JP5949064B2 - GaNバルク結晶 - Google Patents

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Description

本発明は、周期表第13族金属窒化物結晶に関し、特に積層欠陥の発生が抑制された周期表第13族窒化物結晶に関する。
窒化ガリウムに代表される窒化物半導体は、大きなバンドギャップを有し、またバンド間遷移が直接遷移型であることから、紫外、青色又は緑色等の発光ダイオード、半導体レーザー等の比較的短波長側の発光素子や、電子デバイス等の半導体デバイスの基板として有用な材料である。
このような窒化物半導体基板の主面は、大型の基板を効率よく製造することができるなどの理由により(0001)面であることが一般的である。しかし、(0001)面を主面とするGaN基板上にInGaNなど半導体層を形成して半導体装置を製造した場合、ピエゾ電界が生じることに起因して本来期待される特性が得られないという問題が生じた。
これに対し、非極性面や半極性面を主面とする窒化物半導体基板を用いて作製されるデバイスが検討されるようになり、非極性面や半極性面を主面とする窒化物半導体基板の大型化の技術が進んできている。例えば特許文献1では、M面を主面とする窒化物半導体バーを、側面であるC面に備えた凹凸により互いに嵌合し、窒化物半導体バーの配列上に窒化物半導体層を成長させることが開示されている。
特許文献2では、高品位で大面積の非極性面を有する窒化物半導体結晶を得るための製造方法であって、種結晶の+C軸方向に向かって結晶を成長させることが開示されている。
また、特許文献3には、非極性面である{1−100}面や{11−20}面を主表面とする窒化物半導体基板を効率よく製造する方法が開示されており、種々の半極性面を主面とするシードを用い、側面同士が互いに対向するように配置された複数のシードの主表面上にホモエピタキシャル成長を行うことが提案されている。
特開2006−315947号公報 特開2008−308401号公報 特開2011−016676号公報
しかしながら、本発明者らの検討では、非極性面または半極性面を主面とする周期表第13族金属窒化物結晶を得るべく、非極性面または半極性面を主面とする周期表第13族金属窒化物自立基板を下地基板として、その主面上に周期表第13族金属窒化物結晶を成長させていったところ、得られた結晶には多数の積層欠陥が発生していることが見出された。このような積層欠陥はデバイス特性を低下させると考えられている。
本発明は、非極性面または半極性面を主面として結晶成長させた周期表第13族金属窒化物結晶において、積層欠陥が低減された結晶を得ることを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を進め、結晶に対するX線回折を用いる測定法の一つである逆格子マッピングに着目した。そして、結晶に対し(100)逆格子マッピングを行い、最大強度を含むQx方向の強度プロファイルを切り出し、ピーク強度値に対する1/300値幅を算出することで、結晶中の積層欠陥の状況を把握できることに想到した。そして、結晶成長の条件をさまざま検討したところ、非極性面または半極性面を主面として結晶成長させた結晶であっても、一般的に積層欠陥が生じないとされている、C面を主面として結晶成長させた結晶と同等のレベルまで積層欠陥を低減させることができることに想到し、本発明を完成させた。
また、結晶に対するX線ロッキングカーブ測定において、X線をa軸に垂直に入射させて得られた(100)面ロッキングカーブと、X線をc軸に垂直に入射させて得られた(100)面ロッキングカーブとを比較して、結晶の異方性を把握することで、結晶中の積層欠陥の状況を把握できることに想到した。そして、結晶成長の条件をさまざま検討したところ、非極性面または半極性面を主面として結晶成長させた結晶であっても、一般的に積層欠陥が生じないとされている、C面を主面として結晶成長させた結晶と同等のレベルまで積層欠陥を低減させることができることに想到し、本発明を完成させた。
即ち本発明は以下のとおりである。
非極性面または半極性面を主面とするGaN下地基板上に成長させたGaN結晶からなるGaNバルク結晶であって、
GaN結晶の(100)面X線逆格子マッピングにより得られる等強度線図から導き出される、最大強度を含むQx方向の強度プロファイルにおいて、ピーク強度値に対して1/300強度値を示すQx幅が6×10-4rlu以下であることを特徴とするGaNバルク結晶。
また、前記GaN結晶の(100)面X線逆格子マッピングにより得られる等強度線図から導き出される、最大強度を含むQx方向の強度プロファイルにおいて、ピーク強度値に対して1/1000強度値を示すQx幅が1×10-3rlu以下であることが好ましい。
本発明の別の態様は以下のとおりである。
非極性面または半極性面を主面とするGaN下地基板上に成長させたGaN結晶からなるGaNバルク結晶であって、
該GaN結晶に対し、X線をa軸に垂直に入射させて得られた(100)面ロッキングカーブのピーク強度の1/300値幅を、X線をc軸に垂直に入射させて得られた(100)面ロッキングカーブのピーク強度の1/300値幅で除算した値が、1.12以上3以下であることを特徴とするGaNバルク結晶。
また、前記GaN結晶に対し、X線をa軸に垂直に入射させて得られた(100)面ロッキングカーブのピーク強度の1/1000値幅を、X線をc軸に垂直に入射させて得られた(100)面ロッキングカーブのピーク強度の1/1000値幅で除算した値が、1.15以上3以下であることが好ましい。
また、前記GaN結晶に対し、X線をa軸に垂直に入射させて得られた(100)面ロッキングカーブのピーク強度半値全幅を、X線をc軸に垂直に入射させて得られた(100)面ロッキングカーブのピーク強度の半値全幅で除算した値が、0.98以上4以下であることが好ましい。
また、GaN自立基板であることが好ましい。
また、厚さ330μm以上であることが好ましい。
本発明の周期表第13族金属窒化物結晶によると、非極性面または半極性面が主面であるにもかかわらず、積層欠陥が低減された品質の良い周期表第13族金属窒化物結晶を提供することができる。
本発明の実施例に用いる結晶製造装置を示す概略図である。 本発明の実施例で成長させた結晶のカソードルミネッセンス観察による観察写真である(図面代用写真)。
本発明の周期表第13族金属窒化物結晶について、以下詳細に説明する。構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づきされることがあるが、本発明はそのような実施態様にのみ限定されるものではない。
本発明の周期表第13族金属窒化物結晶は、非極性面または半極性面を主面とする周期表第13族金属窒化物下地基板上に、周期表第13族金属窒化物半導体層を成長させた周期表第13族金属窒化物結晶である。また、成長させた周期表第13族金属窒化物結晶の主面も、非極性面または半極性面であることが好ましい。非極性面としては{11−20}面、{10−10}面があげられ、{10−10}面であることが好ましい。
一方で、半極性面は、例えば、周期表第13族金属窒化物が六方晶であってその主面が(hklm)で表される場合、h,k,lのうち少なくとも2つが0でなく、且つmが0でない面を意味するものであり、また、(0001)面に対して傾いた面で、表面に周期表第13族元素と窒素元素の両方あるいはC面のように片方のみが存在する場合で、かつその存在比が1:1でない面を意味するものであるが、h、k、l、mはそれぞれ独立に−5〜5のいずれかの整数であることが好ましく、−3〜3のいずれかの整数であることがより好ましく、−2〜2のいずれかの整数であることがさらに好ましく、低指数面であることが好ましい。また、{10−10}面からその法線ベクトルがc軸方向に5°以上50°以下の角度で傾いた面が好ましく挙げられ、中でも6°以上30°以下の角度で傾いた面であることがより好ましく、7°以上15°以下の角度で傾いた面であることがさらに好ましい。{10−10}面からa軸方向に5°以上50°以下の角度で傾いた面が
