JP2015010023A - 周期表第13族金属窒化物結晶 - Google Patents

周期表第13族金属窒化物結晶 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、結晶性が良好であり、結晶に歪みが発生していない周期表第13族金属窒化物結晶を提供することを課題とする。【解決手段】本発明は、c軸に対する赤外光の偏光角度を0〜90?の間で変化させ測定を行うフーリエ変換赤外分光法により得られる赤外吸収スペクトルにおいて、3050〜3300cm-1の範囲内に少なくとも4つの吸収ピークを有し、4つの吸収ピークは、式(1)で表される偏光特性係数Aを各々有し、4つの吸収ピークを波数が小さい方から順に、第1吸収ピーク〜第4吸収ピークとすると、前記第1吸収ピークの偏光特性係数Aは−0.10〜0.00あり、前記第2吸収ピークの偏光特性係数Aは0.00〜0.15であり、前記第3吸収ピークの偏光特性係数Aは0.00〜0.15であり、前記第4吸収ピークの偏光特性係数Aは−0.25〜0.00であることを特徴とする周期表第13族金属窒化物結晶に関する。【選択図】なし

Description

本発明は、周期表第13族金属窒化物結晶に関する。具体的には、本発明は、特定範囲の偏光特性係数を有する窒化物結晶であって、結晶性が極めて良好な周期表第13族金属窒化物結晶に関する。
従来、窒化ガリウム(GaN)系化合物などの周期表第13族金属窒化物結晶は、半導体材料として用いられており、発光素子、電子素子、半導体センサなどの各種半導体デバイスに使用されている。近年は、周期表第13族金属窒化物結晶は、発光デバイス用途に加え、電力用半導体素子(パワーデバイス)にも用いられるようになっている。このため、高圧力、大電流に耐え得る周期表第13族金属窒化物結晶の開発が進められている。
周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法として、ハイドライド気相成長法(HVPE法)やアモノサーマル法等が知られている。HVPE法は、水素気流中でGaの塩化物とV族元素の水素化物(NH3)を炉内に導入し熱分解させ、熱分解で発生する結晶を基板上に堆積させる方法である(例えば、特許文献1参照)。
一方、アモノサーマル法は、超臨界状態及び/又は亜臨界状態にあるアンモニアなどの窒素を含有する溶媒と、原材料の溶解−析出反応を利用して所望の結晶材料を製造する方法である。結晶成長へ適用するときは、アンモニアなどの窒素含有溶媒への原料溶解度の温度依存性を利用して温度差により過飽和状態を発生させて結晶を析出させる。具体的には、オートクレーブなどの耐圧性容器内に結晶原料や種結晶を入れて密閉し、ヒーター等で加熱することにより耐圧性容器内に高温域と低温域を形成し、その一方において原料を溶解し、他方において結晶を育成することにより、結晶を製造することができる(例えば、特許文献2参照)。
アモノサーマル法は、HVPE法に比べて原料利用効率が良く、製造コストを抑制することができるという点において利点がある。また、アモノサーマル法は、周期表第13族金属窒化物結晶の高品質化および大口径化を可能とすることができるため、近年、実用化が進められている。しかし、従来のアモノサーマル法により得られた周期表第13族金属窒化物結晶には、比較的多くの結晶欠陥や水素等の不純物が含有されていることが知られており、このような、結晶欠陥や不純物は、結晶品質を低下させる要因となることが知られている。
上記のような周期表第13族金属窒化物結晶の結晶特性は様々な手法により解析が進められているが、その一つとして、フーリエ変換赤外分光法(FT−IR)による解析方法がある。例えば、特許文献3には、赤外分光法によりN−H結合に由来する吸収ピークを観測することにより、水素の取り込みを予測する手法が開示されている。ここでは、アモノサーマル法によって得られた周期表第13族金属窒化物結晶において、3050〜3300nm-1の範囲内にいくつかの鋭いピークを有することが示されており、中でも3175nm-1で最大吸収を有することが示されている。
特開2000−44400号公報 特開2003−277182号公報 特表2006−513122号公報
上述したようにアモノサーマル法はHVPE法に比べて様々な利点を有するが、アモノサーマル法により得られた周期表第13族金属窒化物結晶には、比較的多くの結晶欠陥や水素等の不純物が含有されていることが知られており、このことが窒化物結晶の結晶性を低下させる原因となっていた。すなわち、従来のアモノサーマル法により得られた周期表第13族金属窒化物結晶の結晶品質は十分ではなく、より結晶性が良好な窒化物結晶が求められていた。
また、特許文献3に記載されているように、アモノサーマル法により得られた周期表第13族金属窒化物結晶の結晶特性は、フーリエ変換赤外分光法(FT−IR)により評価できることが知られていた。しかしながら、特許文献3では、ある一つの面方位のN−H結合に由来する吸収ピークを観察するにとどまっており、周期表第13族金属窒化物結晶の全体における結晶特性を正確に把握することができないということが本発明者らの検討により明らかとなった。さらに、本発明者らは、結晶品質が十分に高い窒化物結晶では、結晶中に取り込まれる水素の安定性が異なっており、これを正確に把握するようなN−H結合の観測が求められることを見出した。
そこで本発明者らは、これらの従来技術の課題を解決するために、結晶性が良好であり、結晶に歪みが発生していない周期表第13族金属窒化物結晶を得ることを目的として検討を進めた。さらに、本発明者らは、周期表第13族金属窒化物結晶の結晶特性をより正確に把握することができる赤外分光法を用いた解析を行い、新規窒化物結晶の結晶特性を評価することも目的として検討を進めた。
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明者らは、偏光角度を変化させながら赤外吸収スペクトルを測定して、N−H結合をより詳細に観察することにより、周期表第13族金属窒化物結晶の結晶特性をより正確に把握することができることを見出した。さらに、本発明者らは、特定範囲の偏光特性係数を有する周期表第13族金属窒化物結晶は、結晶の歪みが極めて少なく、結晶性が極めて良好であることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[1]c軸に対する赤外光の偏光角度を0〜90°の間で変化させ測定を行うフーリエ変換赤外分光法(FT−IR)により得られる赤外吸収スペクトルにおいて、3050〜3300cm-1の範囲内に少なくとも4つの吸収ピークを有し、前記4つの吸収ピークは、式(1)で表される偏光特性係数Aを各々有し、前記4つの吸収ピークを波数が小さい方から順に、第1吸収ピーク〜第4吸収ピークとすると、前記第1吸収ピークの偏光特性係数Aは−0.10〜0.00あり、前記第2吸収ピークの偏光特性係数Aは0.00〜0.15であり、前記第3吸収ピークの偏光特性係数Aは0.00〜0.15であり、前記第4吸収ピークの偏光特性係数Aは−0.25〜0.00であることを特徴とする周期表第13族金属窒化物結晶。
(ここで、式(1)中、Pは単位膜厚あたりの吸光度(mm-1)を表し、Aは偏光特性係数Aを表し、αはc軸方向に対する偏光角度を表し、Bは偏光特性係数Bを表す。)
[2]前記第1吸収ピークの偏光特性係数Bは0.00〜0.30であり、前記第2吸収ピークの偏光特性係数Bは0.00〜0.20であり、前記第3吸収ピークの偏光特性係数Bは0.00〜0.14であり、前記第4吸収ピークの偏光特性係数Bは0.00〜0.60である[1]に記載の周期表第13族金属窒化物結晶。
[3]前記第1吸収ピークは、3150±5cm-1の範囲に吸収極大を有する吸収ピークであり、前記第2吸収ピークは、3164±5cm-1の範囲に吸収極大を有する吸収ピークであり、前記第3吸収ピークは、3176±5cm-1の範囲に吸収極大を有する吸収ピークであり、前記第4吸収ピークは、3188±5cm-1の範囲に吸収極大を有する吸収ピークである[1]または[2]に記載の周期表第13族金属窒化物結晶。
[4]偏光板無しで測定した赤外吸収スペクトルにおいて、単位厚さ(mm)あたりの吸光度が1.0mm-1以下である[1]〜[3]のいずれかに記載の周期表第13族金属窒化物結晶。
[5]偏光板無しで測定した赤外吸収スペクトルにおいて、850〜1100℃でアニール処理をした後の前記第1吸収ピーク〜第4吸収ピークの強度を各々Ia1〜Ia4とし、アニール処理をする前の前記第1吸収ピーク〜第4吸収ピークの強度を各々Ib1〜Ib4とすると、Ia1/Ib1、Ia2/Ib2、Ia3/Ib3、Ia4/Ib4は各々0.7以下である[1]〜[4]のいずれかに記載の周期表第13族金属窒化物結晶。
[6]転位密度(DSD)が5×105cm-2以下であり、積層欠陥密度(SFD)が 8×10cm-1以下である[1]〜[5]のいずれかに記載の周期表第13族金属窒化物結晶。
[7][1]〜[6]のいずれか1項に記載の周期表第13族金属窒化物結晶からなる、周期表第13族金属窒化物基板。
本発明によれば、偏光角度を変化させて赤外吸収スペクトルを測定することにより、周期表第13族金属窒化物結晶の赤外吸収ピークの偏光特性係数を求めることができる。これにより、N−H結合をより詳細に観察して周期表第13族金属窒化物結晶の結晶特性をより正確に把握することができる。
また、本発明によれば、各赤外吸収ピークの偏光特性係数を特定範囲とすることにより、結晶性が良好で、かつ着色の少ない窒化物結晶を得ることができる。すなわち、本発明では、結晶の歪みが少なく、透明性の高い良質な窒化物結晶を得ることができる。
さらに、本発明によれば、窒化物結晶に熱処理等を施した場合であっても、結晶の安定性が損なわれない周期表第13族金属窒化物結晶を得ることができる。このように、本発明では、高品質であり、かつ結晶体の安定性に優れた周期表第13族金属窒化物結晶を得ることができる。
このように、本発明によれば、結晶性が極めて良好な周期表第13族金属窒化物結晶を得ることができるため、半導体特性に優れた周期表第13族金属窒化物結晶を得ることができる。これにより、本発明の周期表第13族金属窒化物結晶は、発光デバイス用途に加え、電力用半導体素子(パワーデバイス)にも好適に用いられる。
図1は、周期表第13族金属窒化物結晶の結晶構造のユニットセルを表した模式図である。 図2は、赤外分光測定に用いた光学系の模式図である。 図3は、周期表第13族金属窒化物結晶の赤外吸収スペクトルの一例を示したグラフである。 図4は、本発明で用いることができる結晶製造装置の模式図である。 図5は、本発明で用いることができる別の結晶製造装置の模式図である。 本発明の実施例、比較例において、偏光角度を変化させて測定した4つの赤外吸収ピークの吸光度を示したグラフである。 本発明の実施例、比較例において、偏光板無しで測定した4つの赤外吸収ピークの吸光度を示したグラフである。 図8は、比較例のHVPE法で用いられる結晶製造装置の模式図である。
(定義)
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は「〜」前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。また、本明細書においてwtppmとは重量ppmのことを意味する。
