JP6074959B2 - Iii族窒化物結晶及びその製造方法 - Google Patents
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このような問題に対処するためには、(0001)面のような極性面を主面とする種結晶を用いずに、半極性面や非極性面を主面とする種結晶を用いて主面上に同種のIII族窒化物結晶を成長させれば良いように思われる。しかしながら、実際に半極性面や非極性面を主面とする種結晶を用いて主面上に従来の方法で結晶を成長させると、種結晶に内在する欠陥よりもさらに高い密度で成長結晶中に積層欠陥が発生してしまう。しかも、本発明者らの検討によると、そのような積層欠陥はIII族窒化物結晶の成長に伴って増加する傾向があることが判明した。このため、半極性面や非極性面を主面とする種結晶を用いる手法では、成長結晶から半極性面や非極性面を主面とする結晶を効率良く切り出すことはできても、得られる結晶の積層欠陥が多くて利用できないという別の課題が存在することが問題となっていた。
このような従来技術の課題に鑑みて、本発明者らは、非極性面又は半極性面を主面とする種結晶を用いて、積層欠陥が少ないIII族窒化物結晶を成長させることを目的として鋭意検討を進めた。
[2] III族窒化物からなり半極性面又は非極性面を主面とする種結晶上にIII族窒化物半導体層が形成されたIII族窒化物結晶であって、前記種結晶の主面内の輝線密度(α)と前記III族窒化物半導体層の前記主面と平行な面内の輝線密度(β)の差|β−α|が50以下であるIII族窒化物結晶。
[3] 前記輝線密度(β)が200cm-1以下である[1]または[2]に記載のIII族窒化物結晶。
[4] 前記主面に垂直な方向の前記III族窒化物半導体層の厚みが0.5mm以上である[1]〜[3]のいずれか1項に記載のIII族窒化物結晶。
[5] 前記主面に垂直な方向の前記III族窒化物半導体層の厚みが前記種結晶の厚みの0.5倍以上である[1]〜[4]のいずれか一項に記載のIII族窒化物結晶。
[6] 前記種結晶の主面の面積が100mm2以上である[1]〜[5]のいずれか一項に記載のIII族窒化物結晶。
[7] 前記III族窒化物半導体層中のフッ素原子濃度が5×1015〜1×1018cm-3である[1]〜[6]のいずれか一項に記載のIII族窒化物結晶。
[8] 前記III族窒化物半導体層中の塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子の合計濃度が1×1018cm-3以下である[1]〜[7]のいずれか一項に記載のIII族窒化物結晶。
[9] 窒化ガリウム結晶である[1]〜[8]のいずれか一項に記載のIII族窒化物結晶。
また、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本発明のIII族窒化物結晶は、半極性面又は非極性面を主面とする種結晶上にIII族窒化物半導体層が形成されたIII族窒化物結晶であって、前記種結晶の主面内の輝線密度(α)と前記III族窒化物半導体層の前記主面と平行な面内の輝線密度(β)との比(β/α)が10以下である。また、他の態様に係る本発明のIII族窒化物結晶は、半極性面又は非極性面を主面とする種結晶上にIII族窒化物半導体層が形成されたIII族窒化物結晶であって、前記種結晶の主面内の輝線密度(α)と前記III族窒化物半導体層の前記主面と平行な面内の輝線密度(β)の差|β―α|が50以下である。
III族窒化物種結晶の主面である半極性面又は非極性面上にIII族窒化物半導体結晶を成長させると、成長した結晶に内在する主たる積層欠陥は極性面と平行な面として観測される。積層欠陥は、例えば下記実施例に記載されるように結晶表面を蛍光顕微鏡や低温CL(カソードルミネッセンス法)で観察することにより観測することができる。具体的には、積層欠陥を観察したい結晶表面に405nmの発光を示すようなLED構造を作製し、この表面を蛍光顕微鏡で像観察すると積層欠陥部位に輝線が見える。また、低温PLで観察されるスペクトルには3.41eV(364nm)付近に積層欠陥(基底面積層欠陥;BSF)由来のピーク(BSFピーク)が見えることから、LED構造を作製せず積層欠陥を観察したい結晶そのものであっても、波長分光可能な低温CLで像観察すると、積層欠陥部位に輝線を観察することができる。上述の通り蛍光顕微鏡や低温CLでは積層欠陥部位に対応する輝線を観察することができ、本発明においてはこれらを総称して「輝線」と称する。
輝線密度について、図2(a)及び図2(b)を用いて具体的に説明する。図2(a)は、結晶構造と積層欠陥との関係を示す概略図であり、図2(b)は結晶構造と積層欠陥との関係を示す上面図である。図2(a)に示すように、III族窒化物結晶100(例えばGaN結晶)は、種結晶101上にIII族窒化物半導体層102を成長させた構造を有する。また、III族窒化物結晶100は、主面を非極性面(例えばA面((11−20)面))としている。
