JP6089821B2 - 周期表第13族金属窒化物半導体結晶 - Google Patents

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Description

本発明は、周期表第13族金属窒化物半導体結晶に関する。
窒化ガリウム(GaN)に代表される周期表第13族金属窒化物半導体は、大きなバンドギャップを有し、さらにバンド間遷移が直接遷移型であることから、紫外、青色等の発光ダイオードや半導体レーザー等の比較的短波長側の発光素子として実用化されている。これらのデバイスは、同種の材料からなり、かつ結晶欠陥の少ない高品質な半導体基板(自立基板)を用いて製造されることが好ましく、このような半導体基板となり得る周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造技術が盛んに研究されている。代表的な製造方法として、ハイドライド気相成長法(HVPE法)や有機金属化学蒸着法(MOCVD法)等の気相成長法を利用した製造方法が一般的に知られている。
周期表第13族金属窒化物半導体基板については、ピエゾ電界の影響を抑制する観点から、非極性面又は半極性面を主面とするものが必要とされており、例えば(0001)面等の極性面を主面とする周期表第13族金属窒化物半導体下地基板を用い、その主面上に結晶成長させて、形成された成長層を非極性面又は半極性面が現れるように研磨又は切断することによって製造することができる。しかしながら、極性面を主面とする下地基板を用いる方法では、非極性面又は半極性面を主面とする大口径の半導体基板を効率よく製造することは困難である。そこで最近では、非極性面又は半極性面を主面とする周期表第13族金属窒化物半導体下地基板を用い、かかる主面上に結晶成長させて製造する方法が注目されている。
一方で、非極性面上又は半極性面上に既知の方法で結晶成長させるだけでは、成長層に多数の積層欠陥が発生してしまうことが明らかとなっており、高品質な周期表第13族金属窒化物半導体基板を実現するためには、積層欠陥を低減する技術が必要である。
積層欠陥を低減する方法として、例えば使用するGaN種結晶基板の不純物濃度と形成するGaN結晶層との不純物濃度の差を、3×1018cm−3以下とする成長方法が提案されている(特許文献1参照)。
特開2012−66983号公報
本発明者らが検討したところ、従来の方法で非極性面上又は半極性面上に結晶成長させた場合には、成長方向に対して垂直方向の積層欠陥の幅が、成長に伴って大きく広がっていることを見出した。このような結晶を切断して非極性面又は半極性面を主面とする基板を複数枚得たとしても、基板ごとに積層欠陥の幅が大きく異なるものとなってしまう、つまり、基板ごとに積層欠陥密度が大きく異なるものとなってしまうという新たな課題が存在することを見出した。積層欠陥を有する基板を用いてその上にデバイス構造を形成した場合には、基板における積層欠陥密度の大きさによっては所望のデバイス特性が得られないことが知られており、そのため、積層欠陥密度が大きく異なる複数の基板を用いた場合には、所望の特性を有するデバイスを歩留まりよく生産することは困難である。
本発明は、所望の特性を有するデバイスを歩留まりよく生産することが可能な下地基板
となり得る、周期表第13族金属窒化物半導体結晶を提供することを課題とする。
発明は以下の通りである。
[1] 主面がM面、{20−21}面、{20−2−1}面、{30−31}面、{30−3−1}面、{10−11}面、{10−1−1}面、{10−12}面または{10−1−2}面であり、前記主面における基底面積層欠陥の最大幅が800μm以下であり、前記主面は、幅が5倍以上異なる基底面積層欠陥を含む、ことを特徴とするGaN基板
[2] 前記主面における基底面積層欠陥の幅の標準偏差が2以上であることを特徴とする[1]に記載のGaN基板
[3] [1]または[2]に記載のGaN基板を用いたデバイス。

本発明によれば、所望の特性を有するデバイスを歩留まりよく生産することが可能な下地基板となり得る、周期表第13族金属窒化物半導体結晶を提供することができる。
M面を主面とする周期表第13族金属窒化物半導体結晶における基底面積層欠陥を表す概念図である。 M面を主面とする周期表第13族金属窒化物半導体結晶における基底面積層欠陥を表す概念図である。 本発明の製造方法で用いることができる製造装置の一例を示す概略図である。 GaNシードの配置を説明するための斜視図である。 実施例1で得られたGaN自立基板の主面における低温カソードルミネッセンス観察結果である。 実施例1で得られたGaN自立基板の主面における基底面積層欠陥の幅と個数を表すグラフである。 実施例1で得られたGaN自立基板の主面における低温カソードルミネッセンス観察結果である。 実施例1で得られたGaN自立基板の主面における基底面積層欠陥の幅と個数を表すグラフである。 実施例1で得られたGaN自立基板のa面断面における低温カソードルミネッセンス観察結果である。
以下において、本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様や具体例に限定されるものではない。
なお、本願において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。また、本願におけるミラー指数は、指数が負である場合に当該指数の前にマイナス記号をつけて表記している。また、本明細書において<・・・・>との表記は方向の集合表現、[・・・・]との表記は方向の個別表現を表す。それに対して{・・・・}との表記は面の集合表現、(・・・・)との表記は面の個別表現を表す。
本明細書において「オフ角」とは、ある面の指数面からのずれを表す角度である。
本願明細書において「主面」とは、結晶に存在する表面のうち最も広い面を意味し、下地基板の「主面」は通常結晶成長が行われるべき面となる。
本願明細書において、「C面」とは、六方晶構造(ウルツ鉱型結晶構造)における{0001}面であり、c軸に直交する面である。かかる面は極性面であり、周期表第13族金属窒化物半導体結晶では「+C面」は周期表第13族金属面(窒化ガリウムの場合はガリウム面)であり、「−C面」は窒素面である。
また、本願明細書において、「M面」とは{1−100}面と等価な面であり、具体的には(1−100)面、(01−10)面、(−1010)面、(−1100)面、(0−110)面、或いは(10−10)面であり、m軸に直交する面である。かかる面は非極性面であり、通常は劈開面である。
また、本願明細書において、「A面」とは{2−1−10}面と等価な面であり、具体的には(2−1−10)面、(−12−10)面、(−1−120)面、(−2110)面、(1−210)面、或いは(11−20)面であり、a軸に直交する面である。かかる面は非極性面である。本明細書において「c軸」「m軸」「a軸」とは、それぞれC面、M面、A面に垂直な軸を意味する。
また、本願明細書において「半極性面」とは、例えば、周期表第13族金属窒化物半導体結晶が六方晶であってその主面が(hklm)で表される場合、h、k、lのうち少なくとも2つが0でなく、且つmが0でない面をいう。また、半極性面は、C面、すなわち{0001}面に対して傾いた面で、表面に周期表第13族金属元素と窒素元素の両方あるいは片方のみが存在する場合で、かつその存在比が1:1でない面を意味する。h、k、l、mはそれぞれ独立に−5〜5のいずれかの整数であることが好ましく、−3〜3のいずれかの整数であることがより好ましく、低指数面であることが好ましい。具体的には、例えば{20−21}面、{20−2−1}面、{30−31}面、{30−3−1}面、{10−11}面、{10−1−1}面、{10−12}面、{10−1−2}面、{11−22}面、{11−2−2}面、{11−21}面、{11−2−1}面など低指数面が挙げられる。
