JPH1034286A - 連続鋳造装置及び連続鋳造方法 - Google Patents

連続鋳造装置及び連続鋳造方法

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JPH1034286A
JPH1034286A JP33334896A JP33334896A JPH1034286A JP H1034286 A JPH1034286 A JP H1034286A JP 33334896 A JP33334896 A JP 33334896A JP 33334896 A JP33334896 A JP 33334896A JP H1034286 A JPH1034286 A JP H1034286A
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JP
Japan
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side mold
mold
short side
continuous casting
casting apparatus
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JP33334896A
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English (en)
Inventor
Hironori Shimogama
宏徳 下釜
Kenji Horii
健治 堀井
Tadashi Nishino
忠 西野
Mitsuhisa Isono
光永 磯野
Mitsuo Nihei
充雄 二瓶
Satoshi Hirano
平野  聡
Hisaaki Horiuchi
寿晃 堀内
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Hitachi Ltd
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】凝固シェルの生成を良好にし、ブレークアウト
等の現象を抑制して、安定した連続鋳造を長期間行うこ
とができる連続鋳造装置及び連続鋳造方法を提供するこ
とにある。 【解決手段】短辺鋳型の所望する部位を加熱又は冷却
し、また、短辺縁部を金属縁とし、若しくは、短辺鋳型
材料に二硼化ジルコニウム(ZrB2 )を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、貫通した鋳型内で
溶湯を凝固させながら連続的に引き抜いて、断面形状一
定の長尺物を連続的に製造する連続鋳造装置及び連続鋳
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
(1)従来の貫通した鋳型内で溶湯を凝固させながら連
続的に引き抜いて、断面形状一定の長尺物を連続的に製
造する連続鋳造装置及び連続鋳造方法に関しては、特開
昭58−218353号公報,特開平3−8541 号公報,WO 9
4/07628に記載されている。
【0003】鋼板を製造する場合、先ず溶鋼を連続鋳造
により鋳片にした後、圧延するのが一般的である。鋳片
の厚みは200mm程度が主流であるが、10mm以下の鋼
板を得るためには多くの圧延工程が必要となる。
【0004】これに対し、最近、鋳片の厚みを30〜8
0mm程度にまで薄くし、加熱工程および熱間圧延工程に
おける粗圧延工程を省略し、設備,操業コストや原料か
ら製品までのリードタイムの短縮および省エネルギーを
図る、いわゆるミニホットと呼ばれる技術が提案されて
いる。
【0005】薄い鋳片を製造する場合、向かい合う長辺
鋳型間の距離を小さくすることが必須となる。長辺鋳型
間の距離を小さくした場合、溶湯を供給する注湯ノズル
を挿入するスペースを確保するのが困難になる。この課
題を解決するため、鋳型の上部を広くし、鋳型下端をス
ラブ断面にほぼ等しくした鋳型を使用する技術が提案さ
れている。
【0006】(2)金属板を製造する場合、先ず溶融金
属を連続鋳造により鋳片(板状インゴット)にした後、
圧延するのが一般的である。鋳片の厚みは200mm程度
が一般的であるが、10mm以下の金属板を得るためには
多くの圧延工程が必要となる。これに対し、鋳片の厚み
を小さくした薄板連続鋳造法のような場合、圧延工程を
少なくすることができる。しかし、このような場合、生
産量を確保するために鋳造速度を大きくする必要があ
る。これと同時に、鋳片の厚みを小さくした場合、溶融
金属を鋳型に供給する注湯ノズルを挿入する空間が小さ
くなるため、注湯ノズル挿入部を広げる工夫がされてい
る。このような技術に関しては、例えば、特開昭63−26
244号,WO 94/07628,特開平7−232241号,
特開平7−256399号などに開示されている。
【0007】(3)鋼板を製造する場合、貫通した鋳型
に溶融金属を供給し凝固させながら連続的に引き抜いて
鋳片(200mm程度の厚みの板状インゴット或いはスラ
ブ)を製造する連続鋳造工程を実施した後、鋳片の厚み
を10mm以下の鋼板に多くの圧延工程を実施して製造す
ることが一般的である。
【0008】一方、30〜100mm程度の薄い鋳片を鋳
造できれば、圧延工程を少なくすることができ、少ない
工程で低コストで生産が可能となる。しかし、この場
合、従来の厚みの鋳片から圧延する場合と同程度の生産
量を確保するためには鋳造速度を大きくする必要があ
り、また鋳型の短辺が狭くなれば鋳型の溶融金属供給側
の空間も狭くなって注湯ノズルを挿入するスペースが確
保できなくなることが懸念される。
【0009】これに対応するため、短辺鋳型上部の幅
(鋳片の厚み方向に相当)を広くし、下方に向かって狭
くしていく絞り込み形状の鋳型を利用することで注湯ノ
ズルの挿入を容易にする薄スラブ連続鋳造方式(以下、
適宜、絞り込み鋳造方式という)が、例えば、特開昭58-
218360号公報,特開昭64-2764号公報,特開平2-147151
号公報,特開平3-8541号公報,WO 94/07628
(国際公開番号)などにおいて開示されている。これら
は、いずれも凝固シェルを破断させないようにして問題
なく鋳造を行うため、絞り込み過程で短辺鋳型に接する
面に凝固シェルを形成させないような配慮がなされてい
る。具体的には、絞り込み過程の溶融金属に接触してい
る短辺鋳型を高温状態に維持できるように、短辺鋳型の
絞り込み部に耐火物を用いている。
【0010】一方、上記のような絞り込み形状の鋳型を
用いた薄スラブ連続鋳造方式ではなく、従来の厚い鋳片
を連続的に鋳造する連続鋳造方式のうち、実開昭55−11
201号公報には、短辺鋳型の長辺鋳型と接する場所に金
属メッキを施しておき、長辺鋳型と短辺鋳型の接する部
分の耐摩耗性を向上しようとする技術が開示されてい
る。
【0011】(4)鋼板を製造する場合、まず溶鋼を連
続鋳造により鋳片(板状インゴット)にした後、圧延する
のが一般的である。鋳片の厚みは200mm程度が一般的
であるが、10mm以下の鋼板を得るためには多くの圧延
工程が必要になる。
【0012】これに対し、鋳片の厚みを薄くした薄板連
続鋳造法の場合、圧延工程を少なくすることができる。
しかし、生産量を確保するために鋳造速度を大きくする
必要がある。これと同時に、鋳片の厚みを薄くした場
合、溶湯を鋳型に供給する注湯ノズルを挿入する空間が
小さくなるため、注湯ノズル挿入部を広げる工夫がされ
ている。
【0013】このような技術に関しては、例えば、特開
平3-8541号,特開昭58-3255号,特開昭62-64458号,特
開平2-155543号及びWO 94107628などに開示されてい
る。 (5)鋼板を製造する場合、貫通した鋳型に溶融金属を
通し凝固させながら連続的に引き抜いて鋳片(200mm
程度の厚みの板状インゴット或いはスラブ)を製造する
連続鋳造工程を実施した後、鋳片の厚みを10mm以下の
鋼板に多くの圧延工程を実施して製造することが一般的
である。
【0014】一方、30〜100mm程度の薄い鋳片を鋳
造できれば、圧延工程を少なくすることができ、少ない
工程で低コストでの生産が可能となる。しかし、この場
合、従来の厚みの鋳片から圧延する場合と同程度の生産
量を確保するために鋳造速度を大きくする必要があり、
また鋳型の短辺が狭くなれば鋳型の溶融金属供給側の空
間も狭くなって注湯ノズルを挿入するスペースが確保で
きなくなることが懸念される。
【0015】これに対応するため、短辺鋳型上部の幅
(鋳片の厚み方向に相当)を広くし、下方に向かって狭
くしていく絞り込み形状の鋳型を利用することで注湯ノ
ズルの挿入を容易にする薄スラブ連続鋳造方式(以下、
適宜、絞り込み方式鋳型という)が、例えば特開平3−85
41 号公報,WO 94/07628(国際公開番
号)、特開平7−232241号公報,特開平7−256399号公報
などにおいて開示されている。 (6)溶融金属(以下溶鋼の例で説明)から薄鋳片を連
続的に製造する薄鋳片連続鋳造機として、現在種々の形
式のものが提案されている。このうち絞り込み方式の薄
鋳片連続鋳造機は、大別して双ベルト式や双ロール式の
同期式鋳型のものと固定振動鋳型のものに分類される。
これら絞り込み方式の薄鋳片連続鋳造機では、短辺部に
凝固シェルが生成されると過大な引き抜き抵抗を生じ、
ブレークアウトなどの操業障害を引き起こす原因とな
る。従って、これら絞り込み方式の薄鋳片連続鋳造機で
は、絞り込み部における短辺側凝固シェルの生成をいか
に抑えるかが重要な課題である。これを解決するため、
短辺鋳型に耐火物のような熱伝導率の低い材質を使用し
たり、加熱手段を設けるなどの方法を用いている。例え
ば特開平3−8541号公報や特開平7−232241号公報には短
辺鋳型に耐火物を用いた固定振動鋳型式の連続鋳造機が
提案されている。
【0016】短辺未凝固絞り込み方式の連続鋳造機で
は、絞り込み部における短辺側凝固シェルの抑制も重要
な課題であるが、必然的に鋳片短辺部の凝固は長辺部と
比較して遅れるため、短辺側凝固シェルの成長が不十分
であると、鋳型直下においてブレークアウトが発生する
可能性が高くなる。また、ブレークアウトに至らないま
でも、鋳片短辺部バルジングなどにより鋳片品質に悪影
響を及ぼす。このため特開平7−232241 号公報の連続鋳
造機では、絞り込み部の短辺鋳型には耐火物を用いて短
辺側凝固シェルの生成を抑制し、ストレート部には水冷
金属体を使用して強冷することにより短辺側凝固シェル
の強度を確保している。また、特開平3−8541号公報で
は、水冷金属体をストレート部だけではなく短辺鋳型絞
り込み部の一部にも採用し、短辺側凝固シェルの強度を
より強くする方法が開示されている。
【0017】また、Rev. Metall. Cah. Inf. Tech.:Vo
l. 92,No.6(1995),P.781には、タンデ
ィッシュ直結タイプの鋳型において、溶鋼と接する鋳型
内面の上方にセラミックスを用い、鋳型内面の下方には
水冷銅板を用いて、高品質な鋳片を得る方法が示されて
いる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
(1)上記従来技術(例えば、特開昭58−218353号)は
鋳片と同期して移動する長辺鋳型と、概扇形をした鋳片
と同期して移動しない短辺鋳型とで鋳型空間を形成し、
薄いスラブを製造可能にしている。
【0019】このような同期鋳型方式の技術によれば、
短辺鋳型を加熱しない場合でも、鋳片が鋳型と同期して
移動するため短辺鋳型面に凝固シェルが生成しても、圧
延現象により鋳造は可能である。この技術によると鋳片
が鋳型と同期して移動するため、モールドパウダーを湯
面に浮かべた場合、モールドパウダーが移動する鋳型に
巻き込まれてしまい、安定して湯面に留まらせることが
困難となる。このため、同期式鋳型へのモールドパウダ
ーの使用は実用上不可能となる。
【0020】従って、モールドパウダーの重要な役目で
ある、湯面酸化防止,介在物捕捉等の効果を得ることが
できなくなり、鋳片の品質が劣るという問題がある。高
品質な鋳片を得るためにはモールドパウダーの使用が有
効である。
【0021】モールドパウダーを使用して薄いスラブを
製造する技術として、長辺鋳型及び短辺鋳型共に鋳片と
同期して移動せず、固定された状態で上下方向に振動さ
せるいわゆる振動鋳型方式の短辺鋳型形状を概扇形とし
た技術が提案されている。
【0022】例えば、WO 94/07628,特開平
3−8541 号公報の方式では、前記同期鋳型方式と異な
り、鋳造時の短辺耐化物の温度分布や長時間の鋳造にお
ける短辺耐化物の時間経過による不均一な温度低下につ
いて考慮されておらず、短辺鋳型面での凝固シェルの生
成を確実に防止できず、安定した鋳造ができない。
【0023】本発明の第一の目的は、簡易な設備で短辺
鋳型を長時間均一に加熱し、鋳造初期から鋳造終了まで
安定して凝固シェルの生成を抑制して安定した連続鋳造
を行える連続鋳造方法及び連続鋳造装置を提供すること
にある。
【0024】(2)上記従来技術によると、鋳型の注湯
ノズル挿入部を広くしているため、注湯ノズルの挿入は
容易となり、薄い鋳片の製造が可能になる。一方で、鋳
片の品質を向上させるため、鋳造中の湯面にモールドパ
ウダーを供給することが望ましい。従来技術、特開昭63
−26244 号では長辺鋳型を鋳片の引き抜き速度と同じ速
度で移動させるため、モールドパウダーの使用が困難で
ある。従来技術、WO94/07628,特開平7−232
241号,特開平7−256399号などは振動鋳型方式のためモ
ールドパウダーの使用が可能となる。モールドパウダー
はCaO,SiO2,MgO,Al23 などの酸化物を
主成分とした粉末で構成され、粘性を小さくするためL
2O,NaF,CaF などを添加するのが一般的であ
る。注湯ノズルに代表されるような、Al23,SiO
2 を主成分とした耐火物材料はモールドパウダーにより
容易に侵食される。従って、鋳型材料に耐火物を使用し
た場合、モールドパウダーによる侵食のため、注湯ノズ
ルと同程度の寿命となる。上記従来技術では短辺鋳型材
質のモールドパウダーによる侵食に対しては十分考慮さ
れていない。
【0025】本発明の第二の目的は、モールドパウダー
による短辺鋳型の侵食を抑制して、長期にわたり、安定
した連続鋳造を行う連続鋳造装置を提供することにあ
る。
【0026】(3)特開昭58−218360号公報,特開昭64
−2764号公報,特開平2−147151 号公報に記載の従来技
術は、鋳片の幅方向、即ち長辺鋳型として循環する金属
ベルトを用い、短辺鋳型として固定側板を用いた絞り込
み鋳造方式であり、短辺鋳型の絞り込み部に耐火物を用
いて高温状態の維持を可能にし、耐火物の長辺鋳型(金
属ベルト)と摺動接触する側縁を金属製の額縁で支持す
る構成としている。このような額縁で耐火物を支持する
構造は、長辺鋳型(金属ベルト)との摺動抵抗の低下を
考慮したものであるが、耐火物の熱変形に対しては考慮
されておらず、金属性の額縁は背面より水冷され熱変形
が抑制され、耐火物は冷却されないため、剛体即ち額縁
の中で耐火物のみが熱変形することになる。従って、耐
火物の熱変形(膨張)に対応して耐火物と金属製額縁と
の間にすき間を生じ、このすき間に溶融金属が侵入する
差し込み現象により鋳ばりが発生する。この結果、鋳型
の損傷やスラブの表面欠陥や鋳ばりの鋳型内停滞による
拘束性ブレークアウト等を引き起こす原因となり、安定
した鋳造ができず、しかも危険である。
【0027】また、特開平3−8541 号公報に記載の従来
技術は、長辺鋳型として固定鋳型を用い、短辺鋳型とし
て固定側板を用いた絞り込み鋳造方式であり、この場合
も高温維持のために短辺鋳型の絞り込み部に耐火物を用
い、長辺鋳型と摺動接触する側縁を金属性の額縁で支持
する構成としている。この従来技術における短辺鋳型も
上記特開昭58−218360号公報等に記載の従来技術と基本
的には同様の構成であるため、同様の不具合が生じる。
【0028】また、WO 94/07628は、長辺鋳
型として固定鋳型を用い、短辺鋳型として固定側板を用
いた絞り込み鋳造方式であり、高温維持のために短辺鋳
型の絞り込み部に耐火物を用いているが、短辺鋳型と長
辺鋳型が直接接触する構成となっている。従って、短辺
鋳型と長辺鋳型との接触部で耐火物のエッジの損傷しや
すく、特に鋳片の幅変更のために短辺鋳型を長辺鋳型に
沿って移動させる時には摺動抵抗が大きくなって一層損
傷しやすい。また、例えば長辺鋳型表面のメッキを施し
ている場合にはそのメッキを研削しながら短辺鋳型が移
動することになり、長辺鋳型の損傷が著しくなる。この
ようなことから、安定した鋳造を行うには障害がある。
【0029】一方、実開昭55−11201 号公報に記載の従
来技術は絞り込み鋳造方式ではないが、短辺鋳型に施し
た金属メッキにより、ある程度は鋳型の摩耗が抑えられ
る。ところが、耐火物製の鋳型には金属メッキを施すこ
とはできず、高温維持のため短辺鋳型の絞り込み部に耐
火物を用いる絞り込み鋳造方式に実開昭55−11201 号公
報に記載の従来技術を適用することができない。また、
もし耐火物の表面に金属メッキを施すことができたとし
ても、短辺鋳型を構成する耐火物とメッキを構成する金
属の熱変形差によって短辺鋳型の耐火物と金属メッキと
の境界面で剥離を生じる可能性があり、短辺鋳型を破損
して安定した鋳造ができない心配がある。
【0030】本発明の第三の目的は、短辺鋳型を高温状
態に維持するようにした絞り込み鋳造方式の連続鋳造装
置において、短辺鋳型における耐火物の熱変形によって
も長辺鋳型との間に溶融金属が侵入するようなすき間を
生じることがなく、また鋳型を損傷させることがなく、
安定した連続鋳造が可能な連続鋳造装置を提供すること
である。
【0031】(4)従来技術(特開平3−8541 号)は、
短辺鋳型に対し低熱伝導性の材料を使用しているが、凝
固シェルの生成防止には不十分である。従って、鋳造中
に短辺鋳型面に凝固シェルが生成し、絞り込みの過程で
大きな引き抜き抵抗力が発生し、短辺側の品質悪化の他
にブレーク・アウトを引き起こす原因となる。このた
め、この技術では、安定した鋳造ができないという問題
がある。
【0032】また、従来技術(特開昭58−3255号,特開
昭62−64458号)では、短辺耐火物内にヒータを設置
し、ヒータによって耐火物に生成される凝固シェルを防
止する構造としており、さらに、従来技術(特開平2−1
55543 号)では、短辺耐火物に関連して設けられた高周
波加熱コイルへの印加電力量を制御することで、短辺耐
火物に生成する凝固シェルを再溶解するか又は凝固シェ
ルの発生を阻止する構造としており、絞り込みの過程で
短辺での短辺側の凝固シェルの生成による引き抜き抵抗
力を軽減している。
【0033】しかし、このような従来技術では、絞り込
み部の短辺耐火物側の凝固シェルを全て発生させない構
造となるため、短辺耐火物の溶湯接触面側では全て溶融
金属との接触となり、短辺鋳型(耐火物)と長辺鋳型と
の接触部の隙間に溶融金属の差し込み現象による鋳ばり
を発生する。
【0034】また、WO 94107628では、2つの金属板
