JP6493588B2 - 窒化物結晶の製造方法 - Google Patents

窒化物結晶の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6493588B2
JP6493588B2 JP2018051986A JP2018051986A JP6493588B2 JP 6493588 B2 JP6493588 B2 JP 6493588B2 JP 2018051986 A JP2018051986 A JP 2018051986A JP 2018051986 A JP2018051986 A JP 2018051986A JP 6493588 B2 JP6493588 B2 JP 6493588B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
raw material
crystal
nitride crystal
nitride
reaction vessel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018051986A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018115110A5 (ja
JP2018115110A (ja
Inventor
裕文 長岡
裕文 長岡
勇二 鏡谷
勇二 鏡谷
英夫 藤澤
英夫 藤澤
和典 鎌田
和典 鎌田
豊 三川
豊 三川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Publication of JP2018115110A publication Critical patent/JP2018115110A/ja
Publication of JP2018115110A5 publication Critical patent/JP2018115110A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6493588B2 publication Critical patent/JP6493588B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)
  • Liquid Deposition Of Substances Of Which Semiconductor Devices Are Composed (AREA)

Description

本発明は、窒化物結晶の製造方法に関する。また、本発明は、一定範囲内の酸素濃度を有する窒化物結晶原料を用いて窒化物結晶を成長させる製造方法に関する。
窒化物結晶の製造方法として、ハイドライド気相成長法(HVPE法)やアモノサーマル法等が知られている。HVPE法は、水素気流中でGaの塩化物とV族元素の水素化物(NH3)を炉内に導入し、熱分解させ、熱分解で発生する結晶を基板などの上に堆積させる方法である。一方、アモノサーマル法は、超臨界状態および/または亜臨界状態にあるアンモニアなどの窒素を含有する溶媒を用いて、原材料の溶解−析出反応を利用して所望の材料を製造する方法である。結晶成長へ適用するときは、アンモニアなどの溶媒への原料溶解度の温度依存性を利用して温度差により過飽和状態を発生させて結晶を析出させる。具体的には、オートクレーブなどの耐圧性容器内に結晶原料や種結晶を入れて密閉し、ヒーター等で加熱することにより耐圧性容器内に高温域と低温域を形成し、その一方において原料を溶解し、他方において結晶を育成することにより、所望の結晶を製造することができる。アモノサーマル法は、HVPE法に比べて原料利用効率が良く、製造コストを抑制することができるという点において利点があることが知られている。
アモノサーマル法に用いる結晶原料としては、アモノサーマル法で成長させようとしている窒化物結晶と同種の多結晶や単結晶などが用いられる。このため、まず第一段階として原料に相当する窒化物微結晶原料を製造した後に、第二段階としてこれを原料として窒化物結晶の成長を行っている(例えば、特許文献1参照)。このとき、第一段階で塊状の原料が得られにくいため、第二段階では粒径サイズの小さい窒化物多結晶、いわば粉状のものを原料として用いることが一般的である。特許文献1(特開2003−277182号公報)では、第二段階において、平均粒径が1〜5μm程度のGaN微結晶粉体を原料として用いてGaN結晶を成長することが好ましいと記載されている(段落番号[0009]〜[0010]参照)。
特許文献2(特開2007−238347号公報)には、粉状のGaN結晶原料を入れた坩堝を多段にして、原料と溶媒との接触面積を増大させることにより原料の溶解速度を上げて、効率良くGaN結晶を製造することが記載されている。ここでは、上面にのみ開口部を一つ有する箱状の坩堝を用いることが好ましいと記載されている。また、特許文献2には、粒径が10nm〜10mmの結晶原料を用いうることが記載されているが、粒径が50nm〜1mmの粉体結晶原料を用いて原料間の隙間を埋めることが特に推奨されている([0061]参照)。
特許文献3(特開2006−83055号公報)および特許文献4(特表2005−508822号公報)には、原料となる窒化物多結晶の製造方法について記載されている。特許文献3によると、1次粒子径が0.1μm〜数十μmであって、長軸方向の最大長さが0.05μm〜1mmである針状、柱状あるいはプリズム状結晶が得られ、これを窒化物結晶の製造原料として用いることが記載されている。特許文献4には、平均粒度が約0.01〜50μm の等軸結晶粒を含むGaN結晶を製造し、これを窒化物結晶の製造原料として用いることが記載されている。特許文献4の実施例1では、直径約1μm以下の多数の結晶粒と共に、直径約10〜20μmの結晶粒が幾つか製造されており、実施例2では直径約1〜3μmの多数の結晶粒とそれよりも若干大きい平滑な結晶粒が製造されている。
上述したような方法で得られた窒化ガリウム(GaN)などの窒化物結晶は、発光素子、電子素子、半導体センサなどの各種半導体デバイスの基板に用いられている。窒化物結晶が半導体デバイスの基板として機能するためには、各種半導体デバイスの用途に応じて、窒化物結晶が適切な導電性を有する必要がある。一般的に、窒化物結晶の導電性は、窒化物結晶中のキャリア濃度やキャリア移動度によって制御される。窒化物結晶が半導体デバイスの基板として機能するためには、適切なキャリア濃度を有することが重要になる。
HVPE法により作製する窒化物結晶において、酸素をn型ドーパントとして用いる場合は、その活性化率がほぼ100%であることが知られているが(特許文献5(特開2000−44400号公報 参照)、アモノサーマル法により作製した窒化物結晶では、酸素をn型ドーパントとした場合の活性化率は明らかではなかった。
特開2003−277182号公報 特開2007−238347号公報 特開2006−83055号公報 特表2005−508822号公報 特開2000−44400号公報
本発明者らが、特許文献1に記載される方法にしたがって得られた窒化物結晶原料を用いて窒化物結晶を製造することを検討したところ、速い成長速度で窒化物結晶を製造することが容易ではないことが明らかになった。また、特許文献2に記載されるように、窒化物結晶原料間の隙間を埋めるように原料を充填して窒化物結晶を製造することを検討したところ、十分に速い成長速度で窒化物結晶を製造することが容易ではなく、原料利用効率も悪いことが明らかになった。さらに、特許文献3や特許文献4に記載されている方法で製造される窒化物多結晶を単に窒化物結晶原料として用いて窒化物結晶を製造しようとしても、望ましい成長速度で窒化物結晶を製造することは難しいことが明らかになった。
上述したように、HVPE法により作製した窒化物結晶では、酸素をn型ドーパントとした場合、その活性化率がほぼ100%であることが知られている。しかし、アモノサーマル法により作製した窒化物結晶では、酸素をn型ドーパントとした場合の活性化率は明らかではなかった。すなわち、アモノサーマル法においては、基本的な結晶成長の条件が検討されるにとどまっており、所望の導電性を有する高品質な結晶を得る方法は確立されていなかった。また、アモノサーマル法では、様々なドーパント供給源から供給されるドーパントを使用しているため、所望のキャリア濃度を有する窒化物結晶を得るための酸素ドーピング条件を確立することができなかった。このため、所望のキャリア濃度を有する窒化物結晶を得ることが困難であるという問題があった。
更に、アモノサーマル法では、所望のキャリア濃度を有する窒化物結晶を得るための酸素ドーピング条件が確立されていなかったため、精密な酸素ドーピングを行うことができず、高品質な窒化物結晶を得ることができないという問題があった。さらに、アモノサーマル法で目的のキャリア濃度を有する窒化物結晶を得るためには、様々な条件を試作検討する必要があったため、生産効率が上がらないという問題もあった。
このような従来の課題に鑑みて、本発明者らは、アモノサーマル法において、窒化物結晶を製造する際に用いる結晶原料の条件を制御することにより成長速度を向上させ、原料利用効率を高めて、効率良く品質の優れた窒化物結晶を製造することを目的として鋭意検討を重ねた。さらに、本発明者らは、アモノサーマル法において、窒化物結晶を製造する際に用いる結晶原料の条件を制御することにより、成長速度を向上させるとともに、優れた導電性を有する窒化物結晶を効率良く製造することを目的として検討を進めた。
その結果、本発明者らは、アモノサーマル法で結晶成長する際に充填する結晶原料の嵩密度を制御することにより、容易に窒化物結晶の成長速度を向上させ得ることを見出した。さらに、本発明者らは、結晶原料の条件を制御することにより効率良く品質の優れた窒化物結晶を製造することに成功し、本発明を完成するに至った。具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[1] 窒化物結晶原料を反応容器の原料充填領域に充填し、反応容器中で超臨界および/または亜臨界状態の溶媒存在下にて結晶成長を行う窒化物結晶の製造方法であって、前記窒化物結晶原料を原料充填領域に0.7〜4.5g/cm3の嵩密度で充填して結晶成長を行うことを特徴とする、窒化物結晶の製造方法。
[2] 前記嵩密度が0.8〜3.6g/cm3である[1]に記載の窒化物結晶の製造方法。
[3] 前記結晶原料の最大径が0.5μm〜120mmである[1]または[2]に記載の窒化物結晶の製造方法。
[4] 前記窒化物結晶原料の粒子は、最大径が100〜1000μmの2次粒子が凝集してなる、最大径が1〜120mmの3次粒子である[1]〜[3]のいずれか1項に記載の窒化物結晶の製造方法。
[5]前記窒化物結晶原料中の酸素濃度が10〜500ppmである[1]〜[4]のいずれか1項に記載の窒化物結晶の製造方法。
[6] 0.7〜4.5g/cm3の嵩密度を有し、結晶中の酸素濃度が10〜500ppmである窒化物結晶原料を、反応容器の原料充填領域に充填し、反応容器中で超臨界および/または亜臨界状態の溶媒存在下にて窒化物結晶成長を行うことを特徴とする、窒化物結晶の製造方法。
[7] 前記嵩密度が0.8〜3.6g/cm3である[6]に記載の窒化物結晶の製造方法。
[8] 前記窒化物結晶原料の最大径が0.5μm〜120mmである[6]または[7]に記載の窒化物結晶の製造方法。
[9] 前記窒化物結晶原料の粒子は、最大径が100〜1000μmの2次粒子が凝集してなる、最大径が1〜120mmの3次粒子である[6]〜[8]のいずれか1項に記載の窒化物結晶の製造方法。
[10] 前記原料充填領域に網状構造体を設置する[1]〜[9]のいずれか1項に記載の窒化物結晶の製造方法。
[11] 前記窒化物結晶原料を網状構造体の中に充填したうえで前記原料充填領域に設置する[10]に記載の窒化物結晶の製造方法。
[12] 前記窒化物結晶原料の溶解率が40%以上である[1]〜[11]のいずれか1項に記載の窒化物結晶の製造方法。
[13] 前記窒化物結晶のc軸方向の成長速度が、100μm/day以上である[1]〜[12]のいずれか1項に記載の窒化物結晶の製造方法。
[14] [1]〜[13]のいずれか1項に記載の窒化物結晶の製造方法により製造されることを特徴とする、窒化物結晶。
本発明の第1の発明によれば、アモノサーマル法で結晶成長する際に充填する結晶原料の嵩密度を特定の範囲内に制御することにより、効率良く高品質な窒化物結晶を製造することができる。このため、本発明によれば成長時間を短縮し、結晶原料を高効率に窒化物結晶とすることにより製造コストを大幅に抑えることができる。また、本発明の方法により製造した窒化物単結晶は、高品質の結晶としてデバイスに効果的に用いることができる。
本発明の第2の発明によれば、効率良く品質の優れた窒化物結晶を製造することができる。また、一定範囲内の酸素濃度を有する窒化物結晶原料を使用して、アモノサーマル法で窒化物結晶を製造することにより、所望のキャリア濃度を有する窒化物結晶を得ることができる。
本発明の第2の発明では、一定範囲内の酸素濃度を有する窒化物結晶原料を使用することで、アモノサーマル法において、原料中の酸素濃度と結晶中のキャリア濃度の相関関係を見出すことに成功した。これにより、所望のキャリア濃度を有する窒化物結晶を得るための酸素ドーピング条件を確立することができた。このため、本発明では、精密な酸素ドーピングを行うことが可能となり、高品質な窒化物結晶を得ることができる。
さらに、本発明の第2の発明によれば、アモノサーマル法で目的のキャリア濃度を有する窒化物結晶を得るための条件を試作検討する手間を大幅に削減することができ、窒化物結晶の生産効率を高めることができる。
本発明で用いることができるアモノサーマル法による結晶製造装置の模式図である。 本発明で用いることができる別のアモノサーマル法による結晶製造装置の模式図である。 窒化物結晶原料中の酸素濃度と成長結晶のキャリア濃度の関係を示すグラフである。 成長した窒化物結晶中の酸素濃度とキャリア濃度の関係を示すグラフである。
以下において、本発明の窒化物単結晶のアニール処理方法について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
(定義)
本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
まず、六方晶系の結晶構造の軸と面との関係について説明する。本明細書において種結晶または窒化物結晶の「主面」とは、当該種結晶または窒化物結晶における最も広い面であって、通常は結晶成長を行うべき面を指す。本明細書において「C面」とは、六方晶構造(ウルツ鋼型結晶構造)における{0001}面と等価な面であり、極性面である。例えば、(0001)面とその反対面である(000−1)面を指す。III族窒化物結晶(周期表第13族金属窒化物結晶)では、C面はIII族(第13族金属)面又は窒素面であり、窒化ガリウム(GaN)ではそれぞれGa面又はN面に相当する。また、本明細書において「M面」とは、{1−100}面、{01−10}面、[−1010]面、{−1100}面、{0−110}面、{10−10}面として包括的に表される非極性面であり、具体的には(1−100)面や、(01−10)面、(−1010)面、(−1100)面、(0−110)面、(10−10)面を意味する。さらに、本明細書において「A面」とは、{2−1−10}面、{−12−10}面、{−1−120}面、{−2110}面、{1−210}面、{11−20}面として包括的に表される非極性面である。具体的には(11−20)面や、(2−1−10)面、(−12−10)面、(−1−120)面、(−2110)面、(1−210)面、を意味する。本明細書において「c軸」「m軸」「a軸」とは、それぞれC面、M面、A面に垂直な軸を意味する。
また、本明細書において「非極性面」とは、表面にIII族元素と窒素元素の両方が存在しており、かつその存在比が1:1である面を意味する。具体的には、M面やA面を好ましい面として挙げることができる。本明細書において「半極性面」とは、例えば、III族窒化物が六方晶であってその主面が(hklm)で表される場合、[0001]面以外で、m=0ではない面をいう。すなわち(0001)面に対して傾いた面で、かつ非極性面ではない面をいう。表面にIII族元素と窒素元素の両方あるいはC面のように片方のみが存在する場合で、かつその存在比が1:1でない面を意味する。h、k、l、mはそれぞれ独立に−5〜5のいずれかの整数であることが好ましく、−2〜2のいずれかの整数であることがより好ましく、低指数面であることが好ましい。窒化物結晶の主面として好ましく採用できる半極性面として、例えば(10−11)面、(10−1−1)面、(10−12)面、(10−1−2)面、(20−21)面、(202−1)面、(20−2−1)面、(10−12)面、(10−1−2)面、(11−21)面、(11−2−1)面、(11−22)面、(11−2−2)面、(11−24)面、(11−2−4)面などを挙げることができ、特に(10−11)面、(202−1)面を挙げることができる。
なお、本明細書において、「ppm」と示す場合には重量ppmを意味する。
(第1の発明)
以下において、第1の本発明の窒化物結晶の製造方法について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
(第1の発明の窒化物結晶の製造方法)
第1の発明の窒化物結晶の製造方法(以下、第1の発明の製造方法とも言う)は、窒化物結晶原料を反応容器の原料充填領域に充填し、反応容器中で超臨界および/または亜臨界状態の溶媒存在下にて結晶成長を行う窒化物結晶の製造方法であって、前記窒化物結晶原料を原料充填領域に0.7〜4.5g/cm3の嵩密度で充填して結晶成長を行う。つまり、原料充填領域に結晶原料を0.7〜4.5g/cm3の嵩密度となるように充填して、アモノサーマル法により該結晶原料から窒化物結晶を製造する、窒化物結晶の製造方法である。
通常、アモノサーマル法では、反応容器内に結晶原料を充填する原料充填領域と種結晶を設置しておく結晶成長領域とを設けておき、原料充填領域において原料を溶解し、結晶成長領域において種結晶上に結晶を成長させる。このとき、原料充填領域と結晶成長領域には温度差をつけて、原料充填領域において原料がより溶解し、結晶成長領域において良質な結晶がより析出しやすくなるように制御する。本発明でいう「原料充填領域」は、反応開始前の反応容器の長軸が鉛直方向となるように設置したときに、充填した窒化物結晶原料の最下端部を含む水平面と充填した窒化物結晶原料の最上端部を含む水平面とで挟まれた反応容器内領域をいう。また、原料充填領域における窒化物結晶原料の「嵩密度」は、原料充填領域に充填した窒化物結晶原料の単位体積あたりの重量であり、結晶原料の重量を原料充填領域の自由容積で除することにより求めることができる。ここでいう原料充填領域の自由容積は、反応容器の原料充填領域の内容積から原料充填領域に存在する窒化物結晶原料以外の固体の容積を除いた容積である。そのような固体として、バッフル板や種結晶支持枠を支える支持枠、原料を設置するための坩堝、バスケットや網状構造物等の構造物を例示することができ、原料充填領域内におけるこれらの体積を除くことにより自由容積を求めることができる。
本発明の原料充填領域における窒化物結晶原料の嵩密度の具体的な計算例を示す。例えば、内径20mmの円筒状の反応容器の下部領域に100gのGaN結晶原料を設置し、原料が入った領域の最下端(円筒内部の底面)から最上端までの高さが100mmであった場合の嵩密度は、100g/(314mm2×100mm)で計算することができ、約3.18g/cm3と算出される。また、容器に入れた状態でCTスキャン(コンピュータ断層撮影法)を行うことによっても分析することができる。
嵩密度は窒化物結晶原料の充填率に換算することが可能である。嵩密度を窒化物結晶原料の比重で除して100倍することにより充填率(単位%)を算出することができる。例えば、上の具体例では、GaN結晶の比重が6.1g/cm3であることから、充填率は52%と計算される。
原料充填領域における窒化物結晶原料の嵩密度が大きすぎると、窒化物結晶原料間に生じる空間の体積が小さくなることにより、溶媒の対流が阻害され原料の溶解速度が低下する。このため、良質な成長結晶を生産性良く成長させることが困難になる。一方、窒化物結晶原料の嵩密度が小さすぎると、窒化物結晶原料は十分に溶解できるものの、体積あたりの原料の投入量が少なくなり、十分な量の溶解原料を効率良く結晶成長領域に供給して、速やかに十分なサイズの窒化物結晶を成長させることが困難になる。本発明では原料充填領域における結晶原料の嵩密度を0.7〜4.5g/cm3の範囲内に制御することにより、溶媒の対流を阻害することなく、原料の溶解速度を向上させて、良質な結晶を効率良く成長させることができる。
第1の発明の本発明の製造方法では、原料充填領域における窒化物結晶原料の嵩密度を0.8g/cm3以上にすることが好ましく、0.9g/cm3以上にすることがより好ましく、1.0g/cm3以上にすることがさらに好ましく、1.1g/cm3以上にすることが特に好ましい。また、原料充填領域における窒化物結晶原料の嵩密度は4.0g/cm3以下にすることが好ましく、3.6g/cm3以下にすることがより好ましく、3.2g/cm3以下にすることがさらに好ましく、3.0g/cm3以下にすることが特に好ましい。原料充填領域における窒化物結晶原料の嵩密度を上記範囲とすることで、溶媒の対流を阻害することなく、原料の溶解速度を向上させて、良質な結晶を効率良く成長させることができる。
(嵩密度の調整方法)
原料充填領域における窒化物結晶原料の嵩密度は、例えば使用する窒化物結晶原料の粒径、粒径分布、形状などを選択することにより制御することが可能である。すなわち、反応容器内の原料充填領域に窒化物結晶原料を入れたときに、個々の窒化物結晶原料粒子どうしが互いに空隙を持ちながら重なり合いやすい粒径や形状を有する窒化物結晶原料を選択すれば、嵩密度を高くすることができる。例えば、粒径が大きな窒化物結晶原料を用いたり、粒子形状が非対称で不定形である窒化物結晶原料を用いたりすることにより、嵩密度を低くすることが可能である。逆に、反応容器内の原料充填領域に窒化物結晶原料を入れたときに、個々の窒化物結晶原料粒子どうしが互いに密に重なり合いやすい粒径や形状を有する窒化物結晶原料を選択すれば、嵩密度を高くすることができる。例えば、粒径が小さな窒化物結晶原料を用いたり、粒径が大きな窒化物結晶原料とその間隙に入り込むような小さな粒径の窒化物結晶原料を組み合わせて用いたり、密に充填しやすい粒子形状を持つ均一な窒化物結晶原料を用いたりすることにより、嵩密度を高くすることが可能である。
