JP6370546B2 - 糊料製剤 - Google Patents

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Description

本発明は、糊料製剤に関する。
キサンタンガム、カラギナン、グァーガム、タラガム、ローカストビーンガムあるいはペクチンなどに代表される高粘性糊料は、目的物(例えば、飲食品、医薬品、医薬部外品、香粧品、又は塗料等)へのとろみ(粘度)付与や、目的物のゲル化等を目的として、従来から広く用いられている。高粘性糊料を多量(例えば、10質量%以上)に含む糊料製剤として、現在、市販されている剤形は主に、粉末状、顆粒状、及び液体状の3タイプが存在する。
液体状の糊料製剤は粉末状、及び顆粒状の糊料製剤と比べて、ダマが発生しないという利点を有するが、目的物に糊料製剤を添加した際に、糊料製剤が希釈されるという欠点を抱える。添加時に糊料製剤が希釈されると、糊料本来の機能を発揮させることが難しい。例えば、目的物に十分なとろみを付与できない、目的物に十分なとろみを付与するためには製剤中の糊料濃度を高濃度に調整する必要があるが、糊料濃度を高めることで、糊料製剤自体の粘度が極めて高粘度となり、容器、包材への充填や殺菌、さらには使用時の取り扱いが困難になる等の欠点を抱えている。
一方、粉末状又は顆粒状の糊料製剤は、液体状糊料製剤に比べて、保存性及び取り扱いに優れる観点から、現在の糊料製剤の主流となっている。
しかし、粉末状の高粘性糊料は極めてダマを生じやすい。ダマを回避する一手段としては、粉末状の高粘性糊料を顆粒化する手法が挙げられるが、この場合は、得られる顆粒状の糊料製剤が嵩高くなり、大量に運搬できないだけでなく、保存に広いスペースが必要となる。また、粉末状及び顆粒状の糊料製剤は、一般的に大容量の密封保存容器で提供され、使用毎に必要な量を計量する形態をとる。そのため、使用者は使用毎に必要量を量り取る手間があり、またどれだけの量を加えて良いか分かりにくいという問題も有している。更には、経時的に粉末や顆粒が吸湿しやすい、計量の繰り返しによって衛生状態が低下する、保存容器内で分級が生じることなども懸念される。
上記課題に鑑み、本発明者は、取扱いに優れる糊料製剤の剤形として、圧縮成型で糊料製剤を固形化する手法を検討した(例えば、錠剤型、板状等への成型)。しかし、本来、ダマになりやすい高粘性糊料を圧縮成型すると、糊料が押し固められるため、ダマを生じさせることなく固形状の糊料製剤を崩壊、分散させることがより一層困難となり、結果として糊料本来の機能を発揮させることが難しい。
「ダマ」は粉末状の高粘性糊料を目的物(例えば、水分を含有する飲食品、医薬品、医薬部外品、香粧品、又は塗料等)中に添加した際に、当該粉末の集合体の表面部分のみが水和、溶解し、集合体内部まで水分が移行しない(内部が粉末状態で残存する)ことにより形成される。粉末状又は顆粒状の高粘性糊料を圧縮成型し(押し固め)、固形状に調製すると、得られる固形状糊料製剤は、より一層内部への水の移行が困難となる。詳細には、表面部分に存在する高粘性糊料のみが水和し、固形状糊料製剤の表面を被覆するため、製剤の崩壊が非常に困難となる。さらには、崩壊した場合であっても、ダマが多数発生してしまう。
現在主流となっている顆粒状の糊料製剤は、内部に水を浸入させやすくするために、適度に空隙を設けている。しかし、顆粒状の糊料製剤であっても、圧縮成型することで空隙がつぶれて分散しないものになる。以上のことから、高粘性糊料の崩壊性、分散性を維持した状態で、高粘性糊料製剤を固形状に圧縮成型することは技術的に不可能であると考えられてきた。
高粘性糊料を10重量%以上含有し、固形状に成型した技術として、特許文献1には、糊料を主成分として0.5〜40重量%含み、さらに糖類及びセルロースのうち1以上を含む、打錠により固形状に成型されたゼリー状組成物の素が開示されている。
しかし、特許文献1に開示された技術は、「加水処理することによりその成型された状態を崩さずにゼリー状になるように調整されていること」を特徴とする技術であり、目的物に添加することで容易に崩壊、分散する固形状の糊料製剤を想起する記載は一切ない。
特許第4360760号公報
上記従来技術に鑑み、本発明では、固形状に成型することの利点(優れた携帯性、計量性、取扱い性、衛生面等)を活かしつつ、糊料製剤としての優れた適性(良好な崩壊性、分散性)を有する固形状の糊料製剤を提供することを目的とする。例えば、手撹拌のような緩い撹拌条件で容易に崩壊し、短時間のうちにダマを生じることなく分散する固形状の糊料製剤を提供することを目的とする。
この発明に係る糊料製剤は、キサンタンガム、カラギナン、グァーガム、タラガム、ローカストビーンガム、及びペクチンからなる群から選択される少なくとも一種以上の高粘性糊料を10〜45質量%と、下記成分(A)を含有し、圧縮成型された固形状製剤であることを特徴とする;
(A)アルギン酸、アルギン酸カルシウム及びキチンからなる群から選択される少なくとも一種以上:15〜50質量%。
