水により洗浄されて不純物が除去されたトナーケーキは、遠心分離機の回転円筒(バスケット)を高速回転させて脱水される。その後、遠心分離機に取り付けられたまたは挿入されたブレード(掻き取りブレード)で脱水されたトナーケーキが樹脂シートの表面から掻き取られ、吸引パイプまたは排出口から排出されて乾燥工程の乾燥装置へ搬送される。
本発明の方法においては、トナーケーキを掻き取る際に、樹脂シートの表面にブレードが接する位置でブレードセッティングを行う。このようにすることで、トナーケーキの掻き取り残しが生じないため、掻き取り残したトナーケーキに不純物が蓄積することに起因する、印刷時のトナーの飛散を抑制することができる。ブレードセッティングの方法に関しては特に制限されず、従来公知の方法が適用されうる。つまり、この回収工程は、本発明でいう「樹脂シートの表面にブレードが接する位置でブレードセッティングを行い、ブレードを用いてトナーケーキの掻き取りを行う工程」に該当するものである。
さらに、トナーケーキの掻き取り残しが生じないため、トナーケーキ回収量が向上しうる。本発明の方法において、トナーケーキ回収量(%)((掻き取り作業をした後の回収されたトナーの質量/遠心分離機に投入したトナーの質量)×100)は、好ましくは90%以上であり、より好ましくは95%以上であり、さらに好ましくは98%以上である。
(11)乾燥工程
この工程は、洗浄処理して回収されたトナーケーキを乾燥処理し、乾燥されたトナー粒子を得る工程である。この工程で使用される乾燥機としては、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機などを挙げることができ、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、撹拌式乾燥機などを使用することが好ましい。乾燥されたトナー粒子の水分は、5質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは2質量%以下である。尚、乾燥処理されたトナー粒子同士が、弱い粒子間引力で凝集している場合には、当該凝集体を解砕処理してもよい。ここに、解砕処理装置としては、ジェットミル、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル、フードプロセッサー等の機械式の解砕装置を使用することができる。
(12)外添処理工程
この工程は、乾燥されたトナー粒子に必要に応じ外添剤を混合し、トナーを作製する工程である。外添剤の混合装置としては、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル等の機械式の混合装置を使用することができる。
[トナー]
次に、本発明の方法によって製造されるトナーについて説明する。
本発明の方法によって製造されるトナーは、少なくとも樹脂(結着樹脂)および離型剤を含む。好ましくは、さらに着色剤、荷電制御剤、外部添加剤(外添剤)を含む。
(1)樹脂
樹脂を構成する、樹脂粒子を形成する重合性単量体としては公知のものを使用することができる。コアシェル型のトナー粒子を形成する場合、コア部を形成する樹脂およびシェル層を形成する樹脂は、スチレン−アクリル系共重合樹脂が好ましい。また、コア部を形成する樹脂を作製する単量体には、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等の共重合体のガラス転移温度(Tg)を引き下げる重合性単量体を共重合することが好ましい。また、シェル層を形成する樹脂を作製するための単量体には、スチレン、メチルメタクリレート、メタクリル酸等の共重合体のガラス転移温度(Tg)を引き上げる重合性単量体を共重合することが好ましい。
トナーを構成する樹脂についてさらに詳しく説明する。
トナーを構成する樹脂は少なくとも1種の重合性単量体を重合して得られた重合体を構成成分として含むものであるが、前記重合性単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンの様なスチレンあるいはスチレン誘導体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル誘導体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル等の、アクリル酸エステル誘導体、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン系ビニル類、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等のビニルエステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等のビニルケトン類、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物、ビニルナフタレン、ビニルピリジン等のビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸あるいはメタクリル酸誘導体などが挙げられる。これらビニル系単量体は単独あるいは組み合わせて使用することができる。
