JP2019187270A - カードラン含有組成物、カードラン含有組成物を含む製品、およびカードラン含有組成物を含む製品の製造方法 - Google Patents

カードラン含有組成物、カードラン含有組成物を含む製品、およびカードラン含有組成物を含む製品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】水に分散または溶解させた際にカードラン分散液または水溶液を容易に調製することができてカードランの機能を十分に発揮させることができ、取り扱い性の良好な、リン酸塩フリーのカードラン含有組成物を提供する。【解決手段】カードラン、カルシウム塩、ならびに、有機酸塩および無機酸塩のうち少なくとも1つを含有し、水に分散または溶解して得られる分散液または水溶液のpHが、10以上である、カードラン含有組成物である。さらに、そのカードラン含有組成物を含む食品等の製品、およびそのカードラン含有組成物を含む食品等の製品の製造方法を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、カードランを含むカードラン含有組成物、そのカードラン含有組成物を含む食品等の製品、およびそのカードラン含有組成物を含む食品等の製品の製造方法に関する。
カードランは、増粘多糖類として、様々な分野の増粘、ゲル化、保水、保形といった主に物性改良用途等で利用されている。
カードランは粉末で使用した場合でも効果を発揮するが、水に不溶性の物質であるため、加工食品の製造等においてカードランの機能を十分に発揮し得ていないという問題がある。
カードランの効果を十分に発揮させるため、前処理としてカードランを水に添加したものに対し、カッティングミキサーやホモジナイザー等で撹拌してカードランを膨潤させ、カードランの機能を高める方法があるが、設備が必要な上、手間もかかる。
カッティングミキサーやホモジナイザー等で撹拌する代わりに、カードランを50℃程度のお湯の中で撹拌し、膨潤させ、カードランの機能を高める方法もあるが、40℃以上のお湯に直接カードランを添加すると凝集物(いわゆる「だま」)を形成するため、一度冷水に添加した後、加温する必要があり、やはり手間がかかる。
上記の方法と異なり、アルカリ剤を使用してカードランを膨潤させる方法があり、この方法は特別な設備も必要とせず、比較的手間もかからずにカードランの機能を高めることができる。
カードランをアルカリ膨潤させて使用することは知られており、それに関連した発明もこれまでいくつか開示されている(特許文献1〜3参照)。一方で、カードランが膨潤溶解できるほど高アルカリを示す物質は少なく、特に食品の場合さらに少ない。アルカリ剤として一般に用いられる水酸化ナトリウムや水酸化カリウムは潮解性があり、取り扱い性に劣るため組成物には適切ではなく、また、使用の際にはカードランと水酸化ナトリウムや水酸化カリウムを別々に用意する必要がある。アルカリ剤としてリン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム等のリン酸塩が用いられることもあるが、リン酸塩の使用が望まれない場合もある。アルカリ剤として炭酸ナトリウムや炭酸カリウム等の炭酸塩が用いられることもあるが、水酸化ナトリウムやリン酸三ナトリウムほどpHが上がらず、カードランの膨潤度合いは前記の物質を用いたときよりも低くなる。また、カードランを膨潤させるアルカリ剤として貝殻焼成カルシウムや卵殻焼成カルシウム等を記載している特許文献もあるが(特許文献4,5参照)、カルシウム塩を含む状態であると後述する実施例の欄の参考例のように、カードランが膨潤分散せず沈殿することがある。
このため、水に溶解しにくいカードランを分散または溶解させた際にカードラン分散液または水溶液を容易に調製することができてカードランの機能を十分に発揮させることができ、取り扱い性の良好な、リン酸塩フリーのカードラン含有組成物の開発が望まれている。
特開平11−056264号公報 特許第3860091号公報 特開2000−300192号公報 特開平10−042802号公報 特開2000−189068号公報
本発明の目的は、水に分散または溶解させた際にカードラン分散液または水溶液を容易に調製することができてカードランの機能を十分に発揮させることができ、取り扱い性の良好な、リン酸塩フリーのカードラン含有組成物、そのカードラン含有組成物を含む食品等の製品、およびそのカードラン含有組成物を含む食品等の製品の製造方法を提供することにある。
