JP6045237B2 - 錠剤型の増粘化剤 - Google Patents
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このような要件を満たすように、増粘多糖類を単独若しくは組み合わせた粉体について粒子径を調整する手法などが用いられてきた。しかし、キサンタンガムなどの増粘多糖類は粉末状では非常にダマになりやすく、特に(1)の要件を満たすことが困難であった。
一方、特許文献1に開示されているように、増粘多糖類及びデキストリン等の水溶性糖類の混合物を造粒した顆粒は、(1)〜(5)のいずれの要件も満たしており、現在の主流となっている。
1)分散性を向上させるために顆粒化することで嵩高くなり、運搬時や保存時に嵩張る、
2)通常、規定量の液状組成物に対して一袋使用するといった、使い切りの小袋に封入した形態で提供されるため、液状組成物の量が規定量よりも少ない場合若しくは規定量の倍数でない場合には、どれだけの量を加えて良いか分かりにくく、利便性に欠ける、また残った顆粒が吸湿する、
3)使用毎に計量する形態(大容量の密封保存容器で提供)をとった場合であっても、計量に手間がかかる、経時的に顆粒が吸湿する、計量の繰り返しによって衛生状態が低下する等の課題が生じる。
しかし、増粘多糖類はそれ自体が非常にダマになりやすいため水に分散しにくく、打錠により押し固めると、より一層分散させることが困難となる。
具体的には、「ダマ」は粉末の増粘多糖類を水中に添加した際に、当該粉末の集合体の表面部分のみが水和、溶解し、集合体内部まで水分が移行しない(内部が粉末状態で残存する)ことにより形成される。粉末状又は顆粒状の増粘多糖類を打錠により押し固めると、より一層内部への水の移行が困難となり、「ダマ」の発生を助長し、結果として増粘多糖類を分散させることが難しい。なお、特許文献1をはじめとする現在主流となっている顆粒品は、内部に水を浸入させやすくするために、適度に空隙を設けている。顆粒品であっても打錠してしまうと空隙がつぶれて分散しないものになる。そのため、錠剤として実用的な硬度を保ちつつ、増粘多糖類の分散性を維持した状態で錠剤化することは技術的に不可能であると考えられてきた。
かかる従来技術の中、本発明では、携帯性に優れ、計量性もよく、取扱いも容易で、衛生的にも優れ、しかも分散性の良い、増粘多糖類を含む錠剤型の増粘化剤を提供することを目的とする。
項1.キサンタンガム、カラギナン及びグァーガムからなる群から選択される少なくとも一種以上の増粘多糖類を15〜40質量%、崩壊用寒天を15〜40質量%、水溶性糖類を10〜70質量%及び金属塩を0.2〜10質量%含有し、硬度が15〜70Nである、錠剤型増粘化剤。
項2.金属塩が塩化カルシウム、塩化カリウム又はクエン酸ナトリウムからなる群から選択される一種以上である、項1に記載の錠剤型増粘化剤。
項3.さらに重曹を1〜10質量%及び有機酸を1〜10質量%含有する、項1又は2に記載の錠剤型増粘化剤。
項4.咀嚼・嚥下機能低下者用の増粘化剤である、項1〜3のいずれかに記載の錠剤型増粘化剤。
項5.キサンタンガム、カラギナン及びグァーガムからなる群から選択される少なくとも一種以上の増粘多糖類と、崩壊用寒天、水溶性糖類及び金属塩からなる群から選択される少なくとも1種以上とを予め造粒し、得られた顆粒を用いて打錠により錠剤化することを特徴とする、項1〜4のいずれかに記載の錠剤型増粘化剤の製造方法。
項6.キサンタンガム、カラギナン及びグァーガムからなる群から選択される少なくとも一種以上の増粘多糖類、崩壊用寒天、水溶性糖類及び金属塩を予め造粒し、得られた顆粒を用いて打錠により錠剤化する、項5に記載の錠剤型増粘化剤の製造方法。
本発明の錠剤型増粘化剤は、キサンタンガム、カラギナン及びグァーガムからなる群から選択される少なくとも一種以上の増粘多糖類を15〜40質量%、崩壊用寒天を15〜40質量%、水溶性糖類を10〜70質量%及び金属塩を0.2〜10質量%含有し、硬度が15〜70Nである。
錠剤とは、有効成分又は有効成分に賦形剤等を加えたものを圧縮成形などの方法により一定の形に成形した固形製剤のことである。粉体や液体製剤に比べて携帯性に優れ、容易に一定量を取ることができるため、計量性や取り扱いに優れ、さらに衛生面にも優れるという特徴を有する。
