JP2012214331A - 第13族窒化物結晶の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】工業的に安価な方法で、結晶成長速度を十分な速度で安定的にかつ継続的に保つことが可能な第13族窒化物結晶の製造法を提供する。
【解決手段】少なくともNaと第13族元素と窒素元素とを含む液相中で第13族窒化物結晶を成長させる第13族窒化物結晶の製造方法において、前記液相の表面と接しかつ少なくとも前記液相の表面から上部20mmの高さまでを満たす気相が存在し、前記液相表面部分の温度T1(K)と、前記液相表面から鉛直方向に20mm離れた気相部分の温度T2(K)とが、式(1)を満たすようにして結晶を成長させる第13族窒化物結晶の製造方法。
0<(T1−T2)/T1< 0.015 ・・・(1)
【選択図】なし

Description

本発明は、窒化ガリウム(GaN)結晶等の第13族金属の窒化物結晶の製造方法に関する。
窒化ガリウム(GaN)に代表される第13族金属元素と窒素元素との化合物結晶は、発光ダイオード、レーザダイオード、高周波対応の電子デバイス等で使用される物質として有用である。GaNの場合、実用的な結晶の製造方法としては、サファイア基板または炭化珪素等のような基板上にMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法により気相エピタキシャル成長を行う方法が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
しかし、上記方法では、格子定数および熱膨張係数の異なる異種基板上にGaN結晶をエピタキシャル成長させるため、得られるGaN結晶には多くの格子欠陥が存在する。そのような格子欠陥が多く存在するGaN結晶を電子素子として用いた場合、電子素子の動作に悪影響を与え、青色レーザ等の応用分野で用いるためには満足すべき性能を発現することはできない。このため、近年、基板上に成長したGaNの結晶の品質の改善、GaNの塊状単結晶の製造技術の確立が強く望まれている。
現在、気相法によるヘテロエピタキシャルGaN結晶成長法では、GaN結晶の欠陥を減らすために、複雑かつ長い工程が必要とされている。最近では、液相法によるGaNの単結晶化について精力的な研究がなされており、窒素とGaとを高温高圧下で反応させる高圧法(非特許文献2参照)が提案されているが、過酷な反応条件のため工業的に実施することは困難である。
そこで、反応条件をより低圧化させたGaN結晶成長方法の報告が多くなされている。ナトリウムフラックス法(特許文献1、非特許文献3参照)は、Ga融液にナトリウム金属を添加した合金融液においてGaと窒素を反応させてGaN結晶を生成させるGaN結晶の製造方法である。特許文献1においては、雰囲気温度を1050℃以上1250℃以下の雰囲気温度下、2μm/h以下の結晶成長速度でGaN結晶を成長させることが記載されている。
また、GaN粉末とアルカリ金属ハロゲン化物の混合物を加熱し、GaN結晶を作成する方法も提案されている(特許文献2参照)。
さらに工業的に大型の結晶を製造し得る方法として、LiGaNなどの複合金属窒化物をイオン性溶媒に溶解した溶液または融液を作成し、その溶液や融液中でシード上にGaNの結晶を成長させる方法が提案されている(特許文献3参照)。
特開2010−111556号公報 特開2005−112718号公報 特開2007−84422号公報
Jpn. J. Appl. Phys. 37 (1998) 309〜312頁 J. Crystal Growth 178 (1997) 174〜188頁 J. Crystal Growth 260 (2004) 327〜330頁
本発明者らが特許文献3に記載される方法を種々検討したところ、シード上への結晶成長速度を工業的に十分な速度で安定的かつ継続的に保つことが出来ないという課題を見出すに至った。さらに本発明者らは、液相中の金属Naの蒸発速度が第13族窒化物結晶析出反応速度と関係があることを解析により見出し、これを効果的に制御する方法について検討を行った。
特許文献1には特定の雰囲気温度で、雰囲気温度の温度分布が均一な条件で結晶成長を行う技術が示されているが、具体的に記載されているのは液相の温度に関してのみであり、本発明者らの検討においては、これでは十分な課題の解決には至っていないことが明らかになった。
