JP6800861B2 - 増粘多糖類含有製剤の製造方法 - Google Patents

増粘多糖類含有製剤の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、増粘多糖類を含有する製剤(以下、「増粘多糖類含有製剤」ともいう)の製造方法、及び、増粘多糖類を含有する製剤の液体への分散性を向上させる方法に関する。
キサンタンガム等の、増粘多糖類を含有する製剤は、飲食品などの各種組成物に粘度を付与する機能(粘度付与機能)や、各種組成物をゲル化させる機能(ゲル化機能)を有する。
増粘多糖類の粘度付与機能又はゲル化機能を十分に発揮させるためには、増粘多糖類を十分に水和させることが必要である。しかしながら、粉末状又は顆粒状の増粘多糖類を、水などの液体に添加すると、増粘多糖類の表面のみが溶解し、内部が水和せずに粉体の状態で残る、いわゆる、「ダマ」が発生する。発生したダマは、完全に溶解させることが非常に難しく、例えば、撹拌速度を上げる方法や、撹拌時間を長くする方法を用いた場合であっても、発生したダマを完全に溶解させることは難しい。
ダマの発生を抑制する技術(ダマを改善する技術)として、例えば、増粘多糖類の粒子径に着目する技術が知られている。その一例として、特許文献1には、平均粒子径80μm以下のキサンタンガム粉末を造粒する技術が提案されている。
しかしながら、平均粒子径が80μm以下である、微粉タイプのキサンタンガムは、粉末を取り扱う際に粉が飛散しやすいという問題を有する。また、本技術に基づいて得られるキサンタンガム含有製剤は、液体への分散性が十分とはいえず、依然としてダマが発生しやすいという問題を有する。
また、ダマを改善するその他の技術として、バインダー液を用いて、増粘多糖類を造粒する技術が知られている。例えば、特許文献2には、増粘多糖類及びデキストリンを含有する粉末に対して、デキストリンを18〜35質量%含有するバインダー液を噴霧し、造粒する技術が提案されている。特許文献3には、キサンタンガム粉末に対して、グァーガム酵素分解物を含有する溶液を噴霧した後に、流動乾燥する技術が提案されている。
しかしながら、特許文献2及び3に開示された技術による、増粘多糖類の分散性向上効果は十分とはいえない。
ところで、特許文献4には、アラビアガムを含有するバインダー液を用いて、キサンタンガム粉末を造粒した例が、比較例4として開示されている。しかしながら、本比較例によれば、キサンタンガムの分散性が十分に改善されたとは認められない。
また、特許文献5には、アラビアガムを含有するバインダー液を用いてキサンタンガム粉末を造粒し、次いで、得られた造粒物を崩壊剤及び賦形剤と混合したものを錠剤状に成型した製剤が開示されている。しかしながら、特許文献5には、アラビアガム及びプルランという、特定の組みあわせに着目することについて何ら開示されていない。
特開2006−304605号公報 特開2011−120538号公報 特開2007−110983号公報 特許第4672596号公報 特開2015−136315号公報
本発明では、液体への分散性が改善され、ダマの発生が抑制された増粘多糖類含有製剤を提供することを目的とする。
また、ダマの発生は、増粘多糖類の水和(溶解)速度が速いことに基づく。そのため、ダマの発生抑制を目的とする従来技術は、増粘多糖類の溶解速度の遅延を招き、結果として、増粘多糖類が本来有する、粘度付与機能又はゲル化機能の低下を引き起こすという問題を有する。
本発明は、かかる課題にも鑑みてなされた発明であり、ダマの発生が抑制され、また、増粘多糖類が本来有する、粘度付与機能又はゲル化機能の発現に優れる、増粘多糖類含有製剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来技術に鑑み、鋭意研究した結果、アラビアガム及びプルランをバインダー液の成分として使用し、増粘多糖類を造粒することで、液体への分散性が改善され、ダマの発生が抑制された増粘多糖類含有製剤を提供できることを見出した。また、本発明者らは、本技術を用いて製造された増粘多糖類含有製剤は、優れた粘度付与機能又はゲル化機能を発揮できることを見出し、更なる研究の結果、本発明を完成するに至った。
本発明は以下の態様を有する、増粘多糖類含有製剤の製造方法、並びに、増粘多糖類を含有する製剤の液体への分散性を向上させる方法に関する。
増粘多糖類含有製剤の製造方法
項1−1.増粘多糖類をバインダー液を用いて造粒する工程を有する、増粘多糖類含有製剤の製造方法であり、
前記バインダー液の成分として、アラビアガム及びプルランを用いることを特徴とする、増粘多糖類含有製剤の製造方法。
項1−2.前記造粒工程において、アラビアガム及びプルランを含有するバインダー液を用いることを特徴とする、項1−1に記載の増粘多糖類含有製剤の製造方法。
項1−3.前記増粘多糖類が、キサンタンガム、カラギナン、ガラクトマンナン、ペクチン、ジェランガム及びアルギン酸類からなる群から選択される1種以上を含有するものである、項1−1又は1−2に記載の増粘多糖類含有製剤の製造方法。
項1−4.前記増粘多糖類が、アラビアガム及び/またはプルランを含有するものである、項1−1〜1−3のいずれか1項に記載の増粘多糖類含有製剤の製造方法。
項1−5.前記バインダー液の成分として用いるプルラン及びアラビアガムの割合が、プルラン1質量部に対して、アラビアガム0.05〜20質量部の割合である、項1−1〜1−4のいずれか1項に記載の増粘多糖類含有製剤の製造方法。
項1−6.2以上の造粒工程を含み、少なくとも一つの造粒工程時に、アラビアガム又はプルランのいずれか一方の成分を含有するバインダー液を用いて造粒し、前記一つの造粒工程とは異なる少なくとも一つの造粒工程時に、前記一つの造粒工程において用いなかったアラビアガム又はプルランのいずれか一方の成分を少なくとも含有するバインダー液を用いて造粒する、項1−1〜1−5のいずれか1項に記載の増粘多糖類含有製剤の製造方法。
項1−7.増粘多糖類を含む造粒原料(第一次造粒原料)を造粒し、一次造粒物を得る工程、及び該一次造粒物を含む造粒原料(第二次造粒原料)を造粒し、二次造粒物を得る工程を含有し、該第一次造粒原料の造粒時にアラビアガム及びプルランを含有するバインダー液を用いる、項1−1〜1−5のいずれか1項に記載の増粘多糖類含有製剤の製造方法。
増粘多糖類を含有する製剤の液体への分散性を向上させる方法
項2−1.増粘多糖類をバインダー液を用いて造粒する工程を有する、増粘多糖類を含有する製剤の液体への分散性を向上させる方法であり、
前記バインダー液の成分として、アラビアガム及びプルランを用いることを特徴とする、増粘多糖類を含有する製剤の液体への分散性を向上させる方法。
項2−2.前記造粒工程において、アラビアガム及びプルランを含有するバインダー液を用いることを特徴とする、項2−1に記載の方法。
項2−3.前記増粘多糖類が、キサンタンガム、カラギナン、ガラクトマンナン、ペクチン、ジェランガム及びアルギン酸類からなる群から選択される1種以上を含有するものである、項2−1又は2−2に記載の方法。
項2−4.前記増粘多糖類が、アラビアガム及び/またはプルランを含有するものである、項2−1〜2−3のいずれか1項に記載の方法。
項2−5.前記バインダー液の成分として用いるプルラン及びアラビアガムの割合が、プルラン1質量部に対して、アラビアガム0.05〜20質量部の割合である、項2−1〜2−4のいずれか1項に記載の方法。
項2−6.2以上の造粒工程を含み、少なくとも一つの造粒工程時に、アラビアガム又はプルランのいずれか一方の成分を含有するバインダー液を用いて造粒し、前記一つの造粒工程とは異なる少なくとも一つの造粒工程時に、前記一つの造粒工程において用いなかったアラビアガム又はプルランのいずれか一方の成分を少なくとも含有するバインダー液を用いて造粒する、項2−1〜2−5のいずれか1項に記載の方法。
