JP6800860B2 - 増粘多糖類含有製剤の製造方法 - Google Patents

増粘多糖類含有製剤の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6800860B2
JP6800860B2 JP2017540038A JP2017540038A JP6800860B2 JP 6800860 B2 JP6800860 B2 JP 6800860B2 JP 2017540038 A JP2017540038 A JP 2017540038A JP 2017540038 A JP2017540038 A JP 2017540038A JP 6800860 B2 JP6800860 B2 JP 6800860B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thickening polysaccharide
mass
gum arabic
raw material
granulation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017540038A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2017047803A1 (ja
Inventor
佐藤 寛之
寛之 佐藤
拓也 松尾
拓也 松尾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
San Ei Gen FFI Inc
Original Assignee
San Ei Gen FFI Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by San Ei Gen FFI Inc filed Critical San Ei Gen FFI Inc
Publication of JPWO2017047803A1 publication Critical patent/JPWO2017047803A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6800860B2 publication Critical patent/JP6800860B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23LFOODS, FOODSTUFFS, OR NON-ALCOHOLIC BEVERAGES, NOT COVERED BY SUBCLASSES A21D OR A23B-A23J; THEIR PREPARATION OR TREATMENT, e.g. COOKING, MODIFICATION OF NUTRITIVE QUALITIES, PHYSICAL TREATMENT; PRESERVATION OF FOODS OR FOODSTUFFS, IN GENERAL
    • A23L29/00Foods or foodstuffs containing additives; Preparation or treatment thereof
    • A23L29/20Foods or foodstuffs containing additives; Preparation or treatment thereof containing gelling or thickening agents
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01JCHEMICAL OR PHYSICAL PROCESSES, e.g. CATALYSIS OR COLLOID CHEMISTRY; THEIR RELEVANT APPARATUS
    • B01J2/00Processes or devices for granulating materials, e.g. fertilisers in general; Rendering particulate materials free flowing in general, e.g. making them hydrophobic
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K47/00Medicinal preparations characterised by the non-active ingredients used, e.g. carriers or inert additives; Targeting or modifying agents chemically bound to the active ingredient
    • A61K47/30Macromolecular organic or inorganic compounds, e.g. inorganic polyphosphates
    • A61K47/36Polysaccharides; Derivatives thereof, e.g. gums, starch, alginate, dextrin, hyaluronic acid, chitosan, inulin, agar or pectin

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Dispersion Chemistry (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Nutrition Science (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Food Science & Technology (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Jellies, Jams, And Syrups (AREA)
  • Medicinal Preparation (AREA)
  • General Preparation And Processing Of Foods (AREA)

