JP2014177367A - 周期表第13族金属窒化物半導体結晶、該周期表第13族金属窒化物半導体結晶を有するデバイス、及び周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法 - Google Patents

周期表第13族金属窒化物半導体結晶、該周期表第13族金属窒化物半導体結晶を有するデバイス、及び周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】p型半導体層として好適な周期表第13族金属窒化物半導体結晶を提供すること、及びかかる周期表第13族金属窒化物半導体結晶を製造することができる製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】Mg濃度が1×1018atoms/cm以上、H濃度が5×1017atoms/cm以下、及びO濃度が1×1017atoms/cm以下であることを特徴とする周期表第13族金属窒化物半導体結晶が、p型半導体層として好適な結晶となり得る。
【選択図】図1

Description

本発明は、周期表第13族金属窒化物半導体結晶、該周期表第13族金属窒化物半導体結晶を有するデバイス、及び周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法に関する。
GaNに代表される周期表第13族金属窒化物半導体は、大きなバンドギャップを有し、さらにバンド間遷移が直接遷移型であることから、紫外、青色LED等の比較的短波長側の発光素子として実用化されている。
これらの発光素子を製造するためには、周期表第13族金属窒化物半導体等からなるp型半導体層及びn型半導体層を形成することが必要であり、例えばp型のドーパントとしては、Zn、Cd、Be、Mg、Ca、Ba等が、そしてこれらをドーピングする代表的な結晶成長法としては、有機金属化学蒸着法(MOCVD法)が知られている(特許文献1参照)。
しかしながら、例えばMOCVD法によって、Mgをドーピングした窒化ガリウム結晶層を形成する場合、Mgが十分にドーピングされているにも関わらず、結晶層の抵抗は非常に大きく、p型半導体層として活用できないことが従来の課題となっていた。そこで、結晶層を形成した後にアニーリングを行うことが提案され、かかる処理によって、結晶の抵抗を低減することができ、p型の窒化ガリウム結晶層を形成することが実現している(特許文献2参照)。
特開平02−257679号公報 特許第2540791号公報
特許文献2に記載されているようなアニーリングを行うことによって、低抵抗なp型の周期表第13族金属窒化物半導体結晶層を形成することが可能となったが、より良質なp型半導体層をより効率的に形成することができれば、LED等の発光素子の性能及び生産性の向上に繋がる重要な技術となり得る。
即ち、本発明はp型半導体層として好適な周期表第13族金属窒化物半導体結晶を提供すること、及びかかる周期表第13族金属窒化物半導体結晶を製造することができる製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、Mg濃度、H濃度、及びO濃度について特定の条件を満たす周期表第13族金属窒化物半導体結晶が、p型半導体層として好適な結晶となり得ることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は以下の通りである。
(1) Mg濃度が1×1018atoms/cm以上、H濃度が5×1017atoms/cm以下、及びO濃度が1×1017atoms/cm以下であることを特徴とする周期表第13族金属窒化物半導体結晶。
(2) p型半導体である、(1)に記載の周期表第13族金属窒化物半導体結晶。
(3) Mg濃度/H濃度が10以上である、(1)又は(2)に記載の周期表第13族
金属窒化物半導体結晶。
(4) Si濃度が5×1018atoms/cm以下である、(1)乃至(3)のいずれかに記載の周期表第13族金属窒化物半導体結晶。
(5) (1)乃至(4)のいずれかに記載の周期表第13族金属窒化物半導体結晶を有するデバイス。
(6) 原料及び溶媒を含む溶液又は融液を作製する工程と、前記溶液又は融液である液相並びに水素分子及び/又は水素化物を有する気相の存在下、前記液相中で周期表第13族金属窒化物半導体結晶をエピタキシャル成長させる成長工程とを含み、前記原料が周期表第1属金属及び/又は周期表第2族金属と周期表第13族金属との複合窒化物であり、前記液相がMgを含むものであることを特徴とする、周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法。
(7) 前記溶媒が金属塩を主成分とする溶媒である、(6)に記載の周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法。
本発明によれば、p型半導体層として好適な周期表第13族金属窒化物半導体結晶を提供することができる。
本発明の製造方法に使用する装置例を表す概念図である。 実施例1において得られたGaN成長層のSIMS分析結果であり、成長層の厚み方向のMg及びLiの濃度分布を表すグラフである。 実施例1において得られたGaN成長層のSIMS分析結果であり、成長層の厚み方向のH及びOの濃度分布を表すグラフである。 実施例3において得られたGaN成長層のSIMS分析結果であり、成長層の厚み方向のMg及びLiの濃度分布を表すグラフである。 実施例3において得られたGaN成長層のSIMS分析結果であり、成長層の厚み方向のH及びOの濃度分布を表すグラフである。 実施例4において作製した評価用サンプルの断面形状を表す概念図である。 実施例4において作製した評価用サンプルの電極AB間の電流−電圧特性を測定した結果である。
本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶、及び周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法ついて以下詳細に説明するが、本発明の趣旨に反しない限り、これらの内容に限定されるものではない。
なお、本明細書において「〜」を用いてあらわされる数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。また、本明細書において周期表第13族金属窒化物半導体結晶の「主面」とは、当該周期表第13族窒化物半導体結晶における最も広い面であって、結晶成長を行うべき面を指す。成長層とは、シード基板主面に対する法線方向に成長した結晶成長層であり、成長層の厚みは、該法線方向に成長した成長膜の厚みを意味する。
本発明は、周期表第13族金属窒化物半導体結晶に係る発明であるが、六方晶構造(ウルツ鉱型結晶構造)を有する周期表第13族金属窒化物半導体結晶の極性面としては、例えば(0001)面及び(000−1)面等が、非極性面としては、(10−10)面、(11−20)面及びこれらの面と結晶幾何学的に等価な面等が挙げられる。また、半極性面としては、結晶面に周期表第13族金属元素と窒素元素の両方が存在しており、その存在比が1:1でない面であれば特に限定されないが、例えば、(20−21)面、(20−2−1)面、(10−11)面、(10−1−1)面、(10−12)面、(10−
1−2)面、(11−21)面、(11−2−1)面、(11−2−2)面、(11−2−2)面、(22−41)面、(22−4−1面)及びこれらの面と結晶幾何学的に等価な面等が挙げられる。
本願明細書において、(0001)面及び(000−1)面、即ち極性面を「C面」と略する場合があり、(10−10)面及びこの面と結晶幾何学的に等価な面を「M面」と略す場合がある。
なお、本明細書においてC面、M面や特定の指数面を称する場合には、±0.01°以内の精度で計測される各結晶軸から10°以内のオフ角を有する範囲内の面を含む。好ましくはオフ角が5°以内であり、より好ましくは3°以内である。
<周期表第13族金属窒化物半導体結晶>
本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、「Mg濃度が1×1018atoms/cm以上」、「H濃度が5×1017atoms/cm以下」、及び「O濃度が1×1017atoms/cm以下」であることを特徴とする。