本発明は、カードラン、カルシウム塩、ならびに、有機酸塩および無機酸塩のうち少なくとも1つを含有し、水に分散または溶解して得られる分散液または水溶液のpHが、10以上である、カードラン含有組成物である。
前記カードラン含有組成物において、前記有機酸塩および無機酸塩のうち少なくとも1つは、カルシウムと難溶性の塩を形成する、またはカルシウムと安定なキレートを形成する性質を有するものであることが好ましい。
前記カードラン含有組成物において、前記カルシウム塩の含有量は、前記カードランに対して重量比で0.015〜0.2の範囲であることが好ましい。
前記カードラン含有組成物において、前記カルシウム塩は、焼成カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウムのうち少なくとも1つを含有することが好ましい。
本発明は、前記カードラン含有組成物を含む、食品等の製品である。
本発明は、前記カードラン含有組成物を用いて製品を製造する、食品等の製品の製造方法である。
本発明では、水に分散または溶解させた際にカードラン分散液または水溶液を容易に調製することができてカードランの機能を十分に発揮させることができ、取り扱い性の良好な、リン酸塩フリーのカードラン含有組成物を提供することができる。また、そのカードラン含有組成物を含む食品等の製品、およびそのカードラン含有組成物を含む食品等の製品の製造方法を提供することができる。
実施例1と比較例1〜4のカードラン含有組成物を水に分散させた液(カードラン濃度:1重量%)の様子を示す写真である。
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
本発明の実施の形態に係るカードラン含有組成物は、カードラン、カルシウム塩、ならびに、有機酸塩および無機酸塩のうち少なくとも1つを含有し、水に分散または溶解して得られる分散液または水溶液のpHが、10以上である。
カードラン、カルシウム塩、ならびに、有機酸塩および無機酸塩のうち少なくとも1つを含有し、水に分散または溶解して得られる分散液または水溶液のpHが10以上であることにより、水に分散または溶解させた際にカードラン分散液または水溶液を容易に調製することができる。本実施形態に係るカードラン含有組成物により、カードランの加熱凝固性や保水性等を維持しつつ、低濃度から高濃度のカードランを従来法よりも短時間で水へ容易に分散または溶解させることが可能となる。これにより、カードランの機能を十分に発揮させることができ、カードランの機能を最大限に発揮させることもできる。
カードランは、カルシウム塩等の2価イオンとの反応で架橋ゲルが形成される特性を有するためか、高アルカリでカードランを膨潤または溶解させる際に、2価のイオンが存在すると、膨潤または溶解が十分に進まないことがある。本発明者らは、アルカリ剤としてカルシウム塩を用い、有機酸塩および無機酸塩のうち少なくとも1つを併用することにより、カードランを水に分散または溶解させた際にカードラン分散液または水溶液を容易に調製することができることを見出した。アルカリ剤としてカルシウム塩を用い、有機酸塩および無機酸塩のうち少なくとも1つを併用することにより、潮解性のある水酸化ナトリウムや水酸化カリウムを用いなくても高アルカリ状態を達成することができるため、カードラン含有組成物の取り扱い性に優れる。また、アルカリ剤としてリン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム等のリン酸塩を用いなくても高アルカリ状態を達成することができるため、リン酸塩フリーのカードラン含有組成物とすることができる。アルカリ剤として炭酸ナトリウムや炭酸カリウム等の炭酸塩を用いる場合に比べて、高アルカリ状態が得られやすいため、水に分散または溶解させた際にカードラン分散液または水溶液を容易に調製することができる。
本実施形態に係るカードラン含有組成物によれば、事前に水に不溶なカードランを分散させるために増粘多糖類等の粘度を付与する物質との併用や、高速撹拌装置等を使った前処理を行わなくてもよく、カードラン分散液または水溶液の製造工程が簡略化される。
