JP2020121329A - 鋼の連続鋳造用鋳型及び鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

鋼の連続鋳造用鋳型及び鋼の連続鋳造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高速鋳造時であっても、鋳造方向及び周方向で凝固シェルからの均一な抜熱を容易に実施可能とする。【解決手段】鋼の連続鋳造用鋳型は、冷却水路13,14が形成されている銅合金製のプレート11と、冷却水路13,14を覆うようにプレート11に取り付けられているバックアッププレートと、を有する。プレート11の下部での冷却水路14は複数の溝から構成され、該溝の各々は連続鋳造工程での鋳造方向に延長した縦長形状である。プレート11の上部での冷却水路13は、下部の冷却水路14に連通し、鋳造方向に延長し且つ鋳造方向に直交した周方向に延長した形状の溝から構成される。【選択図】図3

Description

本発明は、鋳造速度が2.0m/分以上である高速鋳造時において、連続鋳造工程の鋳造方向及び鋳造方向に直交する周方向で鋳片の均一な抜熱を容易に実施可能とする鋼の連続鋳造用鋳型に関する。更に、本発明はこの鋳型を用いる鋼の連続鋳造方法に関する。
鋼の連続鋳造方法では、連続鋳造用鋳型に溶鋼を注入し、鋳型で溶鋼を凝固させて凝固シェルを形成して鋳片を形成し、鋳片を引き抜き鋳片を鋳造する。近年、鋳片の生産性の向上が求められており、鋳片の引き抜き速度(鋳造速度)が2.0m/分以上となる高速鋳造の操業を実施している。
高速鋳造の操業では鋳型で溶鋼を十分に冷却し難く、鋳型下端で鋳片は凝固シェルの厚みが薄く且つ不均一になり易く、鋳型の下端以降で鋳片表面が破断し、溶鋼が鋳片から漏れ出るブレークアウトという操業上の事故が発生する可能性が生じるし、鋳片表面に縦割れが生じる可能性が高くなる。ブレークアウトは操業を継続する上で避ける必要がある。鋳片表面に縦割れが生じた場合には鋳造後に表面疵を除去するための手入れ工程が必要となる。鋳造後に鋳片を圧延して鋼材を製造する工場、例えば厚板工場では、鋳片を加熱し且つ高温に保つ加熱炉が設けられている。加熱炉には、鋳造を終えてから温度を低下させずに鋳片を直接的に送ることが望ましい。なぜならば、温度が低下した鋳片を再度加熱する必要がなくなり、鋼材の生産性の向上が可能だからである。ところが、前述の手入れ工程が必要となる場合には、鋳片を加熱炉に直接的に送れず、鋼材の生産性が低下することになる。
従って、鋳造方向及び鋳造方向と直交する周方向に均一に、溶鋼の凝固初期段階から凝固シェルを鋳型で強冷却して、鋳型の出口で凝固シェルを十分な厚みに成長させることが望ましい。特に、連続鋳造工程における鋳型のメニスカス付近で溶鋼の温度が最も高くなるので、この位置での冷却を強めることが重要である。
典型的な鋼の連続鋳造用鋳型は、冷却水路が形成されているプレート(鋳型長辺など)と、冷却水路を覆うようにプレートに取り付けられているバックプレートと、を有し、冷却水路は、鋳造方向に沿って延長している縦長形状の複数の溝から構成されている。特許文献1には、鋳型を上部と下部とに区分し、上部と下部とで冷却水路を分離した鋳型が記載されており、特に炭素含有量が0.07〜0.35質量%の中炭素鋼(亜包晶鋼)の溶鋼を冷却する場合には、上部の冷却水の流速を下部の冷却水の流速をよりも下げることが提案されている。すなわち、特許文献1では、メニスカス付近を冷却する上部で凝固シェルを緩冷却するとともに下部で強冷却することが望ましいとされている。しかしながら、前記中炭素鋼以外の鋼種では、上部の冷却水路での冷却水の流速を上げて、上部と下部との両方で強冷却を行うことも可能であり、そのようにして冷却を強めて、鋳型の出口で凝固シェルを十分な厚みに成長させることが望ましい。
特開平10−58093号公報 特開2017−39165号公報
