JP2014185070A - 周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法 - Google Patents

周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】アモノサーマル法を用いた周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法であって、結晶成長させる単結晶への多結晶の付着を抑制し、大面積かつ多数の基板を取り出せる結晶性良好な単結晶を得ることができる方法を提供する。
【解決手段】超臨界状態及び/又は亜臨界状態の窒素含有溶媒存在下で種結晶101上に周期表第13族金属窒化物半導体結晶108を成長させる成長工程を有する周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法であって、前記成長工程において、種結晶101の表面のうち上側領域(重力方向102の逆方向)の少なくとも一部を遮蔽物107で被覆することにより、種結晶101の上側領域からの結晶成長を抑制することができることを特徴とする周期表13族金属窒化物半導体の製造方法。
【選択図】図4

Description

本発明は、周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法に関する。具体的には、アモノサーマル法を用いて周期表第13族金属窒化物半導体結晶を成長させる方法であって、成長する単結晶への多結晶の付着を防止して、結晶品質が良好な単結晶を効率的に得ることができる、周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法に関する。
窒化ガリウム(GaN)に代表される周期表第13族金属窒化物半導体は、大きなバンドギャップを有し、さらにバンド間遷移が直接遷移型であることから、紫外、青色等の発光ダイオードや半導体レーザー等の比較的短波長側の発光素子として実用化されている。これらのデバイスは、同種の材料からなり、かつ結晶欠陥の少ない高品質な半導体基板(自立基板)を用いて製造されることが好ましく、このような半導体基板となり得る周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造技術が盛んに研究されている。
周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法として、ハイドライド気相成長法(HVPE法)などの気相成長法やアモノサーマル法などの液相成長法等が知られている。HVPE法は、水素気流中でGaの塩化物と周期表第5族元素の水素化物(NH)を炉内に導入し熱分解させ、熱分解で発生する結晶を基板上に堆積させる方法である。一方、アモノサーマル法は、超臨界状態及び/又は亜臨界状態にあるアンモニアなどの窒素を含有する溶媒と、原材料の溶解−析出反応を利用して所望の結晶材料を製造する方法である。結晶成長へ適用するときは、アンモニアなどの窒素含有溶媒への原料溶解度の温度依存性を利用して温度差により過飽和状態を発生させて結晶を析出させる。具体的には、オートクレーブなどの耐圧性容器内に結晶原料や種結晶を入れて密閉し、ヒーター等で加熱することにより耐圧性容器内に高温域と低温域を形成し、その一方において原料を溶解し、他方において結晶を育成することにより、結晶を製造することができる。
例えば、特許文献1には、複数のシード(種結晶)を用いて、シード面積よりも大きな面積を有する結晶をアモノサーマル法によって結晶成長させる方法が開示されている。さらに、複数のシードを保持するためにホルダーを用いること、また、ホルダーによってシードの特定の面を覆いその面からの結晶成長を防止することが記載されている。
特表2008−521737号公報
本発明者らが厚膜結晶を得るべくアモノサーマル法を用いた長時間の結晶成長方法について鋭意検討したところ、得られた単結晶の表面のうち、結晶成長時に反応容器の上側(重力方向の逆方向)を向いていた部分に多結晶体が析出しており、さらに、それが単結晶内部にまで入り込んでいることが確認された。このように、単結晶内部に多結晶体が入り込んでしまうと、取り出せる基板の大きさが小さくなったり、枚数が少なくなったりし、さらに、入り込んだ多結晶体が核として異常成長が生じるという新たな課題が存在することを見出した。
そこで本発明では、アモノサーマル法を用いた周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法であって、結晶成長させる単結晶への多結晶の付着を抑制し、大面積かつ多数の
基板を取り出せる結晶性良好な単結晶を得ることができる方法を提供することを課題とする。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、アモノサーマル法によって結晶成長を行う際に、種結晶の表面のうち特定の領域を遮蔽部で被覆することで、前記課題を解決し得ることを見出した。
即ち、本発明は以下の通りである。
[1] 超臨界状態及び/又は亜臨界状態の窒素含有溶媒存在下で種結晶上に周期表第13族金属窒化物半導体結晶を成長させる成長工程を有する周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法であって、前記成長工程において、種結晶の表面のうち上側領域の少なくとも一部を遮蔽物で被覆することを特徴とする周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法。(ただし、上側領域とは、種結晶の表面のうち、重力方向の逆方向の成分を含む方向を向いている領域を意味するものである。)
[2] 前記成長工程において、種結晶の表面のうち上側領域の50%以上を遮蔽物で被覆することを特徴とする[1]に記載の周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法。
[3] 前記遮蔽物が板状部材であることを特徴とする、[1]又は[2]に記載の周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法。
[4] 前記遮蔽物が被膜であることを特徴とする、[1]又は[2]に記載の周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法。