まず、六方晶系の結晶構造の軸と面との関係について説明する。本発明に係る周期表第13族金属窒化物結晶(以下、窒化物結晶と呼ぶことがある。)の材料となる化合物は、図1に示すように、六方晶系の結晶構造を有している。本明細書において種結晶または窒化物結晶の「主面」とは、当該種結晶または窒化物結晶における最も広い面であって、通常は結晶成長を行うべき面を指す。本明細書において「C面」とは、六方晶構造(ウルツ鋼型結晶構造)における{0001}面と等価な面であり、極性面である。例えば、(0001)面とその反対面である(000−1)面を指し、窒化ガリウムではそれぞれGa面又はN面に相当する。また、本明細書において「M面」とは、{1−100}面、{01−10}面、{−1010}面、{−1100}面、{0−110}面、{10−10}面として包括的に表される非極性面であり、具体的には(1−100)面や、(01−10)面、(−1010)面、(−1100)面、(0−110)面、(10−10)面を意味する。さらに、本明細書において「A面」とは、{2−1−10}面、{−12−10}面、{−1−120}面、{−2110}面、{1−210}面、{11−20}面として包括的に表される非極性面である。具体的には(11−20)面や、(2−1−10)面、(−12−10)面、(−1−120)面、(−2110)面、(1−210)面、を意味する。本明細書において「c軸」「m軸」「a軸」とは、それぞれC面、M面、A面に垂直な軸を意味する。
また、本明細書において「非極性面」とは、表面に周期表13族金属元素と窒素元素の両方が存在しており、その存在比が1:1である面を意味する。具体的には、M面やA面を挙げることができる。本明細書において「半極性面」とは、例えば、周期表13族金属窒化物が六方晶であってその主面が(hklm)で表される場合、{0001}面以外で、m=0ではない面をいう。すなわち(0001)面に対して傾いた面で、かつ非極性面ではない面をいう。表面に周期表13族金属元素と窒素元素の両方あるいはC面のように片方のみが存在する場合で、かつその存在比が1:1でない面を意味する。h、k、l、mはそれぞれ独立に−5〜5のいずれかの整数であることが好ましく、−2〜2のいずれかの整数であることがより好ましく、低指数面であることが好ましい。窒化物結晶の主面として好ましく採用できる半極性面として、例えば{10−11}面、{10−1−1}面、{10−12}面、{10−1−2}面、{20−21}面、{202−1}面、{20−2−1}面、{10−12}面、{10−1−2}面、{11−21}面、{11−2−1}面、{11−22}面、{11−2−2}面、{11−24}面、{11−2−4}面などを挙げることができ、特に{10−11}面、{202−1}面を好ましい面として挙げることができる。
(周期表第13族金属窒化物結晶)
周期表第13族金属窒化物結晶としては、例えば、GaNに代表される窒化物結晶が挙げられる。さらに、周期表第13族金属窒化物としては、GaNの他に、AlN、InN、またはこれらの混晶などを挙げることができる。また、混晶としては、AlGaN、InGaN、AlInN、AlInGaNなどを挙げることができる。中でも、好ましいのはGaNおよびGaを含む混晶であり、より好ましいのはGaNである。
本発明の周期表第13族金属窒化物結晶は、下地基板の上に窒化物結晶をエピタキシャル成長させることによって得ることができる。下地基板には、エピタキシャル成長させる窒化物結晶と異種の結晶層を用いることもできるが、同種の結晶からなる結晶層を下地基板とすることが好ましい。例えば、エピタキシャル成長させる窒化物結晶がGaN結晶である場合は、下地基板もGaN基板であることが好ましい。
本発明の周期表第13族金属窒化物結晶は、M面に対する赤外光の偏光角度を0〜90°の間で変化させ測定を行うフーリエ変換赤外分光法(FT−IR)により得られる赤外吸収スペクトルにおいて、3050〜3300nm-1の範囲内に少なくとも4つの吸収ピークを有する。
この4つの吸収ピークは、式(1)で表される偏光特性係数Aおよび偏光特性係数Bを各々有する。
P=2A・cos2α+B (1)
ここで、式(1)中、Pは単位膜厚あたりの吸光度(mm-1)を表し、Aは偏光特性係数Aを表し、αはc軸方向に対する偏光角度を表し、Bは偏光特性係数Bを表す。
周期表第13族金属窒化物結晶の成長条件等によっては、実際の測定結果が式(1)に完全には従わない分布を示す場合がある。その場合にも、偏光特性係数は、それぞれ、A=(Iα=0+Iα=90)/2、B=Iα=90として、算出することが出来る。ここで、Iα=0、Iα=90はα=0.90°における単位膜厚あたりの吸光度(mm-1)である。
例えば、得られる結晶のキャリア濃度を上げるために結晶中の酸素濃度上げた場合には式(1)に完全には従わない傾向がある。このため、周期表第13族金属窒化物結晶中の酸素濃度は1×1019atoms/cm3以下であることが好ましく、より好ましくは5×1018atoms/cm3以下であり、さらに好ましくは1×1018atoms/cm3以下である。
赤外吸収スペクトルの3050〜3300nm-1の範囲内の4つの吸収ピークとは、3050〜3300nm-1の範囲内に存在する吸収ピークのうち吸収極大が最も大きいものから4番目の大きさのものまでをいう。ここで、4つの吸収ピークを波数が小さい方から順に、第1吸収ピーク〜第4吸収ピークとすると、第1吸収ピークの偏光特性係数Aは−0.10〜0.00であり、第2吸収ピークの偏光特性係数Aは0.00〜0.15であり、第3吸収ピークの偏光特性係数Aは0.00〜0.15であり、第4吸収ピークの偏光特性係数Aは−0.25〜0.00である。好ましくは、第1吸収ピークの偏光特性係数Aは、−0.05〜0.00であり、第2吸収ピークの偏光特性係数Aは0.00〜0.08であり、第3吸収ピークの偏光特性係数Aは0.00〜0.08であり、第4吸収ピークの偏光特性係数Aは−0.14〜0.00である。この範囲であれば、不純物が少ない高純度な結晶となるため好ましい。
また、第1吸収ピークの偏光特性係数Bは0.00〜0.30であり、第2吸収ピークの偏光特性係数Bは0.00〜0.20であり、第3吸収ピークの偏光特性係数Bは0.00〜0.14であり、第4吸収ピークの偏光特性係数Bは0.00〜0.60である。好ましくは、前記第1吸収ピークの偏光特性係数Bは、0.00〜0.18であり、前記第2吸収ピークの偏光特性係数Bは0.00〜0.20であり、前記第3吸収ピークの偏光特性係数Bは0.00〜0.07であり、前記第4吸収ピークの偏光特性係数Bは0.00〜0.30である。この範囲であれば、不純物が少ない高純度な結晶となるため好ましい。
図2には、本発明で用いるフーリエ変換赤外分光光度計の光学系の一例を示している。図2に示されているように、赤外分光光度計の光学系においては、赤外光入射側から、赤外光源300、偏光板302、直径約1mmのピンホール金属マスク304、結晶(試料)306、MCT検出器308の順に配置される。
c軸に対する赤外光の偏光角度を0〜90°の間で変化させる方法としては、偏光板302をM面を主面とする窒化物結晶(試料)306のc軸方向(M面)に対して0〜90°の角度を持つように配置する方法が挙げられる。図2に示されているように、c軸方向(M面)に対して平行に偏光板の偏光角度を配置した場合を0°とし、偏光板をc軸方向(M面)に対して15°毎に、0°から90°まで回転させて赤外分光を測定することによって、c軸に対する赤外光の偏光角度を0〜90°とすることができる。
なお、赤外分光測定には、例えば、Thermo Scientific社製Nicolet6700フーリエ変換赤外分光光度計などを用いることができる。
上記の測定方法により観測された各偏光角度における吸収ピークの強度を算出し、その値から単位厚み(mm)当たりの吸光度を算出することができる。なお、吸収ピークの強度の算出には、ピーク分離プログラムのフィッティングを用いることができる。
このようにして、算出した吸光度から、偏光特性係数Aおよび偏光特性係数Bは以下の方法で算出することができる。
偏光特性係数A=((偏光角度0°における吸光度)−(偏光角度90°における吸光度))/2
偏光特性係数B=(偏光角度90°における吸光度)
すなわち、偏光特性係数Aおよび偏光特性係数Bは、偏光角度0°における吸光度と偏光角度90°における吸光度を測定することによって算出することができる。
図3には、上記のような方法を用いて測定した本発明の窒化物結晶の赤外スペクトルの一例を示している。図3に示されているように、主な吸収ピークは、3150±5cm-1、3164±5cm-1、3176±5cm-1、3188±5cm-1の範囲に吸収極大を有する吸収ピークである。本発明では、3150±5cm-1の範囲に観測される吸収ピークを第1吸収ピークといい、3164±5cm-1の範囲に観測される吸収ピークを第2吸収ピークといい、3176±5cm-1の範囲に観測される吸収ピークを第3吸収ピークといい、3188±5cm-1の範囲に観測される吸収ピークを第4吸収ピークという。
以上のように、c軸に対する赤外光の偏光角度を変化させて赤外吸収スペクトルを測定することにより、周期表第13族金属窒化物結晶の各赤外吸収ピークの偏光特性係数を求めることができる。これにより、N−H結合をより詳細に観察して周期表第13族金属窒化物結晶の結晶特性をより正確に把握することができる。これは、偏光角度を変化させて、周期表第13族金属窒化物結晶中に取り込まれているN−H結合を形成するH原子について種々の角度から観測すると、N−H結合の方位と赤外光の偏光角度の関係で赤外吸収ピークの強度が変化し、両者の角度が一致する時に最大強度になることによる。つまり、観測面による各赤外吸収ピークの強度の変化を観測することによって、H原子の取り込まれた位置や取り込まれた状態の安定性などを推測することが可能であると考えられる。よって、各偏光特性係数が本発明の範囲にあることにより、周期表第13族金属窒化物結晶中のH原子が安定に存在し得る結晶であると考えられる。
よって、本発明では、上記のように算出される各赤外吸収ピークの偏光特性係数を特定範囲とすることにより、結晶性が良好で、かつ着色の少ない窒化物結晶を得ることができる。すなわち、本発明では、結晶の歪みが少なく、透明性の高い良質な窒化物結晶を得ることができる。これにより、本発明の窒化物結晶は優れた半導体特性を有することができるため、各種電子デバイスに好適に用いられる。
上述したように、単位厚み(mm)当たりの吸光度は、上記の4つの吸収ピークをピーク分離プログラムでフィッティングを実施して、それぞれのピーク強度を算出することによって求めることができる。
なお、偏光板無しで測定した赤外吸収スペクトルにおいて、本発明では、単位厚さ(mm)あたりの吸光度は、各々、1.0mm-1以下であることが好ましく、0.5mm-1以下であることがより好ましく、0.3mm-1以下であることがさらに好ましい。この範囲であれば、不純物が少ない高純度な結晶になっているため好ましい。
また、偏光板無しで測定した赤外吸収スペクトルにおいて、本発明の周期表第13族金属窒化物結晶は、アニール処理をした後の第1吸収ピーク〜第4吸収ピークの各々の強度は、アニール処理をする前の第1吸収ピーク〜第4吸収ピークの各々の強度よりも小さいことが好ましい。850〜1100℃でアニール処理をした後の第1吸収ピーク〜第4吸収ピークの強度を各々Ia1〜Ia4とし、アニール処理をする前の第1吸収ピーク〜第4吸収ピークの強度を各々Ib1〜Ib4とすると、Ia1/Ib1、Ia2/Ib2、Ia3/Ib3、Ia4/Ib4は各々0.7以下であることが好ましい。
上述したように、本発明では、c軸に対する赤外光の偏光角度を0〜90°の間で変化させ測定を行うフーリエ変換赤外分光法(FT−IR)により得られる赤外吸収スペクトルを解析することにより、周期表第13族金属窒化物結晶の結晶性等を分析することができる。すなわち、本発明は、周期表第13族金属窒化物結晶の結晶性等の評価方法とすることもできる。具体的には、赤外吸収スペクトルの各吸収ピークから算出される偏光特性係数AおよびBを評価することにより、周期表第13族金属窒化物結晶の結晶性や透明性等を評価することができる。なお、このような評価方法は非破壊系における評価であるため、その有用性が高い。
