JP6192956B2 - 窒化物単結晶の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、窒化物単結晶の製造方法に関する。特に、周期表第13族元素の窒化物単結晶を製造する際に有用な製造方法に関する。
アモノサーマル法は、超臨界状態および/または亜臨界状態にあるアンモニアなどの窒素含有溶媒を用いて、原材料の溶解−析出反応を利用して所望の材料を製造する方法である。結晶成長へ適用するときは、アンモニアなどの窒素含有溶媒への原料溶解度の温度依存性を利用して温度差により過飽和状態を発生させて結晶を析出させる。具体的には、オートクレーブなどの耐圧性容器やカプセルといった反応容器内に窒化物多結晶などの原料や種結晶を入れて密閉し、反応容器内外に設置されたヒーター等で加熱することにより反応容器内に高温域と低温域を形成し、その一方において原料を溶解し、他方において結晶を育成することにより、所望の結晶を製造するものである。
原料として用いるGaNなどの窒化物多結晶は、超臨界状態にあるアンモニアなどの窒素含有溶媒中への溶解度が極めて小さいため、溶解度を向上させて結晶成長を促進させるために鉱化剤を添加することが一般に行われている。鉱化剤はハロゲン化アンモニウムNH4X(X=Cl、Br、I)に代表される酸性鉱化剤とアルカリアミドXNH2(X=Li、Na、K)に代表される塩基性鉱化剤に分類される。鉱化剤として酸性鉱化剤を用いれば、デバイス製作の障害となるアルカリ金属不純物の混入を防ぎ、内壁に貴金属を使用した反応容器を用いて製造することができるという利点があることが知られている。
特許文献1および特許文献2には、酸性鉱化剤を用いた窒化物単結晶の製造方法が記載されている。ここでは、酸性鉱化剤として塩化アンモニウム、ヨウ化アンモニウム、臭化アンモニウムが挙げられており、650〜850℃で40〜250MPaの条件下でGaN結晶を成長させることが記載されている。しかしながら、フッ素を含有する鉱化剤については記載されていないうえ、27MPaや96MPaといった低圧条件下で塩化アンモニウムを鉱化剤として用いてもGaN結晶を成長させることができなかったことが記載されている。
一方、特許文献3にはフッ素を含有する鉱化剤としてフッ化アンモニウムを用いてGaN結晶を成長させることが記載されている。この方法は、550〜3000℃で500〜8000MPa(5kbar〜80kbar)の条件下で結晶成長させるものであり、高圧条件下で行うことが必須とされている。
特開2011−153055号公報 特開2011−153052号公報 特表2006−513122号公報
アモノサーマル法により窒化物単結晶を成長させる際には、超臨界状態および/または亜臨界状態にする必要があるため、オートクレーブなどの耐圧性容器を用いることが不可欠である。また、特に酸性鉱化剤を用いる場合は、酸性鉱化剤による腐食に耐えることができる材質で構成された耐圧性容器を用いることが必要とされる。このような観点から、耐腐食性の高いNi基合金製のオートクレーブを用いて高温高圧反応を行うことが一般に行われている。しかしながら、Ni基合金にはNi−Cr濃度が場所により不均一になるという偏析の問題があるため、そもそも径が大きなインゴットを作製することが不可能である。オートクレーブはインゴットの中身をくり抜くことにより製造しているため、径が大きなインゴットが作製できなければ、大きなオートクレーブを製造して装置の大型化を図ったり、窒化物単結晶の量産化を図ったりすることができない。
このような事情を考慮して、本発明者らは、窒化物単結晶を成長させる際の圧力を低くすることができれば、オートクレーブの肉厚を薄くすることが可能であるため、同じ径のインゴットから内容積が大きなオートクレーブを製造することが可能になると考えた。
一方、通常のアモノサーマル法による結晶成長温度では、フッ化アンモニウムはアンモニアに対して負の溶解度特性を示すことが知られている。アンモニアに対して正の溶解度特性を示す塩化アンモニウム等とは正負が逆であることから、フッ化アンモニウムは塩化アンモニウム等と同様に使用し得る鉱化剤として扱うことはできないと考えられる。このため、比較的低圧でGaN結晶を成長させる特許文献1や特許文献2にはフッ化アンモニウムは記載されていない。一方、フッ化アンモニウムを用いる場合は、特許文献3に記載されているように、高温高圧条件の採用が不可欠であると認識されていた。
このような状況下で、本発明者らは比較的低い圧力条件下で効率良く窒化物単結晶を成長させる条件について検討を始めたが、特許文献1や特許文献2に記載されるような鉱化剤を使用しても、低圧下では効率良く窒化物単結晶を成長させることができないことが判明した。また、種々の成長条件を変更して試行錯誤を行ったが、なかなか低圧下で満足が行く成長を実現することはできなかった。
このような課題を解決すべく、本発明者らは、低圧条件下においても効率良く窒化物単結晶を成長させることができる製造方法を提供することを目的として鋭意検討を進めた。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、従来は高温高圧下でしか用いることができないと認識されていたフッ化アンモニウムを鉱化剤として用いて、低圧下で窒化物結晶を成長させたところ、極めて効率良く結晶成長が進むことを見出した。本発明はこのような知見に基づいてなされたものであり、課題を解決する手段として、以下の構成を提供するものである。
[1] 六方晶系の結晶構造を有する種結晶、窒素含有溶媒、原料、およびフッ素を含有する鉱化剤を入れた反応容器内の圧力を5〜200MPaとし、前記窒素含有溶媒が超臨界状態および/または亜臨界状態となるように制御して前記種結晶の表面に窒化物結晶を成長させる工程を含むことを特徴とする窒化物単結晶の製造方法。