以下、本実施形態に係るカードラン含有組成物について、食品や飲料用途等を基準とし説明を行うが、その他、医薬品、工業用、医薬部外品、化粧品、飼料用途等、食品関連以外の用途も含むものとする。
本実施形態で用いられるカードランは、微生物によって生産されるβ−1,3−グルコシド結合を主体とする加熱凝固性多糖類である。この多糖類としては、アルカリゲネス属またはアグロバクテリウム属の微生物によって生産されるもの等が挙げられる。具体的には、カードランは、アルカリゲネス・フェカリス・バールミクソゲネス(Alcaligenes faecalis var.myxogenes)菌株10C3K[アグリカルチュラル・バイオロジカル・ケミストリー,Vol.30,p196(1966)]、アルカリゲネス・フェカリス・バールミクソゲネス(Alcaligenes faecalis var.myxogenes)菌株10C3Kの変異株NTK−u(IFO13140)、アグロバクテリウム・ラジオバクター(IFO13127)およびその変異株U−19(IFO13126)により生産される多糖類である。カードランは、市販のものを使用してもよい。
本実施形態に係るカードラン含有組成物を水に分散または溶解して得られる分散液または水溶液のpH、例えば、カードラン含有組成物をカードラン含有量として水に2重量%分散または溶解させて得られる分散液または水溶液のpHは、10以上であることが好ましく、好ましくは、11以上、例えば10〜13の範囲、さらに好ましくは11〜13の範囲である。得られる分散液または水溶液のpHが10未満では、液が粘調液とはならない場合があり、13を超えると、その後に中和工程がある場合、必要な酸の量が増えるため、好ましくない。なお、カードラン含有組成物をカードラン含有量として水に2重量%加えた際、pHが11未満では、カードランは水に分散または沈殿し、pHが11以上になると、カードランは水に分散または溶解する。
本実施形態で用いられるカルシウム塩としては、貝殻焼成カルシウム等の焼成カルシウム(酸化カルシウムを90重量%以上含有し、炭酸カルシウム等を含有するカルシウム塩)、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、ドロマイト(CaMg(CO)等の無機カルシウム塩や、乳酸カルシウム、クエン酸カルシウム、アスコルビン酸カルシウム等のカルボン酸のカルシウム塩等の有機カルシウム塩等が挙げられる。これらのうち、分散性が良好で、溶液のpHを効率よく高めることができる等の点から、貝殻焼成カルシウム等の焼成カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウムのうち少なくとも1つを含有することが好ましく、廃棄物を利用できる等の点から貝殻焼成カルシウムを含有することがより好ましい。なお、貝殻焼成カルシウムは、帆立貝等の貝殻を高温(例えば、1000℃以上)で焼成したものである。カルシウム塩は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本実施形態で用いられるカルシウム塩を水に溶解して得られる水溶液のpHが、10以上であることが好ましく、11以上であることがより好ましい。カルシウム塩を水に溶解して得られる水溶液のpHが10未満であると、カードランが十分に膨潤せず均質に分散しない場合がある。
本実施形態に係るカードラン含有組成物中のカルシウム塩の含有量は、カードランに対して重量比で0.005〜0.2の範囲であることが好ましく、0.015〜0.2の範囲であることがより好ましく、0.02〜0.1の範囲であることがさらに好ましい。カルシウム塩の含有量がカードランに対して重量比で0.015未満であると、また0.2を超えると、カードランが均質に分散しない場合がある。
本実施形態に係るカードラン含有組成物は、さらに、有機酸塩および無機酸塩のうち少なくとも1つを含有する。有機酸塩および無機酸塩のうち少なくとも1つを含有することにより、カードランが水に均質に分散しやすくなる。これは、カルシウム塩に、カルシウム反応性の有機酸塩および無機酸塩のうち少なくとも1つを併用することによって、カードランとともに分散液または水溶液を調製する際、架橋ゲルの形成が抑制され、より均質な分散液または水溶液を調製することが可能になると考えられる。