項2−7.増粘多糖類を含む造粒原料(第一次造粒原料)を造粒し、一次造粒物を得る工程、及び該一次造粒物を含む造粒原料(第二次造粒原料)を造粒し、二次造粒物を得る工程を含有し、該第一次造粒原料の造粒時にアラビアガム及びプルランを含有するバインダー液を用いる、項2−1〜2−5のいずれか1項に記載の方法。
項2−8.更に、前記増粘多糖類を含有する製剤が液体への粘度発現性を有する、項2−1〜2−7のいずれか1項に記載の方法。
本発明により、液体への分散性が改善され、ダマの発生が抑制された増粘多糖類含有製剤を提供できる。また、本発明により、水などの液体に対して優れた粘度付与機能又はゲル化機能を発揮できる増粘多糖類含有製剤を提供できる。
実験例1において、実施例1−3の増粘多糖類含有製剤の分散性試験結果を示す写真である。 実験例1において、比較例1−2の増粘多糖類含有製剤の分散性試験結果を示す写真である。
本発明は、増粘多糖類をバインダー液を用いて造粒する工程を有する、増粘多糖類含有製剤の製造方法であり、前記バインダー液の成分として、アラビアガム及びプルランを用いることを特徴とする。
本発明で用いる増粘多糖類は特に限定されないが、本発明では、好ましくは、飲食品又は経口医薬品への使用が許可されている可食性の増粘多糖類を用いる。
かかる増粘多糖類としては、例えば、キサンタンガム、カラギナン(例えば、カッパ型カラギナン、イオタ型カラギナン、ラムダ型カラギナン等)、ガラクトマンナン(例えば、ローカストビーンガム、タラガム、グァガム等)、アルギン酸類(例えば、アルギン酸、アルギン酸塩(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウム等)、アルギン酸エステル(例えば、アルギン酸プロピレングリコール等)等)、ペクチン(例えば、ローメトキシル(LM)ペクチン、ハイメトキシル(HM)ペクチン)、ジェランガム(例えば、脱アシル型ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム等)、アラビアガム、プルラン、寒天、ゼラチン、タマリンドシードガム、グルコマンナン、ウェランガム、サイリウムシードガム、カラヤガム、カードラン、澱粉、ファーセレラン、発酵セルロース、結晶セルロース、大豆多糖類等が例示される。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、上記増粘多糖類の中で、キサンタンガム、カラギナン、ガラクトマンナン、ペクチン、ジェランガム、アルギン酸類、特に、キサンタンガムは、水和速度が速いため、ダマの発生を抑制することが格段に難しい。しかし、本発明によれば、このような増粘多糖類を含有する製剤であっても液体に添加した際に発生するダマを顕著に抑制することができ、分散性に優れる増粘多糖類含有製剤を提供することができる。本観点から、本発明は、増粘多糖類として、キサンタンガム、カラギナン、ガラクトマンナン、ペクチン、ジェランガム及びアルギン酸類からなる群から選択される1種以上を含有する製剤の製造に好適に使用でき、増粘多糖類としてキサンタンガムを含有する製剤の製造により好適に使用することができる。
また、本発明では増粘多糖類にアラビアガム及び/又はプルランを含有してもよく、増粘多糖類としてアラビアガム及び/又はプルランを含有するものを好ましく例示できる。
なお、本発明では、造粒原料として好ましくは、粉末状または顆粒状の増粘多糖類を用いる。
本発明の増粘多糖類含有製剤の製造方法は、増粘多糖類をバインダー液を用いて造粒する工程を有するが、造粒方法は特に限定されない。例えば、造粒方法として、流動層造粒法、撹拌造粒法、押出造粒法、及び転動造粒法などが例示でき、好ましい造粒方法は、流動層造粒法、又は撹拌造粒法である。
流動層造粒法による造粒は特に限定されず、常法に従って実施することができる。例えば、流動層造粒法による造粒の一実施態様を以下に示す。
粉末状又は顆粒状の増粘多糖類を含む造粒のための原料(造粒原料)を造粒機に入れ、機械の下方から熱風を送り込むことで、造粒原料を流動させる。該造粒原料の流動層にバインダー液を噴霧し、造粒原料表面にバインダー液を付着させ、造粒原料どうしの凝集粒をつくり、これを乾燥させることで造粒物を製造する。
同様に、撹拌造粒法による造粒も特に限定されず、常法に従って実施できる。例えば、撹拌造粒法による造粒の一実施態様を以下に示す。
粉末状又は顆粒状の増粘多糖類を含む造粒原料を造粒機に入れ、バインダー液を噴霧または直接投入し、高速で撹拌させる。撹拌によって造粒原料どうしが凝集粒をつくり、これを乾燥させることで造粒物を製造する。
その他の押出造粒法及び転動造粒法による造粒も特に限定されず、常法に従って実施することができる。
本発明において、造粒原料として好ましくは、粉末状又は顆粒状の造粒原料である。また、造粒原料は、増粘多糖類以外に、必要に応じて更に賦形剤等を含有していてもよい。
本発明では、造粒工程で用いるバインダー液の成分として、アラビアガム及びプルランを用いることを特徴とする。
本発明で用いるアラビアガムは公知であり、マメ科植物であるアカシア属の植物(例えば、アカシア・セネガル(Acacia senegal)やアカシア・セイアル(Acacia seyal)等)の樹液から得られる多糖類である。アラビアガムの分子構造は完全に明らかにはされていないが、ガラクトース、アラビノース、ラムノース、及びグルクロン酸を構成糖とすることが知られている。
アラビアガムは商業的に入手することができ、かかる製品としては、例えば、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製の「ガムアラビックSD」等が挙げられる。
本発明ではまた、アラビアガムとして、前記アラビアガムを改質した、改質アラビアガムを好適に用いることができる。改質の方法としては、例えば、90〜180℃、好ましくは100〜150℃で、15分〜72時間、好ましくは30分〜60時間、より好ましくは1〜10時間程度、加熱処理する方法や、アラビアガムから金属塩を除去又は低減する方法などが挙げられる。アラビアガムから金属塩を除去又は低減する方法としては、例えば、有機溶媒中でのイオン交換処理、電気透析膜、又はイオン交換樹脂等による脱塩処理が例示できる。
本発明では、改質アラビアガムとして、重量平均分子量が好ましくは90万以上、より好ましくは120万以上、更に好ましくは150万以上、更により好ましくは200万以上であるアラビアガム、又は/及び、アラビノガラクタン蛋白質含量が好ましくは17質量%以上、より好ましくは20質量%以上であるアラビアガムを用いることが望ましい。アラビアガムとして、かかる改質アラビアガムを用いることで、増粘多糖類含有製剤の液体への分散性をより一層向上させることができる。
アラビアガムの重量平均分子量及びアラビノガラクタン蛋白質含量(質量%)は、例えば、光散乱(MALLS)検出器、屈折率(RI)検出器及び紫外線(UV)検出器の3つの検出器を備えたゲル濾過クロマトグラフィーにより測定することができる。詳細には、特表2006−522202号公報に記載の方法に従って測定することができる。
本発明で好適に用いることができる改質アラビアガムの重量平均分子量の上限は特に制限されないが、例えば、500万、好ましくは450万、より好ましくは400万を挙げることができる。同様に、改質アラビアガムのアラビノガラクタン蛋白質含量の上限も特に限定されないが、例えば、30質量%を挙げることができる。