好ましく挙げられ、10°以上40°以下の角度で傾いた面であることがより好ましく、15°以上35°以下の角度で傾いた面であることがさらに好ましい。具体的には、{20−21}面、{20−2−1}面、{30−31}面、{30−3−1}面、{10−11}面、{10−1−1}面、{10−12}面、{10−1―2}面、{40−41}面、{40−4−1}面、{50−51}面、{50−5−1}面、{60−61}面、{60−6−1}面、{11−22}面、{11−21}面などがあげられる。中でも{30−31}面、{30−3−1}面、{20−21}面、{20−2−1}面、{10−11}面、{10−1−1}面、{40−41}面、{40−4−1}面、{50−51}面、{50−5−1}面であることがより好ましく、{30−31}面、{30−3−1}面、{20−21}面、{20−2−1}面、{10−11}面、{10−1−1}面であることがさらに好ましい。
なお、ここでいう主面とは、デバイスを形成すべき面、あるいは構造体において最も広い面を意味する。
なお、本明細書において非極性面または半極性面と称する場合には、±0.01°以内の精度で計測される各結晶軸から、10°以内のオフ角を有する範囲の面を含むものとす
る。好ましくはオフ角が5°以内であり、より好ましくは3°以内である。
また、本明細書において<・・・・>との表記は方向の集合表現、[・・・・]との表記は方向の個別表現を表す。それに対して{・・・・}との表記は面の集合表現、(・・・・)との表記は面の個別表現を表す。
本発明は、従来積層欠陥が多く発生していた、非極性面または半極性面を主面とする結晶成長により製造された周期表第13族金属窒化物結晶において、積層欠陥が低減された周期表第13族金属窒化物結晶を提供するものである。
本発明の周期表第13族金属窒化物結晶は、結晶の(100)面X線逆格子マッピングにより得られる等強度線図から導き出される、最大強度を含むQx方向の強度プロファイルにおいて、ピーク強度値に対して1/300強度値を示すQx幅(Qx1/300)が6×
10-4rlu以下であることを特徴とする。
X線逆格子マッピングは、結晶性や格子歪みの状態を測定するためのX線回折による測定の一種である。本発明者らは、結晶の(100)面X線逆格子マッピングにより、結晶中の積層欠陥を把握することができることを見出した。
具体的には、結晶の(100)面X線逆格子マッピングにより得られる等強度線図から導き出される、最大強度を含むQx方向の強度プロファイルは、Qx方向を横軸とし強度を縦軸としてグラフにプロットすることで山型のピークが生じる。本発明者らは、このピーク強度に対して1/300の強度の値を示すQxの幅に着目し、このQx幅が6×10-4rlu以下である結晶が、積層欠陥が少ない結晶であることを見出した。
結晶の(100)面X線逆格子マッピングでは、X線を結晶のa軸に直交する方向から
入射することにより、c軸方向の積層異常である基底面積層欠陥を容易に捉えることができる。そのため、本発明では、結晶の(100)面X線逆格子マッピングを行った。
また、逆格子マッピングにより得られる等強度線図は、X線の2θ−ω 2軸スキャンを、2θ、ω共に角度ステップ0.005°、測定角度範囲を1°として測定することで、Qy方向の測定ステップ(測定幅)が3×10-3rluとなり、当該測定幅におけるQx方向の強度が表される。このうち、最大強度を含んだQx方向の強度プロファイルを切り取ることで、正確な強度を測定することが可能となる。
そして、切り取ったプロファイルについて、Qx方向を横軸とし強度を縦軸としてグラフにプロットすることで山型のカーブとなり、ピーク強度に対して1/300の強度の値を示すQxの幅を測定する。
ピーク強度に対して1/300の強度の値を示すQxの幅を測定し、6×10-4rlu以下であることで、本発明の周期表第13族金属窒化物結晶は積層欠陥の発生が抑制された結晶であるといえる。好ましくは4×10-4rlu以下であり、より好ましくは3×10-4rlu以下である。
また、本発明の周期表第13族金属窒化物結晶は、上記結晶の(100)面X線逆格子マッピングにより得られる等強度線図から導き出される、最大強度を含むQx方向の強度プロファイルにおいて、ピーク強度値に対して1/1000強度値を示すQx幅(Qx1/1000)が1×10-3rlu以下であることが好ましい。好ましくは7×10-4rlu以下であり、より好ましくは5×10-4rlu以下である。
なお、ピーク強度値に対して1/300強度値となるQx幅(Qx1/300)及び1/1
000強度値となるQx幅(Qx1/1000)は、積層欠陥の存在の有無と高い相関関係を表わしていることを本発明者らは確認している。
また、ピークを有する山型のカーブの評価においては、通常、FWHM(半値全幅)が用いられることが多い。しかしながら本発明者らの検討では、QxプロファイルのFWHMには積層欠陥の他に転位の影響も同時に反映され、必ずしも積層欠陥密度との相関はよい相関になっていない場合があることが判明した。これに対してQxをプロファイルした
山型のカーブの、裾部分におけるスペクトル幅の方が、積層欠陥密度と良い相関を示すことを見出した。
本発明のQx幅の測定方法は以下のとおりである。
通常逆格子マッピング測定は、2θをある値に固定してロッキングカーブ(ωスキャン)測定を行い、その後2θを微小に変化させて再びロッキングカーブ測定を行うことを繰り返す。その際2θおよびωの角度分解能が高いことが望ましい。そのため入射X線側に
は、X線ミラーや2結晶モノクロメータおよび4結晶モノクロメータ、あるいはそれらの
組み合わせが配置され、入射X線の平行度および単色性が図られていることが望ましい。
また検出器側には所謂アナライザー結晶を配置することが望ましい。また本発明の実施例における測定のように高角度分解能を有する一次元アレイ型半導体素子を検出器として用いてもよい。このようなX線回折装置を用い、まず、結晶に対し、a軸に垂直な方向にX
線を入射させ、(100)面逆格子マッピングを行う。また回折ピークに与える結晶面の湾曲(反り)の影響を排除するために、ωの回転軸に直交する方向のX線ビーム径はスリット等を用いて適切に絞る必要がある。得られた2θ−ω空間における強度マッピングをQx−Qy空間における強度マッピングに変換する。このようにして得られた逆格子マッピングデータからQy方向の最大値を通るQx方向の強度ラインプロファイルを切り出し、Qx線幅を得る。なお、本発明では、X線の2θ−ω 2軸スキャンを2θ、ω共に角度ステップ0.005°、測定角度範囲を1°として測定することができる。
得られた等強度線図から導き出される、最大強度を含むQx方向の強度プロファイルにおいて強度を観察して上記1/300強度値、および1/1000強度値を算出する。
なお、本発明の周期表第13族金属窒化物結晶のQx1/300値、およびQx1/1000値が
上記範囲となる結晶を得ることは、成長モードとして2次元成長あるいはステップフロー成長を採用することにより達成することができる。具体的には、結晶成長時の成長初期の段階(0〜15分)及び/又は本成長時において比較的低温で成長させることや、反応開始前から成長終了における雰囲気ガス(キャリアガス)として不活性ガスを用いることや、下地基板の主面のオフ角度を所定範囲のものにより達成することができる。