原料充填領域における窒化物結晶原料の嵩密度を上記範囲とできれば、用いる窒化物結晶の嵩密度は得に限定されないが、嵩密度が0.7〜4.5g/cm3の範囲にある窒化物結晶原料を用いることが好ましい。より好ましくは1.5g/cm3以上であり、更に好ましくは1.8g/cm3以上であって、より好ましくは4.0g/cm3以下であり、更に好ましくは3.0g/cm3以下である。このような範囲の嵩密度を有する窒化物結晶原料を単独または組合せて用いることによって、原料充填領域における窒化物原料の溶解性を調整することが好ましい。なお、嵩密度が異なる窒化物結晶原料の各々の「嵩密度」は、適当な容器に窒化物結晶原料を充填し、充填した結晶原料の単位体積あたりの重量を意味し、充填した窒化物結晶原料の重量を該容器の容積で除することにより求めることができる。通常、同一の嵩密度を有するとされる窒化物結晶原料の集合体は、類似した形状を有しており、粒径の最小値に対する最大値が100倍以下となるような集合を、略同等の嵩密度を有する「1種の窒化物結晶原料」と称する。1種の窒化物結晶原料は1粒子あたりの重量のばらつきが小さいことが好ましく、1粒子あたりの重量における標準偏差は使用する反応容器の大きさによって好ましい範囲が異なるが、一般的に8.0以下であることが好ましく、7.0以下であることがより好ましく、6.0以下であることが更に好ましい。特に、反応容器の直径が26mm程度の場合は平均重量0.6〜1.2g/1粒子であり標準偏差が0.35〜0.48の原料を使用することが好ましい。反応容器の直径が60mm程度の場合は平均重量5.0〜8.5g/1粒子であり標準偏差が5.4以下の原料を使用することが好ましい。反応容器の直径が130mm程度の場合は平均重量5.0〜10.5g/1粒子であり標準偏差が7.0以下の原料を使用することが好ましい。
原料充填領域における窒化物結晶原料の嵩密度は、原料充填領域に窒化物結晶原料を入れた後に、エネルギーを与えることにより制御することもできる。例えば、原料充填領域に窒化物結晶原料を入れた後に、振動を与えたり、反応容器を回転させたり、攪拌棒や回転羽根を用いて充填した窒化物結晶原料を混ぜたりすることにより嵩密度を制御することができる。振動は、反応容器を直接揺動することにより与えてもよいし、超音波などの非接触手段により与えてもよい。
原料充填領域における窒化物結晶原料の嵩密度は、原料充填領域に構造物を設置することによって制御することも可能である。例えば、溶媒を通過させることができるが、窒化物結晶原料は通過させない網状構造体を好ましく採用することができる。そのような網状構造体によって、原料充填領域における窒化物結晶原料の存在域を制限することにより、嵩密度を制御することができる。すなわち、窒化物結晶原料の存在域を狭い領域に制限し、窒化物結晶原料が存在できない領域を広く確保することにより、嵩密度を低く制御することができる。例えば、原料充填領域よりも容積が小さな網状構造体の中に窒化物結晶原料を充填したうえで、これを原料充填領域に入れることにより、嵩密度を小さくすることができる。また、逆に窒化物結晶原料を充填していない中空の網状構造体を原料充填領域に設置することにより、嵩密度を制御してもよい。例えば、そのような網状構造体を窒化物結晶原料と混合して原料充填領域に充填することができる。このとき両者の混合割合を調整すれば嵩密度を制御することができる。網状構造体は、予め原料充填領域に固定しておいても構わない。また、このような種々の態様の網状構造体は複数個使用してもよい。さらに、溶媒を通過させることができるような、網状でない構造体を採用することも可能である。
(窒化物結晶原料)
本発明では、アモノサーマル法により成長させようとしている窒化物結晶を構成する原子を含む窒化物結晶原料を用いる。例えば、周期表第13族金属の窒化物結晶(以下、第13族窒化物結晶と称する場合がある)を成長させようとする場合は、周期表第13族金属を含む原料を用いる。好ましくは第13族窒化物結晶の多結晶原料または単結晶原料を用い、これを第13族原子の金属(メタル)と組み合わせて原料として用いてもよい。多結晶原料は、完全な窒化物である必要はなく、条件によっては第13族原子がメタルの状態(ゼロ価)である金属成分を含有してもよい。例えば、結晶が窒化ガリウムである場合には、窒化ガリウムと金属ガリウムの混合物が挙げられる。第13族窒化物結晶の種類としては、GaN、InN、AlN、InGaN、AlGaN、AllnGaNなどを挙げることができる。好ましいのはGaN、AlN、AlGaN、AllnGaNであり、より好ましいのはGaNである。
本発明において原料として用いる多結晶原料の製造方法は、特に制限されない。例えば、アンモニアガスを流通させた容器内で、金属またはその酸化物もしくは水酸化物をアンモニアと反応させることにより生成した窒化物多結晶を用いることができる。また、より反応性の高い金属化合物原料として、ハロゲン化物、アミド化合物、イミド化合物、ガラザンなどの共有結合性M−N結合を有する化合物などを用いることができる。さらに、Gaなどの金属を高温高圧で窒素と反応させて作製した窒化物多結晶を用いることもできる。
本発明において原料として用いる多結晶原料に含まれる水や酸素の量は、少ないことが好ましい。多結晶原料中の酸素含有量は、通常1.0重量%以下、好ましくは0.1重量%以下、特に好ましくは0.0001重量%以下である。多結晶原料への酸素の混入のしやすさは、水分との反応性または吸収能と関係がある。多結晶原料の結晶性が悪いほど表面にNH基などの活性基が多く存在し、それが水と反応して一部酸化物や水酸化物が生成する可能性がある。このため、多結晶原料としては、通常、できるだけ結晶性が高い物を使用することが好ましい。結晶性は粉末X線回折の半値幅で見積もることができ、(100)の回折線(ヘキサゴナル型窒化ガリウムでは2θ=約32.5°)の半値幅が、通常0.25°以下、好ましくは0.20°以下、さらに好ましくは0.17°以下である。
第1の発明における窒化物結晶原料は、最大径が0.5μm〜120mmの粒子であることが好ましい。本発明で用いる窒化物結晶原料の粒径は、嵩密度の調整のし易さや、取り扱いのし易さ等の面から反応容器のサイズによって好ましい範囲が異なる。具体的には、反応容器のサイズがより大きくなれば、結晶原料の粒径もより大きくて構わない。なお、ここでいう粒子の最大径とは、粒子の最大長さの直線距離をいう。また、後述する2次粒子が凝集してなる3次粒子については、3次粒子の最大径が窒化物結晶原料の「粒径」と一致する。
例えば、直径が26mm程度または30mm程度の反応容器を用いる場合の粒径は、最大径が0.5μm以上であるものを用いることが好ましく、1μm以上であるものを用いることがより好ましく、10μm以上であるものを用いることがさらに好ましく、また、20mm以下であるものを用いることが好ましく、15mm以下であるものを用いることがより好ましく、10mm以下であるものを用いることがさらに好ましい。また、例えば直径が60mm程度の反応容器を用いる場合の粒径は、最大径が0.5μm以上であるものを用いることが好ましく、1μm以上であるものを用いることがより好ましく、10μm以上であるものを用いることがさらに好ましく、また、50mm以下であるものを用いることが好ましく、30mm以下であるものを用いることがより好ましく、20mm以下であるものを用いることがさらに好ましい。
また、例えば直径が130mm程度の反応容器を用いる場合の粒径は、最大径が0.5μm以上であるものを用いることが好ましく、1μm以上であるものを用いることがより好ましく、10μm以上であるものを用いることがさらに好ましく、また、120mm以下であるものを用いることが好ましく、60mm以下であるものを用いることがより好ましく、30mm以下であるものを用いることがさらに好ましい。
第1の発明で用いる窒化物結晶原料は、窒化物結晶原料粒子が凝集してなる構造を有するものを使用することが好ましい。具体的には、2次粒子が凝集してなる3次粒子を用いることが好ましい。2次粒子の粒径は100μm以上であることが好ましく、200μm以上であることがより好ましく、300μm以上であることがさらに好ましく、また、1000μm以下であることが好ましく、900μm以下であることがより好ましく、800μm以下であることがさらに好ましい。3次粒子の粒径は1mm以上であり、5mm以上であることがより好ましく、10mm以上であることがさらに好ましく、また、120mm以下であることが好ましく、60mm以下であることがより好ましく、50mm以下であることがそれより好ましく、30mm以下であることがさらに好ましく、20mm以下であることが特に好ましい。2次粒子の粒径は光学顕微鏡等で計測することが可能である。3次粒子のように1mm以上であれば、目視で確認が可能であるので、例えばノギスや物差し等により計測することができる。さらに、本発明で用いる窒化物結晶原料の形状が、後述するように珊瑚状である場合、粒子の最大径は、表面の突起部分を含めて求める。なお、上述の窒化物結晶原料粒子が凝集してなる構造を有する窒化物結晶において、1次粒子はナノ単位の単結晶を意味しており、これらの単結晶が互いに凝集・結合して多結晶である2次粒子を構成する。通常、1次粒子は互いに結合して一体化しているため粒子として判別することができない。
第1の発明で用いる窒化物結晶原料の粒径分布については、粒径が0.01μm以上の窒化物結晶原料が、窒化物結晶原料全体の体積の20%以上、より好ましくは30%以上を占めることが窒化物結晶原料間の隙間が十分に空き、溶媒の対流が可能となるために好ましい。また、粒径が1.0mm以上の窒化物結晶原料が、窒化物結晶原料全体の体積の10%以上、より好ましくは30%以上、さらに好ましくは50%以上、特に好ましくは80%以上を占めることが窒化物結晶原料間の隙間が十分に空き、溶媒の対流が可能となるために好ましい。
(窒化物結晶原料の形状)
本発明で用いる窒化物結晶原料の形状は、球状、断面が楕円である粒状、板状、直方形状、三角形状、珊瑚状(本明細書中、珊瑚状とは、表面に最大径の5%以上の長さの突起部分のある形状のことを言う。表面のほぼ全面に亘って凹凸があり、表面積が大きくなった状態であることが好ましい)であってもよい。好ましい形状は、溶媒の対流を大きく阻害しないよう結晶原料間に一定の空隙があることが好ましいため、嵩密度の調整も容易であるという理由で、楕円粒状、直方形状、三角形状、珊瑚状である。
なお、本明細書中において、珊瑚状の形状には、一般的に樹枝状(デンドリック)、金平糖状などの語句で表される形状が含まれる。珊瑚状の例としては、例えば特開2011−206866号公報に記載の粒子の形状や、特開2011−026665号公報に記載の粒子の形状などが含まれる。その中でも、窒化物結晶原料が珊瑚状であると、原料の溶解速度が上がり、大型の窒化物結晶を効率よく得ることができるため、好ましい。
このような珊瑚状の窒化物結晶原料の入手方法としては特に制限はなく、商業的に入手してもよく、または特定の条件下で結晶成長させて入手してもよい。商業的に入手する方法としては、例えば、Kyma社から商品名Poly GaNとして入手することができる。また、結晶成長して珊瑚状にする方法としては、一般的に知られるHVPE法などにより、結晶成長速度が速くなるように原料供給分圧や成長温度を調整することや種結晶を使用せずに結晶成長を実施して多結晶の成長を促進することが挙げられる。
第1の発明で用いる窒化物結晶原料としては、その表面に溶媒に溶解しやすい面が出現しており、溶媒に溶解しにくい面が出現していないものを用いることが好ましい。例えば、アモノサーマル法によりアンモニア溶媒を用いてGaN結晶を成長させる場合は、+C面(Ga面)とM面がアンモニア溶媒に比較的溶けにくいため、これら以外の面が表面に出現している原料を使用することが好ましい。
(アモノサーマル法による結晶成長)
第1の発明の製造方法では、原料充填領域に窒化物結晶原料を0.7〜4.5g/cm3の嵩密度で充填した後に、アモノサーマル法により該窒化物結晶原料から窒化物結晶を製造する。
アモノサーマル法とは、超臨界状態及び/又は亜臨界状態にあるアンモニア溶媒などの窒素を含有する溶媒を用いて、窒化物結晶原料の溶解−析出反応を利用して所望の窒化物単結晶を製造する方法である。結晶成長は、アンモニアなどの溶媒への窒化物結晶原料溶解度の温度依存性を利用して温度差により過飽和状態を発生させて結晶を析出させることにより行う。
第1の発明の製造方法によれば、速い成長速度で、原料利用効率良く、高い品質を有する窒化物結晶を効率良く製造することができる。本発明によれば、c軸方向の成長速度として、100μm/day以上を達成することができ、さらには300μm/day以上を達成することができ、さらになお600μm/day以上を達成することができる。また、m軸方向の成長速度として、30μm/day以上を達成することができ、さらには100μm/day以上を達成することができ、さらになお300μm/day以上を達成することができる。さらに、a軸方向の成長速度として、50μm/day以上を達成することができ、さらには600μm/day以上を達成することができ、さらになお1500μm/day以上を達成することができる。
以下において、アモノサーマル法による窒化物結晶の製造法の詳細を説明する。
(鉱化剤)
本発明におけるアモノサーマル法による窒化物結晶の成長に際しては、鉱化剤を用いることが好ましい。アンモニアなどの窒素を含有する溶媒に対する窒化物結晶原料の溶解度が高くないために、溶解度を向上させるために鉱化剤を用いる。
第1の発明で用いる鉱化剤は、塩基性鉱化剤であっても、酸性鉱化剤であってもよい。塩基性鉱化剤としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属と窒素原子を含む化合物で、アルカリ土類金属アミド、希土類アミド、窒化アルカリ金属、窒化アルカリ土類金属、アジド化合物、その他ヒドラジン類の塩が挙げられる。好ましくは、アルカリ金属アミドで、具体例としてはナトリウムアミド(NaNH2)、カリウムアミド(KNH2)、リチウムアミド(LiNH2)が挙げられる。また、酸性鉱化剤としては、ハロゲン元素を含む化合物が好ましい。ハロゲン元素を含む鉱化剤の例としては、ハロゲン化アンモニウム、ハロゲン化水素、アンモニウムヘキサハロシリケート、及びヒドロカルビルアンモニウムフルオリドや、ハロゲン化テトラメチルアンモニウム、ハロゲン化テトラエチルアンモニウム、ハロゲン化ベンジルトリメチルアンモニウム、ハロゲン化ジプロピルアンモニウム、及びハロゲン化イソプロピルアンモニウムなどのアルキルアンモニウム塩、フッ化アルキルナトリウムのようなハロゲン化アルキル金属、ハロゲン化アルカリ土類金属、ハロゲン化金属等が例示される。このうち、好ましくはハロゲン元素を含む添加物(鉱化剤)であるハロゲン化アルカリ、アルカリ土類金属のハロゲン化物、金属のハロゲン化物、ハロゲン化アンモニウム、ハロゲン化水素であり、さらに好ましくはハロゲン化アルカリ、ハロゲン化アンモニウム、周期表13族金属のハロゲン化物であり、特に好ましくはハロゲン化アンモニウム、ハロゲン化ガリウムである。ハロゲン化アンモニウムとしては、例えば塩化アンモニウム(NH4Cl)、ヨウ化アンモニウム(NH4I)、臭化アンモニウム(NH4Br)、フッ化アンモニウム(NH4F)である。
第1の発明で用いるでは、ハロゲン化アンモニウムを含む酸性鉱化剤を用いることが特に好ましい。また、鉱化剤は1種を単独で用いてもよいし、複数種を適宜混合して用いてもよい。
本発明で用いる鉱化剤の組み合わせと濃度比(モル濃度比)は、成長させようとしている窒化物結晶の種類や形状やサイズ、種結晶の種類や形状やサイズ、使用する反応装置、採用する温度条件や圧力条件などにより、適宜決定することができる。
本発明では、鉱化剤として酸性鉱化剤を選択することが好ましく、特にフッ素元素と、塩素、臭素、ヨウ素から構成される他のハロゲン元素から選ばれる少なくとも一つの元素とを含む鉱化剤を用いることが好ましい。前記鉱化剤に含まれるハロゲン元素の組み合わせは、塩素とフッ素、臭素とフッ素、ヨウ素とフッ素といった2元素の組み合わせであってもよいし、塩素と臭素とフッ素、塩素とヨウ素とフッ素、臭素とヨウ素とフッ素といった3元素の組み合わせであってもよいし、塩素と臭素とヨウ素とフッ素といった4元素の組み合わせであってもよい。好ましいのは、塩素とフッ素を少なくとも含む組み合わせと、臭素とフッ素を少なくとも含む組み合わせと、ヨウ素とフッ素を少なくとも含む組み合わせである。第1の発明で用いる鉱化剤に含まれるハロゲン元素の組み合わせと濃度比(モル濃度比)は、製造する窒化物結晶の種類や形状やサイズ、種結晶の種類や形状やサイズ、使用する反応装置、採用する温度条件や圧力条件などにより、適宜決定することができる。
前記製造方法では、ハロゲン元素を含有する鉱化剤とともに、ハロゲン元素を含まない鉱化剤を用いることも可能であり、例えばNaNH2やKNH2やLiNH2などのアルカリ金属アミドと組み合わせて用いることもできる。
前記製造方法で成長させる窒化物結晶に不純物が混入するのを防ぐために、必要に応じて鉱化剤は精製、乾燥してから使用することができる。前記鉱化剤の純度は、通常は95%以上、好ましくは99%以上、さらに好ましくは99.99%以上である。
前記鉱化剤に含まれる水や酸素の量はできるだけ少ないことが望ましく、これらの含有量は1000ppm以下であることが好ましく、10ppm以下であることがより好ましく、1.0ppm以下であることがさらに好ましい。
なお、前記結晶成長を行う際には、反応容器にハロゲン化アルミニウム、ハロゲン化リン、ハロゲン化シリコン、ハロゲン化ゲルマニウム、ハロゲン化亜鉛、ハロゲン化ヒ素、ハロゲン化スズ、ハロゲン化アンチモン、ハロゲン化ビスマスなどを存在させておいてもよい。
鉱化剤に含まれるハロゲン元素の溶媒に対するモル濃度は0.1mol%以上とすることが好ましく、0.3mol%以上とすることがより好ましく、0.5mol%以上とすることがさらに好ましい。また、鉱化剤に含まれるハロゲン元素の溶媒に対するモル濃度は30mol%以下とすることが好ましく、20mol%以下とすることがより好ましく、10mol%以下とすることがさらに好ましい。濃度が低すぎる場合、溶解度が低下し成長速度が低下する傾向がある。一方濃度が濃すぎる場合、溶解度が高くなりすぎて自発核発生が増加したり、過飽和度が大きくなりすぎたりするため制御が困難になるなどの傾向がある。
(溶媒)
前記製造方法に用いられる溶媒としては、窒素を含有する溶媒を用いることができる。窒素を含有する溶媒としては、成長させる窒化物単結晶の安定性を損なうことのない溶媒が挙げられる。前記溶媒としては、例えば、アンモニア、ヒドラジン、尿素、アミン類(例えば、メチルアミンのような第1級アミン、ジメチルアミンのような第二級アミン、トリメチルアミンのような第三級アミン、エチレンジアミンのようなジアミン)、メラミン等を挙げることができる。これらの溶媒は単独で用いてもよいし、混合して用いてもよい。
窒化物結晶原料以外からの酸素の供給を低減するために、溶媒に含まれる水や酸素の量はできるだけ少ないことが望ましく、これらの含有量は1000ppm以下であることが好ましく、10ppm以下であることがより好ましく、0.1ppm以下であることがさらに好ましい。アンモニアを溶媒として用いる場合、その純度は通常99.9%以上であり、好ましくは99.99%以上であり、さらに好ましくは99.999%以上であり、特に好ましくは99.9999%以上である。
(反応容器および設置部材)
第1の発明の窒化物結晶の製造方法は、反応容器中で実施することができる。
前記反応容器は、窒化物結晶を成長させるときの高温高圧条件に耐え得るものの中から選択することができる。「反応容器」とは、超臨界および/または亜臨界状態の溶媒の存在下で窒化物結晶の製造を行うための容器を意味し、耐圧性容器内部の構造そのものや、耐圧性容器内に設置されるカプセルなどを好ましい例として挙げることができる。前記反応容器としては、特表2003−511326号公報(国際公開第01/024921号パンフレット)や特表2007−509507号公報(国際公開第2005/043638号パンフレット)に記載されるように反応容器の外から反応容器とその内容物にかける圧力を調整する機構を備えたものであってもよいし、そのような機構を有さないオートクレーブであってもよい。
反応容器は、窒化物結晶を成長させるときの高温高圧条件に耐え得るもの中から選択することが好ましい。前記反応容器は、高温強度が高く耐圧性と耐食性を有する材料で構成されているものが好ましく、特にアンモニア等の溶媒に対する耐食性に優れたNi系の合金、ステライト(デロロ・ステライト・カンパニー・インコーポレーテッドの登録商標)等のCo系合金を用いることが好ましい。より好ましくはNi系の合金であり、具体的には、Inconel625(Inconelはハンティントン アロイズ カナダ リミテッドの登録商標、以下同じ)、Nimonic90(Nimonicはスペシャル メタルズ ウィギン リミテッドの登録商標、以下同じ)、RENE41(Teledyne Allvac, Incの登録商標)、Inconel718(Inconelはハンティントン アロイズ カナダ リミテッドの登録商標)、ハステロイ(Haynes International,Incの登録商標)、ワスパロイ(United Technologies,Inc.の登録商標)が挙げられる。
これらの合金の組成比率は、系内の溶媒の温度や圧力条件、及び系内に含まれる鉱化剤及びそれらの反応物との反応性及び/又は酸化力・還元力、pHの条件に従い、適宜選択すればよい。これらを反応容器の内面を構成する材料として用いるには、反応容器自体をこれらの合金を用いて製造してもよく、内筒として薄膜を形成して耐圧性容器内に反応容器として設置してもよく、任意の反応容器の材料の内面にメッキ処理を施してもよい。
反応容器の耐食性をより向上させるために、貴金属の優れた耐食性を利用して、貴金属を反応容器の内表面をライニング又はコーティングしてもよい。また、反応容器の材質を貴金属とすることもできる。ここでいう貴金属としては、Pt、Au、Ir、Ru、Rh、Pd、Ag、及びこれらの貴金属を主成分とする合金が挙げられ、中でも優れた耐食性を有するPtまたはPt合金を用いることが好ましい。
第1の発明の窒化物結晶の製造方法に用いることのできる反応容器を含む結晶製造装置の具体例を図1に示す。図1は、本発明で用いることができる結晶製造装置の模式図である。図1に示される結晶製造装置においては、オートクレーブ1(耐圧性容器)中に内反応容器として装填されるカプセル20中で結晶成長を行う。カプセル20中は、原料を溶解するための原料充填領域9と結晶を成長させるための結晶成長領域6から構成されている。原料充填領域9には原料8とともに溶媒や鉱化剤を入れることができ、結晶成長領域6には種結晶7をワイヤーで吊すなどして設置することができる。原料充填領域9と結晶成長領域6の間には、2つの領域を区画バッフル板5が設置されている。バッフル板5の開孔率は2〜60%であるものが好ましく、3〜40%であるものがより好ましい。バッフル板の表面の材質は、反応容器であるカプセル20の材料と同一であることが好ましい。また、より耐食性を持たせ、成長させる結晶を高純度化するために、バッフル板の表面は、Ni、Ta、Ti、W、Mo、Ru、Nb、Pd、Pt、Au、Ir、pBNであることが好ましく、W、Mo、Ti、Pd、Pt、Au、Ir、pBNであることがより好ましく、Pt、Mo、Tiであることが特に好ましい。図1に示される結晶製造装置では、オートクレーブ1の内壁とカプセル20の間の空隙には、第2溶媒を充填することができるようになっている。ここには、バルブ10を介して窒素ボンベ13から窒素ガスを充填したり、アンモニアボンベ12からマスフローメーター14で流量を確認したりしながら第2溶媒としてアンモニアを充填することができる。また、真空ポンプ11により必要な減圧を行うこともできる。なお、第1の発明の窒化物結晶の製造方法を実施する際に用いる結晶製造装置には、バルブ、マスフローメーター、導管は必ずしも設置されていなくてもよい。