この観点から、前記改質アラビアガムとして、前記重量平均分子量が好ましくは90万〜500万、より好ましくは120万〜500万、更に好ましくは150万〜500万、更により好ましくは150万〜450万、特に好ましくは200万〜400万であるアラビアガム、又は/及び、アラビノガラクタン蛋白質含量が好ましくは17〜30質量%、より好ましくは20〜30質量%であるアラビアガムが例示される。
上記性質を有する改質アラビアガムは、例えば、特表2006−522202号公報に記載の方法に従って製造することができる。一例として、アカシア・セネガル(Acacia senegal)種に属するアラビアガムを110℃で10時間以上、またはこれと実質的に同じ効果を得ることができる条件下で加熱することによって製造することができる。加熱時間の条件としては、例えば72時間が挙げられる。
また、上記性質を有する改質アラビアガムは商業的に入手することができ、かかる製品として例えば、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製の「SUPER GUM EM10」等が挙げられる。
本発明で用いるバインダー液における、アラビアガムの含量は特に限定されないが、例えば、0.1〜25質量%が挙げられ、好ましくは0.2〜20質量%、より好ましくは0.3〜18質量%、更に好ましくは0.5〜15質量%、更により好ましくは0.5〜10質量%、特に好ましくは0.5〜8質量%、更に特に好ましくは0.6〜8質量%である。
本発明で用いるプルランは公知であり、黒酵母の1種であるAureobasidium pullulas(糸状菌)によって産生されるα−グルカンである。その構造は、マルトトリオースが規則正しくα−1,6−グルコシド結合を繰り返した直鎖状の多糖類である。
本発明で用いるバインダー液における、プルランの含量は特に限定されないが、例えば、0.1〜20質量%が挙げられ、好ましくは0.2〜18質量%、より好ましくは0.5〜15質量%、更に好ましくは0.8〜12質量%、更により好ましくは1〜10質量%、特に好ましくは1〜8質量%である。
バインダー液は、アラビアガム及び/又はプルランを水に溶解させることで調製できる。このことから、本発明においてアラビアガム及び/又はプルランを含有するバインダー液は、好ましくは水を含有する。なお、アラビアガム及びプルランは共に、常温付近(例えば、20℃)の水に溶解可能であるため、バインダー液の調製時に加熱工程は不要であるが、必要に応じて、アラビアガム及び/又はプルランを含有する液を加熱しても良い。
また、本発明で用いるバインダー液は、炭素数が3以下であるアルコール(例えば、メタノール、エタノール、グリセリン等)、金属塩、又は有機酸などを含有しても良い。
本発明では、増粘多糖類をバインダー液を用いて造粒する工程において、バインダー液の成分として、アラビアガム及びプルランを用いることを特徴とするが、バインダー液の使用方法は特に限定されない。
例えば、前述のように、流動層造粒法又は撹拌造粒法であれば、(i)粉末状又は顆粒状の増粘多糖類を含む造粒原料に、アラビアガム及びプルランを含有するバインダー液を噴霧する方法、(ii)粉末状又は顆粒状の増粘多糖類を含有する造粒原料にアラビアガムを含有するバインダー液を噴霧後、プルランを含有するバインダー液を噴霧する方法、又は(iii)粉末状又は顆粒状の増粘多糖類を含有する造粒原料にプルランを含有するバインダー液を噴霧後、アラビアガムを含有するバインダー液を噴霧する方法などが挙げられる。
また、撹拌造粒法の場合は、前記のバインダー液を噴霧する方法に加えて、(iv)増粘多糖類を含む造粒原料と、アラビアガム及びプルランを含有するバインダー液とを混合する方法、(v)増粘多糖類を含む造粒原料と、アラビアガムを含有するバインダー液を混合後、プルランを含有するバインダー液を混合する方法、(vi)増粘多糖類を含む造粒原料と、プルランを含有するバインダー液を混合後、アラビアガムを含有するバインダー液を混合する方法等が例示できる。
なお、増粘多糖類含有製剤の液体への分散性をより一層向上させる観点からは、前記造粒工程において、アラビアガム及びプルランを含有するバインダー液を用いることが好ましい(上記方法(i)、及び(v)等)。
造粒時における、増粘多糖類に対するバインダー液の量は特に限定されないが、造粒原料における増粘多糖類1質量部に対する、バインダー液の量は0.1〜4質量部であることが好ましく、0.15〜3.5質量部であることがより好ましく、0.2〜3質量部であることが更に好ましい。
以上のように本発明では、増粘多糖類をバインダー液を用いて造粒する工程において、バインダー液の成分として、アラビアガム及びプルランを用いることで、液体への分散性に優れ、また、増粘多糖類が本来有する機能(粘度付与機能、ゲル化機能)の発揮に優れる(増粘多糖類が本来有する機能を効果的に発揮する)、増粘多糖類含有製剤を製造することができる。
なお、バインダー液の成分として用いるプルラン及びアラビアガムの割合は特に限定されないが、例えば、使用するバインダー液の合計量において、プルラン1質量部に対するアラビアガムの使用量(割合)が、0.05〜20質量部であることが好ましく、0.1〜15質量部であることがより好ましく、0.12〜10質量部であることが更に好ましく、0.15〜8質量部であることが更により好ましく、0.15〜6質量部であることが特に好ましい。
本発明では、当該割合でアラビアガム及びプルランを併用することで、増粘多糖類含有製剤の分散性をより一層向上させ、また、増粘多糖類が本来有する機能を十分に発揮させることができる。
また、本発明では、増粘多糖類含有製剤における、バインダー液に由来するアラビアガム及びプルランの含量(総量)が、例えば、0.3〜8質量%、好ましくは0.5〜6質量%、より好ましくは0.6〜5質量%となるように、バインダー液におけるアラビアガム及びプルランの含量、並びに造粒原料における増粘多糖類に対するバインダー液の量を適宜調整することが好ましい。
本発明では、増粘多糖類の造粒において、増粘多糖類を複数の工程により多段階造粒することが可能である。一例として、二段階造粒(二次造粒)する場合の好ましい一実施形態を以下に示す。
粉末状又は顆粒状の増粘多糖類を含む造粒原料(第一次造粒原料)を造粒し、一次造粒物を得る。次いで、一次造粒物を含む造粒原料(第二次造粒原料)を造粒し、二次造粒物を得る。なお、一次造粒時及び/または二次造粒時には、必要に応じて、一次造粒原料の一成分及び/または第二次造粒原料の一成分として更に賦形剤等を用いてもよい。また、二次造粒の方法の一種として、特許第4723047号に記載の方法を例示することができる。
二次造粒を行う場合には、一次造粒及び二次造粒を通して、増粘多糖類が、バインダー成分であるアラビアガム及びプルランを用いて造粒されていれば良い。例えば、一次造粒時にアラビアガム又はプルランのいずれか一方の成分を含有するバインダー液を用いて一次造粒し、次いで、一次造粒で用いなかった他方の成分を含有するバインダー液を用いて二次造粒することができる。
また、増粘多糖類含有製剤の液体への分散性をより一層向上させる観点からは、一次造粒時、又は二次造粒時の少なくともいずれか一方の造粒時に、アラビアガム及びプルランを含有するバインダー液を用いて、増粘多糖類が造粒されていることが好ましく、少なくとも一次造粒時に、アラビアガム及びプルランを含有するバインダー液が用いられていることがより好ましい。なお、バインダー液として、アラビアガム及び/又はプルランを含有するバインダー液を使用しない場合は、例えば、水をバインダー液として用いることができる。
二次造粒などの多段階造粒を行う場合において、一次造粒時又は二次造粒時に用いるバインダー液におけるアラビアガム及び/又はプルランの含量や、バインダー液の成分として用いるプルラン及びアラビアガムの割合、並びに、造粒原料における増粘多糖類1質量部に対するバインダー液の使用量などは、前述に記載の配合割合に従って適宜調整することができる。