[5] 前記成長工程において、前記種結晶を保持部材で保持することを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法。
本発明によれば、アモノサーマル法を用いた周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法であって、結晶成長させる単結晶への多結晶の付着を抑制し、大面積かつ多数の基板を取り出せる結晶性良好な単結晶を得ることができる方法を提供することができる。
図1は、本発明で用いることができる結晶製造装置の模式図である。 図2は、本発明で用いることができる別の結晶製造装置の模式図である。 図3は、種結晶の配置の一例を示す概念図である。 図4は、遮蔽物の設置の一例を示す概念図である。
以下において、本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法及び本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様や具体例に限定されるものではない。
なお、本願において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。また、本願におけるミラー指数は、指数が負である場合に当該指数の前にマイナス記号をつけて表記している。また、本明細書において<・・・・>との表記は方向の集合表現、[・・・・]との表記は方向の個別表現を表す。それに対して{・・・・}との表記は面の集合表現、(・・・・)との表記は面の個別表現を表す。
本明細書において「オフ角」とは、ある面の指数面からのずれを表す角度である。
本願明細書において「主面」とは、結晶に存在する表面のうち最も広い面を意味し、種結晶の「主面」は通常結晶成長が行われるべき面となる。
本願明細書において、「C面」とは、六方晶構造(ウルツ鉱型結晶構造)における{0001}面であり、c軸に直交する面である。かかる面は極性面であり、周期表第13族金属窒化物半導体結晶では「+C面」は周期表第13族金属面(窒化ガリウムの場合はガリウム面)であり、「−C面」は窒素面である。
また、本願明細書において、「M面」とは{1−100}面と等価な面であり、具体的には(1−100)面、(01−10)面、(−1010)面、(−1100)面、(0−110)面、或いは(10−10)面であり、m軸に直交する面である。かかる面は非極性面であり、通常は劈開面である。
また、本願明細書において、「A面」とは{2−1−10}面と等価な面であり、具体的には(2−1−10)面、(−12−10)面、(−1−120)面、(−2110)面、(1−210)面、或いは(11−20)面であり、a軸に直交する面である。かかる面は非極性面である。本明細書において「c軸」「m軸」「a軸」とは、それぞれC面、M面、A面に垂直な軸を意味する。
また、本願明細書において「半極性面」とは、例えば、周期表第13族金属窒化物半導体結晶が六方晶であってその主面が(hklm)で表される場合、h、k、lのうち少なくとも2つが0でなく、且つmが0でない面をいう。また、半極性面は、C面、すなわち{0001}面に対して傾いた面で、表面に周期表第13族金属元素と窒素元素の両方あるいは片方のみが存在する場合で、かつその存在比が1:1でない面を意味する。h、k、l、mはそれぞれ独立に−5〜5のいずれかの整数であることが好ましく、−3〜3のいずれかの整数であることがより好ましく、低指数面であることが好ましい。具体的には、例えば{20−21}面、{20−2−1}面、{30−31}面、{30−3−1}面、{10−11}面、{10−1−1}面、{10−12}面、{10−1−2}面、{11−22}面、{11−2−2}面、{11−21}面、{11−2−1}面など低指数面が挙げられる。
また、本明細書においてC面、M面、A面や特定の指数面を称する場合には、±0.01°以内の精度で計測される各結晶軸から10°以内のオフ角を有する範囲内の面を含む。好ましくはオフ角が5°以内であり、より好ましくは3°以内である。<周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法>
本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法は、「超臨界状態及び/又は亜臨界状態の窒素含有溶媒存在下で種結晶上に周期表第13族金属窒化物半導体結晶を成長させる成長工程を有する」ものであって、「成長工程において、種結晶の表面のうち上側領域の少なくとも一部を遮蔽物で被覆する」ことを特徴とする。ただし、上側領域とは、種結晶の表面のうち、重力方向の逆方向の成分を含む方向を向いている領域を意味するものである。
種結晶の表面のうちの「上側領域」について、図3(a)及び(b)の態様を例にして説明する。図3(a)及び(b)は、重力方向102に垂直な方向から観察した際の種結晶の形状を示す概略図である。図3(a)の場合のように、長方形状に観察される直方体状の種結晶101を用いた場合には、上面103は重力方向に対して逆方向を向いている面であり、側面104及び側面105は重力方向から90°傾いた方向を向いている面であり、下面106は重力方向と平行な方向を向いている面である。この場合、重力方向の逆方向を少なくとも向いている面、つまり、向いている方向が重力方向の逆方向成分を少なくとも含む面は上面103となる。一方で図3(b)の場合のように、台形状に観察される台形柱状の種結晶101を用いた場合には、上面103は重力方向に対して150°傾いた方向を向いている面であり、側面104は重力方向に対して15°傾いた方向を向いている面であり、側面105は重力方向に対して75°傾いた方向を向いている面であり、下面106は重力方向に対して30°傾いた方向を向いている面である。この場合、
重力方向の逆方向を少なくとも向いている面、つまり、向いている方向が重力方向の逆方向成分を少なくとも含む面は上面103となる。