と2つの側壁組立体から鋳型通路を形成し、2つの側壁
組立体を上下方向に領域わけして、上部領域を加熱する
手段及び下部領域を冷却する手段を有することにより、
簡便な構造で薄いスラブを製造する連続鋳造用の鋳型が
記載されているが、上部領域では、凝固シェルを全て発
生させない構造となるため、側壁組立体の溶湯接触面側
では全ての面で溶融金属との接触となり、側壁組立体と
金属板との接触部の隙間に溶融金属の差し込み現象によ
る鋳ばりを発生してしまう。つまり、鋳片の引き抜きを
良好にするために、鋳片の引き抜き方向である上下方向
で温度分布を形成し、上部を加熱,下部を冷却してお
り、鋳ばりの抑制について考慮されていない。
【0035】このように発生した鋳ばりにより、鋳型の
損傷,鋳片の表面欠陥及び鋳ばりの鋳型内停滞による拘
束性のブレーク・アウト等を引き起こしてしまい、安定
した鋳造ができない。
【0036】さらに、下部水冷銅板部で短辺凝固シェル
を生成させる場合に、短辺側の溶融金属が長辺側凝固シ
ェルの外側へ回り込む。この回り込み現象等によって、
鋳片の表面欠陥を生じる。
【0037】以上のように、従来技術では、上記のよう
な鋳ばりの発生及び回り込み現象により、安定した鋳造
ができなかった。また、鋳片に表面欠陥が発生するた
め、鋳片の品質を損なう恐れがあった。さらに、鋳ばり
によって鋳型の損傷を招き、鋳型の寿命が短くなってし
まう。
【0038】そして、上記従来技術では、鋳造中及び鋳
造中以外の短辺鋳型の鋳片の幅方向への移動が十分に考
慮されていない。すなわち、鋳片の幅方向変更が困難で
あり、十分に考慮されていない。
【0039】本発明の第四の目的は、短辺鋳型と長辺鋳
型との接触部のコーナー部に凝固シェルを長辺鋳型面の
凝固シェルと連続して形成し、鋳ばりの発生及び回り込
み現象を抑制し、品質の良い鋳片を製造する連続鋳造装
置及び連続鋳造方法を提供することにある。
【0040】(5)上記従来技術によると、注湯ノズル
の挿入が容易となるように短辺鋳型形状において、上部
が広く鋳造方向に下部に向かって次第に狭くなるように
絞り込まれた形状で薄い鋳片の製造が可能となってい
る。これらはいずれも凝固シェルを破断させないように
して問題なく鋳造を行うため、絞り込み過程で短辺鋳型
に接する面に凝固シェルを形成させないような配慮がな
されている。具体的には、絞り込み過程で溶融金属に接
触している短辺鋳型を高温状態に維持できるように短辺
鋳型の絞り込み部に耐火物を用いている。
【0041】上記従来技術では、短辺鋳型の上部絞り込
み部に耐火物を用いているが、溶融金属接触面と反溶融
金属接触面間の温度差による該耐火物の熱変形量に関し
ては十分考慮されていない。
【0042】本発明の第五の目的は、溶融金属接触面と
反溶融金属接触面間の温度差による短辺鋳型の耐火物の
熱変形量を少なくし、安定した連続鋳造を行う連続鋳造
装置を提供することにある。
【0043】(6)ところが、上記従来技術では、鋳片
短辺部の凝固は短辺鋳型の水冷金属体部から急速に開始
されるので、割れなどが発生し鋳片短辺部の表面品質が
悪化することが問題となっている。特に、特開平3−854
1 号公報に示されているように短辺鋳型絞り込み部にも
水冷金属体を採用すると、絞り込み部において生成した
短辺側凝固シェルが過大な引き抜き抵抗を生じさせ、ブ
レークアウトが起こり操業安定性までもが損なわれてし
まうという問題がある。また、短辺鋳型の耐火物部と水
冷金属体部は材質が異なるため、セットアップ時に両者
の接続部には段差が生じてしまう。両者は材質が異なる
ため熱膨張率も異なり、このこともまた段差の要因とな
る。鋳型内面に向かって、耐火物部よりも水冷金属体部
の方が突出するような段差となっている場合は、段差部
において長辺側凝固シェルが拘束されブレークアウト発
生の原因となる。このため段差部は、必ず耐火物部の方
が突出するように短辺鋳型は形成される。しかし、この
段差が大きくなると、段差の部分で溶鋼が既に凝固して
いる鋳片長辺側に回り込んでしまう。溶鋼回り込みが生
じると、鋳片のコーナーや長辺側の品質は低下し、ひど
い場合にはこれがブレークアウトの原因にもなる。この
ため、段差の値を適正に管理することも重要な課題であ
る。しかしながら、この段差の管理は、1/10mmオー
ダーの精密なものとなるため、短辺鋳型製造時のコスト
及びセットアップ時の時間が大きくかかるという問題が
ある。特開平7−232241 号公報では、溶鋼の回り込みを
防止するために、短辺鋳型の面の、溶鋼側を全て同じ材
質の耐火物により構成し、段差をなくすという工夫も提
案されている。しかし、この方法では鋳片短辺部の凝固
速度を大きくすることができず、鋳型直下においてブレ
ークアウトを生じる可能性が高い。また鋳片短辺部の凝
固速度を大きくすることができないため、高速鋳造には
不向きである。
【0044】また、Rev. Metall. Cah. Inf. Tech.:Vo
l. 92,No.6(1995),P.781にはタンディ
ッシュ直結タイプの鋳型に特有の問題であるwithdrawal
markとhot tearを解消するための手段が記述されてい
る。しかし、この鋳造は、以下の点で短辺未凝固絞り込
み方式の連続鋳造とは大きく異なっている。第一に、こ
の鋳造では凝固開始点が湯面最上部とならないために、
モールドパウダーによる鋳型−凝固シェル間潤滑が不可
能となり、鋳型−凝固シェル間摩擦力の低減が難しい。
これに対して短辺未凝固絞り込み方式の連続鋳造では、
長辺側凝固シェルが湯面最上部から生成されるので、モ
ールドパウダーによる鋳型−凝固シェル間潤滑が可能で
ある。第二に、この鋳造では、従来鋳造と同様、鋳片の
長辺側と短辺側の凝固が同時に開始される。このため、
鋳型のセラミックス部で緩冷凝固により生成する、薄く
て強度の小さい長辺及び短辺側凝固シェルに引き抜き力
が作用する。従って、この鋳型を用いた場合、鋳造速度
が2m/min を超えるような高速鋳造は難しい。これに
対して短辺未凝固絞り込み方式の連続鋳造では、短辺鋳
型のストレート部の面の、溶融金属側の上方を緩冷却と
して、短辺側凝固シェルの厚みが薄くなっても、湯面最
上部から生成される長辺側凝固シェルの厚みは充分に厚
く、強度も大きい。このため、大きな引き抜き力の作用
する高速鋳造の実現も可能である。第三に、この鋳造で
は、従来鋳造と同様、鋳片全周が同時に凝固を開始する
ため、溶鋼の回り込みは起こらない。従って、Rev. Met
all.Cah. Inf. Tech.:Vol. 92,No.6(199
5),P.781の記述は短辺未凝固絞り込み方式の連
続鋳造における問題を解決するためのものではない。
【0045】本発明の第六の目的は、鋳片短辺部の表面
品質に優れ、かつ高速鋳造も可能な充分な強度を持つ短
辺側凝固シェルを生成し、加えて短辺鋳型段差部におけ
る回り込みを防止し、さらには短辺鋳型製造時のコスト
及びセットアップ時の時間を大幅に短縮することができ
る連続鋳造装置を提供することにある。
【0046】
【課題を解決するための手段】
(1)本発明の連続鋳造装置は、対向する長辺鋳型と対
向する短辺鋳型とで形成される鋳型の空間に溶融金属を
連続して供給すると共に該鋳型内で凝固するシェルを連
続して引き抜くことで鋳片を連続して製造する連続鋳造
装置において、高温ガスを通過させる通路を前記短辺鋳
型の背面に設け、且つ該通路は上部を広く下部を狭く
し、該短辺鋳型の上から下に向けて前記高温ガスを前記
通路に供給する高温ガス供給手段を有することを特徴と
する。
【0047】本発明の連続鋳造装置は、対向する長辺鋳
型と対向する短辺鋳型とで形成される鋳型の空間に溶融
金属を連続して供給すると共に該鋳型内で凝固するシェ
ルを連続して引き抜くことで鋳片を連続して製造する連
続鋳造装置において、高温ガスを通過させる通路を前記
短辺鋳型の背面に設け、更に、前記高温ガス供給手段を
鋳造方向で複数個設けたことを特徴とする。
【0048】本発明の連続鋳造方法は、対向する長辺鋳
型と対向する短辺鋳型とで形成される鋳型の空間に溶融
金属を連続して供給すると共に該鋳型内で凝固するシェ
ルを連続して引き抜くことで鋳片を連続して製造する連
続鋳造方法において、前記短辺鋳型の背面に設けた高温
ガスを通過させるための上部が広く下部が狭い通路に、
該短辺鋳型の上から下に向けて前記高温ガスを供給する
ことを特徴とする。
【0049】本発明の連続鋳造方法は、対向する長辺鋳
型と対向する短辺鋳型とで形成される鋳型の空間に溶融
金属を連続して供給すると共に該鋳型内で凝固するシェ
ルを連続して引き抜くことで鋳片を連続して製造する連
続鋳造方法において、前記短辺鋳型の背面には高温ガス
を通過させる通路が備えられており、鋳造方向で複数の
位置から前記高温ガスを夫々個別に供給することを特徴
とする。
【0050】(2)本発明の連続鋳造装置は、対向する
長辺鋳型と対向する短辺鋳型とで形成される鋳型の空間
に溶融金属を連続して供給すると共に該鋳型内で凝固す
るシェルを連続的に引き抜くことで溶融金属プールのレ
ベルを一定に保持し、該溶融金属プールにモールドパウ
ダーを浮かべて鋳片を連続して製造する連続鋳造装置に
おいて、少なくともモールドパウダー,溶融金属及び凝
固シェルが共存する部分の該短辺鋳型材質に二硼化ジル
コニウム(以下、ZrB2 )を主成分とする材料を使用
することを特徴とする。
【0051】(3)本発明の連続鋳造装置は、対向する
長辺鋳型と対向する短辺鋳型とで形成される鋳型内の空
間に溶融金属を連続して供給すると共に前記鋳型内で凝
固するシェルを連続的に引き抜くことにより鋳片を連続
して製造する連続鋳造装置であって、前記短辺鋳型は幅
が前記溶融金属の上面から鋳造方向に向かって次第に狭
くなる耐火物製の絞り込み部を有し、かつその短辺鋳型
表面では前記溶融金属が未凝固の状態となるようその短
辺鋳型を加熱する手段を設け、さらに前記絞り込み部の
下に前記短辺鋳型の絞り込み後の平行部を形成する冷却
金属を設置した連続鋳造装置において、前記短辺鋳型
は、前記耐火物の前記絞り込み部及び前記長辺鋳型の接
触部に配置される額縁部と前記額縁部を前記耐火物の反
溶融金属側で連結する背面部とから構成された耐熱金属
部材と、前記耐火物の反溶融金属側と前記背面部との間
に配置される断熱部材とを有することを特徴とする。
【0052】(4)本発明の連続鋳造装置は、対向する
長辺鋳型と対向する短辺鋳型とからなる鋳型を有する連
続鋳造装置であって、前記長辺鋳型及び前記短辺鋳型は
温度を調整する手段を有し、前記短辺鋳型の上部は上方
から下方にかけて徐々に幅が狭くなる絞り込み部と下部
の平行部とからなり、前記絞り込み部では前記長辺鋳型
と前記短辺鋳型とのコーナー部近傍を冷却する手段を有
し、前記コーナー部のみに凝固シェルが形成しており、
かつ前記平行部では全面に凝固シェルが形成し、前記コ
ーナー部の凝固シェルと前記平行部の凝固シェルが連続
していることを特徴とする。
【0053】また、本発明の連続鋳造装置は、対向する
長辺鋳型と対向する短辺鋳型とで形成される鋳型の空間
に溶融金属を連続して供給すると共に前記鋳型内で凝固
するシェルを連続的に引き抜く事で鋳片を連続して製造
し、かつ前記短辺鋳型の幅を湯面から鋳造方向に向かっ
て狭くすると共に前記短辺鋳型を加熱する手段を有し、
前記短辺鋳型面で溶湯が未凝固の状態で絞り込みを完了
する連続鋳造装置において、前記長辺鋳型と前記短辺鋳
型とのコーナー部近傍を冷却する手段を有し、前記長辺
鋳型内で形成したシェルが連続して長辺鋳型と短辺鋳型
のコーナー部で形成していることを特徴とする。
【0054】本発明の連続鋳造方法は、対向する長辺鋳
型と対向する短辺鋳型とからなる鋳型を有する連続鋳造
装置による連続鋳造方法であって、前記短辺鋳型は上部
の絞り込み部と下部の平行部とからなり、前記絞り込み
部では上方から下方にかけて徐々に幅が狭くなり、前記
平行部は幅がほぼ均等であり、前記短辺鋳型の幅方向で
の両端部温度をシェル形成温度以下とすることを特徴と
する。
【0055】また、本発明の連続鋳造方法は、対向する
長辺鋳型と対向する短辺鋳型とからなる鋳型を有する連
続鋳造装置による連続鋳造方法であって、前記短辺鋳型
は上部の絞り込み部と下部の平行部とからなり、前記絞
り込み部では上方から下方にかけて徐々に幅が狭くな
り、前記平行部は幅がほぼ均等であり、前記絞り込み部
での前記短辺鋳型の温度を幅方向で異ならしめ、前記短
辺鋳型の幅方向での中心部温度をシェル形成温度を超え
る温度とし、かつ前記短辺鋳型の幅方向での両端部温度
をシェル形成温度以下とすることを特徴とする。
【0056】(5)本発明の連続鋳造装置は、対向する
長辺鋳型と対向する短辺鋳型とで構成される鋳型内の空
間に溶融金属を連続して供給すると共に該鋳型内で凝固
するシェルを連続的に引き抜くことにより鋳片を連続し
て製造する連続鋳造装置であって、該短辺鋳型の鋳造方
向に複数個に分割した耐火物を使用することを特徴とす
る。
【0057】(6)本発明の連続鋳造装置は、鋳型部が
長辺鋳型及び短辺鋳型からなり、該短辺鋳型は上方が広
がって下方が狭まっている絞り込み部とストレート部に
よって構成される短辺未凝固絞り込み方式の連続鋳造装
置において、該短辺鋳型のストレート部の面の溶融金属
側の上方が水冷金属体以外の材質により構成され、スト
レート部の面の溶融金属側の下方が水冷金属体であるこ
とを特徴とする。
【0058】
【発明の実施の形態】
(実施例1)対向する長辺鋳型と対向する短辺鋳型とで
形成される鋳型の空間に溶融金属を連続して供給すると
共に該鋳型内で凝固するシェルを連続して引き抜くこと
で鋳片を連続して製造する連続鋳造装置において、高温
ガスを通過させる通路を前記短辺鋳型の背面に設け、且
つ該通路は上部を広く下部を狭くし、該短辺鋳型の上か
ら下に向けて前記高温ガスを前記通路に供給することに
より、高温ガスを短辺鋳型の上方から下方に流すため、
燃焼直後のより温度の高い高温ガスで上部を加熱でき
る。
【0059】そして、燃焼ガスは短辺鋳型で徐々に熱を
奪われるため、下方に向かうに従い温度が低下する。
【0060】一方、本発明の短辺鋳型に設けた高温ガス
の通路は、上部が広く、下部が狭い形状となっている。
【0061】このため、燃焼ガスは下方に向かうに従い
温度が低下するが、短辺鋳型の下部は狭いため、通過す
るガスの流速が大きくなり、その結果、熱伝達係数が大
きくなるので加熱温度が極端に低下することを防止する
ことができる。
【0062】また、高温ガスを供給する部位を鋳造方向
に複数個設けるので、燃焼ガスの温度低下の影響が小さ
くなり、均一な加熱が容易に行える。
【0063】可燃性ガスと空気の混合ガスを燃焼させた
高温ガスを用いることにより、燃焼ガスの温度が可燃性
ガスと酸素を燃焼させる場合よりも低くすることができ
る。このため、短辺耐火物を溶損させることなく、燃焼
ガスの流量を大きくすることが可能になり、その結果、
短辺耐火物の温度をより均一に加熱することができる。
【0064】また、複数個設けた高温ガスを供給する通
路に個別に高温ガスを供給できるので、個別に供給する
高温ガスの温度又は流量を調整することにより、それぞ
れの通路を設けた部位の温度を調整することができ、容
易に短辺耐火物の温度分布を調整することができる。
【0065】可燃性ガスと空気の混合ガスを燃焼させた
場合よりも高温の燃焼ガスを供給することが可能にな
る。
【0066】可燃性ガスと酸素の混合ガスを多量に供給
し、燃焼させると、短辺耐火物が局部的に高温になり、
著しい場合には耐火物を溶損させる。
【0067】従って、可燃性ガスと酸素の混合ガスを燃
焼させる場合、流量を適正な範囲に調整する必要がある
が、適正な流量範囲は短辺耐火物を均一に加熱するのに
は不十分な場合が多い。
【0068】複数個の高温ガス供給部から高温の燃焼ガ
スを適正量流すことにより、高温かつ均一に加熱するよ
うに作用する。
【0069】この際、この複数の高温ガス供給部に対応
して、鋳造方向で高温ガスを供給する通路を複数個に分
割し、夫々の通路に個別に高温ガスを排出する排出口を
設けることにより、鋳造方向で個別に温度又は流量を変
化させて供給することができるので、鋳造方向での温度
調整が可能となる。
【0070】また、鋳造方向の実際の温度分布を測定
し、所望する温度分布になるように鋳造方向で個別に温
度又は流量を変化させることが望ましい。
【0071】短辺鋳型の材質に熱伝導率λと厚みδの比
がλ/δ≦0.02(cal/cm2・sec・℃)の関係を満たす
ことで、鋳造中に短辺鋳型背面に移動する熱量を短辺鋳
型面に凝固シェルが生成するのに十分な熱移動量よりも
小さくできるので、更に凝固シェルの生成を抑制するこ
とができる。
【0072】短辺鋳型を鋳造中も連続して加熱するの
で、鋳造中に短辺鋳型温度が徐々に低下するのを防止で
きる。
【0073】このため、凝固シェルの成長を長時間に渡
って防止できるので、長時間鋳造においても安定して鋳
造ができる。
【0074】更に、短辺鋳型の加熱温度を液相線温度の
0.7 倍から液相線温度の範囲となるように制御するこ
とで、鋳造初期から鋳造終了まで安定して凝固シェルの
生成を抑制できるため、安定した鋳造ができる。
【0075】次に、本発明を実施例により具体的に説明
する。
【0076】図1に本実施例で用いた連続鋳造装置の模
式図を示す。
【0077】本実施例では、上部の幅が大きく、下部の
幅が小さい概扇形状をした短辺鋳型1と長辺鋳型2から
構成される固定鋳型に注湯ノズル3を介して溶湯が供給
され、溶湯プール4が形成される。溶湯は、鋳型内で冷
却,凝固され鋳片5となり、鋳型下部に引き抜かれる。
この際、鋳片は支持ロール6に支持される。高温ガスの
通路である空隙13は、上部を広く、下部を狭く形成し
た。ガスバーナーノズル12から高温ガスが空隙13に
図のように供給され、高温ガスの排出口である排気管1
1から排出される。
【0078】本実施例では、短辺鋳型1を上部の幅が大
きく下部の幅が小さい概扇形状とし、且つ高温ガスの通
路である空隙13は、上部を広く、下部を狭く形成し
た。この通路は、図7に示すように、上部での距離L1
と下部での距離L2は、L1>L2の関係にあり、この
両者の比は、鋳造条件(主に、溶湯温度,鋳造材料の凝
固温度,鋳造速度等)によって、適切に決定することが
望ましい。このような構成では、空隙13から長辺鋳型
2までの距離は、鋳造方向でほぼ一定であり、均一に加
熱することが容易である。しかし、短辺鋳型1を上部の
幅と下部の幅とをほぼ同等にし、且つ高温ガスの通路で
ある空隙13を、上部が広く下部が狭い形状としてもか
まわない。
【0079】図2に本実施例で用いた短辺鋳型構造図を
示す。
【0080】溶湯接触面は短辺耐火物7と内部水冷型の
銅合金からなる短辺銅板8により構成される。短辺耐火
物7は溶融シリカ製の短辺耐火物フレーム9と接着さ
れ、短辺バックプレート10に装着される構造となって
いる。また、本実施例では、熱電対15を短辺鋳型1の
鋳造方向で3か所に取り付け、鋳造方向での温度分布を
測定できるようにした。短辺上部にガスバーナーノズル
12を取り付け、短辺耐火物7と短辺耐火物フレーム9
との空隙13に燃焼ガスを流入した。
【0081】このような、高温ガスである燃焼ガスは、