キサンタンガム、カラギナン及びグァーガムからなる群から選択される少なくとも一種以上の増粘多糖類、特にキサンタンガムは、液状組成物にトロミを付与する増粘化剤として、粘度発現性に優れ、良好な食感を有することなどから、増粘化剤に好適に用いることができる多糖類であるが、一方で増粘多糖類の中でも、特にダマになりやすい性質を有する。しかし、本発明にかかる構成要件をとることで、手撹拌であっても水中で容易に分散し、ダマにならず迅速に対象液状組成物に粘度を付与することが可能となる。
一方、キサンタンガム、カラギナン及びグァーガムからなる群から選択される少なくとも一種以上の増粘多糖類含量が40質量%を越えると、錠剤表面のみが水和して錠剤が崩壊しない、崩壊しても増粘多糖類がダマになり分散性が悪化する等の問題が生じる。
好ましくは25〜35質量%である。
具体的には、下記第1〜3のいずれかの製造方法で得られる寒天をいう;
第1)固形または粉末の寒天を加水して吸水膨潤させて軟質化させる工程と、この工程で吸水膨潤させた寒天を再度脱水乾燥させる工程を経て製造する方法;
第2)海藻から抽出、濾過工程を経て得られ、あるいは固形または粉末の寒天を加水し加熱溶解して得られた寒天ゾルを冷却して寒天ゾルを形成する工程と、この工程で得られた寒天ゲルを凍結乾燥した後粉砕する工程を経て製造する方法;
第3)海藻から抽出、濾過工程を経て得られ、あるいは固形または粉末の寒天を加水し加熱溶解して得られた寒天ゲルを微粒子化する工程と、この工程で微粒子化された寒天ゲルを凍結乾燥した後粉砕する工程を経て製造する方法;
本発明の錠剤型増粘化剤中における崩壊用寒天の含量は15〜40質量%である。15質量%未満では錠剤が水中で崩壊しにくく、分散性が悪化することが多い。40質量%を超えた場合は、ざらつきが生じ液状組成物(特に液状食品に使用した場合)の食感が悪化する傾向がある。好ましくは15〜30質量%である。
錠剤型増粘化剤中に金属塩を0.2〜10質量%含有することにより、増粘多糖類の分散性が大幅に向上する。0.2質量%未満の添加では増粘多糖類の分散性向上に対する影響は小さく、10質量%を超えると、最終食品に対する風味への影響が強く出るため好ましくない。好ましくは1〜8質量%である。金属塩は無水物でも、結晶水を持つものであっても、その混合物でも構わないが、結晶水を持つ場合は、無水物換算した質量で含量を計算する。
重曹を1〜10質量%、有機酸を1〜10質量%含有することが好ましい。より好ましい含量は、重曹1〜5質量%、有機酸1〜5質量%である。重曹又は有機酸の含量が10質量%を超えると味に対する影響が大きく好ましくない。重曹は一般的に入手可能なものであればよく、炭酸水素ナトリウムを主体とするもので、酸と相互作用して発泡するものであれば、特に制限はない。また、重曹又は有機酸が1質量%未満であると発泡が不十分になる可能性がある。本発明の有機酸としては、飲食可能であり、常温で固体のものが好ましい。例えば、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、アジピン酸、グルコン酸、グルクロン酸、フマル酸、マロン酸、酒石酸、アスコルビン酸などが挙げられる。
崩壊剤としては、例えば、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、カルメロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース類、カルボキシメチルスターチナトリウム、カルボキシメチルスターチ、ヒドロキシプロピルスターチ、α化デンプン、部分α化デンプン等のデンプン類、クロスポビドン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム等が挙げられる。
食品素材としては、例えば、抹茶粉末、野菜粉末、青汁粉末、ココアパウダー、コーヒーパウダー、脱脂粉乳、果物粉末、コンソメエキス、ビーフエキス、チキンエキスなど、目的・用途に応じて様々な食品素材を添加することが出来る。例えば、抹茶粉末を加えて錠剤型増粘化剤とすることにより、トロミがあり、適度に濁った本格的なお茶が、容易に調製可能となる。
