JP6037332B2 - 金属板の鋳造方法及び金属板鋳造装置 - Google Patents

金属板の鋳造方法及び金属板鋳造装置 Download PDF

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Description

本発明は、金属板の鋳造方法及び鋳造装置に関し、特に、表面性状に優れた金属板を鋳造可能な鋳造装置及び鋳造方法に関する。
例えば、アルミニウム、鋼、銅を含む多くの金属は、板材(例えば厚さ5mm〜30mm)を得るために、スラブ、インゴット等の比較的厚い(例えば厚さ150mm程度以上)の鋳造材を得た後、必要に応じて鍛造工程を経た後、熱間圧延または冷間圧延等の加工を行っている。
このような、鋳造後の加工工程を行うことをなく、鋳造工程において最終製品である板材を得ることができれば、製造コストの削減および省エネルギーの実現等多くの利点を有する。
このため、例えば特許文献1〜3等に示すように、双ロールキャスター、双ベルトキャスター、ブロックキャスター等の鋳造装置を用いて鋳造により板材を得る方法が知られている。
特許第4873626号公報 特許第2656514号公報 特公平7−63813号公報
しかし、特許文献1〜3等に示す従来の鋳造装置では、厚さ10mm以上の板材が製造できないか、できるものであっても、優れた表面性状を得ることが困難であるという問題があった。
より詳細には、鋳造材(板材)の表面、とりわけ板材にとって特に重要な主面(例えば、周囲6面のうち最も表面積の広い2面)が平滑にならず、肌荒れ等の凹凸を生ずる場合が多いという問題があった。
そこで本発明は、表面性状、とりわけ主面の表面性状に優れた板材を鋳造できる鋳造方法及び鋳造装置を提供することを目的とする。
本発明の鋳造方法は、金属の溶湯を、押圧具の押圧により追随して変形可能な側壁と冷却能を有する底板とを有する型枠内に注湯し、金属が完全に凝固する前に、冷却能を有する前記押圧具で、金属の表面を前記側壁と共に底板に向かう方向に圧下することを特徴とする。
本明細書において「溶湯」とは、完全に溶融した状態と、溶融状態と凝固状態との中間状態(半凝固状態)とを含む。
また、本発明の鋳造装置は、押圧具の押圧により変形可能な側壁と、冷却能を有する底板とを有する型枠と、
冷却能を有し、注湯された金属が完全に凝固する前に、金属の表面を前記側壁と共に底板に向かう方向に圧下するための押圧具と、を有することを特徴とする。
本発明の鋳造方法及び鋳造装置では、側壁が押圧具により付与された荷重によって押圧具の外形に追随した形状に変形されるので、押圧具が側壁によってつかえることがない。よって、金属板の鋳造時に押圧具にかけた荷重は、側壁によって妨げられることなく、型枠内の金属板に付加できる。
ここで、型枠内の金属板は完全に凝固する前に押圧具で圧下されるので、表面が容易に変形する。これにより、金属板の表面を容易に制御することができる。
本発明の製造方法及び鋳造装置によれば、表面制御を行いながら、所定の厚さの金属板を鋳造することができる。
図1は、実施の形態1に係る鋳造装置の部分切欠き斜視図である。 図2は、実施の形態1に係る鋳造装置の上面図である。 図3は、図2の2A−2A線に沿った断面図である。 図4(a)、(b)は、実施の形態1に係る鋳造装置を用いて金属板を製造する方法を説明するための図2の2B−2B線に沿った概略断面図である。 図5(a)、(b)は、実施の形態1に係る鋳造装置を用いて金属板を製造する方法を説明するための図2の2B−2B線に沿った概略断面図である。 図6は、実施の形態1に係る鋳造装置で金蔵板が鋳造されている状態を示す断面図である。 図7は、溶湯の凝固状態を説明するための図2の2B−2B線に沿った概略断面図である。 図8は、溶湯の凝固状態を説明するための概略断面図である。 図9は、溶湯の凝固状態を説明するための概略断面図である。 図10は、実施の形態1に係る鋳造装置の変形例を示す断面図である。 図11は、実施の形態1の変形例に係る鋳造装置を示す断面図である。 図12(a)、(b)は、分割底板の変形例を示す概略斜視図である 図13は、実施の形態1の変形例に係る鋳造装置を示す断面図である。 図14は、実施の形態1の変形例に係る鋳造装置を示す断面図である。 図15は、実施の形態2に係る鋳造装置の概略斜視図である。 図16(a)、(b)は、実施の形態2に係る鋳造装置を用いて金属板を製造する方法を説明するための概略断面図である。 図17は、実施の形態2の変形例1に係る鋳造装置を示す概略斜視図である。 図18(a)〜(c)は、実施の形態2の変形例1に係る鋳造装置を用いて金属板を製造する方法を説明するための概略断面図である。 図19は、実施の形態2の変形例2に係る鋳造装置を示す概略斜視図である。 図20は、実施の形態2の変形例3に係る鋳造装置を示す概略斜視図である。 図21(a)は、実施例1で製造した実施例No.2の金属板の外観写真であり、図21(b)は、実施例1で製造した実施例No.5の金属板の外観写真である。 図22(a)は、実施例1で製造した実施例No.10の金属板の断面写真であり、図22(b)は、実施例1で製造した実施例No.11の金属板の断面写真である。 図23(a)は、実施例1で製造した比較例No.1の金属板の表面写真(a)と側面写真(b)である。 図24は、実施例2に使用した鋳造装置の概略断面図である。図24(a)は実施の形態2に係る鋳造装置であり、図24(b)は、比較例に使用した鋳造装置である。 図25(a)は、実施例1で製造した実施例No.2の金属板の外観写真であり、図25(b)は、実施例1で製造した実施例No.5の金属板の外観写真である。 図26(a)は、実施例1で製造した実施例No.10の金属板の断面写真であり、図26(b)は、実施例1で製造した実施例No.11の金属板の断面写真である。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「右」、「左」及び、それらの用語を含む別の用語)を用いる。それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が限定されるものではない。また、複数の図面に表れる同一符号の部分は同一の部分又は部材を示す。
本願発明者らは、鋭意検討した結果、金属板材の鋳造を行う製造方法において、金属の溶湯を、押圧により追随して変形可能な側壁を有する型枠内に注湯し、金属が完全に凝固する前に、冷却能を有する押圧具で、金属の表面を前記側壁と共に金属板の厚み方向に圧下することで、表面性状、とりわけ主面(例えば、鋳造材の長手方向と幅方向に平行な面)の表面性状に優れた板材を鋳造できることを見出し、本願発明に至ったものである。
すなわち、本発明においては、側壁の上面が押圧具に接触して圧下され押圧具によって変形するので、金属を十分に圧下することができる。
従来の金属板鋳造装置には、次のような問題点があった。
特許文献1に開示された双ロールキャスターでは、厚さ10mm以上の金属板は鋳造することができない。
特許文献2のような双ベルトキャスターでは、厚さ10mm以上の金属板を連続鋳造することが可能であるが、装置が大変高価である。更に、高価なベルトが運転による熱と応力で変形しやすく取り替えが必要である。また、ベルトキャスターは側壁ブロックがあるため金属を十分に圧下することができないため、板の幅方向の中央部が凝固収縮により凹んだ板ができやすい。また、冷却むらが生じるため、金属組織の不均一が発生し、金属板の表面に部分的な色むらや窪みが発生しやすい。