特許文献1の鋳型では、冷却水路での冷却水の流速を速めるほど、鋳造方向及び鋳造方向に直交する周方向で鋳片の均一な抜熱をし難くなる。まず、鋳型の上部と下部との間では冷却水路が形成されていないので、冷却水路が形成されている位置とそうでない位置との鋳型表面で抜熱量が相違するからである。次に、冷却水路は、鋳造方向に沿って延長している縦長形状の溝が周方向に複数並んで構成されており、溝が形成されている位置とそうでない位置との鋳型表面で抜熱量が相違するからである。特許文献1では、強冷却の場合、冷却水の線流速を例えば13.0m/秒とすることが記載されているが、冷却水の流速を速めるほど、相違する抜熱量は大きくなっていき、鋳造方向及び周方向での鋳片の均一な抜熱をし難くなっていく。ましてや、鋳造速度が2.0m/分以上である高速鋳造時では、均一な抜熱はより難しくなっていく。
本発明は上記事情を鑑みて完成されたもので、高速鋳造時であっても、鋳造方向及び周方向で鋳片の均一な抜熱を容易に実施可能とする鋼の連続鋳造用鋳型を提供することを目的とする。更には、この鋳型を用いた鋼の連続鋳造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を鑑みて、メニスカスを冷却することになる鋳型の上部における冷却水路は鋳造方向に直交する周方向で延長する形状であり、且つ、上部と下部とで冷却水路が連続していれば、前述の相違する抜熱量を抑えることが可能と考え、本発明の完成に至った。すなわち、本発明は次の通りである。
(1)冷却水路が形成されている銅合金製のプレートと、前記冷却水路を覆うように前記プレートに取り付けられているバックアッププレートと、を有する鋼の連続鋳造用鋳型であって、前記冷却水路のうち、前記プレートの下部での冷却水路は複数の溝から構成され、該溝の各々は、連続鋳造工程での鋳造方向に延長した縦長形状であり、前記冷却水路のうち、前記プレートの上部での冷却水路は、前記下部の冷却水路に連通し、前記鋳造方向に延長し且つ前記鋳造方向に直交した周方向に延長した形状の溝から構成される鋼の連続鋳造用鋳型。
(2)前記上部のプレートの内壁の一部は、前記銅合金の熱伝導率よりも低い異種物質で形成されている(1)に記載の鋼の連続鋳造用鋳型。
(3)前記プレートの内壁には前記周方向に沿って凹部が複数形成され、前記凹部には前記異種物質が充填された異種物質充填部が複数形成されており、該異種物質充填部によって、鋳型表面での抜熱量が前記周方向に沿って周期的に増減する(2)に記載の鋼の連続鋳造用鋳型。
(4)(1)〜(3)のいずれか1項に記載の鋼の連続鋳造用鋳型を用いた鋼の連続鋳造方法。
(5)前記上部での冷却水路を流れる冷却水の線流速が5.0m/秒以下となるように前記鋼の連続鋳造用鋳型に冷却水を供給する(4)に記載の鋼の連続鋳造方法。
本発明によって、高速鋳造時において鋳造方向及び周方向で鋳片の均一な抜熱が容易に実施可能となる。
鋼の連続鋳造用鋳型の斜視図である。 図1に示す鋳型の鋳型長辺の鉛直断面図である。 本発明の実施形態の鋼の連続鋳造用鋳型のプレートの正面図である。 図1に示すCC線位置の鋳型長辺の水平断面図である。 図1に示すDD線位置の鋳型長辺の水平断面図である。 本発明の別の実施形態の鋼の連続鋳造用鋳型のプレートを示す図である。 本発明の別の実施形態の鋼の連続鋳造用鋳型のプレートを示す図である。
本発明は、鋼の連続鋳造工程で定まるメニスカスを冷却する鋳型の上部において冷却水路を鋳造方向及び鋳造方向に直交する周方向で延長する形状とし、鋳型の上部と下部とで冷却水路を連続させることで、凝固シェルから、鋳造方向及び周方向に沿った均一な抜熱を行うことを主眼とする。