有機酸塩としては、酢酸ナトリウム、クエン酸3ナトリウム、コハク酸2ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、シュウ酸ナトリウム等が挙げられる。これらのうち、カルシウムとの反応性が良好である等の点から、クエン酸3ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、シュウ酸ナトリウムが好ましく、クエン酸3ナトリウムがより好ましい。なお、有機酸塩の対イオンは、ナトリウムに限らず、カリウム等であっても、もちろん問題はない。
無機酸塩としては、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、オルソリン酸塩等が挙げられる。これらのうち、カルシウムとの反応性が良好である等の点から、炭酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、オルソリン酸塩が好ましい。なお、無機酸塩の対イオンは、ナトリウムに限らず、カリウム等であっても、もちろん問題はない。
本実施形態に係るカードラン含有組成物において、有機酸塩および無機酸塩のうち少なくとも1つは、カルシウムと難溶性の塩を形成する、またはカルシウムと安定なキレートを形成する性質を有するものであることが好ましい。ここで、「難溶性の塩」とは20℃の水に対する溶解度が0.02g/L以下である塩を指し、「安定なキレート」とは、20℃において安定度定数が1万以上であることを指す。
本実施形態に係るカードラン含有組成物中の有機酸塩および無機酸塩のうち少なくとも1つの含有量は、特に制限はないが、カードラン含有組成物を水に分散または溶解させたときに、溶液のpHを下げ、カードランの膨潤を妨げる等の問題が生じない量であることが好ましい。カードランの効果を発揮させるために、カルシウム塩に対して重量比で0.5以上であることが好ましく、1以上であることがより好ましい。有機酸塩および無機酸塩のうち少なくとも1つの含有量がカルシウム塩に対して重量比で0.5未満であると、カードランが均質に分散しない場合がある。カードラン含有組成物中の有機酸塩および無機酸塩のうち少なくとも1つの含有量の上限は特にないが、例えば、カルシウム塩に対して重量比で30以下である。
本実施形態に係るカードラン含有組成物において、カードラン、カルシウム塩、有機酸塩および無機酸塩の合計重量を100としたとき、カードラン、カルシウム塩、有機酸塩および無機酸塩の配合比はそれぞれ、カードランは50〜97.4、カルシウム塩は1.3〜5.0、有機酸塩および無機酸塩は1.3〜45の範囲であることが好ましい。
本実施形態に係るカードラン含有組成物は、粉末であっても、顆粒であってもよい。
本実施形態に係るカードラン含有組成物は、水に高濃度で短時間に容易に分散または溶解させることができる。例えば、ホモジナイザーや高速ミキサー等の高速撹拌装置を使用しなくても、3〜55℃の水に対して30分以内、例えば30秒〜30分間で、25重量%以下、例えば1〜25重量%の量で分散または溶解させることができる。本実施形態に係るカードラン含有組成物の使用の際、分散時、溶解時、撹拌時、および製品製造時等において、加温等の温度調整を行ってもよい。加温は、カードラン含有組成物が分散または溶解しやすい温度、例えば、40〜50℃程度とすればよい。
本実施形態に係るカードラン含有組成物は、分散または溶解の際のpHに大きく影響しないものであれば必要に応じて、カードランおよびアルカリ塩以外の他の成分を含んでもよい。このような他の成分としては、キサンタンガム、グァーガム、カロブビーンガム、タマリンドシードガム、カラギナン、グルコマンナン、ジェランガム、加工でん粉、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)等の増粘剤;砂糖、水飴、デキストリン等の糖類;小麦粉、でん粉等の穀物粉;イヌリン、セルロース等の食物繊維;グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル;酵素等が挙げられる。
