JP6036155B2 - GaN結晶 - Google Patents

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Description

本発明は、周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法、及び該製造方法により製造される周期表第13族金属窒化物半導体結晶に関する。
窒化ガリウムに代表される周期表第13族金属窒化物半導体は、大きなバンドギャップを有し、さらにバンド間遷移が直接遷移型であることから、紫外、青色等の発光ダイオード、半導体レーザ等の比較的短波長側の発光素子として実用化されている。また、近年の結晶成長技術の発達により、これらの素子に用いられる窒化ガリウム基板の製造も実現している。
窒化ガリウム等の周期表第13族金属窒化物半導体結晶をn型にするドーパントとしては、ケイ素や酸素が知られており、気相成長法によって周期表第13族金属窒化物半導体結晶を製造する場合は、ケイ素源としてシランガス(SiH4)等を、酸素源として水や
酸素等を成長雰囲気中に供給することによりドーピングすることができることが知られている。ただし、窒化ガリウムへの酸素のドーピングは、面選択性があることが報告されており、C面を成長面とするエピタキシャル成長では酸素が取り込まれにくく、充分な酸素ドーピングを行うことができないことが知られている(特許文献1参照)。そのため、C面成長によって得られた窒化ガリウム結晶は、ケイ素ドープ量が多く、C面以外の結晶面を成長面とする窒化ガリウム結晶では、酸素ドープ量が多くなる結果が報告されている(特許文献1、2参照)。
また、C面を主面とする下地基板上にファセット成長させて得られる窒化ガリウム結晶では、ファセット成長領域では酸素ドープ量が多く、C面成長領域ではケイ素ドープ量が多くなる結果が報告されている(特許文献3参照)。
特開2000−044400号公報 特開2006−240988号公報 特開2010−070430号公報
気相成長法によって得られる周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、結晶成長中に成長雰囲気又は原料に含まれる不純物酸素に起因した酸素ドーピングが生じ易く、結果酸素ドープ量が比較的多い結晶となる傾向にある。酸素ドーピングによって結晶の吸光係数は大きくなるため、酸素ドープ量の多い結晶を基板として用いてデバイス形成を行った場合、デバイスから発せられた光の一部が基板に吸収されて、発光量が減少してしまうという問題がある。また、不純物酸素に起因した酸素ドーピングでは、結晶中のドーパント濃度を精密に制御することは困難である。
C面を成長面とするエピタキシャル成長では、酸素が取り込まれにくい傾向にあり、上記問題点は必然的に解消され得るが、非極性面及び/又は半極性面を主面とする下地基板の主面上にエピタキシャル成長させて得られる周期表第13族金属窒化物半導体結晶の場合、上記問題が品質上重要になる。
即ち、本発明は、非極性面及び/又は半極性面を主面とする下地基板の主面上にエピタキシャル成長させて得られる周期表第13族金属窒化物半導体結晶において、結晶内のド
ーパント濃度を精密に制御し、吸光係数が小さく、デバイス用基板として特に好適な周期表第13族金属窒化物半導体結晶を提供すること、並びにかかる周期表第13族金属窒化物半導体結晶を製造することができる製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、非極性面及び/又は半極性面を主面とする下地基板の主面上にエピタキシャル成長させて得られる周期表第13族金属窒化物半導体結晶において、不純物酸素に起因した酸素ドーピングを抑制してO濃度よりもSi濃度を高めた周期表第13族金属窒化物半導体結晶が、吸光係数が小さくデバイス用基板に好適な高品質な結晶であり、さらにドーパント濃度の精密な制御が可能となることを見出し、本発明を完成させた。
即ち本発明は以下のとおりである。
(1)<10−11>方向に成長したGaN結晶であって、結晶内のSi濃度がO濃度よりも高く、結晶内のNa濃度が1×10 17 cm -3 以下で、かつ、X線回折の(100)回折ピークのロッキングカーブの半値幅が50arcsec以下であることを特徴とするGaN結晶
(2)<20−21>方向に成長したGaN結晶であって、結晶内のSi濃度がO濃度よ
りも高く、結晶内のNa濃度が1×10 17 cm -3 以下で、かつ、X線回折の(201)回折ピークのロッキングカーブの半値幅が50arcsec以下であることを特徴とするGaN結晶。
本発明によれば、結晶内のドーパント濃度が精密に制御され、さらに吸光係数が小さくデバイス形成用基板に好適な高品質な周期表第13族金属窒化物半導体結晶を提供することができる。
転位の伸びる方向を表す概念図である。 スライスされた結晶の転位の方向を表す概念図である。 本発明の製造方法に使用する製造装置の概念図である。
本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶、及び周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法ついて以下詳細に説明するが、本発明の趣旨に反しない限り、これらの内
容に限定されるものではない。
なお、本明細書において「〜」を用いてあらわされる数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。また、本明細書において周期表第13族金属窒化物半導体結晶の「主面」とは、当該周期表第13族金属窒化物半導体結晶における最も広い面であって、結晶成長を行うべき面を指す。
本発明は、周期表第13族金属窒化物半導体結晶に係る発明であるが、六方晶構造(ウルツ鉱型結晶構造)を有する周期表第13族金属窒化物半導体結晶の極性面としては、例えば(0001)面及び(000−1)面等が、非極性面としては、(10−10)面、(11−20)面及びこれらの面と結晶幾何学的に等価な面等が挙げられる。また、半極性面としては、結晶面に周期表第13族金属元素と窒素元素の両方が存在しており、その存在比が1:1でない面であれば特に限定されないが、例えば、(20−21)面、(20−2−1)面、(10−11)面、(10−1−1)面、(10−12)面、(10−1−2)面、(11−21)面、(11−2−1)面、(11−2−2)面、(11−2−2)面、(22−41)面、(22−4−1面)及びこれらの面と結晶幾何学的に等価な面等が挙げられる。
本願明細書において、(0001)面及び(000−1)面、即ち極性面を「C面」と略する場合があり、(10−10)面及びこの面と結晶幾何学的に等価な面を「M面」と略す場合がある。
なお、本明細書においてC面、M面や特定の指数面を称する場合には、±0.01°以内の精度で計測される各結晶軸から10°以内のオフ角を有する範囲内の面を含む。好ましくはオフ角が5°以内であり、より好ましくは3°以内である。
<周期表第13族金属窒化物半導体結晶>
本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、非極性面及び/又は半極性面を主面とする下地基板上にエピタキシャル成長させて得られる周期表第13族金属窒化物半導体結晶であり、結晶内のSi濃度がO濃度よりも高いことを特徴とする。ここで「結晶内」とはエピタキシャル成長によって形成された結晶全体を意味する。前述のようにC面成長以外、例えば非極性面及び/又は半極性面を主面とする下地基板上にエピタキシャル成長させて得られる周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、不純物酸素に起因した酸素ドーピングが生じ易く、ドーパント濃度を精密に制御することが困難であり、さらに吸光係数が大きくなってしまうため(結晶が着色する)、品質の観点から改善が必要であった。本発明は、不純物酸素に起因した酸素ドーピングを抑制し、O濃度よりもSi濃度を高めた周期表第13族金属窒化物半導体結晶であり、ケイ素のドープ量によってドーパント濃度の精密な制御が可能な高品質な周期表第13族金属窒化物半導体結晶である。