図8に示すように、短辺上部のガスバーナーノズル12
から空隙13を通過して排気管11から排出される。燃
焼ガスは、可燃性ガスと酸素との混合ガスを燃焼させた
ものを用いた。前記短辺鋳型の材質は、熱伝導率λと厚
みδとの比が(1)式を満足する材料を用いた。
【0082】 λ/δ≦0.02(cal/cm2・sec・℃) …(1) 厚みδ=2cm,熱伝導率λ=0.035cal/cm・sec・
℃ 高温ガスである燃焼ガスは、高温ガスの通路である空隙
13を上方から下方に流れ、短辺耐火物7の下部に取り
付けた排気管11を通じて排出させる。この方式を上方
加熱方式と称し、以下に記す下方加熱方式と区別する。
【0083】図3に比較実験で使用した短辺鋳型構造を
示す。
【0084】図2に示した短辺鋳型構造と概略同じであ
るが、ガスバーナーノズル14を短辺耐火物7の下部に
取り付け、燃焼ガスを短辺耐火物7の下方から上方に流
した。この方式を下方加熱方式と称す。ここではプロパ
ンガスと空気の混合ガスを燃焼させ、加熱した。可燃性
ガスとしてはメタン,ブタン等でも本発明と同じ効果を
得られるが、プロパンガスの方が普及率及び設備的な観
点から有利である。
【0085】上記の構成による装置で鋳造実験を実施し
た。
【0086】鋳片の寸法は、厚み70mm,幅1200mm
とし、鋳造開始15分前より短辺鋳型を加熱した。短辺
耐火物7の温度は、背面に取り付けた熱電対15により
監視した。短辺耐火物7の温度は加熱開始から15分で
定常状態に達した。このことにより、鋳造開始の15分
以上前から加熱することが望ましいことがわかる。この
際、30分以上1時間以内前から加熱することが望まし
い。
【0087】図4に鋳造開始直前の短辺耐火物7の鋳造
方向温度分布を示す。
【0088】上方加熱方式ではメニスカス近傍で130
0℃、短辺耐火物下部で1000℃と上部の方が下部よ
りも温度が高く、約300℃前後の差でほぼ均一な温度
分布を得ることができた。これに対し、下方加熱方式で
はメニスカス近傍で600℃,短辺耐火物下部で110
0℃と上部の方が温度が低く、その差も約500℃とい
う大きいものであった。上方加熱方式と比較して、温度
の上がり方が悪く、且つ温度分布は不均一であった。
【0089】このような状態で鋳造を開始した。
【0090】鋳造量は10トン/回、鋳造速度は2〜6
m/min とした。短辺耐火物7の加熱は鋳造中も連続し
て実施した。その結果、上方加熱方式では常に安定して
鋳造が行えたが、下方加熱方式では鋳造開始後約1分で
度々ブレークアウトが発生した。尚、本鋳造実験で鋳造
した鋼種は低炭素鋼,中炭素鋼,高炭素鋼,ステンレス
鋼等、多種類であったが、鋼種による難易はなかった。
【0091】以上のように、本実施例によれば、鋼種に
よらず、簡易な構成の設備で短辺鋳型を長時間均一に加
熱し、鋳造初期から鋳造終了まで安定して凝固シェルの
生成を抑制して安定した連続鋳造を行える連続鋳造方法
及び連続鋳造装置を提供することができるという効果を
奏する。
【0092】図5に本実施例で用いた短辺鋳型構造図を
示す。
【0093】短辺耐火物7の背面よりガスバーナーノズ
ル16を鋳造方向に3ケ所取り付け、プロパンと酸素の
混合ガスを燃焼させ加熱した。これを3段加熱方式と称
することにする。図9に示すように、燃焼ガスは空隙1
3を通り、短辺鋳型の上部から排出される。複数個設け
たガスバーナーノズル16の鋳造方向での位置は、等間
隔でも良いが、上部に取り付けるガスバーナーノズル1
6からの高温ガスを通過させる距離を短めにし、下部に
取り付けるガスバーナーノズル16からの高温ガスを通
過させる距離を長めにすることで、更に、上部から下部
にかけて温度を均一にすることができる。つまり、図9
において、L3<L4<L5とすることが望ましい。
【0094】短辺鋳型構造以外は、実施例1と同じ簡易
な構成の装置を使用し鋳造実験を実施した。鋳片の寸法
は、厚み40mm,幅1200mmとした。
【0095】図6に鋳造開始前の定常状態での短辺耐火
物温度分布を示す。比較のため実施例1における上方加
熱方式での温度分布も同時に示す。3段加熱方式の場
合、加熱温度はメニスカス近傍で約1500℃,短辺耐
火物7の下部で約1450℃であり、上方加熱方式と比
較して、高い温度が確保でき、その差も約50℃しかな
く、均一な温度分布が得られた。また、鋳造方向に対す
る温度分布は上方加熱方式と比較して、より均一な温度
分布を得ることができた。1回に10トンの鋳造をした
結果、常に安定した鋳造ができることを確認した。
【0096】また、前記短辺鋳型の温度Tが(2)式を
満足する範囲になるよう高温ガス温度又は高温ガス流量
を制御する短辺鋳型温度制御手段を備えさせて、温度分
布を調整した。
【0097】 0.7×TL<T≦TL(℃) …(2) ここで、TLは溶湯の液相線温度である。
【0098】また、このような構成の他に、図10に示
すような高温ガスを通過させる通路を複数個設け、夫々
に個別に高温ガスを供給しても良い。また、前記短辺鋳
型の温度分布を検出する温度分布検出手段として、例え
ば、熱電対15を図5のように設け、この温度分布検出
手段により検出された測定値に基づいて、鋳造方向で温
度分布が均一になるように高温ガス温度又は高温ガス流
量を調整する制御手段を付加させて、鋳造中長時間にわ
たって、温度分布を更に均一に維持することができる。
【0099】以上のように、本実施例によれば、簡易な
構成の設備で短辺鋳型を長時間均一に加熱し、鋳造初期
から鋳造終了まで安定して凝固シェルの生成を抑制して
安定した連続鋳造を行える連続鋳造方法及び連続鋳造装
置を提供することができるという効果を奏する。
【0100】(実施例2)一般に、連続鋳造用注湯ノズ
ルのパウダーラインにはZrO2 を主成分とし、C,S
iC等を混合させた材料が使用されている。このような
材料はタンディッシュ等の内壁に使用さているAl
23,SiO2 ,MgO等を主成分とした、いわゆる耐
火物と比較して、モールドパウダーに対しての耐食性は
大きい。しかし、ZrO2 を主成分とした材料において
も4mm/時程度の溶損があるため、6〜8時間毎に注湯
ノズルの交換が必要になる。このような材料を連続鋳造
の鋳型に使用した場合、注湯ノズルと同程度の交換が必
要となるが、鋳型交換は注湯ノズルよりも時間を費やす
ため、操業に支障を来すことになる。また、鋳型内では
凝固シェルとの摺動による摩耗も生じるため、材料の選
定に当たって、耐摩耗性も重要な因子となる。発明者ら
はモールドパウダー及び溶鋼に対して侵食が小さく、更
に、耐摩耗性の大きな材料を調査した結果、ZrB2
主成分とした材料がこれらに対し優れていることを見い
出した。
【0101】上記構成によれば、湯面から鋳造方向に向
かうに従い短辺鋳型の幅が狭くなる部分の材質にZrB
2 を主成分とした材料を用いることができるため、モー
ルドパウダー等による短辺鋳型の侵食が小さく、凝固シ
ェルによる摩耗も小さいため、鋳型の寿命がながくな
る。ZrB2 の含有率は90%以上であることが望まし
い。ZrB2 の含有率が90%以下でC,BN等を添加
したものは侵食に対しては強い抵抗を示すが、強度が低
下するため、摩耗性の観点からは不十分となる。ZrB
2 の含有率が100%であれば一層望ましい。
【0102】また、前記短辺鋳型を上下2つの部分で構
成し、概扇形をした上部(R部)は材質にZrB2 を使
用し、鋳片厚みにほぼ等しい幅をもつ下部(S部)には
内部水冷構造の銅合金を使用することができる。このた
め、鋳型下部で凝固シェルの成長を促進することができ
る。
【0103】また、前記短辺鋳型に対し加熱手段を設け
ることができるので、短辺鋳型上部を高温に加熱するこ
とができる。このため、短辺鋳型上部で凝固シェルの生
成を防止することができる。従って、鋳造方向に従い鋳
片厚み方向距離が小さくなる過程での引き抜き抵抗を小
さくできるので、鋳造が安定して行える。
【0104】また、振動付与手段により前記固定鋳型を
振動させることができるので、モールドパウダーの流入
が促進され、鋳片品質及び鋳造安定性が向上する。
【0105】また、前記短辺鋳型を鋳造中および鋳造中
以外の任意の時刻において、鋳片幅方向に対し移動する
ことができるので、種々の板幅の製造が連続で行える。
【0106】また、前記短辺鋳型が前記長辺鋳型と接触
する部分に金属材料を使用し(以下、額縁)、該長辺鋳
型と該短辺鋳型のZrB2 が直接接触しない構造とする
ことができる。このため、鋳片幅変更の際、短辺鋳型と
長辺鋳型間の摩擦による各鋳型の損傷を軽減することが
できる。
【0107】また、前記短辺鋳型の加熱手段として高温
のガスを使用する構成において、排出されるガスを凝固
完了後の鋳片に吹き付けることができるため、凝固完了
後の鋳片の温度低下を軽減することができる。このた
め、鋳片を直接圧延する際、鋳片を再加熱するエネルギ
ーを不要または小さくすることができる。
【0108】また、鋳造開始時に使用するダミーバーの
一部が概扇形の曲線に沿って突起を設けることができ
る。短辺鋳型の加熱温度が溶融金属の融点よりも小さい
場合、鋳造開始時に短辺鋳型面に凝固シェルが生成し易
い。このような場合、大きな引き抜き抵抗が生じて鋳型
内で凝固シェルが破断し、ブレークアウトの原因となり
やすい。しかし、上記構成によれば、ダミーバーに設け
た突起が凝固シェルと合体し、見かけ上凝固シェルの強
度が大きくなるため、鋳造初期のブレークアウトの発生
を軽減することができる。
【0109】また、前記連続鋳造装置では薄い鋳片を製
造可能なので、圧延機を直結した圧延システムとするこ
とで、小規模で熱効率の高い設備にすることができる。
このため、最終製品である、圧延板の価格を小さくする
ことができる。
【0110】以上のことは振動鋳型方式の連続鋳造機に
限らず、長辺鋳型が鋳片と同期して移動するベルトキャ
スターやドラムキャスターに適用した場合でも有効に作
用する。
【0111】本発明の実施例を図面に基づいて説明す
る。図11に本実施例で用いた連続鋳造装置の模式図を
示す。上部の幅が大きく、下部の幅が小さい概扇形状を
した短辺鋳型1と長辺鋳型2から構成される固定鋳型に
注湯ノズル3を介して溶湯が供給され、溶湯プール4が
形成される。溶湯は鋳型内で冷却,凝固され鋳片5とな
り、鋳型下部に引き抜かれる。この際、鋳片は支持ロー
ル6に支持される。図12及び図13に本実施例で使用
した短辺鋳型の構造図を示す。短辺鋳型1は上部短辺鋳
型17と内部水冷型の銅板よりなる下部短辺鋳型18で
構成される。上部短辺鋳型17の背面に設けた短辺後面
板21の空隙19にガスバーナー20により高温の燃焼
ガスを供給し、上部短辺鋳型17を加熱した。ガスバー
ナー20ではプロパンガスと圧縮空気の混合ガスを燃焼
させた。本実施例では上部短辺鋳型17の材質にはZr
2 100%を使用した。また、上部短辺鋳型17の比
較材として注湯ノズルに使用されるAl23,Si
2 ,ZrO2 等を主成分とした材料を使用した。
【0112】図14に鋳造2時間における摩耗量と溶損
量の関係を示す。鋳造速度は3〜5m/min とし、鋳造
中は溶湯プール上面にモールドパウダーを供給した。摩
耗量はZrB2 で0.4mm 程度であるのに対し、比較材
は1mm程度と2倍以上であった。また、溶損量はZrB
2 で0.5mm 程度であるのに対し、比較材は10mm程度
と約20倍であった。
【0113】図15に本実施例で用いた短辺鋳型構造図
を示す。ZrB2 を主成分とする材料はAl23,Si
2 ,ZrO2 等を主成分とした材料と比較して価格が
高い。そこで、鋳造におけるランニングコストを低下さ
せるため、ZrB2 を主成分とする材料を必要最小限に
止めた構造である。上部短辺鋳型母材24のパウダーラ
イン部25にZrB2 100%を使用し、それ以外の部
分にAl23,SiO2,ZrO2 等を主成分とする材料
を使用した。パウダーラインとそれ例外の部分の合わせ
目は山型に成型し、セラミックス系の接着剤で接着し
た。本構造により上部短辺鋳型のコストを1/10程度
に小さくできた。尚、本構造においても、接合部からの
溶鋼の漏れ出しは発生せず、安定して鋳造が行えた。
【0114】図16に本実施例で使用した短辺鋳型構造
図を示す。ZrB2 は硬質であるため、幅変更の際、長
辺鋳型表面を傷つけ易い。そこで、上部短辺鋳型17と
長辺鋳型2が接する部分に額縁26を設けた。額縁26
の材料としては高温に強いSUS系の材料が好ましい。
このような構造とすることで、幅変更時の長辺鋳型面と
の摺動面が滑らかになり、長辺鋳型面を傷つけることを
防止できる他、金属と比較して脆いZrB2 が欠け落ち
ることを防止できた。尚、本実施例では額縁26に冷却
手段は設けておらず、長辺鋳型との接触により冷却され
ている。
【0115】図17に本実施例で用いたダミーバーヘッ
ドの構造図を示す。また、図18に従来までのダミーバ
ーヘッドの構造図を示す。ダミーバーヘッド28に突起
29を長辺鋳型に面に接するように取り付けた。突起2
9の鋳片幅方向の寸法は鋳片とほぼ等しくした。図17
に示すような突起付きのダミーバーヘッドを用いた場
合、鋳造初期の長辺側の凝固シェル厚みを厚くすること
ができるので、鋳造初期の凝固シェル破断を起こりにく
くなり、結果的にブレークアウトの発生を少なくするこ
とができる。
【0116】図19に本実施例で用いた直送圧延システ
ムの構成図を示す。連続鋳造機30で製造された鋳片5
は水平に曲げられ、デスケーラー31で表面の酸化スケ
ールを剥離される。酸化スケールを剥離された鋳片5は
粗圧延機32及び仕上圧延機33により所定の厚みに圧
延され、その後、冷却装置34で冷却されてコイル35
になる。デスケーラー31の入り口では、短辺加熱で使
用した排出ガスが排出ガス配管36を介して鋳片5に吹
き付けられている。排出ガス配管36より排出されるガ
スの温度は900〜1100℃とすることができるの
で、大気放冷と比較して、鋳片の冷却を小さくすること
ができる。
【0117】以上のように、上記構成によれば、湯面か
ら鋳造方向に向かうに従い短辺鋳型の幅が狭くなる部分
の材質にZrB2 を用いることができる。このため、モ
ールドパウダーによる短辺鋳型の侵食が小さくなり、鋳
型の寿命が長くなる。
【0118】また、前記短辺鋳型を上下2つの部分で構
成し、概扇形をした上部(R部)は材質にZrB2 を使
用し、鋳片厚みにほぼ等しい下部(S部)には内部水冷
構造の銅合金を使用することができる。このため、鋳型
下部で凝固シェルの成長を促進することができる。
【0119】また、前記短辺鋳型に対し加熱手段を設け
ることができるので、短辺鋳型上部を高温に加熱するこ
とができる。このため、短辺鋳型上部で凝固シェルの生
成を防止することができる。従って、鋳造方向に従い鋳
片厚み方向距離が小さくなる過程での引き抜き抵抗を小
さくできるので、鋳造が安定して行える。
【0120】また、振動付与手段により前記固定鋳型を
振動させることができるので、モールドパウダーの流入
が促進され、鋳片品質及び鋳造安定性が向上する。
【0121】また、前記短辺鋳型を鋳造中および鋳造中
以外の任意の時刻において、鋳片幅方向に対し移動する
ことができるので、種々の板幅の製造が連続で行える。
【0122】また、前記短辺鋳型が前記長辺鋳型と接触
する部分に金属材料を使用し(以下、額縁)、該長辺鋳
型と該短辺鋳型のZrB2 が直接接触しない構造とする
ことができる。このため、鋳片幅変更の際、短辺鋳型と
長辺鋳型間の摩擦による各鋳型の損傷を軽減することが
できる。
【0123】また、前記短辺鋳型の加熱手段として高温
のガスを使用する構成において、排出されるガスを凝固
完了後の鋳片に吹き付けることができるため、凝固完了
後の鋳片の温度低下を軽減することができる。このた
め、鋳片を直接圧延する際、鋳片を再加熱するエネルギ
ーを不要または小さくすることができる。
【0124】また、ZrB2 の含有率を90%以上とす
ることで、侵食に対する強い抵抗を示す他、高い強度を
維持することができる。このため、凝固シェルとの摺動
による摩耗が小さくて済む。
【0125】また、鋳造開始時に使用するダミーバーの
一部が概扇形の曲線に沿って突起を設けることができ
る。短辺鋳型の加熱温度が溶融金属の融点よりも小さい
場合、鋳造開始時に短辺鋳型面に凝固シェルが生成し易
い。このような場合、大きな引き抜き抵抗が生じて鋳型
内で凝固シェルが破断し、ブレークアウトの原因となり
やすい。しかし、上記構成によれば、ダミーバーに設け
た突起が凝固シェルと合体し、見かけ上凝固シェルの強
度が大きくなるため、鋳造初期のブレークアウトの発生
を軽減することができる。
【0126】また、前記連続鋳造装置では薄い鋳片を製
造可能なので、圧延機を直結した圧延システムとするこ
とで、小規模で熱効率の高い設備にすることができる。
このため、最終製品である、圧延板の価格を小さくする
ことができる。
【0127】(実施例3)耐火物の絞り込み部と長辺鋳
型との接触部、即ち耐火物の絞り込み部の両縁部に耐熱
金属部材の一部である額縁部を配置することにより、短
辺鋳型を構成する耐火物が熱変形してもその変形に応じ
て額縁部が弾性変形し、短辺鋳型と長辺鋳型との間にす
き間が生じることが防止される。これに対し、先述の実
開昭55−11201 号公報に記載の金属メッキは弾性を有し
ておらず、そのため、たとえ本発明の額縁部の代わりに
金属メッキを耐火物の表面に施すことができたとして
も、短辺鋳型を構成する耐火物とメッキを構成する金属
の熱変形差によって短辺鋳型の耐火物と金属メッキとの
境界面で剥離を生じる可能性があり、短辺鋳型を破損し
て安定した鋳造ができない心配がある。
【0128】つまり、本発明では、短辺鋳型と長辺鋳型
との間にすき間が生じることが防止されるため、差し込
み現象による鋳ばりを防止することができ、それに起因
する鋳型の損傷や、スラブの表面欠陥や、拘束性ブレー
クアウト等の不具合が発生することもなく、安定した鋳
造を安全に行うことが可能となる。また、短辺鋳型の上
部絞り込み部において、耐火物と長辺鋳型とが直接接触
せず耐熱金属製の額縁部を介して接触するため、摺動抵
抗が小さくなり、短辺鋳型を長辺鋳型に沿って摺動させ
る時などに短辺鋳型の耐火物のエッジや長辺鋳型表面が
損傷することもなくなる。
【0129】また、耐火物の反溶融金属側と背面部との
間に断熱部材を配置することにより、耐火物の加熱によ
る背面部の温度上昇を低減でき、さらに、耐熱金属部材
の耐熱性により、額縁部及び背面部の冷却をする必要が
なく、構造が簡単なものとなる。
【0130】上記のような連続鋳造装置において好まし
くは、前記額縁部が、短辺鋳型の絞り込み部の形状及び
その短辺鋳型の熱変形に応じて弾性変形可能な厚みを有
する。これにより、本発明の耐熱金属製額縁部の弾性変
形が一層有効に機能する。
【0131】また、上記額縁部と背面部とは別体とし、
これら額縁部と背面部とを締結部材により締結すること
が好ましい。これにより、耐熱金属部材を作成する際に
額縁部と背面部とを別々に加工でき、それぞれの加工が
容易になる。締結部材による締結後は、一体構造になり
前述のような耐熱金属部材と同様の機能を果たすことが
可能である。
【0132】また、短辺鋳型の絞り込み部下部の平行部