本実施形態に係るカードラン含有組成物は、水、ジュース、タレ等の液体に添加するだけではなく、肉や小麦粉等の食品固形分や粉体等に直接添加してもよい。カードラン含有組成物の添加量は、対象物の種類や状態等や、用いるカードラン含有組成物のカードランの含有量等に応じて適宜調整すればよいが、例えば対象物に対して、カードランの含有量が、0.1〜10重量%、好ましくは0.3〜5重量%となるように、対象物に添加すればよい。
本実施形態に係るカードラン含有組成物の利用として、カードラン含有組成物を含む食品、飲料、医薬品、医薬部外品、化粧品、飼料、工業製品等の製品が挙げられる。本実施形態に係るカードラン含有組成物を用いることにより、カードラン含有組成物を含む食品、飲料、医薬品、医薬部外品、化粧品、飼料、工業製品等の製品を効率よく製造することができる。カードラン含有組成物を用いる限り、その他の製造方法については、特に制限はない。本実施形態に係るカードラン含有組成物を含ませることにより、食品等の製品に、粘度、ゲル化、保水、接着等の物性を付与することができる。なお、形態または使用時の調製加工方法が異なっていてもよい。
食品としては、例えば、ハム、ソーセージ等の食肉加工品、かまぼこ等の水産加工品、ゼリー、プリン、ムース、ヨーグルト等のデザート類、ハンバーグ、コロッケ等の惣菜類、キャンディー、ガム、スナック等の菓子類、中華麺、うどん、パスタ、そば等の麺類、ケーキ、クッキー等の菓子類、アイスクリーム、シャーベット等の冷菓等の嗜好食品、餅、おにぎり、即席米飯等の米飯類、タレ、ソース、ドレッシング等のソースおよび調味料類、嚥下障害者用、介護食、きざみ食、とろみ食、流動食等のユニバーサルデザインフード、タブレット、ソフトカプセル、ハードカプセル、キャンディー、散剤等の健康食品等が挙げられる。なお、冷凍食品、レトルト食品、電子レンジ食品等のように、形態または使用時の調製加工方法が異なっていてもよい。
飲料としては、例えば、清涼飲料水、果実飲料、茶系飲料、コーヒー飲料、粉末飲料、乳飲料、乳酸菌飲料、炭酸飲料、栄養飲料、ゼリー飲料等が挙げられる。
医薬品としては、例えば、錠剤、カプセル、皮膚用外用剤、軟膏等が挙げられる。
医薬部外品としては、例えば、口中清涼剤、はみがき、石鹸類等の薬事法における医薬部外品等が挙げられる。
化粧品としては、例えば、散髪料、ヘアリンス等の頭髪用化粧品、クリーム等の仕上用化粧品等が挙げられる。
飼料としては、例えば、畜産、ペットフード等の家畜用飼料や養殖魚用飼料等が挙げられる。
工業製品としては、例えば、接着剤、芳香剤等の化学工業分野、コンクリート等の建築資材分野等が挙げられる。
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
[参考例]
カードラン(MCフードスペシャリティーズ社製)、カルシウム塩として焼成カルシウム(エヌ・シー・コーポレーション社製、貝殻焼成カルシウム)、水酸化ナトリウムを表1に示す割合で用意し、カードランを水に分散させた後、焼成カルシウム、水酸化ナトリウムをそれぞれ添加、撹拌した。pHを測定し、カードランの分散液の分散状態を目視で確認した。結果を表1に示す。
表1の結果より、カードランをアルカリ剤として水酸化ナトリウムを用いて分散させた系で、カードランが溶解すると考えられるpHであるアルカリ状態においても、貝殻焼成カルシウムの添加においては、カードランの溶解が阻害された。
[カルシウム塩の含有量の検討]
カードラン(MCフードスペシャリティーズ社製)、カルシウム塩として焼成カルシウム(エヌ・シー・コーポレーション社製、貝殻焼成カルシウム、酸化カルシウム含有量:90重量%以上)を表2に示す割合で、流動層造粒機を使用して顆粒物を作製して、カードラン含有組成物を得た。得られたカードラン含有組成物は、いずれも取り扱い性が良好であり、アルカリ剤としてカルシウム塩を用いることにより、膨潤性の良好なカードラン含有組成物が得られることがわかった。
次に、得られたカードラン含有組成物を常温(20℃±5℃、以下同じ)の水にカードラン濃度が1.5重量%となるように添加し、マグネティックスターラー(成和技研株式会社製、S.D.STIRRER SD−15型)を用いて、撹拌数600rpmで、3分間撹拌混合した。pHを測定し、カードランの膨潤状態を目視で確認した。カードランの膨潤状態は、下記基準で判定した。結果を表2に示す。
◎:膨潤を超え、カードランが溶解している
〇:カードランが十分に膨潤し、沈殿せずに分散している