そこで本発明者らは、GaN結晶などの第13族金属窒化物結晶を安定的かつ継続的に成長させることができる方法を提供することを本発明の目的として検討を進めた。
本発明者らは、この課題を解決すべく鋭意検討した結果、従来の技術と異なり気相の温度分布を調整することに着目し、液相と気相が接する気液界面付近ごく近傍の温度分布を特定の範囲内に抑えることによって、結晶析出反応速度を制御することができることを見出した。これにより、シードの結晶成長速度を十分な速度で安定的にかつ継続的に保つことを可能にし、以下の本発明を提供するに至った。
[1]少なくともNaと第13族元素と窒素元素とを含む液相中で第13族窒化物結晶を成長させる第13族窒化物結晶の製造方法において、前記液相の表面と接しかつ少なくとも前記液相の表面から上部20mmの高さまでを満たす気相が存在し、前記液相表面部分の温度T1(K)と、前記液相表面から鉛直方向に20mm離れた気相部分の温度T2(K)とが、式(1)を満たすようにして結晶を成長させる第13族窒化物結晶の製造方法。
0<(T1−T2)/T1<0.015 ・・・(1)
[2]前記温度T1が773(K)≦T1≦1323(K)である[1]に記載の第13族窒化物結晶の製造方法。
[3]前記気相を保温する断熱材を、少なくとも前記液相の表面の位置よりも上部に設ける[1]または[2]に記載の第13族窒化物結晶の製造方法。
[4]前記液相を流動させる機構を設ける[1]から[3]のいずれか1項に記載の第13族窒化物結晶の製造方法。
本発明の製造方法によれば、工業的に安価な方法で、結晶性の優れた第13族窒化物結晶を製造することができる。また、本発明の方法によりパワーICや高周波に対応可能な良質の半導体デバイスを製造することが可能である。
実施例及び比較例で用いた反応装置を説明するための概略図である。
以下に、本発明の第13族窒化物結晶の製造方法について詳細に説明する。以下に記載
する構成要件の説明は、本発明の実施態様の代表例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。また第13族元素は、周期表第13族元素を意味する。
本発明は、少なくともNaと第13族元素と窒素元素とを含む液相中で第13族窒化物結晶を成長させる第13族窒化物結晶の製造方法において、前記液相の表面と接しかつ少なくとも前記液相の表面から上部20mmの高さまでを満たす気相が存在し、前記液相表面部分の温度T1(K)と、前記液相表面から鉛直方向に20mm離れた気相部分の温度T2(K)とが、式(1)を満たすようにして結晶を成長させる第13族窒化物結晶の製造方法である。
0<(T1−T2)/T1<0.015 ・・・(1)
[液相の組成]
本発明で用いる液相は、少なくともNaと第13族元素と窒素元素とを含む液相であれば特に限定されない。すなわち、いずれの元素も液体状態で安定に存在していればよく、金属元素であれば金属融液として存在していても、電離したイオンとして存在していてもよい。好ましくは電離したイオンとして存在することであり、このために溶媒として溶融塩が好適に用いられる。
液相中に含まれる前記Naと前記第13族元素はそれぞれ単体金属として反応容器内に供給してもよいし、または合金や化合物として供給してもよい。また、液体状態で供給してもよいし、気体状態または固体状態で供給して液相に溶解させてもよい。合金の例としてはNaGa合金、LiGa合金、LiNa合金などが挙げられる。化合物の例としてはNaCl、NaF、NaBr、NaI、GaCl、GaF、GaBr、GaIなどのハロゲン化物;GaN、LiGaN、NaNなどの窒素化合物が挙げられる。液相中に含まれる前記窒素元素は窒素ガスとして供給してもよいし、アンモニアなどの窒素含有ガスとして供給してもよい。LiN、Mg、Ca、Sr、Baに代表される窒化物、NaN、LiN、LiNH、NaNH、LiNH、NaNHなどの窒素含有化合物として供給してもよい。前記第13族元素の供給を考慮すると、効率の観点からGaN、LiGaNなどの第13族元素を含む窒化物として供給することが好ましい。なかでも、LiGaNなど第13族以外の元素と第13族元素を含む複合窒化物を用いると、液相に対する第13族元素と窒素元素の溶解度が上げられることから、より好ましい。