図2に示す結晶製造装置のように、カプセルを用いずに前記オートクレーブ1により耐食性を持たせるためにライニング4を使用し、反応容器として用いることもできる。ライニングする材料として、Pt、Ir、Ag、Pd、Rh、Cu、Au及びCのうち少なくとも一種類以上の金属又は元素、もしくは、少なくとも一種類以上の金属を含む合金又は化合物であることが好ましく、より好ましくは、ライニングがしやすいという理由でPt,Ag、Cu及びCのうち少なくとも一種類以上の金属又は元素、もしくは、少なくとも一種類以上の金属を含む合金又は化合物である。例えば、Pt単体、Pt−Ir合金、Ag単体、Cu単体やグラファイトなどが挙げられる。なお、図1のようにカプセルを用いる場合にも、上述のライニングを併用することもできる。
(製造工程)
第1の発明の窒化物結晶の製造方法の一例について説明する。第1の発明の窒化物結晶の製造方法を実施する際には、まず、反応容器内に、種結晶、窒素を含有する溶媒、原料、及び鉱化剤を入れて封止する。ここで、前記種結晶としては、主面の面方位は特に限定されないが、C面を主面として成長させた結晶を所望の方向に切り出すことによって、主面が非極性面又は半極性面となる基板を得ることができる。これによって、M面などの非極性面、(10−11)、(20−21)などの半極性面を有する種結晶を得ることができる。
前記窒化物結晶原料、鉱化剤、バッフル板や種結晶などの材料を反応容器内に導入するのに先だって、反応容器内は脱気しておいてもよい。また、材料の導入時には、窒素ガスなどの不活性ガスを流通させてもよい。反応容器内への種結晶の設置は、通常は、原料及び鉱化剤を充填する際に同時又は充填後に設置する。種結晶は、反応容器内表面を構成する貴金属と同様の貴金属製の治具に固定することが好ましい。種結晶の設置後には、必要に応じて加熱脱気をしてもよい。
図1に示す製造装置を用いる場合は、反応容器であるカプセル20内に種結晶、窒素を含有する溶媒、原料、及び鉱化剤を入れて封止した後に、カプセル20を耐圧性容器(オートクレーブ)1内に装填し、好ましくは耐圧性容器と該反応容器の間の空隙に第2溶媒を充填して耐圧性容器を密閉する。
その後、全体を加熱して反応容器内を超臨界状態および/又は亜臨界状態とする。超臨界状態では一般的には、粘度が低く、液体よりも容易に拡散されるが、液体と同様の溶媒和力を有する。亜臨界状態とは、臨界温度近傍で臨界密度とほぼ等しい密度を有する液体の状態を意味する。例えば、原料充填部では、超臨界状態として原料を溶解し、結晶成長部では亜臨界状態となるように温度を変化させて超臨界状態と亜臨界状態の原料の溶解度差を利用した結晶成長も可能である。
超臨界状態にする場合、反応混合物は、一般に溶媒の臨界点よりも高い温度に保持する。アンモニア溶媒を用いた場合、臨界点は臨界温度132℃、臨界圧力11.35MPaであるが、反応容器の容積に対する充填率が高ければ、臨界温度以下の温度でも圧力は臨界圧力を遥かに越える。本発明において「超臨界状態」とは、このような臨界圧力を越えた状態を含む。反応混合物は、一定の容積の反応容器内に封入されているので、温度上昇は流体の圧力を増大させる。一般に、T>Tc(1つの溶媒の臨界温度)及びP>Pc(1つの溶媒の臨界圧力)であれば、流体は超臨界状態にある。
超臨界条件では、窒化物結晶の十分な成長速度が得られる。反応時間は、特に鉱化剤の反応性及び熱力学的パラメータ、すなわち温度及び圧力の数値に依存する。窒化物結晶の合成中あるいは成長中、反応容器内の圧力は結晶性および生産性の観点から、120MPa以上にすることが好ましく、150MPa以上にすることがより好ましく、180MPa以上にすることがさらに好ましい。また、反応容器内の圧力は安全性の観点から、700MPa以下にすることが好ましく、500MPa以下にすることがより好ましく、350MPa以下にすることがさらに好ましく、300MPa以下にすることが特に好ましい。圧力は、温度及び反応容器の容積に対する溶媒体積の充填率によって適宜決定される。本来、反応容器内の圧力は、温度と充填率によって一義的に決まるものではあるが、実際には、原料、鉱化剤などの添加物、反応容器内の温度の不均一性、及び自由容積の存在によって多少異なる。
反応容器内の温度範囲は、結晶性および生産性の観点から、下限値が500℃以上であることが好ましく、515℃以上であることがより好ましく、530℃以上であることがさらに好ましい。上限値は、安全性の観点から、700℃以下であることが好ましく、650℃以下であることがより好ましく、630℃以下であることがさらに好ましい。第1の発明の窒化物結晶の製造方法では、反応容器内における原料充填領域の温度が、結晶成長領域の温度よりも高いことが好ましい。温度差(|ΔT|)は、結晶性および生産性の観点から、5℃以上であることが好ましく、10℃以上であることがより好ましく、100℃以下であることが好ましく、90℃以下であることがより好ましく、80℃以下が特に好ましい。反応容器内の最適な温度や圧力は、結晶成長の際に用いる鉱化剤や添加剤の種類や使用量等によって、適宜決定することができる。
前記の反応容器内の温度範囲、圧力範囲を達成するための反応容器への溶媒の注入割合、すなわち充填率は、反応容器の自由容積、すなわち、反応容器に窒化物結晶原料、及び種結晶を用いる場合には、種結晶とそれを設置する構造物の体積を反応容器の容積から差し引いて残存する容積、またバッフル板を設置する場合には、さらにそのバッフル板の体積を反応容器の容積から差し引いて残存する容積の溶媒の沸点における液体密度を基準として、通常20〜95%、好ましくは30〜80%、さらに好ましくは40〜70%とする。反応容器として図1のようなカプセル20を用いる場合には、溶媒の超臨界状態においてカプセル20内外で圧力がバランスするように、溶媒量を適宜調整することが好ましい。
反応容器内での窒化物結晶の成長は、熱電対を有する電気炉などを用いて反応容器を加熱昇温することにより、反応容器内をアンモニア等の溶媒の亜臨界状態又は超臨界状態に保持することにより行われる。加熱の方法、所定の反応温度への昇温速度に付いては特に限定されないが、通常、数時間から数日かけて行われる。必要に応じて、多段の昇温を行ったり、温度域において昇温スピードを変えたりすることもできる。また、部分的に冷却しながら加熱したりすることもできる。
なお、前記の「反応温度」は、反応容器の外面に接するように設けられた熱電対、及び/又は外表面から一定の深さの穴に差し込まれた熱電対によって測定され、反応容器の内部温度へ換算して推定することができる。これら熱電対で測定された温度の平均値をもって平均温度とする。通常は、原料充填領域の温度と結晶成長領域の温度の平均値を平均温度とする。
第1の発明の窒化物結晶の製造方法においては、種結晶に前処理を加えておくことができる。前記前処理としては、例えば、種結晶にメルトバック処理を施したり、種結晶の成長結晶成長面を研磨したり、種結晶を洗浄するなどが挙げられる。
第1の発明の窒化物結晶の製造方法においては、オートクレーブを昇温する際に、一定の温度を保持して、種結晶の成長結晶成長面にメルトバック処理を施してもよい。当該メルトバック処理によって、種結晶の成長結晶成長面や、装置中の部材に付着した結晶核を溶解することができる。前記メルトバック処理の条件としては、結晶成長領域(育成域)と原料充填領域(原料域)の平均温度差としては0℃以上が好ましく、10℃以上が更に好ましく、20℃以上が特に好ましい。また、100℃以下が好ましく、80℃以下が更に好ましく、60℃以下が特に好ましい。また、メルトバック処理の際の結晶成長領域の温度としては、500℃以上であることが好ましく、550℃以上であることがより好ましく、600℃以上であることがさらに好ましい。また、650℃以下が好ましく、630℃以下がより好ましい。原料充填領域の温度としては、500℃以上であることが好ましく、550℃以上であることがより好ましく、590℃以上であることがさらに好ましい。また、650℃以下が好ましく、630℃以下がより好ましい。
メルトバック処理時の反応容器内の圧力は、100MPa以上にすることが好ましく、150MPa以上にすることがさらに好ましく、180MPa以上にすることが特に好ましい。また、メルトバック処理の処理時間は、1時間以上が好ましく、5時間以上が更に好ましく、10時間以上が特に好ましい。また、200時間以下が好ましく、100時間以下が更に好ましく、50時間以下が特に好ましい。
前記前処理において、種結晶の表面(窒化物結晶成長面)を研磨するには、例えば、ケミカルメカニカルポリッシング(CMP)等で行うことができる。前記種結晶の表面粗さは、例えば、原子間力顕微鏡によって計測した二乗平均平方根粗さ(Rms)が、メルトバックとそれに続く結晶成長を均等に行うとの観点から、1.0nm以下であることが好ましく、0.5nmが更に好ましく、0.3nmが特に好ましい。
所定の温度に達した後の反応時間については、窒化物結晶の種類、用いる原料、鉱化剤の種類、製造する結晶の大きさや量によっても異なるが、通常、数時間から数百日とすることができる。反応中、反応温度は一定にしてもよいし、徐々に昇温又は降温させることもできる。所望の結晶を生成させるための反応時間を経た後、降温させる。降温方法は特に限定されないが、ヒーターの加熱を停止してそのまま炉内に反応容器を設置したまま放冷してもかまわないし、反応容器を電気炉から取り外して空冷してもかまわない。必要であれば、冷媒を用いて急冷することも好適に用いられる。
反応容器外面の温度、あるいは推定される反応容器内部の温度が所定温度以下になった後、反応容器を開栓する。このときの所定温度は特に限定はなく、通常、−80℃〜200℃、好ましくは−33℃〜100℃である。ここで、反応容器に付属したバルブの配管接続口に配管接続し、水などを満たした容器に通じておき、バルブを開けてもよい。さらに必要に応じて、真空状態にするなどして反応容器内のアンモニア溶媒を十分に除去した後、乾燥し、反応容器の蓋等を開けて生成した窒化物結晶及び未反応の原料や鉱化剤等の添加物を取り出すことができる。
なお、第1の発明の窒化物結晶の製造方法にしたがって窒化ガリウムを製造する場合、前記以外の材料、製造条件、製造装置、工程の詳細については特開2009−263229号公報を好ましく参照することができる。該公開公報の開示全体を本明細書に引用して援用する。
第1の発明の窒化物結晶の製造方法においては、種結晶上に窒化物結晶を成長させた後に、後処理を加えてもよい。前記後処理の種類や目的は特に制限されない。例えば、ピットや転位などの結晶欠陥を容易に観察できるようにするために、育成後の冷却過程で結晶表面をメルトバックしてもよい。
第1の発明の窒化物結晶の製造方法においては、結晶の成長条件に温度や圧力を維持している状態で窒化物結晶原料が完全に溶けてしまうと、成長させた結晶が溶解してしまうおそれがある。結晶成長工程の終了後に窒化物結晶原料は微量に残っていることが好ましいとの観点から、前記窒化物結晶原料の溶解率は、40%〜96%が好ましく、50%〜85%が更に好ましく、70%〜80が特に好ましい。前記溶解率は、(結晶成長工程前に投入した原料−結晶成長工程後に残った原料)/(結晶成長工程前に投入した原料)で求めることができる。
(第2の発明)
本発明の第2の発明は、0.7〜4.5g/cm3の嵩密度を有し、結晶中の酸素濃度が10〜500ppmである窒化物結晶原料を、反応容器の原料充填領域に充填し、反応容器中で超臨界および/または亜臨界状態の溶媒存在下にて窒化物結晶成長を行う。
本発明の第2の発明の窒化物結晶の製造方法(以下、第2の発明の製造方法とも言う)では、酸素濃度が10〜500ppmの窒化物結晶原料を使用して、アモノサーマル法により該窒化物結晶原料から窒化物結晶を製造する。具体的には、第2の発明の製造方法は、酸素濃度が10〜500ppmの窒化物結晶原料を反応容器の原料充填領域に充填して、反応容器中において超臨界および/または亜臨界状態の窒素含有溶媒の存在下で、窒化物結晶の成長を行う成長工程を含む。
以下、第2の発明に用いることができる窒化物結晶原料と、この窒化物結晶原料を用いた窒化物結晶成長方法について説明する。
(結晶原料)
第2の発明では、アモノサーマル法により成長させようとしている窒化物結晶を構成する原子を含む窒化物結晶原料を用いる。例えば、周期表第13族金属の窒化物結晶を成長させようとする場合は、周期表第13族金属を含む原料を用いる。好ましくは第13族窒化物結晶の多結晶原料または単結晶原料を用い、これを第13族原子の金属(メタル)と組み合わせて原料として用いても良い。多結晶原料は、完全な窒化物である必要はなく、条件によっては第13族原子がメタルの状態(ゼロ価)である金属成分を含有しても良い。例えば、成長させる窒化物結晶が窒化ガリウムである場合には、窒化物結晶原料としては、窒化ガリウムと金属ガリウムの混合物が挙げられる。第2の発明で得られる窒化物結晶の種類としては、GaN、InN、AlN、InGaN、AlGaN、AllnGaNなどを挙げることができる。好ましいのはGaN、AlN、AlGaN、AllnGaNであり、より好ましいのはGaNである。よって、窒化物結晶原料としては、前述の結晶の多結晶原料および/またはこれらのメタルを組合せて用いることができる。
(結晶原料の酸素濃度)
第2の発明の窒化物結晶の製造方法は、酸素濃度が10〜500ppmの窒化物結晶原料を使用して、反応容器中において超臨界および/または亜臨界状態の窒素含有溶媒の存在下で、窒化物の結晶成長を行う成長工程を含む。
窒化物結晶原料の酸素濃度は、ドーパントとして十分な量を確保するために10ppm以上であり、15ppm以上であることが好ましく、16ppm以上であることがより好ましく、20ppm以上であることがさらに好ましい。また、窒化物結晶原料の酸素濃度は、不純物の少ない高品質の結晶とするために500ppm以下であり、150ppm以下であることが好ましく、120ppm以下であることが更に好ましく、80ppm以下であることが特に好ましい。窒化物結晶原料の酸素濃度を上記範囲内とすることで、得られる窒化物結晶のキャリア濃度を5×1017〜5×1019atoms/cm3とすることができ、高品質な窒化物結晶を得ることができる。
酸素濃度が10〜500ppmの窒化物結晶原料の製造方法は、特に制限されない。酸素濃度が10〜500ppmの窒化物結晶原料には、通常のHVPE法で製造したものを用いても良く、アモノサーマル法で製造したものを用いても良い。例えば、HVPE法で窒化物結晶原料を製造する場合、反応容器内に水蒸気を混入させ、酸素濃度を適宜調整した窒化物結晶原料を作製することができる。水蒸気には、希釈酸素と水を反応容器内で混合することで作り出されたものを用いることが好ましい。
第2の発明では、以下に述べる関係式を用いて、窒化物結晶原料中の酸素濃度と成長した窒化物結晶中のキャリア濃度の相関関係を明らかにすることができる。これにより、再現性の高い酸素ドーピングが可能になる。
第2の発明では、アモノサーマル法で形成した窒化物結晶の活性化率を以下の式で表すことができる。第2の発明において活性化率とは、ドーパントが窒化物結晶内でキャリアとして機能する割合を示す。
上記式において、ηはドーパント活性化率(単位:%)であり、[CC]はキャリア濃度(単位:cm-3)であり、[D]はドーパント濃度(単位:cm-3)である。通常、キャリア濃度は、得られた結晶についてホール測定、ラマン分光法、C−V特性分析、渦電流を用いた移動度測定などを行うことによって測定することができる。場合によっては、得られた窒化物結晶をアニール処理してキャリアの活性化を行ってからキャリア濃度を測定することが好ましい。また、ドーパント濃度は、得られた窒化物結晶についてSIMSを行って、酸素やSiなどのn型ドーパントとして働き得る原子の濃度を合計することで、決定することができる。ただし、Siやハロゲン元素などの酸素以外のドーパントの結晶中の取り込み量が、酸素に比べてきわめて小さい場合には、代表的なドーパントである酸素の濃度をドーパント濃度として考えることができる。
HVPE法により作製する窒化物結晶においては、酸素をn型ドーパントとして用いる場合、その活性化率がほぼ100%であることが知られている。しかし、アモノサーマル法により得られる窒化物結晶について上記式により算出されるドーパント活性化率はHVPE法で得られた窒化物結晶のように100%とはならず、10〜90%であり、種々の成長条件で得られたアモノサーマル結晶を平均するとドーパント活性化率は約45%となることがわかった。このことにより、アモノサーマル法によって得られる窒化物結晶中にドーピングすべき酸素濃度は、目的とするキャリア濃度の1.1〜10倍の範囲であることが見出された。具体的には得られる窒化物結晶中にドーピングすべき酸素濃度は1.5×1018〜2.5×1019atoms/cm3であることが好ましく、このような量をドーピングするために、窒化物結晶原料に含まれる酸素濃度は10〜500ppmの範囲とすることが好ましい。
第2の発明の製造方法によれば、窒化物結晶原料に含まれる酸素量の40〜60wt%が、得られる窒化物結晶に取り込まれることが好ましく、酸素量の50wt%程度が取り込まれることがより好ましい。窒化物結晶原料から窒化物結晶に取り込まれる酸素量は、結晶成長条件を適宜調整することでコントロールすることができるが、具体的には窒化物結晶中のハロゲン取り込み量が増加すると酸素取り込み量が低減する傾向にある。よって、鉱化剤として用いるハロゲンの量やハロゲン種の比率を適宜変更することによっても調整し得る。
上述した活性化率の算出式から窒化物結晶が所望のキャリア濃度を有するためにドープすべき酸素量を導き出すことができ、さらに、これにより窒化物結晶原料が含有すべき酸素の量を導き出すことができる。
さらに、第2の発明では、窒化物結晶原料中の酸素濃度と結晶中のキャリア濃度の関係は、図3に示される線形近似式により、以下の式で表すことができる。
Y=0.7346X−2×1018
上記式において、Xは窒化物結晶原料中の酸素濃度、Yは得られた窒化物結晶中のキャリア濃度を表し、原料中の酸素濃度から得られた結晶中におけるキャリア濃度を見積もることができる。
第2の発明では、上記の相関関係式を用いることにより、アモノサーマル法において、再現性の高い酸素ドーピングを行うことが可能となる。これにより、半導体デバイスの用途に応じて、様々なキャリア濃度を有する窒化物結晶を容易に製造することができる。
また、第2の発明では、上記の相関関係式を用いることにより、所望のキャリア濃度を有する窒化物結晶の製造条件を確立することができる。これにより、アモノサーマル法において、精密な酸素ドーピングを行うことが可能となり、高品質な窒化物結晶を得ることができる。
さらに、上記の相関関係式を用いることで、目的のキャリア濃度を有する窒化物結晶の生産効率を高めることができる。
第2の発明の製造方法では、窒化物結晶原料に含まれる酸素以外のn型ドーパントの量は、1000ppm以下とすることが好ましく、100ppm以下とすることがより好ましく、10ppm以下とすることがさらに好ましい。窒化物結晶原料を製造する際に、窒化物結晶原料にn型ドーパントは一定量以上混合しないようにすることが好ましい。窒化物結晶原料の酸素以外のn型ドーパントの量を上記上限値以下とすることで、所望のキャリア濃度を有する窒化物結晶を得るための条件設定をより正確に行うことができる。
酸素以外のn型ドーパントとしては、例えば、Si、Ge、Se、S、F、I、Cl、C等が挙げられる。これらのドーパントは、n型ドーパントとして窒化物結晶に添加され、窒化物結晶中でキャリアとなる。Siは窒化ガリウム結晶において、最も一般的に用いられるドーパントである。
酸素は活性化率が高いため、n型ドーパントとして有用である。このため、第2の発明では、窒化物化結晶に目的濃度のキャリアを含有するために酸素をドーピングすることが好ましい。また、窒化物結晶に酸素をドーピングすることで、Siをドーピングした場合に比べて窒化物結晶の加工性を高めることができる。第2の発明では窒化物結晶に酸素をドーピングするために、n型ドーパントであるSiの含有量を一定量以下とすることが好ましい。
第2の発明では、酸素が均一に混合された窒化物結晶原料を用いることが好ましく、これにより得られる窒化物結晶中のキャリア濃度を均一にすることができる。
第2の発明の結晶成長方法では、反応容器内で窒化物結晶原料を溶解させ、それと同時に窒化物結晶を成長させる。窒化物結晶原料に均一に混合された酸素は、溶解される際に徐々に反応容器内に放出され、順次、窒化物結晶に取り込まれる。窒化物結晶原料には酸素は均一に混合されているため、窒化物結晶の成長過程において取り込まれる酸素の量は一定となり、窒化物結晶に含まれるキャリア濃度が均一となる。このように、第2の発明では、主としてドーパント供給源を窒化物結晶原料に限定することによって、窒化物結晶に酸素ドーパントを均一に添加することができる。窒化物結晶が全体として均一なキャリア濃度を有することで、結晶の導電性を安定させることができ、窒化物結晶の品質を高めることができるため好ましい。
アモノサーマル法によって得られた窒化物結晶は、アニール処理を行うことによって、ドーパントを活性化することが好ましい。アニール処理により、窒化物単結晶に含まれるドーパントを活性化してキャリア活性化率を10〜90%とすることができ、加えて移動度も十分に向上させることができる。アニール処理の時間は特に限定されないが、5.5時間以上であることが好ましく、8時間以上であることがより好ましく、10時間以上であることがさらに好ましく、12時間以上であることが特に好ましい。また、300時間以内であることが好ましく、150時間以内であることがより好ましく、120時間以内であることがさらに好ましく、100時間以内であることが特に好ましい。
アニール処理の温度は750℃以上であることが好ましく、800℃以上であることがより好ましく、850℃以上であることがさらに好ましく、900℃以上であることが特に好ましい。また、アニール処理の温度は1250℃以下であることが好ましく、1200℃以下であることがより好ましく、1100℃以下であることがさらに好ましく、1050℃以下であることが特に好ましい。1250℃以下であれば、アニール処理による質量減少を抑えやすい。アニール処理中の温度は一定に維持してもよいし、段階的に変化させてもよいし、連続的に変化させてもよい。また、これらを適宜組み合わせて実施してもよい。
アニール処理は、アンモニア、窒素、酸素、水素からなる群より選択される1つ以上が存在する雰囲気下で行うことが好ましい。好ましいのは少なくとも窒素が存在する雰囲気下で行なう場合である。このときの窒素の割合は50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましい。さらには窒素が100%の雰囲気でも好適に行なうことができる。
(結晶原料の嵩密度)
通常、アモノサーマル法では、反応容器内に窒化物結晶原料を充填する原料充填領域と種結晶を設置しておく結晶成長領域とを設けておき、原料充填領域において窒化物結晶原料を溶解し、結晶成長領域において種結晶上に窒化物結晶を成長させる。このとき、原料充填領域と結晶成長領域には温度差をつけて、原料充填領域において窒化物結晶原料がより溶解し、結晶成長領域において良質な窒化物結晶がより析出しやすくなるように制御することが好ましい。このため、嵩密度が0.7〜4.5g/cm3の範囲にある窒化物結晶原料を用いる。より好ましくは1.5g/cm3以上であり、更に好ましくは1.8g/cm3以上であって、より好ましくは4.0g/cm3以下であり、更に好ましくは3.0g/cm3以下である。このような範囲の嵩密度を有する窒化物結晶原料を単独または組合せて用いることによって、後述する原料充填領域における窒化物結晶原料の溶解性を調整することができるため好ましい。さらに、窒化物結晶原料の溶解性を向上させて均一に溶解を進めることができるので、窒化物結晶原料に含まれる酸素を、得られる窒化物結晶に均一かつ効率的にドープすることができ、良質な窒化物結晶を得ることができるため好ましい。
