JP3680818B2 - マグネシウム合金薄板の製造方法及びその製造装置 - Google Patents

マグネシウム合金薄板の製造方法及びその製造装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶融マグネシウム合金を連続鋳造し、直ちに熱間圧延するマグネシウム合金薄板の製造方法、及びマグネシウム合金薄板の製造装置に関するものである。
【0002】
【従来技術】
マグネシウム合金は、実用合金中最も軽く、また剛性に優れているため、航空機、自動車または携帯電話等へ適用されている。特に、携帯電話等への適用は急激な普及が見込め、マグネシウム合金に対する市場ニーズは、安価で高品質なマグネシウム合金に対する要請となっている。
【0003】
マグネシウム合金は高温での反応性が高く、酸化し易いと同時に、水素を吸収し易いことから、溶解、鋳造時にマグネシウム合金の溶湯を大気雰囲気下に存在させると、酸化が促進し酸化物を生成したり、溶解したマグネシウム合金中に酸素及び水素が吸収され、これらの濃度が上昇することになる。このようにマグネシウム合金中の酸素濃度及び水素濃度が上昇すると、鋳造鋳片に気孔が生成したり、製品として要求される機械的性質を確保できないことがある。
【0004】
このため、マグネシウム合金は、大気と遮断した雰囲気で溶解した後、インゴット鋳造やダイカストによって製造するか、連続鋳造によって半製品である鋳片を製造した後、最終製品まで成型加工し、これを機械加工して仕上げる方法が採られてきた。
【0005】
ところが、前者のインゴット鋳造やダイカストによる製造では、溶解から鋳造までの間で溶湯が酸化されたり、また、インゴット鋳造やダイカストののち、さらに熱間圧延工程を経て、製品が製造されるため、製造費用が増加するという問題がある。
【0006】
一方、マグネシウム合金を連続鋳造する場合には、マグネシウム合金は液相線温度と固相線温度の間の固液共存温度範囲が広いため、連続鋳造する場合に、鋳型内で凝固開始後に凝固シェルが変形し易く、表面性状が悪化するだけでなく、ブレーク・アウトが発生し易いことから鋳造速度を上げることが困難である。
【0007】
連続鋳造の際には、鋳型と凝固シェルの潤滑用としてフラックスを用いることができるが、マグネシウム合金は融点が低くいため、フラックスの融点をマグネシウム合金よりも低くしなければならない。フラックスの融点を下げるには、フッ素、塩素、ナトリウム及びカリウム等を添加する必要があるが、これらの成分がマグネシウム合金中に溶け込むと、製品特性を低下させることから、このようなフラックスの添加はできない。
【0008】
さらに、鋳型をオシレーションさせて連続鋳造する場合、または鋳型を固定して間欠的に鋳片を引き抜く場合に、鋳片の表層にはオシレーション・マークまたは引き抜きマークが形成され、合金成分であるアルミニウムや亜鉛が濃化し、製品加工の際に欠陥となる。これらのマークを低減するには、オシレーションの回数を増やすか、あるいは間欠的な引き抜き速度を上げて凝固シェルの成長を抑制すれば良いが、フラックスによる潤滑作用が期待できないため、凝固シェルが鋳型に拘束され易くなり、鋳造速度(引き抜き速度)を上げることはできない。
【0009】
上述の通り、鋳造速度を上げることができなければ、鋳型内に供給された溶湯の滞留時間が長くなり、鋳型による溶湯の温度降下が大きくなり、鋳型内の湯面で皮張りが発生し、連続鋳造そのものができなくなる。また、鋳型の幅が広い場合には、鋳型の幅中央近傍と短辺近傍とでは冷却速度が異なるとともに、鋳型内に供給された溶湯温度が場所により変動するため、凝固シェルの成長も異なり、鋳片の表面品質が低下する。
【0010】
上述の通り、マグネシウム合金はインゴット鋳造やダイカストで製造する場合であっても、連続鋳造によって製造する場合であっても、品質上の問題を抱えるとともに、最終製品まで多くの工程を要するようになると、製造工数が多大となり、製造コストが増大することになる。このため、マグネシウム合金の製造において、その抜本的な対策が望まれている。
【0011】