詳細には、本発明は以下の態様である;
(項1)キサンタンガム、カラギナン、グァーガム、タラガム、ローカストビーンガム、及びペクチンからなる群から選択される少なくとも一種以上の高粘性糊料を10〜45質量%含有し、さらに下記成分(A)を15〜50質量%含有することを特徴とする、固形状に圧縮成型された糊料製剤。
(A)アルギン酸、アルギン酸カルシウム及びキチンからなる群から選択される少なくとも一種以上
本発明において、項1には以下の態様が含まれる;
(項1−2)前記アルギン酸が、ナトリウム含量が1.5質量%以下のアルギン酸である、項1に記載の糊料製剤。
(項1−3)前記高粘性糊料1質量部に対し、前記成分(A)を0.5〜5質量部含有する、項1に記載の糊料製剤。
(項1−4)金属塩を含有する、項1に記載の糊料製剤。
(項1−5)金属塩含量が0.2〜10質量%である、項1−4に記載の糊料製剤。
(項1−6)咀嚼・嚥下機能低下者用の糊料製剤、又は調理用の糊料製剤である、項1、又は項1−2〜項1−5のいずれかに記載の糊料製剤。
本発明はまた、以下の態様を有する;
(項2)前記高粘性糊料が、圧縮成型前に顆粒化されていることを特徴とする、項1に記載の糊料製剤。
以上述べたように、この発明による固形状糊料製剤は、固形状に圧縮成型されているにも関わらず、対象目的物に添加して撹拌するのみで、簡便に、当該目的物にとろみや、ゲル化性を付与することができる。例えば、手撹拌といった極めて緩い撹拌条件であっても、水中で容易に固形状の糊料製剤が崩壊し、短時間のうちにダマを生じることなく分散し、対象目的物にとろみやゲル化性を付与できる。更に、本発明による糊料製剤は固形状(例えば、錠剤型、板状等)に成型されているため、持ち運びが容易であり、使用量も明確で分かり易い。更には、衛生的に優れるという利点も有する。
実施例7−1の固形状糊料製剤(錠剤型)2錠を100gイオン交換水に添加し、30秒間撹拌した後の状態を示す写真である(実験例7における溶解性試験)。 比較例7−1の固形状糊料製剤(錠剤型)2錠を100gイオン交換水に添加し、30秒間撹拌した後の状態を示す写真である(実験例7における溶解性試験)。 実施例9−1の固形状糊料製剤(錠剤型)4錠を100gの水、お茶及びアイソトニック飲料に溶解し、経時的に粘度を測定した結果を示すグラフである(実験例9における粘度発現性試験)。
本発明にかかる固形状糊料製剤は、キサンタンガム、カラギナン、グァーガム、タラガム、ローカストビーンガム、及びペクチンからなる群から選択される少なくとも一種以上の高粘性糊料を10〜45質量%含有する。高粘性糊料の含量が10質量%未満では、目的物に十分なとろみやゲル化性を付与することができず、とろみやゲル化性付与に必要な製剤量が多くなる、若しくは必要以上に製剤を大型化しなければならない。
本観点からは、固形状糊料製剤に含まれる上記高粘性糊料の含量が高い程望ましい。しかし、従来技術では、高粘性糊料の含量が10質量%以上となると、圧縮成型により押し固められた高粘性糊料が目的物中で崩壊、分散せず、糊料製剤としての本来の機能を果たすことが非常に困難であった。具体的には、表面部分に存在する高粘性糊料のみが水和し、固形状糊料製剤の表面を被覆するため、崩壊が非常に困難となる。
かかる中、本発明では、アルギン酸、アルギン酸カルシウム及びキチンからなる群から選択される少なくとも一種以上を15〜50質量%用いることで、前記高粘性糊料を10質量%以上含有する固形状糊料製剤であっても、目的物中で容易に糊料製剤が崩壊、分散し、簡便に糊料本来の機能を発揮(例えば、とろみ付与など)できるという、従来技術から当業者が容易に想到することができない、驚くべき効果を奏する。
本発明で用いるキサンタンガム、カラギナン、グァーガム、タラガム、ローカストビーンガム、及びペクチンからなる群から選択される少なくとも一種以上の高粘性糊料は、糊料製剤に用いる素材として多用されている糊料である。中でもキサンタンガムは、特有の水和速度の速さから、とろみ(粘度)付与に好適な素材である。しかし、水和速度の速さから顕著にダマが発生しやすく、固形状に成型した糊料製剤を崩壊、分散させ、糊料本来の機能を発揮させることが非常に難しい。
かかるところ、本発明によれば、高粘性糊料としてキサンタンガムを用いた場合であっても、固形状の糊料製剤が目的物中で容易に崩壊、分散し、目的物に簡便にとろみを付与することができる。固形状糊料製剤中における、キサンタンガム、カラギナン、グァーガム、タラガム、ローカストビーンガム、及びペクチンからなる群から選択される少なくとも一種以上の高粘性糊料の含量の上限は、崩壊性及び分散性の観点から、45質量%である。好ましい含量は、15〜40質量%、より好ましくは20〜40質量%、更に好ましくは25〜35質量%である。
本発明にかかる固形状糊料製剤は、前記高粘性糊料に加え、下記成分(A)を含有する;
(A)アルギン酸、アルギン酸カルシウム及びキチンからなる群から選択される少なくとも一種以上:15〜50質量%。