図2(a)におけるIII族窒化物結晶100では、種結晶101に内在する積層欠陥が1つであり(図2(a)中の101a)、成長したIII族窒化物半導体層102に内在する積層欠陥も1つである(図2(a)中、102a)。このため、種結晶の輝線密度(α)と前記III族窒化物半導体層の輝線密度(β)との比(β/α)は、1となる。さらに、種結晶の輝線密度(α)と前記III族窒化物半導体層の輝線密度(β)との差|β−α|は、0となる。
他の態様に係る本発明のIII族窒化物結晶は、種結晶の輝線密度(α)と前記III族窒化物半導体層の輝線密度(β)との差|β−α|が50以下である。このような範囲の比(β/α)を有するとき、III族窒化物半導体層をさらなる結晶成長用の基板として用いて良好な結晶を成長させたり、LEDなどの半導体発光素子に用いて高い効率を実現したりすることが可能になる。前記差|β−α|は、50以下であり、20以下が好ましく、10以下がより好ましく、3以下が特に好ましい。
III族窒化物半導体層の輝線密度は結晶から切り出される基板上に形成されるデバイス特性に影響を及ぼすため、500cm-1以下であることが好ましく、100cm-1以下が更に好ましく、特に好ましくは50cm-1以下である。
III族窒化物結晶の積層欠陥の多少は、結晶自体を低温(10K)にてPL測定を行うことでも評価することが可能である。バンド端PL強度に対する3.41eV付近の積層欠陥起因のPL強度(低温)としては、0.1以下が好ましく、0.08以下が更に好ましく、0.05以下が特に好ましい。
前記種結晶は、非極性面又は半極性面を主面とするIII族窒化物である。前記種結晶は、例えばGaN結晶を選択した場合は六方晶系の結晶構造を有する。種結晶としては、成長させようとしているIII族窒化物半導体と同種の単結晶が用いられる。種結晶の具体例としては、例えば窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウム(AlN)等の窒化物単結晶が挙げられる。
前記種結晶の取得方法は、特に制限されない。例えば、GaNの種結晶としては、サファイア等の異種基板上に成長させた後に剥離させて得た単結晶、金属GaからNaやLi、Biをフラックスとして結晶成長させて得た単結晶、液相エピタキシ法(LPE法)を用いて得た単結晶、溶液成長法に基づき作製された単結晶及びそれらを切断した結晶などを用いることができる。前記結晶成長の具体的な方法については特に制限されず、例えば、ハイドライド気相成長法(HVPE)法、有機金属化学気相堆積法(MOCVD法)、液相法、アモノサーマル法などを採用することができる。中でも成長結晶の結晶品質の観点から、液相法、アモノサーマル法を採用することが好ましく、アモノサーマル法を採用することがより好ましい。
前記種結晶の厚み(主面に垂直な方向の厚み)は、ハンドリングの容易性の観点から、100μm以上であることが好ましく、200μm以上であることがより好ましく、300μm以上であることが特に好ましい。
前記種結晶における不純物原子の濃度としては、成長結晶の結晶性の観点から、1×1020cm-3以下が好ましく、1×1019cm-3以下が更に好ましく、5×1018cm-3以下が特に好ましい。
前記種結晶の主面の結晶格子面の曲率半径は、成長結晶の歪みの観点から、1m以上であることが好ましく、5mが更に好ましく、10mが特に好ましい。
前記III族窒化物半導体層は、種結晶の主面上に成長されるIII族窒化物半導体からなる層である。前記III族窒化物半導体層は、種結晶と同種のIII族窒化物単結晶を成長させることにより得られる。
前記III族窒化物半導体層を種結晶上に成長させる具体的な方法については特に限定はないが、種結晶の輝線密度(α)とIII族窒化物半導体層の輝線密度(β)との比(β/α)が10以下となるようにするため、また、種結晶の主面内の輝線密度(α)とIII族窒化物半導体層の前記主面と平行な面内の輝線密度(β)の差|β−α|が50以下となるようにするためには、アモノサーマル法を採用することが好ましい。前記アモノサーマル法としては、特にフッ素元素と、塩素、臭素、ヨウ素から構成される他のハロゲン元素から選ばれる少なくとも一種とを含む鉱化剤を用いたアモノサーマル法が好ましい。前記アモノサーマル法については後述する。
III族窒化物からなり半極性面又は非極性面を主面とする種結晶上にIII族窒化物半導体層が形成されたIII族窒化物結晶であって、前記種結晶の主面内の輝線密度(α)と前記III族窒化物半導体層の前記主面と平行な面内の輝線密度(β)の差|β−α|が50以下であるIII族窒化物結晶。