本発明者らは、Mgをドーピングした周期表第13族金属窒化物半導体結晶について、Mg以外の不純物濃度の影響を検討した結果、「H濃度」が抵抗に対して大きく影響することを確認した。そして、p型半導体層として良好な性能を発揮するために、「Mg濃度が1×1018atoms/cm以上」、「H濃度が5×1017atoms/cm以下」に制御することが特に重要であることを見出した。なお、「O濃度」も抵抗に関与することを確認しており、「O濃度が1×1017atoms/cm以下」であることが好ましいことを明らかとしている。
また、本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、例えば後述する製造方法によって効率的かつ安定的に製造することができる特徴を有する。Mg等をドーピングした周期表第13族金属窒化物半導体結晶については、例えばアニーリングを行うことによって抵抗を低減することができるが、後述する製造方法はアニーリングを必要とせずにp型半導体層として好適な結晶を製造することができる。従って、本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、製造効率の改善にも繋がる発明であると言える。
なお、「Mg濃度が1×1018atoms/cm以上、H濃度が5×1017atoms/cm以下、及びO濃度が1×1017atoms/cm以下である」という特徴は、結晶全体に亘って満たすことが好ましいが、一部の領域でも満たせば本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶に該当するものとする。
本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、「Mg濃度が1×1018atoms/cm以上」であることを特徴とするが、Mg濃度は好ましくは3×1018atoms/cm以上、より好ましくは5×1018atoms/cm以上であり、通常1×1020atoms/cm以下である。
また、「H濃度が5×1017atoms/cm以下」であることを特徴とするが、H濃度は好ましくは3×1017atoms/cm以下、より好ましくは1×1017atoms/cm以下、さらに好ましくは1×1016atoms/cm以下、特に好ましくは1×1015atoms/cm以下であり、通常1×1010atoms/cm以上である。
さらに、「O濃度が1×1017atoms/cm以下」であることを特徴とするが、O濃度は好ましくは8×1016atoms/cm以下、より好ましくは1×1016atoms/cm以下、さらに好ましくは1×1015atoms/cm以下、特に好ましくは1×1014atoms/cm以下であり、通常1×1010atoms/cm以上である。
その他の元素の濃度は特に限定されないが、例えばSi濃度は通常5×1018atoms/cm以下、好ましくは1×1017atoms/cm以下、より好ましくは1×1016atoms/cm以下であり、通常1×1010atoms/cm以上である。Si濃度が大きすぎる場合はSiによるMgの補償効果が無視できなくなり、導電
性の制御が困難になる可能性がある。また、Si濃度はO濃度よりも高いことが好ましい。
また、Na濃度は、通常1×1017atoms/cm以下、好ましくは1×1016atoms/cm以下、より好ましくは1×1015atoms/cm以下であり、通常1×1010atoms/cm以上である。Na濃度が大きすぎる場合には半導体としての性質が損なわれる可能性がある。
さらに、Li濃度は、通常1×1017atoms/cm以下、好ましくは1×1016atoms/cm以下、より好ましくは1×1015atoms/cm以下であり、通常1×1010atoms/cm以上である。Li濃度が大きすぎる場合には半導体としての性質が損なわれる可能性がある。
加えて、Mg濃度/H濃度としては、通常10以上、好ましくは50以上、より好ましくは100以上であり、通常10以下である。
上記範囲内であると、抵抗値を好適な範囲に抑えることができるとともに、良好な結晶性を維持することができる。
本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、「Mg濃度が1×1018atoms/cm以上、H濃度が5×1017atoms/cm以下、及びO濃度が1×1017atoms/cm以下である」領域を有するものであれば、結晶内の濃度分布は特に限定されないが、「Mg濃度」、「H濃度」、及び「O濃度」のそれぞれについて均一、特に厚み方向の濃度分布が均一であることが好ましい。例えば、厚み方向に1μmの範囲における濃度の最大値と最小値の差Δdとし、同様の範囲における平均濃度をCとした場合、ΔdMg/CMgは通常2以下、好ましくは1以下、より好ましくは0.1以下であり、通常0.001以上である。Δd/Cは通常5以下、好ましくは1以下、より好ましくは0.1以下である。Δd/Cは通常10以下、好ましくは5以下、より好ましくは1以下であり、通常0.001以上である。上記範囲内であると、p型半導体層としての良好な性能を発揮することができる。
本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、「Mg濃度」、「H濃度」、及び「O濃度」が特定の範囲内であれば、p型半導体としての性質の有無は特に限定されないが、p型半導体である(p型半導体としての性質を有する)ことが好ましい。p型半導体としての性質は、n型半導体と接触させた際にpn接合が形成されるか否かで判別することができる。例えば、本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶とn型半導体結晶とを接触させて、その接触界面に電位差を設けた際に整流性が得られるか否かで判別することができる。
本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、「Mg濃度」、「H濃度」、及び「O濃度」が特定の範囲内であれば、具体的な抵抗値は特に限定されないが、比抵抗値として、通常100Ωcm以下、好ましくは10Ωcm以下、より好ましくは1Ωcm以下であり、通常0.001Ωcm以上である。上記範囲内であると、p型半導体層としての良好な性能を発揮することができる。なお、抵抗率は、4点プローブ法などにより測定したシート抵抗値から算出することができる。
本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、「Mg濃度」、「H濃度」、及び「O濃度」が特定の範囲内であれば、キャリア濃度(ホール濃度)は特に限定されないが、通常1×1017cm−3以上、好ましくは1×1018cm−3以上、より好ましくは3×1018cm−3以上であり、通常1×1020cm−3以下である。上記範囲内であると、p型半導体層としての良好な性能を発揮することができる。キャリア濃度(ホール濃度)はホール効果測定やCV測定によって求めることができる。
また、本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、キャリア(ホール)の活性化
率が1%以上であることが好ましく、5%以上であることがより好ましく、10%以上であることがさらに好ましい。キャリア(ホール)の活性化率はキャリア濃度(ホール濃度)とアクセプタ不純物濃度(Mg濃度)の比によって定義される。
本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、「Mg濃度」、「H濃度」、及び「O濃度」が特定の範囲内であれば、その他については特に限定されないが、X線回折の回折ピークのロッキングカーブの半値幅(結晶性を表す物性の値)が、通常200arcsec以下、好ましくは100arcsec以下、より好ましくは50arcsec以下である。評価に用いる回折ピークは結晶の主面に応じて適宜選択することができ、例えば(001)、(100)、(201)、(10−1)などが挙げられる。上記範囲であると、p型半導体層としての良好な性能を発揮することができる。
