JP2016222540A - 窒化物結晶の製造方法 - Google Patents
窒化物結晶の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2016222540A JP2016222540A JP2016146212A JP2016146212A JP2016222540A JP 2016222540 A JP2016222540 A JP 2016222540A JP 2016146212 A JP2016146212 A JP 2016146212A JP 2016146212 A JP2016146212 A JP 2016146212A JP 2016222540 A JP2016222540 A JP 2016222540A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- raw material
- nitride crystal
- crystal
- nitride
- reaction vessel
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)
- Liquid Deposition Of Substances Of Which Semiconductor Devices Are Composed (AREA)
Abstract
Description
HVPE法により作製する窒化物結晶において、酸素をn型ドーパントとして用いる場合は、その活性化率がほぼ100%であることが知られているが(特許文献5(特開2000−44400号公報 参照)、アモノサーマル法により作製した窒化物結晶では、酸素をn型ドーパントとした場合の活性化率は明らかではなかった。
[2] 前記嵩密度が0.8〜3.6g/cm3である[1]に記載の窒化物結晶の製造方法。
[3] 前記結晶原料の最大径が0.5μm〜120mmである[1]または[2]に記載の窒化物結晶の製造方法。
[4] 前記窒化物結晶原料の粒子は、最大径が100〜1000μmの2次粒子が凝集してなる、最大径が1〜120mmの3次粒子である[1]〜[3]のいずれか1項に記載の窒化物結晶の製造方法。
[5]前記窒化物結晶原料中の酸素濃度が10〜500ppmである[1]〜[4]のいずれか1項に記載の窒化物結晶の製造方法。
[6] 0.7〜4.5g/cm3の嵩密度を有し、結晶中の酸素濃度が10〜500ppmである窒化物結晶原料を、反応容器の原料充填領域に充填し、反応容器中で超臨界および/または亜臨界状態の溶媒存在下にて窒化物結晶成長を行うことを特徴とする、窒化物結晶の製造方法。
[7] 前記嵩密度が0.8〜3.6g/cm3である[6]に記載の窒化物結晶の製造方法。
[8] 前記窒化物結晶原料の最大径が0.5μm〜120mmである[6]または[7]に記載の窒化物結晶の製造方法。
[9] 前記窒化物結晶原料の粒子は、最大径が100〜1000μmの2次粒子が凝集してなる、最大径が1〜120mmの3次粒子である[6]〜[8]のいずれか1項に記載の窒化物結晶の製造方法。
[10] 前記原料充填領域に網状構造体を設置する[1]〜[9]のいずれか1項に記載の窒化物結晶の製造方法。
[11] 前記窒化物結晶原料を網状構造体の中に充填したうえで前記原料充填領域に設置する[10]に記載の窒化物結晶の製造方法。
[12] 前記窒化物結晶原料の溶解率が40%以上である[1]〜[11]のいずれか1項に記載の窒化物結晶の製造方法。
[13] 前記窒化物結晶のc軸方向の成長速度が、100μm/day以上である[1]〜[12]のいずれか1項に記載の窒化物結晶の製造方法。
[14] [1]〜[13]のいずれか1項に記載の窒化物結晶の製造方法により製造されることを特徴とする、窒化物結晶。
さらに、本発明の第2の発明によれば、アモノサーマル法で目的のキャリア濃度を有する窒化物結晶を得るための条件を試作検討する手間を大幅に削減することができ、窒化物結晶の生産効率を高めることができる。
本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
まず、六方晶系の結晶構造の軸と面との関係について説明する。本明細書において種結晶または窒化物結晶の「主面」とは、当該種結晶または窒化物結晶における最も広い面であって、通常は結晶成長を行うべき面を指す。本明細書において「C面」とは、六方晶構造(ウルツ鋼型結晶構造)における{0001}面と等価な面であり、極性面である。例えば、(0001)面とその反対面である(000−1)面を指す。III族窒化物結晶(周期表第13族金属窒化物結晶)では、C面はIII族(第13族金属)面又は窒素面であり、窒化ガリウム(GaN)ではそれぞれGa面又はN面に相当する。また、本明細書において「M面」とは、{1−100}面、{01−10}面、[−1010]面、{−1100}面、{0−110}面、{10−10}面として包括的に表される非極性面であり、具体的には(1−100)面や、(01−10)面、(−1010)面、(−1100)面、(0−110)面、(10−10)面を意味する。さらに、本明細書において「A面」とは、{2−1−10}面、{−12−10}面、{−1−120}面、{−2110}面、{1−210}面、{11−20}面として包括的に表される非極性面である。具体的には(11−20)面や、(2−1−10)面、(−12−10)面、(−1−120)面、(−2110)面、(1−210)面、を意味する。本明細書において「c軸」「m軸」「a軸」とは、それぞれC面、M面、A面に垂直な軸を意味する。
また、本明細書において「非極性面」とは、表面にIII族元素と窒素元素の両方が存在しており、かつその存在比が1:1である面を意味する。具体的には、M面やA面を好ましい面として挙げることができる。本明細書において「半極性面」とは、例えば、III族窒化物が六方晶であってその主面が(hklm)で表される場合、[0001]面以外で、m=0ではない面をいう。すなわち(0001)面に対して傾いた面で、かつ非極性面ではない面をいう。表面にIII族元素と窒素元素の両方あるいはC面のように片方のみが存在する場合で、かつその存在比が1:1でない面を意味する。h、k、l、mはそれぞれ独立に−5〜5のいずれかの整数であることが好ましく、−2〜2のいずれかの整数であることがより好ましく、低指数面であることが好ましい。窒化物結晶の主面として好ましく採用できる半極性面として、例えば(10−11)面、(10−1−1)面、(10−12)面、(10−1−2)面、(20−21)面、(202−1)面、(20−2−1)面、(10−12)面、(10−1−2)面、(11−21)面、(11−2−1)面、(11−22)面、(11−2−2)面、(11−24)面、(11−2−4)面などを挙げることができ、特に(10−11)面、(202−1)面を挙げることができる。
なお、本明細書において、「ppm」と示す場合には重量ppmを意味する。
以下において、第1の本発明の窒化物結晶の製造方法について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
第1の発明の窒化物結晶の製造方法(以下、第1の発明の製造方法とも言う)は、窒化物結晶原料を反応容器の原料充填領域に充填し、反応容器中で超臨界および/または亜臨界状態の溶媒存在下にて結晶成長を行う窒化物結晶の製造方法であって、前記窒化物結晶原料を原料充填領域に0.7〜4.5g/cm3の嵩密度で充填して結晶成長を行う。つまり、原料充填領域に結晶原料を0.7〜4.5g/cm3の嵩密度となるように充填して、アモノサーマル法により該結晶原料から窒化物結晶を製造する、窒化物結晶の製造方法である。
嵩密度は窒化物結晶原料の充填率に換算することが可能である。嵩密度を窒化物結晶原料の比重で除して100倍することにより充填率(単位%)を算出することができる。例えば、上の具体例では、GaN結晶の比重が6.1g/cm3であることから、充填率は52%と計算される。
原料充填領域における窒化物結晶原料の嵩密度は、例えば使用する窒化物結晶原料の粒径、粒径分布、形状などを選択することにより制御することが可能である。すなわち、反応容器内の原料充填領域に窒化物結晶原料を入れたときに、個々の窒化物結晶原料粒子どうしが互いに空隙を持ちながら重なり合いやすい粒径や形状を有する窒化物結晶原料を選択すれば、嵩密度を高くすることができる。例えば、粒径が大きな窒化物結晶原料を用いたり、粒子形状が非対称で不定形である窒化物結晶原料を用いたりすることにより、嵩密度を低くすることが可能である。逆に、反応容器内の原料充填領域に窒化物結晶原料を入れたときに、個々の窒化物結晶原料粒子どうしが互いに密に重なり合いやすい粒径や形状を有する窒化物結晶原料を選択すれば、嵩密度を高くすることができる。例えば、粒径が小さな窒化物結晶原料を用いたり、粒径が大きな窒化物結晶原料とその間隙に入り込むような小さな粒径の窒化物結晶原料を組み合わせて用いたり、密に充填しやすい粒子形状を持つ均一な窒化物結晶原料を用いたりすることにより、嵩密度を高くすることが可能である。