本発明に係る製造方法は、成長工程において、種結晶の表面のうち上側領域の少なくとも一部を遮蔽物で被覆するものであるが、例えば図3(a)及び(b)に示した種結晶を用いる場合には、それぞれ図4(a−1)及び(b−1)のように、上側領域を被覆する目的で板状部材である遮蔽物107を種結晶101の上面103上に設けることができ、このように遮蔽物107を設けた種結晶101を用いて結晶成長させた場合には、それぞれ図4(a−2)及び(b−2)のように種結晶の上側領域からの結晶成長が抑制され、主として種結晶の下面及び側面から結晶成長が行われる。このように、種結晶の表面にうち上側領域の少なくとも一部を遮蔽物で被覆することで、種結晶の上側領域からの結晶成長を抑制することができる傾向がある。
前述のように、種結晶の表面のうち上側領域を遮蔽物で被覆することなくアモノサーマル法を用いて長時間結晶成長を行った場合には、得られた単結晶の表面のうち上側領域に多結晶体が析出してしまい、さらに、それが単結晶内部にまで入り込んでしまうという事実を本願発明者等が新たに見出した。このように単結晶内部に多結晶体が入り込んでしまうと、取り出せる基板の大きさが小さくなったり、枚数が少なくなったりし、さらに、入り込んだ多結晶体が核として異常成長が生じるという新たな課題が存在することを見出した。さらに、長時間の成長を行った際に、多結晶体の入り込み方によっては、単結晶内部に応力が発生し、クラックが発生する可能性があるという新たな課題が存在することを見出した。
このような課題に対して本願発明者らが鋭意検討を行った結果、結晶成長を行うに際して、種結晶の表面のうち上側領域の少なくとも一部を遮蔽物で被覆することで、前記上側領域からの結晶成長を抑制できる、つまり、多結晶体の析出及び入り込みが起こり得る領域における結晶成長を抑制することで、多結晶体の析出及び入り込みに起因する前述の課題を解決し得ることを新たに見出した。
(種結晶)
本発明の製造方法に用いる種結晶は、例えば、GaNに代表される周期表第13族金属窒化物、または、サファイア、Si、SiC、Ga、GaAs、ZnO(酸化亜鉛)などの基板が挙げられ、周期表第13族金属窒化物、サファイア、GaAs、酸化亜鉛、SiおよびSiCからなる群から選ばれる少なくとも1種の結晶であることが好ましい。また、周期表第13族金属窒化物の中でも、その上に成長させる周期表第13族金属窒化物半導体結晶と同種の結晶であることが好ましい。例えば、GaN結晶を成長させようとしている場合は、種結晶もGaN基板であることが好ましい。周期表第13族金属窒化物半導体結晶としては、GaNの他に、AlN、InN、またはこれらの混晶などを挙げることができる。混晶としては、AlGaN、InGaN、AlInN、AlInGaNなどを挙げることができる。好ましいのはGaNおよびGaを含む混晶であり、より好ましいのはGaNである。なお、種結晶として、その上に成長させる周期表第13族金属窒化物半導体結晶と異種の結晶を含む基板を用いる場合には、異種の結晶上にその上に成長させる周期表第13族金属窒化物半導体結晶と同種の結晶からなる結晶層を形成したもの(テンプレート基板)を用いることが好ましい。
種結晶の結晶成長方法については何ら限定されないが、種結晶としてGaN等の周期表第13族金属窒化物結晶を用いる場合には、ハイドライド気相成長法(HVPE法)、有機金属化学蒸着法(MOCVD法)、有機金属塩化物気相成長法(MOC法)、分子線エピタキシー法(MBE法)等の気相成長法で成長させた結晶であってもよく、液相エピタキシー法(LPE法)、フラックス法、アモノサーマル法(本明細書において、アモノサ
ーマル法を液相成長法に分類して取り扱うものとする。)等の液相成長法で成長させた結晶であってもよい。この中でも、主面面積が大面積の種結晶を用いるとの観点からはHVPE法で得た結晶が好ましく、また、得られる板状結晶の結晶品質を向上するとの観点からはアモノサーマル法で得た結晶であることが好ましい。
用いる種結晶の形状は特に限定されないが、板状、円盤状、塊状などが例示されるが、効率的に結晶成長を行うとの観点から、主面を有する種結晶を用いることが好ましい。種結晶の主面の形状は特に限定されないが、四角形、六角形、十二角形、円形、楕円形などが挙げられるが、略同じ形状の板状結晶を複数形成できる傾向があることから四角形であることが好ましい。
種結晶の主面の最大径は10mm以上であることが好ましく、15mm以上であることがより好ましく、20mm以上であることがさらに好ましく、通常、200mm以下である。前記下限値以上とすることで、得られる板状結晶の主面の大きさをより大きなものとすることができる傾向がある。なお、主面の最大径とは、主面の形状が円形の場合にはその直径を、円形以外の形状の場合には主面における最大長さを意味する。
種結晶の主面の結晶面は特に限定されないが、例えば{0001}面、{10−10}面、{11−20}面、{11−22}面、{20−21}面等を好ましく挙げることができ、成長速度が速い観点から、C面又はM面が好ましく、窒素面であることがより好ましい。
種結晶の厚みも特に限定されないが、100μm以上であることが好ましく、200μm以上であることがより好ましい。
また、種結晶の配置については特に限定されないが、主面からの結晶成長を阻害せずに効率良く結晶成長を行うとの観点からは、結晶成長すべき主面が上側領域に含まれないように配置することが好ましく、主面の法線方向が、少なくとも重力方向の成分を含むように配置することがより好ましい。
なお、反応容器内における種結晶の保持方法については何ら限定されないが、種結晶を保持部材で保持することが好ましい。保持部材で保持する方法としては、例えば、耐食性の材料で形成したケースに嵌め込む方法や、耐食性の材料で形成したワイヤーを種結晶の一部に巻きつけて保持する方法や、耐食性の材料で形成したワイヤーを種結晶に形成した貫通孔に通して保持する方法などが挙げられる。前記耐食性の材料としては例えばSi、Al、W、Mo、Ti、Pt、Ir、Ag、Au、Ta、Ru、Nb、Pd、やそれらの合金、あるいは酸化物や窒化物などが挙げられる。
(遮蔽物)
本発明の製造方法で用いる遮蔽物は、種結晶の表面のうち上側領域の少なくとも一部を被覆できるものであれば特に限定されないが、その形状としては例えば、板状部材、被膜などが挙げられる。