また、本明細書においてC面、M面、A面や特定の指数面を称する場合には、±0.01°以内の精度で計測される各結晶軸から10°以内のオフ角を有する範囲内の面を含む。好ましくはオフ角が5°以内であり、より好ましくは3°以内である。
<周期表第13族金属窒化物半導体結晶>
本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、「主面が非極性面又は半極性面であり、前記主面における基底面積層欠陥の最大幅が800μm以下であり、前記主面は、幅が5倍以上異なる基底面積層欠陥を含む」ことを特徴とする。
前述のように、従来の方法で非極性面上又は半極性面上に結晶成長させた場合には、成長方向に対して垂直方向の基底面積層欠陥の幅が、成長に伴って大きく広がってしまうため、このような結晶を切断して非極性面又は半極性面を主面とする基板を複数枚得たとしても、基板ごとに基底面積層欠陥の幅が大きく異なるものとなってしまう、つまり、基板ごとに基底面積層欠陥密度が大きく異なるものとなってしまうという課題が存在することを、本発明者らが新たに見出した。基底面積層欠陥を有する基板を用いてその上に下地基板に含まれる基底面積層欠陥はその上にデバイス構造を形成した場合には、基板における積層欠陥密度の大きさによっては所望のデバイス特性が得られないことが知られており、そのため、基底面積層欠陥密度が大きく異なる複数の基板を用いた場合には、所望の特性を有するデバイスを歩留まりよく生産することは困難であった。
このような課題に対して本発明者らは、主面が非極性面又は半極性面である周期表第13族金属窒化物半導体結晶であって、前記主面における基底面積層欠陥の最大幅が800μm以下であり、前記主面が、幅が5倍以上異なる基底面積層欠陥を含むように結晶を製造することによって、成長に伴う基底面積層欠陥の幅の広がりを抑制することができ、結晶を切断して非極性面又は半極性面を主面とする基板を複数枚得た場合には、基板ごとの基底面積層欠陥密度のばらつきを少なくすることができることを見出した。従来の方法で非極性面又は半極性面を主面とする下地基板上に結晶成長させた場合、結晶成長に伴って増大する内部応力を緩和すべく、成長に伴って基底面積層欠陥の幅が大きく広がっていると考えられるが、本発明では成長結晶の成長面(主面)が、幅が大きく異なる基底面積層欠陥を備えるように成長することで、成長に伴い増大する内部応力を効果的に分散させることができ、成長に伴う基底面積層欠陥の幅の増大を抑制することができていると考えられる。特に幅が5倍以上異なる基底面積層欠陥を含む場合には、基底面積層欠陥の最大幅を800μm以下とすることができ、成長に伴う基底面積層欠陥の幅の広がりを効果的に抑制することができることを明らかとしたのである。
基底面積層欠陥とは、C面(基底面)内に発生する面欠陥であるため、非極性面又は半極性面においては線状の欠陥として観測される。例えば、M面においてはa軸方向に平行な線状の欠陥として、A面においてはm軸方向に平行な線状の欠陥として観測される。図1はM面を主面とする周期表第13族金属窒化物半導体結晶における基底面積層欠陥の概念図であり、C面断面において面欠陥として存在する基底面積層欠陥1が、主面であるM面3ではa軸方向に平行な線状の欠陥2として観測される。
なお、基底面積層欠陥は、例えば蛍光顕微鏡観察や低温カソードルミネッセンス測定を行うことによって特定することができ、本明細書においては、82Kの低温条件下においてカソードルミネッセンス測定を行い、3.41eV(364nm)付近の基底面積層欠陥由来のピーク(Iタイプの積層欠陥由来のピーク)を波長分解して像観察することで特定している。
(主面に存在する基底面積層欠陥)
本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、主面における基底面積層欠陥の最大幅が800μm以下であることを特徴とするが、600μm以下であることが好ましく、400μm以下であることがより好ましく、350μm以下であることがさらに好ましく、300μm以下であることがよりさらに好ましく、200μm以下であることが特に好ましく、また、1μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましく、30μm以上であることがさらに好ましく、50μm以上であることが特に好ましい
。前記上限値以下とすることで、厚み方向の基底面積層欠陥密度の差のバラツキを小さくすることができ、また、主面における基底面積層欠陥密度の値を小さくできる傾向がある。
本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、主面における基底面積層欠陥の最小幅が50μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましく、200μm以下であることがさらに好ましく、10μm以下であることが特に好ましく、また、1μm以上であることが好ましく、2μm以上であることがより好ましく、3μm以上であることがさらに好ましい。前記上限値以下とすることで、厚み方向の積層欠陥密度の差のバラツキを小さくすることができ、また、主面における基底面積層欠陥密度の値を小さくできる傾向がある。
また、本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、主面が、幅が5倍以上異なる基底面積層欠陥を含むことを特徴とするが、10倍以上異なることが好ましく、15倍以上異なることがより好ましく、20倍以上異なることがさらに好ましく、30倍以上異なることがよりさらに好ましく、50倍以上異なることが特に好ましく、また、1000倍以下異なることが好ましく、500倍以下異なることがより好ましく、300倍以下異なることがさらに好ましく、100倍以下異なることがよりさらに好ましく、75倍以下異なることが特に好ましい。前記下限値以上とすることで、成長に伴う基底面積層欠陥の幅の広がりを抑制することができる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで主面における基底面積層欠陥密度の値を小さくできる傾向がある。
また、本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、主面における基底面積層欠陥密度の幅の標準偏差が2以上であることが好ましく、5以上であることがより好ましく、7以上であることがさらに好ましく、10以上であることがよりさらに好ましく、20以上であることが特に好ましく、また、100以下であることが好ましく、80以下であることがより好ましく、70以下であることがさらに好ましく、60以下であることが特に好ましい。前記下限値以上とすることで、成長に伴う基底面積層欠陥の幅の広がりを抑制することができる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで主面における基底面積層欠陥密度の値を小さくできる傾向がある。
さらに、本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、主面における基底面積層欠陥の個数が、その1mmの領域において10個以上であることが好ましく、50個以上であることがより好ましく、100個以上であることがさらに好ましく、200個以上であることがよりさらに好ましく、300個以上であることが特に好ましく、また、1000個以下であることが好ましく、700個以下であることがより好ましく、500個以下であることがさらに好ましく、300個以下であることが特に好ましい。前記上限値以下とすることで、デバイス形成用の基板として用いた場合に、所望のデバイス特性が得られる傾向がある。なお、1mmの領域における基底面積層欠陥の個数は、少なくとも0.25mm以上の面積を有する領域で測定した測定値に基づいて算出することができる。