原料充填領域における窒化物結晶原料の嵩密度は、原料充填領域に構造物を設置することによって制御することも可能である。例えば、溶媒を通過させることができるが、窒化物結晶原料は通過させない網状構造体を好ましく採用することができる。そのような網状構造体によって、原料充填領域における窒化物結晶原料の存在域を制限することにより、嵩密度を制御することができる。すなわち、窒化物結晶原料の存在域を狭い領域に制限し、窒化物結晶原料が存在できない領域を広く確保することにより、嵩密度を低く制御することができる。例えば、原料充填領域よりも容積が小さな網状構造体の中に窒化物結晶原料を充填したうえで、これを原料充填領域に入れることにより、嵩密度を小さくすることができる。また、逆に窒化物結晶原料を充填していない中空の網状構造体を原料充填領域に設置することにより、嵩密度を制御してもよい。例えば、そのような網状構造体を窒化物結晶原料と混合して原料充填領域に充填することができる。このとき両者の混合割合を調整すれば嵩密度を制御することができる。網状構造体は、予め原料充填領域に固定しておいても構わない。また、このような種々の態様の網状構造体は複数個使用してもよい。さらに、溶媒を通過させることができるような、網状でない構造体を採用することも可能である。
本発明では、アモノサーマル法により成長させようとしている窒化物結晶を構成する原子を含む窒化物結晶原料を用いる。例えば、周期表第13族金属の窒化物結晶(以下、第13族窒化物結晶と称する場合がある)を成長させようとする場合は、周期表第13族金属を含む原料を用いる。好ましくは第13族窒化物結晶の多結晶原料または単結晶原料を用い、これを第13族原子の金属(メタル)と組み合わせて原料として用いてもよい。多結晶原料は、完全な窒化物である必要はなく、条件によっては第13族原子がメタルの状態(ゼロ価)である金属成分を含有してもよい。例えば、結晶が窒化ガリウムである場合には、窒化ガリウムと金属ガリウムの混合物が挙げられる。第13族窒化物結晶の種類としては、GaN、InN、AlN、InGaN、AlGaN、AllnGaNなどを挙げることができる。好ましいのはGaN、AlN、AlGaN、AllnGaNであり、より好ましいのはGaNである。
例えば、直径が26mm程度または30mm程度の反応容器を用いる場合の粒径は、最大径が0.5μm以上であるものを用いることが好ましく、1μm以上であるものを用いることがより好ましく、10μm以上であるものを用いることがさらに好ましく、また、20mm以下であるものを用いることが好ましく、15mm以下であるものを用いることがより好ましく、10mm以下であるものを用いることがさらに好ましい。また、例えば直径が60mm程度の反応容器を用いる場合の粒径は、最大径が0.5μm以上であるものを用いることが好ましく、1μm以上であるものを用いることがより好ましく、10μm以上であるものを用いることがさらに好ましく、また、50mm以下であるものを用いることが好ましく、30mm以下であるものを用いることがより好ましく、20mm以下であるものを用いることがさらに好ましい。
また、例えば直径が130mm程度の反応容器を用いる場合の粒径は、最大径が0.5μm以上であるものを用いることが好ましく、1μm以上であるものを用いることがより好ましく、10μm以上であるものを用いることがさらに好ましく、また、120mm以下であるものを用いることが好ましく、60mm以下であるものを用いることがより好ましく、30mm以下であるものを用いることがさらに好ましい。
本発明で用いる窒化物結晶原料の形状は、球状、断面が楕円である粒状、板状、直方形状、三角形状、珊瑚状(本明細書中、珊瑚状とは、表面に最大径の5%以上の長さの突起部分のある形状のことを言う。表面のほぼ全面に亘って凹凸があり、表面積が大きくなった状態であることが好ましい)であってもよい。好ましい形状は、溶媒の対流を大きく阻害しないよう結晶原料間に一定の空隙があることが好ましいため、嵩密度の調整も容易であるという理由で、楕円粒状、直方形状、三角形状、珊瑚状である。
なお、本明細書中において、珊瑚状の形状には、一般的に樹枝状(デンドリック)、金平糖状などの語句で表される形状が含まれる。珊瑚状の例としては、例えば特開2011−206866号公報に記載の粒子の形状や、特開2011−026665号公報に記載の粒子の形状などが含まれる。その中でも、窒化物結晶原料が珊瑚状であると、原料の溶解速度が上がり、大型の窒化物結晶を効率よく得ることができるため、好ましい。
第1の発明の製造方法では、原料充填領域に窒化物結晶原料を0.7〜4.5g/cm3の嵩密度で充填した後に、アモノサーマル法により該窒化物結晶原料から窒化物結晶を製造する。
アモノサーマル法とは、超臨界状態及び/又は亜臨界状態にあるアンモニア溶媒などの窒素を含有する溶媒を用いて、窒化物結晶原料の溶解−析出反応を利用して所望の窒化物単結晶を製造する方法である。結晶成長は、アンモニアなどの溶媒への窒化物結晶原料溶解度の温度依存性を利用して温度差により過飽和状態を発生させて結晶を析出させることにより行う。
本発明におけるアモノサーマル法による窒化物結晶の成長に際しては、鉱化剤を用いることが好ましい。アンモニアなどの窒素を含有する溶媒に対する窒化物結晶原料の溶解度が高くないために、溶解度を向上させるために鉱化剤を用いる。
本発明で用いる鉱化剤の組み合わせと濃度比(モル濃度比)は、成長させようとしている窒化物結晶の種類や形状やサイズ、種結晶の種類や形状やサイズ、使用する反応装置、採用する温度条件や圧力条件などにより、適宜決定することができる。
鉱化剤に含まれるハロゲン元素の溶媒に対するモル濃度は0.1mol%以上とすることが好ましく、0.3mol%以上とすることがより好ましく、0.5mol%以上とすることがさらに好ましい。また、鉱化剤に含まれるハロゲン元素の溶媒に対するモル濃度は30mol%以下とすることが好ましく、20mol%以下とすることがより好ましく、10mol%以下とすることがさらに好ましい。濃度が低すぎる場合、溶解度が低下し成長速度が低下する傾向がある。一方濃度が濃すぎる場合、溶解度が高くなりすぎて自発核発生が増加したり、過飽和度が大きくなりすぎたりするため制御が困難になるなどの傾向がある。
前記製造方法に用いられる溶媒としては、窒素を含有する溶媒を用いることができる。窒素を含有する溶媒としては、成長させる窒化物単結晶の安定性を損なうことのない溶媒が挙げられる。前記溶媒としては、例えば、アンモニア、ヒドラジン、尿素、アミン類(例えば、メチルアミンのような第1級アミン、ジメチルアミンのような第二級アミン、トリメチルアミンのような第三級アミン、エチレンジアミンのようなジアミン)、メラミン等を挙げることができる。これらの溶媒は単独で用いてもよいし、混合して用いてもよい。
第1の発明の窒化物結晶の製造方法は、反応容器中で実施することができる。
前記反応容器は、窒化物結晶を成長させるときの高温高圧条件に耐え得るものの中から選択することができる。「反応容器」とは、超臨界および/または亜臨界状態の溶媒の存在下で窒化物結晶の製造を行うための容器を意味し、耐圧性容器内部の構造そのものや、耐圧性容器内に設置されるカプセルなどを好ましい例として挙げることができる。前記反応容器としては、特表2003−511326号公報(国際公開第01/024921号パンフレット)や特表2007−509507号公報(国際公開第2005/043638号パンフレット)に記載されるように反応容器の外から反応容器とその内容物にかける圧力を調整する機構を備えたものであってもよいし、そのような機構を有さないオートクレーブであってもよい。
第1の発明の窒化物結晶の製造方法の一例について説明する。第1の発明の窒化物結晶の製造方法を実施する際には、まず、反応容器内に、種結晶、窒素を含有する溶媒、原料、及び鉱化剤を入れて封止する。ここで、前記種結晶としては、主面の面方位は特に限定されないが、C面を主面として成長させた結晶を所望の方向に切り出すことによって、主面が非極性面又は半極性面となる基板を得ることができる。これによって、M面などの非極性面、(10−11)、(20−21)などの半極性面を有する種結晶を得ることができる。
第1の発明の窒化物結晶の製造方法においては、オートクレーブを昇温する際に、一定の温度を保持して、種結晶の成長結晶成長面にメルトバック処理を施してもよい。当該メルトバック処理によって、種結晶の成長結晶成長面や、装置中の部材に付着した結晶核を溶解することができる。前記メルトバック処理の条件としては、結晶成長領域(育成域)と原料充填領域(原料域)の平均温度差としては0℃以上が好ましく、10℃以上が更に好ましく、20℃以上が特に好ましい。また、100℃以下が好ましく、80℃以下が更に好ましく、60℃以下が特に好ましい。また、メルトバック処理の際の結晶成長領域の温度としては、500℃以上であることが好ましく、550℃以上であることがより好ましく、600℃以上であることがさらに好ましい。また、650℃以下が好ましく、630℃以下がより好ましい。原料充填領域の温度としては、500℃以上であることが好ましく、550℃以上であることがより好ましく、590℃以上であることがさらに好ましい。また、650℃以下が好ましく、630℃以下がより好ましい。
なお、第1の発明の窒化物結晶の製造方法にしたがって窒化ガリウムを製造する場合、前記以外の材料、製造条件、製造装置、工程の詳細については特開2009−263229号公報を好ましく参照することができる。該公開公報の開示全体を本明細書に引用して援用する。
本発明の第2の発明は、0.7〜4.5g/cm3の嵩密度を有し、結晶中の酸素濃度が10〜500ppmである窒化物結晶原料を、反応容器の原料充填領域に充填し、反応容器中で超臨界および/または亜臨界状態の溶媒存在下にて窒化物結晶成長を行う。
以下、第2の発明に用いることができる窒化物結晶原料と、この窒化物結晶原料を用いた窒化物結晶成長方法について説明する。
