JP2013184875A - 周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法 - Google Patents

周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2013184875A
JP2013184875A JP2012053038A JP2012053038A JP2013184875A JP 2013184875 A JP2013184875 A JP 2013184875A JP 2012053038 A JP2012053038 A JP 2012053038A JP 2012053038 A JP2012053038 A JP 2012053038A JP 2013184875 A JP2013184875 A JP 2013184875A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
periodic table
group
metal
crystal
table group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2012053038A
Other languages
English (en)
Inventor
Takeya Saito
雄也 齋藤
Sumitaka Ito
純貴 伊藤
Hide Terada
秀 寺田
Hiromitsu Kimura
博充 木村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2012053038A priority Critical patent/JP2013184875A/ja
Publication of JP2013184875A publication Critical patent/JP2013184875A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)

Abstract

【課題】高品質な周期表第13族金属窒化物結晶を、より安定的に製造することができる周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】窒素成分及び周期表第13族金属成分のほかにさらに水素成分を液相中に導入し、窒素元素と周期表第13族金属元素のモル比を特定の範囲に設定することにより、結晶性が高く不純物含有量の少ない周期表第13族金属窒化物結晶を、より安定的に製造することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、液相成長法を利用した周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法に関する。
GaNに代表される周期表第13族金属窒化物半導体は、大きなバンドギャップを有し、さらにバンド間遷移が直接遷移型であることから、紫外、青色等の発光ダイオードや半導体レーザー等の比較的短波長側の発光素子として実用化されている。これらの素子は、同種の材料からなり、かつ転位密度の少ない高品質な基板を用いて製造されることが好ましく、このような基板となり得る周期表第13族金属窒化物結晶の製造技術が盛んに研究されている。代表的な製造方法としては、ハライド気相成長法(HVPE法)や有機金属化学蒸着法(MOCVD法)等の気相成長法が一般的に知られているが、最近では品質向上及び経済性の観点等から、フラックス法等の液相成長法の検討も進められている。
フラックス法等の液相成長法では、液相中に窒素が溶解しにくい、もしくは原料となる窒素化合物が分解しやすい等の理由で、液相中のN濃度がGa濃度に対して相対的に小さくなり、このような環境で結晶成長を行うと微細な結晶が形成したり、結晶のN欠陥が生じ易い傾向にある。従って、例えばGa融液にアルカリ金属を添加した合金融液を用いる製造方法においては、窒素を液相中に保持するために高圧条件が採用されている(特許文献1参照)。しかしながら、高圧条件を必要とする製造方法では、生産コストや安全性の観点で問題がある。
また、2種類以上の金属窒化物を溶媒として用い、比較的低圧条件下で結晶成長を進める方法も提案されているが(特許文献2参照)、液相中のN量を十分に確保しようとしても、GaN以外の金属窒化物の析出等によって、Ga濃度よりもN濃度を相対的に高めることが困難であり、上記問題の本質的な解消には至っていない。
このような問題に対処する技術として、例えばLi3GaN2等の複合窒化物を原料として用い、比較的低圧条件下で液相中の窒素元素と第13族金属元素のモル比を制御する方法が提案されている(特許文献3参照)。
特開2005−306709号公報 特開2010−260752号公報 特開2010−105903号公報
特許文献3に記載されている製造方法のように、液相中の窒素濃度(窒素元素及び周期表第13族金属元素のモル比)を制御して結晶成長を進めることにより、N欠陥の少ない高品質な周期表第13族金属窒化物結晶を得ることができるが、窒化物の蒸発や添加等を利用した結晶成長では精密な窒素濃度制御が困難であり、工業的な手法としては不向きである。仮に窒素濃度及び周期表第13族金属元素濃度のバランスが崩れれば、結晶にN欠陥が生じたり、結晶中の不純物含有量が増大したり、メルトバック(再溶解)が生じたりするため、高品質な周期表第13族金属窒化物結晶を安定的に製造するという観点においては、依然として課題が残る。
即ち、本発明は、高品質な周期表第13族金属窒化物結晶を、より安定的に製造することができる周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、液相成長法を利用した周期表第13族金属窒化物結晶の結晶成長において、窒素成分及び周期表第13族金属成分のほかにさらに水素成分を液相中に導入することにより、液相中の窒素濃度を安定的に高めて結晶性が高く不純物含有量の少ない結晶を成長させることができ、さらに窒素濃度が従来法よりも高めに推移した場合であってもメルトバックが生じにくく、より速く結晶成長が進行することを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は以下の通りである。