また、本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、任意の2点において、同一回折面における回折ピークのロッキングカーブ半値幅の比(FWHM/FWHM、ただしFWHM≧FWHM)が4以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましく、1.5以下であることがさらに好ましい。上記範囲内であると、発光デバイスや電子デバイスなどの用途に用いた場合に面内で均一なデバイス特性が得られるため、歩留まりの向上に繋がる。なお、回折面としては、(201)面、(100)面、(002)面又は(102)面等が例示される。また、任意の2点を、主面における任意の2点としてもよく、その場合の2点間の距離は、主面内に含まれる任意方位の線分において、最も長い線長を有する線分の長さLの0.1倍以上とすることが好ましく、0.4倍以上とすることがより好ましい。
本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、転位密度が10/cm以下であることが好ましく、10/cm以下であることがより好ましく、10/cm以下であることがさらに好ましい。上記範囲内であると、発光デバイスや電子デバイスなどの用途に用いた場合に電流のリークパスが減少する等の傾向がある。なお、転位密度はSEM−CL像の暗点密度などから求めることができる。
本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、陽電子拡散長が25nm以上であることが好ましく、50nm以上であることがより好ましく、80nm以上であることがさらに好ましい。陽電子拡散長は、結晶中の空孔欠陥密度に依存する。結晶格子中の空孔型欠陥は、バンドギャップ中に電子準位を形成するため着色やキャリア発生の原因となり、発光素子、電子デバイスの特性に悪影響を与える。陽電子拡散長が上記範囲であれば、空孔子欠陥密度が小さく、良好なデバイス特性を発現できる傾向がある。なお、陽電子拡散長は陽電子消滅寿命測定によって、測定することができる。
本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、その結晶種が窒素ガリウム結晶の場合には、低温PL測定により測定されたバンド端発光(NBEピーク)に対する3.41eVにおける発光(BSFピーク)の発光強度の比(BSFピーク/NBEピーク)が0.1以下であることが好ましく、0.05以下であることがより好ましく、0.01以下であることがさらに好ましい。低温PL測定における3.41eVにおける発光は積層欠陥に由来する発光と考えられるため、上記範囲内であると、積層欠陥が少ない結晶となる傾向があり、発光デバイスや電子デバイスなどの用途に好適に用いることができる。低温PL測定は、励起光源に中心波長325nmのHe−Cdレーザーを用いて行うことができ、20K以下の測定温度で実施することができる。なお、上記範囲を充足する領域の大きさについては何ら限定されないが、例えば、上記範囲を充足する箇所が連続して1mm以上の範囲で存在することが好ましく、10mm以上の範囲で存在することがより好ましく、100mm以上の範囲で存在することがさらに好ましい。
本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、厚みが5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましく、50μm以上であることがさらに好ましく、100μm以上であることがさらに好ましい。上記範囲内であると、基板として好適に用いることができる。
また、本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、その主面の面積が1mm
以上であることが好ましく、10mm以上であることがより好ましく、100mm以上であることがさらに好ましい。上記範囲内であると、本発明の結晶上へのデバイスの作製に好適に用いることができる。
本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、主面の結晶面の面方位は何ら限定されないが、非極性面、または、半極性面であることが好ましい。六方晶系の周期表第13族金属窒化物結晶は、自発分極や圧電分極が生じることで、内部量子効率が低下するという問題がある。自発分極の生じない非極性面、または、自発分極の小さい半極性面上に結晶を形成することができれば、内部量子効率が低下する等の問題を解決できる。
本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、その表面が平坦な形状、または、凹凸形状のいずれであってもよく、状況により適切な表面形状をとることが好ましい。一般的に凹部と凸部の高低差は1mm以下であることが好ましく、0.1mm以下であることがより好ましく、また、0.3nm以上であることが好ましく、1nm以上であることがより好ましい。本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶上に新たな半導体結晶層の成膜を行う際は、表面の凹凸が小さく平坦であるほど好ましく、均一な膜厚の成膜が可能となる傾向がある。一方、本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶の表面に電極を形成する際は、凹部と凸部の高低差が大きいほど電極との接触面積が大きくなるため、オーミック接触を実現し易くなる可能性がある。
本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、その表面に、異なる面方位の面を含むファセット結晶部を有することが好ましく、該ファセット結晶部を複数有することがより好ましい。異なる面方位の組み合わせは何ら限定されないが、少なくとも極性面を含むことが好ましく、例えば、C面と半極性面、C面と非極性面の組み合わせなどが挙げられる。ファセット結晶部によって表面に凹凸が形成された場合には、凹部と凸部の高低差は0.01μm以上であることが好ましく、0.1μm以上であることがより好ましい。デバイス構造を作製時に、非極性面又は半極性面である主面上にメタル電極を形成したとしてもオーミック接触を実現することが困難であるが、該主面上に少なくとも極性面を含むファセット結晶部を形成することでオーミック接触を容易に実現することができる場合がある。
本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶の種類は、周期表第13族金属を含む窒化物結晶であれば特に限定されないが、例えば、GaN、AlN、InN等の1種類の周期表第13族金属を構成元素として含む窒化物のほかに、GaInN、GaAlN等の2種類以上の周期表第13族金属を構成元素として含む混晶が挙げられる。
本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、「Mg濃度」、「H濃度」、及び「O濃度」が特定の範囲内であれば、その用途は特に限定されないが、発光素子等のデバイスのp型半導体層として特に好適である。
<デバイス>
本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、発光素子等のデバイスのp型半導体層として特に好適であることを前述したが、本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶を有するデバイス(以下、「本発明のデバイス」と略す場合がある)も本発明の一態様
である。
本発明のデバイスは、前述の周期表第13族金属窒化物半導体結晶を有するものであれば、デバイスの具体的種類や構成は特に限定されず、周期表第13族金属窒化物半導体結晶を下地基板や結晶層として含む公知のものの何れであってもよい。例えば紫外〜青色の短波長側の発光素子、緑色〜赤色の長波長側の発光素子、電子デバイス等が挙げられる。本発明のデバイスとしては、特に紫外〜青色の発光ダイオード又は半導体レーザーであることが好ましい。
<周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法>
本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、「Mg濃度」、「H濃度」、及び「O濃度」が特定の範囲内であれば、具体的な製造方法は特に限定されず、ハイドライド気相成長法(HVPE法)、有機金属化学蒸着法(MOCVD法)、有機金属塩化物気相成長法(MOC法)、昇華法等の気相成長法、或いは融液成長、高圧溶液法、フラックス法、安熱法等の液相成長法等の公知の成長方法及び成長条件を適宜採用して製造することができる。但し、「Mg濃度」、「H濃度」、及び「O濃度」を特定の範囲に制御し易くなることから、以下の(A)〜(C)の条件の少なくとも1つを満たした成長方法及び/又は成長条件であることが好ましい。