特許文献3の単ベルトキャスターでは、上記特許文献2の問題に加え、金属板を下方向からのみ冷却するため、厚い板ができない。
また、一般的な鋳型法(型内で冷却して鋳造する方法)では上面を平坦にするために絶えず表面を均一に加熱しながら全体として冷却するには表面加熱装置及び熟練した技術を要する。
このように、簡易なバッチプロセスで、厚さ10mm以上で表面および内部が健全な厚板を鋳造する技術がなかった。
また、従来の鋳造装置では、固相液相線間の広い合金材料や凝固収縮しやすい材料、例えばアルミ錫合金(Al−Sn合金)などを鋳造することが困難であり、内部に大量の巣が形成されてしまう。特に、Al−Sn合金は鋳造割れ(鋳造装置から板状で取り出した後に長手方向委に亀裂が入って割れる現象)しやすく、従来の装置では所定厚さの金属板を鋳造することができなかった。
これに対して本発明の方法及び装置では、例えば5mm〜30mmの厚さ、好ましくは10mm以上の厚さの金属板を、バッチプロセスでも連続鋳造でも製造することが可能である。また、本発明の方法及び装置では、Al−Sn合金でも内部に巣のない健全な金属板を鋳造することもできる。
以下に図を用いて本発明の詳細を説明する。
<実施の形態1>
図1〜図3に示す本実施の形態の鋳造装置10は、冷却能を有する底板20と、底板20の上面21に配置され互いに離間して一方向に延在する一対の側壁30(301、302)とを含む型枠と、溶湯を供給する溶湯供給部50とを備えている。また、鋳造装置10は、型枠内に供給した溶湯に荷重を付与するための押圧具(上側ロール40)を備えている。上側ロール40は、一対の側壁30を挟んで底板20の上面21と対向して配置されている。
本実施の形態は、底板20と、一対の側壁30と、上側ロール40と、から形成されたキャビティー12を有している。
本明細書における「キャビティー12」とは、金属板の鋳造方向(図1、図2のx方向)に対して垂直に切った断面において4方向が囲まれている部分であり、金属板を鋳造するための鋳造空間を指す(図3および図5参照)。
型枠は、少なくとも、底板20と、一対の側壁30(301、302)とで構成されている。型枠に溶湯を供給する溶湯供給部50は、両端を前記両側壁に接するように底板上に配置するのが好ましい。その場合は、溶湯供給部50が後堰(バックダム)を兼ねることになるので、後堰を別途設ける必要がない。溶湯供給部50と側壁30又は底板20との間に隙間がある場合は、この隙間から溶湯供給部50の後方(キャビティー12と反対側)に溶湯が漏出しないように、必要に応じて後堰(バックダム)等の、後方への溶湯の漏れを防ぐ部材を設けるのが望ましい。なお、後堰として別部材を設けるのではなく、底板20の延長が後堰を構成してもよい。また、底板20をキャビティー12に向けて高くなるように傾斜させる場合は、後堰がなくてもよい。
前記溶湯供給部から前記キャビティーに向けて溶湯が供給される。したがって溶湯供給部50とキャビティー12との間の溶湯供給路15は、溶湯供給部50から供給される溶湯をキャビティー12に導入するための経路となる。
底板20は、耐熱性の材料(少なくとも溶湯と接触しても著しく損傷(溶損)しない耐熱性を有している)から形成された板状体であり、本実施の形態では、x方向に伸びた長方形にされている。底板20は、1枚の板状体から構成してもよいが、図1に示すように、複数の板状体(本明細書では「分割底板」と称する)201〜203をx方向に配列して構成してもよい。
また、例えば環状のベルト上に複数の板状体を配置し、ベルトを移動させることで1回の鋳造工程で、その上から一旦鋳造材を取り除いた板状体の上に再び溶湯を供給し鋳造を行ってもよい。
なお、ここで図示した各々の分割底板201〜203は、単一材料から成り、一様な厚さを有する矩形部材から構成している。しかし、各々の分割底板201〜203は、別の形態とすることもできる。例えば、各々の分割底板を、異なる材料から成る複数の金属片を組み合わせて構成してもよい(図12(a))。また別の例では、各々の分割底板の厚さを部分的に変更してもよい(図12(b))。分割底板201〜203の詳細については後述する。
一対の側壁30(301、302)は、一方向(x方向)に延在し、y方向において互いに離間している(図1、図2)。本実施の形態のように、側壁30の一端(−x方向の端部であり、本明細書では「先端」と称する)近傍において、離間した側壁301と側壁302との間をつなぐように、y方向に伸びる前堰32を設けてもよい。
図1及び図4に示すように、側壁30は、上側ロール40により付与された荷重により上側ロール40の外形に追随した形状に変形される。すなわち、上側ロール40にかけられた荷重により変形し、ロール形状にへこむことができる。
ロールの外形に追随して変形するためには、側壁30は、上側ロール40により付与された荷重(応力)により、変形するだけでなく、上側ロール40(上側ロール40全体)が側壁30から離れる方向(例えばz方向)に動いた際にも追随できるように、上側ロール40による荷重がなくなると元の形状に近い形状に戻ることができる復元性を有することが好ましい。
すなわち、側壁30は、ロール等の押圧具による押圧を受けたときに追随して変形することが必須であり、さらに復元性を有することが好ましい。
更に、溶湯が、側壁30から冷却されて固化するのを抑制しつつ、底板20及び上側ロール40から冷却されて金属板の上下方向から均等に凝固させるために、側壁30は、断熱性を有することが好ましい。なお、側壁30に断熱性が無くても、例えば側壁30を加温する等により、溶湯が側壁から冷却されるのを抑制することもできる。しかしながら、設備上、運転エネルギー消費上、断熱性を有する側壁30を用いるのが好ましい。
そのような側壁30は、例えばセラミックス繊維のような耐火物の繊維材料から成り通気性を有する断熱部材(耐火物の繊維を綿状に配置した材料、例えばカオウール又はイソウール(登録商標))から形成することができる。
イソウール(登録商標)などの通気性部材を用いると、溶湯中のガスが凝固する際に発生するガスを、側壁30から排出することができる。これにより、ガス抜け不良による巣の発生を抑制することができる。
上側ロール40は、底板20と対向して配置されている。本実施の形態では、上側ロール40の回転軸40Cがy方向と平行になるように(つまり、x方向及びz方向と直交するように)上側ロール40を配置している。上側ロール40はこの回転軸40Cを中心に回転可能である。本実施の形態のように、上側ロール40にシャフト41を設ける場合、このシャフト41を回転可能に保持する軸受け(図示せず)等を鋳造装置10に設けることにより、上側ロール40を回転可能にすることができる。シャフト41を設けた場合、シャフト41の中心軸は、上側ロール40の回転軸40Cと一致する。
なお、本実施の形態では、上側ロール40は、回転軸40Cがy方向と平行で、x軸及びz軸のいずれとも直交するように配置されているが、必ずしもこれに限定されるものではない。
例えば、回転軸40Cがyz平面内にあり且つy軸に対して傾斜するように上側ロール40を配置してもよい。すなわち、x方向から鋳造装置10を視認すると、底板20の上面21に対して上側ロール40のロール面が傾いており、キャビティー12が台形形状になる。そのような鋳造装置10では、断面が台形形状の金属板を鋳造することができる。