では、上部の絞り込み部で未凝固であった短辺部分を積
極的に冷却することにより、鋳型内で十分な凝固シェル
厚みにすることが好ましい。従って、平行部を形成する
冷却金属に冷却機構を備えて積極的に冷却する。さらに
本発明では、額縁部及び背面部で構成した耐熱金属部材
の冷却をする必要がないため、冷却金属に設ける冷却機
構としては、冷却金属のみを冷却し耐熱金属部材を冷却
しないように構成すればよい。
【0133】また、冷却金属と耐熱金属部材とを別体に
するのが好ましい。これにより、冷却金属として冷却作
用を十分に発揮できる金属であって、耐熱金属とは異な
る金属を選定することが可能となる。
【0134】さらに、短辺鋳型は、鋳造作業中か鋳造作
業中でないかに係わらず、任意の時刻に前記鋳片の幅方
向への移動が可能であることが好ましい。本発明では、
耐火物の絞り込み部両縁部に配置された額縁部が耐火物
の反溶融金属側で背面部に連結されているため、鋳造作
業中であるかそうでないかを問わず、任意の時刻に鋳片
の幅方向への移動を容易に行うことが可能となる。
【0135】さらに、本発明においては、短辺鋳型と長
辺鋳型との間に、シール部材を設置することが好まし
い。これにより、短辺鋳型と長辺鋳型との摺動抵抗が一
層軽減され、短辺鋳型や長辺鋳型の損傷が確実に防止さ
れ、しかも、短辺鋳型と長辺鋳型の間のすき間を確実に
塞ぐこともできる。特に、鋳片の幅変更のために短辺鋳
型を長辺鋳型に沿って摺動させるときには有効である。
【0136】また、本発明において、好ましくは、短辺
鋳型の上部絞り込み部と長辺鋳型との間に設置されるシ
ール部材を金属製シール部材とし、下部水冷金属と長辺
鋳型との間に設置されるシール部材を非金属製シール部
材とする。金属製シール部材としては、例えば銅あるい
は銅合金等が好適であり、非金属製シール部材として
は、例えばテフロン等が好適である。
【0137】また、本発明において、好ましくは、短辺
鋳型の絞り込み部と長辺鋳型との間に設置されるシール
部材を金属性シール部材とし、冷却金属と長辺鋳型との
間に設置されるシール部材を非金属シール部材とする。
金属性シール部材としては、例えば銅或いは銅合金等が
好適であり、非金属シール部材としては、例えばテフロ
ン等が好適である。
【0138】また、短辺鋳型の絞り込み部と長辺鋳型と
の間に設置されるシール部材を高温シール部材とし、冷
却金属と長辺鋳型との間に設置されるシール部材を低温
シール部材としてもよい。高温シール部材としては、例
えばファインセラミックス等が好適であり、低温シール
部材としては、例えばテフロン等が好適である。
【0139】さらに、好ましくは、長辺鋳型を良熱伝導
性の金属で構成した固定型の長辺鋳型とする。これによ
り、長辺鋳型による溶融金属の冷却効果が高まり、長辺
鋳型表面での凝固シェルの生成を促進することが可能と
なる。
【0140】また、上記において好ましくは、長辺鋳型
を短辺鋳型の絞り込み部に対応した間隔を維持しながら
循環する一対の可動ベルトで形成し、そのような鋳型内
に溶融金属を保持する。或いは、長辺鋳型を短辺鋳型の
絞り込み部に対応した間隔を維持しながら回転する一対
の可動ロールで形成し、そのような鋳型内に溶融金属を
保持してもよい。
【0141】本発明の第1の実施形態について、図20
および図21を参照しながら説明する。
【0142】図20は本実施形態の連続鋳造装置の概念
図である。この連続鋳造装置の鋳型150は短辺鋳型1
と長辺鋳型2とから構成される固定鋳型であって、その
うち短辺鋳型1は、注湯ノズル3の挿入を容易にするた
め、また鋳型150内での湯面の波立ちを少なくするた
め、鋳片厚み方向の幅が溶融プール4の上面から鋳造方
向に向かって次第に狭くなる概扇形状をしている。鋳型
150にはタンディッシュ60より注湯ノズル3を介し
て溶融プール4が供給され、溶融プール4aが形成され
る。溶融プール4aは鋳型150から冷却され凝固しつ
つ鋳片69となり、鋳型150の下方に引き抜かれる。
引き抜かれる鋳片69は支持ロール68により支持され
る。長辺鋳型2は、溶融プール4aの冷却効果を高めそ
の表面への凝固シェルの生成を促進するため、銅或いは
銅合金等の良熱伝導性の金属で構成する。また、短辺鋳
型1は短辺幅変更装置100の制御のもとに、短辺鋳型
駆動部101により鋳片幅方向に移動可能となってい
る。
【0143】図21に本実施形態の連続鋳造装置におけ
る短辺鋳型1の構造を示す。但し、図21(a)は短辺
鋳型1を溶融プール4a側から見た図、図21(b)は
図21(a)のB−B方向の断面図、図21(c)は図
21(a)のC−C方向の断面図である。図21(a)
〜(c)に示すように、短辺鋳型1の絞り込み部におけ
る溶融プール4aとの接触面側は耐火物70で構成さ
れ、耐火物70の背面には断熱部材71が設置されてい
る。また、耐火物70は、通電加熱或いは誘導加熱等の
電気的加熱方式により直接或いは間接的に耐火物加熱装
置72により鋳造前及び鋳造作業中の任意の時刻に加熱
できるように構成されている。
【0144】短辺鋳型1の耐火物70と長辺鋳型2とが
接触する部分、即ち耐火物70の両縁部には額縁部74
aが配置され、さらに額縁部74aは耐火物70及び断
熱部材71の反溶融金属側に配置された背面部74bと
一体構造となっている。これら額縁部74a及び背面部
74bは耐熱金属製であり、両者で耐熱金属部材74が
構成される。この耐熱性金属としては、例えばSUS3
10やSUS314等のステンレス鋼が適している。ま
た、上記耐火物70と長辺鋳型2との間に配置した額縁
部74aは、耐火物70の絞り込み部の形状に沿って、
例えば2〜5mm程度の厚みとする。
【0145】耐火物70よりも下の平行部には、内部に
水冷機構(図示しない)を有する水冷金属73が設置さ
れている。なお、水冷機構の代わりに空冷機構を設けて
もよい。上記水冷金属73と耐熱金属部材74とは別体
であり、さらに水冷金属73と耐熱金属部材74はその
熱変形が抑制されるようにバックプレート75に取付け
られている。
【0146】上記のように耐火物70と長辺鋳型2との
間の接触部に額縁部74aを配置したことにより、耐火
物70が熱変形してもその変形に応じて額縁部74aが
弾性変形し、短辺鋳型1と長辺鋳型2との間にすき間が
生じることが防止される。額縁部74aの厚みは、耐火
物70の熱変形に応じて弾性変形可能なように設定する
ことが好ましく、前述のように2〜5mm程度の厚みとし
たのはそのような理由による。
【0147】額縁部74aは上記のように厚さ2〜5mm
程度と薄肉の部分であるが、耐熱金属製であることから
高熱にも十分耐えられるため、その内部に水冷機構等の
冷却溝を設ける必要がない。また、背面部74bと耐火
物70との間に断熱部材71が配置されていることによ
り、耐火物70の加熱による温度上昇を低減でき、さら
に、背面部74bも耐熱金属製であることから、冷却を
する必要がない。つまり、額縁部74a及び背面部74
bを含めた耐熱金属部材74は、水冷金属73とは異な
って水冷機構等の冷却機構を備える必要がなく、構造が
簡単なものとなる。但し、額縁部74aは長辺鋳型2か
ら間接的に冷却されるようになっている。
【0148】また、長辺鋳型2と短辺鋳型1の下部平行
部における水冷金属73とは、銅或いは銅合金等の熱伝
導性の高い金属で構成するのが好ましく、溶融プール4
a及び凝固シェル76との接触面にはクロムメッキを施
したり下層にニッケルメッキを施した上で表層にクロム
メッキを施したり、耐熱金属を溶射処理するのが好まし
い。
【0149】さらに、短辺鋳型1を短辺鋳型駆動部10
1で鋳片幅方向に移動させる場合、もし耐火物70の絞
り込み部両縁部に配置された額縁部が別個に独立したも
のであったらならば、短辺鋳型1の移動に伴って額縁部
の位置がそれぞれずれる心配があるが、本実施形態では
額縁部74aが耐火物70の反溶融金属側で背面部74
bに連結されているため、額縁部74aの位置がずれる
ことがなく、鋳造作業中であるかそうでないかを問わ
ず、任意の時刻に鋳片の幅方向への移動を容易に行うこ
とが可能となる。
【0150】このような鋳型150で鋳造する場合、短
辺鋳型1の耐火物70の幅方向に温度分布が存在し、耐
火物70の幅方向中央部では高温となり、長辺鋳型2の
近傍では温度が比較的低くなる。このため、耐火物70
の幅方向中央部では凝固シェル76は生成しないが耐火
物70両縁部の長辺鋳型2近傍では長辺鋳型2表面で生
成した凝固シェル76から連続した凝固シェルが生成す
る。
【0151】例えば、発明者が行ったシミュレーション
によれば、鋳造開始前の10分間だけ短辺鋳型1の耐火
物70を予熱し、炭素鋼(炭素含有量0.05%)を供試
材として10m/分の鋳造速度で厚み30mm,幅210
0mmの鋳片69を鋳造する場合、短辺鋳型1の耐火物7
0の幅方向中央部の温度が1520℃となり、耐火物7
0両縁部の長辺鋳型2近傍の温度が900℃となった。
即ち、短辺鋳型1の全表面(溶融プール4a側)で見る
と、絞り込み部の断面において幅方向(鋳片69の厚み
方向)に凝固シェル76が連結していないため、短辺鋳
型1の絞り込み過程においてクサビ効果としての引き抜
き抵抗が長辺鋳型2に作用しない。しかも、額縁部74
aが短辺鋳型1の耐火物70両縁部に存在するため、耐
火物70と凝固シェル76との固体接触面積が少なくな
り、短辺鋳型1と凝固シェル76との間の摺動摩耗の原
因となる摺動抵抗も軽減される。このようなことから、
長辺鋳型2表面にできた凝固シェル76を破断させるこ
となく健全な連続鋳造が行え、短辺鋳型1の寿命を延長
することも可能となる。
【0152】以上のような本実施形態によれば、短辺鋳
型1の耐火物70と長辺鋳型2との接触部に、耐火物7
0及び断熱部材71の反溶融金属側で連結された額縁部
74aを配置するので、短辺鋳型1と長辺鋳型2との間に
すき間が生じることが防止され、差し込み現象による鋳
ばりを防止することができ、鋳型150の損傷や鋳片6
9の表面欠陥や拘束性ブレークアウト等の不具合が発生
することもなく、安定した鋳造を安全に行うことが可能
となる。
【0153】また、背面部74bと耐火物70との間に
断熱部材71を配置するので、背面部74bの温度上昇
を低減でき、さらに額縁部74a及び背面部74bを耐
熱金属で構成することから、水冷機構等の冷却機構で冷
却する必要がなく、構造を簡単にできる。
【0154】また、耐火物70と長辺鋳型2とが直接接
触せず耐熱金属製の額縁部74aを介して接触するた
め、鋳片69の幅変更のために短辺鋳型1を長辺鋳型2
に沿って摺動させる時などにおいて摺動抵抗が小さくな
り、耐火物70のエッジや長辺鋳型2表面が損傷するこ
ともなくなる。さらに、金属製の額縁部74aを耐火物
70の両縁部に設置することで、長辺鋳型2表面側の凝
固シェル76と耐火物70との固体接触面積が減少して
摺動抵抗が軽減され、健全な連続鋳造が行えると共に、
鋳造時における摺動摩耗を軽減することができ、短辺鋳
型1の寿命を延長することもできる。
【0155】さらに、額縁部74aを耐火物70の反溶
融金属側で連結しているので、額縁部74aの位置がず
れることがなく、従って、鋳造作業中であるかそうでな
いかを問わず、任意の時刻に鋳片の幅方向への移動を容
易に行うことができる。
【0156】次に、本発明の第2の実施形態について、
図22を参照しながら説明する。
【0157】図22は本実施形態の連続鋳造装置におけ
る短辺鋳型1Aの構造を示す図である。但し、図22
(a)は短辺鋳型1Aを溶融金属3側から見た図、図2
2(b)は図22(a)のB−B方向の断面図、図22
(c)は図22(a)のC−C方向の断面図であり、図
22において、図21と同等の部材には同じ符号を付し
てある。本実施形態は、第1の実施形態とほぼ同様であ
るが、耐火物70と断熱部材71との間に空間77を設
けておき、空間77に加熱手段としてのバーナー72a
を設置するものである。バーナー72aからの高温ガス
は空間77へと導入され、耐火物70を鋳造前及び鋳造
作業中の任意の時刻に加熱できるように構成されてい
る。本実施形態によっても第1の実施形態と同様の効果
が得られる。次に、本発明の第3及び第4の実施形態に
ついて、図23及び図24を参照しながら説明する。
【0158】図23及び図24は、それぞれ第3及び第
4の実施形態の連続鋳造装置における短辺鋳型1B,2
Cの構造を示す図である。但し、図23(a)及び図2
4(a)は短辺鋳型1B,2Cを溶融金属3側から見た
図、図23(b)及び図24(b)は図23(a)及び
図24(a)のB−B方向の断面図、図23(c)及び図
24(c)は図23(a)及び図24(a)のC−C方
向の断面図、図23(d)及び図24(d)は図23
(a)及び図24(a)のD−D方向の断面図である。
図23に示す第3の実施形態は第1の実施形態の変形例
であって、額縁部74aと長辺鋳型2との間に、シール
部材78を設置しており、図24に示す第4の実施形態
は第2の実施形態の変形例であって、額縁部74aと長
辺鋳型2との間に、シール部材78を設置している。こ
れ以外の構成は第1及び第2の実施例と同様であり、図
23及び図24において、図21及び図22とそれぞれ
同等の部材には同じ符号を付してある。
【0159】上記のように短辺鋳型1または2Aの額縁
部74aと長辺鋳型2との接触面にシール部材78を設
置することにより、額縁部74aが長辺鋳型2と直接接
触することがなくなり、短辺鋳型1または2Aと長辺鋳
型2との摺動抵抗が一層軽減され、耐火物70や長辺鋳
型2の損傷が確実に防止され、しかも、短辺鋳型1また
は2Aと長辺鋳型2の間のすき間を確実に塞ぐこともで
きる。この作用効果は、特に鋳片69の幅変更のために
短辺鋳型1や2Aを長辺鋳型2に沿って摺動させる時に
有効である。また、シール部材78を、図23,図24
のように鋳型150下部の水冷金属73と長辺鋳型2の
間まで延びるようにしておけば摺動抵抗の軽減にさらに
寄与できる。
【0160】上記シール部材78としては、すべてテフ
ロン等の非金属製のシール部材を使用しても良いが、短
辺鋳型1または2A上部の絞り込み部と長辺鋳型2との
間に設置される部分を例えば銅あるいは銅合金等の金属
製シール部材とし、下部の平行部における水冷金属73
と長辺鋳型2との間に設置される部分を例えばテフロン
等の非金属製のシール部材とすることが好ましい。或い
は、短辺鋳型1または2A上部の絞り込み部と長辺鋳型
2との間に設置される部分を例えばファインセラミック
ス等の高温シール部材とし、下部の平行部における水冷
金属73と長辺鋳型2との間に設置される部分を例えば
テフロン等の低温シール部材とすることが好ましい。
【0161】以上のような本実施形態によれば、第1の
実施形態や第2の実施形態と同様の効果が得られるだけ
でなく、額縁部74aと長辺鋳型2との間にシール部材
78を設置するので、短辺鋳型1または2Aと長辺鋳型
2との摺動抵抗が一層軽減され、短辺鋳型1及び長辺鋳
型2の損傷が確実に防止され、しかも、両者のすき間を
確実に塞ぐこともできる。
【0162】次に、本発明の第5の実施形態について、
図25を参照しながら説明する。
【0163】図25は本実施形態の連続鋳造装置におけ
る短辺鋳型1Bの構造を示す図である。但し、図25
(a)は短辺鋳型1Bを溶融金属3側から見た図、図2
5(b)は図22(a)のB−B方向の断面図、図25
(c)は図25(a)のC−C方向の断面図であり、図
25において、図21と同等の部材には同じ符号を付し
てある。本実施形態では、耐熱金属部材74Aの額縁部
74cと背面部74dとを別体とし、これら額縁部74
cと背面部74dとを締結部材であるボルト91により
締結している。ボルト91による締結箇所は、図25
(b)のように上下方向(鋳造方向)に数箇所設けられ
ており、また、額縁部74cに設けられたボルト91用
の穴のうち、最下部の穴はボルト91とほぼ同じ径であ
り、それよりも上部のボルト91用の穴は全て長穴92
となっており、鋳造作業中或いは耐火物70の予熱中に
おける額縁部74cと背面部74dの熱変形差を吸収で
きるようになっている。これ以外の構成は第1の実施例
と同様であり、図25において、図21と同等の部材に
は同じ符号を付してある。
【0164】このように額縁部74cと背面部4dとを
別体とすることにより、耐熱金属部材74Aを作成する
際に額縁部74cと背面部74dとを別々に加工でき、
それぞれの加工が容易になる。特に、耐熱金属として好
適なSUS310やSUS314等のステンレス鋼は細かい加工が難
しいため、本実施形態のような構成にすると製作が簡単
になる。また、ボルト91による締結後は、額縁部74
cと背面部74dとは一体構造になり、第1の実施形態
と同様の効果を得ることができる。さらに、額縁部74
c最下部に設けたボルト91用の穴をボルト91とほぼ
同径とし、それよりも上部のボルト91用の穴を全て長
穴92とするため、額縁部74cと背面部74dの熱変
形差を吸収することができる。なお、ボルト91の頭部
の形状を皿型にし、額縁部94cに設けたボルト用穴に
その頭部が埋め込まれるようにしておけば、ボルト91
の頭部によって長辺鋳型2の表面を損傷することがな
い。次に、本発明の第6および第7の実施形態につい
て、それぞれ図26および図27を参照しながら説明す
る。図26に示す第6の実施形態は双ベルト式連続鋳造
装置であり、図27に示す第7の実施形態は双ロール式
連続鋳造装置である。なお、図26および図27は図2
1(a)に相当する短辺鋳型及び長辺鋳型の構成図であ
り、図26と図27に共通の部材には同じ符号を付して
ある。
【0165】図26および図27のどちらの装置におい
ても、短辺鋳型81として図21,図22、或いは図2
5に示した短辺鋳型と同様の形状および構造を有するも
のを用いている。即ち、幅が溶融金属の上面から鋳造方
向に向かって次第に狭くなる概扇形状で、かつ加熱する
手段をもつ耐火物82で絞り込み部を構成し、その下部
の平行部を水冷金属83で構成している。また、図26
の双ベルト式連続鋳造装置の長辺鋳型は、短辺鋳型81
の絞り込み部に対応した間隔を維持しながら循環する一
対の可動ベルト84aで形成し、一方、図27の双ロー
ル式連続鋳造装置の長辺鋳型は、短辺鋳型81の絞り込
み部に対応した間隔を維持しながら回転する一対の可動
ロール84bで形成している。さらに、図26の双ベル
ト式連続鋳造装置では可動ベルト84aに沿って鋳片8
0を冷却するための冷却体85が設けられている。
【0166】さらに、これら第6および第7実施形態に
おいても、短辺鋳型81の耐火物82と、長辺鋳型とし
ての可動ベルト84aまたは可動ロール84bとの間の
接触部即ち耐火物82の両縁部には、絞り込み部の形状
に沿って耐熱金属製の額縁部86が設置されており、額
縁部86は耐火物82の反溶融金属側で図19等で示し
たものと同等の背面部(図示しない)により連結しされ
ている。また、背面部と耐火物82の間には図示しない
断熱部材が配置される。上記額縁部86や背面部は、第
1〜第5の実施形態と同等のものを用いればよい。
【0167】以上のような第6および第7の実施形態に
よれば、短辺鋳型81の耐火物82と、長辺鋳型として