Description

本発明は、増粘多糖類を含有する製剤(以下、「増粘多糖類含有製剤」ともいう)の製造方法、及び、増粘多糖類を含有する製剤の液体への分散性を向上させる方法に関する。
キサンタンガム等の、増粘多糖類を含有する製剤は、飲食品などの各種組成物に粘度を付与する機能(粘度付与機能)や、各種組成物をゲル化させる機能(ゲル化機能)を有する。
増粘多糖類の粘度付与機能又はゲル化機能を十分に発揮させるためには、増粘多糖類を十分に水和させることが必要である。しかしながら、粉末状又は顆粒状の増粘多糖類を、水などの液体に添加すると、増粘多糖類の表面のみが溶解し、内部が水和せずに粉体の状態で残る、いわゆる、「ダマ」が発生する。発生したダマは、完全に溶解させることが非常に難しく、例えば、撹拌速度を上げる方法や、撹拌時間を長くする方法を用いた場合であっても、発生したダマを完全に溶解させることは難しい。
ダマの発生を抑制する技術(ダマを改善する技術)として、例えば、増粘多糖類の粒子径に着目する技術が知られている。その一例として、特許文献1には、平均粒子径80μm以下のキサンタンガム粉末を造粒する技術が提案されている。
しかしながら、平均粒子径が80μm以下である、微粉タイプのキサンタンガムは、粉末を取り扱う際に粉が飛散しやすいという問題を有する。また、本技術に基づいて得られるキサンタンガム含有製剤は、液体への分散性が十分とはいえず、依然としてダマが発生しやすいという問題を有する。
また、ダマの発生を抑制する技術として、特許文献2には、粉末状又は顆粒状の増粘多糖類と、アラビアガム、プルラン、大豆多糖類及びアラビノガラクタンのうち少なくとも1種以上を併用する技術が提案されている。
しかしながら、この技術による増粘多糖類の分散性向上効果は十分とはいえない。例えば、機械撹拌などにより、高速で液体を撹拌しながら増粘多糖類含有製剤を添加する場合にはダマの発生は幾分か抑制されるが、手撹拌などの遅い速度(低速)で撹拌する場合には、特許文献2に開示された技術ではダマの発生を十分に抑制することはできない。
ところで、特許文献3には、アラビアガムを含有するバインダー液を用いて、キサンタンガム粉末を造粒した例が、比較例4として開示されている。しかしながら、本比較例によれば、キサンタンガムの分散性が十分に改善されたとは認められない。
また、特許文献4には、アラビアガムを含有するバインダー液を用いてキサンタンガム粉末を造粒し、次いで、得られた造粒物を崩壊剤及び賦形剤と混合したものを錠剤状に成型した製剤が開示されている。しかしながら、特許文献4には、増粘多糖類を含有する粉体組成物及びバインダー液のいずれにもアラビアガムを用いることについて、何ら開示されていない。
特開2006−304605号公報 特開2001−275584号公報 特許第4672596号公報 特開2015−136315号公報
本発明では、液体への分散性が改善され、ダマの発生が抑制された増粘多糖類含有製剤を提供することを目的とする。
また、ダマの発生は、増粘多糖類の水和(溶解)速度が速いことに基づく。そのため、ダマの発生抑制を目的とする従来技術は、増粘多糖類の溶解速度の遅延を招き、結果として、増粘多糖類が本来有する、粘度付与機能又はゲル化機能の低下を引き起こすという問題を有する。
本発明は、かかる課題にも鑑みてなされた発明であり、ダマの発生が抑制され、また、増粘多糖類が本来有する、粘度付与機能又はゲル化機能の発現に優れる、増粘多糖類含有製剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来技術に鑑み、鋭意研究した結果、アラビアガムとアラビアガム以外の増粘多糖類とを含有する造粒原料(原料組成物)を、アラビアガムを含有するバインダー液を用いて造粒することで、液体への分散性が改善され、ダマの発生が抑制された増粘多糖類含有製剤を提供できることを見出した。また、本発明者らは、本技術を用いて製造された増粘多糖類含有製剤は、液体に対して、優れた粘度付与機能又はゲル化機能を発揮できることを見出し、更なる研究の結果、本発明を完成するに至った。
本発明は以下の態様を有する、増粘多糖類含有製剤の製造方法、並びに、増粘多糖類を含有する製剤の液体への分散性を向上させる方法に関する。
増粘多糖類含有製剤の製造方法
項1−1.増粘多糖類を含有する製剤の製造方法であり、
アラビアガム及びアラビアガム以外の増粘多糖類を含有する造粒原料を、アラビアガムを含有するバインダー液を用いて造粒することを特徴とする、増粘多糖類含有製剤の製造方法。
項1−2.前記アラビアガム以外の増粘多糖類が、キサンタンガム、カラギナン、ガラクトマンナン、ペクチン、ジェランガム及びアルギン酸類からなる群から選択される1種以上を含有するものである、項1−1に記載の増粘多糖類含有製剤の製造方法。
項1−3.前記増粘多糖類含有製剤中、バインダー液に由来するアラビアガムの量1質量部に対する、造粒原料に由来するアラビアガムの量が0.5質量部以上である、項1−1又は1−2に記載の増粘多糖類含有製剤の製造方法。
項1−4.増粘多糖類含有製剤におけるアラビアガム含量が0.1〜60質量%である、項1−1〜1−3のいずれか1項に記載の増粘多糖類含有製剤の製造方法。
項1−5.前記増粘多糖類含有製剤におけるアラビアガム含量が、前記アラビアガム以外の増粘多糖類1質量部に対して、0.01〜5質量部である、項1−1〜1−4のいずれか1項に記載の増粘多糖類含有製剤の製造方法。
項1−6.アラビアガム及びアラビアガム以外の増粘多糖類を含有する造粒原料に、更に賦形剤を含有させることを特徴とする、項1−1〜1−5のいずれか1項に記載の増粘多糖類含有製剤の製造方法。
項1−7.前記バインダー液中、アラビアガムの含量が0.1〜25質量%である、項1−1〜1−6のいずれか1項に記載の粘多糖類含有製剤の製造方法。
項1−8.前記バインダー液が更にプルランを含むものである、項1−1〜1−7のいずれか1項に記載の増粘多糖類含有製剤の製造方法。
増粘多糖類を含有する製剤の液体への分散性を向上させる方法
項2−1.アラビアガム及びアラビアガム以外の増粘多糖類を含有する造粒原料を、アラビアガムを含有するバインダー液を用いて造粒することを特徴とする、増粘多糖類を含有する製剤の液体への分散性を向上させる方法。
項2−2.前記アラビアガム以外の増粘多糖類が、キサンタンガム、カラギナン、ガラクトマンナン、ペクチン、ジェランガム及びアルギン酸類からなる群から選択される1種以上を含有するものである、項2−1に記載の方法。
項2−3.前記増粘多糖類含有製剤中、バインダー液に由来するアラビアガムの量1質量部に対する、造粒原料に由来するアラビアガムの量が0.5質量部以上である、項2−1又は2−2に記載の方法。
項2−4.増粘多糖類含有製剤におけるアラビアガム含量が0.1〜60質量%である、項2−1〜2−3のいずれか1項に記載の方法。
項2−5.前記増粘多糖類含有製剤におけるアラビアガム含量が、前記アラビアガム以外の増粘多糖類1質量部に対して、0.01〜5質量部である、項2−1〜2−4のいずれか1項に記載の方法。
項2−6.アラビアガム及びアラビアガム以外の増粘多糖類を含有する造粒原料に、更に賦形剤を含有させることを特徴とする、項2−1〜2−5のいずれか1項に記載の方法。
項2−7.前記バインダー液中、アラビアガムの含量が0.1〜25質量%である、項2−1〜2−6のいずれか1項に記載の方法。
項2−8.前記バインダー液が更にプルランを含むものである、項2−1〜2−7のいずれか1項に記載の方法。
項2−9.更に、前記増粘多糖類を含有する製剤が液体への粘度発現性を有する、項2−1〜2−8のいずれか1項に記載の方法。
本発明により、液体への分散性が改善され、ダマの発生が抑制された増粘多糖類含有製剤を提供できる。また、本発明により、水などの液体に対して、優れた粘度付与機能又はゲル化機能を発揮できる増粘多糖類含有製剤を提供できる。
実験例1において、比較例1−2の増粘多糖類含有製剤の分散性試験結果を示す写真である。 実験例2において、実施例2の増粘多糖類含有製剤の分散性試験結果を示す写真である。 実験例5において、実施例5の増粘多糖類含有製剤の分散性試験結果(静置時間5秒)を示す写真である。
本発明は、アラビアガム及びアラビアガム以外の増粘多糖類を含有する造粒原料を、アラビアガムを含有するバインダー液を用いて造粒することを特徴とする、増粘多糖類含有製剤の製造方法に関する。
本発明で用いるアラビアガム以外の増粘多糖類は特に限定されないが、本発明では、好ましくは、飲食品又は経口医薬品への使用が許可されている可食性の増粘多糖類を用いる。
かかるアラビアガム以外の増粘多糖類としては、例えば、キサンタンガム、カラギナン(例えば、カッパ型カラギナン、イオタ型カラギナン、ラムダ型カラギナン等)、ガラクトマンナン(例えば、ローカストビーンガム、タラガム、グァガム等)、アルギン酸類(例えば、アルギン酸、アルギン酸塩(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウム等)、アルギン酸エステル(例えば、アルギン酸プロピレングリコール等)等)、ペクチン(例えば、ローメトキシル(LM)ペクチン、ハイメトキシル(HM)ペクチン)、ジェランガム(例えば、脱アシル型ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム等)、寒天、ゼラチン、タマリンドシードガム、グルコマンナン、ウェランガム、サイリウムシードガム、カラヤガム、カードラン、プルラン、澱粉、ファーセレラン、発酵セルロース、結晶セルロース、大豆多糖類等が例示される。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、上記増粘多糖類の中で、キサンタンガム、カラギナン、ガラクトマンナン、ペクチン、ジェランガム、アルギン酸類、特に、キサンタンガムは、水和速度が速いため、ダマの発生を抑制することが格段に難しい。しかし、本発明によれば、このような増粘多糖類を含有する製剤であっても液体に添加した際に発生するダマを顕著に抑制することができ、分散性に優れる増粘多糖類含有製剤を提供することができる。本観点から、本発明は、アラビアガム以外の増粘多糖類として、キサンタンガム、カラギナン、ガラクトマンナン、ペクチン、ジェランガム及びアルギン酸類からなる群から選択される1種以上を含有する製剤の製造に好適に使用でき、アラビアガム以外の増粘多糖類としてキサンタンガムを含有する製剤の製造により好適に使用することができる。
本発明で用いるアラビアガムは公知であり、マメ科植物であるアカシア属の植物(例えば、アカシア・セネガル(Acacia senegal)やアカシア・セイアル(Acacia seyal)等)の樹液から得られる多糖類である。アラビアガムの分子構造は完全に明らかにはされていないが、ガラクトース、アラビノース、ラムノース、及びグルクロン酸を構成糖とすることが知られている。
アラビアガムは商業的に入手することができ、かかる製品としては、例えば、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製の「ガムアラビックSD」等が挙げられる。
本発明ではまた、アラビアガムとして、前記アラビアガムを改質した、改質アラビアガムを用いることも可能である。改質の方法としては、例えば、90〜180℃で15分〜72時間加熱処理する方法や、アラビアガムから金属塩を除去又は低減する方法などが挙げられる。アラビアガムから金属塩を除去又は低減する方法としては、例えば、有機溶媒中でのイオン交換処理、電気透析膜、又はイオン交換樹脂等による脱塩処理が例示できる。これら改質アラビアガムは、例えば、特表2006−522202号公報、又は特開2005−179417号公報に記載された方法などに従って製造することができる。