なお、嵩密度が異なる窒化物結晶原料の各々の「嵩密度」は、適当な容器に窒化物結晶原料を充填し、充填した結晶原料の単位体積あたりの重量を意味し、充填した窒化物結晶原料の重量を該容器の容積で除することにより求めることができる。通常、同一の嵩密度を有するとされる窒化物結晶原料の集合体は、類似した形状を有しており、粒径の最小値に対する最大値が100倍以下となるような集合を、略同等の嵩密度を有する「1種の窒化物結晶原料」と称する。1種の窒化物結晶原料は1粒子あたりの重量のばらつきが小さいことが好ましく、1粒子あたりの重量における標準偏差は使用する反応容器の大きさによって好ましい範囲が異なるが、一般的に8.0以下であることが好ましく、7.0以下であることがより好ましく、6.0以下であることがさらに好ましい。特に、反応容器の直径が26mm程度の場合は平均重量0.6〜1.2g/1粒子であり標準偏差が0.35〜0.48の原料を使用することが好ましい。反応容器の直径が60mm程度の場合は平均重量5.0〜8.5g/1粒子であり標準偏差が5.4以下の原料を使用することが好ましい。反応容器の直径が130mm程度の場合は平均重量5.0〜10.5g/1粒子であり標準偏差が7.0以下の原料を使用することが好ましい。
第2の発明の製造方法においては、嵩密度が0.7〜4.5g/cm3の範囲にある窒化物結晶原料を用いる限りは、1種の窒化物結晶原料を単独で用いても、嵩密度の異なる2種以上の窒化物結晶原料を用いてもよい。均一な溶解性を達成し、得られる窒化物結晶が均一にできることから、1種の窒化物結晶原料を単独で用いることが好ましい。
第2の発明における窒化物結晶原料の嵩密度の具体的な計算例を示す。例えば、内径20mmの円筒状の容器の下部領域に100gのGaN結晶原料を設置し、原料が入った領域の最下端(円筒内部の底面)から最上端までの高さが100mmであった場合の嵩密度は、100g/(314mm2×100mm)で計算することができ、約3.18g/cm3と算出される。また、容器に入れた状態でCTスキャン(コンピュータ断層撮影法)を行うことによっても分析することができる。たとえば、CTスキャンにより原料を充填した容器内の空隙率を測定したところ70%であった。従って、固体容積約30%の重量となるので窒化ガリウムの密度を6.1g/cm3とすると、以下の式でから算出できる。
6.1g/cm3 × 0.3 =1.83 g/cm3 (嵩密度)
第2の発明の製造方法では、反応容器中の原料充填領域における窒化物結晶原料の嵩密度を0.7〜4.5g/cm3の範囲内に制御して充填することにより、溶媒の対流を阻害することなく、原料の溶解速度を向上させて、良質な結晶を効率良く成長させることができるため好ましい。
第2の発明でいう「原料充填領域」は、反応開始前の反応容器の長軸が鉛直方向となるように設置したときに、充填した結晶原料の最下端部を含む水平面と充填した結晶原料の最上端部を含む水平面とで挟まれた反応容器内領域をいう。
原料充填領域における窒化物結晶原料の「嵩密度」は、原料充填領域に充填した窒化物結晶原料の単位体積あたりの重量であり、窒化物結晶原料の重量を原料充填領域の自由容積で除することにより求めることができる。ここでいう原料充填領域の自由容積は、反応容器の原料充填領域の内容積から原料充填領域に存在する結晶原料以外の固体の容積を除いた容積である。そのような固体として、バッフル板や種結晶支持枠を支える支持枠、窒化物結晶原料を設置するための坩堝、バスケットや網状構造体等の構造物を例示することができ、原料充填領域内におけるこれらの体積を除くことにより自由容積を求めることができる。
原料充填領域における窒化物結晶原料の嵩密度は窒化物結晶原料の充填率に換算することが可能である。嵩密度を窒化物結晶原料の比重で除して100倍することにより充填率(単位%)を算出することができる。
原料充填領域における窒化物結晶原料の嵩密度が大きすぎると、結晶原料間に生じる空間の体積が小さくなることにより、溶媒の対流が阻害され原料の溶解速度が低下する。このため、良質な成長結晶を生産性良く成長させることが困難になる。一方、窒化物結晶原料の嵩密度が小さすぎると、結晶原料は十分に溶解できるものの、体積あたりの原料の投入量が少なくなり、十分な量の溶解原料を効率良く結晶成長領域に供給して、速やかに十分なサイズの窒化物結晶を成長させることが困難になる。原料充填領域における窒化物結晶原料の嵩密度は0.7g/cm3以上であることが好ましく、0.8g/cm3以上であることがより好ましく、0.9g/cm3以上であることがそれより好ましく、1.0g/cm3以上であることがさらに好ましく、1.1g/cm3以上であることが特に好ましい。また、原料充填領域における窒化物結晶原料の嵩密度は4.5g/cm3以下であることが好ましく、4.0g/cm3以下であることがより好ましく、3.6g/cm3以下であることがそれより好ましく、3.2g/cm3以下であることがさらに好ましく、3.0g/cm3以下であることが特に好ましい。原料充填領域における窒化物結晶原料の嵩密度を上記範囲とすることで、溶媒の対流を阻害することなく、原料の溶解速度を向上させて、良質な結晶を効率良く成長させることができる。
原料充填領域における窒化物結晶原料の嵩密度は、例えば使用する窒化物結晶原料の粒径、粒径分布、形状などを選択することにより制御することが可能である。すなわち、反応容器内の原料充填領域に窒化物結晶原料を入れたときに、個々の窒化物結晶原料粒子どうしが互いに空隙を持ちながら重なり合いやすい粒径や形状を有する窒化物結晶原料を選択すれば、嵩密度を低くすることができる。例えば、粒径が大きな窒化物結晶原料を用いたり、粒子形状が非対称で不定形である窒化物結晶原料を用いたりすることにより、嵩密度を低くすることが可能である。逆に、反応容器内の原料充填領域に窒化物結晶原料を入れたときに、個々の窒化物結晶原料粒子どうしが互いに密に重なり合いやすい粒径や形状を有する窒化物結晶原料を選択すれば、嵩密度を高くすることができる。例えば、粒径が小さな窒化物結晶原料を用いたり、粒径が大きな窒化物結晶原料とその間隙に入り込むような小さな粒径の窒化物結晶原料を組み合わせて用いたり、密に充填しやすい粒子形状を持つ均一な窒化物結晶原料を用いたりすることにより、嵩密度を高くすることが可能である。
原料充填領域における窒化物結晶原料の嵩密度は、原料充填領域に結晶原料を入れた後に、エネルギーを与えることにより制御することもできる。例えば、原料充填領域に結晶原料を入れた後に、振動を与えたり、反応容器を回転させたり、攪拌棒や回転羽根を用いて充填した結晶原料を混ぜたりすることにより嵩密度を制御することができる。振動は、反応容器を直接揺動することにより与えても良いし、超音波などの非接触手段により与えても良い。
原料充填領域における結晶原料の嵩密度は、原料充填領域に構造物を設置することによって制御することも可能である。構造物としては、例えば、溶媒を通過させることができるが、結晶原料は通過させない網状構造体を好ましく採用することができる。そのような網状構造体によって、原料充填領域における結晶原料の存在域を制限することにより、嵩密度を制御することができる。すなわち、結晶原料の存在域を狭い領域に制限し、結晶原料が存在できない領域を広く確保することにより、嵩密度を低く制御することができる。例えば、原料充填領域よりも容積が小さな網状構造体の中に結晶原料を充填したうえで、これを原料充填領域に入れることにより、嵩密度を小さくすることができる。
また、逆に結晶原料を充填していない中空の網状構造体を原料充填領域に設置することにより、嵩密度を制御しても良い。例えば、そのような網状構造体を結晶原料と混合して原料充填領域に充填することができる。このとき両者の混合割合を調整すれば嵩密度を制御することができる。網状構造体は、予め原料充填領域に固定しておいても構わない。また、このような種々の態様の網状構造体は複数個使用しても良い。さらに、溶媒を通過させることができるような、網状でない構造物を採用することも可能である。
(窒化物結晶原料の粒径)
第2の発明で用いる窒化物結晶原料の粒径は、嵩密度の調整のし易さや、取り扱いのし易さ等の面から反応容器のサイズによって好ましい範囲が異なる。具体的には、反応容器のサイズがより大きくなれば、窒化物結晶原料の粒径もより大きくて構わない。例えば、直径が26mm程度または30mm程度の反応容器を用いる場合の粒径は、最大径が0.5μm以上であるものを用いることが好ましく、1μm以上であるものを用いることがより好ましく、10μm以上であるものを用いることがさらに好ましく、また、20mm以下であるものを用いることが好ましく、15mm以下であるものを用いることがより好ましく、10mm以下であるものを用いることがさらに好ましい。また、例えば直径が60mm程度の反応容器を用いる場合の粒径は、最大径が0.5μm以上であるものを用いることが好ましく、1μm以上であるものを用いることがより好ましく、10μm以上であるものを用いることがさらに好ましく、また、50mm以下であるものを用いることが好ましく、30mm以下であるものを用いることがより好ましく、20mm以下であるものを用いることがさらに好ましい。
また、例えば直径が130mm程度の反応容器を用いる場合の粒径は、最大径が0.5μm以上であるものを用いることが好ましく、1μm以上であるものを用いることがより好ましく、10μm以上であるものを用いることがさらに好ましく、また、120mm以下であるものを用いることが好ましく、60mm以下であるものを用いることがより好ましく、30mm以下であるものを用いることがさらに好ましい。
第2の発明で用いる窒化物結晶原料は、窒化物結晶原料粒子が凝集してなる構造を有するものを使用することが好ましい。具体的には、2次粒子が凝集してなる3次粒子を用いることが好ましい。2次粒子の粒径は100μm以上であることが好ましく、200μm以上であることがより好ましく、300μm以上であることがさらに好ましい。また、1000μm以下であることが好ましく、900μm以下であることがより好ましく、800μm以下であることがさらに好ましい。3次粒子の粒径は1mm以上であることが好ましく、5mm以上であることがより好ましく、10mm以上であることがさらに好ましく、また、120mm以下であることが好ましく、60mm以下であることがより好ましく、50mm以下であることがそれより好ましく、30mm以下であることがさらに好ましく、20mm以下であることが特に好ましい。2次粒子の粒径は光学顕微鏡等で計測することが可能である。3次粒子のように1mm以上であれば、目視で確認が可能であるので、例えばノギスや物差し等により計測することができる。また、2次粒子が凝集してなる3次粒子については、3次粒子の最大径が、上述の窒化物結晶原料の「粒径」と一致する。
なお、上述の窒化物結晶原料粒子が凝集してなる構造を有する窒化物結晶において、1次粒子はナノ単位の単結晶を意味しており、これらの単結晶が互いに凝集・結合して多結晶である二次粒子を構成する。通常、1次粒子は互いに結合して一体化しているため粒子として判別することができない。さらに、本発明で用いる窒化物結晶原料の形状が、後述するように珊瑚状である場合、粒子の最大径は、表面の突起部分を含めて求める。
第2の発明で用いる窒化物結晶原料の粒径分布については、粒径が0.01μm以上の結晶原料が、結晶原料全体の体積の20%以上、より好ましくは30%以上を占めることが結晶原料間の隙間が十分に空き、溶媒の対流が可能となるために好ましい。また、粒径が1.0mm以上の窒化物結晶原料が、窒化物結晶原料全体の体積の10%以上、より好ましくは30%以上、さらに好ましくは50%以上、特に好ましくは80%以上を占めることが窒化物結晶原料間の隙間が十分に空き、溶媒の対流が可能となるために好ましい。
(窒化物結晶原料の形状)
第2の発明で用いる窒化物結晶原料の形状は、球状、断面が楕円である粒状、板状、直方形状、三角形状、珊瑚状(表面に凹凸があり表面積が大きくなった状態をいう)であっても良い。溶媒の対流を大きく阻害しないよう結晶原料間に一定の空隙が設けられていることが好ましい。また、嵩密度の調整が容易となるため、楕円粒状、直方形状、三角形状、珊瑚状、金平糖状であることがより好ましい。第2の発明で用いる窒化物結晶原料の形状は、第1の発明におけるものと同様のものが挙げられる。
第2の発明で用いる窒化物結晶原料としては、その表面に溶媒に溶解しやすい面が出現しており、溶媒に溶解しにくい面が出現していないものを用いることが好ましい。例えば、アモノサーマル法によりアンモニア溶媒を用いてGaN結晶を成長させる場合は、+C面(Ga面)とM面がアンモニア溶媒に比較的溶けにくいため、これら以外の面が出現している原料を使用することが好ましい。
(アモノサーマル法による結晶成長)
第2の発明の製造方法では、原料充填領域に結晶原料を充填した後に、アモノサーマル法により窒化物結晶を製造する。
アモノサーマル法とは、超臨界状態および/または亜臨界状態にあるアンモニア溶媒などの窒素を含有する溶媒と、結晶原料の溶解−析出反応を利用して所望の窒化物単結晶を製造する方法である。結晶成長は、アンモニアなどの溶媒への結晶原料溶解度の温度依存性を利用して、温度差により過飽和状態を発生させて結晶を析出させることにより行う。
第2の発明の製造方法によれば、速い成長速度で、原料利用効率良く、高い品質を有する窒化物結晶を効率良く製造することができる。第2の発明によれば、c軸方向の成長速度として、100μm/day以上を達成することができ、さらには300μm/day以上を達成することができ、さらになお600μm/day以上を達成することができる。また、m軸方向の成長速度として、30μm/day以上を達成することができ、さらには100μm/day以上を達成することができ、さらになお300μm/day以上を達成することができる。さらに、a軸方向の成長速度として、50μm/day以上を達成することができ、さらには600μm/day以上を達成することができ、さらになお1500μm/day以上を達成することができる。
(鉱化剤)
第2の発明では、アモノサーマル法による窒化物結晶を成長させる際に、鉱化剤を用いることが好ましい。鉱化剤は、アンモニアなどの窒素を含有する溶媒に対する結晶原料の溶解度を向上させるために用いられる。前記鉱化剤としては第1の発明に記載のものと同様のものを使用することができ、好ましい態様についても同様である。
第2の発明の製造方法では、成長させる窒化物結晶に不純物が混入するのを防ぐために、必要に応じて鉱化剤は精製、乾燥してから使用することが好ましい。鉱化剤の純度は、通常は95%以上、好ましくは99%以上、さらに好ましくは99.99%以上である。
窒化物原料以外からの酸素の供給を低減するために、鉱化剤に含まれる水や酸素の量はできるだけ少ないことが望ましく、これらの含有量は1000ppm以下であることが好ましく、10ppm以下であることがより好ましく、1ppm以下であることがさらに好ましい。
反応容器内の雰囲気から水や酸素を除去する為には、反応容器内を封止した後に200℃以上に加熱して部材表面に付着した水分を水蒸気としてポンプ等にて1×10-7Paまで脱気する方法が考えられる。さらに、鉱化剤を高純度ガスで導入する方法も考えられる。また、予め露点が0℃以下の乾燥雰囲気中で部材や原料を保管して、その中で反応容器および反応容器内に配置する部材や原料などを組み立てる方法もある。
(溶媒)
第2の発明の製造方法に用いられる溶媒には、窒素を含有する溶媒を用いることができる。前記溶媒としては第1の発明に記載のものと同様のものを使用することができ、好ましい態様についても同様である。
窒化物原料以外からの酸素の供給を低減するために、溶媒に含まれる水や酸素の量はできるだけ少ないことが望ましく、これらの含有量は1000ppm以下であることが好ましく、10ppm以下であることがより好ましく、0.1ppm以下であることがさらに好ましい。アンモニアを溶媒として用いる場合、その純度は通常99.9%以上であり、好ましくは99.99%以上であり、さらに好ましくは99.999%以上であり、特に好ましくは99.9999%以上である。
(反応容器および設置部材)
第2の発明の窒化物結晶の成長工程は、反応容器中で実施される。「反応容器」とは、超臨界および/または亜臨界状態の溶媒の存在下で窒化物結晶の製造を行うための容器を意味し、耐圧性容器内部の構造そのものや、耐圧性容器内に設置されるカプセルなどを好ましい例として挙げることができる。第2の発明で用いる反応容器としては、特表2003−511326号公報(国際公開第01/024921号パンフレット)や特表2007−509507号公報(国際公開第2005/043638号パンフレット)に記載されるように、反応容器の外から反応容器とその内容物にかける圧力を調整する機構を備えたオートクレーブであっても良いし、そのような機構を有さないオートクレーブであっても良い。
反応容器は、窒化物結晶を成長させるときの高温高圧条件に耐え得るもの中から選択することが好ましい。高温強度が高く耐食性を有する材料で構成されているものが好ましく、特にアンモニア等の溶媒に対する耐食性に優れたNi系の合金、ステライト(デロロ・ステライト・カンパニー・インコーポレーテッドの登録商標)等のCo系合金で構成されているものが好ましい。より好ましくはNi系の合金であり、具体的には、Inconel625(Inconelはハンティントン アロイズ カナダ リミテッドの登録商標、以下同じ)、Nimonic90(Nimonicはスペシャル メタルズ ウィギン リミテッドの登録商標、以下同じ)、RENE41(Teledyne Allvac, Incの登録商標)、Inconel718(Inconelはハンティントン アロイズ カナダ リミテッドの登録商標)、ハステロイ(Haynes International,Incの登録商標)、ワスパロイ(United Technologies,Inc.の登録商標)が挙げられる。
これらの合金の組成比率は、系内の溶媒の温度や圧力条件、および系内に含まれる鉱化剤およびそれらの反応物との反応性および/または酸化力・還元力、pH等の条件に従い、適宜選択すればよい。これら耐圧性容器に用いられる合金の耐腐食性は高いとはいえ、結晶品質に影響を全く及ぼさないほどに高い耐食性を有しているわけではない。これら合金は超臨界溶媒雰囲気、特に鉱化剤を含有するより厳しい腐食環境下においてはNi、Cr、Feなどの成分が溶液中に溶け出し結晶中に取り込まれることとなる。これらは得られる結晶のキャリア濃度に影響する可能性もあるため、できるだけこれらの不純物の取り込みを低減することが好ましい。したがって第2の発明では、これら耐圧性容器の内面腐食を抑制するために、内面を更に耐食性に優れる材料によって直接ライニングまたはコーティングする方法や、更に耐食性に優れる材料からなるカプセルを耐圧性容器内に配置する方法などにより反応容器を形成することが好ましい。
反応容器は、反応容器内に設置部材を有する。設置部材とは、反応容器の内部に含まれる部材の総称を意味する。設置部材としては、例えば、ワイヤー、バッフル板、種結晶支持枠を支える支持枠、窒化物結晶原料を設置するための坩堝、バスケットや網状構造体等の構造物が挙げられる。
反応容器および設置部材は、特にn型ドーパントが表面に露出しない構造を有することが好ましい。n型ドーパントが表面に露出しないように、反応容器および設置部材をn型ドーパントの含有量が少ない構成材で形成しても良く、反応容器および設置部材の表面をコーティングまたはライニングしても良い。n型ドーパントが表面に露出しないようにすることで、窒化物結晶原料由来ではないドーパントが成長工程で窒化物結晶に取り込まれることを防ぐことができる。
反応容器および設置部材をn型ドーパントの含有量が少ない構成材で形成する場合、反応容器および設置部材は、n型ドーパントの含有量が1000ppm以下の構成材で形成されているものが好ましい。構成材のn型ドーパントの量は1000ppm以下であれば良く、100ppm以下であることがより好ましく、10ppm以下であることがさらに好ましい。
また、反応容器および設置部材の表面をコーティングまたはライニングする場合は、n型ドーパントの量が1000ppm以下のコーティング材またはライニング材でコーティングされていることが好ましい。コーティング材またはライニング材のn型ドーパントの量は1000ppm以下であれば良く、100ppm以下であることがより好ましく、10ppm以下であることがさらに好ましい。n型ドーパントの量を上記上限値以下とすることで、所望のキャリア濃度を有する窒化物結晶を得るための条件設定をより正確に行うことができる。
前記反応容器および設置部材の構成材、ライニング材およびコーティング材に求められる性能として、アモノサーマル法における結晶成長雰囲気中での溶解速度が低い事が求められる。溶解速度は3×10-2wt%/日以下であれば良く、さらに3×10-3wt%/日以下が好ましい。
反応容器および設置部材を形成する構成材およびコーティング材は、白金族または白金族合金を含むことが好ましい。
白金族としては、Pt、Au、Ir、Ru、Rh、Pd、Agが挙げられる。白金族合金は、これらの貴金属を主成分とする合金のことを言う。白金族合金の中でも優れた耐食性を有するPtまたはPtおよびIrを含む合金を用いることが好ましい。
また、反応容器の内壁を白金族または白金族合金とする場合や、反応容器および設置部材の表面を白金族または白金族合金でコーティングする場合は、コーティング材はPtおよびGaを含む合金を用いることが好ましく、さらにIrを含む合金を用いることが好ましい。これらの白金族を含有する合金は、コーティングに適しており、優れた耐食性を持たせることができる。
合金中のIr含有率は合金の全体重量の30重量%以下であることが好ましく、25重量%以下であることがより好ましい。Ir含有率を上記上限値以下とすることにより、反応容器に優れた耐食性を持たせることができる。
ライニング材としては、Pt、Ir、Ag、Pd、Rh、Cu、AuおよびCのうち少なくとも一種類以上の金属または元素、もしくは、少なくとも一種類以上の金属を含む合金または化合物を用いることができる。ライニングをより行いやすくするために、より好ましくは、Pt、Ag、CuおよびCのうち少なくとも一種類以上の金属または元素、もしくは、少なくとも一種類以上の金属を含む合金または化合物を用いることができる。ライニング材としては、例えば。Pt単体、Pt−Ir合金、Ag単体、Cu単体やグラファイトなども挙げられる。
反応容器および設置部材は、耐圧性と耐食性を有することが好ましい。反応容器および設置部材の耐食性をより向上させるために、白金族または白金族合金の優れた耐食性を利用することが好ましい。反応容器および設置部材は、それ自体の材質を白金族または白金族合金とすることもできるし、反応容器の内壁を白金族または白金族合金とすることもできる。
さらに、反応容器は耐圧性容器であることが好ましい。特に、反応容器の内壁を白金族または白金族合金とする場合や、反応容器および設置部材の表面を白金族または白金族合金でコーティングまたはライニングする場合は、反応容器を形成する他の素材で耐圧性を確保することが好ましい。