上記のIII族窒化物半導体層の成長を行った後の本発明のIII族窒化物結晶の主面は、前記種結晶の主面と一致する。本発明のIII族窒化物結晶は、自立基板であることが好ましい。具体的には、結晶自体の厚み(主面に垂直な方向の厚み)は、100μm以上であることが好ましく、500μm以上であることがより好ましく、1mm以上であることがさらに好ましく、5mm以上であることが特に好ましい。非極性面又は半極性面を主面とした種結晶上に従来のHVPE法を用いてIII族窒化物半導体層を成長させることにより得たIII族窒化物結晶は、その厚みが1mmを超えると成長結晶に内在する積層欠陥数が大幅に増えていく傾向にある。これに対し、本発明のIII族窒化物結晶は、厚みを1mm以上とした場合であっても、比(β/α)が10以下であるため、基板の大型化が可能である。また、他の態様に係る本発明のIII族窒化物結晶は、厚みを1mm以上とした場合であっても、差|β−α|が50以下であるため、基板の大型が可能である。成長させた結晶は、成長結晶の厚みを調整したり、研磨、切断、エッチング等の処理を調節したりすることにより、所望の範囲内に調整することができる。
本発明のIII族窒化物結晶は、周期表13族金属窒化物結晶であることが好ましい。例えば、種結晶及びIII族窒化物半導体層を構成するIII族窒化物として、窒化ガリウム、窒化アルミニウム、窒化インジウムが好ましく、この中でも窒化ガリウムがさらに好ましい。
本発明のIII族窒化物結晶中の塩素、臭素及びヨウ素原子の合計濃度は、結晶性の観点から、1×1019cm-3以下であることが好ましく、5×1018cm-3以下であることがより好ましく、1×1018cm-3以下であることがさらに好ましい。下限値としては、例えば1×1012cm-3以上であることが好ましく、1×1013cm-3以上であることがより好ましく、1×1014cm-3以上であることがさらに好ましい。
本発明のIII族窒化物結晶は、III族窒化物半導体層の成長後にそのまま使用してもよいし、加工してから使用してもよい。
本発明のIII族窒化物結晶のIII族窒化物半導体層は、結晶性の観点から、内在するクラック数が10本以下であることが好ましく、5本以下であることが更に好ましく、3本以下であることが特に好ましい。
本発明のIII族窒化物結晶のIII族窒化物半導体層は、結晶性の観点から、内在するボイド数が10個以下であることが好ましく、5個以下であることが更に好ましく、3個以下であることが特に好ましい。
前記種結晶の主面の結晶格子面の曲率半径は、残留歪みの観点から、1m以上であることが好ましく、5mが更に好ましく、10mが特に好ましい。
上述の本発明のIII族窒化物結晶の製造方法は特に限定されず、特許請求の範囲に記載されるIII族窒化物結晶の要件を満たすものであれば、いかなる方法により製造されたものであっても本発明のIII族窒化物結晶に含まれる。例えば、種結晶の結晶品質、成長前の前処理条件、温度・圧力等の成長条件、鉱化剤の種類等を後述する各条件の好ましい範囲において適宜調整することで、また、それらを適宜組み合わせることで特許請求の範囲に記載されるIII族窒化物結晶の要件を満たすものを得ることができる。
本発明のIII族窒化物結晶を製造するための好ましい1つの方法として、フッ素元素と、塩素、臭素、ヨウ素から構成される他のハロゲン元素から選ばれる少なくとも一つの元素とを含む鉱化剤を用いたアモノサーマル法により、半極性面又は非極性面を主面とする種結晶上に同種のIII族窒化物半導体層を成長させる本発明の製造方法を挙げることができる。
アモノサーマル法による結晶成長は、高温高圧の超臨界アンモニア環境下での反応であり、さらに、超臨界状態の純アンモニア中へのIII族窒化物の溶解度が極めて小さいため、溶解度を向上させ結晶成長を促進させるために鉱化剤が用いられる。
尚、以下特定の鉱化剤を用いたアモノサーマル法を用いて本発明のIII族窒化物結晶を製造する方法を例に説明するが、本発明のIII族窒化物結晶の製造方法はこれに限定されるものではない。
前記鉱化剤として、フッ素元素と、塩素、臭素、ヨウ素から構成される他のハロゲン元素から選ばれる少なくとも一つの元素とを含む鉱化剤を用いることが好ましい。
前記鉱化剤に含まれるハロゲン元素の組み合わせは、塩素とフッ素、臭素とフッ素、ヨウ素とフッ素といった2元素の組み合わせであってもよいし、塩素と臭素とフッ素、塩素とヨウ素とフッ素、臭素とヨウ素とフッ素といった3元素の組み合わせであってもよいし、塩素と臭素とヨウ素とフッ素といった4元素の組み合わせであってもよい。好ましいのは、塩素とフッ素を少なくとも含む組み合わせと、臭素とフッ素を少なくとも含む組み合わせと、ヨウ素とフッ素を少なくとも含む組み合わせである。本発明で用いる鉱化剤に含まれるハロゲン元素の組み合わせと濃度比(モル濃度比)は、成長させようとしている窒化物結晶の種類や形状やサイズ、種結晶の種類や形状やサイズ、使用する反応装置、採用する温度条件や圧力条件などにより、適宜決定することができる。
例えば、臭素とフッ素を含む鉱化剤の場合、フッ素濃度に対して臭素濃度を0.1倍以上にすることが好ましく、0.5倍以上にすることがより好ましく、1倍以上にすることがさらに好ましい。また、フッ素濃度に対して臭素濃度を100倍以下にすることが好ましく、50倍以下にすることがより好ましく、20倍以下にすることがさらに好ましい。