[2] 前記窒化物結晶を成長させる工程では、前記反応容器内の圧力を10〜200MPaとすることを特徴とする[1]に記載の窒化物単結晶の製造方法。
[3]前記反応容器内における前記原料を溶解する領域の温度が、前記種結晶の表面に窒化物結晶を成長させる領域の温度よりも低い、[1]または[2]に記載の窒化物結晶の製造方法。
[4] 前記鉱化剤はハロゲンを含有し、前記ハロゲンの50mol%以上がフッ素である、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の窒化物結晶の製造方法。
[5] 前記圧力と前記鉱化剤の濃度が、下記式を満たす、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の窒化物結晶の製造方法。
0.4 ≦ P × M ≦ 3.0
(上式において、Pは前記反応容器内の圧力[単位:MPa]を表し、Mは前記鉱化剤に含まれるフッ素の窒素含有溶媒に対する濃度[単位:mol/溶媒mol]を表す。)
[6] 前記反応容器内の窒化物結晶を成長させる領域の温度が650℃よりも低い、[1]〜[5]のいずれか一項に記載の窒化物結晶の製造方法。
[7] 前記反応容器が、Ni含有量が40質量%を超えるNi基合金を含む、[1]〜[6]のいずれか一項に記載の窒化物結晶の製造方法。
[8] [1]〜[7]のいずれか一項に記載の製造方法により製造された窒化物単結晶。
本発明の製造方法によれば、低圧条件下においても効率良く窒化物単結晶を成長させることができる。また、低圧条件下で結晶成長を行うことができるため、肉厚が薄い耐圧性容器を用いて窒化物単結晶を製造することができる。さらに、低圧低温条件での実施も可能であるため、エネルギーコストを抑えることもできる。
本発明で用いることができる結晶製造装置の模式図である。 実施例及び比較例で得られた成長結晶のPL測定結果を示すグラフである。 実施例及び比較例で得られた成長結晶のPL測定結果を示すグラフである。 実施例及び比較例で得られた成長結晶のPL測定結果を示すグラフである。 実施例及び比較例で得られた成長結晶のPL測定結果を示すグラフである。
以下において、本発明の窒化物単結晶の製造方法、およびそれに用いる結晶製造装置や部材について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
(製造方法の特徴)
本発明の窒化物単結晶の製造方法は、六方晶系の結晶構造を有する種結晶、窒素含有溶媒、原料、および鉱化剤を入れた反応容器内で、窒素含有溶媒が超臨界状態および/または亜臨界状態となるように制御して種結晶の表面に窒化物結晶を成長させる工程を含むものである。その特徴は、鉱化剤としてフッ素を含有する鉱化剤を用いることと、反応容器内の圧力を5〜200MPaにして結晶を成長させる点にある。
(鉱化剤)
本発明で用いるフッ素を含有する鉱化剤は、鉱化剤を構成する元素としてフッ素を含んでいるものであればよい。フッ素を含有する鉱化剤の例としては、フッ化アンモニウム、フッ化水素、およびヒドロカルビルアンモニウムフルオリドや、フッ化テトラメチルアンモニウム、フッ化テトラエチルアンモニウム、フッ化ベンジルトリメチルアンモニウム、フッ化ジプロピルアンモニウム、およびフッ化イソプロピルアンモニウムなどのアルキルアンモニウム塩、フッ化アルキルナトリウムのようなフッ化アルキル金属、フッ化アルカリ土類金属、フッ化金属等が例示される。このうち、好ましくはフッ化アルカリ、アルカリ土類金属のフッ化物、金属のフッ化物、フッ化アンモニウム、フッ化水素であり、さらに好ましくはフッ化アルカリ、フッ化アンモニウム、周期表13族金属のフッ化物であり、特に好ましくはフッ化アンモニウム(NH4F)、フッ化ガリウムである。フッ素を含有する鉱化剤を用いることで、結晶性の良い高品質な結晶が得られる傾向がある。
本発明に用いる鉱化剤は、上記のフッ素を含有する鉱化剤のみからなるものであってもよいし、フッ素を含有する鉱化剤とフッ素を含有しない鉱化剤との混合物であってもよい。フッ素を含有しない鉱化剤としては、例えば、塩化アンモニウム、ヨウ化アンモニウム、臭化アンモニウムなどのフッ素以外のハロゲンとアンモニウムイオンからなる酸性鉱化剤;塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウムなどのアルカリ金属とハロゲンからなる中性鉱化剤;塩化ベリリウム、臭化ベリリウム、ヨウ化ベリリウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウムなどのアルカリ土類金属とハロゲンからなる中性鉱化剤;アルカリ土類金属アミド、希土類アミド、窒化アルカリ金属、窒化アルカリ土類金属、アジド化合物、その他ヒドラジン類の塩などの塩基性鉱化剤を挙げることができる。フッ素を含有する鉱化剤とフッ素を含有しない鉱化剤を用いる場合は、全鉱化剤に占めるフッ素を含有する鉱化剤の割合を50mol%以上にすることが好ましく、60mol%以上にすることがより好ましく、80mol%以上にすることがさらに好ましい。本発明では、フッ素を含有しない鉱化剤としては、鉱化剤による成長速度の方位依存性を利用した育成結晶の形状制御や、雑晶析出の制御の観点から、フッ素以外のハロゲンを含有する鉱化剤を用いることが好ましいが、その場合は鉱化剤の全ハロゲンの50%以上がフッ素であることが好ましく、60%以上がフッ素であることがより好ましく、80%以上がフッ素であることがさらに好ましい。