本発明においてアラビアガムは前述の限りにおいて制限されないが、例えば改質アラビアガムとして、前記重量平均分子量が好ましくは90万〜500万、より好ましくは120万〜500万、更に好ましくは150万〜500万、更により好ましくは150万〜450万、特に好ましくは200万〜400万であるアラビアガム、及び/又は、アラビノガラクタン蛋白質含量が好ましくは17〜30質量%、より好ましくは20〜30質量%であるアラビアガムが例示される。
アラビアガムの重量平均分子量及びアラビノガラクタン蛋白質含量(質量%)は、例えば、光散乱(MALLS)検出器、屈折率(RI)検出器及び紫外線(UV)検出器の3つの検出器を備えたゲル濾過クロマトグラフィーにより測定することができる。詳細には、特表2006−522202号公報に記載の方法に従って測定することができる。
前記性質を有する改質アラビアガムは、例えば、特表2006−522202号公報に記載の方法に従って製造することができる。一例として、アカシア・セネガル(Acacia senegal)種に属するアラビアガムを110℃で10時間以上、またはこれと実質的に同じ効果を得ることができる条件下で加熱することによって、前記性質を有する改質アラビアガムを製造することができる。加熱時間の条件としては、例えば72時間が挙げられる。また、上記性質を有する改質アラビアガムは商業的に入手することができ、かかる製品として例えば、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製の「SUPER GUM EM10」等が挙げられる。
本発明では、造粒原料として、アラビアガムとアラビアガム以外の増粘多糖類とを含有する造粒原料を用い、当該造粒原料は好ましくは粉末状又は顆粒状である。この造粒原料(以下、本明細書中において、「本発明における原料混合物」ともいう)における、増粘多糖類含量は特に限定されないが、例えば、増粘多糖類含有製剤における造粒原料に由来するアラビアガム以外の増粘多糖類含量が5〜80質量%、好ましくは10〜75質量%、より好ましくは10〜70質量%、更に好ましくは10〜60質量%、更により好ましくは15〜55質量%、特に好ましくは20〜55質量%、更に特に好ましくは20〜50質量%、殊更に好ましくは20〜45質量%となるように、造粒原料に増粘多糖類を含有させることが望ましい。
また、本発明を制限するものではないが、造粒原料に由来する増粘多糖類にキサンタンガム、カラギナン、ガラクトマンナン、ペクチン、ジェランガム及びアルギン酸類からなる群から選択される1種以上を含む場合、本発明の製造方法によって得られる増粘多糖類含有製剤における、キサンタンガム、カラギナン、ガラクトマンナン、ペクチン、ジェランガム及びアルギン酸類からなる群から選択される1種以上の増粘多糖類含量が、5〜80質量%、好ましくは10〜75質量%、より好ましくは10〜70質量%、更に好ましくは10〜60質量%、更により好ましくは15〜55質量%、特に好ましくは20〜55質量%、更に特に好ましくは20〜50質量%、殊更に好ましくは20〜45質量%であることが望ましい。
また、増粘多糖類の中でもキサンタンガムは、水などの液体に対する粘度発現性に優れ、増粘化剤などに有用であるが、ダマが顕著に発生しやすいという問題を有する。しかし、本発明の製造方法によれば、増粘多糖類含有製剤におけるキサンタンガム含量が5質量%以上、8質量%以上、10質量%以上、12質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、又は28質量%以上と、キサンタンガム含量が高い場合においても、キサンタンガムのダマの発生が抑制され、且つ、優れた粘度付与機能を有する増粘多糖類含有製剤を提供できる。
増粘多糖類含有製剤におけるキサンタンガム含量の上限は特に制限されないが、例えば、80質量%以下、75質量%以下、70質量%以下、65質量%以下、60質量%以下、55質量%以下、又は50質量%以下が例示される。
本発明を制限するものでないが、これらの観点から、本発明の製造方法によって得られる増粘多糖類含有製剤がキサンタンガムを含有する場合、増粘多糖類含有製剤におけるキサンタンガム含量は、例えば、5〜80質量%が挙げられ、好ましくは8〜75質量%、より好ましくは10〜70質量%、更に好ましくは12〜65質量%、更により好ましくは15〜60質量%、特に好ましくは20〜55質量%、更に特に好ましくは25〜50質量%、殊更に好ましくは25〜45質量%である。
また、本発明における造粒原料中の、アラビアガム含量も特に限定されないが、例えば、増粘多糖類含有製剤における、造粒原料に由来するアラビアガム含量が0.1〜50質量%、好ましくは0.1〜45質量%、より好ましくは0.2〜40質量%、更に好ましくは0.25〜35質量%、更により好ましくは0.25〜25質量%、特に好ましくは0.5〜25質量%となるように、造粒原料にアラビアガムを含有させることが望ましい。なお、本発明において「造粒原料に由来する」とは、言い換えれば「製造において使用するバインダー液に由来しない」ことを意味する。
また、本発明では、本発明の効果が得られる限り制限されないが、増粘多糖類含有製剤中、例えば、造粒原料に由来するアラビアガム以外の増粘多糖類1質量部に対する、造粒原料に由来するアラビアガム含量が0.01〜5質量部であることが好ましく、0.01〜3質量部であることがより好ましく、0.015〜2質量部であることが更に好ましく、0.015〜1質量部であることが更により好ましい。
本発明の製造方法においては、アラビアガム及びアラビアガム以外の増粘多糖類を含有する造粒原料に、更に、賦形剤を含有させることが好ましい。つまり、本発明の製造方法の好ましい一実施態様は、アラビアガム、アラビアガム以外の増粘多糖類及び賦形剤を含有する造粒原料を、アラビアガムを含有するバインダー液を用いて造粒することを特徴とする、増粘多糖類含有製剤の製造方法に関する。
本発明で用いる賦形剤は特に限定されないが、本発明では、飲食品又は経口医薬品への使用が許可されている賦形剤を用いることが好ましい。
賦形剤としては、例えば、澱粉分解物(例えば、デキストリン、粉飴等)、糖類(例えば、単糖(例えば、グルコース、フルクトース等)、二糖(例えば、ショ糖、乳糖、麦芽糖、トレハロース等)、オリゴ糖(例えば、セロオリゴ糖、マルトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖等)、糖アルコール(例えば、キシリトール、ソルビトール、ラクチトール、マルチトール等)、還元糖化物等)、食物繊維(例えば、難消化性デキストリン、ポリデキストロース、グァーガム酵素分解物等)などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明において賦形剤の含量は特に限定されないが、賦形剤を含有する場合、例えば、増粘多糖類含有製剤における賦形剤含量が10〜90質量%、好ましくは20〜85質量%、より好ましくは30〜80質量%、更に好ましくは35〜75質量%、特に好ましくは40〜75質量%となるように、賦形剤を用いることができる。
本発明における造粒原料はまた、更なる分散性の向上を目的として、金属塩を含有してもよい。金属塩の種類は特に限定されないが、例えば、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等が挙げられ、具体的には、これらの塩化物、水酸化物、乳酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩、リン酸塩、硫酸塩、リンゴ酸塩などが挙げられる。なお、本発明では、飲食品又は経口医薬品への使用が許可されている金属塩を用いることが好ましい。このような金属塩として、例えば、塩化カルシウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、乳酸カルシウム、クエン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カリウム等が挙げられる。好ましい金属塩は、塩化カルシウム、塩化カリウム、クエン酸ナトリウム及びグルコン酸ナトリウムからなる群から選択される一種以上である。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明において金属塩の含量は特に限定されないが、金属塩を含有する場合、例えば、増粘多糖類含有製剤における金属塩含量が0.5〜10質量%、好ましくは0.8〜8質量%、より好ましくは1〜6質量%、更に好ましくは1〜5.5質量%、更により好ましくは1.5〜5質量%となるように、金属塩を用いることができる。
本発明の製造方法は、アラビアガム及びアラビアガム以外の増粘多糖類を含有する造粒原料を、アラビアガムを含有するバインダー液を用いて造粒することを特徴とする。
本発明で用いるバインダー液における、アラビアガムの含量は特に限定されないが、例えば、0.1〜25質量%が挙げられ、好ましくは0.2〜20質量%、より好ましくは0.3〜18質量%、更に好ましくは0.5〜15質量%、更により好ましくは0.5〜10質量%である。
バインダー液は、アラビアガムを水に溶解させることで調製できる。このことから、本発明においてアラビアガムを含有するバインダー液は、好ましくは水を含有する。なお、アラビアガムは、常温付近(例えば、20℃)の水に溶解可能であるため、バインダー液の調製時に加熱工程は不要であるが、必要に応じて水及びアラビアガムの混合液を加熱しても良い。
また、本発明で用いるバインダー液は、炭素数が3以下であるアルコール(例えば、メタノール、エタノール、グリセリン等)、金属塩、又は有機酸などを含有しても良い。
また、本発明で用いるバインダー液は、この限りにおいて制限されないが、更にプルランを含有してもよい。プルランは公知であり、黒酵母の1種であるAureobasidium pullulas(糸状菌)によって産生されるα−グルカンである。その構造は、マルトトリオースが規則正しくα−1,6−グルコシド結合を繰り返した直鎖状の多糖類である。本発明において、バインダー液の一成分としてアラビアガムとプルランとを併用することによっても、増粘多糖類、特にキサンタンガム、カラギナン、ガラクトマンナン、ペクチン、ジェランガム、アルギン酸類といった液体中でダマが発生しやすい増粘多糖類であっても、分散性を高めることができる。この観点から、バインダー液の一成分としてアラビアガムとプルランとの併用も好ましいといえる。
このようにプルランを含有する場合、バインダー液における、プルランの含量は特に限定されないが、例えば、0.1〜20質量%が挙げられ、好ましくは0.2〜18質量%、より好ましくは0.5〜15質量%、更に好ましくは0.8〜12質量%、更により好ましくは1〜10質量%、特に好ましくは1〜8質量%である。
本発明の増粘多糖類含有製剤の製造方法において採用される造粒方法は、特に限定されない。例えば、造粒方法として、流動層造粒法、撹拌造粒法、押出造粒法、転動造粒法などが例示でき、好ましい造粒方法は、流動層造粒法、又は撹拌造粒法である。
流動層造粒法による造粒は特に限定されず、常法に従って実施することができる。例えば、流動層造粒法による造粒の一実施態様を以下に示す。
アラビアガム及びアラビアガム以外の増粘多糖類を含む造粒原料(原料組成物)を造粒機に入れ、機械の下方から熱風を送り込むことで、造粒原料を流動させる。この流動層にバインダー液を噴霧し、造粒原料表面にバインダー液を付着させ、造粒原料どうしの凝集粒をつくり、これを乾燥させることで造粒物を製造する。
同様に、撹拌造粒法による造粒も特に限定されず、常法に従って実施できる。例えば、撹拌造粒法による造粒の一実施態様を以下に示す。