本効果から、本発明の錠剤型増粘化剤は、咀嚼・嚥下機能低下者用の増粘化剤(介護用途)として有用に利用できる。
本発明は、上記「1.増粘多糖類を含有する錠剤型増粘化剤」の製造方法にも関する。
本発明の錠剤型増粘化剤は、上記原料を含有する混合粉体及び/又はその顆粒を圧縮成形することで製造できる。
具体的には、キサンタンガム、カラギナン及びグァーガムからなる群から選択される少なくとも一種以上の増粘多糖類を15〜40質量%、15〜40質量%の崩壊用寒天、10〜70質量%の水溶性糖類及び0.2〜10質量%の金属塩を混合後、硬度15〜70Nに打錠(圧縮成形)することを特徴とする錠剤の製造方法に関する。
打錠装置としては、単発打錠機、卓上錠剤成型機など、目的とする錠剤量や大きさにより適宜選択することが可能である。
また粉末や顆粒を臼に供給するフィーダー部は、粉末の流動性や顆粒の大きさから、攪拌フィーダーやオープンフィーダーなどフィーダーの種類を選択することができる。
(I)キサンタンガム、カラギナン及びグァーガムからなる群から選択される少なくとも一種以上の増粘多糖類、崩壊用寒天、水溶性糖類及び金属塩の混合物を造粒した顆粒、並びに残りの原料(必要に応じて増粘多糖類、崩壊用寒天、水溶性糖類及び金属塩の残部、重曹、有機酸等)を混合後、硬度15〜70Nに打錠する、錠剤の製造方法。
(II)キサンタンガム、カラギナン及びグァーガムからなる群から選択される少なくとも一種以上の増粘多糖類、水溶性糖類及び金属塩の混合物を造粒した顆粒、並びに残りの原料(崩壊用寒天、必要に応じて増粘多糖類、水溶性糖類及び金属塩の残部、重曹、有機酸等)を混合後、硬度15〜70Nに打錠する、錠剤の製造方法。
(III)金属塩を含有する溶液をバインダー液に用いてキサンタンガム、カラギナン及びグァーガムからなる群から選択される少なくとも一種以上の増粘多糖類、崩壊用寒天及び水溶性糖類の混合物を造粒後、残りの原料(必要に応じて増粘多糖類、崩壊用寒天、水溶性糖類、金属塩の残部、重曹、有機酸等)を混合し、硬度15〜70Nに打錠する、錠剤の製造方法。
(IV)金属塩を含有する溶液をバインダー液に用いてキサンタンガム、カラギナン及びグァーガムからなる群から選択される少なくとも一種以上の増粘多糖類及び水溶性糖類の混合物を造粒後、残りの原料(崩壊用寒天、必要に応じて増粘多糖類、水溶性糖類、金属塩の残部、重曹、有機酸等)を混合し、硬度15〜70Nに打錠する、錠剤の製造方法。
特に好ましくは、(I)又は(III)の実施形態である。
本製法では、キサンタンガム、カラギナン及びグァーガムからなる群から選択される少なくとも一種以上の増粘多糖類に対して二段階の造粒工程が行われる。つまり、打錠時に用いる増粘多糖類は二段階の造粒を経た二次造粒品である。
制限するものではない。
表1の処方に基づき、増粘多糖類を含有する錠剤型増粘化剤を調製した。
具体的には、表1に示すキサンタンガム、デキストリン及び塩化カルシウムを粉体混合し、バインダー液に水を用いて流動層造粒にて顆粒を調製した。次いで、調製した顆粒、及び表1の粉末部に示す量の乳糖、崩壊用寒天、重曹及びクエン酸を混合し、卓上錠剤成型機(市橋精機)にて硬度25〜33Nに打錠した。1錠当たり0.5gとなるように錠剤を調製した。
得られた実施例1−1〜1−4及び比較例1−1の錠剤型増粘化剤について、溶解性試験を行なった。結果を表1に示す。
注2)伊那食品工業株式会社製の崩壊用寒天「崩壊用精製寒天」を使用。
注3)テクスチャーアナライザーTA−XT plus(Stable Micro Systems社)を使用して、1錠に対して圧縮速度2mm/secで一軸圧縮測定した。破断荷重を錠剤の硬度とした。5錠の測定値を平均し、錠剤硬度とした。
100mlのビーカーにイオン交換水100gと、長さ2cmの回転子を入れ、恒温槽中20℃に調温した。スターラー(アズワン社製REXIM)にビーカーを乗せ、水がこぼれないようにゆっくりと回転数を240rpmまで上げた。240rpmは手撹拌を再現するための撹拌条件である。そこに、錠剤2錠(計1g)を加え、30秒間撹拌し、撹拌後の状態を下の基準で判断した。