白金族以外で耐圧性と耐食性を有する材料としてはTi、W、Ni、Mo、Ru、Nbやその合金を使用することができる。好ましくは、Mo、W、Tiである。
(製造装置)
第2の発明の窒化物結晶の製造方法に用いることのできる結晶製造装置は、第1の発明に記載のものと同様のものを使用することができ、好ましい態様についても同様である。
(製造工程)
第2の発明の窒化物結晶の製造方法の一例について説明する。第2の発明の窒化物結晶の製造方法を実施する際には、まず、反応容器内に、種結晶、窒素を含有する溶媒、原料、および鉱化剤を入れて封止する。ここで、種結晶としては、主面の面方位は特に限定されないが、C面を主面として成長させた結晶を所望の方向に切り出すことによって、主面が非極性面または半極性面となる基板を得ることができる。これによって、M面などの非極性面、(10−11)、(20−21)などの半極性面を有する種結晶を得ることができる。
第2の発明の製造工程においては、前記窒化物結晶原料、鉱化剤、バッフル板や種結晶などの材料を反応容器内に導入するのに先だって、ドーパント源隔離工程をさらに設けることが好ましい。ドーパント源隔離工程とは、反応容器中に存在する酸素、酸化物または水蒸気を除去する工程をいう。また、ドーパント源隔離工程には、反応容器や反応容器内に設置される各種の部材のうち酸素、酸化物または水蒸気を含有する部材の表面をコーティングまたはライニングする工程が含まれる。部材の表面をコーティングまたはライニングすることによって、ドーパントが露出し、窒化物結晶に取り込まれることを防ぐことができる。
第2の発明において、意図しないドーピングは、窒化物結晶原料由来以外のn型ドーパントが窒化物結晶に取り込まれることで起こる。第2の発明では、成長工程の前にドーパント源隔離工程を設けることで、意図しないドーピングを抑制することができる。
反応容器中に存在する酸素、酸化物または水蒸気を除去するには、反応容器中に窒化物結晶原料を充填した後に、反応容器中を真空状態とすることや、反応容器中に不活性化ガスを満たす方法を採用することができる。また、反応容器や反応容器に包含される各種の部材を乾燥させることによっても酸素、酸化物または水蒸気を除去することができる。
材料の導入時には、窒素ガスなどの不活性ガスを流通させてもよい。通常は、反応容器内への種結晶の設置は、窒化物結晶原料および鉱化剤を充填する際に同時または充填後に行う。種結晶は、反応容器内表面を構成する貴金属と同様の貴金属製の治具に固定することが好ましい。種結晶の設置後には、必要に応じて加熱脱気をしても良い。
図1に示す製造装置を用いる場合は、反応容器であるカプセル20内に種結晶7、窒素を含有する溶媒、原料、および鉱化剤を入れて封止した後に、カプセル20をオートクレーブ(耐圧性容器)1内に装填し、好ましくは耐圧性容器と該反応容器の間の空隙に第2溶媒を充填して耐圧性容器を密閉する。
その後、全体を加熱して反応容器内を超臨界状態または亜臨界状態とする。超臨界状態では一般的には、物質の粘度が低く、液体よりも容易に拡散されるが、液体と同様の溶媒和力を有する。亜臨界状態とは、臨界温度近傍で臨界密度とほぼ等しい密度を有する液体の状態を意味する。例えば、原料充填部では、超臨界状態として原料を溶解し、結晶成長部では亜臨界状態となるように温度を変化させて超臨界状態と亜臨界状態の原料の溶解度差を利用した結晶成長も可能である。
超臨界状態にする場合、反応混合物は、一般に溶媒の臨界点よりも高い温度に保持される。アンモニア溶媒を用いた場合、臨界点は臨界温度132℃、臨界圧力11.35MPaであるが、反応容器の容積に対する充填率が高ければ、臨界温度以下の温度でも圧力は臨界圧力を遥かに越える。第2の発明において「超臨界状態」とは、このような臨界圧力を越えた状態を含む。反応混合物は、一定の容積の反応容器内に封入されているので、温度上昇は流体の圧力を増大させる。一般に、T>Tc(1つの溶媒の臨界温度)およびP>Pc(1つの溶媒の臨界圧力)であれば、流体は超臨界状態にある。
超臨界条件では、窒化物結晶の十分な成長速度が得られる。反応時間は、特に鉱化剤の反応性および熱力学的パラメータ、すなわち温度および圧力の数値に依存する。窒化物結晶の合成中あるいは成長中、反応容器内の圧力は結晶性および生産性の観点から、30MPa以上にすることが好ましく、60MPa以上にすることがより好ましく、100MPa以上にすることがさらに好ましい。また、反応容器内の圧力は安全性の観点から、700MPa以下にすることが好ましく、500MPa以下にすることがより好ましく、350MPa以下にすることがさらに好ましく、300MPa以下にすることが特に好ましい。圧力は、温度および反応容器の容積に対する溶媒体積の充填率によって適宜決定される。本来、反応容器内の圧力は、温度と充填率によって一義的に決まるものではあるが、実際には、原料、鉱化剤などの添加物、反応容器内の温度の不均一性、および自由容積の存在によって多少異なる。
反応容器内の温度範囲は、結晶性および生産性の観点から、下限値が320℃以上であることが好ましく、370℃以上であることがより好ましく、450℃以上であることがさらに好ましい。上限値は、安全性の観点から、700℃以下であることが好ましく、650℃以下であることがより好ましく、630℃以下であることがさらに好ましい。第2の発明の窒化物結晶の製造方法では、反応容器内における原料充填領域の温度が、結晶成長領域の温度よりも高いことが好ましい。温度差(|ΔT|)は、結晶性および生産性の観点から、5℃以上であることが好ましく、10℃以上であることがより好ましく、100℃以下であることが好ましく、90℃以下であることがより好ましく、80℃以下が特に好ましい。反応容器内の最適な温度や圧力は、結晶成長の際に用いる鉱化剤や添加剤の種類や使用量等によって、適宜決定することができる。
反応容器内の温度範囲、圧力範囲を達成するための反応容器への溶媒の注入割合、すなわち充填率は、反応容器の自由容積、すなわち、反応容器に結晶原料、および種結晶を用いる場合には、種結晶とそれを設置する構造物の体積を反応容器の容積から差し引いて残存する容積、またバッフル板を設置する場合には、さらにそのバッフル板の体積を反応容器の容積から差し引いて残存する容積の溶媒の沸点における液体密度を基準として、通常20〜95%、好ましくは30〜80%、さらに好ましくは40〜70%とする。反応容器として図1のようなカプセル20を用いる場合には、溶媒の超臨界状態においてカプセル20内外で圧力がバランスするように、溶媒量を適宜調整することが好ましい。
反応容器内での窒化物結晶の成長は、熱電対を有する電気炉などを用いて反応容器を加熱昇温することにより、反応容器内をアンモニア等の溶媒の亜臨界状態または超臨界状態に保持することにより行われる。加熱の方法、所定の反応温度への昇温速度に付いては特に限定されないが、通常、数時間から数日かけて行われる。必要に応じて、多段の昇温を行ったり、温度域において昇温スピードを変えたりすることもできる。また、部分的に冷却しながら加熱したりすることもできる。
なお、上述したの「反応温度」は、反応容器の外面に接するように設けられた熱電対、および/または外表面から一定の深さの穴に差し込まれた熱電対によって測定され、反応容器の内部温度へ換算して推定することができる。これら熱電対で測定された温度の平均値をもって平均温度とする。通常は、原料充填領域の温度と結晶成長領域の温度の平均値を平均温度とする。
第2の発明の窒化物結晶の製造方法においては、種結晶に前処理を加えておくことができる。前処理としては、例えば、種結晶にメルトバック処理を施したり、種結晶の成長結晶成長面を研磨したり、種結晶を洗浄するなどが挙げられる。
第2の発明の窒化物結晶の製造方法においては、オートクレーブを昇温する際に、一定の温度を保持して、種結晶の成長結晶成長面にメルトバック処理を施しても良い。当該メルトバック処理によって、種結晶の成長結晶成長面や、装置中の部材に付着した結晶核を溶解することができる。前記メルトバック処理の条件、圧力、処理時間としては、上述した第1の発明と同様の説明を適用できる。
前処理において、結晶成長し得る種結晶の表面を研磨するには、例えば、ケミカルメカニカルポリッシング(CMP)等で行うことができる。種結晶の表面粗さは、例えば、原子間力顕微鏡によって計測した二乗平均平方根粗さ(Rms)が、メルトバックとそれに続く結晶成長を均等に行うとの観点から、1.0nm以下であることが好ましく、0.5nmが更に好ましく、0.3nmが特に好ましい。
所定の温度に達した後の反応時間についても、窒化物結晶の種類、用いる原料、鉱化剤の種類、製造する結晶の大きさや量によっても異なるが、通常、数時間から数百日とすることができる。反応中、反応温度は一定にしても良いし、徐々に昇温または降温させることもできる。所望の結晶を生成させるための反応時間を経た後、反応温度を降温させる。降温方法は特に限定されないが、ヒーターの加熱を停止してそのまま炉内に反応容器を設置したまま放冷してもかまわないし、反応容器を電気炉から取り外して空冷してもかまわない。必要であれば、冷媒を用いて急冷することも好適に用いられる。
反応容器外面の温度、あるいは推定される反応容器内部の温度が所定温度以下になった後、反応容器を開栓する。このときの所定温度は特に限定はなく、通常、−80℃〜200℃、好ましくは−33℃〜100℃である。ここで、反応容器に付属したバルブの配管接続口に配管接続し、水などを満たした容器に通じておき、バルブを開けても良い。さらに必要に応じて、真空状態にするなどして反応容器内のアンモニア溶媒を十分に除去した後、乾燥し、反応容器の蓋等を開けて生成した窒化物結晶および未反応の原料や鉱化剤等の添加物を取り出すことができる。
なお、第2の発明の窒化物結晶の製造方法にしたがって窒化ガリウムを製造する場合、前記以外の材料、製造条件、製造装置、工程の詳細については特開2009−263229号公報を好ましく参照することができる。該公開公報の開示全体を本明細書に引用して援用する。
第2の発明の窒化物結晶の製造方法においては、種結晶上に窒化物結晶を成長させた後に、後処理を加えても良い。後処理の種類や目的は特に制限されない。例えば、ピットや転位などの結晶欠陥を容易に観察できるようにするために、育成後の冷却過程で結晶表面をメルトバックしても良い。
(窒化物結晶)
第2の発明に係る窒化物結晶は、上述した製造方法によって得ることができる。第2の発明で得られた窒化物結晶の酸素濃度は1.5×1018〜2.5×1019atoms/cm3であり、下記式で求められるドーパント活性化率ηは10〜90%である。
窒化物結晶の酸素濃度として好ましくは2×1018atoms/cm3以上であり、より好ましくは2.5×1018atoms/cm3以上であって、好ましくは2×1019atoms/cm3以下であり、より好ましくは1.5×1019atoms/cm3以下である。また、ドーパント活性化率ηは、好ましくは20%以上であり、より好ましくは30%以上であって、好ましくは85%以下であり、より好ましくは80%以下である。
上式において、ηはドーパント活性化率(単位:%)であり、[CC]はキャリア濃度(単位:cm-3)であり、[D]はドーパント濃度(単位:cm-3)を示す。
また、第2の発明で得られた窒化物結晶のキャリア濃度は、5×1017〜2×1019atoms/cm3である。キャリア濃度が5×1017〜2×1019atoms/cm3の範囲内となることで、適切な導電性を示す窒化物結晶を得ることができる。キャリア濃度として好ましくは8×1017atoms/cm3以上であり、より好ましくは1×1018atoms/cm3以上であって、好ましくは1.5×1019atoms/cm3以下であり、より好ましくは1×1019atoms/cm3以下である。
さらに、第2の発明で得られた窒化物結晶のSi濃度は、1.5×1016atoms/cm3以下である。好ましくは、1×1016atoms/cm3以下が良い。窒化物結晶のSi濃度を上記範囲とすることにより、結晶全体の歪みを抑制する事によりクラックによる歩留まり低下を抑制することができる。Si濃度として好ましくは1×1016atoms/cm3以下であり、より好ましくは2×1015atoms/cm3以下である。
第2の発明で得られた窒化物結晶のハロゲン含有量が増えるとキャリアの活性率が低くなるので、低濃度でコントロールする事が好ましい。ハロゲン元素としては、たとえば、F、Cl、Br、Iを挙げることができる。
得られた窒化物結晶のFの濃度は、好ましくは1×1018atoms/cm3以下であり、より好ましくは5×1017atoms/cm3以下である。Clの濃度は、好ましくは1×1019atoms/cm3以下であり、より好ましくは3×1018atoms/cm3以下である。Brの濃度は、好ましくは1×1017atoms/cm3以下であり、より好ましくは1×1016atoms/cm3以下である。Iの濃度は、好ましくは1×1017atoms/cm3以下であり、より好ましくは3×1015atoms/cm3以下である。
第2の発明の窒化物結晶の製造方法においては、結晶の成長条件に温度や圧力を維持している状態で窒化物結晶原料が完全に溶けてしまうと、成長させた結晶が溶解してしまうおそれがあることから、結晶成長工程の終了後に窒化物結晶原料は微量に残っていることが好ましいとの観点から、前記窒化物結晶原料の溶解率は、40%〜96%が好ましく、50%〜85%が更に好ましく、70%〜80%が特に好ましい。前記溶解率は、(結晶成長工程前に投入した原料−結晶成長工程後に残った原料)÷結晶成長工程前に投入した原料で求めることができる。
<窒化物結晶>
本発明(第1〜第2の発明)の窒化物結晶は、本発明の窒化物結晶の製造方法により製造されることを特徴とする。
(ウエハ)
本発明(第1〜第2の発明)の窒化物結晶の製造方法により成長させた窒化物結晶層を所望の方向に切り出すことにより、任意の結晶方位を有するウエハ(半導体基板)を得ることができる。本発明の製造方法によって厚くて大口径のM面を有する窒化物結晶を製造した場合は、m軸に垂直な方向に切り出すことにより、大口径のM面ウエハを得ることができる。また、本発明の製造方法によって大口径の半極性面を有する窒化物結晶を製造した場合は、半極性面に平行に切り出すことにより、大口径の半極性面ウエハを得ることができる。これらのウエハも、均一で高品質であるという特徴を有する。
(デバイス)
本発明(第1〜第2の発明)の窒化物結晶やウエハは、デバイス、即ち発光素子や電子デバイスなどの用途に好適に用いられる。本発明の窒化物結晶やウエハが用いられる発光素子としては、発光ダイオード、レーザーダイオード、それらと蛍光体を組み合わせた発光素子などを挙げることができる。また、本発明の窒化物結晶やウエハが用いられる電子デバイスとしては、高周波素子、高耐圧高出力素子などを挙げることができる。高周波素子の例としては、トランジスター(HEMT、HBT)があり、高耐圧高出力素子の例としては、サイリスター(IGBT)がある。本発明の窒化物結晶やウエハは、均一で高品質であるという特徴を有することから、前記のいずれの用途にも適している。中でも、均一性が高いことが特に要求される電子デバイス用途に適している。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[調製例1]
<実施例1,実施例3、実施例6、および実施例8で使用する窒化物結晶原料の調製>
実施例1,実施例3、実施例6、および実施例8において前記窒化物結晶の製造方法の原料として使用するGaN多結晶の嵩密度を以下の方法で制御した。
ハイドライド気相成長(HVPE)法により、種結晶を用いずに製造した珊瑚状のGaN多結晶(3次粒子の最大径0.5〜50mm)を、GaN多結晶同士を互いに衝突させることにより3次粒子の最大径0.5mm〜20mmになるまで粉砕して、その嵩密度を制御した。このときの粉砕は、大気ガス雰囲気下、相対湿度50%以下の環境下で、約26℃にてGaN多結晶を互いに衝突させて粉砕する方法で行った。なお、粉砕されたGaN多結晶も、珊瑚状の形状を維持していた。
また、光学顕微鏡によって観察したところ、得られたGaN多結晶は0.5〜1mmの最大径を有する2次粒子が凝集してなる、0.5〜20mmの最大径を有する3次粒子であることがわかった。また、3次粒子の粒径の分布としては、0.1〜1.0mmの粒子が1.7質量%であり、1.0〜20mmの粒子が98.3質量%であった。得られたGaN多結晶原料の嵩密度は、1.8g/cm3であった。
<実施例1>
RENE41製オートクレーブ1(内容積約345cm3)を耐圧性容器として用い、Pt−Ir製カプセル20を反応容器として結晶成長を行った。Pt−Ir製カプセルの内径は2.5cmであった。カプセルへの充填作業は十分に乾燥した窒素雰囲気グローブボックス内にて行った。原料8として調製例1にて得られたGaN多結晶130.36gを秤量し、バッルフ板と種結晶支持枠を支えるためのPt製網状構造体(不図示。30.4g、体積1.39cm3)と共にカプセル下部領域(原料充填領域9)内に設置した。このとき、GaN多結晶が入った領域の最下端(カプセル下部)から最上端までの高さは約15cmであった。また、Pt構造物は約3分の2がGaN多結晶原料が入った領域に埋もれた状態であった。以上より、反応容器の原料充填領域におけるGaN多結晶の嵩密度は(GaN多結晶粒子重量130.36g)/((カプセル内円面積4.9cm2)×(高さ15cm)−(Pt構造物の体積1.39cm3×2/3))で計算され、約1.8g/cm3であった。なお、使用した多結晶のサイズは1辺が0.5〜20mmで珊瑚形状であった。
なお、上記にて使用したGaN多結晶原料の酸素濃度をCAMECA社製Ims−4fを用いたSIMSによって測定したところ、4.6×1018cm-3であることがわかった。
次に下部の原料充填領域9と上部の結晶成長領域6の間に白金製のバッフル板5を設置した。種結晶7としてHVPE法により成長した六方晶系GaN単結晶のC面ウェハーとM面ウェハーを用いた。これら種結晶7を直径0.4mmの白金ワイヤーにより白金製種結晶支持枠に吊るし、カプセル上部の結晶成長領域6に設置した。
つぎにカプセル20の上部にPt−Ir製のキャップを接続したのち、重量を測定した。キャップ上部に付属したチューブに図1のバルブ10と同様のバルブを接続し、真空ポンプ11に通ずるようバルブを設置し真空脱気した。その後バルブを窒素ボンベ13に通ずるように操作しカプセル内を窒素ガスにてパージを行った。前記真空脱気、窒素パージを5回行った後、真空ポンプに繋いだ状態で加熱をしてカプセル内の水分や付着ガスの脱気を行なった。つづいて酸性鉱化剤としてHClガスを流量制御に基づきアンモニアに対する濃度が3mol%になるように液体窒素温度にて充填した。次にNH3を充填した後、カプセル20を密封した。
続いてバルブ10が装着されたオートクレーブにカプセルを挿入した後に蓋を閉じ、オートクレーブ1の重量を計測した。次いでオートクレーブに付属したバルブ10を介して導管を真空ポンプ11に通じるように操作し、バルブを開けて真空脱気した。カプセルと同様に窒素ガスパージを複数回行った。その後、真空状態を維持しながらオートクレーブ1をドライアイスエタノール溶媒によって冷却し、一旦バルブ10を閉じた。次いで導管をNH3ボンベ12に通じるように操作した後、再びバルブ10を開け連続して外気に触れることなくNH3をオートクレーブ1に充填した後、再びバルブ10を閉じた。オートクレーブ1の温度を室温に戻し、外表面を十分に乾燥させオートクレーブ1の重量を計測した。NH3充填前の重量との差からNH3の重量を算出し充填量を確認した。
続いてオートクレーブ1を上下に2分割されたヒーターで構成された電気炉内に収納した。その後、結晶成長領域6と原料充填領域9との温度差ΔTが表1に示す値となるように設定して、その温度にて14.7日間保持した。オートクレーブ内の圧力は約260MPaであった。また保持中のオートクレーブ外面制御温度のバラツキは±0.3℃以下であった。
その後、オートクレーブ1の外面の温度が室温に戻るまで自然冷却し、オートクレーブに付属したバルブ10を開放し、オートクレーブ内のNH3を取り除いた。その後オートクレーブ1を計量しNH3の排出を確認した後、オートクレーブの蓋を開け、カプセル20を取り出した。カプセル上部に付属したチューブに穴を開けカプセル内部からNH3を取り除いた。カプセル内部を確認したところ、C面、M面いずれの種結晶上にも全面に均一に窒化ガリウム結晶が析出していた。
m軸、c軸、a軸それぞれの方向への成長速度を、成長厚みと成長日数から算出し、その結果を表1に記載した。また、未溶解原料の重量を確認したところ40.88gであった。原料の溶解率を算出し、表1に記載した。また、回収したGaN多結晶原料を確認したところ、全体的に溶解して小粒になっていることを確認した。これより、原料充填領域9に溶媒が対流し、GaN多結晶原料全体にNH3が接触していたと思われる。
<実施例2>
実施例2では、表1に記載される通り、原料として嵩密度がより大きい単結晶を粉砕して得られた三角形状の単結晶GaNを使用した以外は上記の実施例1の手順と同様にして種結晶上に窒化ガリウム結晶を析出させた。
<実施例3>
実施例3では、酸性鉱化剤としてHClの代わりに純度99.999%のNH4Iと純度99.999%のGaF3を使用し、充填NH3量に対するI濃度とF濃度を併せた濃度が2.25mol%となるようそれぞれの鉱化剤を秤量してカプセル内に投入、更に成長温度と成長圧力を表1に記載される通りに変更した。原料の嵩密度やその他の手順は実施例1と同様にして、表1の条件で種結晶上に窒化ガリウム結晶を析出させた。
成長終了後の未溶解原料の重量を確認したところ82.19gであった。これより、GaN多結晶原料の溶解率を算出し、表1に記載した。回収したGaN多結晶原料を確認したところ、全体的に溶解して小粒になっていることを確認した。これは、GaN多結晶原料全体にNH3が接触していたと思われる。
<実施例4>
実施例4では、表1に記載される通り、原料として嵩密度がより小さい0.8g/cm3の板状のGaN多結晶原料を用いた以外は実施例3の手順と同様にして、表1の条件で種結晶上に窒化ガリウム結晶を析出させた。
比較的粒径および嵩密度が小さいGaN多結晶原料を用いて、原料充填領域9におけるGaN多結晶原料の嵩密度が0.8g/cm3となるように充填したところ、カプセル20の結晶成長領域に近い範囲まで原料が達した。これにより、結晶成長領域に近い箇所のGaN多結晶原料は十分に溶解されず、これを核として種結晶以外の部分に窒化ガリウム結晶が析出した。よって、成長速度はこれらの自発核成長結晶を含めて予測される値を表1に示す。
この結果から、嵩密度が小さいGaN多結晶原料を用いる場合には、原料充填領域と結晶成長領域との間の距離を十分に確保できる程度の反応容器を用いることが好ましいと考えられる。
<実施例5>
実施例5では、表1に記載される通り、原料として嵩密度がより大きい3.2g/cm3の小粒状のGaN多結晶原料を用いた以外は実施例3の手順と同様にして、表1の条件で種結晶上に窒化ガリウム結晶を析出させた。
成長終了後の未溶解原料の重量を測定してGaN多結晶原料の溶解率を算出し、表1に記載した。回収したGaN多結晶原料を確認したところ、全体的に溶解してさらに小粒になっていることを確認した。これは、GaN多結晶原料全体にNH3が接触していたと思われる。ただし、用いた原料が小粒状であり比較的粒径の小さいものであったことにより、溶媒の対流がやや抑えられていたため、溶解率が低くなったと考えられる。