第2の発明では、アモノサーマル法により成長させようとしている窒化物結晶を構成する原子を含む窒化物結晶原料を用いる。例えば、周期表第13族金属の窒化物結晶を成長させようとする場合は、周期表第13族金属を含む原料を用いる。好ましくは第13族窒化物結晶の多結晶原料または単結晶原料を用い、これを第13族原子の金属(メタル)と組み合わせて原料として用いても良い。多結晶原料は、完全な窒化物である必要はなく、条件によっては第13族原子がメタルの状態(ゼロ価)である金属成分を含有しても良い。例えば、成長させる窒化物結晶が窒化ガリウムである場合には、窒化物結晶原料としては、窒化ガリウムと金属ガリウムの混合物が挙げられる。第2の発明で得られる窒化物結晶の種類としては、GaN、InN、AlN、InGaN、AlGaN、AllnGaNなどを挙げることができる。好ましいのはGaN、AlN、AlGaN、AllnGaNであり、より好ましいのはGaNである。よって、窒化物結晶原料としては、前述の結晶の多結晶原料および/またはこれらのメタルを組合せて用いることができる。
第2の発明の窒化物結晶の製造方法は、酸素濃度が10〜500ppmの窒化物結晶原料を使用して、反応容器中において超臨界および/または亜臨界状態の窒素含有溶媒の存在下で、窒化物の結晶成長を行う成長工程を含む。
窒化物結晶原料の酸素濃度は、ドーパントとして十分な量を確保するために10ppm以上であり、15ppm以上であることが好ましく、16ppm以上であることがより好ましく、20ppm以上であることがさらに好ましい。また、窒化物結晶原料の酸素濃度は、不純物の少ない高品質の結晶とするために500ppm以下であり、150ppm以下であることが好ましく、120ppm以下であることが更に好ましく、80ppm以下であることが特に好ましい。窒化物結晶原料の酸素濃度を上記範囲内とすることで、得られる窒化物結晶のキャリア濃度を5×1017〜5×1019atoms/cm3とすることができ、高品質な窒化物結晶を得ることができる。
酸素濃度が10〜500ppmの窒化物結晶原料の製造方法は、特に制限されない。酸素濃度が10〜500ppmの窒化物結晶原料には、通常のHVPE法で製造したものを用いても良く、アモノサーマル法で製造したものを用いても良い。例えば、HVPE法で窒化物結晶原料を製造する場合、反応容器内に水蒸気を混入させ、酸素濃度を適宜調整した窒化物結晶原料を作製することができる。水蒸気には、希釈酸素と水を反応容器内で混合することで作り出されたものを用いることが好ましい。
Y=0.7346X−2×1018
第2の発明では、上記の相関関係式を用いることにより、アモノサーマル法において、再現性の高い酸素ドーピングを行うことが可能となる。これにより、半導体デバイスの用途に応じて、様々なキャリア濃度を有する窒化物結晶を容易に製造することができる。
さらに、上記の相関関係式を用いることで、目的のキャリア濃度を有する窒化物結晶の生産効率を高めることができる。
酸素は活性化率が高いため、n型ドーパントとして有用である。このため、第2の発明では、窒化物化結晶に目的濃度のキャリアを含有するために酸素をドーピングすることが好ましい。また、窒化物結晶に酸素をドーピングすることで、Siをドーピングした場合に比べて窒化物結晶の加工性を高めることができる。第2の発明では窒化物結晶に酸素をドーピングするために、n型ドーパントであるSiの含有量を一定量以下とすることが好ましい。
第2の発明の結晶成長方法では、反応容器内で窒化物結晶原料を溶解させ、それと同時に窒化物結晶を成長させる。窒化物結晶原料に均一に混合された酸素は、溶解される際に徐々に反応容器内に放出され、順次、窒化物結晶に取り込まれる。窒化物結晶原料には酸素は均一に混合されているため、窒化物結晶の成長過程において取り込まれる酸素の量は一定となり、窒化物結晶に含まれるキャリア濃度が均一となる。このように、第2の発明では、主としてドーパント供給源を窒化物結晶原料に限定することによって、窒化物結晶に酸素ドーパントを均一に添加することができる。窒化物結晶が全体として均一なキャリア濃度を有することで、結晶の導電性を安定させることができ、窒化物結晶の品質を高めることができるため好ましい。
通常、アモノサーマル法では、反応容器内に窒化物結晶原料を充填する原料充填領域と種結晶を設置しておく結晶成長領域とを設けておき、原料充填領域において窒化物結晶原料を溶解し、結晶成長領域において種結晶上に窒化物結晶を成長させる。このとき、原料充填領域と結晶成長領域には温度差をつけて、原料充填領域において窒化物結晶原料がより溶解し、結晶成長領域において良質な窒化物結晶がより析出しやすくなるように制御することが好ましい。このため、嵩密度が0.7〜4.5g/cm3の範囲にある窒化物結晶原料を用いる。より好ましくは1.5g/cm3以上であり、更に好ましくは1.8g/cm3以上であって、より好ましくは4.0g/cm3以下であり、更に好ましくは3.0g/cm3以下である。このような範囲の嵩密度を有する窒化物結晶原料を単独または組合せて用いることによって、後述する原料充填領域における窒化物結晶原料の溶解性を調整することができるため好ましい。さらに、窒化物結晶原料の溶解性を向上させて均一に溶解を進めることができるので、窒化物結晶原料に含まれる酸素を、得られる窒化物結晶に均一かつ効率的にドープすることができ、良質な窒化物結晶を得ることができるため好ましい。
6.1g/cm3 × 0.3 =1.83 g/cm3 (嵩密度)
第2の発明でいう「原料充填領域」は、反応開始前の反応容器の長軸が鉛直方向となるように設置したときに、充填した結晶原料の最下端部を含む水平面と充填した結晶原料の最上端部を含む水平面とで挟まれた反応容器内領域をいう。
第2の発明で用いる窒化物結晶原料の粒径は、嵩密度の調整のし易さや、取り扱いのし易さ等の面から反応容器のサイズによって好ましい範囲が異なる。具体的には、反応容器のサイズがより大きくなれば、窒化物結晶原料の粒径もより大きくて構わない。例えば、直径が26mm程度または30mm程度の反応容器を用いる場合の粒径は、最大径が0.5μm以上であるものを用いることが好ましく、1μm以上であるものを用いることがより好ましく、10μm以上であるものを用いることがさらに好ましく、また、20mm以下であるものを用いることが好ましく、15mm以下であるものを用いることがより好ましく、10mm以下であるものを用いることがさらに好ましい。また、例えば直径が60mm程度の反応容器を用いる場合の粒径は、最大径が0.5μm以上であるものを用いることが好ましく、1μm以上であるものを用いることがより好ましく、10μm以上であるものを用いることがさらに好ましく、また、50mm以下であるものを用いることが好ましく、30mm以下であるものを用いることがより好ましく、20mm以下であるものを用いることがさらに好ましい。
第2の発明で用いる窒化物結晶原料の形状は、球状、断面が楕円である粒状、板状、直方形状、三角形状、珊瑚状(表面に凹凸があり表面積が大きくなった状態をいう)であっても良い。溶媒の対流を大きく阻害しないよう結晶原料間に一定の空隙が設けられていることが好ましい。また、嵩密度の調整が容易となるため、楕円粒状、直方形状、三角形状、珊瑚状、金平糖状であることがより好ましい。第2の発明で用いる窒化物結晶原料の形状は、第1の発明におけるものと同様のものが挙げられる。
第2の発明の製造方法では、原料充填領域に結晶原料を充填した後に、アモノサーマル法により窒化物結晶を製造する。
アモノサーマル法とは、超臨界状態および/または亜臨界状態にあるアンモニア溶媒などの窒素を含有する溶媒と、結晶原料の溶解−析出反応を利用して所望の窒化物単結晶を製造する方法である。結晶成長は、アンモニアなどの溶媒への結晶原料溶解度の温度依存性を利用して、温度差により過飽和状態を発生させて結晶を析出させることにより行う。
第2の発明では、アモノサーマル法による窒化物結晶を成長させる際に、鉱化剤を用いることが好ましい。鉱化剤は、アンモニアなどの窒素を含有する溶媒に対する結晶原料の溶解度を向上させるために用いられる。前記鉱化剤としては第1の発明に記載のものと同様のものを使用することができ、好ましい態様についても同様である。
窒化物原料以外からの酸素の供給を低減するために、鉱化剤に含まれる水や酸素の量はできるだけ少ないことが望ましく、これらの含有量は1000ppm以下であることが好ましく、10ppm以下であることがより好ましく、1ppm以下であることがさらに好ましい。
第2の発明の製造方法に用いられる溶媒には、窒素を含有する溶媒を用いることができる。前記溶媒としては第1の発明に記載のものと同様のものを使用することができ、好ましい態様についても同様である。
窒化物原料以外からの酸素の供給を低減するために、溶媒に含まれる水や酸素の量はできるだけ少ないことが望ましく、これらの含有量は1000ppm以下であることが好ましく、10ppm以下であることがより好ましく、0.1ppm以下であることがさらに好ましい。アンモニアを溶媒として用いる場合、その純度は通常99.9%以上であり、好ましくは99.99%以上であり、さらに好ましくは99.999%以上であり、特に好ましくは99.9999%以上である。
第2の発明の窒化物結晶の成長工程は、反応容器中で実施される。「反応容器」とは、超臨界および/または亜臨界状態の溶媒の存在下で窒化物結晶の製造を行うための容器を意味し、耐圧性容器内部の構造そのものや、耐圧性容器内に設置されるカプセルなどを好ましい例として挙げることができる。第2の発明で用いる反応容器としては、特表2003−511326号公報(国際公開第01/024921号パンフレット)や特表2007−509507号公報(国際公開第2005/043638号パンフレット)に記載されるように、反応容器の外から反応容器とその内容物にかける圧力を調整する機構を備えたオートクレーブであっても良いし、そのような機構を有さないオートクレーブであっても良い。