また、このような多段階造粒を行う場合も、前述のように、増粘多糖類含有製剤における、バインダー液に由来するアラビアガム及びプルランの含量(総量)が、例えば、0.3〜8質量%、好ましくは0.5〜6質量%、より好ましくは0.6〜5質量%となるように、また、バインダー液(総量)において、プルラン1質量部に対するアラビアガムの使用量(割合)が、例えば、0.05〜20質量部、好ましくは0.1〜15質量部、より好ましくは0.12〜10質量部、更により好ましくは0.15〜8質量部、特に好ましくは0.15〜6質量部となるように、バインダー液におけるアラビアガム及びプルランの含量、並びに造粒原料における増粘多糖類に対するバインダー液の量を適宜調整することが好ましい。
本発明の製造方法によって得られる増粘多糖類含有製剤における、造粒原料に由来する増粘多糖類含量は特に限定されないが、例えば、5〜80質量%が挙げられ、好ましくは10〜80質量%、より好ましくは10〜75質量%、更に好ましくは10〜65質量%、更により好ましくは20〜55質量%、更に特に好ましくは25〜55質量%、殊更に好ましくは25〜50質量%である。なお、本発明において「造粒原料に由来する」とは、言い換えれば「製造において使用するバインダー液に由来しない」ことを意味する。
また、本発明を制限するものではないが、造粒原料に由来する増粘多糖類にキサンタンガム、カラギナン、ガラクトマンナン、ペクチン、ジェランガム及びアルギン酸類からなる群から選択される1種以上を含む場合、本発明の製造方法によって得られる増粘多糖類含有製剤における、キサンタンガム、カラギナン、ガラクトマンナン、ペクチン、ジェランガム及びアルギン酸類からなる群から選択される1種以上の増粘多糖類含量が、好ましくは5〜80質量%、より好ましくは10〜75質量%、更に好ましくは10〜70質量%、更により好ましくは10〜60質量%、特に好ましくは20〜60質量%、更に特に好ましくは25〜50質量%が例示される。
また、増粘多糖類の中でもキサンタンガムは、水などの液体に対する粘度発現性に優れ、増粘化剤などに有用であるが、ダマが顕著に発生しやすいという問題を有する。しかし、本発明の製造方法によれば、増粘多糖類含有製剤におけるキサンタンガム含量が5質量%以上、8質量%以上、10質量%以上、12質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、又は28質量%以上と、キサンタンガム含量が高い場合においても、キサンタンガムのダマの発生が抑制され、且つ、優れた粘度付与機能を有する増粘多糖類含有製剤を提供できる。
増粘多糖類含有製剤におけるキサンタンガム含量の上限は特に制限されないが、例えば、80質量%以下、75質量%以下、70質量%以下、65質量%以下、60質量%以下、55質量%以下、又は50質量%以下が例示される。
本発明を制限するものでないが、これらの観点から、本発明の製造方法によって得られる増粘多糖類含有製剤がキサンタンガムを含有する場合、増粘多糖類含有製剤におけるキサンタンガム含量は、例えば、好ましくは5〜80質量%が挙げられ、より好ましくは8〜75質量%、更に好ましくは10〜70質量%、更により好ましくは12〜65質量%、特に好ましくは15〜60質量%、更に特に好ましくは20〜55質量%、殊更に好ましくは25〜55質量%である。
また、本発明を制限するものではないが、造粒原料に由来する増粘多糖類にアラビアガム及び/またはプルランを含む場合、本発明の製造方法によって得られる増粘多糖類含有製剤における、造粒原料に由来するアラビアガム及び/またはプルランの含量(総量)は、0.1〜50質量%、好ましくは0.1〜40質量%、より好ましくは0.1〜30質量%、更に好ましくは0.1〜25質量%、更により好ましくは0.2〜20質量%、特に好ましくは0.3〜10質量%が例示される。
本発明において、増粘多糖類含有製剤の液体への分散性向上の観点からは、増粘多糖類含有製剤における、バインダー液に由来するアラビアガム及びプルランの配合割合が、プルラン1質量部に対して、アラビアガム0.05〜20質量部の割合であることが好ましく、0.1〜15質量部の割合であることがより好ましく、0.12〜10質量部の割合であることが更に好ましく、0.15〜8質量部の割合であることが更により好ましく、0.15〜6質量部の割合であることが特に好ましい。
また、本発明における増粘多糖類含有製剤は、賦形剤を含有することが好ましい。本発明の増粘多糖類含有製剤の製造方法において、賦形剤を添加する時期は特に限定されず、例えば、増粘多糖類を造粒する際の造粒原料の一成分として賦形剤を含有させても良く、また、造粒後の増粘多糖類と賦形剤を混合し、増粘多糖類含有製剤を製造しても良い。
賦形剤としては、例えば、澱粉分解物(例えば、デキストリン、粉飴等)、糖類(例えば、単糖(例えば、グルコース、フルクトース等)、二糖(例えば、ショ糖、乳糖、麦芽糖、トレハロース等)、オリゴ糖(例えば、セロオリゴ糖、マルトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖等)、糖アルコール(例えば、キシリトール、ソルビトール、ラクチトール、マルチトール等)、還元糖化物等)、食物繊維(例えば、難消化性デキストリン、ポリデキストロース、グァーガム酵素分解物等)などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。賦形剤を用いるときの、増粘多糖類含有製剤における賦形剤の含量は特に限定されないが、例えば、10〜90質量%が挙げられ、好ましくは20〜85質量%、より好ましくは30〜80質量%、更に好ましくは35〜75質量%、特に好ましくは40〜70質量%である。
その他、本発明で製造する増粘多糖類含有製剤には、更なる分散性の向上を目的として、金属塩、乳化剤等を含有させることも可能である。金属塩、乳化剤等を添加する時期も特に限定されず、例えば、増粘多糖類を造粒する際の造粒原料の一成分として金属塩及び/又は乳化剤等を含有させても良く、また、造粒後の増粘多糖類と金属塩及び/又は乳化剤等を混合し、増粘多糖類含有製剤を製造しても良い。
金属塩の種類は特に限定されないが、例えば、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、及びマグネシウム塩等が挙げられ、具体的には、これらの塩化物、水酸化物、乳酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩、リン酸塩、硫酸塩、リンゴ酸塩などが挙げられる。なお、本発明では、飲食品又は経口医薬品への使用が許可されている金属塩を用いることが好ましい。例えば、このような金属塩としては、塩化カルシウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、乳酸カルシウム、クエン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カリウム等が挙げられる。好ましい金属塩は、塩化カルシウム、塩化カリウム、クエン酸ナトリウム及びグルコン酸ナトリウムからなる群から選択される一種以上である。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