例えば、ヨウ素とフッ素を含む鉱化剤の場合、フッ素濃度に対してヨウ素濃度を0.1倍以上にすることが好ましく、0.5倍以上にすることがより好ましく、1倍以上にすることがさらに好ましい。また、フッ素濃度に対してヨウ素濃度を100倍以下にすることが好ましく、50倍以下にすることがより好ましく、20倍以下にすることがさらに好ましい。
前記鉱化剤に含まれる水や酸素の量はできるだけ少ないことが望ましく、これらの含有量は1000ppm以下であることが好ましく、10ppm以下であることがより好ましく、1.0ppm以下であることがさらに好ましい。
鉱化剤に含まれるハロゲン元素のアンモニアに対するモル濃度は0.1mol%以上とすることが好ましく、0.3mol%以上とすることがより好ましく、0.5mol%以上とすることがさらに好ましい。また、鉱化剤に含まれるハロゲン元素のアンモニアに対するモル濃度は30mol%以下とすることが好ましく、20mol%以下とすることがより好ましく、10mol%以下とすることがさらに好ましい。濃度が低すぎる場合、溶解度が低下し成長速度が低下する傾向がある。一方濃度が濃すぎる場合、溶解度が高くなりすぎて自発核発生が増加したり、過飽和度が大きくなりすぎたりするため制御が困難になるなどの傾向がある。
前記アモノサーマル法に用いられる溶媒としては、窒素を含有する溶媒を用いることができる。窒素を含有する溶媒としては、成長させる窒化物単結晶の安定性を損なうことのない溶媒が挙げられる。前記溶媒としては、例えば、アンモニア、ヒドラジン、尿素、アミン類(例えば、メチルアミンのような第1級アミン、ジメチルアミンのような第二級アミン、トリメチルアミンのような第三級アミン、エチレンジアミンのようなジアミン)、メラミン等を挙げることができる。これらの溶媒は単独で用いてもよいし、混合して用いてもよい。
前記溶媒に含まれる水や酸素の量はできるだけ少ないことが望ましく、これらの含有量は1000ppm以下であることが好ましく、10ppm以下であることがより好ましく、0.1ppm以下であることがさらに好ましい。アンモニアを溶媒として用いる場合、その純度は通常99.9%以上であり、好ましくは99.99%以上であり、さらに好ましくは99.999%以上であり、特に好ましくは99.9999%以上である。
前記製造方法においては、種結晶上に成長させようとしている窒化物結晶を構成する元素を含む原料を用いる。例えば、周期表13族金属の窒化物結晶を成長させようとする場合は、周期表13族金属を含む原料を用いる。好ましくは13族窒化物結晶の多結晶原料及び/又はガリウムであり、より好ましくは窒化ガリウム及び/又はガリウムである。多結晶原料は、完全な窒化物である必要はなく、条件によっては13族元素がメタルの状態(ゼロ価)である金属成分を含有してもよく、例えば、結晶が窒化ガリウムである場合には、窒化ガリウムと金属ガリウムの混合物が挙げられる。
前記多結晶原料の製造方法は、特に制限されない。例えば、アンモニアガスを流通させた反応容器内で、金属又はその酸化物もしくは水酸化物をアンモニアと反応させることにより生成した窒化物多結晶を用いることができる。また、より反応性の高い金属化合物原料として、ハロゲン化物、アミド化合物、イミド化合物、ガラザンなどの共有結合性M−N結合を有する化合物などを用いることができる。さらに、Gaなどの金属を高温高圧で窒素と反応させて作製した窒化物多結晶を用いることもできる。
本発明のIII族窒化物結晶の製造方法は、反応容器中で実施することができる。
前記反応容器は、窒化物結晶を成長させるときの高温高圧条件に耐え得るもの中から選択することができる。前記反応容器としては、特表2003−511326号公報(国際公開第01/024921号パンフレット)や特表2007−509507号公報(国際公開第2005/043638号パンフレット)に記載されるように反応容器の外から反応容器とその内容物にかける圧力を調整する機構を備えたものであってもよいし、そのような機構を有さないオートクレーブであってもよい。
これらの合金の組成比率は、系内の溶媒の温度や圧力条件、及び系内に含まれる鉱化剤及びそれらの反応物との反応性及び/又は酸化力・還元力、pHの条件に従い、適宜選択すればよい。これらを反応容器の内面を構成する材料として用いるには、反応容器自体をこれらの合金を用いて製造してもよく、内筒として薄膜を形成して反応容器内に設置してもよく、任意の反応容器の材料の内面にメッキ処理を施してもよい。