反応容器および設置部材は、特にn型ドーパントが表面に露出しない構造を有することが好ましい。n型ドーパントが表面に露出しないように、反応容器および設置部材をn型ドーパントの含有量が少ない構成材で形成しても良く、反応容器および設置部材の表面をコーティングまたはライニングしても良い。n型ドーパントが表面に露出しないようにすることで、窒化物結晶原料由来ではないドーパントが成長工程で窒化物結晶に取り込まれることを防ぐことができる。
また、反応容器および設置部材の表面をコーティングまたはライニングする場合は、n型ドーパントの量が1000ppm以下のコーティング材またはライニング材でコーティングされていることが好ましい。コーティング材またはライニング材のn型ドーパントの量は1000ppm以下であれば良く、100ppm以下であることがより好ましく、10ppm以下であることがさらに好ましい。n型ドーパントの量を上記上限値以下とすることで、所望のキャリア濃度を有する窒化物結晶を得るための条件設定をより正確に行うことができる。
白金族としては、Pt、Au、Ir、Ru、Rh、Pd、Agが挙げられる。白金族合金は、これらの貴金属を主成分とする合金のことを言う。白金族合金の中でも優れた耐食性を有するPtまたはPtおよびIrを含む合金を用いることが好ましい。
また、反応容器の内壁を白金族または白金族合金とする場合や、反応容器および設置部材の表面を白金族または白金族合金でコーティングする場合は、コーティング材はPtおよびGaを含む合金を用いることが好ましく、さらにIrを含む合金を用いることが好ましい。これらの白金族を含有する合金は、コーティングに適しており、優れた耐食性を持たせることができる。
合金中のIr含有率は合金の全体重量の30重量%以下であることが好ましく、25重量%以下であることがより好ましい。Ir含有率を上記上限値以下とすることにより、反応容器に優れた耐食性を持たせることができる。
さらに、反応容器は耐圧性容器であることが好ましい。特に、反応容器の内壁を白金族または白金族合金とする場合や、反応容器および設置部材の表面を白金族または白金族合金でコーティングまたはライニングする場合は、反応容器を形成する他の素材で耐圧性を確保することが好ましい。
白金族以外で耐圧性と耐食性を有する材料としてはTi、W、Ni、Mo、Ru、Nbやその合金を使用することができる。好ましくは、Mo、W、Tiである。
第2の発明の窒化物結晶の製造方法に用いることのできる結晶製造装置は、第1の発明に記載のものと同様のものを使用することができ、好ましい態様についても同様である。
第2の発明の窒化物結晶の製造方法の一例について説明する。第2の発明の窒化物結晶の製造方法を実施する際には、まず、反応容器内に、種結晶、窒素を含有する溶媒、原料、および鉱化剤を入れて封止する。ここで、種結晶としては、主面の面方位は特に限定されないが、C面を主面として成長させた結晶を所望の方向に切り出すことによって、主面が非極性面または半極性面となる基板を得ることができる。これによって、M面などの非極性面、(10−11)、(20−21)などの半極性面を有する種結晶を得ることができる。
反応容器中に存在する酸素、酸化物または水蒸気を除去するには、反応容器中に窒化物結晶原料を充填した後に、反応容器中を真空状態とすることや、反応容器中に不活性化ガスを満たす方法を採用することができる。また、反応容器や反応容器に包含される各種の部材を乾燥させることによっても酸素、酸化物または水蒸気を除去することができる。
その後、全体を加熱して反応容器内を超臨界状態または亜臨界状態とする。超臨界状態では一般的には、物質の粘度が低く、液体よりも容易に拡散されるが、液体と同様の溶媒和力を有する。亜臨界状態とは、臨界温度近傍で臨界密度とほぼ等しい密度を有する液体の状態を意味する。例えば、原料充填部では、超臨界状態として原料を溶解し、結晶成長部では亜臨界状態となるように温度を変化させて超臨界状態と亜臨界状態の原料の溶解度差を利用した結晶成長も可能である。
なお、上述したの「反応温度」は、反応容器の外面に接するように設けられた熱電対、および/または外表面から一定の深さの穴に差し込まれた熱電対によって測定され、反応容器の内部温度へ換算して推定することができる。これら熱電対で測定された温度の平均値をもって平均温度とする。通常は、原料充填領域の温度と結晶成長領域の温度の平均値を平均温度とする。
なお、第2の発明の窒化物結晶の製造方法にしたがって窒化ガリウムを製造する場合、前記以外の材料、製造条件、製造装置、工程の詳細については特開2009−263229号公報を好ましく参照することができる。該公開公報の開示全体を本明細書に引用して援用する。
第2の発明に係る窒化物結晶は、上述した製造方法によって得ることができる。第2の発明で得られた窒化物結晶の酸素濃度は1.5×1018〜2.5×1019atoms/cm3であり、下記式で求められるドーパント活性化率ηは10〜90%である。
窒化物結晶の酸素濃度として好ましくは2×1018atoms/cm3以上であり、より好ましくは2.5×1018atoms/cm3以上であって、好ましくは2×1019atoms/cm3以下であり、より好ましくは1.5×1019atoms/cm3以下である。また、ドーパント活性化率ηは、好ましくは20%以上であり、より好ましくは30%以上であって、好ましくは85%以下であり、より好ましくは80%以下である。
また、第2の発明で得られた窒化物結晶のキャリア濃度は、5×1017〜2×1019atoms/cm3である。キャリア濃度が5×1017〜2×1019atoms/cm3の範囲内となることで、適切な導電性を示す窒化物結晶を得ることができる。キャリア濃度として好ましくは8×1017atoms/cm3以上であり、より好ましくは1×1018atoms/cm3以上であって、好ましくは1.5×1019atoms/cm3以下であり、より好ましくは1×1019atoms/cm3以下である。
得られた窒化物結晶のFの濃度は、好ましくは1×1018atoms/cm3以下であり、より好ましくは5×1017atoms/cm3以下である。Clの濃度は、好ましくは1×1019atoms/cm3以下であり、より好ましくは3×1018atoms/cm3以下である。Brの濃度は、好ましくは1×1017atoms/cm3以下であり、より好ましくは1×1016atoms/cm3以下である。Iの濃度は、好ましくは1×1017atoms/cm3以下であり、より好ましくは3×1015atoms/cm3以下である。
本発明(第1〜第2の発明)の窒化物結晶は、本発明の窒化物結晶の製造方法により製造されることを特徴とする。
本発明(第1〜第2の発明)の窒化物結晶の製造方法により成長させた窒化物結晶層を所望の方向に切り出すことにより、任意の結晶方位を有するウエハ(半導体基板)を得ることができる。本発明の製造方法によって厚くて大口径のM面を有する窒化物結晶を製造した場合は、m軸に垂直な方向に切り出すことにより、大口径のM面ウエハを得ることができる。また、本発明の製造方法によって大口径の半極性面を有する窒化物結晶を製造した場合は、半極性面に平行に切り出すことにより、大口径の半極性面ウエハを得ることができる。これらのウエハも、均一で高品質であるという特徴を有する。
本発明(第1〜第2の発明)の窒化物結晶やウエハは、デバイス、即ち発光素子や電子デバイスなどの用途に好適に用いられる。本発明の窒化物結晶やウエハが用いられる発光素子としては、発光ダイオード、レーザーダイオード、それらと蛍光体を組み合わせた発光素子などを挙げることができる。また、本発明の窒化物結晶やウエハが用いられる電子デバイスとしては、高周波素子、高耐圧高出力素子などを挙げることができる。高周波素子の例としては、トランジスター(HEMT、HBT)があり、高耐圧高出力素子の例としては、サイリスター(IGBT)がある。本発明の窒化物結晶やウエハは、均一で高品質であるという特徴を有することから、前記のいずれの用途にも適している。中でも、均一性が高いことが特に要求される電子デバイス用途に適している。
<実施例1,実施例3、実施例6、および実施例8で使用する窒化物結晶原料の調製>
実施例1,実施例3、実施例6、および実施例8において前記窒化物結晶の製造方法の原料として使用するGaN多結晶の嵩密度を以下の方法で制御した。
ハイドライド気相成長(HVPE)法により、種結晶を用いずに製造した珊瑚状のGaN多結晶(3次粒子の最大径0.5〜50mm)を、GaN多結晶同士を互いに衝突させることにより3次粒子の最大径0.5mm〜20mmになるまで粉砕して、その嵩密度を制御した。このときの粉砕は、大気ガス雰囲気下、相対湿度50%以下の環境下で、約26℃にてGaN多結晶を互いに衝突させて粉砕する方法で行った。なお、粉砕されたGaN多結晶も、珊瑚状の形状を維持していた。
また、光学顕微鏡によって観察したところ、得られたGaN多結晶は0.5〜1mmの最大径を有する2次粒子が凝集してなる、0.5〜20mmの最大径を有する3次粒子であることがわかった。また、3次粒子の粒径の分布としては、0.1〜1.0mmの粒子が1.7質量%であり、1.0〜20mmの粒子が98.3質量%であった。得られたGaN多結晶原料の嵩密度は、1.8g/cm3であった。