(A)成長雰囲気中(種結晶表面上以外)において、Mg原料とN原料とが反応することができ、Mg成分が窒化させた状態(Mg−N)で種結晶表面上に到達することができること。
(B)副生成物が生じる平衡反応によってエピタキシャル成長が進行し、副生成物の濃度を調節することができること。
(C)成長雰囲気中に、酸素(O)及び/若しくは含酸素化合物(例えばHO、SiO)を除去並びに/又は捕集することができる成分を含むこと。
前述の(A)の条件は、製造される周期表第13族金属窒化物半導体結晶の「H濃度」を低減する効果がある条件である。例えばMOCVD法によって、Mgをドーピングした周期表第13族金属窒化物半導体結晶を得る場合、Mgが十分にドーピングされているにもかかわらず、結晶の抵抗は非常に大きくなり、p型半導体層として活用するためには、さらに電子線照射やアニーリング等の処理を行う必要がある。これはMg成分が成長雰囲気中に存在する水素成分と反応して、水素化された状態(Mg−H)で結晶に取り込まれるためであると考えられ、MgアクセプタがHによって不活性化し、抵抗が大きくなるものと考えられる。一方、成長雰囲気中でMg原料とN原料とが反応することができる成長方法及び/又は成長条件である場合、アニーリング等を行わなくても、H濃度の低い周期表第13族金属窒化物半導体結晶を製造することができることを、本発明者らは見出している。これは、成長雰囲気中において、Mg成分が窒化させた状態(Mg−N)を作り出すことができ、Mg成分が水素化された状態(Mg−H)で結晶に取り込まれることを防ぐ効果があるためであると考えられる。
前述の(B)の条件は、製造される周期表第13族金属窒化物半導体結晶の結晶性を高めるとともに、「O濃度」を低減する効果がある条件である。副生成物が生じる平衡反応によってエピタキシャル成長が進行し、副生成物の濃度を調節することができる成長方法及び/又は成長条件である場合、副生成物の濃度を調節によって、急激な結晶成長を抑制することができ、欠陥の発生や雑晶の産生を効果的に防止することができる。また、欠陥はO等のドーパントを取り込み易い特徴があり、欠陥の多い結晶は必然的にO濃度も高くなる傾向にある。従って、このような成長方法及び/又は成長条件を採用することによって、結晶性を高めるとともに、「O濃度」を低減することができる。
前述の(C)の条件は、製造される周期表第13族金属窒化物半導体結晶の「O濃度」を低減する効果がある条件である。成長雰囲気中には、酸素(O)や含酸素化合物(例
えばHO、SiO)が不純物として存在するため、これがドーパント源として作用し、結果O濃度の高い周期表第13族金属窒化物半導体結晶が得られることになる。酸素(O)及び/若しくは含酸素化合物(例えばHO、SiO)を除去並びに/又は捕集することができる成分を含むことによって、これらの不純物を分解し、Oドーピングを抑制して「O濃度」を低減することができる。
本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶を製造するための具体的な製造方法としては、「原料及び溶媒を含む溶液又は融液を作製する工程」と「前記溶液又は融液である液相中で周期表第13族金属窒化物半導体結晶をエピタキシャル成長させる成長工程」を含む製造方法、即ち液相成長法を利用した製造方法がより好ましい。なお、「原料及び溶媒を含む溶液又は融液を作製する工程」とは、結晶を形成する成長工程の前段階として、エピタキシャル成長に使用する液相用の溶液又は融液を調製する工程を意味し、例えば原料を溶媒に溶かす操作、又は溶媒となる化合物が常温で固体である場合、加熱等を行って融液を調製する操作も、溶液又は融液を作製する工程に含まれる。但し、原料及び溶媒を含む溶液又は融液とは、原料が溶媒に完全に溶解されている必要はなく、固体原料が分散又は固形物として溶液中に存在する不均一系であってもよいことを意味する。また、「溶液又は融液である液相中で周期表第13族金属窒化物半導体結晶をエピタキシャル成長させる成長工程」における「溶液又は融液である液相」とは、前述した溶液又は融液を作製する工程における「溶液又は融液」と必ずしも同一のものを意図するものではない。溶液又は融液を作製する工程における「溶液又は融液」は、成長工程に使用するために作製されるが、成長工程における「溶液又は融液」には、エピタキシャル成長の反応によって生じた副生成物等が含まれる場合があり、初期(エピタキシャル成長開始前)の組成と同一とは限らないためである。
このような液相成長法を利用する場合、Mgのドーピングは液相中に予めMg原料を配合しておく方法や気相を経由してMg原料を液相中に導入することによって行うことができ、結果液相はMgを含むことになる。また、「Mgを含む」とは、Mg元素を有する成分を含むことを意味し、Mg元素を有する成分の具体的種類は特に限定されないことを意味する。
また、このような液相成長法を利用する製造方法の場合、前述の成長工程は「水素分子及び/又は水素化物を有する気相の存在下」で行われることがさらに好ましい。「水素分子及び/又は水素化物を有する気相の存在下」で行われる成長工程とは、即ち反応系中に水素分子及び/又は水素化物を有する気相を有し、水素分子及び/又は水素化物をエピタキシャル成長における反応に利用した成長工程であることを意味する。詳細については後述するものとするが、水素分子及び/又は水素化物を有する気相の存在下で行われると、前述の(A)〜(C)の条件を満たすことに繋がり、「Mg濃度」、「H濃度」、及び「O濃度」を特定の範囲により制御し易くなる。なお、「水素分子及び/又は水素化物を有する気相」とは、気相中に水素分子(H)、或いはアンモニア(NH)等の水素化物が少なくとも含まれることを意味し、例えば窒素分子(N)等の水素分子、水素化物以外の成分が含まれてもよいことを意味する。
加えて、液相成長法を利用する製造方法の場合、「原料が周期表第1属金属及び/又は周期表第2族金属と周期表第13族金属との複合窒化物」であることがさらに好ましい。詳細については後述するものとするが、原料が周期表第1属金属及び/又は周期表第2族金属と周期表第13族金属との複合窒化物であると、これもまた前述の(A)〜(C)の条件を満たすことに繋がり、「Mg濃度」、「H濃度」、及び「O濃度」を特定の範囲により制御し易くなる。
因みに「原料及び溶媒を含む溶液又は融液を作製する工程と、前記溶液又は融液である液相並びに水素分子及び/又は水素化物を有する気相の存在下、前記液相中で周期表第13族金属窒化物半導体結晶をエピタキシャル成長させる成長工程とを含み、前記原料が周期表第1属金属及び/又は周期表第2族金属と周期表第13族金属との複合窒化物であり、前記液相がMgを含むものであることを特徴とする、周期表第13族金属窒化物半導体
結晶の製造方法」は、本発明の一態様である(以下、「本発明の製造方法」と、本発明の製造方法における成長工程を「本発明に係る成長工程」と略す場合がある)。かかる製造方法は、前述の(A)〜(C)の条件を全て満たすこととなり、p型半導体層として好適な周期表第13族金属窒化物半導体結晶、特に本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶を効率良く、安定的に製造することができる。
前述のように、例えばMOCVD法によって、Mgをドーピングした周期表第13族金属窒化物半導体結晶を得る場合、Mgが十分にドーピングされているにもかかわらず、結晶の抵抗は非常に大きくなり、p型半導体層として活用するためには、さらにアニーリング等の処理を行うことが必要となる。これは、Mgと共に取り込まれたHが、Mgアクセプタを不活性化するためであると考えられ、アニーリングはそのHを取り除く作用があると考えられる。しかしながら、得られた結晶をアニーリングすると、クラックや割れ、表面荒れ等が発生する場合があり、結晶品質及び安定性の観点から好ましくないほか、別途アニーリング工程を行うことは効率の観点からも好ましくない。
即ち、本発明者らは、アニーリングを行うことなく、p型半導体層として好適な周期表第13族金属窒化物半導体結晶を効率良く、安定的に製造することができる製造方法を見出したのである。