(周期表第13族金属窒化物結晶の物性評価)
本発明の周期表第13族金属窒化物結晶の主面はC面、A面、M面または半極性面とすることができるが、主面はM面であることが好ましい。第13族金属窒化物結晶の主面がM面である場合、(100)面反射におけるX線ロッキングカーブ(XRC)半値幅は30arcsec以下であることが好ましく、25arcsec以下であることがより好ましい。X線ロッキングカーブ(XRC)の半値を上記上限値以下とすることにより、転位密度が低く、極めて良好な結晶性を有する第13族金属窒化物結晶を得ることができる。さらにこのような第13族金属窒化物結晶は半導体特性にも優れているため、各種電子デバイスに好適に用いられる。
通常、X線回折計で測定されるX線ロッキングカーブ(XRC)の半値幅は、基板面に垂直方向の結晶方位の分布を表すパラメーターであり、測定する反射面に応じてチルト方向またはツイスト方向の結晶方位の分布を検出することができる。結晶中に含まれる転位や積層欠陥の影響を受けて、結晶の配向性にばらつきが生じている場合には、結晶方位の分布は大きくなるためXRCの半値幅も大きくなる。一方、XRC半値幅が小さいほど、結晶方位の分布が小さく、結晶中に転位が少ないことを示している。これは、本明細書中の高分解能XRC半値幅も同様である。本発明では、XRC半値幅を上記上限値以下とすることにより、転位が少なく結晶の配向性に優れた周期表第13族金属窒化物結晶を得ることができる。これにより、良好な結晶性を有し、かつ優れた半導体特性等を有することができる。
転位密度(dislocation density;DSD)は、結晶中の刃状転位や螺旋転位などの転位の数の程度を表すパラメーターであり、通常CL像にて観察した場合の暗点の密度の値を転位密度(DSD)として表す。本発明では、結晶中の転位密度(DSD)は、5×105cm-2以下であることが好ましく、2×105cm-2以下であることがより好ましく、1×105cm-2以下であることがより好ましく、7×104cm-2以下であることがより好ましく、5×104cm-2以下であることがさらに好ましい。
また、積層欠陥密度(stacking fault density;SFD)は、積層構造を呈する面状の欠陥の程度を表したパラメーターである。積層欠陥密度(SFD)の値が大きいほど、積層構造にズレや欠陥があり、結晶全体に歪みが発生していることが原因で積層欠陥が発生していると考えられる。本発明では、積層欠陥密度(SFD)は、1×102cm-1以下であることが好ましく、8×101cm-1以下であることがより好ましく、5×101cm-1以下であることがより好ましく、1×101cm-1以下であることがより好ましく、5×100cm-1以下であることがより好ましい。特に、同一結晶の面内で、5mm間隔で直線上に4点以上の点での積層欠陥密度を測定し、面内平均の積層欠陥密度を算出した場合には、1×102cm-1以下であることが好ましく、8×101cm-1以下であることがより好ましく、5×101cm-1以下であることがさらに好ましい。なお、積層欠陥密度は主面に線状に観察される積層欠陥の長さの総和を測定面積で除して求めることができる。
以上のように、転位密度(DSD)または積層欠陥密度(SFD)の上限値を上記範囲とすることにより、結晶欠陥が少なく、かつ結晶構造が極めて良好で結晶性の良い結晶を得ることができる。
本発明の周期表第13族金属窒化物結晶の水素濃度は、1.0×1017atoms/cm3以上であることが好ましく、5.0×1017atoms/cm3以上であることがより好ましく、1.0×1018atoms/cm3以上であることがさらに好ましい。また、水素濃度は、1.0×1020atoms/cm3以下であることが好ましく、8.0×1019atoms/cm3以下であることがより好ましく、5.0×1019atoms/cm3以下であることがさらに好ましい。
周期表第13族金属窒化物結晶の酸素濃度は、1.0×1017atoms/cm3以上であることが好ましく、5.0×1017atoms/cm3以上であることがより好ましく、1.0×1018atoms/cm3以上であることがさらに好ましい。また、酸素濃度は、5.0×1019atoms/cm3以下であることが好ましく、3.0×1019atoms/cm3以下であることがより好ましく、1.0×1019atoms/cm3以下であることがさらに好ましい。
さらに、酸素濃度に対する水素濃度の比、(H/O)は0.5以上であることが好ましく、0.7以上であることがより好ましく、0.8以上であることがさらに好ましい。また、(H/O)は4.5以下であることが好ましく、4.0以下であることがより好ましく、3.5以下であることがさらに好ましい。
水素濃度と酸素濃度の含有率を上記範囲内とし、酸素濃度と水素濃度の含有比率を上記範囲内とすることにより、第13族金属窒化物結晶の結晶性が良好に保たれ、結晶に歪みが生じることを抑制することができる。また、第13族窒化物結晶の安定性も向上させることができる。これは、酸素濃度と水素濃度の割合を一定範囲とすることにより、結晶内において電荷のバランスが良好に保たれ、第13族元素と窒素元素の配列における配向性のばらつきが小さくなるためであると考えられる。
(アモノサーマル法による結晶成長)
本発明の周期表第13族金属窒化物結晶はアモノサーマル法により形成される。アモノサーマル法とは、超臨界状態および/または亜臨界状態にある溶媒を用いて、原材料の溶解−析出反応を利用して所望の材料を製造する方法である。周期表第13族金属窒化物結晶は下地基板上に、少なくともM面を成長面として結晶成長を行うことで形成されることが好ましい。このため、M面を主面とする下地基板を用いることが好ましいが、この場合の主面はオフ角を有するM面であってもよい。オフ角の範囲としては、好ましくは±15°以内であり、より好ましくは±10°以内であり、さらに好ましくは±5°以内である。
以下に本発明における結晶成長方法に用いることのできる、下地基板、鉱化剤、溶媒、原料について具体的に説明する。
(下地基板)
下地基板は、周期表第13族金属窒化物結晶の結晶成長に用いられる公知のものであればその種類は特に限定されず、窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウムガリウム(InGaN)、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)等の目的とする周期表第13族金属窒化物結晶と同種のものを用いることができる。また、他にも、サファイア(Al23)、酸化亜鉛(ZnO)等の金属酸化物、炭化ケイ素(SiC)、シリコン(Si)等の珪素含有物、又はヒ素ガリウム(GaAs)等を用いることができる。但し、目的の周期表第13族金属窒化物結晶と一致し、若しくは適合した格子定数、結晶格子のサイズパラメータを有する下地基板であるか、またはヘテロエピタキシー(すなわち若干の原子の結晶学的位置の一致)を保証するように配置した単結晶材料片若しくは多結晶材料片から構成されている下地基板を用いることが好ましい。
本発明の周期表第13族金属窒化物結晶は、結晶の残留歪みの少ない下地基板上に結晶成長させることによって得ることができる。結晶成長に用いられる下地基板としては、アモノサーマル法により作製された単結晶及びそれらを切断した結晶を好ましく用いることができる。アモノサーマル法により作製された結晶は歪みが少なく、良好な窒化物結晶を成長させることができるため、下地基板として好ましく用いられる。また、アモノサーマル法により作製された結晶を下地基板として用いることにより、偏光角度を変化させて赤外吸収スペクトルを測定した際に、得られる吸収ピークの偏光特性係数を特定範囲内とすることができ、結晶性に優れた成長結晶を成長させることができる。
下地基板の主面の面方位は特に限定されないが、M面を主面とする周期表第13族金属窒化物結晶を効率よく作製する観点から、目的とする周期表第13族金属窒化物結晶に合わせて、M面を主面とする下地基板を選択することが好ましい。また、第13族金属窒化物結晶中の残留歪みを抑制する観点からは、第13族金属窒化物結晶の主面に相当する結晶面を広げて下地基板の主面とするようにアモノサーマル法で成長させた結晶を下地基板として用いることが好ましい。また、下地基板上に結晶成長させる際に、窒化物結晶の主面に相当する結晶面を広げるように成長させることでも、残留歪みを抑制した第13族金属窒化物結晶を得ることができる。
第13族金属窒化物結晶の主面に相当する結晶面を広げるように、下地基板を成長させる具体的な成長方法としては、(i)第13族金属窒化物結晶の主面と略同じ結晶面を主面とする種結晶の側面から横方向成長させる方法、(ii)第13族金属窒化物結晶の主面とは異なる結晶面を主面とする種結晶の該主面から成長させる方法、(iii)第13族金属窒化物結晶の主面とは異なる結晶面を主面とする種結晶の側面から成長させる方法などが挙げられる。より具体的には、(i)第13族金属窒化物結晶の主面と略同じ結晶面を主面とする結晶の側面から横方向成長させる方法としては、複数の成長開始面(側面)を有するシード(種結晶)、例えば、V字型シード、コ字型シード、ロ字型シード、L字型シード、O字型シード、任意の1以上の穴が空いたシードを用いる方法や、結晶成長させたい領域を囲うようにガイドを設ける方法などが挙げられる。また、(ii)第13族金属窒化物結晶の主面とは異なる結晶面を主面とする種結晶の該主面から成長させる方法としては、主面の一部をマスクで被覆したシード(種結晶)の露出部分から、主面と交差する軸方向に結晶成長させて、種結晶の主面とは異なる結晶面を広げるように結晶成長させる方法;主面の一部に板状部材の側面を密着させたシード(種結晶)から、主面と交差する軸方向に結晶成長させて、種結晶の主面とは異なる結晶面を広げるように結晶成長させる方法、などが挙げられる。さらに、(iii)第13族金属窒化物結晶の主面とは異なる結晶面を主面とする結晶の側面から成長させる方法としては、国際公開2008/143166号パンフレットの図4のように、前記側面から主面の法線方向に伸びるように成長させる方法などが挙げられる。
下地基板の表面状態は滑らかとなるようにコントロールされていることが好ましい。すなわち、下地基板には前処理が施されることが好ましい。例えば、前処理として、下地基板にメルトバック処理を施したり、下地基板の成長結晶成長面を研磨したり、下地基板を洗浄するなどが挙げられる。これにより、下地基板の表面状態を滑らかにすることができ、偏光角度を変化させて赤外吸収スペクトルを測定した際に、得られる吸収ピークの偏光特性係数を特定範囲内とすることができる。これにより、下地基板上に成長する第13族金属窒化物結晶の結晶性を良好にすることができる。
前処理において、結晶成長し得る下地基板の表面を研磨するには、例えば、ケミカルメカニカルポリッシング(CMP)等で行うことができる。下地基板の表面粗さは、例えば、原子間力顕微鏡によって計測した二乗平均平方根粗さ(Rms)が、1.0nm以下であることが好ましく、0.5nm以下が更に好ましく、0.3nm以下が特に好ましい。
(鉱化剤)
本発明におけるアモノサーマル法による第13族金属窒化物結晶の成長に際しては、鉱化剤を用いることが好ましい。アンモニアなどの窒素を含有する溶媒に対する結晶原料の溶解度が高くないために、溶解度を向上させるために鉱化剤が用いられる。