本発明に用いる鉱化剤は、窒化物結晶を成長させる温度近傍において窒素含有溶媒に対して負の溶解度特性を示すものであることが好ましい。例えば、フッ化アンモニウムは400℃以上の温度領域において、アンモニアに対して負の溶解度特性を示す。本発明の製造方法では、通常、結晶成長領域の温度を450℃以上に設定することが好ましいため、フッ化アンモニウムのみを鉱化剤として用いる場合は、結晶成長温度においてフッ化アンモニウムは負の溶解度特性を示す。一方、当該温度で正の溶解度特性を示す塩化アンモニウムなどと組み合わせて用いる場合は、混合比率に応じて各々の溶解度特性に基づいて決まる溶解度曲線の傾きが変わってくる。溶解度曲線の傾きの絶対値が小さいと、結晶成長の効率が悪くなるため、適度な傾きをもった溶解度曲線を示すように混合比率を調整する。
本発明の製造方法に用いられる鉱化剤の使用量は、鉱化剤に含まれるフッ素の窒素含有溶媒に対するモル濃度が0.2mol%以上が好ましく、0.27mol%以上がより好ましく、1.0mol%以上がさらに好ましく、1.5mol%以上が特に好ましい。また、鉱化剤に含まれるフッ素の窒素含有溶媒に対するモル濃度は30mol%以下が好ましく、20mol%以下がより好ましく、10mol%以下がさらに好ましく、2mol%以下が特に好ましい。濃度が高いと、窒素含有溶媒への原料の溶解度が向上し、成長速度が速くなる傾向があり好ましい。一方濃度が低いと、溶解度を適度に保つことができるため、自発核発生を抑制したり、過飽和度を小さく保つことができるために制御が容易になるため好ましい。
(圧力)
本発明の製造方法では、反応容器内の圧力を5〜200MPaにして結晶を成長させる。反応容器内の圧力は、10MPa以上であることが好ましく、12MPa以上であることがより好ましく、15MPa以上であることがさらに好ましく、20MPa以上であることが特に好ましく、また、150MPa以下であることが好ましく、120MPa以下であることがより好ましく、100MPa以下であることがさらに好ましい。本発明の製造方法は、比較的低い圧力下においても窒化物結晶を効率良く成長させることができる点に特徴がある。比較的低い圧力で結晶成長させれば、耐圧性容器の肉厚を薄くすることができ、またエネルギー効率を上げて、コストを抑えることができる。また、前記下限値以下の比較的低い圧力で結晶成長させることで、結晶性の良い高品質な結晶が得られる傾向がある。
(圧力と鉱化剤濃度の積)
本発明の製造方法では、反応容器内の圧力P[単位:MPa]と、鉱化剤に含まれるフッ素の窒素含有溶媒に対する濃度M[単位:mol/溶媒mol]との積が以下の関係式を満たすことが好ましい。
0.4 ≦ P × M ≦ 3.0
積の下限値は0.4以上であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましく、0.6以上であることがさらに好ましい。また、積の上限値は3.0以下であることが好ましく、2.5以下であることがより好ましく、2.2以下であることがさらに好ましい。積の値を0.4〜3.0の範囲内に制御することによって、一段と結晶成長効率を上げることができる。また、前記上限値以下とすることで、反応容器壁面に付着する多結晶体の発生を抑制でき、種結晶上への窒化物単結晶の成長を促進でき、また、反応容器壁面の多結晶体への窒化物単結晶の付着を低減させて、さらに、原料の枯渇を防ぐことにより、長時間の成長が可能となる傾向がある。
(六方晶系の結晶構造を有する種結晶)
本発明の製造方法では、六方晶系の結晶構造を有する種結晶を用いる。種結晶は、本発明の製造方法により製造しようとしている窒化物単結晶と同じ元素組成の結晶であることが好ましい。六方晶系の結晶構造を有する種結晶としては、周期表第13族元素の窒化物を用いることが好ましい。例えば、窒化ガリウム、窒化アルミニウム等の窒化物単結晶が挙げられる。
前記種結晶は、溶媒への溶解度および鉱化剤との反応性を考慮して決定することができる。例えば、GaNの種結晶としては、サファイア等の異種基板上にエピタキシャル成長させた後に剥離させて得た単結晶、金属GaからNaやLi、Biをフラックスとして結晶成長させて得た単結晶、液相エピタキシ法(LPE法)を用いて得たホモ/ヘテロエピタキシャル成長させた単結晶、溶液成長法に基づき作製された単結晶およびそれらを切断した結晶などを用いることができる。前記エピタキシャル成長の具体的な方法については特に制限されず、例えば、ハイドライド気相成長法(HVPE)法、有機金属化学気相堆積法(MOCVD法)、液相法、アモノサーマル法などを採用することができる。
(窒素含有溶媒)
本発明の製造方法では、窒素含有溶媒を用いる。
窒素含有溶媒としては、成長させる窒化物単結晶の安定性を損なうことのない溶媒が挙げられる。前記溶媒としては、例えば、アンモニア、ヒドラジン、尿素、アミン類(例えば、メチルアミンのような第1級アミン、ジメチルアミンのような第二級アミン、トリメチルアミンのような第三級アミン、エチレンジアミンのようなジアミン)、メラミン等を挙げることができる。これらの溶媒は単独で用いてもよいし、混合して用いてもよい。
溶媒に含まれる水や酸素の量はできるだけ少ないことが望ましく、これらの含有量は1000ppm以下であることが好ましく、10ppm以下であることがより好ましく、0.1ppm以下であることがさらに好ましい。アンモニアを溶媒として用いる場合、その純度は通常99.9%以上であり、好ましくは99.99%以上であり、さらに好ましくは99.999%以上である。
(原料)