アラビアガム及びアラビアガム以外の増粘多糖類を含む造粒原料を造粒機に入れ、バインダー液を噴霧または直接投入し、高速で撹拌させる。撹拌によって造粒原料どうしが凝集粒をつくり、これを乾燥させることで造粒物を製造する。
その他の押出造粒法及び転動造粒法による造粒も特に限定されず、常法に従って実施することができる。
本発明において、バインダー液の使用方法は特に限定されない。例えば、前述のように、流動層造粒法であれば、アラビアガム及びアラビアガム以外の増粘多糖類を含む造粒原料にバインダー液を噴霧する方法が例示でき、撹拌造粒法であれば、アラビアガム及びアラビアガム以外の増粘多糖類を含む造粒原料にバインダー液を噴霧する方法、又は、アラビアガム及びアラビアガム以外の増粘多糖類を含む造粒原料とバインダー液を混合する方法が例示できる。
本発明で用いるバインダー液の量は特に限定されないが、増粘多糖類含有製剤における、バインダー液に由来するアラビアガム含量が、0.05〜10質量%、好ましくは0.08〜9質量%、より好ましくは0.1〜9質量%、更に好ましくは0.1〜8質量%、更により好ましくは0.15〜8質量%、特に好ましくは0.15〜6質量%、更に特に好ましくは0.2〜6質量%となるようにバインダー液の量を調整することが好ましい。
また、本発明を制限するものではないが、本発明においてバインダー液が更にプルランを含有する場合、増粘多糖類含有製剤における、バインダー液に由来するアラビアガム及びプルランの含量(総量)が、例えば、0.3〜10質量%、好ましくは0.4〜9質量%、より好ましくは0.5〜8質量%、更に好ましくは0.6〜6質量%となるように、バインダー液におけるアラビアガム及びプルランの含量を調整することが好ましい。
以上のように、本発明では、原料組成物である造粒原料、及び造粒原料を造粒する際に用いるバインダー液のいずれにも、アラビアガムを用いることで、液体への分散性に優れ、また、増粘多糖類が本来有する機能(粘度付与機能、ゲル化機能)の発揮に優れる(増粘多糖類が本来有する機能を効果的に発揮する)、増粘多糖類含有製剤を製造することができる。
また、本発明では、増粘多糖類の造粒において、増粘多糖類を複数の工程により多段階造粒することが可能である。一例として、二段階造粒(二次造粒)する場合の好ましい実施形態をいくつか以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(i)粉末状のアラビアガム及び粉末状のアラビアガム以外の増粘多糖類を含有する造粒原料(一次造粒原料)を、アラビアガムを含有するバインダー液を用いて造粒し、一次造粒物を得る。次いで、一次造粒物を含有する造粒原料(二次造粒原料)を造粒して、二次造粒物を得る。
(ii)粉末状のアラビアガム及び粉末状のアラビアガム以外の増粘多糖類を含有する造粒原料(一次造粒原料)を造粒し、一次造粒物を得る。次いで、一次造粒物を含有する造粒原料(二次造粒原料)を、アラビアガムを含有するバインダー液を用いて造粒して、二次造粒物を得る。
(iii)粉末状のアラビアガム以外の増粘多糖類を含有する造粒原料(一次造粒原料)を、アラビアガムを含有するバインダー液を用いて造粒し、一次造粒物を得る。次いで、一次造粒物及びアラビアガムを含有する造粒原料(二次造粒原料)を造粒して、二次造粒物を得る。
(iv)粉末状のアラビアガム以外の増粘多糖類を含有する造粒原料(一次造粒原料)を造粒し、一次造粒物を得る。次いで、一次造粒物及びアラビアガムを含有する造粒原料(二次造粒原料)を、アラビアガムを含有するバインダー液を用いて造粒して、二次造粒物を得る。
なお、上記実施形態において、明記がない場合における造粒時のバインダー液の種類は特に限定されず、例えば、水、又はアラビアガムを含有する水溶液などを用いることができる。また、上記実施形態において明記がない場合において、造粒原料に、更に、アラビアガムを含有させることも可能である。例えば、二次造粒する場合の好ましい実施形態として、以下の形態をとることも可能である。
(v)粉末状のアラビアガム及び粉末状のアラビアガム以外の増粘多糖類を含有する造粒原料(一次造粒原料)を、アラビアガムを含有するバインダー液を用いて造粒し、一次造粒物を得る。次いで、一次造粒物及びアラビアガムを含有する造粒原料(二次造粒原料)を、アラビアガムを含有するバインダー液を用いて造粒して、二次造粒物を得る。
このことからも理解できるように、本発明では、造粒原料を造粒する際に用いるバインダー液の一成分としてアラビアガムを用い、且つ、造粒原料においてバインダー液に由来しないアラビアガムを用いることで、液体への分散性に優れ、また、増粘多糖類が本来有する機能(粘度付与機能、ゲル化機能)の発揮に優れる、増粘多糖類含有製剤を製造することができる。
このように本発明ではバインダー液として、アラビアガムを含有するバインダー液を用いることを特徴とするが、二次造粒を行う場合には、一次造粒時、又は二次造粒時の少なくともいずれか一方の造粒時に、アラビアガムを含有するバインダー液を用いて増粘多糖類が造粒されていれば良い。なお、増粘多糖類含有製剤の液体への分散性をより一層向上させる観点からは、少なくとも一次造粒時に、アラビアガムを含有するバインダー液が用いられていることが好ましい。
なお、一次造粒時又は二次造粒時のいずれか一方で、アラビアガムを含有するバインダー液を用いる場合は、他の造粒時には、バインダー液として、例えば水などを用いることができる。
一次造粒時又は/及び二次造粒時における、造粒原料(原料組成物)中の増粘多糖類の含量等は、前述に記載の配合割合に従って適宜調整することができる。
本発明を制限するものではないが、一例として次の配合割合が挙げられる。例えば、アラビアガム以外の増粘多糖類、アラビアガム、賦形剤及び金属塩を含む造粒原料を用いて、一段造粒法により増粘多糖類含有製剤を製造する場合、造粒原料中のアラビアガム以外の増粘多糖類含量は5〜80質量%、好ましくは10〜75質量%、より好ましくは10〜70質量%、更に好ましくは10〜60質量%、更により好ましくは15〜55質量%、特に好ましくは20〜55質量%、更に特に好ましくは20〜50質量%
、殊更に好ましくは20〜45質量%が例示される。造粒原料中のアラビアガム含量は0.1〜50質量%、好ましくは0.1〜40質量%、より好ましくは0.1〜35質量%、更に好ましくは0.2〜30質量%、更により好ましくは0.2〜25質量%が例示される。造粒原料中の賦形剤含量は10〜90質量%、好ましくは20〜85質量%、より好ましくは30〜80質量%、更に好ましくは35〜75質量%、更により好ましくは40〜70質量%が例示される。造粒原料中の金属塩含量は0.5〜10質量%、好ましくは0.8〜8質量%、より好ましくは0.8〜7質量%、更に好ましくは1〜6質量%、更により好ましくは1〜5.5質量%が例示される。
また、例えば、アラビアガム以外の増粘多糖類、アラビアガム、賦形剤及び金属塩を含む造粒原料を用いて、二段造粒法により増粘多糖類含有製剤を製造する場合、一段階目の造粒において、造粒原料中のアラビアガム以外の増粘多糖類含量は20〜100質量%、好ましくは30〜100質量%、より好ましくは30〜95質量%、更に好ましくは40〜95質量%、更により好ましくは45〜90質量%、特に好ましくは50〜90質量%が例示される。造粒原料中のアラビアガム含量は0〜60質量%、好ましくは0〜50質量%、より好ましくは0.1〜40質量%、更に好ましくは0.2〜35質量%、更により好ましくは0.3〜30質量%、特に好ましくは0.3〜25質量%が例示される。造粒原料中の賦形剤含量は0〜80質量%、好ましくは0〜70質量%、より好ましくは1〜60質量%、更に好ましくは3〜50質量%、更により好ましくは5〜40質量%、特に好ましくは5〜35質量%が例示される。造粒原料中の金属塩含量は0〜15質量%、好ましくは0〜10質量%、より好ましくは0.5〜10質量%、更に好ましくは0.5〜8質量%、更により好ましくは1〜8質量%、特に好ましくは2〜8質量%が例示される。二段階目の造粒において、造粒原料中のアラビアガム以外の増粘多糖類含量は5〜80質量%、好ましくは10〜75質量%、より好ましくは10〜70質量%、更に好ましくは10〜60質量%、更により好ましくは15〜55質量%、特に好ましくは20〜55質量%、更に特に好ましくは20〜50質量%が例示される。造粒原料中のアラビアガム含量は0.1〜50質量%、好ましくは0.1〜40質量%、より好ましくは0.1〜35質量%、更に好ましくは0.2〜30質量%、更により好ましくは0.3〜25質量%、特に好ましくは0.5〜25質量%が例示される。造粒原料中の賦形剤含量は10〜90質量%、好ましくは20〜85質量%、より好ましくは30〜80質量%、更に好ましくは35〜75質量%、更により好ましくは40〜70質量%、特に好ましくは35〜65質量%が例示される。造粒原料中の金属塩含量は0.5〜10質量%、好ましくは0.8〜8質量%、より好ましくは0.8〜7質量%、更に好ましくは1〜6質量%、更により好ましくは1〜5.5質量%、特に好ましくは1.5〜5質量%が例示される。
二次造粒よりも多くの多段階造粒を行う場合も、上記説明に従い、当業者が適宜設定すればよい。
本発明の造粒原料におけるアラビアガム含量、及びバインダー液として用いるアラビアガム含量は前述のとおりだが、本発明では、得られる増粘多糖類含有製剤におけるアラビアガム含量(総量)が0.1〜60質量%、好ましくは0.2〜45質量%、より好ましくは0.3〜40質量%、更に好ましくは0.3〜30質量%、更により好ましくは0.5〜30質量%、特に好ましくは0.8〜30質量%、更に特に好ましくは1〜30質量%となるように、アラビアガムを用いることが好ましい。
また、本発明では、増粘多糖類含有製剤に含まれるアラビアガム以外の増粘多糖類1質量部に対して、0.01〜20質量部のアラビアガム(総量)を用いることが好ましく、0.01〜5質量部のアラビアガムを用いることがより好ましく、0.015〜4質量部のアラビアガムを用いることが更に好ましく、0.015〜3質量部のアラビアガムを用いることが更により好ましく、0.02〜3質量部のアラビアガムを用いることが特に好ましい。
また、本発明では、増粘多糖類含有製剤中、バインダー液に由来するアラビアガムの量1質量部に対して、造粒原料に由来するアラビアガムの量が0.5質量部以上であることが好ましく、1質量部以上であることがより好ましい。バインダー液に由来するアラビアガムの量1質量部に対する、造粒原料に由来するアラビアガムの量の上限は特に制限されないが、好ましくは30質量部が挙げられ、より好ましくは25質量部である。
かかる点、増粘多糖類含有製剤中、バインダー液に由来するアラビアガムの量1質量部に対する、造粒原料に由来するアラビアガムの量は、好ましくは0.5〜30質量部であり、より好ましくは1〜25質量部、更に好ましくは1〜20質量部、更により好ましくは1〜10質量部、特に好ましくは1〜8質量部、更に特に好ましくは1〜6質量部である。
本発明の製造方法により得られる増粘多糖類含有製剤は、水などの液体への分散性に優れる。このため、機械による高速撹拌だけでなく、手による撹拌などの弱い撹拌条件(例えば、低速撹拌条件)下で使用される増粘多糖類含有製剤としても、好適に用いられ得るという利点を有する。例えば、本発明の製造方法により得られる増粘多糖類含有製剤は、回転数が400rpm以下の撹拌、更には180〜300rpmの撹拌条件下で使用される増粘多糖類含有製剤として、好適に用いられ得る。