また、本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、主面における基底面積層欠陥の密度が、1cm−1以上であることが好ましく、5cm−1以上であることがより好ましく、10cm−1以上であることがさらに好ましく、20cm−1以上であることがよりさらに好ましく、40cm−1以上であることが特に好ましく、10000cm−1以下であることが好ましく、1000cm−1以下であることがより好ましく、500cm−1以下であることがさらに好ましく、200cm−1以下であることがよりさらに好ましく、100cm−1以下であることが特に好ましい。前記上限値以下とすることで、デバイス形成用の基板として用いた場合に、所望のデバイス特性が得られる傾向がある。
(主面から3/5厚みの深さにおける、主面と平行な断面に存在する基底面積層欠陥)
一方で、本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、主面から3/5厚みの深さにおける主面と平行な断面における基底面積層欠陥の最大幅が600μm以下であることが好ましく、400μm以下であることがより好ましく、300μm以下であることがさらに好ましく、200μm以下であることがよりさらに好ましく、100μm以下であることが特に好ましく、また、1μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましく、30μm以上であることがさらに好ましく、50μm以上であることが特に好ましい。前記上限値以下とすることで、厚み方向の積層欠陥密度の差のバラツキを小さくすることができ、また、主面における基底面積層欠陥密度の値を小さくできる傾向がある。なお、主面から3/5厚みの深さにおける主面と平行な断面とは、主面と平行な断面のうち、主面に垂直な方向の最大厚みをDとした場合に、主面からの深さが3D/5となる深さにおける断面を意味する。
本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、主面から3/5厚みの深さにおける主面と平行な断面における基底面積層欠陥の最小幅が50μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましく、200μm以下であることがさらに好ましく、10μm以下であることが特に好ましく、また、1μm以上であることが好ましく、2μm以上であることがより好ましく、3μm以上であることがさらに好ましい。前記上限値以下とすることで、厚み方向の積層欠陥密度の差のバラツキを小さくすることができ、また、主面における基底面積層欠陥密度の値を小さくできる傾向がある。
また、本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、主面から3/5厚みの深さにおける主面と平行な断面が、幅が5倍以上異なる基底面積層欠陥を含むことが好ましく、10倍以上異なることがより好ましく、15倍以上異なることがさらに好ましく、20倍以上異なることがよりさらに好ましく、30倍以上異なることが特に好ましく、50倍以上異なることが最も好ましく、また、1000倍以下異なることが好ましく、500倍以下異なることがより好ましく、300倍以下異なることがさらに好ましく、100倍以下異なることがよりさらに好ましく、75倍以下異なることが特に好ましい。前記下限値以上とすることで、成長に伴う基底面積層欠陥の幅の広がりを抑制することができる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで主面における基底面積層欠陥密度の値を小さくできる傾向がある。
また、本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、主面から3/5厚みの深さにおける主面と平行な断面における、基底面積層欠陥の幅の標準偏差が2以上であることが好ましく、5以上であることがより好ましく、7以上であることがさらに好ましく、10以上であることが特に好ましく、また、100以下であることが好ましく、80以下であることがより好ましく、60以下であることがさらに好ましく、40以下であることがよりさらに好ましく、20以下であることが特に好ましい。前記下限値以上とすることで、成長に伴う基底面積層欠陥の幅の広がりを抑制することができる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで主面における基底面積層欠陥密度の値を小さくできる傾向がある。
さらに、本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、主面から3/5厚みの深さにおける主面と平行な断面における基底面積層欠陥の個数が、その1mmの領域において、10個以上であることが好ましく、50個以上であることがより好ましく、100個以上であることがさらに好ましく、200個以上であることがよりさらに好ましく、300個以上であることが特に好ましく、また、1000個以下であることが好ましく、700個以下であることがより好ましく、500個以下であることがさらに好ましく、300個以下であることが特に好ましい。前記上限値以下とすることで、デバイス形成用の基板として用いた場合に、所望のデバイス特性が得られる傾向がある。なお、1mmの領域
における基底面積層欠陥の個数は、少なくとも0.25mm以上の面積を有する領域で測定した測定値に基づいて算出することができる。
また、本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、主面から3/5厚みの深さにおける主面と平行な断面における基底面積層欠陥の密度が、1cm−1以上であることが好ましく、5cm−1以上であることがより好ましく、10cm−1以上であることがさらに好ましく、20cm−1以上であることがよりさらに好ましく、40cm−1以上であることが特に好ましく、10000cm−1以下であることが好ましく、1000cm−1以下であることがより好ましく、500cm−1以下であることがさらに好ましく、200cm−1以下であることがよりさらに好ましく、100cm−1以下であることが特に好ましい。前記上限値以下とすることで、デバイス形成用の基板として用いた場合に、所望のデバイス特性が得られる傾向がある。
(主面と、主面から3/5厚みの深さにおける主面と平行な断面との比較)
本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、主面と、主面から3/5厚みの深さにおける主面と平行な断面とで、基底面積層欠陥の最大幅の比が10以下であることが好ましく、8以下であることがより好ましく、6以下であることがさらに好ましく、4以下であることがよりさらに好ましく、2以下であることが特に好ましく、また通常、1以上である。前記上限値以下とすることで、成長に伴う基底面積層欠陥の幅の広がりを抑制することができる傾向がある。なお、「基底面積層欠陥の最大幅の比」は、主面における基底面積層欠陥の最大幅、及び、主面から3/5厚みの深さにおける主面と平行な断面における基底面積層欠陥の最大幅のうち、値が大きいほうの数値を、値が小さいほうの数値で除算することで算出することができる。
また、本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、主面と、主面から3/5厚みの深さにおける主面と平行な断面とで、基底面積層欠陥の最小幅の比が10以下であることが好ましく、8以下であることがより好ましく、6以下であることがさらに好ましく、4以下であることがよりさらに好ましく、2以下であることが特に好ましく、また通常、1以上である。前記上限値以下とすることで、成長に伴う基底面積層欠陥の幅の広がりを抑制することができる傾向がある。なお、「基底面積層欠陥の最小幅の比」は、主面における基底面積層欠陥の最小幅、及び、主面から3/5厚みの深さにおける主面と平行な断面における基底面積層欠陥の最小幅のうち、値が大きいほうの数値を、値が小さいほうの数値で除算することで算出することができる。