また、樹脂を構成する重合性単量体としてイオン性解離基を有するものを組み合わせて用いることがさらに好ましい。例えば、カルボキシル基、スルフォン酸基、リン酸基等の置換基を単量体の構成基として有するもので、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマール酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル、スチレンスルフォン酸、アリルスルフォコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピルメタクリレート等が挙げられる。
さらに、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等の多官能性ビニル類を使用して架橋構造の樹脂とすることもできる。
トナーを構成する樹脂は、前述の重合性単量体を重合して生成されるが、本発明に使用可能なラジカル重合開始剤には以下のものがある。具体的には、懸濁重合法では油溶性重合開始剤を用いることができるが、油溶性重合開始剤としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系またはジアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンペルオキサイド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキサイド、t−ブチルヒドロペルオキサイド、ジ−t−ブチルペルオキサイド、ジクミルペルオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、2,2−ビス−(4,4−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス−(t−ブチルペルオキシ)トリアジンなどの過酸化物系重合開始剤や過酸化物を側鎖に有する高分子開始剤などを挙げられる。
また、乳化重合法を用いる場合は水溶性ラジカル重合開始剤が使用可能である。水溶性重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、アゾビスアミノジプロパン酢酸塩、アゾビスシアノ吉草酸およびその塩、過酸化水素等を挙げることができる。
また、樹脂の分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることができる。
連鎖移動剤としては、特に限定されるものではなく、例えばオクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル、ターピノーレン、四臭化炭素およびα−メチルスチレンダイマー等を用いることができる。
又、反応系中に重合性単量体等を適度に分散させておくために分散安定剤を使用することも可能である。分散安定剤としては、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ等を挙げることができる。さらに、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、エチレンオキサイド付加物、高級アルコール硫酸ナトリウム等の界面活性剤として一般的に使用されているものを分散安定剤として使用することができる。
本発明に用いられる界面活性剤について説明する。
前述のラジカル重合性単量体を使用して重合を行うためには、界面活性剤を使用して水系媒体中に油滴分散を行う必要がある。この際に使用することのできる界面活性剤としては特に限定されるものでは無いが、下記のイオン性界面活性剤を好適なものの例として挙げることができる。
イオン性界面活性剤としては、スルホン酸塩(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、3,3−ジスルホンジフェニル尿素−4,4−ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム等)、硫酸エステル塩(ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム等)、脂肪酸塩(オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等)が挙げられる。
また、ノニオン性界面活性剤も使用することができる。具体的には、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドのエステル、ソルビタンエステル等を挙げることができる。
(2)着色剤
着色剤としては、公知の無機または有機着色剤を使用することができる。以下に、具体的な着色剤を示す。