△:やや沈殿しているものの、カードラン単品よりも膨潤している
×:沈殿しており、カードラン単品と同様の膨潤具合である
なお、pHは、pH測定装置(堀場製作所製、pHメータ F−51)を用いて、測定値が安定となる値を測定した。
表2の結果より、カルシウム塩(焼成カルシウム)の単独での含有量は、カードランに対して、重量比で、0.007以上0.07未満で、さらに0.02以上0.04未満の範囲で、特に0.02以上0.033以下の範囲でカードランの膨潤状態が良好であることがわかった。
[カルシウム塩、有機酸塩の含有量の検討]
カードラン(MCフードスペシャリティーズ社製)、カルシウム塩として貝殻焼成カルシウム、有機酸塩としてクエン酸三ナトリウムを表3,4に示す割合で、流動層造粒機を使用して顆粒物を作製して、カードラン含有組成物を得た。得られたカードラン含有組成物は、いずれも取り扱い性が良好であり、膨潤性のよいものであった。
次に、得られたカードラン含有組成物を常温(20℃±5℃、以下同じ)の水にカードラン濃度が1.5重量%または1.0重量%となるように添加し、マグネティックスターラー(成和技研株式会社製、S.D.STIRRER SD−15型)を用いて、撹拌数600rpmで、3分間撹拌混合した。pHを測定し、カードランの膨潤状態を目視で確認した。結果を表3,4に示す。
表3,4の結果より、カードランの膨潤状態が良好であるカルシウム塩(焼成カルシウム)の含有量は、有機酸塩を併用することでカードランに対して、重量比で0.005〜0.2の範囲まで広がり、さらに0.015〜0.2の範囲で良好であり、特に0.02〜0.1の範囲で良好であることがわかった。
[有機酸塩、無機酸塩の検討]
カードラン(MCフードスペシャリティーズ社製)、カルシウム塩として貝殻焼成カルシウム、有機酸塩または無機酸塩を表5に示す割合で、流動層造粒機を使用して顆粒物を作製して、カードラン含有組成物を得た。
次に、得られたカードラン含有組成物を常温(20℃±5℃、以下同じ)の水にカードラン濃度が1.5重量%となるように添加し、マグネティックスターラー(成和技研株式会社製、S.D.STIRRER SD−15型)を用いて、撹拌数600rpmで、3分間撹拌混合した。pHを測定し、カードランの膨潤状態を目視で確認した。結果を表5に示す。
表5の結果より、クエン酸三ナトリウム、炭酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、リン酸三ナトリウムがカードランの膨潤状態が良好であり、特にクエン酸三ナトリウムがカードランの膨潤状態が良好であることがわかった。
[カルシウム塩の検討]
カードラン(MCフードスペシャリティーズ社製)、カルシウム塩、有機酸塩としてクエン酸三ナトリウムを表6に示す割合で、流動層造粒機を使用して顆粒物を作製して、カードラン含有組成物を得た。得られたカードラン含有組成物は、いずれも取り扱い性が良好であった。
次に、得られたカードラン含有組成物を常温(20℃±5℃、以下同じ)の水にカードラン濃度が1.5重量%となるように添加し、マグネティックスターラー(成和技研株式会社製、S.D.STIRRER SD−15型)を用いて、撹拌数600rpmで、3分間撹拌混合した。pHを測定し、カードランの膨潤状態を目視で確認した。結果を表6に示す。
表6の結果より、貝殻焼成カルシウムを使用したとき、カードランの膨潤状態が良好であることがわかった。
[カルシウム塩と有機酸塩の比率の検討]
カードラン(MCフードスペシャリティーズ社製)、カルシウム塩として貝殻焼成カルシウム、有機酸塩または無機酸塩を表7に示す割合で、流動層造粒機を使用して顆粒物を作製して、カードラン含有組成物を得た。
次に、得られたカードラン含有組成物を常温(20℃±5℃、以下同じ)の水にカードラン濃度が1.5重量%となるように添加し、マグネティックスターラー(成和技研株式会社製、S.D.STIRRER SD−15型)を用いて、撹拌数600rpmで、3分間撹拌混合した。pHを測定し、カードランの膨潤状態を目視で確認した。結果を表7に示す。
表7の結果より、有機酸塩または無機酸塩の比率は、カルシウム塩に対し、溶液のpHを下げ、カードランの膨潤を妨げる等の問題が生じない限り上限はなさそうであり、重量比で0.5以上で、カードランの膨潤状態が良好であることがわかった。