本発明の製造方法では、原料として、種結晶上に成長させようとしている窒化物結晶を構成する元素を含む原料を用いる。好ましくは窒化物結晶の多結晶原料および/または窒化される金属であり、より好ましくは窒化ガリウムおよび/または金属ガリウムである。多結晶原料は、完全な窒化物である必要はなく、条件によっては周期表第13族元素がメタルの状態(ゼロ価)である金属成分を含有してもよく、例えば、結晶が窒化ガリウムである場合には、窒化ガリウムと金属ガリウムの混合物が挙げられる。
前記多結晶原料の製造方法は、特に制限されない。例えば、アンモニアガスを流通させた反応容器内で、金属またはその酸化物もしくは水酸化物をアンモニアと反応させることにより生成した窒化物多結晶を用いることができる。また、より反応性の高い金属化合物原料として、ハロゲン化物、アミド化合物、イミド化合物、ガラザンなどの共有結合性M−N結合を有する化合物などを用いることができる。さらに、Gaなどの金属を高温高圧で窒素と反応させて作製した窒化物多結晶を用いることもできる。
本発明において原料として用いる多結晶原料に含まれる水や酸素の量は、少ないことが好ましい。多結晶原料中の酸素含有量は、通常10000ppm以下、好ましくは1000ppm以下、特に好ましくは1ppm以下である。多結晶原料への酸素の混入のしやすさは、水分との反応性または吸収能と関係がある。多結晶原料の結晶性が悪いほど表面にNH基などの活性基が多く存在し、それが水と反応して一部酸化物や水酸化物が生成する可能性がある。このため、多結晶原料としては、通常、できるだけ結晶性が高い物を使用することが好ましい。結晶性は粉末X線回折の半値幅で見積もることができ、(100)の回折線(ヘキサゴナル型窒化ガリウムでは2θ=約32.5°)の半値幅が、通常0.25°以下、好ましくは0.20°以下、さらに好ましくは0.17°以下である。
(反応容器)
本発明の製造方法は、反応容器内で行う。本発明における反応容器とは、超臨界状態および/または亜臨界状態の窒素含有溶媒がその内壁面に直接接触しうる状態で窒化物結晶の製造を行うための容器を意味し、耐圧性容器内部の構造そのものや、耐圧性容器内に設置されるカプセルなどを好ましい例として挙げることができる。
本発明に用いる反応容器としての耐圧性容器は、アモノサーマル法により窒化物結晶を成長させるときの高温高圧条件に耐え得るもの中から選択する。本発明の製造方法においては、耐圧性及び耐腐食性を有していれば特に限定されないが、反応容器として、白金族金属やNiを含む金属であることが好ましく、Ni基合金を含むものであることがより好ましい。特に、このような材料からなる反応容器を用いた場合には、フッ素を含有する鉱化剤を用いて低圧で結晶成長することが容易となり好ましい。
前記Niを含む金属としては、炭素含有量が0.2質量%以下の純Ni(Ni200,Ni201など);Ni含有量が40質量%以上で不純元素としてのFe,Co含有量が2.5質量%以下のNi基合金(例えば、Inconel 625など(Inconelはハンティントン アロイズ カナダ リミテッドの登録商標、以下同じ);Ni含有量が40質量%以上のNi−Cu合金(モネル400など)が挙げられる。前記Ni基合金は、超臨界NH3環境下で窒物を形成するCr,Al,Ti,Nb、Vを含有しても良く、更に、固溶強化元素としてW,Moを含有してもよい。
前記純Niには、炭素含有量が0.2質量%以下の規格のもの「Ni200」と、極低炭素の規格「Ni201」などが挙げられる。本発明で用いられるNiとしては、極低炭素のグレードが好ましい。炭素含有量が低いNiの場合、時効脆化という現象が起こりにくく、500〜600℃程度の温度であっても炭素がグラファイトとして粒界に析出することなく、材料として脆くなりにくい傾向があるため好ましい。
前記Ni基合金としては、例えば、Fe含有量を好ましくは7質量%以下、更に好ましくは5質量%以下に制限したNi−Cr、Ni−Cr−Mo、Ni−Cr−W合金等が挙げられる。また、前記Ni基合金は、フッ素環境下におけるFeやCoの選択溶出を抑制する観点から、Fe含有量5.0質量%以下、Co含有量2.0質量%以下のNi基合金であることが好ましい。
以上の観点からすると、前記Niを含む金属としては、Ni含有量40質量%を超えるNi基合金であることが好ましく、Ni含有量45質量%を超えるNi基合金であることが更に好ましく、Ni含有量50質量%を超えるNi基合金であることが特に好ましい。
これらの合金によって反応容器を構成する様態は特に限定されない。耐圧性容器の内面を直接ライニングまたはコーティングして反応容器を形成してもよいし、耐腐食性に優れる材料からなるカプセルを耐圧性容器内に配置してもよい。純Niは柔らかく加工性に富むので容器内面に0.5mm厚さ程度のライニングを行って反応容器を形成することも簡単に行う事が出来る。また、数年に一回程度内張りを交換する事も可能である。
反応容器の形状は、円筒形などをはじめとして任意の形状とすることができる。また、反応容器は立設しても横置きにしても斜めに設置して使用してもよい。
(結晶成長)
本発明の製造方法では、六方晶系の結晶構造を有する種結晶、窒素含有溶媒、原料、および鉱化剤を入れた反応容器内で、溶媒が超臨界状態および/または亜臨界状態となるように制御して種結晶の表面に窒化物結晶を成長させる。このときの圧力条件は、上記のとおりである。
成長時の温度は、原料を溶解させる原料溶解領域と種結晶上に結晶を成長させる結晶成長領域とで異なる温度に設定する。結晶成長領域の温度は、450℃以上であることが好ましく、500℃以上であることがより好ましく、550℃以上であることがさらに好ましい。また、結晶成長領域の温度は、高くても構わないが、例えば700℃以下、あるいは650℃以下に好ましく設定することが可能である。原料溶解領域の温度は、負の溶解度特性を有する鉱化剤を使用する場合は結晶成長領域の温度よりも高く設定する。また、正の溶解度特性を有する鉱化剤を使用する場合は結晶成長領域の温度よりも低く設定する。原料溶解領域と結晶成長領域の温度差は、通常は30℃以上に設定し、40℃以上にすることが好ましく、また、通常は150℃以下に設定し、120℃以下にすることが好ましい。