本発明のIII族窒化物結晶の製造方法に用いることのできる反応容器を含む結晶製造装置の具体例を図3に示す。図3は、本発明で用いることができる結晶製造装置の模式図である。図3に示される結晶製造装置においては、オートクレーブ1中に内筒として装填されるカプセル20中で結晶成長を行う。カプセル20中は、原料を溶解するための原料溶解領域9と結晶を成長させるための結晶成長領域6から構成されている。原料溶解領域9には原料8とともに溶媒や鉱化剤を入れることができ、結晶成長領域6には種結晶7をワイヤーで吊すなどして設置することができる。原料溶解領域9と結晶成長領域6の間には、2つの領域を区画バッフル板5が設置されている。バッフル板5の開孔率は2〜60%であるものが好ましく、3〜40%であるものがより好ましい。バッフル板の表面の材質は、反応容器であるカプセル20の材料と同一であることが好ましい。また、より耐浸食性を持たせ、成長させる結晶を高純度化するために、バッフル板の表面は、Ni、Ta、Ti、Nb、Pd、Pt、Au、Ir、pBNであることが好ましく、Pd、Pt、Au、Ir、pBNであることがより好ましく、Ptであることが特に好ましい。図3に示される結晶製造装置では、オートクレーブ1の内壁とカプセル20の間の空隙には、第2溶媒を充填することができるようになっている。ここには、バルブ10を介して窒素ボンベ13から窒素ガスを充填したり、アンモニアボンベ12からマスフローメーター14で流量を確認したりしながら第2溶媒としてアンモニアを充填することができる。また、真空ポンプ11により必要な減圧を行うこともできる。なお、本発明のIII族窒化物結晶の製造方法を実施する際に用いる結晶製造装置には、バルブ、マスフローメーター、導管は必ずしも設置されていなくてもよい。
本発明のIII族窒化物結晶の製造方法の一例について説明する。本発明のIII族窒化物結晶の製造方法を実施する際には、まず、反応容器内に、種結晶、窒素を含有する溶媒、原料、及び鉱化剤を入れて封止する。ここで、前記種結晶としては、C面を主面としてIII族窒化物を成長させた基板を所望の方向に切り出すことによって、主面が非極性面又は半極性面となる基板を得ることができる。これによって、M面などの非極性面、(10−11)、(20−21)などの半極性面を有する種結晶を得ることができる。特に、大口径のC面を有する窒化物結晶を製造した場合は、c軸に垂直な方向に切り出すことにより、大口径の種結晶を得ることができる。
前記材料を反応容器内に導入するのに先だって、反応容器内は脱気しておいてもよい。また、材料の導入時には、窒素ガスなどの不活性ガスを流通させてもよい。反応容器内への種結晶の装填は、通常は、原料及び鉱化剤を充填する際に同時又は充填後に装填する。種結晶は、反応容器内表面を構成する貴金属と同様の貴金属製の治具に固定することが好ましい。装填後には、必要に応じて加熱脱気をしてもよい。
その後、全体を加熱して反応容器内を超臨界状態又は亜臨界状態とする。超臨界状態では一般的には、粘度が低く、液体よりも容易に拡散されるが、液体と同様の溶媒和力を有する。亜臨界状態とは、臨界温度近傍で臨界密度とほぼ等しい密度を有する液体の状態を意味する。例えば、原料充填部では、超臨界状態として原料を溶解し、結晶成長部では亜臨界状態となるように温度を変化させて超臨界状態と亜臨界状態の原料の溶解度差を利用した結晶成長も可能である。
超臨界状態にする場合、反応混合物は、一般に溶媒の臨界点よりも高い温度に保持する。アンモニア溶媒を用いた場合、臨界点は臨界温度132℃、臨界圧力11.35MPaであるが、反応容器の容積に対する充填率が高ければ、臨界温度以下の温度でも圧力は臨界圧力を遥かに越える。本発明において「超臨界状態」とは、このような臨界圧力を越えた状態を含む。反応混合物は、一定の容積の反応容器内に封入されているので、温度上昇は流体の圧力を増大させる。一般に、T>Tc(1つの溶媒の臨界温度)及びP>Pc(1つの溶媒の臨界圧力)であれば、流体は超臨界状態にある。
なお、前記の「反応温度」は、反応容器の外面に接するように設けられた熱電対、及び/又は外表面から一定の深さの穴に差し込まれた熱電対によって測定され、反応容器の内部温度へ換算して推定することができる。これら熱電対で測定された温度の平均値をもって平均温度とする。通常は、原料溶解領域の温度と結晶成長領域の温度の平均値を平均温度とする。
本発明のIII族窒化物結晶の製造方法においては、オートクレープを昇温する際に、一定の温度を保持して、種結晶の成長結晶成長面にメルトバック処理を施してもよい。当該メルトバック処理によって、種結晶の成長結晶成長面や、装置中の白金部材に付着した結晶核を溶解することができる。前記メルトバック処理の条件としては、育成域と原料域の平均温度差としては0℃以上が好ましく、10℃以上が更に好ましく、20℃以上が特に好ましい。また、100℃以下が好ましく、80℃以下が更に好ましく、60℃以下が特に好ましい。また、メルトバック処理の際の結晶成長領域の温度としては、500℃以上であることが好ましく、550℃以上であることがより好ましく、600℃以上であることがさらに好ましい。また、650℃以下が好ましく、630℃以下がより好ましい。原料溶解領域の温度としては、500℃以上であることが好ましく、550℃以上であることがより好ましく、590℃以上であることがさらに好ましい。また、650℃以下が好ましく、630℃以下がより好ましい。
前記前処理において、種結晶をエッチングするには、例えば、エッチング液として水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等の強アルカリを用いることができ、この中でもエッチングレートと取り扱いやすさの観点から水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましく、水酸化カリウムが特に好ましい。