鉱化剤として、フッ素元素と、塩素、臭素、ヨウ素から構成される他のハロゲン元素から選ばれる少なくとも一つを含む鉱化剤を用いることが好ましい。
鉱化剤に含まれるハロゲン元素の組み合わせは、塩素とフッ素、臭素とフッ素、ヨウ素とフッ素といった2元素の組み合わせであってもよいし、塩素と臭素とフッ素、塩素とヨウ素とフッ素、臭素とヨウ素とフッ素といった3元素の組み合わせであってもよいし、塩素と臭素とヨウ素とフッ素といった4元素の組み合わせであってもよい。中でも好ましい組み合わせは、ヨウ素とフッ素を少なくとも含む組み合わせである。ヨウ素とフッ素を組み合わせた鉱化剤を用いることにより、X線結晶学的な結晶性が極めて良好な第13族金属窒化物結晶を得ることができる。なお、本発明で用いる鉱化剤に含まれるハロゲン元素の組み合わせと濃度比(モル濃度比)は、成長させようとしている第13族金属窒化物結晶の種類や形状やサイズ、種結晶の種類や形状やサイズ、使用する反応装置、採用する温度条件や圧力条件などにより、適宜決定することができる。
例えば、ヨウ素(I)とフッ素(F)を含む鉱化剤の場合、フッ素濃度に対するヨウ素濃度、すなわちI/Fを0.5以上にすることが好ましく、0.7以上にすることがより好ましく、1以上にすることがさらに好ましい。また、I/Fを10以下にすることが好ましく、8以下にすることがより好ましく、5以下にすることがさらに好ましい。
一般に鉱化剤のフッ素濃度を高くすると、第13族金属窒化物結晶のm軸方向の成長速度が速くなる傾向にあり、相対的にc軸方向の成長と半極性面に垂直な方向の成長が遅くなる傾向にある。この意味することは鉱化剤濃度を変化させることで面方位による成長速度の違いを制御することができる。それにより、成長速度の速い面方位の出現面積が狭くなり、相対的に成長速度の遅い面方位の出現面積が広くなるようにコントロールすることができ、本発明の第13族窒化物結晶中の高品質領域を広くとることができるため好ましい。また、成長方向をコントロールすることにより、偏光角度を変化させて赤外吸収スペクトルを測定した際に、得られる吸収ピークの偏光特性係数を特定範囲内とすることができ、より結晶性に優れた第13族金属窒化物結晶を得ることができる。結晶成長面として半極性面が露出している場合には、特に酸素などを結晶中に取り込みやすい傾向があるため、成長方向をコントロールして結晶成長面を制御することが好ましい。
ハロゲン元素を含む鉱化剤の例としては、ハロゲン化アンモニウム、ハロゲン化水素、アンモニウムヘキサハロシリケート、及びヒドロカルビルアンモニウムフルオリドや、ハロゲン化テトラメチルアンモニウム、ハロゲン化テトラエチルアンモニウム、ハロゲン化ベンジルトリメチルアンモニウム、ハロゲン化ジプロピルアンモニウム、及びハロゲン化イソプロピルアンモニウムなどのアルキルアンモニウム塩、フッ化アルキルナトリウムのようなハロゲン化アルキル金属、ハロゲン化アルカリ土類金属、ハロゲン化金属等が例示される。このうち、好ましくはハロゲン化アルカリ、アルカリ土類金属のハロゲン化物、金属のハロゲン化物、ハロゲン化アンモニウム、ハロゲン化水素であり、さらに好ましくはハロゲン化アルカリ、ハロゲン化アンモニウム、周期表第13族金属のハロゲン化物、ハロゲン化水素であり、特に好ましくはハロゲン化アンモニウム、ハロゲン化ガリウム、ハロゲン化水素である。
製造工程においては、ハロゲン元素を含む鉱化剤とともに、ハロゲン元素を含まない鉱化剤を用いることも可能であり、例えばNaNH2やKNH2やLiNH2などのアルカリ金属アミドと組み合わせて用いることもできる。ハロゲン化アンモニウムなどのハロゲン元素含有鉱化剤とアルカリ金属元素又はアルカリ土類金属元素を含む鉱化剤とを組み合わせて用いる場合は、ハロゲン元素含有鉱化剤の使用量を多くすることが好ましい。具体的には、ハロゲン元素含有鉱化剤100質量部に対して、アルカリ金属元素又はアルカリ土類金属元素を含む鉱化剤を50〜0.01質量部とすることが好ましく、20〜0.1質量部とすることがより好ましく、5〜0.2質量部とすることがさらに好ましい。アルカリ金属元素又はアルカリ土類金属元素を含む鉱化剤を添加することによって、c軸方向の結晶成長速度に対するm軸の結晶成長速度の比(m軸/c軸)を一段と大きくすることも可能である。
また、製造工程において、成長させる第13族金属窒化物結晶に不純物が混入するのを防ぐために、必要に応じて鉱化剤は精製、乾燥してから使用することが好ましい。鉱化剤の純度は、通常は95%以上、好ましくは99%以上、さらに好ましくは99.99%以上である。
鉱化剤に含まれる水や酸素の量はできるだけ少ないことが望ましく、これらの含有量は1000wtppm以下であることが好ましく、10wtppm以下であることがより好ましく、1.0wtppm以下であることがさらに好ましい。このような範囲で酸素濃度をコントロールすることで、偏光角度を変化させて赤外吸収スペクトルを測定した際に、得られる吸収ピークの偏光特性係数を特定範囲内とすることができる。これにより、結晶体に歪みが生じることを抑制することができ、より結晶性に優れた第13族金属窒化物結晶を得ることができる。
なお、結晶成長を行う際には、反応容器にハロゲン化アルミニウム、ハロゲン化リン、ハロゲン化シリコン、ハロゲン化ゲルマニウム、ハロゲン化亜鉛、ハロゲン化ヒ素、ハロゲン化スズ、ハロゲン化アンチモン、ハロゲン化ビスマスなどを存在させておいてもよい。
鉱化剤に含まれるハロゲン元素の溶媒に対するモル濃度は0.1mol%以上とすることが好ましく、0.3mol%以上とすることがより好ましく、0.5mol%以上とすることがさらに好ましい。また、鉱化剤に含まれるハロゲン元素の溶媒に対するモル濃度は30mol%以下とすることが好ましく、20mol%以下とすることがより好ましく、10mol%以下とすることがさらに好ましい。濃度が低すぎる場合、溶解度が低下し成長速度が低下する傾向がある。一方濃度が濃すぎる場合、溶解度が高くなりすぎて自発核発生が増加したり、過飽和度が大きくなりすぎるため制御が困難になるなどの傾向がある。
(溶媒)
アモノサーマル法に用いられる溶媒には、窒素を含有する溶媒を用いる。窒素を含有する溶媒としては、成長させる第13族金属窒化物単結晶の安定性を損なうことのない溶媒が挙げられる。溶媒としては、例えば、アンモニア、ヒドラジン、尿素、アミン類(例えば、メチルアミンのような第1級アミン、ジメチルアミンのような第二級アミン、トリメチルアミンのような第三級アミン、エチレンジアミンのようなジアミン)、メラミン等を挙げることができる。これらの溶媒は単独で用いてもよいし、混合して用いてもよい。
溶媒に含まれる水や酸素の量はできるだけ少ないことが望ましく、これらの含有量は1000wtppm以下であることが好ましく、10wtppm以下であることがより好ましく、0.1wtppm以下であることがさらに好ましい。アンモニアを溶媒として用いる場合、その純度は通常99.9%以上であり、好ましくは99.99%以上であり、さらに好ましくは99.999%以上であり、特に好ましくは99.9999%以上である。
(原料)
製造工程においては、下地基板上に成長結晶として成長させようとしている第13族金属窒化物結晶を構成する元素を含む原料を用いる。例えば、周期表第13族金属の窒化物結晶を成長させようとする場合は、周期表第13族金属を含む原料を用いる。好ましくは第13族窒化物結晶の多結晶原料及び/又は第13族金属であり、より好ましくは窒化ガリウム及び/又は金属ガリウムである。多結晶原料は、完全な窒化物である必要はなく、条件によっては第13族元素がメタルの状態(ゼロ価)である金属成分を含有してもよい。例えば、成長させる第13族金属窒化物結晶が窒化ガリウムである場合には、窒化ガリウムと金属ガリウムの混合物が挙げられる。本発明で得られる第13族金属窒化物結晶の種類としては、GaN、InN、AlN、InGaN、AlGaN、AlInGaNなどを挙げることができる。好ましいのはGaN、AlN、AlGaN、AlInGaNであり、より好ましいのはGaNである。よって、第13族金属窒化物結晶原料としては、前述の結晶の多結晶原料および/またはこれらのメタルを組合せて用いることができる。
多結晶原料の製造方法は、特に制限されない。例えば、アンモニアガスを流通させた反応容器内で、金属又はその酸化物もしくは水酸化物をアンモニアと反応させることにより生成した窒化物多結晶を用いることができる。また、より反応性の高い金属化合物原料として、ハロゲン化物、アミド化合物、イミド化合物、ガラザンなどの共有結合性M−N結合を有する化合物などを用いることができる。さらに、Gaなどの金属を高温高圧で窒素と反応させて作製した窒化物多結晶を用いることもできる。
本発明において原料として用いる多結晶原料に含まれる水や酸素の量は、少ないことが好ましい。多結晶原料中の酸素含有量は、通常250wtppm以下、好ましくは40wtppm以下、特に好ましくは20wtppm以下である。多結晶原料への酸素の混入のしやすさは、水分との反応性又は吸収能と関係がある。多結晶原料の結晶性が悪いほど表面にNH基などの活性基が多く存在し、それが水と反応して一部酸化物や水酸化物が生成する可能性がある。このため、多結晶原料としては、通常、できるだけ結晶性が高い物を使用することが好ましい。結晶性は粉末X線回折の半値幅で見積もることができ、(100)の回折線(ヘキサゴナル型窒化ガリウムでは2θ=約32.5°)の半値幅が、通常0.25°以下、好ましくは0.20°以下、さらに好ましくは0.17°以下である。このように、結晶原料に含まれる酸素含有量をコントロールすることで、偏光角度を変化させて赤外吸収スペクトルを測定した際に得られる吸収ピークの偏光特性係数を特定範囲内とすることができ、結晶体に歪みが生じることを抑制することができる。
(製造装置)
本発明の窒化物結晶の製造方法に用いることのできる結晶製造装置の具体例を図4および図5に示す。本発明で用いる結晶製造装置は反応容器を含む。
図4は、本発明で用いることができる結晶製造装置の模式図である。図4に示される結晶製造装置において、結晶成長は、オートクレーブ1(耐圧性容器)中に反応容器として装填されるカプセル(内筒)20中で行われる。カプセル20は、原料を溶解するための原料充填領域9と結晶を成長させるための結晶成長領域6から構成されている。原料充填領域9には原料8とともに溶媒や鉱化剤を入れることができる。結晶成長領域6には種結晶7(または下地基板7)をワイヤー4で吊すなどして設置することができる。原料充填領域9と結晶成長領域6の間には、2つの領域を区画バッフル板5が設置されている。バッフル板5の開孔率は2〜60%であるものが好ましく、3〜40%であるものがより好ましい。バッフル板の表面の材質は、反応容器であるカプセル20の材料と同一であることが好ましい。また、より耐食性を持たせ、成長させる結晶を高純度化するために、バッフル板の表面は、Ni、Ta、Ti、W、Mo、Ru、Nb、Pd、Pt、Au、Ir、pBNであることが好ましく、W、Mo、Ti、Pd、Pt、Au、Ir、pBNであることがより好ましく、Pt、Mo、Tiであることが特に好ましい。
図5は、本発明で用いることができる結晶製造装置の模式図である。図5に示される結晶製造装置では、オートクレーブ(耐圧性容器)1の内部がライニングされており、ライニング3内側を反応容器として結晶成長が行われる。オートクレーブ1中は原料を溶解するための原料溶解領域9と結晶を成長させるための結晶成長領域6とから構成されている。その他の部材の設置は、後述する図4の結晶製造装置と同様にすることができる。