遮蔽物として板状部材を用いる場合、その大きさは特に限定されないが、種結晶の表面を被覆する部分の面積が1cm以上であることが好ましく、2cm以上であることがより好ましく、3cm以上であることがさらに好ましく、通常、400cm以下である。前記下限値以上とすることで、上側領域における遮蔽物での被覆割合を高めることができる傾向がある。また、その厚みは特に限定されないが、100μm以上であることが好ましく、200μm以上であることがより好ましく、500μm以上であることがさらに好ましく、通常1000μm以下である。前記下限値以上とすることで、成長工程中において遮蔽物が種結晶表面から剥離することを効果的に防止することができる傾向がある。なお、板状部材の形状は、種結晶の表面のうち上側領域の少なくとも一部を被覆できるものであれば何ら限定されず、図4(b−2)のように種結晶からはみ出た形状としても
よい。
この場合、板状部材の材質については特に限定されないが、Si、Al、W、Mo、Ti、Pt、Ir、Ag、Au、Ta、Ru、Nb、Pd、やそれらの合金、あるいは酸化物や窒化物などが挙げられる。
板状部材の固定方法については何ら限定されないが、例えば、種結晶とともに前記保持部材で保持すればよい。
また、遮蔽物として被膜を用いる場合、その大きさは特に限定されないが、種結晶の表面を被覆する部分の面積が1cm以上であることが好ましく、2cm以上であることがより好ましく、3cm以上であることがさらに好ましく、通常、400cm以下である。
この場合、被膜の材質については特に限定されないが、Si、Al、W、Mo、Ti、Pt、Ir、Ag、Au、Ta、Ru、Nb、Pd、やそれらの合金、あるいは酸化物や窒化物などが挙げられる。また、これらの中から選ばれる1つの材質からなる被膜を1層形成してもよく、また、これらの中から選ばれる複数の材質の被膜を複数層積層してもよい。
被膜の形成方法については何ら限定されないが、真空蒸着で形成する方法や、イオンプレーティングで形成する方法や、スパッタリングで形成する方法や、気相成長で形成する方法などが挙げられる。
また、種結晶の表面の上側領域のうち、遮蔽物で被覆する割合は特に限定されないが、50%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、99.9%以上であることが特に好ましく、通常、100%以下である。前記下限値以上とすることで、得られる単結晶表面への多結晶体の析出及び入り込みを効果的に抑制できる傾向がある。なお、遮蔽物によって、種結晶の表面のうち上側領域以外の領域が被覆されていてもよい。
[成長工程]
本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法に係る成長工程は、「超臨界状態及び/又は亜臨界状態の窒素含有溶媒存在下で種結晶上に周期表第13族金属窒化物半導体結晶を成長させる」ものであって「種結晶の表面のうち上側領域の少なくとも一部を遮蔽物で被覆する」ことを特徴とするものである。成長工程において遮蔽物で被覆した状態を維持することが好ましいが、成長工程の途中で遮蔽物が種結晶表面から除去等されても良い。 以下、本発明に係る結晶成長の方法として、アモノサーマル法によってGaN結晶を作製する場合の結晶成長装置の構成及び成長条件の具体例を挙げて説明するが、以下の態様に限定されるものではない。
(アモノサーマル法による結晶成長)
アモノサーマル法とは、超臨界状態及び/又は亜臨界状態にある窒素含有溶媒を用いて、原材料の溶解−析出反応を利用して所望の材料を製造する方法である。以下に本発明における結晶成長方法に用いることのできる、鉱化剤、溶媒、原料について具体的に説明する。
(鉱化剤)
本発明において、アモノサーマル法によって周期表第13族金属窒化物半導体結晶を結晶成長させるに際して、鉱化剤を用いることが好ましい。アンモニアなどの窒素を含有する溶媒に対する結晶原料の溶解度が高くないために、溶解度を向上させるためにハロゲンやアルカリ金属系の鉱化剤が用いられるが、その種類は特に限定されない。
ハロゲン元素を含む鉱化剤の例としては、ハロゲン化アンモニウム、ハロゲン化水素、アンモニウムヘキサハロシリケート、及びヒドロカルビルアンモニウムフルオリドや、ハロゲン化テトラメチルアンモニウム、ハロゲン化テトラエチルアンモニウム、ハロゲン化ベンジルトリメチルアンモニウム、ハロゲン化ジプロピルアンモニウム、及びハロゲン化イソプロピルアンモニウムなどのアルキルアンモニウム塩、フッ化アルキルナトリウムのようなハロゲン化アルキル金属、ハロゲン化アルカリ土類金属、ハロゲン化金属等が例示される。このうち、好ましくはハロゲン化アルカリ、アルカリ土類金属のハロゲン化物、金属のハロゲン化物、ハロゲン化アンモニウム、ハロゲン化水素であり、さらに好ましくはハロゲン化アルカリ、ハロゲン化アンモニウム、周期表第13族金属のハロゲン化物、ハロゲン化水素であり、特に好ましくはハロゲン化アンモニウム、ハロゲン化ガリウム、ハロゲン化水素である。
また、ハロゲン元素を含む鉱化剤とともに、ハロゲン元素を含まない鉱化剤を用いることも可能であり、例えばNaNHやKNHやLiNHなどのアルカリ金属アミドと組み合わせて用いることもできる。ハロゲン化アンモニウムなどのハロゲン元素含有鉱化剤とアルカリ金属元素又はアルカリ土類金属元素を含む鉱化剤とを組み合わせて用いる場合は、ハロゲン元素含有鉱化剤の使用量を多くすることが好ましい。具体的には、ハロゲン元素含有鉱化剤100質量部に対して、アルカリ金属元素又はアルカリ土類金属元素を含む鉱化剤を50〜0.01質量部とすることが好ましく、20〜0.1質量部とすることがより好ましく、5〜0.2質量部とすることがさらに好ましい。アルカリ金属元素又はアルカリ土類金属元素を含む鉱化剤を添加することによって、c軸方向の結晶成長速度に対するm軸の結晶成長速度の比(m軸/c軸)を一段と大きくすることも可能である。
また、成長させる周期表第13族金属窒化物半導体結晶に不純物が混入するのを防ぐために、必要に応じて鉱化剤は精製、乾燥してから使用することが好ましい。鉱化剤の純度は、通常は95%以上、好ましくは99%以上、さらに好ましくは99.99%以上である。
鉱化剤に含まれる水や酸素の量はできるだけ少ないことが望ましく、これらの含有量は1000wtppm以下であることが好ましく、10wtppm以下であることがより好ましく、1.0wtppm以下であることがさらに好ましい。
なお、結晶成長を行う際には、反応容器にハロゲン化アルミニウム、ハロゲン化リン、ハロゲン化シリコン、ハロゲン化ゲルマニウム、ハロゲン化亜鉛、ハロゲン化ヒ素、ハロゲン化スズ、ハロゲン化アンチモン、ハロゲン化ビスマスなどを存在させておいてもよい。
(溶媒)