別の例では、回転軸40Cがxy平面内にあり且つy軸に対して傾斜するように上側ロール40を配置してもよい。x方向から鋳造装置10を視認すると、底板20の上面21と上側ロール40のロール面とが平行であり、キャビティー12が長方形である。しかし、z方向から鋳造装置10を視認すると、一対の側壁30が延在する方向(つまりy方向)に対して、上側ロール40が斜めに配置されている。このような鋳造装置10では、溶湯に接触する上側ロール40の面積が広くなるので、上側ロール40からの放熱性を向上させることができる。
本実施形態では、鋳造時に上側ロール40が金属を応力Fで圧下するものである。よって、鋳造装置10には、上側ロール40に荷重をかける荷重付与手段(図示せず)が含まれている。荷重付与手段は、例えばバネ等が利用できる。また、バネの圧縮度を変更することにより、上側ロール40にかける荷重を調節することができる。
上側ロール40は、例えば、耐熱鋼等の鋼により形成されたロール等のように従来から双ロール法を含む鋳造方法に用いられているロールを用いてよい。
上側ロール40の表面が滑らかであるのが望ましい。上側ロール40によって押圧される金属板の表面に、上側ロール40の表面性状が転写されるので、滑らかな表面の上側ロール40を用いると、滑らかな表面を有する金属板を製造し得る。
なお、上側ロール40に冷却手段(例えば、上側ロール40の表面に冷却流体を流すためのチューブまたは内部から冷却を冷却するための冷媒流路等)を設けてもよく、長尺の金属板の鋳造等で上側ロール40が過熱しやすい場合や、金属板の鋳造中に上側ロール40と金属との間の焼付きが起こりやすい場合に有効である。
また、焼付きを防止するためにロールと溶湯(または凝固シェル)との間に潤滑剤を供給する潤滑剤供給装置を設けてもよい。
キャビティー12に溶湯を供給する溶湯供給部50は、例えば、樋やノズル等を含んでもよい。樋やノズルにより、溶湯をキャビティー12に注ぎ入れ易くなるだけでなく、溶湯が底板20に接触する位置からキャビティー12までの距離(本明細書では「凝固距離」と称する)を調節し易くなる。この凝固距離を変更すると、キャビティー12に到達したときの溶湯の凝固の程度(すなわち、凝固層(凝固シェル)の形態(厚さ等))が変わる。凝固距離が長ければ、キャビティー12に到達するまでに凝固が進行するので凝固層の割合が高くなり、その反対に凝固距離が短ければ凝固層の割合が低くなる。上側ロール40の荷重が同じ場合、凝固層の割合が多いほうが圧下されにくいので板厚の厚い金属板が得られ、凝固層の割合が少ないと板厚の薄い金属板が得られる。
なお、1枚の金属板の鋳造中に板厚が変動しないように、鋳造中は、凝固距離を一定に保つ(つまり、上側ロール40と溶湯供給部50との相対位置を一定に保つ)のが好ましい。
底板20の下側には、底板20を冷却するための冷却手段(例えば冷却管60)を有していてもよい。図1及び図3に示すように、冷却管60は、断面矩形の中空矩形管部分と中空矩形管部分に冷却流体を供給するための供給チューブとから構成されている。
冷却管60内に冷却流体(例えば水)を流すことにより、底板20を冷却して、底板20が一定温度以上に上がらないようにすることができ、生産性を向上できる。また、底板20による溶湯の冷却効率を高めることができるので、鋳造可能な金属板の厚さを厚くすることができ、さらに得られる金属板の金属組成を改善することができる。
また、冷却管60の代わりに、中空の底部ブロック73に冷却流体を流して、底板20を冷却する冷却手段としてもよい。
鋳造装置10は、底板20と側壁30を収納するための固定部材70を備えてもよい。図1〜図3に図示したように、固定部材70は、底板20を下側から保持する底部ブロック73と、一対の側壁30(301、302)のy方向の位置を位置決めするための一対の側板72と、底部ブロック73及び側板72を保持するためのアウターケース71とから構成してもよい。
図示した底部ブロック73は、冷却管60の供給チューブを間に配置するために、2つの部材から構成されている。
図1に示すように、アウターケース71は、xy平面に広がる1つの底面と、その底面の両側に接続されているxz平面に広がる2つの側面とを有している。2つの側面の上縁は、互いに離れる方向に折り曲げられたリムを備えてもよく、アウターケース71の強度を高めることができる。
側壁30の一端(−x方向の端部であり、本明細書では「先端」と称する)では、側壁301と側壁302との間に、y方向に伸びる前堰32を設けてもよい。前堰32は、溶湯の供給開始時に、溶湯が底板20を超えて先端方向からこぼれるのを抑制し得る(所謂、ダミーブロックとしての機能を有する)。
また、上述のように、側壁30の他端(x方向の端部であり、本明細書では「後端」と称する)にも、側壁301と側壁302との間に、y方向に伸びる後堰(図示せず)を設けてもよい。後堰は、溶湯が底板20を超えて後端方向からこぼれるのを抑制し得る。
本発明の鋳造装置10は、圧縮可能な側壁30を用いているので、鋳造された金属板の表面(とりわけ主面)が優れた表面性状を有し、また金属板の厚さをより均一にすることができる。これらの効果を具体的に説明するために、以下に、図1〜3に示した鋳造装置10を用いた金属板の鋳造について詳述する。
(工程1:上側ロール40の配置)
図4(a)に示すように、上側ロール40が側壁30と接触しないようにz方向に離した状態で、上側ロール40を底板20の先端の上方(z方向)に配置する。次に、上側ロール40を底板20に近付ける。このとき、底板20と上側ロール40との最小間隔(これを「キャビティー12の高さ12t」と称する)は、少なくとも圧縮前の側壁30の高さtより小さくする。
側壁30は変形可能(例えば圧縮変形可能)な材料から形成されているので、上側ロール40を底板20に近づけたときに、側壁30は上側ロール40によって変形(圧縮)され、上側ロール40の外形に沿うように凹む(図4(b))。
(工程2:溶湯の供給)
次に、図5(a)に示すように、溶湯供給部50からキャビティー12に向けて溶湯M1を供給する。溶湯供給部50は例えば樋、ノズル等であり、金属を溶融する坩堝又は貯留槽52(一部図面には図示)等から溶湯部50に溶湯が供給される。溶湯供給部50から流れ出た溶湯M1は、溶湯供給路15を通ってキャビティー12に到達する。溶湯M1は、キャビティー12に到達するまでの間に徐々に凝固する。凝固の様子を、図7を参照しながら説明する。
溶湯M1は底板20によって冷却されるため、底板20側の溶湯M1は、溶湯供給部50から出た直後から凝固し始める。一方、溶湯M1の表面は比較的冷却されにくいため、溶融状態を保ったまま、上側ロール40の近傍にまで到達し得る。通常、溶湯M1(溶融状態)と、溶湯が完全に凝固した部分(凝固層M3)との間には、半凝固の部分(半凝固層M2)が存在している。そして、溶湯M1及び半凝固層M2(条件によってはいずれか一方の場合もある)が上側ロール40に接触すると、表面側の溶湯M1及び半凝固層Mは上側ロール40によって冷却されて、完全に凝固する。
よって、溶湯M1がキャビティー12の出口に到達する頃には、溶湯M1はほぼ無くなり(又は完全に無くなり)、多くの部分が(又は全てが)半凝固層M2と凝固層M3とになる。この状態の金属を「非溶湯部」と称する。
本発明の鋳造装置10は、板状体から成る底板20の上に溶湯M1を供給するので、双ロールキャスターに比べると、ブレイクアウト(溶湯が漏れ出すこと)が抑制され、また凝固し始めたばかりの凝固層の破断も起こりにくいので、金属板の鋳造が容易である。