(1)窒素元素、周期表第13族金属元素及び水素元素を含有する溶液又は融液中で周期表第13族金属窒化物結晶を成長させる成長工程を含む周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法であって、前記溶液又は融液中における前記窒素元素と前記周期表第13族金属元素のモル比(窒素元素/周期表第13族金属元素)が、20以上1000以下の範囲内であることを特徴とする、周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法。
(2)前記成長工程が、前記溶液又は融液中に水素元素を供給しながら周期表第13族金属窒化物結晶を成長させる工程である、(1)に記載の周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法。
(3)前記成長工程が、前記溶液又は融液に接し、かつ水素元素を含む気相の存在下で行われる工程である、(1)又は(2)に記載の周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法。
(4)前記成長工程が、前記気相に水素元素を含む原料を供給しながら周期表第13族金属窒化物結晶を成長させる工程である、(3)に記載の周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法。
(5)前記溶液又は融液が、さらに周期表第1族金属元素及び/又は周期表第2族金属元素を含むものである、(1)乃至(4)の何れかに記載の周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法。
(6)前記成長工程が、周期表第13族金属元素と周期表第13族金属元素以外の金属元素とを含有する複合窒化物を原料として用いるものである、(1)乃至(5)の何れかに記載の周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法。
本発明によれば、結晶性が高く不純物含有量の少ない周期表第13族金属窒化物結晶を効率よく安定的に製造することができる。
本発明に係る成長工程に使用する装置の概念図である。
本発明の周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法について、以下詳細に説明するが、本発明の趣旨に反しない限り、これらの内容に限定されるものではない。
なお、本明細書において「〜」を用いてあらわされる数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
<周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法>
本発明の周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法(以下、「本発明の製造方法」と略す場合がある。)は、溶液又は融液中で周期表第13族金属窒化物結晶を成長させる、いわゆる液相成長法を利用した成長工程(以下、「本発明に係る成長工程」と略す場合がある。)を含む製造方法であるが、成長工程における溶液又は融液(以下、「液相」と略す場合がある。)が、窒素元素、周期表第13族金属元素及び水素元素を含み、かつ窒素元素と周期表第13族金属元素のモル比が特定の範囲であることを特徴とする。前述のよう
に液相成長法によって結晶性が高く不純物含有量の少ない周期表第13族金属窒化物結晶を製造するためには、液相中の窒素濃度と周期表第13族金属濃度のバランスが重要になる。具体的には、窒素元素と周期表第13族金属元素のモル比を特定の範囲にすることで、結晶中のN欠陥を少なくすることができるため、結晶性が高くなるものと考えられる。また、N欠陥を少なくして結晶性を高くし、かつ、窒素濃度を所定量高くしてその変動に対する許容幅を大きくした状態で安定的に結晶成長を実施することで、結晶内への不純物の取込量を少なくできるものと考えられる。本発明者らは液相中に水素成分を導入することによって、液相中の窒素濃度を安定的に高めることができ、さらに窒素濃度が従来法よりも高めに推移した場合であってもメルトバック(再溶解)が生じにくくなり、高品質な周期表第13族金属窒化物結晶をより効率的かつ安定的に製造することができることを見出した。本発明は、かかる知見に基づく発明であり、水素元素を含有する特徴とともに、液相中の窒素元素と周期表第13族金属元素のモル比(窒素元素/周期表第13族金属元素)を20以上1000以下の範囲内に設定することを特徴としている。なお、液相が窒素元素、周期表第13族金属元素及び水素元素を含み、かつ窒素元素と周期表第13族金属元素のモル比が特定の範囲であるという条件は、周期表第13族金属窒化物結晶が成長する全成長工程に亘って保たれる必要はなく、かかる条件の前段階及び/又は後段階として、かかる条件以外での結晶成長(成長工程)が含まれてもよい。また、「窒素元素、周期表第13族金属元素及び水素元素を含有する溶液又は融液」とは、窒素元素、周期表第13族金属元素及び水素元素のそれぞれを、何れかの状態(分子、イオン、錯体、錯イオン等)で含有している溶液又は融液を意味し、これらの成分の溶液又は融液中での状態は特に限定されないことを意味している。中でも、窒素元素、周期表第13族金属元素及び水素元素からなる群から選ばれる少なくとも1種が、何れかの状態で溶解している溶液又は融液であることが好ましく、窒素元素、周期表第13族金属元素及び水素元素のそれぞれが、何れかの状態で溶解している溶液又は融液であることがより好ましい。なお、前記溶液又は融液中には、未溶解の状態で窒素元素、周期表第13族金属元素、水素元素、不純物等が分散・析出等していてもよく、特に未溶解の状態の窒素元素、周期表第13族金属元素、水素元素は前記溶液又は融液中に適宜溶解してもよい。さらに「窒素元素と周期表第13族金属元素のモル比(窒素元素/周期表第13族金属元素)」とは、窒素原子及び周期表第13族金属原子換算で算出した液相中に溶解または融解している窒素元素と周期表第13族金属元素の物質量比であり、固相中に含まれる窒素元素と周期表第13族金属元素は含まれず、液相中に溶解または融解している窒素原子の物質量を液相中に溶解または融解している周期表第13族金属原子の物質量で除した数値で表現するものである。