本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、結晶内のSi濃度がO濃度よりも高い結晶であれば、そのドーパント濃度は特に限定されないが、通常1×1013cm-3以上、好ましくは1×1014cm-3以上、より好ましくは1×1017cm-3以上であり、通常1×1021cm-3以下、好ましくは1×1020cm-3以下、より好ましくは5×1019cm-3以下である。ドーパント濃度が大きすぎる場合には半導体としての性質が損なわれる可能性があり、小さすぎる場合には導電性が低くなり導電性が高いことが好ましい発光素子用基板に適さなくなる。
また、本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、結晶内のSi濃度がO濃度よりも高い結晶であれば、そのキャリア濃度は特に限定されないが、1×1013cm-3以上、好ましくは1×1014cm-3以上、より好ましくは1×1017cm-3以上であり、通常1×1021cm-3以下、好ましくは1×1020cm-3以下、より好ましくは5×1019cm-3以下である。キャリア濃度が大きすぎる場合には半導体としての性質が損なわれる可能性があり、小さすぎる場合には導電性が低くなり導電性が高いことが好ましい発光素子
用基板に適さなくなる。
また、O濃度及びSi濃度の具体的な値は特に限定されないが、O濃度は、通常1×1013cm-3以上、好ましくは1×1014cm-3以上であり、通常3×1018cm-3以下、好ましくは5×1017cm-3以下、より好ましくは5×1016cm-3以下である。O濃度が大きすぎる場合には、光の吸収係数が大きくなると共に半導体としての性質が損なわれる可能性があり、小さすぎる場合には導電性が低くなり導電性が高いことが好ましい発光素子用基板に適さなくなる。
Si濃度は、通常1×1013cm-3以上、好ましくは1×1017cm-3以上であり、通常1×1021cm-3以下、好ましくは1×1020cm-3以下、より好ましくは1×1019cm-3以下である。Si濃度が大きすぎる場合には半導体としての性質が損なわれる可能性があり、小さすぎる場合には導電性が低くなり導電性が高いことが好ましい発光素子用基板に適さなくなる。
本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、結晶内のSi濃度がO濃度よりも高い結晶であれば、その他の元素濃度は特に限定されないが、例えばNa濃度は、通常1×1017cm-3以下、好ましくは1×1016cm-3以下、より好ましくは1×1015cm-3以下である。Na濃度が大きすぎる場合には半導体としての性質が損なわれる可能性がある。
エピタキシャル成長によって得られる周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、その成長方向と平行に伸びる転位が存在することが知られている(特開2007−84435参照)。厳密には成長方向と完全な平行ではなく、主たる方向が成長方向と平行である転位が多い傾向にある。「主たる方向」とは、転位の伸びる方向を、成長方向の成分と、成長方向と垂直方向の成分に分割した場合に、一番大きい成分の方向を意味する。図1を参照して説明すると、転位5の伸びる方向を、成長方向の成分6と、成長方向と垂直方向の成分7に分割した場合、成長方向の成分6の方が大きいため、主たる方向は成長方向となり、転位5は主たる方向が成長方向と平行である転位となる。本願の明細書、特許請求の範囲、図面、及び要約書における転位の伸びる方向についての記載は、便宜上、転位の「主たる方向」を意図することとし、成長方向と平行な転位とは、図1において転位4のみならず、転位5も含まれることとする。
エピタキシャル成長によって得られた結晶内の転位の方向は、下地基板のどの結晶面を主面としてエピタキシャル成長させたかについて判断する指標となる。かかる点について、図2を参照して説明する。例えば、非極性面であるM面を主面とする下地基板の主面上にm軸方向にエピタキシャル成長させた結晶は、m軸に平行な貫通転位が存在することになるため、図2の上側に示されるようにM面と平行にスライスして得られるM面を主面とする基板内には、M面と垂直な転位が存在することになる。一方、C面を主面とする下地基板上にc軸方向にエピタキシャル成長させた結晶を、図2の下側に示されるようにM面と平行にスライスして得られるM面を主面とする基板内では、転位はc軸方向に延び、かかる結晶内にはm軸と垂直な転位が存在することになるため、上記した結晶とは異なることになる。
M面を主面とする下地基板の主面上にm軸方向にエピタキシャル成長させた結晶から、M面とを主面とするM面基板を得る場合には、下地基板の大きさと得られる基板の大きさが近くなるため、大型のM面基板を得られやすい。
一方でC面を主面とした下地基板上にc軸方向にエピタキシャル成長させた結晶からM面基板を得る際には、例えば2インチ、4インチのM面基板を得るためにはc軸方向にそれぞれ2インチ、4インチ以上の厚さの成長を行う必要があり、大型基板が得られにくい課題がある。
同様の理由で半極性面を主面とする基板を得る際にも、C面を主面とする下地基板の主面上にエピタキシャル成長させるよりも、半極性面又は非極性面を主面とする下地基板の主面上にエピタキシャル成長させる方が大型の半極性面基板が得られやすい。
本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶の転位の方向及び転位密度は、特に限定されないが、非極性面及び/又は半極性面を主面とする下地基板の主面上にエピタキシャル成長させて得られる結晶であるため、下地基板の主面と垂直方向に伸びる転位が存在する(主たる方向が成長方向と平行である転位も含む)傾向がある。非極性面又は半極性面と垂直方向に伸びる貫通転位の転位密度(非極性面側又は半極性面側から測定した場合の転位密度)は、通常1×108cm-2以下であり、好ましくは1×107cm-2以下、より好ましくは1×106cm-2以下である。
また、本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、結晶内のSi濃度がO濃度よりも高い結晶であれば、結晶性の良し悪しは特に限定されないが、X線回折の(100)回折ピークのロッキングカーブの半値幅は通常500arcsec以下、好ましくは200arcsec以下、より好ましくは100arcsec以下、さらに好ましくは50arcsec以下である。
さらに、X線回折の(300)回折ピークのロッキングカーブの半値幅は、通常500arcsec以下、好ましくは200arcsec以下、より好ましくは100arcsec以下、さらに好ましくは50arcsec以下である。
なお、X線回折の(102)回折ピークのロッキングカーブの半値幅は通常500arcsec以下、好ましくは200arcsec以下、より好ましくは100arcsec以下である。さらに好ましくは50arcsec以下である。
X線回折の回折ピークのロッキングカーブの半値幅が大きすぎる場合には、結晶性が悪いことに起因して、結晶欠陥に酸素等の不純物が入ってO濃度が高くなりすぎる傾向がある。
前述のように、非極性面及び/又は半極性面を成長面とするエピタキシャル成長では、不純物酸素に起因した酸素ドーピングが生じ易いため、例えば、C面を主面とする下地基板上に成長させた結晶であっても、c軸と平行方向にC面を形成させながら成長させるのではなく、非極性面及び/又は半極性面のファセットを形成させながら成長(ファセット成長)させた場合、このファセット成長領域において酸素ドープ量が多くなり、吸光係数も大きくなる。特に非極性面及び/又は半極性面のファセットを成長面とする領域(ファセット成長領域)の割合が大きい結晶、例えば成長面の50%以上がファセット成長領域の場合、結晶全体の品質の観点から改善が必要である。