<実施例1>
以上の結果を踏まえ、表8に示すように、カードラン(MCフードスペシャリティーズ社製)70.0重量部、カルシウム塩として貝殻焼成カルシウム4.0重量部、有機酸塩としてクエン酸三ナトリウム16.0重量部、糖類としてデキストリン10重量部を、流動層造粒機を使用して顆粒物を作製して、カードラン含有組成物を得た。得られたカードラン含有組成物は、取り扱い性が良好であった。
次に、得られたカードラン含有組成物を常温(20℃±5℃、以下同じ)の水にカードラン濃度が1重量%となるように添加し、マグネティックスターラー(成和技研株式会社製、S.D.STIRRER SD−15型)を用いて、撹拌数600rpmで、3分間撹拌混合した。pHを測定し、カードランの膨潤状態を目視で確認した。結果を表8に示す。また、カードランの膨潤状態の写真を図1に示す(カードラン濃度:1重量%)。
<比較例1〜4>
表8に示す組成で、実施例1と同様にして、カードラン含有組成物を得て、水にカードラン濃度が1重量%となるように添加し、カードランの膨潤状態を目視で確認し、pHを測定した。結果を表8に示す。また、カードランの膨潤状態の写真を図1に示す(カードラン濃度:1重量%)。
<実施例2,3、比較例5〜7>
表9に示す配合で実施例1と同様にしてカードラン含有組成物を調製した。水88重量部に、得られたカードラン含有組成物2重量部とグラニュー糖9.8重量部と香料0.2重量部とを撹拌しながら混合し、分散液を調製後、60℃まで湯煎加熱した後、pHが6〜7になるように、20重量%クエン酸溶液で中和し、ゼリーカップに充填、冷却してゼリーを作製した。中和前の分散液のpHとゼリーの状態を表10に示す。
実施例2と実施例3ではカードランが十分に膨潤し、瑞々しい食感のゼリーとなったが、比較例5〜7ではカードランが十分に分散せず、沈殿して底部でゲル化またはゲル化しなかった。
このように、実施例のカードラン含有組成物により、水に分散または溶解させた際にカードラン分散液または水溶液を容易に調製することができてカードランの機能を十分に発揮させることができた。また、アルカリ剤としてカルシウム塩を用いることにより、潮解性のある水酸化ナトリウムや水酸化カリウムを用いなくても高アルカリ状態を達成することができ、取り扱い性の良好な、リン酸塩フリーのカードラン含有組成物が得られた。

Claims (6)

  1. カードラン、カルシウム塩、ならびに、有機酸塩および無機酸塩のうち少なくとも1つを含有し、
    水に分散または溶解して得られる分散液または水溶液のpHが、10以上であることを特徴とするカードラン含有組成物。
  2. 請求項1に記載のカードラン含有組成物であって、
    前記有機酸塩および無機酸塩のうち少なくとも1つは、カルシウムと難溶性の塩を形成する、またはカルシウムと安定なキレートを形成する性質を有するものであることを特徴とするカードラン含有組成物。
  3. 請求項1または2に記載のカードラン含有組成物であって、
    前記カルシウム塩の含有量は、前記カードランに対して、重量比で0.015〜0.2の範囲であることを特徴とするカードラン含有組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のカードラン含有組成物であって、
    前記カルシウム塩は、焼成カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウムのうち少なくとも1つを含有することを特徴とするカードラン含有組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のカードラン含有組成物を含むことを特徴とする製品。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のカードラン含有組成物を用いて製品を製造することを特徴とする製品の製造方法。
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CN110915920A (zh) * 2019-11-25 2020-03-27 南京理工大学 一种提高凝固型酸奶稳定性的方法

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