トナーに使用する着色剤としてはカーボンブラック、磁性体、染料、顔料等を任意に使用することができ、カーボンブラックとしてはチャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等が使用される。磁性体としては鉄、ニッケル、コバルト等の強磁性金属、これらの金属を含む合金、フェライト、マグネタイト等の強磁性金属の化合物、強磁性金属を含まないが熱処理する事により強磁性を示す合金、例えばマンガン−銅−アルミニウム、マンガン−銅−錫等のホイスラー合金と呼ばれる種類の合金、二酸化クロム等を用いる事ができる。
染料としては、例えば、C.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95等を用いる事ができ、またこれらの混合物も用いる事ができる。顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド5、同48:1、同53:1、同57:1、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222、C.I.ピグメントオレンジ31、同43、C.I.ピグメントイエロー14、同17、同93、同94、同138、同156、同158、同180、同185、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントブルー15:3、同60等を用いる事ができ、これらの混合物も用いる事ができる。数平均一次粒径は種類により多様であるが、概ね10〜200nm程度が好ましい。また、着色剤の添加量は特に制限されないが、例えば、トナー全体に対して1〜30質量%、好ましくは2〜20質量%の範囲である。
着色剤の添加方法としては、例えば、樹脂粒子を凝集剤の添加にて凝集させる段階で添加し重合体を着色する。なお、着色剤は表面をカップリング剤等で処理して使用することができる。
(3)離型剤(ワックス)
本発明で用いられうる離型剤としては、特に制限されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、サゾールワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの炭化水素系ワックス、ジステアリルケトンなどのジアルキルケトン系ワックス、カルナウバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどのエステル系ワックス、エチレンジアミンジベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミドなどのアミド系ワックスなどが好ましく用いられうる。これらのワックスは、1種でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
以上のワックスの中でも、特に、気化成分を発生させにくく、かつ動粘度が低いという観点から、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスが好ましく用いられる。
マイクロクリスタリンワックスとしては、例えば、日本精鑞社製の「HNP−0190
」、「HNP−51」、「FT−100」、「HI−MIC−1045」、「HI−MI
C−1070」、「HI−MIC−1080」、「HI−MIC−1090」、「HI−
MIC−2045」、「HI−MIC−2065」、「HI−MIC−2095」などが
挙げられる。特に「HNP−0190」が好適に用いられうる。
離型剤の融点は、通常40〜160℃であり、好ましくは50〜120℃であり、さらに好ましくは60〜90℃である。離型剤の融点を上記範囲内にすることにより、トナーの耐熱保存性が確保されるとともに、低温で定着を行う場合でもコールドオフセットなどを起こさずに安定したトナー画像形成を行うことができる。また、トナー中の離型剤の含有量は、特に制限されないが、樹脂に対して1質量%〜30質量%が好ましく、さらに好ましくは5質量%〜20質量%である。
(4)荷電制御剤
本発明のトナーには、必要に応じて荷電制御剤を添加することができる。荷電制御剤としては、公知の化合物を用いることができる。
(5)外添剤
本発明のトナーには、流動性、帯電性の改良およびクリーニング性の向上などの目的で、いわゆる外添剤(「外部添加剤」ともいう。)を添加して使用することができる。これら外添剤としては特に限定されるものではなく、種々の無機微粒子、有機微粒子及び滑剤を使用することができる。
この無機微粒子としては、シリカ、チタニア、アルミナなどの種々の無機酸化物粒子を使用することが好ましく、さらに、これら無機微粒子はシランカップリング剤やチタンカップリング剤などによって疎水化処理されていることが好ましい。また、有機微粒子としては数平均一次粒子径が10〜2000nm程度の球形のものを使用することができる。この有機微粒子としては、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、スチレン−メチルメタクリレート共重合体などの重合体を使用することができる。
これらの外添剤の添加割合は、トナーにおいて0.1〜5.0質量%、好ましくは0.5〜4.0質量%となる割合である。また、外添剤としては種々のものを組み合わせて使用してもよい。