(工程3:上側ロール40による圧下)
溶湯の供給を続けたまま(すなわち、上側ロール40より上流側(x方向)に存在する溶湯の液面を維持したまま)、図5(a)に示すように、上側ロール40を、回転軸40Cを中心に(実際には、上側ロール40のシャフト41を中心に)、回転方向40Rに回転させる。上側ロール40の外面40Sは、側壁30及び凝固層M3と接触しているため、それらを介して底板20が−x方向(移動方向20D)に力を受ける。このとき、底板20がx方向に移動自在にされていれば、底板20は移動方向20Dに移動する。その結果、非溶湯部は、上側ロール40の直下に向かって−x方向に移動する(図5(b))。底板20と上側ロール40との間隔は、上側ロール40の直下に向かって徐々に狭くなるため、非溶湯部は上側ロール40によって徐々に圧下される。
上側ロール40にかけるロール荷重は、金属板内部の巣の発生を防ぐには一定以上の荷重が必要であるが、これは鋳造する金属の種類により適宜変更してよい。
上側ロール40の好ましい周速は、例えば約0.3〜約2m/分であり、鋳造する金属板の厚さによって調節してもよい。例えば、厚さ約15mmの金属板を鋳造する場合には、0.5m/分で鋳造することができる。また、周速は、鋳造する金属の種類およびロールと接触した際の溶湯の温度等の条件に応じ適宜変更してよい。
なお、本実施の形態では、上側ロール40は動力装置によって回転駆動され、底板20は上側ロール40の駆動力を受けて移動方向20Dに移動する場合を説明した。しかしながら、これに限定されず、例えば底板20が動力装置によって移動方向20Dに駆動され、上側ロール40は底板20の駆動力を受けて回転方向40Rに連れ回されて回転してもよい。また、上側ロール40の周速と底板20の移動速度とが同期するように同時に駆動されてもよい。
このとき、非溶湯部の両側に位置する側壁30は、上側ロール40によって変形して上側ロール40の外形に沿うようにへこむ(図1)。そのため、上側ロール40が側壁30によってつかえること(つまり、側壁30が、上側ロール40の圧下を阻害すること)は起こらない。これにより、上側ロール40によって、非溶湯部と側壁30とを共に圧下することができる。
一方、側壁を上側ロール40の外側に設けた場合(すなわちロールが側壁の間)も上側ロールは側壁により阻害されることなく圧下を行うことができる。しかし、この場合、中央部と比べ、温度が低下しやすい(温度制御が困難な)ロールの端部(y方向の端部)に溶湯および非溶湯部が接触することとなり、非溶湯部に温度分布のばらつき(すなわち、鋳造されている材料のy方向端部の温度低下)が生ずることとなる。
すなわち、本発明では、鋳造される材料の端部(y方向端部)の温度低下を抑制した状態で上側ロール41により均一に圧下できることから(換言すると、温度分布が均一な状態で上側ロール41が被鋳造材に接触するため、被鋳造材のロール直下でのy方向における温度、硬度等の特性のばらつきを抑制した状態で圧下が可能になるため)、得られた鋳造材の表面(とりわけ主面が)の表面性状が優れるとともに、得られた鋳造の厚さも均一にできると考えられる。
ただし、これらは現時点で得られている情報を基に本願発明者らが推定したメカニズムであって本発明の技術的範囲を制限することを意図するものではないことに留意されたい。
また、鋳造する金属板の原料が、偏析の起こりやすい金属材料(例えばMgを含有するアルミニウム合金)の場合には、上側ロール40で圧下しながら鋳造することにより、偏析を抑制する効果も得られる。
さらに、図6に示すように、キャビティー12内を満たす金属板Mの上面と側壁30の上面とは共に上側ロール40によって圧下されるので、金属板Mの上面と側壁30の上面とが面一になる。よって、金属板Mの縁部に、z方向に伸びるバリ(縦バリ)が発生することがない。
さらに、底板20の長さを適宜調節することにより、所望の長さの金属板をバッチプロセスで鋳造することができる。よって、金属板の少量生産に適している。
しかし、本発明はバッチプロセスに限定するものではなく、例えば、上述のように環状のベルト上に複数の板状体201〜203を配置すること等により連続鋳造プロセスにより鋳造を行ってもよい。
また、非溶湯部の内部に半凝固層M2が存在する場合、上側ロール40で圧下することにより、半凝固層に圧力をかけることができ、半凝固層内の巣の発生と偏析とを抑制し得る。特に、側壁30が断熱性を有していると、半凝固層に圧力をかけやすくなるので好ましい。側壁30が断熱性を有する場合と断熱性ではない場合との相違を、金属内部の状態図を参照しながら説明する。
図8は、側壁30(301、302)が断熱性を有する場合の金属内部の状態図断面図を示している。
図8(a)は、図7の7A−7A線に沿った断面図であり、非溶湯部の内部状態を示している。溶湯M1の熱は主に底板20から放熱されるため、溶湯M1は底板20に接触する部分から凝固して、凝固層M3を形成する。その上に半凝固層M2と溶湯M1が層状に積層している。ここで、側壁30が断熱性を有しているので、溶湯M1の熱は側壁30から放熱されない。よって、凝固層M3と半凝固層M2との界面及び半凝固層M2と溶湯M1との界面は、底板20と略平行になる。
図8(b)は、図7の7B−7B線に沿った断面図である。ここでは、溶湯M1の表面が上側ロール40と接触しているため、表面側も凝固し始めている。別の見方では、非溶湯部がキャビティー12内に入り、上側ロール40によって圧下され始めている。上面側と下面側が凝固層M3となり、その間に半凝固層M2が挟まれた状態になっている。凝固層M3と半凝固層M2との間の2つの界面とも、底板20と略平行になる。
この時、非溶湯部の上面から上側ロール40によって応力Fで圧下されるので、最も軟質な半凝固層M2に応力が集中する。この状態で半凝固層M2は徐々に凝固するため、巣が生じにくい。また、図8(b)のような状態では、半凝固層M2で偏析が起こりやすいが、半凝固層M2に応力をかけることができるので、偏析状態を解消し得る。
図8(c)は、図7の7C−7C線に沿った断面図であり、上側ロール40で圧下後の金属板Mの内部状態を示しており、表面が平坦な金属板Mが鋳造できる。
一方、図9は、側壁30’(301’、302’)が断熱性を有していない場合の金属内部の状態図断面図を示している。
図9(a)は、図7の7A−7A線に沿った断面図であり、非溶湯部の内部状態を示している。溶湯M1の熱は底板20と側壁30’とから放熱されるため、溶湯M1は底板20に接触する部分と側壁30’に接触する部分とから凝固して、凝固層M3を形成する。その内側に半凝固層M2と溶湯M1が層状に積層している。凝固層M3と半凝固層M2との界面及び半凝固層M2と溶湯M1との界面は、カップ状になる。
図9(b)は、図7の7B−7B線に沿った断面図である。ここでは、溶湯M1の表面が上側ロール40と接触しているため、溶湯の表面側が凝固する。これにより、上面側、下面側、両側面側が全て凝固層M3となり、その中に半凝固層M2が取り囲まれた状態になっている。
このとき、非溶湯部はキャビティー12内に入り、上側ロール40によって応力Fで圧下されているが、半凝固層M2の周囲が凝固層M3になっているので、応力Fを半凝固層M2に十分に付加することができない。よって半凝固層M2内に生じやすい巣を十分に抑制できない。
図9(c)は、図7の7C−7C線に沿った断面図であり、上側ロール40で圧下後の金属板Mの内部状態を示している。図9(b)で半凝固層M2であった領域内に、巣SCが生じている。