本発明に係る成長工程は、液相中の窒素元素と周期表第13族金属元素のモル比(窒素元素/周期表第13族金属元素)が20以上1000以下の範囲内であることを特徴としているが、窒素元素と周期表第13族金属元素のモル比は、N欠陥等の発生と不純物の取込量を抑制して結晶成長を進める観点から、50以上であることが好ましく、100以上であることがより好ましく、150以上であることがさらに好ましく、200以上であることが特に好ましい。さらに窒素元素と周期表第13族金属元素のモル比は、800以下であることが好ましく、650以下であることがより好ましく、500以下であることがさらに好ましく、350以下であることが特に好ましい。
液相中の窒素元素と周期表第13族金属元素のモル比が上記範囲内であれば、窒素元素、周期表第13族金属元素及び水素元素の液相中での具体的濃度は特に限定されないが、窒素元素は通常0.01mol%以上、好ましくは0.1mol%以上、より好ましくは1mol%以上であり、通常50mol%以下、好ましくは40mol%以下、より好ましくは20mol%以下である。また、周期表第13族金属元素は通常0.0005mol%以上、好ましくは0.005mol%以上、より好ましくは0.05mol%以上であり、通常2.5mol%以下、好ましくは2mol%以下、より好ましくは1mol%以下である。さらに、水素元素は通常0.002mol%以上、好ましくは0.02mol%以上、より好ましくは0.2mol%以上であり、通常10mol%以下、好ましく
は8mol%以下、より好ましくは4mol%以下である。上記範囲であると、N欠陥等の発生と不純物の取込量を抑制することができる。なお、液相中の窒素元素および周期表第13族金属元素の濃度は、例えば液相を適宜サンプリングし、採取した液の凝固物を水等の溶媒で溶解して溶液中の各元素の濃度を定量することで測定することができる。この場合、窒素元素の測定についてはイオンクロマトグラフィー等を、周期表第13族金属元素の測定についてはICP−AES等を用いることができる。液相中の窒素元素と周期表第13族金属元素のモル比(窒素元素/周期表第13族金属元素)は、液相中の窒素元素のモル濃度を、液相中の周期表第13族金属元素のモル濃度で除することで算出することができる。
本発明に係る成長工程は、窒素元素、周期表第13族金属元素及び水素元素を含有する液相で周期表第13族金属窒化物結晶を成長させる工程であるが、窒素元素、周期表第13族金属元素及び水素元素以外の元素が含まれてもよい。例えば、周期表第13族金属以外の金属元素及びハロゲン元素等が挙げられる。これらの内、周期表第1族金属元素及び/又は周期表第2族金属元素を含むことが好ましく、Li又はNaを含むことがより好ましい。また、窒素元素、周期表第13族金属元素及び水素元素以外の元素の液相中での具体的濃度も特に限定されないが、Liの場合は、通常10mol%以上、好ましくは20mol%以上、より好ましくは40mol%以上であり、通常99.9mol%以下、好ましくは99mol%以下、より好ましくは90mol%以下である。
本発明に係る成長工程において、窒素元素、周期表第13族金属元素、水素元素、及びこれら以外の元素は、それぞれ液相中に予め必要量含有させておいても、或いは結晶成長とともに液相中に逐次供給してもよい。長時間の結晶成長を安定的に継続させる観点から、液相中に逐次供給することが好ましく、特に水素元素を液相中に供給しながら結晶成長させることが好ましい。即ち、本発明に係る成長工程は、液相(溶液又は融液)中に水素元素を供給しながら周期表第13族金属窒化物結晶を成長させる工程であることが好ましい。
本発明に係る成長工程は、液相中で周期表第13族金属窒化物結晶を成長させる工程であるが、成長雰囲気下には液相に接する気相が存在することが好ましい。例えば、気相中に後述する窒素元素を含む原料や水素元素を含む原料を含ませることによって、窒素元素、水素元素等を液相中に逐次供給することが可能となる。前述のように液相中に水素元素を供給しながら結晶成長させることが好ましく、即ち本発明に係る工程は、液相(溶液又は融液)に接し、かつ水素元素を含む気相の存在下で行われる工程であることが好ましい。
本発明に係る成長工程に用いる原料、即ち窒素元素源、周期表第13族金属元素源及び水素元素源(以下、それぞれ「窒素元素を含む原料」、「周期表第13族金属元素を含む原料」、「水素元素を含む原料」と略す場合がある。)の種類は特に限定されないが、周期表第13族金属元素と周期表第13族金属元素以外の金属元素とを含有する複合窒化物を少なくとも原料として用いることが好ましい。周期表第13族金属元素以外の金属元素の具体的種類は特に限定されないが、周期表第1族金属元素、周期表第2族金属元素等が挙げられる。即ち、周期表第13族金属元素と周期表第13族金属元素以外の金属元素とを含有する複合窒化物としては、Li3GaN2、Ca3Ga24、Ba3Ga24、Mg3GaN3等の周期表第13族金属元素と周期表第1族金属元素及び/又は周期表第2族金属元素とを含有する複合窒化物が挙げられる。
その他、窒素元素を含む原料の具体例としては、N2、NH3等の窒素元素を含むガス、及びLi3N、Ca32、Mg32等の周期表第1族金属元素又は周期表第2族金属元素の窒化物等が挙げられる。周期表第13族金属元素を含む原料としては、Ga、Al、In等の周期表第13族金属元素、LiGa等の周期表第13族金属元素を含む合金、及び
GaN等の周期表第13族金属窒化物等が挙げられる。水素元素を含む原料としては、H2、NH3等の水素元素を含むガス、LiH、MgH2、CaH2等の周期表第1族金属元素又は周期表第2族金属元素の水素化物、及びLiNH2やLi2NH等のアミド化合物、イミド化合物等が挙げられる。
これらの内、Li3GaN2、N2、及びH2を原料として用いることが好ましい。
なお、周期表第13族金属元素と周期表第1族金属元素及び/又は周期表第2族金属元素とを含有する複合窒化物は、例えば周期表第13族金属窒化物粉体と周期表第1族金属及び/又は周期表第2族金属窒化物粉体(例えばLi3N、Ca32)とを混合した後、加熱する方法(固相反応);周期表第13族金属元素と周期表第1族金属元素及び/又は周期表第2族金属元素とを含む合金を作製し、窒素雰囲気中で加熱する方法;等により調製することができる。例えばLi3GaN2は、Ga−Li合金を窒素雰囲気中で600〜800℃で加熱処理することによって作製することができる。
本発明に係る成長工程において、窒素元素、周期表第13族金属元素及び水素元素等を逐次供給する方法は、特に限定されないが、用いる原料が気体である場合(結晶成長の温度・圧力条件において)、液相に接する気相に原料を供給する方法が挙げられる。このような原料としては、例えばH2、N2、NH3、及びこれらの混合ガス等が挙げられる。