本発明者らは、成長面の92%以上、好ましくは95%以上、更に好ましくは97%以上が非極性面及び/又は半極性面のファセットとなるエピタキシャル成長によって得られる周期表第13族金属窒化物半導体結晶においても、不純物酸素に起因した酸素ドーピングを抑制し、O濃度よりもSi濃度を高めた周期表第13族金属窒化物半導体結晶が、吸光係数が小さくデバイス形成用の基板に好適な高品質な結晶となり、さらにドーパント濃度の精密な制御が可能となることを見出した。
即ち、成長面の92%以上、好ましくは95%以上、更に好ましくは97%以上が非極性面及び/又は半極性面のファセットとなるエピタキシャル成長によって得られる周期表第13族金属窒化物半導体結晶であって、結晶全体におけるSi濃度がO濃度よりも高い周期表第13族金属窒化物半導体結晶もまた本発明である。
成長面の92%以上、好ましくは95%以上、更に好ましくは97%以上が非極性面及び/又は半極性面のファセットとなるエピタキシャル成長によって得られる周期表第13族金属窒化物半導体結晶としては、例えば、C面(極性面)を主面とする下地基板上に、C面成長領域と非極性面及び/又は半極性面のファセットを成長面とするファセット成長
領域を有する周期表第13族金属窒化物半導体結晶が挙げられる。
成長面の92%以上、好ましくは95%以上、更に好ましくは97%以上が非極性面及び/又は半極性面のファセットとなるエピタキシャル成長によって得られる周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、結晶全体におけるSi濃度がO濃度よりも高い結晶であれば、そのドーパント濃度は特に限定されないが、通常1×1013cm-3以上、好ましくは1×1014cm-3以上、より好ましくは1×1017cm-3以上であり、通常1×1021cm-3以下、好ましくは1×1020cm-3以下、より好ましくは5×1019cm-3以下である。ドーパント濃度が大きすぎる場合には半導体としての性質が損なわれる可能性があり、小さすぎる場合には導電性が低くなり導電性が高いことが好ましい発光素子用基板に適さなくなる。
また、そのキャリア濃度は特に限定されないが、1×1013cm-3以上、好ましくは1×1014cm-3以上、より好ましくは1×1017cm-3以上であり、通常1×1021cm-3以下、好ましくは1×1020cm-3以下、より好ましくは5×1019cm-3以下である。キャリア濃度が大きすぎる場合には半導体としての性質が損なわれる可能性があり、小さすぎる場合には導電性が低くなり導電性が高いことが好ましい発光素子用基板に適さなくなる。
また、O濃度及びSi濃度の具体的な値は特に限定されないが、非極性面及び/又は半極性面のファセットを成長面とする領域のO濃度は通常1×1013cm-3以上、好ましくは1×1014cm-3以上であり、通常3×1018cm-3以下、好ましくは5×1017cm-3以下、より好ましくは5×1016cm-3以下である。O濃度が大きすぎる場合には光の吸収係数が大きくなると共に半導体としての性質が損なわれる可能性があり、小さすぎる場合には導電性が低くなり導電性が高いことが好ましい発光素子用基板に適さなくなる。
また、非極性面及び/又は半極性面のファセットを成長面とする領域のSi濃度は、通常1×1013cm-3以上、好ましくは1×1017cm-3以上であり、通常1×1021cm-3以下、好ましくは1×1020cm-3以下、より好ましくは1×1019cm-3以下である。また、結晶全体としてのO濃度は、通常1×1013cm-3以上、好ましくは1×1014cm-3以上であり、通常3×1018cm-3以下、好ましくは5×1017cm-3以下、より好ましくは5×1016cm-3以下である。
結晶全体としてのSi濃度は、通常1×1013cm-3以上、好ましくは1×1017cm-3以上であり、通常1×1021cm-3以下、好ましくは1×1020cm-3以下、より好ましくは1×1019cm-3以下である。
また、結晶全体としてのその他の元素濃度は特に限定されないが、例えばNa濃度は、通常1×1017cm−3以下、好ましくは1×1016cm−3以下、より好ましくは1×1015cm−3以下である。Na濃度が大きすぎる場合には半導体としての性質が損なわれる可能性がある。
本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、周期表第13族金属を含む窒化物半導体結晶であればその種類は特に限定されないが、例えば、窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化インジウム(InN)等の1種類の周期表第13族金属からなる窒化物の他に、窒化インジウムガリウム(InGaN)、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)等の2種類以上の周期表第13族金属からなる混晶が挙げられる。なお、本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、非極性面及び/又は半極性面を主面とする下地基板上にエピタキシャル成長させて得られる結晶であるが、エピタキシャル成長に使用する下地基板の種類も特に限定されない。下地基板の具体的種類の詳細については後述するものとする。
<周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法>
本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、前述したような特徴を有する周期表第13族金属窒化物半導体結晶であれば、その製造方法は特に限定されず、ハイドライド気相成長法(HVPE法)、有機金属化学蒸着法(MOCVD法)、有機金属塩化物気相成長法(MOC法)、昇華法等の気相成長法、或いは融液成長、高圧溶液法、フラックス法、安熱法等の液相成長法等の公知の成長方法及び条件を適宜採用することができる。但し、本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、結晶内のSi濃度がO濃度よりも高いことを特徴としており、このような周期表第13族金属窒化物半導体結晶を得るためには、例えば以下の(A)〜(C)からなる群から選ばれる少なくとも1つの点を考慮して、成長方法及び条件を採用・設定することが好ましい。
(A)周期表第13族金属窒化物半導体結晶をエピタキシャル成長させる成長雰囲気中に、不純物として存在する酸素(O2)及び/又は含酸素化合物(例えばH2O、SiO2
)を除去及び/又は捕集する成分を含ませること。
(B)副生成物を生じる平衡反応によってエピタキシャル成長が進行する成長方法を採用し、成長雰囲気中の副生成物の濃度を調節しながらエピタキシャル成長させること。
(C)含Si成分が溶解し易い溶液または融液を用いてエピタキシャル成長させること。
上記(A)は、即ち、酸素ドーピングの原因となる成長雰囲気中の不純物酸素及び/又は含酸素化合物を除去及び/又は捕集するために設定されるものである。前述のように、酸素ドーピングは成長雰囲気中に存在する不純物酸素及び/又は含酸素化合物に起因して生じ得るものであり、不純物酸素及び/又は含酸素化合物を除去及び/又は捕集する成分を成長雰囲気中に含ませることによって、O濃度よりもSi濃度が高い結晶を形成し易くすることができる。不純物酸素及び/又は含酸素化合物を除去及び/又は捕集する成分の種類は、特に限定されないが、水素;アンモニア;CH4、C26、C38等の炭化水素
類;炭素;アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属等の金属(Cu、Ti等);前記金属の合金;前記金属の窒化物;前記金属の炭化物等が挙げられる。かかる不純物酸素及び/又は含酸素化合物を除去及び/又は捕集するための成分を、成長雰囲気中の気相及び/又は液相に逐次供給する或いは反応容器内に予め必要な量を投入しておくことにより、不純物酸素及び含酸素化合物を除去及び/又は捕集することができる。