<実施例6>
実施例6では、表1に記載される通り、反応容器の原料充填領域における嵩密度がさらに大きくなるよう実施例1で用いた珊瑚形状のGaN多結晶と粉状のGaN多結晶を混ぜたものを用いた。ここで用いた粉状の多結晶GaNについて単独で測定した嵩密度は1.8g/cm3であった。
本実施例の原料の混合手順であるが、まず嵩密度の大きい珊瑚状のGaN多結晶を入れた。その後、粉状の多結晶GaNを投入するが、カプセルを揺すって珊瑚状のGaN多結晶の隙間を埋めるようにして原料をチャージした。
内径が2.5cmであるPt−Ir製のカプセルへ、単独での嵩密度が1.8g/cm3である珊瑚形状のGaN多結晶を始めに74.2g投入し、さらに単独での嵩密度が1.8g/cm3である粉状のGaN多結晶55.8gを入れてカプセルを揺すって珊瑚形状のGaN多結晶の隙間に粉状のGaN多結晶を詰め込むと、高さが8.8cmになった。このようにして充填したGaN多結晶の嵩密度は(GaN粒子重量130g)/((カプセル内円面積4.9cm2)×(高さ8.8cm)−(Pt構造物の体積1.39cm3×2/3))=約3.0g/cm3であった。
これは、珊瑚形状のGaN多結晶の嵩密度が1.8g/cm3であることから、理論上の嵩密度の最大値である窒化ガリウムの密度である約6.1g/cm3から、約30%の体積を占有し、残りの70%を粉状のGaN多結晶で隙間を埋めたとして計算した約3.0g/cm3と一致した。
上記のようにGaN多結晶を充填した以外は、実施例3の手順と同様にして、表1の条件で種結晶上に窒化ガリウム結晶を析出させる。原料充填領域における嵩密度が大きくなったことから、種結晶上の成長速度はやや遅くなるが、長期間の結晶成長が可能となる。
<実施例7>
実施例7では、表1に記載される通り、反応容器の原料充填領域における嵩密度がさらに大きくなるよう、実施例2で用いた単結晶を粉砕して得られた三角形状のGaN単結晶と実施例6で用いた粉状のGaN多結晶を混ぜたものを用いた。ここで用いた三角形状のGaN単結晶について単独で測定した嵩密度は2.5g/cm3であった。
本実施例の原料の混合手順であるが、まず嵩密度の大きい三角形状のGaN単結晶を入れた。その後、粉状の多結晶GaNを投入するが、カプセルを揺すって三角形状のGaN単結晶の隙間を埋めるようにして原料をチャージした。
三角形状のGaN単結晶の単独での嵩密度は2.5g/cm3であり、理論上の嵩密度の最大値である窒化ガリウムの密度である約6.1g/cm3から、三角形状のGaN単結晶は約40%の体積を占有し、残りの60%を粉状のGaN多結晶で隙間を埋めたとして計算した嵩密度3.6g/cm3と一致した。
上記のようにGaN多結晶を充填した以外は、実施例3の手順と同様にして、表1の条件で種結晶上に窒化ガリウム結晶を析出させる。原料充填領域における嵩密度がさらに大きくなったことから、種結晶上の成長速度は顕著に遅くなるが、長期間の結晶成長が可能となる。
<実施例8>
(結晶成長)
白金を内張りした内寸が直径20mm、長さ350mmのInconel625製のオートクレーブ(約110ml)を用いて、内径12mm、長さ120mm、肉厚1〜2mmのpBN製るつぼに、十分に乾燥させた調製例1で得られたGaN多結晶原料を7.23g入れ、該オートクレーブの底部に配置した。原料充填領域の嵩密度は0.8g/cm3であった。次いで、鉱化剤として十分に乾燥した純度99.99%のNH4Cl 2.6gを使用し、充填NH3量に対するCl濃度が1.92mol%となるよう鉱化剤を秤量して反応容器であるオートクレーブ内に投入した。その後、バッフル板および種結晶を2個設置した。設置した種結晶はc面を主面とする重量が218.1mgであるものと、m面が主面の重量が28.1mgであるものであった。種結晶を設置後、素早く、バルブが装着されたオートクレーブの蓋を閉じ、オートクレーブの計量を行った。次いでオートクレーブに付属したバルブを介して導管を真空ポンプに通じるように操作し、バルブを開けて真空脱気した。その後、真空状態を維持しながらオートクレーブをドライアイスメタノール溶媒によって冷却し、一旦バルブを閉じた。次いで、導管をNH3ボンベに通じるように操作した後、再びバルブを開け連続して外気に触れることなくNH3をオートクレーブに充填した後、再びバルブを閉じた。オートクレーブの温度を室温に戻し、外表面を十分に乾燥させ充填したNH3の増加分の計量を行った。
続いて、オートクレーブを上下に2分割されたヒーターで構成された電気炉内に収納した。オートクレーブの下部外面の温度が475℃に、上部外面の温度が425℃になるように温度差をつけながら5時間かけて昇温し、オートクレーブの下部外面の温度が475℃に、上部外面の温度が425℃に達した後、その温度でさらに96時間保持した。オートクレーブの圧力は約144MPaであった。また保持中の温度幅は±5℃以下であった。
その後、オートクレーブの下部外面の温度が150℃になるまでおよそ8時間を掛け降温した後、ヒーターによる加熱を止め、電気炉内で自然放冷した。オートクレーブの下部外面の温度がほぼ室温まで降下したことを確認した後、まず、オートクレーブに付属したバルブを開放し、オートクレーブ内のNH3を取り除いた。その後オートクレーブを計量しNH3の排出を確認した後、一旦バルブを閉じ、真空ポンプに通ずるように操作した。
次いで、バルブを再び開放し、オートクレーブのNH3をほぼ完全に除去した。その後、オートクレーブの蓋を開け、内部を確認した。
c面が主面の種結晶(c面シード)の重量を測定したところ、325.4mgで、107.3mgの重量増加が確認され、m面が主面の種結晶(m面シード)では、34.7mgと6.6mgの重量増加が確認された。これにより、窒化ガリウム結晶の析出を確認した。また、GaN多結晶原料を入れたるつぼには1.10gのGaNの粉体結晶が溶け残っており、原料の溶解量は6.13gであり、表1に記載したように、原料の85%が溶解していた。
<実施例9>
本実施例では、図1に示す反応装置を用いて窒化物結晶を成長させた。
RENE41製オートクレーブ1を耐圧性容器として用い、Pt−Ir製カプセル20を反応容器として結晶成長を行なった。原料8として調整例1と同様にして得られた嵩密度が1.8g/cm3であり、酸素濃度が20ppmであるGaN多結晶粒子130gを秤量し、カプセル下部領域(原料充填領域9)内に設置した。次に鉱化剤として十分に乾燥した純度99.999%のNH4Fを充填NH3量に対してF濃度が0.5mol%となるよう秤量しカプセル内に投入した。さらに下部の原料充填領域9と上部の結晶成長領域6の間に白金製のバッフル板5設置した。種結晶7としてm面を主面とする六方晶系GaN単結晶3枚とc面ウェハー1枚を用いた。m面を主面とする種結晶の表面はCMP仕上げされているおり、c面ウェハーの主面はLAP処理がされている。これら種結晶7を直径0.3mmの白金ワイヤー7により白金製種子結晶支持枠に吊るし、カプセル上部の結晶成長領域6に設置した。
次にカプセル20の上部に、Pt−Ir製のキャップを接続した。次いで、チューブをHIガスラインに接続し、真空ポンプ11に通ずるようバルブを操作し真空脱気した。その後バルブを窒素ボンベ13に通ずるように操作しカプセル内を窒素ガスにてパージを行った。真空脱気、窒素パージを行った後、真空ポンプに繋いだ状態で一晩放置した。
次に、カプセル下部を液体窒素で冷却し、バルブを開け外気に触れることなくHI充填した。流量制御に基づき、鉱化剤としてHIを充填NH3量に対してI濃度が1.5mol%となるよう充填した後、再びバルブを閉じた。次いで、カプセルをHIラインから外しNH3ガスラインに接続した。ガスラインを真空脱気、窒素パージを行った後、真空ポンプにて真空引きを行った。その後、NH3ラインのバルブを操作し、流量制御に基づき、NH3を先に充填したHIガスと等mol量充填し、バルブを閉じた。次いで、カプセルを液体窒素から取り出し、ドライアイスエタノール溶媒により冷却した。続いて再びバルブを開け外気に触れることなくNH3を充填したした後、再びバルブを閉じた。その後、キャップ上部のチューブを溶接機により封じ切った。
続いて、カプセルをオートクレーブに挿入し、オートクレーブを密封した。オートクレーブに付属したバルブ10を介して導管を真空ポンプ11に通じるように操作し、バルブを開けて真空脱気した。カプセルと同様に窒素ガスパージを複数回行なった。その後、真空状態を維持しながらオートクレーブ1をドライアイスメタノール溶媒によって冷却し、一旦バルブ10を閉じた。次いで導管をNH3ボンベ12に通じるように操作した後、再びバルブ10を開け連続して外気に触れることなくNH3をオートクレーブ1に充填したした後、再びバルブ10を閉じた。
続いてオートクレーブ1を上下に2分割されたヒーターで構成された電気炉内に収納した。オートクレーブ内部の平均温度が600℃、内部の温度差が20℃になるようにオートクレーブ外面温度で制御しながら昇温した。設定温度に達した後、その温度にて16.8日間保持した。オートクレーブ内の圧力は215MPaであった。また保持中のオートクレーブ外面制御温度のバラツキは±0.3℃以下であった。
その後、オートクレーブ1の外面の温度が400℃になるまで冷却し、オートクレーブに付属したバルブ10を開放し、オートクレーブ内のNH3を取り除いた。この時、オートクレーブとカプセルとの圧力差を利用しカプセルを割り、カプセル内に充填したNH3も取り除いた。
オートクレーブ1を計量しNH3の排出を確認した後、オートクレーブの蓋を開け、カプセル20を取り出した。カプセル内部を確認すると、m面、c面いずれの種結晶上にも窒化ガリウム結晶が成長していた。肉眼観察では、黄色〜茶色の透明な結晶であり、特にm面窒化ガリウム結晶にはクラックやボイドなど可視的な欠陥は見られなかった。種結晶上に成長した窒化ガリウム結晶をX線回折測定した結果、結晶系は六方晶系であり、立方晶GaNは含まれていないことが確認された。成長速度((結晶厚み−種結晶厚み)/成長日数)はm軸方向に220μm/日であった。表1に示す通り、溶解率は51%であり、回収したGaN多結晶原料を確認したところ、全体的に溶解して小粒になっていることを確認した。これは、GaN多結晶原料全体にNH3が接触していたと思われる。
成長した結晶をSIMSにより分析すると、酸素濃度は2.20×1018atoms/cm3であり、Si濃度は1.14×1015atoms/cm3、F濃度は1.15×1017atoms/cm3、I濃度は2.60×1017atoms/cm3であった。
得られた窒化ガリウム結晶を、窒素90%−アンモニア10%雰囲気下で、1060℃、24時間アニール処理を行った後、ホール測定を行った。アニール後のGaN結晶のホール測定の結果から、キャリア濃度が1.90×1018atoms/cm3、移動度が288cm2/V・s、比抵抗が1.08×10-2Ωcmであることを確認した。
<実施例10>
原料8として調整例1に準じる方法で得られた嵩密度が2.2g/cm3であり、酸素濃度が13ppmであるGaN多結晶粒子を用いたほかは、表1に示す条件として、実施例9と同様におこなった。表1に示す通り、溶解率は70%であり、回収したGaN多結晶原料を確認したところ、全体的に溶解して小粒になっていることを確認した。これは、GaN多結晶原料全体にNH3が接触していたと思われる。
成長した窒化ガリウム結晶をSIMSにより分析すると、酸素濃度は1.50×1018atoms/cm3であり、Si濃度は2.06×1014atoms/cm3であった。
得られた窒化ガリウム結晶を、窒素90%−アンモニア10%雰囲気下で、1060℃、24時間アニール処理を行った後、ホール測定を行った。アニール後のGaN結晶のホール測定の結果から、キャリア濃度が6.7×1017atoms/cm3、移動度が335cm2/V・s、比抵抗が2.40×10-2Ωcm、F濃度は4.30×1017atoms/cm3、I濃度は2.86×1017atoms/cm3であることを確認した。
<実施例11>
原料8として調整例1に準じる方法で得られた嵩密度が1.8g/cm3であり、酸素濃度が20ppmであるGaN多結晶粒子を用いたほかは、表1に示す条件として、実施例9と同様におこなった。表1に示す通り、溶解率は68%であり、回収したGaN多結晶原料を確認したところ、全体的に溶解して小粒になっていることを確認した。これは、GaN多結晶原料全体にNH3が接触していたと思われる。
成長した窒化ガリウム結晶をSIMSにより分析すると、酸素濃度は4.80×1018atoms/cm3であった。
得られた窒化ガリウム結晶を、窒素90%−アンモニア10%雰囲気下で、1060℃、24時間アニール処理を行った後、ホール測定を行った。アニール後のGaN結晶のホール測定の結果から、キャリア濃度が2.44×1018atoms/cm3、移動度が343cm2/V・s、比抵抗が2.33×10-2Ωcmであることを確認した。
<実施例12>
原料8として調整例1に準じる方法で得られた嵩密度が1.8g/cm3であり、酸素濃度が20ppmである多結晶GaN粒子を用いたほかは、表1に示す条件として、実施例9と同様におこなった。表1に示す通り、溶解率は64%であり、回収したGaN多結晶原料を確認したところ、全体的に溶解して小粒になっていることを確認した。これは、GaN多結晶原料全体にNH3が接触していたと思われる。
成長した窒化ガリウム結晶をSIMSにより分析すると、酸素濃度は6.90×1018atoms/cm3であり、Si濃度は1.5×1016atoms/cm3であった。
得られた窒化ガリウム結晶を、窒素90%−アンモニア10%雰囲気下で、1060℃、24時間アニール処理を行った後、ホール測定を行った。アニール後のGaN結晶のホール測定の結果から、キャリア濃度が1.69×1018atoms/cm3、移動度が330cm2/V・s、比抵抗が2.11×10-2Ωcm、F濃度が2.7×1017atms/cm3、I濃度が2.5×1015atms/cm3以下、Cl濃度1.5×1015atms/cm3以下であることを確認した。
<実施例13>
原料8として調整例1に準じる方法で得られた嵩密度が2.6g/cm3であり、酸素濃度が61ppmである多結晶GaN粒子を用いたほかは、表1に示す条件として、実施例9と同様におこなった。表1に示す通り、溶解率は46%であり、回収したGaN多結晶原料を確認したところ、全体的に溶解して小粒になっていることを確認した。これは、GaN多結晶原料全体にNH3が接触していたと思われる。
得られた窒化ガリウム結晶を、窒素90%−アンモニア10%雰囲気下で、1060℃、24時間アニール処理を行った後、ホール測定を行った。アニール後のGaN結晶のホール測定の結果から、キャリア濃度が1.70×1018atoms/cm3であることを確認した。
<実施例14>
原料8として調整例1に準じる方法で得られた嵩密度が1.9g/cm3であり、酸素濃度が78ppmである多結晶GaN粒子を用いたほかは、表1に示す条件として、実施例9と同様におこなった。表1に示す通り、溶解率は84%であり、回収したGaN多結晶原料を確認したところ、全体的に溶解して小粒になっていることを確認した。これは、GaN多結晶原料全体にNH3が接触していたと思われる。
成長した窒化ガリウム結晶をSIMSにより分析すると、酸素濃度は9.9×1018atoms/cm3であり、Si濃度は7.4×1014atoms/cm3であった。
得られた窒化ガリウム結晶を、窒素90%−アンモニア10%雰囲気下で、1060℃、24時間アニール処理を行った後、ホール測定を行った。アニール後のGaN結晶のホール測定の結果から、キャリア濃度が3.09×1018atoms/cm3、移動度が226cm2/V・s、比抵抗が0.90×10-2Ωcm、F濃度が2.94×1017atms/cm3、I濃度が2.35×1015atms/cm3以下であることを確認した。
<実施例15>
原料8として調整例1に準じる方法で得られた嵩密度が1.8g/cm3である多結晶GaN粒子を用いたほかは、表1に示す条件として、実施例9と同様におこなった。表1に示す通り、溶解率は61%であり、回収したGaN多結晶原料を確認したところ、全体的に溶解して小粒になっていることを確認した。これは、GaN多結晶原料全体にNH3が接触していたと思われる。
成長した窒化ガリウム結晶をSIMSにより分析すると、酸素濃度は9.00×1018atoms/cm3であり、Si濃度は3.00×1014atoms/cm3であった。
得られた窒化ガリウム結晶を、窒素90%−アンモニア10%雰囲気下で、1060℃、24時間アニール処理を行った後、ホール測定を行った。アニール後のGaN結晶のホール測定の結果から、キャリア濃度が3.90×1018atoms/cm3、移動度が181cm2/V・s、比抵抗が8.86×10-3Ωcmであることを確認した。
<実施例16>
原料8として調整例1に準じる方法で得られた嵩密度が1.8g/cm3である多結晶GaN粒子を用いたほかは、表1に示す条件として、実施例9と同様におこなった。
成長した窒化ガリウム結晶をSIMSにより分析すると、酸素濃度は2.00×1019atoms/cm3であり、Si濃度は5.00×1014atoms/cm3であった。
得られた窒化ガリウム結晶を、窒素90%−アンモニア10%雰囲気下で、1060℃、24時間アニール処理を行った後、ホール測定を行った。アニール後のGaN結晶のホール測定の結果から、キャリア濃度が9.54×1018atoms/cm3、移動度が158cm2/V・s、比抵抗が4.09×10-3Ωcmであることを確認した。
<実施例17>
原料8として調整例1に準じる方法で得られた嵩密度が1.8g/cm3であり、酸素濃度が148ppmである多結晶GaN粒子を用いたほかは、表1に示す条件として、実施例9と同様におこなって、窒化ガリウム結晶を得た。得られた窒化ガリウム結晶は、全体に黒く着色していた。
<比較例1>
比較例1では、表1に記載される通り、原料として嵩密度が最も小さいヒューム状のGaN多結晶(20〜30μmの粉状のGaNが隙間を有する状態で凝集して、0.1〜20mmのサイズを有する)使用した以外は実施例3と同じ手順と同様にして種結晶上に窒化ガリウムを析出させる。原料充填領域におけるGaN多結晶の嵩密度は0.6g/cm3である。
<比較例2>
比較例2では、表1に記載される通り、原料として嵩密度が最も大きいウエハ状の単結晶GaN積み重ねて原料として使用した以外は実施例3と同じ手順と同様にして種結晶上に窒化ガリウムを析出させる。
原料充填領域におけるGaN結晶の嵩密度は、直径が0.4cm、厚み0.5cmの円板状のGaN単結晶を重ねた際の隙間が0.1cmとして、内径24cmのカプセルに、原料の100kgを投入した際の試算は、4.9g/cm3である。
塩素系の鉱化剤を使用した実施例1と実施例2を比較すると、GaN原料の種類(多結晶or単結晶)にかかわらず、成長速度は各成長方向ともに同等の結果となった。
フッ素、ヨウ素系の鉱化剤を使用した実施例3と実施例5を比較すると、嵩密度がより大きいGaN多結晶粒子原料を用いて成長した実施例5の成長速度は、m軸方向で約1/3、c軸方向で約1/4、a軸方向で約1/2.5とやや遅くなる。これは、原料の嵩密度が大きくなったことで、アンモニア溶媒の対流が阻害されてしまうことや、アンモニア溶媒への原料の溶解量が減ってしまうことが原因と考えられる。更に、実施例7のように原料の嵩密度が大きくなると成長速度が低下すると考えられるが、成長速度の値としては十分、生産性があると言える値である。更に、比較例2のように原料の嵩密度が4.9g/cm3まで大きくなると、ほとんどGaN結晶が成長しなくなる。また、比較例1のように原料の嵩密度が0.6g/cm3まで小さくなると短期間で原料が枯渇してしまいGaN結晶の生産が難しくなる。
実施例9〜12は、嵩密度が1.8〜2.2g/cm2、酸素濃度が13〜20ppmのGaN結晶原料を用いて結晶を成長させたものである。実施例9〜12では、キャリア濃度が6.70×1017〜2.44×1018atoms/cm3の間の成長結晶が得られている。実施例9〜12では活性化率が22〜86%の範囲内であった。
実施例17は、嵩密度が1.8g/cm2、酸素濃度が148ppmのGaN結晶原料を用いて結晶を成長させたものである。図3に示す、実施例9〜12の窒化物結晶原料中の酸素濃度と成長結晶のキャリア濃度の関係から推測すると、実施例17ではキャリア濃度が2.50×1019atoms/cm3程度の窒化ガリウム結晶が得られたものと考えられる。
実施例4は嵩密度が0.8g/cm2、酸素濃度が130ppmのGaN結晶原料を用いて結晶を成長させたものである。図3に示す、実施例7〜10の窒化物結晶原料中の酸素濃度と成長結晶のキャリア濃度の関係から推測すると、実施例4では、キャリア濃度が1.50×1019atoms/cm3程度の窒化ガリウム結晶が得られたものと考えられる。
表1の結果をまとめたものを図3および図4に示す。
図3は、窒化物結晶原料中の酸素濃度と成長した窒化ガリウム結晶のキャリア濃度の関係を示すグラフである。ひし形で表される点が実施例9〜12、および14の結果であり、四角形で表される点は、実施例17および実施例4の結果を示す。図3の近似線で表される通り、原料中の酸素濃度と成長結晶のキャリア濃度に相関関係があることがわかった。
図4は、成長した窒化ガリウム結晶中の酸素濃度とキャリア濃度の関係を示すグラフである。図4の各点は実施例9〜12、14〜16の結果を示す。図4より、活性化率の平均は45%であることがわかった。
尚、アモノサーマル法により得られたGaN結晶中のドーパント活性化率を算出するために、実施例11に準ずる方法で得られたGaN結晶のキャリア濃度および酸素濃度を測定した。実施例15では、得られた結晶中のキャリア濃度は、3.90×1018atoms/cm3であり、得られた結晶中の酸素濃度は、9.00×1018atoms/cm3であった。また、実施例16では、得られた結晶中のキャリア濃度は、9.54×1018atoms/cm3であり、得られた結晶中の酸素濃度は、2.00×1019atoms/cm3であった。
第1の発明によれば、アモノサーマル法で結晶成長する際に充填する結晶原料の嵩密度を特定の範囲内に制御することにより、効率良く高品質な窒化物結晶を製造することができる。このため、本発明によれば成長時間を短縮し、結晶原料を高効率に窒化物結晶とすることにより製造コストを大幅に抑えることができる。また、本発明の方法により製造した窒化物単結晶は、高品質の結晶としてデバイスに効果的に用いることができる。このため、第1の発明の製造方法はアモノサーマル法を用いた窒化物結晶の製造に利用することができ、産業上の利用可能性が高い。
第2の発明によれば、一定範囲内の酸素濃度を有する窒化物結晶原料を使用して窒化物結晶を製造することにより、所望のキャリア濃度を有する窒化物結晶を得ることができる。また、第2の発明の酸素ドーピング条件を用いれば、精密な酸素ドーピングを行うことができる。このため、第2の発明の製造方法はアモノサーマル法を用いた窒化物結晶の製造に利用することができ、産業上の利用可能性が高い。
1 オートクレーブ
2 オートクレーブ内面
3 ライニング
4 ライニング内面
5 バッフル板
6 結晶成長領域
7 種結晶
8 原料
9 原料充填領域
10 バルブ
11 真空ポンプ
12 アンモニアボンベ
13 窒素ボンベ
14 マスフローメーター
20 カプセル
21 カプセル内面