このように、側壁30が断熱性を有することにより、溶湯M1が側壁30側から凝固するのを抑制できる。そのため、非溶湯部を上側ロール40で圧下したときに、半凝固層M2に十分な応力をかけることができ、半凝固層内での巣の発生と偏析とを抑制し得る。
なお、本明細書において「側壁30が断熱性を有する」とは、側壁30全体として断熱性を有していればよく、側壁30の中に、熱伝導性の高い材料から成る部材が含まれていてもよい。
断熱性を有する材料として、空気層を含む材料を挙げることができる。例えば、上述したセラミックス繊維のような耐火物の繊維材料を綿状に配置した材料は、繊維と繊維と間の空間が空気層として機能することから好ましい。この空気層を通って気体が流通するので、空気層を含む側壁30は通気性を有している。
なお、このような材料を用いる際には、例えば、芯材として金属ワイヤを用いて、その周囲に綿状の断熱材料を巻き付けてもよい。金属ワイヤによって断熱部材の形状を整えることができるので、側壁30の形成や再生(再利用するために、圧縮変形前の状態に戻すこと)に有利であり、且つ金属ワイヤは直接溶湯M1に接触することはないので、溶湯M1の凝固を促進させることや、溶湯M1と反応して好ましくない合金を形成することがない。
また、金属ワイヤを金属製の肉薄チューブに置き換えると、さらに、断熱部材に弾力性を付与することもできる。
なお、鋳造時の熱に耐えることができれば、金属以外の材料から成る芯材も使用可能である。
非溶湯部は、上側ロール40の直下を通り過ぎる頃には完全に凝固して金属板Mになる。金属板Mの厚さMtは、キャビティー12の高さ12tとほぼ一致する。
なお、非溶湯部に対する圧下の効果を得るために、溶湯M1の高さT(非溶湯部の厚さとほぼ一致する)がキャビティー12の高さ12t(つまり、圧縮変形されている時の側壁30の高さ)よりも大きくなるように、溶湯の供給量を制御する。
また、溶湯M1が側壁30側から溢れるのを抑制するために、溶湯M1の高さTが圧縮変形前の側壁30の高さtよりも小さくなるように、溶湯M1の供給量を制御する。
鋳造された金属板Mの長さ(x方向の寸法)が所定の長さになるまで、溶湯M1を供給しながら上側ロール40を回転させる。
(工程4:金属板の取り出し)
金属板Mが所定の長さになったら、溶湯M1の供給を止める。そして、金属板Mがキャビティー12から完全に出たら、上側ロール40の回転を止める。そして、底板20の上で十分に冷却した後、金属板Mを底板20と側壁30とから取り外す。
これにより、表面が比較的平坦で、冷却むらによる部分的な色変化や窪みが無い金属板Mを鋳造することができる。
本発明の鋳造装置10では、底板20の上で金属板Mを完全に冷却させることができるので、例えば従来の双ロールキャスターに比べて、長時間にわたって金属板Mを安定した状態で冷却することができる。そのため、双ロールキャスターでは(内部まで十分に冷却できないために)鋳造が困難な厚さ10mm以上の金属板Mも、本発明の鋳造装置10では鋳造することができる。
また、金属板Mの温度が十分に下がるまで底板20の上で冷却するので、金属板Mが自重で破断や屈曲するのを防止できる。
なお、金属板Mの両側に位置する圧縮変形後の側壁30の高さtは、側壁30の材質によって異なる。図5(b)に図示した側壁30は、ほぼ塑性変形し、多少弾性的に形状が戻るような特性を有する材料から形成されたものであり、圧縮変形後の側壁30の高さtは、キャビティー12の高さ12tよりわずかに高い。この他にも、側壁30を、例えば完全に塑性変形する材料から形成すれば、圧縮変形後の側壁30の高さtはキャビティー12の高さ12tとほぼ一致するだろう。
弾性変形する傾向の強い材料を用いて側壁30を形成すると、側壁30を再生(再利用するために、圧縮変形前の状態に戻すこと)するのが容易になるので好ましい。
一方、塑性変形する傾向の強い材料を用いて側壁30を形成すると、側壁30を廃棄する際に容積を圧縮変形できるので、再生不能な側壁30の場合に好ましい。
鋳造装置10は、底板20と上側ロール40との間隔が変更可能にされていてもよい。
底板20と上側ロール40との間隔を変更可能にするためには、上側ロール40のみ昇降可能、底板20のみ昇降可能、又は上側ロール40と底板20とを共に昇降可能にすればよい。
上側ロール40を昇降可能にするには、例えばシャフト41を保持する軸受けを、従来公知の手段により上下方向に位置変更できるようにすればよい。底板20を昇降可能にするためには、底板20を支える部材を、従来公知の手段により上下方向に位置変更可能にする。
図10に示すように、一対の側壁30(301、302)の間隔(y方向における側壁301、302の離間距離)を変更可能にして、金属板Mの幅(y方向の寸法)を任意に変更してもよい。なお、図10(b)のように側壁301、302の離間距離を狭くする場合には、溶湯M1を注ぎ、上側ロール40で圧下してもその離間距離が変動しないように、例えば固定部材70の側板72と側壁301、302との間にスペーサーSPを配置してもよい。
また、図10(a)では、上側ロール40の幅(z方向の寸法)は、固定部材70の2枚の側板72のz方向の間隔とほぼ同程度にされているが、これに限定されない。例えば図11のように、上側ロール40’の幅は、(一対の側壁301、302のz方向の間隔よりも広くされていれば)2枚の側板72のz方向の間隔よりも狭くされていてもよい。
上側ロール40’は、一対の側壁301、302の間に位置する金属板Mの表面と、一対の側壁301、302のうち金属板Mと隣接する部分を押圧する。本発明では、側壁30が押圧により追随して変形可能な材料から形成されているので、一対の側壁301、302のうち金属板Mと隣接する部分は、上側ロール40’の形状に追従して変形する。一方、側壁301、302のうち、側板72側に位置する部分は、上側ロール40’によって押圧されず、上側ロール40’と側板72との隙間にはみ出した状態になる。
なお、溶湯内のガスは、上側ロール40と側板72との隙間から外部に排出されるため、上側ロール40と側板72との隙間が広くされた広い図11のような製造装置は、脱ガス効率が高い。
底板20の表面及び上側ロール40の表面に離型剤を使用してもよく、溶湯M1の離型性を良好にすることができる。
底板20を、複数の分割底板201〜203から構成すると、底板20に損傷が発生したときに損傷した分割底板201〜203だけを交換すればよいので、ランニングコストを抑えることができる。
底板20は、鋳造中に上面だけが溶湯に接触して高温になるため、上面と下面との膨張差によって反りを生じることがあり、反りの程度は底板20の面積が大きくなるほど顕著になる。分割底板201〜203は個々の面積は小さいので、反りを抑制することができる。また、反りが抑制されるため、底板20の寿命が長くなる。
また、底板20の長さ(x方向の寸法)は、使用する分割底板201〜203の枚数によって任意に調節できるので、例えば1m程度の短い金属板Mから、25m以上の長い金属板Mまで鋳造することができる。
個々の分割底板201〜203は、複数の金属片から構成されてもよい。例えば、図12(a)に示す分割底板201’は、第1金属片201aと、その両側に配置された第2金属片201bとから構成されている。このような分割底板201’をx方向に複数配列して底板20を形成し、底板20の上面21にy方向に伸びる一対の側壁30を配置すると、第2金属片201bの上に側壁30が配置され、第1金属片201aの上に溶湯M1が供給される。