また、用いる原料が固体又は液体(結晶成長の温度条件において)であって、液相(溶媒)に十分に溶解しない原料である場合、原料を液相に接するように設置しておく方法が挙げられる。液相に完全に溶解しなくても、結晶成長の進行とともに液相中の成分が消費され、逐次成分が供給されることとなる。このような原料としては、例えばLi3GaN2等の周期表第13族金属元素と周期表第1族金属元素及び/又は周期表第2族金属元素とを含有する複合窒化物が挙げられる。
以下、Li3GaN2、N2、及びH2を原料として用いる場合の原料の設置量及び供給量について説明するが、本発明の趣旨に反しない限り、これらの内容に限定されるものでなく、選択する原料の種類やその他の成長条件に応じて適宜変更することができる。
Li3GaN2の設置量は、液相に対して、通常2質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、通常50質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。上記範囲内であると、連続生産のための効率性を高めることができ、さらに反応容器内のスペースを確保できる。
気相中のH2濃度は、通常0.001mol%以上、好ましくは0.1mol%以上、より好ましくは1mol%以上であり、通常99.9mol%以下、好ましくは99mol%以下、より好ましくは90mol%以下である。H2を気相中に逐次供給する場合、供給流量は常温常圧に換算した量で、通常0.0001L/min以上、好ましくは0.001L/min以上、より好ましくは0.01L/min以上であり、通常10L/min以下、好ましくは5L/min以下、より好ましくは1L/min以下である。
気相中のN2濃度は、通常0.1mol%以上、好ましくは1mol%以上、より好ましくは10mol%以上であり、通常99.99mol%以下、好ましくは99.9mol%以下、より好ましくは99mol%以下である。N2を気相中に逐次供給する場合、供給流量は常温常圧に換算した量で、通常0.001L/min以上、好ましくは0.01L/min以上、より好ましくは0.1L/min以上であり、通常100L/min以下、好ましくは50L/min以下、より好ましくは10L/min以下である。
2とN2の混合ガスを気相中に逐次供給する場合(H2:10vol%の場合)、通常0.001L/min以上、好ましくは0.01L/min以上、より好ましくは0.1L/min以上であり、通常100L/min以下、好ましくは50L/min以下、より好ましくは10L/min以下である。上記範囲であると、窒素元素と周期表第13族金属元素のモル比を適度に維持し、良好な結晶成長速度を確保することができる。
また、原料を液相内に均一に分布させるために、液相を攪拌することが好ましい。攪拌
方法は特に限定されないが、種結晶を回転させて攪拌する方法、攪拌翼を入れ回転させて攪拌させる方法、ガスで液相をバブリングする方法、送液ポンプで攪拌する方法等が挙げられる。
本発明に係る成長工程の結晶成長メカニズム及びその他の条件について、Li3GaN2、H2、N2を原料として用いる場合を例に挙げ、結晶成長に使用する装置の概念図(図1)を参照して以下詳細に説明するが、本発明の趣旨に反しない限り、これらの内容に限定されるものではない。
図1中の100及び101は導入管又は排気管、102は電気炉、103は反応管、104は反応容器、105は種結晶であるGaN結晶、106はLi3GaN2複合窒化物(固体)、107は種結晶保持棒、108は液相、109はH2及びN2を含む気相を表している。なお、液相中には気相中のH2及びN2に由来する水素元素及び窒素元素が含まれている。
Li3GaN2複合窒化物(Li3GaN2複合窒化物は、Li3Nと錯塩を作り溶解すると考えられる)が、同じく液相中に存在する下地基板表面に到達し、下記式[1]に示される平衡反応により結晶成長が進行する。
液相中の窒素成分及び水素成分が、上記式[1]で生成したLi3Nを水素化及び/又は窒化し、水素化リチウム、リチウムイミド、又はリチウムアミド等を生成させる。例えばリチウムアミド(LiNH2)は、下記式[2]に示される反応によって生成する。窒化ガリウム結晶近傍のLi3N濃度の上昇は、成長速度の低下を招き、また急激なLi3N濃度の低下も急激なGaN生成に繋がり、雑晶の発生や結晶性の低下を招く。液相中の水素成分及び窒素成分は成長速度を適度に調節する役割を果たし、結晶性の高い周期表第13族金属窒化物結晶を得るために特に重要である。なお、水素化リチウム、リチウムイミド、リチウムアミドが生成する反応は何れも平衡反応であり、水素濃度及び窒素濃度によってLi3N濃度を調節することができる。ここで、N欠陥が少なく結晶性の高い高品質な周期表第13族金属窒化物結晶を得るためには、液相中のGa濃度に対してN濃度を相対的に高く保持する必要があり、例えばLi3N濃度を適度に制御することで、高N濃度を維持することができる。しかし、高N濃度を維持するためにLi3N濃度を高くし過ぎてしまうと上記式[1]で示される通り、結晶のメルトバックが生じてしまい、安定な結晶成長は望めない。これに対し、気相及び/又は液相に水素元素を含む化合物(例えばH2)を添加すると、メルトバックの原因となる過剰なLi3Nは、リチウムアミド等の窒素を含む化合物となって液相中に保持されるため、高N濃度かつメルトバックが生じない溶液組成の下、安定的に高品質な周期表第13族金属窒化物結晶の成長を実施することが可能となる。
[溶媒]
本発明係る成長工程において、液相(溶液又は融液)に使用する溶媒は特に限定されないが、金属塩を主成分として含むものが好ましい。金属塩の含有量は50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。特に金属塩
を融解した溶融塩を溶媒として用いることが好ましい。
金属塩の種類は、結晶成長を阻害しないものであれば特に限定されないが、Li、Na、K等の周期表第1族金属及び/又はMg、Ca、Sr等の周期表第2族金属のハロゲン化物、炭酸塩、硝酸塩、イオウ化物等を挙げることができる。具体的には、LiCl、KCl、NaCl、CaCl2、BaCl2、CsCl、LiBr、KBr、CsBr、LiF、KF、NaF、LiI、NaI、CaI2、BaI2等の金属ハロゲン化物が好ましく、LiCl、KCl、NaCl、CsCl、CaCl2、BaCl2がより好ましい。金属塩の種類は1種類に限定されず、複数種類の金属塩を適宜組み合わせて用いてもよい。なかでも、ハロゲン化リチウムとこれ以外の金属塩を併用することがより好ましい。ハロゲン化リチウムの含有率は金属塩の全体量に対して30%以上が好ましく、80%以上がさらに好ましい。