アモノサーマル法に用いられる溶媒には、窒素を含有する溶媒(窒素含有溶媒)を用いる。窒素を含有する溶媒としては、成長させる周期表第13族金属窒化物半導体結晶の安定性を損なうことのない溶媒が挙げられる。溶媒としては、例えば、アンモニア、ヒドラジン、尿素、アミン類(例えば、メチルアミンのような第1級アミン、ジメチルアミンのような第二級アミン、トリメチルアミンのような第三級アミン、エチレンジアミンのようなジアミン)、メラミン等を挙げることができる。これらの溶媒は単独で用いてもよいし、混合して用いてもよい。
溶媒に含まれる水や酸素の量はできるだけ少ないことが望ましく、これらの含有量は1000wtppm以下であることが好ましく、10wtppm以下であることがより好ましく、0.1wtppm以下であることがさらに好ましい。アンモニアを溶媒として用いる場合、その純度は通常99.9%以上であり、好ましくは99.99%以上であり、さらに好ましくは99.999%以上であり、特に好ましくは99.9999%以上である
(原料)
成長工程においては、種結晶上に成長結晶として成長させようとしている周期表第13族金属窒化物半導体結晶を構成する元素を含む原料を用いる。例えば、周期表第13族金属の窒化物結晶を成長させようとする場合は、周期表第13族金属を含む原料を用いる。好ましくは周期表第13族窒化物結晶の多結晶原料及び/又は周期表第13族金属であり、より好ましくは窒化ガリウム及び/又は金属ガリウムである。多結晶原料は、完全な窒化物である必要はなく、条件によっては周期表第13族元素がメタルの状態(ゼロ価)である金属成分を含有してもよい。例えば、成長させる周期表第13族金属窒化物半導体結晶が窒化ガリウムである場合には、窒化ガリウムと金属ガリウムの混合物が挙げられる。本発明で得られる周期表第13族金属窒化物半導体結晶の種類としては、GaN、InN、AlN、InGaN、AlGaN、AlInGaNなどを挙げることができる。好ましいのはGaN、AlN、AlGaN、AlInGaNであり、より好ましいのはGaNである。よって、周期表第13族金属窒化物半導体結晶原料としては、前述の結晶の多結晶原料および/またはこれらのメタルを組合せて用いることができる。
多結晶原料の製造方法は、特に制限されない。例えば、アンモニアガスを流通させた反応容器内で、金属又はその酸化物もしくは水酸化物をアンモニアと反応させることにより生成した窒化物多結晶を用いることができる。また、より反応性の高い金属化合物原料として、ハロゲン化物、アミド化合物、イミド化合物、ガラザンなどの共有結合性M−N結合を有する化合物などを用いることができる。さらに、Gaなどの金属を高温高圧で窒素と反応させて作製した窒化物多結晶を用いることもできる。
(製造装置)
本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法に用いることのできる結晶製造装置の具体例を図1および図2に示す。本発明で用いる結晶製造装置は反応容器を含む。
図1は、本発明で用いることができる結晶製造装置の模式図である。図1に示される結晶製造装置では、オートクレーブ(耐圧性容器)1の内部がライニングされており、ライニング3内側を反応容器として結晶成長が行われる。オートクレーブ1中は原料を溶解するための原料溶解領域9と結晶を成長させるための結晶成長領域6とから構成されている。その他の部材の設置は、後述する図2の結晶製造装置と同様にすることができる。
図2は、本発明で用いることができる別の結晶製造装置の模式図である。図2に示される結晶製造装置において、結晶成長は、オートクレーブ1(耐圧性容器)中に反応容器として装填されるカプセル(内筒)20中で行われる。カプセル20は、原料を溶解するための原料充填領域9と結晶を成長させるための結晶成長領域6から構成されている。原料充填領域9には原料8とともに溶媒や鉱化剤を入れることができる。結晶成長領域6には種結晶7をワイヤー4で吊すなどして設置することができる。原料充填領域9と結晶成長領域6の間には、2つの領域を区画バッフル板5が設置されている。
(結晶成長)
本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法に係る結晶成長方法の一例について説明する。本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法に係る結晶成長を実施する際には、まず、反応容器内に、種結晶、窒素を含有する溶媒、原料、及び鉱化剤を入れて封止する。ここで、種結晶としては、その表面のうち反応容器内に配置した際に上側領域となる部分の少なくとも一部を遮蔽物で被覆したものを用いる。なお、一度結晶成長を行った後、再度結晶成長を行う際には、遮蔽物は種結晶の表面上に残っていても、除去等されていてもよい。
原料等の材料を導入する前又は導入した後に反応容器内を脱気しても良い。また、原料等の材料の導入時には、窒素ガスなどの不活性ガスを流通させても良い。通常は、反応容器内への種結晶の設置は、原料及び鉱化剤を充填する際に同時又は充填後に行う。種結晶の設置後には、必要に応じて加熱脱気をしても良い。脱気時の真空度は1×10−2Pa以下が好ましく、5×10−3Pa以下がさらに好ましく、1×10−3Pa以下が特に好ましい。
図2に示す製造装置を用いる場合は、反応容器であるカプセル20内に種結晶7、窒素を含有する溶媒、原料、及び鉱化剤を入れて封止した後に、カプセル20をオートクレーブ(耐圧性容器)1内に装填し、好ましくは耐圧性容器と該反応容器の間の空隙に第2溶媒を充填して耐圧性容器を密閉する。
その後、全体を加熱して反応容器内を超臨界状態及び/又は亜臨界状態とする。超臨界状態では一般的には、物質の粘度が低くなり、液体よりも容易に拡散されるが、液体と同様の溶媒和力を有する。亜臨界状態とは、臨界温度近傍で臨界密度とほぼ等しい密度を有する液体の状態を意味する。例えば、原料充填領域では、超臨界状態として原料を溶解し、結晶成長領域では亜臨界状態となるように温度を変化させて超臨界状態と亜臨界状態の原料の溶解度差を利用した結晶成長も可能である。
超臨界状態にする場合、反応混合物は、一般に溶媒の臨界点よりも高い温度に保持される。溶媒としてアンモニアを用いた場合、臨界点は臨界温度132℃、臨界圧力11.35MPaであるが、反応容器の容積に対する充填率が高ければ、臨界温度以下の温度でも圧力は臨界圧力を遥かに越える。本発明において「超臨界状態」とは、このような臨界圧力を越えた状態を含む。反応混合物は、一定の容積の反応容器内に封入されているので、温度上昇は流体の圧力を増大させる。一般に、T>Tc(1つの溶媒の臨界温度)及びP>Pc(1つの溶媒の臨界圧力)であれば、流体は超臨界状態にある。