一方で、結晶成長において、結晶全体として結晶厚みが増加する方向に対して垂直方向に成長させる、横方向成長を行い、種結晶と、種結晶の主面上の領域と種結晶の側面からの横方向成長によって形成される領域とを除いた横方向成長上に形成される領域を取り出すことにより達成することもできる。横方向成長は、温度、原料分圧、窒素原料/周期表第13族金属原料比、原料供給口−結晶成長端距離などにより制御することが可能である。ただし、横方向成長の場合には、成長開始時のガス増加時間は通常10秒以上、好ましくは20秒以上、より好ましくは30秒以上であり、通常10分間以下、好ましくは5分間以下、より好ましくは2分間以下であることが好ましい。
また、本発明の別の態様に係る、周期表第13族金属窒化物結晶は、該周期表第13族金属窒化物結晶に対し、X線をa軸に垂直に入射させて得られた(100)面ロッキングカーブのピーク強度の1/300値幅を、X線をc軸に垂直に入射させて得られた(100)面ロッキングカーブのピーク強度の1/300値幅で除算した値が、3以下であることを特徴とし、より好ましくは2以下であり、さらに好ましくは。1.5以下であることを特徴とする。
また、前記該周期表第13族金属窒化物結晶に対し、X線をa軸に垂直に入射させて得られた(100)面ロッキングカーブのピーク強度の1/1000値幅を、X線をc軸に垂直に入射させて得られた(100)面ロッキングカーブのピーク強度の1/1000値幅で除算した値が、3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましく、1.5以下であることがさらに好ましい。
また、前記該周期表第13族金属窒化物結晶に対し、X線をa軸に垂直に入射させて得られた(100)面ロッキングカーブのピーク強度の半値全幅を、X線をc軸に垂直に入
射させて得られた(100)面ロッキングカーブのピーク強度の半値全幅で除算した値が、4以下であることが好ましく、3以下であることがより好ましく、2以下であることがさらに好ましい。
本発明の別の態様に係る、周期表第13族金属窒化物結晶は、(100)面X線ロッキングカーブ測定において、X線をa軸に垂直に入射させた場合と、X線をc軸に垂直に入射させた場合において、それぞれピーク強度に対して1/300強度値となる幅の比を特定の値とすることで、積層欠陥が低減された結晶が提供できるものである。このように、周期表第13族金属窒化物結晶に対し、X線をa軸に垂直に入射させた場合と、X線をc軸に垂直に入射させた場合のロッキングカーブ値の測定結果は、結晶の異方性を表わすものと考えられ、a軸入射におけるピーク強度に対して1/300強度値幅を、c軸入射におけるピーク強度に対して1/300強度値幅で除算した値が3以下であることで、すなわち結晶の異方性が小さい場合には、得られた結晶の積層欠陥が低減されていることに本発明者らは想到した。
また、本発明の別の態様に係る、周期表第13族金属窒化物結晶は、(100)面X線ロッキングカーブ測定において、X線をa軸に垂直に入射させた場合と、X線をc軸に垂直に入射させた場合において、a軸入射におけるピーク強度に対して1/1000強度値幅を、c軸入射におけるピーク強度に対して1/1000強度値幅で除算した値が3以下であることが好ましく、a軸入射におけるピーク強度の半値全幅を、c軸入射におけるピーク強度の半値全幅で除算した値が4以下であることが好ましい。
X線ロッキングカーブ測定は、上記Qx1/300、およびQx1/1000よりも簡易に測定で
きる方法であることから、上記X線ロッキングカーブ測定において結晶の異方性を測定することで、本発明のQx1/300、およびQx1/1000が本発明の範囲であるか否かおおよそ
判断することが可能である。
なお、本発明の周期表第13族金属窒化物結晶の異方性の要件を満たす結晶を得ることは、成長モードとして2次元成長あるいはステップフロー成長を採用することにより達成することができる。具体的には、結晶成長時の成長初期の段階(0〜15分)及び/又は本成長時において比較的低温で成長させることや、反応開始前から成長終了における雰囲気ガス(キャリアガス)として不活性ガスを用いることや、下地基板の主面のオフ角度を所定範囲のものにより達成することができる。
一方で、結晶成長において、結晶全体として結晶厚みが増加する方向に対して垂直方向に成長させる、横方向成長を行い、種結晶と、種結晶の主面上の領域と種結晶の側面からの横方向成長によって形成される領域とを除いた横方向成長上に形成される領域を取り出すことにより達成することもできる。横方向成長は、温度、原料分圧、窒素原料/周期表第13族金属原料比、原料供給口−結晶成長端距離などにより制御することが可能である。ただし、横方向成長の場合には、成長開始時のガス増加時間は通常10秒以上、好ましくは20秒以上、より好ましくは30秒以上であり、通常10分間以下、好ましくは5分間以下、より好ましくは2分間以下であることが好ましい。
また、本発明の周期表第13族金属窒化物結晶は、実際にカソードルミネッセンス観察で確認可能な基底面積層欠陥が3×103/cm以下であることが好ましい。本発明のQ
1/300を充足する周期表第13族金属窒化物結晶は、先に述べたように基底面積層欠陥
が低減された結晶であり、カソードルミネッセンス観察で確認可能な基底面積層欠陥が3×103/cm以下となる傾向にある。好ましくは、1×103/cm以下であり、より好ましくは2×102/cm以下である。
なお、100K以下の低温におけるカソードルミネッセンス観察において基底面積層欠
陥は、バンド端近傍の発光波長(MOCVD法によるアンドープ層では通常は中性ドナー
束縛励起子発光の波長)に波長を固定した波長分解像では暗線で表わされ、基底面積層欠陥由来の発光ピーク(約364nm)に波長を固定した波長分解像では明線として表される。
特に表面で観測されるa軸方向に5μm以上の長さがあるものについて、本発明では積層
欠陥であると判断する。
また、本発明の周期表第13族金属窒化物結晶は、結晶面の反りが小さい傾向にある。具体的には、40mmの距離におけるオフ角の分布が±1°以内であることが好ましい。より好ましくはオフ角の分布が±0.5°以内である。
このように、本発明の周期表第13族金属窒化物結晶は積層欠陥が低減され、また結晶格子の反りも小さい結晶である。本発明では、非極性面または半極性面を主面として成長させた周期表第13族金属窒化物結晶において、積層欠陥が低減された結晶を提供することが可能となる。
以下、本発明の周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法について説明する。
本発明に用いる種結晶は、周期表第13族金属窒化物結晶であれば種類は特段限定されるものではないが、製造しようとする周期表第13族金属窒化物結晶を構成する周期表第13族金属元素と同じ種類の周期表第13族金属元素を少なくとも含む窒化物の種結晶であることが好ましい。また、製造しようとする周期表第13族金属窒化物結晶と同一の結晶を種結晶としたホモエピタキシャル成長でも、異なる結晶を種結晶としたヘテロエピタキシャル成長でもよく、製造しようとしている窒化物結晶と同一種類の周期表第13族金属窒化物結晶であることがより好ましい。