例えば、特開平5−302137号公報には、セラミックス粉末を母相合金に分散させたマグネシウム合金の製造方法が提案されている。提案された方法では、セラミックス粉末をマグネシウム合金からなる母相合金に分散させた粒子分散母合金を製造する工程と、この粒子分散母合金を150乃至500℃の温度で予熱した後、750℃以下の温度に保持した母相合金組成の溶湯に添加して撹拌する工程と、撹拌後の前記溶湯を10℃/秒以上の冷却速度で冷却して凝固させるとともに、80〜200 mm/分の引抜速度で引抜いて連続鋳造する工程とを有することを特徴としている。
【0012】
しかし、提案された製造方法では、連続鋳造における内面品質の観点から、引抜速度は80〜200mm/分とされ、鋳造速度に制限が設けられており、生産性の向上に限界がある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前述したマグネシウム合金の製造や、連続鋳造における問題点に鑑みてなされたものであり、大気雰囲気と遮蔽したマグネシウム合金の溶解から連続鋳造、さらに熱間圧延を連続して行うマグネシウム合金薄板の製造方法、及びマグネシウム合金薄板の製造装置を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するため、種々の条件でマグネシウム合金薄板の製造方法について検討した結果、次の(a)〜(e)の知見を得ることができた。
(a)低コストで高品質のマグネシウム合金薄板を製造するには、従来のインゴット鋳造やダイカスト、または直結鋳造方法などで必要とされた、多くの製造工程を集約し、最終の製品形状に近似させて製造する、一貫した連続プロセスが効果的である。
(b)マグネシウム合金の鋳造では、連続鋳造用パウダーを用いない条件であっても、連続鋳造鋳型に振動を付加することによって、鋳型内の摩擦力を大幅に低減できる。
(c)マグネシウム合金は、高温状態(200〜500℃)で変形抵抗が小さく、従来の圧延機等に比べ、簡易で小容量の圧下装置で鋳片から薄板を製造することができる。
(d)熱間圧延での圧下率を選択することによって、鋳造速度に対するコイル巻き取り速度を適切にすることができ、マグネシウム合金薄板を高温状態で巻き取ることができる。
(e)圧下した薄板をコイラーで巻き取るのに際し、コイル巻き取り速度を選択することによって、巻き取り前の薄板の圧延速度を適切に調整することができる。
【0015】
本発明は、上述した知見に基づいて完成されたものであり、下記のマグネシウム合金薄板の製造方法、及びその製造装置を要旨としている。
(1)大気雰囲気と遮蔽してマグネシウム合金を溶解及び精錬し、さらに収容した溶湯供給装置から鋳型内に浸漬ノズルを用いてマグネシウム合金の溶湯を供給するに際し、前記鋳型に鉛直方向と水平方向の合成振動を付加しながら前記マグネシウム合金を凝固させた後、直ちに圧下ロール対を用いて所定肉厚に熱間圧延し、次いでコイラーに巻き取ることによって、大気雰囲気と遮蔽した溶融マグネシウム合金を連続鋳造し、直ちに熱間圧延することを特徴とするマグネシウム合金薄板の製造方法である(以下、「本発明の製造方法」という)。
【0016】
上記の「本発明の製造方法」においては、熱間圧延前の鋳片の表面温度を250〜500℃とし、熱間圧延での圧下率を1.2〜5.0にするのが望ましい。さらに、圧下ロール対を用いて圧下した薄板をコイラーで巻き取るに際し、コイル巻き取り速度を800〜5000mm/分にするのが望ましい。
(2)マグネシウム合金を溶解及び精錬する溶解炉と、溶融マグネシウム合金を大気雰囲気と遮蔽して移送する電磁ポンプと、溶融マグネシウム合金を収容する保持炉と、この保持炉の下部で溶融マグネシウム合金を供給する浸漬ノズルと、溶融マグネシウム合金を凝固させる連続鋳造鋳型と、この連続鋳造鋳型に鉛直方向と水平方向の合成振動を付加する鋳型振動装置と、前記連続鋳造鋳型の出側で凝固されたマグネシウム合金を熱間圧延する圧下ロール対と、圧延された薄板を巻き取るコイラーとが設けられ、溶融マグネシウム合金の連続鋳造と熱間圧延とを連続させたことを特徴とするマグネシウム合金薄板の製造装置である(以下、「本発明の製造装置」という)。
【0017】
本発明が対象とするマグネシウム合金は、マグネシウムのような純金属、及びマグネシウム純金属に合金元素を添加して溶製されたマグネシウム合金も含むものである。
【0018】