本発明の説明の前に鋼の連続鋳造方法を簡単に説明する。鋼の連続鋳造用鋳型の斜視図を図1に示す。鋳型1は、相対する一対の鋳型長辺2と、該鋳型長辺2に挟持され且つ相対する一対の鋳型短辺3とを有する。溶鋼4を収容するタンディッシュ(図示省略)が鋳型1の上方に配置され、該タンディッシュの底部には浸漬ノズル5が設置されている。一対の鋳型長辺2と一対の鋳型短辺3とで鋳型1には矩形の内部空間が形成されており、内部空間には浸漬ノズル5が挿入されている。
鋳型長辺2及び鋳型短辺3には冷却水路が形成され、該冷却水路に水を通過させて、鋳型1を冷却してある。鋳型1に浸漬ノズル5を通じて溶鋼4を注入し、溶鋼4を凝固させて凝固シェルを形成して鋳片を形成し、鉛直方向下方となる鋳造方向Aに鋳型1から鋳片を引き抜いて鋳片を連続的に鋳造する。鋳型1での溶鋼4の湯面をメニスカスと呼び、鋳型1においてメニスカス付近で溶鋼4の温度が最も高くなる。鋼種にもよるが、特にメニスカスの位置で鋳型1の内壁面から鋳造方向Aに直交する周方向Bに凝固シェルから均一に抜熱を行うことが望ましい。凝固シェルの厚みの均一な成長を促進できるからである。
鋳型1の下方にはロール(図示省略)が複数配置されており、冷却水を鋳片に吹き付けつつロールで鋳片を搬送し、冷却が進み凝固が完了した後に鋳片を所定の長さに切断する。以上で、次工程の圧延の対象となる所定長さの鋳片が鋳造されることになる。
次に、本発明の鋳型の実施形態の一例を説明する。鋳型1を構成する鋳型長辺2及び鋳型短辺3はそれぞれ、冷却水路が形成されているプレートとバックアッププレートとを有する。プレートは、冷却水による冷却効果を高めるべく熱伝導率が高い銅合金製である。本発明の冷却水路の構成を示すべく、一例として鋳型長辺2の鉛直断面を図2に示し、鋳型長辺2のプレートの正面図を図3に示す。
図2及び図3に示すように、プレート11は上部と下部とに区分され、上部には冷却水路13が形成され、下部には、冷却水路13と連通する冷却水路14が形成されている。バックアッププレート12は、冷却水路13、14を覆うようにプレート11に取り付けられる。バックアッププレート12には、冷却水供給口15と冷却水排出口16とが形成されており、バックアッププレート12がプレート11に取り付けられた状態で、冷却水供給口15が冷却水路14に連通し、冷却水排出口16が冷却水路13に連通している。バックアッププレート12に設置された水箱(図示省略)から冷却水供給口15を通じて冷却水が供給され、冷却水は、冷却水路13、14を通過して冷却水排出口16に向かい、冷却水排出口16を通じて水箱に排出される。このようにして、鋳型1が冷却されている。
図1に示すCC線位置の鋳型長辺2の水平断面、すなわち、冷却水路14の水平断面を図4に示す。図3及び図4に示すように、プレート11の下部では、連続鋳造工程での鋳造方向Aに延長している縦長形状の溝が複数形成されている。冷却水路14は、周方向Bに整列した複数の溝から構成されている。縦長形状であることによって、冷却水路14への水の供給流量を少なくしても冷却水路14での線流速を速くでき、メニスカスから離れ、温度が該メニスカス付近より低くなった溶鋼4及び凝固シェルを冷却する場合には、この形状の冷却水路14で冷却してもよい。また、鋳型1の下半分位置では、熱流束は、メニスカス付近の半分以下と低位になり、幅方向に熱流束がバラツいても、その影響が小さくなるので、プレート11の下部は冷却水路14をスリット状にして線流速を確保することが有効である。冷却水路14を流れる冷却水の線流速は、7.0m/秒以上であることが望ましく、10.0m/秒以上であることが更に望ましい。線流速を速くするほど、この冷却水による強制対流による熱伝達による抜熱効果を高めることができるからである。但し、線流速の上限は13m/秒程度であることが好ましい。プレート11の銅鋳型の形状を保ちにくくなるからである。また、線流速は上限を設けることが望ましい。なぜならば、冷却水路14の断面積が小さくなり過ぎ、冷却水とプレート11との接触面積が伝熱の観点で過小となったり、冷却水路14の断面積が極端に小さい場合には、水質が悪化するなどすると、冷却水路が閉塞してしまう危険性が高くなるからである。また、プレート11に小さい断面積の冷却水路14を加工することが難しくからである。