以下、本発明の製造方法の具体例として、成長工程に使用する装置の概念図(図1)を参照し、LiGaNを原料として用い、水素ガス(H)及び窒素ガス(N)を気相に導入してGaNを結晶成長させる場合、及びLiGaNを原料として用い、アンモニアガス(NH)を気相に導入してGaNを結晶成長させる場合を挙げて詳細に説明するが、かかる態様に限定されないことは言うまでもない。なお、「原料及び溶媒を含む溶液又は融液を作製する工程」は、成長工程に使用する図1の装置内で行うことができる。例えば、反応容器104内に原料106及び溶媒となる化合物を入れておき、電気炉102で反応管103を加熱することによって、溶液又は融液108を作製することが挙げられる。
原料であるLiGaN106は、溶媒に溶解し、同じく液相(溶液又は融液)108中に存在する種結晶105の表面上に到達して、下記式[1]に示される反応によって結晶成長(GaNの成長)が進行する。なお、かかる反応は平衡反応であり、副生成物としてLiN等の周期表第1族金属窒化物(又は周期表第2族金属窒化物)が生成されることになる。
Figure 2014177367
気相109に導入した水素ガス(H)及び窒素ガス(N)、又はアンモニアガス(NH)は、直接又は液相中に溶解し、前述の反応で生成したLiN等の副生成物と反応して、水素化リチウム、リチウムイミド、及び/又はリチウムアミドを生成させることになる。なお、リチウムアミドが生成する反応は、下記式[2]又は[3]に示される反応によって進行すると考えられる(かかる反応もまた平衡反応である)。
また、Mgのドーピングについては、例えば液相108中にMgCl等のMg元素を有する成分を配合することによって行うことができ、液相中のMg濃度を調節することによって、キャリア濃度(ホール濃度)を調節することができる。
Figure 2014177367
本発明に係る成長工程は、「水素分子及び/又は水素化物を有する気相の存在下」で行われることを特徴としているが、前述のようにこれはリチウムイミドやリチウムアミド等のN含有化合物を生成させることになり、液相中のN濃度を比較的高い水準に保つことが可能となる(例えば、Naフラックス法等に比べて、N濃度が極めて高い)。従って、配合したMg元素を有する成分がこれらのN含有化合物と反応する機会を高め、Mg成分が窒化された状態(Mg−N)で種結晶表面上に到達することを可能とする。即ち、本発明に係る成長工程は、前述の(A)の条件を満たす成長方法及び/又は成長条件となり得るのである。
また、本発明の製造方法は、「原料が周期表第1属金属及び/又は周期表第2族金属と周期表第13族金属との複合窒化物」であることを特徴としているが、このような原料を用いることによって、上記式[1]に示される反応のように平衡反応によってエピタキシャル成長が進行し、LiN等の副生成物を生じることとなる。さらに成長工程が「水素分子及び/又は水素化物を有する気相の存在下」で行われることにより、生成したLiN等の副生成物からリチウムアミド等が生成されることになるが、かかる反応もまた平衡反応であるため、気相中の水素ガス(H)及び/若しくは窒素ガス(N)、並びに/又はのアンモニアガス(NH)の濃度を制御することによって、LiN等の副生成物の濃度を調節することができる。即ち、本発明に係る成長工程は、前述の(B)の条件を満たす成長方法及び/又は成長条件となり得るのである。
さらに、本発明に係る成長工程において利用される水素分子及び/又は水素化物は、成長雰囲気中に存在する酸素(O)及び/又は含酸素化合物(例えばHO、SiO)を還元して、除去する役割も果たすことになる。即ち、本発明に係る成長工程は、前述の(C)の条件を満たす成長方法及び/又は成長条件となり得るのである。
[原料]
本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶を製造するために使用する(液相成長法における)原料は、目的とする周期表第13族金属窒化物半導体結晶に応じて適宜設定することができるが、周期表第13族金属及び周期表第13族金属以外の金属を含有する複合金属窒化物が好ましい。周期表第13族金属以外の金属の具体的種類は特に限定されないが、本発明の製造方法における原料のように周期表第1族金属、周期表第2族金属等が挙げられる。即ち、周期表第13族金属と周期表第13族金属以外の金属とを含有する複合窒化物としては、LiGaN、CaGa、BaGa、MgGaN等の周期表第13族金属と周期表第1族金属及び/又は周期表第2族金属とを含有する複合窒化物が挙げられる。なお、周期表第13族金属と周期表第1族金属及び/又は周期表第2族金属とを含有する複合窒化物は、例えば周期表第13族金属窒化物粉体と周期表第1族金属及び/又は周期表第2族金属窒化物粉体(例えばLiN、Ca)とを混合した後、加熱する方法(固相反応);周期表第13族金属と周期表第1族金属及び/又は周期表第2族金属とを含む合金を作製し、窒素雰囲気中で加熱する方法;等により調製することができる。例えばLiGaNは、Ga−Li合金を窒素雰囲気中で600〜800℃で加熱処理することによって作製することができる。また、原料中に含有するSi濃度は少ないほど好ましく、20ppm以下であることが好ましく、10ppm以
下であることがより好ましく、5ppm以下であることがさらに好ましい。周期表第6族金属元素(Mo、W)を含む反応容器の中で合成することで上記Si含有濃度の少ない原料を得ることができる。また、外部環境からのSiの混入を防ぐために、上記合成を行う際の反応容器に反応物質を入れる作業は、粒径が0.3μmの粒子を99.97%以上集塵できるフィルターを備えたクリーンブース内で行うことが好ましい。
周期表第13族金属と周期表第1族金属及び/又は周期表第2族金属とを含有する複合窒化物以外の原料としては、周期表第13族金属窒化物そのものを用いることができる。その他に、例えば周期表第13族金属と周期表第1族金属及び/又は周期表第2族金属との合金からなるターゲットを用い、反応性スパッター法によって窒素プラズマと反応させて合成した混合窒化物膜を挙げることもできる。かかる混合窒化物膜は、化学的に合成が難しいような窒化物を用いる場合に好適である。
原料が成長工程における条件下で固体である場合には、かかる固体原料は溶媒に完全に溶解している必要はない。一部が溶解せずに反応容器内に存在する場合であっても、結晶成長により消費された分が、随時、溶媒中に供給されることとなる。また、溶媒に対する原料の設置量は、特に限定されず目的に応じて適宜設定することができるが、液相に対して、通常2質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、通常50質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。上記範囲内であると、連続生産のための効率性を高めることができ、さらに反応容器内のスペースを確保できる。
本発明に係る成長工程は、「水素分子及び/又は水素化物を有する気相の存在下」で行われることを特徴としているが、水素化物の具体的種類、気相中の水素分子及び/又は水素化物の濃度等は特に限定されない。水素化物としては、アンモニア(NH)、メタン(CH)、エタン(C)等が挙げられるが、アンモニア(NH)が特に好ましい。また、前述のように気相中には水素分子、水素化物以外の成分が含まれてもよく、例えば窒素分子(N)等が含まれてもよい。以下、水素分子(H)を含む場合、アンモニア(NH)を含む場合、窒素(N)を含む場合のそれぞれの濃度等の条件について詳細に説明する。
水素分子(H)を含む場合、気相中のH濃度は、通常0.001mol%以上、好ましくは0.1mol%以上、より好ましくは1mol%以上であり、通常99.9mol%以下、好ましくは99mol%以下、より好ましくは90mol%以下である。
アンモニア(NH)を含む場合、気相中のNH濃度は、通常0.001mol%以上、好ましくは0.01mol%以上、より好ましくは0.1mol%以上であり、通常99.9mol%以下、好ましくは99mol%以下、より好ましくは90mol%以下である。
窒素分子(N)を含む場合、気相中のN濃度は通常0.1mol%以上、好ましくは1mol%以上、より好ましくは10mol%以上であり、通常100mol%以下、好ましくは99.9mol%以下、より好ましくは99mol%以下である。
さらにこれらの成分については、予め気相に含ませておくほか、結晶成長中に逐次供給してもよい。