また、本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、主面と、主面から3/5厚みの深さにおける主面と平行な断面とで、基底面積層欠陥の幅の標準偏差の比が10以下であることが好ましく、8以下であることがより好ましく、6以下であることがさらに好ましく、4以下であることがよりさらに好ましく、2以下であることが特に好ましく、また通常、1以上である。前記上限値以下とすることで、成長に伴う基底面積層欠陥の幅の広がりを抑制することができる傾向がある。なお、「基底面積層欠陥の幅の標準偏差の比」は、主面における基底面積層欠陥の幅の標準偏差、及び、主面から3/5厚みの深さにおける主面と平行な断面における基底面積層欠陥の幅の標準偏差のうち、値が大きいほうの数値を、値が小さいほうの数値で除算することで算出することができる。
また、本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、主面と、主面から3/5厚みの深さにおける主面と平行な断面とで、その1mmの領域における基底面積層欠陥の個数の比が3.0以下であることが好ましく、2.0以下であることがより好ましく、1.5以下であることがさらに好ましく、1.3以下であることがよりさらに好ましく、1.2以下であることが特に好ましく、また通常、1以上である。前記上限値以下とすることで、成長に伴う基底面積層欠陥の幅の広がりを抑制することができる傾向がある。なお、
「基底面積層欠陥の個数の比」は、主面における基底面積層欠陥の個数、及び、主面から3/5厚みの深さにおける主面と平行な断面における基底面積層欠陥の個数のうち、値が大きいほうの数値を、値が小さいほうの数値で除算することで算出することができる。
また、本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、主面と、主面から3/5厚みの深さにおける主面と平行な断面とで、基底面積層欠陥の密度の比が10以下であることが好ましく、8以下であることがより好ましく、6以下であることがさらに好ましく、4以下であることがよりさらに好ましく、2以下であることが特に好ましく、また通常、1以上である。前記上限値以下とすることで、成長に伴う基底面積層欠陥の幅の広がりを抑制することができる傾向がある。なお、「基底面積層欠陥の密度の比」は、主面における基底面積層欠陥の密度、及び、主面から3/5厚みの深さにおける主面と平行な断面における基底面積層欠陥密度のうち、値が大きいほうの数値を、値が小さいほうの数値で除算することで算出することができる。
本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、前述のとおり、主面が非極性面又は半極性面であり、前記主面における基底面積層欠陥の最大幅が800μm以下であり、前記主面は幅が5倍以上異なる基底面積層欠陥を含むものであるが、これらの条件を充足し易いとの観点から、主面から裏面まで貫通しない基底面積層欠陥を有することが好ましい。図2はM面を主面とする周期表第13族金属窒化物半導体結晶の+C断面における基底面積層欠陥の概念図であり、+C断面に、主面から裏面まで貫通しない基底面積層欠陥12と、主面から裏面まで貫通している基底面積層欠陥13とが存在している。基底面積層欠陥の多くは成長に伴って成長方向に垂直な方向の幅が広がっていくものであるため、主面から裏面まで貫通するような、成長方向に長く伝播している基底面積層欠陥は、主面においてその幅が非常に長くなる傾向があり、またその結果として、主面における基底面積層欠陥密度が高くなる傾向がある。一方で、主面から裏面まで貫通せずに成長の途中で発生/消失する基底面積層欠陥は、その幅が所定値を超える前に主面に到達するか、幅が所定値を超える前に消失する傾向がある。従って、主面から裏面まで貫通せずに、成長の途中で発生/消失する基底面積層欠陥を有することで、主面における基底面積層欠陥の最大幅を所定値以下とし、かつ、幅が所定値倍以上異なる基底面積層欠陥を含むものとなりやすく、その結果、主面に垂直な方向における基底面積層欠陥密度のバラツキを抑制することができる傾向がある。
(製造方法)
本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、前述の特徴を有する結晶であればその製造方法は特に限定されず、ハイドライド気相成長法(HVPE法)、有機金属化学蒸着法(MOCVD法)、有機金属塩化物気相成長法(MOC法)、昇華法、融液成長、高圧溶液法、フラックス法、アモノサーマル法等の公知の成長方法及び成長条件を適宜採用して製造することができる。但し、「主面における基底面積層欠陥の最大幅が800μm以下であり、前記主面は、幅が5倍以上異なる基底面積層欠陥を含む」という特徴を満たし易くなる観点から、下地基板に存在する残留応力の成長層への伝播を抑制しうる層を下地基板と成長層との間に形成できるような成長方法及び/又は成長条件を採用することが好ましい。周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、通常、下地基板上に結晶成長させることで得ることができるが、下地基板として成長させる結晶とは異なる種類の基板、例えばサファイア基板等の異種基板を用いた場合には、成長層との格子不整合に起因して成長層には貫通転位等の転位が生じることが知られている。その対策として、成長させる結晶と同種の下地基板を用いることで、成長層に生じる貫通転位等の転位を抑制できることが知られている。その一方で、成長させる結晶と同種の下地基板を用いた場合には、その成長層には下地基板に内在する残留応力が伝播されてしまうと考えられる。さらに、成長面が非極性面又は半極性面の場合には、成長層に伝播された応力が成長とともに増大し、その応力を緩和すべく成長に伴って基底面積層欠陥の幅が大きく広がっていると考えられ、
下地基板に存在する残留応力の成長層への伝播を抑制することで、成長に伴う基底面積層欠陥の幅の広がりを抑制することができると考えられる。下地基板に存在する残留応力の成長層への伝播の抑制方法については特に限定されないが、例えば上述のような、下地基板に存在する残留応力の成長層への伝播を抑制しうる層、具体的には後述する所定の特異成長層を下地基板と成長層との間に形成する方法が挙げられる。
成長工程の初期に導入される基底面積層欠陥は成長に伴って伝播されやすいことから、成長工程の初期に基底面積層欠陥が導入されにくい成長方法を採用することが好ましい。その具体的手段については特に限定されないが、成長工程の初期において、2次元成長又はステップフロー成長する方法を採用することがさらに好ましい。なお、成長工程の初期とは、時間は特に限定されないが、例えば成長開始から1分〜30分の間を指す。成長工程の初期において2次元成長又はステップフロー成長を実現するためには、成長条件を選択して適宜調整すればよいが、例えばハイドライド気相成長法(HVPE法)を利用し、以下の(イ)〜(ニ)のような条件を選択することで達成し得る。これらの条件は、単独で適用してもよいが、組み合わせて適用することも可能である。なかでも(イ)と(ロ)を組み合わせて適用することが好ましく、これらに(ハ)、(ニ)を組み合わせることも好ましい。
(イ) 下地基板として(10−10)又は(10−10)面から[0001]若しくは[000−1]方向に1.5°以上傾斜した面を主面として使用する
(ロ) 成長工程で全体のガス流量の40体積%異常の不活性ガス種を含有する雰囲気とする
(ハ)成長工程の初期における成長温度を1040℃以下とする
(ニ)成長開始時のガス導入に際して、所定のガス供給量に達するまでにかかる時間(以下、ガス導入時間と略記する場合がある)を10分以下とする
(成長工程)
本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶に係る製造方法において、通常、成長工程は下地基板上に周期表第13族金属窒化物半導体層を成長させる工程である。下地基板の主面上に成長させる結晶の厚さは、最終的に取得した周期表第13族金属窒化物半導体結晶のサイズ等に応じて適宜決定することができる。例えば、1mm以上とすることができ、3mm以上が好ましく、10mm以上がより好ましく、また、100mm以下とすることが好ましく、50mm以下とすることがより好ましく、20mm以下とすることがさらに好ましい。