また、本発明の製造方法により得られる増粘多糖類含有製剤は、水などの液体に添加することで、増粘多糖類が本来有する粘度付与機能又はゲル化機能を迅速に発揮できるという利点を有する。特に、増粘多糖類として、常温付近(例えば、20℃)の水に溶解可能な増粘多糖類、例えば、キサンタンガム、カラギナン、グァーガム、タラガム、ペクチン、アルギン酸類等を用いた場合には、増粘多糖類が水などの液体に容易に溶解し、当該液体に粘度を迅速に付与することができる。例えば、本発明の好ましい一実施形態によれば、本発明の製造方法によって得られる増粘多糖類含有製剤は、以下の粘度発現性試験によって測定される粘度の比A/Bが0.2以上であることが好ましく、0.25以上であることがより好ましく、0.3以上であることが更に好ましく、0.35以上であることが更により好ましく、0.4以上であることが特に好ましく、0.45以上であることが殊更に好ましい。当該粘度の比A/Bの値が1に近づくほど、粘度発現性に優れることを意味する。
<粘度発現性試験>
(1)200mLビーカーに100gのイオン交換水(20℃)を入れ、スパーテルを用いて撹拌しながら、増粘多糖類含有製剤を2g添加し、30秒間撹拌する。撹拌は、1秒間にビーカー内を4回撹拌する速度で行う(240rpmの手撹拌)。
(2)撹拌後の溶液を、スクリュー瓶に移しかえて静置し、イオン交換水へ増粘多糖類含有製剤を添加してから1分後を0分として、0分及び30分後の粘度を測定する。なお、粘度はBL型回転粘度計を用いて、12rpmで1分間回転後に測定する。
(3)0分後の粘度をA(mPa・s)、及び30分後の粘度をB(mPa・s)として、粘度の比A/Bを求める。
なお、本発明の増粘多糖類含有製剤が二次造粒以上の多段階造粒により得られる場合は、一次造粒によって得られる場合と比較して、分散性が向上する一方で粘度発現性が低下する場合がある。かかる点、本発明の増粘多糖類含有製剤が、二次造粒以上の多段階造粒により得られる場合は、上記粘度の比A/Bが0.2以上であれば、粘度発現性に優れると判断できる。
また、本発明の増粘多糖類含有製剤は、以下の粘度発現性試験によって測定される粘度の比C/Bが0.5以上であることが好ましく、0.55以上であることがより好ましく、0.6以上であることが更に好ましく、0.65以上であることが更により好ましく、0.7以上であることが特に好ましい。当該粘度の比C/Bの値が1に近づくほど、粘度発現性に優れることを意味する。
<粘度発現性試験>
(1)200mLビーカーに100gのイオン交換水(20℃)を入れ、スパーテルを用いて撹拌しながら、増粘多糖類含有製剤を2g添加し、30秒間撹拌する。撹拌は、1秒間にビーカー内を4回撹拌する速度で行う(240rpmの手撹拌)。
(2)撹拌後の溶液を、スクリュー瓶に移しかえて静置し、イオン交換水へ増粘多糖類含有製剤を添加してから1分後を0分として、5分及び30分後の粘度を測定する。なお、粘度はBL型回転粘度計を用いて、12rpmで1分間回転後に測定する。
(3)5分後の粘度をC(mPa・s)及び30分後の粘度をB(mPa・s)として、粘度の比C/Bを求める。
本発明の製造方法により得られる増粘多糖類含有製剤は、各種分野で広く用いることができる。例えば、飲食品分野、医薬品分野(例えば、医薬品、医薬部外品等)、化粧品分野(例えば、メーキャップ化粧品、基礎化粧品、香水、シャンプー、リンス、歯磨き、石鹸、入浴剤等)、家庭用品分野(例えば、洗剤等)、農業分野(例えば、農薬等)、工業分野(例えば、塗料等)、土木分野(例えば、セメント、コンクリート、土壌浄化剤等)等が挙げられる。好ましくは、飲食品分野である。対象となる飲食品は特に限定されず、水、茶飲料、清涼飲料、果汁入り飲料、コーヒー飲料、乳飲料、栄養バランス飲料、アイソトニック飲料、機能性飲料、ビタミン補給飲料、粉末飲料、アルコール飲料、スープ、味噌汁、シチュー、カレー、粥、濃厚流動食、経腸栄養剤、ミキサー食、キザミ食、ムース食、ペースト食、調味料、デザート、糖菓、冷菓、ジャム、畜肉加工食品、農産加工食品、魚肉加工食品、麺類、惣菜などの各種飲食品が挙げられる。
また、本発明の製造方法により製造された増粘多糖類含有製剤は、水分含量が50質量%以上である液体(望ましくは液体の飲食品)に適用されることが好ましく、水分含量が60質量%以上である液体(望ましくは液体の飲食品)に適用されることがより好ましい。これにより、増粘多糖類含有製剤に含まれる増粘多糖類が十分に水和し、増粘多糖類が本来有する機能(例えば、粘度付与機能又はゲル化機能)を発揮することができるためである。なお、増粘又はゲル化したい対象物が、上記水分含量を下回る場合は、適宜、水を追加した後に、増粘多糖類含有製剤を適用することができる。
また、本発明の製造方法によって得られる増粘多糖類含有製剤の形態も制限されず、好ましくは粉末、顆粒、錠剤等の固形形態が例示され、使用目的に応じて適宜決定すればよい。当該増粘多糖類含有製剤として、より良い使い勝手の観点から、好ましくは粉末形態、顆粒形態、より好ましくは顆粒形態が例示される。
また、本発明の製造方法によって得られる増粘多糖類含有製剤は、水などの液体に対して、増粘多糖類が本来有する粘度付与機能を迅速に発揮できるため、対象組成物の粘度を増加させる増粘化剤として好適である。また、手撹拌のような弱い撹拌条件によっても、対象組成物に粘度を迅速に付与できる観点からは、咀嚼・嚥下機能低下者の喫食用にとろみを付与させる、咀嚼・嚥下機能低下者向けの増粘化剤(例えば、とろみ調整食品等)として有用である。
その他、本発明の製造方法によって得られる増粘多糖類含有製剤には、栄養成分や機能性成分等を含有させることも可能である。栄養成分又は機能性成分としては、例えば、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、ペプチド、蛋白質、コラーゲン等が挙げられる。
また本発明で製造する増粘多糖類含有製剤には、更なる分散性の向上を目的として、乳化剤を含有させることも可能である。乳化剤を添加する時期は特に限定されず、例えば、増粘多糖類を造粒する際の造粒原料の一成分として乳化剤を含有させても良く、また、造粒後の増粘多糖類と乳化剤を混合し、増粘多糖類含有製剤を製造しても良い。更には、乳化剤を含有する水溶液をバインダー液に用いて造粒原料を造粒し、増粘多糖類含有製剤を製造しても良い。増粘多糖類含有製剤における乳化剤の含量は特に限定されないが、例えば0.1〜10質量%が挙げられ、好ましくは0.5〜8質量%である。
このように本発明の製造方法によれば、増粘多糖類の液体への分散性を一層向上することができる。このことから、本発明はまた、増粘多糖類を含有する製剤の液体への分散性を向上させる方法に関するといえる。本方法は、前述の通り、アラビアガム及びアラビアガム以外の増粘多糖類を含有する造粒原料を、アラビアガムを含有するバインダー液を用いて造粒することで実施できる。
アラビアガム及びアラビアガム以外の増粘多糖類を含有する造粒原料を、アラビアガムを含有するバインダー液を用いて造粒する方法は、上述に記載の方法に従って実施することができる。これにより、増粘多糖類を含有する製剤の液体への分散性を向上させることができる。また、当該方法によれば、増粘多糖類に由来する所望の粘度発現性を備えながらも、増粘多糖類含有製剤の液体への分散性を向上させることができる。
以下、実施例を用いて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例で用いた増粘多糖類は以下のとおりである。
キサンタンガム:三栄源エフ・エフ・アイ(株)製「サンエース[登録商標]C」
カラギナン :三栄源エフ・エフ・アイ(株)製「サンサポート[登録商標]P−30」(ラムダ型カラギナン製剤)
アラビアガム :三栄源エフ・エフ・アイ(株)製「ガムアラビックSD」
プルラン :(株)林原製、「食品添加物 プルラン 微粉」
また、実施例における試験は以下の方法で行った。
<増粘多糖類含有製剤の分散性試験>
(1)200mLビーカーに100gのイオン交換水(20℃)を入れ、そこへ、調製した増粘多糖類含有製剤を2g添加し、3秒間静置した。
(2)静置後、スパーテルを用いて30秒間撹拌した。撹拌は、1秒間にビーカー内を4回撹拌する速度で行った(240rpmの手撹拌)。
(3)30秒間撹拌後のダマの様子を目視で評価した。ダマの様子は以下の基準に従って評価した。
+++:大きいダマ(目安:直径5mm以上)が多数ある(目安:30個以上)。
++ :大きいダマ(目安:直径5mm以上)がある(目安:10個以上30個未満)。
+ :大きいダマ(目安:直径5mm以上)が僅かにある(目安:10個未満)又は大きいダマがないが、小さいダマ(目安:直径5mm未満)が20個より多くある。
± :小さいダマ(目安:直径5mm未満)がややある(目安:10個以上20個以下)。
− :小さいダマ(目安:直径5mm未満)が僅かに(目安:10個未満)ある、又は、ダマがない。
<増粘多糖類含有製剤の粘度発現性試験>
(1)200mLビーカーに100gのイオン交換水(20℃)を入れ、スパーテルを用いて撹拌しながら、調製した増粘多糖類含有製剤を2g添加し、30秒間撹拌した。撹拌は、1秒間にビーカー内を4回撹拌する速度で行った(240rpmの手撹拌)。
(2)撹拌後の溶液を、スクリュー瓶に移しかえて静置し、粘度の経時変化を測定した。粘度の経時変化は、イオン交換水へ増粘多糖類含有製剤を添加してから1分後を0分として、0分、3分、5分、10分、15分及び30分後の粘度を測定した。
粘度は、BL型回転粘度計(型番TVB−10M、東機産業(株)製)を用いて、12rpmで1分間回転して測定した。
(3)0分後の粘度をA(mPa・s)及び30分後の粘度をB(mPa・s)として、粘度の比A/Bを求めた。
実験例1 増粘多糖類含有製剤の調製
表1に示す処方の増粘多糖類含有製剤を調製した。具体的には、次のようにして増粘多糖類含有製剤を調製した。
(バインダー液の調製)
実施例1及び比較例1−2は、バインダー液として、8.3質量%のアラビアガム水溶液を使用した。アラビアガム水溶液は、20℃のイオン交換水にアラビアガムを添加、及び溶解することで調製した。比較例1−1、1−3及び1−4は、バインダー液としてイオン交換水を使用した。
(増粘多糖類含有製剤の調製)
実施例1:粉末状のキサンタンガム99g、アラビアガム30g、塩化カリウム4.5g及びデキストリン151.5gの造粒原料(原料混合物)285gに対して、調製したバインダー液180gを噴霧して、流動層造粒を行い、増粘多糖類含有製剤を調製した。
比較例1−1:粉末状のキサンタンガム99g、塩化カリウム4.5g及びデキストリン196.5gの造粒原料(原料混合物)300gに対して、イオン交換水をバインダー液として150g噴霧して、流動層造粒を行い、増粘多糖類含有製剤を調製した。
比較例1−2:粉末状のキサンタンガム99g、塩化カリウム4.5g及びデキストリン181.5gの造粒原料(原料混合物)285gに対して、調製したバインダー液180gを噴霧して、流動層造粒を行い、増粘多糖類含有製剤を調製した。
比較例1−3:粉末状のキサンタンガム99g、アラビアガム15g、塩化カリウム4.5g及びデキストリン181.5gの造粒原料(原料混合物)300gに対して、イオン交換水をバインダー液として150g噴霧して、流動層造粒を行い、増粘多糖類含有製剤を調製した。
比較例1−4:粉末状のキサンタンガム99g、アラビアガム45g、塩化カリウム4.5g及びデキストリン151.5gの造粒原料(原料混合物)300gに対して、イオン交換水をバインダー液として150g噴霧して、流動層造粒を行い、増粘多糖類含有製剤を調製した。
Figure 0006800860
調製した増粘多糖類含有製剤について、分散性試験及び粘度発現性試験を行った。分散性試験の結果を表2に、及び粘度発現性試験の結果を表3に示す。なお、比較例1−1〜1−4は、5mm以上のダマが多数存在したため、粘度発現性は試験しなかった。
Figure 0006800860