上記(B)の「副生成物を生じる平衡反応によってエピタキシャル成長が進行する成長方法」は、例えばアルカリ金属(周期表第1族金属)及び/又はアルカリ土類金属(周期表第2族金属)を利用する成長方法が挙げられる。かかる成長方法は、周期表第13族金属窒化物半導体結晶の成長条件を緩和するために、周期表第13族金属と周期表第1族金属及び/又は周期表第2族金属とを含有する複合窒化物を経由することを特徴としており、例えば下記式(1)に示されるような反応で結晶成長が進み、副生成物として周期表第1族金属及び/又は周期表第2族金属の窒化物が生成する。

(M1:周期表第1属金属、M13:周期表第13族金属)
かかる成長方法のように、周期表第13族金属窒化物半導体結晶の形成と分解が可逆的であることによって、成長速度を適度に調節することができ、転位やボイド等の結晶欠陥の少ない周期表第13族金属窒化物半導体結晶を形成することができる。結晶欠陥は酸素
等のドーパントを取り込みやすい特徴があり、欠陥の多い結晶は必然的にO濃度も高くなる傾向にある。従って、前述のような成長方法を採用することによって、O濃度よりもSi濃度が高い結晶を形成し易くすることができる。「成長雰囲気中の副生成物の濃度を調節」するとは、即ち、副生成物(例えば、M1 3N)の濃度を調節することによって、成長速度を調節することを意味している。副生成物の濃度を調節する方法は、特に限定されないが、成長雰囲気中に副生成物を分解する成分を供給して、副生成物の濃度を調節する方法を挙げることができる。
(C)含Si成分が溶解し易い溶液または融液として、塩基性溶液または塩基性融液が挙げられる。塩基性溶液または塩基性融液の例としては、周期表第1族金属及び/又は周期表第2族金属の窒化物が溶解した溶融塩、合金融液等が挙げられる。
(A)〜(C)からなる群から選ばれる少なくとも1つの点を考慮して、成長方法及び条件を採用・設定することにより、結晶内のSi濃度がO濃度よりも高い周期表第13族金属窒化物半導体結晶を得ることができる旨を前述したが、(A)〜(C)からなる群から選ばれる少なくとも1つの点を考慮した液相成長法の具体例を以下に挙げて説明する。かかる製造方法は、本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶を効率的かつ品質よく製造することができるものであり、また本発明の態様の1つである。
本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法(以下、「本発明の製造方法」ともいう)は、以下の(1)及び(2)の工程を含み、原料が周期表第1属金属及び/又は周期表第2族金属と周期表第13族金属との複合窒化物であることを特徴とする。
(1)原料及び溶媒を含む溶液又は融液を作製する工程。
(2)溶液又は融液である液相並びに水素分子及び/又は水素化物を有する気相の存在下、液相中で周期表第13族金属窒化物半導体結晶をエピタキシャル成長させる成長工程。
また、本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法は、以下の(1’)及び(2’)の工程を含むことを特徴とするものであってもよい。
(1’)原料及び溶媒を含む溶液又は融液を作成する工程。
(2’)溶液又は融液である液相並びに水素及び窒素を有する気相の存在下、液相中で周期表第13族金属窒化物半導体結晶をエピタキシャル成長させる成長工程。
本発明の製造方法における原料及び溶媒を含む溶液又は融液を作製する工程とは、結晶を形成する成長工程の前段階として、エピタキシャル成長に使用する液相用の溶液又は融液を調製する工程を意味する。例えば、原料を溶媒に溶かす操作、又は溶媒となる化合物が常温で固体である場合、加熱等を行って融液を調製する操作も、溶液又は融液を作製する工程に含まれる。ただし、原料及び溶媒を含む溶液又は融液とは、原料が溶媒に完全に溶解されている必要はなく、固体原料が分散又は固形物として溶液中に存在する不均一系であってもよい。また、かかる工程は、成長工程に使用する図3の装置内で行うことができる。例えば、反応容器104内に原料及び溶媒となる化合物を入れておき、電気炉102で反応管103を加熱することによって、溶液又は融液108を作製することが挙げられる。
本発明の製造方法における溶液又は融液である液相並びに水素分子及び/又は水素化物を有する気相の存在下、液相中で周期表第13族金属窒化物半導体結晶をエピタキシャル成長させる成長工程(以下、「本発明に係る成長工程」ともいう)とは、即ち液相に取り囲まれた領域で周期表第13族金属窒化物半導体結晶をエピタキシャル成長させる液相成長法を利用した成長工程であり、さらに反応系中に水素分子及び/又は水素化物を有する気相を有し、水素分子及び/又は水素化物をエピタキシャル成長における反応に利用した成長工程であることを意味する。また、「水素分子及び/又は水素化物を有する気相」とは、気相中に水素分子(H)、或いはアンモニア(NH)等の水素化物が少なくとも
含まれることを意味するものであり、例えば窒素分子(N)等の水素分子、水素化物以外の成分が含まれてもよいことを意味する。なお、本発明の製造方法における溶液又は融液である液相並びに水素を有する気相の存在下、液相中で周期表第13族金属窒化物半導体結晶をエピタキシャル成長させる成長工程とは、即ち液相に取り囲まれた領域で周期表第13族金属窒化物半導体結晶をエピタキシャル成長させる液相成長法を利用した成長工程であり、さらに反応系中に水素及び窒素を有する気相を有し、水素及び窒素をエピタキシャル成長における反応に利用した成長工程であることを意味する。また、本発明に係る成長工程における「溶液又は融液である液相」とは、前述した溶液又は融液を作製する工程における「溶液又は融液」と必ずしも同一のものを意図するものではない。溶液又は融液を作製する工程における「溶液又は融液」は、成長工程に使用するために作製されるが、成長工程における「溶液又は融液」には、エピタキシャル成長の反応によって生じた副生成物等が含まれる場合があり、初期(エピタキシャル成長開始前)の組成と同一とは限らないためである。
本発明に係る成長工程について、成長工程に使用する装置の概念図(図3)を参照し、窒化ガリウムの製造例を挙げて以下詳細に説明する。図3中の104は反応容器、108は溶媒であるLiCl溶融塩、106は原料となるLi3GaN2複合窒化物(固体)、105は下地基板である窒化ガリウム結晶を表している。本発明に係る成長工程では、水素及び窒素を含む109の気相と、溶液又は融液からなる108の液相が存在することを特徴とする。
「溶液又は融液である液相」中のLi3GaN2複合窒化物(Li3GaN2複合窒化物は、Li3Nと錯塩を作り溶解すると考えられる)が、同じく液相中に存在する下地基板表
面に到達し、下記式(2)に示される平衡反応により結晶成長が進行する。
また、「水素分子及び/又は水素化物を有する気相」中の水素分子又は水素化物が、直接又は液相中に溶解して、上記式(2)で生成したLi3Nを水素化(液相中又は気相中
に含まれる窒素源と共に作用して窒化する場合もある。)し、水素化リチウム、リチウムイミド、又はリチウムアミドを生成させる。なお、「水素及び窒素を有する気相」中の水素及び窒素が、直接又は液相中に溶解して、上記式(2)で生成したLiNを水素化及び/又は窒化し、水素化リチウム、リチウムイミド、又はリチウムアミドを生成させてもよい。例えばリチウムアミド(LiNH2)は、下記式(3)/又は(4)に示される反
応によって生成する。窒化ガリウム結晶近傍のLi3N濃度の上昇は、成長速度の低下を
招き、また急激なLi3N濃度の低下も急激なGaN生成に繋がり、雑晶の発生や結晶性