また、周期表第13族金属元素と周期表第1族金属元素及び/又は周期表第2族金属元素とを含有する複合窒化物の溶解度を増加させるために、例えばLi3N、Ca32、Mg32、Sr32、Ba32などの周期表第1族金属元素又は周期表第2族金属元素の窒化物等が溶媒に含まれていることが好ましい。
金属塩は、一般的に吸湿性が強いため、多くの水分を含んでいる。そのため、使用する溶媒は予め精製しておくことが好ましい。精製方法は特に限定されないが、例えば特開2007−084422号に記載されている装置を用い、溶媒に反応性気体を吹き込む方法が挙げられる。例えば、常温で固体の金属塩を溶媒とする場合には、加熱して融解し、塩化水素、ヨウ化水素、臭化水素、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム、ヨウ化アンモニウム、塩素、臭素、又はヨウ素等の反応性気体を吹き込みバブリングすることによって水分等の不純物を取り除くことができる。塩化物の溶融塩に対しては、特に塩化水素を用いることが好ましい。
[種結晶(下地基板)]
液相には、工業的に十分なサイズの結晶を得るために種結晶を設置することが好ましい。種結晶はGaN、InGaN、AlGaN等の目的とする周期表第13族金属窒化物結晶と同種のものを用いるほか、サファイア、ZnO、BeO等の金属酸化物、SiC、Si等の珪素含有物、又はGaAs等を用いることができる。本発明で成長させる周期表第13族金属窒化物結晶との整合性を考えると、最も好ましいのは周期表第13族金属窒化物結晶である。種結晶の形状も特に制限されず、平板状であっても、棒状であってもよい。棒状の種結晶を用いる場合には、最初に種結晶部分で成長させ、次いで水平方向にも結晶成長を行いながら、垂直方向に結晶成長を行うことによってバルク状の結晶を作製することもできる。種結晶上に効率よく周期表第13族金属元素を成長させるためには、種結晶周辺に雑晶を成長させたり、付着させたりしないことが好ましい。雑晶とは種結晶上以外に成長する粒子径の小さい結晶であり、雑晶が種結晶付近に存在すると液相中の周期表第13族金属窒化物成分を種結晶上の成長と雑晶の成長で分け合うことになり、種結晶上の周期表第13族金属窒化物結晶の成長速度が十分に得られない。
[反応容器]
液相を保持するために用いる反応容器の形態は、特に限定されず、目的に応じて適宜設定することができる。また、反応容器の材質は、本発明の製造方法における反応を阻害しないものであれば特に限定されないが、熱的および化学的に安定な金属、酸化物、窒化物、炭化物等を主成分とすることが好ましい。具体的には、周期表第4族金属元素(Ti、Zr、Hf)を含む金属であることが好ましく、Tiを含む金属であることがより好ましい。また、反応容器の材質は、加工性や機械的耐久性に富む材質であることが好ましく、90質量%以上が前記第4族金属元素である金属を用いることがより好ましく、99質量
%以上が前記第4族金属元素である金属を用いることがさらに好ましい。さらにこれらの反応容器の表面は、周期表第4族金属元素の窒化物からなることが好ましく、後述するような窒化処理方法によってあらかじめ窒化物を形成することが好適である。
[部材の窒化処理方法]
前述した反応容器のほか成長工程に使用する部材、例えば撹拌翼、種結晶保持棒、種結晶保持台、バッフル、ガス導入管、バルブ等については、以下に説明する窒化処理を行って、溶液又は融液に接触する表面に強固かつ安定な窒化物を形成しておくことが好ましい。加工性や機械的耐久性を保つために、窒化物を窒化膜の形態で形成してもよい。
窒化処理方法は表面に形成される窒化物が安定であれば特に限定はないが、例えば前記反応容器の部材を700℃以上の窒素雰囲気下において加熱保持することで、前記部材表面に安定な窒化膜を形成することができる。
更には、高温下でアルカリ金属窒化物やアルカリ土類金属窒化物を窒化剤として使用して前記部材表面を窒化することも可能であり、好ましくはアルカリ金属ハロゲン化物やアルカリ土類金属ハロゲン化物と前記アルカリ金属窒化物やアルカリ土類金属窒化物との混合融液中に保持することで、安定な窒化膜を形成することができる。また、実際に結晶成長を行なう条件と同様の条件下に部材を保持することで、簡便に窒化処理を行なうこともできる。
[温度・圧力・その他の条件]
成長工程における温度条件は、通常200℃以上、好ましくは400℃以上、より好ましくは600℃以上であり、また、通常1000℃以下、好ましくは850℃以下、より好ましくは800℃以下である。また、成長工程の圧力条件は、製造装置が簡便になり工業的に有利に製造できることから、通常10MPa以下であり、好ましくは3MPa以下、さらに好ましくは0.3MPa以下、より好ましくは0.11MPa以下であって、通常0.01MPa以上、好ましくは0.09MPa以上である。
結晶成長の成長速度は、上記温度、圧力等によって調節することが可能であり、特に限定されるものではないが、通常0.1μm/h〜1000μm/hの範囲であり、1μm/h以上が好ましく、10μm/h以上がより好ましく、100μm/h以上であることがさらに好ましい。
本発明に係る成長工程についてのその他の条件は特に限定されず、フラックス法等の液相成長法に用いられる手法を適宜採用して、本発明の成長工程に適用してもよい。具体的には、フラックス法で主に用いられている温度差(Gradient Transport)法、徐冷(Slow Cooling)法、温度サイクル(Temperature
Cycling)法、るつぼ加速回転(Accelerated Crucible Rotation)法、トップシード(Top−Seeded Solution Growth)法、溶媒移動法及びその変形である溶媒移動浮遊帯域(Traveling−Solvent Floating−Zone)法並びに蒸発法等、さらにはこれらの方法を任意に組み合わせた方法が挙げられる。
本発明の製造方法には、前述した成長工程のほかに、成長工程に使用する溶液又は融液を作製する工程、得られた結晶を基板と分離する分離工程、その他スライス工程、表面研磨工程等の公知の処理工程が含まれてもよい。スライス工程としては、具体的にはワイヤースライス、内周刃スライス等が挙げられ、表面研磨工程としては、例えばダイヤモンド砥粒等の砥粒を用いて表面を研磨する操作、CMP(chemical mechanical polishing)、機械研磨後RIEでダメージ層エッチングする操作が挙げられる。