Figure 0006800860
本実施例の分散性試験は、水に増粘多糖類含有製剤を添加後に3秒間静置し、更に、手撹拌という弱い撹拌条件で撹拌することにより実施されるため、ダマが非常に発生しやすい苛酷な試験である。そのため、比較例1−1〜1−4の増粘多糖類含有製剤は、5mm以上の大きいダマが多数(30個以上)発生した。
一方、キサンタンガム及びアラビアガムを含有する造粒原料を、アラビアガムを含有するバインダー液を用いて造粒して調製された、実施例1の増粘多糖類含有製剤は、比較例に比べて顕著にダマの発生が抑制された製剤であった。具体的には、ダマがややあるがそのサイズは直径2mm未満の小さいダマであった。
また、実施例1の増粘多糖類含有製剤は、表3に示すように、優れた粘度発現性を示した。具体的には、0分時における粘度が、30分後の粘度の69%であり、水に粘度を迅速に付与できることが示された。
このことから、実施例1の増粘多糖類含有製剤は、ダマの発生が抑制されており液体への分散性に優れているにもかかわらず、更に所望の粘度発現性を備えていることが確認された。
実験例2 増粘多糖類含有製剤の調製
表4の処方に従い、増粘多糖類含有製剤を調製した。具体的には、次のようにして増粘多糖類含有製剤を調製した。
(バインダー液の調製)
実施例2:アラビアガムを8.3質量%含有する水溶液をバインダー液として使用した。バインダー液は、イオン交換水(20℃)にアラビアガムを添加、及び溶解して調製した。
比較例2:イオン交換水をバインダー液として使用した。
(増粘多糖類含有製剤の調製)
実施例2:粉末状のキサンタンガム99g、アラビアガム45g、塩化カリウム4.5g及びデキストリン136.5gの造粒原料(原料混合物)285gに対して、調製したバインダー液180gを噴霧して、流動層造粒を行い、増粘多糖類含有製剤を調製した。
比較例2:粉末状のキサンタンガム99g、アラビアガム60g、塩化カリウム4.5g及びデキストリン136.5gの造粒原料(原料混合物)300gに対して、調製したバインダー液150gを噴霧して、流動層造粒を行い、増粘多糖類含有製剤を調製した。
Figure 0006800860
調製した実施例2及び比較例2の増粘多糖類含有製剤について、分散性試験を行った。実施例2の増粘多糖類含有製剤は、ダマがほとんどなく(2mm未満のダマが5個)、分散性に極めて優れる製剤であることが示された(図2)。
一方、比較例2の増粘多糖類含有製剤は約2mmのダマが20個以上あり、分散性が不十分であった。
また、実施例2及び比較例2の増粘多糖類含有製剤について、粘度発現性試験を行った結果を表5に示す。表5に示すとおり、実施例2の増粘多糖類含有製剤は、0分時における粘度が、30分後の粘度の75%であり、粘度発現性に優れ、水に粘度を迅速に付与できることが示された。
このことから、実施例2の増粘多糖類含有製剤は、ダマの発生が抑制されており液体への分散性に優れているにもかかわらず、更に所望の粘度発現性を備えていることが確認された。
Figure 0006800860
実験例3 増粘多糖類含有製剤の調製
表6の処方に従い、増粘多糖類含有製剤を調製した。具体的には、次のようにして増粘多糖類含有製剤を調製した。
(バインダー液の調製)
実施例3:アラビアガムを8.3質量%含有する水溶液をバインダー液として使用した。バインダー液は、イオン交換水(20℃)にアラビアガムを添加、及び溶解して調製した。
比較例3:イオン交換水をバインダー液として使用した。
(増粘多糖類含有製剤の調製)
実施例3:粉末状のキサンタンガム99g、カラギナン6g、アラビアガム45g、塩化カリウム4.5g及びデキストリン130.5gの造粒原料(原料混合物)285gに対して、調製したバインダー液180gを噴霧して、流動層造粒を行い、増粘多糖類含有製剤を調製した。
比較例3:粉末状のキサンタンガム99g、カラギナン6g、塩化カリウム4.5g及びデキストリン190.5gの造粒原料(原料混合物)300gに対して、バインダー液として150gのイオン交換水を噴霧して、流動層造粒を行い、増粘多糖類含有製剤を調製した。
Figure 0006800860
調製した実施例3及び比較例3の増粘多糖類含有製剤について、分散性試験を行ったところ、比較例3の増粘多糖類含有製剤は、5mm以上のダマが多数(20個以上)発生した。一方、実施例3の増粘多糖類含有製剤は、ダマが5個発生したが、そのダマは小さかった(約2mm)。
また、実施例3の増粘多糖類含有製剤について、粘度発現性試験を行った結果を表7に示す。
Figure 0006800860
表7に示すように、実施例3の増粘多糖類含有製剤は、良好な粘度発現性を有することが示された。
このことから、実施例3の増粘多糖類含有製剤は、ダマの発生が抑制されており液体への分散性に優れているにもかかわらず、更に所望の粘度発現性を備えていることが確認された。
実験例4 増粘多糖類含有製剤の調製
表8の処方に従い、増粘多糖類含有製剤を調製した。具体的には、次のようにして増粘多糖類含有製剤を調製した。
(バインダー液の調製)
以下に従って、バインダー液を調製した。アラビアガム含有水溶液は、イオン交換水(20℃)にアラビアガムを添加、及び溶解して調製した。実施例4−5は、アラビアガムとして改質アラビアガム(「SUPER GUM EM10」、三栄源エフ・エフ・アイ(株)製)を使用した。
実施例4−1:アラビアガムを4質量%含有する水溶液
実施例4−2:アラビアガムを1質量%含有する水溶液
実施例4−3:アラビアガムを7.5質量%含有する水溶液
実施例4−4:アラビアガムを5質量%含有する水溶液
実施例4−5:アラビアガムを6質量%含有する水溶液
(増粘多糖類含有製剤の調製)
実施例4−1:粉末状のキサンタンガム75g、アラビアガム15g、塩化カリウム6g及びデキストリン198gの造粒原料(原料混合物)294gに対して、調製したバインダー液150gを噴霧して、流動層造粒を行い、増粘多糖類含有製剤を調製した。
実施例4−2:粉末状のキサンタンガム75g、アラビアガム30g、塩化カリウム6g及びデキストリン187.5gの造粒原料(原料混合物)298.5gに対して、調製したバインダー液150gを噴霧して、流動層造粒を行い、増粘多糖類含有製剤を調製した。
実施例4−3:粉末状のキサンタンガム111g、アラビアガム30g、塩化カリウム9g及びデキストリン135gの造粒原料(原料混合物)285gに対して、調製したバインダー液200gを噴霧して、流動層造粒を行い、増粘多糖類含有製剤を調製した。
実施例4−4:粉末状のキサンタンガム75g、アラビアガム22.5g、クエン酸ナトリウム9g及びデキストリン186gの造粒原料(原料混合物)292.5gに対して、調製したバインダー液150gを噴霧して、流動層造粒を行い、増粘多糖類含有製剤を調製した。
実施例4−5:粉末状のキサンタンガム75g、アラビアガム21g、グルコン酸ナトリウム9g及びデキストリン186gの造粒原料(原料混合物)291gに対して、調製したバインダー液150gを噴霧して、流動層造粒を行い、増粘多糖類含有製剤を調製した。実施例4−5は、アラビアガムとして改質アラビアガム(「SUPER GUM EM10」、三栄源エフ・エフ・アイ(株)製)を使用した。
Figure 0006800860
調製した増粘多糖類含有製剤について、分散性試験及び粘度発現性試験を行った。
分散性試験の結果を表9に、粘度発現性試験の結果を表10に示す。
Figure 0006800860
Figure 0006800860
表9から明らかなように、実施例4−1〜4−5の増粘多糖類含有製剤いずれにおいても、ダマの発生が抑制されており、液体への優れた分散性を備えていることが確認された。特に、実施例4−3の増粘多糖類含有製剤は、キサンタンガム含量が37質量%と高く、ダマが特に発生しやすい条件であるにもかかわらず、ダマが発生しなかった。また、表10から明らかなように、これらの増粘多糖類含有製剤はいずれも、所望の粘度発現性を備えていることが確認された。
実験例5 増粘多糖類含有製剤の調製
表11に示す処方の増粘多糖類含有製剤を調製した。具体的には、次のようにして実施例5の増粘多糖類含有製剤を調製した。
(一次造粒)
バインダー液として、アラビアガムを7.2質量%含有する水溶液を調製した。当該水溶液は、イオン交換水(20℃)にアラビアガムを添加、及び溶解して調製した。
粉末状のキサンタンガム150g、アラビアガム30g、塩化カリウム12.9g及びデキストリン94.2gの造粒原料(原料混合物、第一次造粒原料)287.1gを調製した。
当該造粒原料287.1gに対して、調製したバインダー液180gを噴霧し、流動総造粒を行い、一次造粒物を調製した。
(二次造粒)
バインダー液として、イオン交換水を使用した。
調製した一次造粒物210g及びデキストリン90gの造粒原料(第二次造粒原料)300gに対して、イオン交換水をバインダー液として150g噴霧し、流動層造粒を行い、増粘多糖類含有製剤を調製した。
Figure 0006800860
(分散性試験)
調製した増粘多糖類含有製剤について分散性試験を行った。実施例5の増粘多糖類含有製剤は、キサンタンガム含量が35質量%と高く、ダマが特に発生しやすい条件であるにもかかわらず、ダマが発生しなかった。
更に、実施例5の増粘多糖類含有製剤について、増粘多糖類含有製剤をイオン交換水へ添加後の静置時間を3秒から5秒に変更する以外は、実施例1と同様にして分散性試験を行った。増粘多糖類含有製剤を液体へ添加後の静置時間が長くなればなるほど、ダマはより発生しやすくなる。従って、本条件はダマがより発生しやすくなる条件であるが、実施例5の増粘多糖類含有製剤は、ダマが発生しなかった(図3)。
(粘度発現性試験)
調製した実施例5の増粘多糖類含有製剤について、粘度発現性試験を行った。結果を表12に示す。
Figure 0006800860
表12に示すように、実施例5の増粘多糖類含有製剤は、粘度発現性に優れていた。
このことから、実施例5の増粘多糖類含有製剤は、ダマの発生が抑制されており液体への分散性に優れており、更に所望の粘度発現性を備えていることが確認された。また、このように二段階造粒により製造した場合であっても、分散性に優れた、更に所望の粘度発現性を備えた増粘多糖類含有製剤を製造できることが確認された。
実験例6 増粘多糖類含有製剤の調製
表13に示す処方の増粘多糖類含有製剤を調製した。具体的には、次のようにして実施例6の増粘多糖類含有製剤を調製した。
(一次造粒)
バインダー液として、アラビアガムを1.7質量%、及びプルランを3.3質量%含有する水溶液を調製した。当該水溶液は、イオン交換水(20℃)にアラビアガム及びプルランを添加、及び溶解して調製した。
粉末状のキサンタンガム210g、カラギナン18g、アラビアガム6g、塩化カリウム18g及びデキストリン39gの造粒原料(原料混合物、第一次造粒原料)291gを調製した。
当該造粒原料291gに対して、調製したバインダー液180gを噴霧し、流動総造粒を行い、一次造粒物を調製した。
(二次造粒)
バインダー液として、イオン交換水を使用した。
調製した一次造粒物150g及びデキストリン150gの造粒原料(第二次造粒原料)300gに対して、イオン交換水をバインダー液として120g噴霧し、流動層造粒を行い、増粘多糖類含有製剤を調製した。
Figure 0006800860
調製した増粘多糖類含有製剤について、分散性試験及び粘度発現性試験を行った。結果を表14に示す。
Figure 0006800860
実施例6の増粘多糖類含有製剤は、増粘多糖類含量が高いにもかかわらず、分散性が極めて良好であり、ダマが発生しなかった。また、その粘度発現性にも優れていた。このように増粘多糖類の含有量やその種類を変更しても、分散性が極めて良好であり、粘度発現性にも優れていた。