− :錠剤が完全に崩壊し、増粘多糖類もダマを生じることなく良好に崩壊する。
± :錠剤がほぼ崩壊し、増粘多糖類も大きなダマを生じることなく良好に溶解する。
+ :錠剤が部分的に崩壊(一錠の半分以上)し、崩壊した部分は増粘多糖類が溶解するが、未崩壊部分が残存する。
++ :錠剤は一部崩壊するが、半分以上塊として残り、増粘多糖類も溶解しない。
+++:錠剤表面のみ水和し、全く崩壊しない。
更には、実施例1−1〜1−4の錠剤型増粘化剤は3分といった極めて短時間でイオン交換水にトロミを付けることもでき、トロミ剤として優れた利点を有していた。参考として、実施例1−3の溶解性試験時の写真を図1に示す。
一方、比較例1−1のように、錠剤型増粘化剤中の崩壊用寒天含量が10質量%であると、錠剤の表面のみが水和し、錠剤自体が崩壊せず、溶解性が非常に悪かった(図2)。
表2の処方に基づき、増粘多糖類を含有する錠剤(錠剤型増粘化剤)を調製した。
具体的には、実施例2−1〜2−2、比較例2−1はキサンタンガム、デキストリン及び金属塩(塩化カルシウム、塩化カリウム)を粉体混合し、バインダー液に水を用いて流動層造粒にて顆粒を調製した。次いで、調製した顆粒、及び表2の粉末部に示す量の乳糖、崩壊用寒天、重曹及びクエン酸を混合した。実施例2−3はキサンタンガム、崩壊用寒天及び塩化カリウムを粉体混合し、バインダー液に水を用いて流動層造粒にて顆粒を調製した。次いで、調製した顆粒、及び表2の粉末部に示す量の乳糖、重曹及びクエン酸を混合した。比較例2−2はキサンタンガム、デキストリン及び塩化カルシウムを粉体混合し、バインダー液に水を用いて流動層造粒にて顆粒を調製した。次いで、調製した顆粒、及び表2の粉末部に示す量の乳糖、寒天、重曹及びクエン酸を混合した。これらの混合物を卓上錠剤成型機(市橋精機)にて硬度27〜29Nに打錠した。1錠当たり0.5gとなるように錠剤を調製した。
得られた実施例2−1〜2−3及び比較例2−1〜2−2の錠剤型増粘化剤について、実験例1と同様に溶解性試験を行なった。結果を表2に示す。
特に実施例2−3の錠剤型増粘化剤は、キサンタンガム含量が40質量%と高含量であるにも関わらず、緩い撹拌条件でも容易に錠剤が崩壊し、かつキサンタンガムがダマを生じることなく容易に溶解していた。更には、短時間で十分なトロミを付けることができ、トロミ剤として非常に優れた性質を有していた。
キサンタンガム含量が50質量%の比較例2−1は、錠剤の表面のみ水和し、錠剤自体が崩壊せず、溶解性が非常に悪かった。
崩壊用寒天以外の寒天を用いた比較例2−2も、錠剤の表面のみが水和し、錠剤自体が崩壊せず、溶解性が非常に悪かった。
表3の処方に基づき、増粘多糖類を含有する錠剤(錠剤型増粘化剤)を調製した。
具体的には、表3に示すキサンタンガム、デキストリン及び金属塩(塩化カルシウム、塩化カリウム、又はクエン酸三ナトリウム)を粉体混合し、バインダー液に水を用いて流動層造粒にて顆粒を調製した。次いで、調製した顆粒、及び表3の粉末部に示す量の乳糖、崩壊用寒天、重曹及びクエン酸を混合し、卓上錠剤成型機(市橋精機)にて硬度27〜40Nに打錠した。1錠当たり0.5gとなるように錠剤を調製した。
得られた実施例3−1〜3−8の錠剤型増粘化剤について、実験例1と同様に溶解性試験を行なった。結果を表3に示す。
また、実施例3−1〜3−8のいずれの錠剤も短時間で十分なトロミを付けることができ、トロミ剤として非常に優れた性能を有していた。
表4の処方に基づき、増粘多糖類を含有する錠剤(錠剤型増粘化剤)を調製した。
具体的には、表4に示す増粘多糖類(グァーガム、カラギナン)、デキストリン及び塩化カルシウムを粉体混合し、バインダー液に水を用いて流動層造粒にて顆粒を調製した。次いで、調製した顆粒、及び表4の粉末部に示す量の乳糖、崩壊用寒天、重曹及びクエン酸を混合し、卓上錠剤成型機(市橋精機)にて硬度28〜32Nに打錠した。1錠当たり0.5gとなるように錠剤を調製した。
得られた実施例4−1及び4−2の錠剤について、実験例1と同様に溶解性試験を行なった。結果を表4に示す。
表5の処方に基づき、増粘多糖類を含有する錠剤(錠剤型増粘化剤)を調製した。