本発明の製造方法では、比較的速い成長速度で結晶を成長させることができる。条件を最適化することにより、結晶成長速度は300μm/day以上にすることが可能であり、500μm/day以上にすることが可能であり、700μm/day以上にすることも可能であり、さらには900μm/day以上にすることも可能である。本発明の製造方法は、低温低圧で実施した場合であっても、従来法よりも速く成長速度を実現することが可能である。
(窒化物単結晶)
本発明の製造方法によって、様々な元素組成の窒化物単結晶を製造することが可能である。その元素組成は特に限定されないが、Al、Ga、In等の周期表第13族元素の単独金属の窒化物単結晶を好ましく製造することができる。周期表第13族金属窒化物単結晶としてはGaN、AlN、InNなどが挙げられ、GaInN、GaAlNなどの合金族の窒化物単結晶も含まれる。本発明は、このうち、特にGaを含む金属窒化物単結晶を得る場合に好適である。
本発明の製造方法は、原料溶解領域よりも結晶成長領域の温度を高くして結晶成長を行うことが可能であり、そのような条件下で成長させた結晶は高品質であるという特徴を有する。例えば、成長させた結晶にはルミネッセンス波長で350〜380nm(フォトンエネルギーでは3.2〜3.6eV)付近にバンド端発光というフォトルミネッセンスPL発光が認められる。
一般に、このバンド端発光のピークがより短波長側であれば(フォトンエネルギーでは大きい方が)、また、バンド端発光のピークの半値幅が小さい方が不純物の少ない結晶であることを示すため、好ましい。またバンド端発光強度が高いほど高純度であることを示すので好ましい。
一般的に、バンド端発光(NBE)とルミネッセンス波長が500〜600nmに観察されるイエローバンド発光(YB)の強度比(YB/NBE)で結晶の品質を判断することができる。イエローバンド発光は、Ga欠陥がある場合に観察されることから、YB/NBEの値が低い方が欠陥が少ない結晶であるといえる。
強度比(YB/NBE)が、10以下が好ましく、1以下が好ましく、もっとも好ましくは、0.8以下である。
他には、X線回折の(100)回折ピークのロッキングカーブの半値幅を150秒以下とすることができる。
また、本発明の製造方法により製造される窒化物単結晶は、不純物濃度が低いという特徴も有する。例えば、SIMS分析により測定される酸素濃度は、鉱化剤としてヨウ化アンモニウムを用いた場合の1/100程度に抑えることができ、1×1018atoms/cc台を達成することが可能である。また、F濃度は1×1015atoms/cc台、Fe濃度は1×1019atoms/cc台、Ni濃度は1×1015atoms/cc台を達成することができる。
このように、本発明の製造方法によれば、純度が高くて高品質な窒化物単結晶を効率良く製造することが可能である。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
<実施例1>
図1に示す結晶製造装置(オートクレーブ)を用いて、以下の手順にしたがって窒化物単結晶を成長させた。
白金を内張りした内寸が直径22mm、長さ293mmのオートクレーブ(容積約119ml)内の下部にアモノサーマル法で作製した外径2.00mmのGaN針状結晶を種結晶6として設置し、次いで、オートクレーブ内部にバッフル板5を設置し、バッフル板より上部に原料4としてHVPE法で作製した多結晶体GaNを38.6g入れた。次いでその上から鉱化剤として十分に乾燥した純度99.99%のNH4Fを溶媒として用いるNH3充填量に対し2.0mol%投入した。その後、素早くバルブが装着されたオートクレーブの蓋を閉じ、オートクレーブの計量を行った。次いで、オートクレーブに付属したバルブを介して導管を真空ポンプ部に通じるように操作し、バルブを開けてオートクレーブ内を真空脱気した。その後、真空状態を維持しながら、オートクレーブをドライアイス/メタノールによって冷却し、一旦バルブを閉じた。次いで、導管をバルブを介してNH3ボンベに通じるように操作した後、再びバルブを開け、外気に触れることなくNH3を連続してオートクレーブ内に充填した。流量を制御して、NH3をオートクレーブ内に液体として充填した後、再びバルブを閉じた。オートクレーブの温度を室温に戻し、外表面を十分に乾燥させて充填したNH3の増加分の計量を行った。
続いて、オートクレーブを上下に2分割されたヒーターで構成された電気炉内に収納した。オートクレーブ内の下部2の結晶成長領域の温度が615℃に、上部1の原料溶解領域の温度が567℃になるように昇温し、その温度で96時間保持した。オートクレーブ内の圧力は50MPaであった。また、保持中の温度幅は±5℃以下に制御した。このときの、圧力[MPa]×鉱化剤濃度[mol/NH3mol]は1.0である。その後、オートクレーブの下部外面の温度が50℃になるまで約9時間かけて降温した後、ヒーターによる加熱を止め、電気炉内で自然放冷した。オートクレーブの下部外面の温度がほぼ室温まで降下したことを確認した後、まずオートクレーブに付属したバルブを開放し、オートクレーブ内のNH3を取り除いた。その後、オートクレーブを計量し、NH3の排出を確認した。その後、一旦バルブを閉じ、真空ポンプに通ずるように導管を操作し、バルブを再び開放し、オートクレーブのNH3をほぼ完全に除去した。その後、オートクレーブの蓋を開け、種結晶を取り出した。育成後の種結晶を観察したところ、針状の種結晶の口径が2.60mmになっていた。このときの外径の成長速度は150μm/dayであり、m軸の成長速度にすると75μm/dayである。