本発明の製造方法によって製造される周期表第13族金属窒化物結晶は、第13族金属を含む窒化物結晶であればその種類は特に限定されないが、例えば、GaN、AlN、InN等の1種類の第13族金属からなる窒化物のほかに、InGaN、AlGaN等の2種類以上の第13族金属からなる複合窒化物が挙げられる。
本発明の製造方法は、前述のように結晶性が高く不純物含有量の少ない周期表第13族金属窒化物結晶を製造することができる製造方法であるが、目的とする周期表第13族金属窒化物結晶の結晶性(結晶性を示す物性の値)や不純物含有量は特に限定されない。但し、例えばX線回折の(100)回折ピークのロッキングカーブの半値幅が、通常500arcsec以下、好ましくは200arcsec以下、より好ましくは100arcsec以下、さらに好ましくは50arcsec、最も好ましくは30arcsec以下である周期表第13族金属窒化物結晶が好適なものとして挙げられる。また、不純物含有量として例えばLiが、通常1.0×1018atms/cm3以下、好ましくは1.0×1017atms/cm3以下、さらに好ましくは1.0×1016atms/cm3以下、最も好ましくは1.0×1015atms/cm3以下である周期表第13族金属窒化物結晶が好適なものとして挙げられる。さらに不純物含有量としてCl含有量が、通常1.0×1018atms/cm3以下、好ましくは1.0×1017atms/cm3以下、さらに好ましくは1.0×1016atms/cm3以下、最も好ましくは1.0×1015atms/cm3以下である周期表第13族金属窒化物結晶が好適なものとして挙げられる。
本発明の製造方法によって製造される周期表第13族金属窒化物結晶は、さまざまな用途に用いることができる。特に紫外〜青色の発光ダイオード又は半導体レーザー等の比較的短波長側の発光素子、及び緑色〜赤色の比較的長波長側の発光素子を製造するための基板として、さらに電子デバイス等の半導体デバイスの基板としても有用である。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
実施例1の詳細については、成長工程に使用する装置の概念図(図1)を参照して説明する。
(1)Li3GaN2(固体) 2.2gと、予め炭化タングステン製乳鉢で粉砕した溶媒となるLiCl 29gを、外径34mm、内径30mm、高さ200mmの窒化処理を施したTi製の反応容器に入れた。Li3GaN2は篩を使用して、710μm以上2mm以下の粒径のものを選んで使用した。Ti製反応容器の窒化処理は、事前に45gのLiClと4.5gのLi3GaN2をTi製反応容器に入れて窒素雰囲気下で745℃、60時間熱することにより施した。
(2)Ti製の反応容器104を石英製反応管103内にセットし、石英製反応管のガス導入口100およびガス排気口101を閉状態にした。これらの操作は全てArボックス中で行った。
(3)石英製反応管103をArボックスから取り出し、電気炉102にセットした。この石英製反応管103にガス導入管をつなぎ、導入管中を減圧にした後、石英製反応管のガス導入口100を開いて石英製反応管103内を減圧にしてから水素窒素混合ガス(水素10vol%)で大気圧まで復圧し、石英製反応管103内を水素窒素混合ガス雰囲気とした。その後、石英製反応管103のガス排気口101を開き、水素窒素混合ガス(水素10vol%)を常温常圧に換算した量で0.1L/minで流通させた(実験終了まで流通させ続けた)。
(4)電気炉の加熱を開始し、Ti製の反応容器104の内部が室温から745℃になるまで1時間で昇温し、LiClを溶融させて溶融塩とし、該溶融塩に原料106であるL
3GaN2が溶解した溶液を形成した。
(5)745℃で7時間保持した後、種結晶保持棒107の先端に取り付けたGaN種結晶105を反応容器104中の溶液108に浸漬し、種結晶を100rpmにて回転させて結晶成長を開始した。種結晶には非極性面である(10−10)面を主面とするGaN基板(厚さ800μm、大きさ6×9mmの板状)と半極性面である(10−11)面を主面とするGaN基板(厚さ320μm、大きさ6×9mmの板状)を用いた。種結晶は105のように上部に(10−10)面種結晶を、下部に(10−11)面種結晶を設置した。反応容器104の底には、溶液の溶解度を越えている分のLi3GaN2106が固体状で存在していた。
(6)745℃にて40時間結晶成長させた後、種結晶105を溶液108から引き上げてから炉の加熱を止め、石英製反応管103を徐冷した。
(7)種結晶105を石英製反応管103から取り出したところ、種結晶上にGaN成長層が形成されたGaN結晶が得られた。
(8)得られたGaN結晶を温水に投入し、結晶に付着している塩を溶解させた。GaN結晶の質量は、結晶成長前の種結晶の質量に比べて、(10−10)面を主面とする種結晶から得られた結晶が4.8wt%、(10−11)面を主面とする種結晶から得られた結晶が5.8wt%増加し、種結晶の主面にGaN成長層が形成されていた。なお、成長速度はそれぞれ22.9μm/day、11.0μm/dayである。
得られた成長層のX線回折の(100)回折ピークのロッキングカーブの半値幅は、c軸と平行にX線を入射した場合、(10−10)面を主面とする種結晶から得られた成長層が22.1arcsecであり、(10−11)面を主面とする種結晶から得られた成長層が28.6arcsecであった。
また、成長層の不純物含有量を調べるために、得られた成長層のSIMS測定を行ったところ、いずれの種結晶の場合も成長層中のLi含有量は1.0×1015〜1.0×1016atoms/cm3であり、成長層中のCl含有量は1.0×1014〜1.0×1016atoms/cm3であった。
<参考例1>
Li3GaN2とLiClを実施例1とほぼ同等の仕込み量比(LiCl 15g、Li3GaN2 1.5g)となるように秤量し、水素窒素混合ガス(水素10vol%)下、745℃に昇温して溶液を作製した。745℃で8時間保持後、21時間保持後後、112時間保持後のそれぞれについて、溶液をサンプリングし、これをICP−AESおよびイオンクロマトグラフィーを用いて、Ga濃度およびN濃度をそれぞれ分析したところ、Ga濃度は0.014wt%(8時間後)、0.018wt%(21時間後)、0.011wt%(112時間後)であり、N濃度は0.82wt%(8時間後)、0.82wt%(21時間後)、0.70wt%(112時間後)であった。結果、溶液中のNとGaのモル比(N/Ga)は、292(8時間後)、228(21時間後)、307(112時間後)であった。