本発明の周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法は、種結晶の主面が非極性面または半極性面であればその製造方法は特に限定されない。周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法の具体例としては、C面を主面とする周期表第13族金属窒化物結晶から非極性面または半極性面を主面とするプレートを切り出して種結晶とし、該種結晶を複数用いて周期表第13族金属窒化物半導体層を成長させる方法(いわゆるタイル法と呼ばれるもの)や、タイル法により得られたより大きな結晶から、非極性面または半極性面を主面とした単一の周期表第13族金属窒化物結晶(以下、マザーシードと称する)を作製し、種結晶とする方法などが挙げられる。
タイル法は、非極性面または半極性面を主面とするプレート状種結晶を複数準備する工程、プレート状種結晶の主面が略同一方向に向くようにして複数のプレート状種結晶を配置する工程、及びプレート状種結晶に周期表第13族金属窒化物結晶を成長させる工程、を含む方法である。この方法により、プレート状種結晶が小さい場合であっても、同様の主面を有する複数枚のプレート状種結晶を並べて、周期表第13族金属窒化物半導体層を成長させることで、非極性面または半極性面を主面とする大型の周期表第13族金属窒化物結晶を得ることができるため、好ましい。
一方マザーシードを用いる方法としては、非極性面または半極性面を主面とするプレート状種結晶を複数準備する工程、プレート状種結晶の主面が略同一方向に向くようにして複数のプレート状種結晶を配置する工程、プレート状種結晶の主面上に周期表第13族金属窒化物半導体層を成長させる工程、及び得られた周期表第13族金属窒化物半導体層から非極性面または半極性面を主面とするマザーシードを作製し、これを種結晶として、更に周期表第13族金属窒化物半導体層を成長させる工程、を含む方法である。このような方法を採用することにより、結晶の質が向上するため好ましい。なお、上記略同一とは、主面の方向の同一性を厳密に求められない意味であり、おおよそ同じ方向を向いていれば上記実施態様の目的を達成できることを、当業者は理解する。具体的には、プレート状種結晶の主面の軸方向が、プレート状種結晶間で±5°以内となるように配置することが好
ましく、より好ましくは±3°以内、さらに好ましくは±1°以内、特に好ましくは±0.2°以内である。
本発明の周期表第13族金属窒化物結晶の成長方法としては、
1)ハライド気相成長法(HVPE法)
2)有機金属化学蒸着法(MOCVD法)
3)有機金属塩化物気相成長法(MOC法)
4)昇華法
5)液相エピタキシー法(LPE法)
6)アモノサーマル法
などの公知の方法を適宜採用することができる。本発明の周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法には1)〜4)のような気相成長法を採用することが好ましく、量産性の観点からHVPE法またはMOCVD法を採用することがより好ましく、HVPE法を採用することが特に好ましい。以下、HVPE法を採用した結晶成長方法を、製造装置と共に説明する。
図1には、HVPE法を採用した製造方法に用いられる製造装置の概念図を示す。図1に図示したHVPE装置は、リアクター100内に、種結晶(シード)を載置するためのサセプター107と、成長させる周期表第13族金属窒化物結晶の原料を入れるリザーバー105とを備えている。また、リアクター100内にガスを導入するための導入管101〜104と、排気するための排気管108が設置されている。さらに、リアクター100を側面から加熱するためのヒーター106が設置されている。
リアクター100の材質としては、石英、焼結体窒化ホウ素、ステンレス等を用いることができるが、好ましい材質は石英である。リアクター100内には、反応開始前にあらかじめ雰囲気ガスを充填しておく。雰囲気ガス(キャリアガス)としては、例えば、水素、窒素、He、Ne、Arのようなガス等を挙げることができる。
結晶の歪みを抑制するとの観点から、下地基板と成長層間の歪みや基板表面の不純物汚染等に起因する3次元的な島が形成される成長モードを抑制し、2次元成長あるいはステップフロー成長を採用することが好ましく、かかる観点から、雰囲気ガスを不活性ガスとすることが好ましく、窒素ガスとすることがより好ましい。これらのガスは1種のみで用いてもよく、混合して用いてもよい。雰囲気ガスを不活性ガスとする場合、雰囲気ガス中における不活性ガスの含有量は、30体積%以上であることが好ましく、70体積%以上であることがより好ましく、90%体積%以上であることが更に好ましい。
また成長初期から2次元成長を促進させるために、特に(10−10)面を主面とする下地基板を用いる場合には、下地基板のオフ角度を、(10−10)面からの傾斜方向を[000−1]としたときに、1°以上10°以下とすることが好ましく、1.5°以上8°以下とすることがより好ましく、2°以上5°以下とすることがさらに好ましい。
特にホモエピタキシャル成長の場合であっても、基板表面の不純物汚染等により表面エネルギーが低下し島状成長が起こりやすい場合が往々にしてある。このような場合にも上述した手法を用いれば、効果的に成長モードを制御でき2次元成長あるいはステップフロー成長を促進させることが可能となり好ましい。
サセプター107の材質としてはカーボンが好ましく、SiCで表面をコーティングしているものがより好ましい。サセプター107の形状は、本発明で用いる種結晶(シード)を設置することができる形状であれば特に制限されないが、結晶成長する際に結晶成長面付近に構造物が存在しないものであることが好ましい。結晶成長面付近に成長する可能性のある構造物が存在すると、そこに多結晶体が付着し、その生成物としてHClガスが発生して、結晶成長させようとしている結晶に悪影響が出る場合がある。シードとサセプター107の接触面は、シードの結晶成長面から1mm以上離れていることが好ましく、
3mm以上離れていることがより好ましく、5mm以上離れていることがさらに好ましい。
リザーバー105には、成長させる周期表第13族金属窒化物結晶の原料を入れる。周期表第13族金属源となる原料として、Ga、Al、Inなどを挙げることができる。リザーバー105にガスを導入するための導入管103からは、リザーバー105に入れた原料と反応するガスを供給する。例えば、リザーバー105に周期表第13族金属源となる原料を入れた場合は、導入管103からHClガスを供給することができる。このとき、HClガスとともに、導入管103からキャリアガスを供給してもよい。キャリアガスとしては、例えば水素、窒素、He、Ne、Arのようなガス等を挙げることができ、窒素であることが本発明におけるQx1/300を充足する結晶を製造するためには好ましい。
これらのガスは1種のみで用いてもよく、混合して用いてもよい。
導入管104からは、窒素源となる原料ガスを供給する。通常はNH3を供給する。ま
た、導入管101および導入管102からは、キャリアガスを供給する。キャリアガスとしては、導入管104から供給するキャリアガスと同じものを例示することができる。このキャリアガスは原料ガスノズルを分離し、ノズル先端にポリ結晶が付着することを防ぐ効果もある。
導入管101〜104から供給する上記ガスは、それぞれ互いに入れ替えて別の導入管から供給しても構わない。また、窒素源となる原料ガスとキャリアガスは、同じ導入管から混合して供給してもよい。さらに他の導入管からキャリアガスを混合してもよい。これらの供給態様は、リアクター100の大きさや形状、原料の反応性、目的とする結晶成長速度などに応じて、適宜決定することができる。
ガス排気管108は、リアクター内壁の上面、底面、側面に設置することができる。ゴミ落ちの観点から結晶成長端よりも下部にあることが好ましく、図1のようにリアクター底面にガス排気管108が設置されていることがより好ましい。
本発明の製造方法における結晶成長は、通常は800℃〜1200℃で行い、好ましくは900℃〜1100℃、さらに好ましくは950℃〜1050℃で行う。特に本発明におけるQx1/300を充足する結晶を製造する条件の1つとして、島状成長を抑制し、下地
基板表面での供給原料の濡れ性を向上して2次元成長を促進することが挙げられるが、かかる観点から、成長初期の段階(0〜15分)及び/又は本成長時において、比較的低温とすることが好ましく、好ましく900℃〜1000℃、より好ましくは920℃〜980℃である。
また、結晶成長時間は特に限定されないが、通常10時間〜100時間である。成長膜厚によって成長時間は適宜変更可能である。
結晶成長の成長速度は、通常80μm/h〜300μm/hの範囲であり、100μm/h以上が好ましく、120μm/h以上がより好ましく、150μm/h以上であることがさらに好ましい。成長速度は、ガスの種類、流量、供給口−結晶成長端距離等によって適宜設定することが可能であるが、例えば、周期表第13族金属源である塩化ガリウム(GaCl)及び/又は窒素源であるアンモニア(NH3)の流量を大きくし、これらの
ガスの分圧を大きくすることによって成長速度を高めることができる。
塩化ガリウム(GaCl)の分圧は、通常3×101〜3×104Pa、好ましくは4×101〜2×103Pa、より好ましくは2×102〜2×103Paである。アンモニア(NH3)の分圧は、通常1×103〜3×105Pa、好ましくは2×103〜2×104
a、より好ましくは4×103〜1×104Paである。
また、成長初期に各ガス種のガス分圧を所定の時間で増加させる処理を行うことが好ましい。成長初期に各ガス種のガス分圧を増加させることにより、初期成長層の表面モフォロジーや成長様式に影響を与え、その後のバルク結晶形成において結晶歪みの発生が抑制され、積層欠陥の発生が抑制される傾向にある。特に、かかるガス分圧の増加処理は、横方向成長上に形成される領域を取り出すことを目的とするバルク結晶の製造条件として好適に用いることができる。また、キャリアガスとしてH2キャリアガスを用いる場合にお
いて、より効果的に積層欠陥の発生を抑制できる傾向にある。
成長初期のGaClガス増加量は、通常1.20×102Pa以上、好ましくは1.6
0×102Pa以上、より好ましくは2.00×102Pa以上である。また、成長初期のGaClガス増加量は、通常9.00×102Pa以下、好ましくは7.00×102以下Pa、より好ましくは5.00×102Pa以下である。
成長初期のHClガス増加量は、通常1.80×101Pa以上、好ましくは3.00
×101Pa以上、より好ましくは4.00×101Pa以上である。また、成長初期のHClガス増加量は、通常2.00×102Pa以下、好ましくは1.50×102Pa以下、より好ましくは1.00×102Pa以下である。
成長初期のH2キャリアガス増加量は、1.00×103Pa以上、好ましくは5.00×103Pa以上、より好ましくは1.00×104Pa以上である。また、成長初期のH2キャリアガス増加量は、通常7.00×104Pa以下、好ましくは6.00×104
a以下、より好ましくは5.00×104Pa以下である。
成長初期に各ガス種のガス分圧を増加させる場合の変動時間は、通常10分間以下、好ましくは5分間以下、より好ましくは2分間以下である。また、変動時間は、通常10秒以上、好ましくは20秒以上、より好ましくは30秒以上である。成長開始時のガス分圧の変動時間が長すぎると、シード表面が荒れてしまう傾向にあり、成長開始時のガス分圧の変動時間が短すぎると、炉内でのガス分圧の制御が難しくなり、再現性が悪くなる。初期成長層の表面モフォロジーや成長様式に影響を与えるとの観点から、成長初期の中でも、成長開始時に上述のガス分圧を増加させる処理を行うことが好ましく、成長開始時に周期表第13族原料ガスのガス分圧を、所定の時間で0から所定の圧力まで増加させる処理を行うことがより好ましい。
また、結晶成長条件に至るまでの昇温時におけるH2キャリアガス分圧は、通常1.0
0×102Pa以上、好ましくは3.00×102Pa以上、より好ましくは5.00×102Pa以上がさらに好ましい。また、昇温時におけるH2キャリアガス分圧は、通常5.00×104Pa以下、好ましくは4.00×104Pa以下、より好ましくは3.00×104Pa以下である。
昇温時におけるN2キャリアガス分圧は、9.00×104Pa以下が好ましい。
昇温時におけるNH3分圧は、通常3.00×103Pa以上、好ましくは5.00×103Pa以上、より好ましくは7.00×103Pa以上である。また、昇温時におけるNH3分圧は、通常6.00×104Pa以下、好ましくは4.00×104Pa以下、より
好ましくは2.00×104Pa以下である。
リアクター内の圧力は10kPa〜200kPaであるのが好ましく、30kPa〜150kPaであるのがより好ましく、50kPa〜120kPaであるのがさらに好ましい。
本発明の製造方法による得られる周期表第13族金属窒化物結晶は、窒化ガリウム、窒化アルミニウム、窒化インジウムまたはこれらの混晶をあげることができる。
また、本発明の製造方法により得られる周期表第13族金属窒化物結晶は、結晶内キャリア濃度が1×1018cm-3以上であることが好ましく、1×1019cm-3であることがより好ましい。結晶内のキャリア濃度が高いと、結晶内の抵抗率が低く、導電性に優れた半導体結晶となる。上記結晶内のキャリア濃度は、van der Pauw法によるホ
ール測定を用いて測定することができる。
本発明の製造方法により得られた窒化物半導体結晶は、さまざまな用途に用いることができる。特に、紫外、青色又は緑色等の発光ダイオード、半導体レーザー等の比較的短波長側の発光素子や、電子デバイス等の半導体デバイスの基板として有用である。
<実施例1(N2キャリア成長)>
図1に示すHVPE法による結晶製造装置を用いて、結晶成長を行った。(0001)面成長により作製された、<0001>(c軸)方向に5mm、<11−20>(a軸)方向に25mmの長方形で、主面が(10−10)面であり、且つ[000−1]方向に2°オフしているGaN自立基板1を1つサセプター107上に置いた。基板を搭載したサセプター107を図1に示すようにリアクター100内に配置した。引き続きリアクター内をN2ガスで置換した後に、前記雰囲気下においてリアクター内でガス対流が起こら
ないようにするために第13族原料用リザーバーの温度を900℃、反応室の温度を950℃まで上げ、HVPE法にてGaN単結晶膜を15時間成長させた。この単結晶成長工程においては成長圧力を1.01×105Paとし、GaClガスG3の分圧を2.85
×102Paとし、NH3ガスG4の分圧を9.13×103Pa、キャリアガスであるN2
ガスの分圧を9.19×104Paとした。単結晶成長工程が終了後室温まで降温し、GaNバルク結晶1を得た。結晶は[10−10]方向に1.1mmの平均成長膜厚であった。
得られたGaNバルク結晶1について外形加工、表面研磨処理を行った後、通常の手法でこれを平面研削し、研磨を行って、厚さ330μmの(10−10)面を主面とする、<0001>(c軸)方向に4mm、<11−20>(a軸)方向に20mmの長方形のGaN自立基板2を作製した。作製したGaN結晶の積層欠陥密度を低温フォトルミネッセンス(PL)測定(LTPL測定)にて評価した。測定温度は10K、励起光源に中心波長325nmのHe−Cdレーザーを用いた。積層欠陥由来の3.41eVのピーク強度I(BSF)とバンド端発光由来の3.47eVのピーク強度I(D0A)の強度比I(BSF)/I(D0A) に着目すると、0.0045と良好な値を示した。
こうして得られたGaN自立基板2にX線をa軸に垂直な方向に入射した(100)面逆格子マップの測定を行い、その等強度線図から導き出される最大強度を含むQx方向のプロファイルにおける、ピーク強度に対する裾幅(Qx幅)を見積もった。
測定は高分解能X線回折装置(パナリティカル製X’Pert Pro MRD)により行った。
X線ビームはX線管球をラインフォーカスとし、発散スリットをGe(220)非対称2回反射モノクロメータの手前に挿入し、CuKα1線を用い、モノクロメータの先にピンホールコリメーターを装着し、GaN自立基板2表面でガウシアン関数近似の半値全幅(full width at half maximum:FWHM)で水平方向100μm、鉛直方向400μmとなるようにした。ωの回転軸に鉛直方向に平行であり、それと直交する水平方向のビーム径は100μmと十分絞られており、結晶面の湾曲(反り)の回折ピークに与える影響は排除できる。
ディテクターは高角度分解能を有する一次元アレイ型半導体検出器を用いた。
また、X線ビームの入射方向は、非対称面(20−4)面の回折強度が最大となるように所謂Phiスキャンを実施しサンプルの方向を決め、正確にa軸に垂直になるようにし
た。
(100)回折面において軸立てを行った後、2θ−ω 2軸スキャンを2θ、ω共に
角度ステップ0.005°、測定角度範囲を1°として行った。得られた2θ−ω二次元
強度マップデータを、Qx−Qy座標系データに変換し逆格子マップデータを得た。得られた逆格子マップ等強度線図から導き出される、最大強度を含むQx方向のプロファイルにおける、ピーク強度に対する裾幅(Qx幅)を見積もった。
ピーク強度の1/300、1/1000の強度のおけるQx幅はそれぞれ、1.77×10-4(rlu)、2.55×10-4(rlu)と非常に小さい値であった。
つぎに、X線ロッキングカーブの異方性について測定した。
測定は逆格子マップ測定と同様に高分解能X線回折装置(パナリティカル製X’Pert Pro MRD)により行った。
X線ビームはX線管球をラインフォーカスとし、発散スリットをGe(220)非対称
2回反射モノクロメーターの手前に挿入し、CuKα1線を用い、モノクロメータの先にピンホールコリメーターを装着し、サンプル表面でガウシアン関数近似の半値全幅(full width at half maximum:FWHM)で水平方向100μm、鉛直方向400μmとなるようにした。本実施例ではロッキングカーブ測定(ωスキャン)に際し検出器は一次元アレイ型半導体検出器を用いたが、通常よく使用される比例計数型検出器を用いてもよい。
X線ビームを上述した逆格子マップ測定と同様にa軸に垂直な方向から入射し、(100)面のロッキングカーブを一次元アレイ型半導体検出器のOpen detector
modeで測定したところ、ピーク強度の半値全幅(FWHM)、1/300、1/1000の強度のおけるスペクトルの幅はそれぞれ、25.5arcsec、184arcsec、335arcsecであった。
次にGaN自立基板2を90°回転させ、X線ビームをc軸に垂直な方向から入射し、(100)面のロッキングカーブ(Open detector)を測定した。ピーク強
度の半値全幅(FWHM)、1/300、1/1000の強度のおけるスペクトルの幅はそれぞれ、26.0arcsec、164arcsec、292arcsecであった。
X線ビームをa軸に垂直な方向から入射した場合の(100)XRCのスペクトルの幅をc軸に垂直な方向から入射した場合の(100)XRCのスペクトル幅で除算し、それらの比を計算した。ピーク強度の半値全幅(FWHM)、1/300、1/1000の強度のおけるスペクトルの幅の比はそれぞれ、0.98、1.12、1.15となり異方性が小さいことがわかった。このように結晶の特性の指標として線幅の比をとることで、X線回折測定時の光学系の影響を受けにくいデータが抽出できる。
一方、GaN自立基板2のc軸方向のオフ角分布を測定したところ40mm換算で、±0.12°と非常に小さな値であった。
また、GaN自立基板2にMOCVD法によりアンドープのGaN層を1μm成長し、カソードルミネッセンス(CL)測定による積層欠陥密度の評価を試みた。
GaN自立基板2のX線回折測定を実施した箇所とほぼ同一の領域について、SEM−CL装置を用い約100Kにおいてカソードルミネッセンス(CL)像を観察し、基底面積層欠陥(BSF)密度を評価した。SEMの電子ビームの加速電圧は5kVであった。
スペクトル測定から残留ドナー束縛励起子発光ピーク(約356nm)の他に、弱いBSFからの発光ピーク(約364nm)が観測された。分光器を364nmに固定し、BSFの空間的分布を観察した。サンプルのc軸に垂直方向に伸びるBSFが観察され、m面表面で観察されたa軸方向のBSFの平均の長さは、33μmであった。単位長さ当たり
の積層欠陥密度を見積もるために、表面で観測されたBSFの平均長さよりも短いサンプリング間隔(20μm)で、観察されたCL像の視野内でのBSFの数を求め、平均値を
算出したところ6×10/cmと非常に小さい値が得られた。
<実施例2:基板側面が半極性面の種結晶を用いた結晶成長>
(種結晶の作製)
図1に示すHVPE法による結晶製造装置により、結晶成長を行った。(0001)面成長により作製された、<0001>(c軸)方向に5mm、<11−20>(a軸)方向に25mmの長方形で、主面が(10−10)面であるGaN自立基板1´を33枚準備した。33枚の基板を<0001>(c軸)方向に3列、<11−20>(a軸)方向に11列に並べたものを用意し、サセプター107上に置いた。並べた基板を搭載したサセプター107を図1に示すようにリアクター100内に配置して、反応室の温度を1000℃まで上げ、HVPE法にてGaN単結晶膜を40時間成長させた。この単結晶成長工程においては成長圧力を1.01×105Paとし、GaClガスG3の分圧を3.7
0×102Paとし、NH3ガスG4の分圧を1.69×103Paとし、H2キャリアガス
G1の分圧が6.00×102Pa、N2キャリアガスG2の分圧が8.29×103Pa
とした。単結晶成長工程が終了後室温まで降温し、GaNバルク結晶1´を得た。結晶は[10−10]方向に2.8mmの平均成長膜厚であった。得られたGaNバルク結晶1´について外形加工、表面研磨処理を行った後、通常の手法でこれをスライスし、研磨を行って、厚さ330μmの(10−10)面を主面とする直径50mmの円形のGaN自立基板2´を作製した。
上述のように作製したGaN自立基板2´より、側面の一部が、(11−24)面((0001)面とのなす角が39°の面に一致する)で形成されるようにダイシングを行った。これにより、<11−24>方向に3mm、<11−20>(a軸)方向に35mmの長方形で、主面が(10−10)面である矩形の結晶を作製した。その後研磨を行って、厚さ330μmの矩形のGaN自立基板3´を作製した。GaN自立基板3´の端部をそれぞれサセプター107上に敷いた1cm角のPGプレート上に置くことで、基板中心
部とサセプター107間に隙間が出きるようにGaN自立基板3´を配置した。下記の通りに、HVPE法にてGaN単結晶膜を40時間成長させた。
2キャリアガスG1の分圧が6.00×102Pa、N2キャリアガスG2の分圧が8
.29×103Pa、NH3ガスG4の分圧が1.13×104Paの混合ガスの雰囲気で
、反応室の温度を1040℃まで上げ、1分間保持した。
次の通りに、HVPE法にてGaN単結晶膜の成長を開始した。
上記の1分保持後、1分間で、GaClガスG3の分圧を0Paから3.54×102
Paに増加、HClガスG5の分圧を0Paから6.00×101Paに増加させた。H2キャリアガスG1の分圧は、上記の1分保持後、1分間で6.00×102Paから4.
00×104Paに増加させた。
その後の単結晶成長工程においては、成長終了まで成長圧力を1.01×105Paと
し、GaClガスG3の分圧を3.54×102Paとし、NH3ガスG4の分圧を1.13×104Paとした。単結晶成長工程が終了後、室温まで降温し、GaN結晶を得た。
得られたGaN単結晶には異常成長は見られず、クラックフリーであった。成長厚はm軸方向が約4.3mm(裏表面合算)、[11−24]方向が約7.0mmと、同一成長条
件にも関わらず面方位によって成長速度に違いが確認された。[11−24]方向への成長速度は175μm/hrと主面方向への成長速度に比べ1.5倍以上速い成長速度であることを確認した。
得られたGaN結晶のウィング成長領域(横方向成長上に形成される領域)の約1.2mm厚成長部(種結晶の側面から横方向成長によって形成される領域と横方向成長上に形成される領域との境界面から、結晶全体として結晶厚みが増加する方向に約1.2mm厚の部分)を、(10−10)面から<000−1>方向に5°のオフ角を有する主面でスライスした。さらにダイヤモンド砥粒を用いた研磨とChemical mechani
cal Polishing(CMP)により表面研磨して、厚さ400μmの(10−
10)面から<000−1>方向に5°のオフ角を有する主面とするGaN自立基板4´を作製した。
このように作製したGaN自立基板4´の、元のシードから[11−24]方向に向けて約2mm離れた部分の物性評価を実施例1と同様に行った。
X線をa軸に垂直な方向に入射した(100)面逆格子マップの測定を行い、その等強度線図から導き出される最大強度を含むQx方向のプロファイルにおける、ピーク強度に対する裾幅(Qx幅)を見積もった。 ピーク強度の1/300、1/1000の強度のおけるQx幅はそれぞれ、3.6×10-4(rlu)、6.0×10-4(rlu)と非常に小さい値であった。
X線ビームを上述した逆格子マップ測定と同様にa軸に垂直な方向から入射し、(100)面のロッキングカーブ(Open detector)を測定したところ、ピーク強
度の半値全幅(FWHM)、1/300、1/1000の強度のおけるスペクトルの幅はそれぞれ、61.8arcsec、338.4arcsec、612.0arcsecであった。
次にGaN自立基板4´を、m軸を中心として90°回転させ、X線ビームをc軸に垂直な方向から入射し、(100)面のロッキングカーブ(Open detector)
を測定した。ピーク強度の半値全幅(FWHM)、1/300、1/1000の強度のおけるスペクトルの幅はそれぞれ、32.5arcsec、194.4arcsec、338.4arcsecであった。
X線ビームをa軸に垂直な方向から入射した場合の(100)XRCのスペクトルの幅をc軸に垂直な方向から入射した場合の(100)XRCのスペクトル幅で除算し、それらの比を計算した。ピーク強度の半値全幅(FWHM)、1/300、1/1000の強度におけるスペクトルの幅の比はそれぞれ、1.90、1.74、1.81となり異方性が小さいことがわかった。
また、GaN自立基板4´にMOCVD法によりアンドープのGaN層を1μm成長し、カソードルミネッセンス(CL)測定による積層欠陥密度の評価を試みたところ、3×102/cmであった。なおCLによりm面表面における観察された積層欠陥のa軸方向の長さは200μm以上であった。
<実施例3:基板側面が半極性面の種結晶を用いた結晶成長>
実施例2で示した製造法により作製したGaN自立基板2´より、側面の一部が、(11−24)面((0001)面とのなす角が39°の面に一致する)で形成されるようにダイシングを行った。これにより、<11−24>方向に3mm、<11−20>(a軸)方向に35mmの長方形で、主面が(10−10)面である矩形の結晶を作製した。その後研磨を行って、厚さ330μmの矩形のGaN自立基板3"を作製した。GaN自立
基板3"の両端を、サセプター107上に自立基板3"の長辺長に相当する間隔で敷いた
PGプレート上に置き、下記の通りに、HVPE法にてGaN単結晶膜を40時間成長させた。
2キャリアガスG1の分圧が6.00×102Pa、N2キャリアガスG2の分圧が8
.29×103Pa、NH3ガスG4の分圧が1.13×104Paの混合ガスの雰囲気で
、反応室の温度を1040℃まで上げ、1分間保持した。
次の通りに、HVPE法にてGaN単結晶膜の成長を開始した。
上記の1分保持後、1分間で、GaClガスG3の分圧を0Paから3.54×102
Paに増加、HClガスG5の分圧を0Paから6.00×101Paに増加させた。H2キャリアガスG1の分圧は、上記の1分保持後、1分間で6.00×102Paから4.
00×104Paに増加させた。
その後の単結晶成長工程においては、成長終了まで成長圧力を1.01×105Paと
し、GaClガスG3の分圧を3.54×102Paとし、NH3ガスG4の分圧を1.13×104Paとした。単結晶成長工程が終了後、室温まで降温し、GaN結晶を得た。
得られたGaN単結晶には異常成長は見られず、クラックフリーであった。成長厚はm軸方向が約4.3mm(裏表面合算)、[11−24]方向が約7.0mmと、同一成長条
件にも関わらず面方位によって成長速度に違いが確認された。[11−24]方向への成長速度は175μm/hrと主面方向への成長速度に比べ1.5倍以上速い成長速度であることを確認した。
得られたGaN結晶のウィング成長領域の約1.2mm厚成長部を、(10−10)面から<000−1>方向に5°のオフ角を有する主面でスライスした。さらにダイヤモンド砥粒を用いた研磨とChemical mechanical Polishing(CMP)により表面研磨して、厚さ400μmの(10−10)面から<000−1>方向に5°のオフ角を有する主面とするGaN自立基板4"を作製した。
このように作製したGaN自立基板4"の元のシードから[11-24]方向に向けて約5m
m離れた部分の物性評価を実施例1と同様に行った。
X線をa軸に垂直な方向に入射した(100)面逆格子マップの測定を行い、その等強度線図から導き出される最大強度を含むQx方向のプロファイルにおける、ピーク強度に対する裾幅(Qx幅)を見積もった。 ピーク強度の1/300、1/1000の強度のおけるQx幅はそれぞれ、3.68×10-4(rlu)、7.10×10-4(rlu)と非常に小さい値であった。
X線ビームを上述した逆格子マップ測定と同様にa軸に垂直な方向から入射し、(100)面のロッキングカーブ(Open detector)を測定したところ、ピーク強
度の半値全幅(FWHM)、1/300、1/1000の強度のおけるスペクトルの幅はそれぞれ、109.6arcsec、500.4arcsec、936.0arcsecであった。
次にGaN自立基板4"を90°回転させ、X線ビームをc軸に垂直な方向から入射し
、(100)面のロッキングカーブ(Open detector)を測定した。ピーク
強度の半値全幅(FWHM)、1/300、1/1000の強度のおけるスペクトルの幅はそれぞれ、28.3arcsec、216.0arcsec、417.6arcsecであった。
X線ビームをa軸に垂直な方向から入射した場合の(100)XRCのスペクトルの幅をc軸に垂直な方向から入射した場合の(100)XRCのスペクトル幅で除算し、それらの比を計算した。ピーク強度の半値全幅(FWHM)、1/300、1/1000の強度のおけるスペクトルの幅の比はそれぞれ、3.88、2.32、2.24となり異方性が小さいことがわかった。
また、GaN自立基板4"にMOCVD法によりアンドープのGaN層を1μm成長し
、カソードルミネッセンス(CL)測定による積層欠陥密度の評価を試みたところ、1.6×103/cmであった。なおCLによりm面表面において観察された積層欠陥のa軸方向の長さはすべて200μm以上であった。
<比較例:種結晶直上の結晶成長>
実施例2と同様の方法で得られた(0001)面バルク結晶より、<0001>(c軸)方向に5mm、<11−20>(a軸)方向に25mmの長方形で、主面が(10−10)面である厚さ330μmの比較GaN自立基板3を作製した。比較GaN自立基板3をPGプレート上に置き、下記の通りに、HVPE法にてGaN単結晶膜を40時間成長
させた。
2キャリアガスG2の分圧が8.29×103Pa、NH3ガスG4の分圧が1.13
×104Paの混合ガスの雰囲気で、反応室の温度を1040℃まで上げ、1分間保持し
た。
次の通りに、HVPE法にてGaN単結晶膜の成長を開始した。
上記の1分保持後、1分間で、GaClガスG3の分圧を0Paから3.54×102
Paに増加、HClガスG5の分圧を0Paから3.48×101Paに増加させた。H2キャリアガスG1の分圧は、上記の1分保持後、1分間で0Paから8.22×104
aに増加させた。
その後の単結晶成長工程においては、成長終了まで成長圧力を1.01×105Paと
し、GaClガスG3の分圧を3.54×102Paとし、NH3ガスG4の分圧を1.13×104Paとした。単結晶成長工程が終了後、室温まで降温し、GaN結晶を得た。
得られた種結晶直上のGaN単結晶には異常成長は見られず、クラックフリーであった。成長厚はm軸方向が約4.3mm(裏表面合算)であった。
得られたGaN結晶の1.2mm厚成長部を、(10−10)面から<000−1>方向に5°のオフ角を有する主面でスライスした。さらにダイヤモンド砥粒を用いた研磨とChemical mechanical Polishing(CMP)により表面研磨して、厚さ400μmの(10−10)面から<000−1>方向に5°のオフ角を有する主面とする比較GaN自立基板4を作製した。
このように作製した比較GaN自立基板4の物性評価を実施例と同様に行った。
比較GaN自立基板4のX線をa軸に垂直な方向に入射した(100)面逆格子マップの測定を行い、その等強度線図から導き出される最大強度を含むQx方向のプロファイルにおける、ピーク強度に対する裾幅(Qx幅)を見積もった。 ピーク強度の1/300、1/1000の強度のおけるQx幅はそれぞれ、2.57×10-3(rlu)、4.7×10-3(rlu)と非常に大きな値であった。
X線ビームを上述した逆格子マップ測定と同様にa軸に垂直な方向から入射し、(100)面のロッキングカーブ(Open detector)を測定したところ、ピーク強
度の半値全幅(FWHM)、1/300、1/1000の強度のおけるスペクトルの幅はそれぞれ、154.4arcsec、1782arcsec、3420arcsecと顕著に大きな値であった。
次に比較GaN自立基板4を90°回転させ、X線ビームをc軸に垂直な方向から入射し、(100)面のロッキングカーブ(Open detector)を測定した。ピー
ク強度の半値全幅(FWHM)、1/300、1/1000の強度のおけるスペクトルの幅はそれぞれ、32.5arcsec、334.8arcsec、514.8arcsecであった。
X線ビームをa軸に垂直な方向から入射した場合の(100)XRCのスペクトルの幅をc軸に垂直な方向から入射した場合の(100)XRCのスペクトル幅で除算し、それらの比を計算した。ピーク強度の半値全幅(FWHM)、1/300、1/1000の強度のおけるスペクトルの幅の比はそれぞれ、4.75、5.32、6.64となり異方性が非常に大きいことがわかった。
また、比較GaN自立基板4にMOCVD法によりアンドープのGaN層を1μm成長し、カソードルミネッセンス(CL)測定による積層欠陥密度の評価を試みたところ、9.2×104/cmと非常に大きな値であった。CLによりm面表面において観察された
積層欠陥のa軸方向の長さはすべて200μm以上であった。
<参考例>
上記C面成長を行ったGaN自立基板1に対し、GaN自立基板2と同様にして逆格子マップ測定を行い、ピーク強度に対する裾幅(Qx幅)を見積もった。ピーク強度の1/300、1/1000の強度のおけるQx幅はそれぞれ、1.45×10-4(rlu)、2.00×10-4(rlu)と、本実施例のGaN自立基板2とほぼ同様の値であった。C面成長させた周期表第13族金属窒化物結晶は積層欠陥を有しない結晶であり、本発明の周期表第13族金属窒化物結晶は、非極性面を主面として結晶成長させたにもかかわらず、積層欠陥が低減されていることが理解できる。また、積層欠陥の低減に伴い、結晶の反りも小さい結晶であることが理解できる。
また、GaN自立基板1に対し、X線ロッキングカーブの異方性を測定した。
実施例と同様に測定を行い、a軸に垂直にX線を入射させた場合、ピーク強度の半値全幅(FWHM)、1/300、1/1000の強度のおけるスペクトルの幅はそれぞれ、35.0arcsec、194arcsec、323arcsecであった。
c軸に垂直にX線を入射させた場合、ピーク強度の半値全幅(FWHM)、1/300、1/1000の強度のおけるスペクトルの幅はそれぞれ、30.9arcsec、176arcsec、299arcsecであった。
X線ビームをa軸に垂直な方向から入射した場合の(100)XRCのスペクトルの幅をc軸に垂直な方向から入射した場合の(100)XRCのスペクトル幅で除算し、それらの比を計算した。ピーク強度の半値全幅(FWHM)、1/300、1/1000の強度のおけるスペクトルの幅の比はそれぞれ、1.13、1.10、1.10となった。
100 リアクター
101 H2キャリアガス用配管
102 N2キャリアガス用配管
103 第13族原料用配管
104 窒素原料用配管
105 第13族原料用リザーバー
106 ヒーター
107 サセプター
108 排気管
109 成長用基板
G1 H2キャリアガス
G2 N2キャリアガス
G3 第13族原料ガス
G4 窒素原料ガス
G5 HClガス

Claims (7)

  1. 非極性面または半極性面を主面とするGaN下地基板上に成長させたGaN結晶からなるGaNバルク結晶であって、
    GaN結晶の(100)面X線逆格子マッピングにより得られる等強度線図から導き出される最大強度を含むQx方向の強度プロファイルにおいて、ピーク強度値に対して1/300強度値を示すQx幅が6×10-4rlu以下である
    ことを特徴とするGaNバルク結晶。
  2. 前記GaN結晶の(100)面X線逆格子マッピングにより得られる等強度線図から導き出される最大強度を含むQx方向の強度プロファイルにおいて、ピーク強度値に対して1/1000強度値を示すQx幅が1×10-3rlu以下であることを特徴とする、請求項1に記載のGaNバルク結晶。
  3. 非極性面または半極性面を主面とするGaN下地基板上に成長させたGaN結晶からなるGaNバルク結晶であって、
    GaN結晶に対し、X線をa軸に垂直に入射させて得られた(100)面ロッキングカーブのピーク強度の1/300値幅を、X線をc軸に垂直に入射させて得られた(100)面ロッキングカーブのピーク強度の1/300値幅で除算した値が、1.12以上3以下であることを特徴とするGaNバルク結晶。
  4. 前記GaN結晶に対し、X線をa軸に垂直に入射させて得られた(100)面ロッキングカーブのピーク強度の1/1000値幅を、X線をc軸に垂直に入射させて得られた(100)面ロッキングカーブのピーク強度の1/1000値幅で除算した値が、1.15以上3以下であることを特徴とする、請求項に記載のGaNバルク結晶。
  5. 前記GaN結晶に対し、X線をa軸に垂直に入射させて得られた(100)面ロッキングカーブのピーク強度半値全幅を、X線をc軸に垂直に入射させて得られた(100)面ロッキングカーブのピーク強度の半値全幅で除算した値が、0.98以上4以下であることを特徴とする、請求項又はに記載のGaNバルク結晶。
  6. GaN自立基板である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のGaNバルク結晶。
  7. 厚さ330μm以上であることを特徴とする、請求項6に記載のGaNバルク結晶。
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