<実施例2〜29>
鉱化剤濃度、上部温度、下部温度および圧力を表1に記載される条件に変更し、種結晶としてHVPE法で作製したC面を主面とするGaN結晶を加えたこと以外は、実施例1と同様に結晶成長を行った。なお、実施例13では、鉱化剤として十分に乾燥した純度99.99%のNH4Iを溶媒として用いるNH3充填量に対し0.5mol%投入した。+c軸方向(Ga面)および/またはm軸方向の成長速度を表1に示す。
実施例3および実施例5で得られた結晶の室温でのPL測定を行ったところ、いずれの結晶についても364nm付近にバンド端発光が確認された。
また、実施例7で得られた結晶のSIMS分析を行ったところ、酸素濃度が1018atoms/cc台であり、同じオートクレーブでヨウ化アンモニウムを鉱化剤として用いたときの1/100程度であることが確認された。また、フッ素濃度は7×1015atoms/cc程度、Fe濃度は1×1019atoms/cc、Ni濃度は1015atoms/cc台であった。
また、実施例5では、結晶成長後、原料は全て溶解し、結晶成長領域の内壁面に大量に多結晶GaNが析出した。GaN多結晶塊の中から、C面種結晶上に成長したGaN単結晶を取り出し、観察したところ、Ga極性面の成長速度が752μm/dayであり、成長した結晶は単結晶であったが、反応容器に析出する多結晶に種結晶が埋もれてしまい、種結晶の多結晶塊への埋没や、成長過程での原料の枯渇などにより、途中で成長がストップしており、実際の成長速度はこれよりも速い。
なお、鉱化剤濃度を0.25mol%とし、圧力×鉱化剤濃度を0.34にした場合は成長速度が実施例1〜29よりもやや遅くなる傾向がうかがえた。
<実施例30>
種結晶としてアモノサーマル法で作製した10mm×5mm×330μmのm面を主面とするGaN結晶を白金ワイヤーで固定したものを結晶成長領域に設置し、実施例1と同様に結晶成長を行った。結晶成長後、黄色味がかった透明な結晶が得られた。育成後の結晶を実体顕微鏡および蛍光顕微鏡にて観察したところ、m面成長表面の観察ではクラックが観察されなかった。厚み方向に1820μm成長しており、成長速度は両面合わせて455μm/dayであった。育成結晶の育成した結晶のX線ロッキングカーブの(100)回折の半値幅は142秒であり、良好な結果が得られた。
<比較例1>
比較例1において、鉱化剤としてヨウ化アンモニウムを用いて以下の手順にしたがって結晶成長を行った。
実施例1と同様に図1に示すオートクレーブを使用したが、溶媒であるアンモニアに対して正の溶解度特性を有する鉱化剤を用いることから、反応容器の上部を結晶成長領域とし、反応容器の下部を原料溶解領域として種結晶および原料を配置した。オートクレーブの下部にHVPE法で作製した多結晶体GaNを15.1g投入し、さらに鉱化剤として十分に乾燥した純度99.999%のNH4IをNH3充填量に対し1.5mol%投入した。た。次いで、オートクレーブ内部にバッフル板を設置し、バッフル板より上部にHVPE法で作製したGaNを種結晶として設置した。その後、素早くバルブが装着されたオートクレーブの蓋を閉じ、オートクレーブの計量を行った。次いで、オートクレーブに付属したバルブを介して導管を真空ポンプ部に通じるように操作し、バルブを開けてオートクレーブ内を真空脱気した。その後、真空状態を維持しながら、オートクレーブをドライアイス/メタノールによって冷却し、一旦バルブを閉じた。次いで、導管をバルブを介してNH3ボンベに通じるように操作した後、再びバルブを開け、外気に触れることなくNH3を連続してオートクレーブ内に充填した。流量を制御して、NH3をオートクレーブ内に液体として充填した後、再びバルブを閉じた。オートクレーブの温度を室温に戻し、外表面を十分に乾燥させて充填したNH3の増加分の計量を行った。
続いて、オートクレーブを上下に2分割されたヒーターで構成された電気炉内に収納した。オートクレーブ内の結晶育成領域(上部)の温度が558℃に、下部の原料溶解領域の温度が616℃になるように昇温し、その温度96保持した。オートクレーブ内の圧力は83MPaであった。また、保持中の温度幅は±5℃以下に制御した。このときの、圧力[MPa]×鉱化剤濃度[mol/NH3mol]は1.24である。その後、オートクレーブの下部外面の温度が50℃になるまで約9時間かけて降温した後、ヒーターによる加熱を止め、電気炉内で自然放冷した。オートクレーブの下部外面の温度がほぼ室温まで降下したことを確認した後、まずオートクレーブに付属したバルブを開放し、オートクレーブ内のNH3を取り除いた。その後、オートクレーブを計量し、NH3の排出を確認した。その後、一旦バルブを閉じ、真空ポンプに通ずるように導管を操作し、バルブを再び開放し、オートクレーブのNH3をほぼ完全に除去した。
その後、オートクレーブの蓋を開け、種結晶を取り出した。育成後の種結晶を観察したところ、種結晶の重量は僅かに増えたものの、成長速度は+c軸方向(Ga面)、−c軸方向(N面)合わせて10.5μm/day程度であった。
<比較例2>
鉱化剤をNH4Clに変更し、鉱化剤濃度、上部温度、下部温度および圧力を表1に記載される条件に変更したこと以外は、比較例1と同様に結晶成長を行った。成長速度は+c軸方向(Ga面)、−c軸方向(N面)合わせて26.3μm/day程度であった。
<比較例3>