成長工程において前記(ロ)の条件を採用した場合、成長工程の初期における2次元成長又はステップフロー成長を達成しやすい傾向があるが、全体のガス流量における不活性ガスの含有割合は70体積%以上であることが好ましく、90体積%以上であることがより好ましい。全体のガス流量における不活性ガスの含有割合は、反応装置に流通させたすべてのガスの流量の総和に対する反応装置に流通させたすべての不活性ガスの流量の総和から算出すればよい。
また、前記(ハ)の条件を採用した場合、成長工程の初期における2次元成長又はステップフロー成長を達成しやすい傾向があるが、1020℃以下であることが好ましく、1000℃以下であることがより好ましく、980℃以下であることがさらに好ましく、950℃以下であることが特に好ましい。また、前記上限値以下とすることで、下地基板と成長層との界面に酸素濃度が8×1018cm−3以上となる特異成長層を形成しやすい傾向がある。なお、下地基板と成長層との界面に酸素濃度が8×1018cm−3以上の特異成長層が形成されると、該特異成長層と下地基板との間の格子面間隔dの差が0.0002Å以上となる傾向がある。さらに、下地基板と成長層との界面に特異成長層が形成
されると、下地基板に対して特異成長層のE フォノンピークのラマンシフト量が減少する傾向があり、その変化量は2x10−2cm−1好ましくは3x10−2cm−1以上であり、より好ましくは5x10−2cm−1以上であり、通常1cm−1以下である。なお、これらのラマンシフト量の差から当該層間の応力差を見積もることができる。
なお、特異成長層の厚みは特に限定されないが、30μm以上であることが好ましく、40μm以上であることがより好ましく、また、120μm以下であることが好ましく、90μm以下であることがより好ましい。また、特異成長層における酸素濃度は好ましくは9×1018cm−3以上であることが好ましく、1×1019cm−3以上であることがより好ましい。
さらに、前記(ニ)の条件を採用した場合、所望の成長を成長開始時から行うことができる傾向があるが、5分以下であることが好ましく、2分以下であることがより好ましい。
一方で、成長工程の初期において2次元成長又はステップフロー成長をより効果的に実現するために、以下の条件を選択してもよい。
(ホ) 目的とする成長温度(後述の本成長過程における成長温度)に達する前の昇温段階から周期表第13族原料および窒素原料の両原料の供給(以下、「原料供給」と略す場合がある。)を行って結晶成長を開始し、両原料を供給しながら目的とする成長温度まで昇温する
これは、成長前の下地基板表面上にケイ素(Si)等の2次元成長を阻害する不純物の付着を低減して表面エネルギーの低下を抑制する効果と、成長開始時の下地基板温度を比較的低温にすることによって2次元成長を促進させる2つの効果があると考えられる。
前記(ホ)の条件を採用する際には、成長工程に先立って、下地基板を配置した成長部の温度を成長部の温度を所定の温度T1(700℃≦T1≦950℃)まで昇温する昇温工程を実施し、かつ、さらに成長工程を、温度T1において周期表第13族原料および/または窒素原料の供給を開始して両原料の同時供給を行い、両原料の同時供給を行いながら成長部の温度を所定の温度T2(T1<T2)まで昇温する昇温過程を含む工程とすることが好ましい。なお、両原料の同時供給を開始する温度が低すぎると、成長初期段階に形成する周期表第13族金属窒化物半導体層自体の結晶性が悪くなってしまう傾向にあり、温度が高すぎると下地基板表面への不純物付着量の増加や2次元成長の選択性が低下するなどの理由により三次元成長がし易くなり、積層欠陥密度が高くなる傾向にある。従って、本発明では、原料供給を開始する温度、即ち温度T1を700℃以上、950℃以下に設定することを特徴としている。また、「成長部の温度」とは、結晶成長が進行する下地基板表面近傍の温度を意図するものであるが、厳密には下地基板を設置するサセプターの温度を意味するものとする。なお、(ホ)の条件を採用する際における「成長工程」とは、実際に周期表第13族金属窒化物層の成長が進行しているか否かに関わらず、周期表第13族原料および窒素原料の両原料の同時供給が行われ、結晶成長が進行し得る条件が整った状態にあれば、「成長工程」に該当するものとする。よって、周期表第13族原料および窒素原料の両原料の同時供給が行われた時点で成長工程に移行するものとする。「両原料の同時供給」とは、周期表第13族原料および窒素原料が共に成長部に供給されている状態を意味し、周期表第13族原料および窒素原料の両原料の供給を同時に開始するほか、例えば、昇温工程において既に窒素原料を流通させているような場合においては、これに加えて周期表第13族原料の供給を開始し、両原料の供給が揃った時点で「両原料の同時供給」を行っているものとする。
また、昇温工程は、成長部の温度を所定の温度T1(700℃≦T1≦950℃)まで昇温する工程であるが、温度T1は、好ましくは750℃以上、より好ましくは790℃
以上、さらに好ましくは830℃以上であり、好ましくは940℃以下、より好ましくは910℃以下、さらに好ましくは870℃以下である。上記のような範囲とすることで、結晶性の悪い周期表第13族金属窒化物層の形成や不純物の付着を抑制して、第13族窒化物層の積層欠陥密度をより低く抑えることができる。
昇温工程は、成長部の温度を所定の温度T1(700℃≦T1≦950℃)まで昇温する工程であれば、その他の条件については特に限定されないが、T1までの昇温速度は、通常5℃/min以上、好ましくは8℃/min以上、より好ましくは12℃/min以上であり、通常20℃/min以下、好ましくは25℃/min以下、より好ましくは30℃/min以下である。上記のような範囲とすることで、結晶性の悪い周期表第13族金属窒化物層の形成や不純物の付着を抑制して、周期表第13族金属窒化物層の積層欠陥密度をより低く抑えることができる。
昇温工程における雰囲気ガスの種類は特に限定されないが、水素(H)、アンモニア(NH)、若しくは窒素(N)、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)等の不活性ガス種、又はこれらの混合ガスが挙げられる。この中でも、水素(H)、アンモニア(NH)、窒素(N)を含むことが好ましく、アンモニア(NH)および窒素(N)であることがより好ましい。
また、雰囲気ガス中の各ガス濃度も特に限定されないが、不活性ガス種の濃度は、通常10体積%以上、好ましくは20体積%以上、より好ましくは30%体積%以上である。水素(H)の濃度は、通常1体積%以上、好ましくは5体積%以上、より好ましくは8%体積%以上であり、通常90体積%以下、好ましくは80体積%以下、より好ましくは70%体積%以下である。アンモニア(NH)の濃度は、通常5体積%以上、好ましくは10体積%以上、より好ましくは15%体積%以上である。
さらに昇温工程は、密閉系で行われても、或いは雰囲気ガスを逐次導入する流通系で行われてもよいが、雰囲気ガスの条件を制御し易くなる観点から、雰囲気ガスを逐次導入する流通系で行われることが好ましい。
また、成長工程における昇温過程における温度T2はT1<T2であれば具体的温度は特に限定されず、通常950℃以上、好ましくは970℃以上、より好ましくは990℃以上であり、通常1200℃以下、好ましくは1100℃以下、より好ましくは1050℃以下、さらに好ましくは1020℃以下である。なお、成長工程の具体的態様として、昇温過程を終えた後、即ち成長部の温度がT2に達した後に、直ぐに本成長に移行する態様が挙げられるが、この場合T2は本成長の温度条件に設定することが好ましい。