図4に示される結晶製造装置では、オートクレーブ1の内壁とカプセル20の間の空隙には、第2溶媒を充填することができるようになっている。ここには、バルブ10を介して窒素ボンベ13から窒素ガスを充填したり、アンモニアボンベ12からマスフローメーター14で流量を確認したりしながら第2溶媒としてアンモニアを充填することができる。また、真空ポンプ11により必要な減圧を行うこともできる。なお、本発明の第13族金属窒化物結晶の製造方法を実施する際に用いる結晶製造装置には、バルブ、マスフローメーター等は必ずしも設置されていなくても良い。
反応容器内の酸素濃度は低いことが好ましい。特にカプセル20内の酸素濃度は十分に低いことが好ましい。反応容器内の酸素濃度は、10wtppm以下であることが好ましく、5wtppm以下であることがより好ましく、1wtppm以下であることがさらに好ましい。反応容器内の酸素濃度を上記上限値以下となるように、十分に低減させることにより、偏光角度を変化させて赤外吸収スペクトルを測定した際に、得られる吸収ピークの偏光特性係数を特定範囲内とすることができる。これにより、結晶体に歪みが生じることを抑制することができ、より結晶性に優れた窒化物結晶を得ることができる。
反応容器及び設置部材は、耐圧性と耐食性を有することが好ましい。反応容器及び設置部材の耐食性をより向上させるために、白金族又は白金族合金の優れた耐食性を利用することが好ましい。反応容器及び設置部材は、それ自体の材質を白金族又は白金族合金とすることもできるし、反応容器の内壁を白金族又は白金族合金とすることもできる。
さらに、反応容器は耐圧容器であることが好ましい。特に、反応容器の内壁を白金族又は白金族合金とする場合や、反応容器及び設置部材の表面を白金族又は白金族合金でコーティングまたはライニングする場合は、反応容器を形成する他の素材で耐圧性を確保することが好ましい。
白金族以外で耐圧性と耐食性を有する材料としてはTi、W、Ni、Mo、Ru、Nbやその合金を使用することができる。好ましくは、Mo、W、Tiを使用することができる。
反応容器及び設置部材を形成する構成材及びコーティング材は、白金族又は白金族合金を含むことが好ましい。
白金族としては、Pt、Au、Ir、Ru、Rh、Pd、Agが挙げられる。白金族合金は、これらの貴金属を主成分とする合金のことを言う。白金族合金の中でも優れた耐食性を有するPtまたはPt及びIrを含む合金を用いることが好ましい。
また、反応容器の内壁を白金族又は白金族合金とする場合や、反応容器及び設置部材の表面を白金族又は白金族合金でコーティングする場合は、コーティング材はPt及びGaを含む合金を用いることが好ましく、さらにIrを含む合金を用いることが好ましい。これらの白金族を含有する合金は、コーティングに適しており、優れた耐食性を持たせることができる。
合金中のIr含有率は合金の全体重量の30重量%以下であることが好ましく、25重量%以下であることがより好ましい。Ir含有率を上記上限値以下とすることにより、反応容器に優れた耐食性を持たせることができる。
ライニングする材料としては、Pt、Ir、Ag、Pd、Rh、Cu、Au及びCのうち少なくとも一種類以上の金属又は元素、もしくは、少なくとも一種類以上の金属を含む合金又は化合物を用いることが好ましい。中でも、ライニングがしやすいという理由でPt、Ag、Cu及びCのうち少なくとも一種類以上の金属又は元素、もしくは、少なくとも一種類以上の金属を含む合金又は化合物を用いることが好ましい。例えば、Pt単体、Pt−Ir合金、Ag単体、Cu単体やグラファイトなどが挙げられる。
(製造工程)
本発明の周期表第13族金属窒化物結晶の製造方法の一例について説明する。本発明の第13族金属窒化物結晶の製造方法を実施する際には、まず、反応容器内に、下地基板、窒素を含有する溶媒、原料、及び鉱化剤を入れて封止する。ここで、下地基板としては、M面を主面とする下地基板を用いることが好ましい。下地基板は、上述したように、(i)第13族金属窒化物結晶の主面と略同じ結晶面を主面とする種結晶の側面から横方向成長させる方法、(ii)第13族金属窒化物結晶の主面とは異なる結晶面を主面とする種結晶の該主面から成長させる方法、(iii)第13族金属窒化物結晶の主面とは異なる結晶面を主面とする種結晶の側面から成長させる方法などにより得ることができる。前述のとおり、このような方法によって得られた下地基板は転位が少ないことに加え、残留歪みが少なく、結晶品質に優れるため好ましい。中でも(ii)の方法で得られた下地基板が、結晶品質および生産性の面からも最も好ましい。
本発明の製造工程においては、材料を反応容器内に導入するのに先だって、反応容器中に存在する酸素、酸化物又は水蒸気を除去する工程を設けることが好ましい。反応容器中に存在する酸素、酸化物又は水蒸気を除去するには、反応容器中に窒化物結晶原料を充填した後に、反応容器中を真空状態とすることや、反応容器中に不活性化ガスを満たす方法を採用することができる。また、反応容器や反応容器に包含される各種の部材を乾燥させることによっても酸素、酸化物又は水蒸気を除去することができる。乾燥方法としては外部ヒーターなどを用いて反応容器を加熱する方法や加熱と真空引きを組み合わせる方法などがある。これにより、偏光角度を変化させて赤外吸収スペクトルを測定した際に、得られる吸収ピークの偏光特性係数を特定範囲内とすることができ、結晶体に歪みが生じることを抑制することができる。
また、製造工程においては、表面吸着物質隔離工程をさらに設けても良い。表面吸着物質隔離工程とは、反応容器中に存在する酸素、酸化物又は水蒸気を固定化する工程をいう。また、表面吸着物質隔離工程には、反応容器や反応容器内に設置される各種の部材のうち酸素、酸化物又は水蒸気を含有する部材の表面をコーティングまたはライニングする工程が含まれる。部材の表面をコーティングまたはライニングすることによって、表面吸着物質が露出し、第13族金属窒化物結晶に取り込まれることを防ぐことができる。
材料の導入時には、窒素ガスなどの不活性ガスを流通させても良い。通常は、反応容器内への種結晶の設置は、原料及び鉱化剤を充填する際に同時又は充填後に行う。種結晶は、反応容器内表面を構成する貴金属と同様の貴金属製の治具に固定することが好ましい。種結晶の設置後には、必要に応じて加熱脱気をしても良い。脱気時の真空度は1×10-2Pa以下が好ましく、5×10-3Pa以下がさらに好ましく、1×10-3Pa以下が特に好ましい。
図4に示す製造装置を用いる場合は、反応容器であるカプセル20内に種結晶7(または下地基板7)、窒素を含有する溶媒、原料、及び鉱化剤を入れて封止した後に、カプセル20をオートクレーブ(耐圧性容器)1内に装填し、好ましくは耐圧性容器と該反応容器の間の空隙に第2溶媒を充填して耐圧性容器を密閉する。
その後、全体を加熱して反応容器内を超臨界状態及び/又は亜臨界状態とする。超臨界状態では一般的には、物質の粘度が低くなり、液体よりも容易に拡散されるが、液体と同様の溶媒和力を有する。亜臨界状態とは、臨界温度近傍で臨界密度とほぼ等しい密度を有する液体の状態を意味する。例えば、原料充填領域では、超臨界状態として原料を溶解し、結晶成長領域では亜臨界状態となるように温度を変化させて超臨界状態と亜臨界状態の原料の溶解度差を利用した結晶成長も可能である。
超臨界状態にする場合、反応混合物は、一般に溶媒の臨界点よりも高い温度に保持される。溶媒としてアンモニアを用いた場合、臨界点は臨界温度132℃、臨界圧力11.35MPaであるが、反応容器の容積に対する充填率が高ければ、臨界温度以下の温度でも圧力は臨界圧力を遥かに越える。本発明において「超臨界状態」とは、このような臨界圧力を越えた状態を含む。反応混合物は、一定の容積の反応容器内に封入されているので、温度上昇は流体の圧力を増大させる。一般に、T>Tc(1つの溶媒の臨界温度)及びP>Pc(1つの溶媒の臨界圧力)であれば、流体は超臨界状態にある。
超臨界条件では、第13族金属窒化物結晶の十分な成長速度が得られるが、本発明においては、第13族金属窒化物結晶の成長速度は一定速度以下であることが好ましい。M軸方向の成長速度は片面につき350μm/day以下が好ましく、300μm/day以下がより好ましく、200μm/day以下がとくに好ましい。
反応時間は、特に鉱化剤の反応性及び熱力学的パラメーター、すなわち温度及び圧力の数値に依存する。このため、これらの条件をコントロールすることにより、第13族金属窒化物結晶の成長速度を遅くすることが好ましい。第13族金属窒化物結晶の成長速度を一定速度以下とすることにより、偏光角度を変化させて赤外吸収スペクトルを測定した際に、得られる吸収ピークの偏光特性係数を特定範囲内とすることができる。これにより、結晶体に歪みが生じることを抑制することができ、より結晶性に優れた窒化物結晶を得ることができる。
第13族金属窒化物結晶の合成中あるいは成長中、反応容器内の圧力は結晶性および生産性の観点から、30MPa以上にすることが好ましく、60MPa以上にすることがより好ましく、100MPa以上にすることがさらに好ましい。また、反応容器内の圧力は安全性の観点から、700MPa以下にすることが好ましく、500MPa以下にすることがより好ましく、350MPa以下にすることがさらに好ましく、300MPa以下にすることが特に好ましい。圧力は、温度及び反応容器の容積に対する溶媒体積の充填率によって適宜決定される。本来、反応容器内の圧力は、温度と充填率によって一義的に決まるものではあるが、実際には、原料、鉱化剤などの添加物、反応容器内の温度の不均一性、及び自由容積の存在によって多少異なる。
反応容器内の温度範囲は、結晶性および生産性の観点から、下限値が320℃以上であることが好ましく、370℃以上であることがより好ましく、450℃以上であることがさらに好ましい。上限値は、安全性の観点から、700℃以下であることが好ましく、650℃以下であることがより好ましく、630℃以下であることがさらに好ましい。本発明の第13族金属窒化物結晶の製造方法では、反応容器内における原料充填領域の温度が、結晶成長領域の温度よりも高いことが好ましい。温度差(|ΔT|)は、結晶性および生産性の観点から、5℃以上であることが好ましく、10℃以上であることがより好ましく、100℃以下であることが好ましく、90℃以下であることがより好ましく、80℃以下が特に好ましい。反応容器内の最適な温度や圧力は、結晶成長の際に用いる鉱化剤や添加剤の種類や使用量等によって、適宜決定することができる。
反応容器内の温度範囲、圧力範囲を達成するための反応容器への溶媒の注入割合、すなわち充填率は、反応容器の自由容積、すなわち、反応容器に結晶原料、及び種結晶を用いる場合には、種結晶とそれを設置する構造物の体積を反応容器の容積から差し引いて残存する容積、またバッフル板を設置する場合には、さらにそのバッフル板の体積を反応容器の容積から差し引いて残存する容積の溶媒の沸点における液体密度を基準として、通常20〜95%、好ましくは30〜80%、さらに好ましくは40〜70%とする。反応容器として図4のようなカプセル20を用いる場合には、溶媒の超臨界状態においてカプセル20内外で圧力がバランスするように、溶媒量を適宜調整することが好ましい。
反応容器内での第13族金属窒化物結晶の成長は、熱電対を有する電気炉などを用いて反応容器を加熱昇温することにより、反応容器内をアンモニア等の溶媒の亜臨界状態又は超臨界状態に保持することにより行われる。加熱の方法、所定の反応温度への昇温速度に付いては特に限定されないが、通常、数時間から数日かけて行われる。必要に応じて、多段の昇温を行ったり、温度域において昇温スピードを変えたりすることもできる。また、部分的に冷却しながら加熱したりすることもできる。
なお、上述したの「反応温度」は、反応容器の外面に接するように設けられた熱電対、及び/又は外表面から一定の深さの穴に差し込まれた熱電対によって測定され、反応容器の内部温度へ換算して推定することができる。これら熱電対で測定された温度の平均値をもって平均温度とする。通常は、原料充填領域の温度と結晶成長領域の温度の平均値を平均温度とする。