本発明の方法によって得られるトナー粒子の平均粒径は体積基準におけるメディアン粒径(D50)にて3〜9μmであることが好ましい。この体積基準におけるメディアン粒径(D50)は「コールターマルチサイザーIII」(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用のコンピューターシステム(ベックマン・コールター社製)を接続した装置を用いて測定、算出することができる。
測定手順としては、トナー粒子0.02gを、界面活性剤溶液20ml(トナーの分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)で馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー分散液を作製する。このトナー分散液を、サンプルスタンド内のISOTONII(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定濃度5〜10%になるまでピペットにて注入し、測定機カウントを30000個に設定して測定する。尚、コールターマルチサイザーのアパチャー径は100μmのものを使用した。
また、本発明の方法によって製造されるトナー粒子は、好ましくは、0.94以上の円形度(平均円形度)を有する。
円形度は下記式(1)により求まる値であり、平均円形度は、粒径1μm以上の粒子を2000個以上を測定した時の平均値である。
円形度=(相当円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
=2π×(粒子の投影面積/π)1/2/(粒子投影像の周囲長) (1)
ここで、相当円とは、粒子投影像と同じ面積を有する円のことであり、円相当径とは、前記相当円の直径を意味する。
上記円形度は、フロー式粒子像分析装置(シスメックス社製FPIA−2000)を用いて測定することができる。このとき、円相当径は下記式(2)で定義される。
円相当径=2×(粒子の投影面積/π)1/2 (2)
本発明の方法によって製造されたトナーは、黒トナー、あるいはカラートナーとして用いることができる。
本発明の方法によって製造されたトナーは、これを用いて現像剤を作製し、印刷を行った際のトナー飛散量が、30000枚印字後の画像形成装置本体およびカートリッジ、トナーフィルターに飛散したトナーの量として求めた場合、例えば8.00g以下であり、好ましくは5.00g以下である。
[現像剤]
本発明に係るトナーは、一成分現像剤または二成分現像剤として用いることができるが、好ましくは二成分現像剤として用いられる。
一成分現像剤として用いる場合は、非磁性一成分現像剤、或いはトナー中に0.1μm〜0.5μm程度の磁性粒子を含有させ磁性一成分現像剤としたものが挙げられ、いずれも使用することができる。
又、キャリアと混合して二成分現像剤として用いることができる。キャリアとしては、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来から公知の磁性粒子を用いることができる。特にフェライト粒子が好ましい。上記キャリアの粒径は、20〜100μmが好ましく、25〜80μmがより好ましい。
キャリアの粒径の測定は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
キャリアは、磁性粒子が更に樹脂によりコートされているもの、或いは樹脂中に磁性粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型キャリアが好ましい。コート用の樹脂としては、特に限定は無いが、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、エステル系樹脂或いはフッ素含有重合体系樹脂等が用いられる。又、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール樹脂等を使用することができる。これらの中では、スチレン−アクリル樹脂でコートしたコートキャリアが外部添加剤の離脱防止や耐久性を確保できより好ましい。
[画像形成方法]
本発明の方法によって製造されたトナーは、特に、トナー像が形成された転写材を、接触加熱方式の定着装置において定着させる画像形成方法に好適に使用することができる。
本発明の効果を以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。なお、下記において、特記しない限り、「部」および「%」は、それぞれ、「質量部」および「質量%」を表す。
<実施例1>
<コア部用樹脂粒子1の調製>
下記のように、第1段重合、第2段重合、次いで第3段重合を行い、多層構造を有する「コア部用樹脂粒子1」を調製した。
(1)第1段重合