アルギン酸、アルギン酸カルシウム及びキチンからなる群から選択される少なくとも一種以上の含量が15質量%未満では、固形状糊料製剤が目的物中で崩壊しにくく、結果として分散性が悪化し、高粘性糊料本来の機能を発揮させることが難しい。50質量%を超えた場合は、ざらつきが生じ、目的物(特に、水分を含有する液状飲食品に使用した場合)の食感が悪化する傾向がある。好ましくは15〜45質量%、更に好ましくは15〜35質量%である。
本発明では、固形状糊料製剤の崩壊性改善を目的として、アルギン酸、アルギン酸カルシウムを使用することを特徴とし、アルギン酸ナトリウムや、アルギン酸プロピレングリコールエステル等を用いた場合には、本発明の効果が得られない。同様に、本発明で用いるキチンはエビやカニなどの甲殻類、節足動物、軟体動物、腕足動物、コケムシ類や菌類の構成多糖類として、広く自然界に存在するアミノ多糖類(糊料の一種)であるが、当該キチンからアセチル基を除去したキトサンでは本発明の効果が得られない。
本発明では、前記アルギン酸の中でも、ナトリウム含量が1.5質量%以下のアルギン酸を用いることが好ましい。ナトリウム含量が1.5質量%以下のアルギン酸を用いることで、崩壊性及び分散性が非常に優れた固形状糊料製剤を提供できる。
キサンタンガム、カラギナン、グァーガム、タラガム、ローカストビーンガム、及びペクチンからなる群から選択される少なくとも一種以上の高粘性糊料に対する、前記成分(A)の配合割合は特に制限されない。固形状糊料製剤の崩壊性、分散性改善の観点からは、高粘性糊料1質量部に対し、成分(A)を0.5〜5質量部、好ましくは0.5〜4質量部、更に好ましくは1〜4質量部配合することが望ましい。
本発明にかかる固形状糊料製剤は、前記高粘性糊料及び成分(A)を含有することを特徴とするが、その他の成分として、賦形剤、金属塩、発泡剤等を含有することができる。
例えば、賦形剤は、圧縮成型の際、又は高粘性糊料を顆粒化する際などに用いることができる。賦形剤を用いることで、固形状糊料製剤の崩壊性及び分散性をより向上できる。固形状糊料製剤中、賦形剤の含量は特に制限されないが、通常、10〜70質量%、好ましくは15〜60質量%である。当該含量が10質量%未満では十分な崩壊性、分散性が得られない場合があり、70質量%を超えると、相対的に高粘性糊料含量が減少するため、糊料製剤としての機能を十分に発揮することができない場合がある。例えば、目的物に添加する固形状糊料製剤の添加量(例えば、錠剤数など)を増加させる、固形状糊料製剤を大型化する必要性が出てくる場合がある。
賦形剤の種類は特に制限されないが、好ましくは、飲食品に使用可能な水溶性糖類である。例えば、単糖類(例えば、グルコース、ガラクトース、フルクトース等)、二糖類(例えば、ショ糖、乳糖、麦芽糖等)、糖アルコール(例えば、キシリトール、ソルビトール等)、澱粉分解物(例えば、デキストリン、粉飴等)、又はオリゴ糖などである。
金属塩の使用は、固形状糊料製剤の崩壊性及び分散性を大幅に向上でき、併用することが好ましい。金属塩の種類は特に制限されず、通常、ナトリウム塩、カリウム塩、又はカルシウム塩等を使用できる。例えば、塩化カルシウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、乳酸カルシウム、クエン酸ナトリウム(クエン酸一ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、クエン酸三ナトリウム)などを例示できる。好ましくは、塩化カルシウム、塩化カリウム及びクエン酸ナトリウムからなる群から選択される一種以上である。
固形状糊料製剤における金属塩の含量は特に制限されない。好ましくは、0.2〜10質量%、更に好ましくは1〜8質量%である。当該含量が0.2質量%未満では、高粘性糊料の種類や含量によっては、固形状糊料製剤が崩壊したとしても、高粘性糊料に由来してダマが生じる場合がある。10質量%を超えると、目的物、特に飲食品に対する風味への影響が強く出るため好ましくない。なお、本発明で用いる金属塩は無水物、結晶水を持つもの、又はこれらの混合物が考えられるが、本発明における上記添加量は、無水物換算値を示す。
発泡剤は、水分を含有する目的物中で泡を発生させる素材を広く使用できる。例えば、炭酸塩及び有機酸の組合せが挙げられる。炭酸塩として、例えば炭酸水素ナトリウム(重曹)が挙げられ、有機酸としては、常温で固体の有機酸(例えばクエン酸、コハク酸、リンゴ酸、アジピン酸、グルコン酸、グルクロン酸、フマル酸、マロン酸、酒石酸、アスコルビン酸など)が挙げられる。
固形状糊料製剤中における好ましい発泡剤(例えば、炭酸塩及び有機酸の組合せなど)の含量は特に制限されないが、通常、1〜20質量%、好ましくは1〜10質量%である。より詳細には、炭酸水素ナトリウムが1〜10質量%、及び有機酸が1〜10質量%である。炭酸水素ナトリウム又は有機酸の含量が10質量%を超えると味に対する影響が大きく好ましくない。炭酸水素ナトリウムは一般的に入手可能なものであればよく、より簡便には市販の重曹を使用できる。炭酸水素ナトリウム又は有機酸が1質量%未満であると発泡が不十分になる可能性がある。