RENE41製オートクレーブ1(内容積約345cm3)を耐圧性容器として用い、Pt−Ir製カプセル20を反応容器として結晶成長を行った。Pt−Ir製カプセルの内径は2.5cmであった。カプセルへの充填作業は十分に乾燥した窒素雰囲気グローブボックス内にて行った。原料8として調製例1にて得られたGaN多結晶130.36gを秤量し、バッルフ板と種結晶支持枠を支えるためのPt製網状構造体(不図示。30.4g、体積1.39cm3)と共にカプセル下部領域(原料充填領域9)内に設置した。このとき、GaN多結晶が入った領域の最下端(カプセル下部)から最上端までの高さは約15cmであった。また、Pt構造物は約3分の2がGaN多結晶原料が入った領域に埋もれた状態であった。以上より、反応容器の原料充填領域におけるGaN多結晶の嵩密度は(GaN多結晶粒子重量130.36g)/((カプセル内円面積4.9cm2)×(高さ15cm)−(Pt構造物の体積1.39cm3×2/3))で計算され、約1.8g/cm3であった。なお、使用した多結晶のサイズは1辺が0.5〜20mmで珊瑚形状であった。
なお、上記にて使用したGaN多結晶原料の酸素濃度をCAMECA社製Ims−4fを用いたSIMSによって測定したところ、4.6×1018cm-3であることがわかった。
つぎにカプセル20の上部にPt−Ir製のキャップを接続したのち、重量を測定した。キャップ上部に付属したチューブに図1のバルブ10と同様のバルブを接続し、真空ポンプ11に通ずるようバルブを設置し真空脱気した。その後バルブを窒素ボンベ13に通ずるように操作しカプセル内を窒素ガスにてパージを行った。前記真空脱気、窒素パージを5回行った後、真空ポンプに繋いだ状態で加熱をしてカプセル内の水分や付着ガスの脱気を行なった。つづいて酸性鉱化剤としてHClガスを流量制御に基づきアンモニアに対する濃度が3mol%になるように液体窒素温度にて充填した。次にNH3を充填した後、カプセル20を密封した。
その後、オートクレーブ1の外面の温度が室温に戻るまで自然冷却し、オートクレーブに付属したバルブ10を開放し、オートクレーブ内のNH3を取り除いた。その後オートクレーブ1を計量しNH3の排出を確認した後、オートクレーブの蓋を開け、カプセル20を取り出した。カプセル上部に付属したチューブに穴を開けカプセル内部からNH3を取り除いた。カプセル内部を確認したところ、C面、M面いずれの種結晶上にも全面に均一に窒化ガリウム結晶が析出していた。
実施例2では、表1に記載される通り、原料として嵩密度がより大きい単結晶を粉砕して得られた三角形状の単結晶GaNを使用した以外は上記の実施例1の手順と同様にして種結晶上に窒化ガリウム結晶を析出させた。
実施例3では、酸性鉱化剤としてHClの代わりに純度99.999%のNH4Iと純度99.999%のGaF3を使用し、充填NH3量に対するI濃度とF濃度を併せた濃度が2.25mol%となるようそれぞれの鉱化剤を秤量してカプセル内に投入、更に成長温度と成長圧力を表1に記載される通りに変更した。原料の嵩密度やその他の手順は実施例1と同様にして、表1の条件で種結晶上に窒化ガリウム結晶を析出させた。
成長終了後の未溶解原料の重量を確認したところ82.19gであった。これより、GaN多結晶原料の溶解率を算出し、表1に記載した。回収したGaN多結晶原料を確認したところ、全体的に溶解して小粒になっていることを確認した。これは、GaN多結晶原料全体にNH3が接触していたと思われる。
実施例4では、表1に記載される通り、原料として嵩密度がより小さい0.8g/cm3の板状のGaN多結晶原料を用いた以外は実施例3の手順と同様にして、表1の条件で種結晶上に窒化ガリウム結晶を析出させた。
比較的粒径および嵩密度が小さいGaN多結晶原料を用いて、原料充填領域9におけるGaN多結晶原料の嵩密度が0.8g/cm3となるように充填したところ、カプセル20の結晶成長領域に近い範囲まで原料が達した。これにより、結晶成長領域に近い箇所のGaN多結晶原料は十分に溶解されず、これを核として種結晶以外の部分に窒化ガリウム結晶が析出した。よって、成長速度はこれらの自発核成長結晶を含めて予測される値を表1に示す。
実施例5では、表1に記載される通り、原料として嵩密度がより大きい3.2g/cm3の小粒状のGaN多結晶原料を用いた以外は実施例3の手順と同様にして、表1の条件で種結晶上に窒化ガリウム結晶を析出させた。
成長終了後の未溶解原料の重量を測定してGaN多結晶原料の溶解率を算出し、表1に記載した。回収したGaN多結晶原料を確認したところ、全体的に溶解してさらに小粒になっていることを確認した。これは、GaN多結晶原料全体にNH3が接触していたと思われる。ただし、用いた原料が小粒状であり比較的粒径の小さいものであったことにより、溶媒の対流がやや抑えられていたため、溶解率が低くなったと考えられる。
実施例6では、表1に記載される通り、反応容器の原料充填領域における嵩密度がさらに大きくなるよう実施例1で用いた珊瑚形状のGaN多結晶と粉状のGaN多結晶を混ぜたものを用いた。ここで用いた粉状の多結晶GaNについて単独で測定した嵩密度は1.8g/cm3であった。
本実施例の原料の混合手順であるが、まず嵩密度の大きい珊瑚状のGaN多結晶を入れた。その後、粉状の多結晶GaNを投入するが、カプセルを揺すって珊瑚状のGaN多結晶の隙間を埋めるようにして原料をチャージした。
これは、珊瑚形状のGaN多結晶の嵩密度が1.8g/cm3であることから、理論上の嵩密度の最大値である窒化ガリウムの密度である約6.1g/cm3から、約30%の体積を占有し、残りの70%を粉状のGaN多結晶で隙間を埋めたとして計算した約3.0g/cm3と一致した。
上記のようにGaN多結晶を充填した以外は、実施例3の手順と同様にして、表1の条件で種結晶上に窒化ガリウム結晶を析出させる。原料充填領域における嵩密度が大きくなったことから、種結晶上の成長速度はやや遅くなるが、長期間の結晶成長が可能となる。
実施例7では、表1に記載される通り、反応容器の原料充填領域における嵩密度がさらに大きくなるよう、実施例2で用いた単結晶を粉砕して得られた三角形状のGaN単結晶と実施例6で用いた粉状のGaN多結晶を混ぜたものを用いた。ここで用いた三角形状のGaN単結晶について単独で測定した嵩密度は2.5g/cm3であった。
上記のようにGaN多結晶を充填した以外は、実施例3の手順と同様にして、表1の条件で種結晶上に窒化ガリウム結晶を析出させる。原料充填領域における嵩密度がさらに大きくなったことから、種結晶上の成長速度は顕著に遅くなるが、長期間の結晶成長が可能となる。
(結晶成長)
白金を内張りした内寸が直径20mm、長さ350mmのInconel625製のオートクレーブ(約110ml)を用いて、内径12mm、長さ120mm、肉厚1〜2mmのpBN製るつぼに、十分に乾燥させた調製例1で得られたGaN多結晶原料を7.23g入れ、該オートクレーブの底部に配置した。原料充填領域の嵩密度は0.8g/cm3であった。次いで、鉱化剤として十分に乾燥した純度99.99%のNH4Cl 2.6gを使用し、充填NH3量に対するCl濃度が1.92mol%となるよう鉱化剤を秤量して反応容器であるオートクレーブ内に投入した。その後、バッフル板および種結晶を2個設置した。設置した種結晶はc面を主面とする重量が218.1mgであるものと、m面が主面の重量が28.1mgであるものであった。種結晶を設置後、素早く、バルブが装着されたオートクレーブの蓋を閉じ、オートクレーブの計量を行った。次いでオートクレーブに付属したバルブを介して導管を真空ポンプに通じるように操作し、バルブを開けて真空脱気した。その後、真空状態を維持しながらオートクレーブをドライアイスメタノール溶媒によって冷却し、一旦バルブを閉じた。次いで、導管をNH3ボンベに通じるように操作した後、再びバルブを開け連続して外気に触れることなくNH3をオートクレーブに充填した後、再びバルブを閉じた。オートクレーブの温度を室温に戻し、外表面を十分に乾燥させ充填したNH3の増加分の計量を行った。
その後、オートクレーブの下部外面の温度が150℃になるまでおよそ8時間を掛け降温した後、ヒーターによる加熱を止め、電気炉内で自然放冷した。オートクレーブの下部外面の温度がほぼ室温まで降下したことを確認した後、まず、オートクレーブに付属したバルブを開放し、オートクレーブ内のNH3を取り除いた。その後オートクレーブを計量しNH3の排出を確認した後、一旦バルブを閉じ、真空ポンプに通ずるように操作した。
c面が主面の種結晶(c面シード)の重量を測定したところ、325.4mgで、107.3mgの重量増加が確認され、m面が主面の種結晶(m面シード)では、34.7mgと6.6mgの重量増加が確認された。これにより、窒化ガリウム結晶の析出を確認した。また、GaN多結晶原料を入れたるつぼには1.10gのGaNの粉体結晶が溶け残っており、原料の溶解量は6.13gであり、表1に記載したように、原料の85%が溶解していた。
本実施例では、図1に示す反応装置を用いて窒化物結晶を成長させた。
RENE41製オートクレーブ1を耐圧性容器として用い、Pt−Ir製カプセル20を反応容器として結晶成長を行なった。原料8として調整例1と同様にして得られた嵩密度が1.8g/cm3であり、酸素濃度が20ppmであるGaN多結晶粒子130gを秤量し、カプセル下部領域(原料充填領域9)内に設置した。次に鉱化剤として十分に乾燥した純度99.999%のNH4Fを充填NH3量に対してF濃度が0.5mol%となるよう秤量しカプセル内に投入した。さらに下部の原料充填領域9と上部の結晶成長領域6の間に白金製のバッフル板5設置した。種結晶7としてm面を主面とする六方晶系GaN単結晶3枚とc面ウェハー1枚を用いた。m面を主面とする種結晶の表面はCMP仕上げされているおり、c面ウェハーの主面はLAP処理がされている。これら種結晶7を直径0.3mmの白金ワイヤー7により白金製種子結晶支持枠に吊るし、カプセル上部の結晶成長領域6に設置した。