超臨界条件では、周期表第13族金属窒化物半導体結晶の十分な成長速度が得られるが、本発明においては、周期表第13族金属窒化物半導体結晶の成長速度は一定速度以上であることが好ましい。種結晶の主面に垂直な方向の成長速度は50μm/day以上が好ましく、100μm/day以上がより好ましく、200μm/day以上がさらに好ましい。
反応時間は、特に鉱化剤の反応性及び熱力学的パラメーター、すなわち温度及び圧力の数値に依存する。このため、これらの条件をコントロールすることにより、周期表第13族金属窒化物半導体結晶の成長速度を速くすることが好ましい。周期表第13族金属窒化物半導体結晶の成長速度を一定速度以上とすることにより、より大型の結晶が得られる傾向がある。
周期表第13族金属窒化物半導体結晶の成長中、反応容器内の圧力は結晶性および生産性の観点から、30MPa以上にすることが好ましく、60MPa以上にすることがより好ましく、100MPa以上にすることがさらに好ましい。また、反応容器内の圧力は安全性の観点から、700MPa以下にすることが好ましく、500MPa以下にすることがより好ましく、350MPa以下にすることがさらに好ましく、300MPa以下にすることが特に好ましい。圧力は、温度及び反応容器の容積に対する溶媒体積の充填率によって適宜決定される。本来、反応容器内の圧力は、温度と充填率によって一義的に決まるものではあるが、実際には、原料、鉱化剤などの添加物、反応容器内の温度の不均一性、及び自由容積の存在によって多少異なる。
反応容器内の温度範囲は、結晶性および生産性の観点から、下限値が320℃以上であ
ることが好ましく、370℃以上であることがより好ましく、450℃以上であることがさらに好ましい。上限値は、安全性の観点から、700℃以下であることが好ましく、650℃以下であることがより好ましく、630℃以下であることがさらに好ましい。本発明の第13族窒化物結晶の製造方法では、反応容器内における原料充填領域の温度が、結晶成長領域の温度よりも高いことが好ましい。温度差(|ΔT|)は、結晶性および生産性の観点から、5℃以上であることが好ましく、10℃以上であることがより好ましく、100℃以下であることが好ましく、90℃以下であることがより好ましく、80℃以下が特に好ましい。反応容器内の最適な温度や圧力は、結晶成長の際に用いる鉱化剤や添加剤の種類や使用量等によって、適宜決定することができる。
反応容器内の温度範囲、圧力範囲を達成するための反応容器への溶媒の注入割合、すなわち充填率は、反応容器の自由容積、すなわち、反応容器に結晶原料、及び種結晶を用いる場合には、種結晶とそれを設置する構造物の体積を反応容器の容積から差し引いて残存する容積、またバッフル板を設置する場合には、さらにそのバッフル板の体積を反応容器の容積から差し引いて残存する容積の溶媒の沸点における液体密度を基準として、通常20〜95%、好ましくは30〜80%、さらに好ましくは40〜70%とする。反応容器として図2のようなカプセル20を用いる場合には、溶媒の超臨界状態においてカプセル20内外で圧力がバランスするように、溶媒量を適宜調整することが好ましい。
反応容器内での周期表第13族金属窒化物半導体結晶の成長は、熱電対を有する電気炉などを用いて反応容器を加熱昇温することにより、反応容器内のアンモニア等の溶媒を亜臨界状態又は超臨界状態に保持することにより行われる。加熱の方法、所定の反応温度への昇温速度に付いては特に限定されないが、通常、数時間から数日かけて行われる。必要に応じて、多段の昇温を行ったり、温度域において昇温スピードを変えたりすることもできる。また、部分的に冷却しながら加熱したりすることもできる。
なお、上述したの「反応温度」は、反応容器の外面に接するように設けられた熱電対、及び/又は外表面から一定の深さの穴に差し込まれた熱電対によって測定され、反応容器の内部温度へ換算して推定することができる。これら熱電対で測定された温度の平均値をもって平均温度とする。通常は、原料充填領域の温度と結晶成長領域の温度の平均値を平均温度とする。
所定の温度に達した後の反応時間については、第13族窒化物結晶の種類、用いる原料、鉱化剤の種類、製造する結晶の大きさや量によっても異なるが、通常、数時間から数百日とすることができる。
反応中、反応温度は一定にしても良いし、徐々に昇温又は降温させることもできる。所望の結晶を生成させるための反応時間を経た後、反応温度を降温させる。降温方法は特に限定されないが、ヒーターの加熱を停止してそのまま炉内に反応容器を設置したまま放冷してもかまわないし、反応容器を電気炉から取り外して空冷してもかまわない。必要であれば、冷媒を用いて急冷することも好適に用いられる。
反応容器外面の温度、あるいは推定される反応容器内部の温度が所定温度以下になった後、反応容器を開栓する。このときの所定温度は特に限定はなく、通常、−80℃〜200℃、好ましくは−33℃〜100℃である。ここで、反応容器に付属したバルブの配管接続口に配管接続し、水などを満たした容器に通じておき、バルブを開けても良い。さらに必要に応じて、真空状態にするなどして反応容器内のアンモニア溶媒を十分に除去した後、乾燥し、反応容器の蓋等を開けて生成した周期表第13族金属窒化物半導体結晶及び未反応の原料や鉱化剤等の添加物を取り出すことができる。
また、成長工程を実施した後に、成長工程後の結晶体(種結晶と成長結晶とが一体にな
ったもの)を再度反応容器内に設置して結晶成長させる再成長工程を実施してもよい。また、再成長工程を繰り返し実施してもよい。この場合、成長条件については成長工程について例示した条件を好ましく採用することができる。なお、成長工程の反応時間と再成長工程の反応時間の総和は特に限定されないが、10日以上であることが好ましく、15日以上であることがより好ましく、20日以上であることがさらに好ましく、通常、90日以下である。前記下限値以上とすることで、より大型の結晶を得ることができる傾向がある。また、成長工程及び再成長工程にて結晶成長した厚みについては特に限定されないが、主面に垂直な方向に3mm以上であることが好ましく、5mm以上であることがより好ましく、10mm以上であることがさらに好ましく、通常50mm以下である。前記下限値以上とすることで、より大型の結晶とすることができる傾向がある。