ここで、第1金属片201aを熱伝導率の高い材料(例えばCu)から形成し、第2金属片201bを熱伝導率は高くないが安価な材料(例えばFe)から形成すると、溶湯M1からの放熱性を維持したまま、分割底板201’のコストを抑制することができる。
また、図12(b)に示すように、分割底板201’’の下面側の中央に、x方向に伸びる凸部を設けてもよい。凸部が形成された範囲は、分割底板201’’の肉厚が厚く、他の部分に比べて熱伝導率が高い。よって、図12(a)の分割底板201’と同様に、溶湯M1からの放熱性を維持したまま、分割底板201’’に使用する材料の量を減らすことができるので、分割底板201’’のコストを抑制することができる。
鋳造装置10は、キャビティー12で鋳造された金属板Mを押圧して冷却する2次ロール48をさらに有してもよい(図13)。上側ロール40を通過した金属板Mを2次ロール48で押圧することにより、金属板Mの冷却を促進することができる。また、金属板Mを2次ロール48にて押圧することができるので、金属板Mの反りを低減することができる。
鋳造装置10は、底板20の下側に下側ロール45を備えてもよい(図14)。下側ロール45は、シャフト46を中心に自由に回転できるようにされていれば、これにより(下側ロール45の上に配置された)底板20が、x方向及び−x方向に自由に移動することができる。下側ロール45を備えることにより、金属板を圧下するときに、より大きな荷重をかけることができる利点がある。
上側ロール40及び下側ロール45を備えた鋳造装置10は、例えば既存の双ロールキャスターの間に底板20を配置することによって構成することもできる。
下側ロール45の代わりに、ベアリング等の底板移動手段によって、底板20が、x方向及び−x方向に自由に移動することもできる。
本発明の鋳造装置10は、任意の金属材料の板材を鋳造するのに用いてよい。好ましい金属として、Al、Pb、Mg、Sn、Zn、Cu及びそれらの合金のような比較的融点の低い金属を挙げることができる。具体的には、新幹線等の車両に使用されるMg金属板材の圧延原料、アルミニウム軸受け材、放射線防護用の鉛板の圧延原料等、様々な用途を例示できる。特にアルミ錫合金、特に40質量%の錫を含有するAl−40%Sn合金のように、液相線温度と固相線温度との差が大きく鋳造が困難とされている合金の厚板の鋳造ができる点で有用である。
しかし、例えば、ステンレス鋼、合金鋼を含む鋼等の比較的融点が高い金属にも適用可能である。
以下に、各部材に好適な材料を説明する。
(側壁30(301、302))
側壁30は、圧縮可能な耐火材料から形成されている。具体的には、セラミック等の耐火物の繊維材料(例えば、アルミナ、シリカ等)から成り、通気性のある圧縮可能部材から形成することができる。特に、断熱性を有する材料であるのが好ましい。また、通気性のある材料を使用すると、溶湯M1中のガスが側壁30から抜けるので、溶湯中にボイドが発生しにくくなる。また、溶湯に対する濡れ性の低い材料であると、金属板Mから側壁30を取り除き易くなる。また、反発力(復元性)のある材料を用いると、再生して再び側壁30として利用でき、ランニングコストを抑えることができる。
側壁30に好適な材料としては、例えば具体的にはイソウール(登録商標)ブランケット、イソウール(登録商標)ブロック、イソウール(登録商標)ボードなどが挙げられる。これらの材料は、金属との反応性が低いため、溶湯と接触しても問題ない。
イソウール(登録商標)ブランケットは綿状なので縮変形させるための荷重が低く設定することができる。しかしながら、形状安定性が低い。このような場合には、金属ワイヤや金属チューブなどの芯材を用いて、その周りにイソウール(登録商標)ブランケットを巻きつけて、形状安定性を高めてもよい。芯材にイソウール(登録商標)ブランケットを巻きつけてあるので、芯材が溶湯と接触することはない。よって、芯材に使用する材料は、溶湯と反応しうる材料であってもよい。
イソウール(登録商標)ブロックは、イソウール(登録商標)ブランケットを裁断し、積層圧縮しながら縫い合わせてブロック状にしたものであり、比較的形状安定性に優れている。また、イソウール(登録商標)ボードは、セラミック繊維を樹脂によってボードに成形されたものであり、特に形状安定性に優れている。よって、側壁30にイソウール(登録商標)ボードを用いると、金属板Mの側面を平坦にすることができる。ただし、上側ロール40で圧縮変形させるための荷重が高くなるので、大型の鋳造装置10が必要となる。また、イソウール(登録商標)ボードは反発力に乏しく、元の寸法に戻すのが難しいため、再利用には適していない。
それらの耐熱材料は、複合的に使用することもできる。例えば、側壁30の下側(底板20側)をイソウール(登録商標)ブロックやイソウール(登録商標)ボードなどの形状安定性に優れた耐熱材料で形成し、側壁30の上側(上側ロール40)を圧縮変形性に優れた材料で形成することもできる。このような複合的な構造を有する側壁30は、溶湯と接触する側壁30の下側は形状安定性に優れ、上側ロール40で圧縮される側壁30の上側は圧縮変形性に優れている。
(底板20)
底板20は、例えば鉄系(軟鉄鋼)、銅系などの金属から形成することができる。特に、軟鋼を用いて作製すれば安価であり,コスト的に有利である。また、図12(a)のように2種類の異なる材料を用いる場合には、第1金属片201aには熱伝導率の高い銅を用い、第2金属片201bには安価な軟鋼を用いてもよい。
(上側ロール40、下側ロール45、2次ロール48)
上側ロール40、下側ロール45及び2次ロール48は、例えば鉄系、銅系などの金属から形成することができる。なお、上側ロール40及び2次ロール48は、金属板Mに直接接触するので、鋳造する金属板Mの材料によって、その材料と反応しない金属から形成したロールを使用する。
2次ロール48は、鋳造する金属板Mと直接接触しないため、任意の材料を使用し得る。なお、上側ロール40と下側ロール45は、既存の双ロールキャストを利用することもできる。
(離型剤)
上側ロール40及び底板20に使用する離型剤としては、BN、カーボン系のものが利用できる。離型剤は、溶媒等に溶解または分散等したものを上側ロール40及び底板20の表面にスプレー等することができる。
<変形例>
なお、本実施の形態では、底板20が水平配置された鋳造装置10を例示したが、これに限定されず、底板20が傾斜した鋳造装置10、底板20が垂直の鋳造装置10も本発明に含まれる。
また、底板20が傾斜した鋳造装置10では、鋳造段階(例えば鋳造開始時、鋳造中、鋳造終了時など)に合わせて底板20の傾斜角度が変更可能な鋳造装置10であると特に好ましい。例えば、鋳造開始時は先端側が高くなるように底板20を傾斜させて、先端側からの溶湯漏れを抑制し、鋳造中から鋳造終了時までは、先端側が低くなるように傾斜させて、後端側からの溶湯漏れを抑制してもよい。
<実施の形態2>
図15〜図16に示す本実施の形態の鋳造装置100は、底板25と側壁35とから構成された型枠内に金属の溶湯M1を注湯し、その溶湯が完全に凝固する前(例えば半凝固状態)に、冷却能を有する押圧具85で、金属の表面を側壁35と共に金属板Mの厚み方向に圧下するものである。
冷却能を有する底板25の上面には、4つの側壁35が矩形に配置されており、溶湯M1を注ぐための型枠を構成している。側壁35は上側が開放されており、そこから溶湯を注ぎ入れることができる。