次に、カプセル下部を液体窒素で冷却し、バルブを開け外気に触れることなくHI充填した。流量制御に基づき、鉱化剤としてHIを充填NH3量に対してI濃度が1.5mol%となるよう充填した後、再びバルブを閉じた。次いで、カプセルをHIラインから外しNH3ガスラインに接続した。ガスラインを真空脱気、窒素パージを行った後、真空ポンプにて真空引きを行った。その後、NH3ラインのバルブを操作し、流量制御に基づき、NH3を先に充填したHIガスと等mol量充填し、バルブを閉じた。次いで、カプセルを液体窒素から取り出し、ドライアイスエタノール溶媒により冷却した。続いて再びバルブを開け外気に触れることなくNH3を充填したした後、再びバルブを閉じた。その後、キャップ上部のチューブを溶接機により封じ切った。
続いてオートクレーブ1を上下に2分割されたヒーターで構成された電気炉内に収納した。オートクレーブ内部の平均温度が600℃、内部の温度差が20℃になるようにオートクレーブ外面温度で制御しながら昇温した。設定温度に達した後、その温度にて16.8日間保持した。オートクレーブ内の圧力は215MPaであった。また保持中のオートクレーブ外面制御温度のバラツキは±0.3℃以下であった。
オートクレーブ1を計量しNH3の排出を確認した後、オートクレーブの蓋を開け、カプセル20を取り出した。カプセル内部を確認すると、m面、c面いずれの種結晶上にも窒化ガリウム結晶が成長していた。肉眼観察では、黄色〜茶色の透明な結晶であり、特にm面窒化ガリウム結晶にはクラックやボイドなど可視的な欠陥は見られなかった。種結晶上に成長した窒化ガリウム結晶をX線回折測定した結果、結晶系は六方晶系であり、立方晶GaNは含まれていないことが確認された。成長速度((結晶厚み−種結晶厚み)/成長日数)はm軸方向に220μm/日であった。表1に示す通り、溶解率は51%であり、回収したGaN多結晶原料を確認したところ、全体的に溶解して小粒になっていることを確認した。これは、GaN多結晶原料全体にNH3が接触していたと思われる。
得られた窒化ガリウム結晶を、窒素90%−アンモニア10%雰囲気下で、1060℃、24時間アニール処理を行った後、ホール測定を行った。アニール後のGaN結晶のホール測定の結果から、キャリア濃度が1.90×1018atoms/cm3、移動度が288cm2/V・s、比抵抗が1.08×10-2Ωcmであることを確認した。
原料8として調整例1に準じる方法で得られた嵩密度が2.2g/cm3であり、酸素濃度が13ppmであるGaN多結晶粒子を用いたほかは、表1に示す条件として、実施例9と同様におこなった。表1に示す通り、溶解率は70%であり、回収したGaN多結晶原料を確認したところ、全体的に溶解して小粒になっていることを確認した。これは、GaN多結晶原料全体にNH3が接触していたと思われる。
成長した窒化ガリウム結晶をSIMSにより分析すると、酸素濃度は1.50×1018atoms/cm3であり、Si濃度は2.06×1014atoms/cm3であった。
得られた窒化ガリウム結晶を、窒素90%−アンモニア10%雰囲気下で、1060℃、24時間アニール処理を行った後、ホール測定を行った。アニール後のGaN結晶のホール測定の結果から、キャリア濃度が6.7×1017atoms/cm3、移動度が335cm2/V・s、比抵抗が2.40×10-2Ωcm、F濃度は4.30×1017atoms/cm3、I濃度は2.86×1017atoms/cm3であることを確認した。
原料8として調整例1に準じる方法で得られた嵩密度が1.8g/cm3であり、酸素濃度が20ppmであるGaN多結晶粒子を用いたほかは、表1に示す条件として、実施例9と同様におこなった。表1に示す通り、溶解率は68%であり、回収したGaN多結晶原料を確認したところ、全体的に溶解して小粒になっていることを確認した。これは、GaN多結晶原料全体にNH3が接触していたと思われる。
成長した窒化ガリウム結晶をSIMSにより分析すると、酸素濃度は4.80×1018atoms/cm3であった。
得られた窒化ガリウム結晶を、窒素90%−アンモニア10%雰囲気下で、1060℃、24時間アニール処理を行った後、ホール測定を行った。アニール後のGaN結晶のホール測定の結果から、キャリア濃度が2.44×1018atoms/cm3、移動度が343cm2/V・s、比抵抗が2.33×10-2Ωcmであることを確認した。
原料8として調整例1に準じる方法で得られた嵩密度が1.8g/cm3であり、酸素濃度が20ppmである多結晶GaN粒子を用いたほかは、表1に示す条件として、実施例9と同様におこなった。表1に示す通り、溶解率は64%であり、回収したGaN多結晶原料を確認したところ、全体的に溶解して小粒になっていることを確認した。これは、GaN多結晶原料全体にNH3が接触していたと思われる。
成長した窒化ガリウム結晶をSIMSにより分析すると、酸素濃度は6.90×1018atoms/cm3であり、Si濃度は1.5×1016atoms/cm3であった。
得られた窒化ガリウム結晶を、窒素90%−アンモニア10%雰囲気下で、1060℃、24時間アニール処理を行った後、ホール測定を行った。アニール後のGaN結晶のホール測定の結果から、キャリア濃度が1.69×1018atoms/cm3、移動度が330cm2/V・s、比抵抗が2.11×10-2Ωcm、F濃度が2.7×1017atms/cm3、I濃度が2.5×1015atms/cm3以下、Cl濃度1.5×1015atms/cm3以下であることを確認した。
原料8として調整例1に準じる方法で得られた嵩密度が2.6g/cm3であり、酸素濃度が61ppmである多結晶GaN粒子を用いたほかは、表1に示す条件として、実施例9と同様におこなった。表1に示す通り、溶解率は46%であり、回収したGaN多結晶原料を確認したところ、全体的に溶解して小粒になっていることを確認した。これは、GaN多結晶原料全体にNH3が接触していたと思われる。
得られた窒化ガリウム結晶を、窒素90%−アンモニア10%雰囲気下で、1060℃、24時間アニール処理を行った後、ホール測定を行った。アニール後のGaN結晶のホール測定の結果から、キャリア濃度が1.70×1018atoms/cm3であることを確認した。
原料8として調整例1に準じる方法で得られた嵩密度が1.9g/cm3であり、酸素濃度が78ppmである多結晶GaN粒子を用いたほかは、表1に示す条件として、実施例9と同様におこなった。表1に示す通り、溶解率は84%であり、回収したGaN多結晶原料を確認したところ、全体的に溶解して小粒になっていることを確認した。これは、GaN多結晶原料全体にNH3が接触していたと思われる。
成長した窒化ガリウム結晶をSIMSにより分析すると、酸素濃度は9.9×1018atoms/cm3であり、Si濃度は7.4×1014atoms/cm3であった。
得られた窒化ガリウム結晶を、窒素90%−アンモニア10%雰囲気下で、1060℃、24時間アニール処理を行った後、ホール測定を行った。アニール後のGaN結晶のホール測定の結果から、キャリア濃度が3.09×1018atoms/cm3、移動度が226cm2/V・s、比抵抗が0.90×10-2Ωcm、F濃度が2.94×1017atms/cm3、I濃度が2.35×1015atms/cm3以下であることを確認した。
原料8として調整例1に準じる方法で得られた嵩密度が1.8g/cm3である多結晶GaN粒子を用いたほかは、表1に示す条件として、実施例9と同様におこなった。表1に示す通り、溶解率は61%であり、回収したGaN多結晶原料を確認したところ、全体的に溶解して小粒になっていることを確認した。これは、GaN多結晶原料全体にNH3が接触していたと思われる。
成長した窒化ガリウム結晶をSIMSにより分析すると、酸素濃度は9.00×1018atoms/cm3であり、Si濃度は3.00×1014atoms/cm3であった。
得られた窒化ガリウム結晶を、窒素90%−アンモニア10%雰囲気下で、1060℃、24時間アニール処理を行った後、ホール測定を行った。アニール後のGaN結晶のホール測定の結果から、キャリア濃度が3.90×1018atoms/cm3、移動度が181cm2/V・s、比抵抗が8.86×10-3Ωcmであることを確認した。
原料8として調整例1に準じる方法で得られた嵩密度が1.8g/cm3である多結晶GaN粒子を用いたほかは、表1に示す条件として、実施例9と同様におこなった。
成長した窒化ガリウム結晶をSIMSにより分析すると、酸素濃度は2.00×1019atoms/cm3であり、Si濃度は5.00×1014atoms/cm3であった。
得られた窒化ガリウム結晶を、窒素90%−アンモニア10%雰囲気下で、1060℃、24時間アニール処理を行った後、ホール測定を行った。アニール後のGaN結晶のホール測定の結果から、キャリア濃度が9.54×1018atoms/cm3、移動度が158cm2/V・s、比抵抗が4.09×10-3Ωcmであることを確認した。
原料8として調整例1に準じる方法で得られた嵩密度が1.8g/cm3であり、酸素濃度が148ppmである多結晶GaN粒子を用いたほかは、表1に示す条件として、実施例9と同様におこなって、窒化ガリウム結晶を得た。得られた窒化ガリウム結晶は、全体に黒く着色していた。
比較例1では、表1に記載される通り、原料として嵩密度が最も小さいヒューム状のGaN多結晶(20〜30μmの粉状のGaNが隙間を有する状態で凝集して、0.1〜20mmのサイズを有する)使用した以外は実施例3と同じ手順と同様にして種結晶上に窒化ガリウムを析出させる。原料充填領域におけるGaN多結晶の嵩密度は0.6g/cm3である。
比較例2では、表1に記載される通り、原料として嵩密度が最も大きいウエハ状の単結晶GaN積み重ねて原料として使用した以外は実施例3と同じ手順と同様にして種結晶上に窒化ガリウムを析出させる。