本発明のIII族窒化物結晶の製造方法における育成速度は、30μm/day以上であることが好ましく、50μm/day以上であることがより好ましく、また、500μm/day以下であることが好ましい。
本発明のIII族窒化物結晶の製造方法においては、種結晶上にIII族窒化物結晶を成長させた後に、後処理を加えてもよい。前記後処理の種類や目的は特に制限されない。例えば、輝線を光学顕微鏡で容易に観察できるようにするために、育成後の冷却過程で結晶表面をメルトバックしてもよい。
本発明のIII族窒化物結晶のIII族窒化物半導体層を所望の方向に切り出すことにより、任意の結晶方位を有するウエハ(半導体基板)を得ることができる。本発明の製造方法によって厚くて大口径のM面を有する窒化物結晶を製造した場合は、m軸に垂直な方向に切り出すことにより、大口径のM面ウエハを得ることができる。また、本発明の製造方法によって大口径の半極性面を有する窒化物結晶を製造した場合は、半極性面に平行に切り出すことにより、大口径の半極性面ウエハを得ることができる。これらのウエハも、均一で高品質であるという特徴を有する。
本発明のIII族窒化物結晶やウエハは、デバイス、即ち発光素子や電子デバイスなどの用途に好適に用いられる。本発明のIII族窒化物結晶やウエハが用いられる発光素子としては、発光ダイオード、レーザーダイオード、それらと蛍光体を組み合わせた発光素子などを挙げることができる。また、本発明のIII族窒化物結晶やウエハが用いられる電子デバイスとしては、高周波素子、高耐圧高出力素子などを挙げることができる。高周波素子の例としては、トランジスター(HEMT、HBT)があり、高耐圧高出力素子の例としては、サイリスター(IGBT)がある。本発明のIII族窒化物結晶やウエハは、均一で高品質であるという特徴を有することから、前記のいずれの用途にも適している。中でも、均一性が高いことが特に要求される電子デバイス用途に適している。
ニッケル基合金製オートクレーブを耐圧容器として用い、Pt−Ir製カプセルを反応容器として結晶成長を行った。原料として多結晶GaN粒子をカプセル下部領域(図3における原料溶解領域9)内に設置し、鉱化剤として高純度のNH4IとGaF3をカプセル内に投入した。
さらにカプセル下部の原料溶解領域と上部の結晶成長領域との間に、白金製バッフル板を設置した。種結晶として、HVPE法により成長したM面を主面とするウエハ(10mm×20mm又は5×15mm)を用いた。種結晶の主面はChemical Mechanical Polishing(CMP)仕上げされており、表面粗さは原子間力顕微鏡による計測によりRmsが0.5nm以下であった。これら種結晶を、白金ワイヤーにより、白金製種結晶支持枠に吊るし、カプセル上部の結晶成長領域に設置した。つぎにカプセルの上部にPt−Ir製のキャップを溶接により接続した。
なお、これらの種結晶はあらかじめ、PLスペクトル評価によりBSFピークがないことが確認された。また、蛍光像により任意に選ばれた面内6箇所の輝線密度の平均値が、45cm-1であることが確認された。なお、本明細書でいうBSFピークは種結晶を両面研磨後、10kにてPL測定することにより観測したものである。また、輝線密度は種結晶に用いたウエハの一部を切り出してLED構造を作製の上、蛍光像を観察して測定した。
つづいてバルブが装着されたオートクレーブにカプセルを挿入した後に蓋を閉じ、オートクレーブの重量を計測した。次いでオートクレーブに付属したバルブを介して導管を真空ポンプに通じるように操作し、バルブを開けて真空脱気した。カプセルと同様に窒素ガスパージを複数回行った後、真空状態を維持しながらオートクレーブをドライアイスエタノール溶媒によって冷却し、一旦バルブを閉じた。次いで導管をNH3ボンベに通じるように操作した後、再びバルブを開け連続して外気に触れることなくNH3をオートクレーブ(図3におけるオートクレーブ1)に充填した。流量制御に基づき、カプセル内のNH3量とバランスする量のNH3を液体として充填した後、再びバルブを閉じた。オートクレーブの温度を室温に戻し、外表面を十分に乾燥させオートクレーブの重量を計測した。乾燥後のオートクレーブの重量とNH3充填前の重量との差からNH3の重量を算出し充填量を確認した。
さらに結晶成長領域の平均温度が610℃、原料溶解領域の温度が635℃になるまで昇温した後、その温度にて86時間保持した。オートクレーブ内の圧力は約215MPaであった。
その後、オートクレーブの外面の温度が室温に戻るまで自然冷却し、オートクレーブに付属したバルブを開放し、オートクレーブ内のNH3を取り除いた。その後オートクレーブ1を計量しNH3の排出を確認した後、オートクレーブの蓋を開け、カプセルを取り出した。カプセル上部に付属したチューブに穴を開けカプセル内部からNH3を取り除いた。