の低下を招く。水素分子又は水素化物は成長速度を適度に調節する役割を果たし、Si濃度がO濃度よりも高い周期表第13族金属窒化物半導体結晶を得るために特に重要である。また、水素及び窒素も成長速度を適度に調節する役割を果たし、Si濃度がO濃度よりも高い半導体結晶を得るために特に重要である。なお、水素化リチウム、リチウムイミド、リチウムアミドが生成する反応は何れも平衡反応であり、水素分子又は水素化物の濃度によってLi3N濃度を調節することができ、同様に、水素及び窒素の濃度によってもL
3N濃度を調節することができる。
結晶内のSi濃度がO濃度よりも高い周期表第13族金属窒化物半導体結晶を得るための成長方法及び条件について前述したが、本発明に係る成長工程は前述した(A)〜(C)の何れの観点も満たすものである。「水素分子及び/又は水素化物を有する気相」中の水素又は水素化物は、(A)の不純物酸素を捕集する成分に該当し、不純物酸素を分解除去する働きをしている。また、水素分子又は水素化物は、上記式(3)に示されるように(B)の副生成物の濃度を調節する働きをしている。即ち、成長工程における「水素分子及び/又は水素化物を有する気相」は、Si濃度がO濃度よりも高い本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶を製造するための重要な要素であると言える。またLi3Nが
溶解した溶融塩は含Si成分が溶解しやすい溶液又は融液であり(C)の働きをしている。同様に、「水素及び窒素を有する気相」中の水素は、(A)の不純物酸素を捕集する成分に該当し、不純物酸素を分解除去する働きをしている。また、水素及び酸素は、上記式(3)に示されるように(B)の副生成物の濃度を調節する働きをしている。即ち、成長工程における「水素及び窒素を有する気相」は、Si濃度がO濃度よりも高い本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶を製造するための重要な要素であると言える。またLiNが溶解した溶融塩は含Si成分が溶解しやすい溶液または融液であり(C)の働きをしている。
[原料]
本発明の製造方法に使用する原料は、目的とする周期表第13族金属窒化物半導体結晶に応じて適宜設定することができるが、例えば、前述したLiGaN複合窒化物のように、周期表第1属金属及び/又は周期表第2族金属と周期表第13族金属との複合窒化物を好適なものとして例示することができる。周期表第13族金属としては、ガリウムGaの他にAl、In、GaAl、GaIn等が、原料が周期表第1属金属及び/又は周期表第2族金属としては、Liの他にNa、Ca、Sr、Ba、Mg等が挙げられる。即ち、周期表第1属金属及び/又は周期表第2族金属と周期表第13族金属との複合窒化物としては、Li3GaN2の他に、Ca3Ga24、Ba3Ga24、Mg3GaN3、Ba3
24等が挙げられる。周期表第13族金属と周期表第1族金属及び/又は周期表第2族金属とを含有する複合窒化物は、例えば周期表第13族金属窒化物粉体と周期表第1族金属及び/又は周期表第2族金属窒化物粉体(例えばLi3N、Ca32)とを混合した後
、温度を上げて固相反応させる方法;周期表第13族金属と周期表第1族金属及び/又は周期表第2族金属とを含む合金を作製し、窒素雰囲気中で加熱する方法;等により調製することができる。例えばLi3GaN2は、Ga−Li合金を窒素雰囲気中で600〜800℃で加熱処理することによって作製することができる。
原料が成長工程における条件下で固体である場合には、かかる固体原料は溶媒に完全に溶解している必要はない。一部が溶解せずに反応容器内に存在する場合であっても、結晶成長により消費された分が、随時、溶媒中に供給されることとなる。また、溶媒に対する原料の量は、特に限定されず目的に応じて適宜設定することができるが、液相に対して、通常2質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、通常50質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。上記範囲内であると、連続生産のための効率性を高めることができ、さらに反応容器内のスペースを確保できる。
本発明に係る成長工程は、「水素分子及び/又は水素化物を有する気相の存在下」で行われることを特徴としているが、水素化物の具体的種類、気相中の水素分子及び/又は水素化物の濃度等は特に限定されない。水素化物としては、アンモニア(NH)、メタン(CH)、エタン(C)等が挙げられるが、アンモニア(NH)が特に好ましい。また、前述のように気相中には水素分子、水素化物以外の成分が含まれてもよく、例えば窒素分子(N)等が含まれてもよい。以下、水素分子(H)を含む場合、アンモニア(NH)を含む場合、窒素(N)を含む場合のそれぞれの濃度等の条件について詳細に説明する。
水素分子(H)を含む場合、気相中のH濃度は、通常0.001mol%以上、好ましくは0.1mol%以上、より好ましくは1mol%以上であり、通常99.9mol%以下、好ましくは99mol%以下、より好ましくは90mol%以下である。
アンモニア(NH)を含む場合、気相中のNH濃度は、通常0.001mol%以上、好ましくは0.01mol%以上、より好ましくは0.1mol%以上であり、通常99.9mol%以下、好ましくは99mol%以下、より好ましくは90mol%以下である。
窒素分子(N)を含む場合、気相中のN濃度は通常0.1mol%以上、好ましくは1mol%以上、より好ましくは10mol%以上であり、通常100mol%以下、好ましくは99.9mol%以下、より好ましくは99mol%以下である。
さらにこれらの成分については、予め気相に含ませておくほか、結晶成長中に逐次供給してもよい。
水素ガス(H)を逐次供給する場合、供給流量は常温常圧に換算した量で、通常0.0001L/min以上、好ましくは0.001L/min以上、より好ましくは0.01L/min以上であり、通常10L/min以下、好ましくは5L/min以下、より好ましくは1L/min以下である。
アンモニアガス(NH)を逐次供給する場合、通常0.0001L/min以上、好ましくは0.001L/min以上、より好ましくは0.01L/min以上であり、通常10L/min以下、好ましくは5L/min以下、より好ましくは1L/min以下である。
窒素分子(N)を逐次供給する場合、供給流量は常温常圧に換算した量で、通常0.001L/min以上、好ましくは0.01L/min以上、より好ましくは0.1L/min以上であり、通常100L/min以下、好ましくは50L/min以下、より好ましくは10L/min以下である。
水素ガス(H)と窒素ガス(N)の混合ガスを逐次供給する場合(H:10vol%の場合)、通常0.001L/min以上、好ましくは0.01L/min以上、より好ましくは0.1L/min以上であり、通常100L/min以下、好ましくは50L/min以下、より好ましくは10L/min以下である。
アンモニアガス(NH)と窒素ガス(N)の混合ガスを逐次供給する場合(NH:2.7vol%の場合)、通常0.001L/min以上、好ましくは0.01L/min以上、より好ましくは0.1L/min以上であり、通常100L/min以下、好ましくは50L/min以下、より好ましくは10L/min以下である。
上記範囲であると、本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶を効率良く製造することができる。
[溶媒]
本発明の製造方法に使用する溶媒は、特に限定されないが、金属塩を主成分とする溶媒が好ましい。金属塩の含有量は50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。特に金属塩を融解した溶融塩を溶媒として用いることが好ましい。