所定の温度に達した後の反応時間については、第13族金属窒化物結晶の種類、用いる原料、鉱化剤の種類、製造する結晶の大きさや量によっても異なるが、通常、数時間から数百日とすることができる。
反応中、反応温度は一定にしても良いし、徐々に昇温又は降温させることもできる。所望の結晶を生成させるための反応時間を経た後、反応温度を降温させる。降温方法は特に限定されないが、ヒーターの加熱を停止してそのまま炉内に反応容器を設置したまま放冷してもかまわないし、反応容器を電気炉から取り外して空冷してもかまわない。必要であれば、冷媒を用いて急冷することも好適に用いられる。
また、本発明においては、窒化物結晶の成長工程において、あまり多くのファセット面が出ないように成長面を制御することが好ましい。成長面として多くのファセット面が出ないように制御するためには、結晶中に取り込まれる酸素濃度を一定値以下にすることが好ましい。そのためには原料として用いる多結晶窒化ガリウム中に含まれる酸素濃度が1×1019atoms/cm3以下であることが好ましく、8×1018atoms/cm3以下であることがより好ましく、5×1018atoms/cm3以下であることが特に好ましい。
さらに、窒化物結晶の成長工程においては、結晶成長を一定の成長方向となるように進めることが好ましい。結晶成長を一定の成長方向となるようにするためには、成長面が凹凸となることを抑制することが好ましい。成長面の凹凸の原因は成長界面における原料供給量の不足によるものであり、必要十分な原料供給量を確保することで抑制することが出来る。必要十分な原料供給量を確保するためにはバッフル開度が5%以上であることが好ましく、10%以上であることが好ましく、20%以上であることが特に好ましい。なお、成長方向が一定にならない場合は、もともと滑らかで平坦であった下地基板の主面から成長した第13族窒化物結晶の主面に凹凸が生じる。この場合、位置により成長方向が主面からずれるために、第13族窒化物結晶中の位置により点欠陥密度にバラツキが生じる。
また、結晶成長を一定の成長方向とするためには、例えば、鉱化剤の種類や量を調整したり、下地基板の表面状態をコントロールすることもできる。
以上のように、第13族金属窒化物結晶の成長面や成長方向を制御することにより、偏光角度を変化させて赤外吸収スペクトルを測定した際に、得られる吸収ピークの偏光特性係数を特定範囲内とすることができる。これにより、結晶体に歪みが生じることを抑制することができ、より結晶性に優れた窒化物結晶を得ることができる。
反応容器外面の温度、あるいは推定される反応容器内部の温度が所定温度以下になった後、反応容器を開栓する。このときの所定温度は特に限定はなく、通常、−80℃〜200℃、好ましくは−33℃〜100℃である。ここで、反応容器に付属したバルブの配管接続口に配管接続し、水などを満たした容器に通じておき、バルブを開けても良い。さらに必要に応じて、真空状態にするなどして反応容器内のアンモニア溶媒を十分に除去した後、乾燥し、反応容器の蓋等を開けて生成した第13族金属窒化物結晶及び未反応の原料や鉱化剤等の添加物を取り出すことができる。
なお、本発明の第13族金属窒化物結晶の製造方法にしたがって窒化ガリウムを製造する場合、前記以外の材料、製造条件、製造装置、工程の詳細については特開2009−263229号公報を好ましく参照することができる。該公開公報の開示全体を本明細書に引用して援用する。
本発明の窒化物結晶の製造方法においては、下地基板上に窒化物結晶を成長させた後に、後処理を加えても良い。後処理の種類や目的は特に制限されない。例えば、ピットや転位などの結晶欠陥を容易に観察できるようにするために、育成後の冷却過程で結晶表面をメルトバックしても良い。
アモノサーマル法によって得られた第13族窒化物結晶は、アニール処理を行うことによって、ドーパントを活性化することが好ましい。アニール処理により、第13族窒化単結晶に含まれるドーパントを活性化してキャリア活性化率を10〜90%とすることができ、加えて移動度も十分に向上させることができる。アニール処理の時間は特に限定されないが、5.5時間以上であることが好ましく、8時間以上であることがより好ましく、10時間以上であることがさらに好ましく、12時間以上であることが特に好ましい。また、300時間以内であることが好ましく、150時間以内であることがより好ましく、120時間以内であることがさらに好ましく、100時間以内であることが特に好ましい。
アニール処理の温度は750℃以上であることが好ましく、800℃以上であることがより好ましく、850℃以上であることがさらに好ましく、900℃以上であることが特に好ましい。また、アニール処理の温度は1250℃以下であることが好ましく、1200℃以下であることがより好ましく、1100℃以下であることがさらに好ましく、1050℃以下であることが特に好ましい。1250℃以下であれば、アニール処理による質量減少を抑えやすい。アニール処理中の温度は一定に維持してもよいし、段階的に変化させてもよいし、連続的に変化させてもよい。また、これらを適宜組み合わせて実施してもよい。
アニール処理は、アンモニア、窒素、酸素、水素からなる群より選択される1つ以上が存在する雰囲気下で行うことが好ましい。好ましいのは少なくとも窒素が存在する雰囲気下で行なう場合である。このときの窒素の割合は50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましい。さらに窒素が100%の雰囲気でも好適に行なうことができる。
前述した第13族窒化物結晶の種々の特性は、アニール処理の前後で大きく変化しないことが好ましい。従来の結晶においては、結晶中に取り込まれたH原子がアニール処理により脱離することによって、結晶品質が大幅に変化していた。しかしながら、本発明の周期表第13族金属窒化物結晶は結晶中に取り込まれたH原子が安定に存在していることから、アニール処理の前後で結晶品質が大幅に変化するほどのH原子の脱離が起こりにくいと考えられる。
(第13族金属窒化物基板(ウエハ))
下地基板上に結晶成長した周期表第13族金属窒化物結晶を、スライス、研削、研磨など加工処理を行うことによって、第13族窒化物基板とすることができる。
(デバイス)
本発明の製造方法により得られた第13族金属窒化物基板は、デバイス、即ち発光素子や電子デバイス、パワーデバイスなどの用途に好適に用いられる。本発明の第13族金属窒化物結晶やウエハが用いられる発光素子としては、発光ダイオード、レーザーダイオード、それらと蛍光体を組み合わせた発光素子などを挙げることができる。また、本発明の第13族金属窒化物結晶やウエハが用いられる電子デバイスとしては、高周波素子、高耐圧高出力素子などを挙げることができる。高周波素子の例としては、トランジスター(HEMT、HBT)があり、高耐圧高出力素子の例としては、サイリスター(SCR、GTO)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、ショットキーバリアダイオード(SBD)がある。本発明のエピタキシャルウエハは、耐圧性に優れるという特徴を有することから、上記のいずれの用途にも適している。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
(実施例1)
[下地基板の準備]
本実施例では、まず、図4に示すような反応装置を用いて下地基板を得るための結晶成長を行った。結晶成長には、ニッケル基合金製のオートクレーブ1を耐圧性容器として用い、Pt−Ir製カプセル20を反応容器として用いた。
原料8として多結晶GaN粒子をカプセル下部領域(原料溶解領域9)内に設置し鉱化剤として高純度のNH4Fをカプセル内に投入した。さらに下部の原料溶解領域9と上部の結晶成長領域6の間には白金製のバッフル板5を設置した。種結晶7として、HVPE法で得られた直径50mmのC面基板を、白金製のワイヤーとシード支持枠を用いて吊るし、カプセル上部の結晶成長領域6に設置した。種結晶7の主面(−C面)表面はM面に平行に細長い開口部を有するマスクを形成し、細長い開口部から、主面(−C面)表面のCMP仕上げされた領域を一部露出させた。次いで、以下に示す手順で、細長い開口部からc軸方向(横方向)へ成長させることによりM面が広がるように結晶成長させた。
カプセル20の上部にPt−Ir製のキャップを溶接により接続したのち、カプセル20下部を液体窒素で冷却し、バルブを開け外気に触れることなくHIを充填した。次いで、カプセル20をNH3ガスラインに接続し、外気に触れることなくNH3を充填した。流量制御に基づき、NH3をカプセル20の有効容積の約55%に相当する液体として充填(−33℃のNH3密度で換算)した後、再びバルブを閉じた。その後、キャップ上部のチューブを溶接機により封じ切った。なお、カプセル20中に導入されたF濃度はNH3に対して0.5mol%、I濃度は2.0mol%であった。
次いで、カプセル20をオートクレーブに挿入し、オートクレーブを密封した。
その後、バルブを開けて真空脱気し、真空状態を維持しながらオートクレーブ1をドライアイスエタノール溶媒によって冷却し、導管をNH3ボンベ12に通じて外気に触れることなくNH3をオートクレーブ1に充填した。NH3をオートクレーブ1の有効容積(オートクレーブ容積−充填物容積)の約56%に相当する液体として充填(−33℃のNH3密度で換算)した後、再びバルブ10を閉じた。
オートクレーブ1を複数に分割されたヒーターで構成された電気炉内に収納した。
オートクレーブ1内部の平均温度が600℃、内部の温度差(|ΔT|)が20℃になるようにオートクレーブ1外面温度で制御しながら昇温し、設定温度に達した後、その温度にて20日間保持した。オートクレーブ1内の圧力は215MPaであった。また保持中のオートクレーブ1外面制御温度のバラツキは±0.3℃以下であった。
オートクレーブ1を冷却しながら、オートクレーブ1に付属したバルブ10を開放し、オートクレーブ1内のNH3を取り除いた。この時、オートクレーブ1とカプセル20との圧力差を利用しカプセル20を割り、カプセル20内に充填したNH3も取り除いた。
オートクレーブ1を計量しNH3の排出を確認した後、オートクレーブ1の蓋を開け、カプセル20を取り出し、更に内部の結晶を取り出した。種結晶上にはC軸方向に伸びる板状に窒化ガリウム結晶が成長しており、c軸厚みは7mmであった。
上記窒化ガリウム結晶より、c軸に沿ってM面を主面とする窒化ガリウムウエハを複数切り出すことができた。このウエハを主面であるM面の表裏と4側面をエッチングしてダメージを除去し、更にM面の表裏をミラー研磨した。得られた両面研磨結晶のX線回折測定を行い、結晶系は六方晶系で立方晶GaNは含まれていないことを確認した。
[下地基板の主面上にホモ成長させる成長工程]
上述したように作製したM面を主面とする長辺35mm×短辺7mm、厚み330μmのウエハを下地基板として用いて、下地基板上に第13族金属窒化物結晶の成長を行った。下地基板は、主としてM面を成長面としてホモ成長させるため主面(M面)全面をCMP仕上げしたものを用いた。第13族金属窒化物結晶の成長は、前述の[下地基板の準備]における結晶成長と同様にしてアモノサーマル法にて行った。
結晶成長に用いる鉱化剤としては、F濃度が0.5mol%、I濃度が1.5mol%のものを用いた。
オートクレーブ1内部の平均温度が605℃、内部の温度差(|ΔT|)が14℃になるようにオートクレーブ1外面温度で制御しながら昇温し、設定温度に達した後、その温度にて20日間保持した。オートクレーブ1内の圧力は215MPaであった。結晶成長の育成日数は16日とした。