本発明にかかる糊料製剤は、固形状に圧縮成型されていることを特徴とする。例えば、錠剤型、板状(例.シート状など)等である。本発明において「圧縮成型」とは、圧力をかけて粉末品、顆粒品等を固形状に固めることをいう。本発明では、圧縮成型時に型を用いても良く、型を用いずに、ローラー等で固形状に成型しても良い。高粘性糊料製剤を固形状に成型することで、粉体状、顆粒状や液体状の糊料製剤に比べて携帯性に優れ、また、糊料使用時に容易に一定量を量り取ることができるため、計量性や取扱いに優れ、さらに衛生面にも優れるという特徴を有する。
固形状糊料製剤の剤形は特に制限されないが、好ましくは錠剤型である。錠剤とは、有効成分又は有効成分に賦形剤等を加えたものを圧縮成型により一定の形に調製した固形状製剤のことである。本発明においては、高粘性糊料を有効成分ととらえる。
本発明にかかる固形状糊料製剤として錠剤型を選択する場合、錠剤型糊料製剤の硬度を、10〜70Nに調整することが好ましい。硬度が低いほど、固形状糊料製剤の崩壊性は良好になるが、硬度が10N未満であると、軽く指で押しただけでも錠剤に割れ・欠けが生じてしまう場合があり、輸送中、携帯時の保形性が担保できず、実用性に劣る場合がある。硬度が70Nを超えると、固形状糊料製剤が水中で崩壊しにくく、分散性が極端に悪化する場合がある。好ましくは15〜60N、より好ましくは15〜40Nである。本発明において、硬度は、テクスチャーアナライザーTA−XT plus(Stable Micro Systems社)により測定した値をいう。
また、本発明にかかる固形状糊料製剤として錠剤型を選択する場合、錠剤型糊料製剤の大きさを5〜20mmφに調整することが好ましい。あまりに小さい錠剤であると、目的物に十分なとろみを付けるのに大量の錠剤が必要となってしまい、携帯性や取り扱いに優れるという本発明の効果が薄れてしまう場合がある。一般的に錠剤が5mmφ以上では崩壊性が極端に低下する傾向があるが、本発明では5〜20mmφの錠剤、特には10mmφ以上であっても極めて良好な崩壊性を示すという利点を有する。
本発明の固形状糊料製剤は、本発明の効果を妨げない範囲において、他の高粘性糊料を併用することができる。その他、本発明の効果を妨げない範囲において、崩壊剤、滑沢剤や、飲食品、医薬品、医薬部外品、香粧品又は塗料等の原料成分など、その他の成分を含んでも構わない。
本発明によって得られた固形状糊料製剤は、対象目的物にとろみを付与する糊料製剤として有用に利用できる。本発明において目的物の種類は特に制限されず、飲食品、医薬品、医薬部外品、香粧品、又は塗料等を例示できる。好ましくは飲食品である。例えば、水、お茶、ジュース、牛乳、スープ、味噌汁、流動食、主食、惣菜、ミキサー食、又はペースト食等が挙げられる。目的物に含まれる水分含量は特に制限されないが、固形状糊料製剤の崩壊性及び分散性の観点からは、通常、水分含量が60質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上となるように、固形状糊料製剤を添加する前に、水を添加するなどして、対象目的物の水分含量を調整することが好ましい。
本発明にかかる固形状糊料製剤は、特に、とろみ剤として有用性が高い。更に、本発明にかかる固形状糊料製剤は、崩壊性が良好であり、ダマが生じにくいという利点を有するため、手撹拌(例えば、150〜300rpm程度の回転数)などの緩い撹拌条件によっても、目的物にとろみを付与することができる。本観点から、本発明の固形状糊料製剤は、とろみ剤の中でも、咀嚼・嚥下機能低下者用のとろみ剤や、調理用のとろみ剤として極めて有用性が高い。
従来技術では、キサンタンガム、カラギナン、グァーガム、タラガム、ローカストビーンガム、及びペクチンからなる群から選択される少なくとも一種以上の高粘性糊料を10〜45質量%含有し、かつ目的物中で容易に崩壊、分散し、短時間でとろみを付与する固形状糊料製剤を提供することは到底想定できず、本発明にかかる固形状糊料製剤は、従来の糊料製剤にはない極めて顕著な効果を奏する。
本発明の固形状糊料製剤は、上記原料を含有する混合粉体及び/又はその顆粒を圧縮成型することで製造できる。かかる点、本発明は下記に示す固形状糊料製剤の製造方法にも関する;
キサンタンガム、カラギナン、グァーガム、タラガム、ローカストビーンガム、及びペクチンからなる群から選択される少なくとも一種以上の高粘性糊料を10〜45質量%と、下記成分(A)を混合後、固形状に圧縮成型することを特徴とする、固形状糊料製剤の製造方法;
(A)アルギン酸、アルギン酸カルシウム及びキチンからなる群から選択される少なくとも一種以上:15〜50質量%。