図1に示すDD線位置の鋳型長辺2の水平断面、すなわち、冷却水路13の水平断面を図5に示す。図3及び図5に示すように、プレート11の上部では、冷却水路13は、冷却水路14に連通し、鋳造方向Aに延長し且つ周方向Bに延長する形状の溝から構成されている。冷却水路14から供給される冷却水は、冷却水路13に広がり、冷却水排出口16に向かう。冷却水路13は周方向Bに延長しているので、冷却水による冷却が周方向Bで均一になる。上部での冷却水路13で、連続鋳造工程におけるメニスカスを冷却し、該メニスカス付近で凝固シェルを周方向Bで均一に抜熱し易い。なお、上部は、メニスカス付近を冷却するような領域とすればよい。連続鋳造で用いる鋳型は、鋳造方向Aに沿った長さが800〜1000mmであることが一般的である。この長さを基にすれば、上部を、プレート11の上端から該上端より250mm以上下方の領域であって、メニスカスを冷却する領域となる。また、下部は、上部の領域の下端からプレート11の下端までの領域となる。
冷却水路13は、周方向Bに延長した形状なので、水平断面積が冷却水路14より大きく、鋳造方向Aでの冷却水の線流速を速くし難い。よって、冷却水自体による冷却効果を強め難くなる。しかしながら、本発明者らは、水の核沸騰現象を利用し、冷却水の線流速を遅くすることで水の核沸騰を促して、熱伝達率を上昇させ、抜熱量を大きくすることが可能であることを知見し、冷却水の線流速を遅くして、特にメニスカスを冷却する部位での冷却水の核沸騰を促すためには、冷却水路13を周方向Bに延長する形状にする考えに至った。よって、本発明の鋳型を用いる鋼の連続鋳造方法では、冷却水路13を流れる冷却水の鋳造方向Aでの線流速を意図的に遅くする。よって、この線流速を5.0m/秒以下とすることが望ましい。
なお、図2及び図3に示すように、プレート11の上部と下部との間では冷却水路13、14は連続しているので、上部と下部との間の部位を効果的に冷却することが可能である。
冷却水路13を構成するプレート11の内壁の一部を、プレート11の銅合金の熱伝導率よりも低い異種物質で形成することが好ましい。例えば、図6に示すように、冷却水路13が形成されているプレート11の内壁面に、鋳造方向Aに延長する溝を形成し、該溝に、銅合金の熱伝導率よりも低い異種物質を充填してもよい。異種物質が充填されている異種物質充填部21は熱伝導率がプレート11とは異なるので、異種物質充填部21とプレート11の内壁面との境界で抜熱量が大きく変わり、境界部近傍で、核沸騰現象による気泡の形成を促進できる。プレート11の内壁のうち、気泡を形成したい位置を異種物質で形成することで、目標とする位置で気泡を形成しやすくなる。これにより、抜熱量が大きくなる。
また、図7に示すように、周方向Bに沿ってプレート11の内壁に凹部を複数形成し、凹部に異種物質を充填した異種物質充填部22を複数形成し、該異種物質充填部22によって鋳型表面での抜熱量を周方向Bに沿って周期的に増減させることが好ましい。
特許文献2によると、鋳型内の凝固シェルの不均一凝固は、特に、炭素含有量が0.08〜0.17質量%の鋼(亜包晶中炭素鋼)で発生しやすい、とされている。更には、鋳型長辺あるいは鋳型短辺の溶鋼側の鋳型表面での凝固シェルからの抜熱量を周方向に沿って周期的に増減するように、前記表面に異種物質充填部を形成することで、凝固シェルの不均一凝固の低減を図ることが可能である、とされている。特許文献2の開示内容からすると、鋳型表面での抜熱量を周方向Bに沿って周期的に増減させることによって、特に、亜包晶中炭素鋼の凝固シェルの不均一凝固を効果的に低減可能であることになる。よって、プレート11の冷却水路が形成されている内壁面に千鳥格子状に凹部を複数形成し、凹部に異種物質を充填した円筒状の異種物質充填部21を複数形成することで、異種物質充填部21によって鋳型表面での抜熱量を周方向Bに沿って周期的に増減させて、凝固シェルの不均一凝固を低減させることが期待できる。