押圧具85は、上側から型枠に向かって圧力Fの荷重をかけるための部材である。この図の押圧具85は、金属と接触する下面85aが平坦にされている。なお、下面85aは滑らかな平面にされているのが好ましい。また、必要に応じて下面85aに離型剤を塗布してもよい。
側壁35の外側には、側壁35を保持するための外枠75を備えていてもよい。
鋳造装置100を用いて金属板Mを鋳造する場合には、まず、側壁35上側の開放部分から、側壁35の中(型枠内)に溶湯を注湯する。次いで、押圧具85を型枠の上側から近づける。側壁35の高さは溶湯の表面位置より高いので、押圧具85はまず側壁35の上端に接触する。押圧具85に荷重をかけると、側壁35は押圧具85の形状に追随して変形する。変形した側壁35の高さが溶湯M1の表面と同一になると、押圧具85の下面85aが溶湯M1の表面に接触し、溶湯M1の表面が凝固し始める。
このように、追随変形可能な側壁35を用いることにより、溶湯M1の表面を押圧することができる。
特に、側壁35を、断熱性を有する部材から形成すると、側壁35を外部から加熱および保温する必要がないので好ましい。それによると、溶湯M1の凝固が底板5と押圧具85とから進行し、側壁35からは進行しないので、半凝固層が底面5の上面及び押圧具85の下面85bと平行に形成される(実施の形態1、図9参照)。よって、押圧具により表面を十分押圧できるので、内部に巣の少ない金属板Mを形成することができる。
押圧具85を溶湯M1に接触させて、さらに押圧具85に応力Fを付加した状態(つまり、図16(b)のような状態で)、押圧具85を振動させてもよい。これにより、溶湯M1が押圧具85の下面85bに固着するのを抑制し、さらに金属板Mの金属組織が微細化して良好になる。本実施の形態では、側壁85が変形容易な材料が追随するので、押圧具85に付与した振動が金属板Mに伝わるのを制御しやすい。
本実施の形態では、押圧具85の下面85aによって金属の溶湯M1を押圧できるので、表面性状の良好な金属板Mを製造することができる。
<変形例1>
図17、図18の鋳造装置110は、下面86aを凸状曲面にした押圧具86を用いている。図17から分かるように、押圧具86の凸状曲面とは、例えば円柱、楕円柱等の曲面を有する柱状体を切り取ったような曲面のことである。
押圧具6を溶湯に接触させる際は、まず、凸状曲面の一端(図18(a)では右端)が下がった状態で側壁35の上端に接触させる。押圧具86に荷重をかけると、側壁35は押圧具86の形状に追随して変形する。変形した側壁35の高さが溶湯M1の表面と同一になったら、押圧具86を回転させて、凸状曲面の右端を上げ、反対側の左端を下げる。このとき凸状曲面の最下位置が、必ず所定の高さMhに位置するように回転を制御する(図18(a)〜(c))。
このような押圧具86の動作において、凸状曲面の最下位置は、凸状曲面の軸と平行な線状に存在している。そのような線状の最下位置が溶湯M1と接触し、溶湯M1は接触部分から凝固し始める。また、溶湯M1に対しては押圧具86から応力が付加されているので、溶湯M1の表面は押圧具86の凸状曲面によって平坦にされる。
この変形例では、溶湯M1に付加される応力が、凸状曲面の最下位置にある線状部分に集中するので、比較的小さな応力を付加するだけで、表面性状の良好な金属板を製造することができる。
<変形例2>
図19は、本実施の形態の鋳造装置100を一方向に長く配列して、間欠的に金属板を製造できる鋳造装置100’を示している。
一方向に沿って底板25を複数配列し、その底板に合わせて側壁35を配列して、複数の型枠を形成する。隣接する型枠の間には、それぞれの型枠を構成する側壁35を1枚ずつ(合計2枚)配置してもよいが、図19のように、1枚の側壁35で隣接する型枠の側壁と機能させると、使用する側壁35を低減できるので経済的である。
また、型枠の上方向には、押圧具85が配置されている。
この鋳造装置100’により金属板Mを鋳造する場合には、まず、各型枠に溶湯を注湯し、次に、一番端の型枠(図では左端の型枠)を、押圧具85の直下に配置する。そして、押圧具85を降下させて、一番左の型枠内の溶湯M1を押圧する(図19(a))。
十分に押圧が完了したら、押圧具85を上昇させて型枠から離す(図19(b))。この状態で、型枠を左側に型枠1つ分だけ移動させることにより、左から2番目の型枠が押圧具85の直下に配置される。
そして、押圧具85を降下させて、左から2番目の型枠内の溶湯M1を押圧する(図19(c))。これを繰り返すことにより、複数の金属板Mを半連続的で間欠的に製造することができる。
<変形例3>
図20は、変形例2において、側壁35により個々に分割されていた型枠を、1つの長い型枠とした鋳造装置100’’を示している。
この鋳造装置100’’では、実施の形態1と同様の底板25と側壁35を備えている。すなわち、一方向に沿って底板25を複数配列し、その底板の配列方向に沿って一対の側壁35を延在させて、型枠を形成する。また、この型枠に溶湯M1を注湯するための溶湯供給部50を備えてもよい。
また、型枠の上方向には、押圧具85が配置されている。
この鋳造装置100’’により金属板Mを鋳造する場合には、まず、型枠に溶湯を注湯し、次に、型枠の先端部(図では左端部)を、押圧具85の直下に配置する。そして、押圧具85を降下させて、先端部の溶湯M1を押圧する(図20(a))。このとき、押圧具85で押圧可能な領域を「1ブロック」と称する。
十分に押圧が完了したら、押圧具85を上昇させて型枠から離す(図20(b))。この状態で、型枠を左側に1ブロック分だけ移動させることにより、未押圧の溶湯が押圧具85の直下に配置される。そして、押圧具85を降下させて、次のブロックの溶湯M1を押圧する(図20(c))。これを繰り返すことにより、1枚の長い金属板Mを半連続的で間欠的に製造することができる。
なお、この図では押圧具85を1つだけ図示しているが、これに限らず、複数の押圧具85を用いることもできる。
この変形例では、枠型の移動距離を、1ブロックより僅かに短くすることにより、押圧される範囲が、先に押圧された範囲と一部重複させてもよい。これにより、隣接するブロック間に生じ得る表面の凸状部分を低減させることができる。
なお、変形例2(図19)及び変形例3(図20)では、押圧具85を1つだけ図示しているが、これに限らず、複数の押圧具85を用いてもよい。これにより、第1の押圧具85で押圧した後、第2の押圧具85で押圧すると、第2の押圧具85で押圧している間に第1の押圧具85を冷却することがきるので、押圧具85の寿命を長くすることができる。
実施の形態1に開示した鋳造装置10を用いて、純アルミ(JIS A1070)、Al合金(JIS AC7A)、亜鉛合金(AZC-2)、アルミ錫合金(Al-30%Sn)の金属板の鋳造を行った。各実験条件は表1に示した。また、比較例として、上側ロール40での圧下を行わずに金属板を鋳造した。
得られた金属板の板幅及び板厚を測定し、外観(金属板の表面荒れの程度)と、内部(断面を肉眼で観察したときの巣の有無)を評価した。
製造装置および製造条件を以下に示す。
上側ロール40は軟鋼製で直径250mm、幅100mmの水冷ロールを用いた。
底板20は軟鋼製のものを用いた。
側壁30には、厚み20mmのイソウール(登録商標)ブランケットを用いた。側壁30の高さは溶湯の高さよりも高く(溶湯の高さの+10〜20mm)なるように調節して、底板20の両端部(底板20の長手方向の両側部)に沿って延在するよう設置した。