圧縮成型は、圧力をかけて粉末品、顆粒品等を固形状に固めることが可能な方法であれば特に制限されない。例えば、固形状の剤形として、錠剤型を選択する場合には、単発打錠機、卓上錠剤成型機などの打錠装置を使用できる。打錠装置は目的とする錠剤の量や大きさにより適宜選択することが可能である。また粉末や顆粒を臼に供給するフィーダー部は、粉末の流動性や顆粒の大きさから、撹拌フィーダーやオープンフィーダーなどフィーダーの種類を選択することができる。
本発明にかかる固形状糊料製剤は、キサンタンガム、カラギナン、グァーガム、タラガム、ローカストビーンガム、及びペクチンからなる群から選択される少なくとも一種以上の高粘性糊料が、圧縮成型前に顆粒化されていることが好ましい。
例えば、前記高粘性糊料を顆粒化後、成分(A)と混合して圧縮成型する方法、
前記高粘性糊料及び成分(A)を各々顆粒化後、混合して圧縮成型する方法、
前記高粘性糊料及び成分(A)を粉体混合後、顆粒化し、圧縮成型する方法等が挙げられる。なお、顆粒化時には、必要に応じて賦形剤を混合できる。
任意で併用可能な素材(例えば、賦形剤、金属塩、発泡剤等)の顆粒化の有無は問わない。また、金属塩は必要に応じて、高粘性糊料を顆粒化する際にバインダー液に添加しても良い。
固形状糊料製剤中の高粘性糊料含量が高い場合、例えば30〜45質量%である場合は、高粘性糊料を二段造粒しても良い。例えば、予め、キサンタンガム、カラギナン、グァーガム、タラガム、ローカストビーンガム、及びペクチンからなる群から選択される少なくとも一種以上の高粘性糊料を顆粒化し、当該顆粒品と成分(A)を混合後、再度顆粒化する方法が挙げられる。この場合、任意で添加可能な素材(賦形剤、金属塩又は発泡剤等)は、顆粒段階又は圧縮成型段階のいずれの段階で添加してもよい。
または、予め、キサンタンガム、カラギナン、グァーガム、タラガム、ローカストビーンガム、及びペクチンからなる群から選択される少なくとも一種以上の高粘性糊料を顆粒化し、当該顆粒品と、賦形剤等を混合後、再度顆粒化する方法等が挙げられる。本方法では、成分(A)は、圧縮成型時に添加できる。なお、前記と同様、任意で添加可能な素材(賦形剤、金属塩又は発泡剤等)は、顆粒段階又は圧縮成型段階のいずれの段階で添加してもよい。
上記で例示したいずれの方法も、高粘性糊料に対して二段階の造粒工程が行われている。つまり、圧縮成型時に用いる高粘性糊料は二段階の造粒を経た二次造粒品(二次顆粒品)である。
顆粒化の方法は特に制限されない。通常、造粒法により顆粒化される。最も好ましくは流動層造粒法である。その他、転動造粒法、複合造粒法、撹拌造粒法、押出し造粒法、噴霧乾燥造粒法、真空凍結造粒法などで造粒した顆粒を用いても構わない。
以下に、実施例を用いて本発明を更に詳しく説明する。ただし、これらの例は本発明を制限するものではない。
実験例1:高粘性糊料を含有する固形状糊料製剤
固形状糊料製剤の崩壊性、分散性を試験するために各種素材を用いて固形状糊料製剤(錠剤型)を調製した。
(固形状糊料製剤の調製)
表1の処方に基づき、以下に示す製法に従って固形状糊料製剤を調製した。
表1に示すキサンタンガム、デキストリンを粉体混合し、バインダー液に水を用いて流動層造粒にて顆粒を調製した。次いで、調製した顆粒、並びに粉体部(表1に示す量の各種素材(アルギン酸、アルギン酸カルシウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、キチン、キトサン)、及び乳糖)を混合し、卓上錠剤成型機(市橋精機)を用いて打圧2.5kNで圧縮成型(打錠)した。1錠当たり0.5gとなるように固形状糊料製剤(錠剤型)を調製した(錠剤サイズ10mmφ)。得られた実施例1−1〜1−4及び比較例1−1〜1−2の固形状糊料製剤(錠剤型)について、溶解性試験(崩壊性、分散性)を行なった。結果を表1に示す。
注1)ナトリウム含量が0.5質量%のアルギン酸を使用。
注2)ナトリウム含量が1質量%のアルギン酸を使用。
(固形状糊料製剤(錠剤型)の溶解性試験)
100mlのビーカーにイオン交換水100gを量り、恒温槽中20℃に調温した。ビーカーに長さ2cmの回転子を入れた状態でスターラー(アズワン社製REXIM)にのせ、水がこぼれないようにゆっくりと回転数を240rpmまで上げた。240rpmは手撹拌を再現するための撹拌条件である。そこに、固形状糊料製剤2錠(計1g)を加え、30秒間撹拌し、撹拌後の状態を下の基準で判断した。
(溶解性 評価基準)
− :固形状糊料製剤(錠剤型)が完全に崩壊し、高粘性糊料もダマを生じることなく良好に分散する。
± :固形状糊料製剤(錠剤型)がほぼ崩壊し、高粘性糊料も大きなダマを生じることなく良好に分散する。
+ :固形状糊料製剤(錠剤型)が部分的に崩壊(一錠の半分以上)し、崩壊した部分は高粘性糊料が分散するが、未崩壊部分が残存する。
++ :固形状糊料製剤(錠剤型)は一部崩壊するが、半分以上塊として残り、高粘性糊料も分散しない。
+++:固形状糊料製剤(錠剤型)表面のみ水和し、全く崩壊しない。