ニッケル基合金製オートクレーブを耐圧容器として用い、Pt−Ir製カプセルを反応容器として結晶成長を行った。原料として多結晶GaN粒子をカプセル下部領域(図3における原料溶解領域9)内に設置し、鉱化剤として高純度のNH4IとGaF3をカプセル内に投入した。
さらに下部の原料溶解領域と上部の結晶成長領域の間に、白金製バッフル板を設置した。種結晶として、HVPE法により成長したM面を主面とするウエハ(10mm×20mm又は5×15mm)を用いた。種結晶の主面はChemical Mechanical Polishing(CMP)仕上げされており、表面粗さは原子間力顕微鏡による計測によりRmsが0.5nm以下であった。これら種結晶を、白金ワイヤーにより、白金製種結晶支持枠に吊るし、カプセル上部の結晶成長領域に設置した。つぎにカプセルの上部にPt−Ir製のキャップを溶接により接続した。
なお、これらの種結晶はあらかじめ、PLスペクトル評価によりBSFピークがないことが確認された。また、蛍光像により輝線密度が、45cm-1であると確認された。また、輝線密度は種結晶に用いたウエハの一部を切り出してLED構造を作製の上、蛍光像を観察して測定した。
つづいてバルブが装着されたオートクレーブにカプセルを挿入した後に蓋を閉じ、オートクレーブの重量を計測した。次いでオートクレーブに付属したバルブを介して導管を真空ポンプに通じるように操作し、バルブを開けて真空脱気した。カプセルと同様に窒素ガスパージを複数回行った。その後、真空状態を維持しながらオートクレーブをドライアイスエタノール溶媒によって冷却し、一旦バルブを閉じた。次いで導管をNH3ボンベに通じるように操作した後、再びバルブを開け連続して外気に触れることなくNH3をオートクレーブに充填した。流量制御に基づき、カプセル内のNH3量とバランスする量のNH3を液体として充填した後、再びバルブを閉じた。オートクレーブの温度を室温に戻し、外表面を十分に乾燥させオートクレーブの重量を計測した。NH3充填前の重量との差からNH3の重量を算出し充填量を確認した。
)となるように昇温し、その温度で24時間保持して種結晶及び、白金部材に付着した結晶核をメルトバックした。
さらに結晶成長領域の平均温度が610℃、原料溶解領域の温度が635℃になるまで昇温した後、その温度にて9日間保持した。オートクレーブ内の圧力は約215MPaであった。
その後、オートクレーブの外面の温度が室温に戻るまで自然冷却し、オートクレーブに付属したバルブを開放し、オートクレーブ内のNH3を取り除いた。その後オートクレーブを計量しNH3の排出を確認した後、オートクレーブの蓋を開け、カプセルを取り出した。カプセル上部に付属したチューブに穴を開けカプセル内部からNH3を取り除いた。
鉱化剤としてNH4IとGaF3に代えてHClを冷却したカプセル内に投入する以外は、実施例1と同じ方法で原料及びカプセルを準備した。
また、実施例1と同様の操作にて、カプセル内およびオートクレーブ内にNH3を充填した後、実施例1と同様に昇温し、種結晶及び、白金部材に付着した結晶核をメルトバック処理した後、さらに結晶成長領域の平均温度が655℃、原料溶解領域の温度が585℃になるまで昇温し、その温度にて20日間保持し結晶育成を行った。結晶育成中のオートクレーブ内の圧力は約255MPaであった。
その後、オートクレーブの外面の温度が室温に戻るまで自然冷却し、オートクレーブ内のNH3を取り除いた。さらに、オートクレーブの蓋を開け、カプセルを取り出し、カプセル上部に付属したチューブに穴を開けカプセル内部からNH3を取り除いた。
カプセルから取り出したM面結晶を確認したところ、M面の成長厚みは両面で合計740μmであった。また、結晶最表面より切り出されたウエハのPLスペクトル評価では種結晶と同様にBSFピークは観測されなかった。さらに、蛍光像で観測される輝線密度は種結晶と同等の60cm-1であり、成長前とほぼ同密度であることが確認された。ここで、輝線密度は得られた結晶にLED構造を作製の上、蛍光像を観察して測定した。
実施例3と同様の操作、条件にてM面種結晶上に結晶成長を行った。成長層中の不純物をSIMSで測定したところ塩素原子濃度は1.85×1017cm-3であった。
ニッケル基合金製のオートクレーブを耐圧容器として用い、Pt−Ir製カプセルを反応容器として結晶成長を行なった。原料として多結晶GaN粒子をカプセル下部領域(図3における原料溶解領域9)内に設置し鉱化剤として高純度のNH4Fをカプセル内に投入した。さらに下部の原料溶解領域と上部の結晶成長領域の間には白金製のバッフル板を設置した。種結晶として、アモノサーマル法により成長したM面を主面とするウエハ(長辺35mm×短辺7mm)を用いた。種結晶の主面はChemical Mechanical Polishing(CMP)仕上げをして、表面粗さは原子間力顕微鏡による計測によりRmsが0.5nm以下であることを確認した。更にPLスペクトル評価によりBSFピークが無く、蛍光像と低温CL像により輝線密度が無い(0cm-1)ことを確認した。この種結晶を白金製のワイヤーとシード支持枠を用いてに吊るし、カプセル上部の結晶成長領域に設置した。