の可動ベルト84aまたは可動ロール84b長辺鋳型と
の間の接触部に耐火物82の反溶融金属側で連結された
額縁部86を配置するので、前述した実施形態と同様
に、短辺鋳型81と、可動ベルト84aまたは可動ロー
ル84bとの間にすき間が生じることが防止され、差し
込み現象による鋳ばりを防止することができ、鋳型の損
傷や、スラブの表面欠陥や、拘束性ブレークアウト等の
不具合が発生することもなく、安定した鋳造を安全に行
うことが可能となる。また、耐火物82と、可動ベルト
84aまたは可動ロール84bとが直接接触せず額縁部
86を介して接触するため、摺動抵抗が小さくなり、耐
火物82,可動ベルト84a,可動ロール84bが損傷
することもなくなる。さらに、鋳造作業中か鋳造作業中
でないかに係わらず、任意の時刻に障害なく鋳片80の
幅変更を行うことができる。さらに、上記以外の前述し
た実施形態と同様の効果も得られる。
【0168】なお、これら第6および第7の実施形態に
おいても、額縁部86と、可動ベルト84aまたは可動
ロール84bとの間に、さらにシール部材を設置しても
よく、その場合には短辺鋳型81と、可動ベルト84a
または可動ロール84bとの摺動抵抗が一層軽減され、
鋳型の損傷が確実に防止され、しかもすき間を確実に塞
ぐこともできる。
【0169】本発明によれば、短辺鋳型の絞り込み部と
長辺鋳型との接触部に耐火物の反溶融金属側で連結され
た耐熱金属製の額縁部を配置するので、短辺鋳型と長辺
鋳型との間にすき間が生じることが防止され、差し込み
現象による鋳ばりを防止することができ、それに起因す
る鋳型の損傷や、スラブの表面欠陥や、拘束性ブレーク
アウト等の不具合が発生することもなく、安定した鋳造
を安全に行うことが可能となる。
【0170】(実施例4)以下、本発明の実施例につい
て図面に基づき説明する。
【0171】図28は、本実施例で用いた連続鋳造装置
の概念図を示す。
【0172】本実施例での連続鋳造装置は、注湯ノズル
3の挿入が容易で、鋳型内での湯面の波立ちを少なくす
るために、上部で厚み方向の幅が広く下部で厚み方向の
幅を狭くした概扇形状をした短辺鋳型1と長辺鋳型2と
から構成される固定鋳型に注湯ノズル3を介して溶融プ
ール4が供給され、溶湯プールが構成される。
【0173】鋳型内への溶融プール4の供給は、タンデ
ィッシュ60から行われる。すなわち、タンディッシュ
60に溜められた溶融プール4は、ストッパー61の調
整により、タンディッシュ60下方の注湯ノズル3を通
り、固定鋳型内に供給される。
【0174】溶融プール4は鋳型内で冷却によって凝固
され、鋳片5となり、鋳型下部に引き抜かれる。この
際、鋳片5は複数の支持ロール6によって支持される。
【0175】短辺鋳型1及び長辺鋳型2には、それぞれ
冷却するための冷却水供給装置が取り付けられており、
鋳造中等に短辺鋳型1及び長辺鋳型2を適切に冷却する
ことが可能である。さらに、短辺鋳型1には、短辺温度
制御装置が設置されており、温度制御を可能としてい
る。
【0176】図29に本実施例で使用した短辺鋳型1の
構造図を示す。短辺鋳型1は、図29のように絞り込み
部62では下方に向かうに従い徐々に幅が狭くなり、平
行部63では幅はほぼ同じである。
【0177】短辺鋳型1は、溶融金属接触面64に耐火
物7,耐火物47の背面の絞り込み部に高断熱性の耐火
物48を設置し、耐火物48の背面と下部平行部に内部
水冷型の金属板49を設置し、更に金属板49の熱変形
を抑制するようにバックプレート50が取り付けられて
いる。
【0178】耐火物47は、導線51から電極52を介
して電流を流すことで耐火物47を加熱できるようにし
ており、また耐火物47の背面に取り付けた熱電対53
で耐火物47の温度変化を測定し、短辺温度制御装置に
フィードバックすることで耐火物47の温度を鋳造前及
び鋳造中に制御できるようにしている。
【0179】ここで、耐火物47の加熱手段としては前
記通電加熱方式以外にバーナー等による加熱手段でもよ
い。
【0180】上記した本発明の構成によれば、湯溜り部
の上部が広く、下部が狭い形状で短辺鋳型面での凝固シ
ェルの生成は、図38のようになる。
【0181】図38は、短辺鋳型での凝固シェルの形成
形態を示す。
【0182】上部絞り込み部においては、湯面より下方
で短辺鋳型1と長辺鋳型2とのコーナー部で連続して、
凝固シェル54が形成されている。
【0183】下部平行部では、凝固シェル54が一面に
形成されている。
【0184】このように凝固シェル54を形成するため
には、短辺鋳型1の幅方向の温度調整を行う。
【0185】図39に、短辺鋳型1の幅方向の温度調整
の一例を示す。
【0186】上部絞り込み部において、短辺鋳型1の幅
中央部を加熱し、凝固シェル形成温度(T)より中央部
温度を高くする。すなわち、図39におけるT2(>
T)の温度にする。また、短辺鋳型1の両端では、凝固
シェル形成温度(T)より低い温度とする。すなわち、
図39におけるT1(≦T)の温度にする。この際、こ
の温度は、緩やかな曲線になることが好ましい。しか
し、段状もしくは直線状となっても構わない。
【0187】このような温度調整は、上部絞り込み部で
短辺鋳型1の幅中央部を通電加熱方式又はバーナー加熱
方式等により加熱することで可能となる。さらに、短辺
鋳型1の両端部を冷却することで可能となる。
【0188】短辺鋳型1の両端部の冷却方法としては、
鋳型内に冷却水の流れる冷却水溝を設け、冷却する方法
がある。
【0189】この際、短辺鋳型1側と長辺鋳型2側で、
短辺鋳型1の両端部の冷却を行う方法がある。
【0190】短辺鋳型1側では、例えば、短辺鋳型1内
の反溶湯側に冷却水溝を設け、短辺鋳型1の両端部の冷
却水流量を短辺鋳型1の中央部の冷却水流量より多くし
て、短辺鋳型1の両端部の冷却能力を向上することがで
きる。
【0191】長辺鋳型2側では、例えば、長辺鋳型2内
に冷却水溝を設け、長辺鋳型2の短辺鋳型1との接触部
近傍の冷却水流量を長辺鋳型2のその他の部位の冷却水
流量より多くして、短辺鋳型1の両端部の冷却能力を向
上することができる。
【0192】以上のような加熱や冷却によって、前述の
短辺鋳型1の幅方向での温度分布を可能にし、この温度
分布によって、図38に示すような凝固シェルを形成す
ることができる。
【0193】そして、上部の絞り込み部で短辺鋳型1の
幅中央部では、高温となるため凝固シェル54は生成し
ない。
【0194】しかし、短辺鋳型1の両端部、すなわち、
長辺鋳型2の近傍では温度が低く、長辺鋳型2の面で生
成した凝固シェル54が連続して長辺鋳型2と短辺鋳型
1のコーナー部に生成する。
【0195】このため、上部の絞り込み部で短辺鋳型1
の全面では、コーナー部のみに凝固シェル54が形成さ
れ、幅方向に凝固シェル54が連結しておらず、短辺の
絞り込みによる引き抜き抵抗は発生しない。
【0196】また、短辺鋳型1と長辺鋳型2のコーナー
部に長辺側から連続した凝固シェル54が生成すること
により、短辺鋳型1と長辺鋳型2の隙間への溶融金属の
差し込みによる鋳ばりを防止することで拘束性ブレーク
・アウトの発生を少なくし、下部水冷金属部である金属
板49での短辺凝固シェル54生成時の短辺側から長辺
凝固シェル54の外側への溶融プール4の回り込みも防
止することが可能となる。
【0197】一方、平行部では、凝固シェル54を形成
する。
【0198】この際、短辺鋳型1で上部の絞り込み部を
耐火物とし、下部の平行部を金属とすることが好まし
い。これは、上部の絞り込み部では、適切な温度分布を
つくり、下部の平行部では、冷却を促進することで、図
38のように上部の絞り込み部では、コーナー部のみ、
下部の平行部ではほぼ全面に凝固シェルを形成すること
ができる。
【0199】この様に本実施例によれば、短辺鋳型1の
全面での幅方向の凝固シェル54の成長,連結を防止す
ることで無理なく絞り込みを完了し、絞り込み完了以降
は短辺鋳型1を冷却することで短辺面での凝固シェル5
4を生成させ、鋳片5を連続して製造することが可能と
なる。
【0200】以上のように、上記した本実施例の構成に
よれば、湯溜り部の上部が広く、下部が狭い形状で短辺
鋳型面での凝固シェルの生成は、短辺鋳型を高温に加熱
し、更に短辺鋳型の長辺鋳型との接触部近傍を冷却する
ことにより、上部の絞り込み部の短辺鋳型中央部では凝
固シェルの生成を防止し、短辺鋳型の両端部,長辺鋳型
との接触部近傍では凝固シェルを生成させることがで
き、短辺凝固シェル生成による絞り込み部の引き抜き抵
抗力を軽減し、更に短辺鋳型と長辺鋳型との隙間への溶
融金属の差し込みによる鋳ばりを防止することで拘束性
ブレーク・アウトの発生を少なくすることが可能とな
る。
【0201】上記の装置で鋳造した場合の凝固シェル5
4の生成状態を確認するために、シミュレーションを実
施した。
【0202】シミュレーションは、鋳片寸法が厚み30
mm及び幅2100mmで、鋳造開始前に約10分間短辺鋳
型1の耐火物47を予熱し、炭素鋼(炭素含有量0.05
%)を鋳造速度10m/分で鋳造した。
【0203】この場合の絞り込み部62での任意のA−
A′断面及び平行部63での任意のB−B′断面におけ
る凝固シェル54の生成状態を図30及び図31に示
す。
【0204】図30は、絞り込み部62の凝固シェル5
4の生成状態を示したものであり、前記シミュレーショ
ン結果より、短辺鋳型1の幅方向には温度の違いが存在
する。この温度の違いは、短辺鋳型1の幅方向で、両端
が長辺鋳型2内の冷却水溝55に流れる冷却水によって
冷却されることによる。
【0205】本実施例のシミュレーションでは、短辺鋳
型1の耐火物47の幅中央部で1520℃の高温であり、短
辺鋳型1の耐火物47の長辺鋳型近傍では900℃であ
り、幅中央部よりも低く、その温度差は約420℃であ
った。
【0206】短辺鋳型1の幅中央部では高温となるため
凝固シェル54は生成しない。
【0207】しかし、短辺鋳型1での長辺鋳型2の近傍
では温度が低く、長辺鋳型2の面で生成した凝固シェル
54が連続して長辺鋳型2と短辺鋳型1のコーナー部に
生成する。
【0208】このため、短辺鋳型1の全面では、幅方向
に凝固シェル54が連結しておらず、短辺の絞り込みに
よる引き抜き抵抗は発生しない。
【0209】また、短辺鋳型1と長辺鋳型2のコーナー
部に長辺側から連続した凝固シェル54が生成すること
により、短辺鋳型1と長辺鋳型2の隙間への溶融金属の
差し込みによる鋳ばりを防止することで拘束性ブレーク
・アウトの発生を少なくし、下部水冷金属部である金属
板49での短辺凝固シェル54生成時の短辺側から長辺
凝固シェル54の外側への溶融プール4の回り込みも防
止することが可能となる。
【0210】一方、図31に示すように、絞り込み完了
以降の領域、すなわち、平行部63では、短辺鋳型1の
金属板49により冷却されることで、短辺鋳型1の全面
に凝固シェル54が生成し、そして成長する。
【0211】この様に本発明によれば、短辺鋳型1の全
面での幅方向の凝固シェル54の成長,連結を防止する
ことで無理なく絞り込みを完了し、絞り込み完了以降は
短辺鋳型1を冷却することで短辺面での凝固シェル54
を生成させ、鋳片5を連続して製造することが可能とな
る。
【0212】図32及び図33に、本実施例で用いた連
続鋳造装置の短辺鋳型1の長辺鋳型近傍の冷却構造を示
す。
【0213】図32は、長辺鋳型2において、短辺鋳型
1との接触部近傍における冷却水溝55を流れる冷却水
の流量を多くすることにより、短辺鋳型1との接触部で
の冷却効果を長辺鋳型2の他の部位より高めることで、
長辺鋳型2内面で生成した凝固シェル54が連続して短
辺鋳型1と長辺鋳型2のコーナー部での生成を促進でき
る構造としている。すなわち、本実施例では、冷却水溝
55の大きさを短辺鋳型1との接触部近傍部分のみ大き
くし、冷却水の流量を増加させ、短辺鋳型1の両端の冷
却を促進している。
【0214】この際、短辺鋳型1との接触部近傍におけ
る冷却性能を向上させるために、冷却水溝55を大きく
すること以外に、流速を速くしたり、冷却水温度を低く
したりしても良い。
【0215】また、図33は、短辺鋳型1の耐火物47
及び耐火物48の背面部の金属板49の冷却水溝55に
おいて、長辺鋳型2との接触部近傍の冷却水溝55に流
れる冷却水の流量を多くすることにより、短辺鋳型1の
幅方向の温度分布(温度勾配)を促進し、短辺鋳型1の
幅中央部での温度を高く維持し、長辺鋳型2との接触部
近傍での温度を低くすることができ、長辺鋳型2で生成
した凝固シェル54が連続して短辺鋳型1と長辺鋳型2
のコーナー部での生成を促進できる。
【0216】図33の実施例では、短辺鋳型1側に冷却
水溝55を3個所設け、中央の冷却水溝55より両端の
冷却水溝55を流れる冷却水の流量を多くした。この
際、冷却水溝55の溶融プール4側の面を溶融プール4
に近付けることで冷却性能を向上させることもできる。
【0217】図34に本実施例で用いた連続鋳造装置の
短辺鋳型1の構造図を示す。短辺鋳型1の上部絞り込み
部の溶融金属接触面に耐火物47,その背面に断熱性耐
火物48,その背面に水冷用の金属板49を設置し、か
つ、下部平行部の溶融プール4との接触面に水冷用の金
属板9が溶融プール4側に露出するように構成した。短
辺鋳型1の下部平行部の溶融プール4との接触面に耐火
物47を使用した場合には前記シミュレーションにおい
て、短辺鋳型1の平行部での凝固シェル14の厚みは4
mm程度であったが、本実施例の場合には7mm程度とする
ことができた。
【0218】このため、短辺鋳型1の下部平行部での短
辺面の凝固シェル4の成長量を大きくでき、ブレーク・
アウト発生防止に有利となる。
【0219】ここで、本実施例に用いた長辺鋳型2及び
短辺鋳型1の水冷用の金属は、銅或いは胴合金等の熱伝
導性の高い金属であり、溶融プール4との接触面には、
Crメッキあるいは下層にNiメッキ表層,上層にCr
メッキ等を施している。
【0220】図35に本実施例で用いた連続鋳造装置の
短辺鋳型1の構造図を示す。
【0221】図35に示すように、短辺鋳型1の長辺鋳
型2との接触面にシール材56を設置することにより、
短辺鋳型1と長辺鋳型2が直接接触することをなくし、
幅変更する際の短辺鋳型1の長辺鋳型2に対する摺動抵
抗を軽減することができた。さらに、特に絞り込み部に
使用している耐火物47が長辺鋳型2と直接接触しない
ために、鋳型セット時及び幅変更時に耐火物47が破損
する可能性を少なくすることができた。
【0222】従って、鋳造前だけでなく鋳造中のオンラ
イン幅変更を実施しても、トラブル発生の可能性を少な
くでき、長辺鋳型2の溶融プール4との接触面の傷付き
を防止することができる。
【0223】ここで、前記シール材56は、短辺鋳型1
の耐火物7では銅或いは銅合金等の金属性シール材、ま
たはファインセラミックス等の高温シール材とし、短辺
鋳型1の下部平行部の水冷用の金属板49ではテフロン
等の非金属シール材を使用してもよい。
【0224】図36に本実施例で用いた双ベルト式連続
鋳造装置を、図37に本実施例で用いた双ロール式連続
鋳造装置を示す。
【0225】図36の双ベルト式連続鋳造装置は、双ベ
ルト式長辺鋳型57に鋳片5と同期して移動するベルト
を使用しており、図37の双ロール式連続鋳造装置は双
ロール式長辺鋳型58に鋳片5と同期して移動するロー
ルを使用しており、どちらの装置も短辺鋳型1に固定鋳
型を使用し、短辺鋳型1の幅が湯面から鋳造方向に向か
うに従い狭くなるという点で共通している。
【0226】これらの装置に対して、短辺鋳型1に図2
9〜図35のいずれかに示す構造の短辺鋳型1を使用
し、上部絞り込み部で短辺鋳型1の耐火物47を加熱
し、双ベルト式長辺鋳型57及び双ロール式長辺鋳型5
8との接触部近傍での冷却を強くすることで耐火物47
の幅中央部では高温となるため、凝固シェル54は生成
しない。
【0227】しかし、短辺鋳型1の長辺鋳型2の近傍で
は温度が低く長辺鋳型2の内面で生成した凝固シェル5
4が、連続して双ベルト式長辺鋳型57又は双ロール式
長辺鋳型58と短辺鋳型1とのコーナー部に生成する。
【0228】このため、短辺鋳型1の全面では幅方向に
凝固シェル54が連結しておらず、短辺の絞り込みによ
る引き抜き抵抗は発生しない。
【0229】また、このコーナー部に生成した凝固シェ
ル54は、双ベルト式長辺鋳型57又は双ロール式長辺
鋳型58と溶融プール4との接触部への差し込みによる
鋳ばりを防止することで拘束性ブレーク・アウトの発生
を少なくし、下部水冷用の金属板9での短辺での凝固シ
ェル54が生成時の短辺側から長辺凝固シェル54の外
側への溶融プール4の回り込みも防止することが可能と
なる。
【0230】この様に、短辺鋳型全面での幅方向の凝固
シェル54の成長,連結を防止することで無理なく絞り
込みを完了し、絞り込み完了以降は短辺鋳型1を冷却す
ることで短辺面での凝固シェル54を生成させ、鋳片を
連続して製造することが可能となる。
【0231】短辺鋳型の上部の絞り込み部で下方になる
に従い、短辺鋳型の幅が徐々に狭くなり、下部の平行部
で幅がほぼ同等である短辺鋳型と類似している双ベルト
式連続鋳造装置や双ロール式連続鋳造装置にも本発明を
適用することは可能である。すなわち、短辺鋳型の形状
が、短辺鋳型の上部の絞り込み部で下方になるに従い、
短辺鋳型の幅が徐々に狭くなり、下部の平行部で幅がほ
ぼ同等であるような連続鋳造装置では、本発明は有効で
ある。
【0232】そして、下部水冷金属部での短辺凝固シェ
ル生成時の短辺側から長辺凝固シェルの外側への溶融金
属の回り込みを防止することも可能となる。
【0233】また、上記した本発明の構成によれば、短
辺鋳型の長辺鋳型との接触部にシール材を設置すること
で鋳造中及び鋳造中以外時における短辺鋳型の鋳片の幅
方向移動に対し、長辺鋳型と短辺鋳型との直接接触を防
止できるため、短辺鋳型の鋳片の幅方向移動が可能とな
る。
【0234】本実施例によれば、鋳型の上部が広く鋳造
方向に狭くなる鋳型形状で、短辺鋳型上部を加熱し、長
辺鋳型と短辺鋳型との接触部周辺を冷却することで鋳型
内の溶鋼の短辺側において未凝固状態で絞り込まれ、更
に、長辺鋳型側からの凝固シェルが連続して長辺鋳型と
短辺鋳型とのコーナー部で形成することが可能となっ
た。
【0235】このため、絞り込み過程での未凝固溶鋼が
長辺鋳型と短辺鋳型との接触部の隙間に入って生成する
鋳ばりを減少することができ、鋳ばりの減少により、鋳
造中の鋳ばりが鋳型内で停滞して発生する拘束性のブレ
ーク・アウトを減少させることが可能となり、高速で安
定した鋳造が可能となった。
【0236】また、鋳ばりの減少により、鋳片の表面欠
陥の発生を減少することができ、鋳片の品質が向上し
た。そして、鋳ばりによる鋳型の損傷を減少することが
でき、鋳型の寿命を伸はすことができた。
【0237】次に、本実施例によれば、下部水冷金属部
での短辺凝固シェル生成時の短辺側から長辺凝固シェル
の外側への溶融金属の回り込みを防止することができ、
高速で安定した鋳造が可能となった。
【0238】更に、本実施例によれば、短辺鋳型の長辺
鋳型との接触部にシール材を設置したため、鋳造中及び
鋳造中以外の任意の時における短辺鋳型の鋳片幅方向移