溶湯供給部50には、側壁30間の幅(一対の側壁30間の離間距離)と同程度の幅を有する樋を用いた。樋に坩堝で溶かした溶湯を供給した。
実験中に溶湯が漏出しないように、前記樋の後ろ側の底板20上に、一方の側壁301から他方の側壁302に伸びる後堰を設けた。後堰は、側壁30と同じイソウール(登録商標)ブランケットから成り、両端が側壁30に接する長さと、側壁30と同じ高さとにされていた。
上側ロール40の水冷は、上側ロール40中の冷却路に水道水を循環させて行った。ロール温度は、ロール頂点を測温したが各実験中50℃以下に保たれていた。
底板20を冷却するため底板下の冷却管としては100mm幅30mm高さの軟鋼性缶を用い、供給チューブを介して水道水を缶に通水した。
金属板の外観評価において、「○」とは、金属板の表面に部分的な色むらや窪みもなく、外観が良好なことを意味し、「△」とは、表面に部分的な色むらや窪みもないが、「湯じわ」があることを意味する。湯じわとは、金属板の表面に、浅いしわ、湯流れ模様が生じていることをいう。「×」とは、上記以外に自由凝固面に特有な表面の凹凸や窪みが生じていることを意味する。
金属板の内部評価は板をy−z面(鋳造方向であるx方向と直交する面)で切断し、断面を光学顕微鏡にて観察して行った。内部評価において「○」とは、巣が全く発生していないか、又はごく微細な巣は発生しているものの、直径が50μm未満である場合を意味している。「△」は、50μm以上100μm未満の巣が生じていることを意味している。「×」は、直径が100μm以上の巣があることを意味している。
表1に示すように、ロール荷重が20kN/m以上の実施例No.1〜4、実施例No.6〜10では、様々な板厚(約10mm〜約30mm)において、表面が平滑で、内部に巣のない金属板が得られた(図21(a)、図22(a))。
ロール荷重が1kN/mの実施例No.5と、ロール荷重が10kN/mの実施例No.11では、表面に湯じわが生じていた(図21(b))。湯じわは、金属板の幅方向の中央辺りに、板の長手方向に伸びて発生していた。また、実施例No.5、11では、内部に50μm以上100μm未満の巣がいくつか確認された(図22(b)参照)。
一方、比較例では、全く荷重を与えずに鋳造したところ、表面が荒く、また部分的に2mm程度の窪みtが生じていた(図23)。
これらのことから、ロール荷重を付与することにより、表面性状がよく、巣の少ない金属板が鋳造できることがわかった。
さらに、ロール荷重が20kN/m以上であると、表面に湯じわも生じず、内部の巣もほとんど存在しない金属板が鋳造できることがわかった。
特に、錫を40質量%含有するアルミ錫合金(実施例No.10、11)は、液相線温度と固相線温度の差が大きく、巣ができやすく鋳造が困難な材料であり、従来のベルトキャスター及び双ロールキャスターでは鋳造することが実質的にできなかった。しかしながら、本発明の鋳造装置を用いてロール荷重を付与して鋳造することにより、鋳造することができた。
実施の形態2で開示した鋳造装置100を用いて、アルミ錫合金の金属板を鋳造した(図24(a))。また、比較例として、側壁35のない鋳造装置でアルミ錫合金の金属板を鋳造した(図24(b))。
得られた金属板の板幅及び板厚を測定し、外観と、内部を評価した。○△×の評価基準は、実施例1と同じものを用いた。なお、内部評価では、最も巣の発生しやすい金属板の中心部分(図24のMc部分)の断面を観察した。
鋳造装置および実験条件を以下に示す。
鋳型75は、軟鋼製の直径60mm、高さ50mm程度の円柱形で、左右分割式の鋳型を用いた。
押圧具85は、直径60mm軟鋼製の板を用い、荷重は、30トン・プレス機を用いて負荷した。
側壁35は、厚み10mmのイソウール(登録商標)ブランケットを用い、側壁35の高さは溶湯の高さ+10〜20mmになるように調節して、鋳型の内側面に設置した。
それ以外の各実験条件は表2に示した。
実施例No.12では、表面が平滑で(図25(a))、内部に巣のない良好な金属板が得られた(図26(a))。一方、比較例No.2では、表面に窪みが発生し(図25(b))、内部にも50μm程度の巣が発生していた(図26(a))。なお、比較例No.2の表面窪み(図25(b))は、図24のMs辺りに発生していた。
10、100、110 鋳造装置、12 キャビティー、20、25 底板、21 底板の上面、201〜205 分割底板、30(301、302) 一対の側壁、35 側壁、40 上側ロール、40C 上側ロールの回転軸、45 下側ロール、48 2次ロール、50 溶湯供給部、60 冷却管、M1 溶湯、M2 半凝固層、M3 凝固層、70 固定部材、85 押圧具、86 曲面押圧具

Claims (8)

  1. 鋳造による金属板の製造方法において、金属の溶湯を、押圧具の押圧により追随して変形可能な側壁と冷却能を有する底板とを有する型枠内に注湯し、金属が完全に凝固する前に、冷却能を有する前記押圧具で、金属の表面を前記側壁と共に底板に向かう方向に圧下することを特徴とする金属板の製造方法。
  2. 前記押圧具が、前記一対の側壁を挟んで前記底板の上面と対向するロールであり、
    前記側壁が、前記底板の上面に配置され互いに離間して一方向に延在する一対の側壁であり
    溶湯を前記型枠内に注湯する溶湯供給部から金属の溶湯を注湯し、前記溶湯を、前記底板にて冷却しつつ、前記底板と、前記一対の側壁と、前記ロールと、から形成されたキャビティーに供給し、前記キャビティー内で、前記ロールにより底板に向かう方向に荷重を付与することにより、前記一対の側壁を前記ロールの外形に追随した形状に変形させると共に、前記ロールで前記溶湯をさらに冷却しながら圧下して、前記金属板を鋳造する工程と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記側壁が、耐火物の繊維材料から成り通気性を有する断熱部材から形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記底板が、複数の分割底板から構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記底板を冷却する冷却手段を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 鋳造により金属板を製造する製造装置において、
    押圧具の押圧により変形可能な側壁と、冷却能を有する底板とを有する型枠と、
    冷却能を有し、注湯された金属が完全に凝固する前に、金属の表面を前記側壁と共に底板に向かう方向に圧下するための押圧具と、
    を有することを特徴とする金属板の製造装置。
  7. 前記押圧具が、前記一対の側壁を挟んで前記底板の上面と対向するロールであり、
    前記側壁が、前記底板と、前記底板の上面に配置され互いに離間して一方向に延在する一対の側壁であり、
    溶湯を前記型枠内に注湯する溶湯供給部を備えており、
    前記側壁は、前記ロールにより付与された荷重により前記ロールの外形に追随した形状に変形されることを特徴とする請求項6に記載の鋳造装置。
  8. 前記底板と前記ロールで冷却され鋳造された前記金属板をさらに冷却して圧下する2次冷却ロールを有することを特徴とする請求項7に記載の鋳造装置。
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