続いてバルブを開けて真空脱気し真空状態を維持しながらオートクレーブをドライアイスメタノール溶媒によって冷却し導管をNH3ボンベに通じて外気に触れることなくNH3をオートクレーブに充填した。NH3をオートクレーブの有効容積(オートクレーブ容積−充填物容積)の約56%に相当する液体として充填(−33℃のNH3密度で換算)した後、再びバルブを閉じた。
続いてオートクレーブを複数に分割されたヒーターで構成された電気炉内に収納した。まずオートクレーブ内部の結晶成長領域の温度が原料溶解領域の温度より13℃(ΔT)高
くなるように昇温し、その温度で12時間保持して種結晶及び、白金部材に付着した結晶核をメルトバックした。
その後、オートクレーブの外面の温度が室温に戻るまで自然冷却し、オートクレーブに付属したバルブを開放し、オートクレーブ内のNH3を取り除いた。その後オートクレーブを計量しNH3の排出を確認した後、オートクレーブの蓋を開け、カプセルを取り出した。カプセル上部に付属したチューブに穴を開けカプセル内部からNH3を取り除いた。
実施例3と同様の操作、条件にて、原料、カプセル及びオートクレーブを準備した後、メルトバックの操作を行わず、15日間結晶成長を行い、取り出されたM面結晶を確認したところ、M面の成長厚みは両面で合計540μmであった。
一方、PLスペクトル評価では種結晶では観察されなかったBSFピークが観測された。さらに、蛍光像で観測される輝線密度は550cm-1であり、成長中に輝線密度が増えていることが確認された。ここで、輝線密度は得られた結晶にLED構造を作製の上、蛍光像を観察して測定した。
HVPE法によって実施例1と同品質のM面種結晶上に結晶成長を行った。M面の成長厚みは20mmであった。
一方、結晶最表面より切り出されたウエハのPLスペクトル評価では種結晶では観察されなかったBSFピークが観測された。さらに、蛍光像で観測される輝線密度は650cm-1であり、1mm以上成長すると輝線密度が顕著に増えていることが確認された。
また、実施例1、2及び4は、結晶の育成速度も高かった。
塩素系鉱化剤を用いた実施例3でもM面表面にて積層欠陥が増殖していないことが確認された。
これに対し、メルトバック処理を行っていない比較例1では、積層欠陥の増殖が認められた。また、種結晶上にHVPE法で結晶を成長させた比較例2は、厚みが片面約1mmを超えると、積層欠陥の増殖が認められた。
2 オートクレーブ内面
3 ライニング
4 ライニング内面
5 バッフル板
6 結晶成長領域
7 種結晶
8 原料
9 原料溶解領域
10 バルブ
11 真空ポンプ
12 アンモニアボンベ
13 窒素ボンベ
14 マスフローメーター
20 カプセル
21 カプセル内面
100 III族窒化物結晶
101 種結晶
102 III族窒化物半導体層
Claims (8)
- M面を主面とする種結晶と、前記種結晶の前記主面上に成長したGaN層と、を有する窒化ガリウム結晶であって、
前記種結晶の前記主面内の輝線密度(α)と前記GaN層における前記種結晶の前記主面と平行な面内の輝線密度(β)との比(β/α)が10以下であり、
前記種結晶の主面の面積が100mm 2 以上であり、
前記GaN層中のフッ素原子濃度が5×10 15 〜1×10 19 cm -3 である窒化ガリウム結晶。 - M面を主面とする種結晶と、前記種結晶の前記主面上に成長したGaN層と、を有する窒化ガリウム結晶であって、
前記種結晶の前記主面内の輝線密度(α)と前記GaN層における前記種結晶の前記主面と平行な面内の輝線密度(β)の差|β−α|が50以下であり、
前記種結晶の主面の面積が100mm 2 以上であり、
前記GaN層中のフッ素原子濃度が5×10 15 〜1×10 19 cm -3 である窒化ガリウム結晶。 - 前記輝線密度(β)が500cm-1以下である請求項1または2に記載の窒化ガリウム結晶。
- 前記主面に垂直な方向の前記GaN層の厚みが0.5mm以上である請求項1〜3のいずれか一項に記載の窒化ガリウム結晶。
- GaNからなりM面を主面とする種結晶を準備するステップと、
前記準備した種結晶にメルトバック処理を施すステップと、
フッ素およびヨウ素を含有する鉱化剤を用いたアモノサーマル法によって、前記メルトバック処理を施した前記種結晶の前記主面上にGaN層を成長させるステップと、を含み、
前記種結晶の前記主面の面積が100mm 2 以上であり、
前記GaN層中のフッ素原子濃度が5×1015〜1×1019cm-3である、
窒化ガリウム結晶の製造方法。 - 前記メルトバック処理を、前記アモノサーマル法によるGaN層の成長に用いる反応容器内において施す、請求項5に記載の製造方法。
- 前記GaN層における、前記種結晶の前記主面に平行な面内の輝線密度(β)が500cm-1以下である、請求項5または6に記載の製造方法。
- 前記GaN層を、前記種結晶の主面に垂直な方向の厚みが0.5mm以上となるように成長させる、請求項5〜7のいずれか一項に記載の製造方法。
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