内寸が直径30mm、長さ450mmのRENE41製オートクレーブ(内容積約345cm3)を耐圧容器として用い、Pt−Ir製カプセルを反応容器として結晶成長を行った。カプセルへの充填作業は十分に乾燥した窒素雰囲気グローブボックス内にて行った。原料として多結晶GaN粒子50.98gを秤量し、カプセル上部領域(原料溶解領域)内に設置した。次に鉱化剤として十分に乾燥した純度99.999%のGaF3を充填NH3量に対してF濃度が1mol%となるよう秤量しカプセル内に投入した。
さらに上部の原料溶解領域と下部の結晶成長領域の間に白金製のバッフル板を設置した。種結晶としてHVPE法により成長した六方晶系GaN単結晶のC面を主面とするウェハー(10mmx5mmx0.3mm)2枚とM面を主面とするウェハー(5mm×7.5mm×0.3mm)2枚、およびHVPE法によって自発核生成した粒子状結晶(約5mm×5mm×5mm)1個を用いた。種結晶の主面は粒子状結晶を除きchemical mechanical polishing(CMP)仕上げされており、表面粗さは原子間力顕微鏡による計測によりRmsが0.5nm以下であることを確認した。これら種結晶を直径0.2mmの白金ワイヤーにより白金製種結晶支持枠に吊るし、カプセル上部の結晶成長領域に設置した。
つぎにカプセルの上部にPt−Ir製のキャップを溶接により接続したのち、重量を測定した。キャップ上部に付属したチューブにバルブを接続し、真空ポンプで真空脱気した。その後、真空状態を維持したままカプセルをドライアイスエタノール溶媒により冷却した。つづいて外気に触れることなくNH3を充填した。流量制御に基づき、NH3をカプセルの有効容積の約57%に相当する液体として充填(−33℃のNH3密度で換算)した後、再びバルブを閉じた。NH3充填前と充填後の重量の差から充填量を確認した。
つづいてバルブが装着されたオートクレーブにカプセルを挿入した後に蓋を閉じ、オートクレーブの重量を計測した。次いでオートクレーブに付属したバルブを開けて真空脱気した。その後、真空状態を維持しながらオートクレーブ1をドライアイスエタノール溶媒によって冷却した。次いで、外気に触れることなくNH3をオートクレーブに充填した。流量制御に基づき、NH3をオートクレーブの有効容積(オートクレーブ容積−充填物容積)の約59%に相当する液体として充填(−33℃のNH3密度で換算)した後、再びバルブを閉じた。オートクレーブ1の温度を室温に戻し、外表面を十分に乾燥させオートクレーブの重量を計測した。NH3充填前の重量との差からNH3の重量を算出し充填量を確認した。
続いてオートクレーブを上下に2分割されたヒーターで構成された電気炉内に収納した。オートクレーブ外表面の結晶成長領域の温度が625℃、原料溶解領域の温度が595℃(平均温度610℃)になるよう9時間かけて昇温し、設定温度に達した後、その温度にて4.7日間保持した。オートクレーブ内の圧力は250MPaであった。また保持中のオートクレーブ外面制御温度のバラツキは±0.3℃以下であった。
その後、オートクレーブの外面の温度が室温に戻るまで自然冷却し、オートクレーブに付属したバルブを開放し、オートクレーブ内のNH3を取り除いた。その後オートクレーブを計量しNH3の排出を確認した後、オートクレーブの蓋を開け、カプセルを取り出した。カプセル上部に付属したチューブに穴を開けカプセル内部からNH3を取り除いた。カプセル内部を確認したところ、C面、M面いずれの種結晶上にも全面に窒化ガリウム結晶が析出していた。成長速度はそれぞれの面方位により異なり、Ga面:100μm/day、N面:140μm/day、M面:150μm/day、A面:330μm/dayであった。
N面成長した結晶は、クレパス状の欠陥が目視で確認できた。また、M面について光学顕微鏡で確認したところ、多くのクラックが入っていることを確認した。
(PL評価1)
PL測定は、光源にHe−Cdレーザー(波長325nm)をビーム強度38 W/cm2で試料に照射して、浜松ホトニクス社製分光器(型番:C5094)および浜松ホトニクス社製検出器(型番:BT−CCD PMA−50)で発光スペクトルを測定することにより行った。
実施例3と比較例1、2では、HVPE法で作製されたc面を主面とするGaN種結晶上に結晶成長した窒化ガリウム結晶のPL測定を行った。比較例1、2の結果を図2及び図3に示す。なお、図2では、PL強度を対数で表している。
実施例3、比較例1の結晶は364nm付近にバンド端発光ピークが観察されたが、鉱化剤に塩化アンモニウムを用いた比較例2はピークが観察されなかった。このことから、比較例2の結晶は実施例3、比較例1の結晶と比較して結晶性が良くないことがわかった。
較例1のバンド端発光のピークエネルギーが3.387eVで、半値幅が155meVであった。
また、実施例3は比較例1と比較して、バンド端発光のピークエネルギーが大きく、半値幅が小さいことが分かる。一般に、バンド端のピークエネルギーが大きいほど、半値幅が小さいほど不純物が少ないといえることから、実施例3は比較例1に比べて不純物が少ない結晶であるといえる。
図3には、実施例3、比較例1、比較例2のバンド端発光(NBE)とルミネッセンス波長が500〜600nmに観察されるイエローバンド発光(YB)の強度比(YB/NBE)を示した(実施例3は図示せず)。比較例1のYB/NBEは22.06、比較例2のYB/NBEはバンド端発光ピークが検出できず算出できなかった。一般に、イエローバンド発光は、Ga欠陥がある場合に観察されることから、YB/NBEの値が低い方が欠陥が少ない結晶であるといえる。このことから。フッ化アンモニウムを鉱化剤として成長した実施例3は、ヨウ化アンモニウムや塩化アンモニウムを鉱化剤に使用して成長した比較例1、比較例2よりも欠陥の少ない結晶が得られているといえる。