さらにこれらの成分については、予め気相に含ませておくほか、結晶成長中に逐次供給してもよい。
水素ガス(H)を逐次供給する場合、供給流量は常温常圧に換算した量で、通常0.0001L/min以上、好ましくは0.001L/min以上、より好ましくは0.01L/min以上であり、通常10L/min以下、好ましくは5L/min以下、より好ましくは1L/min以下である。
アンモニアガス(NH)を逐次供給する場合、通常0.0001L/min以上、好ましくは0.001L/min以上、より好ましくは0.01L/min以上であり、通
常10L/min以下、好ましくは5L/min以下、より好ましくは1L/min以下である。
窒素分子(N)を逐次供給する場合、供給流量は常温常圧に換算した量で、通常0.001L/min以上、好ましくは0.01L/min以上、より好ましくは0.1L/min以上であり、通常100L/min以下、好ましくは50L/min以下、より好ましくは10L/min以下である。
水素ガス(H)と窒素ガス(N)の混合ガスを逐次供給する場合(H:10vol%の場合)、通常0.001L/min以上、好ましくは0.01L/min以上、より好ましくは0.1L/min以上であり、通常100L/min以下、好ましくは50L/min以下、より好ましくは10L/min以下である。
アンモニアガス(NH)と窒素ガス(N)の混合ガスを逐次供給する場合(NH:2.7vol%の場合)、通常0.001L/min以上、好ましくは0.01L/min以上、より好ましくは0.1L/min以上であり、通常100L/min以下、好ましくは50L/min以下、より好ましくは10L/min以下である。
上記範囲内であると、本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶を効率良く製造することができる。
Mgをドーピングするために使用するMg元素を有する成分の種類は特に限定されないが、MgCl、MgF、MgI等のハロゲン化マグネシウムが好ましく、MgClが特に好ましい。また、液相(溶液又は融液)中におけるMg原料の濃度は、その他の条件によって適宜設定されるべきものであるが、MgClの場合、通常0.0001質量%以上、好ましくは0.001質量%以上であり、通常10質量%以下、好ましくは1質量%以下である。上記範囲であると、p型半導体層としてより好適な周期表第13族金属窒化物半導体結晶を製造することができる。
[溶媒]
本発明に係る成長工程において、液相(溶液又は融液)に使用する溶媒は特に限定されないが、金属塩を主成分として含むものが好ましい。金属塩の含有量は50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。特に金属塩を融解した溶融塩を溶媒として用いることが好ましい。溶媒中のSi含有濃度は低いほど好ましく、金属塩を用いる場合は、10pm以下であることが好ましく、1ppm以下であることがより好ましく、0.05ppm以下であることがさらに好ましい。
金属塩の種類は、結晶成長を阻害しないものであれば特に限定されないが、Li、Na、K等の周期表第1族金属及び/又はMg、Ca、Sr等の周期表第2族金属のハロゲン化物、炭酸塩、硝酸塩、イオウ化物等を挙げることができる。具体的には、LiCl、KCl、NaCl、CaCl、BaCl、CsCl、LiBr、KBr、CsBr、LiF、KF、NaF、LiI、NaI、CaI、BaI等の金属ハロゲン化物が好ましく、LiCl、KCl、NaCl、CsCl、CaCl、BaClがより好ましい。金属塩の種類は1種類に限定されず、複数種類の金属塩を適宜組み合わせて用いてもよい。なかでも、ハロゲン化リチウムとこれ以外の金属塩を併用することがより好ましい。ハロゲン化リチウムの含有率は金属塩の全体量に対して30%以上が好ましく、80%以上がさらに好ましい。
また、周期表第13族金属と周期表第1族金属及び/又は周期表第2族金属とを含有する複合窒化物の溶解度を増加させるために、例えばLiN、Ca、Mg、Sr、Baなどの周期表第1族金属又は周期表第2族金属の窒化物等が溶媒に含まれていることが好ましい。
金属塩は、一般的に吸湿性が強いため、多くの水分を含んでいる。そのため、使用する
溶媒は予め精製しておくことが好ましい。精製方法は特に限定されないが、例えば特開2007−084422号に記載されている装置を用い、溶媒に反応性気体を吹き込む方法が挙げられる。例えば、常温で固体の金属塩を溶媒とする場合には、加熱して融解し、塩化水素、ヨウ化水素、臭化水素、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム、ヨウ化アンモニウム、塩素、臭素、又はヨウ素等の反応性気体を吹き込みバブリングすることによって水分等の不純物を取り除くことができる。塩化物の溶融塩に対しては、特に塩化水素を用いることが好ましい。
[種結晶(シード)]
本発明に係る成長工程において、液相に種結晶を設置することが好ましい。種結晶はGaN、InGaN、AlGaN等の目的とする周期表第13族金属窒化物半導体結晶と同種のものを用いるほか、サファイア、ZnO、BeO等の金属酸化物、SiC、Si等の珪素含有物、又はGaAs等を用いることができる。本発明で成長させる周期表第13族金属窒化物半導体結晶との整合性を考えると、最も好ましいのは周期表第13族金属窒化物半導体結晶である。種結晶の形状も特に制限されず、平板状であっても、棒状であってもよい。棒状の種結晶を用いる場合には、最初に種結晶部分で成長させ、次いで水平方向にも結晶成長を行いながら、垂直方向に結晶成長を行うことによってバルク状の結晶を作製することもできる。種結晶上に効率よく周期表第13族金属元素を成長させるためには、種結晶周辺に雑晶を成長させたり、付着させたりしないことが好ましい。雑晶とは種結晶上以外に成長する粒子径の小さい結晶であり、雑晶が種結晶付近に存在すると液相中の周期表第13族金属窒化物成分を種結晶上の成長と雑晶の成長で分け合うことになり、種結晶上の周期表第13族金属窒化物半導体結晶の成長速度が十分に得られない。
[反応容器]
液相を保持するために用いる反応容器の形態は、特に限定されず、目的に応じて適宜設定することができる。また、反応容器の材質は、本発明の製造方法における反応を阻害しないものであれば特に限定されないが、熱的および化学的に安定な金属、酸化物、窒化物、炭化物等を主成分とすることが好ましい。具体的には、周期表第6族金属元素(Mo、W)を含む金属、または周期表第4族金属元素(Ti、Zr、Hf)を含む金属であることが好ましい。周期表第6族金属元素(Mo、W)を含む反応容器を用いる場合は、反応容器材質中のSi含有量は少ないほど好ましく、100ppm以下であることが好ましく、50ppm以下であることがより好ましく、10ppm以下であることがさらに好ましい。また、加工性や機械的耐久性の観点においては、周期表第4族金属元素(Ti、Zr、Hf)を含む反応容器を用いることが好ましく、90質量%以上が前記第4族金属元素である金属を用いることがより好ましく、99質量%以上が前記第4族金属元素である金属を用いることがさらに好ましい。さらにこれらの反応容器の表面は、周期表第4族金属元素の窒化物からなることが好ましく、後述するような窒化処理方法によってあらかじめ窒化物を形成することが好適である。
[部材の窒化処理方法]
前述した反応容器のほか成長工程に使用する部材、例えば撹拌翼、シード(種結晶)保持棒、シード(種結晶)保持台、バッフル、ガス導入管、バルブ等については、以下に説明する窒化処理を行って、溶液又は融液に接触する表面に強固かつ安定な窒化物を形成しておくことが好ましい。加工性や機械的耐久性を保つために、窒化物を窒化膜の形態で形成してもよい。
窒化処理方法は表面に形成される窒化物が安定であれば特に限定はないが、例えば前記反応容器の部材を700℃以上の窒素雰囲気下において加熱保持することで、前記部材表面に安定な窒化膜を形成することができる。
更には、高温下でアルカリ金属窒化物やアルカリ土類金属窒化物を窒化剤として使用して前記部材表面を窒化することも可能であり、好ましくはアルカリ金属ハロゲン化物やア
ルカリ土類金属ハロゲン化物と前記アルカリ金属窒化物やアルカリ土類金属窒化物との混合融液中に保持することで、安定な窒化膜を形成することができる。また、実際に結晶成長を行なう条件と同様の条件下に部材を保持することで、簡便に窒化処理を行なうこともできる。