取り出した結晶を観察したところ、M面を主面とする窒化ガリウム結晶が成長しており、そのサイズはc軸10mm×a軸40mm×m軸6mm程度であった。
得られた窒化ガリウム結晶からM面を主面とする板状結晶を複数切り出し、主面であるM面の表裏と4側面をエッチングしてダメージを除去し、更にM面の表裏をミラー研磨して、GaN結晶Aを得た。得られたGaN結晶AのX線回折測定を行い、結晶系は六方晶系で立方晶GaNは含まれていないことを確認した。
[アニール処理]
上記の通り得られた、主面がM面の表面研磨されたGaN結晶Aを、グラファイトを基材とする表面コートされたサセプターに載せてアニール炉の中へ入れた。その後、アニール炉内の雰囲気を空気から窒素へ切り替えた。その後に炉内雰囲気ガスを窒素90%、アンモニア10%とし、ヒーターの電源を入れて温度調節系のプロクラムを起動して1000℃まで昇温した。その時の昇温速度は100〜1000℃/時間の範囲とした。1000℃に到達後に24時間保持し、その後に100〜300℃/時間の冷却速度で冷却した。炉内雰囲気ガスは、昇温開始時から300℃に冷却するまで同じ組成に維持した。アニール炉の温度が300℃を示したときにアンモニアの供給を停止し、炉内温度が室温になったところで、アニール炉を開けて窒化ガリウム結晶を取りだし、GaN結晶Bを得た。アニール前に目視で黄色に着色していた結晶は、色が薄くなり透明度が増して着色改善効果があることが確認できた。
(実施例2)
実施例2では、実施例1よりアニール時間を極端に短くして、アニール効果を軽減した基板を用意した。
実施例2は、実施例1の[下地基板の準備]、[下地基板の主面上にホモ成長させる成長工程]と同様の条件でGaN結晶Aを得た。
実施例2のGaN結晶Aは、不活性ガス雰囲気下において、昇温速度を20℃/分で1000℃まで昇温し、1000℃にて20〜30分間保持した後、自然放冷し炉内が室温になったところで、窒化ガリウム結晶を取りだし、GaN結晶Bを得た。
実施例1と同様に、アニール前に目視で黄色に着色していた結晶は、色が薄くなり透明度が増して着色改善効果があることが確認できたが、実施例1に比較すると若干着色が残っていた。
[窒化ガリウム結晶の分析評価]
アニール処理前後で得られたGaN結晶AおよびGaN結晶Bについては、表1に示された項目や下記の物性値に関して各々評価を行った。
<積層欠陥密度>
実施例1で得られた結晶体を、積層欠陥密度はas−grownの状態で、5kV、500pA、200倍視野で低温カソードルミネッセンス(LTCL)観察にて評価した。LTCL観察像のC面と平行方向に存在する横線が積層欠陥である。測定は、主面であるM面内で数箇所、場所を変えて測定を行ったが、いずれも、積層欠陥密度は0cm-1であった。
<赤外分光分析>
次いで、実施例1〜2で得られたGaN結晶Bのc軸に対する赤外光の偏光角度を0〜90°の間で変化させながら、フーリエ変換赤外分光法(FT−IR)により赤外分光測定を行った。赤外光入射側から、偏光板、直径約1mmのピンホール金属マスク、結晶(試料)の順に配置した。窒化ガリウム結晶のc軸方位に対して偏光板を平行な配置を0°の偏光角度とし、偏光板を15°毎に、0°から90°まで回転させて測定を行った。測定条件は、スキャン積算回数1024回、分解能4cm-1で、MCT検出器を用いて測定した。
主な吸収ピークは、3150、3164、3176、3188cm-1近傍の4つであった。これらをピーク分離プログラムでフィッティングを実施して、それぞれのピーク強度を算出し、単位厚み当たりの吸光度を算出した。それぞれの各偏光角度での吸光度を図6に示す
なお、偏光特性係数Aおよび偏光特性係数Bは、以下の式で算出した。
係数A=((偏光角度0°における吸光度)−(偏光角度90°における吸光度))/2
係数B=(偏光角度90°における吸光度)
その結果を表1に示した。
次いで、偏光特性を考慮しない測定方法として、偏光板を外した状態で、上述の測定条件を用いて、実施例1、2で得られたGaN結晶AおよびGaN結晶B赤外分光測定を行った。単位厚さ(mm)あたりの吸光度を図7に示した。
また、偏光板無しで測定した赤外吸収スペクトルにおいて、1000℃でアニール処理をした後の結晶における前記第1吸収ピーク〜第4吸収ピークの強度を各々Ia1〜Ia2とし、アニール処理をする前の前記第1吸収ピーク〜第4吸収ピークの強度を各々Ib1〜Ib2とすると、Ia1=0.07mm-1、Ia2=0.06mm-1、Ia3=0.10mm-1、Ia4=0.15mm-1であった。また、Ib1=0.15mm-1、Ib2=0.19mm-1、Ib3=0.24mm-1、Ib4=0.27mm-1であった。従って、Ia1/Ib1=0.48、Ia2/Ib2=0.30、Ia3/Ib3=0.43、Ia4/Ib4=0.58となった。
次いで、実施例1に準ずる方法により得られたアニール処理後の窒化ガリウム結晶中BのH、Oの濃度をSIMS分析により定量分析を行った。装置は、CAMECA社製の二次イオン質量分析計(SIMS)IMS4fを使用した。分析条件は、一次イオンビームはCs、一次イオンエネルギーは14.5keV、2次イオン極性は負とした。本条件における検出限界は、いずれもHが1×1017〜2×1017atoms/cm3、Oが1×1016〜2×1016atoms/cm3であった。得られた窒化ガリウム結晶Bの水素濃度は、1.1×1019atoms/cm3であり、酸素濃度は、7.4×1018atoms/cm3であった。
実施例1では、水素濃度と酸素濃度の比率(H/O)が1.5であった。
<X線ロッキングカーブ(XRC)半値幅>
X線ロッキングカーブ(XRC)は、PANalytical社製の高分解能X線回折計で測定した。X線光源からCu−Kα線を照射し、入射側には、X線ミラーと、Ge(220)の2結晶ハイブリッドモノクロメータを配置し、検出器側はオープンディテクタを用いた。このような光学系を用いて、GaN(100)反射とGaN(102)反射についてロッキングカーブ測定を実施し、窒化ガリウム結晶AおよびBのチルト及びツイスト方向の結晶方位分布を評価した。ここで、(100)、(102)はX線の回折面を表す。
実施例1、2で得られたアニール処理後の窒化ガリウム結晶Bを測定したXRCの半値幅の測定結果を表1に示した。
なお、X線ロッキングカーブ(XRC)の半値幅が小さいことは、結晶に転位が少なく、結晶の配向性が良好であることを表している。上記の光学系を用いた際のXRC半値幅の分解能は25arcsec程度である。
実施例1で得られたGaN結晶BのGaN(100)反射のXRC半値幅は21.6であり、GaN(102)反射のXRC半値幅は24.7であり、いずれも装置の分解能以下の良好な値であった。
実施例2で得られたGaN結晶BのGaN(100)反射のXRC半値幅は20.9であり、GaN(102)反射のXRC半値幅は18.8であり、いずれも装置の分解能以下の良好な値であった。
次いで、実施例1に準ずる方法により得られたアニール処理前後の窒化ガリウム結晶AおよびBのXRC測定を実施したところ、GaN結晶AのGaN(100)反射のXRC半値幅は21.0、GaN(102)反射のXRC半値幅は22.3であり、GaN結晶BのGaN(100)反射のXRC半値幅は21.3であり、GaN(102)反射のXRC半値幅は19.6であった。アニール処理によりXRCの値がほとんど変化しないことから、アニール前後で結晶性は変化せず、また、十分に結晶性は良好であることが分かった。
<曲率半径>
曲率半径は1軸ステージ(x軸)又は2軸ステージ(x−y)のある高精度クレードルを有したPANalytical社製の高分解能X線回折計を用いて測定した。試料を一軸方向(x方向)に0.5〜5mm間隔で移動し、各ポイントで測定したX線ロッキングカーブから最大強度を与えるω値を算出し、移動距離xに対するω値をプロットし、最小自乗法でグラフの傾きkを算出した。傾きkから次式にて曲率半径R[m]を算出した。
R=1/k×180×π/1000
実施例1に準ずる方法により得られたアニール処理前後の窒化ガリウム結晶AおよびBのa軸方向およびc軸方向についてそれぞれ曲率半径を測定したところ、窒化ガリウム結晶Aのa軸方向が2.9m、c軸方向が11.4m、窒化ガリウム結晶Bのa軸方向が7.8m、c軸方向が14.8mであった。曲率半径が大きいものほど結晶格子が平坦に並んでいることになり、転位等の欠陥や割れ等を含まない良質な結晶であるといえる。また、アニール処理前後で大きく曲率半径が変化しないことを確認した。
<吸収係数>
吸収係数は、結晶中の不純物濃度や点欠陥密度と関係しており、結晶の透明度を表す指標となる。吸収係数が445nmの波長に対して1以下の範囲内であることは、不純物濃度や点欠陥密度が所望の範囲内にあり、かつ、結晶の透明度が一定以上あることを表す。
実施例1に準ずる方法により得られたアニール処理後の窒化ガリウム結晶Bについて、積分球の中に405nm、445nmのレーザー光線をそれぞれ照射した時の吸収特性を評価し、Lambert−Beer則から吸収係数を求めた。積分球内で測定することで吸収以外の損失ファクターを排除することができる。測定の結果、波長が405nmで吸収係数が4.49cm-1、波長が445nmで吸収係数が0.88m-1であり結晶の透明度が良いことが確認できた。なお、測定に用いた窒化ガリウム結晶の厚みは約275μmである。
<転位密度(DSD)>
CL観察において結晶内の暗点密度を求めることにより、転位密度(DSD)を算出することができる。
実施例1に準ずる方法により得られたアニール前後の窒化ガリウム結晶AおよびBについて、転位密度を測定した。転位密度は3kV、100pA、1000倍視野でカソードルミネッセンス(CL)観察にて暗点の数を計測し、密度を算出することで評価した。
暗点密度が小さいことは、結晶中の転位密度が小さいことを表し、結晶に歪みが発生していないことを表している。転位密度(DSD)は、2×105以下であることが好ましい。
実施例1に準ずる方法により得られたGaN結晶Aの転位密度は1.9×105cm-2であり、GaN結晶Bの転位密度は1.2×105cm-2であって、アニール前後で大きな変化はなくいずれも転位密度が低く良好な結晶であった。
(比較例1)
[下地基板の準備]
サファイア基板上に有機金属化学堆積(MOCVD)法により窒化ガリウム(GaN)
を成長させた。ノンドープで主面をC面とするGaNテンプレートを準備し、テンプレート上にSi34のマスクを形成し、マスクの開口部を通じるエピタキシャル横方向過度成長でC面−GaN層を成長させて、種基板を準備した。
次いで、図8に示すようなHVPE装置を用い、種基板110のC面−GaN層が上面に露出するようにサセプター107上に配置した。このときのガス導入管104の先端と下地基板の距離は、9cmとした。その後、反応室の温度を1010℃まで上げ、GaN単結晶を成長させた。この成長工程においては成長圧力を1.01×105Paとし、GaClガスの分圧を6.55×102Paとし、NH3ガスの分圧を7.58×103Paとした。成長時間は64時間とした。
成長終了後、室温まで降温し、GaN単結晶を得た。種基板上に厚さが8.3mmであって主面がC面であるGaN単結晶(以下、C面−GaN単結晶と称する)が得られた。C面−GaN単結晶の厚みと成長時間から成長速度を算出したところ、130μm/hであった。
得られたC面−GaN単結晶から、主面として、(10−10)面から[0001]方向に−2°、[−12−10]方向に0°のオフ角を有する面となる様に、スライスを行い、小片基板を複数枚得た。これらの中から、長辺50mm×短辺5mmの四角形、および330μmの厚さを有する単結晶GaN(自立)を、下地基板として準備した。