なお、本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法にしたがって窒化ガリウムを製造する場合、前記以外の材料、製造条件、製造装置、工程の詳細については特開2009−263229号公報を好ましく参照することができる。該公開公報の開示全体を本明細書に引用して援用する。
本発明の製造方法に係る成長工程の後に、成長結晶を種結晶と分離する分離工程やスライス工程、表面研磨工程等の公知の処理工程を実施してもよい。スライス工程としては、具体的にはワイヤースライス、内周刃スライス等が挙げられ、表面研磨工程としては、例えばダイヤモンド砥粒等の砥粒を用いて表面を研磨する操作、CMP(chemical
mechanical polishing)、機械研磨後RIEでダメージ層エッチングする操作が挙げられる。例えば、スライス工程等を実施することで、周期表第13族金属窒化物半導体結晶から複数の基板を取り出すことができる。
<その他>
本発明の製造方法により得られた周期表第13族金属窒化物結晶は、デバイス、即ち発光素子や電子デバイス、パワーデバイスなどの用途に好適に用いられる。本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶や基板が用いられる発光素子としては、発光ダイオード、レーザーダイオード、それらと蛍光体を組み合わせた発光素子などを挙げることができる。また、本発明の周期表第13族金属窒化物半導体結晶や基板が用いられる電子デバイスとしては、高周波素子、高耐圧高出力素子などを挙げることができる。高周波素子の例としては、トランジスター(HEMT、HBT)があり、高耐圧高出力素子の例としては、サイリスター(SCR、GTO)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、ショットキーバリアダイオード(SBD)がある。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
<実施例1>
本実施例では、図2に示す反応装置を用いて窒化物結晶を成長させた。
ニッケル基合金製のオートクレーブ1を耐圧容器として用い、Pt製カプセルを反応容器として結晶成長を行なった。原料として多結晶GaN粒子をカプセル下部領域内に設置し鉱化剤としてハロゲンを用いた。さらに下部の原料溶解領域と上部の結晶成長領域の間にはバッフル板を設置した。種結晶として、HVPE法で得られた基板を、カプセル上部の結晶成長領域に設置した。前記種結晶はM面、S面、(0001)面、(000−1)面で構成されたバルク状の六方晶系GaN単結晶(a軸方向68mm、m軸方向31mm、c軸方向7mm)を用いた。(0001)面に厚み0.1mmのW(タングステン)製板を白金ワイヤーを用いて固定した。この種結晶を(0001)面の法線方向が重力方向と逆向きの成分を含み、かつ、M面、S面、(000−1)面の法線方向は重力方向と逆向き
の成分を含まないような配置で、白金ワイヤーにより白金製種子結晶支持枠に吊るし、カプセル上部の結晶成長領域に設置した。
カプセルの上部にPt製のキャップを接続しカプセル内を脱気したのち、カプセルを冷却しながら外気に触れることなくNHを充填した。流量制御に基づき、NHをカプセルの有効容積の約55%に相当する液体として充填(−33℃のNH密度で換算)した後、再びバルブを閉じ、その後、キャップ上部を封じ切った。なお、カプセル中に導入されたハロゲン濃度はNHに対してF濃度が1.00mol%、I濃度が1.5mol%
であった。
カプセルをオートクレーブに挿入し、オートクレーブを密封した。バルブを開けて真空脱気し、真空状態を維持しながらオートクレーブを冷却し、導管をNHボンベに通じて外気に触れることなくNHをオートクレーブに充填した。NHをオートクレーブの有効容積(オートクレーブ容積−充填物容積)の約56%に相当する液体として充填(−33℃のNH密度で換算)した後、再びバルブを閉じた。
オートクレーブを電気炉内に収納した。オートクレーブ内部の平均温度が600℃になるようにオートクレーブ外面温度で制御しながら昇温し、原料域が、育成域よりも高温になるように温度差を設けた設定温度に達した後、その温度にて39.7日間保持した。オートクレーブ内の圧力は215MPaであった。
オートクレーブを冷却しながら、オートクレーブに付属したバルブを開放し、オートクレーブ内のNHを取り除いた。オートクレーブの蓋を開け、カプセルを取り出し、更に内部の結晶を取り出した。カプセル内部を確認すると、種結晶上に窒化ガリウム結晶が成長していた。成長結晶塊のサイズは、c軸方向に70mm、a軸方向に35mm、c軸方向に12mmであった。裏面に設置したW製板を取外すと、種結晶の(0001)面が剥き出しになった。すなわち多結晶GaN粒子の付着や異常成長はほとんどみられなかった。
<実施例2>
本実施例では、図2に示す反応装置を用いて窒化物結晶を成長させた。
ニッケル基合金製のオートクレーブ1を耐圧容器として用い、Pt製カプセルを反応容器として結晶成長を行なった。原料として多結晶GaN粒子をカプセル下部領域内に設置し鉱化剤としてハロゲンを用いた。さらに下部の原料溶解領域と上部の結晶成長領域の間にはバッフル板を設置した。種結晶として、HVPE法で得られた基板を、カプセル上部の結晶成長領域に設置した。前記種種結晶は(000−1)面を主面とし、主面が長方形である板状の六方晶系GaN単結晶(a軸方向60mm、m軸方向32mm)を用いた。(000−1)面を主面とする種結晶の表面はCMP仕上げされたものを用いた。(0001)面である裏面も同様にCMP仕上げのものを用い、さらに厚み100nmのTi−W合金薄膜、厚み100nmのPt薄膜を順に蒸着した。この種結晶を(0001)面の法線方向が重力方向と逆向きの成分を含み、かつ、M面、S面、(000−1)面の法線方向は重力方向と逆向きの成分を含まないような配置で、白金ワイヤーにより白金製種子結晶支持枠に吊るし、カプセル上部の結晶成長領域に設置した。