本発明で規定する熱間圧延での圧下率は、圧下前の鋳片の厚さ(mm)/圧下後の被圧下材(鋳片)の厚さ(mm)で示す。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の内容について、以下に「本発明の製造方法」とその「製造装置」を説明する。
【0020】
前述の通り、マグネシウム合金は、高温での反応性が高く、酸化とともに水素吸収し易いことから、溶解、連続鋳造時にマグネシウム合金の溶湯を大気雰囲気下で存在させると、酸化物を生成したり、溶解したマグネシウム合金中の酸素濃度及び水素濃度が上昇する。したがって、マグネシウム合金の溶解から鋳造に際しては、大気雰囲気と遮断することが必要になる。
【0021】
従来から、次工程につながる連続鋳造方法として、ストリップキャスティング法、または直結鋳造法の採用が検討されているが、いずれも得られる鋳片の表面品質に問題があると同時に、生産性も低位である。具体的には、ストリップキャスティング法では、鋳片の偏肉や鋳片表面疵に起因し、直結鋳造法では、溶融したマグネシウム合金と鋳型との潤滑、鋳型と鋳片との間で生じる摩擦力によるものである。
【0022】
次工程の熱間圧延に良好な鋳片を供給するには、溶鋼等の連続鋳造方法で主流となっている浸漬ノズルを用いるのが有効である。しかし、前述の通り、マグネシウム合金の比重が小さいので、溶鋼等の連続鋳造方法で用いているパウダーを使用することができない。マグネシウム合金の比重は1.8程度であり、連続鋳造用パウダーより比重が軽いため、パウダーがマグネシウム合金内に沈んでしまうためである。
【0023】
そこで、「本発明の製造方法」では、マグネシウム合金の鋳造に際し、パウダーによる鋳型内の潤滑に代わる手段として、鋳型振動を採用した。
【0024】
さらに、「本発明の製造方法」が採用する鋳型振動では、鉛直方向の振動(縦波)と水平方向の振動(横波)とを合成した振動を付加する。その際に、鋳型振動装置から付加される合成波形のうち、鉛直方向の上下振動の周波数は1〜6HZで、振幅は2〜6mmとするのが適正である。このように、ショートストローク(振幅)でハイサイクル(周波数)の条件を指向することによって、鋳造に発生する摩擦力を軽減できるようになる。
【0025】
一方、水平方向の振動周波数は50〜200HZとし、振幅は0.1〜0.5mmとするのが適正である。水平方向の振動は、高周波数で微振動を付加することのよって、鋳型内での摩擦力の低減に有効である。
【0026】
図1は、「本発明の製造方法」で採用した、鉛直方向と水平方向の合成振動を付加する鋳型振動装置の構成を模式的に説明する図である。この鋳型振動装置7は、設備費をミニマムにして、効率的に鋳型6内で溶湯20や凝固シェル21との摩擦力を低減するために、鉛直方向の上下振動bに加え、水平方向の高周波で、微振動aを付加している。このように、鉛直方向の振動(縦波)bと水平方向の振動(横波)aとを合成した振動を付加することによって、潤滑用パウダーを用いない条件でも、鋳型内の摩擦力を低減するのにより有効である。
【0027】
図1において、バイブレータ7aは鋳型6に水平方向の振動aを付加しており、左右2対のバイブレータ7bは鉛直方向の振動bを付加している。例えば、左右2対のバイブレータ7bは水平方向の振動を同期させ、振動は上下方向のみに慣性力で振動する構造とすることができる。
【0028】
熱間圧延後にマグネシウム合金の薄板コイルで発生する偏肉を防止し、表面性状を向上させるには、連続鋳造用鋳型内における鋳片の厚さを10〜30mmにするのが望ましい。連続鋳造に引き続いて高温状態で熱間圧延で圧下を加えて、薄板まで圧延することによって、表面品質や偏肉を改善することができる。
【0029】
マグネシウム合金は、高温状態で変形抵抗が小さいため、従来の圧延機等に比べ、簡易で容量の少ない圧下装置を用いても、マグネシウム合金薄板を製造することができる。このため、熱間圧延前の鋳片の表面温度の下限を250℃とするのが望ましい。一方、鋳片の表面温度が500℃を超えると、結晶粒が粗大化して機械的性質が劣化するので、鋳片の表面温度の上限を500℃にするのが望ましい。
【0030】
鋳片の表面温度が250℃を超える高温状態で圧下する際に、冷却された圧下ロールを用いると、マグネシウム合金の鋳片と接触した時点で抜熱し、マグネシウム合金の鋳片表面温度が低下し、変形抵抗が大きくなるおそれがある。このため、圧下ロールは、事前に加熱されたものを用いるのが望ましく、これにより、より安定した熱間圧延が可能になる。
【0031】
「本発明の製造方法」は、連続鋳造で鋳片の表面品質を確保のため、鋳片の厚さを厚くし、その後の熱間圧延での圧下によってマグネシウム合金薄板を製造する方法である。このときの熱間圧延での圧下率は、前述の通り、圧下前の鋳片の厚さ(mm)/圧下後の被圧下材(鋳片)の厚さ(mm)で規定され、鋳造速度に対してコイル巻き取り速度が増速されて、高温状態で巻取りが可能になる。このため、「本発明の製造方法」では、熱間圧延での圧下率を1.2〜5.0にするのが望ましい。圧下率が5.0を超えると、圧下装置やコイル巻き取り装置が過大となるため、圧下率に一定の制限を加えている。
【0032】
圧下した薄板をコイラーで巻き取るに際し、コイル巻き取り速度を800〜5000mm/分とするのが望ましい。コイル巻き取り速度を規定することによって、巻き取り前の薄板の圧延速度を制限できる。巻き取り速度が800mm/分未満であると、鋳造速度に制約が生じて鋳片の表面温度が低下して、熱間圧延が困難になる。巻き取り速度が5000mm/分を超えると、鋳造速度以上の巻き取り速度となり、圧下が困難になるおそれがあるからである。
【0033】
図2は、「本発明の製造装置」の全体構成を模式的に示した図である。「本発明の製造装置」では、溶融マグネシウム合金の供給装置4として、マグネシウム合金を溶解及び精錬する溶解炉1と、鋳型の上部に配置された保持炉2とが設けられ、マグネシウム合金の溶解炉1から保持炉2への移送は、大気雰囲気と遮蔽された状態で電磁ポンプ3によって行われる。このため、溶融マグネシウム合金の高温状態での酸化反応や水素吸収を防止することができる。
【0034】
上記保持炉2下部には、溶融マグネシウム合金を供給する浸漬ノズル5と、連続鋳造鋳型6が配置されている。その連続鋳造鋳型6には鋳型振動装置7が併設されており、前述の通り、鋳型6に鉛直方向の振動(縦波)と水平方向の振動(横波)の合成振動を付加している。この手段によって、マグネシウム合金が鋳型内面に拘束されたり、焼き付きの発生を防止している。
【0035】
連続鋳造鋳型6の出側には、鋳型6内で凝固されたマグネシウム合金を熱間圧延する圧下ロール対8が設けられる。図示しないが、圧下ロール対8には、小径圧下ロールによる圧下効率と圧下ロールの圧下時のロール撓みを最小限にすべく、バックアップロールを取り付けられている。
【0036】
圧下ロール対8の下工程には、所定の圧下率で熱間圧延を行い、目標肉厚となったマグネシウム合金薄板を巻き取るためのコイラー10が設けられる。さらに、鋳造初期に使用したダミーバーを切断するシャー9と、ダミーバーを切り落とすためのダミーバーテーブル11が設けられる。
【0037】
【実施例】
「本発明の製造方法」の効果を、下記の実施例1及び2に基づいて説明する。
(実施例1)
実施例1では、下記a〜jの試験条件で、溶融マグネシウム合金鋳造を実施した。
a.マグネシウム合金:Mg−3%Al−1%Zn(融点632℃)
b.注湯温度(保持炉):750℃
c.雰囲気 :Arガス雰囲気
d.鋳型材質:SUS430
e.鋳型サイズ:幅700×厚み10×高さ300mm
f.浸漬ノズルの材質:SUS430
g.浸漬ノズル:シース・ヒーター加熱
h.浸漬ノズル加熱温度:750℃
i.引き抜き速度:0.5m/min
j.引き抜き条件:連続式
試験は、前記図2に示す製造装置を用いて実施し、溶解炉1で溶解及び精錬したマグネシウム合金は、溶解炉1から連続鋳造鋳型6の上部に取り付けられた保持炉2に電磁ポンプ3を用いて移送した。移送に際して、溶融マグネシウム合金は大気雰囲気に晒されることはなかった。
【0038】
次に、保持炉2の下部に設置された連続鋳造鋳型6に溶融マグネシウム合金が浸漬ノズル5を介して供給される。連続鋳造鋳型6には鋳型振動装置7が併設しており、周波数2HZ、振幅3mmの鉛直方向の振動のみを付加した。
【0039】
実施例1では、鋳片表面と鋳型表面に極僅かの焼き付き(拘束)が発生し、そのため、鋳片表面にシワ状の欠陥が微少に発生した。ただし、このシワ状疵は、製品まで残存する程の鋳片欠陥ではなかった。
(実施例2)
実施例2では、下記a〜kの試験条件で、溶融マグネシウム合金からマグネシウム合金薄板を一貫して製造する試験を行った。
a.マグネシウム合金:Mg−3%Al−1%Zn(融点632℃)
b.注湯温度(保持炉):750℃
c.雰囲気 :Arガス雰囲気
d.鋳型材質:SUS430
e.鋳型サイズ:幅700×厚み10×高さ300mm
f.浸漬ノズルの材質:SUS430
g.浸漬ノズル:シース・ヒーター加熱
h.浸漬ノズル加熱温度:750℃
i.引き抜き速度:0.5m/min
j.引き抜き条件:連続式
k.圧下条件:10mmから5mm
試験は、前記図2に示す製造装置を用いて実施し、実施例1と同様に、溶融マグネシウム合金は大気雰囲気に晒されることなく、保持炉2の下部に設置された連続鋳造鋳型6に浸漬ノズル5を介して供給された。
【0040】
このとき、連続鋳造鋳型6では、周波数2HZ、振幅3mmの鉛直方向の振動と周波数100HZ、振幅0.1mmの水平方向の振動の合成振動を付加した。
【0041】
保持炉2から注入された溶融マグネシウム合金は、鋳型内で凝固し、熱間圧延の圧下ロール対8に送られた。圧下ロール対8によって、圧下率2で熱間圧延されたマグネシウム合金の薄板は、コイラー10によって巻き取られた。その後、この薄板を素材として圧延を施して(温間250℃程度)、最終製品である薄板が製造した。
【0042】
実施例2で得られた鋳片表面には、実施例1で認められたシワ状疵の発生もなく、良好であった。また、実施例2によるマグネシウム合金の薄板コイルは、インゴット鋳造に比べ、生産性が約3〜5倍増加し、さらに、従来のインゴット鋳造法によるマグネシウム合金製造法に対して製造コストを1/2〜1/3にすることができた。
【0043】
【発明の効果】
本発明のマグネシウム合金薄板の製造方法とその製造設備によれば、溶融マグネシウム合金を連続鋳造し、直ちに薄板に熱間圧延することによって、高い生産性で、かつ低い製造コストでマグネシウム合金薄板の製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】「本発明の製造方法」で採用した、鉛直方向と水平方向の合成振動を付加する鋳型振動装置の構成を模式的に説明する図である。
【図2】「本発明の製造装置」の全体構成を模式的に示した図である。
【符号の説明】
1:溶解炉、 2:保持炉
3:電磁ポンプ、 4:溶湯供給装置
5:浸漬ノズル、 6:鋳型、連続鋳造鋳型
7:鋳型振動装置、 7a、7b:バイブレータ
8:圧下ロール対、 9:シャー
10:コイラー、 11:ダミーバーテーブル

Claims (4)

  1. 大気雰囲気と遮蔽してマグネシウム合金を溶解及び精錬し、さらに収容した溶湯供給装置から鋳型内に浸漬ノズルを用いてマグネシウム合金の溶湯を供給するに際し、前記鋳型に鉛直方向と水平方向の合成振動を付加しながら前記マグネシウム合金を凝固させた後、直ちに圧下ロール対を用いて所定肉厚に熱間圧延し、次いでコイラーに巻き取ることによって、大気雰囲気と遮蔽した溶融マグネシウム合金を連続鋳造し、直ちに熱間圧延することを特徴とするマグネシウム合金薄板の製造方法。
  2. 熱間圧延前の鋳片の表面温度が250〜500℃であり、熱間圧延での圧下率が1.2〜5.0であることを特徴とする請求項1に記載のマグネシウム合金薄板の製造方法。
  3. 圧下ロール対を用いて圧下した薄板をコイラーで巻き取るに際し、コイル巻き取り速度を800〜5000mm/分にしたことを特徴とする請求項1または2に記載のマグネシウム合金薄板の製造方法。
  4. マグネシウム合金を溶解及び精錬する溶解炉と、溶融マグネシウム合金を大気雰囲気と遮蔽して移送する電磁ポンプと、溶融マグネシウム合金を収容する保持炉と、この保持炉の下部で溶融マグネシウム合金を供給する浸漬ノズルと、溶融マグネシウム合金を凝固させる連続鋳造鋳型と、この連続鋳造鋳型に鉛直方向と水平方向の合成振動を付加する鋳型振動装置と、前記連続鋳造鋳型の出側で凝固されたマグネシウム合金を熱間圧延する圧下ロール対と、圧延された薄板を巻き取るコイラーとが設けられ、溶融マグネシウム合金の連続鋳造と熱間圧延とを連続させたことを特徴とするマグネシウム合金薄板の製造装置。
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