アルギン酸、アルギン酸カルシウム、及びキチンを各々使用した実施例1−1〜1−4の固形状糊料製剤(錠剤型)は、20〜30Nと実用的な硬度を有しつつも、手撹拌を想定した緩い撹拌条件(240rpm)でも容易に錠剤が崩壊し、かつキサンタンガムがダマを生じることなく分散し、良好な溶解性を示した。
更には、実施例1−1の固形状糊料製剤は3分といった極めて短時間で水にとろみを付けることもでき、とろみ剤として優れた利点を有していた。
また、キサンタンガムに代えて、ガラクトマンナン(グァーガム、ローカストビーンガム、タラガム)、カラギナン、又はペクチンを用いる以外は実験例1−1と同様にして、固形状糊料製剤(錠剤型)を調製したところ、いずれの糊料製剤も、キサンタンガムを用いた場合と同様に、実用的な硬度を有しつつも、手撹拌を想定した緩い撹拌条件(240rpm)で容易に錠剤が崩壊し、かつダマを生じることなく良好な溶解性を示した。
実験例2:高粘性糊料を含有する固形状糊料製剤(アルギン酸含量に関する試験)
表2の処方に基づき、高粘性糊料を含有する固形状糊料製剤(錠剤型)を製造した。
具体的には、表2に示すキサンタンガム、アルギン酸、及びデキストリンを粉体混合し、バインダー液に水を用いて流動層造粒にて顆粒を調製した。次いで、調製した顆粒、及び粉体部に示す量の塩化カリウム(無水物)及び乳糖を混合し、単発打錠機(AIKHOエンジニアリング)にて実験例1と同様の硬度20〜30Nに圧縮成型(打錠)した。1錠当たり0.5gとなるように錠剤を調製した。得られた実施例2−1〜2−4及び比較例2−1の固形状糊料製剤(錠剤型)について、実験例1と同様に溶解性試験を行なった。結果を表2に示す。
固形状糊料製剤におけるアルギン酸含量を15〜40質量%に調整した、実施例2−1〜2−4の錠剤は、実験例1と同様の実用的な硬度を有しつつも、手撹拌を想定した緩い撹拌条件(240rpm)で容易に錠剤が崩壊し、かつキサンタンガムがダマを生じることなく良好な溶解性を示した。
更には、短時間で十分なとろみを付けることができ、とろみ剤として非常に優れていた。
アルギン酸含量が10質量%の比較例2−1は、錠剤の表面のみ水和し、錠剤自体が崩壊せず、溶解性が非常に悪かった。
実験例3:高粘性糊料を含有する固形状糊料製剤(高粘性糊料含量に関する試験)
表3の処方に基づき、高粘性糊料を含有する固形状糊料製剤(錠剤型)を製造した。
具体的には、表3に示すキサンタンガム、アルギン酸、デキストリン、及び塩化カリウム(無水物)を粉体混合し、バインダー液に水を用いて流動層造粒にて顆粒を調製した。次いで、調製した顆粒、及び粉体部に示す量の乳糖、及び発泡剤(重曹及びクエン酸)を混合し、単発打錠機(AIKHOエンジニアリング)にて実験例1と同様の硬度20〜30Nに圧縮成型(打錠)した。1錠当たり0.5gとなるように錠剤を調製した。得られた実施例3−1〜3−3の固形状糊料製剤(錠剤型)について、実験例1と同様に溶解性試験を行なった。結果を表3に示す。
固形状糊料製剤におけるキサンタンガム含量を15〜40質量%に調整した、実施例3−1〜3−3の錠剤は、実験例1と同様の実用的な硬度を有しつつも、手撹拌を想定した緩い撹拌条件(240rpm)で容易に錠剤が崩壊し、かつキサンタンガムがダマを生じることなく良好な溶解性を示した。
特に実施例3−3の錠剤は、キサンタンガム含量が40質量%と高含量であるにも関わらず、緩い撹拌条件で容易に錠剤が崩壊し、かつキサンタンガムがダマを生じることなく容易に溶解していた。更には、短時間で十分なとろみを付けることができ、とろみ剤として非常に優れていた。
なお、乳糖含量を減らし、キサンタンガム含量を50質量%に増加させた錠剤を調整したが、錠剤の表面のみ水和し、錠剤自体が崩壊せず、溶解性が非常に悪かった。
実験例4:高粘性糊料を含有する固形状糊料製剤(高粘性糊料の検討)
表4の処方に基づき、高粘性糊料を含有する固形状糊料製剤(錠剤型)を製造した。
具体的には、表4に示す高粘性糊料(キサンタンガム、カラギナン、グァーガム)、アルギン酸、デキストリン、及び塩化カリウム(無水物)を粉体混合し、バインダー液に水を用いて流動層造粒にて顆粒を調製した。次いで、調製した顆粒、及び粉体部に示す量の乳糖、及び発泡剤(重曹及びクエン酸)を混合し、単発打錠機(AIKHOエンジニアリング)にて実験例1と同様の硬度20〜30Nに圧縮成型(打錠)した。1錠当たり0.5gとなるように錠剤を調製した。
得られた実施例4−1〜4−3の固形状糊料製剤(錠剤型)について、実験例1と同様に溶解性試験を行なった。結果を表4に示す。
高粘性糊料としてカラギナンを用いた実施例4−2、及びグァーガムを用いた実施例4−3の錠剤は、キサンタンガムと同様の実用的な硬度を有しつつも、手撹拌を想定した緩い撹拌条件(240rpm)で容易に錠剤が崩壊し、かつ高粘性糊料がダマを生じることなく良好な溶解性を示した。また、実施例4−1〜4−3のいずれの錠剤も短時間で十分なとろみを付けることができ、とろみ剤としても非常に優れた性能を有していた。
実験例5:高粘性糊料を含有する固形状糊料製剤(金属塩含量に関する試験)