同様に、乳化剤の種類も特に限定されないが、例えば、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル(例えば、モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル、有機酸モノグリセリド等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、レシチン、酵素分解レシチン、酵素処理レシチン、ステアロイル乳酸ナトリウム、ステアロイル乳酸カルシウム、キラヤ抽出物、サポニン、ポリソルベート(例、ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80)等が挙げられる。これらも1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
増粘多糖類含有製剤における金属塩や乳化剤の含量は特に限定されないが、金属塩及び/または乳化剤を含有する場合、例えば、金属塩であれば0.5〜10質量%が挙げられ、好ましくは0.8〜8質量%、より好ましくは1〜6質量%、更に好ましくは1〜5.5質量%、特に好ましくは1.5〜5質量%でる。乳化剤であれば0.1〜10質量%が挙げられ、好ましくは0.5〜8質量%が挙げられる。また、本発明で製造する増粘多糖類含有製剤には、栄養成分や機能性成分等を含有させることも可能である。栄養成分又は機能性成分としては、例えば、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、ペプチド、蛋白質、コラーゲンが挙げられる。これらについても添加する時期は特に限定されず、例えば、増粘多糖類を造粒する際の造粒原料の一成分として栄養成分、機能性成分等を含有させても良く、また、造粒後の増粘多糖類と栄養成分、機能性成分等を混合し、増粘多糖類含有製剤を製造しても良い。
本発明はこの限りにおいて制限されないが、以下に本発明の一例を記載する。
例えば、本発明の増粘多糖類含有製剤が、増粘多糖類、賦形剤及び金属塩を含む造粒原料を用いて一段階造粒により製造される場合、造粒原料中の増粘多糖類含量は5〜80質量%、好ましくは10〜80質量%、より好ましくは10〜75質量%、更に好ましくは10〜65質量%、更により好ましくは20〜55質量%、特に好ましくは25〜55質量%、殊更に好ましくは25〜50質量%とすることが例示される。該造粒原料中の賦形剤含量は10〜90質量%、好ましくは20〜85質量%、より好ましくは30〜80質量%、更に好ましくは35〜75質量%、更により好ましくは40〜70質量%とすることが例示される。該造粒原料中の金属塩含量は0.5〜10質量%、好ましくは0.8〜8質量%、より好ましくは0.8〜7質量%、更に好ましくは1〜6質量%、更により好ましくは1〜5.5質量%とすることが例示される。
例えば、本発明の増粘多糖類含有製剤が、増粘多糖類、賦形剤及び金属塩を含む造粒原料を用いて二段階造粒により製造される場合、一段階目の造粒に使用する造粒原料中の増粘多糖類含量は20〜100質量%、好ましくは30〜100質量%、より好ましくは30〜95質量%、更に好ましくは40〜95質量%、更により好ましくは50〜95質量%、特に好ましくは55〜90質量%とすることが例示される。また、該造粒原料中の賦形剤含量は0〜80質量%、好ましくは0〜70質量%、より好ましくは1〜60質量%、更に好ましくは3〜50質量%、更により好ましくは5〜40質量%、特に好ましくは5〜35質量%とすることが例示される。該造粒原料中の金属塩含量は0〜15質量%、好ましくは0〜10質量%、より好ましくは0.5〜10質量%、更に好ましくは0.5〜8質量%、更により好ましくは1〜8質量%、特に好ましくは2〜8質量%とすることが例示される。
また、この際、二段階目の造粒に使用する造粒原料中の増粘多糖類含量は5〜80質量%、好ましくは10〜80質量%、より好ましくは10〜75質量%、更により好ましくは10〜65質量%、特に好ましくは20〜55質量%、更に特に好ましくは25〜55質量%、殊更に好ましくは25〜50質量%とすることが例示される。該造粒原料中の賦形剤含量は10〜90質量%、好ましくは20〜85質量%、より好ましくは30〜80質量%、更に好ましくは35〜75質量%、更により好ましくは40〜70質量%、特に好ましくは35〜65質量%とすることが例示される。該造粒原料中の金属塩含量は0.5〜10質量%、好ましくは0.8〜8質量%、より好ましくは0.8〜7質量%、更に好ましくは1〜6質量%、更により好ましくは1〜5.5質量%、特に好ましくは1.5〜5質量%とすることが例示される。
本発明の製造方法により得られる増粘多糖類含有製剤は、水などの液体への分散性に優れる。このため、機械による高速撹拌だけでなく、手による撹拌などの弱い撹拌条件下(例えば、低速撹拌条件)で使用される増粘多糖類含有製剤としても、好適に用いられ得るという利点を有する。例えば、本発明の製造方法により得られる増粘多糖類含有製剤は、回転数が400rpm以下の撹拌、更には180〜300rpmの撹拌条件下で使用される増粘多糖類含有製剤として、好適に用いられ得る。
また、本発明の製造方法により得られる増粘多糖類含有製剤は、水などの液体に添加することで、増粘多糖類が本来有する粘度付与機能又はゲル化機能を迅速に発揮できるという利点を有する。特に、増粘多糖類として、常温付近(例えば、20℃)の水に溶解可能な増粘多糖類、例えば、キサンタンガム、カラギナン、グァーガム、タラガム、ペクチン、及び/又はアルギン酸類等を用いた場合には、増粘多糖類が水などの液体に容易に溶解し、当該液体に粘度を迅速に付与することができる。例えば、本発明の好ましい一実施形態によれば、本発明の製造方法によって得られる増粘多糖類含有製剤は、以下の粘度発現性試験によって測定される粘度の比A/Bが0.2以上であることが好ましく、0.3以上であることがより好ましく、0.35以上であることが更に好ましく、0.4以上であることが更により好ましく、0.45以上であることが特に好ましい。当該粘度の比A/Bの値が1に近づくほど、粘度発現性に優れることを意味する。
<粘度発現性試験>
(1)200mLビーカーに100gのイオン交換水(20℃)を入れ、スパーテルを用いて撹拌しながら、増粘多糖類含有製剤を2g添加し、30秒間撹拌する。撹拌は、1秒間にビーカー内を4回撹拌する速度で行う(240rpmの手撹拌)。
(2)撹拌後の溶液を、スクリュー瓶に移しかえて静置し、イオン交換水へ増粘多糖類含有製剤を添加してから1分後を0分として、0分及び30分後の粘度を測定する。なお、粘度はBL型回転粘度計を用いて、12rpmで1分間回転後に測定する。
(3)0分後の粘度をA(mPa・s)及び30分後の粘度をB(mPa・s)として、粘度の比A/Bを求める。
なお、本発明の増粘多糖類含有製剤が二次造粒以上の多段階造粒により得られる場合は、一次造粒によって得られる場合と比較して、分散性が向上する一方で粘度発現性が低下する場合がある。かかる点、本発明の増粘多糖類含有製剤が、二次造粒以上の多段階造粒により得られる場合は、上記粘度の比A/Bが0.2以上であれば、粘度発現性に優れると判断できる。
また、本発明の増粘多糖類含有製剤は、以下の粘度発現性試験によって測定される粘度の比C/Bが0.5以上であることが好ましく、0.55以上であることがより好ましく、0.6以上であることが更に好ましく、0.65以上であることが更により好ましい。当該粘度の比C/Bの値が1に近づくほど、粘度発現性に優れることを意味する。
<粘度発現性試験>
(1)200mLビーカーに100gのイオン交換水(20℃)を入れ、スパーテルを用いて撹拌しながら、増粘多糖類含有製剤を2g添加し、30秒間撹拌する。撹拌は、1秒間にビーカー内を4回撹拌する速度で行う(240rpmの手撹拌)。