Claims (9)

  1. 酸素濃度が1.5×1018〜2.5×1019atoms/cm3であり、Si濃度が2×1015atoms/cm3以下であり、フッ素およびヨウ素を含有するGaN結晶。
  2. フッ素濃度が1×1018atoms/cm3以下である、請求項1に記載のGaN結晶。
  3. アモノサーマル法により成長させたGaN結晶である、請求項1または2に記載のGaN結晶。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のGaN結晶からなるウエハ。
  5. 請求項4に記載のウエハを用いて発光素子または電子デバイスを形成する、デバイスの製造方法。
  6. アモノサーマル法を用いて酸素濃度が10ppm以上のGaN結晶原料からGaN結晶を成長させる結晶成長工程を有し、該結晶成長工程では、鉱化剤としてNH4Fを用いるとともに、鉱化剤としてHIを反応容器に入れる、GaN結晶製造方法。
  7. 前記GaN結晶原料としてGaN多結晶を用いる、請求項6に記載のGaN結晶製造方法。
  8. 前記GaN多結晶をハイドライド気相成長法により製造する工程を更に有する、請求項7に記載のGaN結晶製造方法。
  9. 前記結晶成長工程で成長させたGaN結晶をアニール処理して、該GaN結晶のキャリア濃度を増加させる工程を更に有する、請求項6〜8のいずれか一項に記載のGaN結晶製造方法。
JP2018051986A 2011-10-28 2018-03-20 窒化物結晶の製造方法 Active JP6493588B2 (ja)