昇温過程におけるT2までの昇温速度は特に限定されないが、通常5℃/min以上、好ましくは8℃/min以上、より好ましくは11℃/min以上であり、通常30℃/min以下、好ましくは27℃/min以下、より好ましくは24℃/min以下である。上記のような範囲とすることで、結晶性の悪い周期表第13族金属窒化物半導体層の形成や不純物の付着量を低減して、周期表第13族金属窒化物半導体層の積層欠陥密度をより低く抑えることができる。
昇温過程において使用する周期表第13族原料および窒素原料の具体的種類は、特に限定されず、ハイドライド気相成長法に使用される公知のものを適宜採用することができるが、第13族原料としては塩化ガリウム(GaCl)が、窒素原料としてはアンモニア(NH)が挙げられる。
昇温過程における周期表第13族原料および窒素原料の供給量も特に限定されないが、周期表第13族原料としてGaClを使用する場合、成長部の圧力1.01×10PaにおけるGaClの分圧は、通常1.20×10Pa以上、好ましくは1.60×10
Pa以上、より好ましくは2.00×10Paであり、通常9.00×10Pa以下、好ましくは7.00×10Pa以下、より好ましくは5.00×10Pa以下である。
窒素原料としてNHを使用する場合、成長部の圧力1.01×10PaにおけるNHの分圧は、通常3.5×10Pa以上、好ましくは6.2×10Pa以上、より好ましくは9.3×10Paであり、通常2.7×10Pa以下、好ましくは圧力2.0×10Pa以下、より好ましくは1.2×10Pa以下である。
キャリアガスとして水素(H)を使用する場合、成長部の圧力1.01×10PaにおけるHの分圧として、1.00×10Pa以上、好ましくは5.00×10Pa以上、より好ましくは1.00×10Pa以上である。
以下、一例としてHVPE法を採用した成長方法を、製造装置と共に説明するが、本発明の製造方法における成長工程はこれらに限られるものではなく、上述したその他の成長方法にも適用することができる。
(製造装置と製造条件)
1)基本構造
図3には、HVPE法を採用した製造方法に用いられる製造装置の概念図を示す。図3に図示したHVPE装置は、リアクター100内に、下地基板を載置するためのサセプター107と、周期表第13族金属原料を入れるリザーバー105とを備えている。また、リアクター100内にガスを導入するための導入管101〜104と、排気するための排気管108が設置されている。さらに、リアクター100を側面から加熱するためのヒーター106が設置されている。
2)リアクターの材質、雰囲気ガスのガス種
リアクター100の材質としては、石英、焼結体窒化ホウ素、ステンレス等が用いられる。好ましい材質は石英である。リアクター100内には、反応開始前にあらかじめ雰囲気ガスを充填しておく。雰囲気ガス(キャリアガス)としては、例えば、水素、窒素、He、Ne、Arのようなガス等を挙げることができる。
このうち、積層欠陥密度の低い高品質の周期表第13族金属窒化物結晶を製造するため、雰囲気ガスを窒素、He、Ne、Arなどの不活性ガスとすることが好ましく、窒素(N)ガスとすることがより好ましい。これらのガスは1種のみで用いてもよく、混合して用いてもよい。雰囲気ガスを不活性ガスとする場合、雰囲気ガス中における不活性ガスの含有量は、40体積%以上であることが好ましく、70体積%以上であることがより好ましく、90%体積%以上であることが更に好ましい。
雰囲気ガスを上記の範囲とすることにより、全体のガス流量における不活性ガスの含有割合を容易にコントロールすることができ、全体のガス流量の40体積%以上の不活性ガスを含有する雰囲気を調整しやすいため好ましい。
全体のガス流量における不活性ガスの含有割合を40体積%以上とすることにより、下地基板の主面上の成長において、成長中の下地基板表面(成長初期)及び結晶成長表面(厚膜成長中)の分解を低減し、且つ供給原料の下地基板表面への濡れ性が向上し、高品質の結晶成長が可能な2次元成長を実現することができる。
また不活性ガスの含有割合は上記範囲内であれば、成長中一定にしても、成長中に変更してもよい。不活性ガスの含有割合を変更する時間は1秒以上であることが好ましく、1分以上であることがより好ましく、1時間以上であることが更に好ましい。前記変更は、全ガス種を同時に変更してもよいし、ガス種毎に順次変更してもよい。また、成長中の間にガス種を変更せずに一定にしてもよいし、変更してもよく、例えば成長初期の不活性ガ
スとしてNを用い、本成長は不活性ガスとしてArを用いるといった場合が考えられる。
3)サセプターの材質、形状、成長面からサセプターまでの距離
サセプター107の材質としてはカーボンが好ましく、SiCで表面をコーティングしているものがより好ましい。サセプター108の形状は、本製造方法で用いる下地基板(シード)を設置することができる形状であれば特に制限されないが、結晶成長する際に結晶成長面付近に構造物が存在しないものであることが好ましい。結晶成長面付近に成長する可能性のある構造物が存在すると、そこに多結晶体が付着し、その生成物としてHClガスが発生して結晶成長させようとしている結晶に悪影響が及んでしまう。シード110とサセプター107の接触面は、シードの主面(結晶成長面)から1mm以上離れていることが好ましく、3mm以上離れていることがより好ましく、5mm以上離れていることがさらに好ましい。
4)リザーバー
リザーバー105には、周期表第13族金属原料を入れる。そのような周期表第13族金属原料として、Ga、Al、Inなどを挙げることができる。リザーバー105にガスを導入するための導入管103からは、リザーバー105に入れた原料と反応するガスを供給する。例えば、リザーバー105に周期表第13族金属原料を入れた場合は、導入管103からHClガスを供給することができる。周期表第13族金属原料としてGaを用いた場合にはHClガスと反応してGaClガスが生成され、リアクター内に導入される。このとき、HClガスとともに、導入管103からキャリアガスを供給してもよい。キャリアガスとしては、例えば水素、窒素、He、Ne、Arのようなガス等を挙げることができる。これらのガスは混合して用いてもよい。
5)窒素源(アンモニア)、セパレートガス、ドーパントガス
導入管104からは、窒素源となる原料ガスを供給する。通常はNHを供給する。また、導入管101および導入管102からは、キャリアガスを供給する。キャリアガスとしては、導入管103から供給するキャリアガスと同じものを例示することができる。このキャリアガスは原料ガス同士の気相での反応を抑制し、ノズル先端にポリ結晶が付着することを防ぐ効果もある。また、導入管102からは、ドーパントガスを供給することもできる。例えば、SiHやSiHCl、HS等のn型のドーパントガスを供給することができる。
6)ガス導入方法
導入管101〜104から供給する上記ガスは、それぞれ互いに入れ替えて別の導入管から供給しても構わない。また、窒素源となる原料ガスとキャリアガスは、同じ導入管から混合して供給してもよい。さらに他の導入管からキャリアガスを混合してもよい。これらの供給態様は、リアクター100の大きさや形状、原料の反応性、目的とする結晶成長速度などに応じて、適宜決定することができる。
7)排気管の設置場所
ガス排気管108は、リアクター内壁の上面、底面、側面に設置することができる。ゴミ落ちの観点から結晶成長端よりも下部にあることが好ましく、図1のようにリアクター底面にガス排気管108が設置されていることがより好ましい。
8)結晶成長条件
本製造方法における成長工程での結晶成長は、通常は800℃〜1200℃で行う。島状成長を抑制し、下地基板表面での供給原料の濡れ性を向上させるために、好ましくは900℃〜1100℃、さらに好ましくは950℃〜1050℃、より好ましくは920℃
〜980℃である。
また、結晶成長時間は特に限定されないが、通常10時間〜100時間である。成長膜厚によって成長時間は適宜変更可能である。
リアクター内の圧力は10kPa〜200kPaであるのが好ましく、30kPa〜150kPaであるのがより好ましく、50kPa〜120kPaであるのがさらに好ましい。