表5の処方に基づき、高粘性糊料を含有する固形状糊料製剤(錠剤型)を製造した。
具体的には、表5に示すキサンタンガム、アルギン酸、デキストリン、及び塩化カリウム(無水物)を粉体混合し、バインダー液に水を用いて流動層造粒にて顆粒を調製した。次いで、調製した顆粒、及び粉体部に示す量の乳糖を混合し、単発打錠機(AIKHOエンジニアリング)にて実験例1と同様の硬度20〜30Nに圧縮成型(打錠)した。1錠当たり0.5gとなるように錠剤を調製した。
得られた実施例5−1〜5−3の固形状糊料製剤(錠剤型)について、実験例1と同様に溶解性試験を行なった。結果を表5に示す。
固形状糊料製剤における塩化カリウム(無水物)含量を0.2〜10質量%に調整した、実施例5−1〜5−3の錠剤は、実験例1と同様の実用的な硬度を有しつつも、手撹拌を想定した緩い撹拌条件(240rpm)で容易に錠剤が崩壊し、かつキサンタンガムがダマを生じることなく良好な溶解性を示した。
また、実施例5−1〜5−3のいずれの錠剤も短時間で十分なとろみを付けることができ、とろみ剤として非常に優れた性能を有していた。
実験例6:高粘性糊料を含有する固形状糊料製剤(金属塩の検討)
表6の処方に基づき、高粘性糊料を含有する固形状糊料製剤(錠剤型)を製造した。
具体的には、表6に示すキサンタンガム、アルギン酸、デキストリン、及び金属塩(塩化カリウム(無水物)、塩化カルシウム、クエン酸三ナトリウム)を粉体混合し、バインダー液に水を用いて流動層造粒にて顆粒を調製した。次いで、調製した顆粒、及び粉末部に示す量の乳糖、及び発泡剤(重曹及びクエン酸)を混合し、単発打錠機(AIKHOエンジニアリング)にて実験例1と同様の硬度20〜30Nに圧縮成型(打錠)した。1錠当たり0.5gとなるように錠剤を調製した。
得られた実施例6−1〜6−3の固形状糊料製剤(錠剤型)について、実験例1と同様に溶解性試験を行なった。結果を表6に示す。
金属塩として塩化カルシウムを用いた実施例6−2、及びクエン酸三ナトリウムを用いた実施例6−3の錠剤は、塩化カリウムと同様の実用的な硬度を有しつつも、手撹拌を想定した緩い撹拌条件(240rpm)で容易に錠剤が崩壊し、かつ高粘性糊料がダマを生じることなく良好な溶解性を示した。また、実施例6−1〜6−3のいずれの錠剤も短時間で十分なとろみを付けることができ、とろみ剤としても非常に優れた性能を有していた。
実験例7:高粘性糊料を含有する固形状糊料製剤(各種素材の検討)
固形状糊料製剤の崩壊性、分散性を試験するために各種素材を用いて固形状糊料製剤(錠剤型)を調製した。
(固形状糊料製剤の調製)
基本処方を表7に、用いた各種素材を表8に示す。固形状糊料製剤は、以下に示す製法に従って調製した。
表7、8に示すキサンタンガム、各種素材(アルギン酸、アルギン酸カルシウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、キチン、キトサン)、デキストリン、及び塩化カリウムを粉体混合し、バインダー液に水を用いて流動層造粒にて顆粒を調製した。次いで、調製した顆粒、及び表7に示す量の乳糖、及び発泡剤(重曹及びクエン酸)(いずれも粉末状))を混合し、卓上錠剤成型機(市橋精機)を用いて打圧2.5kNで圧縮成型(打錠)した。1錠当たり0.5gとなるように固形状糊料製剤(錠剤型)を調製した(錠剤サイズ10mmφ)。得られた実施例7−1〜7−4及び比較例7−1〜7−2の固形状糊料製剤(錠剤)について、溶解性試験(崩壊性、分散性)を行なった。結果を表8に示す。
注3)テクスチャーアナライザーTA−XT plus(Stable Micro Systems社)を使用して、1錠(錠剤サイズ10mmφ)に対して圧縮速度2mm/secで一軸圧縮測定した(プランジャーのサイズ:50mmφ、材質:ステンレス製)。破断荷重を錠剤の硬度とした。5錠の測定値を平均し、錠剤硬度とした。
アルギン酸カルシウム、アルギン酸、及びキチンを各々使用した実施例7−1〜7−4の固形状糊料製剤(錠剤型)は、20〜29Nと実用的な硬度を有しつつも、手撹拌を想定した緩い撹拌条件(240rpm)でも容易に錠剤が崩壊し、かつキサンタンガムがダマを生じることなく分散し、良好な溶解性を示した。
更には、実施例7−1〜7−4の固形状糊料製剤は3分といった極めて短時間で水にとろみを付けることもでき、とろみ剤として優れた利点を有していた。参考として、実施例7−1の溶解性試験時の写真を図1に示す。
一方、アルギン酸エステル及びキトサンを使用した比較例7−1及び7−2の固形状糊料製剤(錠剤型)は、錠剤の表面のみが水和し、錠剤自体が崩壊せず、キサンタンガムが分散せず、溶解性が非常に悪かった。参考として、比較例7−1の溶解性試験時の写真を図2に示す。
実施例8:高粘性糊料を含有する固形状糊料製剤
表9の処方に基づき、高粘性糊料を含有する固形状糊料製剤(錠剤型)を製造した。