金属塩の種類は、結晶成長を阻害しないものであれば特に限定されないが、Li、Na、K等のアルカリ金属塩および/またはMg、Ca、Sr等のアルカリ土類金属塩のハロゲン化物、炭酸塩、硝酸塩、イオウ化物等を挙げることができる。具体的には、LiCl、KCl、NaCl、CaCl2、BaCl2、CsCl、LiBr、KBr、CsBr、LiF、KF、NaF、LiI、NaI、CaI2、BaI2等の金属ハロゲン化物が好ましく、LiCl、KCl、NaCl、CsCl、CaCl2、BaCl2がより好ましい。金属塩の種類は1種類に限定されず、複数種類の金属塩を適宜組み合わせて用いてもよい。なかでも、ハロゲン化リチウムとこれ以外の金属塩を併用することがより好ましい。ハロゲン化リチウムの含有率は金属塩の全体量に対して30%以上が好ましく、80%以上がさらに好ましい。
また、周期表第13族金属と周期表第1族金属及び/又は周期表第2族金属とを含有する複合窒化物の溶解度を増加させるために、例えばLi3N、Ca32、Mg32、Sr32、Ba32などの周期表第1族金属又は周期表第2族金属の窒化物等が溶媒に含まれ
ていることが好ましい。
金属塩は、一般的に吸湿性が強いため、多くの水分を含んでいる。本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶を製造するためには、水分等の酸素源となり得る不純物をできるだけ取り除いておくことが必要であり、即ち溶媒を予め精製しておくことが好ましい。精製方法は特に限定されないが、例えば特開2007−084422号に記載されている装置を用い、溶媒に反応性気体を吹き込む方法が挙げられる。例えば、常温で固体の金属塩を溶媒とする場合には、加熱して融解し、塩化水素、ヨウ化水素、臭化水素、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム、ヨウ化アンモニウム、塩素、臭素、又はヨウ素等の反応性気体を吹き込みバブリングすることによって水分等の不純物を取り除くことができる。塩化物の溶融塩に対しては、特に塩化水素を用いることが好ましい。
[反応容器]
液相を保持するために用いる反応容器の形態は、特に限定されず、目的に応じて適宜設定することができる。また、反応容器の材質は、本発明の製造方法における反応を阻害しないものであれば特に制限されないが、熱的および化学的に安定な金属、酸化物、窒化物、炭化物を主成分とすることが好ましい。周期表第4族元素(Ti、Zr、Hf)を含む金属であることが好適であり、好ましくはTiを用いる場合である。
また、反応容器の材質は、加工性や機械的耐久性に富む材質であることが好ましく90質量%以上が前記第4族元素である金属を用いることがより好ましい。さらに好ましくは、99質量%以上が前記第4族元素である金属を用いることである。さらに、これらの反応容器の表面は、周期表第4族元素の窒化物からなることが好ましく、後述するような窒化処理方法によってあらかじめ窒化物を形成することが好適である。
[部材の窒化処理方法]
前述した反応容器のほか、周期表第13族金属窒化物半導体結晶をエピタキシャル成長させる成長工程に使用する部材、例えば撹拌翼、種結晶保持棒、種結晶保持台、バッフル、ガス導入管、バルブ等については、以下に説明する窒化処理を行って、溶液又は融液に接触する表面に強固かつ安定な窒化物を形成しておくことが好ましい。加工性や機械的耐久性を保つために、窒化物を窒化膜の形態で形成してもよい。
窒化処理方法は表面に形成される窒化物が安定であれば特に限定はないが、例えば前記反応容器の部材を700℃以上の窒素雰囲気下において加熱保持することで、前記部材表面に安定な窒化膜を形成することができる。
更には、高温下でアルカリ金属窒化物やアルカリ土類金属窒化物を窒化剤として使用して前記部材表面を窒化することも可能であり、好ましくはアルカリ金属ハロゲン化物やア
ルカリ土類金属ハロゲン化物と前記アルカリ金属窒化物やアルカリ土類金属窒化物との混合融液中に保持することで、安定な窒化膜を形成することができる。また、実際に結晶成長を行なう条件と同様の条件下に部材を保持することで、簡便に窒化処理を行なうこともできる。
[下地基板(シード)]
エピタキシャル成長を進行させる液相には、工業的に十分なサイズの結晶を得るために、下地基板を設置することが好ましい。下地基板は、GaN、InGaN、AlGaN等の目的とする周期表第13族金属窒化物結晶の結晶を用いる他、サファイア、ZnO、BeO等の金属酸化物、SiC、Si等の珪素含有物、又はGaAs等を用いることができる。本発明で成長させる周期表第13族金属窒化物半導体結晶との整合性を考えると、最も好ましいのは周期表第13族金属窒化物半導体結晶である。下地基板の形状も特に制限されず、平板状であっても、棒状であってもよい。棒状の下地基板を用いる場合には、最初に下地基板部分で成長させ、次いで水平方向にも結晶成長を行いながら、垂直方向に結晶成長を行うことによってバルク状の結晶を作製することもできる。下地基板上に効率よく周期表第13族金属窒化物半導体結晶を成長させるためには、下地基板周辺に雑晶を成長させたり、付着させたりしないことが好ましい。雑晶とは下地基板上以外に成長する粒子径の小さい結晶であり、雑晶が下地基板付近に存在すると液相中の周期表第13族金属窒化物成分を下地基板上の成長と雑晶の成長で分け合うことになり、下地基板上の周期表第13族金属窒化物半導体結晶の成長速度が十分に得られない。
[温度・圧力その他の条件]
成長工程において、反応容器内にて周期表第13族金属窒化物半導体結晶を成長させる際の成長温度は、通常200℃以上、好ましくは400℃以上、より好ましくは600℃以上であり、また、通常1000℃以下、好ましくは850℃以下、より好ましくは800℃以下である。また、前記成長工程において、周期表第13族金属窒化物結晶を成長させる際の反応容器内の圧力は、条件によって適宜選択することができ特に限定されないが、製造装置が簡便になり工業的に有利に製造できることから、通常10MPa以下であり、好ましくは3MPa以下、さらに好ましくは0.3MPa以下、より好ましくは0.11MPa以下であって、通常0.01MPa以上、好ましくは0.09MPa以上である。
結晶成長の成長速度は、上記温度、圧力等によって調節することが可能であり、特に限定されるものではないが、通常0.1μm/h以上、好ましくは1μm/h以上、10μm/h以上であり、通常1000μm/h以下である。なお、本発明における成長速度は、成長した結晶の増加質量を換算して算出した厚みを、成長工程で実施した時間で除することで求めることができる。
また、原料を液相内に均一に分布させるために、液相を攪拌することが望ましい。攪拌方法は特に限定されないが、種結晶を回転させて攪拌する方法、攪拌翼を入れ回転させて攪拌させる方法、ガスで液相をバブリングする方法、送液ポンプで攪拌する方法等が挙げられる。
本発明に係る成長工程についてのその他の条件は特に限定されず、フラックス法等の液相成長法に用いられる手法を適宜採用して、本発明の成長工程に適用してもよい。具体的には、フラックス法で主に用いられている温度差(Gradient Transport)法、徐冷(Slow Cooling)法、温度サイクル(Temperature
Cycling)法、るつぼ加速回転(Accelerated Crucible
Rotation)法、トップシード(Top−Seeded Solution Growth)法、溶媒移動法及びその変形である溶媒移動浮遊帯域(Traveling−
Solvent Floating−Zone)法並びに蒸発法等、さらにはこれらの方法を任意に組み合わせた方法が挙げられる。
本発明の製造方法は前述した工程のほか、得られた結晶を目的の大きさにするスライスするスライス工程、表面を研磨する表面研磨工程等が含まれてもよい。スライス工程としては、具体的にはワイヤースライス、内周刃スライス等が挙げられ、表面研磨工程としては、例えばダイヤモンド砥粒等の砥粒を用いて表面を研磨する操作、CMP(chemical mechanical polishing)、機械研磨後RIEでダメージ層エッチングする操作が挙げられる。