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ポリオキシエチレン−2−ドデシルエーテル硫酸ナトリウム4部をイオン交換水3040部に溶解させた界面活性剤溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。この界面活性剤溶液に、重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)10部をイオン交換水400部に溶解させた開始剤溶液を添加し、液温を75℃とした後、スチレン532部、n−ブチルアクリレート200部、メタクリル酸68部、n−オクチルメルカプタン16.4部からなる単量体混合液を1時間かけて滴下し、この系を75℃にて2時間にわたり加熱、撹拌することによって重合(第1段重合)を行い樹脂粒子を調製した。これを「樹脂粒子A1」とする。第1段重合で調製した「樹脂粒子A1」の重量平均分子量(Mw)は16,500であった。
(2)第2段重合(中間層の形成)
撹拌装置を取り付けたフラスコ内において、スチレン101.1部、n−ブチルアクリレート62.2部、メタクリル酸12.3部、n−オクチルメルカプタン1.75部からなる単量体混合液に、離型剤としてパラフィンワックス「HNP−57」(日本精蝋社製)93.8部を添加し、90℃に加温して溶解させて単量体溶液を調製した。
一方、ポリオキシエチレン−2−ドデシルエーテル硫酸ナトリウム3部をイオン交換水1560部に溶解させた界面活性剤溶液を98℃に加熱し、この界面活性剤溶液に、樹脂粒子A1の分散液である「樹脂粒子A1」を固形分換算で32.8部添加した後、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス」(エム・テクニック社製)により、前記ワックスを含む単量体溶液を8時間混合分散させ、分散粒子径340nmを有する乳化粒子を含む分散液を調製した。
次いで、この分散液に、過硫酸カリウム6部をイオン交換水200部に溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を98℃にて12時間にわたり加熱撹拌することにより重合(第2段重合)を行い樹脂粒子を得た。この樹脂粒子を「樹脂粒子A2」とする。第2段重合で調製した「樹脂粒子A2」のMwは23,000であった。
(3)第3段重合(外層の形成)
上記のようにして得られた「樹脂粒子A2」に過硫酸カリウム5.45部をイオン交換水220部に溶解させた開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下に、スチレン293.8部、n−ブチルアクリレート154.1部、n−オクチルメルカプタン7.08部からなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたり加熱撹拌することにより重合(第3段重合)を行った後、28℃まで冷却し、「コア部用樹脂粒子1」を得た。第3段重合で調製した「樹脂粒子A3」のMwは26,800であった。
「コア部用樹脂粒子1」を構成する複合樹脂粒子(樹脂粒子)の体積平均粒径は125nmであった。また、この樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)は28.1℃であった。ガラス転移温度は、示差走査カロリーメーター(パーキンエルマー社製DSC−7)および熱分析装置コントローラー(パーキンエルマー社製TAC7/DX)を用いて、2nd heatにおけるデータとした。
<シェル層用樹脂粒子の調製>
上記の「コア部用樹脂粒子1」の第1段重合において、スチレンを548部、2−エチルヘキシルアクリレートを156部、メタクリル酸を96部、n−オクチルメルカプタンを16.5部に変更した単量体混合液を用いたこと以外は同様にして、重合反応および反応後の処理を行い、「シェル層用樹脂粒子」を調製した。得られた「シェル層用樹脂粒子」のTgは53.0℃であった。
<トナーの作製>
(着色剤粒子分散液1の調製)
ドデシル硫酸ナトリウム90部をイオン交換水1600部に撹拌溶解した。この溶液を撹拌しながら、カーボンブラック(キャボット社製リーガル330)400部を徐々に添加し、次いで撹拌装置(エム・テクニック社製クレアミックス)を用いて分散処理することにより、「着色剤粒子分散液1」を調製した。この「着色剤粒子分散液1」における着色剤粒子の粒径を、「MICROTRAC UPA−150」(HONEYWELL社製)を用いて測定したところ、体積基準のメジアン径で110nmであった。
(塩析/融着(会合・融着)工程)(コア部の形成)
温度センサー、冷却管、窒素導入装置、撹拌装置を取り付けた反応容器に、上記で調製した「コア部用樹脂粒子1」420部(固形分換算)と、イオン交換水900部と、「着色剤粒子分散液1」200部とを入れて撹拌した。容器内の溶液の温度を30℃に調整した後、この溶液に5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを8〜11に調整した。