カプセルの上部にPt製のキャップを接続しカプセル内を脱気したのち、カプセルを冷却しながら外気に触れることなくNHを充填した。流量制御に基づき、NHをカプセルの有効容積の約55%に相当する液体として充填(−33℃のNH密度で換算)した後、再びバルブを閉じ、その後、キャップ上部を封じ切った。なお、カプセル中に導入されたハロゲン濃度はNHに対してF濃度が0.20mol%、I濃度が2.0mol%
であった。
オートクレーブを電気炉内に収納した。オートクレーブ内部の平均温度が600℃になるようにオートクレーブ外面温度で制御しながら昇温し、原料域が、育成域よりも高温になるように温度差を設けた設定温度に達した後、その温度にて27.7日間保持した。
オートクレーブ内の圧力は215MPaであった。
オートクレーブを冷却しながら、オートクレーブに付属したバルブを開放し、オートクレーブ内のNHを取り除いた。オートクレーブの蓋を開け、カプセルを取り出し、更に内部の結晶を取り出した。カプセル内部を確認すると、種結晶上に窒化ガリウム結晶が成長していた。成長結晶塊のサイズは、c軸方向に70mm、a軸方向に35mmであった。裏面である(0001)面には多結晶GaN粒子の付着が少なく、また異常成長もなかったためPt薄膜が剥き出しになったままであった。
<比較例>
本比較例では、図2に示す反応装置を用いて窒化物結晶を成長させた。
ニッケル基合金製のオートクレーブ1を耐圧容器として用い、Pt製カプセルを反応容器として結晶成長を行なった。原料として多結晶GaN粒子をカプセル下部領域内に設置し鉱化剤としてハロゲンを用いた。さらに下部の原料溶解領域と上部の結晶成長領域の間にはバッフル板を設置した。種結晶として、HVPE法で得られた基板を、カプセル上部の結晶成長領域に設置した。前記種種結晶基板は(000−1)面を主面とし、主面が欠けを含む円形である板状の六方晶系GaN単結晶(a軸方向60mm、m軸方向40mm)を用いた。(000−1)面を主面とする種結晶の表面、裏面ともにCMP仕上げされたものを用いた。この種結晶を白金ワイヤーにより白金製種子結晶支持枠に吊るし、カプセル上部の結晶成長領域に設置した。
カプセルの上部にPt製のキャップを接続しカプセル内を脱気したのち、カプセルを冷却しながら外気に触れることなくNHを充填した。流量制御に基づき、NHをカプセルの有効容積の約55%に相当する液体として充填(−33℃のNH密度で換算)した後、再びバルブを閉じ、その後、キャップ上部を封じ切った。なお、カプセル中に導入されたハロゲン濃度はNHに対してF濃度が0.20mol%、I濃度が2.0mol%
であった。
オートクレーブを電気炉内に収納した。オートクレーブ内部の平均温度が600℃になるようにオートクレーブ外面温度で制御しながら昇温し、原料域が、育成域よりも高温になるように温度差を設けた設定温度に達した後、その温度にて27.7日間保持した。
オートクレーブ内の圧力は215MPaであった。
オートクレーブを冷却しながら、オートクレーブに付属したバルブを開放し、オートクレーブ内のNHを取り除いた。オートクレーブの蓋を開け、カプセルを取り出し、更に内部の結晶を取り出した。カプセル内部を確認すると、種結晶上に窒化ガリウム結晶が成長していた。成長結晶塊のサイズは、c軸方向に70mm、a軸方向に35mmであった。裏面である(0001)面には多結晶GaN粒子の付着が多く、またそれらを核にして異常成長が発生していた。
実施例1、2及び比較例の成長条件と成長結果を表1に整理する。
Figure 2014185070
表1から明らかなように、種結晶の表面のうち上側領域の少なくとも一部を遮蔽物で被覆した実施例1及び2では、成長結晶の上側領域において結晶成長が起こっておらず、それに起因して多結晶の付着も起きておらず、成長結晶における異常成長も生じなかった。一方で、種結晶の表面のうち上側領域を遮蔽物で被覆しなかった比較例では、上側領域においても結晶成長しており、上側領域に多結晶が付着して、その近傍において異常成長も見受けられた。
本発明によれば、結晶成長させる単結晶への多結晶の付着を抑制し、大面積かつ多数の基板を取り出せる結晶性良好な単結晶を得ることができる、周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法を提供することができる。係る製造方法で得られた周期表第13族金属窒化物半導体結晶は、発光デバイスやパワーデバイス用の基板として好適に用いられ、産業上の利用可能性が高い。
1 オートクレーブ(耐圧性容器)
2 オートクレーブ内面
3 ライニング
4 ワイヤー
5 バッフル板
6 結晶成長領域
7 種結晶
8 原料
9 原料充填領域
10 バルブ
11 真空ポンプ
12 アンモニアボンベ
13 窒素ボンベ
14 マスフローメーター
20 カプセル(内筒)
101 種結晶
102 重力方向
103 上面
104 側面
105 側面
106 下面
107 遮蔽物
108 成長結晶

Claims (5)

  1. 超臨界状態及び/又は亜臨界状態の窒素含有溶媒存在下で種結晶上に周期表第13族金属窒化物半導体結晶を成長させる成長工程を有する周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法であって、
    前記成長工程において、種結晶の表面のうち上側領域の少なくとも一部を遮蔽物で被覆することを特徴とする周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法。
    (ただし、上側領域とは、種結晶の表面のうち、重力方向の逆方向の成分を含む方向を向いている領域を意味するものである。)
  2. 前記成長工程において、種結晶の表面のうち上側領域の50%以上を遮蔽物で被覆することを特徴とする請求項1に記載の周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法。
  3. 前記遮蔽物が板状部材であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法。
  4. 前記遮蔽物が被膜であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法。
  5. 前記成長工程において、前記種結晶を保持部材で保持することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法。
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