このことから、F含有鉱化剤を使用した場合には、I含有鉱化剤、Cl含有鉱化剤で成長するよりも、不純物の少なく欠陥も少ない高品質な結晶が得られることがわかった。
(PL評価2)
実施例30と比較例3で板状の主面をm面とするシード上に窒化ガリウムを結晶成長したm面成長表面を、室温でPL測定を行った。測定法はPL評価1に記載の方法で行った。その結果を図4及び図5に示す。なお、図4では、PL強度を対数で表している。
実施例30のバンド端発光のピークエネルギーが3.413eVで、半値幅が56meVであった。一方、比較例3のバンド端発光のピークエネルギーが3.407eVで、半値幅が63meVであった。実施例30は比較例3と比較して、バンド端発光のピークエネルギーが大きく、半値幅が小さいことが分かる。一般に、バンド端のピークエネルギーが大きいほど、半値幅が小さいほど不純物が少ないといえることから、実施例30は比較例3に比べて不純物が少ない結晶であるといえる。
また、図4に示したスペクトルを比較すると、成長圧力を低圧とした実施例30の方がバンド端発光強度が高く、高純度であることを確認した。
図5には、実施例30、比較例3のバンド端発光(NBE)とルミネッセンス波長が500〜600nmに観察されるイエローバンド発光(YB)の強度比(YB/NBE)を示した。実施例30のYB/NBEは0.74、比較例3のYB/NBEは20.39であった。一般に、イエローバンド発光は、Ga欠陥がある場合に観察されることから、YB/NBEの値が低い方が欠陥が少ない結晶であるといえる。このことから。低圧成長した実施例30は、高圧成長した比較例3よりも欠陥の少ない結晶が得られているといえる。
このことから、F含有鉱化剤を使用した場合には、高圧で成長するよりも、低圧で成長した方が不純物の少なく、欠陥も少ない高品質な結晶が得られることがわかった。
以上の結果から、フッ素を含有する鉱化剤を用いて、圧力を10〜200MPaにして結晶を成長させた実施例では、効率良く窒化物単結晶を成長させうることが確認された。これに対して、フッ素を含有する鉱化剤を用いずに結晶を成長させた比較例では、十分な成長速度を達成することができなかった。
本発明の製造方法によれば、低圧条件下においても効率良く窒化物単結晶を成長させることができる。肉厚が薄い耐圧性容器を用いることができるため、同じ径のNi基インゴットから内容積が大きな耐圧性容器を製造して本発明の製造方法に用いることができる。また、本発明の製造方法によれば、エネルギーコストを抑えることもできる。本発明の製造方法により効率良く製造されるGaNなどの窒化物単結晶は、周期表第13族元素の窒化物系半導体からなる青色発光ダイオード(LED)や青色半導体レーザ(LD)用の単結晶窒化ガリウム(GaN)基板を始めとする幅広い用途に応用することができる。このため、本発明の産業上の利用可能性は極めて高い。
1 上部(原料溶解領域)
2 下部(結晶成長領域)
3 外壁
4 原料
5 バッフル板
6 種結晶

Claims (9)

  1. 六方晶系の結晶構造を有する種結晶、窒素含有溶媒、原料、およびフッ素を含有する鉱化剤を入れた反応容器内の圧力を5〜200MPaとし、前記窒素含有溶媒が超臨界状態および/または亜臨界状態となるように制御して前記種結晶の表面に窒化物結晶を成長させる結晶成長工程を含むこと、
    前記反応容器の内部には、前記原料を溶解する領域である原料溶解領域と、前記種結晶の表面に窒化物結晶を成長させる領域である結晶成長領域とがあること、および、
    前記結晶成長工程では、前記原料溶解領域の温度が前記結晶成長領域の温度よりも低いことを特徴とする窒化物単結晶の製造方法。
  2. 前記窒化物結晶を成長させる工程では、前記反応容器内の圧力を10〜176MPaとすることを特徴とする、請求項1に記載の窒化物単結晶の製造方法。
  3. 前記鉱化剤はハロゲンを含有し、前記ハロゲンの50mol%以上がフッ素である、請求項1または2に記載の窒化物結晶の製造方法。
  4. 前記圧力と前記鉱化剤の濃度が、下記式を満たす、請求項1〜3のいずれか一項に記載の窒化物単結晶の製造方法。
    0.4 ≦ P × M ≦ 3.0
    (上式において、Pは前記反応容器内の圧力[単位:MPa]を表し、Mは前記鉱化剤に含まれるフッ素の窒素含有溶媒に対する濃度[単位:mol/溶媒mol]を表す。)
  5. 前記結晶成長工程における前記結晶成長領域の温度が650℃よりも低い、請求項1〜4のいずれか一項に記載の窒化物結晶の製造方法。
  6. 前記反応容器が、Ni含有量が40質量%を超えるNi基合金を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の窒化物結晶の製造方法。
  7. 前記種結晶が窒化ガリウム結晶であり、前記窒素含有溶媒がアンモニアを含み、前記原料が窒化ガリウムを含み、前記鉱化剤がフッ化アンモニウムを含み、前記結晶成長工程では前記種結晶の表面に窒化ガリウム結晶を成長させる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の窒化物単結晶の製造方法。
  8. 前記反応容器がオートクレーブである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の窒化物単結晶の製造方法。
  9. 前記オートクレーブには白金が内張りされている、請求項8に記載の窒化物単結晶の製造方法。
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