また、成長開始時のガス導入に際して、各ガスが所定のガス分圧(ガス流量)に達するまでにかかる時間(以下、ガス導入時間と称する)を、比較的短時間にすることで、初期成長層の表面モフォロジーや成長様式に影響を与え、その後に周期表第13族窒化物半導体結晶層を厚膜化する場合にも、成長方向と成長面との間の異方的な歪みの発生が抑制され、積層欠陥の拡大・伝播を抑制することが可能となるので好ましい。特に、成長工程において、水素ガスを含むキャリアガスを用いる場合に、上述の効果が得やすいため好ましい。
成長初期の所定のGaClガス量は、通常1.20×10Pa以上、好ましくは1.60×10Pa以上、より好ましくは2.00×10Pa以上である。また、成長初期の所定のGaClガス量は、通常9.00×10Pa以下、好ましくは7.00×10Pa以下、より好ましくは5.00×10Pa以下である。
成長初期の所定のHキャリアガス量は、1.00×10Pa以上、好ましくは5.00×10Pa以上、より好ましくは1.00×10Pa以上である。また、成長初期の所定のHキャリアガス量は、通常7.00×10Pa以下、好ましくは6.00×10Pa以下、より好ましくは5.00×10Pa以下である。
これらの各ガス導入時のガス導入時間は、通常10分間以下であることが好ましく、より好ましくは5分間以下、さらに好ましくは2分間以下である。また、ガス導入時間は、通常10秒以上、好ましくは20秒以上、より好ましくは30秒以上である。ガス導入時間を上記の範囲にすることで、成長工程の初期に下地基板の表面荒れが少なくなり、島状成長を効果的に抑制することができる。また、所望のガス条件に短時間で到達することにより、積層欠陥や転位の発生を抑制することができると考えられる。
9)結晶の成長速度
上記の製造装置を用いた結晶成長の成長速度は、成長方法、成長温度、原料ガス供給量、結晶成長面方位等により異なるが、一般的には5μm/h〜500μm/hの範囲であり、30μm/h以上が好ましく、70μm/h以上がより好ましく、150μm以上であることがさらに好ましい。成長速度は、上記の他、キャリアガスの種類、流量、供給口−結晶成長端距離等を適宜設定することによって制御することができる。
(下地基板)
下地基板は、周期表第13族金属窒化物半導体結晶からなるものであれば具体的種類は特に限定されないが、窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化インジウム(InN)、又はこれらの混晶等を挙げることができる。但し、目的とする周期表第13族金属窒化物半導体結晶と同種の結晶を下地基板として用いることが好ましい。例えば、窒化ガリウム(GaN)半導体基板を製造する場合は、窒化ガリウム(GaN)下地基板を用いて窒化ガリウム層を製造することが好ましい。なお、成長させる成長層と下地基板とは、完全に同一の組成である必要はなく、99.75%(原子比)以上の組成が一致していれば同種の周期表第13族金属窒化物半導体結晶であるとする。例えば、GaN下地基板上に、ケイ素(Si)や酸素(O)等をドーピングした成長層を成長させる場合は、同種の周期表第13族金属窒化物半導体結晶を成長させているとしてホモエピタキシャル成長と称する。
また、下地基板は、目的とする周期表第13族金属窒化物半導体結晶の主面と同一の結晶面を主面とすることが好ましい。
下地基板は、単一の周期表第13族金属窒化物半導体結晶に限られず、複数の周期表第13族金属窒化物半導体結晶を配列して下地基板として使用してもよい(以下、複数の周期表第13族金属窒化物半導体結晶を配列して下地基板として使用した場合の各結晶を「周期表第13族金属窒化物シード」と略す場合がある。)。下地基板として大型のものを準備できない場合でも、複数の周期表第13族金属窒化物シードを配列し、大面積の主面を作製すればよい。複数の周期表第13族金属窒化物シードを使用した場合であっても、複数の周期表第13族金属窒化物シード上に一体となった結晶を成長させることができるため、大面積の周期表第13族金属窒化物半導体結晶を得ることが可能となる。
下地基板の主面のサイズは、目的の周期表第13族金属窒化物半導体結晶のサイズにあわせて適宜選択すればよいが、主面の面積が2.5cm以上であることが好ましく、20cm以上であることがより好ましい。
複数の周期表第13族金属窒化物シードは、同一の指数面を有するものを用いても、異なる指数面を有するものをあわせて用いてもよい。複数の周期表第13族金属窒化物シードを並べる際には、同一平面上に結晶方位(面方位)をそろえて並べ、隣り合うシードが互いに接していても、接していなくてもよい。なお、結晶方位(面方位)とは各シードにおける主面法線方向の傾きを意味するものであるため、結晶方位(面方位)をそろえることはシード間のオフ角度をそろえることと同義である。
特に、得られる周期表第13族金属窒化物半導体結晶が均一になることから、周期表第13族金属窒化物シード間の主面の面方位の分布が±5°以内であることが好ましく、より好ましくは±3°以内、さらに好ましくは±1°以内、もっとも好ましくは±0.5°以内である。なお、面方位とは各シードにおける主面法線方向の傾きを意味するものであるため、面方位の分布が±5°以内であることはオフ角度が±5°以内であることと同義である。
複数の周期表第13族金属窒化物シードの配置方法は特に限定されず、同一平面上に隣り合うように配置してもよいし、平面上で重なり合って隣り合うように配置してもよい。複数の周期表第13族金属窒化物シードの主面が異なる面方位である場合には、各々の主面の面方位が同一方向となるように配置すると、周期表第13族金属窒化物シードの接合部上に得られる周期表第13族金属窒化物半導体結晶の結晶性が良好になる傾向があり好ましい。なお、複数の周期表第13族金属窒化物シードを並べる際には各周期表第13族金属窒化物シードの主面と極性面との交線方向を揃えて並べることが好ましく、各周期表第13族金属窒化物シード間の主面と極性面との交線方向の分布が±5°以内となるように揃えることが好ましく、±3°以内となるように揃えることがより好ましく、±1°以内となるようにそろえることがさらに好ましく、±0.5°以内となるように揃えることが特に好ましい。
(その他)
本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、前述の成長工程を経たままの状態の結晶ほか、下地基板と分離する分離工程やスライス工程、表面研磨工程等の公知の処理工程を経た結晶であってもよい。スライス工程としては、具体的にはワイヤースライス、内周刃スライス等が挙げられ、表面研磨工程としては、例えばダイヤモンド砥粒等の砥粒を用いて表面を研磨する操作、CMP(chemical mechanical polishing)、機械研磨後RIEでダメージ層エッチングする操作が挙げられる。
本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、周期表第13族金属を含む窒化物結
晶であればその種類は特に限定されないが、GaN、AlN、InN等の1種類の周期表第13族金属からなる窒化物のほかに、GaInN、AlGaN等の2種類以上の周期表第13族金属からなる混晶も挙げられる。
本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶の主面は、非極性面又は半極性面であれば何ら限定されないが、具体的には、非極性面としてはM面又はA面が挙げられる。また、半極性面としてはC面に対して傾いた面で、表面に周期表第13族金属元素と窒素元素の両方あるいは片方のみが存在する場合で、かつその存在比が1:1でない面が挙げられ、例えば{20−21}面、{20−2−1}面、{30−31}面、{30−3−1}面、{10−11}面、{10−1−1}面、{10−12}面、{10−1−2}面、{11−22}面、{11−2−2}面、{11−21}面、{11−2−1}面など低指数面が挙げられる。