[気相]
本発明においては、前記液相の表面と接しかつ少なくとも前記液相の表面から上部20mmの高さまでを満たす気相が存在する。
気相のガス組成は、反応の進行を妨げないものであれば特に制限されないが、不純物の混入を防ぐ観点からアルゴン、ヘリウムなどの希ガスや、窒素、アンモニア等の窒素元素を含むガスが好適に用いられる。窒素元素を含むガスを用いると液相からの窒素の脱離を抑制することができるため、特に好ましい。また、これらのガスを混合して用いることもできる。
ガスは流通してもよいし、密閉してもよく、気相の圧力は常圧〜加圧下で製造することが可能である。気相の圧力は常圧から100MPaであることが製造装置の安全性と経済性の観点から好ましい。
本発明では、前記液相の表面と接しかつ少なくとも前記液相表面から鉛直方向に上部20mmの高さまでを満たす気相が存在するが、前記気相が存在する部分の容積は、前記液
相の体積に対して3倍以上であることが好ましい。これは、後述するような液相から蒸発するNa蒸気を考慮すると、これを保持しうるだけの十分な容積が、前記気相が存在する部分の容積として好ましいからである。
[気液界面近傍の温度]
本発明においては、前記液相の表面と前記気相が接する近傍、つまり気液界面近傍の温度を特定の範囲として結晶成長を行うことによって初めて、金属Naの蒸発速度を調整し、よって第13族窒化物結晶析出反応速度を安定的かつ継続的に向上させることが可能となった。つまり、気液界面近傍の温度は、前記液相表面部分の温度T1(K)と、前記液相表面から鉛直方向に20mm離れた気相部分の温度T2(K)とが、式(1)を満たすようするにして結晶を成長させる。
0<(T1−T2)/T1<0.015 ・・・(1)
気液界面近傍の気相に温度勾配を付けないことにより気液界面近傍での気流を生じさせず、液相からのNaの蒸発速度を安定化させることができ、Naの蒸発によって進行する結晶析出反応も安定化させることができる。
逆に、気液界面近傍に界面よりも低温の気相部があるとその気相部から下降流が生じ、気液界面近傍からは上昇流が生じることになり、Naが急激に液相から気相へと取り除かれて急激に結晶析出反応が進行すると考えられる。その結果、多核発生を起こしてシードに雑晶が付着する。その結果シードの結晶成長速度が低下してしまう。
ここで、前記液相表面部分の温度T1(K)は、液相の最表面から液相の内部方向に5mm以内の領域の一部または全体を測定した温度である。また、前記液相表面から鉛直方向に20mm離れた気相部分の温度T2(K)は、前記液相表面から鉛直方向に17.5mm離れた部分と22.5mm離れた部分との間の領域の一部または全体を測定した温度である。
温度T1と温度T2の関係は0<(T1−T2)/T1<0.015の範囲であればよいが、0<(T1−T2)/T1<0.007であるとさらに好ましい。
温度T1は任意の温度で実施されるが、好ましくは573K以上、より好ましくは773K以上であって、好ましくは1773K以下、より好ましくは1323K以下である。
また、前記液相表面部分の温度T1(K)と、前記液相表面から鉛直方向に10mm離れた気相部分の温度T3(K)とが、式(2)を満たすようするにして結晶を成長させると、さらに好ましい。
0<(T1−T3)/T1< 0.010 ・・・(2)
ここで、前記液相表面から鉛直方向に10mm離れた気相部分の温度T2(K)は、前記液相表面から鉛直方向に7.5mm離れた部分と12.5mm離れた部分との間の領域の一部または全体を測定した温度である。
[Naの蒸発]
本発明では通常、Naを除去しながら結晶成長を行うが、好ましくはNaを蒸発により液相から気相へと取り除くことにより結晶析出反応の進行を調整することであり、NaはNa金属として蒸発してもよいしNaを含む合金や化合物として蒸発してもよい。具体的にはNa−Ga合金、Naと窒素の化合物が挙げられる。気相へと蒸発したNaは蒸気の状態で気相に存在させてもよいが、液相とは別の領域にNa凝縮部を設けて連続的に気相から取り除くことも、結晶析出反応の安定性を保つ観点から望ましい。
Naの除去速度は工業的に十分な結晶成長速度を得るために、好ましくは0.00001mg/h/cm以上、さらに好ましくは0.0001mg/h/cm以上、最も好ましくは0.001mg/h/cm以上であるとよい。また、急激な結晶析出反応による雑晶の析出を抑制するために、好ましくは20mg/h/cm以下、さらに好ましく
は5mg/h/cm以下、最も好ましくは1mg/h/cm以下であるとよい。Na除去速度とは、液相の単位体積からの時間あたりのNaの除去量である。液相の単位体積中のNa含有量を計測し、その減少速度をNa除去速度とする。
[第13族金属窒化物結晶]
本発明の製造方法により得られる第13族窒化物結晶は、第13族元素を含むナイトライドであれば特に限定されず、例えば窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化インジウム(InN)などの単独金属のナイトライド、または窒化ガリウム・インジウム(GaInN)、窒化ガリウム・アルミニウム(GaAlN)等の固溶体組成のナイトライドが挙げられる。好ましくは第13族元素として少なくともガリウム(Ga)を含む結晶、特に好ましくはGaN結晶の製造方法として好適に用いることができる。
[シード]
本発明では工業的に十分なサイズの結晶を得るために、シードを用いることができ、シード上に第13族窒化物結晶を成長させることが好ましい。結晶性のよい第13族窒化物結晶を得るために、シードは単結晶であることが好ましい。シードの材質は、第13族窒化物、サファイア、シリコン、SiCなどが挙げられるが、本発明で成長させる第13族窒化物との格子定数の整合性から好ましいのは第13族窒化物であり、得られる第13族窒化物結晶と同組成の第13族窒化物であることがより好ましい。シード形状は塊状、棒状、板状など特に限定されないが、板状のシードを用いると面積の大きい第13族窒化物結晶が得られ、半導体デバイスの製造に適しているため好ましい。
シード上に効率よく第13族窒化物結晶を成長させるためには、シード周辺に雑晶を成長させたり、付着させたりしないことが好ましい。雑晶とはシード上以外に成長する粒子径の小さい結晶であり、雑晶がシード付近に存在すると液相中の第13族窒化物成分をシード上の成長と雑晶の成長で分け合うことになり、シード上の第13族窒化物結晶の成長速度が十分に得られない。
[断熱材]
本発明では、気相を保温する断熱材を、少なくとも前記液相の表面、つまり気液界面の位置よりも上部に設けることによって気相の温度勾配が大きくなるのを防ぐことができるが、下部や底部に断熱材を設けてもよい。断熱材の設置場所は特に限定されないが、例えば坩堝などの液相を保持する反応容器の外側、加熱装置の内側や外側が挙げられる。坩堝にセラミックスを用いれば坩堝そのものに断熱材の機能を持たせることができる。断熱材の種類は特に制限されないが、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物などのセラミックスやその混合物が挙げられ、結晶質であってもよいしガラスでもよい。
[液相を流動させる機構]
本発明では、液相を積極的に流動させることによって液相内の濃度分布を少なくし、局所的に結晶析出反応が起こって雑晶が生成することを防ぐことができる。流動させる機構は特に制限されないが、機械的な攪拌など、温度変化を伴わない流動を起こす機構が好ましい。具体的には、回転羽により攪拌する機構、液相を保持する反応容器を回転、振動または揺動させる機構等を挙げることができる。
[溶融塩]
本発明の製造方法では、溶融塩を用いて液相を構成し、溶融塩中で第13族窒化物結晶を成長させることができる。ここで、溶融塩とは常温で固体の塩を高温で融解させたものである。溶融塩の種類は、シード上での結晶のエピタキシャル成長を阻害しないものであれば良く、例えば、ハロゲン化物、炭酸塩、硝酸塩、イオウ化物等を挙げることができる。一般には、第13族元素を金属イオンとして安定に溶解させる能力が高いことから、ハ
ロゲン化物を用いることが好ましい。具体的には、溶融塩がLiCl、KCl、NaCl、CsCl、MgCl、CaCl、SrCl、BaCl、AlCl、GaCl、LiBr、KBr、NaBr、CsBr、LiF、KF、NaF、AlF、GaF、LiI、NaI、KI、CsI、CaI、BaI等の金属ハロゲン化物であることが好ましく、LiCl、KCl、NaCl、CsCl、MgCl、CaCl、SrCl、BaClおよびそれらの混合塩のいずれかであると、溶液の融点が下がるため好ましい。溶液の融点が下がると、結晶成長を比較的低温で行うことが可能になるため、得られる結晶の結晶性や工業的な実施の面で好ましい。
また、窒素元素を窒化物イオンとして溶解させる能力が高いことから、アルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属元素を含む塩を用いることが好ましい。具体的には、溶融塩がLi、Na、K等のアルカリ金属および/またはMg、Ca、Sr等のアルカリ土類金属を含む塩からなる溶融塩であることが好ましく、例えばLiCl、KCl、NaCl、CsCl、LiNCl、MgCl、CaCl、SrCl、BaClなどが挙げられる。
本発明で用いる溶融塩は1種の塩を単独で用いても、複数種の塩を適宜組み合わせて用いてもよいが、好ましくは複数種の塩を組み合わせて用いる。なかでも、ハロゲン化リチウムとこれ以外の塩を併用することがより好ましい。ハロゲン化リチウムの含有率は溶融塩の全体量に対して15〜95%が好ましく、40〜85%がさらに好ましい。
例えば、溶融塩がハロゲン化リチウムと、ハロゲン化ナトリウム、ハロゲン化カリウムおよびハロゲン化セシウムからなる群より選択される1つ以上のハロゲン化物とからなるものであることが好ましく、ハロゲン化リチウムと、ハロゲン化ナトリウムまたはハロゲン化カリウムとからなるものであることがより好ましく、ハロゲン化リチウムとハロゲン化ナトリウムからなるものであることがさらに好ましい。この場合、ハロゲン化ナトリウム、ハロゲン化カリウムおよびハロゲン化セシウムからなる群より選択される1つまたは複数のハロゲン化物の合計含有率は溶融塩の全体量に対して5〜85モル%が好ましく、15〜60モル%がさらに好ましい。これらのハロゲン化物の含有率が5モル%以上である場合には、結晶の成長速度が速い点で好ましい。また合計含有率が85モル%以下であると、雑晶の発生が少なく、シード上での結晶の成長速度が速くなる点で好ましい。
上記溶融塩に水等の不純物が含まれている場合は、予め溶融塩を精製しておくことが望ましい。精製方法は特に限定されないが、例えば溶融塩に反応性気体を吹き込むなどの方法が挙げられる。反応性気体としては、例えば、塩化水素、ヨウ化水素、臭化水素、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム、ヨウ化アンモニウム、塩素、臭素、ヨウ素等を挙げることができ、塩化物の溶融塩に対しては、特に塩化水素を用いることが好ましい。
[複合窒化物]
本発明で用いることができる第13族元素以外の元素と第13族元素とを含む複合窒化物は、第13族元素の窒化物粉体と第13族元素以外の元素の窒化物粉体(例えばLiN、Ca)とを混合した後、温度を上げて固相反応させる方法;第13族元素と第13族以外の元素とを含む合金をつくっておき、窒素雰囲気中で加熱する方法;などにより作成することができる。例えばLiGaNは、Ga−Li合金を窒素雰囲気中で600〜800℃で加熱処理することによって作製することができる。
第13族元素としては、Ga、Al、In、GaAl、GaIn等を好ましい例として挙げることができる。また、第13族以外の元素としては、Li、Na、Ca、Sr、Ba、Mg等を挙げることができ、中でもLi、Ca、Ba、Mgを好ましい元素として挙げることができる。第13族元素、第13族以外の元素としては、それぞれ1種類の元素であってもよいし、複数種の元素が含まれていてもよい。
好ましい複合窒化物の例としては、溶融塩への溶解度が高いことからLiGaN、CaGa、BaGa、MgGaN、CaGaN等の第13族元素とアルカリ金属元素またはアルカリ土類金属元素との複合窒化物を挙げることができ、より好ましくはLiGaNである。第13族元素とアルカリ金属元素またはアルカリ土類金属元素との複合窒化物では、不純物として、複合窒化物に含まれるアルカリ金属元素またはアルカリ土類金属元素の窒化物を含んでもよい。例えば複合窒化物としてLiGaNを用いる場合には、LiGaNに含まれている不純物であるLiNを除去したり、逆にLiNを添加したりして、あらかじめLiNの含有量を調節しておくことが、窒素欠陥の少ない窒化物結晶を得る点で好ましい。不純物の量は複合窒化物に対して0〜20重量%であることが好ましい。