(2)撹拌後の溶液を、スクリュー瓶に移しかえて静置し、イオン交換水へ増粘多糖類含有製剤を添加してから1分後を0分として、3分及び30分後の粘度を測定する。なお、粘度はBL型回転粘度計を用いて、12rpmで1分間回転後に測定する。
(3)3分後の粘度をC(mPa・s)及び30分後の粘度をB(mPa・s)として、粘度の比C/Bを求める。
本発明の製造方法により得られる増粘多糖類含有製剤は、各種分野で広く用いることができる。例えば、飲食品分野、医薬品分野(例えば、医薬品、医薬部外品等)、化粧品分野(例えば、メーキャップ化粧品、基礎化粧品、香水、シャンプー、リンス、歯磨き、石鹸、入浴剤等)、家庭用品分野(例えば、洗剤等)、農業分野(例えば、農薬等)、工業分野(例えば、塗料等)、土木分野(例えば、セメント、コンクリート、土壌浄化剤等)等が挙げられる。好ましくは、飲食品分野である。対象となる飲食品は特に限定されず、水、茶飲料、清涼飲料、果汁入り飲料、コーヒー飲料、乳飲料、栄養バランス飲料、アイソトニック飲料、機能性飲料、ビタミン補給飲料、粉末飲料、アルコール飲料、スープ、味噌汁、シチュー、カレー、粥、濃厚流動食、経腸栄養剤、ミキサー食、キザミ食、ムース食、ペースト食、調味料、デザート、糖菓、冷菓、ジャム、畜肉加工食品、農産加工食品、魚肉加工食品、麺類、惣菜などの各種飲食品が挙げられる。
また、本発明の製造方法により製造された増粘多糖類含有製剤は、水分含量が50質量%以上である液体(望ましくは液体の飲食品)に適用されることが好ましく、水分含量が60質量%以上である液体(望ましくは液体の飲食品)に適用されることがより好ましい。これにより、増粘多糖類含有製剤に含まれる増粘多糖類が十分に水和し、増粘多糖類が本来有する機能(例えば、粘度付与機能又はゲル化機能)を発揮することができるためである。なお、増粘又はゲル化したい対象物が、上記水分含量を下回る場合は、適宜、水を追加した後に、増粘多糖類含有製剤を適用することができる。
また、本発明の製造方法によって得られる増粘多糖類含有製剤の形態も制限されず、好ましくは粉末、顆粒、錠剤等の固形形態が例示され、使用目的に応じて適宜決定すればよい。当該増粘多糖類含有製剤として、より良い使い勝手の観点から、好ましくは粉末形態、顆粒形態、より好ましくは顆粒形態が例示される。
また、本発明の製造方法によって得られる増粘多糖類含有製剤は、水などの液体に添加することで、増粘多糖類が本来有する粘度付与機能を迅速に発揮できるため、対象組成物の粘度を増加させる増粘化剤として好適である。また、手撹拌のような弱い撹拌条件によっても、対象組成物に粘度を迅速に付与できる観点からは、咀嚼・嚥下機能低下者の喫食用にとろみを付与させる、咀嚼・嚥下機能低下者向けの増粘化剤(例えば、とろみ調整食品等)として有用である。
本発明はまた、増粘多糖類を含有する製剤の液体への分散性を向上させる方法に関する。本方法は、増粘多糖類をバインダー液を用いて造粒する場合において、バインダー液の成分として、アラビアガム及びプルランを用いることで実施できる。
増粘多糖類を、前記バインダー液を用いて造粒する方法は、上述に記載の方法に従って実施することができる。
以下、実施例を用いて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例で用いた増粘多糖類は以下のとおりである。
キサンタンガム:三栄源エフ・エフ・アイ(株)製、「サンエース[登録商標]C」
カラギナン:三栄源エフ・エフ・アイ(株)製、「サンサポート[登録商標]P−30」(ラムダ型カラギナン製剤)
アラビアガム(1):三栄源エフ・エフ・アイ(株)製、「ガムアラビックSD」(アラビアガム製剤)
アラビアガム(2):三栄源エフ・エフ・アイ(株)製、「SUPER GUM EM10」(改質アラビアガム製剤)
プルラン:(株)林原製、「食品添加物 プルラン 微粉」
また、実施例における試験は以下の方法で行った。
<増粘多糖類含有製剤の分散性試験>
(1)200mLビーカーに100gのイオン交換水(20℃)を入れ、そこへ、調製した増粘多糖類含有製剤を2g添加し、3秒間静置した。
(2)静置後、スパーテルを用いて30秒間撹拌した。撹拌は、1秒間にビーカー内を4回撹拌する速度で行った(240rpmの手撹拌)。
(3)30秒間撹拌後のダマの様子を目視で評価した。ダマの様子は以下の基準に従って評価した。
+++:大きいダマ(目安:直径5mm以上)が多数ある(目安:30個以上)。
++ :大きいダマ(目安:直径5mm以上)がある(目安:10個以上30個未満)。
+ :大きいダマ(目安:直径5mm以上)が僅かにある(目安:10個未満)、又は大きいダマがないが、小さいダマ(目安:直径5mm未満)が20個より多くある。
± :小さいダマ(目安:直径5mm未満)がややある(目安:10個以上20個以下)。
− :小さいダマ(目安:直径5mm未満)が僅かに(目安:10個未満)ある、又は、ダマがない。
<増粘多糖類含有製剤の粘度発現性試験>
(1)200mLビーカーに100gのイオン交換水(20℃)を入れ、スパーテルを用いて撹拌しながら、調製した増粘多糖類含有製剤を2g添加し、30秒間撹拌した。撹拌は、1秒間にビーカー内を4回撹拌する速度で行った(240rpmの手撹拌)。
(2)撹拌後の溶液を、スクリュー瓶に移しかえて静置し、粘度の経時変化を測定した。
粘度の経時変化は、イオン交換水へ増粘多糖類含有製剤を添加してから1分後を0分として、0分、3分、5分、10分、15分及び30分後の粘度を測定した。
粘度は、BL型回転粘度計(型番TVB−10M、東機産業(株)製)を用いて、12rpmで1分間回転して測定した。
(3)0分後の粘度をA(mPa・s)及び30分後の粘度をB(mPa・s)として、粘度の比A/Bを求めた。
実験例1 増粘多糖類含有製剤の調製
表1に示す処方の増粘多糖類含有製剤を調製した。
(バインダー液の調製)
表1中に示す、アラビアガム及びプルランは、バインダー液の成分として用いた。具体的には、アラビアガム及び/又はプルランのバインダー液における濃度が6質量%となるように、イオン交換水(20℃)にアラビアガム及び/又はプルランを添加、及び溶解して、バインダー液を調製した。具体的には、実施例1−1〜1−4、及び比較例1−2〜1−4の増粘多糖類含有製剤の調製時には、以下に示すバインダー液を用いた。
実施例1−1:アラビアガム(1)を3質量%及びプルランを3質量%含有する水溶液
実施例1−2:アラビアガム(2)を3質量%及びプルランを3質量%含有する水溶液
実施例1−3:アラビアガム(2)を2質量%及びプルランを4質量%含有する水溶液
実施例1−4:アラビアガム(2)を4質量%及びプルランを2質量%含有する水溶液
比較例1−2:アラビアガム(1)を6質量%含有する水溶液
比較例1−3:アラビアガム(2)を6質量%含有する水溶液
比較例1−4:プルランを6質量%含有する水溶液
(増粘多糖類含有製剤の調製)
実施例1−1〜1−4及び比較例1−2〜1−4の増粘多糖類含有製剤は、粉末状のキサンタンガム99g、塩化カリウム4.5g及びデキストリン187.5gの造粒原料(造粒のための原料、以下、造粒混合物ともいう)291gに対して、調製したバインダー液150gを噴霧して、流動層造粒を行い、増粘多糖類含有製剤を調製した。
一方、比較例1−1の増粘多糖類含有製剤は、粉末状のキサンタンガム99g、塩化カリウム4.5g及びデキストリン196.5gの造粒混合物300gに対して、イオン交換水をバインダー液として150g噴霧して、流動層造粒を行い、増粘多糖類含有製剤を調製した。
Figure 0006800861
調製した増粘多糖類含有製剤について、分散性試験及び粘度発現性試験を行った。
分散性試験の結果を表2に、及び粘度発現性試験の結果を表3に示す。なお、比較例1−1〜1−3は、5mm以上のダマが多数存在したため、粘度発現性は試験しなかった。