また、本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶の主面の最大径は特に限定されないが、50mm以上であることが好ましく、75mm以上であることがより好ましく、100mm以上であることがさらに好ましく、また、通常200mm以下である。
本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、さまざまな用途に用いることができる。特に紫外〜青色の発光ダイオード又は半導体レーザー等の比較的短波長側の発光素子、及び緑色〜赤色の比較的長波長側の発光素子を製造するための半導体基板として、さらに電子デバイス等の半導体デバイスの半導体基板としても有用である。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
<実施例1>
(0001)面成長により作製されたGaN結晶塊から、<0001>(c軸)方向に5mm、<11−20>(a軸)方向に30mmの長方形で、主面が(10−10)面から<000−1>(−c軸)方向に2°のオフ角を有する面であるGaN自立基板を20枚切り出した。このGaN自立基板をシードとして、サセプター107上に<0001>(c軸)方向に10列、<11−20>(a軸)方向に2列に並べた(図4参照)。その後、図3に示すように、シード109を搭載したサセプター107をリアクター100内に配置した。引き続き、リアクター内をNガスで置換した後に、前記雰囲気下において周期表第13族金属原料用リザーバー106の温度を900℃、反応室の温度を950℃まで上げ、HVPE法にてGaN単結晶層の成長を開始した。この単結晶成長工程においては成長開始から成長終了まで成長圧力を1.01×10Paとした。
成長工程の初期において2次元成長を達成するために、GaClガスG3の分圧を3.29×10Paとし、NHガスG4の分圧を1.05×10Paとし、全体のガス流量中の不活性ガス(N)の割合を91体積%とした雰囲気下で5分間成長を行った。引き続き、GaClガスG3の分圧を3.29×10Paとし、NHガスG4の分圧を1.05×10Paとし、全体のガス流量中の不活性ガス(N)の割合を49体積%とした雰囲気下で950℃一定で40時間成長させた。このときのガス導入時間は1分間とした。単結晶成長工程が終了後、室温まで降温し、GaN結晶1を得た。得られたGaN結晶1は<10−10>方向に2.4mm成長していた。
得られたGaN結晶1について外形加工、表面研磨処理を行った後、通常の手法でこれをシードの主面に平行な方向にスライスし、研磨を行って、(10−10)面を主面とする厚さ400μmのGaN自立基板1を3枚作製した。これらのGaN自立基板1のうち
シードの一部を含むものについて断面蛍光像観察を行ったところ、シード界面から80μm厚の蛍光像の暗い層として特異成長層が観察された。このGaN自立基板1は、厚さ20μmのシード部分と、厚さ数μmの蛍光像の暗い層(特異成長層)と、厚さ300μmのGaN結晶層から構成されていた。この蛍光像の暗い層(特異成長層)のSIMS測定を行ったところ、酸素濃度が1.7×1019cm−3であり、それ以外の大部分の結晶(GaN結晶層)の酸素濃度が3.5×1018cm−3であるのと比較して、酸素濃度が高い層であることが分かった。また、特異成長層の断面をSEM−CL観察したところ、特異成長層は3kV、100pAの条件ではCL発光せず、特異成長層内の転位分布は観察不可であった。一方、シードの転位密度が6×10cm−2であったのに対して、特異成長層直上の結晶は転位密度が9×10cm−2以下であり、それより成長方向側でも2×10cm−2程度であった。このことから、特異成長層より成長方向側の結晶の転位密度はシードの転位密度より低くなっていることが分かった。さらに、特異成長層の断面について、3kV、500pA、2000倍視野でCLスペクトルを測定したところ、特異成長層からバンド端発光のピークは、特異成長層より成長方向側の結晶に比べて約1/135の強度比であった。またCLスペクトルのピーク波長は、特異成長層は364nm、特異成長層より成長方向側の結晶は366nmであった。さらに、特異成長層と下地基板との間の応力を調べることが出来る光学フォノンモードのE のラマン測定を実施した。ラマンシフト値は下地基板で567.83cm−1、特異成長層に入って一旦増加し最大値が567.90cm−1をとった後、減少に転じ、特異成長層の最小値が567.76cm−1となっていた。したがって下地基板に対する特異成長層の光学フォノンモードのE のラマンシフトの減少量は7×10−2cm−1であった。波数較正はNe線波長540.05616nmで行った。
得られたGaN自立基板1のうち特異成長層の上に成長したGaN結晶層の結晶性評価を実施した。まず、低温カソードルミネッセンス(LTCL)を用いて基底面積層欠陥を評価した。測定条件は加速電圧7kV、電流2nA、590μm×470μmの領域を観察、測定温度82Kと設定した。
まず得られたGaN自立基板1のうち、シード主面からの成長厚みが1.2mmの位置に相当する主面を有する基板の該主面を観察した結果を図5に示す。LTCL観察では基底面積層欠陥は輝線として観察されるが、図5から明らかなように、基板主面内には長さの異なる基底面積層欠陥が複数存在することが確認された。図5から算出した、基底面積層欠陥の幅と個数との関係を図6に示す。また、図5から算出した、基底面積層欠陥の幅の最大値、最小値、平均値、標準偏差、基底面積層欠陥の個数、及び基底面積層欠陥密度を表1に示す。なお、表中の「BSF」は、基底面積層欠陥を表す用語である。
次に、得られたGaN自立基板1のうち、シード主面からの成長厚みが2.0mmの位置に相当する主面を有する基板の該主面を観察した結果を図7に示す。図7から明らかなように、基板主面内には長さの異なる基底面積層欠陥が複数存在することが確認された。図7から算出した、基底面積層欠陥の長さと個数との関係を図8に示す。また、図7から算出した、基底面積層欠陥長さの最大値、最小値、平均値、標準偏差、基底面積層欠陥の個数、及び基底面積層欠陥密度を表1に示す。
表1から明らかなように、成長厚み1.2mmと成長厚み2.0mmとで、基底面積層欠陥の個数はほとんど増減していないことがわかる。前述の成長条件と同じ条件で得たGaN結晶2について、そのa面断面をLTCL観察したところ、成長に伴って基底面積層欠陥の生成・消失が生じており、主面から裏面まで貫通しない規定面積層欠陥が多数存在していることが確認された。その結果を図9に示す。
これらの実験事実から、下地基板と成長層との界面に所定の特異成長層を形成することで、下地基板に存在する残留応力の成長層への伝播を抑制でき、その結果、成長に伴って基底面積層欠陥の拡張が抑制されたものと考えられる。
1 基底面積層欠陥
2 a軸方向に平行な線状の欠陥
3 M面
12 主面から裏面まで貫通しない基底面積層欠陥
13 主面から裏面まで貫通している基底面積層欠陥
100 リアクター
101 キャリアガス用導入管
102 ドーパントガス用導入管
103 周期表第13族金属原料用導入管
104 窒素原料用導入管
105 周期表第13族金属原料リザーバー
106 ヒーター
107 サセプター
108 排気管
109 下地基板(シード)

Claims (3)

  1. 主面がM面、{20−21}面、{20−2−1}面、{30−31}面、{30−3−1}面、{10−11}面、{10−1−1}面、{10−12}面または{10−1−2}面であり、
    前記主面における基底面積層欠陥の最大幅が800μm以下であり、
    前記主面は、幅が5倍以上異なる基底面積層欠陥を含む、
    ことを特徴とするGaN基板
  2. 前記主面における基底面積層欠陥の幅の標準偏差が2以上であることを特徴とする請求項1に記載のGaN基板
  3. 請求項1または2に記載のGaN基板を用いたデバイス。
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