抜熱量の変化を確実に周期的なものとするべく、異種物質装入部21同士の間隔は同じであることが好ましい。また、鋳型本体の熱伝導率に対して熱伝導率が80%以下あるいは125%以上であることが好ましい。なお、物質の熱伝導率は雰囲気温度の変化に伴い変化する。よって、異種物質と鋳型本体と熱伝導率は、鋳型の製造時における室温(常温)時を基準とする。室温時において、異種物質の熱伝導率が鋳型本体に対して20%程度の差があれば、鋳型本体の内壁面での抜熱量の規則的且つ周期的な増減により、特に、亜包晶中炭素鋼の凝固シェルで生じるδ鉄からγ鉄への変態によって発生する応力や熱応力を低減させることが可能である。但し、前述の変態によって発生する応力などを低減させて、鋳片の表面割れを防ぐことが可能であればよいので、必ずしも、異種物質の熱伝導率が前述の範囲である必要はない。また、異種物質装入部21同士の間隔も必ずしも同じである必要はない。
プレートの熱伝導率に対して熱伝導率が80%以下となる異種物質の例としては、鍍金や溶射のしやすいNi(熱伝導率:約90W/(m・K))及びNi合金(熱伝導率:約40〜90W/(m・K))を用いることができるし、プレートには、銅合金(熱伝導率:約100〜398W/(m・K))、例えば高熱伝導タイプの銅合金(熱伝導率:約318W/(m・K)や電磁攪拌用の低熱伝導銅合金(熱伝導率:約119〜239W/(m・K))を用いることができる。また、純銅(熱伝導率が398W/(m・K)程度)や前述の銅合金を使用してもよい。
異種物質充填部21の深さ、すなわち、溝あるいは凹部の深さは0.1〜1.0mmであることが好ましい。核沸騰現象による気泡を安定的に形成しやすくなるからである。
鍍金処理や溶射処理によって溝部あるいは凹部に異種物質を充填できるが、溝部あるいは凹部に適した形状に異種物質を加工してそれを溝部あるいは凹部に埋め込んでも充填できる。但し、鍍金処理や溶射処理による充填の方が望ましい。なぜならば、異種物質と溝部あるいは凹部とを確実に密着させることが可能だからである。
図示を省略してある鋳型短辺もまた上部及び下部に区分し、図2〜5に示すような冷却水路を形成してもよいし、図6及び図7に示すように異種物質装入部を形成してもよい。
バックアッププレート12は、典型的には、プレート11にスタッドボルト(図示省略)で取り付けられることになる。この場合、プレート11中の冷却水路13に、スタッドボルトが取り付けられている部位を設けることが好ましい。冷却水路13によってその部位をより効果的に冷却可能だからである。スタッドボルトが固定される部位を冷却水路13及び/または複数の冷却水路14の間に設け、バックアッププレート12のその部位に対応する位置に貫通孔を形成し、該貫通孔にスタッドボルトを通しつつ前記部位に固定して、スタッドボルトでバックアッププレート12をプレート11に取り付けることが可能である。スタッドボルトが固定される部位を冷却水路14の間に設ける場合、冷却水路14の間のプレートの部位は冷却水路14で直接冷却できていないので、その部位とそうでない部位とで熱応力差が生じ易い。一方で、スタッドボルトが固定される部位が冷却水路13にある場合には、その部位の周囲を冷却水路13で冷却することになるので、その部位とそうでない部位とで熱応力差が生じ難い。
なお、図1に示す鋳型には矩形の内部空間が形成されており、これは、スラブやブルーム、ビレットの鋳片の鋳造用鋳型である。但し、図2〜7に示すような冷却水路はこれらの鋳片の鋳造用鋳型のプレートに形成することに限られず、ビームブランクの鋳片の鋳造用鋳型のプレートに形成してもよい。