Figure 0006800861
Figure 0006800861
本実施例の分散性試験は、水に増粘多糖類含有製剤を添加後に3秒間静置し、更に、手撹拌という弱い撹拌条件で撹拌することにより実施されるため、ダマが非常に発生しやすい苛酷な試験である。そのため、比較例1−1〜1−3の増粘多糖類含有製剤は、5mm以上の大きいダマが多数(30個以上)発生した(図2)。比較例1−4の増粘多糖類含有製剤は、比較例1−1〜1−3に比べて、ダマの発生はやや抑制されていたが、小さいダマに加え、大きいダマがあった。
以上の結果より、アラビアガムのみを含有するバインダー液を用いて造粒された増粘多糖類含有製剤(比較例1−2及び1−3)や、プルランのみを含有するバインダー液を用いて造粒された増粘多糖類含有製剤(比較例1−4)は、水に添加したときのダマの発生が十分に抑制されていないことが判明した。
一方、アラビアガム及びプルランを含有するバインダー液を用いて造粒された増粘多糖類含有製剤(実施例1−1〜1−4)は、水に添加したときのダマの発生が顕著に抑制されており、その分散性試験結果は、ダマがほとんどないか、又はダマが発生した場合であっても、そのダマの大きさは小さく、また、数が少なかった。
具体的には、実施例1−1の増粘多糖類含有製剤を用いた場合は、2mm未満のダマが8個、実施例1−2の増粘多糖類含有製剤を用いた場合は2mm未満のダマが1個であった。更に、実施例1−3の増粘多糖類含有製剤を用いた場合は、ダマが発生しなかった(図1)。
また、実施例1−1〜1−4の増粘多糖類含有製剤は、表3に示すように、粘度発現性にも優れていた。具体的には、0分時における粘度が、30分後の粘度の44%以上であり、水に粘度を迅速に付与できることが示された。
実験例2 増粘多糖類含有製剤の調製
表4の処方に従い、増粘多糖類含有製剤を調製した。
(バインダー液の調製)
アラビアガム(1)を3質量%、アラビアガム(2)を3質量%、及びプルランを3質量%含有するバインダー液を調製した。バインダー液は、イオン交換水(20℃)にアラビアガム(1)、アラビアガム(2)及びプルランを添加、及び溶解して調製した(実施例2)。
(増粘多糖類含有製剤の調製)
実施例2として、粉末状のキサンタンガム90g、カラギナン6g、塩化カリウム4.5g及びデキストリン186gの造粒混合物286.5gに対して、調製したバインダー液150gを噴霧して、流動層造粒を行い、増粘多糖類含有製剤を調製した。
一方、比較例2として、粉末状のキサンタンガム90g、カラギナン6g、塩化カリウム4.5g及びデキストリン199.5gの造粒混合物300gに対して、イオン交換水をバインダー液として150g噴霧して、流動層造粒を行い、増粘多糖類含有製剤を調製した。
Figure 0006800861
調製した増粘多糖類含有製剤について、分散性試験及び粘度発現性試験を行った。分散性試験の結果を表4に、粘度発現性試験の結果を表5に示す。
Figure 0006800861
表4に示すように、アラビアガム及びプルランを含有するバインダー液を用いて増粘多糖類(キサンタンガム及びカラギナン)を造粒して製造された実施例2の増粘多糖類含有製剤は、ダマの発生が顕著に抑制されており、水に添加した際にダマが発生しなかった。また、水に粘度を迅速に付与することができ、粘度発現性にも優れていた(表5)。
実験例3 増粘多糖類含有製剤の調製
表6に示す処方の増粘多糖類含有製剤を調製した。
(バインダー液の調製)
表6に記載するアラビアガム及びプルランは、バインダー液の成分として用いた。具体的には、バインダー液におけるアラビアガム及びプルランの濃度が以下に示す濃度となるように、イオン交換水(20℃)にアラビアガム及びプルランを添加、及び溶解して、バインダー液を調製した。
実施例3−1:アラビアガム(1)を0.8質量%及びプルランを4質量%含有する水溶液
実施例3−2:アラビアガム(2)を4.8質量%及びプルランを1.2質量%含有する水溶液
実施例3−3:アラビアガム(2)を2.4質量%及びプルランを2.4質量%含有する水溶液
実施例3−4:アラビアガム(2)を3質量%及びプルランを3質量%含有する水溶液
(増粘多糖類含有製剤の調製)
実施例3−1:粉末状のキサンタンガム99g、塩化カリウム6g及びデキストリン187.8gの造粒原料(造粒混合物)292.8gに対して、調製したバインダー液150gを噴霧して、流動層造粒を行い、増粘多糖類含有製剤を調製した。
実施例3−2:粉末状のキサンタンガム99g、塩化カリウム6g及びデキストリン186gの造粒原料(造粒混合物)291gに対して、調製したバインダー液150gを噴霧して、流動層造粒を行い、増粘多糖類含有製剤を調製した。
実施例3−3:粉末状のキサンタンガム90g、クエン酸三ナトリウム9g及びデキストリン193.8gの造粒原料(造粒混合物)292.8gに対して、調製したバインダー液150gを噴霧して、流動層造粒を行い、増粘多糖類含有製剤を調製した。
実施例3−4:粉末状のキサンタンガム90g、グルコン酸ナトリウム9g及びデキストリン192gの造粒原料(造粒混合物)291gに対して、調製したバインダー液150gを噴霧して、流動層造粒を行い、増粘多糖類含有製剤を調製した。
Figure 0006800861
調製した増粘多糖類含有製剤について、分散性試験及び粘度発現性試験を行った。分散性試験の結果を表7に、粘度発現性試験の結果を表8に示す。
Figure 0006800861
Figure 0006800861
表7に示すように、アラビアガム及びプルランを含有するバインダー液を用いて増粘多糖類(キサンタンガム)を造粒して製造された実施例3−1〜3−4の増粘多糖類含有製剤は、ダマの発生が顕著に抑制されており、その分散性試験結果はダマがないか、又はダマが発生した場合であっても、そのダマの大きさは小さく、及び、数が少なかった。
実施例3−1〜3−3の増粘多糖類含有製剤は、特にダマの発生が抑制されていた。具体的には、実施例3−1の増粘多糖類含有製剤を用いた場合はダマがなく、実施例3−2及び3−3の増粘多糖類含有製剤を用いた場合はダマが発生したが、そのサイズは2mm未満であり、数は僅か8個であった。
また、表8に示すように、実施例3−1〜3−4の増粘多糖類含有製剤は、粘度発現性に優れていた。
実験例4 増粘多糖類含有製剤の調製
表9に示す処方の増粘多糖類含有製剤を調製した。
(一次造粒)
(バインダー液の調製)
バインダー液におけるアラビアガム及びプルランの濃度が以下に示す濃度となるように、イオン交換水(20℃)にアラビアガム及びプルランを添加、及び溶解して、バインダー液を調製した。
実施例4−1:アラビアガム(1)を1.8質量%及びプルランを2.8質量%含有する水溶液
実施例4−2:アラビアガム(1)を4.4質量%含有する水溶液
実施例4−3:プルランを2.6質量%含有する水溶液
(一次造粒物の調製)
実施例4−1:粉末状のキサンタンガム241.2g、塩化カリウム16.2g、アラビアガム(1)5.4g、プルラン3.6g及びデキストリン26.7gの造粒原料(造粒混合物、第一次造粒原料)293.1gに対して、調製したバインダー液150gを噴霧して、流動層造粒を行い、一次造粒物を調製した。
実施例4−2:粉末状のキサンタンガム249.3g、塩化カリウム16.5g、及びデキストリン27.6gの造粒原料(造粒混合物、第一次造粒原料)293.4gに対して、調製したバインダー液150gを噴霧して、流動層造粒を行い、一次造粒物を調製した。
実施例4−3:粉末状のキサンタンガム248.1g、塩化カリウム16.5g、プルラン3.9g及びデキストリン27.6gの造粒原料(造粒混合物、第一次造粒原料)296.1gに対して、調製したバインダー液150gを噴霧して、流動層造粒を行い、一次造粒物を調製した。