本発明に係る周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、さまざまな用途に用いることができる。特に紫外〜青色の発光ダイオード又は半導体レーザ等の比較的短波長側の発光素子、及び緑色〜赤色の比較的長波長側の発光素子を製造するための基板として、さらに電子デバイス等の半導体デバイスの基板としても有用である。
以下、実施例と比較例を挙げて、本発明を更に詳細に説明するが、以下の実施例に示す具体的な形態にのみ限定的に解釈されることはない。
<実施例1>
実施例1の詳細については、図3に示される製造装置の概念図を参照して説明する。
(1)Li3GaN2(固体) 2.16gと、予め炭化タングステン製乳鉢で粉砕した溶
媒となるLiCl 28.8gを、外径34mm、内径30mm、高さ200mmの窒化
処理を施したTi製の反応容器に入れた。Li3GaN2は篩を使用して、710μm以上2mm以下の粒径のものを選んで使用した。Ti製反応容器の窒化処理は、事前に45gのLiClと4.5gのLi3GaN2をTi製反応容器に入れて窒素雰囲気下で745℃、60時間熱することにより施した。
(2)Ti製の反応容器104を石英製反応管103内にセットし、石英製反応管のガス導入口100およびガス排気口101を閉状態にした。これらの操作は全てArボックス中で行った。
(3)石英製反応管103をArボックスから取り出し、電気炉102にセットした。この石英製反応管103にガス導入管をつなぎ、導入管中を減圧にした後、石英製反応管のガス導入口100を開いて石英製反応管103内を減圧にしてから水素窒素混合ガス(水素5vol%)で大気圧まで復圧し、石英製反応管103内を水素窒素混合ガス雰囲気とした。その後、石英製反応管103のガス排気口101を開き、水素窒素混合ガス(水素5vol%)を常温常圧に換算した量で0.3L/minで流通させた(実験終了まで流通させ続けた)。
(4)電気炉の加熱を開始し、Ti製の反応容器104の内部が室温から745℃になるまで1時間で昇温し、LiClを溶融させて溶融塩とし、該溶融塩に原料106であるLi3GaN2が溶解して溶液を形成した。
(5)745℃で7時間保持した後、シード保持棒107の先端に取り付けたシード105を反応容器104中の溶液108に浸漬し、シードを100rpmにて回転させて結晶成長を開始した。シードには非極性面である(10−10)面を主面とするGaN基板(厚さ800μm、大きさ5×8mmの板状)と半極性面である(10−11)面を主面とするGaN基板(厚さ320μm、大きさ5×8mmの板状)を用いた。基板は105のように上部に(10−10)面基板を、下部に(10−11)面基板を設置した。反応容器104の底には、溶液の溶解度を越えている分のLi3GaN2が固体状で存在していた。
(6)745℃にて40時間結晶成長させた後、シード105を溶液108から引き上げてから炉の加熱を止め、石英製反応管103を徐冷した。
(7)シード105を石英製反応管103から取り出したところ、シード上にGaN成長層が形成されたGaN結晶が得られた。
(8)得られたGaN結晶を温水に投入し、結晶に付着している塩を溶解させた。GaN結晶の質量は、結晶成長前のシードの質量に比べて(10−10)面を主面とするGaN基板の質量が4.8wt%、半極性面である(10−11)面を主面とするGaN基板の質量が5.8wt%増加し、シードの主面にGaN結晶からなるGaN成長層が形成されていた。形成したGaN成長層の厚みは(10−10)面を主面とするGaN基板が38μm、半極性面である(10−11)面を主面とするGaN基板が19μmであった。目視観察の結果、得られたGaN成長層は無色透明であった。
得られた成長層のSIMS測定を行ったところ、(10−10)面上に成長した成長層では、Si濃度が1.8×1018cm-3、O濃度が検出下限以下(実測値:2.5×1016cm-3、下限値:3×1016cm-3)、Na濃度が3.2×1015cm-3であり、(10−11)面上に成長した成長層では、Si濃度が3.5×1018cm-3、O濃度が検出下限以下(実測値:2.9×1016cm-3、下限値:3×1016cm-3)、Na濃度が2.2×1015cm-3であった。
(10−10)面上に成長して得られた成長層のX線回折の(100)回折ピークのロッキングカーブの半値幅はc軸と平行方向にX線を入射した場合22arcsecであり、c軸と垂直方向にX線を入射した場合29arcsecであった。またc軸と垂直方向にX線を入射して測定した(300)回折ピークのロッキングカーブの半値幅は70arcsec、c軸と垂直方向にX線を入射して測定した(102)回折ピークのロッキングカーブの半値幅は32arcsecであり、いずれの結果も得られた成長層の結晶性が極めて良好であることを示していた。
(10−11)面上に成長して得られた成長層のX線回折の(101)回折ピークのロッキングカーブの半値幅はc軸と平行方向にX線を入射した場合29arcsecであり、c軸と垂直方向にX線を入射した場合30arcsecであった。またc軸と垂直方向にX線を入射して測定した(100)回折ピークのロッキングカーブの半値幅は46arcsecであり、いずれの結果も得られた成長層の結晶性が極めて良好であることを示していた。また得られた成長面の97%が非極性面又は半極性面であった。
<実施例2>
(1)固体のLi3GaN2 1.5gを外径34mm、内径30mm、高さ200mmの窒化処理を施したチタン(Ti)製の反応容器に入れ、次いで溶媒としてLiCl 45gを、炭化タングステン製乳鉢で粉砕してから反応容器に入れた。固体のLi3GaN2は、篩を使用して710μm以上2mm以下の粒径のものを選んで使用した。Ti製反応容器の窒化処理は、窒素雰囲気下で800℃、60時間熱することにより施した。次に反応容器とGaNシードを取り付けたタングステン製シード保持棒を石英製反応管内にセットし、反応管のガス導入口およびガス排気口を閉状態にした。これらの操作は全てArボックス中で行った。
(2)反応管をArボックスから取り出し、電気炉にセットした。反応管にガス導入管をつなぎ、導入管中を減圧にした後、さらに反応管のガス導入口を開いて反応管内を減圧にしてからアンモニア窒素混合ガス(アンモニア2.7vol%)で大気圧まで復圧し、反応管内をアンモニア窒素混合雰囲気とした。その後、反応管のガス排気口を開き、アンモニア窒素混合ガス(水素2.7vol%)を流量計設定値0.1L/min(20℃、1atmに対する換算値)で流通させた。
(3)電気炉の加熱を開始し、反応容器の内部が室温から750℃になるまで1時間で昇温し、塩であるLiClを溶融させた。
(4)750℃で2時間保持した後、シード保持棒の先端に取り付けたシードを反応容器中の溶液(融液)中に投入し、結晶成長を開始した。シードには(20−21)面を主面とするGaN基板(厚み300μm、大きさ5×10mmの板状)を用いた。
(5)750℃で20時間成長させた後、シードを溶液から引き上げてから炉の加熱を止め、石英製反応管を冷却した。冷却後、反応管からシードを取り出し、シードに付着した塩を水で溶かした。GaN結晶の質量は、結晶成長前のシードの質量に比べて4.4wt%増加し、シードの主面にGaN結晶からなるGaN成長層が形成されていた。形成したGaN成長層の厚みは15μmであった。目視観察の結果、得られたGaN成長層は無色透明であった。
得られたGaN成長層のSIMS分析を実施したところ、Si濃度は5.0×1017cm-3、O濃度は検出下限以下(実測値:2.0×1016cm-3、下限値:5×1016cm-3)、Na濃度は1.6×1014cm-3であった。
得られたGaN成長層のX線回折の(201)回折ピークのロッキングカーブの半値幅は47arcsecであり、得られたGaN成長層の結晶性が良好であることを示している。また得られた成長面の97%が非極性面又は半極性面であった。
<比較例1>
比較例1の詳細については、図3に示される製造装置の概念図を参照して説明する。