得られた両面研磨結晶のX線回折測定を行い、結晶系は六方晶系で立方晶GaNは含まれていないことを確認した。
[下地基板の主面上にホモ成長させる成長工程]
上述したように作製した下地基板の中から長辺20mm×短辺10mmの四角形、および330μmの厚さを有する単結晶GaNを下地基板として用いた。図4に示すような反応装置を用いて下地基板上に窒化物結晶の成長を行った。結晶成長に用いる鉱化剤としては、F濃度が0.2mol%、I濃度が2.0mol%のものを用いた。結晶成長の育成日数は10日とした。その他の条件は、実施例1に記載の[下地基板の準備]と同じ方法で結晶成長を行った。
取り出した結晶を観察したところ、M面を主面とする窒化ガリウム結晶が成長しており、そのサイズはc軸11mm×a軸20mm×m軸1.8mmであった。続いて得られた窒化ガリウム結晶からM面を主面とする板状結晶を複数切り出し、主面であるM面の表裏と4側面をエッチングしてダメージを除去し、更に主面であるM面の表裏をミラー研磨して、GaN結晶Aを得た。得られた、GaN結晶AのX線回折測定を行い、結晶系は六方晶系で立方晶GaNは含まれていないことを確認した。
[アニール工程]
実施例1に記載の[アニール工程]と同様にして、得られた主面がM面であり、表面研磨されたGaN結晶Aアニールを行い、GaN結晶Bを得た。
[窒化ガリウム結晶の分析評価]
アニール処理の前後で得られたGaN結晶AおよびGaN結晶Bについては、下記の項目の物性値に関して各々評価を行った。
比較例1で得られたGaN結晶Bについて、5kV、500pA、200倍視野で低温カソードルミネッセンス(LTCL)観察にて評価した。LTCL観察像のC面と平行方向に存在する横線が積層欠陥である。測定は一箇所しか行わなかったが、積層欠陥密度は100cm-1であった。
次いで、実施例1、2と同様の方法で、比較例1で得られたGaN結晶Bのc軸に対する赤外光の偏光角度を0〜90°の間で変化させながら、フーリエ変換赤外分光法(FT−IR)により赤外分光測定を行った。単位厚み当たりの吸光度を算出した。それぞれ吸収ピークについて各偏光角度での吸光度を図6に示す。
偏光特性係数Aおよび偏光特性係数Bについても、実施例1、2と同様の方法で算出した。
その結果を表1に示した。
次いで、偏光板を外して実施例1と同様に、比較例1で得られたGaN結晶AおよびGaN結晶B赤外分光測定を行った。単位厚さ(mm)あたりの吸光度を図7に示した。
比較例1で得られたアニール処理後の窒化ガリウム結晶であるGaN結晶B中のH、Oの濃度をSIMS分析により定量分析を行ったところ、比較例1で得られた窒化ガリウム結晶の水素濃度は1.25×1019atoms/cm3であり、酸素濃度は3.05×1017atoms/cm3であった。また、水素濃度と酸素濃度の比率(H/O)が40以上と、比較例に比べて大きな値であった。比較例1以外にも、比較例1と同様の方法で得られた複数のサンプルを確認したところ、サンプルにより水素濃度と酸素濃度の比率(H/O)バラつきがあることを確認した。
<X線ロッキングカーブ(XRC)半値幅>
実施例1、2に記載した方法と同様にして、比較例1により得られたアニール後の窒化ガリウム結晶であるGaN結晶Bについて、XRC半値幅の測定を行った。GaN結晶BのGaN(100)反射のXRC半値幅は35.9arcsec、GaN結晶BのGaN(102)反射のXRC半値幅は104.4arcsecであり、実施例1、2に比較して結晶性が劣る結晶であることが分かった。
また、比較例1に準ずる方法により得られたアニール前後の窒化ガリウム結晶であるGaN結晶AおよびBについて、XRC半値幅の測定を行った。GaN結晶AのGaN(100)反射のXRC半値幅は22.4、GaN(102)反射のXRC半値幅は24.1あり、GaN結晶BのGaN(100)反射のXRC半値幅は85.3、GaN結晶BのGaN(102)反射のXRC半値幅は105.4であった。このことより、アニール処理によってチルト方向およびツイスト方向の結晶方位の配向性が悪化したことが分かり、GaN結晶AおよびBは結晶中に残留応力を内包する安定性に劣る結晶であることが分かった。
<曲率半径>
比較例1で得られたGaN結晶AおよびBについて、曲率半径を測定したところ、窒化ガリウム結晶Aのa軸方向が16.6m、c軸方向がー12.0m、窒化ガリウム結晶Bのa軸方向がー0.6m、c軸方向がー1.4mであった。アニール後のGaN結晶Bは、曲率半径が小さく実施例1に比較して良好な結晶性を有しないことを確認した。また、アニールに前後で大きく曲率半径が小さくなることを確認した。
<吸収係数>
比較例1で得られたGaN結晶Bについて、吸収係数を測定した。測定の結果、波長が405nmで吸収係数が15.5cm-1、波長が445nmで吸収係数が2.92m-1であり、実施例1に比較して、結晶の透明度が良くなかった。
以上の実施例および比較例で得られた窒化ガリウム結晶の偏光特性係数および一部の物性評価の結果を表1にまとめた。
表1に記載した物性評価(結晶の着色評価)はアニール後のGaN結晶Bの評価結果を示している。
着色については、目視による評価で○、△、×は以下のものを示す。
○:アニールによる着色改善効果が大きいもの
△:アニールによる着色改善効果が中程度であるもの
×:アニールによる着色改善効果はあるものの、効果が小さいもの
なお、総合評価は、XRCと着色改善効果から◎、○、×との評価分けをしている。
◎:XRC半値幅が25arcsec以下であり、アニールによる着色改善効果が大きいもの
○:XRC半値幅が25arcsec以下であり、アニールによる着色改善効果が中程度であるもの
×:XRC半値幅が25arcsecより大きく、アニールによる着色改善効果はあるものの、効果が小さいもの
実施例1、2、比較例1の各偏光角度での4つの吸収ピークのそれぞれの吸光度(mm-1)を図6に、実施例1、比較例1のアニール前後での偏光板無しで測定した吸光度(mm-1)を図7に示した。
表1において、偏光板有りの偏光角度依存性測定における偏光特性係数A及びBの絶対値を比較した。3050〜3300cm-1の範囲にある4つの吸収ピークで実施例1及び2の値は、比較例1の値以下であることが判った。さらに、実施例1の値は実施例2の値以下であることから、アニールを長時間実施することにより、偏光特性係数A、Bの絶対値は小さくなる傾向であることが判った。実施例1及び2はX線ロッキングカーブの半値幅が小さいことから結晶性が良好であり、着色度も少ないが、比較例1は半値幅が大きく、着色度も悪いことから、良好な結晶性をもつ基板は、偏光特性係数A、Bの絶対値が小さくなることが判った。
次に、図7に偏光板無しで測定した4つの吸収ピークの吸光度を示した。実施例1及び比較例1について、アニール処理有の第1吸収ピーク〜第4吸収ピークの強度(Ia1〜Ia4)とアニール処理無の第1吸収ピーク〜第4吸収ピークの強度(Ib1〜Ib4)の比Ia1/Ib1、Ia2/Ib2、Ia3/Ib3、Ia4/Ib4を求めた。その結果、実施例1では、それぞれ、0.49、0.30、0.43、0.58で、いずれも0.7以下であったが、比較例1では、0.68、0.89、0.75、0.66で、0.7を越えるものがあった。
本発明によれば、結晶性が極めて良好な周期表第13族金属窒化物結晶を得ることができる。このため、本発明の周期表第13族金属窒化物結晶は半導体特性に優れ、発光デバイス用途に加え、電力用半導体素子(パワーデバイス)に好適に用いられ、産業上の利用可能性が高い。
1 オートクレーブ(耐圧性容器)
2 オートクレーブ内面
3 ライニング
4 ワイヤー
5 バッフル板
6 結晶成長領域
7 下地基板(種結晶)
8 原料
9 原料充填領域
10 バルブ
11 真空ポンプ
12 アンモニアボンベ
13 窒素ボンベ
14 マスフローメーター
20 カプセル(内筒)
100 リアクター
101 H2キャリアガス用配管
102 N2キャリアガス用配管
103 周期表第13族原料用配管
104 窒素原料用配管
105 エッチングガス用配管
106 ヒーター
107 サセプター
108 排気管
110 種基板
113 周期表第13族原料用リザーバー
G1 H2キャリアガス
G2 N2キャリアガス
G3 周期表第13族原料ガス
G4 窒素原料ガス
G5 エッチングガス
300 赤外光源
302 偏光板
304 マスク
306 結晶(試料)
308 検出器

Claims (7)

  1. c軸に対する赤外光の偏光角度を0〜90°の間で変化させ測定を行うフーリエ変換赤外分光法(FT−IR)により得られる赤外吸収スペクトルにおいて、3050〜3300cm-1の範囲内に少なくとも4つの吸収ピークを有し、
    前記4つの吸収ピークは、式(1)で表される偏光特性係数Aを各々有し、
    前記4つの吸収ピークを波数が小さい方から順に、第1吸収ピーク〜第4吸収ピークとすると、前記第1吸収ピークの偏光特性係数Aは−0.10〜0.00あり、前記第2吸収ピークの偏光特性係数Aは0.00〜0.15であり、前記第3吸収ピークの偏光特性係数Aは0.00〜0.15であり、前記第4吸収ピークの偏光特性係数Aは−0.25〜0.00であることを特徴とする周期表第13族金属窒化物結晶。
    (ここで、式(1)中、Pは単位膜厚あたりの吸光度(mm-1)を表し、Aは偏光特性係数Aを表し、αはc軸方向に対する偏光角度を表し、Bは偏光特性係数Bを表す。)
  2. 前記第1吸収ピークの偏光特性係数Bは0.00〜0.30であり、前記第2吸収ピークの偏光特性係数Bは0.00〜0.20であり、前記第3吸収ピークの偏光特性係数Bは0.00〜0.14であり、前記第4吸収ピークの偏光特性係数Bは0.00〜0.60である請求項1に記載の周期表第13族金属窒化物結晶。
  3. 前記第1吸収ピークは、3150±5cm-1の範囲に吸収極大を有する吸収ピークであり、前記第2吸収ピークは、3164±5cm-1の範囲に吸収極大を有する吸収ピークであり、前記第3吸収ピークは、3176±5cm-1の範囲に吸収極大を有する吸収ピークであり、前記第4吸収ピークは、3188±5cm-1の範囲に吸収極大を有する吸収ピークである請求項1または2に記載の周期表第13族金属窒化物結晶。
  4. 偏光板無しで測定した赤外吸収スペクトルにおいて、単位厚さ(mm)あたりの吸光度が1.0mm-1以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の周期表第13族金属窒化物結晶。
  5. 偏光板無しで測定した赤外吸収スペクトルにおいて、850〜1100℃でアニール処理をした後の前記第1吸収ピーク〜第4吸収ピークの強度を各々Ia1〜Ia4とし、アニール処理をする前の前記第1吸収ピーク〜第4吸収ピークの強度を各々Ib1〜Ib4とすると、Ia1/Ib1、Ia2/Ib2、Ia3/Ib3、Ia4/Ib4は各々0.7以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の周期表第13族金属窒化物結晶。
  6. 転位密度(DSD)が5×105cm-2以下であり、積層欠陥密度(SFD)が 8×10cm-1以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の周期表第13族金属窒化物結晶。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の周期表第13族金属窒化物結晶からなる、周期表第13族金属窒化物基板。
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