[原料と溶媒の反応容器への充填作業、成長工程における温度・圧力・その他の条件]
反応容器に原料、溶媒を充填する作業は、外部環境からのSiの混入を防ぐために、粒径が0.3μmの粒子を99.97%以上集塵できるフィルターを備えたクリーンブース内で行うことが好ましい。
成長工程における温度条件は、通常200℃以上、好ましくは400℃以上、より好ましくは600℃以上であり、また、通常1000℃以下、好ましくは850℃以下、より好ましくは800℃以下である。
また、成長工程の圧力条件は、製造装置が簡便になり工業的に有利に製造できることから、通常10MPa以下であり、好ましくは3MPa以下、さらに好ましくは0.3MPa以下、より好ましくは0.11MPa以下であって、通常0.01MPa以上、好ましくは0.09MPa以上である。
結晶成長の成長速度は、上記温度、圧力等によって調節することが可能であり、特に限定されるものではないが、通常0.1μm/h以上、好ましくは1μm/h以上、10μm/h以上であり、通常1000μm/h以下である。なお、本発明における成長速度は、成長した結晶の増加質量を換算して算出した厚みを、正反応促進工程を実施した時間で除することで求めることができる。
また、原料を液相内に均一に分布させるために、液相を攪拌することが望ましい。攪拌方法は特に限定されないが、種結晶を回転させて攪拌する方法、攪拌翼を入れ回転させて攪拌させる方法、ガスで液相をバブリングする方法、送液ポンプで攪拌する方法等が挙げられる。
本発明に係る成長工程についてのその他の条件は特に限定されず、フラックス法等の液相成長法に用いられる手法を適宜採用して、本発明の成長工程に適用してもよい。具体的には、フラックス法で主に用いられている温度差(Gradient Transport)法、徐冷(Slow Cooling)法、温度サイクル(Temperature
Cycling)法、るつぼ加速回転(Accelerated Crucible Rotation)法、トップシード(Top−Seeded Solution Growth)法、溶媒移動法及びその変形である溶媒移動浮遊帯域(Traveling−Solvent Floating−Zone)法並びに蒸発法等、さらにはこれらの方法を任意に組み合わせた方法が挙げられる。
本発明の製造方法は前述した工程のほか、得られた結晶を目的の大きさにするスライスするスライス工程、表面を研磨する表面研磨工程等が含まれてもよい。スライス工程としては、具体的にはワイヤースライス、内周刃スライス等が挙げられ、表面研磨工程としては、例えばダイヤモンド砥粒等の砥粒を用いて表面を研磨する操作、CMP(chemical mechanical polishing)、機械研磨後RIEでダメージ層エッチングする操作が挙げられる。
本発明の製造方法によって製造する周期表第13族金属窒化物半導体結晶の種類は、周期表第13族金属元素を含む窒化物結晶であれば特に限定されないが、例えばGaN、AlN、InN等の1種類の周期表第13族金属元素を構成元素として含む窒化物のほかに、GaInN、AlGaN等の2種類以上の周期表第13族金属元素を構成元素として含む混晶が挙げられる。
以下、実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明するが、以下の実施例に示す具体的な形態にのみ限定的に解釈されることはない。
<実施例1>
(1)固体のLiGaN 4.5gを外径34mm、内径30mm、高さ200mmのチタン(Ti)製の反応容器に入れ、次いで溶媒としてLiCl 44.7g、MgCl 0.46gを、炭化タングステン製乳鉢で粉砕してから反応容器に入れた。固体のLiGaNは、篩を使用して710μm以上2mm以下の粒径のものを選んで使用した。次に反応容器とGaNシードを取り付けたタングステン製シード保持棒をSUS製反応管内にセットし、反応管のガス導入口およびガス排気口を閉状態にした。これらの操作は全てArボックス中で行った。
(2)反応管をArボックスから取り出し、電気炉にセットした。反応管にガス導入管をつなぎ、導入管中を減圧にした後、さらに反応管のガス導入口を開いて反応管内を減圧にしてからアンモニア窒素混合ガス(NH:2.7vol%)で大気圧まで復圧し、反応管内をアンモニア窒素混合雰囲気とした。その後、反応管のガス排気口を開き、アンモニア窒素混合ガス(NH:2.7vol%)を流量計設定値100cm/min(20℃、1atmに対する換算値)で流通させた。
(3)電気炉の加熱を開始し、反応容器の内部が室温から735℃になるまで1時間で昇温し、塩であるLiClを溶融させた。
(4)735℃で2時間保持した後、シード保持棒の先端に取り付けたシードを反応容器中の溶液(融液)中に投入し、結晶成長を開始した。シードには(20−21)面を主面とするGaN基板(厚み300μm、大きさ5×10mmの板状)を用いた。
(5)735℃で20時間成長させた後、シードを溶液から引き上げてから炉の加熱を止め、SUS製反応管を冷却した。冷却後、反応管からシードを取り出し、シードに付着した塩を水で溶かした。シードの主面にGaN結晶からなる4μmの成長層が形成されていた。
得られたGaN成長層のSIMS分析を実施したところ、Mg濃度は1×1019atoms/cm、H濃度は検出下限(2×1017atoms/cm)以下、O濃度は検出下限(5×1016atoms/cm)以下、Si濃度は2×1018atoms/cmであり、Mg/Hは、50以上であった。これらの結果は得られたGaN成長層がHやOを取り込むことなくMgを取り込んで成長したことを示している。また、SIMS分析における各元素の厚み方向の濃度分布を図2及び3に示す。Mg濃度、H濃度、O濃度について、厚み方向の濃度分布(深さ0〜3.0μmの範囲)が均一であることが明らかである。厚み方向に1μmの範囲における濃度の最大値と最小値の差Δdとし、同様の範囲における平均濃度をCとした場合、ΔdMg/CMgは0.04〜0.05、Δd/Cは0.8〜2.0、Δd/Cは0.3〜0.5、ΔdSi/CSiは0.7〜1.6であった。
得られたGaN成長層のX線回折の(201)回折ピークのロッキングカーブを測定したところ、その半値幅はc軸と平行方向にX線を入射した場合51arcsecであり、c軸と垂直方向にX線を入射した場合39arcsecであった。また、同様に(001)回折ピークのロッキングカーブを測定したところ、その半値幅はc軸と垂直方向にX線を入射した場合30arcsecであった。いずれの結果も得られたGaN成長層の結晶性が良好であることを示している。
<実施例2>
(1)固体のLiGaN 4.5gを外径34mm、内径30mm、高さ200mmのチタン(Ti)製の反応容器に入れ、次いで溶媒としてLiCl 45g、MgCl
0.045gを、炭化タングステン製乳鉢で粉砕してから反応容器に入れた。固体のL
GaNは、篩を使用して710μm以上2mm以下の粒径のものを選んで使用した。次に反応容器とGaNシードを取り付けたタングステン製シード保持棒をSUS製反応管内にセットし、反応管のガス導入口およびガス排気口を閉状態にした。これらの操作は全てArボックス中で行った。
(2)反応管をArボックスから取り出し、電気炉にセットした。反応管にガス導入管をつなぎ、導入管中を減圧にした後、さらに反応管のガス導入口を開いて反応管内を減圧にしてから水素窒素混合ガス(H:10vol%)で大気圧まで復圧し、反応管内を水素窒素混合雰囲気とした。その後、反応管のガス排気口を開き、水素窒素混合ガス(H:10vol%)を流量計設定値100cm/min(20℃、1atmに対する換算値)で流通させた。
(3)電気炉の加熱を開始し、反応容器の内部が室温から740℃になるまで1時間で昇温し、塩であるLiClを溶融させた。
(4)740℃で2時間保持した後、シード保持棒の先端に取り付けたシードを反応容器中の溶液(融液)中に投入し、結晶成長を開始した。シードには(10−10)面を主面とするGaN基板(厚み300μm、大きさ5×10mmの板状)を用いた。
(5)740℃で70時間成長させた後、シードを溶液から引き上げてから炉の加熱を止め、SUS製反応管を冷却した。冷却後、反応管からシードを取り出し、シードに付着した塩を水で溶かした。シードの主面にGaN結晶からなる7μmの成長層が形成されていた。成長層の表面には極性面、及び、半極性面からなるファセットが形成されていた。