次いで、塩化マグネシウム・6水和物2部をイオン交換水1000部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間保持した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて65℃まで昇温した。この状態で、コールターマルチサイザー(ベックマン・コールター社製コールターマルチサイザーIII)を用いて会合粒子の粒径を測定し、粒子の体積基準におけるメディアン径(D50)が6.3μmになった時点で、塩化ナトリウム40.2部をイオン交換水1000部に溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させ、さらに、熟成処理として液温70℃にて1時間にわたり加熱撹拌することにより融着を継続させ、「コア部1」を形成した。
得られた「コア部1」の円形度を、フロー式粒子像分析装置(シスメックス社製FPIA−2000)にて測定したところ、0.900であった。
(シェル層の形成(シェリング操作))
次いで、65℃において、「シェル層用樹脂粒子」46.8部(固形分換算)を添加し、さらに塩化マグネシウム・6水和物2部をイオン交換水1000部に溶解した水溶液を、10分間かけて添加した後、70℃(シェル化温度)まで昇温し、1時間にわたり撹拌を継続し、「コア部1」の表面に、「シェル層用樹脂粒子」の粒子を融着させた。
ここで、塩化ナトリウム40.2部を加え粒子成長を停止させた後、シェル用ラテックスの融着のため、75℃にて加熱攪拌を行った。所望の円形度(0.940)になった時点で8℃/分の条件で30℃まで冷却し、「トナー粒子分散液1」を得た。
この「トナー粒子分散液1」において、生成した融着粒子は、コア部表面にシェル層を有し、体積基準におけるメディアン径(D50)が6.5μm、Tgが31℃であった。
(固液分離、洗浄、乾燥工程)
上記で作製した「トナー粒子分散液1」を固液分離、洗浄、乾燥させてトナー粒子を得た。すなわち、デカンターで濃縮して比重の小さい不純物を除去した後、調液タンクに送液する。調液タンクでは希釈液が加えられ、濃縮された液中のトナー粒子を再分散するとともに固液分離に適する濃度に調整した。その後、フィルターが装着された回転円筒型脱水機「MARKIII 型式番号60×40」(松本機械株式会社製)(本発明でいう遠心分離機に該当)のバスケット内側に、通水速度が1mあたり25kg/minであり、破断強度(緯度方向)が620cN/cmであるポリウレタン繊維シート(KBセーレン社製エスパンシオーネUHF−80、厚さ0.31mm)を固定した装置で固液分離した装置で1000Gの条件下で固液分離してトナーケーキを形成した。
このトナーケーキを回転円筒型脱水機内で水洗浄し、次いで機内に挿入されたスクレーパー(本発明でいうブレードに該当)によりトナーケーキを掻き落とし、機内から排出して容器に保管した。ここで、スクレーパーによりトナーケーキの掻き落としを行う際、当該スクレーパーの位置を前述のポリウレタン繊維シートの表面に接する様にブレードセッティングを行ってからトナーケーキの掻き落としを行った。その後、トナーケーキを「フラッシュジェットドライヤー」(セイシン企業株式会社製)に少しずつ供給し、トナー粒子の水分含量が0.5質量%になるまで乾燥して「トナー粒子1」を作製した。
ここで、フィルターの材質としては、SUS316Lの金属ワイヤーを用いた。メッシュの織り方は固液分離面を形成するメッシュを綾畳織、それ以外のメッシュ(保護用、補強用)を平織で作製した。作製した各メッシュを熱結合により一体加工した後、バスケットに装着できるように加工した。フィルターの目開きは10μmであった。
また、通水速度は、上記のポリウレタンシートを固定した装置に水を導入して排出速度を測定し、単位時間・面積あたりの水の排出速度として求めた。
(外添工程)
上記で作製した「トナー粒子1」100質量部に、ルチル型酸化チタン(平均体積粒径=20nm、n−デシルトリメトキシシラン処理)0.8質量部、および球形単分散シリカ(ゾルゲル法で得られたシリカゾルにヘキサメチルジシラザン(HMDS)処理を行い、乾燥、粉砕処理を施したもの、粒径D50=127nm)1.8質量部を混合し、ヘンシェルミキサー(周速30m/s)(三井三池化工株式会社製)で15分間ブレンドを行った。その後、目開き45μmのフィルターを用いて粗粒を除去し、「トナー1」を作製した。
<実施例2>
前記「トナー粒子1」の作製で、(固液分離、洗浄、乾燥工程)においてポリウレタンシートを、下記表1のように通水速度が1mあたり30kg/min、破断強度(緯度方向)が380cN/cmのポリウレタン繊維シート(KBセーレン社製エスパンシオーネUHF−50、厚さ0.21mm)に変更した。その他は実施例1と同様の手順で行い、「トナー2」を作製した。
<実施例3>
前記「トナー粒子1」の作製で、(固液分離、洗浄、乾燥工程)においてポリウレタンシートを、下記表1のように通水速度が1mあたり20kg/min、破断強度(緯度方向)が1530cN/cmのポリウレタン繊維シート(KBセーレン社製エスパンシオーネUHF−180、厚さ0.63mm)に変更した。その他は実施例1と同様の手順で行い、「トナー3」を作製した。
<実施例4>