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US201161552801P 2011-10-28 2011-10-28
US61/552801 2011-10-28
JP2012188099 2012-08-28
JP2012188099 2012-08-28

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016146212A Division JP6494571B2 (ja) 2011-10-28 2016-07-26 GaN結晶及びGaN結晶からなる基板

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2018115110A JP2018115110A (ja) 2018-07-26
JP2018115110A5 JP2018115110A5 (ja) 2018-11-29
JP6493588B2 true JP6493588B2 (ja) 2019-04-03

Family

ID=50617629

Family Applications (4)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012236354A Pending JP2014062023A (ja) 2011-10-28 2012-10-26 窒化物結晶の製造方法
JP2013060287A Active JP5929801B2 (ja) 2012-08-28 2013-03-22 窒化物結晶の製造方法
JP2016146212A Active JP6494571B2 (ja) 2011-10-28 2016-07-26 GaN結晶及びGaN結晶からなる基板
JP2018051986A Active JP6493588B2 (ja) 2011-10-28 2018-03-20 窒化物結晶の製造方法

Family Applications Before (3)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012236354A Pending JP2014062023A (ja) 2011-10-28 2012-10-26 窒化物結晶の製造方法
JP2013060287A Active JP5929801B2 (ja) 2012-08-28 2013-03-22 窒化物結晶の製造方法
JP2016146212A Active JP6494571B2 (ja) 2011-10-28 2016-07-26 GaN結晶及びGaN結晶からなる基板

Country Status (1)

Country Link
JP (4) JP2014062023A (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6437736B2 (ja) * 2014-05-09 2018-12-12 古河機械金属株式会社 自立基板の製造方法および自立基板
TW202113170A (zh) * 2019-05-30 2021-04-01 日商三菱化學股份有限公司 GaN基板晶圓及其製造方法

Family Cites Families (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6773504B2 (en) * 2001-04-12 2004-08-10 Sumitomo Electric Industries, Ltd. Oxygen doping method to gallium nitride single crystal substrate and oxygen-doped N-type gallium nitride freestanding single crystal substrate
US9279193B2 (en) * 2002-12-27 2016-03-08 Momentive Performance Materials Inc. Method of making a gallium nitride crystalline composition having a low dislocation density
AU2003299899A1 (en) * 2002-12-27 2004-07-29 General Electric Company Gallium nitride crystal, homoepitaxial gallium-nitride-based devices and method for producing same
JP5356933B2 (ja) * 2004-03-10 2013-12-04 三菱化学株式会社 窒化物結晶の製造装置
WO2005122232A1 (en) * 2004-06-11 2005-12-22 Ammono Sp. Z O.O. High electron mobility transistor (hemt) made of layers of group xiii element nitrides and manufacturing method thereof.
JP5454830B2 (ja) * 2006-03-06 2014-03-26 三菱化学株式会社 超臨界溶媒を用いた結晶製造方法および結晶製造装置
JP2008174439A (ja) * 2006-12-21 2008-07-31 Mitsubishi Chemicals Corp 窒素元素とガリウム元素を含む粉末の製造方法、およびそれを利用した窒化ガリウム単結晶の製造方法
JP2008297191A (ja) * 2007-05-02 2008-12-11 Sumitomo Electric Ind Ltd 窒化ガリウム基板及び窒化ガリウム層の形成方法
US8721788B2 (en) * 2007-10-05 2014-05-13 Mitsubishi Chemical Corporation Method for charging with liquefied ammonia, method for producing nitride crystal, and reactor for growth of nitride crystal
JP4719788B2 (ja) * 2008-12-26 2011-07-06 旭化成株式会社 13族元素窒素化合物結晶の製造方法
CN102272357A (zh) * 2009-01-08 2011-12-07 三菱化学株式会社 氮化物结晶的制造方法、氮化物结晶及其制造装置
JP5709122B2 (ja) * 2009-02-20 2015-04-30 三菱化学株式会社 アモノサーマル法および窒化物結晶
JP5446622B2 (ja) * 2009-06-29 2014-03-19 住友電気工業株式会社 Iii族窒化物結晶およびその製造方法
JP2011153055A (ja) * 2010-01-28 2011-08-11 Asahi Kasei Corp 窒化物単結晶の製造方法
JP2012136422A (ja) * 2010-12-27 2012-07-19 Mitsubishi Chemicals Corp 結晶製造方法
JP5870887B2 (ja) * 2011-09-30 2016-03-01 三菱化学株式会社 窒化物単結晶のアニール処理方法
WO2013063070A1 (en) * 2011-10-24 2013-05-02 The Regents Of The University Of California Use of alkaline-earth metals to reduce impurity incorporation into a group-iii nitride crystal

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018115110A (ja) 2018-07-26
JP5929801B2 (ja) 2016-06-08
JP2014062029A (ja) 2014-04-10
JP6494571B2 (ja) 2019-04-03
JP2014062023A (ja) 2014-04-10
JP2016222540A (ja) 2016-12-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2013062042A1 (ja) 窒化物結晶の製造方法および窒化物結晶
JP6388070B2 (ja) GaN単結晶およびウエハ
KR20090064379A (ko) 질화물 반도체의 제조 방법, 결정 성장 속도 증가제, 질화물 단결정, 웨이퍼 및 디바이스
JP6020440B2 (ja) 窒化物結晶の製造方法
JP2013107819A (ja) 窒化物結晶の製造方法
JPWO2012090918A1 (ja) 半導体結晶の製造方法、結晶製造装置および第13族窒化物半導体結晶
JP6074959B2 (ja) Iii族窒化物結晶及びその製造方法
JP6493588B2 (ja) 窒化物結晶の製造方法
JP2015040170A (ja) 周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法
JP5929807B2 (ja) GaN多結晶およびそれを用いたGaN単結晶の製造方法
JP6123421B2 (ja) Iii族窒化物結晶塊
JP2013056821A (ja) Iii族窒化物結晶の製造方法
JP6051768B2 (ja) 窒化物単結晶の製造方法
JP2013075819A (ja) 窒化物結晶の製造方法
JP6003690B2 (ja) 窒化物結晶の製造方法
KR102101597B1 (ko) 질화물 결정의 제조 방법 및 질화물 결정
JP2015040169A (ja) 周期表第13族金属窒化物結晶
JP6192956B2 (ja) 窒化物単結晶の製造方法
JP2013184886A (ja) 窒化物半導体結晶の製造方法および窒化物半導体結晶
JP2013091596A (ja) 窒化物結晶の製造方法
JP2014047134A (ja) Iii族窒化物結晶塊

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181022

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20181205

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20181218

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190115

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190205

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190218

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6493588

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151