得られたGaN成長層のSIMS分析を実施したところ、Mg濃度は1×1019atoms/cm、H濃度は検出下限(2×1017atoms/cm)以下、O濃度は検出下限(5×1016atoms/cm)以下、Si濃度は1×1018atoms/cmであり、Mg/Hは、50以上であった。これらの結果は得られたGaN成長層がHやOを取り込むことなくMgを取り込んで成長したことを示している。
<実施例3>
(1)固体のLiGaN 4.5gを外径34mm、内径30mm、高さ200mmのジルコニウム(Zr)製の反応容器に入れ、次いで溶媒としてLiCl 45g、MgCl 0.045gを、炭化タングステン製乳鉢で粉砕してから反応容器に入れた。固体のLiGaNは、篩を使用して710μm以上2mm以下の粒径のものを選んで使用した。次に反応容器とGaNシードを取り付けたタングステン製シード保持棒をSUS製反応管内にセットし、反応管のガス導入口およびガス排気口を閉状態にした。これらの操作は全てArボックス中で行った。
(2)反応管をArボックスから取り出し、電気炉にセットした。反応管にガス導入管をつなぎ、導入管中を減圧にした後、さらに反応管のガス導入口を開いて反応管内を減圧にしてから水素窒素混合ガス(H:10vol%)で大気圧まで復圧し、反応管内を水素窒素混合雰囲気とした。その後、反応管のガス排気口を開き、水素窒素混合ガス(H:10vol%)を流量計設定値100cm/min(20℃、1atmに対する換算値)で流通させた。
(3)電気炉の加熱を開始し、反応容器の内部が室温から740℃になるまで1時間で昇温し、塩であるLiClを溶融させた。
(4)740℃で2時間保持した後、シード保持棒の先端に取り付けたシードを反応容器中の溶液(融液)中に投入し、結晶成長を開始した。シードには(10−10)面を主面とするGaN基板(厚み300μm、大きさ5×10mmの板状)を用いた。
(5)740℃で7時間成長させた後、シードを溶液から引き上げてから炉の加熱を止め、SUS製反応管を冷却した。冷却後、反応管からシードを取り出し、シードに付着した塩を水で溶かした。シードの主面にGaN結晶からなる2μmの成長層が形成されていた。成長層の表面には極性面、及び、半極性面からなるファセットが形成されていた。
得られたGaN成長層のSIMS分析を実施したところ、Mg濃度は4×1019atoms/cm、H濃度は検出下限(2×1017atoms/cm)以下、O濃度は検出下限(5×1016atoms/cm)以下、Liは1×1016atoms/cmであり、Mg/Hは200以上であった。これらの結果は得られたGaN成長層がHやOを取り込むことなくMgを取り込んで成長したことを示している。また、SIMS分析における各元素の厚み方向の濃度分布を図4及び5に示す。Mg濃度、H濃度、O濃度、Li濃度について、厚み方向の濃度分布(深さ0〜1.5μmの範囲)が均一であることが明らかである。厚み方向に1μmの範囲における濃度の最大値と最小値の差Δdとし、同様の範囲における平均濃度をCとした場合、ΔdMg/CMgは0.08〜0.1、Δd/Cは0.4、Δd/Cは0.8、ΔdSi/CSiは0.2であった。
<実施例4> 成長膜のp型の是否確認
実施例2と同様の手法でGaN成長層を形成したGaN基板上に、図6に示すような電極A、Bを形成した。電極AはGaN基板(n型 キャリア濃度1×1017/cm)の上に、電極Bは表面に極性面、及び、半極性面からなるファセットを有するGaN成長層の上に形成した。電極A、Bの電流−電圧特性を測定したところ、図7に示す整流性が確認された。また、順方向に電圧を引加することで、明瞭な発光が確認された。これらの整流性、発光は、GaN基板とGaN成長層のp−n接合に起因したものであり、GaN成長層がp型であることを示している。
<参考例> 厚膜の成長
(1)固体のLiGaN 1.5gを外径34mm、内径30mm、高さ200mmのチタン(Ti)製の反応容器に入れ、次いで溶媒としてLiCl 15gを炭化タングステン製乳鉢で粉砕してから反応容器に入れた。固体のLiGaNは、篩を使用して710μm以上2mm以下の粒径のものを選んで使用した。次に反応容器とGaNシードを取り付けたタングステン製シード保持棒を石英製反応管内にセットし、反応管のガス導入口およびガス排気口を閉状態にした。これらの操作は全てArボックス中で行った。(2)反応管をArボックスから取り出し、電気炉にセットした。反応管にガス導入管をつなぎ、導入管中を減圧にした後、さらに反応管のガス導入口を開いて反応管内を減圧にしてから水素窒素混合ガス(H:20vol%)で大気圧まで復圧し、反応管内を水素窒素混合雰囲気とした。その後、反応管のガス排気口を開き、水素窒素混合ガス(H:20vol%)を流量計設定値100cm/min(20℃、1atmに対する換算値)で流通させた。
(3)電気炉の加熱を開始し、反応容器の内部が室温から740℃になるまで1時間で昇温し、塩であるLiClを溶融させた。
(4)750℃で1時間保持した後、シード保持棒の先端に取り付けたシードを反応容器中の溶液(融液)中に投入し、結晶成長を開始した。シードには(10−10)面を主面とするGaN基板(厚み320μm、大きさ5×5mmの板状)を用いた。
(5)750℃で360時間成長させた後、シードを溶液から引き上げてから炉の加熱を止め、石英製反応管を冷却した。冷却後、反応管からシードを取り出し、シードに付着した塩を水で溶かした。シードの主面にGaN結晶からなる80μmの成長層が形成されていた。
参考例は、成長時間を長くすることで厚い成長膜が得られることを示している。前記実施例1、2、及び3の手法においても、成長時間を長くすることで厚膜の成長層を容易に得ることができる。原理的には、原料であるLiGaNを消費するまで、結晶成長を持続することが可能であり、100μmを超える成長膜を得ることも可能である。また、アンモニア、または水素雰囲気濃度、成長温度を制御することで成長速度を増加させることができるため、より効率的に厚い成長層を得ることが可能である。
Figure 2014177367
100 ガス導入口
101 ガス排気口
102 電気炉
103 反応管
104 反応容器
105 種結晶(シード)
106 原料
107 シード保持棒
108 溶液又は融液(液相)
109 気相
601 電極B
602 電極A
603 成長膜(p型)
604 下地基板(n型)

Claims (8)

  1. Mg濃度が1×1018atoms/cm以上、H濃度が5×1017atoms/cm以下、及びO濃度が1×1017atoms/cm以下であることを特徴とする周期表第13族金属窒化物半導体結晶。
  2. p型半導体である、請求項1に記載の周期表第13族金属窒化物半導体結晶。
  3. Mg濃度/H濃度が10以上である、請求項1又は2に記載の周期表第13族金属窒化物半導体結晶。
  4. Si濃度が5×1018atoms/cm以下である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の周期表第13族金属窒化物半導体結晶。
  5. 非極性面、または、半極性面を主面とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の周期表第13族金属窒化物半導体結晶。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の周期表第13族金属窒化物半導体結晶を有するデバイス。
  7. 原料及び溶媒を含む溶液又は融液を作製する工程と、前記溶液又は融液である液相並びに水素分子及び/又は水素化物を有する気相の存在下、前記液相中で周期表第13族金属窒化物半導体結晶をエピタキシャル成長させる成長工程とを含み、
    前記原料が周期表第1属金属及び/又は周期表第2族金属と周期表第13族金属との複合窒化物であり、
    前記液相がMgを含むものであることを特徴とする、周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法。
  8. 前記溶媒が金属塩を主成分とする溶媒である、請求項7に記載の周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法。
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