原料充填領域におけるGaN結晶の嵩密度は、直径が0.4cm、厚み0.5cmの円板状のGaN単結晶を重ねた際の隙間が0.1cmとして、内径24cmのカプセルに、原料の100kgを投入した際の試算は、4.9g/cm3である。
実施例17は、嵩密度が1.8g/cm2、酸素濃度が148ppmのGaN結晶原料を用いて結晶を成長させたものである。図3に示す、実施例9〜12の窒化物結晶原料中の酸素濃度と成長結晶のキャリア濃度の関係から推測すると、実施例17ではキャリア濃度が2.50×1019atoms/cm3程度の窒化ガリウム結晶が得られたものと考えられる。
実施例4は嵩密度が0.8g/cm2、酸素濃度が130ppmのGaN結晶原料を用いて結晶を成長させたものである。図3に示す、実施例7〜10の窒化物結晶原料中の酸素濃度と成長結晶のキャリア濃度の関係から推測すると、実施例4では、キャリア濃度が1.50×1019atoms/cm3程度の窒化ガリウム結晶が得られたものと考えられる。
図3は、窒化物結晶原料中の酸素濃度と成長した窒化ガリウム結晶のキャリア濃度の関係を示すグラフである。ひし形で表される点が実施例9〜12、および14の結果であり、四角形で表される点は、実施例17および実施例4の結果を示す。図3の近似線で表される通り、原料中の酸素濃度と成長結晶のキャリア濃度に相関関係があることがわかった。
図4は、成長した窒化ガリウム結晶中の酸素濃度とキャリア濃度の関係を示すグラフである。図4の各点は実施例9〜12、14〜16の結果を示す。図4より、活性化率の平均は45%であることがわかった。
2 オートクレーブ内面
3 ライニング
4 ライニング内面
5 バッフル板
6 結晶成長領域
7 種結晶
8 原料
9 原料充填領域
10 バルブ
11 真空ポンプ
12 アンモニアボンベ
13 窒素ボンベ
14 マスフローメーター
20 カプセル
21 カプセル内面
Claims (12)
- 窒化物結晶原料を反応容器の原料充填領域に充填し、反応容器中で超臨界および/または亜臨界状態の溶媒存在下にて結晶成長を行う窒化物結晶の製造方法であって、前記窒化物結晶原料を原料充填領域に0.7〜4.5g/cm3の嵩密度で充填して結晶成長を行うことを特徴とする、窒化物結晶の製造方法。
- 前記嵩密度が0.8〜3.6g/cm3である、請求項1に記載の窒化物結晶の製造方法。
- 前記窒化物結晶原料の最大径が0.5μm〜120mmである、請求項1または2に記載の窒化物結晶の製造方法。
- 前記窒化物結晶原料の粒子は、最大径が100〜1000μmの2次粒子が凝集してなる、最大径が1〜120mmの3次粒子である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の窒化物結晶の製造方法。
- 前記窒化物結晶原料中の酸素濃度が10〜500ppmである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の窒化物結晶の製造方法。
- 0.7〜4.5g/cm3の嵩密度を有し、結晶中の酸素濃度が10〜500ppmである窒化物結晶原料を、反応容器の原料充填領域に充填し、反応容器中で超臨界および/または亜臨界状態の溶媒存在下にて窒化物結晶成長を行うことを特徴とする、窒化物結晶の製造方法。
- 前記窒化物結晶原料の粒子は、最大径が100〜1000μmの2次粒子が凝集してなる、最大径が1〜120mmの3次粒子である、請求項6に記載の窒化物結晶の製造方法。
- 前記原料充填領域に網状構造体を設置する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の窒化物結晶の製造方法。
- 前記窒化物結晶原料を網状構造体の中に充填したうえで前記原料充填領域に設置する、請求項8に記載の窒化物結晶の製造方法。
- 前記窒化物結晶原料の溶解率が40%以上である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の窒化物結晶の製造方法。
- 前記窒化物結晶のc軸方向の成長速度が、100μm/day以上である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の窒化物結晶の製造方法。
- 請求項1〜11のいずれか1項に記載の窒化物結晶の製造方法により製造されることを特徴とする、窒化物結晶。
Applications Claiming Priority (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
US201161552801P | 2011-10-28 | 2011-10-28 | |
US61/552801 | 2011-10-28 | ||
JP2012188099 | 2012-08-28 | ||
JP2012188099 | 2012-08-28 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012236354A Division JP2014062023A (ja) | 2011-10-28 | 2012-10-26 | 窒化物結晶の製造方法 |
Related Child Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018051986A Division JP6493588B2 (ja) | 2011-10-28 | 2018-03-20 | 窒化物結晶の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016222540A true JP2016222540A (ja) | 2016-12-28 |
JP6494571B2 JP6494571B2 (ja) | 2019-04-03 |
Family
ID=50617629
Family Applications (4)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012236354A Pending JP2014062023A (ja) | 2011-10-28 | 2012-10-26 | 窒化物結晶の製造方法 |
JP2013060287A Active JP5929801B2 (ja) | 2012-08-28 | 2013-03-22 | 窒化物結晶の製造方法 |
JP2016146212A Active JP6494571B2 (ja) | 2011-10-28 | 2016-07-26 | GaN結晶及びGaN結晶からなる基板 |
JP2018051986A Active JP6493588B2 (ja) | 2011-10-28 | 2018-03-20 | 窒化物結晶の製造方法 |
Family Applications Before (2)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012236354A Pending JP2014062023A (ja) | 2011-10-28 | 2012-10-26 | 窒化物結晶の製造方法 |
JP2013060287A Active JP5929801B2 (ja) | 2012-08-28 | 2013-03-22 | 窒化物結晶の製造方法 |
Family Applications After (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018051986A Active JP6493588B2 (ja) | 2011-10-28 | 2018-03-20 | 窒化物結晶の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (4) | JP2014062023A (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6437736B2 (ja) * | 2014-05-09 | 2018-12-12 | 古河機械金属株式会社 | 自立基板の製造方法および自立基板 |
JPWO2020241760A1 (ja) * | 2019-05-30 | 2020-12-03 | ||
CN115894392A (zh) * | 2022-12-02 | 2023-04-04 | 中国科学院福建物质结构研究所 | (c3h8n6i6)·3h2o化合物、双折射晶体及其制法和用途 |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006513122A (ja) * | 2002-12-27 | 2006-04-20 | ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ | 窒化ガリウム結晶、ホモエピタキシャル窒化ガリウムを基材とするデバイス、及びその製造方法 |
JP2010155751A (ja) * | 2008-12-26 | 2010-07-15 | Asahi Kasei Corp | 13族元素窒素化合物結晶の製造方法 |
JP2011068545A (ja) * | 2009-01-08 | 2011-04-07 | Mitsubishi Chemicals Corp | 窒化物結晶の製造方法、窒化物結晶およびその製造装置 |
Family Cites Families (14)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6773504B2 (en) * | 2001-04-12 | 2004-08-10 | Sumitomo Electric Industries, Ltd. | Oxygen doping method to gallium nitride single crystal substrate and oxygen-doped N-type gallium nitride freestanding single crystal substrate |