<参考例2>
Li3GaN2とLiClを実施例1とほぼ同等の仕込み量比(LiCl 15g、Li3GaN2 1.5g)となるように秤量し、アンモニア窒素混合ガス(アンモニア2vol%)下、750℃に昇温して溶液を作製した。750℃で2時間保持後、8時間保持後のそれぞれについて、溶液をサンプリングし、これをICP−AESおよびイオンクロマトグラフィーを用いて、Ga濃度およびN濃度をそれぞれ分析したところ、Ga濃度は0.009wt%(2時間後)、0.014wt%(8時間後)であり、N濃度は0.16wt%(2時間後)、0.28wt%(8時間後)であった。結果、溶液中のNとGaのモル比(N/Ga)は、86(2時間後)、97(8時間後)であった。
<比較例1>
(1)Li3GaN2(固体)1gと、炭化タングステン製乳鉢で粉砕混合した溶媒となる30wt%NaCl−LiCl 10gを、外径29mm、内径25mm、高さ180mmの窒化処理を施したTi製の反応容器に入れた。Li3GaN2は篩を使用して、710μm以上2mm以下の粒径のものを選んで使用した。Ti製反応容器の窒化処理は事前に10gのLiClと1.0gのLi3GaN2をTi製反応容器に入れて窒素雰囲気下で745℃、60時間熱することにより施した。
(2)Ti製の反応容器を石英製反応管内にセットし、石英製反応管のガス導入口およびガス排気口を閉状態にした。これらの操作は全てArボックス中で行った。
(3)石英製反応管をArボックスから取り出し、電気炉にセットした。この石英製反応管にガス導入管をつなぎ、導入管中を減圧にした後、石英製反応管のガス導入口を開いて石英製反応管内を減圧にしてから窒素ガスで大気圧まで復圧し、石英製反応管内を窒素ガス雰囲気とした。その後、石英製反応管のガス排気口を開き、窒素ガスを常温常圧に換算した量で0.1L/minで流通させた(実験終了まで流通させ続けた)。
(4)電気炉の加熱を開始し、Ti製の反応容器の内部が室温から745℃になるまで1時間で昇温し、LiClを溶融させて溶融塩とし、該溶融塩に原料であるLi3GaN2が溶解した溶液を形成した。
(5)745℃で40時間保持した後、種結晶保持棒の先端に取り付けたGaN種結晶を反応容器中の溶液に浸漬し、種結晶を20rpmにて回転させて結晶成長を開始した。種結晶には非極性面である(10−10)面を主面とするGaN基板(厚さ310μm、大きさ6×10mmの板状)を用いた。反応容器の底には、溶液の溶解度を越えている分のLi3GaN2106が固体状で存在していた。
(6)745℃にて282時間結晶成長させた後、種結晶を溶液から引き上げてから炉の加熱を止め、石英製反応管を徐冷した。
(7)種結晶を石英製反応管から取り出したところ、種結晶上にGaN成長層が形成されたGaN結晶が得られた。
(8)得られたGaN結晶を温水に投入し、結晶に付着している塩を溶解させた。GaN結晶((10−10)面を主面とする種結晶から得られた結晶)の質量は、結晶成長前の種結晶の質量に比べて14wt%増加し、種結晶の主面にGaN成長層が形成されていた。なお、成長速度は3.7μm/dayである。
得られた成長層のX線回折の(100)回折ピークのロッキングカーブの半値幅は、c軸と平行にX線を入射した場合、50.7arcsecであった。
また、成長層の不純物含有量を調べるために、得られた成長層のSIMS測定を行ったところ、成長層中のLi含有量は1.0×1016〜1.0×1020atoms/cm3であり、成長層中のCl含有量は1.0×1016〜1.0×1020atoms/cm3であった。結晶品質、不純物量共に実施例1で得られた結晶よりも品質は大きく劣るものであった。
また、種結晶を引き上げた後の溶液をサンプリングし、これをICP−AESおよびイオンクロマトグラフィーを用いて、Ga濃度およびN濃度をそれぞれ分析したところ、Ga濃度は0.0096wt%であり、N濃度は0.0162wt%であった。結果、溶液中のNとGaのモル比(N/Ga)は8.4と、実施例1の条件(参考例1)に比べてかなり小さい値であった。
<比較例2>
比較例1と同様の操作によって、Li3GaN2 1.0g、LiCl 10g、Li3N 30mgを秤量し、窒素雰囲気下、745℃に昇温して溶液を作製した。745℃で30分保持した後、溶液をサンプリングし、これをICP−AESおよびイオンクロマトグラフィーを用いて、Ga濃度およびN濃度をそれぞれ分析したところ、Ga濃度は0.011wt%であり、N濃度は0.115wt%であった。このとき溶液中のNとGaのモル
比(N/Ga)は52.2であった。かかる溶液に、(10−11)面を主面とするGaN種結晶を投入して2時間保持したところ、種結晶はメルトバックし、質量減少が認められた。
表1の結果から、水素元素の存在下、窒素元素と周期表第13族金属元素のモル比(窒素元素/周期表第13族金属元素)が20以上1000以下の範囲内である液相中で結晶成長を進めることによって、高品質な周期表第13族金属窒化物結晶を効率よく製造できることが明らかである。
100 導入管又は排気管
101 導入管又は排気管
102 電気炉
103 石英製反応管
104 反応容器
105 種結晶(GaN)
106 原料(Li3GaN2
107 種結晶保持棒(W製)
108 液相(溶液又は融液 LiCl)
109 気相(H2、N2

Claims (6)

  1. 窒素元素、周期表第13族金属元素及び水素元素を含有する溶液又は融液中で周期表第13族金属窒化物結晶を成長させる成長工程を含む周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法であって、
    前記溶液又は融液中における前記窒素元素と前記周期表第13族金属元素のモル比(窒素元素/周期表第13族金属元素)が、20以上1000以下の範囲内であることを特徴とする、周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法。
  2. 前記成長工程が、前記溶液又は融液中に水素元素を供給しながら周期表第13族金属窒化物結晶を成長させる工程である、請求項1に記載の周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法。
  3. 前記成長工程が、前記溶液又は融液に接し、かつ水素元素を含む気相の存在下で行われる工程である、請求項1又は2に記載の周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法。
  4. 前記成長工程が、前記気相に水素元素を含む原料を供給しながら周期表第13族金属窒化物結晶を成長させる工程である、請求項3に記載の周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法。
  5. 前記溶液又は融液が、さらに周期表第1族金属元素及び/又は周期表第2族金属元素を含むものである、請求項1乃至4の何れか1項に記載の周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法。
  6. 前記成長工程が、周期表第13族金属元素と周期表第13族金属元素以外の金属元素とを含有する複合窒化物を原料として用いるものである、請求項1乃至5の何れか1項に記載の周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法。
JP2012053038A 2012-03-09 2012-03-09 周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法 Pending JP2013184875A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012053038A JP2013184875A (ja) 2012-03-09 2012-03-09 周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012053038A JP2013184875A (ja) 2012-03-09 2012-03-09 周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2013184875A true JP2013184875A (ja) 2013-09-19

Family

ID=49386638

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012053038A Pending JP2013184875A (ja) 2012-03-09 2012-03-09 周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2013184875A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5888208B2 (ja) 窒化物結晶の製造方法
EP1772540B1 (en) Method for preparing crystal of nitride of metal belonging to 13 group of periodic table and method for manufacturing semiconductor device using the same
JP6217825B2 (ja) GaN結晶
JP4788524B2 (ja) 第13族金属窒化物結晶の製造方法およびこれらの製造方法に用いる溶液と融液
JP4609207B2 (ja) 周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法およびそれを用いた半導体デバイスの製造方法
WO2010140665A1 (ja) 周期表第13族金属化合物結晶の製造方法及び製造装置
JP5252002B2 (ja) 第13族金属窒化物結晶の製造方法および半導体デバイスの製造方法
JP5573225B2 (ja) 第13族金属窒化物結晶の製造方法、該製造方法により得られる第13族金属窒化物結晶および半導体デバイスの製造方法
JP2010105903A (ja) 第13族金属窒化物結晶の製造方法および半導体デバイスの製造方法
JP4910760B2 (ja) 結晶成長速度制御方法、化合物結晶とその製造方法、および半導体デバイスの製造方法
JP2013184875A (ja) 周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法
JP5392317B2 (ja) 結晶製造方法および結晶成長速度制御方法
JP5392318B2 (ja) 結晶製造方法および結晶成長速度制御方法
JP2012214331A (ja) 第13族窒化物結晶の製造方法
JP4760652B2 (ja) Ga含有窒化物結晶の製造方法およびそれを用いた半導体デバイスの製造方法
JP2013189357A (ja) 周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法
JP2013203594A (ja) 周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法
JP2013203654A (ja) 周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法
JP2011256055A (ja) 第13族金属窒化物結晶の製造方法、該製造方法によって得られた第13族金属窒化物結晶、半導体デバイス、および半導体デバイスの製造方法
JP6064695B2 (ja) 窒化ガリウム結晶、及び窒化ガリウム結晶の製造方法
JP2013209229A (ja) 周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法
JP2013116839A (ja) 周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法
JP2012214332A (ja) 第13族窒化物結晶の製造方法、該製造方法により得られる第13族窒化物結晶および半導体デバイスの製造方法
JP2014177367A (ja) 周期表第13族金属窒化物半導体結晶、該周期表第13族金属窒化物半導体結晶を有するデバイス、及び周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法
JP2013189360A (ja) 周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法