具体的には、表9に示すキサンタンガム、アルギン酸、及びデキストリンを粉体混合し、バインダー液に水を用いて流動層造粒にて顆粒を調製した。次いで、調製した顆粒、及び粉体部に示す量の塩化カリウム(無水物)、乳糖、及び発泡剤(重曹及びクエン酸)を混合し、単発打錠機(AIKHOエンジニアリング)にて実験例1と同様の硬度20〜30Nに圧縮成型(打錠)した。1錠当たり0.5gとなるように錠剤を調製した。
得られた実施例8−1の固形状糊料製剤(錠剤型)について、実験例1と同様に溶解性試験を行なった。結果を表9に示す。
キサンタンガム20質量%、アルギン酸40質量%、金属塩、賦形剤(デキストリン、乳糖)、及び発泡剤(重曹及びクエン酸)を含有する実施例8−1の錠剤は、実験例1と同様の実用的な硬度を有しつつも、手撹拌を想定した緩い撹拌条件(240rpm)で容易に錠剤が崩壊し、かつキサンタンガムがダマを生じることなく良好な溶解性を示した。
実験例9:高粘性糊料を含有する固形状糊料製剤(粘度発現性試験)
表10の処方に基づき、高粘性糊料を含有する固形状糊料製剤(錠剤型)を製造し、粘度発現性試験を行った。
具体的には、表10に示すキサンタンガム、アルギン酸、デキストリン、及び塩化カリウム(無水物)を粉体混合し、バインダー液に水を用いて流動層造粒にて顆粒を調製した。次いで、調製した顆粒、及び粉末部に示す量の乳糖、及び発泡剤(重曹及びクエン酸)を混合し、単発打錠機(AIKHOエンジニアリング)にて実験例1と同様の硬度20〜30Nに圧縮成型(打錠)した。1錠当たり0.5gとなるように錠剤を調製した。
得られた実施例9−1の固形状糊料製剤(錠剤型)について、粘度発現性の試験結果を表11に示す。
(錠剤の粘度発現性試験)
実験例9で得られた錠剤(実施例9−1)を用いて、水、お茶及びアイソトニック飲料における粘度発現(経時的な粘度変化)を評価した。200mlのビーカーに、20℃に調温した水(イオン交換水)、お茶(おーいお茶/伊藤園)、アイソトニック飲料(ポカリスウェット/大塚製薬)を各々100gずつ量りとり、スパーテルで4回転/秒の速度で撹拌しながら、各錠剤を4錠添加した。同じ撹拌速度でさらに30秒間撹拌後、スクリュー瓶に充填し、経時的な粘度変化を測定した。粘度はB型回転粘度計、12rpm、ローターNo.3を用いて測定した。
実施例9−1は、水、お茶に対して3分といった極めて短時間でとろみを付けることができ、10分で粘度を安定化させることができ、とろみ剤として非常に優れた性能を有していた。また、アイソトニック飲料に対しても同様に短時間でとろみを付けることができ、とろみ剤として非常に優れた性能を有していた。
実験例10:高粘性糊料を含有する固形状糊料製剤(二段造粒)
表12の処方に基づき、高粘性糊料を二段造粒した、固形状糊料製剤(錠剤型)を製造した。
実施例10−1では、表12に示すキサンタンガムを、バインダーに水を用いて流動層造粒にて顆粒化し、当該顆粒品とアルギン酸、デキストリン、及び塩化カリウム(無水物)を混合後、バインダー液に水を用いて流動層造粒にて再度顆粒を調製した。次いで、調製した顆粒、及び表12に示す量の乳糖、及び発泡剤(重曹及びクエン酸)を混合し、単発打錠機(AIKHOエンジニアリング)にて実験例1と同様の硬度20〜30Nに圧縮成型(打錠)した。1錠当たり0.5gとなるように錠剤を調製した。
実施例10−2では、表12に示すキサンタンガムを、バインダーに水を用いて流動層造粒にて顆粒化し、当該顆粒品とデキストリン及び塩化カリウム(無水物)を粉体混合後、バインダー液に水を用いて流動層造粒にて再度顆粒を調製した。次いで、調製した顆粒、及び表12に示す量のアルギン酸、乳糖、及び発泡剤(重曹及びクエン酸)を混合し、単発打錠機(AIKHOエンジニアリング)にて実験例1と同様の硬度20〜30Nに圧縮成型(打錠)した。1錠当たり0.5gとなるように錠剤を調製した。
得られた実施例10−1及び10−2の固形状糊料製剤(錠剤型)について、実験例1と同様に溶解性試験を行った。結果を表12に示す。
二段造粒を行なった実験例10において、アルギン酸を顆粒段階で添加した実施例10−1の錠剤、及びアルギン酸を圧縮成型段階で添加した実施例10−2の錠剤のいずれにおいても、実験例1と同様の実用的な硬度を有しつつも、手撹拌を想定した緩い撹拌条件(240rpm)で容易に錠剤が崩壊し、かつキサンタンガムがダマを生じることなく良好な溶解性を示した。

Claims (2)

  1. キサンタンガム、カラギナン、グァーガム、タラガム、ローカストビーンガム、及びペクチンからなる群から選択される少なくとも一種以上の高粘性糊料を10〜45質量%含有し、賦形剤を含有し、さらに下記成分(A)を15〜50質量%含有することを特徴とする、固形状に圧縮成型された糊料製剤。
    (A)アルギン酸、アルギン酸カルシウム及びキチンからなる群から選択される少なくとも一種以上
  2. 高粘性糊料が、圧縮成型前に顆粒化されていることを特徴とする、請求項1に記載の糊料製剤。
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