(二次造粒)
(バインダー液の調製)
二次造粒に用いるバインダー液として、バインダー液におけるアラビアガム及びプルランの濃度が以下に示す濃度となるように、イオン交換水(20℃)にアラビアガム及びプルランを添加、及び溶解して、バインダー液を調製した。
実施例4−1:イオン交換水(アラビアガム及びプルランを含有せず)
実施例4−2:プルランを2.8質量%含有する水溶液
実施例4−3:アラビアガム(1)を2.4質量%含有する水溶液
(二次造粒物(増粘多糖類含有製剤)の調製)
実施例4−1:上記で調製した一次造粒物168g、及びデキストリン132gの造粒原料(第二次造粒原料)300gに対して、上記で調製したバインダー液(イオン交換水)120gを噴霧して、流動層造粒を行い、増粘多糖類含有製剤を調製した。
実施例4−2:上記で調製した一次造粒物162.6g、及びデキストリン133.2gの造粒原料(第二次造粒原料)295.8gに対して、上記で調製したバインダー液150gを噴霧して、流動層造粒を行い、増粘多糖類含有製剤を調製した。
実施例4−3:上記で調製した一次造粒物163.2g、及びデキストリン133.2gの造粒原料(第二次造粒原料)296.4gに対して、上記で調製したバインダー液150gを噴霧して、流動層造粒を行い、増粘多糖類含有製剤を調製した。
Figure 0006800861
調製した増粘多糖類含有製剤について、分散性試験及び粘度発現性試験を行った。分散性試験の結果を表10に、粘度発現性試験の結果を表11に示す。
Figure 0006800861
Figure 0006800861
実施例4−1は、一次造粒時にバインダー液として、アラビアガム及びプルランを含有する水溶液を使用し、二次造粒時にバインダー液としてイオン交換水を用いた例である。実施例4−2は、一次造粒時にバインダー液として、アラビアガムを含有する水溶液を使用し、二次造粒時にバインダー液としてプルランを含有する水溶液を使用した例である。実施例4−3は、一次造粒時にバインダー液としてプルランを含有する水溶液を使用し、二次造粒時にバインダー液としてアラビアガムを含有する水溶液を使用した例である。
実施例4−1〜4−3の増粘多糖類含有製剤はいずれも、キサンタンガム含量が45質量%と高く、本来、ダマが発生しやすいキサンタンガム含量であるにもかかわらず、ダマの発生が顕著に抑制されていた。具体的には、実施例4−1及び4−3の増粘多糖類含有製剤を用いた場合はダマがなく、実施例4−2の増粘多糖類含有製剤を用いた場合はダマが発生したが、そのサイズは2mm未満であり、数は僅か4個であった。
更に、二次造粒を行った実施例4−1〜4−3の増粘多糖類含有製剤について、分散性試験の条件をより厳しく設定して分散性試験を行ったところ、以下の結果が得られた。
(分散性試験)
実施例1の分散性試験において、(1)の増粘多糖類含有製剤をイオン交換水へ添加後の静置時間を3秒から5秒に変更する以外は、実施例1と同様にして分散性試験を行った。増粘多糖類含有製剤を液体へ添加後の静置時間が長くなればなるほど、ダマはより発生しやすくなる。従って、本条件はダマがより発生しやすくなる条件である。本条件での分散性試験結果を以下の表12に示す。
Figure 0006800861
実施例4−1及び4−3の増粘多糖類含有製剤は、静置時間を5秒に設定した場合も顕著にダマの発生が抑制されていた。特に実施例4−1の増粘多糖類含有製剤は、静置時間が5秒とダマが顕著に発生しやすい条件にもかかわらず、ダマが発生せず、分散性に極めて優れていることが示された。
また、通常、ダマの発生が抑制された増粘多糖類含有製剤は粘度発現性が下がる傾向があるが、実施例4−1〜4−3の増粘多糖類含有製剤は、表11に示すように、0分時に1000mPa・s以上の粘度を水に付与することができ、粘度発現性に優れていた。また、3分後の粘度C及び30分後の粘度Bに基づく粘度比C/Bは、いずれも表中の数値から明らかなように、0.69以上と高い数値を示した。このように、二次造粒といった多段階造粒により製造した場合も、分散性及び粘度発現性に優れていることが確認された。
実験例5 増粘多糖類含有製剤の調製
表13に示す処方の増粘多糖類含有製剤を調製した。
(一次造粒)
バインダー液として、アラビアガムを1.7質量%、及びプルランを3.3質量%含有する水溶液を調製した。当該水溶液は、イオン交換水(20℃)にアラビアガム及びプルランを添加、及び溶解して調製した。
粉末状のキサンタンガム210g、カラギナン18g、アラビアガム6g、塩化カリウム18g及びデキストリン39gの造粒原料(造粒混合物、第一次造粒原料)291gを調製した。
当該造粒原料291gに対して、調製したバインダー液180gを噴霧し、流動層造粒を行い、一次造粒物を調製した。
(二次造粒)
バインダー液として、イオン交換水を使用した。
調製した一次造粒物150g及びデキストリン150gの造粒原料(第二次造粒原料)300gに対して、イオン交換水をバインダー液として120g噴霧し、流動層造粒を行い、増粘多糖類含有製剤を調製した。
Figure 0006800861
調製した増粘多糖類含有製剤について、分散性試験及び粘度発現性試験を行った。結果を表14に示す。
Figure 0006800861
実施例5の増粘多糖類含有製剤は、増粘多糖類含量が高いにもかかわらず、分散性が極めて良好であり、ダマが発生しなかった。また、その粘度発現性にも優れていた。また、3分後の粘度C及び30分後の粘度Bに基づく粘度比C/Bは、表中の数値から明らかなように、0.65と高い数値を示した。このように、二次造粒といった多段階造粒により製造した場合も、分散性及び粘度発現性に優れていることが確認された。

Claims (6)

  1. 増粘多糖類をバインダー液を用いて造粒する工程を有する、増粘多糖類含有製剤の製造方法であり、
    前記バインダー液の成分として、アラビアガム及びプルランを用いることを特徴とする、
    増粘多糖類含有製剤の製造方法。
  2. 前記造粒工程において、アラビアガム及びプルランを含有するバインダー液を用いることを特徴とする、請求項1に記載の増粘多糖類含有製剤の製造方法。
  3. 前記増粘多糖類が、キサンタンガム、カラギナン、ガラクトマンナン、ペクチン、ジェランガム及びアルギン酸類からなる群から選択される1種以上を含有するものである、請求項1又は2に記載の増粘多糖類含有製剤の製造方法。
  4. 前記バインダー液の成分として用いるプルラン及びアラビアガムの割合が、プルラン1質量部に対して、アラビアガム0.05〜20質量部の割合である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の増粘多糖類含有製剤の製造方法。
  5. 2以上の造粒工程を含み、少なくとも一つの造粒工程時に、アラビアガム又はプルランのいずれか一方の成分を含有するバインダー液を用いて造粒し、前記一つの造粒工程とは異なる少なくとも一つの造粒工程時に、前記一つの造粒工程において用いなかったアラビアガム又はプルランのいずれか一方の成分を少なくとも含有するバインダー液を用いて造粒する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の増粘多糖類含有製剤の製造方法。
  6. 増粘多糖類をバインダー液を用いて造粒する工程を有する、増粘多糖類を含有する製剤の液体への分散性を向上させる方法であり、
    前記バインダー液の成分として、アラビアガム及びプルランを用いることを特徴とする、増粘多糖類を含有する製剤の液体への分散性を向上させる方法。
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