具体的には、表5に示す顆粒部の原料を粉体混合し、実施例5−1はバインダー液に水を用いて、実施例5−2はバインダー液に表5に示す量のクエン酸三ナトリウムを用いて流動層造粒にて顆粒を調製した。次いで、調製した顆粒、及び表5の粉末部に示す量の原料を混合し、卓上錠剤成型機(市橋精機)にて硬度30〜33Nに打錠した。1錠当たり0.5gとなるように錠剤を調製した。
得られた実施例5−1〜5−2の錠剤型増粘化剤について、実験例1と同様に溶解性試験を行なった。結果を表5に示す。
実施例5−2は、クエン酸三ナトリウムをバインダー液に用いて、キサンタンガム及び水溶性糖類の一部(デキストリン)を予め造粒した顆粒を打錠した例である。33Nと実用的な硬度を有しつつも、錠剤が容易に崩壊し、キサンタンガムがダマにならず、良好な溶解性を示した。
また、実施例5−1〜5−2のいずれの錠剤も短時間で十分なトロミを付けることができ、トロミ剤としても非常に優れた性能を有していた。
上記実験例によって得られた実施例1−4及び実施例3−6の錠剤について、粘度発現性試験を行った。各々の錠剤組成を表6に、粘度発現性の試験結果を表7に示す。
実験例で得られた錠剤を用いて、お茶、アイソトニック飲料における粘度発現(経時的な粘度変化)を評価した。200mlのビーカーに、20℃に調温したお茶(おーいお茶/伊藤園)、アイソトニック飲料(ポカリスウェット/大塚製薬)を各々100gずつ量りとり、スパーテルで4回転/秒の速度で撹拌しながら、各錠剤を5錠(計2.5g/キサンタンガム含量0.625g)添加した。同じ撹拌速度でさらに30秒間撹拌後、スクリュー瓶に充填し、経時的な粘度変化を測定した。粘度はB型回転粘度計、12rpm、ローターNo.3を用いて測定した。
実施例3−6の錠剤は、アイソトニック飲料に対して10分といった短時間でトロミを付けることができ、トロミ剤として非常に優れた性能を有していた。
Claims (6)
- キサンタンガム、カラギナン及びグァーガムからなる群から選択される少なくとも一種以上の増粘多糖類を15〜40質量%、
崩壊用寒天を15〜40質量%、
澱粉分解物、糖類、糖アルコール類、及びオリゴ糖類からなる群から選択される一種以上の水溶性糖類を10〜70質量%、並びに、
塩化カルシウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、乳酸カルシウム、及びクエン酸ナトリウムからなる群から選択される一種以上の金属塩を0.2〜10質量%含有し、
硬度が15〜70Nである錠剤型増粘化剤。 - 前記金属塩が、塩化カルシウム、塩化カリウム及びクエン酸ナトリウムからなる群から選択される一種以上である、請求項1に記載の錠剤型増粘化剤。
- さらに重曹を1〜10質量%及び有機酸を1〜10質量%含有する、請求項1又は2に記載の錠剤型増粘化剤。
- 咀嚼・嚥下機能低下者用の増粘化剤である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の錠剤型増粘化剤。
- キサンタンガム、カラギナン及びグァーガムからなる群から選択される少なくとも一種以上の増粘多糖類と、崩壊用寒天、前記水溶性糖類及び前記金属塩からなる群から選択される少なくとも一種以上とを予め造粒し、得られた顆粒を用いて打錠により錠剤化することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の錠剤型増粘化剤の製造方法。
- キサンタンガム、カラギナン及びグァーガムからなる群から選択される少なくとも一種以上の増粘多糖類、崩壊用寒天、前記水溶性糖類及び前記金属塩を予め造粒し、得られた顆粒を用いて打錠により錠剤化する、請求項5に記載の錠剤型増粘化剤の製造方法。
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JP2014121317A (ja) * | 2012-11-21 | 2014-07-03 | Sanei Gen Ffi Inc | 糊料製剤 |
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