[反応容器]
本発明で液相および気相を保持する反応容器は、本発明の製造方法における反応を阻害しないものであれば特に制限されないが、熱的および化学的に安定な金属、酸化物、窒化物、炭化物を主成分とする反応容器であることが好ましい。周期表第4族元素(Ti、Zr、Hf)を含む金属であることが好適であり、好ましくはTiを用いる場合である。
また、90重量%以上が前記第4族元素である金属を用いることが好ましい。さらに好ましくは、99重量%以上が前記第4族元素である金属を用いることである。
また、これらの反応容器の部材の表面は、前記周期表第4族元素の窒化物からなることが好ましく、後述する窒化処理方法によってあらかじめ窒化物を形成することが好適である。
[窒化処理方法]
本発明において、窒化処理とは前記反応容器およびその部材の少なくとも表面を窒化する工程のことを指す。結晶成長の前にあらかじめ部材を窒化処理しておき、溶液または融液と接触する部材の表面に強固かつ安定な窒化物を形成しておくと、結晶成長中に反応容器などが腐食されることがなく結晶性の優れた第13族窒化物結晶が得られる点から好ましい。また、部材の割れにくさや機械的な強度を考慮して、窒化物を窒化膜の形態で形成してもよい。
窒化処理方法は表面に形成される窒化物が安定であれば特に限定はないが、例えば前記反応容器の部材を700℃以上の窒素雰囲気下において加熱保持することで、前記部材表面に安定な窒化膜を形成することができる。
更には、高温下でアルカリ金属窒化物やアルカリ土類金属窒化物を窒化剤として使用して前記部材表面を窒化することも可能であり、好ましくはアルカリ金属ハロゲン化物やアルカリ土類金属ハロゲン化物と前記アルカリ金属窒化物やアルカリ土類金属窒化物との混合融液中に保持することで、安定な窒化膜を形成することができる。また、実際に結晶成長を行なう条件と同様の条件下に部材を保持することで、簡便に窒化処理を行なうこともできる。
[半導体デバイスの製造方法]
本発明の製造方法は、半導体デバイスの製造方法における第13族窒化物結晶を製造する工程に用いることができる。その他の工程における原料、製造条件および装置は一般的な半導体デバイスの製造方法で用いられる原料、条件および装置をそのまま適用できる。本発明の製造方法によれば、パワーIC、高周波対応可能な半導体デバイス等を製造することができる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
(実施例1)
固体のLiGaN 1.44gを外径36mm、内径30mm、高さ200mmのチタン(Ti)製の反応容器5に入れ、次いで溶媒としてLiCl 10.08gとNaCl 4.32gとを、炭化タングステン製乳鉢でよく粉砕混合してから該反応容器5に入れた。固体のLiGaNは、篩を使用して2μm未満の粒径のものを除外し、2μm以上の粒径のものを選んで使用した。次に反応容器5を石英製の反応管4内にセットし、反応管4のガス導入口1およびガス排気口2を閉状態にした。これらの操作は全てArボックス中で行った。
次に、反応管4をArボックスから取り出し、電気炉3にセットした。反応管4にガス導入管をつなぎ、導入管中を減圧にした後、さらに反応管のガス導入口1を開いて反応管4内を減圧してからNで復圧し、反応管4内をN雰囲気とした。その後、反応管のガス排気口2を開き、Nを流量計設定値100cm/min(標準条件20℃、1atmにおける値)で流通させた。
次に、電気炉の加熱を開始し、反応容器5の内部が室温から745℃になるまで1時間で昇温し、塩であるLiCl及びNaClを溶融させた溶融塩を溶媒とした。
前処理として745℃で7時間保持した後、シード保持棒8の先端に取り付けたシード6を反応容器中の溶液(溶融塩)9中に投入し、シード保持棒8を100rpmの速度で回転させて結晶成長を開始した。溶液9の底には原料7であるLiGaNが固体状で存在している。
結晶成長中の液相表面部分の温度T1(K)は、液相最表面から液相内部方向に4mmの点を測定し、1018.2Kとした。また、前記液相表面から鉛直方向に20mm離れた気相部分の温度T2(K)は、20mm離れた点を測定し、1015.7Kとなるように設定した。(T1−T2)/T1の値は0.002となった。