動において、長辺鋳型と短辺鋳型との直接接触を防止で
きるため、良好な短辺鋳型の鋳片幅方向移動が可能とな
った。
【0239】本発明によると、短辺鋳型と長辺鋳型との
接触部のコーナー部に凝固シェルを長辺鋳型面の凝固シ
ェルと連続して形成し、鋳ばりの発生及び回り込み現象
を抑制し、品質の良い鋳片を高速で安定した連続鋳造す
る連続鋳造装置及び連続鋳造方法を得ることができると
いう効果を奏する。
【0240】(実施例5)短辺鋳型の上部絞り込み部分
に鋳造方向に複数個に分割した耐火物を用いることがで
きる。このため、該耐火物の溶融金属接触面と反溶融金
属接触面側との温度差による熱変形量が小さくなり、組
立時と鋳造時におけるテーパ量にほとんど変化がなく、
組立時の状態にて鋳造が可能となり、鋳型内での凝固シ
ェル拘束によるブレーク・アウトを防止し、安定した鋳
造が可能となる。更に、前記耐火物は分割されているた
め、小さな耐火物片を使用することができ、耐火物の成
形が容易となり、該耐火物に要する費用を小さくでき
る。
【0241】また、前記耐火物の材質にZrB2 を主成
分とする材料を用いることができる。このため、モール
ドパウダーによる短辺鋳型の侵食が小さくなり、鋳型の
寿命が長くなる。
【0242】また、前記短辺鋳型において上部絞り込み
部は加熱手段により加熱した耐火物を使用できるので、
短辺鋳型上部で凝固シェルの生成を防止できる。従っ
て、鋳造方向に従い、鋳片厚みが薄くなる過程における
引き抜き抵抗を小さくできるので、安定した鋳造が可能
となる。
【0243】また、前記耐火物の最下部片を絞り込み終
了後の短辺鋳型の幅が一定となる部分に延長し、該耐火
物に冷却手段を設けることで、上部絞り込み部にて未凝
固であった短辺鋳型接触面側に凝固シェルを生成させ、
更に鋳片厚みにほぼ等しい下部には内部水冷構造の銅合
金を使用することで凝固シェルの成長を促進することが
できる。
【0244】また、振動付与手段により前記固定鋳型を
振動させることができるので、モールドパウダーの流入
が促進され、鋳型と凝固シェル間の潤滑が良好な状態に
維持でき、鋳片品質及び鋳造安定性が向上する。
【0245】また、前記短辺鋳型と前記長辺鋳型が接触
する部分に額縁を設置し、該長辺鋳型と該短辺鋳型の耐
火物が直接接触しない構造とすることで、鋳片幅変更の
際、短辺鋳型と長辺鋳型間の摺動摩擦による各鋳型の損
傷を軽減することができ、鋳造中或いは鋳造中以外の任
意の時刻における幅変更動作を安定して行える。
【0246】また、上記において、長辺鋳型を短辺鋳型
の絞り込み部に対応した間隔を維持しながら循環する一
対の可動ベルトで形成し、該長辺鋳型と前記短辺鋳型か
ら構成される鋳型内に溶融金属を保持する。或いは、長
辺鋳型を短辺鋳型の絞り込み部に対応した間隔を維持し
ながら回転する一対の可動ロールで形成し、該長辺鋳型
と前記短辺鋳型から構成される鋳型内に溶融金属を保持
してもよい。
【0247】以下、本発明の実施例について図面に基づ
き説明する。
【0248】図40に本実施例で用いた連続鋳造装置の
概念図を示す。注湯ノズルの挿入が容易で鋳型内での湯
面の波立ちを少なくするように鋳型の上部が鋳片の厚み
方向の幅が広く、下部の厚み方向の幅を狭くした概扇型
形状をした短辺鋳型1と長辺鋳型2から構成される固定
鋳型に注湯ノズル3を介して溶融プール4が供給され、
溶融プールが構成される。溶融プール4は前記固定鋳型
内で冷却,凝固され鋳片5となり、鋳型下部に引き抜か
れる。この際、鋳片5は支持ロール6により支持され
る。
【0249】図41及び図42に本実施例で使用した短
辺鋳型の構造図を示す。短辺鋳型1は上部が耐火物から
なる短辺鋳型107と内部水冷銅板からなる下部短辺鋳
型108で構成される。上部短辺鋳型107とその背面
に設置した短辺後面板109との空隙部115にガスバー
ナー等の加熱手段110により高温の燃焼ガスを供給
し、上部短辺鋳型107を加熱できる構造としている。
加熱手段110はプロパンガスと圧縮空気の混合ガスを
燃焼させるガスバーナーを使用したが、上部短辺鋳型1
07を電気的に加熱する通電加熱方法を使用してもよ
い。また、上部短辺鋳型107の反溶融金属側に取付け
た熱電対112で上部短辺鋳型7の温度変化を測定し、
フィードバックすることで上部短辺鋳型107の温度を
鋳造前及び鋳造中に制御できるように構成しており、上
部絞り込み部の短辺鋳型接触面に凝固シェルが生成する
ことを防止することで、拘束性ブレーク・アウトを防止
している。
【0250】本実施例では、上部短辺鋳型107は鋳造
方向に複数個に分割した耐火物で構成している。また、
本実施例では、上部短辺鋳型107の材質にZrB2
00%を使用した。本実施例における短辺鋳型1の上部
絞り込み部に鋳造方向に複数個に分割した耐火物を用い
ることで1枚の大きな耐火物を使用する場合と比較して
上部短辺鋳型107に要するコストを1/10程度に低
減できた。また、本実施例では、鋳造方向に複数個に分
割した上部短辺鋳型107の最下部の耐火物を絞り込み
終了後の短辺鋳型の幅が一定となる部分に延長し、該耐
火物に冷却手段を設けることで、上部絞り込み部にて未
凝固であった短辺鋳型接触面側の同一素材面上に凝固シ
ェルを生成させることで、溶融金属が鋳片短辺側から長
辺側への回り込みを防止することができた。更に鋳片厚
みにほぼ等しい下部には内部水冷構造の銅合金を使用す
ることで凝固シェルの成長を促進する構造とし、短辺側
凝固シェル厚みの確保と強度増加することで、鋳型直下
におけるバルジングによるブレーク・アウトを防止して
いる。
【0251】図43に鋳造時における上部短辺鋳型10
7の溶融金属面と反溶融金属面間の熱膨張量の差による
鋳片の幅方向(耐火物の厚み方向)への変形量の差を鋳
造方向への耐火物の分割の有無により比較した結果を示
す。この際、上部短辺鋳型107の材料はZrB2 10
0%とし、全長600mm,鋳造方向への分割無しのもの
と6分割のもので、上部短辺鋳型107の温度分布に差
はないものとした。分割無しの場合、鋳造時には上部短
辺鋳型107の鋳造方向へ300mmの点で変形量が最大
約1.15mmとなり、鋳片幅方向の両側で約2.3mmだけ
鋳型の幅が鋳造時には鋳型組立時に対し狭くなる。通
常、鋳型内での鋳片の幅収縮量に見合うように鋳型幅は
上部が広く、鋳造方向(下方に向かって)狭くなるよう
に鋳片幅の約1〜1.2% 程度のテーパを付けて組立て
いる。鋳片幅1200mmの場合、鋳型全長(鋳型長10
00mmとする)で約12〜15mm程度のテーパを付けて
組立られるが、前記分割無しの上部短辺鋳型107を使
用した場合、鋳型上部から300mmの点で約2.3mm だ
け鋳型幅が狭くなるため、鋳型上部の300mmまではテ
ーパは1.47%,その下方600mmまでのテーパは0.
19%となり、上部300mmまでのテーパは鋳片幅収縮
量に対する必要テーパ量より約1.47 倍大きく、鋳型
内凝固シェルを拘束しブレーク・アウトを生じる可能性
が高くなる。また、その下方600mmまでのテーパは、
鋳片幅収縮量に対する必要テーパ量より約0.19 倍小
さく、鋳型内凝固シェルと鋳型表面間の隙間が必要以上
に大きくなり、鋳型内の溶鋼静圧によるバルジングによ
り、凝固シェルが破断しブレーク・アウトを生じる可能
性が高くなる。一方、本発明による鋳造方向に複数個に
分割した耐火物を上部短辺鋳型7に使用した場合、鋳片
の幅方向(耐火物の厚み方向)への変形量は、最大約
0.03mm 程度と非常に小さい(前記分割無しの耐火物
を使用した場合の2.6%程度の変形量)ため、組立時と
鋳造時におけるテーパ量にほとんど変化がなく、組立時
の状態にて鋳造が可能となり、鋳型内での凝固シェル拘
束によるブレーク・アウトを防止し、安定した鋳造が可
能となる。
【0252】図44に鋳造後2時間における上部短辺鋳
型107の溶損量の関係を示す。この際、上部短辺鋳型
107の材質はZrB2 100%とし、比較材として注
湯ノズルに使用されるAl2376%−SiO2 10%
−ZrO2 12%を主成分とした材料を使用した。鋳片
の寸法は、厚み40mm,幅1200mmで鋳造開始前約1
0分間上部短辺鋳型107を加熱し、反溶融金属側の鋳
造方向の1断面において幅中央部で1350℃、長辺鋳
型近傍で950℃となり、鋳造方向に温度分布を持って
いた。この状態にて炭素鋼(炭素含有量0.19%)を
鋳造速度5.0m/min で鋳造実験を実施し、鋳造後の
湯面におけるパウダーライン部の溶損量より比較材は使
用不可能であったが、本発明によるZrB2 は溶損量が
比較材の1/40以下であり、繰返し使用が可能であっ
た。また、溶損部への凝固シェルの停滞による拘束性ブ
レーク・アウトを防止し、安定した鋳造を可能とした。
【0253】図45に本実施例で使用した短辺鋳型構造
図を示す。上部短辺鋳型107と長辺鋳型2が接触する
縁に沿って、厚みが2〜5mm程度の帯状金属により額縁
13を設けた。額縁の材質はSUS316,SUS31
0等の耐熱金属とし、該額縁113は冷却手段を設け
ず、長辺鋳型2との接触及び背面側の放冷により冷却さ
れている。前記額縁113を設置したことにより、上部
短辺鋳型107の耐火物と長辺鋳型2との直接接触をな
くすことにより、鋳片の幅変更時における長辺鋳型2表
面の損傷が防止でき、更に上部短辺鋳型107の耐火物
の欠け落ちを防止することができた。また、上部短辺鋳
型107に鋳造方向に複数個に分割した耐火物を短辺鋳
型1として組み込む際、額縁113を取り付け用ガイド
として使用することができ、鋳型の組込時間を従来の1
/10に短縮することができた。
【0254】図46,図47にそれぞれ本実施例で用い
た双ベルト式連続鋳造装置,双ロール式連続鋳造装置を
示す。図46の双ベルト式連続鋳造装置は長辺鋳型11
4に鋳片5と同期して移動するベルトを使用し、図47
の双ロール式連続鋳造装置は長辺鋳型115に鋳片5と
同期して移動するロールを使用しているが、どちらの装
置も短辺鋳型1に湯面が鋳片の厚み方向に広く、鋳造方
向に向かって狭くなる絞り込み形式の固定鋳型を使用し
ていることより、前記実施例と同様の短辺鋳型1が使用
でき、安定した鋳造が可能となる。
【0255】本実施例によれば、短辺鋳型の上部絞り込
み部分に鋳造方向に複数個に分割した耐火物を用いるこ
とができる。このため、該耐火物の溶融金属接触面と反
溶融金属接触面側との温度差による熱変形量が小さくな
り、鋳型組立時と鋳造時におけるテーパ量にほとんど変
化がなく、組立時の状態にて鋳造が可能となり、鋳型内
での凝固シェル拘束によるブレーク・アウトを防止し、
安定した鋳造が可能となる。更に、前記耐火物は分割さ
れているため、小さな耐火物片を使用することができ、
耐火物の成形が容易となり、該耐火物に要する費用を小
さくできる。
【0256】また、前記耐火物の材質にZrB2 を主成
分とする材料を用いることができる。このため、モール
ドパウダーによる短辺鋳型の侵食が小さくなり、鋳型の
寿命が長くなる。
【0257】また、前記短辺鋳型において上部絞り込み
部は加熱手段により加熱した耐火物を使用できるので、
短辺鋳型上部で凝固シェルの生成を防止できる。従っ
て、鋳造方向に従い、鋳片厚みが薄くなる過程における
引き抜き抵抗を小さくできるので、安定した鋳造が可能
となる。
【0258】また、前記耐火物の最下部片を絞り込み終
了後の短辺鋳型の幅が一定となる部分に延長し、該耐火
物に冷却手段を設けることで、上部絞り込み部にて未凝
固であった短辺鋳型接触面側に凝固シェルを生成させ、
更に鋳片厚みにほぼ等しい下部には内部水冷構造の銅合
金を使用することで凝固シェルの成長を促進することが
できる。
【0259】また、振動付与手段により前記固定鋳型を
振動させることができるので、モールドパウダーの流入
が促進され、鋳型と凝固シェル間の潤滑が良好な状態に
維持でき、鋳片品質及び鋳造安定性が向上する。
【0260】また、前記短辺鋳型と前記長辺鋳型が接触
する部分に額縁を設置し、該長辺鋳型と該短辺鋳型の耐
火物が直接接触しない構造とすることで、鋳片幅変更の
際、短辺鋳型と長辺鋳型間の摺動摩擦による各鋳型の損
傷を軽減することができ、鋳造中或いは鋳造中以外の任
意の時刻における幅変更動作を安定して行える。
【0261】(実施例6)以下、本発明にかかわる薄鋳
片連続鋳造機の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説
明する。ただし本発明は、この実施例に限定されるもの
ではない。
【0262】図48は本発明を利用した固定振動鋳型式
の短辺未凝固絞り込み方式の連続鋳造機の概略図であ
る。長辺鋳型2は全て水冷銅板で構成されているが、短
辺鋳型は上部の幅が大きく、下部の幅が小さい概扇形状
をした絞り込み部と、ストレート部の上方一部が長辺鋳
型2により構成され、ストレート部の下方が短辺鋳型1
により構成されている。図示されているように、短辺鋳
型には長辺鋳型2からの締め付け力がかかっている。こ
のため、短辺鋳型には締め付けによる応力以上の圧縮強
度が必要となる。タンディッシュに設けられた注湯ノズ
ル3を介して溶鋼が供給され、溶融プール4が形成され
る。溶鋼は鋳型内で冷却,凝固され薄鋳片7となり、鋳
型下部に引き抜かれる。この際、鋳片は支持ロール6に
支持される。
【0263】図49は図1の連続鋳造機の短辺鋳型の構
造を示したものである。(a)は短辺鋳型の正面図、
(b)はその垂直方向断面図、(c)はその各位置にお
ける水平方向断面図を示している。短辺鋳型は上方が広
がって下方が狭まっている絞り込み部とストレート部に
分かれており、絞り込み部の長さは300〜1000mm
(好ましくは400〜600mm)、ストレート部の長さ
は200〜1000mm(好ましくは300〜500mm)
程度であり、生産する鋳片の厚みにより決定される。ス
トレート部の長さは全鋳型長さの30〜60%(好まし
くは40〜50%)となるようにし、絞り込み部は半径
で1500〜5000mm(好ましくは2500〜350
0mm)の曲率を有する。鋳型上部の広がりの大きさは絞
り込み部の長さに対し両側で0.1〜0.4倍(好ましく
は0.1〜0.3倍)となっている。
【0264】絞り込み部128とストレート部の上方1
29が溶融シリカ等の断熱性の高い長辺鋳型2で、スト
レート部の下方120は短辺鋳型1で構成されている。
短辺鋳型1及び長辺鋳型2は、5wt.%以下(好まし
くは1〜3wt.%)のZr,Cr,Ti,Hf,V等
の1種以上の添加元素を含む強度及び硬さの大きいCu
合金からなり、少なくとも溶鋼側の面にNi,Cr等の
焼き付き防止メッキ膜が形成されている。
【0265】絞り込み部とストレート部の境界部(以降
RSと称す)を境に耐火物の構造は異なっている。RS
より上方(絞り込み部)では、断面図A−Aに示すよう
に、溶鋼側の前面が中空の形状をもつ熱伝導率の低い長
辺鋳型2,後面が短辺鋳型1によって構成されている。
耐火物が中空構造131になっているのはガスバーナー
によって加熱を行うためである。これに対し断面図B−
Bに示すように、RSより下方のストレート部の上方1
29では、同様に溶鋼側の前面が熱伝導率の低い長辺鋳
型2、後面が短辺鋳型1によって構成されているが、加
熱を行う必要がないため中空構造にはなっていない。ス
トレート部の上方129の長さは20〜600mm(好ま
しくは50〜300mm)程度であり、ストレート部の全
長の5〜90%(好ましくは10〜30%)となってい
る。また、長辺鋳型2の厚さはストレート部の上方12
9で鋳片引き抜き方向に行くに従い次第に減少してい
る。ストレート部の下方130は、断面図C−Cに示す
ように、全てが短辺鋳型1によって構成されている。絞
り込み部128とストレート部の上方129の耐火物の
後面の短辺鋳型1は、短辺鋳型に長辺締め付け力に耐え
得る強度を付与するために設置されている。
【0266】長辺鋳型2には熱電対が設置され、溶鋼側
の面の温度が常に監視できるようになっている。鋳造に
際しては、絞り込み部128は、ガスバーナーによる加
熱のため、溶鋼側の面は溶鋼の液相線温度以上に保たれ
ている。これに対してストレート部の上方129の温度
は、短辺鋳型1による冷却のため、溶鋼の液相線温度以
下となるように制御されている。このように制御するこ
とによって、ストレート部の上方129において短辺側
凝固シェルの生成が開始され、高品質な鋳片を得ること
ができる。
【0267】絞り込み部128とストレート部の上方1
29には、短辺鋳型1の長辺鋳型2との接触部に、幅1
〜4mm(好ましくは2〜3mm)の短辺縁部137が設け
られている。短辺縁部137の材質は長辺鋳型2と同じ
Cu合金とし、溶鋼接触面の下層にNiメッキ,表層に
Crメッキが施されている。短辺鋳型1に短辺縁部13
7を設けることにより、長辺鋳型2との接触部の強度、
特に靭性が向上する。従って、鋳片の幅変更の際の長辺
鋳型2との摺動による短辺鋳型1の破損を防ぐことがで
きる。このため、鋳造中にオンライン幅変更を行った場
合でも、トラブルの発生する可能性を低減することがで
きる。
【0268】図50は図48の連続鋳造機による、短辺
未凝固絞り込み方式の模式図を示したものである。
【0269】(a)は鋳造中の鋳型の垂直方向断面図、
(b)はその各位置における水平方向断面図を示してい
る。断面図A−Aに示すように、空間131へのガスバ
ーナーによる加熱のため、長辺鋳型2の溶鋼側の前面は
高温に維持され、鋳造時も短辺鋳型面では短辺側凝固シ
ェル133が生成されず、水冷銅板で構成される長辺鋳
型2面でのみ短辺側凝固シェル132が生成される。短
辺面は未凝固のまま短辺側凝固シェル132は絞り込ま
れ、ストレート部上方129に到達する。断面図B−B
に示すように、長辺鋳型2はこの部分では加熱されてお
らず、短辺鋳型1による冷却のため、溶鋼側の前面では
少しずつ長辺側凝固シェル133が生成し始める。下方
に向かうに従い長辺鋳型2の厚さは減少しており、溶鋼
側の前面温度は次第に低下していくので、長辺側凝固シ
ェル133は次第に成長していく。断面図C−Cに示す
ように、長辺側凝固シェル133はストレート部下方13
0に到達するとさらに強冷されて厚みを増す。鋳型下端
部においては、長辺側凝固シェル133も充分な強度を
持っており、安定して鋳造を行うことができる。こうし
てこの薄鋳片連続鋳造機においては短辺未凝固絞り込み
方式が成立している。
【0270】図51は以上の装置を用いて鋳造を行った
場合の短辺鋳型のストレート部の面の溶鋼側の表面温度
変化と短辺側凝固シェル厚みの変化を、シミュレーショ
ンによって求めたものである。比較のために、特開平7
−232241 号公報に示されている、ストレート部の面の
溶鋼側が全面水冷銅板により構成される短辺鋳型を用い
た場合のシミュレーション結果も図中に示してある。短
辺鋳型のストレート部の面の溶鋼側は温度分布を持って
いるが、幅方向中央部の温度でそれぞれ評価した。鋳片
の寸法は幅1500mm,厚み40mmとし、ストレート部
の全長は500mm、本発明の短辺鋳型の耐火物からな
るストレート部上方129の長さは70mmとした。鋼
種は炭素鋼(炭素含有量0.25%)とし、鋳造速度は4
m/min とした。なお、絞り込み部下端(RSの直上)