Claims (7)

  1. 増粘多糖類を含有する製剤の製造方法であり、
    ラビアガム以外の増粘多糖類及びバインダー液に由来しないアラビアガムを含有する造粒原料を、アラビアガムを含有するバインダー液を用いて造粒することを特徴とする、増粘多糖類含有製剤の製造方法。
  2. 前記アラビアガム以外の増粘多糖類が、キサンタンガム、カラギナン、ガラクトマンナン、ペクチン、ジェランガム及びアルギン酸類からなる群から選択される1種以上を含有するものである、請求項1に記載の増粘多糖類含有製剤の製造方法。
  3. 前記増粘多糖類含有製剤中、バインダー液に由来するアラビアガムの量1質量部に対する、造粒原料に由来するアラビアガムの量が0.5質量部以上である、請求項1又は2に記載の増粘多糖類含有製剤の製造方法。
  4. 増粘多糖類含有製剤におけるアラビアガム含量が0.1〜60質量%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の増粘多糖類含有製剤の製造方法。
  5. 前記増粘多糖類含有製剤におけるアラビアガム含量が、
    前記アラビアガム以外の増粘多糖類1質量部に対して、0.01〜5質量部である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の増粘多糖類含有製剤の製造方法。
  6. 前記造粒原料に、更に賦形剤を含有させることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の増粘多糖類含有製剤の製造方法。
  7. ラビアガム以外の増粘多糖類及びバインダー液に由来しないアラビアガムを含有する造粒原料を、
    アラビアガムを含有するバインダー液を用いて造粒することを特徴とする、
    増粘多糖類を含有する製剤の液体への分散性を向上させる方法。
JP2017540038A 2015-09-17 2016-09-16 増粘多糖類含有製剤の製造方法 Active JP6800860B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015183690 2015-09-17
JP2015183690 2015-09-17
PCT/JP2016/077587 WO2017047803A1 (ja) 2015-09-17 2016-09-16 増粘多糖類含有製剤の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2017047803A1 JPWO2017047803A1 (ja) 2018-07-05
JP6800860B2 true JP6800860B2 (ja) 2020-12-16