前記「トナー粒子1」の作製で、(固液分離、洗浄、乾燥工程)においてポリウレタンシートを、下記表1のように通水速度が1mあたり15kg/min、破断強度(緯度方向)が620cN/cmのポリウレタン繊維シート(KBセーレン社製エスパンシオーネUHF−80、厚さ0.31mm)に変更した。その他は実施例1と同様の手順で行い、「トナー4」を作製した。
<実施例5>
前記「トナー粒子1」の作製で、(固液分離、洗浄、乾燥工程)においてポリウレタンシートを、下記表1のように通水速度が1mあたり25kg/min、破断強度(緯度方向)が160Nのポリウレタン繊維シート(KBセーレン社製エスパンシオーネUHF−25、厚さ0.12mm)に変更した。その他は実施例1と同様の手順で行い、「トナー5」を作製した。
<比較例1>
前記「トナー粒子1」の作製で、(固液分離、洗浄、乾燥工程)においてポリウレタンシートを用いずに固液分離を行った。その他は実施例1と同様の手順で行い、「トナー6」を作製した。
(現像剤作製工程)
上記で作製した「トナー1〜6」のそれぞれに、体積平均粒径60μmのフェライトキャリアを混合し、トナー濃度が6質量%の「現像剤1〜6」を調製した。
<評価>
<トナー飛散>
評価装置として、市販の複合機「bishub PRO C6501」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)を用い、これに上記で調製した現像剤1〜6を装填し、20℃、55%RHのプリント環境で、印字率が5%の文字画像をA4判の上質紙に10000枚プリントした後、10%の文字画像で10000枚、さらにその後、20%の文字画像で10000枚、計30000枚プリントした。トナー飛散量は、30000枚印字後の画像形成装置本体およびカートリッジ、トナーフィルターに飛散したトナーの量である。30000枚印字後、カートリッジの上蓋など現像部位周辺に飛散したトナーを吸引してその重量を測定し、トナーフィルターに付着したトナーの重量を測定し、これらの和をトナー飛散量(g)とした。
<トナーケーキ回収量>
洗浄を終え、掻き取り作業をした後の回収されたトナーの質量を、遠心分離機に投入したトナーの質量で割った値の百分率を、トナーケーキ回収量(%)とした。
<平均作業時間>
トナー粒子分散液を遠心分離機に給液してから、10回目のトナーケーキを回収するまでの時間を測定し、10回の平均値として平均作業時間(分)とした。
<耐久性>
トナー粒子分散液を遠心分離機に給液してから、トナーケーキを回収するまでの操作を繰り返し行い、ポリウレタン繊維シートに破損が発生するまでの回数を測定した。
得られた結果を下記表1に示す。
Figure 0006051637
表1の結果から、実施例1〜5で製造したトナーは、いずれも画像形成を行ったときにトナー飛散量が少なく、また、トナー粒子製造時におけるトナーケーキ回収量も高かった。一方、比較例1のようにポリウレタンシートを用いなかった場合は、トナーケーキの掻き取り残しが生じ、実施例1〜5の場合と比較してトナーケーキ回収量が少なかった。また、得られたトナーを用いて印刷した際にトナーの飛散が多く生じることがわかった。これは、トナーケーキの掻き取り残しの部分に不純物が蓄積することに起因すると考えられる。
また、実施例1〜3、5のように、通水速度が1mあたり20kg/min以上であると、トナー粒子分散液の供給からトナーケーキ回収までの平均作業時間が短縮され、作業性が向上する。さらに、実施例1〜4のように、破断強度(緯度方向)が200cN/cm以上であるポリウレタンシートを用いると、装置の耐久性が向上することが明らかになった。
301 遠心分離機
302 バスケット(回転円筒)
303 バスケット回転装置
304 掻き取り装置
305 液の供給パイプ
306 ブレード
307 フィルター
308 液の排出口
309 液の噴射ノズル
310 トナーケーキ排出口
320 樹脂シート

Claims (3)

  1. 遠心分離機によってトナー粒子分散液からトナー粒子を固液分離する工程を含む静電荷像現像用トナーの製造方法において、
    前記遠心分離機の回転円筒の内側に通液孔を有するポリウレタンシートを敷設し、トナー粒子分散液からトナー粒子を固液分離してトナーケーキを得る工程と、
    前記ポリウレタンシートの表面にブレードが接する位置でブレードセッティングを行い、前記ブレードを用いて前記トナーケーキの掻き取りを行う工程と、
    を少なくとも有することを特徴とする、静電荷像現像用トナーの製造方法。
  2. 前記ポリウレタンシートは、1mあたり15kg/min以上の通水速度を有することを特徴とする、請求項1に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  3. 前記ポリウレタンシートは、200〜2000cN/cmの破断強度(前記回転円筒の回転方向)を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
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