における短辺鋳型の面の溶鋼側の幅方向中央部の表面温
度は1520℃であった。
【0271】図52は特開平7−232241 号公報に示され
ている、ストレート部の面の溶鋼側が全面水冷銅板によ
り構成される短辺鋳型を用いた場合(a)と、本発明に
よる短辺鋳型を用いた場合(b)について、RS近傍の
長辺側凝固シェル133の生成状況を、垂直方向断面の
概念図により比較したものである。図52(a)に示す
ように、ストレート部の面の溶鋼側が全面水冷銅板によ
り構成される短辺鋳型を用いた場合では、短辺鋳型耐火
物と水冷銅板の段差はRSにあり、またここが短辺部の
凝固開始点となる。RS部短辺鋳型1の表面温度は42
0℃となるため、1000℃以上の温度差がRS部に存
在している。溶融プール4は短辺鋳型1により急激に冷
却されるので、割れなどが発生し鋳片短辺部の表面品質
が悪化する。加えてRS部には段差が存在するが、この
値が大きくなると、溶融プール4が既に凝固している鋳
片長辺側に回り込んでしまう。溶鋼回り込みが生じる
と、鋳片のコーナーや長辺側の品質は低下し、ひどい場
合にはこれがブレークアウトの原因にもなる。このため
段差はなるべく小さくなるように短辺鋳型を加工,セッ
トアップする必要がある。
【0272】これに対して図52(b)に示すように、
本発明による短辺鋳型を用いた場合では、RS部耐火物
の表面温度は1155℃であり、温度差は400℃以下
に抑えられており、急激な冷却にはならない。また、図
49に示すように、長辺鋳型2の厚みは下方に向かうに
従い徐々に小さくなっているので、耐火物からなるスト
レート部上方129の部分で表面温度は滑らかに降下す
る。その結果、ストレート部下方の短辺鋳型130との
温度差も僅かに300℃程度となっており、割れなどの
ない、短辺部の表面品質の優れた鋳片を得ることが可能
である。また、短辺部の凝固開始点はRSよりも下方の
ストレート部上方129となり、短辺鋳型長辺鋳型2と
短辺鋳型1の段差は、さらにその下方となっている。段
差部では既に約0.4mm の厚さまで長辺側凝固シェル1
33が成長しているために、段差の大きさを高精度に管
理する必要はなく、また溶鋼の回り込みも完全に防止す
ることができる。鋳型下端部である、ストレート部の終
端における短辺側凝固シェル133の厚さは、ストレー
ト部の面の溶鋼側が全面水冷銅板により構成される短辺
鋳型を用いた場合と、本発明による短辺鋳型を用いた場
合で、0.8mm 程度の差しかなく、長辺側凝固シェル1
33の強度は両者とも充分に大きいので、高速鋳造の実
現が可能である。
【0273】本実施例の薄鋳片連続鋳造機における短辺
鋳型は、RSを境にして短辺鋳型耐火物が加熱部と非加
熱部に分割されているが、加熱部と非加熱部の境界がR
Sの上方または下方にあっても問題はなく、同様の効果
を得ることができる。
【0274】本実施例では、鋳型は垂直方向に振動が行
われる。振幅は全幅で20mm以下(好ましくは3〜15
mm)で行われ、振動数は1〜40Hz(好ましくは2.5
〜8Hz)で行われる。振幅と振動数は特に鋳造速度に
関係し、鋳造速度を大きくするほどこれらの値は大きく
なり、また鋳片の厚みが薄くなるほど鋳造速度は大きく
なる。鋳片厚み70mmに対しては2.5〜4.5m/min
,50mmに対しては3〜6.5m/min ,30mmに対し
ては4.5〜8m/min の鋳造速度となり、これに前述
の振幅と振動数とが適宜組み合わされる。
【0275】本実施例では、鋳型内への溶鋼の注湯とと
もにモールドパウダーが添加され、溶鋼面にモールドパ
ウダーが浮いた状態で連続鋳造が行われる。このモール
ドパウダーは、粒子径200μm以下(好ましくは5〜
50μm)の微細なもので、溶鋼を保温する効果があ
る。また、溶鋼中を浮上する非金属介在物と反応して、
それを吸収除去する作用も有し、モールドパウダーの使
用により、介在物の少ない高品質な鋳片を得ることがで
きる。また、溶融したモールドパウダーは、長辺側凝固
シェルと長辺鋳型の間に流入し、抜熱抵抗となるととも
に鋳型−長辺凝固シェル間潤滑を行い、高品質化のみな
らず安定操業にも寄与する。モールドパウダーは、Ca
O,CaF2 ,SiO2 ,Al23,NaCO3 等のフ
ラックス作用を有する成分からなる。
【0276】本実施例においては、図48に示すよう
に、鋳片7は支持ロール6によって引き抜かれるととも
に、水と空気との混合噴流によって、鋳型を出た直後及
び支持ロール6との間で、両側で複数列にわたって冷却
される。鋳造は垂直に行われるが、その後支持ロール6
を複数列(好ましくは5〜12列)配置して、鋳片7は
水平方向に移動するようにガイドされる。支持ロール6
は、その内部が水冷される構造を有し、耐熱鋼によって
構成される。
【0277】図53及び図54に本実施例の連続鋳造機
の断面図を示す。長辺鋳型2と短辺鋳型140は鋳型外
枠141に内蔵され、鋳型外枠21の両側を加振シリン
ダ142により各々支持され、前述の振動数と振幅で垂
直方向に振動可能な構造になっている。加振シリンダ1
42には電気油圧式サーボバルブ143が搭載され、高
サイクル振動指令器146から所望の波形(正弦波,偏
奇正弦波,三角波等)が入力され、同期制御回路145
により左右の両加振シリンダ142を同期振動させるも
のである。なお、144はバランスシリンダで、加振シ
リンダ142の下部ロッドを利用して、鋳型を主とする
加振重量とバランスするように、一定圧力が封入されて
いる。また、147は幅変更シリンダである。
【0278】本実施例の薄鋳片連続鋳造機における短辺
鋳型は、ストレート部の上方129が、該短辺鋳型の絞
り込み部の長辺鋳型2と同じ材質からなり、一体構造と
なっている。しかし、あるいは図55に示すように、短
辺鋳型のストレート部の上方129は、溶鋼側の前面が
例えばSiC系セラミックスや金属間化合物のような熱
伝導率が高く、強度及び耐摩耗性の優れた材質134と
し、一方後部を該短辺鋳型の絞り込み部128の長辺鋳
型2と同じ材質として、両者を張り合わせ加工により製
造したものでもよい。(a)は上記のように製造した短
辺鋳型の正面図、(b)はその垂直方向断面図を示して
いる。張り合わせ加工により製造された短辺鋳型は、一
体構造の短辺鋳型と比較して張り合わせ部の強度が低下
することや、張り合わせ部に段差が存在するので、段差
の値を管理する必要がある。しかし、強度を付与するた
めに設置されている短辺鋳型1の形状を、図49に示し
た構造のものより簡素化できる。また、長辺鋳型2の厚
みが一定なので、厚み方向の温度差に起因する、熱膨張
差による熱応力を低く抑えることができ、長辺鋳型2折
損の危険性が低下する。さらに、短辺側凝固シェル13
3との摺動が生じる部分に、耐摩耗性の優れた材質13
4を使用しているため、短辺鋳型の長寿命化が図れるな
ど様々な利点がある。本発明では、短辺鋳型の溶鋼側の
前面部における温度変化を小さく抑え、かつ短辺側凝固
シェルの凝固開始点を、段差とは異なる位置とすること
により、表面品質の優れた鋳片を得ることが重要であ
る。従って、張り合わせ加工により製造された短辺鋳型
を用いる場合は、図55に示すように溶鋼側の前面部の
一部には加熱手段を設けず、短辺鋳型1と接するように
して、短辺鋳型の溶鋼側の前面部における温度変化を小
さくすることが好ましい。また、図55に示すように、
ストレート部の上方の加熱部は、絞り込み部と一貫して
加熱することができる構造とするのが好ましい。このよ
うな構造にすることによって、短辺鋳型の形状の簡素化
が図れ、短辺鋳型の製造が容易になり、製造コストの削
減が期待できる。
【0279】図56は本発明を利用した双ベルト式連続
鋳造機の概略図である。長辺鋳型に鋳片と同期して移動
するベルト135を使用し、短辺鋳型には固定鋳型を使
用している。
【0280】図57は本発明を利用した双ロール式連続
鋳造機の概略図である。長辺鋳型に鋳片と同期して移動
するロール138を使用し、短辺鋳型には固定鋳型を使
用している。上述2つの装置は、いずれも短辺鋳型の幅
が湯面から鋳造方向へ向かうに従い狭くなるという点で
共通している。このような装置に対して、図49または
図55に示すような、絞り込み部及びストレート部の上
方が耐火物,ストレート部の下方が水冷銅板で構成さ
れ、絞り込み部を含む一部にのみ加熱手段が設けられて
いる短辺鋳型を用いることにより、鋳片短辺部の表面品
質は向上し、短辺鋳型段差部における回り込みも防止さ
れ、安定して高品質な鋳片を高速に鋳造することができ
るようになる。
【0281】以上述べたように、本実施例にかかわる薄
鋳片連続鋳造機及び薄鋳片連続鋳造方法によれば、短辺
未凝固絞り込み方式の連続鋳造において、鋳片短辺部の
表面品質に優れ、かつ高速鋳造も可能な充分な強度を持
つ短辺側凝固シェルを生成し、加えて短辺鋳型段差部に
おける回り込みを防止し、さらには短辺鋳型製造時のコ
スト及びセットアップ時の時間を大幅に短縮することが
できるという優れた効果を発揮する。また本発明の装置
及び方法は、絞り込み方式ではない連続鋳造機において
も、長辺または短辺鋳型に複数の材質を用いる場合には
同様の効果を発揮する。
【0282】
【発明の効果】本発明によると、凝固シェルの生成を良
好にし、ブレークアウト等の現象を抑制して、安定した
連続鋳造を長期間行うことができる連続鋳造装置及び連
続鋳造方法を得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である連続鋳造装置。
【図2】本発明の一実施例である短辺鋳型構造図。
【図3】本発明との比較実験で用いた短辺鋳型構造図。
【図4】本発明の一実施例での短辺耐火物温度分布。
【図5】本発明の一実施例である短辺鋳型構造図。
【図6】本発明の一実施例での短辺耐火物温度分布。
【図7】本発明の一実施例である短辺鋳型構造図。
【図8】本発明の一実施例である短辺鋳型構造図。
【図9】本発明の一実施例である短辺鋳型構造図。
【図10】本発明の一実施例である短辺鋳型構造図。
【図11】実施例で用いた連続鋳造装置の模式図。
【図12】実施例で用いた短辺鋳型構造図。
【図13】実施例で用いた短辺鋳型構造図。
【図14】実施例における短辺鋳型摩耗量と溶損量の関
係。
【図15】実施例で用いた短辺鋳型の構造図。
【図16】実施例で用いた短辺鋳型構造図。
【図17】実施例で用いたダミーバーヘッド構造図。
【図18】従来方式のダミーバーヘッド構造図。
【図19】実施例で用いた直送圧延システムの構成図。
【図20】本発明の第1の実施形態を示す図であって、
連続鋳造装置の概念図。
【図21】連続鋳造装置における短辺鋳型の構造図であ
って、(a)は短辺鋳型を溶融金属側から見た図、
(b)は(a)のB−B方向の断面図、(c)は(a)の
C−C方向の断面図。
【図22】本発明の第2の実施形態を示す図であって、
(a)は短辺鋳型を溶融金属側から見た図、(b)は
(a)のB−B方向の断面図、(c)は(a)のC−C
方向の断面図。
【図23】本発明の第3の実施形態を示す図であって、
(a)は短辺鋳型を溶融金属側から見た図、(b)は
(a)のB−B方向の断面図、(c)は(a)のC−C
方向の断面図、(d)は(a)のD−D方向の断面図。
【図24】本発明の第4の実施形態を示す図であって、
(a)は短辺鋳型を溶融金属側から見た図、(b)は
(a)のB−B方向の断面図、(c)は(a)のC−C
方向の断面図、(d)は(a)のD−D方向の断面図。
【図25】本発明の第5の実施形態を示す図であって、
(a)は短辺鋳型を溶融金属側から見た図、(b)は
(a)のB−B方向の断面図、(c)は(a)のC−C
方向の断面図。
【図26】本発明の第6の実施形態である双ベルト式連
続鋳造装置の構造を示す図であって、短辺鋳型を溶融金
属側から見た図。
【図27】本発明の第7の実施形態である双ロール式連
続鋳造装置の構造を示す図であって、短辺鋳型を溶融金
属側から見た図。
【図28】本発明の実施例で用いた連続鋳造装置の概念
図。
【図29】本発明の実施例で用いた短辺鋳型構造図。
【図30】鋳型内での凝固進行状況(絞り込み部)。
【図31】鋳型内での凝固進行状況(絞り込み完了後の
平行部)。
【図32】長辺鋳型の短辺鋳型接触部近傍での冷却構
造。
【図33】短辺鋳型の長辺鋳型接触部近傍での冷却構
造。
【図34】本発明の実施例で用いた短辺鋳型構造図(溶
融金属接触面を絞り込み部では耐火物,平行部では水冷
金属)。
【図35】短辺鋳型の長辺接触部にシール材を設置した
短辺鋳型構造図。
【図36】本発明の実施例で用いた双ベルト式連続鋳造
装置。
【図37】本発明の実施例で用いた双ロール式連続鋳造
装置。
【図38】本発明の一実施例である形成された凝固シェ
ル。
【図39】本発明の一実施例である短辺鋳型幅方向の温
度分布。
【図40】実施例で用いた連続鋳造装置の概念図。
【図41】実施例で用いた短辺鋳型構造図。
【図42】実施例で用いた短辺鋳型構造図。
【図43】実施例における耐火物の鋳造方向への熱膨張
量と熱応力比較図。
【図44】実施例における短辺鋳型溶損量と鋳造時間の
関係。
【図45】実施例で用いた短辺鋳型構造図。
【図46】実施例で用いた双ベルト式連続鋳造装置。
【図47】実施例で用いた双ロール式連続鋳造装置。
【図48】本発明の連続鋳造機の概念図。
【図49】短辺鋳型の側面図及び垂直方向断面図及び各
位置における水平方向断面図。
【図50】短辺鋳型の水平方向断面図及び短辺未凝固絞
り込み方式の模式図。
【図51】短辺鋳型ストレート部の面の溶鋼側の表面温
度と短辺側凝固シェル厚みの関係図。
【図52】ストレート部の面の溶鋼側が全面水冷銅板に
より構成される短辺鋳型と本発明による短辺鋳型のRS
近傍の短辺側凝固シェル生成状況の比較概念図。
【図53】連続鋳造機の断面図。
【図54】連続鋳造機の断面図。
【図55】溶鋼側の前面部が張り合わせ加工により製造
される短辺鋳型の側面図及び垂直方向断面図。
【図56】双ベルト式連続鋳造機の概念図。
【図57】双ロール式連続鋳造機の概念図。
【符号の説明】
1,81,140…短辺鋳型、2…長辺鋳型、3…注湯
ノズル、4…溶湯プール、5,69,80…鋳片、6,
68…支持ロール、7…短辺耐火物、8…短辺銅板、9
…短辺耐火物フレーム、10…短辺バックプレート、1
1…排気管、12,14,16…ガスバーナーノズル、
13,19…空隙、15,53,112…熱電対、17,
107…上部短辺鋳型、18,108…下部短辺鋳型、
20…ガスバーナー、21,109…短辺後面板、2
2,111…冷却水路、23…燃焼ガス排出管、24…
上部短辺鋳型母材、25…パウダーライン部、26,11
3…額縁、27…ダミーバー、28…ダミーバーヘッ
ド、29…突起、30…連続鋳造機、31…デスケーラ
ー、32…粗圧延機、33…仕上圧延機、34…冷却装
置、35…コイル、36…排出ガス配管、47,67,
70,82…耐火物、48…断熱性耐火物、49…金属
板、50,75…バックプレート、51…導線、52…
電極、54,76…凝固シェル、55…冷却水溝、56
…シール材、57…長辺鋳型(双ベルト式)、58…長
辺鋳型(双ロール式)、59…湯面、60…タンディッ
シュ、61…ストッパー、62…絞り込み部、63…平
行部、64…溶融金属接触面、65…短辺鋳型幅方向、
66…鋳片幅方向、71…断熱部材、72…耐火物加熱
装置、72a…バーナー、73,83…水冷金属、7
4,74A…耐熱金属部材、74a,74c,86…額
縁部、74b,74d…背面部、78…シール部材、8
4a…可動ベルト、84b…可動ロール、91…ボル
ト、92…長穴、100…短辺幅変更装置、101…短
辺鋳型駆動部、110…加熱手段、114…長辺鋳型
(双ベルト式)、115…長辺鋳型(双ロール式)、12
8…短辺鋳型(絞り込み部)、129…短辺鋳型(スト
レート部上方)、130…短辺鋳型(ストレート部下
方)、131…加熱用空間、132…短辺側凝固シェ
ル、133…長辺側凝固シェル、134…セラミックス
などの高温材料、135…ベルト、136…冷却パッ
ド、137…短辺縁部、138…ロール、139…フレ
ーム、141…鋳型外枠、142…加振シリンダ、14
3…電気油圧サーボバルブ、144…バランスシリン
ダ、145…同期制御回路、146…振動指令器、14
7…幅変更シリンダ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B22D 11/04 316 B22D 11/04 316A 11/06 330 11/06 330B 340 340A 11/10 11/10 L 11/16 11/16 A 104 104B (72)発明者 磯野 光永 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内 (72)発明者 二瓶 充雄 茨城県日立市大みか町七丁目2番1号 株 式会社日立製作所電力・電機開発本部内 (72)発明者 平野 聡 茨城県日立市大みか町七丁目2番1号 株 式会社日立製作所電力・電機開発本部内 (72)発明者 堀内 寿晃 茨城県日立市大みか町七丁目2番1号 株 式会社日立製作所電力・電機開発本部内

Claims (56)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】対向する長辺鋳型と対向する短辺鋳型とで
    形成される鋳型の空間に溶融金属を連続して供給すると
    共に該鋳型内で凝固するシェルを連続して引き抜くこと
    で鋳片を連続して製造する連続鋳造装置において、高温
    ガスを通過させる通路を前記短辺鋳型の背面に設け、且
    つ該通路は上部を広く下部を狭くし、該短辺鋳型の上か
    ら下に向けて前記高温ガスを前記通路に供給する高温ガ
    ス供給手段を有することを特徴とする連続鋳造装置。
  2. 【請求項2】対向する長辺鋳型と対向する短辺鋳型とで
    形成される鋳型の空間に溶融金属を連続して供給すると
    共に該鋳型内で凝固するシェルを連続して引き抜くこと
    で鋳片を連続して製造する連続鋳造装置において、高温
    ガスを通過させる通路を前記短辺鋳型の背面に設け、更
    に、前記高温ガス供給手段を鋳造方向で複数個設けたこ
    とを特徴とする連続鋳造装置。
  3. 【請求項3】請求項1又は請求項2に記載の連続鋳造装
    置において、前記高温ガス供給手段は、可燃性ガスと空
    気の混合ガスを燃焼させる手段を備えていることを特徴
    とする連続鋳造装置。
  4. 【請求項4】請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の
    連続鋳造装置において、前記短辺鋳型の材質に熱伝導率
    λと厚みδとの比が(1)式を満足する材料を用いるこ
    とを特徴とする連続鋳造装置。 λ/δ≦0.02(cal/cm2・sec・℃) …(1)
  5. 【請求項5】請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の
    連続鋳造装置において、前記短辺鋳型の温度Tが(2)
    式を満足する範囲になるよう高温ガス温度又は高温ガス