以上の通りに説明した連続鋳造鋳型を用いて鋼の連続鋳造方法を行うことで、メニスカス位置で凝固シェルを強冷却することが容易になり、高速鋳造時においても鋳造方向及び周方向で鋳片の均一な抜熱を容易に実施可能となる。
プレート11の上端から250mm下方位置までの領域を上部とし、その位置からプレート11の下端までの領域を下部として、冷却水路13、14を形成した図2〜5に示す形態の鋼の連続鋳造用鋳型を用いて鋼の連続鋳造の操業を行った(本発明例1)。
本発明例1の連続鋳造では、鋳造する鋳片は厚みを220mmとし、幅を1000mmとした。鋳造速度を2.5m/分とし、冷却水路13での冷却水の鉛直方向に沿った線流速を5.0m/秒とし、冷却水路14での冷却水の線流速を10.0m/秒となるように冷却水を供給することが可能な冷却水路13、14が鋳型には形成されている。プレートは、熱伝導率が360W/(m・K)である銅合金製である。
本発明例1の操業では、炭素含有量が0.02〜0.07%である低炭素鋼、炭素含有量が0.15〜0.18%である過包晶中炭素鋼、炭素含有量が0.20〜0.45%である高炭素鋼、となる複数種の溶鋼4を準備し、これらの溶鋼から鋳片を鋳造した。1日に4回鋼の連続鋳造を行い、鋼の連続鋳造の操業を180日間行った。
本発明例1と比較するべく、上部の冷却水路を鋳造方向Aに沿って縦長形状の複数の溝からなる構成とした連続鋳造用鋳型を用いて鋼の連続鋳造の操業を行った(比較例1)。すなわち、比較例1で用いた鋳型は、上部の冷却水路が周方向Bに延長していない形状の溝となっている。比較例1の操業は、用いた鋳型の上部の冷却水路の構成以外は本発明例1と同じ条件であるが、上部の冷却水路での鉛直方向に沿った冷却水の線流速は、下部の冷却水路での冷却水と同じ10.0m/秒とした。
本発明例1及び比較例1における鋳型全体による抜熱量を鋳型11の冷却水供給口15と冷却水排出口16での温度差で測定した。その結果、本発明例1は比較例1に対して抜熱量が1.1倍程度大きかった。
本発明例1及び比較例1では、カラーチェックによる目視で鋳造した鋳片を確認し、1回の連続鋳造で鋳造した鋳片に縦割れが発生したかを確認し、縦割れが発生した場合、その長さを測定した。180日の操業において測定した縦割れの長さを合計した。比較例1の縦割れの長さの合計値を基準とし、その値に対する本発明例1の縦割れの長さの合計値の比率を縦割れ発生指数として求めた。その結果、縦割れ発生指数は0.2倍となり、本発明法1では縦割れ発生が比較例1よりも抑制できていることが確認できた。
また、本発明例1と比較例1とはともに、ブレークアウトの発生を防げ、鋼の連続鋳造の操業を180日間行うことができ、本発明例1の鋳型寿命は比較例1と変わらないことを確認できた。
図6に示す形態の鋼の連続鋳造用鋳型を用いて鋼の連続鋳造の操業を行った(本発明例21)。本発明例21の鋼の連続鋳造では、異種物質として、熱伝導率が90W/(m・K)となるNi合金を採用し、溶射によって図6の溝部に充填した鋳型を用いた。また、炭素含有量が0.08〜0.15%である亜包晶中炭素鋼の溶鋼から鋳片を鋳造した。これら以外は本発明例1と同じ条件で連続鋳造の操業を行った。
更に、図7に示す形態の鋼の連続鋳造用鋳型を用いて鋼の連続鋳造の操業を行った(本発明例22)。本発明例22の鋼の連続鋳造では、用いた鋳型以外は本発明例21と同じ条件で操業を行った。
本発明例21及び22と比較するべく、プレートの上端から250mm下方位置までの領域を上部とし、その位置から下端までの領域を下部として、冷却水路を形成した連続鋳造用鋳型を用いて鋼の連続鋳造の操業を行った(比較例2)。比較例2では比較例1で用いた鋳型と構成は同じとしたが、上部の冷却水路での鉛直方向に沿った冷却水の線流速は3.0m/秒とした。上記以外は本発明例21及び22と同じ条件で操業を行った。なお、特許文献1では、亜包晶中炭素鋼を冷却する場合には特に、上部での冷却を緩冷却とすべき旨が記載されてからである。