92時間成長させた後、シード6を溶液9から引き上げてから炉の加熱を止め、反応管4を急冷した。冷却後、反応管4からシードを取り出し、シードに付着した塩を水に溶かし、シードの重量を重量計で測定した。シードの成長後の重量が求まったので、シードの重量増加分を成長前のシード重量で割って重量増加率を求め、それを成長時間で割ってシード成長速度を算出した。その結果、シード成長速度は、4.0重量%/日(wt%/d)であった。またシード周辺に雑晶の付着は見られなかった。
(実施例2)
固体のLiGaN 1.00gを使用したこと、外径31mm、内径25mm、高さ200mmのチタン(Ti)製反応容器を使用したこと、溶媒としてLiCl 7.00gとNaCl 3.00gを使用したこと、シード保持棒を20rpmの速度で回転させたこと、温度T1(K)を1018.2K、温度T2(K)を1012.9し、(T1−T2)/T1の値は0.005であること以外は実施例1と同様に実施した。その結果、シード成長速度は、3.1wt%/dであった。またシード周辺に雑晶の付着は見られなかった。
(実施例3)
温度T2(K)を1011.9Kとなるように設定し(T1−T2)/T1の値は0.006であること、成長時間を191時間としたこと以外は実施例1と同様に実施した。その結果、シード成長速度は、3.3wt%/dであった。またシード周辺に雑晶の付着
は見られなかった。
(比較例1)
温度T2(K)を1003.1Kとなるように設定し(T1−T2)/T1の値は0.015であること、成長時間を311時間としたこと以外は実施例2と同様に実施した。その結果、シード成長速度は、0.3wt%/dであった。またシード周辺に雑晶の付着が観察された。
(比較例2)
温度T2(K)を991.7Kとなるように設定し(T1−T2)/T1の値は0.026であること、成長時間を120時間としたこと以外は実施例1と同様に実施した。その結果、シード成長速度は、1.1wt%/dであった。またシード周辺に雑晶の付着が観察された。
Figure 2012214331
表1から明らかなように、本発明における液相表面部分の温度T1(K)と、前記液相表面から鉛直方向に20mm離れた気相部分の温度T2(K)とが、式(1)を満たすようにして結晶を成長させると、雑晶が付着することなく速いシード成長速度を得ることができた。これは、気液界面近傍の気相に温度勾配を付けないことにより気液界面近傍での
気流を生じさせず、液相からのNaの蒸発速度を安定化させることによって、Naの蒸発によって進行する結晶析出反応も安定させることができたからであると推察される。
本発明の第13族窒化物結晶の製造方法によれば、半導体デバイスに応用するのに十分なサイズを有する第13族金属窒化物結晶を安価な装置を用いて工業的に有利な方法で製造することができる。したがって、本発明は産業上の利用可能性が高い。
1 ガス導入口
2 ガス排出口
3 電気炉
4 反応管
5 反応容器
6 シード
7 原料
8 シード保持棒
9 溶液

Claims (4)

  1. 少なくともNaと第13族元素と窒素元素とを含む液相中で第13族窒化物結晶を成長させる第13族窒化物結晶の製造方法において、前記液相の表面と接しかつ少なくとも前記液相の表面から上部20mmの高さまでを満たす気相が存在し、前記液相表面部分の温度T1(K)と、前記液相表面から鉛直方向に20mm離れた気相部分の温度T2(K)とが、式(1)を満たすようにして結晶を成長させることを特徴とする、第13族窒化物結晶の製造方法。
    0 < (T1−T2)/T1 < 0.015 ・・・(1)
  2. 前記温度T1が773(K)≦T1≦1323(K)である、請求項1に記載の第13族窒化物結晶の製造方法。
  3. 前記気相を保温する断熱材を、少なくとも前記液相の表面の位置よりも上部に設ける、請求項1または2に記載の第13族窒化物結晶の製造方法。
  4. 前記液相を流動させる機構を設ける、請求項1から3のいずれか1項に記載の第13族窒化物結晶の製造方法。
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