US9279193B2 (en) * | 2002-12-27 | 2016-03-08 | Momentive Performance Materials Inc. | Method of making a gallium nitride crystalline composition having a low dislocation density |
JP5356933B2 (ja) * | 2004-03-10 | 2013-12-04 | 三菱化学株式会社 | 窒化物結晶の製造装置 |
JP4579294B2 (ja) * | 2004-06-11 | 2010-11-10 | アンモノ・スプウカ・ジ・オグラニチョノン・オドポヴィエドニアウノシツィオン | 第13族元素窒化物の層から製造される高電子移動度トランジスタ(hemt)およびその製造方法 |
JP5454830B2 (ja) * | 2006-03-06 | 2014-03-26 | 三菱化学株式会社 | 超臨界溶媒を用いた結晶製造方法および結晶製造装置 |
JP2008174439A (ja) * | 2006-12-21 | 2008-07-31 | Mitsubishi Chemicals Corp | 窒素元素とガリウム元素を含む粉末の製造方法、およびそれを利用した窒化ガリウム単結晶の製造方法 |
JP2008297191A (ja) * | 2007-05-02 | 2008-12-11 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 窒化ガリウム基板及び窒化ガリウム層の形成方法 |
US8721788B2 (en) * | 2007-10-05 | 2014-05-13 | Mitsubishi Chemical Corporation | Method for charging with liquefied ammonia, method for producing nitride crystal, and reactor for growth of nitride crystal |
JP5709122B2 (ja) * | 2009-02-20 | 2015-04-30 | 三菱化学株式会社 | アモノサーマル法および窒化物結晶 |
JP5446622B2 (ja) * | 2009-06-29 | 2014-03-19 | 住友電気工業株式会社 | Iii族窒化物結晶およびその製造方法 |
JP2011153055A (ja) * | 2010-01-28 | 2011-08-11 | Asahi Kasei Corp | 窒化物単結晶の製造方法 |
JP2012136422A (ja) * | 2010-12-27 | 2012-07-19 | Mitsubishi Chemicals Corp | 結晶製造方法 |
JP5870887B2 (ja) * | 2011-09-30 | 2016-03-01 | 三菱化学株式会社 | 窒化物単結晶のアニール処理方法 |
KR20140111249A (ko) * | 2011-10-24 | 2014-09-18 | 더 리전츠 오브 더 유니버시티 오브 캘리포니아 | 3 족 질화물 결정 내부로의 불순물 주입을 감소시키는 알칼리토금속의 용도 |
-
2012
- 2012-10-26 JP JP2012236354A patent/JP2014062023A/ja active Pending
-
2013
- 2013-03-22 JP JP2013060287A patent/JP5929801B2/ja active Active
-
2016
- 2016-07-26 JP JP2016146212A patent/JP6494571B2/ja active Active
-
2018
- 2018-03-20 JP JP2018051986A patent/JP6493588B2/ja active Active
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006513122A (ja) * | 2002-12-27 | 2006-04-20 | ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ | 窒化ガリウム結晶、ホモエピタキシャル窒化ガリウムを基材とするデバイス、及びその製造方法 |
JP2010155751A (ja) * | 2008-12-26 | 2010-07-15 | Asahi Kasei Corp | 13族元素窒素化合物結晶の製造方法 |
JP2011068545A (ja) * | 2009-01-08 | 2011-04-07 | Mitsubishi Chemicals Corp | 窒化物結晶の製造方法、窒化物結晶およびその製造装置 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP6493588B2 (ja) | 2019-04-03 |
JP2018115110A (ja) | 2018-07-26 |
JP6494571B2 (ja) | 2019-04-03 |
JP2014062023A (ja) | 2014-04-10 |
JP5929801B2 (ja) | 2016-06-08 |
JP2014062029A (ja) | 2014-04-10 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
WO2013062042A1 (ja) | 窒化物結晶の製造方法および窒化物結晶 | |
KR20090064379A (ko) | 질화물 반도체의 제조 방법, 결정 성장 속도 증가제, 질화물 단결정, 웨이퍼 및 디바이스 | |
JP6020440B2 (ja) | 窒化物結晶の製造方法 | |
JP6493588B2 (ja) | 窒化物結晶の製造方法 | |
JP5888242B2 (ja) | 半導体結晶の製造方法、結晶製造装置および第13族窒化物半導体結晶 | |
JP2013107819A (ja) | 窒化物結晶の製造方法 | |
JP2013079187A (ja) | 窒化物単結晶のアニール処理方法 | |
JP6074959B2 (ja) | Iii族窒化物結晶及びその製造方法 | |
JP2015040170A (ja) | 周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法 | |
JP5929807B2 (ja) | GaN多結晶およびそれを用いたGaN単結晶の製造方法 | |
JP6123421B2 (ja) | Iii族窒化物結晶塊 | |
JP2013056821A (ja) | Iii族窒化物結晶の製造方法 | |
JP6003690B2 (ja) | 窒化物結晶の製造方法 | |
JP6051768B2 (ja) | 窒化物単結晶の製造方法 | |
KR102101597B1 (ko) | 질화물 결정의 제조 방법 및 질화물 결정 | |
JP6192956B2 (ja) | 窒化物単結晶の製造方法 | |
JP2015040169A (ja) | 周期表第13族金属窒化物結晶 | |
JP2013184886A (ja) | 窒化物半導体結晶の製造方法および窒化物半導体結晶 | |
JP2013091596A (ja) | 窒化物結晶の製造方法 | |
JP2014047134A (ja) | Iii族窒化物結晶塊 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20170410 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20170509 |
|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 Effective date: 20170519 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20170703 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20171226 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20180320 |
|
A911 | Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20180328 |
|
A912 | Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912 Effective date: 20180518 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20190122 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20190305 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6494571 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |