JP6089821B2 - 周期表第13族金属窒化物半導体結晶 - Google Patents
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Description
積層欠陥を低減する方法として、例えば使用するGaN種結晶基板の不純物濃度と形成するGaN結晶層との不純物濃度の差を、3×1018cm−3以下とする成長方法が提案されている(特許文献1参照)。
となり得る、周期表第13族金属窒化物半導体結晶を提供することを課題とする。
[1] 主面がM面、{20−21}面、{20−2−1}面、{30−31}面、{30−3−1}面、{10−11}面、{10−1−1}面、{10−12}面または{10−1−2}面であり、前記主面における基底面積層欠陥の最大幅が800μm以下であり、前記主面は、幅が5倍以上異なる基底面積層欠陥を含む、ことを特徴とするGaN基板。
[2] 前記主面における基底面積層欠陥の幅の標準偏差が2以上であることを特徴とする[1]に記載のGaN基板。
[3] [1]または[2]に記載のGaN基板を用いたデバイス。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様や具体例に限定されるものではない。
なお、本願において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。また、本願におけるミラー指数は、指数が負である場合に当該指数の前にマイナス記号をつけて表記している。また、本明細書において<・・・・>との表記は方向の集合表現、[・・・・]との表記は方向の個別表現を表す。それに対して{・・・・}との表記は面の集合表現、(・・・・)との表記は面の個別表現を表す。
本願明細書において「主面」とは、結晶に存在する表面のうち最も広い面を意味し、下地基板の「主面」は通常結晶成長が行われるべき面となる。
本願明細書において、「C面」とは、六方晶構造(ウルツ鉱型結晶構造)における{0001}面であり、c軸に直交する面である。かかる面は極性面であり、周期表第13族金属窒化物半導体結晶では「+C面」は周期表第13族金属面(窒化ガリウムの場合はガリウム面)であり、「−C面」は窒素面である。
また、本願明細書において、「A面」とは{2−1−10}面と等価な面であり、具体的には(2−1−10)面、(−12−10)面、(−1−120)面、(−2110)面、(1−210)面、或いは(11−20)面であり、a軸に直交する面である。かかる面は非極性面である。本明細書において「c軸」「m軸」「a軸」とは、それぞれC面、M面、A面に垂直な軸を意味する。
<周期表第13族金属窒化物半導体結晶>
本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、「主面が非極性面又は半極性面であり、前記主面における基底面積層欠陥の最大幅が800μm以下であり、前記主面は、幅が5倍以上異なる基底面積層欠陥を含む」ことを特徴とする。
本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、主面における基底面積層欠陥の最大幅が800μm以下であることを特徴とするが、600μm以下であることが好ましく、400μm以下であることがより好ましく、350μm以下であることがさらに好ましく、300μm以下であることがよりさらに好ましく、200μm以下であることが特に好ましく、また、1μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましく、30μm以上であることがさらに好ましく、50μm以上であることが特に好ましい
。前記上限値以下とすることで、厚み方向の基底面積層欠陥密度の差のバラツキを小さくすることができ、また、主面における基底面積層欠陥密度の値を小さくできる傾向がある。
一方で、本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、主面から3/5厚みの深さにおける主面と平行な断面における基底面積層欠陥の最大幅が600μm以下であることが好ましく、400μm以下であることがより好ましく、300μm以下であることがさらに好ましく、200μm以下であることがよりさらに好ましく、100μm以下であることが特に好ましく、また、1μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましく、30μm以上であることがさらに好ましく、50μm以上であることが特に好ましい。前記上限値以下とすることで、厚み方向の積層欠陥密度の差のバラツキを小さくすることができ、また、主面における基底面積層欠陥密度の値を小さくできる傾向がある。なお、主面から3/5厚みの深さにおける主面と平行な断面とは、主面と平行な断面のうち、主面に垂直な方向の最大厚みをDとした場合に、主面からの深さが3D/5となる深さにおける断面を意味する。
における基底面積層欠陥の個数は、少なくとも0.25mm2以上の面積を有する領域で測定した測定値に基づいて算出することができる。
本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、主面と、主面から3/5厚みの深さにおける主面と平行な断面とで、基底面積層欠陥の最大幅の比が10以下であることが好ましく、8以下であることがより好ましく、6以下であることがさらに好ましく、4以下であることがよりさらに好ましく、2以下であることが特に好ましく、また通常、1以上である。前記上限値以下とすることで、成長に伴う基底面積層欠陥の幅の広がりを抑制することができる傾向がある。なお、「基底面積層欠陥の最大幅の比」は、主面における基底面積層欠陥の最大幅、及び、主面から3/5厚みの深さにおける主面と平行な断面における基底面積層欠陥の最大幅のうち、値が大きいほうの数値を、値が小さいほうの数値で除算することで算出することができる。
「基底面積層欠陥の個数の比」は、主面における基底面積層欠陥の個数、及び、主面から3/5厚みの深さにおける主面と平行な断面における基底面積層欠陥の個数のうち、値が大きいほうの数値を、値が小さいほうの数値で除算することで算出することができる。
本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、前述の特徴を有する結晶であればその製造方法は特に限定されず、ハイドライド気相成長法(HVPE法)、有機金属化学蒸着法(MOCVD法)、有機金属塩化物気相成長法(MOC法)、昇華法、融液成長、高圧溶液法、フラックス法、アモノサーマル法等の公知の成長方法及び成長条件を適宜採用して製造することができる。但し、「主面における基底面積層欠陥の最大幅が800μm以下であり、前記主面は、幅が5倍以上異なる基底面積層欠陥を含む」という特徴を満たし易くなる観点から、下地基板に存在する残留応力の成長層への伝播を抑制しうる層を下地基板と成長層との間に形成できるような成長方法及び/又は成長条件を採用することが好ましい。周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、通常、下地基板上に結晶成長させることで得ることができるが、下地基板として成長させる結晶とは異なる種類の基板、例えばサファイア基板等の異種基板を用いた場合には、成長層との格子不整合に起因して成長層には貫通転位等の転位が生じることが知られている。その対策として、成長させる結晶と同種の下地基板を用いることで、成長層に生じる貫通転位等の転位を抑制できることが知られている。その一方で、成長させる結晶と同種の下地基板を用いた場合には、その成長層には下地基板に内在する残留応力が伝播されてしまうと考えられる。さらに、成長面が非極性面又は半極性面の場合には、成長層に伝播された応力が成長とともに増大し、その応力を緩和すべく成長に伴って基底面積層欠陥の幅が大きく広がっていると考えられ、
下地基板に存在する残留応力の成長層への伝播を抑制することで、成長に伴う基底面積層欠陥の幅の広がりを抑制することができると考えられる。下地基板に存在する残留応力の成長層への伝播の抑制方法については特に限定されないが、例えば上述のような、下地基板に存在する残留応力の成長層への伝播を抑制しうる層、具体的には後述する所定の特異成長層を下地基板と成長層との間に形成する方法が挙げられる。
(ロ) 成長工程で全体のガス流量の40体積%異常の不活性ガス種を含有する雰囲気とする
(ハ)成長工程の初期における成長温度を1040℃以下とする
(ニ)成長開始時のガス導入に際して、所定のガス供給量に達するまでにかかる時間(以下、ガス導入時間と略記する場合がある)を10分以下とする
本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶に係る製造方法において、通常、成長工程は下地基板上に周期表第13族金属窒化物半導体層を成長させる工程である。下地基板の主面上に成長させる結晶の厚さは、最終的に取得した周期表第13族金属窒化物半導体結晶のサイズ等に応じて適宜決定することができる。例えば、1mm以上とすることができ、3mm以上が好ましく、10mm以上がより好ましく、また、100mm以下とすることが好ましく、50mm以下とすることがより好ましく、20mm以下とすることがさらに好ましい。
されると、下地基板に対して特異成長層のE2 Hフォノンピークのラマンシフト量が減少する傾向があり、その変化量は2x10−2cm−1好ましくは3x10−2cm−1以上であり、より好ましくは5x10−2cm−1以上であり、通常1cm−1以下である。なお、これらのラマンシフト量の差から当該層間の応力差を見積もることができる。
一方で、成長工程の初期において2次元成長又はステップフロー成長をより効果的に実現するために、以下の条件を選択してもよい。
これは、成長前の下地基板表面上にケイ素(Si)等の2次元成長を阻害する不純物の付着を低減して表面エネルギーの低下を抑制する効果と、成長開始時の下地基板温度を比較的低温にすることによって2次元成長を促進させる2つの効果があると考えられる。
以上、さらに好ましくは830℃以上であり、好ましくは940℃以下、より好ましくは910℃以下、さらに好ましくは870℃以下である。上記のような範囲とすることで、結晶性の悪い周期表第13族金属窒化物層の形成や不純物の付着を抑制して、第13族窒化物層の積層欠陥密度をより低く抑えることができる。
また、成長工程における昇温過程における温度T2はT1<T2であれば具体的温度は特に限定されず、通常950℃以上、好ましくは970℃以上、より好ましくは990℃以上であり、通常1200℃以下、好ましくは1100℃以下、より好ましくは1050℃以下、さらに好ましくは1020℃以下である。なお、成長工程の具体的態様として、昇温過程を終えた後、即ち成長部の温度がT2に達した後に、直ぐに本成長に移行する態様が挙げられるが、この場合T2は本成長の温度条件に設定することが好ましい。
昇温過程における周期表第13族原料および窒素原料の供給量も特に限定されないが、周期表第13族原料としてGaClを使用する場合、成長部の圧力1.01×105PaにおけるGaClの分圧は、通常1.20×102Pa以上、好ましくは1.60×10
2Pa以上、より好ましくは2.00×102Paであり、通常9.00×102Pa以下、好ましくは7.00×102Pa以下、より好ましくは5.00×102Pa以下である。
キャリアガスとして水素(H2)を使用する場合、成長部の圧力1.01×105PaにおけるH2の分圧として、1.00×103Pa以上、好ましくは5.00×103Pa以上、より好ましくは1.00×104Pa以上である。
以下、一例としてHVPE法を採用した成長方法を、製造装置と共に説明するが、本発明の製造方法における成長工程はこれらに限られるものではなく、上述したその他の成長方法にも適用することができる。
1)基本構造
図3には、HVPE法を採用した製造方法に用いられる製造装置の概念図を示す。図3に図示したHVPE装置は、リアクター100内に、下地基板を載置するためのサセプター107と、周期表第13族金属原料を入れるリザーバー105とを備えている。また、リアクター100内にガスを導入するための導入管101〜104と、排気するための排気管108が設置されている。さらに、リアクター100を側面から加熱するためのヒーター106が設置されている。
リアクター100の材質としては、石英、焼結体窒化ホウ素、ステンレス等が用いられる。好ましい材質は石英である。リアクター100内には、反応開始前にあらかじめ雰囲気ガスを充填しておく。雰囲気ガス(キャリアガス)としては、例えば、水素、窒素、He、Ne、Arのようなガス等を挙げることができる。
全体のガス流量における不活性ガスの含有割合を40体積%以上とすることにより、下地基板の主面上の成長において、成長中の下地基板表面(成長初期)及び結晶成長表面(厚膜成長中)の分解を低減し、且つ供給原料の下地基板表面への濡れ性が向上し、高品質の結晶成長が可能な2次元成長を実現することができる。
スとしてN2を用い、本成長は不活性ガスとしてArを用いるといった場合が考えられる。
サセプター107の材質としてはカーボンが好ましく、SiCで表面をコーティングしているものがより好ましい。サセプター108の形状は、本製造方法で用いる下地基板(シード)を設置することができる形状であれば特に制限されないが、結晶成長する際に結晶成長面付近に構造物が存在しないものであることが好ましい。結晶成長面付近に成長する可能性のある構造物が存在すると、そこに多結晶体が付着し、その生成物としてHClガスが発生して結晶成長させようとしている結晶に悪影響が及んでしまう。シード110とサセプター107の接触面は、シードの主面(結晶成長面)から1mm以上離れていることが好ましく、3mm以上離れていることがより好ましく、5mm以上離れていることがさらに好ましい。
リザーバー105には、周期表第13族金属原料を入れる。そのような周期表第13族金属原料として、Ga、Al、Inなどを挙げることができる。リザーバー105にガスを導入するための導入管103からは、リザーバー105に入れた原料と反応するガスを供給する。例えば、リザーバー105に周期表第13族金属原料を入れた場合は、導入管103からHClガスを供給することができる。周期表第13族金属原料としてGaを用いた場合にはHClガスと反応してGaClガスが生成され、リアクター内に導入される。このとき、HClガスとともに、導入管103からキャリアガスを供給してもよい。キャリアガスとしては、例えば水素、窒素、He、Ne、Arのようなガス等を挙げることができる。これらのガスは混合して用いてもよい。
導入管104からは、窒素源となる原料ガスを供給する。通常はNH3を供給する。また、導入管101および導入管102からは、キャリアガスを供給する。キャリアガスとしては、導入管103から供給するキャリアガスと同じものを例示することができる。このキャリアガスは原料ガス同士の気相での反応を抑制し、ノズル先端にポリ結晶が付着することを防ぐ効果もある。また、導入管102からは、ドーパントガスを供給することもできる。例えば、SiH4やSiH2Cl2、H2S等のn型のドーパントガスを供給することができる。
導入管101〜104から供給する上記ガスは、それぞれ互いに入れ替えて別の導入管から供給しても構わない。また、窒素源となる原料ガスとキャリアガスは、同じ導入管から混合して供給してもよい。さらに他の導入管からキャリアガスを混合してもよい。これらの供給態様は、リアクター100の大きさや形状、原料の反応性、目的とする結晶成長速度などに応じて、適宜決定することができる。
ガス排気管108は、リアクター内壁の上面、底面、側面に設置することができる。ゴミ落ちの観点から結晶成長端よりも下部にあることが好ましく、図1のようにリアクター底面にガス排気管108が設置されていることがより好ましい。
本製造方法における成長工程での結晶成長は、通常は800℃〜1200℃で行う。島状成長を抑制し、下地基板表面での供給原料の濡れ性を向上させるために、好ましくは900℃〜1100℃、さらに好ましくは950℃〜1050℃、より好ましくは920℃
〜980℃である。
また、結晶成長時間は特に限定されないが、通常10時間〜100時間である。成長膜厚によって成長時間は適宜変更可能である。
リアクター内の圧力は10kPa〜200kPaであるのが好ましく、30kPa〜150kPaであるのがより好ましく、50kPa〜120kPaであるのがさらに好ましい。
成長初期の所定のH2キャリアガス量は、1.00×103Pa以上、好ましくは5.00×103Pa以上、より好ましくは1.00×104Pa以上である。また、成長初期の所定のH2キャリアガス量は、通常7.00×104Pa以下、好ましくは6.00×104Pa以下、より好ましくは5.00×104Pa以下である。
上記の製造装置を用いた結晶成長の成長速度は、成長方法、成長温度、原料ガス供給量、結晶成長面方位等により異なるが、一般的には5μm/h〜500μm/hの範囲であり、30μm/h以上が好ましく、70μm/h以上がより好ましく、150μm以上であることがさらに好ましい。成長速度は、上記の他、キャリアガスの種類、流量、供給口−結晶成長端距離等を適宜設定することによって制御することができる。
下地基板は、周期表第13族金属窒化物半導体結晶からなるものであれば具体的種類は特に限定されないが、窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化インジウム(InN)、又はこれらの混晶等を挙げることができる。但し、目的とする周期表第13族金属窒化物半導体結晶と同種の結晶を下地基板として用いることが好ましい。例えば、窒化ガリウム(GaN)半導体基板を製造する場合は、窒化ガリウム(GaN)下地基板を用いて窒化ガリウム層を製造することが好ましい。なお、成長させる成長層と下地基板とは、完全に同一の組成である必要はなく、99.75%(原子比)以上の組成が一致していれば同種の周期表第13族金属窒化物半導体結晶であるとする。例えば、GaN下地基板上に、ケイ素(Si)や酸素(O)等をドーピングした成長層を成長させる場合は、同種の周期表第13族金属窒化物半導体結晶を成長させているとしてホモエピタキシャル成長と称する。
下地基板は、単一の周期表第13族金属窒化物半導体結晶に限られず、複数の周期表第13族金属窒化物半導体結晶を配列して下地基板として使用してもよい(以下、複数の周期表第13族金属窒化物半導体結晶を配列して下地基板として使用した場合の各結晶を「周期表第13族金属窒化物シード」と略す場合がある。)。下地基板として大型のものを準備できない場合でも、複数の周期表第13族金属窒化物シードを配列し、大面積の主面を作製すればよい。複数の周期表第13族金属窒化物シードを使用した場合であっても、複数の周期表第13族金属窒化物シード上に一体となった結晶を成長させることができるため、大面積の周期表第13族金属窒化物半導体結晶を得ることが可能となる。
複数の周期表第13族金属窒化物シードは、同一の指数面を有するものを用いても、異なる指数面を有するものをあわせて用いてもよい。複数の周期表第13族金属窒化物シードを並べる際には、同一平面上に結晶方位(面方位)をそろえて並べ、隣り合うシードが互いに接していても、接していなくてもよい。なお、結晶方位(面方位)とは各シードにおける主面法線方向の傾きを意味するものであるため、結晶方位(面方位)をそろえることはシード間のオフ角度をそろえることと同義である。
本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、前述の成長工程を経たままの状態の結晶ほか、下地基板と分離する分離工程やスライス工程、表面研磨工程等の公知の処理工程を経た結晶であってもよい。スライス工程としては、具体的にはワイヤースライス、内周刃スライス等が挙げられ、表面研磨工程としては、例えばダイヤモンド砥粒等の砥粒を用いて表面を研磨する操作、CMP(chemical mechanical polishing)、機械研磨後RIEでダメージ層エッチングする操作が挙げられる。
晶であればその種類は特に限定されないが、GaN、AlN、InN等の1種類の周期表第13族金属からなる窒化物のほかに、GaInN、AlGaN等の2種類以上の周期表第13族金属からなる混晶も挙げられる。
本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶の主面は、非極性面又は半極性面であれば何ら限定されないが、具体的には、非極性面としてはM面又はA面が挙げられる。また、半極性面としてはC面に対して傾いた面で、表面に周期表第13族金属元素と窒素元素の両方あるいは片方のみが存在する場合で、かつその存在比が1:1でない面が挙げられ、例えば{20−21}面、{20−2−1}面、{30−31}面、{30−3−1}面、{10−11}面、{10−1−1}面、{10−12}面、{10−1−2}面、{11−22}面、{11−2−2}面、{11−21}面、{11−2−1}面など低指数面が挙げられる。
本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、さまざまな用途に用いることができる。特に紫外〜青色の発光ダイオード又は半導体レーザー等の比較的短波長側の発光素子、及び緑色〜赤色の比較的長波長側の発光素子を製造するための半導体基板として、さらに電子デバイス等の半導体デバイスの半導体基板としても有用である。
(0001)面成長により作製されたGaN結晶塊から、<0001>(c軸)方向に5mm、<11−20>(a軸)方向に30mmの長方形で、主面が(10−10)面から<000−1>(−c軸)方向に2°のオフ角を有する面であるGaN自立基板を20枚切り出した。このGaN自立基板をシードとして、サセプター107上に<0001>(c軸)方向に10列、<11−20>(a軸)方向に2列に並べた(図4参照)。その後、図3に示すように、シード109を搭載したサセプター107をリアクター100内に配置した。引き続き、リアクター内をN2ガスで置換した後に、前記雰囲気下において周期表第13族金属原料用リザーバー106の温度を900℃、反応室の温度を950℃まで上げ、HVPE法にてGaN単結晶層の成長を開始した。この単結晶成長工程においては成長開始から成長終了まで成長圧力を1.01×105Paとした。
シードの一部を含むものについて断面蛍光像観察を行ったところ、シード界面から80μm厚の蛍光像の暗い層として特異成長層が観察された。このGaN自立基板1は、厚さ20μmのシード部分と、厚さ数μmの蛍光像の暗い層(特異成長層)と、厚さ300μmのGaN結晶層から構成されていた。この蛍光像の暗い層(特異成長層)のSIMS測定を行ったところ、酸素濃度が1.7×1019cm−3であり、それ以外の大部分の結晶(GaN結晶層)の酸素濃度が3.5×1018cm−3であるのと比較して、酸素濃度が高い層であることが分かった。また、特異成長層の断面をSEM−CL観察したところ、特異成長層は3kV、100pAの条件ではCL発光せず、特異成長層内の転位分布は観察不可であった。一方、シードの転位密度が6×106cm−2であったのに対して、特異成長層直上の結晶は転位密度が9×105cm−2以下であり、それより成長方向側でも2×106cm−2程度であった。このことから、特異成長層より成長方向側の結晶の転位密度はシードの転位密度より低くなっていることが分かった。さらに、特異成長層の断面について、3kV、500pA、2000倍視野でCLスペクトルを測定したところ、特異成長層からバンド端発光のピークは、特異成長層より成長方向側の結晶に比べて約1/135の強度比であった。またCLスペクトルのピーク波長は、特異成長層は364nm、特異成長層より成長方向側の結晶は366nmであった。さらに、特異成長層と下地基板との間の応力を調べることが出来る光学フォノンモードのE2 Hのラマン測定を実施した。ラマンシフト値は下地基板で567.83cm−1、特異成長層に入って一旦増加し最大値が567.90cm−1をとった後、減少に転じ、特異成長層の最小値が567.76cm−1となっていた。したがって下地基板に対する特異成長層の光学フォノンモードのE2 Hのラマンシフトの減少量は7×10−2cm−1であった。波数較正はNe線波長540.05616nmで行った。
まず得られたGaN自立基板1のうち、シード主面からの成長厚みが1.2mmの位置に相当する主面を有する基板の該主面を観察した結果を図5に示す。LTCL観察では基底面積層欠陥は輝線として観察されるが、図5から明らかなように、基板主面内には長さの異なる基底面積層欠陥が複数存在することが確認された。図5から算出した、基底面積層欠陥の幅と個数との関係を図6に示す。また、図5から算出した、基底面積層欠陥の幅の最大値、最小値、平均値、標準偏差、基底面積層欠陥の個数、及び基底面積層欠陥密度を表1に示す。なお、表中の「BSF」は、基底面積層欠陥を表す用語である。
2 a軸方向に平行な線状の欠陥
3 M面
12 主面から裏面まで貫通しない基底面積層欠陥
13 主面から裏面まで貫通している基底面積層欠陥
100 リアクター
101 キャリアガス用導入管
102 ドーパントガス用導入管
103 周期表第13族金属原料用導入管
104 窒素原料用導入管
105 周期表第13族金属原料リザーバー
106 ヒーター
107 サセプター
108 排気管
109 下地基板(シード)
Claims (3)
- 主面がM面、{20−21}面、{20−2−1}面、{30−31}面、{30−3−1}面、{10−11}面、{10−1−1}面、{10−12}面または{10−1−2}面であり、
前記主面における基底面積層欠陥の最大幅が800μm以下であり、
前記主面は、幅が5倍以上異なる基底面積層欠陥を含む、
ことを特徴とするGaN基板。 - 前記主面における基底面積層欠陥の幅の標準偏差が2以上であることを特徴とする請求項1に記載のGaN基板。
- 請求項1または2に記載のGaN基板を用いたデバイス。
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