Family

ID=58289516

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017540038A Active JP6800860B2 (ja) 2015-09-17 2016-09-16 増粘多糖類含有製剤の製造方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP6800860B2 (ja)
WO (1) WO2017047803A1 (ja)

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GR1002271B (en) * 1992-07-10 1996-04-29 Johnson & Johnson Merck Consum A psyllium-hydrocolloid gum composition.
EP1608639A2 (en) * 2003-02-28 2005-12-28 Bayer Pharmaceuticals Corporation Novel bicyclic urea derivatives useful in the treatment of cancer and other disorders
JP2015514119A (ja) * 2012-04-10 2015-05-18 アルピニア・ローダナム・インスティテュート・オブ・フィトファーマシューティカル・サイエンシーズ・アクチェンゲゼルシャフトAlpinia Laudanum Institute Of Phytopharmaceutical Sciences Ag 湿式造粒方法およびアラビアゴムを含む粒状材料
JP6416479B2 (ja) * 2014-01-22 2018-10-31 三栄源エフ・エフ・アイ株式会社 固形状糊料製剤

Also Published As

Publication number Publication date
JPWO2017047803A1 (ja) 2018-07-05
WO2017047803A1 (ja) 2017-03-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7149260B2 (ja) 増粘多糖類含有製剤の製造方法
JP4909429B2 (ja) 増粘剤造粒物及びその製造方法
JP5909791B1 (ja) キサンタンガム造粒物及び増粘用組成物
JP2009000055A (ja) 液状食品用増粘組成物、及び液状食品用増粘組成物の製造方法
TWI653987B (zh) Hyaluronic acid and/or a salt thereof, a method for producing the same, and a food, a cosmetic, and a pharmaceutical containing the hyaluronic acid and/or a salt thereof
JP4723047B1 (ja) 分散性及び粘度発現性を兼ね備えた増粘化剤
CN105682478B (zh) 增粘用组合物及其制造方法
JP4044128B1 (ja) タンパク質含有液状組成物用増粘化剤
JP6713728B2 (ja) 液状増粘剤
JP6800861B2 (ja) 増粘多糖類含有製剤の製造方法
JP6416479B2 (ja) 固形状糊料製剤
JP5088867B2 (ja) 咀嚼・嚥下補助剤
JP2009001532A (ja) 水溶性高分子のランピング防止方法及びランピングが防止された顆粒組成物
JP4338945B2 (ja) 溶解性が改善された水溶性高分子
JP6800860B2 (ja) 増粘多糖類含有製剤の製造方法
JP2007222857A (ja) 粉末の造粒方法及び易溶性顆粒組成物
JP4672596B2 (ja) 水溶性高分子のランピング防止剤
JP2017055763A (ja) 糊料製剤
JP6538336B2 (ja) 固体状組成物
JP2007308524A (ja) 水溶性高分子のランピング防止剤
JP6116895B2 (ja) デンプン含有飲食品用ゲル化剤
JPS633767A (ja) ゲル状ブロツクを混入した食品
JP7262894B2 (ja) ゼリー剤造粒物、及び該ゼリー剤造粒物を含有する食品
JP2019187270A (ja) カードラン含有組成物、カードラン含有組成物を含む製品、およびカードラン含有組成物を含む製品の製造方法
JP2011254709A (ja) 食品品質改良剤

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190902

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200526

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20200721

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200924

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20201027

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20201125

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6800860

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150