(1)Li3GaN2(固体)1.44gと、炭化タングステン製乳鉢で粉砕混合した溶媒となるLiCl 10.1gとNaCl 4.3gの混合物を、外径34mm、内径30mm、高さ200mmの窒化処理を施したTi製の反応容器に入れた。Li3GaN2は篩を使用して、710μm以上2mm以下の粒径のものを選んで使用した。Ti製反応容器の窒化処理は事前に45gのLiClと4.5gのLi3GaN2をTi製反応容器に入れて窒素雰囲気下で745℃、60時間熱することにより施した。
(2)Ti製の反応容器104を石英製反応管103内にセットし、石英製反応管のガス導入口100およびガス排気口101を閉状態にした。これらの操作は全てArボックス中で行った。
(3)石英製反応管103をArボックスから取り出し、電気炉102にセットした。この石英製反応管103にガス導入管をつなぎ、導入管中を減圧にした後、石英製反応管のガス導入口100を開いて石英製反応管103内を減圧にしてから窒素ガスで大気圧まで復圧し、石英製反応管103内を窒素ガス雰囲気とした。その後、石英製反応管103のガス排気口101を開き、窒素ガスを常温常圧に換算した量で0.1L/minで流通させた(実験終了まで流通させ続けた)。
(4)電気炉の加熱を開始し、Ti製の反応容器104の内部が室温から745℃になるまで1時間で昇温し、LiClを溶融させて溶融塩とし、該溶融塩に原料106であるLi3GaN2が溶解して溶液を形成した。
(5)745℃で7時間保持した後、シード保持棒107の先端に取り付けたシード105を反応容器104中の溶液108に浸漬し、シードを100rpmにて回転させて結晶成長を開始した。シードには非極性面である(10−10)面を主面とするGaN基板(厚さ320μm、大きさ5×10mmの板状)を用いた。反応容器104の底には、溶液の溶解度を越えている分のLi3GaN2が固体状で存在していた。
(6)745℃にて93時間結晶成長させた後、シード105を溶液108から引き上げてから炉の加熱を止め、石英製反応管103を徐冷した。
(7)シード105を石英製反応管103から取り出したところ、シード上にGaN成長層が形成されたGaN結晶が得られた。
(8)得られたGaN結晶を温水に投入し、結晶に付着している塩を溶解させた。GaN結晶の質量は、結晶成長前のシードの質量に比べて21.7wt%増加し、シードの主面にGaN結晶からなるGaN成長層が形成されていた。目視観察の結果、得られたGaN成長層は淡黄色であった。
得られた成長層のSIMS測定を行ったところ、Si濃度が2.2×1018cm-3、O濃度が4.9×1018cm-3、Na濃度が7.4×1018cm-3であった。
得られた成長層のX線回折の(100)回折ピークのロッキングカーブの半値幅はc軸と平行方向にX線を入射した場合46arcsecであり、c軸と垂直方向にX線を入射
した場合85arcsecであった。またc軸と垂直方向にX線を入射して測定した(3
00)回折ピークのロッキングカーブの半値幅は101arcsec、c軸と垂直方向にX線を入射して測定した(102)回折ピークのロッキングカーブの半値幅は44arcsecであり、いずれの結果も得られた成長層の結晶性がやや低いことを示していた。また得られた成長面の60%が非極性面又は半極性面であった。
<比較例2>
比較例2の詳細については、図3に示される製造装置の概念図を参照して説明する。
(1)Li3GaN2(固体) 5.4gと、炭化タングステン製乳鉢で粉砕混合した溶媒
となるLiCl 37.8gとNaCl 16.2gの混合物を、外径62mm、内径58mm、高さ200mmの窒化処理を施したTi製の反応容器に入れた。Li3GaN2は篩を使用して、710μm以上2mm以下の粒径のものを選んで使用した。Ti製反応容器の窒化処理は事前に54gのLiClと5.4gのLi3GaN2をTi製反応容器に入れて窒素雰囲気下で745℃、60時間熱することにより施した。
(2)Ti製の反応容器104を石英製反応管103内にセットし、石英製反応管のガス導入口100およびガス排気口101を閉状態にした。これらの操作は全てArボックス中で行った。
(3)石英製反応管103をArボックスから取り出し、電気炉102にセットした。この石英製反応管103にガス導入管をつなぎ、導入管中を減圧にした後、石英製反応管のガス導入口100を開いて石英製反応管103内を減圧にしてから窒素ガスで大気圧まで復圧し、石英製反応管103内を窒素ガス雰囲気とした。その後、石英製反応管103のガス排気口101を開き、窒素ガスを常温常圧に換算した量で0.1L/minで流通させた(実験終了まで流通させ続けた)。
(4)電気炉の加熱を開始し、Ti製の反応容器104の内部が室温から745℃になるまで3.5時間で昇温し、LiClとNaClを溶融させて溶融塩とし、該溶融塩に原料106であるLi3GaN2が溶解して溶液を形成した。
(5)745℃で7時間保持した後、シード保持棒107の先端に取り付けたシード105を反応容器104中の溶液108に浸漬し、シードを100rpmにて回転させて結晶成長を開始した。反応容器104の底には、溶液の溶解度を越えている分のLi3GaN2が固体状で存在していた。シードには半極性面である(10−11)面を主面とするGaN基板(厚さ320μm、大きさ5×10mmの板状)を用いた。
(6)745℃にて101時間結晶成長させた後、シード105を溶液108から引き上げてから炉の加熱を止め、石英製反応管103を徐冷した。
(7)シード105を石英製反応管103から取り出したところ、シード上にGaN成長層が形成されたGaN結晶が得られた。
(8)得られたGaN結晶を温水に投入し、結晶に付着している塩を溶解させた。GaN結晶の質量は、結晶成長前のシードの質量に比べて52.1wt%増加し、シードの主面にGaN結晶からなるGaN成長層が形成されていた。目視観察の結果、得られたGaN成長層は黄褐色であった。また得られた成長面の50%が非極性面又は半極性面であった。
得られた成長層のSIMS測定を行ったところ、Si濃度が1.3×1018cm-3、O濃度が1.6×1019cm-3、Na濃度が1.1×1019cm-3であった。
得られた成長層のX線回折の(101)回折ピークのロッキングカーブの半値幅はc軸と平行方向にX線を入射した場合63arcsecであり、c軸と垂直方向にX線を入射した場合78arcsecであった。またc軸と垂直方向にX線を入射して測定した(100)回折ピークのロッキングカーブの半値幅は108arcsecであり、いずれの結果も得られた成長層の結晶性がやや低いことを示していた。
1 下地基板
2 エピタキシャル成長によって形成した結晶
3 成長方向
4 成長方向と平行な貫通転位
5 主たる方向が成長方向と平行な貫通転位
6 貫通転位の方向の成長方向の成分(主たる方向)
7 貫通転位の方向の成長方向と垂直方向の成分
8 下地基板
9 エピタキシャル成長によって形成した結晶
10 成長方向
11 貫通転位
12 スライスした結晶
100 ガス導入口
101 ガス排気口
102 電気炉
103 石英製反応管
104 反応容器
105 シード(下地基板)
106 原料
107 シード保持棒
108 溶液又は融液(液相)
109 気相

Claims (2)

  1. <10−11>方向に成長したGaN結晶であって、結晶内のSi濃度がO濃度よりも高く、結晶内のNa濃度が1×1017cm-3以下で、かつ、X線回折の(100)回折ピークのロッキングカーブの半値幅が50arcsec以下であることを特徴とするGaN結晶。
  2. <20−21>方向に成長したGaN結晶であって、結晶内のSi濃度がO濃度よりも高く、結晶内のNa濃度が1×1017cm-3以下で、かつ、X線回折の(201)回折ピークのロッキングカーブの半値幅が50arcsec以下であることを特徴とするGaN結晶。
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