本発明例21、22及び比較例2における鋳型全体による抜熱量を鋳型11の冷却水の入口15と出口16での温度差で測定した結果、本発明例21は抜熱量が比較例2に対して1.2倍程度大きいことが分った。本発明例22は抜熱量が比較例2に対して1.25倍程度大きいことが分った。これは、異種物質充填部21とプレート11の内壁面との境界近傍で、核沸騰現象による気泡の形成を促進でき、熱伝導率が大きく上昇したことに起因すると推察される。本発明例21によれば、異種物質充填部21を形成したことにより抜熱量が大きくなることがわかるし、本発明例22によって、異種物質充填部21を複数形成することで抜熱量がより一層大きくなることがわかった。
次いで、本発明例21、22及び比較例2における、鋳造した鋳片に縦割れが発生したかをカラーチェックによる目視で確認し、発生した縦割れの長さを測定した。180日の操業において、測定した縦割れの長さを合計した。比較例2の縦割れの長さの合計値を基準とし、その値に対する本発明例21の縦割れの長さの合計値の比率を縦割れ発生指数として求めた。その結果、本発明例21での縦割れ発生指数は0.35倍となり、本発明例22での縦割れ発生指数は0.10倍となり、本発明法21及び22では縦割れ発生が比較例2よりも抑制できていることが確認できた。
また、本発明例21及び22と比較例2とはともに、ブレークアウトの発生を防げ、鋼の連続鋳造の操業を180日間行うことができ、本発明例21及び22の鋳型寿命は比較例2と変わらないことを確認できた。
以上の通りに、本発明の連続鋳造鋳型を用いて鋼の連続鋳造方法を行うことで、メニスカス位置で凝固シェルを強冷却することが容易になり、高速鋳造時においても鋳造方向及び周方向で鋳片の均一な抜熱を実施して、鋳片の縦割れ及びブレークアウトを防ぐことが可能であるとわかった。また、本発明の連続鋳造鋳型では、溶鋼が亜包晶中炭素鋼である場合であっても、鋳片の縦割れを効果的に防ぐことが可能であるとわかった。
1 鋳型
2 鋳型長辺
3 鋳型短辺
4 溶鋼
5 浸漬ノズル
11 プレート
12 バックアッププレート
13 (上部の)冷却水路
14 (下部の)冷却水路
15 冷却水供給口
16 冷却水排出口
21 異種物質充填部
22 異種物質充填部

Claims (5)

  1. 冷却水路が形成されている銅合金製のプレートと、
    前記冷却水路を覆うように前記プレートに取り付けられているバックアッププレートと、を有する鋼の連続鋳造用鋳型であって、
    前記冷却水路のうち、前記プレートの下部での冷却水路は複数の溝から構成され、該溝の各々は、連続鋳造工程での鋳造方向に延長した縦長形状であり、
    前記冷却水路のうち、前記プレートの上部での冷却水路は、前記下部の冷却水路に連通し、前記鋳造方向に延長し且つ前記鋳造方向に直交した周方向に延長した形状の溝から構成される鋼の連続鋳造用鋳型。
  2. 前記上部のプレートの内壁の一部は、前記銅合金の熱伝導率よりも低い異種物質で形成されている請求項1に記載の鋼の連続鋳造用鋳型。
  3. 前記プレートの内壁には前記周方向に沿って凹部が複数形成され、前記凹部には前記異種物質が充填された異種物質充填部が複数形成されており、
    該異種物質充填部によって、鋳型表面での抜熱量が前記周方向に沿って周期的に増減する請求項2に記載の鋼の連続鋳造用鋳型。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の鋼の連続鋳造用鋳型を用いた鋼の連続鋳造方法。
  5. 前記上部での冷却水路を流れる冷却水の線流速が5.0m/秒以下となるように前記鋼の連続鋳造用鋳型に冷却水を供給する請求項4に記載の鋼の連続鋳造方法。
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