    流量を制御する短辺鋳型温度制御手段を備えていること
    を特徴とする連続鋳造装置。 0.7×TL<T≦TL(℃) …(2) ここで、TLは溶湯の液相線温度である。
  6. 【請求項6】請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の
    連続鋳造装置において、高温ガスを通過させる前記通路
    を鋳造方向で複数に分割し、且つ夫々の該通路に個別に
    前記高温ガス供給手段及び該高温ガスを排出する排出口
    を備えていることを特徴とする連続鋳造装置。
  7. 【請求項7】請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の
    連続鋳造装置において、前記短辺鋳型の温度分布を検出
    する温度分布検出手段と、該温度分布検出手段により検
    出された値に基づいて所望の温度分布になるように高温
    ガス温度又は高温ガス流量を調整する制御手段を備えて
    いることを特徴とする連続鋳造装置。
  8. 【請求項8】対向する長辺鋳型と対向する短辺鋳型とで
    形成される鋳型の空間に溶融金属を連続して供給すると
    共に該鋳型内で凝固するシェルを連続的に引き抜くこと
    で溶融金属プールのレベルを一定に保持し、該溶融金属
    プールにモールドパウダーを浮かべて鋳片を連続して製
    造する連続鋳造装置において、少なくともモールドパウ
    ダー,溶融金属及び凝固シェルが共存する部分の該短辺
    鋳型材質に二硼化ジルコニウム(以下、ZrB2 )を主
    成分とする材料を使用することを特徴とする連続鋳造装
    置。
  9. 【請求項9】前記短辺鋳型の幅は上部が大きく、下部が
    小さい概扇形状であることを特徴とする請求項8に記載
    の連続鋳造装置。
  10. 【請求項10】前記短辺鋳型は上下2つの部分で構成さ
    れ、上部(以下、R部)は概扇形で材質にZrB2 を主
    成分とする材料を使用し、下部(以下、S部)は短辺鋳
    型の幅が一定で材質に内部水冷構造の銅合金を使用する
    ことを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の連続鋳
    造装置。
  11. 【請求項11】対向する長辺鋳型と対向する短辺鋳型と
    で形成される鋳型内の空間に溶融金属を連続して供給す
    ると共に前記鋳型内で凝固するシェルを連続的に引き抜
    くことにより鋳片を連続して製造する連続鋳造装置であ
    って、前記短辺鋳型は幅が前記溶融金属の上面から鋳造
    方向に向かって次第に狭くなる耐火物製の絞り込み部を
    有し、かつその短辺鋳型表面では前記溶融金属が未凝固
    の状態となるようその短辺鋳型を加熱する手段を設け、
    さらに前記絞り込み部の下に前記短辺鋳型の絞り込み後
    の平行部を形成する冷却金属を設置した連続鋳造装置に
    おいて、 前記短辺鋳型は、前記耐火物の前記絞り込み部及び前記
    長辺鋳型の接触部に配置される額縁部と前記額縁部を前
    記耐火物の反溶融金属側で連結する背面部とから構成さ
    れた耐熱金属部材と、前記耐火物の反溶融金属側と前記
    背面部との間に配置される断熱部材とを有することを特
    徴とする連続鋳造装置。
  12. 【請求項12】請求項11記載の連続鋳造装置におい
    て、前記額縁部は、前記短辺鋳型の前記絞り込み部の形
    状及び前記短辺鋳型の熱変形に応じて弾性変形可能な厚
    みを有することを特徴とする連続鋳造装置。
  13. 【請求項13】請求項11または12記載の連続鋳造装
    置において、前記額縁部と前記背面部とは別体であり、
    これら額縁部と背面部とは締結部材により締結されてい
    ることを特徴とする連続鋳造装置。
  14. 【請求項14】請求項11記載の連続鋳造装置におい
    て、前記冷却金属は冷却機構を備え、前記冷却機構は前
    記冷却金属のみを冷却して前記耐熱金属部材を冷却しな
    いことを特徴とする連続鋳造装置。
  15. 【請求項15】請求項11記載の連続鋳造装置におい
    て、前記冷却金属は前記耐熱金属部材と別体であること
    を特徴とする連続鋳造装置。
  16. 【請求項16】請求項11記載の連続鋳造装置におい
    て、前記短辺鋳型は、鋳造作業中か鋳造作業中でないか
    に係わらず、任意の時刻に前記鋳片の幅方向への移動が
    可能であることを特徴とする連続鋳造装置。
  17. 【請求項17】請求項1から6のうちいずれか1項記載
    の連続鋳造装置において、前記短辺鋳型と前記長辺鋳型
    との間にシール部材を設置したことを特徴とする連続鋳
    造装置。
  18. 【請求項18】請求項17記載の連続鋳造装置におい
    て、前記短辺鋳型の前記絞り込み部と前記長辺鋳型との
    間に設置されるシール部材を金属性シール部材とし、前
    記冷却金属と前記長辺鋳型との間に設置されるシール部
    材を非金属シール部材としたことを特徴とする連続鋳造
    装置。
  19. 【請求項19】請求項17記載の連続鋳造装置におい
    て、前記短辺鋳型の前記絞り込み部と前記長辺鋳型との
    間に設置されるシール部材を高温シール部材とし、前記
    冷却金属と前記長辺鋳型との間に設置されるシール部材
    を低温シール部材としたことを特徴とする連続鋳造装
    置。
  20. 【請求項20】請求項11記載の連続鋳造装置におい
    て、前記長辺鋳型は良熱伝導性の金属で構成した固定型
    の長辺鋳型であることを特徴とする連続鋳造装置。
  21. 【請求項21】請求項11から19のうちいずれか1項
    記載の連続鋳造装置において、前記長辺鋳型を、前記短
    辺鋳型の前記絞り込み部に対応した間隔を維持しながら
    循環する一対の可動ベルトで形成したことを特徴とする
    連続鋳造装置。
  22. 【請求項22】請求項11から19のうちいずれか1項
    記載の連続鋳造装置において、前記長辺鋳型を、前記短
    辺鋳型の前記絞り込み部に対応した間隔を維持しながら
    回転する一対の可動ロールで形成したことを特徴とする
    連続鋳造装置。
  23. 【請求項23】対向する長辺鋳型と対向する短辺鋳型と
    で形成される固定鋳型の空間に溶融金属を連続して供給
    すると共に該固定鋳型内で凝固するシェルを連続的に引
    き抜くことで鋳片を連続して製造する連続鋳造装置の該
    短辺鋳型の幅が上部が大きく、下部が小さい概扇形形状
    である連続鋳造装置において、鋳造開始時に使用するダ
    ミーバーヘッドの一部が概扇形の曲線に沿って突起して
    いることを特徴とする連続鋳造装置。
  24. 【請求項24】対向する長辺鋳型と対向する短辺鋳型と
    からなる鋳型を有する連続鋳造装置であって、前記長辺
    鋳型及び前記短辺鋳型は温度を調整する手段を有し、前
    記短辺鋳型の上部は上方から下方にかけて徐々に幅が狭
    くなる絞り込み部と下部の平行部とからなり、前記絞り
    込み部では前記長辺鋳型と前記短辺鋳型とのコーナー部
    近傍を冷却する手段を有し、前記コーナー部のみに凝固
    シェルが形成しており、かつ前記平行部では全面に凝固
    シェルが形成し、前記コーナー部の凝固シェルと前記平
    行部の凝固シェルが連続していることを特徴とする連続
    鋳造装置。
  25. 【請求項25】対向する長辺鋳型と対向する短辺鋳型と
    で形成される鋳型の空間に溶融金属を連続して供給する
    と共に前記鋳型内で凝固するシェルを連続的に引き抜く
    事で鋳片を連続して製造し、かつ前記短辺鋳型の幅を湯
    面から鋳造方向に向かって狭くすると共に前記短辺鋳型
    を加熱する手段を有し、前記短辺鋳型面で溶湯が未凝固
    の状態で絞り込みを完了する連続鋳造装置において、前
    記長辺鋳型と前記短辺鋳型とのコーナー部近傍を冷却す
    る手段を有し、前記長辺鋳型内で形成したシェルが連続
    して長辺鋳型と短辺鋳型のコーナー部で形成しているこ
    とを特徴とする連続鋳造装置。
  26. 【請求項26】請求項24又は請求項25のいずれかに
    記載の連続鋳造装置において、前記長辺鋳型で、溶湯接
    触部の冷却より前記短辺鋳型と上部絞り込み部の長辺鋳
    型との接触部近傍の冷却を強くすることを特徴とする連
    続鋳造装置。
  27. 【請求項27】請求項24又は請求項25のいずれかに
    記載の連続鋳造装置において、前記短辺鋳型と上部絞り
    込み部の長辺鋳型との接触部近傍の冷却が、前記短辺鋳
    型の反溶湯側でかつ両長辺鋳型側の冷却であることを特
    徴とする連続鋳造装置。
  28. 【請求項28】請求項24〜請求項27のいずれかに記
    載の連続鋳造装置において、前記短辺鋳型の上部の絞り
    込み部を耐火物として下部の平行部を金属とすることを
    特徴とする連続鋳造装置。
  29. 【請求項29】請求項24〜請求項28のいずれかに記
    載の連続鋳造装置において、前記短辺鋳型は、鋳造中及
    び鋳造中以外の任意の時に、長辺鋳型に沿って移動可能
    であることを特徴とする連続鋳造装置。
  30. 【請求項30】請求項24〜請求項29のいずれかに記
    載の連続鋳造装置において、前記短辺鋳型は、前記短辺
    鋳型と前記長辺鋳型との接触部にシール材を設けること
    により、鋳造中及び鋳造中以外の任意の時に、長辺鋳型
    に沿って移動可能であることを特徴とする連続鋳造装
    置。
  31. 【請求項31】請求項24〜請求項30のいずれかに記
    載の連続鋳造装置において、前記短辺鋳型と前記長辺鋳
    型との接触部にシール材を設け、かつ、設けられた前記
    シール材は前記短辺鋳型に取り付けられており、鋳造中
    及び鋳造中以外の任意の時に、長辺鋳型に沿って移動可
    能であることを特徴とする連続鋳造装置。
  32. 【請求項32】請求項30又は請求項31のいずれかに
    記載の連続鋳造装置において、前記シール材は、前記短
    辺鋳型の上部の絞り込み部では銅或いは銅合金等の金属
    性シール材であり、前記短辺鋳型の下部の金属板部はテ
    フロン等の非金属シール材とすることを特徴とする連続
    鋳造装置。
  33. 【請求項33】請求項30又は請求項31のいずれかに
    記載の連続鋳造装置において、前記シール材は、前記短
    辺鋳型の上部の絞り込み部ではファインセラミックス等
    高温シール材であり、前記短辺鋳型の下部の金属板部は
    テフロン等の非金属シール材とすることを特徴とする連
    続鋳造装置。
  34. 【請求項34】請求項24〜請求項33のいずれかに記
    載の連続鋳造装置において、前記長辺鋳型は銅或いは銅
    合金等の金属製固定鋳型で形成することを特徴とする連
    続鋳造装置。
  35. 【請求項35】請求項24〜請求項34のいずれかに記
    載の連続鋳造装置において、前記長辺鋳型は、一定距離
    に渡り溶鋼を保持するための間隔を維持しながら循環す
    る一対の対向配置された可動ベルトで形成することを特
    徴とする連続鋳造装置。
  36. 【請求項36】請求項24〜請求項35のいずれかに記
    載の連続鋳造装置において、前記長辺鋳型は、一定距離
    に渡り溶鋼を保持するための間隔を維持しながら回転す
    る一対の対向配置された可動ロールで形成することを特
    徴とする連続鋳造装置。
  37. 【請求項37】対向する長辺鋳型と対向する短辺鋳型と
    で構成される鋳型内の空間に溶融金属を連続して供給す
    ると共に該鋳型内で凝固するシェルを連続的に引き抜く
    ことにより鋳片を連続して製造する連続鋳造装置であっ
    て、該短辺鋳型の鋳造方向に複数個に分割した耐火物を
    使用することを特徴とする連続鋳造装置。
  38. 【請求項38】請求項37記載の連続鋳造装置におい
    て、前記短辺鋳型の前記耐火物の材質にZrB2 を主成
    分とする材料を使用することを特徴とする連続鋳造装
    置。
  39. 【請求項39】請求項37または請求項38記載の連続
    鋳造装置において、前記短辺鋳型の幅は上部が広く、下
    部が次第に狭くなるように鋳造方向に絞り込む形状の鋳
    型であることを特徴とする連続鋳造装置。
  40. 【請求項40】請求項37から39のうちいずれかに記
    載の連続鋳造装置において、前記短辺鋳型の上部は鋳造
    方向に絞り込む形状で複数個に分割した耐火物を使用
    し、下部は短辺鋳型の幅が一定で材質に内部を水冷にて
    冷却された銅合金を使用することを特徴とする連続鋳造
    装置。
  41. 【請求項41】請求項37から40のうちいずれかに記
    載の連続鋳造装置において、前記短辺鋳型の前記耐火物
    の最下部片を絞り込み終了後の短辺鋳型の幅が一定とな
    る部分に使用することを特徴とする連続鋳造装置。
  42. 【請求項42】請求項37から41のうちいずれかに記
    載の連続鋳造装置において、前記短辺鋳型の前記耐火物
    の上部絞り込み部に対し加熱手段を有することを特徴と
    する連続鋳造装置。
  43. 【請求項43】請求項37から42のうちいずれかに記
    載の連続鋳造装置において、前記短辺鋳型の前記耐火物
    の前記最下部片部に対し反溶融金属側より冷却手段を有
    することを特徴とする連続鋳造装置。
  44. 【請求項44】請求項37から43のうちいずれかに記
    載の連続鋳造装置において、前記短辺鋳型の前記耐火物
    の温度計測手段を有することを特徴とする連続鋳造装
    置。
  45. 【請求項45】請求項37から44のうちいずれかに記
    載の連続鋳造装置において、前記鋳型は振動付与手段を
    備え、該振動付与手段により振動させられることを特徴
    とする連続鋳造装置。
  46. 【請求項46】請求項37から45のうちいずれかに記
    載の連続鋳造装置において、前記短辺鋳型は鋳造中及び
    鋳造中以外の任意の時刻に前記鋳片の幅方向に移動可能
    であることを特徴とする連続鋳造装置。
  47. 【請求項47】請求項37から46のうちいずれかに記
    載の連続鋳造装置において、前記短辺鋳型の前記耐火物
    と長辺鋳型とが接触する両縁部に金属性の額縁を設置し
    たことを特徴とする連続鋳造装置。
  48. 【請求項48】請求項37から46のうちいずれかに記
    載の連続鋳造装置において、前記長辺鋳型を前記短辺鋳
    型の前記絞り込み部に対応した間隔を維持しながら循環
    する一対のベルトで形成したことを特徴とする連続鋳造
    装置。
  49. 【請求項49】請求項37から46のうちいずれか1項
    記載の連続鋳造装置において、前記長辺鋳型を前記短辺
    鋳型の前記絞り込み部に対応した間隔を維持しながら循
    環する一対の可動ロールで形成したことを特徴とする連
    続鋳造装置。
  50. 【請求項50】対向する長辺鋳型と対向する短辺鋳型と
    で形成される鋳型の空間に溶融金属を連続して供給する
    と共に該鋳型内で凝固するシェルを連続して引き抜くこ
    とで鋳片を連続して製造する連続鋳造方法において、前
    記短辺鋳型の背面に設けた高温ガスを通過させる通路
    に、該短辺鋳型の上から下に向けて前記高温ガスを供給
    することを特徴とする連続鋳造方法。
  51. 【請求項51】対向する長辺鋳型と対向する短辺鋳型と
    で形成される鋳型の空間に溶融金属を連続して供給する
    と共に該鋳型内で凝固するシェルを連続して引き抜くこ
    とで鋳片を連続して製造する連続鋳造方法において、前
    記短辺鋳型の背面には高温ガスを通過させる通路が備え
    られており、鋳造方向で複数の位置から前記高温ガスを
    夫々個別に供給することを特徴とする連続鋳造方法。
  52. 【請求項52】請求項50又は請求項51に記載の連続
    鋳造方法において、可燃性ガスと空気の混合ガスを燃焼
    させた高温ガスを前記通路に供給することを特徴とする
    連続鋳造方法。
  53. 【請求項53】請求項50乃至請求項52のいずれかに
    記載の連続鋳造方法において、前記短辺鋳型の温度Tが
    (2)式を満足する範囲になるよう高温ガス温度又は高
    温ガス流量を制御することを特徴とする連続鋳造方法。 0.7×TL<T≦TL(℃) …(2) ここで、TLは溶湯の液相線温度である。
  54. 【請求項54】対向する長辺鋳型と対向する短辺鋳型と
    からなる鋳型を有する連続鋳造装置による連続鋳造方法
    であって、前記短辺鋳型は上部の絞り込み部と下部の平
    行部とからなり、前記絞り込み部では上方から下方にか
    けて徐々に幅が狭くなり、前記平行部は幅がほぼ均等で
    あり、前記短辺鋳型の幅方向での両端部温度をシェル形
    成温度以下とすることを特徴とする連続鋳造方法。
  55. 【請求項55】対向する長辺鋳型と対向する短辺鋳型と
    からなる鋳型を有する連続鋳造装置による連続鋳造方法
    であって、前記短辺鋳型は上部の絞り込み部と下部の平
    行部とからなり、前記絞り込み部では上方から下方にか
    けて徐々に幅が狭くなり、前記平行部は幅がほぼ均等で
    あり、前記絞り込み部での前記短辺鋳型の温度を幅方向
    で異ならしめ、前記短辺鋳型の幅方向での中心部温度を
    シェル形成温度を超える温度とし、かつ前記短辺鋳型の
    幅方向での両端部温度をシェル形成温度以下とすること
    を特徴とする連続鋳造方法。
  56. 【請求項56】鋳型部が長辺鋳型及び短辺鋳型からな
    り、該短辺鋳型は上方が広がって下方が狭まっている絞
    り込み部とストレート部によって構成される短辺未凝固
    絞り込み方式の連続鋳造装置において、該短辺鋳型のス
    トレート部の面の溶融金属側の上方が水冷金属体以外の
    材質により構成され、ストレート部の面の溶融金属側の
    下方が水冷金属体であることを特徴とする連続鋳造装
    置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007125575A (ja) * 2005-11-02 2007-05-24 Jfe Steel Kk 連続鋳造鋳片の製造方法
CN110860663A (zh) * 2019-10-10 2020-03-06 青岛正望钢水控制股份有限公司 一种双辊超薄带浇铸系统以及熔潭钢水热补偿方法

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